ミロネクトン含有多機能繊維及びその繊維製品
【課題】 軟質多孔性であることから微粉末化が容易であるとともにバインダー等とも馴染み易いミロネクトン(軟質多孔性古代海洋腐植質)の微粉末を利用することにより、比較的低コストで、制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有するミロネクトン含有多機能繊維及びその繊維製品を提供する。
【解決手段】 本発明のミロネクトン含有多機能繊維(1、1A、1B、1C)は、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体(3)の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を含むコーティング又はプリント(2)が施され、あるいはさらに、前記片面又は両面の全部又は一部に別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体(3A、3B)が重畳されたことを特徴とする。
【解決手段】 本発明のミロネクトン含有多機能繊維(1、1A、1B、1C)は、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体(3)の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を含むコーティング又はプリント(2)が施され、あるいはさらに、前記片面又は両面の全部又は一部に別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体(3A、3B)が重畳されたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維などの繊維体にミロネクトン(軟質多孔性古代海洋腐植質)の微粉末を含むコーティング又はプリントが施され、制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有するミロネクトン含有多機能繊維及びその繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、天然繊維や化学繊維などの繊維に制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等のいずれかの、人体に有益な機能を持たせた各種機能繊維の提案がなされ、一部商品化されるなど開発が活発化しつつある。
【0003】
特に、人々の健康志向の高まりとともに、上記人体に有益な機能を有する各種衣類や着用品類などの繊維製品が求められている。
【0004】
こうした情勢の中で、トルマリン、溶岩、火山灰、その他の天然ミネラル鉱石、タングステン酸化物等のパウダーを繊維に取入れることにより上記機能要求の一部に応えようとする提案が幾つかなされており、その代表として次の6例がある。
【0005】
第1の例は、合成樹脂塗料に粒径0.5μ〜50μのトルマリンパウダーと分散剤を配合した塗料を表面に塗布した布地、また、前記塗料を表面に塗布した糸からなる布地、さらに、粒径0.5μ〜50μのトルマリンパウダーを表面にまぶし付着させた糸からなる布地である(例えば、特許文献1)。
【0006】
特許文献1に係る布地は、布地の周辺にトルマリンパウダーによる人体の精神衛生上に好影響を与えるマイナスイオンを生成するというものである。
【0007】
第2の例は、不織布又は織布、布状又は紙製又は合成樹脂シートであるシート状両面のどちらか片面に、トルマリン微粉末と希土鉱石微粉末とバインダーの混合物もしくは練成物をシート状に形成してなる複合ミネラルコーティングシートである(例えば、特許文献2)。
【0008】
特許文献2に係るレンタル用衣類リサイクルシステムは上記複合ミネラルコーティングシートを用いており、トルマリン鉱石の電位保持、圧電効果、遠赤外線やマイナスイオン発生等と、希土鉱石の各種微量放射線、遠赤外線、磁力線、マイナスイオン発生等との複合作用により、人体に直接的又は間接的に身体に好影響を与えるというものである。
【0009】
第3の例は、表生地の裏側に、天然ミネラル成分繊維層、遠赤外線性の防ダニ・抗菌・防臭繊維層、防水加工繊維層が順次設けられ、これらの各層が超音波融着により接合された多機能繊維シートである(例えば、特許文献3)。
【0010】
特許文献3に係る多機能繊維シートは、より詳細には、ミネラル鉱石を精製してレイヨン、綿、ポリエステル繊維との混紡による天然ミネラル成分繊維層からは、マイナスイオンなどによる健康増進作用が得られ、備長炭などを精製した木炭繊維や防ダニ・抗菌・防臭加工(例えばメタクリル酸のグラフトなど)が施された不織布、テトロン(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステル中綿などからなる防ダニ・抗菌・防臭繊維層からは、防ダニ・抗菌・防臭の効果が得られ、ポリエステルやウレタンなどの化学繊維から成る防水ラミネート加工による防水加工繊維層からは、防水の効果が得られ、合わせて、例えば快適な室内居住空間の創出に資するというものである。
【0011】
第4の例は、タングステン酸化物微粒子及び/又は複合タングステン酸化物(Cs0.33WO3)微粒子(以下、「A又はBの双方又はいずれか一方」を、このように「A及び/又はB」と略記する)を、表面及び/又は内部に含有する繊維であって、当該微粒子の含有量が、当該繊維の固形分に対して0.001重量%〜80重量%である近赤外線吸収繊維である。(例えば、特許文献4)。
【0012】
特許文献4に係る近赤外線吸収繊維は、Cs0.33WO3微粒子が少量でも太陽光などからの熱線を効率良く吸収し、保温性を有するというものである。
【0013】
第5の例は、天然繊維もしくは化学繊維の母体に、溶岩を粉砕してなる多数の溶岩パウダー及び/又は火山灰を付加させてなる溶岩パウダー及び/又は火山灰入り繊維である(例えば、特許文献5)。
【0014】
特許文献5に係る溶岩パウダー及び/又は火山灰入り繊維は、人体に直接接触又は近接することにより溶岩又は火山灰の含有する30種類にも及ぶミネラルと人体が保有するミネラルとが化学的に結合(イオン結合、共有結合、配位結合、水素結合)して体内のミネラルをバランスよく増加させてミネラル欠乏症又は過剰症を是正する効果、温熱効果、老化予防、美肌効果、殺菌効果及び消臭効果等を有するとのことである。
【0015】
第6の例は、天然繊維もしくは化学繊維の母体を、溶岩を粉砕して得た多数の溶岩パウダー及び/又は火山灰を配合した染料で染色する溶岩染め繊維である(例えば、特許文献5)。
【0016】
特許文献6に係る溶岩染め繊維は、人体に直接接触又は近接することにより溶岩又は火山灰の含有する30種類にも及ぶミネラルと人体が保有するミネラルとが化学的に結合(イオン結合、共有結合、配位結合、水素結合)して体内のミネラルをバランスよく増加させてミネラル欠乏症又は過剰症を是正する効果、温熱効果、老化予防、美肌効果、殺菌効果及び消臭効果等を有するとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平11−350342号公報
【特許文献2】実用新案登録第3078076号公報
【特許文献3】実用新案登録第3110047号公報
【特許文献4】特開2006−132042号公報
【特許文献5】特開2007−2384号公報
【特許文献6】特開2009−191417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記特許文献1〜6のそれぞれに係る、布地、複合ミネラルコーティングシート、多機能繊維シート、近赤外線吸収繊維、溶岩パウダー及び/又は火山灰入り繊維、及び溶岩染め繊維は、いずれも、これらの繊維に含ませるトルマリン、希土鉱石、ミネラル鉱石、タングステン酸化物及び溶岩等の硬度が高い。
従って、これらの有効鉱石成分を塗料やバインダーなどとよく混合させるためには、例えばボールミルや塔式摩砕機等を用いた粒径0.5μ〜50μの微細な粉末化処理や、繊維への付着処理に手間及びコストがかかる。
加えて、これらの有効鉱石成分はバインダー等と馴染み難いので、混入量が制限されてしまい、これら鉱石の本来の機能を必ずしも十分に発揮しきれない、等の問題点がある。
また、特に、特許文献1、2、4に係る、トルマリン、希土鉱石、タングステン酸化物のいずれか1つ又は2つを含む布地又は繊維では、機能が限定される問題点もある。
【0019】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、軟質多孔性であることから微粉末化が容易であるとともにバインダー等とも馴染み易いミロネクトン(軟質多孔性古代海洋腐植質)の微粉末を利用することにより、従来の機能繊維に用いられる鉱石類より多量に含有させることが可能であり、比較的低コストで、制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有するミロネクトン含有多機能繊維及びその繊維製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、請求項1の発明のミロネクトン含有多機能繊維は、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を含むコーティングが施されたことを特徴とする。
【0021】
請求項2の発明のミロネクトン含有多機能繊維は、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を混入したインクを用いて任意形状を有するプリントが施されたことを特徴とする。
【0022】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載のミロネクトン含有多機能繊維であって、前記ミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリント中には、適宜量の発泡材が混入されていることを特徴とする。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維であって、前記コーティング又はプリントが施されたベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体が重畳されたことを特徴とする。
【0024】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維であって、前記ベース繊維体は、構成糸の全部又は一部に極細に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物で構成された機能繊維からなることを特徴とする。
【0025】
請求項6の発明のミロネクトン含有多機能繊維製品は、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部にミロネクトンの微粉末を含むコーティング又はプリントを施したミロネクトン含有多機能繊維が加工されてなることを特徴とする。
【0026】
請求項7の発明は、請求項6記載のミロネクトン含有多機能繊維製品であって、ベース繊維体に施されたコーティング又はプリント中には、適宜量の発泡材が混入されていることを特徴とする。
【0027】
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7記載のミロネクトン含有多機能繊維製品であって、前記コーティング又はプリントが施されたベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体が重畳されたことを特徴とする。
【0028】
請求項9の発明は、請求項6乃至請求項8のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維製品であって、前記ベース繊維体は、構成糸の全部又は一部に極細に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物で構成された機能繊維からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に係る発明によれば、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に微粉末を含むコーティングが施されるミロネクトン(軟質多孔性古代海洋腐植質)が軟質多孔性であることから微粉末化が容易であるとともにバインダー等とも馴染み易いため、従来の機能繊維に用いられる鉱石類より多量に含有させることが可能であって、比較的低コストで、制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有するミロネクトン含有多機能繊維を提供できる効果がある。
【0030】
請求項2に係る発明によれば、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を混入したインクを用いて任意形状を有するプリントが、スクリーン印刷やシルク印刷あるいはロール印刷等の汎用的なプリント方法で容易に行うことができることから、低コストで、請求項1に係る発明と同様な、人体に有益な多機能を有するミロネクトン含有多機能繊維を提供できる効果がある。
【0031】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は請求項2の発明と同様な効果を有するのに加えて、ミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリント中に混入された発泡材により、ベース繊維体の細い繊維をカバーすることで保護するとともに、表面が凹凸状に形成されることで滑り止め効果を有する。
【0032】
請求項4に係る発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明と同様な効果を有するのに加えて、ベース繊維体のミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリントが施された片面又は両面の全部又は一部に重畳されたカバー繊維体によりミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリントが人体又は外部との直接的な接触から保護されるため、磨耗又は損傷することがなく耐久性が確保されるとともに肌触りも良好に保持される効果がある。
【0033】
請求項5に係る発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係る発明と同様な効果を有するのに加えて、銅繊維糸を用いた織物又は編物からなる機能繊維のベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部にミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリントが施されることから、特に銅繊維が有する制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性等の機能を一層向上させる相乗効果がある。
【0034】
請求項6に係る発明によれば、ミロネクトン含有多機能繊維製品が、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部にミロネクトンの微粉末を含むコーティング又はプリントを施したミロネクトン含有多機能繊維が加工されてなることから、請求項1又は請求項2に係る発明と同様な効果を有する。
【0035】
請求項7に係る発明によれば、請求項6に係る発明と同様な効果を有するのに加えて、ミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリント中に混入された発泡材により、請求項3に係る発明と同様な効果を有する。
【0036】
請求項8に係る発明によれば、請求項6又は請求項7の発明と同様な効果を有するのに加えて、ミロネクトン含有多機能繊維製品が、ベース繊維体のミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリントを施した片面又は両面の全部又は一部に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体が重畳されたことから、請求項4に係る発明と同様な効果を有する。
【0037】
請求項9に係る発明によれば、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に係る発明と同様な効果を有するのに加えて、前記ベース繊維体が、構成糸の全部又は一部に極細に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物で構成された機能繊維からなることから、請求項5に係る発明と同様な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施例のミロネクトン含有多機能繊維を概念的に示す平面図である。
【図2】本発明のミロネクトン含有多機能繊維に用いられるミロネクトンであって、(a)は原石塊の写真、(b)は微粉末の拡大写真である。
【図3】図1のミロネクトン含有多機能繊維の拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例のミロネクトン含有多機能繊維を概念的に示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例のミロネクトン含有多機能繊維を概念的に示す部分拡大断面図である。
【図6】本発明の第4の実施例のミロネクトン含有多機能繊維を概念的に示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明のベース繊維体として用いる、銅繊維糸を含む織物又は編物からなる機能繊維で、(a)はその構成を概念的に示す部分拡大断面図、(b)はその概観を示す部分拡大写真である。
【図8】図7(a)に示した銅繊維糸の具体例を示す拡大斜視図で、(a)はカバーリング糸、(b)はマルチフィラメント糸、(c)はスパン糸、(d)は紡毛糸である。
【図9】本発明の本製品例のミロネクトン含有多機能繊維の消臭効果の測定結果を示すグラフで、(a)は硫化水素(H2S)、(b)はアンモニア(NH3)、(c)は酢酸(C2H4O2)の各濃度の時間経過を示す。
【図10】本発明の本製品例のミロネクトン含有多機能繊維の各種機能試験における、(a)はイソ吉草酸(C5H10O2)の濃度の時間経過(消臭効果)の測定結果、(b)は遠赤外線効果(暖かさ)を示す感応検査結果のグラフである。
【図11】本発明における銅繊維糸を用いた機能繊維(カプロンファイバー)の制菌(抗菌、殺菌)効果の測定結果を示すグラフで、(a)は抗生物質耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、(b)は黄色ブドウ球菌、(c)は肺炎桿菌の各菌数の時間経過を示す。
【図12】本発明におけるカプロンファイバーの各種機能試験における、(a)は摩擦帯電圧減衰の時間経過(制電又は除電効果)、(b)は硫化水素(H2S)の濃度の時間経過(消臭効果)、(c)はメチルメルカプタン(CH4S)の時間経過(消臭効果)の測定結果を示すグラフである。
【図13】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第1の製品例、高機能靴下(ハイソックス)の概観写真である。
【図14】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第2の製品例、高機能ウエストベルトであって、(a)は構成概念図、(b)は人体のウエストに装着された状態の写真である。
【図15】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第3の製品例、高機能中敷(インソール)であって、(a)は構成概念図、(b)は表面の写真、(c)裏面の写真である。
【図16】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第4の製品例、高機能ベストの概観写真である。
【図17】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第5の製品例、高機能二の腕用シェイパーであって、(a)は展開状態の写真、(b)は人体の二の腕に装着された状態の写真である。
【図18】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第6の製品、の高機能ネックウォーマーであって、(a)は概観写真、(b)は人体の首元に装着された状態の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明のミロネクトン含有多機能繊維及びその繊維製品について実施例の添付図面を参照して説明する。
【0040】
まず、朝倉徹(医学博士)宮城学院女子大学教授、東北大学大学院消化器病態学分野非常勤講師によれば、学名「ミロネクトン」Mは、福島県棚倉町等で採掘される天然無機物質の「軟質多孔性古代海洋腐植質」といわれるもので、数千万年前の魚介類などのネクトン、プランクトン、海草、藻類その他の海洋動植物の遺骸が海底に埋没堆積して、長い期間微生物による分解、代謝、再合成を繰り返し独特な多孔質構造に至ったと考えられている(図2(a)(b)参照)。図2(b)において、多数の黒点状に見えるのは多孔質の各々の細孔Hである。
【0041】
ミロネクトンMは、採取時は軟らかな岩の印象であるが、細かく砕けばその微細な粒子の一つ一つに図2に示すような無数の細孔H(平均細孔半径は500Å)があり、その表面積は1g当たり250m2にも及ぶといわれる。このため、ゼオライトやクリストバライトなどの吸着剤の2倍以上であり、その作用効能は優れた吸着能によってもたらされている。この無数の細孔Hが、様々な不純物や有害物質を吸着するだけでなく、内部に棲息するバクテリアの働きとイオン交換によってそれらを分解し、さらには成分として含まれているミネラルが溶出する。こうした性質が、様々な分野で驚異的な効能を発揮し、理想に近い形での遠赤外線効果もある。
【0042】
ミロネクトンは、66種類以上のミネラルを含んでおり、中でも珪酸(SiO2、 Si3O9、 Si6O18)が主体であることが特徴である。すなわち、その成分は、無水珪酸(SiO2 )55.00%、アルミニウム(Al)13.00%、酸化鉄(FeO)4.10%、カルシウム(Ca)3.60%、マグネシウム(Mg)1.60%、硫黄(S)1.10%、カリウム(K)0.173%、チタン(Ti)0.160%、リン(P)0.070%、コバルト(Co)0.060%、ナトリウム(Na)0.050%、マンガン(Mn)0.040%、ストロンチウム(Sr)0.007%、バリウム(Ba)0.007%、錫(Sn)0.006%、亜鉛(Zn)0.006%、バナジウム(V)0.003%、ポロニウム(Po)0.003%、ニッケル(Ni)0.002%、銅(Cu)0.001%等を含有するとともに、前記成分により膨潤する層状格子をもつ粘土鉱物の一種であるモンモリロナイト(R0.33Al4(Si7.33Al0.67)O20(OH)4・nH2O )、(R=Na+、K+、Mg2+、Ca2+)を構成している。
【0043】
ミロネクトンの効果、効能は、例えば、次の通り多岐の分野に及ぶ。
【0044】
[土壌改良、農作物や植物への効果]
ミロネクトンは、安定多収穫栽培を目指す有機農法の苗床の水質、土壌改良に有効である。酸性土の中和や栄養素の補給を通じて、土壌を改良し連作障害を排除する。また、肥料の成分を充分に吸収し、その流失を防止する効果もある。前記含有成分自体にも、農作物の肥効を高め、品質を向上させる働きがある。さらに、酸性雨、農薬による被害も解消する。
【0045】
[水質浄化、活性化効果]
例えば貯水池の場合、従来の濾過材吸着では飽和点が早く、一時的な効果しか得られないが、ミロネクトンは、有益なバクテリアによる有害物質の除去作用と各種ミネラルによる殺菌作用の相乗効果で、栄養素が多く腐敗し難い水質に改善する(水道法水質基準適合証明書を取得(承認番号:東技研第l086−A号、B号))。
【0046】
また、ミロネクトンを水に溶かした47.4Hzのクラスターは、水道水の3分の1の大きさであり、毛根の奥の細胞まで届くことができるため毛髪環境の改善に役立っている。水の分子集団の大きさであるクラスターの大きさは、Hz(ヘルツ)で表し、この値が小さいほどクラスターの小さい水ということになり、体内に素早く吸収され易いことから健康に良好な効果があると言われている。世界中から難病患者が集まるフランスのルルドの泉や、世界の長寿村の飲料水のクラスターの平均は70〜80Hz台である。日本の温泉の飲める源泉水は、それを凌ぐ50〜60Hz台という世界トップクラスのものが幾つもあるが、50Hzを切るようなものは報告がなく、一説によると美豊泉のクラスター値47.4Hzと同様に、まさに世界最小と考えられている。
【0047】
[家畜への効能]
ミロネクトンの吸着作用により、家畜体内にある毒素を吸収して排泄し易くする他、イオン交換によってミネラルが添加されるため、家畜の発育促進や健康維持に効果的である。餌に混ぜることで家畜等の胃腸機能向上、肉質及び乳質改善、発育促進、排泄物消臭効果等が謳われている。ネズミの実験では、餌に少量のミロネクトンを混ぜておくと薬剤性腸炎の発生が抑制される傾向が見られた。
【0048】
[人体への効能]
ミロネクトンは、コラーゲンの形成をはじめ、コレステロールの代謝、副腎皮質の活性化、白血球及びインターフエロンの増強、さらにはぶどう球菌・大腸菌・白癬菌(水虫)など、さまざまな病原菌に対する制菌、抗菌、消臭等々の効果がある。また、ミロネクトン微粉末をパックや洗顔フォームのパウダーに混ぜると皮脂や毛穴の汚れ除去に有効であり、特にアトピー体質に悩む人には皮膚炎症状を抑える効果がある。さらに、ミロネクトンが放射する遠赤外線が、頭皮の刺激を促し毛母細胞の分裂を促進、毛穴の汚れを除去する効果がある。ミロネクトンの表面pHは7.4で、人の血液とほぼ等しいことも特筆される。
【0049】
こうした効能は、アクアリウムの領域でも水槽環境の維持に極めて良好な効果をあげている。ミロネクトンを構成するSi3O9やSi6O18は、水中で多量の酸素を放出し、光合成を促進し水草の成長を促す。さらに水槽内の不純物を吸着除去することで水の腐敗を防止し、バクテリアを活性化する。ビーシュリンプや甲殻類の脱皮不全防止、色揚げ効果、繁殖成長促進効果があるとされている。「奇跡の泥」ともいわれるミロネクトンが有する効能はこれらに留まらず、今後様々な領域に広がっていくことが予見される。
【0050】
さらに、ミロネクトンは、軟質多孔性で微粉末化が容易であるとともに、砕かれた粒子の集まりが水を含めばいわゆる土の状態になり、各種塗料やプリント用インク等に用いられるバインダー等とも馴染み易い特性も有している。
【0051】
本発明者は、このような多岐に亘る優れた効果、効能及び特性を有するミロネクトンに着目し、以下に述ベる本発明のミロネクトン含有多機能繊維を開発することに成功した。
【実施例1】
【0052】
本発明の一実施例のミロネクトン含有多機能繊維1は、図1及び3に示すように、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体3の片面に、ミロネクトンの微粉末を含むコーティング2を施してなる。この微粉末の平均粒径は通常10μ前後であるが、必要に応じてさらに細かく粉砕することもできる。
【0053】
天然繊維としては、綿、カボックなどの種子毛繊維、アマ、ラヒーなど靭皮繊維、マニラアサなど葉脈繊維、ヤシなどの果実繊維等々の植物繊維と、羊毛などの獣毛繊維や絹繊維等の動物繊維が適用できる。
【0054】
化学繊維としては、人工的に造られた有機質繊維と無機質繊維がある。有機質繊維には、再生繊維、半合成繊維、合成繊維がある。
【0055】
再生繊維は、天然のセルロースやタンパク質などの高分子物質を溶媒に溶解してノズルから糸状に引出すと同時に凝固させて得られる繊維と、セルロースやタンパク質を化学的に変化させ溶解し易い分子として溶解紡糸後再び化学変化により元の物質に変化させた繊維である。
【0056】
半合成繊維は、天然に存在している糸状高分子を溶解し易い分子に変化させて溶解紡糸後得られた繊維であって、その化学組成が天然の糸状高分子と異なるものである。
【0057】
合成繊維は、分子量の小さい化合物から人工的に分子量の高い高分子化合物を造り出して溶解又は溶融しノズルから紡糸して得られる化学繊維で、ナイロン、ポリエステル繊維や、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル繊維すなわちアクリル繊維、ビニロン、さらにバラ系ポリアミド繊維、ポリアセタール繊維などの高機能繊維等々がある。
【0058】
無機質繊維には、ガラス繊維、炭素繊維、ステンレス繊維などの金属繊維等がある。
【0059】
ここで、ベース繊維体としては、特に、先に本願の発明者及び出願人(いずれも同一人)による特願2002−315090(特許第4307819号)に記載の発明である、構成糸の全部又は一部に極細に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物からなる機能繊維(商品名「カプロンファイバー」)を好適に使用することできる。
【0060】
このベース繊維体を構成する機能繊維であるカプロンファイバー3は、図7(a)、(b)に示すように、経糸3aと緯糸3bとを交絡してなる織物で、その表面にあらわれる緯糸3bには銅繊維糸4が用いられている。この銅繊維糸4は、導電性に優れた「純銅」を極細に延伸した銅繊維6を含み、銅繊維6を例えば人体に接触させることにより人体に帯電した静電気を除去すると同時に、銅繊維6自体から発生する銅イオンにより抗菌・防臭機能も得られるため清浄性を保持することもできる。
【0061】
銅繊維糸4は、具体的には、図8(a)に示すように、伸縮性を有するプラスチック繊維糸などからなる芯糸5に極細に延伸した銅繊維6を巻き付けてなるカバーリング糸4aであっても、図8(b)に示すように、極細に延伸した銅繊維6を複数集束したマルチフィラメント糸4bであっても、図8(c)に示すように、銅繊維束同士あるいは銅繊維束6’と他の繊維束7とを撚り合わせてなるスパン糸4cであっても、図8(d)に示すように、銅繊維6をカットしてなる短繊維6”と他の短繊維7’との紡毛糸4dであっても、その他の繊維糸形態でもよい。
【0062】
カバーリング糸4aは、銅繊維6がカバーリング側の糸であるため、その太さが10μ〜30μ、伸度が1.26%、引張強度が0.3N(gf)しか期待できないとしても、織物や編物の構成糸として使用しても支障をきたすことがないばかりでなく、人体との接触によるカバーリング側の糸が銅繊維6となるため除電(制電)効果は有効に機能するし、銅イオン発生によるイオン効果も最大限に発揮できるものとなる。
【0063】
マルチフィラメント糸4bとスパン糸4cは、単独の銅繊維6の伸度及び引張強度を、集束することにより補い、優れた寸法安定性が得られるようになっている。また、紡毛糸4dは銅繊維からなる短繊維6”が糸の周囲に凸出しているので、恰も無数のアンテナを立てたかのような外観を呈し、人体との接触を効率的に高めることができる。
【0064】
ここで、カプロンファイバー3の抗菌機能を説明する。例えば、芯糸に極細に延伸した純銅からなる太さ20μの銅繊維6を巻き付けてなるカバーリング糸4aを緯糸に織り込んだカプロンファイバー3の100cm×50cmサイズの小片と、同サイズの銅繊維糸を用いない、100%ポリエステルYの小片を用い、スタート時点の細菌汚染量を揃えておいた上で、菌数の時間経過を測定した結果を、図11(a)抗生物質耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、(b)黄色ブドウ球菌、(c)肺炎桿菌の場合について示す。
いずれの場合も、ポリエステルYの場合は、菌数が急増するのに対して、カプロンファイバー3の場合は、逆に急減し、18時間後には測定限界(20個)に達する。
【0065】
次に、カプロンファイバー3の除電(制電、静電防止)効果を説明する。図示しないが、静電誘導などにより帯電(+)した人体などに、カプロンファイバー3を近づけると、カプロンファイバー3が人体などと逆の電荷(−)を帯び強い電界が生じ、空気が電離(コロナ放電)し、各々逆電荷の方向へ移動し中和される。このようにして、カプロンファイバー3を人体などに覆被し少なくとも5乃至10分以上保持することにより、人体などに蓄えられた静電気を十分に放電して除電(又は制電)効果が得られるのである。
例えば、芯糸に極細に延伸した純銅からなる太さ20μの銅繊維6を巻き付けてなるカバーリング糸4aを緯糸に織り込んだカプロンファイバー3の100cm×50cmサイズの小片と、同サイズの銅繊維糸を用いない、100%ポリエステルYの小片を用い、温度20°C、湿度33%の雰囲気下で、それぞれ摩擦布(綿)により摩擦帯電させ、標準的な帯電圧減衰測定法(JIS L−1094−1997)に基づいて、帯電圧減衰の時間経過を測定した結果が、図12(a)に示すグラフである。
【0066】
図12(a)によれば、カプロンファイバー3の場合、計測直後から帯電圧1,100Vである。この値は人体が感じ取れる静電気レベル(4,000V位)より大幅に低いことが判る。これに対し、ポリエステルYの場合、計測直後から帯電圧20,000Vに限りなく近くあり、減衰した60秒後の値でも人体が痛感できる静電気レベルより大幅に高い(15,000V以上)ことが判る。
【0067】
したがって、カプロンファイバー3を上記したように、人体などに覆被すると、カプロンファイバー3はコロナ放電(自己放電)による電荷の中和効果と、人体などの帯電体に接触することによる直接漏洩との組合せにより確実に除電する除電(制電、静電防止)効果が得られる。
【0068】
次に、カプロンファイバー3の触媒活性評価の一環として硫化水素(H2S)及びメチルメルカブタン(CH4S)で長時間処理した後の除去効果(消臭効果)を測定した測定結果について説明する。
【0069】
[測定方法]
カプロンファイバー3の試料0.5gを1Lのテドラーバックに入れて、パーミエータ(ガステック製: PD−1B)により硫化水素(H2S)及びメチルメルカプタン(CH4S)を導入した。導入濃度は、硫化水素3.132ppm、メチルメルカブタン2.254ppmで、導入時間は24時間以上で吸着飽和させることを試みた。ブランクXは空のテドラーバックで、同様に硫化水素(H2S)及びメチルメルカブタン(CH4S)を導入した。その後、硫化水素(H2S)及びメチルメルカブタン(CH4S)導入を停止して、テドラーバック内の各濃度を測定した。ガス濃度の分析は、ガスクロマトグラフィーFPD(日立製作所製: GC−3000)で行った。カラムは、ガラスカラム(φ3mm×3m)、充填剤はODPN25% UNIPORT HPを使用した。
【0070】
[測定結果]
硫化水素及びメチルメルカプタンの測定結果を示す図12(b)及び(c)から明らかなように、吸着飽和後もカプロンファイバー3の存在により、硫化水素、メチルメルカプタン共に減少することが判った。これにより、カプロンファイバー3中の銅繊維6(図7(a))が触媒となって硫化水素、メチルメルカブタンを除去していることが明らかとなった。
【0071】
さて、このような効果のあるカプロンファイバーをベース繊維体として用いる場合の詳細を説明する。
図3に戻って、カプロンファイバー(ベース繊維体)3の片面にミロネクトンの微粉末を適量混入したインク又は塗料を用いていずれも公知の方法でプリント又は塗布することによりコーティング2を施すことができる。
【0072】
塗布によるコーティング2は、いずれも公知の例えばニトロセルロースラッカー、フタル酸樹脂塗料、アミノアルキド樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ビニル樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、フェノール樹脂塗料などの合成樹脂塗料にミロネクトンの例えば粒径μオーダーの微粉末と分散剤あるいは塗膜性を向上させる可塑剤などの改質剤を適宜配合した塗料を用いてベース繊維体3の片面に適宜例えば数十μオーダーの膜厚で施すことができる。合成樹脂塗料の種類やミロネクトン微粉末の混入量あるいはコーティング膜厚などは、用途に応じて適宜選択的に設定される。
【0073】
プリントによるコーティング2は、いずれも公知の例えばアクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メタクリル樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂などのバインダーに適宜な溶剤に混合し、必要に応じて増粘剤、着色剤、揮発剤などを添加し、ミロネクトンの微粉末を例えば30重量%以下の適宜量混入したインクを用いて、例えばスクリーン印刷、シルク印刷あるいはロール印刷等の公知の印刷方法でベース繊維体3の片面にプリントして加熱又は自然乾燥させることにより施すことができる。
【0074】
また、プリントによるコーティング2は、例えば、剥離性を有する紙又はフィルムにスクリーン、オフセット、インクジェット、カラーコピーなどの印刷技法を用いて、図1に示すような多数の小円形からなる水玉模様など所望の図柄を容易に形成することができる。
【0075】
さらに、プリントによるコーティング2を施した後にベとつきを防止するために、ミロネクトンの微粉末を混入するバインダーを適宜の配合材により調整する。
【実施例2】
【0076】
本発明の別の実施例のミロネクトン含有多機能繊維1Aは、図4に示すように、ミロネクトンの微粉末を含むコーティング2がベース繊維体3の両面に施される点を除き前記実施例1と同様である。
【0077】
言い換えれば、この実施例のミロネクトン含有多機能繊維1Aは、前記実施例1のミロネクトン含有多機能繊維1のコーティング2が施された面の裏面にもコーティング2が施された形態である。したがって、同じ構成部材には厚さ等の一部形状が異なっていても図1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0078】
なお、図4では例えば水玉模様のコーティング2がベース繊維体3の両面に相互にずれた位置に施されているが、相互に重なり合うように一致させることもできる。
【実施例3】
【0079】
本発明のまた別の実施例のミロネクトン含有多機能繊維1Bは、図5に示すように、前記実施例1のミロネクトン含有多機能繊維1のミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されたベース繊維体3の片面に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体3Aが重畳される形態である。
【0080】
カバー繊維体3Aは、前記実施例1のベース繊維体3と構成及び厚みの双方又は一方が、用途に応じて同一もしくは相異してもよい。したがって、同じ構成部材には厚さ等の一部形状が異なっていても図3と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0081】
本発明のさらに別の実施例のミロネクトン含有多機能繊維1Cは、図6に示すように、前記実施例2のミロネクトン含有多機能繊維1Aのミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されたベース繊維体3の両面に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体3A、3Bがそれぞれ重畳される形態である。
【0082】
カバー繊維体3A、3Bは、それぞれ前記実施例2のベース繊維体3と構成及び厚みの双方又は一方が、用途に応じて同一もしくは相異してもよい。したがって、同じ構成部材には厚さ等の一部形状が異なっていても図4と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0083】
上記実施例3、4においては、ミロネクトン微粉末を含むコーティング2が施されたベース繊維体3の片面又は両面に重畳されたカバー繊維体3A、3Bによりコーティング2が人体又は外部との接触から保護されるため、磨耗又は損傷することがなく耐久性が確保されるとともに肌触りも良好に保持される。
【0084】
このように、ミロネクトンの微粉末を含むコーティング2がベース繊維体3の片面又は両面に施された本発明のミロネクトン含有多機能繊維1、1A、1B、1Cは、ミロネクトン自体の前記多岐に亘る優れた効能・特性に加え、ベース繊維体3にカプロンファイバーを用いた場合は前記した銅繊維6が有する制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性等の機能を一層向上させる相乗効果がある。
【0085】
ここで、特に本発明のミロネクトン含有多機能繊維1の消臭効果及び遠赤外線(保温)効果の測定結果について、図9及び10を参照し説明する。
【0086】
[測定方法]
提供試料は、カプロンファイバーからなるベース繊維体3の片面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されたミロネクトン含有多機能繊維1を0.5gとり、ガラス瓶中に入れ、初期、30分、60分後のガスの濃度変化を検知管(ガステック社)で測定した。使用した臭気ガスは、硫化水素(H2S)、アンモニア(NH3)、酢酸(C2H4O2)、イソ吉草酸(C5H10O2)の4種類である。なお、ブランクXは、繊維体を入れていない空のガラス瓶に対して同様に前記臭気ガスを導入した場合である。
【0087】
硫化水素(H2S)は、腐卵臭を有する有毒なガスである。特に、排泄物、タバコ、生ゴミなどから発生する。測定には、検知管(ガステック: 4LL)を用い、初期濃度は206ppmであった。
【0088】
アンモニア(NH3)は、特有の強い刺激臭を有する。汗臭、加齢臭、排准臭、タバコ臭、生ゴミ臭などに含まれている。測定には、検知管(ガステック: 3LA)を用い、初期濃度は205ppmであった。
【0089】
酢酸(C2H4O2)は、酢の臭い、刺激臭がある。汗臭、加齢臭、排泄臭、タバコ臭などに含まれている。測定には、検知管(ガステック: 8L)を用い、初期濃度は100ppmであった。
【0090】
イソ吉草酸(C5H10O2)は、足の裏の臭いの原因物質である。汗臭、加齢臭などに含まれる。測定には、検知管(ガステック: 8L)を用いた。イソ吉草酸は、揮発性が高くないため、初期のガス濃度をコントロールできなかった。そこで、ガラス瓶にイソ吉草酸原液を5μL滴下して、実験を行った。ブランクXの空の瓶で、1時間後に90ppmになった。
【0091】
[測定結果]
硫化水素(H2S)の場合の測定結果を図9(a)に示す。硫化水素の初期濃度は、206ppmで、30分後にミロネクトン含有多機能繊維1では、検出限界以下(0ppm)になった。ミロネクトン自体では、硫化水素の除去は殆ど認められないことが判っており、カプロンファイバーからなるベース繊維体3の銅繊維6により硫化水素が除去できる機能があることが明らかとなった。
【0092】
アンモニア(NH3)の場合の測定結果を図9(b)に示す。アンモニアの初期濃度は、205ppmで、ミロネクトン微粉末の含有量を十分に高めたミロネクトン含有多機能繊維1は30分後10ppm、60分後に5ppmで、アンモニア除去効果が高いことが判った。このことから、アンモニアの除去にはミロネクトン微粉末による吸着の影響が大きいと思われる。なお、銅繊維自体にアンモ二アの除去効果は殆どなく、通常の生地自体でアンモニアを吸着除去できることがわかっており、カプロンファイバーからなるベース繊維体3(図7)単体でもアンモニアの除去効果は認められているため、ミロネクトン含有多機能繊維1におけるアンモニア除去の相乗効果がある。
【0093】
酢酸(C2H4O2)の場合の測定結果を図9(c)示す。酢酸の初期濃度は、100ppmで、ミロネクトン微粉末の含有量を高めたミロネクトン含有多機能繊維1は30分後18ppm、60分後に7ppmで、酢酸除去効果が高いことが判った。なお、銅繊維自体でも酢酸除去効果が認められているため、ミロネクトン含有多機能繊維1における酢酸除去の相乗効果がある。
【0094】
イソ吉草酸(C5H10O2)の場合は、上述した硫化水素、アンモニア及び酢酸の試験方法とは異なり、イソ吉草酸濃度の増加の抑制状況を評価した結果を図10(a)に示す。ブランクX(空の瓶)で、イソ吉草酸濃度は60分後に90ppmになった。ミロネクトン微粉末の含有量を十分高めたミロネクトン含有多機能繊維1では、60分後でも7ppmと大幅に抑制できることが判った。
【0095】
[赤外線放射(保温)効果の測定結果]
信州大学繊維学部西松研究所による感応検査(人の感覚による評価方法)の結果を図10(b)に示す。この結果、カプロンファイバーからなるベース繊維体3にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されたミロネクトン含有多機能繊維1は、従来のポリエステル100%生地Yを装着している時と比べて約11%〜27%暖かいと感じる度合いが高いことが判った。ミロネクトン含有多機能繊維1の赤外線放射(保温)効果は、カプロンファイバーの銅繊維とミロネクトンによる相乗効果により一層向上するものである。
【0096】
また、本発明のミロネクトン含有多機能繊維は、パッチテスト(日本産業皮膚衛生協会の皮膚添付試験)で皮膚への安全性についても確認済みである。カプロンファイバーにおける銅繊維を使用しているので緑青が発生する可能性があるが、人体に何ら害はなく(昭和59年厚生省緑青無害認定済み)、厚生労働省は銅を人体の必須ミネラルに追加している。
【0097】
次に、カプロンファイバーからなるベース繊維体3にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2を施こし、制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有する本発明のミロネクトン含有多機能繊維が加工されてなるミロネクトン含有多機能繊維製品の幾つかの製品例について、図13〜15を参照して説明する。
[製品例1]
【0098】
本製品例の高機能靴下(ハイソックス)10は、図13に示すように、全体がカプロンファイバーからなるベース繊維体3からなり、この実施例では少なくとも足底面の人肌に接する内面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されるとともに別のカプロンファイバーからなるカバー繊維体3Aが重畳されたミロネクトン含有多機能繊維1B(上記実施例3、図5)が用いられている。
【0099】
また、この実施例においては、プリント用インクとしてバインダーに発泡材が適宜量混入されている。この発泡材は、内部に無数の気泡を含む樹脂又はゴムであって、元となる樹脂やゴムの中に発泡剤を加え、炭酸ガスやアンモニアガスを発生させて造ることができる。
【0100】
この発泡材により、カプロンファイバー3中の細くて弱い銅繊維6(図7、8参照)をカバーすることで保護するとともに、表面が凹凸状に形成されることで滑り止め効果を有する。
【0101】
このため、高機能ハイソックス10は、ミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生、さらには滑り止め等の有益な多機能性を有する快適なハイソックスとなっている。
[製品例2]
【0102】
また、人体のウエスト部に巻き付けて使用する本製品例の高機能ウエストベルト11は、図14(a)に示すように、背部11aと、側脇部11b、11b’と、前廻し部11c、11c’と、伸縮性性能を有する生地を用いた補助ベルト11d、11d’とからなり、背部11aを人体ウエストの背側に当て、側脇部11b、11b’から延びた前廻し部11c、11c’を前腹側で重ねてベルベット式ファスナー等の固着具(図示しない)で固定し、補助ベルト11d、11d’の伸縮力を利用してウエストに強く締付けできるようになっている。この高機能ウエストベルト11の背部11aと側脇部11b、11b’と前廻し部11c、11c’のうち、この実施例では人体が接触する内面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が、カプロンファイバー(銅繊維糸4を含む)からなるベース繊維体3の片面に施されるとともにその面にさらに別のカプロンファイバー(銅繊維糸4を含む)からなるカバー繊維体3Aが重畳されてなるミロネクトン含有多機能繊維1B(上記実施例3、図5)が用いられている。
【0103】
このため、本製品例の高機能ウエストベルト11は、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益で快適な多機能性を有している。
【0104】
このような高機能ウエストベルトとしては、腰痛対策用の他に、いずれも図示しないが、脂肪が蓄積した下腹部を締付けて特に90%以上の放射率を有する遠赤外線放射機能を有するプリント2により圧迫し遠赤外線放射の刺激で脂肪の燃焼をサポートするとともにヒップアップ機能も備えた燃焼スパッツベルト、及び下腹部を持上げるように締付けて保持し内臓下垂あるいは骨盤前傾など人体姿勢バランスを改善するお腹シェイカー、等の変形形態にも適用できる。
[製品例3]
【0105】
また、本製品例の靴の高機能中敷(インソール)12は、図13の構成概念図(a)、表面の写真(b)、裏面の写真(c)に示すように、基層12aと表層12bとからなり、靴の中に装填して使用される。この高機能インソール12の少なくとも表層12bとしては、靴を履いた足の足裏に密着するカプロンファイバー(銅繊維糸4を含む)からなるベース繊維体3と、その裏面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されるとともに別のカプロンファイバーからなるカバー繊維体(銅繊維糸4を含む)3Aが重畳されてなるミロネクトン含有多機能繊維1B(上記実施例3、図5)が用いられている。
【0106】
特に、図15(c)に示すカバー繊維体3Aは、メッシュ状に構成し、通気性を向上させてある。
【0107】
このため、本製品例の高機能インソール12は、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の有益で快適な多機能性を有している。
[製品例4]
【0108】
また、本製品例の高機能ベスト13は、図16に示すように、全体がカプロンファイバーからなるベース繊維体3からなり、この実施例では人体側の内面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されるとともに別のカプロンファイバーからなるカバー繊維体3Aが重畳されたミロネクトン含有多機能繊維1B(前記実施例3)が用いられている。
【0109】
このため、本製品例の高機能ベスト13は、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益で快適な多機能性を有し、さらにフィット性のある素材を使用することにより、夏爽やかで冬暖かに蒸れることなく快適に着用できる。
[製品例5]
【0110】
また、本製品例の高機能二の腕用シェイパー14は、図17に示すように、全体がカプロンファイバーからなるベース繊維体3からなり、この実施例では少なくとも人体の二の腕部分に接する側の内面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されるとともに別のカプロンファイバーからなるカバー繊維体3Aが重畳されたミロネクトン含有多機能繊維1B(上記実施例3、図5)が用いられている。
【0111】
このため、本製品例の高機能二の腕用シェイパー14は、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益で快適な多機能性を有し、肩と二の腕の谷問、二の腕とひじの間の筋肉の両端を締付けると筋肉が活発に働き、特に90%以上の放射率を有する遠赤外線放射機能を有するプリント2による圧迫及び遠赤外線放射の刺激で脂肪の燃焼をサポートする働きがある。
[製品例6]
【0112】
また、本製品例の高機能ネックウォーマー15は、図18に示すように、全体がカプロンファイバーからなるベース繊維体3からなり、この実施例では人体側の内面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されるとともに別のカプロンファイバーからなるカバー繊維体3Aが重畳されたミロネクトン含有多機能繊維1B(上記実施例3、図5)が用いられている。
【0113】
このため、本製品例の高機能ネックウォーマー15は、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益で快適な多機能性を有し、首元を健康的に暖めることができる。
【0114】
上記実施例のハイソックス10、ウエストベルト11、インソール12、ベスト13、二の腕用シェイパー14及びネックウォーマー15等のミロネクトン含有多機能繊維製品においては、ミロネクトン微粉末を含むコーティング2が施されたベース繊維体3の片面に重畳されたカバー繊維体3Aによりコーティング2が人体又は外部との接触から保護されるため、磨耗又は損傷することがなく耐久性が確保されるとともに肌触りも良好に保持される。カバー繊維体3Aが人体の外側又は内側に配置されるかは、通常は前者であるが、いずれの配置方法もよい。
【0115】
なお、上記実施例においては、本発明のミロネクトン含有多機能繊維製品例としてハイソックス10、ウエストベルト11、インソール12、ベスト13、二の腕用シェイパー14及びネックウォーマー15を例示したが、これ以外に、高機能インナーウェアーやその他種々の織物(又は編物)製品に使用できることは勿論である。
【0116】
また、本発明のミロネクトン含有多機能繊維の技術は、前記ミロネクトン含有多機能繊維をカットしてなる短繊維と他の繊維とを混紡して得た繊維層を積層してニードルパンチなどによって絡合一体化したフェルトなどにも応用できるもので、種々の変形形態とすることができる。
【0117】
例えば、前記ベース繊維体の片面又は両面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング又はプリントを施す方法に比べてコスト高となるが、レイヨン繊維などの繊維母体中にミロネクトン微粉末を練り込んで紡糸する変形形態とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明のミロネクトン含有多機能繊維は、天然繊維、化学繊維もしくは特に銅などの特殊金属繊維を含む機能繊維からなるベース繊維体に微粉末を含むコーティング又はプリントが施されるミロネクトンが軟質多孔性であるため微粉末化が容易であるとともにバインダー等とも馴染み易いことから、従来の機能繊維に用いられる鉱石類より多量に含有させることが可能であるとともに比較的低コストで、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有する等々の効果があるため各種繊維関連業界に幅広く好適に適用できる。
【符号の説明】
【0119】
1、1A、1B、1C (実施例1、2、3、4の)ミロネクトン含有多機能繊維
2 (ミロネクトンの微粉末を含む)コーティング又はプリント
3 ベース繊維体、又は(ベース繊維体を構成する)機能繊維、又はカプロンファイバー
3A、3B カバー繊維体
3a 経糸
3b 緯糸
4 銅繊維糸
4a カバーリング糸
4b マルチフィラメント糸
4c スパン糸
4d 紡毛糸
5 芯糸
6 銅繊維
6’ 銅繊維束
6” 短繊維
7 他の繊維束
7’ 他の短繊維
10 高機能靴下又はハイソックス
11 高機能ウエストベルト
11a 背部
11b、11b’ 側脇部
11c、11c’ 前廻し部
11d、11d’ 補助ベルト
12 (靴の)高機能中敷(インソール)
12a 基層
12b 表層
13 高機能ベスト
14 高機能二の腕用シェイパー
15 高機能ネックウォーマー
H 細孔
M ミロネクトン
X ブランク
Y ポリエステル
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維などの繊維体にミロネクトン(軟質多孔性古代海洋腐植質)の微粉末を含むコーティング又はプリントが施され、制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有するミロネクトン含有多機能繊維及びその繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、天然繊維や化学繊維などの繊維に制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等のいずれかの、人体に有益な機能を持たせた各種機能繊維の提案がなされ、一部商品化されるなど開発が活発化しつつある。
【0003】
特に、人々の健康志向の高まりとともに、上記人体に有益な機能を有する各種衣類や着用品類などの繊維製品が求められている。
【0004】
こうした情勢の中で、トルマリン、溶岩、火山灰、その他の天然ミネラル鉱石、タングステン酸化物等のパウダーを繊維に取入れることにより上記機能要求の一部に応えようとする提案が幾つかなされており、その代表として次の6例がある。
【0005】
第1の例は、合成樹脂塗料に粒径0.5μ〜50μのトルマリンパウダーと分散剤を配合した塗料を表面に塗布した布地、また、前記塗料を表面に塗布した糸からなる布地、さらに、粒径0.5μ〜50μのトルマリンパウダーを表面にまぶし付着させた糸からなる布地である(例えば、特許文献1)。
【0006】
特許文献1に係る布地は、布地の周辺にトルマリンパウダーによる人体の精神衛生上に好影響を与えるマイナスイオンを生成するというものである。
【0007】
第2の例は、不織布又は織布、布状又は紙製又は合成樹脂シートであるシート状両面のどちらか片面に、トルマリン微粉末と希土鉱石微粉末とバインダーの混合物もしくは練成物をシート状に形成してなる複合ミネラルコーティングシートである(例えば、特許文献2)。
【0008】
特許文献2に係るレンタル用衣類リサイクルシステムは上記複合ミネラルコーティングシートを用いており、トルマリン鉱石の電位保持、圧電効果、遠赤外線やマイナスイオン発生等と、希土鉱石の各種微量放射線、遠赤外線、磁力線、マイナスイオン発生等との複合作用により、人体に直接的又は間接的に身体に好影響を与えるというものである。
【0009】
第3の例は、表生地の裏側に、天然ミネラル成分繊維層、遠赤外線性の防ダニ・抗菌・防臭繊維層、防水加工繊維層が順次設けられ、これらの各層が超音波融着により接合された多機能繊維シートである(例えば、特許文献3)。
【0010】
特許文献3に係る多機能繊維シートは、より詳細には、ミネラル鉱石を精製してレイヨン、綿、ポリエステル繊維との混紡による天然ミネラル成分繊維層からは、マイナスイオンなどによる健康増進作用が得られ、備長炭などを精製した木炭繊維や防ダニ・抗菌・防臭加工(例えばメタクリル酸のグラフトなど)が施された不織布、テトロン(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエステル中綿などからなる防ダニ・抗菌・防臭繊維層からは、防ダニ・抗菌・防臭の効果が得られ、ポリエステルやウレタンなどの化学繊維から成る防水ラミネート加工による防水加工繊維層からは、防水の効果が得られ、合わせて、例えば快適な室内居住空間の創出に資するというものである。
【0011】
第4の例は、タングステン酸化物微粒子及び/又は複合タングステン酸化物(Cs0.33WO3)微粒子(以下、「A又はBの双方又はいずれか一方」を、このように「A及び/又はB」と略記する)を、表面及び/又は内部に含有する繊維であって、当該微粒子の含有量が、当該繊維の固形分に対して0.001重量%〜80重量%である近赤外線吸収繊維である。(例えば、特許文献4)。
【0012】
特許文献4に係る近赤外線吸収繊維は、Cs0.33WO3微粒子が少量でも太陽光などからの熱線を効率良く吸収し、保温性を有するというものである。
【0013】
第5の例は、天然繊維もしくは化学繊維の母体に、溶岩を粉砕してなる多数の溶岩パウダー及び/又は火山灰を付加させてなる溶岩パウダー及び/又は火山灰入り繊維である(例えば、特許文献5)。
【0014】
特許文献5に係る溶岩パウダー及び/又は火山灰入り繊維は、人体に直接接触又は近接することにより溶岩又は火山灰の含有する30種類にも及ぶミネラルと人体が保有するミネラルとが化学的に結合(イオン結合、共有結合、配位結合、水素結合)して体内のミネラルをバランスよく増加させてミネラル欠乏症又は過剰症を是正する効果、温熱効果、老化予防、美肌効果、殺菌効果及び消臭効果等を有するとのことである。
【0015】
第6の例は、天然繊維もしくは化学繊維の母体を、溶岩を粉砕して得た多数の溶岩パウダー及び/又は火山灰を配合した染料で染色する溶岩染め繊維である(例えば、特許文献5)。
【0016】
特許文献6に係る溶岩染め繊維は、人体に直接接触又は近接することにより溶岩又は火山灰の含有する30種類にも及ぶミネラルと人体が保有するミネラルとが化学的に結合(イオン結合、共有結合、配位結合、水素結合)して体内のミネラルをバランスよく増加させてミネラル欠乏症又は過剰症を是正する効果、温熱効果、老化予防、美肌効果、殺菌効果及び消臭効果等を有するとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平11−350342号公報
【特許文献2】実用新案登録第3078076号公報
【特許文献3】実用新案登録第3110047号公報
【特許文献4】特開2006−132042号公報
【特許文献5】特開2007−2384号公報
【特許文献6】特開2009−191417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記特許文献1〜6のそれぞれに係る、布地、複合ミネラルコーティングシート、多機能繊維シート、近赤外線吸収繊維、溶岩パウダー及び/又は火山灰入り繊維、及び溶岩染め繊維は、いずれも、これらの繊維に含ませるトルマリン、希土鉱石、ミネラル鉱石、タングステン酸化物及び溶岩等の硬度が高い。
従って、これらの有効鉱石成分を塗料やバインダーなどとよく混合させるためには、例えばボールミルや塔式摩砕機等を用いた粒径0.5μ〜50μの微細な粉末化処理や、繊維への付着処理に手間及びコストがかかる。
加えて、これらの有効鉱石成分はバインダー等と馴染み難いので、混入量が制限されてしまい、これら鉱石の本来の機能を必ずしも十分に発揮しきれない、等の問題点がある。
また、特に、特許文献1、2、4に係る、トルマリン、希土鉱石、タングステン酸化物のいずれか1つ又は2つを含む布地又は繊維では、機能が限定される問題点もある。
【0019】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであり、軟質多孔性であることから微粉末化が容易であるとともにバインダー等とも馴染み易いミロネクトン(軟質多孔性古代海洋腐植質)の微粉末を利用することにより、従来の機能繊維に用いられる鉱石類より多量に含有させることが可能であり、比較的低コストで、制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有するミロネクトン含有多機能繊維及びその繊維製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、請求項1の発明のミロネクトン含有多機能繊維は、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を含むコーティングが施されたことを特徴とする。
【0021】
請求項2の発明のミロネクトン含有多機能繊維は、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を混入したインクを用いて任意形状を有するプリントが施されたことを特徴とする。
【0022】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載のミロネクトン含有多機能繊維であって、前記ミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリント中には、適宜量の発泡材が混入されていることを特徴とする。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維であって、前記コーティング又はプリントが施されたベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体が重畳されたことを特徴とする。
【0024】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維であって、前記ベース繊維体は、構成糸の全部又は一部に極細に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物で構成された機能繊維からなることを特徴とする。
【0025】
請求項6の発明のミロネクトン含有多機能繊維製品は、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部にミロネクトンの微粉末を含むコーティング又はプリントを施したミロネクトン含有多機能繊維が加工されてなることを特徴とする。
【0026】
請求項7の発明は、請求項6記載のミロネクトン含有多機能繊維製品であって、ベース繊維体に施されたコーティング又はプリント中には、適宜量の発泡材が混入されていることを特徴とする。
【0027】
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7記載のミロネクトン含有多機能繊維製品であって、前記コーティング又はプリントが施されたベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体が重畳されたことを特徴とする。
【0028】
請求項9の発明は、請求項6乃至請求項8のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維製品であって、前記ベース繊維体は、構成糸の全部又は一部に極細に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物で構成された機能繊維からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
請求項1に係る発明によれば、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に微粉末を含むコーティングが施されるミロネクトン(軟質多孔性古代海洋腐植質)が軟質多孔性であることから微粉末化が容易であるとともにバインダー等とも馴染み易いため、従来の機能繊維に用いられる鉱石類より多量に含有させることが可能であって、比較的低コストで、制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有するミロネクトン含有多機能繊維を提供できる効果がある。
【0030】
請求項2に係る発明によれば、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を混入したインクを用いて任意形状を有するプリントが、スクリーン印刷やシルク印刷あるいはロール印刷等の汎用的なプリント方法で容易に行うことができることから、低コストで、請求項1に係る発明と同様な、人体に有益な多機能を有するミロネクトン含有多機能繊維を提供できる効果がある。
【0031】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は請求項2の発明と同様な効果を有するのに加えて、ミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリント中に混入された発泡材により、ベース繊維体の細い繊維をカバーすることで保護するとともに、表面が凹凸状に形成されることで滑り止め効果を有する。
【0032】
請求項4に係る発明によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明と同様な効果を有するのに加えて、ベース繊維体のミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリントが施された片面又は両面の全部又は一部に重畳されたカバー繊維体によりミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリントが人体又は外部との直接的な接触から保護されるため、磨耗又は損傷することがなく耐久性が確保されるとともに肌触りも良好に保持される効果がある。
【0033】
請求項5に係る発明によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係る発明と同様な効果を有するのに加えて、銅繊維糸を用いた織物又は編物からなる機能繊維のベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部にミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリントが施されることから、特に銅繊維が有する制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性等の機能を一層向上させる相乗効果がある。
【0034】
請求項6に係る発明によれば、ミロネクトン含有多機能繊維製品が、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部にミロネクトンの微粉末を含むコーティング又はプリントを施したミロネクトン含有多機能繊維が加工されてなることから、請求項1又は請求項2に係る発明と同様な効果を有する。
【0035】
請求項7に係る発明によれば、請求項6に係る発明と同様な効果を有するのに加えて、ミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリント中に混入された発泡材により、請求項3に係る発明と同様な効果を有する。
【0036】
請求項8に係る発明によれば、請求項6又は請求項7の発明と同様な効果を有するのに加えて、ミロネクトン含有多機能繊維製品が、ベース繊維体のミロネクトン微粉末を含むコーティング又はプリントを施した片面又は両面の全部又は一部に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体が重畳されたことから、請求項4に係る発明と同様な効果を有する。
【0037】
請求項9に係る発明によれば、請求項6乃至請求項8のいずれか1項に係る発明と同様な効果を有するのに加えて、前記ベース繊維体が、構成糸の全部又は一部に極細に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物で構成された機能繊維からなることから、請求項5に係る発明と同様な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施例のミロネクトン含有多機能繊維を概念的に示す平面図である。
【図2】本発明のミロネクトン含有多機能繊維に用いられるミロネクトンであって、(a)は原石塊の写真、(b)は微粉末の拡大写真である。
【図3】図1のミロネクトン含有多機能繊維の拡大断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例のミロネクトン含有多機能繊維を概念的に示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例のミロネクトン含有多機能繊維を概念的に示す部分拡大断面図である。
【図6】本発明の第4の実施例のミロネクトン含有多機能繊維を概念的に示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明のベース繊維体として用いる、銅繊維糸を含む織物又は編物からなる機能繊維で、(a)はその構成を概念的に示す部分拡大断面図、(b)はその概観を示す部分拡大写真である。
【図8】図7(a)に示した銅繊維糸の具体例を示す拡大斜視図で、(a)はカバーリング糸、(b)はマルチフィラメント糸、(c)はスパン糸、(d)は紡毛糸である。
【図9】本発明の本製品例のミロネクトン含有多機能繊維の消臭効果の測定結果を示すグラフで、(a)は硫化水素(H2S)、(b)はアンモニア(NH3)、(c)は酢酸(C2H4O2)の各濃度の時間経過を示す。
【図10】本発明の本製品例のミロネクトン含有多機能繊維の各種機能試験における、(a)はイソ吉草酸(C5H10O2)の濃度の時間経過(消臭効果)の測定結果、(b)は遠赤外線効果(暖かさ)を示す感応検査結果のグラフである。
【図11】本発明における銅繊維糸を用いた機能繊維(カプロンファイバー)の制菌(抗菌、殺菌)効果の測定結果を示すグラフで、(a)は抗生物質耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、(b)は黄色ブドウ球菌、(c)は肺炎桿菌の各菌数の時間経過を示す。
【図12】本発明におけるカプロンファイバーの各種機能試験における、(a)は摩擦帯電圧減衰の時間経過(制電又は除電効果)、(b)は硫化水素(H2S)の濃度の時間経過(消臭効果)、(c)はメチルメルカプタン(CH4S)の時間経過(消臭効果)の測定結果を示すグラフである。
【図13】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第1の製品例、高機能靴下(ハイソックス)の概観写真である。
【図14】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第2の製品例、高機能ウエストベルトであって、(a)は構成概念図、(b)は人体のウエストに装着された状態の写真である。
【図15】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第3の製品例、高機能中敷(インソール)であって、(a)は構成概念図、(b)は表面の写真、(c)裏面の写真である。
【図16】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第4の製品例、高機能ベストの概観写真である。
【図17】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第5の製品例、高機能二の腕用シェイパーであって、(a)は展開状態の写真、(b)は人体の二の腕に装着された状態の写真である。
【図18】本発明のミロネクトン含有多機能繊維を用いて製作された第6の製品、の高機能ネックウォーマーであって、(a)は概観写真、(b)は人体の首元に装着された状態の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明のミロネクトン含有多機能繊維及びその繊維製品について実施例の添付図面を参照して説明する。
【0040】
まず、朝倉徹(医学博士)宮城学院女子大学教授、東北大学大学院消化器病態学分野非常勤講師によれば、学名「ミロネクトン」Mは、福島県棚倉町等で採掘される天然無機物質の「軟質多孔性古代海洋腐植質」といわれるもので、数千万年前の魚介類などのネクトン、プランクトン、海草、藻類その他の海洋動植物の遺骸が海底に埋没堆積して、長い期間微生物による分解、代謝、再合成を繰り返し独特な多孔質構造に至ったと考えられている(図2(a)(b)参照)。図2(b)において、多数の黒点状に見えるのは多孔質の各々の細孔Hである。
【0041】
ミロネクトンMは、採取時は軟らかな岩の印象であるが、細かく砕けばその微細な粒子の一つ一つに図2に示すような無数の細孔H(平均細孔半径は500Å)があり、その表面積は1g当たり250m2にも及ぶといわれる。このため、ゼオライトやクリストバライトなどの吸着剤の2倍以上であり、その作用効能は優れた吸着能によってもたらされている。この無数の細孔Hが、様々な不純物や有害物質を吸着するだけでなく、内部に棲息するバクテリアの働きとイオン交換によってそれらを分解し、さらには成分として含まれているミネラルが溶出する。こうした性質が、様々な分野で驚異的な効能を発揮し、理想に近い形での遠赤外線効果もある。
【0042】
ミロネクトンは、66種類以上のミネラルを含んでおり、中でも珪酸(SiO2、 Si3O9、 Si6O18)が主体であることが特徴である。すなわち、その成分は、無水珪酸(SiO2 )55.00%、アルミニウム(Al)13.00%、酸化鉄(FeO)4.10%、カルシウム(Ca)3.60%、マグネシウム(Mg)1.60%、硫黄(S)1.10%、カリウム(K)0.173%、チタン(Ti)0.160%、リン(P)0.070%、コバルト(Co)0.060%、ナトリウム(Na)0.050%、マンガン(Mn)0.040%、ストロンチウム(Sr)0.007%、バリウム(Ba)0.007%、錫(Sn)0.006%、亜鉛(Zn)0.006%、バナジウム(V)0.003%、ポロニウム(Po)0.003%、ニッケル(Ni)0.002%、銅(Cu)0.001%等を含有するとともに、前記成分により膨潤する層状格子をもつ粘土鉱物の一種であるモンモリロナイト(R0.33Al4(Si7.33Al0.67)O20(OH)4・nH2O )、(R=Na+、K+、Mg2+、Ca2+)を構成している。
【0043】
ミロネクトンの効果、効能は、例えば、次の通り多岐の分野に及ぶ。
【0044】
[土壌改良、農作物や植物への効果]
ミロネクトンは、安定多収穫栽培を目指す有機農法の苗床の水質、土壌改良に有効である。酸性土の中和や栄養素の補給を通じて、土壌を改良し連作障害を排除する。また、肥料の成分を充分に吸収し、その流失を防止する効果もある。前記含有成分自体にも、農作物の肥効を高め、品質を向上させる働きがある。さらに、酸性雨、農薬による被害も解消する。
【0045】
[水質浄化、活性化効果]
例えば貯水池の場合、従来の濾過材吸着では飽和点が早く、一時的な効果しか得られないが、ミロネクトンは、有益なバクテリアによる有害物質の除去作用と各種ミネラルによる殺菌作用の相乗効果で、栄養素が多く腐敗し難い水質に改善する(水道法水質基準適合証明書を取得(承認番号:東技研第l086−A号、B号))。
【0046】
また、ミロネクトンを水に溶かした47.4Hzのクラスターは、水道水の3分の1の大きさであり、毛根の奥の細胞まで届くことができるため毛髪環境の改善に役立っている。水の分子集団の大きさであるクラスターの大きさは、Hz(ヘルツ)で表し、この値が小さいほどクラスターの小さい水ということになり、体内に素早く吸収され易いことから健康に良好な効果があると言われている。世界中から難病患者が集まるフランスのルルドの泉や、世界の長寿村の飲料水のクラスターの平均は70〜80Hz台である。日本の温泉の飲める源泉水は、それを凌ぐ50〜60Hz台という世界トップクラスのものが幾つもあるが、50Hzを切るようなものは報告がなく、一説によると美豊泉のクラスター値47.4Hzと同様に、まさに世界最小と考えられている。
【0047】
[家畜への効能]
ミロネクトンの吸着作用により、家畜体内にある毒素を吸収して排泄し易くする他、イオン交換によってミネラルが添加されるため、家畜の発育促進や健康維持に効果的である。餌に混ぜることで家畜等の胃腸機能向上、肉質及び乳質改善、発育促進、排泄物消臭効果等が謳われている。ネズミの実験では、餌に少量のミロネクトンを混ぜておくと薬剤性腸炎の発生が抑制される傾向が見られた。
【0048】
[人体への効能]
ミロネクトンは、コラーゲンの形成をはじめ、コレステロールの代謝、副腎皮質の活性化、白血球及びインターフエロンの増強、さらにはぶどう球菌・大腸菌・白癬菌(水虫)など、さまざまな病原菌に対する制菌、抗菌、消臭等々の効果がある。また、ミロネクトン微粉末をパックや洗顔フォームのパウダーに混ぜると皮脂や毛穴の汚れ除去に有効であり、特にアトピー体質に悩む人には皮膚炎症状を抑える効果がある。さらに、ミロネクトンが放射する遠赤外線が、頭皮の刺激を促し毛母細胞の分裂を促進、毛穴の汚れを除去する効果がある。ミロネクトンの表面pHは7.4で、人の血液とほぼ等しいことも特筆される。
【0049】
こうした効能は、アクアリウムの領域でも水槽環境の維持に極めて良好な効果をあげている。ミロネクトンを構成するSi3O9やSi6O18は、水中で多量の酸素を放出し、光合成を促進し水草の成長を促す。さらに水槽内の不純物を吸着除去することで水の腐敗を防止し、バクテリアを活性化する。ビーシュリンプや甲殻類の脱皮不全防止、色揚げ効果、繁殖成長促進効果があるとされている。「奇跡の泥」ともいわれるミロネクトンが有する効能はこれらに留まらず、今後様々な領域に広がっていくことが予見される。
【0050】
さらに、ミロネクトンは、軟質多孔性で微粉末化が容易であるとともに、砕かれた粒子の集まりが水を含めばいわゆる土の状態になり、各種塗料やプリント用インク等に用いられるバインダー等とも馴染み易い特性も有している。
【0051】
本発明者は、このような多岐に亘る優れた効果、効能及び特性を有するミロネクトンに着目し、以下に述ベる本発明のミロネクトン含有多機能繊維を開発することに成功した。
【実施例1】
【0052】
本発明の一実施例のミロネクトン含有多機能繊維1は、図1及び3に示すように、天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体3の片面に、ミロネクトンの微粉末を含むコーティング2を施してなる。この微粉末の平均粒径は通常10μ前後であるが、必要に応じてさらに細かく粉砕することもできる。
【0053】
天然繊維としては、綿、カボックなどの種子毛繊維、アマ、ラヒーなど靭皮繊維、マニラアサなど葉脈繊維、ヤシなどの果実繊維等々の植物繊維と、羊毛などの獣毛繊維や絹繊維等の動物繊維が適用できる。
【0054】
化学繊維としては、人工的に造られた有機質繊維と無機質繊維がある。有機質繊維には、再生繊維、半合成繊維、合成繊維がある。
【0055】
再生繊維は、天然のセルロースやタンパク質などの高分子物質を溶媒に溶解してノズルから糸状に引出すと同時に凝固させて得られる繊維と、セルロースやタンパク質を化学的に変化させ溶解し易い分子として溶解紡糸後再び化学変化により元の物質に変化させた繊維である。
【0056】
半合成繊維は、天然に存在している糸状高分子を溶解し易い分子に変化させて溶解紡糸後得られた繊維であって、その化学組成が天然の糸状高分子と異なるものである。
【0057】
合成繊維は、分子量の小さい化合物から人工的に分子量の高い高分子化合物を造り出して溶解又は溶融しノズルから紡糸して得られる化学繊維で、ナイロン、ポリエステル繊維や、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル繊維すなわちアクリル繊維、ビニロン、さらにバラ系ポリアミド繊維、ポリアセタール繊維などの高機能繊維等々がある。
【0058】
無機質繊維には、ガラス繊維、炭素繊維、ステンレス繊維などの金属繊維等がある。
【0059】
ここで、ベース繊維体としては、特に、先に本願の発明者及び出願人(いずれも同一人)による特願2002−315090(特許第4307819号)に記載の発明である、構成糸の全部又は一部に極細に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物からなる機能繊維(商品名「カプロンファイバー」)を好適に使用することできる。
【0060】
このベース繊維体を構成する機能繊維であるカプロンファイバー3は、図7(a)、(b)に示すように、経糸3aと緯糸3bとを交絡してなる織物で、その表面にあらわれる緯糸3bには銅繊維糸4が用いられている。この銅繊維糸4は、導電性に優れた「純銅」を極細に延伸した銅繊維6を含み、銅繊維6を例えば人体に接触させることにより人体に帯電した静電気を除去すると同時に、銅繊維6自体から発生する銅イオンにより抗菌・防臭機能も得られるため清浄性を保持することもできる。
【0061】
銅繊維糸4は、具体的には、図8(a)に示すように、伸縮性を有するプラスチック繊維糸などからなる芯糸5に極細に延伸した銅繊維6を巻き付けてなるカバーリング糸4aであっても、図8(b)に示すように、極細に延伸した銅繊維6を複数集束したマルチフィラメント糸4bであっても、図8(c)に示すように、銅繊維束同士あるいは銅繊維束6’と他の繊維束7とを撚り合わせてなるスパン糸4cであっても、図8(d)に示すように、銅繊維6をカットしてなる短繊維6”と他の短繊維7’との紡毛糸4dであっても、その他の繊維糸形態でもよい。
【0062】
カバーリング糸4aは、銅繊維6がカバーリング側の糸であるため、その太さが10μ〜30μ、伸度が1.26%、引張強度が0.3N(gf)しか期待できないとしても、織物や編物の構成糸として使用しても支障をきたすことがないばかりでなく、人体との接触によるカバーリング側の糸が銅繊維6となるため除電(制電)効果は有効に機能するし、銅イオン発生によるイオン効果も最大限に発揮できるものとなる。
【0063】
マルチフィラメント糸4bとスパン糸4cは、単独の銅繊維6の伸度及び引張強度を、集束することにより補い、優れた寸法安定性が得られるようになっている。また、紡毛糸4dは銅繊維からなる短繊維6”が糸の周囲に凸出しているので、恰も無数のアンテナを立てたかのような外観を呈し、人体との接触を効率的に高めることができる。
【0064】
ここで、カプロンファイバー3の抗菌機能を説明する。例えば、芯糸に極細に延伸した純銅からなる太さ20μの銅繊維6を巻き付けてなるカバーリング糸4aを緯糸に織り込んだカプロンファイバー3の100cm×50cmサイズの小片と、同サイズの銅繊維糸を用いない、100%ポリエステルYの小片を用い、スタート時点の細菌汚染量を揃えておいた上で、菌数の時間経過を測定した結果を、図11(a)抗生物質耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、(b)黄色ブドウ球菌、(c)肺炎桿菌の場合について示す。
いずれの場合も、ポリエステルYの場合は、菌数が急増するのに対して、カプロンファイバー3の場合は、逆に急減し、18時間後には測定限界(20個)に達する。
【0065】
次に、カプロンファイバー3の除電(制電、静電防止)効果を説明する。図示しないが、静電誘導などにより帯電(+)した人体などに、カプロンファイバー3を近づけると、カプロンファイバー3が人体などと逆の電荷(−)を帯び強い電界が生じ、空気が電離(コロナ放電)し、各々逆電荷の方向へ移動し中和される。このようにして、カプロンファイバー3を人体などに覆被し少なくとも5乃至10分以上保持することにより、人体などに蓄えられた静電気を十分に放電して除電(又は制電)効果が得られるのである。
例えば、芯糸に極細に延伸した純銅からなる太さ20μの銅繊維6を巻き付けてなるカバーリング糸4aを緯糸に織り込んだカプロンファイバー3の100cm×50cmサイズの小片と、同サイズの銅繊維糸を用いない、100%ポリエステルYの小片を用い、温度20°C、湿度33%の雰囲気下で、それぞれ摩擦布(綿)により摩擦帯電させ、標準的な帯電圧減衰測定法(JIS L−1094−1997)に基づいて、帯電圧減衰の時間経過を測定した結果が、図12(a)に示すグラフである。
【0066】
図12(a)によれば、カプロンファイバー3の場合、計測直後から帯電圧1,100Vである。この値は人体が感じ取れる静電気レベル(4,000V位)より大幅に低いことが判る。これに対し、ポリエステルYの場合、計測直後から帯電圧20,000Vに限りなく近くあり、減衰した60秒後の値でも人体が痛感できる静電気レベルより大幅に高い(15,000V以上)ことが判る。
【0067】
したがって、カプロンファイバー3を上記したように、人体などに覆被すると、カプロンファイバー3はコロナ放電(自己放電)による電荷の中和効果と、人体などの帯電体に接触することによる直接漏洩との組合せにより確実に除電する除電(制電、静電防止)効果が得られる。
【0068】
次に、カプロンファイバー3の触媒活性評価の一環として硫化水素(H2S)及びメチルメルカブタン(CH4S)で長時間処理した後の除去効果(消臭効果)を測定した測定結果について説明する。
【0069】
[測定方法]
カプロンファイバー3の試料0.5gを1Lのテドラーバックに入れて、パーミエータ(ガステック製: PD−1B)により硫化水素(H2S)及びメチルメルカプタン(CH4S)を導入した。導入濃度は、硫化水素3.132ppm、メチルメルカブタン2.254ppmで、導入時間は24時間以上で吸着飽和させることを試みた。ブランクXは空のテドラーバックで、同様に硫化水素(H2S)及びメチルメルカブタン(CH4S)を導入した。その後、硫化水素(H2S)及びメチルメルカブタン(CH4S)導入を停止して、テドラーバック内の各濃度を測定した。ガス濃度の分析は、ガスクロマトグラフィーFPD(日立製作所製: GC−3000)で行った。カラムは、ガラスカラム(φ3mm×3m)、充填剤はODPN25% UNIPORT HPを使用した。
【0070】
[測定結果]
硫化水素及びメチルメルカプタンの測定結果を示す図12(b)及び(c)から明らかなように、吸着飽和後もカプロンファイバー3の存在により、硫化水素、メチルメルカプタン共に減少することが判った。これにより、カプロンファイバー3中の銅繊維6(図7(a))が触媒となって硫化水素、メチルメルカブタンを除去していることが明らかとなった。
【0071】
さて、このような効果のあるカプロンファイバーをベース繊維体として用いる場合の詳細を説明する。
図3に戻って、カプロンファイバー(ベース繊維体)3の片面にミロネクトンの微粉末を適量混入したインク又は塗料を用いていずれも公知の方法でプリント又は塗布することによりコーティング2を施すことができる。
【0072】
塗布によるコーティング2は、いずれも公知の例えばニトロセルロースラッカー、フタル酸樹脂塗料、アミノアルキド樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ビニル樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、フェノール樹脂塗料などの合成樹脂塗料にミロネクトンの例えば粒径μオーダーの微粉末と分散剤あるいは塗膜性を向上させる可塑剤などの改質剤を適宜配合した塗料を用いてベース繊維体3の片面に適宜例えば数十μオーダーの膜厚で施すことができる。合成樹脂塗料の種類やミロネクトン微粉末の混入量あるいはコーティング膜厚などは、用途に応じて適宜選択的に設定される。
【0073】
プリントによるコーティング2は、いずれも公知の例えばアクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メタクリル樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂などのバインダーに適宜な溶剤に混合し、必要に応じて増粘剤、着色剤、揮発剤などを添加し、ミロネクトンの微粉末を例えば30重量%以下の適宜量混入したインクを用いて、例えばスクリーン印刷、シルク印刷あるいはロール印刷等の公知の印刷方法でベース繊維体3の片面にプリントして加熱又は自然乾燥させることにより施すことができる。
【0074】
また、プリントによるコーティング2は、例えば、剥離性を有する紙又はフィルムにスクリーン、オフセット、インクジェット、カラーコピーなどの印刷技法を用いて、図1に示すような多数の小円形からなる水玉模様など所望の図柄を容易に形成することができる。
【0075】
さらに、プリントによるコーティング2を施した後にベとつきを防止するために、ミロネクトンの微粉末を混入するバインダーを適宜の配合材により調整する。
【実施例2】
【0076】
本発明の別の実施例のミロネクトン含有多機能繊維1Aは、図4に示すように、ミロネクトンの微粉末を含むコーティング2がベース繊維体3の両面に施される点を除き前記実施例1と同様である。
【0077】
言い換えれば、この実施例のミロネクトン含有多機能繊維1Aは、前記実施例1のミロネクトン含有多機能繊維1のコーティング2が施された面の裏面にもコーティング2が施された形態である。したがって、同じ構成部材には厚さ等の一部形状が異なっていても図1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0078】
なお、図4では例えば水玉模様のコーティング2がベース繊維体3の両面に相互にずれた位置に施されているが、相互に重なり合うように一致させることもできる。
【実施例3】
【0079】
本発明のまた別の実施例のミロネクトン含有多機能繊維1Bは、図5に示すように、前記実施例1のミロネクトン含有多機能繊維1のミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されたベース繊維体3の片面に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体3Aが重畳される形態である。
【0080】
カバー繊維体3Aは、前記実施例1のベース繊維体3と構成及び厚みの双方又は一方が、用途に応じて同一もしくは相異してもよい。したがって、同じ構成部材には厚さ等の一部形状が異なっていても図3と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0081】
本発明のさらに別の実施例のミロネクトン含有多機能繊維1Cは、図6に示すように、前記実施例2のミロネクトン含有多機能繊維1Aのミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されたベース繊維体3の両面に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体3A、3Bがそれぞれ重畳される形態である。
【0082】
カバー繊維体3A、3Bは、それぞれ前記実施例2のベース繊維体3と構成及び厚みの双方又は一方が、用途に応じて同一もしくは相異してもよい。したがって、同じ構成部材には厚さ等の一部形状が異なっていても図4と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0083】
上記実施例3、4においては、ミロネクトン微粉末を含むコーティング2が施されたベース繊維体3の片面又は両面に重畳されたカバー繊維体3A、3Bによりコーティング2が人体又は外部との接触から保護されるため、磨耗又は損傷することがなく耐久性が確保されるとともに肌触りも良好に保持される。
【0084】
このように、ミロネクトンの微粉末を含むコーティング2がベース繊維体3の片面又は両面に施された本発明のミロネクトン含有多機能繊維1、1A、1B、1Cは、ミロネクトン自体の前記多岐に亘る優れた効能・特性に加え、ベース繊維体3にカプロンファイバーを用いた場合は前記した銅繊維6が有する制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性等の機能を一層向上させる相乗効果がある。
【0085】
ここで、特に本発明のミロネクトン含有多機能繊維1の消臭効果及び遠赤外線(保温)効果の測定結果について、図9及び10を参照し説明する。
【0086】
[測定方法]
提供試料は、カプロンファイバーからなるベース繊維体3の片面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されたミロネクトン含有多機能繊維1を0.5gとり、ガラス瓶中に入れ、初期、30分、60分後のガスの濃度変化を検知管(ガステック社)で測定した。使用した臭気ガスは、硫化水素(H2S)、アンモニア(NH3)、酢酸(C2H4O2)、イソ吉草酸(C5H10O2)の4種類である。なお、ブランクXは、繊維体を入れていない空のガラス瓶に対して同様に前記臭気ガスを導入した場合である。
【0087】
硫化水素(H2S)は、腐卵臭を有する有毒なガスである。特に、排泄物、タバコ、生ゴミなどから発生する。測定には、検知管(ガステック: 4LL)を用い、初期濃度は206ppmであった。
【0088】
アンモニア(NH3)は、特有の強い刺激臭を有する。汗臭、加齢臭、排准臭、タバコ臭、生ゴミ臭などに含まれている。測定には、検知管(ガステック: 3LA)を用い、初期濃度は205ppmであった。
【0089】
酢酸(C2H4O2)は、酢の臭い、刺激臭がある。汗臭、加齢臭、排泄臭、タバコ臭などに含まれている。測定には、検知管(ガステック: 8L)を用い、初期濃度は100ppmであった。
【0090】
イソ吉草酸(C5H10O2)は、足の裏の臭いの原因物質である。汗臭、加齢臭などに含まれる。測定には、検知管(ガステック: 8L)を用いた。イソ吉草酸は、揮発性が高くないため、初期のガス濃度をコントロールできなかった。そこで、ガラス瓶にイソ吉草酸原液を5μL滴下して、実験を行った。ブランクXの空の瓶で、1時間後に90ppmになった。
【0091】
[測定結果]
硫化水素(H2S)の場合の測定結果を図9(a)に示す。硫化水素の初期濃度は、206ppmで、30分後にミロネクトン含有多機能繊維1では、検出限界以下(0ppm)になった。ミロネクトン自体では、硫化水素の除去は殆ど認められないことが判っており、カプロンファイバーからなるベース繊維体3の銅繊維6により硫化水素が除去できる機能があることが明らかとなった。
【0092】
アンモニア(NH3)の場合の測定結果を図9(b)に示す。アンモニアの初期濃度は、205ppmで、ミロネクトン微粉末の含有量を十分に高めたミロネクトン含有多機能繊維1は30分後10ppm、60分後に5ppmで、アンモニア除去効果が高いことが判った。このことから、アンモニアの除去にはミロネクトン微粉末による吸着の影響が大きいと思われる。なお、銅繊維自体にアンモ二アの除去効果は殆どなく、通常の生地自体でアンモニアを吸着除去できることがわかっており、カプロンファイバーからなるベース繊維体3(図7)単体でもアンモニアの除去効果は認められているため、ミロネクトン含有多機能繊維1におけるアンモニア除去の相乗効果がある。
【0093】
酢酸(C2H4O2)の場合の測定結果を図9(c)示す。酢酸の初期濃度は、100ppmで、ミロネクトン微粉末の含有量を高めたミロネクトン含有多機能繊維1は30分後18ppm、60分後に7ppmで、酢酸除去効果が高いことが判った。なお、銅繊維自体でも酢酸除去効果が認められているため、ミロネクトン含有多機能繊維1における酢酸除去の相乗効果がある。
【0094】
イソ吉草酸(C5H10O2)の場合は、上述した硫化水素、アンモニア及び酢酸の試験方法とは異なり、イソ吉草酸濃度の増加の抑制状況を評価した結果を図10(a)に示す。ブランクX(空の瓶)で、イソ吉草酸濃度は60分後に90ppmになった。ミロネクトン微粉末の含有量を十分高めたミロネクトン含有多機能繊維1では、60分後でも7ppmと大幅に抑制できることが判った。
【0095】
[赤外線放射(保温)効果の測定結果]
信州大学繊維学部西松研究所による感応検査(人の感覚による評価方法)の結果を図10(b)に示す。この結果、カプロンファイバーからなるベース繊維体3にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されたミロネクトン含有多機能繊維1は、従来のポリエステル100%生地Yを装着している時と比べて約11%〜27%暖かいと感じる度合いが高いことが判った。ミロネクトン含有多機能繊維1の赤外線放射(保温)効果は、カプロンファイバーの銅繊維とミロネクトンによる相乗効果により一層向上するものである。
【0096】
また、本発明のミロネクトン含有多機能繊維は、パッチテスト(日本産業皮膚衛生協会の皮膚添付試験)で皮膚への安全性についても確認済みである。カプロンファイバーにおける銅繊維を使用しているので緑青が発生する可能性があるが、人体に何ら害はなく(昭和59年厚生省緑青無害認定済み)、厚生労働省は銅を人体の必須ミネラルに追加している。
【0097】
次に、カプロンファイバーからなるベース繊維体3にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2を施こし、制菌(抗菌、殺菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有する本発明のミロネクトン含有多機能繊維が加工されてなるミロネクトン含有多機能繊維製品の幾つかの製品例について、図13〜15を参照して説明する。
[製品例1]
【0098】
本製品例の高機能靴下(ハイソックス)10は、図13に示すように、全体がカプロンファイバーからなるベース繊維体3からなり、この実施例では少なくとも足底面の人肌に接する内面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されるとともに別のカプロンファイバーからなるカバー繊維体3Aが重畳されたミロネクトン含有多機能繊維1B(上記実施例3、図5)が用いられている。
【0099】
また、この実施例においては、プリント用インクとしてバインダーに発泡材が適宜量混入されている。この発泡材は、内部に無数の気泡を含む樹脂又はゴムであって、元となる樹脂やゴムの中に発泡剤を加え、炭酸ガスやアンモニアガスを発生させて造ることができる。
【0100】
この発泡材により、カプロンファイバー3中の細くて弱い銅繊維6(図7、8参照)をカバーすることで保護するとともに、表面が凹凸状に形成されることで滑り止め効果を有する。
【0101】
このため、高機能ハイソックス10は、ミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生、さらには滑り止め等の有益な多機能性を有する快適なハイソックスとなっている。
[製品例2]
【0102】
また、人体のウエスト部に巻き付けて使用する本製品例の高機能ウエストベルト11は、図14(a)に示すように、背部11aと、側脇部11b、11b’と、前廻し部11c、11c’と、伸縮性性能を有する生地を用いた補助ベルト11d、11d’とからなり、背部11aを人体ウエストの背側に当て、側脇部11b、11b’から延びた前廻し部11c、11c’を前腹側で重ねてベルベット式ファスナー等の固着具(図示しない)で固定し、補助ベルト11d、11d’の伸縮力を利用してウエストに強く締付けできるようになっている。この高機能ウエストベルト11の背部11aと側脇部11b、11b’と前廻し部11c、11c’のうち、この実施例では人体が接触する内面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が、カプロンファイバー(銅繊維糸4を含む)からなるベース繊維体3の片面に施されるとともにその面にさらに別のカプロンファイバー(銅繊維糸4を含む)からなるカバー繊維体3Aが重畳されてなるミロネクトン含有多機能繊維1B(上記実施例3、図5)が用いられている。
【0103】
このため、本製品例の高機能ウエストベルト11は、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益で快適な多機能性を有している。
【0104】
このような高機能ウエストベルトとしては、腰痛対策用の他に、いずれも図示しないが、脂肪が蓄積した下腹部を締付けて特に90%以上の放射率を有する遠赤外線放射機能を有するプリント2により圧迫し遠赤外線放射の刺激で脂肪の燃焼をサポートするとともにヒップアップ機能も備えた燃焼スパッツベルト、及び下腹部を持上げるように締付けて保持し内臓下垂あるいは骨盤前傾など人体姿勢バランスを改善するお腹シェイカー、等の変形形態にも適用できる。
[製品例3]
【0105】
また、本製品例の靴の高機能中敷(インソール)12は、図13の構成概念図(a)、表面の写真(b)、裏面の写真(c)に示すように、基層12aと表層12bとからなり、靴の中に装填して使用される。この高機能インソール12の少なくとも表層12bとしては、靴を履いた足の足裏に密着するカプロンファイバー(銅繊維糸4を含む)からなるベース繊維体3と、その裏面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されるとともに別のカプロンファイバーからなるカバー繊維体(銅繊維糸4を含む)3Aが重畳されてなるミロネクトン含有多機能繊維1B(上記実施例3、図5)が用いられている。
【0106】
特に、図15(c)に示すカバー繊維体3Aは、メッシュ状に構成し、通気性を向上させてある。
【0107】
このため、本製品例の高機能インソール12は、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の有益で快適な多機能性を有している。
[製品例4]
【0108】
また、本製品例の高機能ベスト13は、図16に示すように、全体がカプロンファイバーからなるベース繊維体3からなり、この実施例では人体側の内面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されるとともに別のカプロンファイバーからなるカバー繊維体3Aが重畳されたミロネクトン含有多機能繊維1B(前記実施例3)が用いられている。
【0109】
このため、本製品例の高機能ベスト13は、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益で快適な多機能性を有し、さらにフィット性のある素材を使用することにより、夏爽やかで冬暖かに蒸れることなく快適に着用できる。
[製品例5]
【0110】
また、本製品例の高機能二の腕用シェイパー14は、図17に示すように、全体がカプロンファイバーからなるベース繊維体3からなり、この実施例では少なくとも人体の二の腕部分に接する側の内面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されるとともに別のカプロンファイバーからなるカバー繊維体3Aが重畳されたミロネクトン含有多機能繊維1B(上記実施例3、図5)が用いられている。
【0111】
このため、本製品例の高機能二の腕用シェイパー14は、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益で快適な多機能性を有し、肩と二の腕の谷問、二の腕とひじの間の筋肉の両端を締付けると筋肉が活発に働き、特に90%以上の放射率を有する遠赤外線放射機能を有するプリント2による圧迫及び遠赤外線放射の刺激で脂肪の燃焼をサポートする働きがある。
[製品例6]
【0112】
また、本製品例の高機能ネックウォーマー15は、図18に示すように、全体がカプロンファイバーからなるベース繊維体3からなり、この実施例では人体側の内面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング2が施されるとともに別のカプロンファイバーからなるカバー繊維体3Aが重畳されたミロネクトン含有多機能繊維1B(上記実施例3、図5)が用いられている。
【0113】
このため、本製品例の高機能ネックウォーマー15は、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益で快適な多機能性を有し、首元を健康的に暖めることができる。
【0114】
上記実施例のハイソックス10、ウエストベルト11、インソール12、ベスト13、二の腕用シェイパー14及びネックウォーマー15等のミロネクトン含有多機能繊維製品においては、ミロネクトン微粉末を含むコーティング2が施されたベース繊維体3の片面に重畳されたカバー繊維体3Aによりコーティング2が人体又は外部との接触から保護されるため、磨耗又は損傷することがなく耐久性が確保されるとともに肌触りも良好に保持される。カバー繊維体3Aが人体の外側又は内側に配置されるかは、通常は前者であるが、いずれの配置方法もよい。
【0115】
なお、上記実施例においては、本発明のミロネクトン含有多機能繊維製品例としてハイソックス10、ウエストベルト11、インソール12、ベスト13、二の腕用シェイパー14及びネックウォーマー15を例示したが、これ以外に、高機能インナーウェアーやその他種々の織物(又は編物)製品に使用できることは勿論である。
【0116】
また、本発明のミロネクトン含有多機能繊維の技術は、前記ミロネクトン含有多機能繊維をカットしてなる短繊維と他の繊維とを混紡して得た繊維層を積層してニードルパンチなどによって絡合一体化したフェルトなどにも応用できるもので、種々の変形形態とすることができる。
【0117】
例えば、前記ベース繊維体の片面又は両面にミロネクトンの微粉末を含むコーティング又はプリントを施す方法に比べてコスト高となるが、レイヨン繊維などの繊維母体中にミロネクトン微粉末を練り込んで紡糸する変形形態とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明のミロネクトン含有多機能繊維は、天然繊維、化学繊維もしくは特に銅などの特殊金属繊維を含む機能繊維からなるベース繊維体に微粉末を含むコーティング又はプリントが施されるミロネクトンが軟質多孔性であるため微粉末化が容易であるとともにバインダー等とも馴染み易いことから、従来の機能繊維に用いられる鉱石類より多量に含有させることが可能であるとともに比較的低コストで、制菌(抗菌)性、制電(除電、静電防止)性、保温(遠赤外線放射)性、消臭性、通気性、マイナスイオン発生等の人体に有益な多機能を有する等々の効果があるため各種繊維関連業界に幅広く好適に適用できる。
【符号の説明】
【0119】
1、1A、1B、1C (実施例1、2、3、4の)ミロネクトン含有多機能繊維
2 (ミロネクトンの微粉末を含む)コーティング又はプリント
3 ベース繊維体、又は(ベース繊維体を構成する)機能繊維、又はカプロンファイバー
3A、3B カバー繊維体
3a 経糸
3b 緯糸
4 銅繊維糸
4a カバーリング糸
4b マルチフィラメント糸
4c スパン糸
4d 紡毛糸
5 芯糸
6 銅繊維
6’ 銅繊維束
6” 短繊維
7 他の繊維束
7’ 他の短繊維
10 高機能靴下又はハイソックス
11 高機能ウエストベルト
11a 背部
11b、11b’ 側脇部
11c、11c’ 前廻し部
11d、11d’ 補助ベルト
12 (靴の)高機能中敷(インソール)
12a 基層
12b 表層
13 高機能ベスト
14 高機能二の腕用シェイパー
15 高機能ネックウォーマー
H 細孔
M ミロネクトン
X ブランク
Y ポリエステル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を含むコーティングが施されたことを特徴とするミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項2】
天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を混入したインクを用いてプリントが施されたことを特徴とするミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項3】
前記ベース繊維体に施されたコーティング又はプリント中には、発泡材が混入されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項4】
前記コーティング又はプリントが施されたベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体が重畳されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項5】
前記ベース繊維体は、構成糸の全部又は一部に極細に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物で構成された機能繊維からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項6】
天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部にミロネクトンの微粉末を含むコーティング又はプリントを施したミロネクトン含有多機能繊維が加工されてなることを特徴とするミロネクトン含有多機能繊維製品。
【請求項7】
前記ベース繊維体に施されたコーティング又はプリント中には、発泡材が混入されていることを特徴とする請求項6記載のミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項8】
前記コーティング又はプリントが施されたベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体が重畳されたことを特徴とする請求項6又は請求項7記載のミロネクトン含有多機能繊維製品。
【請求項9】
前記ベース繊維体は、構成糸の全部又は一部に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物で構成された機能繊維からなることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維製品。
【請求項1】
天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を含むコーティングが施されたことを特徴とするミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項2】
天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、ミロネクトンの微粉末を混入したインクを用いてプリントが施されたことを特徴とするミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項3】
前記ベース繊維体に施されたコーティング又はプリント中には、発泡材が混入されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項4】
前記コーティング又はプリントが施されたベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体が重畳されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項5】
前記ベース繊維体は、構成糸の全部又は一部に極細に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物で構成された機能繊維からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項6】
天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部にミロネクトンの微粉末を含むコーティング又はプリントを施したミロネクトン含有多機能繊維が加工されてなることを特徴とするミロネクトン含有多機能繊維製品。
【請求項7】
前記ベース繊維体に施されたコーティング又はプリント中には、発泡材が混入されていることを特徴とする請求項6記載のミロネクトン含有多機能繊維。
【請求項8】
前記コーティング又はプリントが施されたベース繊維体の片面又は両面の全部又は一部に、さらに別の天然繊維、化学繊維もしくは機能繊維からなるカバー繊維体が重畳されたことを特徴とする請求項6又は請求項7記載のミロネクトン含有多機能繊維製品。
【請求項9】
前記ベース繊維体は、構成糸の全部又は一部に延伸した銅繊維糸を用いた織物又は編物で構成された機能繊維からなることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項記載のミロネクトン含有多機能繊維製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図18】
【公開番号】特開2011−214204(P2011−214204A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85155(P2010−85155)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(595020355)株式会社セイホウ (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(595020355)株式会社セイホウ (3)
【Fターム(参考)】
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