説明

ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト

【課題】ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストおよびその使用法を提供すること。
【解決手段】(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物および(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物ならびにその使用法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、8−アゾニアビシクロ[3,2,1]オクタンの新規な誘導体、医薬組成物、その製法、およびMムスカリン性アセチルコリン受容体媒介性疾患の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢および中枢神経系におけるコリン作動性ニューロンから放出されるアセチルコリンは、2つの主要なクラスのアセチルコリン受容体−ニコチンおよびムスカリン性アセチルコリン受容体との相互作用によって、多くの異なる生物学的プロセスに影響を及ぼす。ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChRs)は、7回膜貫通ドメインを有するG−タンパク質結合型受容体のスーパーファミリーに属する。M−Mと呼ばれるmAChRsの5つのサブタイプが存在し、各々が別個の遺伝子の産物である。これら5つのサブタイプの各々は、独特の薬理学的特性を示す。ムスカリン性アセチルコリン受容体は、脊椎動物の器官に幅広く分布しており、これらの受容体は、阻害性および興奮性作用の両方の媒介となることができる。例えば、気道、膀胱および胃腸管に見られる平滑筋において、M mAChRsが収縮応答の媒介となる。参考に、非特許文献1を参照のこと。
【0003】
ムスカリン性アセチルコリン受容体機能不全は、種々の異なる病態生理学的状態において注目されている。例えば、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)において、炎症性の状態が、肺平滑筋に分布する副交感神経における阻害性Mムスカリン性アセチルコリン自己受容体機能の喪失を導き、その結果、迷走神経刺激後のアセチルコリン放出増加を引き起こす。該mAChR機能不全は、M mAChRsの刺激増加によって媒介される気道活動過多をもたらす(非特許文献2、非特許文献3)。同様に、炎症性腸疾患(IBD)における胃腸管の炎症は、M mAChR−媒介性運動過剰をもたらす(非特許文献4)。膀胱収縮過多による失禁もまた、M mAChRsの刺激増加によって媒介されることが明らかとなった(非特許文献5)。かくして、サブタイプ選択的mAChRアンタゴニストの同定は、これらのmAChR−媒介性疾患における療法として有用でありうる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Brown, History and Basic Properties, Humana Press, USA pgs 7−9(1989)
【非特許文献2】Costelloら、American Journal of Physiology, Vol. 276(5) pgs L709−L714(1999)
【非特許文献3】Minette,Lammersら、Journal of Applied Physiology, Vol. 67(6) pgs 2461−2465(1989)
【非特許文献4】Oprins,Meijerら、Annals of the New York Academy of Sciences, Vol.915 pgs 102−106(2000)
【非特許文献5】Hegde&Eglen,Life Sciences, Vol.64(6/7) pgs 419−428(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
種々の病態の治療のための抗−ムスカリン性受容体療法の使用を支持する大きな証拠にもかかわらず、臨床上使用されている抗−ムスカリン性化合物は、比較的少数である。かくして、M mAChRsにて阻害をもたらすことができる新規な化合物に対する要望が依然としてある。M mAChRsの刺激増加に関連する状態、例えば、喘息、COPD、IBDおよび尿失禁は、mAChR結合の阻害剤である化合物によって利益を得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アセチルコリンがM mAChRに結合するムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)媒介性疾患の治療法であって、有効量の式(I)または式(II)の化合物[R2およびR3が2−チオフェンであって、R4が−OC(O)CHである式(II)の化合物を除く]またはその医薬上許容される塩を投与することを特徴とする方法を提供する。
本発明は、また、有効量の式(I)または式(II)の化合物を哺乳動物に投与することを特徴とする、その必要のある哺乳動物においてアセチルコリンのその受容体への結合を阻害する方法に関する。
本発明は、また、式(I)または式(II)の新規な化合物、および式(I)または式(II)の化合物および医薬担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明において有用な式(I)または式(II)の化合物は、構造式
【化1】

【0008】
[式中:
指し示されるH原子はエキソ位にあり;
R1は、N原子の正電荷に結合するアニオンを示し、R1は、限定するものではないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびトルエンスルホン酸塩であってもよく;
R2およびR3は、独立して、直鎖または分枝鎖低級アルキル基(好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する)、シクロアルキル基(5〜6個の炭素原子を有する)、シクロアルキル−アルキル(6〜10個の炭素原子を有する)、ヘテロシクロアルキル(5〜6個の炭素原子およびヘテロ原子としてのNまたはOを有する)、ヘテロシクロアルキル−アルキル(6〜10個の炭素原子およびヘテロ原子としてのNまたはOを有する)、アリール、置換されていてもよいアリール、ヘテロアリール、および置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択され;
R4は、(C−C)アルキル、(C−C12)シクロアルキル、(C−C)ヘテロシクロアルキル、(C−C)アルキル(C−C12)シクロアルキル、(C−C)アルキル(C−C)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−ヘテロアリール、−OR5、−CHOR5、−CHOH、−CN、−CF、−CHO(CO)R6、−COR7、−CHNH、−CHN(R7)SOR5、−SON(R7)(R8)、−CON(R7)(R8)、−CHN(R8)CO(R6)、−CHN(R8)SO(R6)、−CHN(R8)CO(R5)、−CHN(R8)CONH(R7)からなる群から選択され;
R5は、(C−C)アルキル、(C−C)アルキル(C−C12)シクロアルキル、(C−C)アルキル(C−C)ヘテロシクロアルキル、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され;
R6は、(C−C)アルキル、(C−C12)シクロアルキル、(C−C)ヘテロシクロアルキル、(C−C)アルキル(C−C12)シクロアルキル、(C−C)アルキル(C−C)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C−C)アルキル−アリール、(C−C)アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され;
R7およびR8は、独立して、H、(C−C)アルキル、(C−C12)シクロアルキル、(C−C)ヘテロシクロアルキル、(C−C)アルキル(C−C12)シクロアルキル、(C−C)アルキル(C−C)ヘテロシクロアルキル、(C−C)アルキル−アリールおよび(C−C)アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択される]
によって示される。
【0009】
適当な医薬上許容される塩は、当業者によく知られており、無機酸および有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フェニル酢酸およびマンデル酸の塩基性塩を包含する。さらに、式(I)または式(II)の化合物の医薬上許容される塩は、また、医薬上許容されるカチオンと共に形成されてもよい。適当な医薬上許容されるカチオンは、当業者によく知られており、アルカリ、アルカリ土類、アンモニウムおよび第4アンモニウムカチオンを包含する。
【0010】
本明細書で使用される場合、下記の用語は以下に示すとおりである。
・「ハロ」−全ハロゲン、すなわち、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨード。
・「C1−10アルキル」または「アルキル」−鎖長が限定されないかぎり、1〜10個の炭素原子の直鎖および分枝鎖の両方の基であり、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル等を包含する。
【0011】
・「シクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、好ましくは3〜8個の炭素原子からなる、環状基を意味し、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を包含する。
・「アルケニル」は、本明細書中で使用される場合、全ての事象において、鎖長が限定されないかぎり、2−10個の炭素原子の直鎖または分枝鎖基を意味し、限定するものではないが、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル等を包含する。
・「アリール」−フェニルおよびナフチル。
【0012】
・「ヘテロアリール」(それ自体あるいは「ヘテロアリールオキシ」または「ヘテロアリールアルキル」等のいずれかの組み合わせで)−1以上の環がN、OまたはSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する5−10員の芳香環系、例えば、限定するものではないが、ピロール、ピラゾール、フラン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、キナゾリニル、ピリジン、ピリミジン、オキサゾール、テトラゾール、チアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、またはベンゾイミダゾール。
【0013】
・「複素環」(それ自体あるいは「複素環式アルキル」等のいずれかの組み合わせで)−1以上の環がN、OまたはSからなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含有する飽和または部分不飽和4−10員環系、例えば、限定するものではないが、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モノホリン、テトラヒドロピラン、チオモルホリンまたはイミダゾリジン。さらに、硫黄がスルホンまたはスルホキシドに酸化されていてもよい。
・「アリールアルキル」または「ヘテロアリールアルキル」または「複素環式アルキル」は、別記しないかぎり、本明細書中で使用される場合、本明細書中で定義されるとおりのアリール、ヘテロアリールまたは複素環基に結合した上記のとおりのC1−10アルキルを意味する。
【0014】
・「スルフィニル」−対応するスルフィドの酸化物S(O)。「チオ」なる語は、スルフィドを示し、「スルホニル」なる語は、完全に酸化されたS(O)基を示す。
・「2つのR基(または2つのY基)が一緒になって、5または6員の飽和または不飽和環を形成していてもよい」は、本明細書中で使用される場合、芳香環系、例えば、ナフタレンの形成を意味し、または6員の部分飽和もしくは不飽和環、例えば、C6シクロアルケニル、すなわち、ヘキセン、またはC5シクロアルケニル基、例えば、シクロペンテンに結合しているフェニル基である。
【0015】
本発明において有用な好ましい化合物は:
(エンド)−3−(2−メトキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオニトリル;
(エンド)−8−メチル−3−(2,2,2−トリフェニル−エチル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオン酸;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロパン−1−オール;
N−ベンジル−3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミド;
(エンド)−3−(2−カルバモイル−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物;
1−ベンジル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
1−エチル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−アセトアミド;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンズアミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−プロピオニトリル;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンゼンスルホンアミド;
[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−メタンスルホンアミド;および
(エンド)−3−{2,2−ジフェニル−3−[(1−フェニル−メタノイル)−アミノ]−プロピル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物を包含する。
【0016】
本発明において有用なより好ましい化合物は:
(エンド)−3−(2−メトキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物;
(エンド)−3−(2−カルバモイル−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物;および
(エンド)−3−{2,2−ジフェニル−3−[(1−フェニル−メタノイル)−アミノ]−プロピル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物
を包含する。
【0017】
製法
調製
式(I)および式(II)の化合物は、合成手法(そのいくつかは、下記のスキームにおいて示される)を応用することによって得られうる。これらのスキームに提供される合成は、種々の異なるR1、R2、R3およびR4を有する式(I)および式(II)の化合物の製造に応用可能であり、それらは、本明細書中で概説される反応と一致するように、適当に保護された置換基を用いて反応させる。この場合、その後の脱保護により、一般に開示される性質の化合物が得られる。式(II)の化合物のみを用いていくつかのスキームを示すが、これは、単なる例示目的にすぎない。
【0018】
一般的な製法をスキームIに示す。該合成は、化合物1を用いて開始した。水素化アルミニウムリチウム(LAH)を用いる還元により、アルコール2を得た。ヨウ素での置換により、3を提供した。HCR2(R3)(R4)由来のアニオンとのカップリング反応が化合物4をもたらし、それは容易にアンモニウム塩5に変換された。
【0019】
スキームI
【化2】

【0020】
式(II)の化合物をもたらすより特異的な製法をスキームIIにおいて概説する。3を用いるエステルHC(Ph)COCHのアルキル化により、化合物6を得た。6の加水分解は、酸7をもたらした。1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)が該酸とアルコール(R7)OHとの縮合の媒介となり、次いで、エステル8をもたらした。当業者に周知の適当なアミドカップリング条件下、例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)の存在下、酸7とアミン(R7)(R8)NHとの縮合により、アミド9が提供された。6の還元がアルコール10をもたらした。酸クロリド(R6)COClまたは酸(R6)COHと10の反応により、エステル11を得た。次いで、適当な試薬、例えば、(R5)Brを用いる10のアルキル化が12をもたらした。
【0021】
6、7、8、9、10、11および12に類似の構造を有する化合物は、適当な反応試薬、例えば、MeBrおよびMeIとの反応によって、対応するアンモニウム塩に変換された(スキーム中には示されない)。適当な保護および脱保護方法が、いくつかの調製手順において利用された。
【0022】
スキームII
【化3】

【0023】
式(II)の化合物をもたらすより特異的な製法をスキームIIIに概説する。3を用いるHC(Ph)CNのアルキル化により、ニトリル13が提供された。塩基性条件(例えば、NaOHおよびH)または酸性条件(例えば、HSO)下における13の加水分解により、アミド14を得た。13の還元は、アミン15をもたらし、それは都合良く、アミド16、カルバミド17、スルホンアミド18および尿素19に変換された。アルデヒド(R8)CH(O)と15の縮合、次いで、NaBH(OAc)を用いる還元により、アミン20を得、それは容易にアミド21、カルバミド22、尿素23およびスルホンアミド24に変換された。
【0024】
13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23および24に類似の構造を有する化合物は、適当な反応試薬、例えば、MeBrおよびMeIとの反応によって、対応するアンモニウム塩に変換された(スキーム中には示されない)。適当な保護および脱保護方法が、いくつかの調製手順において利用された。
【0025】
スキームIII
【化4】

【0026】
式(II)の化合物をもたらすより特異的な製法をスキームIVに概説する。(R5)Brを用いる25のアルキル化により、26を得た。ローソン試薬と25の反応により、27を得た。SOClおよびKNOを用いる27の酸化により、28を得、それを29またはスルホンアミド30のいずれかに変換した。
【0027】
26、27、29および30に類似の構造を有する化合物は、適当な反応試薬、例えば、MeBrおよびMeIとの反応によって、対応するアンモニウム塩に変換された(スキーム中には示されない)。適当な保護および脱保護方法が、いくつかの調製手順において利用された。
【0028】
スキームIV
【化5】

【0029】
合成例
下記の実施例は、本発明の例示として提供するのであって、何ら限定するものではない。
【実施例】
【0030】
実施例1
【化6】

【0031】
(エンド)−3−(2−メトキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物
2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1,1−ジチオフェン−2−イル−エタノール(US2800481にしたがって調製された)(212mg,0.64mmol)の5mLメチルレンクロリドおよびヨードメタン(0.40mL,6.4mmol)中溶液に、50%水性水酸化カリウム(0.25mL,3.2mmol)および塩化テトラブチルアンモニウム(5mg,3mol%)を加えた。反応混合物を5日間熱還流した。毎日、さらに0.2mLのヨードメタンおよび0.1mLの水酸化カリウムを加えた。完了した後、反応混合物を室温に冷却し、メチレンクロリドで希釈し、水で洗浄した。水層をメチレンクロリドで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生産物をメチレンクロリド/酢酸エチルから再結晶化して、109mgの標題化合物を得た。LCMS(ES)m/z362(M)
【0032】
実施例2
【化7】

【0033】
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオニトリル
2a)((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノールの調製
(エンド)−3−(ヒドロキシメチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸1,1−ジメチルエチル(0.50g,2.05mmol)およびLiAlH(6.16mL,THF中1.0M,6.16mmol)の混合物をマイクロ波反応器中、80℃で60分間加熱した。次いで、該溶液を飽和NaSO溶液と混合し、セライトでろ過し、濃縮して、標題化合物を得た(0.31g,97%)。LCMS(ES)m/z156(M+H)H−NMR(CDCl)δ1.28(s,1H),1.59(m,4H),1.90(m,1H),2.13(m,4H),2.32(s,3H),3.17(s,2H),3.59(d,2H)
【0034】
2b)(エンド)−3−ヨードメチル−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンの調製
ヨウ素(6.67g,25.8mmol)および((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−メタノール(2.0g,12.9mmol)のCHCl(120mL)中溶液をPPh(樹脂上,8.6g,3mmol/g,25.8mmol)と混合した。得られた混合物を17時間攪拌し、ろ過し、濃縮して、標題化合物を得た(2.63g,77%)。LCMS(ES)m/z266(M+H)H−NMR(CDCl)δ2.05(m,4H),2.39(m,3H),2.79(d,3H),2.98(m,2H),3.45(d,2H),3.81(s,2H)
【0035】
2c)3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオニトリルの調製
(エンド)−3−ヨードメチル−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(1.06g,4.0mmol)およびPhCHCN(2.32g,12.0mmol)のDMF(20mL)中溶液をNaH(0.288g,12.0mmol)と混合した。得られた混合物を室温で60分間攪拌した。次いで、ろ過および逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(1.16g,93%)。LCMS(ES)m/z331(M+H)H−NMR(CDCl)δ1.64(m,2H),2.14(m,1H),2.26(m,2H),2.34(m,2H),2.52(m,2H),2.75(m,5H),3.83(s,2H),7.39(d,10H)
【0036】
実施例3
【化8】

【0037】
(エンド)−8−メチル−3−(2,2,2−トリフェニル−エチル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
トリフェニルメタン(0.276g,1.13mmol)のTHF(0.5mL)中溶液をn−BuLi(0.706mL,ヘキサン中1.6M,1.13mmol)と混合した。該溶液を10分間攪拌し、(エンド)−3−ヨードメチル−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(100mg,0.377mmol)のDMF(1.0mL)中溶液を加えた。該混合物を室温で60分間攪拌し、HO(0.1mL)と混合し、濃縮し、ろ過した。次いで、逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(23.8mg,17%)。LCMS(ES)m/z382(M+H)H−NMR(CDCl)δ1.07(d,2H),2.12(m,1H),2.22(m,4H),2.31(m,2H),2.65(d,3H),2.97(d,2H),3.63(s,2H),7.21(m,3H),7.30(d,12H)
【0038】
実施例4
【化9】

【0039】
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミド
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオニトリル(53mg,0.16mmol)のCHCl(0.25mL)中溶液をHSO(0.28mL,96 %)と混合し、40℃で30時間攪拌した。次いで、該混合物を氷に注ぎ入れ、NH.HOで中和し、EtOAcで抽出し、濃縮した。得られた残渣をDMSO中に溶解し、ろ過した。逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(17.2mg,30%)。MS(ES)m/z347(M+H)H−NMR(CDCl)δ1.31(d,2H),1.98(m,1H),2.28(m,4H),2.39(m,2H),2.67(d,3H),2.79(d,2H),3.66(s,2H),5.82(s,br,1H),6.88(s,br,1H),7.37(m,10H)
【0040】
実施例5
【化10】

【0041】
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオン酸
2−[(3−エンド)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1,1−ジフェニルエタノール(100mg,1.56mmol)のHCOOH(0.25mL)中溶液に、0℃にて、HSO(2.73mL,90%)を迅速に加えた。すぐに該反応バイアルに蓋をし、冷蔵庫中、−20℃で7日間保管した。該溶液を氷に注ぎ入れ、NH.HOで中和し、EtOAcで抽出し、濃縮した。得られた残渣をDMSO中に溶解し、ろ過した。次いで、逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(52mg,48%)。LCMS(ES)m/z350(M+H)H−NMR(MeOD)δ1.39(d,2H),1.86(m,1H),1.97(m,2H),2.30(m,4H),2.69(s,3H),2.84(d,2H),3.69(s,2H),7.28(m,2H),7.36(m,8H)
【0042】
実施例6
【化11】

【0043】
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオニトリル(310mg,0.938mmol)のアセトン(6.0mL)中溶液をMeBr(4.69mL,t−BuOMe中2.0M,9.38mmol)と混合した。得られた混合物を室温で60分間攪拌し、ろ過した。固体をアセトン(2x3mL)で洗浄して、標題化合物を得た(333mg,83%)。LCMS(ES)m/z345(M)H−NMR(MeOD)δ1.82(d,2H),2.17(m,1H),2.35(m,2H),2.49(m,4H),3.01(d,2H),3.07(s,3H),3.10(s,3H),3.79(s,2H),7.36(m,2H),7.43(m,4H),7.49(m,4H)
【0044】
実施例7
【化12】

【0045】
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオニトリル(26.5mg,0.080mmol)のCHCl(0.5mL)およびMeCN(0.5mL)中溶液をMeI(0.125mL,2.00mmol)と混合した。得られた混合物を室温で3時間攪拌し、DMSO(0.3mL)で希釈し、濃縮した。次いで、逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(22.9mg,60%)。LCMS(ES)m/z345(M)H−NMR(CDCl)δ1.83(d,2H),2.17(m,1H),2.35(m,2H),2.49(m,4H),3.01(d,2H),3.07(s,3H),3.10(s,3H),3.79(s,2H),7.36(m,2H),7.43(m,4H),7.49(m,4H)
【0046】
実施例8
【化13】

【0047】
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロパン−1−オール
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオン酸(42.5mg,0.122mmol)およびLiAlH(0.488mL,THF中1.0M,0.488mmol)の混合物をマイクロ波反応器中、100℃で1時間加熱した。それを飽和NaSO溶液で希釈し、セライトによってろ過し、濃縮した。得られた残渣をDMSO中に溶解し、ろ過した。次いで、逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(29.1mg,71%)。LCMS(ES)m/z336(M+H)H−NMR(CDCl)δ1.40(d,2H),1.92(m,1H),2.29(m,6H),2.59(m,2H),2.68(d,3H),3.72(s,2H),4.16(s,2H),7.13(m,3H),7.30(m,7H)
【0048】
実施例9
【化14】

【0049】
N−ベンジル−3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミド
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオン酸(82.0mg,0.235mmol)のCHCl(3.0mL)中溶液をPhCHNH(28.2μL,0.258mmol)、EDC(49.5mg,0.258mmol)、HOBt(3.2mg,0.024mmol)および(CHCHN(0.232mL,1.65mmol)と混合した。該混合物を室温で60時間攪拌し、濃縮した。得られた残渣をDMSO中に溶解し、ろ過した。次いで、逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(29.8mg,30%)。LCMS(ES)m/z439(M+H)H−NMR(CDCl)δ1.34(d,2H),1.96(m,1H),2.23(m,2H),2.38(m,4H),2.63(d,3H),2.83(d,2H),3.66(s,2H),4.41(d,2H),6.93(m,2H),7.22(m,3H),7.38(m,10H)
【0050】
実施例10
【化15】

【0051】
(エンド)−3−(2−カルバモイル−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物
標題化合物は、3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミドから、実施例7の手法にしたがって調製された(33%収率)。LCMS(ES)m/z363(M)H−NMR(CDCl)δ1.49(d,2H),1.95(m,1H),2.25(m,2H),2.42(m,4H),2.84(d,2H),3.17(s,3H),3.23(s,3H),3.93(s,2H),5.65(s,1H),5.91(s,1H),7.39(m,10H)
【0052】
実施例11
【化16】

【0053】
1−ベンジル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素
11a)3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピルアミン
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオニトリル(250mg,0.758mmol)のTHF(2.5mL)中溶液を0℃にて、BH(2.53mL,THF中1.5M,3.79mmol)と混合した。該混合物を室温で20時間攪拌し、HO(1.0mL)で希釈した。次いで、該溶液をKCO(0.1g)と混合し、室温で1時間攪拌した。有機層を分離し、水性部分をEtOAc(2x3mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濃縮した。逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(159mg,63%)。LCMS(ES)m/z335(M+H)H−NMR(MeOD)δ1.35(d,2H),2.01(m,3H),2.34(s,4H),2.55(s,2H),2.68(s,3H),3.73(m,5H),7.26(m,4H),7.33(m,2H),7.43(m,4H)
【0054】
11b)1−ベンジル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピルアミン(50.0mg,0.149mmol)のCHCl(2.0mL)中溶液をPhCHNCO(20.4μL,0.164mmol)および(CHCHN(62.8μL,0.447mmol)と混合した。得られた混合物を室温で1時間攪拌し、濃縮した。次いで、逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(13.0mg,19%)。LCMS(ES)m/z468(M+H)H−NMR(MeOD)δ1.24(d,2H),1.94(m,3H),2.25(m,4H),2.49(d,2H),2.67(s,3H),3.62(s,2H),3.97(s,2H),4.23(s,2H),7.22(m,6H),7.33(m,4H)
【0055】
実施例12
【化17】

【0056】
1−エチル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素
標題化合物は、3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピルアミンおよびCHCHNCOから、実施例11の手法にしたがって調製された(45%収率)。LCMS(ES)m/z406(M+H)H−NMR(MeOD)δ1.03(t,3H),1.33(d,2H),1.94(m,3H),2.25(m,4H),2.55(d,2H),2.67(s,3H),3.07(q,2H),3.68(s,2H),3.94(s,2H),7.24(m,6H),7.34(m,4H)
【0057】
実施例13
【化18】

【0058】
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−アセトアミド
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピルアミン(33.4mg,0.10mmol)のCHCl(0.5mL)中溶液をAcO(18.9μL,0.20mmol)およびピリジン(16.2μL,0.20mmol)と混合した。該混合物を室温で1時間攪拌し、濃縮した。次いで、逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(10.7mg,29%)。LCMS(ES)m/z377(M+H)H−NMR(MeOD)δ1.26(d,2H),1.82(s,3H),1.96(m,3H),2.26(s,4H),2.53(d,2H),2.67(s,3H),3.66(s,2H),4.00(s,2H),7.24(m,6H),7.33(m,4H)
【0059】
実施例14
【化19】

【0060】
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンズアミド
標題化合物は、3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピルアミンおよび(PhCO)Oから、実施例13の手法にしたがって調製された(8%収率)。LCMS(ES)m/z439(M+H)H−NMR(MeOD)δ1.28(d,2H),2.00(m,3H),2.24(s,4H),2.59(d,2H),2.67(s,3H),3.65(s,2H),4.21(s,2H),7.31(m,6H),7.39(m,6H),7.50(m,3H)
【0061】
実施例15
【化20】

【0062】
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−プロピオニトリル
標題化合物は、(エンド)−3−ヨードメチル−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンおよび2,2−ジ−チオフェン−2−イル−アセトニトリルから実施例2Cの手法にしたがって調製された(34%収率)。LCMS(ES)m/z343(M+H)H−NMR(CDCl)δ1.79(m,2H),2.21(m,2H),2.33(m,2H),2.62(m,2H),2.73(m,4H),3.80(m,2H),4.35(s,2H),7.02(m,2H),7.23(m,2H),7.37(m,2H)
【0063】
実施例16
【化21】

【0064】
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物
標題化合物は、3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−プロピオニトリルから、実施例7の手法にしたがって調製された(43%)。LCMS(ES)m/z345(M)H−NMR(CDCl)δ1.82(d,2H),2.35(m,2H),2.23(m,3H),2.58(m,4H),2.82(m,2H),3.37(s,6H),4.25(s,2H),7.02(m,2H),7.24(m,2H),7.36(m,2H)
【0065】
実施例17
【化22】

N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンゼンスルホンアミド
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピルアミン(67.0mg,0.20mmol)のCHCl(2.0mL)中溶液をPhSOCl(28.2μL,0.22mmol)および(CHCHN(84.3μL,0.60mmol)と混合した。得られた混合物を室温で1時間攪拌し、濃縮した。次いで、逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(51.5mg,54%)。LCMS(ES)m/z475(M+H)H−NMR(MeOD)δ1.39(d,2H),2.01(m,3H),2.30(s,4H),2.69(s,5H),3.60(s,2H),3.68(s,2H),7.12(m,4H),7.27(m,6H),7.55(m,2H),7.63(m,1H),7.78(m,2H)
【0066】
実施例18
【化23】

【0067】
[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピルアミン(50.0mg,0.149mmol)のCHCl(4.0mL)中溶液に、ClSONCO(31.2μL,0.358mmol)を加えた。該混合物を室温で2日間攪拌し、濃縮した。次いで、逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(21.6mg,38%)。LCMS(ES)m/z378(M+H)H−NMR(MeOD)δ1.33(d,2H),2.01(m,3H),2.29(s,4H),2.57(m,2H),2.68(s,3H),3.69(s,2H),4.01(s,2H),7.25(m,6H),7.34(m,4H)
【0068】
実施例19
【化24】

【0069】
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−メタンスルホンアミド
標題化合物は、3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピルアミンおよびMeSOClから、実施例17の手法にしたがって調製された(28%収率)。LCMS(ES)m/z413(M+H)H−NMR(MeOD)δ1.39(d,2H),1.97(m,3H),2.30(s,4H),2.68(s,3H),2.76(s,3H),3.68(s,2H),3.84(s,2H),7.23(s,6H),7.33(s,4H)
【0070】
実施例20
【化25】

【0071】
(エンド)−3−{2,2−ジフェニル−3−[(1−フェニル−メタノイル)−アミノ]−プロピル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンズアミド(29mg,0.0683mmol)のCHCl(0.5mL)およびアセトン(0.5mL)中溶液をMeBr(0.342mL,t−ブチルメチルエーテル中2.0M,0.683mmol)と混合した。得られた混合物を室温で3時間攪拌し、濃縮した。次いで、逆相HPLC(Gilson)による精製により、標題化合物を得た(19.6mg,64%)。LCMS(ES)m/z453(M)H−NMR(MeOD)δ1.20(d,2H),2.32(m,7H),2.65(d,2H),2.98(s,3H),3.02(s,3H),3.60(s,2H),4.22(s,2H),7.30(m,6H),7.39(m,6H),7.50(s,3H)
【0072】
生物学的実施例
本発明のM3 mAChRにおける化合物の阻害効果は、下記のイン・ビトロおよびイン・ビボアッセイによって決定される。
【0073】
カルシウム動員による受容体活性化の阻害の分析
CHO細胞に発現されたmAChRsの刺激を、以前に記載されたように10、受容体活性化カルシウム動員をモニターすることによって分析した。M3 mAChRsを安定に発現しているCHO細胞を96ウェル黒壁/透明底プレート中に置いた。18〜24時間後、培地を吸引し、100μlの負荷培地(アール塩、0.1%RIA−等級BSA(Sigma,St.Louis MO)および4μM Fluo−3−アセトキシメチルエステル蛍光インジケーター色素(Fluo−3 AM,Molecular Probes,Eugene,OR)を含有するEMEM)で置換し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、該色素含有培地を吸引し、新しい培地(Fluo−3 AMを含有しない)で置換し、細胞を37℃で10分間インキュベートした。次いで、細胞を3回洗浄し、100μlのアッセイバッファー(0.1%ゼラチン(Sigma)、120mM NaCl、4.6mM KCl、1mM KHPO、25mM NaHCO、1.0mM CaCl、1.1mM MgCl、11mMグルコース、20mM HEPES(pH7.4))中、37℃で10分間インキュベートした。50μlの化合物(該アッセイ中、最終で1x10−11−1x10−5M)を加え、プレートを37℃で10分間インキュベートした。次いで、プレートを、色素負荷された細胞が6ワットアルゴンレーザーからの励起光(488nm)に曝露される蛍光強度プレートリーダー(FLIPR,Molecular Probes)中に置いた。0.1%BSAを含有するバッファー中で調製された50μlのアセチルコリン(0.1−10nM最終)を50μl/秒の速度で添加することによって、細胞を活性化した。細胞質カルシウム濃度の変化としてモニターされるカルシウム動員は、566nm発光強度の変化として測定された。発光強度の変化は、直接、細胞質カルシウムレベルに関係する11。全96ウェル由来の発光した蛍光は、冷却CCDカメラを用いて同時に測定される。毎秒、データポイントを集める。次いで、GraphPad PRISMソフトウェアを用いて、該データをプロットおよび分析した。
【0074】
メタコリン誘導性気管支収縮
メタコリンに対する気道応答は、覚醒非拘束BalbCマウス(各群n=6)におて決定された。気圧プレスチモグラフィーを用いて、メタコリンでの気管支攻撃の間に起こる気道抵抗の変化に相関することが示されている12小休止の増加(enhanced pause)(Penh)を測定した(測定単位なし)。マウスを50μlのビヒクル(10%DMSO)中における50μlの化合物(0.003−10μg/マウス)の鼻腔内投与によって前処理し、次いで、プレスチモグラフィーチャンバー中に置いた。該チャンバー中では一度、該マウスを10分間平衡化した後、5分間、ベースラインPenh測定を行った。次いで、マウスをメタコリンのエーロゾル(10mg/ml)で2分間攻撃した。Penhは、メタコリンエーロゾルの開始時に始めて、その後5分間続けて、7分間連続的に記録した。各マウスのデータは、GraphPad PRISMソフトウェアを用いることによって、分析およびプロットした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物である化合物。
【請求項2】
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物である化合物。
【請求項3】
請求項1記載の化合物および医薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項4】
請求項2記載の化合物および医薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項5】
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物および医薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項6】
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物および医薬上許容される担体または希釈剤を含む吸入用医薬組成物。
【請求項7】
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物および医薬上許容される担体または希釈剤を含む吸入用医薬組成物。

【公開番号】特開2011−162556(P2011−162556A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109756(P2011−109756)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【分割の表示】特願2007−201718(P2007−201718)の分割
【原出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】