説明

ムスカリン性アンタゴニストとしてのピペリジン化合物

【課題】認知障害の処置において有用な化合物、この化合物を含有する薬学的組成物、本発明の化合物を使用する処置方法、およびアセチルコリンエステラーゼインヒビターと組み合わせたこの化合物の使用を提供すること。
【解決手段】本発明は、新規のムスカリン性レセプターアンタゴニストである化合物ならびにこのような化合物を調製する方法を開示する。別の実施形態において、本発明は、このようなムスカリン性レセプターアンタゴニストを含有する薬学的組成物ならびにアルツハイマー病のような認知疾患を処置するためにこれらの組成物を使用する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2001年10月10日に出願された、米国仮出願番号60/328,356の利益を視聴する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、認知障害の処置において有用な化合物、この化合物を含有する薬学的組成物、本発明の化合物を使用する処置方法、およびアセチルコリンエステラーゼインヒビターと組み合わせたこの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
アルツハイマー病および他の認知障害は、最近、より多くの注意を集めており、これらの疾患の処置はなお、さほど成功していない。非特許文献1によれば、特にM1ムスカリン性レセプターに関して、M2ムスカリン性レセプターを選択的に拮抗する化合物は、認知障害に対する活性を有するはずである。非特許文献2は、3−α−クロロインペリアリンを、非常に選択性のM2ムスカリン性アンタゴニストとして開示する。
【0004】
本発明は、1,4−ジ−置換ピペリジンのクラスの発見に基づき、このうちのいくつかは、3−α−クロロインペリアリンよりさらに高いM2選択性を有する。非特許文献3は、特定のジ−N−置換ピペラジンを記載するが、これらは、本発明の化合物とは異なる。さらに、非特許文献3の化合物は、認知障害に対する活性を有することが開示されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Melchiorreら,J.Med.Chem.(1993),36,3734−3737
【非特許文献2】Baumgoldら,Eur.J.of Pharmacol.,251,(1994)315−317
【非特許文献3】Logemannら,Brit.J.Pharmacol.(1961),17,286−296
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの局面において、本出願は、式Iに示される一般構造を有する化合物:
【0007】
【化18】

、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を提供し、ここで:
Zは、N、C(H)、またはC−(アルキル)であり;
Xは、−O−、−S−、−SO−、−S(O)−、−C(O)−、−CH−、または−C(S)であり;
Rは、以下:
【0008】
【化19】

であり;
は、以下:
【0009】
【化20】

であり;
は、1〜5個の置換基であり、これらの置換基は、同じかまたは異なり得、この置換基の各々は、アルコキシまたはハロのいずれかであり;
は、水素または1〜3個の置換基であり、これらの置換基は、同じかまたは異なり得、この置換基の各々は、アルキルまたはハロアルキルのいずれかであり;
27は、水素または1個もしくは2個の置換基であり、これらの置換基は、同じかまたは異なり得、この置換基の各々は、独立して、アルキル、ヒドロキシアルキル、アリールアルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルキルチオ、アルキルチオアルキレン、カルボキシアルキル、イミダゾリルアルキルおよびインドリルアルキルからなる群より選択され;
28は、水素または1個もしくは2個の置換基であり、これらの置換基は、同じかまたは異なり得、この置換基の各々は、独立して、アルキル、ヒドロキシアルキル、アリールアルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルキルチオ、アルキルチオアルキレン、カルボキシアルキル、イミダゾリルアルキル(imidazolyalkyl)およびインドリルアルキル(indolyalkyl)からなる群より選択され;あるいはR27およびR28は、一緒に結合して、アルキレン基を形成し得;
29は、水素、アルキル、−C(O)−アルキル、−C(O)−シクロアルキル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル(arysulfonyl)または−SO−NH−R35−であり;
31は、水素または1個もしくは2個の置換基であり、これらの置換基は、同じかまたは異なり得、この置換基の各々は、独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、ヒドロキシ、−N(R35、−O−アシル、−N(R35)アシル、−OC(O)R35および−OC(O)N(R35からなる群より選択され;
32は、水素または1個もしくは2個の置換基であり、これらの置換基は、同じかまたは異なり得、この置換基の各々は、独立して、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、ヒドロキシ、−N(R35、−O−アシル、−N(R35)アシル、−OC(O)OR35および−OC(O)N(R35からなる群より選択され、あるいはR31およびR32は、一緒に結合して、−(CH−基を形成し得、ここで、rは、1、2、3、4、5または6であり;
33は、アリールまたはヘテロアリールであり、但し、R33がヘテロアリールである場合、C(O)−R33結合は、R33基における炭素原子への結合であり;そして
35は、水素、アリールまたはアルキルである。
【0010】
式Iの化合物は、M2ムスカリン性レセプターアンタゴニストとして有用であり得、そしてアルツハイマー病および他の神経変性疾患または認知疾患の処置において有用であり得る。本発明の別の実施形態は、神経変性疾患または認知疾患の処置のための薬学的組成物に関する。この組成物は、疾患処置量または障害処置量の、式Iの化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、およびそのための薬学的に受容可能なキャリアを含有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
1つの実施形態において、本発明は、構造式Iによって表される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を提供する。式Iの1つの好ましい実施形態において、
は、
【0012】
【化21】

であり、そして
Xは、−O−、−S−、−SO−または−S(O)−、あるいはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である。
【0013】
式Iの好ましい実施形態において、RおよびXは、以下のように定義される:
【0014】
【化22】













式Iの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、以下の式を有し、その薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を含む:
【0015】
【化23】

別の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、以下の式を有し、その薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を含む:
【0016】
【化24】


他に言及される場合を除いて、以下の定義が、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。これらの定義は、用語が単独で使用されるか、他の用語と組み合わせて使用されるかにかかわらず、適用される。従って、「アルキル」の定義は、「アルキル」に対して、および「アルコキシ」、「ハロアルキル」などの「アルキル」部分に対して適用される、などである。
【0017】
逆であることが他に公知であるか、言及されるか、または示されない限り、複数の用語の置換基(単一の部分を同定するように組み合わせられた複数の用語)の、対象構造への結合点は、複数の用語のうちの最後に称された用語を介してである。例えば、「アリールアルキル」置換基は、この置換基の「アルキル」部分を介して、標的構造に結合する。逆に、この置換基が「アルキルアリール」である場合、この置換基は、この置換基の「アリール」部分を介して、標的構造に結合する。同様に、シクロアルキルアルキル置換基は、この置換基の後者の「アルキル」部分を介して、標的に結合する(例えば、構造−アルキル−シクロアルキル)。
【0018】
「患者」としては、ヒトと他の哺乳動物との両方が挙げられる。
【0019】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の動物を意味する。
【0020】
「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖であり得、そして鎖中に約1〜約20個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含む。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルキル鎖に結合したものを意味する。「低級アルキル」とは、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であっても良い。用語「置換アルキル」とは、アルキル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、およびt−ブチルが挙げられる。
【0021】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、そして直鎖であっても分枝鎖であってもよく、そして鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有する;そしてより好ましくは、鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」とは、鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味し、この鎖は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。用語「置換アルケニル」とは、アルケニル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、これらの置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、およびアルコキシからなる群より選択される。適切なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、および3−メチルブト−2−エニルが挙げられる。
【0022】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、そして直鎖であっても分枝鎖であってもよく、そして鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む、脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有する;そしてより好ましくは、鎖中に約2〜約4個の炭素原子を有する。分枝鎖とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、またはプロピル)が、直鎖アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」とは、鎖中の約2〜約6個の炭素原子を意味し、この鎖は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニルおよび2−ブチニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」とは、アルキニル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、アルキル、アリール、およびシクロアルキルからなる群より選択される。
【0023】
「アルキレン」とは、上で定義されたアルキル基からの1つの水素原子の除去によって得られる、二官能性基を意味する。アルキレンの非限定的な例としては、メチレン、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。
【0024】
「アリール」とは、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6〜約10個の炭素原子を含む、芳香族の単環式または多環式の環系を意味する。アリール基は、非置換であり得るか、またはその環において1つ以上の置換基で必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、およびYNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、各々独立して、水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択される。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0025】
「ヘテロアリール」とは、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、ここで、これらの環原子のうちの1つ以上は、単独でかまたは組み合わせで、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、必要に応じて、環上の利用可能な水素を1つ以上の置換基によって置き換えることによって、環上で置換され、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、各々が独立して、水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択される。ヘテロアリールの根名の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、チアゾリルなどが挙げられる。
【0026】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリールおよびアルキルが先に定義された通りである、アリール−アルキル−基を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチル(naphthlenylmethyl)が挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0027】
「アルキルアリール」とは、アルキルおよびアリールが先に定義された通りである、アルキル−アリール−基を意味する。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例としては、o−トリル、p−トリルおよびキシリルが挙げられる。親部分への結合は、アリールを介してである。
【0028】
「シクロアルキル」とは、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の、単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、環上の利用可能な水素を1つ以上の置換基によって置き換えることによって、必要に応じて環上で置換され得、これらの置換基は、同一であっても異なっていてもよく、各々が独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、各々独立して、水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択される。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0029】
「ハロ」とは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基を意味する。好ましいものは、フルオロ、クロロ、またはブロモであり、そしてより好ましいものは、フルオロおよびクロロである。
【0030】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましいものは、フッ素、塩素または臭素であり、そしてより好ましいものは、フッ素および塩素である。
【0031】
「ハロアルキル」とは、アルキル上の1つ以上の水素原子が上で定義されたハロ基によって置換されている、上で定義されたアルキル基を意味する。
【0032】
「シクロアルケニル」とは、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、これは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む。好ましいシクロアルケニル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルケニルは、環上の利用可能な水素原子を1つ以上の置換基によって置き換えることによって、必要に応じて環上で置換され得、これらの置換基は、同一であっても異なっていてもよく、各々が独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、各々独立して、水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択される。適切な単環式シクロアルケニルの非限定的な例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルケニルの非限定的な例は、ノルボルニレニルである。
【0033】
「ヘテロシクレニル」とは、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む、非芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、ここで、この環系における原子のうちの1つ以上は、単独でかまたは組み合わせで、炭素以外の元素(例えば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子)であり、そしてこの環系は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含む。隣接する酸素原子および/または硫黄原子は、環系に存在しない。好ましいヘテロシクレニル環は、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクレニルの根名の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ少なくとも1個の窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロシクレニルは、環上の利用可能な水素を1つ以上の置換基によって置き換えることによって、必要に応じて置換され得、これらの置換基は、同一であっても異なっていてもよく、各々が独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なっていてもよく、各々独立して、水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択される。ヘテロシクレニルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシド、またはS,S−ジオキシドに酸化され得る。適切な単環式アザヘテロシクレニル基の非限定的な例としては、1,2−ジヒドロピリジル、1,4−ジヒドロピリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジルなどが挙げられる。適切なオキサヘテロシクレニル基の非限定的な例としては、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ジヒドロフラニルなどが挙げられる。適切な多環式オキサヘテロシクレニル基の非限定的な例は、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニルである。適切な単環式チアヘテロシクレニル環の非限定的な例としては、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0034】
「ヘテロシクリル」は、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む、非芳香族の飽和単環式環系または飽和多環式環系を意味し、ここで、この環系中の1つ以上の原子が、単独でかまたは組み合わせて、環炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)である。この環系中には、隣接する酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの語根の前の接頭辞である、アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリルは、必要に応じて、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって、その環上の利用可能な水素を置換することによって、その環上で置換され得る。この置換基の各々は、以下:アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より独立して選択され、ここで、YおよびYは、同じであっても異なってもよく、その各々は、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群より独立して選択され得る。このヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドへと酸化され得る。適切な単環式へテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニルなどが挙げられる。
【0035】
「アラルケニル」は、アリール−アルケニル−基を意味し、ここで、アリールおよびアルケニルは、上記の通りである。好ましいアラルケニルは、低級アルケニル基を含む。適切なアラルケニル基の非限定的な例としては、2−フェネテニルおよび2−ナフチレテニルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルケニルを介する。
【0036】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは、上記の通りである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチル、2−(フラン−3−イル)エチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルキルを介してである。
【0037】
「ヘテロアラルケニル」は、ヘテロアリール−アルケニル−基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルケニルは、上記の通りである。好ましいヘテロアラルケニルは、低級アルケニル基を含む。適切なヘテロアラルケニル基の非限定的な例としては、2−(ピリド−3−イル)エテニルおよび2−(キノリン−3−イル)エテニルが挙げられる。親部分に対する結合は、アルケニルを介してである。
【0038】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基を意味し、ここで、アルキルは、上記の通りである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0039】
「スルホニル」は、式−S(O)−の基を意味する。
【0040】
「スルフィニル」は、式−S(O)−の基を意味する。
【0041】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、アルケニル−C(O)−基、アルキニル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、シクロアルケニル−C(O)−基またはシクロアルキニル−C(O)−基を意味し、ここで、種々の基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイルおよびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0042】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。親部分に対する結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルならびに1−ナフトイルおよび2−ナフトイルが挙げられる。
【0043】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0044】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、ここで、アリール基は、上記の通りである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分に対する結合は、エーテル酸素を介してである。
【0045】
「アルキルアミノ」は、−NH基または−NH基を意味し、ここで、窒素上の1つ以上の水素原子は、上記定義のアルキル基によって置換される。
【0046】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、ここで、アルキル基は、上記の通りである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオおよびヘプチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0047】
「アルキルチオアルキレン」は、アルキル−S−アルキル基を意味し、ここで、アルキレン基およびアルキルチオ基は、上記の通りである。適切なアルキルチオアルキル基の非限定的な例としては、メチルチオメチレンおよびエチルチオエチレンが挙げられる。親部分に対する結合は、アルキル基を介してである。
【0048】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここで、アリール基は上記の通りである。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0049】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、ここで、アラルキル基は、上記の通りである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分に対する結合は、硫黄を介してである。
【0050】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0051】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0052】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0053】
「アミノカルボニル」は、アミノ−O−C(O)−基を意味する。適切なアミノカルボニル基の非限定的な例は、NH−O−C(O)−である。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0054】
「アルキルアミノカルボニル」は、アルキル−アミノカルボニル基を意味する。適切なアルキルアミノカルボニル基の例は、メチル−NH−O−C(O)−である。親部分に対する結合は、カルボニルを介してである。
【0055】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。アルキル基が低級アルキルである基が好ましい。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0056】
「アルキルスルフィニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。アルキル基が低級アルキルである基が好ましい。親部分に対する結合は、スルフィニルを介してである。
【0057】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分に対する結合は、スルホニルを介してである。
【0058】
「アリールスルフィニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分に対する結合は、スルフィニルを介してである。
【0059】
用語「必要に応じて置換された」は、特定の基、遊離基または部分での任意の置換を意味する。
【0060】
本明細書中で使用する場合、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の量での特定の成分の組成物から直接的もしくは間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0061】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、被験体に投与される際に代謝プロセスまたは化学プロセスによる化学的転換を経て、式Iの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグの議論は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)Volume 14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche,編,American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供され、これらは共に、参考として本明細書中で援用される。
【0062】
「溶媒和物」は、本発明の化合物の、1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を含む。特定の例において、この溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子中に取り込まれる場合に、単離され得る。「溶媒和物」は、固相溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール和物(ethanolate)、メタノール和物(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。一般に、薬学的に受容可能な溶媒(例えば、水、エタノールなど)との溶媒和形態は、本発明の目的について、非溶媒和形態と等価である。
【0063】
「有効量」または「治療的有効量」は、ムスカリン性レセプターサブタイプに結合し、従って、所望の治療効果を生じるのに有効な、本発明の化合物の量を意味する。
【0064】
本明細書の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、本明細書中で企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、被験体に投与される際に代謝プロセスまたは化学プロセスによる化学的転換を経て、式Iの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグの議論は、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)Volume 14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche,編, American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供され、これらは共に、参考として本明細書中で援用される。
【0065】
式Iの化合物は、これもまた本発明の範囲内にある塩を形成する。本明細書中の式Iの化合物に対する言及は、他に示さない限り、その塩に対する言及を含むと理解される。用語「塩」は、本明細書中で使用する場合、無機酸および/または有機酸を用いて形成された酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基を用いて形成された塩基性塩を示す。さらに、式Iの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾールであるが、これらに限定されない)および酸性部分(例えば、カルボン酸であるが、これらに限定されない)の両方を含む場合、双性イオン(「内部の塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する場合の用語「塩」の範囲に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性の生理学的に受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、媒体中(例えば、塩が沈殿する媒体中、または後に凍結乾燥される水性媒体中)で、式Iの化合物をある量(例えば、等量)の酸または塩基と反応させることによって形成され得る。
【0066】
例示的な酸付加塩としては、以下が挙げられる:アセテート、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパラテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート(benzenesulforiate)、ビスルフェート、ボレエート、ブチレート、シトレート、カンフォレート、カンファスルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オキサレート、ペクチネート、ペルスルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、スルホネート(例えば、本明細書中で言及されるもの)、タータレート、チオシアネート、トルエンスルホネート(トシレートとしても公知)、ウンデカノエートなど。さらに、塩基性の薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適切であると一般にみなされる酸は、例えば、以下によって考察される:S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences (1977)66(1)1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.(ウェブサイト上))。これらの開示は、参考として本明細書中で援用される。
【0067】
例示的な塩基性塩としては、以下が挙げられる:アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩(例えば、ベンザチン(benzathine)、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(hydrabamine)(N,N−ビス(デヒドロアビエチル(dehydroabietyl))エチレンジアミンによって形成される)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド、t−ブチルアミン)、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、およびヨウ化ブチル)、ジアルキルスルフェート(例えば、ジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート、ジブチルスルフェートおよびジアミルスルフェート)、長鎖ハライド(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、およびヨウ化ステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような薬剤を用いて四級化され得る。
【0068】
全てのこのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内である薬学的に受容可能な塩であることが意図され、そして全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態と等価であるとみなされる。
【0069】
式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、その互変異性体形態で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在し得る。全てのこのような互変異性体形態は、本発明の一部として本明細書中で企図される。
【0070】
本発明の化合物(この化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにこのプロドラッグの塩および溶媒和物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得るもの(エナンチオマー形態(これは、不斉炭素の非存在下でさえ存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体およびジアステレオマー形態を含む))は、本発明の範囲内であると企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まないかもしれないか、または例えば、ラセミ化合物として混合され得るか、あるいは他の全ての立体異性体または他の選択された立体異性体と、混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって規定されるような、S配置またはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグに対して等しく適用されることが意図される。
【0071】
構造式中に変数が1回より多く出現する場合(例えば、Xが−C(OR−の場合のR)、1回より多く出現する各変数の正体は、その変数についての定義から独立して選択され得る。
【0072】
個々の異性体は、従来の分離手順(例えば、適切な光学的に活性な酸を用いた処理)を使用し、ジアステレオマーを分離し、次いで所望の異性体を回収することによって、調製され得る。さらに、個々の光学異性体は、不斉合成によって調製され得る。
【0073】
また、酸(−COOH)またはアルコール基が存在する場合、薬学的に受容可能なエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、酢酸エステル、マレイン酸エステル、ピバロイルオキシメチルエステルなど)、除放性処方物もしくはプロドラッグ処方物としての使用のために可溶性もしくは加水分解特徴を改変するために、当該分野で公知であるエステルが使用され得る。
【0074】
1実施形態において、本発明は、構造式Iの化合物を薬学的に受容可能なキャリアと合わせて含む薬学的組成物を提供する。
【0075】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物を薬学的に受容可能なキャリアと混合する工程を包含する、薬学的組成物を作製するための方法を提供する。
【0076】
本発明の別の局面は、認知疾患または神経変性疾患を処置する方法に関し、この方法は、有効量の式Iの化合物を、この疾患に罹患している患者に投与する工程を包含する。
【0077】
本発明の別の局面は、認知疾患または神経変性疾患を処置する方法に関し、この方法は、有効量の式Iの化合物とアセチルコリンエステラーゼインヒビターとの組み合わせを、この疾患に罹患している患者に投与する工程を包含する。
【0078】
本発明の別の局面は、認知疾患または神経変性疾患を処置するためのキットに関し、このキットは、単一パッケージ中の別個の容器中に、合わせて使用するための薬学的化合物を含む。1つの容器には、式Iのアセチルコリン放出増強化合物が含まれ、第二の容器には、アセチルコリンエステラーゼインヒビターが含まれ、この化合物およびインヒビターは、各々、薬学的に受容可能なキャリア中にあり、そしてこれらを合わせた量は、有効量である。
【0079】
式Iの化合物は、選択的なM2および/またはM4ムスカリン性拮抗活性を示し、これは、認知障害(例えば、アルツハイマー病および老年痴呆)を処置するための薬学的活性と相関した。
【0080】
1つより多い活性薬剤との併用処置について、この活性薬剤が別個の投薬処方物中にある場合、この活性薬剤は、別々にか、または合わせて投与され得る。さらに、1つの要素の投与は、他の薬剤の投与の前でも、それと同時でも、その後でもよい。
【0081】
薬学的組成物を調製するために、1種以上の活性化合物は、薬学的に受容可能な不活性キャリアと混合される。活性化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:本発明の化合物、ACh放出を増強し得る化合物、およびACh’aseインヒビター。薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれであってもよい。
【0082】
固体形態の調製物としては、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤および坐剤が挙げられる。固体キャリアは、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤または錠剤崩壊剤としても作用し得る1種以上の物質であり得る;固体キャリアはまた、カプセル化物質であり得る。液体形態の調製物としては、溶液、懸濁物およびエマルジョンが挙げられる。例として、非経口注射のための、水または水−プロピレングリコール溶液が言及され得る。
【0083】
活性成分を含む薬学的組成物は、経口用途のために適切な形態(例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性懸濁物もしくは油性懸濁物、分散性の粉末もしくは顆粒、エマルジョン、硬カプセルもしくは軟カプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤)の形態であり得る。経口用途のために意図される組成物は、薬学的組成物の製造のための当該分野で公知の任意の方法に従って調製され得、そしてこのような組成物は、薬学的に洗練されかつ口当たりのよい調製物を提供するために、以下からなる群より選択される1種以上の薬剤を含み得る:甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤。錠剤は、錠剤の製造に適切な、非毒性の薬学的に受容可能な賦形剤と混合された活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、以下であり得る:不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム);顆粒化剤および崩壊剤(例えば、コーンスターチまたはアルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア)、および滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)。錠剤は、コーティングされていなくても、胃腸管での崩壊および吸収を遅延し、それによって長期にわたる持続した作用を提供するために、公知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、時間遅延物質(例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレート)が使用され得る。これらはまた、米国特許第4,256,108号;同第4,166,452号;および同第4,265,874号に記載される技術によってコーティングされて、制御放出のための浸透性治療錠剤を形成し得る。
【0084】
経口用途のための処方物はまた、硬ゼラチンカプセル(ここで、活性成分は、不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合される)としてか、または軟カプセル(ここで、活性成分は、水媒体または油媒体(例えば、ピーナツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合される)として調製され得る。
【0085】
水性懸濁物は、水性懸濁物の製造に適切な賦形剤との混合物中に、活性物質を含む。このような賦形剤は、懸濁剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガム)であり;分散剤または加湿剤は、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレン−オキシセタノール(oxycetanol)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール由来の部分的エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物由来の部分的エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。水性懸濁物はまた、1種以上の防腐剤(例えば、エチルベンゾエートまたはn−プロピルベンゾエート、p−ヒドロキシベンゾエート)、1種以上の着色剤、1種以上の香味剤、および1種以上の甘味剤(例えば、スクロース、サッカリンまたはアスパルテーム)を含み得る。
【0086】
油性懸濁液は、活性成分を、植物性油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはココナツ油)中に、または鉱油(例えば、流動パラフィン)中に懸濁することによって処方され得る。これらの油性懸濁液は、増粘剤(例えば、蜜蝋、鉱質パラフィンまたはセチルアルコール)を含み得る。上記のような甘味剤および香味剤が、味の良い経口調製物を提供するために加えられ得る。これらの組成物は、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸)の添加によって保存され得る。水の添加によって水性懸濁液を調製するために適切な分散性の粉末および顆粒は、分散剤もしくは湿潤剤、懸濁剤および1つ以上の保存剤との混合物中の活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、上ですでに記載されるものにより例示されている。さらなる賦形剤(例えば、甘味剤、香味剤および着色剤)もまた存在し得る。
【0087】
本発明の薬学的組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であり得る。油相は、植物性油(例えば、オリーブ油もしくは落花生油)または鉱油(例えば、流動パラフィン)、あるいはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に存在するホスファチド(例えば、大豆レシチン)、ならびに脂肪酸およびヘキシトール(hexitol)無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、ならびにこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。エマルジョンははた、甘味剤および香味剤を含み得る。
【0088】
シロップおよびエリキシルは、甘味剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロース)と共に処方され得る。このような処方物はまた、粘滑剤、保存剤ならびに香味剤および着色剤を含み得る。
【0089】
本発明の化合物、またはその薬学的組成物は、滅菌注射用の水性懸濁液または油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上で記載された適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の従来技術に従って処方され得る。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であり得る。用いられ得る受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として通常用いられる。このために、任意の口当たりのよい不揮発性油(例えば、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む)が用いられ得、脂肪酸(例えば、オレイン酸)の添加は、注射物質の調製における用途を見出す。
【0090】
本発明の化合物、またはその薬学的組成物はまた、薬物の直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、薬物と適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製され得、この賦形剤は、常温で固体であるが、直腸温では液体であり、従って、直腸中で融けて、薬物を放出する。このような物質は、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0091】
局所使用について、式Iの化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などが、用いられ得る(この適用の目的のために、局所適用は、うがい薬および含そう薬を含むべきである)。
【0092】
本発明の化合物、またはその薬学的組成物は、適切な鼻腔内ビヒクルの局所使用によって鼻腔内形態で、または当業者に周知の経皮皮膚パッチの形態を使用して経皮経路によって、投与され得る。経皮送達系の形態で投与するために、投薬は、もちろん、投薬レジメン全体にわたって断続的ではなく、連続的である。
【0093】
本発明の化合物、またはその薬学的組成物はまた、基剤(例えば、ココアバター、グリセリン化ゼラチン、水素化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、またはポリエチレングリコール脂肪酸エステル)を用いて、坐剤として送達され得る。
【0094】
好ましくは、薬学的調製物は、単位投薬形態である。このような形態において、この調製物は、適切な量の活性成分を含む単位用量に細分される。この単位投薬形態は、パッケージングされた調製物であり得、パッケージは、個々の量の調製物(例えば、バイアルまたはアンプル中のパッケージングされた錠剤、カプセルおよび散剤)を含む。単位投薬形態はまた、カプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤自体であり得るか、またはこの単位投薬形態は、パッケージングされた形態の適切な数のこれらのカプセル剤、カシェ剤または錠剤のいずれかであり得る。
【0095】
本発明の化合物を使用する投薬レジメンは、様々な要因(患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置される状態の重篤度;投与経路;患者の腎臓機能および肝臓機能;ならびに用いられる特定の化合物を含む)に従って選択される。通常の技量を有する医師または獣医は、状態の進行を、予防するか、攻撃するか、阻止するかまたは逆にするのに必要な薬物の有効量を容易に決定しそして処方し得る。毒性を伴なうことなく効力を生じる範囲内の薬物の濃度を達成する際の最適な正確さは、標的部位の薬物のアベイラビリティーの動態学に基づくレジメンを必要とする。これは、薬物の分配、平衡および排泄の考慮を含む。単位用量調製物中の活性化合物の量は、特定の用途および活性成分の効力、ならびに意図される処置に従って1mgから100mgまで変わり得るかまたは調節され得る。これは、約0.001〜約20mg/kgの用量に対応し、この用量は、1日あたり1〜3回の投与に分割され得る。この組成物は、所望の場合、他の治療剤を含み得る。
【0096】
有利には、本発明の活性剤は、単回一日用量で投与され得るか、または全一日投薬量が、一日あたり2回、3回または4回の分割投薬で投与され得る。
【0097】
単回投薬形態を生成するためのキャリア材料と組合せられ得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与様式に依存して変化する。
【0098】
しかし、任意の特定の患者に特定の用量レベルは、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食餌、投与回数、投与経路、排出速度、薬物併用および治療を受ける特定の疾患の重篤度を含む様々な要因に依存することが理解される。
【0099】
式Iの化合物またはACh放出を促進し得る化合物は、認識障害を処置するためのアセチルコリンエステラーゼインヒビターと組み合わせて使用され、これら2つの活性成分は、同時に同時投与されるか連続的に投与され得るか、あるいは薬学的に受容可能なキャリア中の式Iの化合物またはACh放出を促進し得る化合物を含む単一の薬学的組成物およびアセチルコリンエステラーゼインヒビターが、投与され得る。組合せの成分は、任意の従来の経口投薬形態または非経口投薬形態(例えば、カプセル剤、錠剤、散剤、カシェ剤、懸濁液、溶液、坐剤、鼻腔スプレーなど)で、別個にまたは一緒に投与され得る。アセチルコリンエステラーゼインヒビターの投薬量は、0.001〜100mg/kg体重の範囲であり得る。
【0100】
本発明の別の局面は、認識疾患または神経変性疾患を処置する方法に関し、この方法は、このような疾患に罹患している患者に、有効量の本発明の化合物を投与する工程を包含する。
【0101】
本発明の別の局面は、認識疾患または神経変性疾患を処置する方法に関し、この方法は、このような疾患に罹患している患者に、本発明の化合物とアセチルコリンエステラーゼインヒビターとの有効量の組合せを投与する工程を包含する。
【0102】
本発明の別の局面は、認識疾患または神経変性疾患を処置する方法に関し、この方法は、このような疾患に罹患している患者に、アセチルコリン放出促進化合物とアセチルコリンエステラーゼインヒビターとの有効量の組合せを投与する工程を包含する。このアセチルコリンエステラーゼインヒビターは、好ましくは、M2選択的ムスカリン性アンタゴニストまたはM4選択的ムスカリン性アンタゴニストである。
【0103】
本発明の別の局面は、認識疾患または神経変性疾患を処置するためのキットに関する。このキットは、内容物が合わせられる別個の容器を備え、ここで、1つの容器は、アセチルコリン放出促進化合物を含み、別の容器は、アセチルコリンエステラーゼインヒビターを含む。これらの化合物およびインヒビターは、それぞれ、薬学的に受容可能なキャリア中に存在し、そしてそれらの合わせた量は、有効量である。このアセチルコリン放出促進化合物は、好ましくは、M2選択的ムスカリン性アンタゴニストまたはM4選択的ムスカリン性アンタゴニストである。
【0104】
本明細書中に開示される本発明は、以下の調製および実施例により例示され、この実施例は、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。代替の機構的経路および類似の構造が、当業者に明らかであり得る。
【実施例】
【0105】
(実施例1:化合物番号41、47、48、61および62の合成)
【0106】
【化25】

工程A:市販の4(4−フルオロベンジル)ピペリジンヒドロクロリド(25g、0.1026mol)を、10%のジエチルエーテル(126ml)および10%のNaOH(126ml)を含む溶液中に溶解し、そして混合した。この混合物を、0℃まで冷却し、そしてEtO(50ml)中のジ−t−ブチルジカルボネート(26.88g、0.1231mol)の溶液を滴下した。この混合物を、室温で一晩撹拌し、次いで、EtO(3×200ml)で抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、そして乾固するまでエバポレートして、化合物Bを得た(30.7g、97%)。
【0107】
工程B:水素化ナトリウム(4.92g、0.123mol、油分散物中60%)を、DMF(50ml)に懸濁し、次いで、2−プロパンチオール(9.06ml、0.0976mol)を、N下、0℃で添加した。この反応混合物を、室温で5分間撹拌した後、化合物B(15g、0.0488mol)を、少量づつ添加した。この反応混合物を、65℃まで6時間加熱し、次いで、室温まで冷却した。200mlの1N NaOH溶液をこの混合物に添加した後、これを、3日間撹拌し、過剰の2−プロパンチオールを酸化させた。次いで、この反応混合物を、EtO(3×300ml)で抽出した。合わせたEtO相を、NaHCOで乾燥し、そしてエバポレートした。化合物Cを、EtOから再結晶した(15.8g、89%)。
【0108】
工程C:化合物C(15g、0.4126mol)を、THF(80ml)に溶解した。この溶液を、−78℃まで冷却した後、メチルリチウム溶液(エチルエーテル中1.5M、41.26ml、0.0619mol)を滴下した。この反応混合物を、N下、室温で1時間撹拌した。飽和NaHCO溶液(200ml)を、この混合物に添加し、次いで、CHCl(3×200ml)で抽出した。合わせた有機相を、MgSOで乾燥し、そしてエバポレートした。化合物Dを、得た(15g、95%)。
【0109】
工程D:化合物D(8.0g、0.0211mol)を、CHCl(25ml)に溶解し、そしてトリフルオロ酢酸(25ml)を添加した。この反応混合物を、一晩還流し、次いで、室温まで冷却した。次いで、この反応混合物を、1NのNaOH溶液(100ml)で抽出した。この混合物を、CHCl(2×100ml)で希釈した。合わせた有機相を、NaHCOで乾燥し、そしてエバポレートした。化合物Eを得た(5.33g、96%)。
【0110】
工程E:トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(12.98g、0.061mol)を、ジクロロエタン(100ml)中の化合物E(5.33g、0.02mol)および0.03molの適切なケトンの溶液に添加した。化合物41、47、48、61および62を合成するために使用したケトンは、それぞれ、シクロヘキソン、4−n−プロピルシクロヘキソン、4−トリフルオロメチルシクロヘキソンおよび、化合物61および62について、3−メチルシクロヘキソンであった。化合物Eに添加したこれらのケトンは、化合物FのR基を生成する。Rは、上記の表1に記載される意味と同じ意味を有する。この反応混合物を、N下、室温で一晩撹拌し、次いで、1N NaOH溶液(200ml)でクエンチした。この反応混合物を、CHCl(3×200ml)で抽出した。合わせた有機相を、NaHCOで乾燥し、そしてエバポレートした。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中20%のEtOAc)で精製して、化合物F(9.22g)を得た。
【0111】
(実施例2:化合物番号41、47、48、61および62の合成)
【0112】
【化26】

工程Bで、2−プロパノールを、2−プロパンチオールの代わりに用いたこと以外は、実施例1に記載の手順と同じ手順を使用した。化合物番号40および60を作製するために工程Eで使用したケトンは、それぞれ、シクロヘキソンおよび3−メチルシクロヘキソンであった。
【0113】
(実施例3:化合物番号7の合成)
【0114】
【化27】

実施例1に記載の手順と同じ手順を、工程A〜Eについて使用し、ここで、工程Eで使用したケトンは、N−t−ブトキシカルボニル−4−ピペリドンであった。次いで、工程Fを実施して、化合物Gを作製した。
【0115】
工程F:化合物F(0.87g、1.956mmol)を、CHCl(5ml)に溶解し、次いで、TFA(5ml)を添加した。この混合物を、室温で1時間撹拌し、次いで、エバポレートした。残渣を、CHCl(100ml)に溶解し、1N NaOH溶液で洗浄し、NaHCOで乾燥し、そしてエバポレートして、化合物Gを得た(0.667g、98%)。
【0116】
(実施例4:化合物番号8の合成)
【0117】
【化28】

工程Bにおいて、2−プロパノールを2−プロパンチオールの代わりに用いたこと以外は、実施例3に記載の手順と同じ手順を使用した。
【0118】
(実施例5:化合物番号3、4、6、11、12、16、17、23、24、27、28、37および49の合成)
【0119】
【化29】

実施例3に記載の手順と同じ手順を、工程A〜Fについて使用した。次いで、工程Gを実施して、化合物Hを作製した。
【0120】
G:一般手順:化合物G(100mg、0.29mmol)をCHCl(5ml)に溶解した後、対応する酸(1.5当量)、EDCl(200mg、1mmol)、DMAP(5ml)を添加した。この反応混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。生成物のアミド(化合物H)を、分取用TLC(CHCl中7%のMeOH)により分離した。
【0121】
(実施例6:化合物番号1、2、10、42、43、44および63の合成)
【0122】
【化30】

工程Bにおいて、2−プロパノールを2−プロパンチオールの代わりに用いたこと以外は、実施例5に記載の手順と同じ手順を使用した。
【0123】
(実施例7:化合物番号5、13〜15、18〜22、25〜26、29〜36、38、39、54、55、58、59および64の合成)
【0124】
【化31】

実施例5に記載の手順と同じ手順を、工程A〜Gについて使用した。次いで、工程Hを実施して、化合物Iを作製した。
【0125】
H:工程Gで調製したアミド(100mg、0.207mmol)を、酢酸(4ml)に溶解し、次いで、過ホウ酸ナトリウム4水和物(70mg、0.456mmol、2.2当量)を添加した。この反応混合物を、室温で一晩撹拌し、次いで、1N NaOH溶液(50ml)でクエンチした。この混合物を、CHCl(2×50ml)で抽出した。合わせた有機相を、NaHCOで乾燥し、そしてエバポレートした。スルホキシドおよびスルホンを、分取用TLC(CHCl中7%のMeOH)により分離した。
【0126】
(実施例8:化合物番号45〜46、50〜53、56、57、63、66、67および68の合成)
【0127】
【化32】


実施例1および3に記載の手順と同じ手順を、工程A〜Fについて使用した。次いで、実施例7に記載の工程Hを実施して、化合物Jを作製した。化合物番号45〜46;50〜51;52〜53;63;および66〜68;および56〜57を作製するために工程Eで使用したケトンは、それぞれ、シクロヘキサノール;4−メチルシクロヘキサノール;3−メチルシクロヘキサノール;および4−イソプロピルシクロヘキサノールであった。
【0128】
(実施例9:化合物番号69〜70の合成)
工程Bにおいて、4−メトキシフェニルチオールを2−プロパンチオールの代わりに用いたこと以外は、実施例8に記載の手順と同じ手順を実施して、化合物Jを作製した。化合物番号69〜70を作製するために工程Eで使用したケトンは、3−メチルシクロヘキサノールであった。
【0129】
(実施例10:化合物番号71の合成)
工程Bにおいて、3−クロロフェニルチオールを2−プロパンチオールの代わりに用いたこと以外は、実施例8に記載の手順と同じ手順を実施して、化合物Jを作製した。化合物69〜70を作製するために工程Eで使用したケトンは、3−メチルシクロヘキサノールであった。
【0130】
上記の反応の後には、必要であるかまたは所望される場合、以下の工程の1つ以上が続き得る:(a)このように生成された化合物から任意の保護基を除去する工程;(b)このように生成された化合物を、薬学的に受容可能な塩、エステルおよび/または溶媒和物に変換する工程;(c)このように生成された式Iに従う化合物を、式Iに従う別の化合物に変換する工程;および(d)式Iの立体異性体を分離する工程を包含する、式Iの化合物を単離する工程。
【0131】
上記の反応順序に基づいて、当業者は、式Iに従う任意の化合物を生成するために必要な出発物質を選択し得る。
【0132】
上記のプロセスにおいて、時折、反応の間に特定の基を保護することが所望され、そして/または必要とされる。当業者に公知の従来の保護基が、利用可能である。反応(単数または複数)の後、この保護基は、標準的な手順によって除去され得る。
【0133】
上記の手順において適切な出発物質を使用して、または当業者に周知の手順を改変して、以下の化合物の表に示される化合物を調製し得る。
【0134】
(化合物の表)
【0135】
【化33】











式Iの化合物は、M1ムスカリン性アンタゴニスト活性およびM2ムスカリン性アンタゴニスト活性を示すと指定された試験手順において、薬理学的活性を示す。これらの化合物は、薬学的な治療的用量で、非毒性である。以下は、試験手順の説明である。
【0136】
(ムスカリン性結合活性)
目的の化合物を、クローン化ヒトM1ムスカリン性レセプターサブタイプ、クローン化ヒトM2ムスカリン性レセプターサブタイプ、クローン化ヒトM3ムスカリン性レセプターサブタイプ、クローン化ヒトM4ムスカリン性レセプターサブタイプおよびクローン化ヒトM5ムスカリン性レセプターサブタイプへの結合を阻害する能力について試験する。これらの研究におけるレセプターの供給源は、これらのレセプターサブタイプの各々を発現する安定にトランスフェクトされたCHO細胞株由来の膜であった。増殖後、これらの細胞をペレット化し、続いて、Polytronを使用して、50容量の冷却した10mMのNa/Kリン酸緩衝液(pH7.4)(緩衝液B)中でホモジナイズした。このホモジネートを、4℃で、40,000×gで20分間遠心分離した。得られた上清を捨て、そしてペレットを、20mg湿潤組織/mlの最終濃度で、緩衝液Bに再懸濁した。これらの膜を、以下に記載の結合アッセイで使用するまで、−80℃で貯蔵した。
【0137】
クローン化ヒトムスカリン性レセプターに対する結合を、H−キナクリジニルベンジレート(QNB)(Watsonら、1986)を使用して実施した。簡単には、膜(M1、M2およびM4を含有する膜について、それぞれ、約8μg、20μgおよび14μgのタンパク質)を、H−QNB(100〜200pMの最終濃度)および2mlの最終容量の漸増濃度の未標識の薬物と共に、25℃で90分間、インキュベートした。非特異的結合を、1μMのアトロピンの存在下でアッセイした。このインキュベーションを、Skatron濾過装置を使用して、GF/Bガラス繊維フィルターで減圧濾過することによって終了し、そしてこのフィルターを、冷却した10mMのNa/Kリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄した。シンチレーションカクテルを、このフィルターに添加し、そしてバイアルを一晩インキュベートした。結合した放射性リガンドを、液体シンチレーションカウンター(効率50%)で定量した。得られたデータを、EBDAコンピュータープログラム(McPherson,1985)を使用して、IC50値(すなわち、結合を50%阻害するのに必要な化合物の濃度)について分析した。次いで、親和性値(K)を、以下の式(ChengおよびPrusoff,1973)を使用して決定した;
【0138】
【数1】

従って、より小さいK値は、より大きな結合親和性を示す。特定のムスカリン性レセプターへの結合に対する化合物の選択性の程度を決定するために、第1のムスカリン性レセプターのK値を、別のムスカリン性レセプターのK値で割る。例えば、M1レセプターのK値をM2レセプターのK値で割る場合、より高い比は、M2ムスカリン性レセプターへの結合に対するより大きな選択性を示す。
【0139】
化合物の表に示される化合物について、M2レセプターに対するムスカリン性拮抗活性の範囲は、約0.295nM〜約168.15nMであることが見出された。
【0140】
本発明は、上記の特定の実施形態と共に記載されてきたが、その多くの代替物、改変物および他のバリエーションが、当業者に明らかである。全てのこのような代替物、改変物およびバリエーションは、本発明の精神および範囲内に含まれることが意図される。
本発明により、例えば以下が提供される:
(項1)
以下の構造式:
【化1】


で示される化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで、
Zは、N、C(H)、またはC−(アルキル)であり;
Xは、−O−、−S−、−SO−、−S(O)−、−C(O)−、−CH−、または−C(S)であり;
Rは、
【化2】


であり;
は、
【化3】


であり;
は、同一であるかもしくは異なり得る、1〜5個の置換基であって、該置換基のそれぞれは、アルコキシまたはハロのいずれかであり;
は、水素または同一であるかまたは異なり得る1〜3個の置換基であって、該置換基のそれぞれは、アルキルまたはハロアルキルのいずれかであり;
27は、水素または同一であるかもしくは異なり得る1もしくは2個の置換基であって、該置換基のそれぞれは、アルキル、ヒドロキシアルキル、アリールアルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルキルチオ、アルキルチオアルキレン、カルボキシアルキル、イミダゾリルアルキルおよびインドリルアルキルからなる群から独立して選択され;
28は、水素または同一であるかもしくは異なり得る1もしくは2個の置換基であって、該置換基のそれぞれは、アルキル、ヒドロキシアルキル、アリールアルキル、アミノアルキル、ハロアルキル、アルキルチオ、アルキルチオアルキレン、カルボキシアルキル、イミダゾリルアルキルおよびインドリルアルキルからなる群から独立して選択されるか;あるいはR27とR28は、共に結合されてアルキレン基を形成し得;
29は、水素、アルキル、−C(O)−アルキル、−C(O)−シクロアルキル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニルまたは−SO−NH−R35からなる群から独立して選択され;
31は、水素または同一であるかもしくは異なり得る1もしくは2個の置換基であって、該置換基のそれぞれは、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、ヒドロキシ、−N(R35、−O−アシル、−N(R35)アシル、−OC(O)OR35および−OC(O)N(R35からなる群から独立して選択され;
32は、水素または同一であるかもしくは異なり得る1もしくは2個の置換基であって、該置換基のそれぞれは、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、ヒドロキシ、−N(R35、−O−アシル、−N(R35)アシル、−OC(O)OR35および−OC(O)N(R35からなる群から独立して選択されるか、あるいはR31およびR32は、共に結合されて基−(CH−を形成し得、ここで、rは、1、2、3、4、5または6であり;
33は、アリールまたはヘテロアリールであるが、ただし、R33がヘテロアリールである場合、C(O)−R33の結合は、該R33基中の炭素原子への結合であり;そしてR35は、水素、アリールまたはアルキルである、
化合物。
(項2)
項1に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで、
は、
【化4】


であり;そして
Xは、−O−、−S−、−SO−または−S(O)−である、化合物。
(項3)
項1に記載の化合物であって、以下:
【化5】


または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで、RおよびXが以下に定義されるとおりである化合物からなる群から選択される、化合物:
【化6】

















(項4)
項3に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化7】


を有する、化合物。
(項5)
項3に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化8】


を有する、化合物。
(項6)
項3に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩であって、以下の式:
【化9】


を有する、化合物。
(項7)
項3に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化10】


を有する、化合物。
(項8)
項3に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化11】


を有する、化合物。
(項9)
項3に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化12】


を有する、化合物。
(項10)
項3に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化13】


を有する、化合物。
(項11)
項3に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化14】


を有する、化合物。
(項12)
項3に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化15】


を有する、化合物。
(項13)
項3に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化16】


を有する、化合物。
(項14)
項1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化17】


を有する、化合物。
(項15)
薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて項1に記載の化合物を含有する、薬学的組成物。
(項16)
項1に記載の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを混合する工程を包含する薬学的組成物の作製方法。
(項17)
認知疾患または神経変性疾患を処置する方法であって、該方法は、有効量の項1に記載の化合物を該疾患に罹患する患者に投与する工程を包含する、方法。
(項18)
認知疾患または神経変性疾患を処置する方法であって、該方法は、項1に記載の化合物とアセチルコリンエステラーゼインヒビターとの有効量の組み合わせを、該疾患に罹患する患者に投与する工程を包含する、方法。
(項19)
認知疾患または神経変性疾患を処置するためのキットであって、該キットは、組み合わせて使用するための単一パッケージ中の別々の容器中の薬学的化合物を備え、第1の容器は、項1に記載の化合物を含み、第2の容器は、アセチルコリンエステラーゼインヒビターを含み、該化合物およびインヒビターは、それぞれ、薬学的に受容可能なキャリア中にあり、そして該化合物およびインヒビターは、合わせて有効量となる、キット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載される化合物、組成物および方法。

【公開番号】特開2009−155350(P2009−155350A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100409(P2009−100409)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【分割の表示】特願2003−534396(P2003−534396)の分割
【原出願日】平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】