説明

ムスカリン性レセプターアンタゴニストの安定水和物

【課題】過敏性腸症候群、憩室疾患、食道噴門痙攣、慢性閉塞性気道疾患、過活動膀胱(失禁、切迫および頻度の徴候を含む)、尿失禁、神経因性尿意逼迫または頻尿、膀胱機能障害の処置、尿漏れ、神経因性膀胱により引き起こされる排尿痛または排尿困難、痙性または過緊張性膀胱、機能不全性膀胱症候群、胃腸管活動亢進を含む胃腸管障害、および腸平滑筋細胞に対する弛緩作用の処置に有用なムスカリン性レセプターアンタゴニストの安定固体水和物を提供すること。
【解決手段】ダリフェナシンの安定固体水和物の提供により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド、別名ダリフェナシン(VII):
【化1】

として知られるムスカリン性レセプターアンタゴニストの安定固体水和物に関する。
【0002】
さらに、本発明は、本発明の水和物を含有する医薬組成物、および医薬における当該水和物の使用に関する。かかる医薬組成物は、特にムスカリン性レセプターのアンタゴニストが必要とされる疾患、たとえば過敏性腸症候群、憩室疾患、食道噴門痙攣(oesophageal achalasia)、慢性閉塞性気道疾患、過活動膀胱(失禁、切迫および頻度の徴候を含む)、尿失禁、神経因性尿意逼迫または頻尿、膀胱機能障害の処置、尿漏れ(urinary leakage)、神経因性膀胱により引き起こされる排尿痛または排尿困難、痙性または過緊張性膀胱、機能不全性膀胱症候群、胃腸管活動亢進を含む胃腸管障害、および腸平滑筋細胞に対する弛緩作用の処置に関する。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第0388054号は、ムスカリン性レセプターアンタゴニストとしての、ダリフェナシンを含む3−置換ピロリジン誘導体および医薬上許容されるそれらの塩のファミリーを記載している。医薬上許容される塩としては、酸付加塩、特に塩酸塩、臭化水素酸塩、フッ化水素酸塩、硫酸塩または重硫酸塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、コハク酸塩および酒石酸塩が挙げられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダリフェナシンの臭化水素酸塩は、医学的利用のための好適な化合物である。当該塩は、対応する無水遊離塩基から製造される。しかしながら、遊離塩基に関連する問題は、それが非常に不安定であること、1ヶ月しか貯蔵寿命がないことである。さらに、医薬的使用に十分に純粋な形態で遊離塩基を製造することは困難であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、この問題は、臭化水素酸塩を製造するために遊離塩基を使用するよりもむしろ、臭化水素酸塩に変換するためにダリフェナシンの水和物を合成することにより対処され得ることが見いだされた。この固体水和物は、十分に1年以上安定であることが見いだされた。さらに、それは、医薬的使用に適したレベルの純度で得られ得る。当該固体水和物の、医薬上有用な臭化水素酸塩への変換は、容易な変換により達成され得る。
【0006】
したがって、本発明は、ダリフェナシンの安定固体水和物を提供する。本発明の水和物は、1:0.6から1:1のダリフェナシン:水の化学量論を有する化合物として単離され得ることがX線結晶学的に示された。
【0007】
さらに特に、本発明は、式(IX):
【化2】

で示される化合物を提供する。
【0008】
好適な実施態様において、式(IX)の化合物は、νmax.(cm−1):3625、3516、3440、2948、2806、1699、1622、1597、1578、1488、1471、1445、1378、1353、1325、1312、1280、1242、1196、1152、1119、1102、1086、1024、981、939、925、900で有意な吸収バンドを示す、単回反射(single reflection)ATR(減衰全反射(attenuated total reflectance))を用いて測定される赤外スペクトルにより特徴づけられる。
【0009】
式(IX)の化合物は、また、8.39、10.519、13.272、13.693、15.908、16.289、16.855、19.637、21.135、21.55、21.722、23.006、および26.284°(2θ)で主要なピークを示す、銅放射(λ=0.15405nm)を用いて得られる粉末X線回折パターンにより特徴づけられ得る。
【0010】
それは、さらに、20℃/分のスキャン速度で101℃にて鋭い吸熱を示す示差走査熱量測定(DSC)トレースにより特徴づけられる。
【0011】
赤外スペクトル測定は、Nicolet Avatar 360 FT−IRスペクトロメーターを用いて行われた。サンプルを、650cm−1〜4000cm−1のスペクトル範囲で走査するスペクトロメーターを有する単回反射ATR(減衰全反射)を用いて行われた。
【0012】
PXRDデータは、自動サンプルチェンジャー(automatic sample changer)、シータ−シータ ゴニオメーター、自動ビーム分岐スリット(automatic beam divergence slit)、第2モノクロメーター(secondary monochromator)およびシンチレーションカウンターを取り付けたSIEMENS D5000粉末X線回折計を用いて得られた。サンプルを、シリコンウェファー標本マウントに粉末をパッキングすることにより分析用に調製した。個々の標本を、40kV/40mAで走査された銅K−アルファ X線(波長=1.5406オングストローム)で照射しながら回転させた。分析を、2°〜45°の2シータ範囲にわたって0.02°ステップにつき5秒間のステップ−スキャンモードで作動しているゴニオメーターで行った。
【0013】
DSCを、自動サンプルチェンジャーを取り付けたPerkin Elmer DSC−7機器を用いて行った。約3mgのサンプルを、50マイクロリットルのアルミニウムパンに正確に秤量し、そして穿孔蓋(perforated lid)で圧着密封した。サンプルを、窒素ガスパージで40℃〜250℃の範囲にわたって20℃/分にて加熱した。
【0014】
本発明は、さらに、医薬上許容される賦形剤、希釈剤または担体とともに、上記のような本発明の水和物を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、上記のような本発明の水和物または医薬として上記のような本発明の水和物を含んでなる医薬組成物の使用を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、ムスカリン性レセプターのアンタゴニストが適用される病状の治療的または予防的処置用医薬の製造のための、上記のような本発明の水和物または本発明の水和物を含んでなる医薬組成物の使用を提供する。かかる病状は、過敏性腸症候群、憩室疾患、食道噴門痙攣(oesophageal achalasia)、慢性閉塞性気道疾患、過活動膀胱(失禁、切迫および頻度の徴候を含む)、尿失禁、神経因性尿意逼迫または頻尿、膀胱機能障害の処置、尿漏れ(urinary leakage)、神経因性膀胱により引き起こされる排尿痛または排尿困難、痙性または過緊張性膀胱、機能不全性膀胱症候群、胃腸管活動亢進を含む胃腸管障害、および腸平滑筋細胞に対する弛緩作用である。
【0017】
また、本発明により、ムスカリン性レセプターのアンタゴニストが適用される病状を治療または予防するための哺乳類の処置方法であって、当該哺乳類に上記のような本発明の水和物の有効量、または上記のような本発明の水和物を含んでなる医薬組成物の有効量を投与することを含んでなる方法が提供される。
【0018】
本発明は、また、上で記載したような本発明の水和物の、すべての適当な同位体変異物(isotopic variation)を含む。上で記載したような本発明の水和物の同位体変異物は、少なくとも1つの原子が同一の原子番号を有するが、通常天然に見いだされる原子量とは異なる原子量を有する原子により置き換えられたものとして定義される。上で記載したような本発明の水和物に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素および酸素の同位体、たとえば、それぞれH、H、13C、14C、15N、17Oおよび18Oが挙げられる。上で記載したような本発明の水和物の一定の同位体変異物、たとえばHまたは14Cのような放射性同位体が組み込まれたものは、薬物および/または基質組織分布試験において有用である。トリチウム化された、すなわちH、および炭素−14、すなわち14C、同位体は、特に製造の容易さおよび検出能のために好適である。さらに、重水素、すなわちHのような同位体での置換は、より大きい代謝安定性、たとえばインビボ半減期の上昇または必要投与量の減少に由来する一定の治療的利点を提供し得、それ故にいくつかの状況においては好適であり得る。上で記載したような本発明の水和物の同位体変異物は、一般に、例示的方法(illustrative method)のような慣用的手順により、または適当な試薬の適当な同位体変異物を用いる後記の実施例および製造において記載した製造により製造され得る。
【0019】
上に記載したような本発明の水和物は、単独で投与され得るが、一般に、意図される投与経路および標準的な医薬における慣習を考慮して選択される適当な医薬賦形剤、希釈剤または担体と混合して投与される。たとえば、上で記載したような本発明の水和物は、即時型、遅延型、修飾型、持続型、パルス型または制御型放出の適用のために、錠剤、カプセル剤、多重顆粒剤(multi-particulate)、ゲル剤、フィルム剤、オーブル(ovule)、エリキシル剤、液剤または懸濁剤の形態で経口的に、口腔内にまたは舌下に投与され得、これらは、また香料添加剤または着色剤を含有し得る。上で記載したような本発明の水和物は、また、高速分散または高速溶解用量形態として、あるいは高エネルギー分散体(high energy dispersion)の形態でまたは被覆粒子として投与され得る。上で記載したような本発明の水和物の適当な製剤は、要望にしたがって被覆または非被覆形態であり得る。
【0020】
かかる固体医薬組成物、たとえば錠剤は、賦形剤、たとえば微晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウムおよびグリシン、崩壊剤、たとえばスターチ(好ましくはコーン、ジャガイモまたはタピオカスターチ)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよび一定の複合ケイ酸塩、および造粒結合剤、たとえばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアカシア(acacia)を含有し得る。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクのような滑沢剤が含まれ得る。
【0021】
同様のタイプの固体組成物は、また、ゼラチンまたはHPMCカプセルへの充填用組成物として使用され得る。この点における好適な賦形剤としては、ラクトース、スターチ、セルロース、乳糖(milk sugar)または高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁剤および/またはエリキシル剤のために、上で記載した本発明の水和物は、さまざまな甘味剤または香料添加剤、着色物質または色素と、乳化剤および/または懸濁剤と、および水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンのような希釈剤、ならびにこれらの組合せと組み合わせられ得る。
【0022】
上で記載したような本発明の水和物は、また、非経腸的に、たとえば、経静脈的に、動脈内に、腹腔内に、くも膜下腔内に、脳室内に、尿道内に、胸骨内に、頭蓋内に、筋肉内に、または皮下に投与され得るか、あるいはそれらは、注入または無針(needleless)注射技術により投与され得る。かかる非経腸投与のために、それらは、他の物質、たとえば溶液を血液と等張にするのに十分なグルコースの塩を含有し得る滅菌水溶液の形態で最もよく使用される。当該水溶液は、必要ならば、適当に(好ましくは3〜9のpHに)緩衝化されるべきである。滅菌条件下に適した非経腸製剤の製造は、当業者に周知の標準的医薬技術により容易に達成される。
【0023】
ヒト患者への経口および非経腸投与のために、上に記載した本発明の水和物の1日用量レベルは、通常、1.5〜30mg(単回または分割用量で)である。いずれにせよ、医師は、任意の個々の患者に最も適した実際の用量を決定し、そしてそれは、個々の患者の年齢、体重および応答によって変動する。上記の用量は、平均的なケースを例示したものである。もちろん、より多いまたは少ない用量がふさわしい個々の場合も存在し得、そしてそれは本発明の範囲内である。
【0024】
上で記載したような本発明の水和物は、また、経鼻的にまたは吸入により投与され得、そして簡便には、ドライパウダーインヘラーまたはエアロゾルスプレー形式の形態で、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器またはネブライザーから、適当なプロペラント、たとえばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、たとえば1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134A(商標))または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA(商標))、二酸化炭素または他の適当なガスにより、またはそれらによらずに送達される。加圧型エアロゾルの場合において、単位用量は、計量された用量を送達するためのバルブを提供することにより決定され得る。加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器またはネブライザーは、たとえば溶媒としてエタノールおよびプロペラントの混合物を用いて、活性化合物の溶液または懸濁液を含有し得、これは、さらに、滑沢剤、たとえばトリオレイン酸ソルビタンを含有し得る。インヘラーまたはインサフレーター(insufflator)において使用するための(たとえばゼラチンから作られた)カプセルおよびカートリッジは、上で記載したような本発明の水和物、およびラクトースまたはスターチのような適当なパウダーベースの粉末混合物を含有するように製剤化され得る。
【0025】
エアロゾルまたはドライパウダー製剤は、好ましくは、個々の定量または「パフ」が患者への送達のために0.2mg〜3.0mgの上で記載したような本発明の水和物を含有するように設定される。エアロゾルでの総計の1日用量は、0.5mg〜10.0mgの範囲の上で記載したような本発明の水和物であり、これは、1回の服用で、または、より一般的には、当日中に分割された服用量で投与され得る。
【0026】
あるいは、上で記載したような本発明の水和物は、坐剤またはペッサリーの形態で投与され得るか、あるいはゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏または撒布剤(dusting powder)の形態で局所的に適用され得る。上で記載したような本発明の水和物は、また、たとえば皮膚パッチの使用により、皮膚にまたは経皮的に投与され得る。それらは、また、肺または直腸経路により投与され得る。
【0027】
あるいは、上で記載したような本発明の水和物は、皮膚、粘膜に局所的に、皮膚にまたは経皮的に、たとえば、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、撒布剤、包帯剤(dressing)、フォーム、フィルム、皮膚パッチ(たとえば、限定されるわけではないが、以下のタイプ、リザーバー、マトリックス、貼付剤(drug-in-adhesive)、マルチラミネートポリマーシステム)、ウェファー、インプラント、スポンジ、ファイバー、包帯(bandage)、ミクロエマルジョンおよびこれらの組合せの形態で投与され得る。かかる適用のために、上で記載したような本発明の水和物を、たとえば、鉱物油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ろう、グリセリン、シリコンオイル(silicone fluid)、固定油(合成モノ−またはジグリセリドを含む)、および脂肪酸エステル(オレイン酸を含む)、水、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、アルコール、たとえばエタノールの1またはそれ以上と混合して懸濁または溶解させてもよい。あるいは、透過促進剤、たとえば限定されるわけではないが、Journal of Pharm. Sciences, October 1999においてフィニン(Finnin)およびモルガン(Morgan)「Transdermal Penetration Engancers: Applications, Limitations and Potential」に記載されたものが使用され得る。ナノパーティクル(たとえばニオソームまたはリポソーム)の形態のポリマー、炭水化物、タンパク質、リン脂質を使用するか、または懸濁もしくは溶解させてもよい。さらに、それらはイオントフォレーシス(iontophoresis)、エレクトロポレーション、フォノフォレーシス(phonophoresis)、ソノフォレーシス(sonophoresis)および無針注射を用いて送達され得る。
【0028】
上で記載したような本発明の水和物は、また、シクロデキストリンと組み合わせて使用され得る。シクロデキストリンは、医薬分子と包接および非包接錯体を形成することが知られている。医薬−シクロデキストリン錯体の形成は、医薬分子の溶解度、溶解速度、バイオアベイラビリティーおよび/または安定特性を改変し得る。医薬−シクロデキストリン錯体は、一般に、たいていの投与形態および投与経路に有用である。医薬との錯体化を目的とする別法として、シクロデキストリンは、補助添加剤(auxiliary additive)、たとえば担体、希釈剤または可溶化剤として使用され得る。アルファ−、ベータ−およびガンマ−シクロデキストリンは、最もよく使用され、そして適当な例は、WO−A−91/11172、WO−A−94/02518およびWO−A−98/55148において記載されている。
【0029】
本発明の化合物は、以下に示すように製造され得る:
【化3】

【0030】
驚くべきことに、ダリフェナシン水和物は、樹脂処理に付し、次いで、トルエン溶媒和物を経由してその水和物に変換されたダリフェナシンの溶液から医薬的に純粋な形態で得られ得ることが見いだされた(スキーム1の工程AおよびB参照)。ダリフェナシン トルエン溶媒和物は、その臭化水素酸塩へと直接変換され得るが、この変換は製造プラントスケジュールの融通がきかなくなる。というのは、トルエン溶媒和物は、中期から長期間の保存に関して安定でないからである。製造方法に対するこの追加的負担は、ダリフェナシン トルエン溶媒和物をダリフェナシン水和物に変換することにより克服され得、これは長期間にわたって安定であり、それにより、必要なときに、その間に化合物(IX)の質が低下する恐れなしに、ダリフェナシン臭化水素酸への変換を行い得る。
【0031】
したがって、本発明は、さらに、ダリフェナシンを樹脂処理に付し、続いてトルエン溶媒和物に変換し、これを水和物に変換することによる、医薬的に純粋な形態の上で記載したような本発明の水和物の製造方法を提供する。適当な有機溶媒または水性有機溶媒混合物中のダリフェナシンの溶液を樹脂と合わせ、そして得られた混合物を周囲温度と還流温度との間で撹拌する。続いて、ダリフェナシン溶液を、濾過により樹脂から分離する。好ましくは、樹脂は第4級アンモニウムヒドロキシド樹脂である。樹脂処理は、バッチ様式(batch mode)または連続製造様式(continuous processing mode)で行われ得る。水和物を、さらに、ダリフェナシンの酸付加塩を与えるために合成され得る。好ましくは、酸付加塩は臭化水素酸塩である。
【0032】
さらに、本発明は、ダリフェナシンのトルエン溶媒和物の形態の、上で記載したような本発明の水和物の供給のための新規中間体を提供する。ダリフェナシンの他の溶媒和物、たとえば酢酸エチル溶媒和物がトルエン溶媒和物の代わりに使用され得ると思われる。
【0033】
化合物(VIII)は、非対称単位(asymmetric unit)中に1:1の化学量論、すなわち1分子のダリフェナシンおよび1分子のトルエンを有することがX線結晶学的に示された。
【0034】
式(VIII)の化合物は、νmax.(cm−1):3463、3342、3299、3285、3022、2925、2825、1673、1614、1490、1440、1384、1333、1319、1243、1195、1152、1130、1115、1102、1028、1003、980、939、926、907で有意な吸収バンドを示す、単回反射ATR(減衰全反射)を用いて測定される赤外スペクトルにより特徴づけられる。
【0035】
この化合物は、また、12.572、12.754、15.978、17.419、18.537、18.889、20.78、21.562、22.437、22.736、23.767、24.075、24.266、25.35、25.762、27.214、および29.716°(2θ)で主要ピークを示す、銅放射(λ=0.15405nm)を用いて得られる粉末X線回折パターンにより特徴づけられ得る。
【0036】
それは、さらに、20℃/分のスキャン速度で92℃にて鋭い吸熱を示す、示差走査熱量測定(DSC)トレースにより特徴づけられ得る。
【実施例】
【0037】
以下の実施例は、スキーム1において開示された化合物の製造を説明する。
【0038】
実施例1:
(S)−2,2−ジフェニル−2−(3−ピロリジニル)アセトニトリル臭化水素酸塩(II)
【化4】

【0039】
(S)−2,2−ジフェニル−2−(1−トシル−3−ピロリジニル)アセトニトリル(I)[欧州特許公開第0388054号参照](83.8Kg、201.2モル)、48%水性臭化水素酸(419L、5L/Kgの化合物I)およびフェノール(16.8Kg、0.2Kg/Kgの化合物I)の混合物を、3時間加熱還流する。混合物を冷却し、そしてジクロロメタン(1×560Kg、1×523Kg)で抽出する。抽出液を合わせ、そして塩化ナトリウム水溶液(150Kgの水中15Kg)で洗浄する。有機層を濃縮し、そして本質的に酢酸エチルで置き換えて約440Lの総容積とする。ヘキサン(276Kg)を40℃にて添加し、そして生成物を濾過により0〜5℃にて集める。(S)−2,2−ジフェニル−2−(3−ピロリジニル)アセトニトリル臭化水素酸塩を冷酢酸エチルで洗浄し、そして真空下で60℃にて乾燥する。収量52.8Kg(76%)。
【0040】
ν=3441、2940、2745、2455、2246、1972、1886、1806、1596、1585、1561、1494、1450、1392、1289、1255、1217、1159、1104、1070、1034、1002、967、917、899、833、766、750、702、664、645、546、496、472cm−1.
【0041】
1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ=2.12 (2H, m), 3.15 (1H, m), 2.96 (3H, m), 3.76 (1H, quin, J 8 Hz), 7.25-7.41 (6H, m), 7.47 (4H, t, J 8 Hz), 9.23 (1H, br. s), 9.43 (1H, br).
LRMS (電子スプレー、陽イオン):m/z [MH+] 263.
【表1】

【0042】
実施例2:
(S)−3−(シアノジフェニルメチル)−1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)アセチル]ピロリジン(IV)
【化5】

【0043】
酢酸エチル(115L)中の2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)酢酸(III)(9.85Kg、55.3モル)の冷却した(0〜5℃)スラリーに、カルボニルジイミダゾール(8.97Kg、55.3モル)を添加する。反応液を5〜10℃にて1時間撹拌し、その後、(S)−2,2−ジフェニル−2−(3−ピロリジニル)アセトニトリル臭化水素酸塩(II)(17.25Kg、50.2モル)を添加する。反応液を20〜25℃にまで加温し、そしてさらに3時間撹拌する。反応混合物を、2N水性塩酸(42L)、次いで水性炭酸水素ナトリウム(42Lの水中2.1Kg)で洗浄する。酢酸エチル溶液を濃縮し、そして本質的にトルエンで置き換えると、約43Lの総容積を有するトルエン中の生成物の溶液を得る。(S)−3−(シアノジフェニルメチル)−1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)アセチル]ピロリジンの推定収率は、100%(21.2Kg)であり、そして化合物Vの製造において直接使用される。
【0044】
ν=3448、3059、3026、2973、2948、2878、2236、1959、1890、1811、1719、1643、1600、1491、1449、1421、1362、1336、1297、1241、1219、1198、1159、1125、1102、1034、1002、983、944、917、892、836、804、764、752、701、667、646、618、576、550、469、424、405cm−1
【0045】
この化合物に関して、いくつかの共鳴について「倍加された(doubled-up)」シグナルを与える2つの構造的コンホメーションが存在する。
1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ = 1.85-2.20 (2H, m), 3.16 & 3.18 (2H, t, J 9 Hz), 3.20-3.85 (7H, m), 4.54 & 4.55 (2H, t, J 9 Hz), 6.68 & 6.70 (1H, d, J 9 Hz), 6.83 & 6.94 (1H, d, J 9 Hz), 7.05 & 7.12 (1H, s), 7.22-7.48 (10H, m).
LRMS (電子スプレー、陽イオン):m/z [MH+] 423.
【表2】

【0046】
実施例3:
(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトニトリル(V)
【化6】

【0047】
トルエン溶液としての(S)−3−(シアノジフェニルメチル)−1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)アセチル]ピロリジン(IV)(7.43Kg活性、17.59モル)およびテトラヒドロフラン(29.7L)中の水素化ホウ素ナトリウム(0.87Kg、23モル)の冷却された(0℃)混合物に、反応温度を10℃以下に維持するような速度で、三フッ化ホウ素−テトラヒドロフラン錯体(4.31Kg、30.81モル)を添加する。反応液を周囲温度まで加温し、そしてさらに4時間撹拌する。水性ピペラジン溶液を添加し、そして混合物を8時間加熱還流する。水層を分離し、そして40℃にて1%塩化ナトリウム水溶液(22.3L)で洗浄する。有機層を濃縮し、そして本質的に大気圧でイソプロピルアルコールに置き換え、約30Lの総容積とする。冷却すると生成物は結晶化し、そして濾過により0〜5℃にて集める。(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトニトリル(V)を、冷イソプロピルアルコールで洗浄し、そして真空下で50℃にて乾燥する。収量6.34Kg(88%)。
【0048】
ν=3441、3088、3056、3032、2947、2924、2884、2856、2790、2744、2237、1955、1883、1809、1614、1596、1489、1448、1385、1353、1338、1322、1290、1245、1216、1195、1148、1130、1101、1076、1033、1016、1003、980、944、921、891、847、819、799、764、750、701、674、658、646、573、563、540、504、491、427、403cm−1
【0049】
1H NMR (300 MHz, CDCl3); 1.86 (1H, m), 2.10 (1H, m), 2.38 (1H, t, J 9 Hz), 2.52 (1H, q, J 8 Hz), 2.59-2.75 (4H, m), 2.84 (1H, m), 3.02 (1H, dt, J 4 & 9 Hz), 3.16 (2H, t, J 9 Hz), 3.47 (1H, m), 4.53 (2H, t, J 9 Hz), 6.67 (1H, d, J 8 Hz), 6.90 (1H, d, J 8 Hz), 7.00 (1H, s), 7.23-7.40, (6H, m), 7.46 (4H, t, J 8 Hz).
LRMS (電子スプレー、陽イオン):m/z [MH+] 409
【表3】

【0050】
実施例4:
(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトニトリル臭化水素酸塩(VI)
【化7】

【0051】
メタノール(150ml)中の(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトニトリル(V)(30.0g、0.073モル)のスラリーに、温度を40℃以下に維持しながら48%水性臭化水素酸(13.6g、0.081モル)を添加する。混合物を1時間加熱還流する。バッチを0℃に冷却し、そして生成物を濾過により集め、メタノール(60ml)で洗浄し、そして真空下で50℃にて乾燥すると、(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトニトリル臭化水素酸塩(VI)(33.5g、93%)を得る。
【0052】
ν=3440、3059、3002、2931、2893、2856、2653、2624、2548、2496、2471、2239、1960、1888、1812、1615、1599、1493、1450、1394、1363、1332、1294、1242、1159、1129、1106、1088、1073、1035、1003、981、941、889、830、766、751、725、703、666、645、582、548、534、500、476、423cm−1
【0053】
1H NMR (300 MHz, CDCl3); 2.08 (1H, m), 2.46 (1H, m), 2.75 (1H, q, J 10 Hz), 2.69-3.33 (7H, m), 3.70 (1H, m), 3.83 (1H, m), 4.09 (1H, m), 4.54 (2H, t, J 9 Hz), 6.69 (1H, d, J 8 Hz), 6.92 (1H, d, J 8 Hz), 7.06 (1H, s), 7.27-7.50 (10H, m), 12.08 (1H, br).
LRMS (電子スプレー、陽イオン):m/z [MH+] 409.
【表4】

【0054】
実施例5:
(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド トルエン溶媒和物(VIII)
【化8】

【0055】
方法1:2−メチルブタン−2−オール(175ml)中の水酸化カリウム(48.7g、0.87モル)のスラリーを50〜60℃に加熱する。1時間後、(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトニトリル臭化水素酸塩(VI)(25.0g、0.051モル)を添加し、そして得られた混合物を20時間加熱還流する。反応混合物を周囲温度に冷却し、そして温度を30℃以下に維持しながら水(125mL)を添加する。混合物を15分間撹拌し、次いで放置し、そして有機相を分離する。有機相を水性塩化ナトリウム(5%w/w溶液の125mL)で洗浄すると、2−メチルブタン−2−オール(VII)中の溶液として(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミドの溶液を得る。この溶液を、アンバーライト(Amberlite)(登録商標)樹脂(37.5g)の存在下で22時間加熱還流し、次いで周囲温度まで冷却する。アンバーライト(登録商標)樹脂を濾過により除去し、そして2−メチルブタン−2−オール(25ml)で洗浄する。合わせた2−メチルブタン−2−オール相を濃縮し、そして本質的にトルエンで置き換えて約140mLの最終容積とする。トルエン溶液を0℃にまで冷却すると、その間に結晶化が起こる。(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド トルエン溶媒和物(VIII)を濾過により集め、冷トルエン(25ml)で洗浄し、そして真空下で35℃にて乾燥する。収量(22.2g、84%)。
【0056】
方法2:2−メチルブタン−2−オール(140ml)中の水酸化カリウム(40g、0.71モル)のスラリーを50〜60℃で加熱する。1時間後、(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトニトリル(V)(20g、0.049モル)を添加し、そして得られた混合物を約20時間加熱還流する。反応混合物を冷却し、そして温度を34℃以下に維持しながら水(100ml)を添加する。混合物を30分間撹拌し、そして有機相を分離する。有機相を水性塩化ナトリウム(5%w/w溶液の100mL)で洗浄すると、2−メチルブタン−2−オール中の溶液として生成物の溶液を得る。溶液を、アンバーライト(登録商標)樹脂(30g)の存在下で9時間加熱還流し、次いで周囲温度にまで冷却する。アンバーライト(登録商標)樹脂を濾過により除去し、そして2−メチルブタン−2−オール(20ml)で洗浄する。合わせた2−メチルブタン−2−オール相を濃縮し、そして本質的にトルエンにより置き換えて最終容積を約80mLとする。トルエン溶液を0℃にまで冷却すると、その間に結晶化が起こる。(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド トルエン溶媒和物(VIII)を濾過により集め、トルエン(70ml)で洗浄し、そして真空下で35℃にて乾燥する。収量(17.2g、68%)。
【0057】
ν=3463、3342、3299、3285、3022、2925、2825、1673、1614、1490、1440、1384、1333、1319、1243、1195、1152、1130、1115、1102、1028、1003、980、939、926、907cm−1
【0058】
1H NMR (300 MHz, d6-DMSO):δ = 1.57 (1H, m), 1.93 (2H, m), 2.3-2.5 (6H, m), 2,82 (1H, t, J 9), 3.11 (2H, t, J 9), 3.62 (1H, m), 4.47 (2H, t, J 9), 6.62 (1H, d, J 8), 6.82 (1H, d, J 8), 6.99 (1H, s), 7.08 (2H, m), 7.2-7.4 (10H, m).
トルエンに関して、2.3に1のモル比に相当するシグナルが観察され、これは(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミドの芳香族領域に重なって存在する。
【表5】

【0059】
実施例6:
(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド 水和物(IX)
【化9】

【0060】
アセトニトリル(320ml)中の(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド トルエン溶媒和物(VIII)(16g、0.031モル)の溶液を、減圧下で周囲温度にて濃縮する。得られた泡状物質をアセトニトリル(48ml)に溶かし、これに周囲温度にて水(1.1ml)を滴下する。結晶化が起こるまで溶液を周囲温度にて撹拌し、そして一夜撹拌する。(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド 水和物(IX)を濾過により集め、そして真空下で周囲温度にて乾燥する。収量(10.4g、76%)。
【0061】
ν=3625、3516、3440、2948、2806、1699、1622、1597、1578、1488、1471、1445、1378、1353、1325、1312、1280、1242、1196、1152、1119、1102、1086、1024、981、939、925、900cm−1
【0062】
1H NMR (300 MHz, d6-DMSO):δ = 1.57 (1H, m), 1.93 (2H, m), 2.3-2.5 (6H, m), 2,82 (1H, t, J 9), 3.11 (2H, t, J 9), 3.62 (1H, m), 4.46 (2H, t, J 9), 6.62 (1H, d, J 8), 6.81 (1H, d, J 8), 6.99 (1H, s), 7.07 (2H, m), 7.2-7.4 (10H, m).
カール・フィッシャー(Karl Fischer)法による含水率:2.7% w/w
【表6】

【0063】
実施例7:
(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド 臭化水素酸塩(X)
【化10】

【0064】
方法1:ブタン−2−オン(213ml)中の(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド トルエン溶媒和物(VIII)(30.4g、0.059モル)の溶液を33℃にまで加温すると溶液を得、次いで15℃にまで冷却する。次いで48%水性臭化水素酸(9.9g、0.059モル)を添加し、そして混合物を15℃にて1時間および0℃にて2時間撹拌する。(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド 臭化水素酸塩(X)を濾過により集め、ブタン−2−オン(65ml)で洗浄し、そして真空下で50℃にて18時間乾燥する。収量(24.6g、83%)。
【0065】
方法2:ブタン−2−オン(30ml)中の(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド 水和物(IX)(3.60g、0.0081モル)の溶液に、48%水性臭化水素酸(1.36g、0.0081モル)を添加する。混合物を、20℃にて1時間および0℃にて1時間撹拌し、そして(S)−2−{1−[2−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)エチル]−3−ピロリジニル}−2,2−ジフェニルアセトアミド 臭化水素酸塩(X)を濾過により集め、ブタン−2−オン(10ml)で洗浄し、そして真空下で50℃にて18時間乾燥する。収量(3.90g、95%)。融点=232℃。
【0066】
ν=3468、3211、3052、2995、2870、2693、2586、1668、1585、1492、1442、1243、983、850cm−1
【0067】
1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ =2.10-2.23 (1H, m); 2.81-2.99 (2H, m); 3.00-3.15 (4H, m); 3.15 (2H, t); 3.18-3.29 (1H, m); 3.48 (1H, t); 3.69 (1H, s); 3.80-3.95 (1H, m); 4.52 (2H, t); 5.58 (1H, bs); 5.62 (1H, bs); 6.63 (1H, d); 6.84 (1H, d); 7.01 (1H, s); 7.19-7.40 (10H, m); 11.48 (1H, bs).
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダリフェナシンの安定固体水和物。

【公開番号】特開2010−195828(P2010−195828A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126865(P2010−126865)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【分割の表示】特願2003−578353(P2003−578353)の分割
【原出願日】平成15年3月17日(2003.3.17)
【出願人】(302012969)ノバルティス・インターナショナル・ファーマシューティカル・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】