説明

ムコ粘着性組成化ペプチド−又はタンパク質−作用物質を含有する多層粒子形剤形、及びこの剤形の製法

本発明は、実質的に、a)その誘導体又は複合体を含むペプチド又はタンパク質であり、ムコ粘着作用を有するポリマーを含むマトリックス中に入れられている作用物質を含有する内側マトリックス−層、及びb)任意に製薬学的常用の助剤、殊に、軟化剤と組成されていてよい、陰イオンポリマー又はコポリマーを実質的に含む外側被膜被覆から構成されている、50〜2500μmの範囲の大きさを有するペレットを含有する経口多層粒子形剤形に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ムコ粘着性組成化ペプチド−又はタンパク質−作用物質を含有する多層粒子形(multipartikulaere)剤形、及びこの剤形の製法に関する。
【0002】
公知技術水準
DE10024451A1は、凝集傾向を有するペプチドを溶解形又は分散形で含有する腸管外投与に好適な製薬学的投与形を記載している。この際、ペプチドは、様々な塩で存在することができる。投与形は付加的に遊離酸及び場合により他の製薬学的助剤を含有する。
【0003】
WO02/03955は、作用物質舌下投与用の、生体粘着性で微小球組成化の剤形を記載している。微小球は、50μm以下の平均直径を有し、例えば、ペプチドであってよい作用物質を非結晶形で、生体粘着性ポリマー中に埋入された微小マトリックス中に含有する。生体粘着性ポリマーは、特に、セルロース、キトサン又はアクリルコポリマーであってよい。
【0004】
WO02/64148は、ムコ多糖類を含有する組成物及びその製法を記載している。この際、ムコ多糖類、例えば、ヘパリンは、吸着強化剤、例えば、キトサンと一緒に組成され、引続いて、腸液溶性被覆を装備され、作用物質が小腸の中央部分又は下方部分で遊離され得る。腸液溶性被覆として、例えば、オイドラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L, S, L100−55型の陰イオンアクリルコポリマーが考慮される。組成物は、カプセル剤、錠剤及び顆粒を包含する。
【0005】
WO02/43767は、細胞膜担体に結合している作用物質、pH−値低下剤及び/又はプロテアーゼ阻害剤及び耐酸性輸送ベヒクルを含有する生理学的活性ペプチド−作用物質の経口製薬学的組成物を記載していて、このベヒクルは、製薬学的組成物を、患者の胃の通過中保護し、胃中に存在するプロテアーゼとの接触を阻止する。輸送ベヒクルとは、オイドラギット(登録商標)L30 D−55製の耐酸性被覆で被覆されているカプセルのことである。
【0006】
WO03/007913は、多数のいわゆる”パッチ”の形で作用物質を含有する経口の多層粒子形剤形を記載している。”パッチ”は、直径500μm〜5mm及び高さ100〜1000μmの生体適合性物質製の円盤状物体である。パッチは、2つの層又は側面、例えば、水又は体液をほんの僅かしか透過させないエチルセルロースから成る1側面、及びムコ粘着性ポリマー、例えば、キトサン、CMC、ポリアクリル酸又はペクチンと混合して存在し得る作用物質、例えば、ペプチド又はタンパク質を含有する第二の側面から成る。パッチを圧縮して錠剤にする、又は付加的に腸液溶性被覆で装備されるカプセルに充填することもできる。作用物質製剤は、付加的に、いわゆる増強剤、例えば、脂肪酸、脂肪アルコール、エステル、界面活性剤及びプロテアーゼ阻害剤と組合せることもできる。カプセルは、作用部位、例えば、一定の腸部分で溶解し、”パッチ”を遊離させる。遊離された”パッチ”は、そのムコ粘着性側で腸粘膜に粘着し、そこで作用物質を遅効させ、腸粘膜に照準を合わせて投与することができる。ほんの僅か透過性の”パッチ”第二側は、作用物質に腸腔側からの化学的又は酵素的不活化に対する一定の保護を与え、作用物質がこの側に漏出することも阻止するとのことである。
【0007】
課題及び解決
WO03/007913は、殊に、腸腔で遊離され、そこで作用を発揮すべきペプチド又はタンパク質をベースとする作用物質の経口剤形を製造するための、注目的な称賛すべき解決を示した。この解決の1欠点は、特に、2層の”パッチ”−構造の経費のかかる構成及び製造にある。しかし、殊に、胃液耐性で腸液溶性の被覆を備えたカプセル剤としての剤形の製造は不利と思われる。明らかに2.5mm以上の大きさでは、治療的再現性が不十分であることは明白である。カプセル剤の胃の通過時間は著しく変化し得る。各々の場合に、遅延される作用発現で評価すべきである。更に、カプセル剤は被覆の一部分的溶解により既にその側で急速又は徐々に溶解し得る。ここで、2つの原則、被覆及びカプセルは、不利な方法で重なり合い、従って”パッチ”の全体的に無調節の遊離を評価すべきである。カプセル剤は、それが少なくとも既に部分的に腸液に接した状態で、活動的腸内容又は腸蠕動に依り、そのままであるか、又は機械的に広汎に破壊される。先ず、被覆されたカプセル構造物の分解又は機械的負荷により、一方で多量の”パッチ”の衝撃的遊離となるか、又は他方で不所望な遅延遊離にも成り得る。従って、全体的により良好に調節できる作用物質投与が所望される。
【0008】
本発明の課題の1つとして、タンパク質−又はペプチド作用物質の合目的で有効な遊離に好適である剤形を製造することがあった。剤形は高い投与確実性を示し、速やかな胃の通過後に良好に腸内容中に分配されるべきである。この際、含有されるタンパク質−又はペプチド作用物質は、物理的、化学的又はタンパク質分解的不活性化に対して広汎に保護され、身体によって高成分の作用物質が吸収され得るように、一定の作用部位で遊離されるべきである。遊離部位は、治療目的に依り可変的で、確実に調節可能であるべきである。
【0009】
この課題は、
a)その誘導体又は複合体を含むペプチド又はタンパク質であり、ムコ粘着作用を有するポリマーを含むマトリックス中に入れられている作用物質を含有する内側マトリックス−層(この際、マトリックスは任意に他の製薬学的常用の助剤を含有することができる)、
b)任意に製薬学的常用の助剤、殊に、軟化剤と組成されていてよい陰イオンポリマー又はコポリマーを実質的に含む外側被膜被覆
から構成されている、50〜2500μmの範囲の大きさを有するペレットを含有する経口多層粒子形剤形によって解明され、これは、
含有ペレットが胃のpH−範囲で遊離され、外側被覆は、陰イオンポリマー又はコポリマー又は助剤とのその組成物及びその層厚の選択によって、それが腸で4.0〜8.0のpH−範囲で15〜60分間以内に溶解するように調節され、そうして作用物質含有のムコ粘着性マトリックス−層が遊離され、腸粘膜に結合し、かつそこで作用物質を遊離することができるように多層粒子形剤形は組成され、この際、ムコ粘着作用を有するポリマーは、外側被覆が溶解し始めるpH−値に対して、+/−0.5pH−単位の範囲で、少なくともη=150〜1000mPasのムコ粘着作用、及び15分間で10〜750%の水分吸収を有するように選択され、かつマトリックス層の作用物質成分はムコ粘着作用を有するポリマー含量の最高40質量%であることを特徴とする。
【0010】
本発明の詳説
本発明は、50〜2500、有利に100〜1000μmの範囲の平均粒度又は平均直径を有するペレットを含有する、殊に、錠剤、小錠剤、カプセル中に充填されたペレット、袋剤又はドライシロップの形の経口多層粒子形剤形に関し、これは、
a)その誘導体又は複合体を含むペプチド又はタンパク質であり、ムコ粘着作用を有するポリマーを含むマトリックス中に入れられている作用物質を含有する内側マトリックス−層(この際、マトリックスは任意に他の製薬学的常用の助剤を含有することができる)、
b)任意に製薬学的常用の助剤、殊に、軟化剤と組成されていてよい、陰イオンポリマー又はコポリマーを実質的に含む外側被膜被覆
から構成されている。
【0011】
多層粒子形剤形は、含有ペレットが胃のpH−範囲で遊離されるように組成されている。
【0012】
外側被覆は陰イオンポリマー又はコポリマー又は助剤とのその組成物及びその層厚の選択によって、それが腸で4.0〜8.0、有利に5.5〜7.8、特に有利に5.8〜7.5のpH−範囲で15〜60分間以内に、有利に20〜40分間で溶解するように調節され、そうして作用物質含有のムコ粘着性マトリックス−層が遊離され、腸粘膜に結合し、かつそこで作用物質を遊離することができる。
【0013】
ムコ粘着作用を有するポリマー又はコポリマーは、外側被覆が溶解し始めるpH−値に対して、+/−0.5、有利に+/−0.3pH−単位の範囲で、少なくともη=150〜1000、有利に150〜600mPasのムコ粘着作用及び15分間で10〜750、有利に10〜250、特に有利に10〜160%の水分吸収を有するように選択され、マトリックス層の作用物質成分は、ムコ粘着作用を有するポリマー含量の最高40、殊に0.001〜15又は0.05〜5質量%である。
【0014】
内側マトリックス層
内側マトリックス層は、作用物質担体として作用する。更に、内側マトリックス層は、含有されるムコ粘着性ポリマーによって作用物質を腸粘膜に結合させる機能を有し、そうして作用物質はそこから生体に到達し得る。更に、内側マトリックス層は作用物質を物理的、化学的又は酵素的不活性化の前に保護する機能を有する。
【0015】
作用物質/作用物質組成物
マトリックス−層は、平均分子量M300〜1000000(ダルトン)を有する、その誘導体又は複合体を含むタンパク質又はペプチドであってよい作用物質を含有する。誘導体とは、一級−又は二級構造の化学的又は生化学的変体のことである。例は、天然起源から由来する又は天然のアミノ酸残基を有しない完全合成のタンパク質又はペプチドである。複合体は、タンパク質又はペプチドと非ペプチド系化合物との共有結合体、例えば、ポリエチレングリコールと結合したタンパク質又はペプチドである。
【0016】
作用物質
本発明の意において使用される作用物質は、
1.病気、苦痛、身体障害又は病的症状を治癒、緩和、予防又は診断するために、
2.身体の素質、状態又は機能又は心的状態を診断させ
3.人間又は動物の身体から生じる作用物質又は体液を代えるために、
4.病気刺激体、寄生体又は身体異物を防御、排除又は無害にするために、又は
5.身体の素質、状態又は機能又は心的状態に影響を与えるために、
人間又は動物の身体で又は身体中で使用することが定められる。
ペプチド−及びタンパク質−作用物質は、遊離酸又は塩基として使用され得る。対イオンとして、例えば、生理学的塩基又は酸、認容性のアルカリ土類金属又はアルカリ金属又はアミン及び例えば、酢酸塩、アジピン酸塩、アスコルビン酸塩、アルギン酸塩、安息香酸塩、ベンゾールスルホン酸塩、臭化物、カルボン酸塩、カルボキシメチルセルロース(遊離酸)、クエン酸塩、塩化物、ジブチルホスフェート、クエン酸二水素塩、ジオクチルホスフェート、ジヘキサデシルホスフェート、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、蓚酸水素塩、塩化水素、クエン酸水素塩、沃化物、乳酸塩、アルファ−リポネート、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、パモ酸塩、パルミチン酸塩、燐酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、タンニン酸塩、油酸塩、オクチルホスフェートを使用することができる。
マトリックス層の作用物質成分は、ムコ粘着作用を有するポリマー含量の最高40、殊に0.001〜15又は0.05〜5質量%である。
作用物質の物理的−化学的特性、例えば、分配係数油中水又は等電点等に依存して、マトリックス−層は、付加的に、C−〜C20−、有利にC−、C10−又はC12−〜C20−カルボン−又は脂肪酸及び/又はC−〜C20−、有利にC−、C10−又はC12−〜C20−アルコール(その塩、エーテル−、エステル−又はアミド−誘導体を含む)、及び/又は脂質及び/又は燐脂質及び/又は脂溶性ビタミン及び/又はプロテアーゼ阻害剤及び/又は浸透促進剤及び/又は流出−ポンプ(Efflux-Pumpen)−阻害剤、例えば、ケトコナゾール(Ketokonazol)又はポリエチレン−660−12−ヒドロキシ−ステアレート(ソルトール(Solutol)(登録商標)HS15)を含有することができる。
作用物質は、3000Da以下の平均分子量Mを有するタンパク質又はペプチドであってよい。そのようなペプチドの例は、殊に、アバレリックス、アンギオテンシンII、アニデュラフンギン、アンチド、アルギプレシン、アザリン及びアザリンB、ボムベシン−拮抗体、ブラディキニン、ブセレリン、セトロレリックス、シクロスポリンA、デスモプレシン、デチレリックス、エンケファリン(Leu−、Met−)ガニレリックス、ゴナドレリン、ゴセレリン、成長ホルモン−分泌促進剤、ミカフンギン、ナファレリン、ロイプロリド、ロイプロレリン、オクトレオチド、オルンチド、オキシトシン、ラモレリックス、セクレチン、ソマトトロピン、テルリプレシン、テトラコサクチド、テベレリックス、トリプトレリン、チロリベリン、チロトロピン、バソプレシンである。
この場合には、マトリックス−層は、付加的に、C−〜C20−、有利にC−、C10−又はC12−〜C20−、場合によりC30までの−カルボン−又は脂肪酸及び/又はC−〜C20−、有利にC−、C10−又はC12−〜C20−、場合によりC30までのアルコール(その塩、エーテル−、エステル−又はアミド−誘導体を含む)、及び/又は脂質及び/又は燐脂質及び/又は脂溶性ビタミン及び/又は流出−ポンプ−阻害剤を含有することが有利である。添加は、それによって作用物質の溶解性、安定性及び吸収が改善され得るという利点を有する。
例えば、脂肪酸のエステル、例えば、グリセリントリミリステート、グリセリンモノステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリントリパルミテート、グリセリルベヘン酸エステル及び脂肪酸アミド、脂肪族長鎖カルボン酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、脂肪アルコール、例えば、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、及び蝋、例えば、カナウバ蝋、蜜蝋及び燐脂質、例えば、卵レシチン、大豆レシチン、及びビタミン、例えば、ビタミンEが好適である。
作用物質は、平均分子量M3000〜10000Daを有するタンパク質又はペプチドであってよい。そのようなタンパク質又はペプチドの例は、殊に、カルシトニン、コルチコトロピン、エンドルフィン、上皮成長因子、グルカゴン、インスリン、ノボリン、副甲状腺ホルモン、リラキシン、プロ−ソマトスタチン、サーモンセクレチンである。
作用物質が、平均分子量M3000〜10000Daを有するタンパク質又はペプチドである場合には、マトリックス−層は、C−〜C20−、有利にC−、C10−又はC12−〜C20−、場合によりC30までのカルボン−又は脂肪酸及び/又はC−〜C20−、有利にC−、C10−又はC12−〜C20−、場合によりC30までのアルコール(その塩、エーテル−、エステル−又はアミド−誘導体を含む)及び/又は脂質及び/又は燐脂質及び/又は脂溶性ビタミン及び/又はプロテアーゼ阻害剤を有利に含有する。
平均分子量M3000〜10000Daを有するタンパク質又はペプチド−作用物質は、しばしばプロテアーゼによる酵素分解に対して特に感受性であるので、作用物質それ自体の安定化のほかに、プロテアーゼ阻害剤の添加が特に有利である。
製薬学的に好適なプロテアーゼ阻害剤は、例えば、アンチパイン、アプロチニン、バシトラシン、ベンザミジン、ベスタチン、カプトプリル、キモスタチン、鶏卵阻害剤、EDTA−Na、キトサン−EDTA−複合体、Na−グリココレート、ロイペプチン、ペプスタチン、大豆トリプシン阻害剤、チオルファン、Tos−Lys−クロロメチルケトン、ジャガイモカルボキシペプチダーゼ阻害剤である。
作用物質は、平均分子量M10000以上を有するタンパク質又はペプチドであってよい。そのようなタンパク質又はペプチドの例は、殊に、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガンマ)、インターロイキン(IL1、IL2)、ソマトトロピン、エリトロポイエチン、腫瘍壊死因子(TNFアルファ、ベータ)、リラキシン、エンドルフィン、ドルナーゼアルファ、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛膜ゴナドトロピン(HCG)、ヒト成長ホルモン放出因子(hGRF)、黄体形成ホルモン(LH)又は上皮成長因子である。
作用物質が、平均分子量M10000以上を有するタンパク質又はペプチドである場合には、マトリックス−層は、付加的に、C−〜C20−、有利にC−、C10−又はC12−〜C20−、場合によりC30までの−カルボン−又は脂肪酸及び/又はC−〜C20−、有利にC−、C10−又はC12−〜C20−、場合によりC30までのアルコール(その塩、エーテル−、エステル−又はアミド−誘導体を含む)、及び/又は脂質及び/又は燐脂質及び/又は脂溶性ビタミン及び/又はプロテアーゼ阻害剤及び/又は浸透促進剤を含有することが有利である。
浸透促進剤の添加は、比較的高い平均分子量M10000以上を有する作用物質の吸収がそれによって促進されるので有利である。
好適な浸透促進剤は、殊に、軟化剤、例えば、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ポリマー、例えば、カルボマー、キトサン、キトサン−システイン、ナトリウム−カルボキシメチルセルロース、N−トリメチル化キトサン、ポリカルボフィル−システイン、長鎖脂肪酸、そのエステル(例えば、モノ及びジグリセリド)及びその塩、例えば、ラウリン酸、ラウリンスルホン酸、パルミチン酸、カプリル酸、カプリン酸、油酸、アシルカルニチン、キレート化剤、例えば、EDTA、サリシレート、シクロデキストリン、ポリアクリル酸、胆汁酸、例えば、コール酸、コリルタウリン、コリルサルコシン、ケノデオキシコール酸及びその塩、例えば、Na−コール酸塩、Na−グリココール酸塩、Na−タウロコール酸塩、Na−タウロジヒドロフシデート、Na−グリコジヒドロフシデート、界面活性剤及び乳化剤、例えば、殊にポリエチレン−660−12−ヒドロキシステアレート(ソルトール(Solutol)(登録商標)HS15)(ソルトール HS15)、ポリソルベート80(ツイーン(Tween) 80)、ポリオキシエチル化ヒマシ油(クレモフォール(Cremophor)EL)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール(プルロニック(Pluronic)(登録商標)F68)、毒素閉鎖帯毒素( Zonula Occludens Toxin) (ZOT)及びビタミン、例えば、ビタミンE(トコフェロール)又はビタミンB12である。
作用物質が、高分子量M10000以上を有するタンパク質又はペプチドである場合には、マトリックス−層は、付加的に、流出ポンプ−阻害剤、例えば、殊にケトコナゾール又はポリエチレン−660−12−ヒドロキシ−ステアレート(ソルトールHS15)を含有することが有利である。
ムコ粘着作用を有するポリマー
マトリックス−層は、更に、ムコ粘着作用を有するポリマーを含有する。ムコ粘着作用を有する好適なポリマーは、殊に、キトサン(キトサン及び誘導体、キトサン)、メチルメタクリレート20〜45質量%及びメタクリル酸55〜80質量%を含む(メタ)アクリレートコポリマー、セルロース、殊に、メチルセルロース、例えば、Na−カルボキシメチルセルロース(例えば、ブラノース(Blanose)(登録商標)又はメトセル(Methocel)(登録商標))である。
ムコ粘着作用を有するポリマーは、外側被覆が溶解し始めるpH−値に対して、+/−0.5、有利に+/−0.3pH−単位の範囲で、15分間で、10〜750、有利に10〜250、特に有利に10〜160%の吸水性を有するように選択される。
ムコ粘着特性の測定
ムコ粘着特性の好適な特性測定法は、Hassan及びGallo(1990)に含まれる(Hassan E. E. und Gallo J. M. "ムチン−ポリマー生体粘着結合強度の試験管内評価のための簡単な流動学法(A Simple Rheological Method for the in Vitro Assessment of Mucin-Polymer Bioadhaesive Bond Strength)" Pharma Res. 7 (5), 491 (1990)参照)。この方法は、ムチンとポリマーの混合物の粘度(η、力学的粘度又は粘度係数)は、単一成分の粘度の合計とは異なっているという前提に基づく。関係式:
ηムチンとの混合ポリマー=ηムチン+ηポリマー+η
[ここで、ηは、差異を表わす]。ηがより高くなればなるほど、ムコ粘着特性もより高くなる。個々の成分は、先ず回転粘度計でその粘度について測定される。ムコ粘着性ポリマーの0.5%(w/w)水溶液及び豚胃からのムチンの15%溶液を使用する。ムコ粘着特性ηの測定には、ムチン及びポリマーを単独及びその混合物で、前記の濃度で測定する。
【0017】
ムコ粘着作用を有するポリマーは、外側被覆が溶解し始めるpH−値に対して、+/−0.5、有利に+/−0.3pH−単位の範囲で、粘度ηとして測定されるムコ粘着作用が、150〜1000、有利に150〜600mPasを有するように選択される。
【0018】
水和及び吸水
ポリマーの水和は、水を吸収するポリマーの親和性に基づいている。ポリマーはこの吸水によって膨潤する。これは、ポリマー中の水の化学的ポテンシャルと環境媒体中の水との間の不平衡にある。水は、ポリマーの浸透圧に基づき、内相と外相との間に平衡が生じるまで吸収される。次いで、ポリマーは100%まで水和される。次いで、低い平均分子量を有するポリマーでは、溶液が存在する。より高い分子量を有するポリマー又は架橋結合ポリマーでは、ゲルが生じる。平衡になるまでの吸水は、例えば、ポリマー質量の1000%に相応する固有質量の10倍までになってよい。
【0019】
吸水%の測定
吸水%の測定は当業者に公知である。好適な1方法は、例えば、pharmazeutischen Technologie/Rudolf Voigt, Basel:Verlag Chemie, 5. 完全校正版, 1984, S. 151, 7. 7. 6の綱要書に、”吸収力”で記載されている。この方法は、ガラスフィルターヌッチェが管を経て目盛付ピペットと結合している、いわゆるエンスリン(Enslin)−装置を使用する。このピペットは、ガラスフィルターと同じ高さにあるように、正確に水平に取り付けられている。100%の吸水は、この場合には、ムコ粘着作用を有するポリマー1g当たり、水1mlの吸水として定義される。
【0020】
比較的早い吸水又は水和及び高い水和度によって、外側被覆が溶解し始める時点で、作用物質の速やかな保護及び腸粘膜への直接結合が保証される。ムコ粘着性マトリックス中の作用物質の結合は、ほんの僅少であるべきであり、従って、これは腸粘膜から直接生体内へ移行し得る。
【0021】
マトリックス−pH−値の調整
ムコ粘着作用は、多数のムコ粘着性ポリマーにおいて、pH−依存性である。マトリックス中のpH−値は、酸、塩基又は緩衝液系によって照準的に調整され得る。内側マトリックスは、例えば、ムコ粘着作用を有するポリマーとして、アセテート−緩衝液系と一緒に使用されるキトサンを含有し得る。例えば、pH5.0〜5.5に調整するアセテート/Na−アセテート−緩衝液は、添加物質として、マトリックス中に存在し、又はマトリックスが装填される核上に施され得る。この方法で、キトサンは、より高いpH−値、例えば、pH6.0〜8.0で溶解し始める被膜被覆と組合せて使用されることもできる。高い環境−pH−値にも拘らず、マトリックスの微細環境中の低いpH−値は保持されたままである。そうして、他の場合ではムコ粘着作用を有しないか又はこの程度では有しないpH−範囲で、ポリマーのムコ粘着特性を利用することができる。このことは、そのpH−最適値がより高いpH−範囲にあるプロテアーゼに対する一定の保護を達成することができるという利点を有する。同じ原則は、マトリックスのpH−値を塩基の添加によって高め、より低いpH−値で溶ける被膜被覆と組合せることによって、逆の方法でも適用することができる。
【0022】
好適なムコ粘着性ポリマーの選択のための例
好適なムコ粘着性ポリマーの選択は、そのムコ粘着特性及びその吸水力に基づいている。ポリマーは、各pH−範囲で、少なくともη=150〜1000mPasのムコ粘着作用及び15分間で10〜750%の吸水を有するべきである。次の一覧表に例として挙げる。
【0023】
キトサンは、マトリックス−pH−範囲が、例えば、緩衝液系によって、約pH5.5の範囲に調整される場合には、例えば、pH5.5の環境−pH−範囲(十二指腸)又は他の環境−pH−範囲(回腸又は結腸)での使用に好適である。
【0024】
表に挙げた(メタ)アクリレートコポリマーは、pH−範囲約pH5.5よりもpH7.2のpH−範囲でより良好に適合する。
【0025】
Na−アルギネートは、pH−範囲約pH5.5に好適であるが、pH7.2には不適である。
【0026】
Na−カルボキシメチルセルロース及び架橋結合ポリアクリル酸は、5.5〜7.2の広いpH−範囲にわたり好適である。
【0027】
【表1】

【0028】
陰イオン(メタ)アクリレートコポリマーを含む外側被覆
陰イオンポリマー又はコポリマーを含む外側被覆は、内側マトリックス層を胃液から保護するための胃液耐性被覆として用いられる。更に、外側被覆は、被覆が腸部分(十二指腸、空腸、回腸又は結腸)に達し、そこで溶解し始める時点まで、タンパク質分解酵素から作用物質を保護するために機能する。この際、外側被覆は、殊に、いわゆる胃腸標的”即ち、そこで優勢なそのpH−値によって決められる腸部分での、内側マトリックス層の合目的遊離に用いられる。内側マトリックス−層の放出の阻害にならないように、外側被覆の(メタ)アクリレートコポリマーは、作用物質又は内側マトリックス−層のムコ粘着性ポリマーとできるだけ相互作用をするべきでなく、又はほんの僅かしか相互作用をするべきでない。
【0029】
好適な陰イオンポリマー又はコポリマーは、セルロースグリコレート(デュオドセル(Duodcell)(登録商標))、セルロースアセテートフタレート(CAP, Cellulosi acetas, PhEur, セルロースアセテート−フタレート、NF、アクアテリック(Aquateric)(登録商標)、セルロースアセテートスクシネート(CAS)、セルロースアセテートトリメリエート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP, HP50, HP55)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS−LF, −MF, −HF)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP, スレテリック(Sureteric)(登録商標))、ビニルアセテート−ビニルピロリドン−コポリマー(PVAc, コリドン(Kollidon)(登録商標)VA64)、ビニルアセテート:クロトン酸−コポリマー9:1(VAC:CRA, コリコエート(Kollicoat)(登録商標)VAC)及び又はシェラックである。前記のポリマー又はコポリマーは、pH−特異的溶解が達成され得るように、完全に満足する方法で、様々に組成され得る。
【0030】
外側被膜被覆は、実質的に、任意に製薬学的常用の助剤、殊に軟化剤と組成されていてよい、陰イオン基を有するモノマー含量5〜60質量%を有する(メタ)アクリレート−コポリマーを含むことが特に有利である。冒頭に挙げたポリマーに比べて、本発明の範囲の前記の陰イオン(メタ)アクリレートコポリマーは、多くの場合に、溶解−pH−値の更により正確で再現可能なpH−特異的調整を行なう可能性を示す。通例、取扱い及び適合もより少ない経費であると見なされる。
【0031】
外側被覆の(メタ)アクリレート−コポリマーは、アクリル−又はメタクリル酸のラジカル重合化C−〜C−アルキルエステル40〜95、有利に45〜90、殊に30〜質量%までを含むことが有利であり、陰イオン基を有する(メタ)アクリレート−モノマー5〜60、有利に8〜40、殊に20〜35質量%を含有することができる。
【0032】
前記の成分は、通例、100質量%まで加算される。しかし、本質的な特性に影響する又は変化させることなく、他のビニル系で共重合可能なモノマー、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート又はヒドロキシエチルアクリレート0〜10、例えば、1〜5質量%の範囲の少量を付加的に含有することができる。
【0033】
アクリル−又はメタクリル酸のC−〜C−アルキルエステルは、殊にメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びブチルアクリレートである。
【0034】
陰イオン基を有する(メタ)アクリレート−モノマーは、例えば、アクリル酸、しかし有利にメタクリル酸であってよい。
【0035】
更に、メタクリル酸40〜60質量%及びメチルメタクリレート60〜40質量%又はエチルアクリレート60〜40質量%を含む陰イオン(メタ)アクリレートコポリマーが好適である(オイドラギット(登録商標)L又はオイドラギット(登録商標)L100−55型)。
【0036】
オイドラギット(登録商標)Lは、メチルメタクリレート50質量%及びメタクリル酸50質量%を含むコポリマーである。オイドラギット(登録商標)L 30Dは、オイドラギット(登録商標)L30質量%を含有する分散液である。この(メタ)アクリレートコポリマーは、pH−範囲約pH6.0〜6.5(空腸)での溶解に特に好適である。
【0037】
オイドラギット(登録商標)L100−55は、エチルアクリレート50質量%及びメタクリル酸50質量%を含むコポリマーである。オイドラギット(登録商標)L30−55は、オイドラギット(登録商標)L100−55 30質量%を含有する分散液である。この(メタ)アクリレートコポリマーは、pH−範囲約pH5.5〜6.0(十二指腸)での溶解に特に好適である。
【0038】
同様に、メタクリル酸20〜40質量%及びメチルメタクリレート80〜60質量%を含む陰イオン(メタ)アクリレートコポリマー(オイドラギット(登録商標)S型)が好適である。この(メタ)アクリレートコポリマーは、pH−範囲約pH6.5〜7.0(空腸又は回腸)での溶解に特に好適である。
【0039】
特に、メチルメタクリレート10〜30質量%、メチルアクリレート50〜70質量%及びメタクリル酸5〜15質量%を含む(メタ)アクリレートコポリマーが好適である。
【0040】
オイドラギット(登録商標)FSは、メチルメタクリレート25質量%、メチルアクリレート65質量%及びメタクリル酸10質量%を含むコポリマーである。オイドラギット(登録商標)FS 30 Dは、オイドラギット(登録商標)FS30質量%を含有する分散液である。この(メタ)アクリレートコポリマーは、pH−範囲約pH7.0〜7.8(回腸又は結腸)での溶解に特に好適である。
【0041】
更に、
メタクリル酸及び/又はアクリル酸20〜34質量%、
メチルアクリレート20〜69質量%及び
エチルアクリレート0〜40質量%及び/又は場合により
他のビニル系で共重合可能なモノマー0〜10質量%
で組成されているコポリマーが好適であるが、このコポリマーのガラス転位温度は、ISO 11357−2、項目3. 3. 3.により、高々60℃であるという条件を伴う。この(メタ)アクリレートコポリマーは、その良好な引裂伸張特性により、殊に、ペレットを圧縮して錠剤にすることに好適である。
【0042】
更に、
メタクリル酸及び/又はアクリル酸20〜33質量%、
メチルアクリレート5〜30質量%及び
エチルアクリレート20〜40質量%及び
ブチルメタクリレート10以上〜30質量%及び
場合により
他のビニル系で共重合可能なモノマー0〜10質量%
(この際、モノマー成分は、全量100質量%)
から組成するコポリマーが好適であるが、このコポリマーのガラス転位温度は、ISO 11357−2、項目3. 3. 3.(中点温度Tmg)により、55〜70℃であるという条件を伴う。この型のコポリマーは、その良好な機械的特性により、殊にペレットを圧縮して錠剤にするために好適である。
【0043】
前記のコポリマーは、殊に、
メタクリル酸又はアクリル酸(メタクリル酸が有利である)20〜33、有利に25〜32、特に有利に28〜31質量%、
メチルアクリレート5〜30、有利に10〜28、特に有利に15〜25質量%、
エチルアクリレート20〜40、有利に25〜35、特に有利に18〜22質量%及び
ブチルメタクリレート10以上〜30、有利に15〜25、特に有利に18〜22質量%
のラジカル重合単位で組成されていて、この際、モノマー組成物は、コポリマーのガラス転位温度が55〜70℃、有利に59〜66、特に有利に60〜65℃であるように選択される。
【0044】
特異的遊離プロフィール又は遊離部位の調整のために、前記のコポリマーの混合物を使用することもできる。
【0045】
ガラス転位温度とは、殊に、ISO 11357−2、項目3. 3. 3.による中点温度Tmgが解される。測定は、軟化剤を添加せずに、100ppm以下の残余モノマー含量(REMO)で、10℃/分の加熱率で、かつ窒素雰囲気下に行なわれる。
【0046】
コポリマーは、有利に実質的に、前記の量範囲で90質量%までを除いて、モノマーのメタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びブチルメタクリレート95又は99〜100質量%を含む。
【0047】
しかし、それが本質的な特性に影響してはならないが、付加的に、他のビニル系共重合可能なモノマー、例えば、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルマロン酸、スチロール、ビニルアルコール、ビニルアセテート及び/又はその誘導体を、0〜10、例えば、1〜5質量%の範囲の少量で含有することができる。
【0048】
コポリマーは、自体公知の方法で、ラジカル物質−、溶液−、粒状−又は乳化重合によって得られる。これを、加工の前に、好適な粉砕−、乾燥−又は噴霧法によって、本発明による粒度範囲にすべきである。これは、押出し及び冷却した顆粒索状物又は熱断片の簡単な破砕によって行なわれ得る。
【0049】
殊に、他の粉末又は液体と混合させる場合には、粉末の使用が有利である。粉末の製造のための好適な用具類、例えば、噴気ミル、デスミル、ファンミルは当業者に慣用である。場合により、相応する篩分を包含することができる。工業的大量のための好適なミルは、例えば、約6バール超過圧で操作される向噴射ミル(Multi Nr. 4200)である。
【0050】
コポリマー製造
前記の(メタ)アクリレートコポリマーは、モノマーのラジカル重合によって得られる(例えば、EP0704207A2及びEP0704208A2参照)。コポリマーは、自体公知の方法で、例えば、DE−C2135073に記載された方法により、有利に陰イオン乳化剤が存在する水相でのラジカル乳化重合によって製造可能である。
【0051】
有機性溶液
前記の(メタ)アクリレートコポリマーは、有機性溶液の形で、例えば、10〜30質量%の濃度で製造され得る。溶剤として、例えば、アセトン、イソプロパノール又はエタノール又はその混合物を使用することができ、これは場合により水成分約10質量%まで含有することができる。しかし、水性分散液が有利である。
【0052】
分散液
前記の(メタ)アクリレートコポリマーは、乳化重合体として、有利に10−〜50質量%、殊に20〜40−%の水性分散液の形で製造され、適用され得る。市販形としては、30質量%の固体含量が有利である。加工には、メタクリル酸−単位の部分的中和は必要ない;しかし、被覆剤分散液の安定化又は粘稠化が所望されるべき場合には、例えば、5又は10モル%までの範囲でそれが可能である。ラテックス−粒度の質量平均値は、通例40〜100nm、有利に50〜70nmであり、これは加工技術的に有利な粘度1000mPa・s以下を保証する。
【0053】
より高い中和度、例えば10〜50モル%又は完全中和で、コポリマーが溶解状態に変えることが可能である。
【0054】
陰イオン性コポリマーの溶液を製造するために、通例、酸残基の部分的又は完全な中和が必要である。陰イオンコポリマーは、例えば、徐々に水中1〜40質量%の最終濃度に加入攪拌され、その際、塩基性物質、例えば、NaOH、KOH、水酸化アンモニウム又は有機塩基、例えば、トリエタノールアミンの添加によって、部分的又は完全に中和され得る。(部分的)中和のために、その製造の際に既に、塩基、例えば、NaOHが添加されているコポリマーの粉末を使用することも可能であり、従って、粉末は既に(部分的)中和ポリマーである。溶液のpH−値は、通例、4以上、例えば、4〜約7の範囲にある。
【0055】
分散液は、例えば、自体公知の方法で、噴霧乾燥又は凍結乾燥され、再分散可能な粉末の形で製造され得る(例えば、EP−A0262326参照)。選択的な方法は、凍結乾燥又は凝固及び押出機での水の圧搾、引き続きの顆粒化である(例えば、EP−A0683028参照)。
【0056】
意外にも、噴霧−又は凍結乾燥及び再分散された粉末を含むコポリマー−分散液が、高い剪断強度を有することが判明した。これは、殊に、噴霧塗布の際に有利である。この利点は、殊に、分散液中に含有されるコポリマーが、2〜10モル%まで部分的中和形で存在する(コポリマー中に含有される酸残基に対して)場合に強く現われる。この目的には、NaOHの添加による部分的中和が有利である。陰イオン乳化剤が0.1〜2質量%の量で含有されることが有利である。乳化剤として、ラウリル硫酸ナトリウムが特に有利である。
【0057】
層厚
外側被覆の層厚は、20〜200、有利に50〜120μmの範囲にあることが有利である。
【0058】
多層粒子形剤形の製造
本発明は、更に、
a)ペプチド又はタンパク質である作用物質及びムコ粘着作用を有するポリマー及び場合により他の製薬学的常用の助剤を含有する内側マトリックス−層を、核への噴霧塗布により、又は核が存在しないで回転凝集(Rotagglomeration)、沈殿又は噴霧法によって製造し、引き続き
b)実質的に、任意に製薬学的常用の助剤、殊に軟化剤と組成されていてよい陰イオンポリマーを含む被膜外側被覆を、噴霧塗布により施して、そうして作用物質含有の被覆化ペレットを得て、かつ
c)得られたペレットを、製薬学的常用の助剤により、自体公知の方法で、得られたペレットが胃のpH−範囲で遊離されるように組成されている多層粒子形剤形、殊にペレット含有の錠剤、小錠剤、カプセル剤、袋剤又はドライシロップに加工することによって、多重特殊医剤形を製造する方法に関する。
【0059】
予備−ペレット及びペレットの製造
ペレット化は、作用物質を含有しない球状物(剤核)上で行なうことができ、又は核を含有しないペレットを製造することができる。
【0060】
先ず、核を有する又は核を持たない内側マトリックス層を製造する。この未被覆円形層を、予備−ペレット(ペレット核)と表示する。
【0061】
渦動床法によって、液体をプラセボーペレット又は他の好適な担体物質上に塗布することができ、この際、溶解−又は懸濁化剤を蒸発させる。製造過程後に、乾燥段階を続けることができる。
【0062】
ペプチド−又はタンパク質作用物質を、ムコ粘着作用を有するポリマーと共に、有機溶剤又は水中に入れ、混合させる。混合物の充分な噴霧可能性を保証するために、低粘度を有する混合物を組成させることが殆どの場合に必要である。この目的のために、ムコ粘着作用を有するポリマーを比較的低い濃度で、例えば、1〜高々10、有利に2〜5質量%の濃度で使用することが有利である。更に、表面張力の低下のために、0.1〜20、有利に0.5〜10質量%の濃度で界面活性剤、例えば、ツィーン(Tween)の添加が有利であり得る。
【0063】
これは、作用物質のほかに他の製薬学的助剤を含有することができる:結合剤、例えば、セルロース及びその誘導体、ポリビニルピロリドン(PVP)、保水剤、分解促進剤、滑剤、砕解剤、(メタ)アクリレート、澱粉及びその誘導体、糖溶解剤等。
【0064】
相応する操作法は、例えば、Bauer, Lehmann, Osterwald, Rothgang, "被覆形剤形(Ueberzogene Arznneiformen)" Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH Stuttgart, Kap 7, S. 165 - 196から公知である。
【0065】
詳細については、更に綱要書から当業者に公知である。例えば、次が参照される:
Voigt, R. (1984): 製薬学的技術の綱要書(Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie); Verlag Chemie Weinheim - Beerfield Beach/Florida - Basel.
Sucker, H., Fuchs, P., Speiser, P. : 製薬学的技術(Pharmazeutische Technologie), Georg Thieme Verlag Stuttgart (1991), 殊に15及び16章、S. 626 - 642.
Gennaro, A., R. (Editor), レミントンの製薬学的科学(Remington's Pharmaceutical Sciences), Mack Publishing Co., Easton Pennsylvania (1985), Chapter 88, S. 1567 - 1573.
List,P.H.(1982):剤形形態学(Arzneiformenlehre), Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH, Stuttgart。
【0066】
内側マトリックスは、不活性核(剤核)を利用することなく製造することもできる。この際、内側マトリックスの内容物は、例えば、回転凝集法、沈殿法又は噴霧法、殊に超音波−渦動−噴霧法によって、円形で一定の大きさ、例えば50〜1000μmの未被覆ペレット(予備−ペレット)にされ得る。これは、全核容量が作用物質負荷に使用されるという利点を有する。それによって、作用物質負荷は、不活性核を用いる実施態様に比べて更に高められ得る。
【0067】
マトリックス−内核(又は予備−ペレット)の製造後に、これに再び有利に噴霧法で外側被覆を装備させ、完成ペレットを得る。ペレットの製造は、有機溶液又は有利に水性分散液からの噴霧塗布によって行なわれる。この際、実施には、均一の無孔性被覆が生じることが決定的である。
【0068】
トップコート
ペレットに付加的に着色被覆を備えることができるが、着色被覆は溶解−pH−値に影響してはならない。例えば、着色されたヒドロキシプロピルメチルセルロース又は他の水溶性又は水中で急速分解性のポリマーを含む被覆が好適である。
【0069】
製薬学的に常用の助剤
本発明による組成物に、製造の際に、常用の助剤又は添加剤を添加することができる。原則的には、当然、使用される全物質は毒物学的に懸念なく、殊に、患者に危険を及ばせずに剤形中に使用されるべきである。
【0070】
剤形被覆又は被層中の常用添加剤の使用量及び適用は、当業者に周知のことである。常用の添加剤は、例えば、軟化剤、分離剤、顔料、安定剤、抗酸化剤、孔形成剤、浸透促進剤、光沢剤、芳香剤、洗浄剤、催滑剤又は調味剤であってよい。これらは加工助剤として用いられ、確実で再現可能な製法及び長時間貯蔵性を保証すべきであり、又は剤形に付加的な有利な特性を達成する。これらはポリマー調製物に加工前に添加され、被覆の透過性に影響を及ぼすことができ、このことは場合により付加的な調整パラメーターとして利用することができる。
【0071】
分離剤:
分離剤は、通例、脂肪親和性を有し、通例、噴霧懸濁液に添加される。これは塗被中の核の凝集を阻止する。タルク、Mg−又はCa−ステアリン酸塩、粉末珪酸、カオリン又はHLB−値3〜8を有する非イオン乳化剤を使用することが有利である。本発明による被覆剤及び結合剤中の分離剤の常用量は、コポリマーに対して、0.5〜100質量%である。
【0072】
顔料:
被覆剤と非相容性の顔料は、殊に、それが(メタ)アクリレート−コポリマー分散液に、例えば、(メタ)アクリレート−コポリマーの乾燥質量に対して、20〜400質量%の常用量で、例えば、加入混合によって直接添加される場合に、分散液の非安定化、凝集、混合分離現象又は同様の不所望な結果を引き起こす顔料である。更に、使用すべき顔料は、当然、非毒性で製薬学的目的に好適である。それについては、例えば、次も参照される:ドイツ研究協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft)、食料のための染料( Farbstoff fuer Lebensmittel)、Harald Boldt Verlag KG, Boppard (1978); ドイツ食料評論(Deutsche Lebensmittelrundschau)74, Nr. 4, S. 156 (1978) ; 剤形染料規程(Arzneimittelfarbstoffverordnung) AmFarbV vom 25. 08. 1980。
【0073】
被覆剤と非相容性の顔料は、例えば、酸化アルミニウム顔料であってよい。非相容性顔料は、黄橙色、コチニール赤ラッカー(Cochenillerotlack)、酸化アルミニウムをベースとする着色顔料又はアゾ染料、スルホン酸染料、黄橙(Gelborange)S(E110, C. I. 15985, FD & C Yellow 6)、インジゴカルミン(Indigocarmin)(E132, C. I. 73015, FD & C Blue 2)、タルトラジン(Tartrazin)(E102, C. I. 19140, FD & C Yellow)、ポンソー(Ponceau)4R(E125, C. I. 16255, FD & C Cochineal Red A)、キノリン黄(Chinolingleb) (E104、 C. I. 47005, FD & C Yellow 10)、エリスロシン(E127, C. I. 45430, FD & C Red 3)、アゾルビン(E122, C. I. 14720, FD & C Carmoisine)、アマランス(E123, C. I. 16185, FD & C Red 2)、ビリリアント酸緑(E142, C. I. 44090, FD & C Green S)である。
【0074】
前記の顔料のE−番号は、EU−番号付けに関連する。これについては、”ドイツ研究協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft)、食料のための染料(Farbstoffe fuer Lebensmittel), Harald Boldt Verlag KG, Boppard (1978); ドイツ食料評論(Deutsche Lebensmittelrundschau )74, Nr. 4, S. 156 (1978); 剤形染料規程(Arzneimittelfarbstoffverordnung) AmFarbV vom 25. 08. 1980。FD&C−番号は、食物、薬品及び化粧品における、U. S. Food and Drug Administration (FDA)による許可に関し、次に記載されている:U.S. Food and Drug Administration, Center for Food Safety and Applied Nutrition, Office of Cosmetics and Colors: Code of Federal Regulations - Title 21 Color Additive Regulations Part 82, Listing of Certified Provisionally Listed Colors and Specifications (CFR 21 Part 82)。
【0075】
軟化剤
他の添加剤は軟化剤であってもよい。常用量は0〜50、有利に2〜20、殊に5〜10質量%である。
【0076】
軟化剤は、型(脂肪親和性又は親水性)及び添加量に応じて、ポリマー層の官能性に影響を及ぼす。軟化剤は、ポリマーとの物理的相互作用によって、ガラス転位温度の降下を達成し、添加量に依存して被膜化を促進させる。好適な物質は、通例、分子量100〜20000を有し、分子中に1個以上の親水基、例えば、ヒドロキシル−、エステル−又はアミノ基を含有する。
【0077】
好適な軟化剤の例は、クエン酸アルキルエステル、グリセリンエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、蔗糖エステル、ソルビタンエステル、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート及びポリエチレングリコール200〜12000である。有利な軟化剤は、トリエチルシトレート(TEC)及びアセチルトリエチルシトレート(ATEC)である。更に、通例、室温で液状のエステル、例えば、シトレート、フタレート、セバケート又はヒマシ油である。クエン酸−及びセバシン酸エステルを使用することが有利である。
【0078】
組成物への軟化剤の添加は、自体公知の方法で、直接水溶液中で又は混合物の熱的予備処理後に行なうことができる。軟化剤の混合物を使用することもできる。
【0079】
多層粒子形剤形の製造
作用物質含有の被覆ペレットは、製薬学的に常用の助剤により、自体公知の方法で、含有されるペレットが胃のpH−範囲で遊離されるように組成されている多層粒子形剤形、殊にペレット含有の錠剤、小錠剤、カプセル剤、袋剤又はドライシロップに加工され得る。多層粒子形剤形としての製造は、高い投与確実性を与え、腸腔内でのペレットの良好な分配の利点をもたらす。更に、本発明による多層粒子形剤形は、異なる作用物質及び/又は異なるペレット−構成を有する様々な型のペレットを含有することもできる。
【0080】
圧縮錠剤
作用物質含有の粒子を有する製薬学的に常用の結合剤の圧縮による多層粒子形剤形の製造は、例えば、Beckert et al. (1996), "崩壊錠剤への腸−被覆ペレットの圧縮(Compression of enteric - coated pellets to disintegrating tablets)", International Journal of Pharmaceutics 143, S. 13 - 23及びWO96/01624に記載されている。
【0081】
作用物質含有ペレットへの被膜被覆は、通例、渦動層装置中で施される。処方例は、本出願中に記載されている。被膜化剤は、通例、軟化剤及び分離剤と、好適な方法により混合される。この際、被膜形成剤は溶液又は懸濁液として存在していてよい。被膜形成の助剤は、同様に溶解又は懸濁化されていてよい。有機又は水性溶解剤又は分散剤を使用することができる。分散液の安定化のために、付加的に安定剤を使用することができる(例:ツィーン80又は他の好適な乳化剤又は安定剤)。
【0082】
分離剤の例は、グリセロールモノステアレート又は他の好適な脂肪酸誘導体、珪酸誘導体又はタルクである。軟化剤の例は、ポリエチレングリコール、フタレート、ポリエチレングリコール、セバケート又はシトレート、及び文献に挙げられた他の物質である。
【0083】
作用物質含有層及び腸溶解性コポリマー−層の間に、相互作用の阻止を目的とする作用物質及び被覆物質の分離に用いられる分離層が備えられていてよい。この層は、不活性被膜化剤(例えば、HPMC、HPC又は(メタ)アクリル酸−コポリマー)又はタルク又は他の好適な製薬学的物質を含むことができる。被膜化剤及びタルク又は類似物質を含む組合せを同様に使用することができる。部分的又は完全中和(メタ)アクリレートコポリマー−分散液を含む分離層を備えることも可能である。
【0084】
分離層は、その下のマトリックス層と同様に、同じ又は他のムコ粘着性ポリマーを含むこともできる。この方法で、作用物質又はムコ粘着性ポリマーと被膜形成(メタ)アクリレートコポリマー−層との場合による相互作用又は非相容性が回避され得る。
【0085】
被覆粒子を含む錠剤の製造のための混合物は、ペレットと錠剤化に好適な結合剤との混合、必要な場合には、分解促進物質の添加及び、必要な場合には、催滑剤の添加によって製造される。この混合は好適な機械中で行われる。被覆粒子を損傷させる混合機、例えば、鋤歯式混合機は不適当である。好適な短時間の分解を達成するために、被覆粒子への助剤の添加の際に、特別な順序を必要とすることができる。被覆粒子と催滑剤又は離型剤ステアリン酸マグネシウムとの予備混合によって、その表面は疎水性化されるので、粘着は回避され得る。
【0086】
錠剤化に好適な混合物は、分解助剤、例えば、コリドン(Kollidon)CL、通例3〜15質量%及び催滑剤及び離型剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、例えば、0.1〜1質量%を含有する。結合剤成分は、必要とされる被覆粒子成分によって決められる。
【0087】
典型的な結合剤は、例えば、セラクトース(Cellactose(登録商標))、微結晶セルロース、燐酸カルシウム、ルディプレス(Ludipress(登録商標))、乳糖又は他の好適な糖、硫酸カルシウム又は澱粉誘導体である。僅少な嵩密度を有する物質が有利である。
【0088】
典型的な分解助剤(砕解剤)は、架橋結合澱粉−又はセルロース誘導体、及び架橋結合ポリビニルピロリドンである。セルロース誘導体も同様に好適である。好適な結合剤の選択によって分解助剤の使用を省略することができる。
【0089】
典型的な催滑剤及び離型剤は、ステアリン酸マグネシウム又は他の好適な脂肪酸の塩、又は文献でこの目的のために挙げられた物質(例えば、ラウリン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク等)である。好適な機械(例えば、外部給油を備えた打錠機)又は好適な組成物の使用で、混合物中の催滑剤及び離型剤の使用を省略することができる。
【0090】
混合物に、場合により、流動性改善のための助剤を添加することができる(例えば、高分散性珪酸誘導体、タルク等)。
【0091】
錠剤化は、常用の打錠機、偏心−又は回転打錠機上で、5〜40kN、有利に10〜20kNの範囲の圧力で行なわれ得る。打錠機は外部給油のための系を備えていてよい。場合により、マトリックス充填を攪拌翼により回避する、マトリックス充填のための特別な系が使用される。
【0092】
他の多層粒子形剤形
打錠された錠剤又は小錠剤に選択的に、作用物質含有の被覆されたペレットを、任意の他の経口投与可能な多層粒子形剤形に加工することもできる。被覆ペレットを、例えば、カプセル、例えば、ゼラチンカプセル中に詰める又は袋剤又はドライシロップに組成することができる。
【0093】
本発明の有利な作用
本発明による剤形は、タンパク質−又はペプチド作用物質の照準された有効な遊離に好適である。この剤形は、高い投与確実性を有し、腸腔中で良好に分配される。この際、含有されるタンパク質−又はペプチド作用物質は、物理的又はタンパク質分解的不活性化に対して広汎に保護され、高成分の作用物質が身体によって吸収され得るように限定された作用部位で遊離され得る。従って、作用物質がほんの少し失われるだけなので、剤形は僅少な作用物質で足りる。副作用の危険は照準投与によって全体的に減少される。作用部位は治療目的によって可変的に調整され得る。従って、作用物質吸収の時点は良好に制御され得る。経口剤形が重要であるので、これは、他の投与形態に比べて、患者の全体的により良好な受容(”患者応諾”)を有する。それによって多数のペプチド−又はタンパク質作用物質は初めて経口使用され、従って、殊に腸管外適用の場合と同様に、僅少な適用リスクを有する。適用には熟練者を必要としないので、適用費用も少なく保たれ得る。
【0094】
ムコ粘着作用を有するポリマーの成分が、作用物質の成分よりも、質量%で3倍、有利に1000倍高いマトリックス系から、同時に生体有効性を上昇させて、促進された遊離を達成することができる。
【0095】
脂肪親和性マトリックス
本発明の特に有利な観点は、作用物質が、融点37℃以上、有利に45℃以上、特に有利に55℃以上を有する脂肪親和性マトリックス中に入れられ、作用物質含有の脂肪親和性マトリックスがムコ粘着作用を有するポリマーを含むマトリックス中に組み込まれている場合に明らかである。脂肪親和性マトリックスにおける組成は、作用物質、有利に、少し溶ける又は難溶性(DAB10の意において、2003)の作用物質の溶解性又は生体有効性を改善することを目標とする。
【0096】
本発明の意における脂肪親和性マトリックスとは、作用物質がその中に溶解、懸濁又は乳化され得る物質又は物質の混合物のことである。脂肪親和性マトリックスの1種以上の物質は、常用の製薬学的助剤及びムコ粘着作用を有するポリマーとは異なっている。脂肪親和性マトリックスの1種以上の物質は、有利に疎水性又は両親媒性の特性も有する。脂肪親和性マトリックスを両親媒性マトリックス又はリポイドマトリックスと称することもできる。
【0097】
脂肪親和性マトリックスは、単一物質、例えば、脂質、又は物質の混合物、例えば、脂質の混合物を含有することができる。混合物の場合には、DAB10による水溶性について次に記載した特性、分配係数及び/又はHLB−値が、混合物の物質の質量部及び値からの平均値から各々算出される。使用される物質は毒性であってはならない。
【0098】
作用物質及び脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質は、DAB10によるその水溶性において+/−50%以下、有利に+/−25%以下異なっていて、及び/又は補遺V〜RL67/548/EWG、A.8によるその分配係数において+/−60%以下、有利に+/−30%以下異なっていて、及び/又は物質にHLB値を関連させることができる場合には、マルス数(Marszall)により測定されるそのHLB−値において+/−80%以下、有利に+/−40%以下異なっていることが有利である。前記の少なくとも1特性、有利に2特性又は全3特性において、脂肪親和性マトリックスと作用物質との調和が高ければ高いほど、剤形中の作用物質の溶解性及び生体有効性がより有利になる。
【0099】
水溶性
作用物質及び脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質の水溶性は、DAB10(ドイツ薬局方(Deutsches Arzneibuch), 10. 版 3. 補遺 1994, Deutscher Apothekerverlag, Stuttgart 及びGovi Verlag, Frankfurt a. M., 2. 補遺 (1993), IV Allgemeine Vorschriften, S. 5 - 6, "溶解性及び溶剤(Loeslichkeit und Loesungmittel)", s. a. Ph. Eur. 4. 07, 2004)により決定される。溶解性の決定は、物質又は医薬物質1質量部に対する溶剤容量部の数で行なわれる。定義”少し溶ける”は、物質又は医薬物質1質量部に対する溶剤30〜100容量部を必要とする物質を包含し、定義”難溶性”は、物質又は医薬物質1質量部に対する溶剤100〜1000容量部を必要とする物質を包含する。
【0100】
分配係数
作用物質及び脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質の分配係数は、補遺V〜RL67/548/EWG、A.8”分配係数”により決定され得る。
【0101】
HLB−値
HLB−値は、1950年にGriffinによって導入された、非イオン界面活性剤の親水性又は脂肪親和性の尺度である。実験的にマルス数によるフェノール−滴定法によって測定できる;”香粧品、化粧品(Parfuemerie, Kosmetik)", Band 60, 1979, S. 444 - 448参照;Roempp, Chemie - Lexikon, 8. Aufl. 1983, S. 1750での文献引用。更に、例えば、US4795643(Seth))参照。HLB−値(親水性/脂肪親和性バランス)は、非イオン性の物質でのみ正確に測定され得る。陰イオン性の物質では、この値は計算的に求められ得るが、実質的には常に14以上又は著しく14以上である。
【0102】
作用物質及び脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質のHLB−値は、大抵の場合にマルス数によって決定され、製薬学的又は化学的参考書又は綱要書の表から引用され、又はイオン性の物質の場合には計算的に求められ得る。
【0103】
脂肪親和性マトリックス中の作用物質
剤形は、脂肪親和性マトリックス中に、作用物質1質量部に対する水少なくとも30、殊に30〜100又は100〜1000容量部のDAB10による水溶性を有する作用物質を含有することが有利である。従って、有利な作用物質は、DAB10の決定によって少なく溶ける又はむしろ難溶性である。
【0104】
脂肪親和性マトリックス中に組成される作用物質は、例えば、ペプチド抗生物質、免疫抑制剤、LHRH−拮抗剤、免疫変調剤から選択され得る。
【0105】
脂肪親和性マトリックス中に組成される作用物質は、例えば、アバレリックス、アンギオテンシンII、アニデュラフンギン、アニチド、アルギプレシン、アザリン及びアザリンB、ボムベシン−拮抗剤、ブラディキニン、ブセレリン、カルシトニン、セトロレリックス、シクロスポリン、シクロスポリンA、デスモプレシン、デチレリックス、エリトロポイエチン、エンケファリン(Leu−、Met−)ガニレリックス、ゴナドレリン、ゴセレリン、成長ホルモン−分泌促進剤、インスリン、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガンマ)、インターロイキン(IL1、IL2)、ミカフンギン、ナファレリン、ロイプロリド、ロイプロレリン、オクトレオチド、オルンチド、オキシトシン、上皮小体ホルモン、ラモレリックス、セクレチン、ソマトトロピン、テルリプレシン、テトラコサクチド、テベレリックス、トリプトレリン、チロリベリン、チロトロピン腫瘍壊死因子(TNFアルファ、ベータ)又はバソプレシンであってよい。
【0106】
脂肪親和性マトリックス/ムコ粘着作用を有するポリマー
有利な1実施態様において、脂肪親和性マトリックスとムコ粘着作用を有するポリマーとの可能な相互作用が考慮される。制御不可能な相互作用を回避するために、脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質及びムコ粘着作用を有するポリマーは、有利に同じイオン性を有する、即ち、両者とも一致して、少なくとも優勢的に陽イオン特性を有するか、又は一致して陰イオン特性を有するべきである。反対のイオン特性を有する物質が選択される場合には、ムコ粘着作用を有するポリマーは、有利に少なくとも50、特に有利に100%まで中和形で存在すべきである。中和は、酸又は塩基の添加によって公知方法で行われ得る。
【0107】
脂肪親和性マトリックスの構成のための1種以上の物質
脂肪親和性マトリックスは、(平均)HLB−値0〜15、有利に2〜10を有する物質又は物質混合物を80〜100、有利に90〜100、特に有利に100質量%まで有利に含む。脂肪親和性マトリックスは製薬学的に常用の助剤、殊に安定剤、粘稠剤又は吸着剤0〜20、有利に0〜10質量%含有することができる。製薬学的常用の助剤を含有しないことが特に有利である。
【0108】
脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質は、例えば、油、脂肪、モノ−、ジ−又はトリグリセリド、脂肪酸、脂肪アルコール、殊に、C−〜C20−脂肪酸及び/又はC−〜C20−アルコール(その塩、エーテル−、エステル−又はアミド−誘導体を含む)、燐脂質、レシチン、乳化剤、リポイド、脂溶性ビタミン又は界面活性剤の群に属し得る。
【0109】
脂肪親和性マトリックスは、例えば、次の脂質製剤を含有し得る:
(イムビトール(Imwitor)308)モノエステル成分>80%を有するグリセリルモノカプリレート、(イムビトール312)モノエステル成分>90%を有するグリセリルモノラウレート、(イムビトール491)モノエステル成分>90%を有するグリセロールモノステアレート(C16+C18)、(イムビトール900P)モノエステル成分40〜55%及びC18−含量40〜60%を有するグリセロールモノステアレート、(イムビトール900K)モノエステル成分40〜55%及びC18−含量60〜80%を有するグリセロールモノステアレート、(イムビトール742)モノエステル成分45〜55%を有する中鎖C及びC10グリセリド、(イムビトール928)主成分C12及びモノエステル成分34〜36%を有する飽和植物性C10〜C18脂肪酸の部分グリセリド、C及びC10−グリセリド、Naカプリレート又はNaカプリエート。
【0110】
脂肪親和性マトリックスは、例えば、次の脂質製剤を含有することができる:
脂肪、例えば、飽和及び不飽和脂肪酸のモノ−、ジ−、トリグリセリド及びその混合物。殊に、グリセリン−ステアリン酸エステル、グリセリン−パルミチン酸エステル、グリセリン−ミリスチン酸エステル、グリセリン−パルミチン酸−ステアリン酸エステル、グリセリン−ラウリン酸エステル、グリセリン−カプリル酸エステル、グリセリン−油酸エステル、これらのエステルの例は、イムビトール(登録商標)−308、−312、−491、742、−900、−928、−988、及びゲルシレ(Gelucire)(登録商標)44/14、−50/13、ゲレオール(Geleol)、コムプリトール(Compritol)EATO、ディナサン(Dynasan)114、ソフチサン(Softisan)、ウィテプソール(Witepsol)、ダイナセット(Dynacet)212、ヤシ脂。
油、例えば、ヒマシ油、ゴマ油、ヒマワリ油、綿実油、トウモロコシ油、ヘントウ油、落花生油、オリーブ油、ヤシ油、ニンジン油、小麦胚油、クルミ油。
中性油、例えば、イソプロピルミリステート、−パルミテート、−ステアレート、中鎖のトリグリセリド(ミグリオル(Miglyol)(登録商標))。
短鎖の脂肪族及び芳香族カルボン酸エステル、例えば、ジブチルフタレート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、グリセリントリアセテート。
蝋、例えば、カナウバ(Kanauba)蝋、蜜蝋、羊毛蝋、グリセリンベヘン酸エステル。
脂肪酸アミド、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド。
脂肪族長鎖カルボン酸、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、油酸、カプリル酸、リノール酸、リノレン酸。並びに、例えば、そのNa−、Al−及びMg−塩。
脂肪アルコール、例えば、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチンアルコール、グリセリンホルマル。
W/O乳化剤、例えば、コレステロール、グリセリンモノステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート(スパン(Span)(登録商標)80)、−パルミテート(スパン(登録商標)40)、−ラウレート(スパン(登録商標)20)、−ステアレート(スパン(登録商標)60)、ソルビタントリオレエート(スパン(登録商標)85)、ソルビタントリステアレート(スパン(登録商標)65)、ソルビタンセスキオレエート(アルラセル(Arlacel)(登録商標)83)、Ca−、Al−、Mg−ステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(ツィーン(Tween)(登録商標)65)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(ツィーン(登録商標)85)。
非イオン性O/W乳化剤、例えば、マクロゴルステアレート400(クロモホル(Chremophor)(登録商標)A)、マクロゴルラウリルエーテル、ポリエチレングリコール−20−ソルビタンモノラウレート、−ステアレート、−パルミテート、−オレエート、マクロゴル−1500−グリセリントリリシノレエート、マクロゴルグリセリンヒドロキシ−ステアレート(クロモホル(登録商標)RH)、マクロゴル−1000−グリセリンモノ−ラウレート、−ステアレート、−オレエート、サッカロースモノステアレート。ポリソルベート60(ツィーン(登録商標)60)、ポリオキシエチレンモノステアレート(ミルジ(Myrj)49)、ポリソルベート80(ツィーン(登録商標)80)、ポリソルベート40(ツィーン(登録商標)40)、ポリソルベート20(ツィーン(登録商標)20)、ポロキサマー407(ルトロール(Lutrol)(登録商標)F127)、ポロキサマー188(ルトロール(登録商標)F68)、ポリオキシエチレンリチノレエート(クレモホル(Cremophor)(登録商標)EL)、ポリオキシエチレン−5−ステアリルステアレート。
イオン性O/W乳化剤、例えば、セチルステアリルスルフェート(ラネッテ(Lanette)(登録商標)E)、Na−ラウリルスルフェート(テキサポン(Texapon)(登録商標)Z)、Na−グリココレート、ヘデラゲニン。
両親媒性乳化剤、例えば、卵−ホスファチジルコリン(卵レシチン)、大豆−ホスファチジルコリン(大豆レシチン)、ベタイン、スルホベタイン、セラミド(スフィンゴミエリン)。
ビタミン、例えば、レチノール(ビタミンA)、コレカルシフェロール(ビタミンD)、アルファ−トコフェロール及びアルファ−トコフェロールアセテート(ビタミンE)、フィロチノン(ビタミンK)。
【0111】
他の助剤は、ガラクトリピド、例えば、モノガラクトシル−ジアシルグリセリン、ジガラクトシル−ジアシルグリセリン、トリガラクトシル−ジアシルグリセリン、及び芳香族油、例えば、アニス油、シトロネラ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、カミレ油、ショウズク油、松葉油、カラウェー油、ワイマツ油、ラベンダー油、ハッカ油、ニクズク油、チョウジ油、ペパーミント油、マンネンロウ油、サルビア油及びテルペン、例えば、メントール、リナロール、1,4−シネオール、ピレトリン、ボルネオール、オイデスモール、フィトール、マノール、アザディラヒチン(Azadirachtin)、ニムビン(Nimbin)である。
【0112】
作用物質は少なくとも10%まで、特に有利に少なくとも20%まで、殊に少なくとも50%まで脂肪親和性マトリックス中に溶解していることが有利である。
【0113】
内側マトリックス−層a)の作用物質含有脂質マトリックス含量は、1〜50、有利に10〜20質量%であってよい。
【0114】
脂肪親和性マトリックスは、作用物質が、PgP−流出ポンプの基質、例えば、ソルトル(Solutol)HS15、トリグリセリド、殊にトリステアレートである場合には、グリセリンモノカプリレート少なくとも50質量%まで、Na−コレート10質量%まで、トコフェロール−スクシネート10質量%まで、流出−ポンプ−阻害剤1〜5質量%を含有することが有利であり、この際、成分は全量100%である。この脂肪親和性マトリックスは直接ムコ粘着性ポリマー中に加入混合され得る、又は水中に乳化されて、ムコ粘着性ポリマー中に加入混合され得る。後者では、水相は弱酸、例えば、クエン酸を含有することができる。
【0115】
少し溶ける又は更に難溶性の(DAB10による)、分子量>3000を有する作用物質は、プロテアーゼ阻害剤、例えば、大豆トリシン(−trysin−)阻害剤を水相で含有している。
【0116】
方法
本発明は、次の段階での多層粒子形剤形の製法にも関する:
a)作用物質と、脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質及び場合により他の製薬学的常用の助剤との、内容物の強力な混合又は溶融による、懸濁及び/又は溶解による作用物質含有の脂肪親和性マトリックスの製造、
b)作用物質含有の脂肪親和性マトリックスと混合させたムコ粘着性ポリマーの核への噴霧塗布による、又は核が存在しない回転凝集、沈殿又は噴霧法による予備ペレット(ペレット核)の製造、
c)段階b)からの予備ペレットへの、製薬学的常用の助剤、殊に軟化剤及び分離剤の任意の添加物を含有し得る陰イオンポリマー又はコポリマーの被覆の、分散液又は有機溶液からの噴霧塗布によるペレットの製造、
d)自体公知の方法で、場合により製薬学的常用の助剤の使用下に、殊に、ペレット含有の錠剤、小錠剤、カプセル剤、袋剤又はドライシロップへの加工による、段階c)からのペレットの充填又は加入による多層粒子形剤形の製造。
【0117】
有利な方法
方法段階a)及びb)を次のように実施することが有利である:
a)作用物質と、脂肪親和性マトリックスのための1種以上の物質及び場合により他の製薬学的常用の助剤との、水中での内容物の強力な混合によるエマルジョン、分散液又は溶液の製造による内側マトリックス−層の製造及び平均粒度60以下、有利に20μm以下の水中油−製剤の製造、
b)場合により他の製薬学的常用助剤の添加物を含有し得る、ムコ粘着性ポリマーへの段階a)からの水中油−製剤の噴霧塗布による予備ペレットの製造(この際、回転凝集、押出し又は顆粒化により、例えば、平均粒度10〜100μmを有する微細粉末状の内容物が存在する)。
【0118】

ムコ粘着組成のペプチド−及びタンパク質−作用物質を含有するペレットの製造
【0119】
例1
第一被覆(予備ペレット):
Na−カルボキシメチルセルロース(ブラノース(Blanose)7LF、Hercules-Aualon)20g=ペレットに対して10%(水分吸収ブラノース7LF:燐酸塩緩衝液中pH7.2での15分間で約50%、Hassan u. Galloにより測定したpH7.2でのムコ粘着性:η=約250mPa.s)を、エーロジル(Aerosil)200(微結晶セルロース)1.25g=ブラノースに対して6.25%と一緒に、脱ミネラル水378.8g中でプロペラ付攪拌器での攪拌下に溶解させる。ポリソルベート80(33%の)0.72g=グリセリンモノステアレート(GMS)に対して40%を、水10g中で攪拌下に溶解させる。GMS0.6g=ブラノースに対して3%及び脱ミネラル水全量20gの添加後に、分散液を80℃に加熱する。分散液を30℃に冷却後に、ウルトラトラックス(Ultraturrax)−混合機で10分間均一にし、引き続きブラノース溶液に攪拌下に加える。引き続きデスモプレシン−アセテート(M=1067)139.4mg=組成物中0.062%を脱ミネラル水30g中に溶かし、ブラノース−溶液に加える。
【0120】
核剤ペレット850〜1000μm200gを、小−渦動層装置(ミニグラット(Mini Glatt)、Fa. Gratt, Binzen)中に前以て装入させ、デスモプレシン−ブラノース−溶液で被覆する。
【0121】
噴霧パラメーター:
噴霧ノズル0.5mm
噴霧率1〜1.26g/分
噴霧圧0.8バール
通気圧1バール
通気温度45℃
生成物温度41.5〜43℃
後乾燥、ミニグラット中40℃で10分間
噴霧時間:約2〜6時間
乾燥、室温で1晩
層厚(REM):12〜18μm
表1:燐酸塩緩衝液pH7.2中デスモプレシンの遊離(USPXXVによる);100分−1;パドル;1時間;100rpm;37℃;n=4;(第一層)。遊離されたデスモプレシンは、分光計で、220nmで検出される。
【0122】
【表2】

【0123】
例2
第二被覆(ペレット)
オイドラギット(登録商標)FS30D(メチルメタクリレート25質量%、メチルアクリレート65質量%及びメタクリル酸10質量%を含むコポリマーを含有する30%の分散液、Roehm GmbH & Co. KG, Darmstadt)66.7gを、トリエチルシトレート(TEC)1g=LTS(ラッカー乾燥物質)に対して5%と、150mL入りフラスコ中で混合させる。ポリソルベート80(33%の)2.2g=GMSに対して40%を、脱ミネラル水46g中で攪拌下に溶解させる。GMS1.8g=LTSに対して9%及び脱ミネラル水の添加後に、分散液を80℃に加熱する。分散液を30℃に冷却後に、ウルトラトラックスで10分間均一化させ、引き続きオイドラギット(登録商標)FS30D分散液に攪拌下に加える。30分間の攪拌後に、例2からのデスモプレシン−ブラノース被覆ペレット100gを、ミニグラット中に前以て装入させ、オイドラギット(登録商標)FS30D分散液で被覆する。
噴霧パラメーター:
噴霧ノズル0.5mm
噴霧率0.6〜0.9g/分
噴霧圧0.7バール
通気圧0.7バール
通気温度30℃
生成物温度29〜30℃
後乾燥、ミニグラット中40℃で10分間
乾燥、室温で1晩
噴霧時間:約1〜2.5時間
層厚(REM):40〜45μm
表2:
オイドラギット(登録商標)FS30D被覆ペレットのデスモプレシン遊離、0.1モルHCl中2時間、燐酸塩緩衝液pH7.2中1時間;100rpm;パドル;37℃;n=4(第二被覆)
【0124】
【表3】

【0125】
例3
第一被覆(予備ペレット):
ブラノース7LF20g=ペレットに対して20%(水分吸収:燐酸塩緩衝液中pH6.0で、15分間で約50%、Hassan u. Galloにより測定した燐酸塩緩衝液中pH6.0でのムコ粘着性:η=約270mPa.s)を、エーロジル200 1.1g=ブラノースに対して5.5%及びポリソルベート80(33%の)1.52gブラノースに対して2.5%と一緒に、脱ミネラル水727.4g中で、プロペラ攪拌器での攪拌下に溶解させる。引き続き、デスモプレシンアセテート139.4mg=組成物中0.062%を脱ミネラル水50g中に溶かし、ブラノース−溶液に攪拌下に加える。
850〜1000μmの中性核(核剤)200gを、小−渦動層装置(ミニグラット、Fa. Gratt, Binzen)中に前以て装入させ、デスモプレシン−ブラノース−溶液で被覆する。
【0126】
噴霧パラメーター:
噴霧ノズル0.5mm
噴霧率1.4〜2.0g/分
噴霧圧1バール
通気圧1.2バール
通気温度45〜47℃
生成物温度41〜42℃
噴霧時間:約2〜6時間
後乾燥、ミニグラット中44℃で10分間
乾燥、室温で1晩
層厚(REM):10〜12μm。
【0127】
例4
第二被覆(ペレット):
(メタ)アクリレートコポリマー−分散液(メチルアクリレート/ブチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸を比率20/20/30/30で含むコポリマーを含有する30の分散液、Roehm GmbH & Co. KG, Darmstadt)66.7gを、250mL入りフラスコ中に前以て装入させる。ポリソルベート80(33%の)2.4g=GMSに対して40%を、脱ミネラル水81g中に攪拌下に溶かす。GMS2.0g=ラッカー乾燥物質に対して10%の添加後に、分散液を80℃に加熱する。分散液を30℃に冷却後に、ウルトラトラックスで10分間均一にし、引き続き、製剤4154D分散液に攪拌下に加える。30分間の攪拌後に、例3からのデスモプレシン−ブラノース被覆ペレット100gを、ミニグラット中に前以て装入させ、分散液で被覆する。
噴霧パラメーター:
噴霧ノズル0.5mm
噴霧率0.6〜0.9g/分
噴霧圧0.5バール
通気圧0.7バール
通気温度35〜37℃
生成物温度32〜33℃
後乾燥、ミニグラット中40℃で10分間
噴霧時間:約1〜2時間
乾燥、室温で1晩
層厚(REM):40〜45μm。
表4:前記のコポリマーで被覆したペレットのデスモプレシン遊離、0.1モルHCl中2時間、燐酸塩緩衝液pH6.0中1時間;100rpm;パドル;37℃;n=4(第二被覆)
【0128】
【表4】

【0129】
例5
第一被覆(予備ペレット):
低分子量(MW)のキトサン(フルカ(Fluka))15g=ペレットに対して10%(水分吸収キトサン:酢酸塩緩衝液中pH5.5で、15分間で約140%、Hassan u. Galloにより測定したpH5.5でのムコ粘着性:eta-b=約220mPa.s)を、エーロジル200 0.825g=キトサンに対して5.5%と一緒に、脱ミネラル水1122g及びポリソルベート80(33%の)1.36g=キトサンに対して3%中で、プロペラ攪拌器での攪拌下に分散させる。引き続き、キトサンを酢酸60gの添加によって更なる攪拌下に1時間以内に溶解させる。デスモプレシンアセテート104.6mg=組成物中0.063%を脱ミネラル水50g中に溶かし、キトサン溶液に加える。
850〜1000μmの核剤ペレット150gを、ミニグラット(Gratt, Binzen)中に前以て装入させ、デスモプレシン−キトサン−溶液で被覆する。
噴霧パラメーター:
噴霧ノズル0.5mm
噴霧率0.8〜2.5g/分
噴霧圧1.5〜1.8バール
通気圧1.1〜1.2バール
通気温度60〜69℃
生成物温度59〜62℃
後乾燥、ミニグラット中50℃で10分間
噴霧時間:約3〜8時間
乾燥、室温で1晩
層厚(REM):12μm
表5:
燐酸塩緩衝液pH5.5中でのデスモプレシンの遊離;100分−1;パドル;1時間;100rpm;パドル;37℃;n=4;(第一層)
【0130】
【表5】

【0131】
例6
第二被覆(ペレット):
オイドラギット(登録商標)L30D−55(メタクリル酸50質量%及びエチルアクリレート50質量%を含む(メタ)アクリレートコポリマーを含有する30%の分散液)66.7gを、トリエチルシトレート(TEC)2g=LTS(ラッカー乾燥物質)に対して10%と、150mL入りフラスコ中で混合させる。ポリソルベート80(33%の)0.73g=GMSに対して40%を、脱ミネラル水46g中に攪拌下に溶かす。GMS0.6g=LTSに対して3%及び脱ミネラル水の添加後に、分散液を80℃に加熱する。分散液を30℃に冷却後に、ウルトラトラックスで10分間均一にし、引き続き、オイドラギット(登録商標)L30D−55分散液に攪拌下に加える。30分間の攪拌後に、例5からのデスモプレシン−キトサン被覆ペレット100gを、ミニグラット中に前以て装入させ、オイドラギット(登録商標)L30D−55分散液で被覆する。
【0132】
例7:噴霧性
表7:様々な濃度でのポリマー分散液/又は−溶液の噴霧性(あり/なし)についての概要。
【0133】
【表6】

【0134】
例8:異なる腸部分における作用物質照準遊離のための組成物例(表8参照)。
【0135】
担体物質として850〜1000μmの核剤ペレットを使用して、被覆後に完成した組成物の粒度→900〜1050μm
【0136】
【表7】

【0137】
【表8】

【0138】
作用物質含有の脂肪親和性マトリックスでの実施態様の例
1.例:難溶性タンパク質の組成物の実施
(エリスロポエチンアルファ;DAB10による水溶性、作用物質1部に対する水少なくとも500部;2g/lに相応する)。
【0139】
a)脂肪親和相の予備製造
インビター312(溶融温度55〜60℃)100gを、水浴中65℃で溶融させ、インビター308(溶融温度30〜34℃)50gを徐々に溶融物中に加入混合させる。水浴を50℃まで下げ、トコフェロールアセテート7.5g、2及びNa−グリココレート2及び3.5gを攪拌下に添加する。そうして、脂肪が再び凝固することなく、浴の温度を更に5℃下げることができる。そうして、生じた脂肪親和性マトリックスは、溶融温度38〜41℃、及び脂肪親和性マトリックス1部に対して水少なくとも400部;2.5g/lに相応する)のDAB10により個々の成分から計算される水溶性を有する。この溶液に、エリスロポエチンアルファ(約40Mill I. E.)330mgを攪拌下に添加する。
【0140】
b)エマルジョンの製造
蒸留水750mlを先ず45℃で加熱し、乳化剤(2%)としてNa−カプリネート15gを加える。この溶液を次いでクエン酸の添加でpH−値約7に調整する。その後に、大豆−トリプシン阻害剤(セリン−ペプシダーゼ阻害剤)1.5g及びバシトラシン(アミノペプシダーゼ阻害剤)1.5gをこの溶液に攪拌下に加える。次いで、この溶液に、脂肪親和相を強力な攪拌下に乳化させる。顕微鏡検査により50〜60μm以上の脂肪親和性小滴が検出されなくなった時に、エマルジョン−過程を終了させることができる。
【0141】
c)ムコ粘着性核の製造
ローター装置を有するGPCG1中で、Na−アルギネート粉末350g、微結晶セルロース145及びクエン酸5gをそれに加える。b)に記載したエマルジョンを、結合剤として、回転凝集法で、噴霧率約90g/分で噴霧させる。
【0142】
ローターを1700〜1800UPMで、通気を42m/時に、空気温度を30℃に調整する。
【0143】
この条件下に、250〜600μmのムコ粘着性核を、80%までの収率で製造することができる。
【0144】
治療的用量240μgが、ペレット核0.5g中に含有されている。
【0145】
d)被覆ペレットの製造
c)からのペレット核を、慣用の渦動層法で、オイドラギット(登録商標)FS30Dで被覆する。ポリマー塗布は核質量に対して40質量%である。被覆のための分散液/懸濁液は、次のものを含有する:
オイドラギット(登録商標)FS30D 44.65%
トリエチルシトレート 0.67%
ポリソルベート80 0.26%
グリセリンモノステアレート 0.67%
水 53.75%。
【0146】
そうして得られるペレットを、常用の製薬学的方法及び助剤を用いて錠剤に圧縮し、又はカプセルに充填することができる。
【0147】
2.例:難溶性ペプチドの組成物の実施
(セトロレリックス(Cetrorelix)アセテート;DAB10による水溶性、作用物質1部に対して水少なくとも1000部;1g/lに相応する)。
【0148】
a)脂肪親和相の予備製造
インビター312(溶融温度55〜60℃)13gを、ポロキサマー407(ルトロール(Lutrol)F127、溶融温度50〜55℃)4gと、水浴中65℃で溶融させる。引き続き、カプリル酸1g、Na−カプリレート1g及びトコフェロールアセテート1gを攪拌下に添加する。そうして、生じた脂肪親和性マトリックスは、溶融温度40〜48℃、及び脂肪親和性マトリックス1部に対して水少なくとも700部(1.5g/lに相応する)のDAB10により個々の成分から計算される水溶性を有する。45℃への溶液の冷却後に、セトロレリックスアセテート3.0gを、急速な攪拌下に、脂肪親和相に加入し、冷却させる。
【0149】
b)エマルジョンの製造
a)から得られる分散液をウルトラトラックス(20000U/分)で、b)からのキトサンシトレート分散液と、氷浴での10℃までの更なる冷却下に、少なくとも10分間分散させる。顕微鏡検査により50〜60μm以上の脂肪親和性小滴が検出されなくなった時に、乳化−過程を終了させることができる。
【0150】
c)ムコ粘着性核の製造
キトサン20gを水1000g中に分散させ、引き続き、極めて急速な攪拌下に、クエン酸20gを分散させる。得られる澄明な帯黄色の粘性溶液中に、急速な攪拌下に、Na−ドデカネート2gを添加し、更に1時間攪拌する。
【0151】
b)からのエマルジョンを、GPCG1(グラット)で、噴霧率10〜12g/分/kgで、400〜600μmの中性−ペレット250gに、通気温度30℃で噴霧する。この際、通気を45〜50m/時に調整する。この際、収率は90%である。
【0152】
d)被覆ペレットの製造
そうして得られるペレットを、慣用の渦動層法で、オイドラギット(登録商標)L12.5で被覆する。ポリマー塗布は核質量に対して40質量%である。被覆のための懸濁液は、次のものを含有する:
オイドラギット(登録商標)L12.5 53.3%
トリエチルシトレート 1.33%
イソプロパノール 38.3%
タルク 2.0%
水 5.0%。
【0153】
そうして得られるペレットを、常用の製薬学的方法及び助剤を用いて錠剤に圧縮し、又はカプセルに充填することができる。
【0154】
3.例:難溶性タンパク質の組成物の実施
(ベータ−インターフェロン ヒト;DAB10による水溶性、作用物質1部に対して水少なくとも600部;2g/lに相応する)。
【0155】
a)脂肪親和相の予備製造
インビター312(溶融温度55〜60℃)400g及びダイナサン(Dynasan)114(溶融温度55〜58℃)200gを、トコフェロールアセテート30gと、65℃で溶融させ、造粒機(ボーレ(Bohle))中に加える。それに、Na−カプリレート20gを攪拌下に添加する。混合物を45℃に冷却し、その中にインターフェロン−ベータ100mgを溶かす。そうして、得られる脂肪親和性マトリックスは、溶融温度39〜46℃及び脂肪親和性マトリックス1部に対して水少なくとも840部のDAB10により個々の成分から計算される水溶性を有する。脂肪親和性マトリックスを冷却下に粒度50μm以下に粉砕する。
【0156】
b)緩衝液の製造
Na−シトレート1g及びクエン酸1gを水500g中に溶かす。急速な攪拌下に、Na−コレート及び大豆−トリプシン阻害剤100mgを添加する。
【0157】
c)顆粒化
a)からの粉砕された作用物質含有の脂肪親和性マトリックスを、造粒機中で、ブラノース7LF1500gと混合させる。引き続き、b)からの水性緩衝液と共に粒化させ、そうして0.2〜0.5mmの大きさの粒子が生成し、これを造球機で球状にする。得られる湿潤核を渦動層乾燥機中30〜25℃で適度に乾燥させる。
【0158】
d)被覆ペレットの製造
そうしたc)からの核を、慣用の渦動層法で、オイドラギット(登録商標)FS30Dで被覆する。ポリマー塗布は核質量に対して40質量%である。被覆のための分散液/懸濁液は、次のものを含有する:
オイドラギット(登録商標)FS30D 44.65%
トリエチルシトレート 0.67%
ポリソルベート80 0.26%
グリセリンモノステアレート 0.67%
水 53.75%。
【0159】
そうして得られるペレットを、常用の製薬学的方法及び助剤を用いて錠剤に圧縮し、又はカプセルに充填することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の、
a)その誘導体又は複合体を含むペプチド又はタンパク質であり、ムコ粘着作用を有するポリマーを含むマトリックス中に入れられている作用物質を含有する内側マトリックス−層(この際、マトリックスは任意に他の製薬学的常用の助剤を含有することができる)、
b)任意に製薬学的常用の助剤、殊に、軟化剤と組成されていてよい、陰イオンポリマー又はコポリマーを主に含む外側被膜被覆
から主に構成されている、50〜2500μmの範囲の大きさを有するペレットを含有する経口多層粒子形剤形において、
含有ペレットが胃のpH−範囲で遊離され、外側被覆は、陰イオンポリマー又はコポリマー又はその助剤との組成物及びその層厚の選択によって、それが腸で4.0〜8.0のpH−範囲で15〜60分間以内に溶解するように調節され、そうして作用物質含有のムコ粘着性マトリックス−層が遊離され、腸粘膜に結合し、かつそこで作用物質を遊離することができるように多層粒子形剤形は組成され、この際、ムコ粘着作用を有するポリマーは、外側被覆が溶解し始めるpH−値に対して、+/−0.5pH−単位の範囲で、η=150〜1000mPasのムコ粘着作用、及び15分間で10〜750%の水分吸収を有するように選択され、マトリックス層の作用物質割合はムコ粘着作用を有するポリマー含量の最高40質量%であることを特徴とする剤形。
【請求項2】
外側被膜被覆は、セルロースグリコレート(デュオドセル(登録商標))、セルロースアセテートフタレート(CAP, Cellulosi acetas, PhEur, セルロースアセテート−フタレート、NF、アクアテリック(登録商標)、セルロースアセテートスクシネート(CAS)、セルロースアセテートトリメリエート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP, HP50, HP55)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS−LF, −MF, −HF)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP, スレテリック(登録商標))、ビニルアセテート−ビニルピロリドン−コポリマー(PVAc, コリドン(登録商標)VA64)、ビニルアセテート:クロトン酸−コポリマー9:1(VAC:CRA, コリコエート(登録商標)VAC)及び/又はシェラックである、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
外側被膜被覆は、陰イオン基を有するモノマー含量5〜60質量%を有する(メタ)アクリレート−コポリマーを含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項4】
外側被覆の層厚は、20〜200μmの範囲にある、請求項1から3までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項5】
内側マトリックスは、C−〜C20−脂肪酸及び/又はC−〜C20−アルコール(その塩、エーテル−、エステル−又はアミド−誘導体を含む)及び/又は脂質及び/又は燐脂質及び/又は脂溶性ビタミン及び/又はプロテアーゼ阻害剤及び/又は浸透促進剤を含有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項6】
ムコ粘着作用を有するポリマーは、キトサン、メチルメタクリレート20〜40質量%及びメタクリル酸60〜80質量%を含む(メタ)アクリレートコポリマー及び/又はセルロース、殊にNa−カルボキシメチルセルロース、架橋結合及び/又は非架橋結合ポリアクリル酸、レクチン、Na−アルギネート及び/又はペクチンである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の剤形
【請求項7】
内側マトリックスは、ムコ粘着作用を有するポリマーとして、マトリックス中に又はマトリックスがその上に塗布される核中に又は核上に存在している酸又は緩衝液系と一緒に使用されるキトサンを含有する、請求項6に記載の剤形。
【請求項8】
内側マトリックス−層はキトサンを含有し、酸又は緩衝液系によりpH5.0〜5.5に調整され、pH6.0〜8.0の範囲で溶解し始める外側被膜被覆と組み合わされる、請求項7に記載の剤形。
【請求項9】
作用物質は、平均分子量M3000未満を有するタンパク質又はペプチドである、請求項1から8までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項10】
作用物質は、アバレリックス、アンギオテンシンII、アニデュラフンギン、アンチド、アルギプレシン、アザリン及びアザリンB、ボムベシン−拮抗体、ブラディキニン、ブセレリン、セトロレリックス、シクロスポリンA、デスモプレシン、デチレリックス、エンケファリン(Leu−、Met−)ガニレリックス、ゴナドレリン、ゴセレリン、成長ホルモン−分泌促進剤、ミカフンギン、ナファレリン、ロイプロリド、ロイプロレリン、オクトレオチド、オルンチド、オキシトシン、ラモレリックス、セクレチン、ソマトトロピン、テルリプレシン、テトラコサクチド、テベレリックス、トリプトレリン、チロリベリン、チロトロピン又はバソプレシンである、請求項9に記載の剤形。
【請求項11】
マトリックス−層は、付加的に、C−〜C20−脂肪酸及び/又はC−〜C20−アルコール(その塩、エーテル−、エステル−又はアミド−誘導体を含む)及び/又は脂質及び/又は燐脂質及び/又は脂溶性ビタミンを含有する、請求項9又は10に記載の剤形。
【請求項12】
作用物質は、平均分子量3000〜10000を有するタンパク質又はペプチドである、請求項1から8までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項13】
作用物質は、カルシトニン、コルチコトロピン、エンドルフィン、上皮成長因子、グルカゴン、インスリン、ノボリン、副甲状腺ホルモン、リラキシン、プロ−ソマトスタチン、サーモンセクレチンである、請求項12に記載の剤形。
【請求項14】
マトリックス−層は、C−〜C20−アルコール(その塩、エーテル−、エステル−又はアミド−誘導体を含む)及び/又は脂質及び/又は燐脂質及び/又は脂溶性ビタミン及び/又はプロテアーゼ阻害剤を含有する、請求項12又は13に記載の剤形。
【請求項15】
作用物質は、平均分子量M10000超を有するタンパク質又はペプチドである、請求項1から9までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項16】
作用物質は、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガンマ)、インターロイキン(IL1、IL2)、ソマトトロピン、エリトロポイエチン、腫瘍壊死因子(TNFアルファ、ベータ)、リラキシン、エンドルフィン、ドルナーゼアルファ、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛膜ゴナドトロピン(HCG)、ヒト成長ホルモン放出因子(hGRF)、黄体形成ホルモン(LH)又は上皮成長因子である、請求項15に記載の剤形。
【請求項17】
マトリックス−層は、C−〜C20−脂肪酸及び/又はC−〜C20−アルコール(その塩、エーテル−、エステル−又はアミド−誘導体を含む)及び/又は脂質及び/又は燐脂質及び/又は脂溶性ビタミン及び/又はプロテアーゼ阻害剤及び/又は浸透促進剤を含有する、請求項15又は16に記載の剤形。
【請求項18】
作用物質含有マトリックス−層と外側被膜被覆との間に、分離層が備えられている、請求項1から17までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項に記載の多層粒子形剤形を製造するために、
a)ペプチド又はタンパク質である作用物質及びムコ粘着作用を有するポリマー及び場合により他の製薬学的常用の助剤を含有する内側マトリックス−層を、核への噴霧塗布により又は核を伴わずに回転凝集、沈殿又は噴霧法によって製造し、引き続き
b)任意に製薬学的常用の助剤、殊に軟化剤と組成されていてよい陰イオンポリマー又はコポリマーを主に含む被膜外側被覆を噴霧塗布により施して、そうして作用物質含有の被覆化ペレットを得て、かつ
c)得られたペレットを、製薬学的常用の助剤により、自体公知の方法で、得られたペレットが胃のpH−範囲で遊離されるように組成されている多層粒子形剤形、殊にペレット含有の錠剤、小錠剤、カプセル剤、袋剤又はドライシロップに加工することにより、多重特殊医剤形を製造する方法。
【請求項20】
作用物質を、融点37℃超を有する脂肪親和性マトリックス中に入れ、かつ作用物質含有の脂肪親和性マトリックスを、ムコ粘着作用を有するポリマーを含むマトリックス中に入れる、請求項1から18までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項21】
作用物質及び脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質は、DAB10によるその水溶性において、+/−50%より高くは異なっておらず、及び/又は補遺V〜RL67/548/EWG、A.8によるその分配係数において、+/−60%より高くはことなっておらず、及び/又はマルス数により測定されるそのHLB−値において、+/−80%より高くは異なっていない、請求項20に記載の剤形。
【請求項22】
DAB10による、作用物質質量部に対して水少なくとも30容量部の水溶性を有する作用物質が含有されている、請求項20又は21に記載の剤形。
【請求項23】
作用物質は、ペプチド抗生物質、免疫抑制剤、LHRH−拮抗剤、免疫変調剤の群からから選択される、請求項22に記載の剤形。
【請求項24】
作用物質は、アバレリックス、アンギオテンシンII、アニデュラフンギン、アンチド、アルギプレシン、アザリン及びアザリンB、ボムベシン−拮抗体、ブラディキニン、ブセレリン、カルシトニン、セトロレリックス、シクロスポリン、シクロスポリンA、デスモプレシン、デチレリックス、エリトロポイエチン、エンケファリン(Leu−、Met−)ガニレリックス、ゴナドレリン、ゴセレリン、成長ホルモン−分泌促進剤、インスリン、インターフェロン(アルファ、ベータ、ガンマ)、インターロイキン(IL1、IL2)、ミカフンギン、ナファレリン、ロイプロリド、ロイプロレリン、オクトレオチド、オルンチド、オキシトシン、上皮小体ホルモン、ラモレリックス、セクレチン、ソマトトロピン、テルリプレシン、テトラコサクチド、テベレリックス、トリプトレリン、チロリベリン、チロトロピン、腫瘍壊死因子(TNFアルファ、ベータ)又はバソプレシンである、請求項22又は23に記載の剤形。
【請求項25】
脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質及びムコ粘着作用を有するポリマーは、同じイオン性を有する、又は反対のイオン性を有する場合には、ムコ粘着作用を有するポリマーは少なくとも50%まで中和された形で存在する、請求項20から24までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項26】
脂肪親和性マトリックスは、80〜100質量%まで、HLB−値0〜15を有する物質又は平均HLB−値0〜15を有する物質の混合物から成り、かつ製薬学的常用の助剤、殊に安定剤、粘稠剤又は吸着剤0〜20質量%を含有し得る、請求項20から25までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項27】
脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質は、油、脂肪、モノ−、ジ−又はトリグリセリド、脂肪酸、脂肪アルコール、殊に、C−〜C20−脂肪酸及び/又はC−〜C20−アルコール(その塩、エーテル−、エステル−又はアミド−誘導体を含む)、燐脂質、レシチン、乳化剤、リポイド、脂溶性ビタミン又は界面活性剤の群に属する、請求項20から26までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項28】
脂肪親和性マトリックスは、次の脂質製剤を含有する、請求項20〜26のいずれか1項に記載の剤形:
(イムビトール308)モノエステル成分>80%を有するグリセリルモノカプリレート、(イムビトール312)モノエステル成分>90%を有するグリセリルモノラウレート、(イムビトール491)モノエステル成分>90%を有するグリセロールモノステアレート(C16+C18)、(イムビトール900P)モノエステル成分40〜55%及びC18−含量40〜60%を有するグリセロールモノエステル、(イムビトール900K)モノエステル成分40〜55%及びC18−含量60〜80%を有するグリセロールモノステアレート、(イムビトール742)モノエステル成分45〜55%を有する中鎖C及びC10グリセリド、(イムビトール928)主成分C12及びモノエステル成分34〜36%を有する飽和植物性C10〜C18脂肪酸の部分グリセリド、C及びC10−グリセリド、Naカプリレート又はNaカプリエート。
【請求項29】
作用物質は少なくとも10%まで脂肪親和性マトリックス中で可溶性である、請求項20から28までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項30】
作用物質含有の脂肪親和性マトリックスの内側マトリックス−層a)含量は、5〜50質量%である、請求項20から29までのいずれか1項に記載の剤形。
【請求項31】
次の段階での、請求項20から30までのいずれか1項に記載の多層粒子形剤形の製法:
a)作用物質と、脂肪親和性マトリックスを形成する1種以上の物質及び場合により他の製薬学的常用の助剤との、内容物の強力な混合又は溶融による、懸濁及び/又は溶解による作用物質含有の脂肪親和性マトリックスの製造、
b)作用物質含有の脂肪親和性マトリックスと混合させたムコ粘着性ポリマーの核への噴霧塗布による、又は核を伴わない回転凝集、沈殿又は噴霧法による予備ペレット(ペレット核)の製造、
c)段階b)からの予備ペレットへの、製薬学的常用の助剤、殊に軟化剤及び分離剤の任意の添加物を含有し得る陰イオンポリマー又はコポリマーの被覆の、分散液又は有機溶液からの噴霧塗布によるペレットの製造、
d)自体公知の方法で、場合により製薬学的常用の助剤の使用下に、殊に、ペレット含有の錠剤、小錠剤、カプセル剤、袋剤又はドライシロップへの加工による、段階c)からのペレットの充填又は加入による多層粒子形剤形の製造。
【請求項32】
請求項31に記載の多層粒子形剤形を製造するために、段階a)及びb)を次のように実施する方法:
a)作用物質と、脂肪親和性マトリックスのための1種以上の物質及び場合により他の製薬学的常用の助剤との、水中での内容物の強力な混合によるエマルジョン、分散液又は溶液の製造による、内側マトリックス−層の製造、及び平均粒度60μm以下の水中油−製剤の製造、
b)他の製薬学的常用助剤の添加物を場合により含有し得る、ムコ粘着性ポリマーへの段階a)からの水中油−製剤の噴霧塗布による予備ペレットの製造(この際、回転凝集、押出し又は顆粒化により、微細粉末状の内容物が存在する)。

【公表番号】特表2009−513553(P2009−513553A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519883(P2006−519883)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007882
【国際公開番号】WO2005/007139
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】