説明

ムスカリン性受容体アゴニストとしてのインダン誘導体

本発明は、M−1ムスカリン性受容体のアゴニストである式I


で示される化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬および有機化学分野に関し、ムスカリン性受容体に活性である化合物を提供する。
【0002】
本発明の化合物はムスカリンアゴニストである。特に、本発明の化合物はムスカリンM−1受容体の選択的アゴニストである。このため、中枢神経系および他の体系の様々な障害の治療に有効である。これらの障害には、認知障害、ADHD(多動性障害)、肥満、アルツハイマー病、統合失調症等の精神障害を含み、緑内障に見られるような眼圧を軽減するためにも有効である。
【0003】
特定のインダン様化合物は、PCT出願公開番号WO97/25983(1997年7月24日公開)、WO99/04778(1999年2月4日公開)、およびWO03/027061(2003年4月3日公開)において、ムスカリンコリン作動系の機能不全に関連する状態の治療に有効であると記載されている。
【0004】
本発明は式I
【化1】

(式中、
Q、X、Y、およびZはそれぞれ独立にCR1およびNからなる群から選択され、Q、X、Y、およびZのうち2つまでがNであり、Q、X、Y、およびZのうち少なくとも2つがCHであるか、またはYがCH、ZがCHであり、「Q=X」部分が「S」で示されチオフェン環を形成し;、
1はそれぞれ、水素、ハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から独立して選択され、
2はハロゲン;C−Cアルコキシ;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;シアノ;トリフルオロメチル;ハロゲン、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよいピリジニル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から選択される1つの置換基で置換されていてもよいチエニル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、およびシアノからなる群から独立して選択される1つから3つの置換基で置換されていてもよいフェニル;およびハロゲン、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよいピロリルからなる群から選択され;
3aは式
【化2】

で示される基であって、
X’はC−Cアルカンジイルおよび
【化3】

からなる群から選択され、
Y’はOおよびSからなる群から選択され、
Z’はC−Cアルキル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、およびニトロからなる群から独立して選択される1つから3つの置換基で置換されていてもよいC−Cシクロアルキル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、およびニトロからなる群から独立して選択される1つから3つの置換基で置換されていてもよいフェニル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよいヘテロアリール;およびハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよいヘテロ環から選択され;
pは0または1であり;
qは0または1であるが、
pが0の場合には、qは0であり;
3bは水素、C−Cアルキル、およびベンジルからなる群から選択されるか、
またはR3aおよびR3bはそれらが結合する窒素とともに、ハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよいヘテロ環を形成し、
4は水素、ヒドロキシ、およびフルオロからなる群から選択され;
5は水素、ハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から選択され;
mは1または2であり;
nは1または2である)
で示される化合物、あるいはその医薬的に許容し得る付加塩を提供する。
【0005】
本発明は、式Iの化合物および医薬的に許容し得る希釈剤を含有する医薬組成物も提供する。
【0006】
式Iの化合物は、M−1ムスカリン性受容体のアゴニストであるため、式Iの化合物は、認知障害(加齢に伴う認知障害、軽度の認知障害、統合失調症に関連する認知障害、および化学療法誘発性認知障害を含む)、ADHD、気分障害(うつ病、躁病、双極性障害を含む)、精神障害(特に統合失調症)、認知症(アルツハイマー病、AIDS誘発性認知症、血管性認知症、および特徴的な組織学的所見を欠く認知症を含む)、パーキンソン病、およびハンチントン舞踏病を含むムスカリン性受容体に関連する様々な障害の治療に有効である。また、本発明の化合物はクローン病を含む慢性大腸炎の治療に有効である。さらに、本発明の化合物は疼痛(急性疼痛および慢性疼痛)、口腔乾燥症(口渇症)、レヴィー小体病(びまん性のレヴィー小体病を含む)、失語症(原発性失語症および原発性失語症症候群を含む)、および低血圧症候群の治療に有効である。
【0007】
本発明の別の実施例において、必要とする患者に対して式Iの化合物を有効量投与することを含む、ムスカリン性受容体に関連する障害の治療方法を提供する。つまり、本発明はムスカリン性受容体に関連する障害の治療薬の製造に対する式Iの化合物またはその医薬組成物の使用を提供する。本発明は治療に使用する式Iの化合物も提供する。
【0008】
ここで使用する以下の用語は、次の意味を示している。
「ハロ」または「ハロゲン」という用語はクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨウ素原子を示す。「C−Cアルキル」という用語は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、およびt−ブチル等、1つから4つの炭素原子を持つ直鎖型または分岐型アルキルを示す。「C−Cアルカンジイル」という用語は、例えばメチレン、エチレン、テトラメチレン、1−メチルプロパン−1,3−ジイル、2−メチルプロパン−1,3−ジイル、およびブタン−2,3−ジイル等、合計1つから4つの炭素原子を持つ直鎖型または分岐型アルカンジイルを示す。「C−Cシクロアルキル」はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを示す。
【0009】
「C−Cアルコキシ」という用語は、例えばメソキシ、エソキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、およびt−ブトキシ等、酸素原子に結合する炭素原子を1つから4つ持つ直鎖型または分岐型アルキルを示す。
【0010】
「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1つまたは2つのヘテロ原子を含む安定した不飽和五員環または六員環を意味する。ヘテロアリールの例としては、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリダジニル、フリル、チエニル、等が挙げられる。好ましいヘテロアリール基はチエニル、ピリジニル、およびフリルである。
【0011】
「ヘテロ環」という用語は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1つから3つのヘテロ原子を含む安定した飽和五員環または六員環を意味する。ヘテロ環の例としては、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフリル、モルホリノ等が挙げられる。
【0012】
本発明の化合物は、多様な有機酸および無機酸との医薬的に許容し得る酸付加塩を形成し、しばしば薬化学に使用される生理学的に許容し得る塩を含む。そのような塩も本発明の一部である。「医薬的に許容し得る付加塩」は、当該技術分野において周知のように医薬的に許容し得る酸から形成される。そのような塩は、Journal of Pharmaceutical Science, 66, 2-19頁(1977)に掲載の医薬的に許容し得る塩を含み、熟練した当業者に知られている。そのような塩の形成に使用される主な無機酸は、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、次リン酸、メタリン酸、ピロリン酸等を含む。有機酸から派生する塩、例えば脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸およびヒドロキシアルカンジオール酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸を使用してもよい。このため、そのような医薬的に許容し得る塩は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸、酢酸、フェニル酢酸、トリフルオロ酢酸、アクリル塩酸、アスコルビン酸、安息香酸、クロロ安息香酸、ジニトロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、メソキシ安息香酸、メチル安息香酸、o−アセトキシ安息香酸、イソ酪酸、フェニル酪酸、α−ヒドロキシ酪酸、ブチン−1,4−ジカルボン酸、ヘキシン−1,4−ジカルボン酸、カプリン酸、カプロン酸、桂皮酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、グリコン酸、ヘプタン酸、馬尿酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、マロン酸、マンデル酸、メシル酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、シュウ酸、フタル酸、テラフタル酸、プロピオール酸、プロピオン酸、フェニルプロピオン酸、サリチル酸、セバシン酸、コハク酸、スベリン酸、ベンゼンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、エチルスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、メチルスルホン酸、ナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、酒石酸、等を含む。
【0013】
本発明は、式Iの化合物の立体異性体および互変異性体を含む。ここでは、(R)−および(S)−のカーン・インゴルド・プレローグ順位則による表示、ならびに関連する立体化学のシス表示およびトランス表示を使用して、特定の異性体および相対立体化学を示す。
【0014】
医薬的に活性な化合物の任意のグループを用いる場合、それらの最終的な用途において好まれるグループがある。以下のパラグラフは好ましいクラスを定義する。
a)R4が水素でない場合、1および2位にトランス立体化学を持つ化合物が好ましい。
b)R4が水素でない場合、以式
【化4】

に示す1および2位にトランス立体化学を持つ化合物がさらに好ましい。
c)R5は水素である。
d)R4はヒドロキシである。
e)mは1である。
f)R5は水素、R4はヒドロキシ、mは1である。
g)Q、X、Y、およびZは、それぞれCR1である。但し、Q,X、Y、およびZの少なくとも2つはCHである。
h)R1は水素である。
i)R1はハロゲンである。
j)R1はフルオロである。
k)Q、X、Y、およびZはそれぞれCHである。
l)Q、X、Y、およびZのうち1つがCFであり、その他はCHである。
m)QはCFであり、X、Y、およびZはそれぞれCHである。
o)R2は、ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、およびシアノからなる群から独立して選択される1つから3つの置換基で置換されていてもよいフェニルである。
p)R2はフェニルである。
q)R3aは、X’がC−Cアルカンジイルであり、pが1である基である。
r)R3aは、Y’がOであり、qが1である基である。
s)R3aは、Y’がSであり、qが1である基である。
t)R3aは、Z’がハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、およびニトロからなる群から独立して選択された1つから3つの置換基で置換されていてもよいフェニルである基である。
u)R3aは、Z’がC−Cアルキルである基である。
v)R3aは、X’がC−Cアルカンジイル、Y’がO、Z’がC−Cアルキル、pが1、qが1である基である。
w)R3aは、X’がC−Cアルカンジイル、Y’がS、Z’がC−Cアルキル、pが1、qが1である基である。
x)R3aは、X’がC−Cアルカンジイル;Y’がO;Z’がハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、およびニトロからなる群から独立して選択された1つから3つの置換基で置換されていてもよいフェニル;pが1;qが1である基である。
y)R3aは、X’がC−Cアルカンジイル;Y’がS;Z’がハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、およびニトロからなる群から独立して選択された1つから3つの置換基で置換されていてもよいフェニル;pが1;qが1である基である。
z)R3bは水素である。
aa)R3bはC−Cアルキルである。
bb)nは1である。
【0015】
前記パラグラフを組み合わせて、化合物のさらなる好適なクラスを定義してもよい。
【0016】
当該技術分野における通常の技術を有する者であれば、合成される特定の化合物、出発化合物、および置換部分の相対不安定性によって、工程の特定順序を変えてよいことを認識するであろう。本発明の化合物は様々な手順で生成できる。その幾つかを以下に示す。
反応式A
【化5】

反応式Aの工程aにおいて、式(1)の化合物を分解し、実質的に純粋な式(2)の化合物を生成する。式(1)の化合物は、PCT出願公開番号WO97/25983(1997年7月24日公開)およびWO99/04778(1999年2月4日公開)に記載の方法のような、当該技術分野において周知であり認識されている方法によって容易に生成することができる。ここで使用する「実質的に純粋な」とは、鏡像体純度を示す。式(1)の化合物を分割することによって、式Iの最終化合物の望ましい立体化学を反応式Aの工程aに便宜的に導入してもよい。さらに、以下に記載の工程b、c、d、e、f、g、および任意で工程hを介して式(1)の分割された化合物を処理すると、式Iの実質的に純粋な化合物が得られた。式Iの実質的に純粋な化合物は、80%以上の鏡像体純度となるように生成することができる。鏡像体純度はさらに好ましくは90%以上、またさらに好ましくは95%以上、最も好ましくは97%以上である。式(1)の化合物は、キラル・クロマトグラフィーまたはジアステリオマー酸付加塩の分別結晶によって分割することができる。多種多様のそのような塩がこの目的に適うことが望まれる。実際にはマンデル酸の異性体が特に有効であることが明らかになっている。
【0017】
例えば、式(1)の化合物を選択された酸と接触させる。一般に、約0.4モル当量から過剰な量の選択された酸を、好ましくは約0.4から1.5モル当量、さらに好ましくは約0.5から1.1モル当量で使用することができる。通常、この分割は溶液から酸付加塩を結晶化することによって行われる。特に、メタノールを含む低級アルコール等の溶媒が有効である。適度な量の溶液を処理するために、少量の水を選択した溶媒とともに使用することが有効となる場合がある。貧溶媒の使用も有効である。ここで使用する「貧溶媒」は、塩が他の選択溶媒に比べて溶解度が大幅に低い溶媒を示す。貧溶媒を使用する場合は、他の選択溶媒と混合できることが好ましい。適した貧溶媒は、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル等のエーテル、メチル酢酸、エチル酢酸、イソプロピル酢酸、プロピル酢酸、イソブチル酢酸、sec−ブチル酢酸、ブチル酢酸、アミル酢酸、イソアミル酢酸、等の低級アルキルアセテート、およびペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、等のアルカンを含む。ラセミ混合物を使用する場合、不要なジアステレオマー塩の結晶化を避けるため、貧溶媒の使用には注意が必要である。
【0018】
通常、約40℃〜選択した溶媒の還流温度の初期温度にて結晶化を行う。次に、当該混合物を冷却して塩を生成する。播種が有効である場合がある。結晶化溶液はゆっくり冷却することが好ましい。最も便宜的には、結晶を周囲温度から約−20℃まで冷却する。ろ過、傾斜、遠心分離、蒸発、乾燥、等を含む当該技術において周知である技術を使用して、塩を収集することができる。式(2)の化合物は、選択した塩の酸付加塩として直接使用できる。代替として、使用前に酸交換をして式(2)の化合物を別の酸付加塩として分離するか、または当該技術において周知され認識されている塩基性条件下で、抽出により塩基として分離することができる。
【0019】
当業者であれば容易に理解できるように、式(2)で表される化合物は、インダン核の1−および2−位がトランス配置である。シス化合物は、アミンの保護、ヒドロキシ中心の反転、および必要であれば続いて脱保護を行うことによって、そのようなトランス化合物から容易に生成される。例えば、酢酸および安息香酸を含む適切なカルボン酸を用いた光延反応に続いて加水分解を行う等、ヒドロキシ中心の反転を可能にする多くの方法がある。代替として、適切に分割されたアミノ−インダノールを選択的に硝酸処理して式(2)の化合物を生成してもよい。例えば、分割されたアミノ−インダノールを硝酸または硝酸ナトリウム等の硝化剤に導入してもよい。当該反応は、トリフルオロ酢酸または硫酸等の強酸存在下で実施してもよい。次に、水酸化ナトリウム等の適切な塩基を用いて当該反応を中和してもよい。ニトロ化の方法は、当該技術において周知である。例えば、Organic Chemistry, Morrison & Boyd, 第5版,Allyn & Bacon, Incを参照のこと。
【0020】
反応式Aの工程bは、式(3)の化合物の形成を示す。式(3)の化合物は、Rが前述の式Iの最終生成物において望ましい基である化合物である。Rをカルボニルと組み合わせて、式Iの最終生成物において望ましいR基を混入する前に除去できるt−BOC等の保護基を形成してもよい。適切な保護基の選択および使用は、当該技術において周知であり、認識されている(有機合成における保護基(Protecting Group in Organic Synthesis)、テオドラ・グリーン(Theodora Greene)(ワイリー・インターサイエンス(Wiley−Interscience))。
【0021】
例えば、Rが最終生成物において望ましい基である場合、工程bに示されるカップリング反応は、適切な酸またはそこから誘導される酸ハロゲン化物を使用して行われる。適切な酸は、様々な置換された安息香酸と酸ハロゲン化物、ヘテロアリール酸と酸ハロゲン化物、および様々なビアリールカルボン酸と酸ハロゲン化物を含む。例えば、ビフェニルカルボン酸および3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸が挙げられる。
【0022】
例えば、式(2)の化合物を適切な酸と接触させて式(3)の化合物を生成する。そのようなカップリング反応はペプチド合成において一般的であり、そこで使用される合成方法を用いることができる。例えば、N−ヒドロキシスクシニミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等のよく知られている添加物を使用するか否かに関わらず、樹脂結合試薬およびカルボジイミド等のよく知られているカップリング試薬を使用して、このアシル化を促進することができる。従来、当該反応はジメチルホルムアミド(DMF)、塩化メチレン(ジクロロメタン)、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、等の不活性の非プロトン極希釈剤中で行われる。通常、当該反応は約0℃から約60℃の温度で行い、約1時間から約24時間かかる。反応が完了すると、式(3)の生成物は抽出、沈殿、クロマトグラフィー、ろ過、粉砕、結晶化、等を含む従来の方法で回収される。
【0023】
代替として、例えば、式(2)の化合物を酸ハロゲン化物と結合して式(3)の化合物を得る。そのような酸ハロゲン化物は商業的に入手可能であるか、または少量のジメチルホルムアミドを使用するか否かに関わらず、約0℃から80℃のトルエン、塩化メチレン、またはクロロホルム中の三塩化リン酸、三臭化リン酸、酸塩化リン酸、五塩化リン酸、塩化チオニル、臭化チオニル、または塩化オキサリルの作用といった、当該技術において周知の方法により、対応する酸から容易に生成できる。当該反応は、通常1時間から24時間かかる。当該酸ハロゲン化物は分離して精製するか、またはしばしば直接使用、つまり分離および/または生成によって使用することができる。当該カップリング反応は、一般に適切な塩基を使用して反応中に生成される酸を取り除く。適切な塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリノ、等を含む。当該反応は、通常、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の溶媒中で行うか、または塩化メチレン、酢酸エチル、トルエンおよび水等の溶媒混合液中でショッテン・バウマン(Schotten−Baumann)条件下で実施する。通常、当該カップリング反応は、約20℃から約80℃の温度で行われ、約1時間から約24時間かかる。反応が完了すると、式(3)の生成物は抽出、沈殿、クロマトグラフィー、ろ過、粉砕、結晶化、等を含む従来の方法で回収される。
【0024】
反応式Aの工程cは、式(4)の化合物を生成するニトロ基の還元を示している。そのような還元は、当該技術分野において周知の様々な方法によって行うことができる。
【0025】
例えば、式(3)の化合物を炭素上のパラジウム等の触媒を用いて水素化し、式(4)の化合物を生成してもよい。一般的にそのような水素化は溶媒中で行われる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、または酢酸エチルまたはその混合物、等の様々な溶媒が適している。初期水素ガス圧力20から180psi(137−1241kPa)で当該水素化を実施してもよい。通常、当該反応は約0℃から約60℃の温度で行われる。また当該反応には通常1時間から3日を要する。当該生成物は、ろ過、抽出、蒸発、粉砕、沈殿、クロマトグラフィー、および再結晶化、等の当該技術分野において周知の技術によって分離および精製することができる。
【0026】
反応式Aの工程dは、アミン基のヨウ素等のハロ基への変換を示している。アニリンからハロゲン化アリールへの変換は、例えば、ラロック(Larock)、総合有機変換(Comprehensive Organic Transformations)、345−47ページ(1989)に記載のように、亜硝酸または亜硝酸イソアミルを用いたジアゾ化に続いて、ヨウ化メタンまたはヨウ素等の試薬で処理することによって行うことができる。
【0027】
反応式Aの工程eは、式(6)の化合物の形成を示す。ラロック(Larock)、総合有機変換(Comprehensive Organic Transformations)、678−79ページ(1989)に記載のように、一炭化炭素を用いた遷移金属触媒カップリング等の方法によって、ハロゲン化アリールをアルデヒドに変換することができる。
【0028】
反応式Aの工程fは、式(7)の化合物の形成を示す。アルデヒドのアミンへの変換は、当該技術において周知であり、認識されている。例えば、ラロック(Larock)、総合有機変換(Comprehensive Organic Transformations)、421−28ページ(1989)に記載のように、アミンおよび還元剤で処理することによってアルデヒドをアミンに交換することができる。
【0029】
当該技術分野の通常の技術を有する者であれば、工程の様式および特定の順序が変わる場合があることを認識するであろう。例えば、工程bにおいてRがカルボニルと結合して保護基を形成する場合、式(5)の化合物を脱保護してもよく、続いて工程eおよびfを行って式Iの化合物を得てもよい。代替として、Rが式Iの最終生成物において望ましい基である場合、式(5)の化合物を式(7)の化合物に変換してもよい。ここでR3aおよびR3bはともに水素であり、アミンで置換して式Iの化合物を得てもよい。
【0030】
式Iの幾つかの化合物は、式Iの他の最終化合物の中間物である。例えば、R2がヨウ素、別の試薬、例えば2−(トリブチルスタンニル)チオフェンまたは2−(トリブチルスタンニル)ピリジンを使用して離脱基としてヨウ素を置き換え、最終生成物において望ましい別のR2基を置き換える。
【0031】
反応式Aの任意の工程g(図示せず)において、医薬的に許容し得る酸を使用して式Iの化合物の酸付加塩を形成する。酸付加塩の形成は当該技術分野において周知であり、認識されている。
【0032】
4が水素である式Iの化合物は、脱酸素化によって式(3)の化合物または式(2)のアミン保護化合物から生成される。そのような脱酸素反応は、例えばラロック(Larock)、総合有機変換(Comprehensive Organic Transformations)、44−52ページ(1999)に記載のように、当該技術分野において周知の手順を使用して容易に実施される。
【0033】
本発明を、さらに以下の実施例および製造例によって説明する。これらの例および製造例は、単に説明を目的とするものであり、いかなる方法においても本発明を制限することを意図しない。
【0034】
当該実施例および製造例において使用する用語は、別段の定義がない限り、それらの通常の意味を持つ。例えば、「℃」は摂氏温度、「M」はモルまたはモル濃度、「mmol」はミルモル、「g」はグラム、「mL」はミリリットル、「mp」は融点、「塩水」は飽和水溶性塩化ナトリウムを示す。1H NMRにおいて、すべての化学シフトは、別段の表示がない限りδで示される。
【0035】
カップリング法
方法A
2’−クロロビフェニル−4−カルボン酸
4−ブロモ安息香酸メチル(1.0g、4.65mmol)、2−クロロビフェニルボロン酸(799mg、5.1mmol)、Pd(OAc)(51mg、0.46mmol)及び炭酸ナトリウム(1.5g、13.9mmol)を、ジメチルホルムアミド(20mL)と水(2.0mL)に撹拌しつつ混合する。反応混合物をアルゴンでパージし、トリフェニルホスフィン(61mg、0.23mmol)を加え、再びアルゴンでパージする。密封した反応液を80℃のオイルバス中で1時間撹拌する。反応液を室温まで冷却して酢酸エチルで希釈し、更に酢酸エチルを加えながらセライトのショートプラグで濾過する。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発濃縮させる。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製の結果、2’−クロロビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルが黄色い固体として得られた。精製されたエステルをテトラヒドロフラン(0.25M)に溶解し、等量の1M水酸化ナトリウムを加える。室温にて15時間、激しく撹拌する。完了次第、濃塩酸で反応液を酸性化し、酢酸エチルで抽出する。溶媒の蒸発によって、表題の化合物762mg(67%)が得られた。MS(m/e):231.1(M−)。
【0036】
以下の化合物は、基本的に上述のように製造する。
【表1】

【表2】

【0037】
方法B
5−フェニルビラジン−2−カルボン酸
5−クロロビラジン−2−カルボン酸メチルエステル(626mg、3.64mmol)、フェニルボロン酸(666mg、5.45mmol)、フッ化セシウム(55mg、0.36mmol)およびNa2CO3(964mg、9.09mmol)を、ジメチルホルムアミド(5mL)および水(5mL)に撹拌しつつ混合する。不均一系反応混合物を、密閉せずに80℃のオイルバス中に置く。加熱5分後、Pd(OAc)(81mg、0.36mmol)を一度に加え、反応液が黒色に変るまで撹拌する。反応液を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、更に酢酸エチルを加えながらセライトのショートプラグで濾過する。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発濃縮する。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製の結果、2−フェニルビラジン−5−カルボン酸メチルエステルが黄色い固体として得られた。精製したエステルをテトラヒドロフラン(0.25M)に溶解し、等量の1M水酸化ナトリウムを加える。室温にて15時間、激しく撹拌する。完了次第、濃塩酸で反応液を酸性化し、酢酸エチルで抽出する。溶媒の蒸発によって、表題の化合物63mg(8%)が得られた。1H NMR(ジメチルスルホキサイド):9.37(s,1H)、9.21(s,1H)、8.23−8.21(m,2H)、7.57−7.77(m,3H)。
【0038】
以下の化合物は、基本的に上述のように製造する。
【表3】

【0039】
方法C
3’,4’−ジフルオロビフェニル−4−カルボン酸
3,4−ジフルオロベンゼンボロン酸(1.0g、5.2mmol)、4−ブロモ安息香酸メチル(0.241g、1.73mmol)、Pd(OAc)(0.019g、0.086mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.111g、0.345mmol)、およびリン酸カリウム(0.733g、3.454mmol)を混合する。反応容器をアルゴンでパージし、ジメチルホルムアミド(20mL)を反応混合物に加える。反応が完了するまで撹拌しながら、密閉した反応容器を120℃に加熱する。反応液を室温まで冷却して酢酸エチルで希釈し、更に酢酸エチルを加えながらセライトのショートプラグで濾過する。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発濃縮させる。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製の結果、3’,4’−ジフルオロビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルが黄色い固体として得られた。精製されたエステルをジオキサン(45mL)に溶解し、等量の1M水酸化ナトリウム水を加える。反応が完了するまで撹拌しながら、反応容器を60℃に加熱する。蒸発により溶媒を除く。残留物をジクロロメタンに溶解し、1N塩酸水で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させると、表題の化合物0.048g(12%)が得られた。MS(m/e):235(M+)。
【0040】
以下の化合物は、基本的に上述のように製造する。
【表4】

【0041】
方法D
2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−4−カルボン酸
1−ヨード−2,4,6−トリメチルベンゼン(2.966g、12.05mmol)、4−カルボキシフェニルボロン酸(1.0g、6.026mmol)、Pd(OAc)(0.0067g、0.005mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.388g、1.2055mmol)、およびリン酸カリウム(2.557g、12.05mmol)を混合する。反応容器をアルゴンでパージし、無水ジメチルホルムアミド(20mL)を反応混合物に加える。薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応の完了が確認されるまで、撹拌しながら密閉した反応容器を120℃に加熱する。反応液を室温まで冷却する。反応が完了するまで継続的に撹拌しながら、ヨウ化メチル(1.0mL,36.63mmol)を反応混合液に加える。反応液を酢酸エチルで希釈し、更に酢酸エチルを加えながらセライトのショートプラグで濾過する。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発濃縮させる。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製の結果、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルが黄色い固体として得られた。精製されたエステルをジオキサン(45mL)と5eqのLiOHを含む水(5mL)に60度で撹拌しながら溶解する。完了次第、溶媒を蒸発させ、塩酸で反応液を酸性化し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させると、表題の化合物0.023g(16%)が得られた。MS(m/e):239.1(M−)。
【0042】
以下の化合物は、基本的に上述のように製造する。
【表5】

【0043】
方法E
2’,4’−ジフルオロビフェニル−4−カルボン酸
4−カルボメトキシフェニルボロン酸(1.021g、5.67mmol)、1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼン(1.000g、5.181mmol)、Pd(OAc)(0.113g、0.50mmol)、トリフェニルホスフィン(0.149g、0.505mmol)、および炭酸ナトリウム(1.664g、0.568mmol)を混合する。反応容器をアルゴンでパージする。ジメチルホルムアミド(20mL)および水(2.0mL)を撹拌しながら加える。密閉した反応液を、80℃のオイルバス中で24時間撹拌する。反応液を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、更に酢酸エチルを加えながらセライトのショートプラグで濾過する。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発濃縮させる。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製の結果、2’,4’−ジフルオロビフェニル−4−カルボン酸メチルエステルが黄色い固体として得られた。精製されたエステルをジオキサン(5mL)に溶解し、5M水酸化ナトリウム(1mL)を加える。50℃で15時間、激しく撹拌する。完了次第、反応液を濃塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出する。溶媒の蒸発により、表題の化合物300mg(24.7%)が得られた。MS(m/e):233.0(M−)。
【0044】
方法F
6−(2、6−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−カルボン酸
6−クロロピリジン−3−カルボン酸メチルエステル(6.86g、40mmol)をトルエン(100mL)に溶解し、90℃に加熱する。オキシ臭化リン(25g、87mmol)を数度に分けて加え、続けて3時間加熱する。反応液を室温まで冷却し、氷水上に注ぐ。反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を水、次いで炭酸水素ナトリウムで洗浄する。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、オレンジ色の固形物(8.1g,94%)になるまで蒸発濃縮する。この固形物は、1H NMRによると6−ブロモピリジン−3−カルボン酸メチルエステル:6−ブロモピリジン−3−カルボン酸メチルエステルが8:1の混合物である。
【0045】
上記の過程で得られた混合物(0.225g,1.04mmol)をヘキサメチルジチン(0.375g、1.15mmol)、Pd(OAc)(21mg、0.09mmol)、およびトリフェニルホスフィン(25mg、0.09mmol)と共にトルエン(5mL)中に混合する。窒素でパージし、80℃で18時間撹拌する。反応席を室温まで冷却する。1−ブロモ−2,6−ジフルオロベンゼン(250mg、1.29mmol)のトルエン(1mL)溶液を加えた後、Pd(OAc)(21mg、0.09mmol)およびトリフェニルホスフィン(25mg,0.09mmol)を加える。窒素でパージし、80℃で18時間撹拌する。反応席を室温まで冷却する。溶媒を蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(シリカ、10%酢酸エチルのヘキサン溶液)による精製により、50mg(収量20%)の6−(2、6−ジフルオロフェニル)ピリジン−3−カルボン酸エチルエステルが得られた。メタノール(3mL)に溶解した1N水酸化ナトリウム溶液(0.22mL,0.22mmol)で、エステルを室温にて3日間加水分解する。揮発性物質を減圧下で除き、残留物を1N塩酸溶液と化合させる。濾過により白色の固体を回収すし、水で洗浄し、減圧下で乾燥させると、表題の化合物30mg(収量63%)が得られた。MS(m/e):235.9(MH+)。
【0046】
方法G
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸
2−フルオロ−4−ブロモ安息香酸メチル(1.25g、5.36mmol)、フェニルボロン酸(1.30g、10.72mmol)、およびCsF(2.02g、13.40mmol)をジメチルホルムアミド(25mL)と水(3.0mL)中で撹拌しつつ混合する。不均一系反応混合物を密閉せずに80℃のオイルバス中に置く。加熱5分後、Pd(OAc)(120mg,0.536mmol)を一度に加え、反応液が黒色に変るまで撹拌する。反応液を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、更に酢酸エチルを加えながらセライトのショートプラグで濾過する。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発濃縮させる。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製の結果、3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸メチルが固体として得られた。精製されたエステルをテトラヒドロフラン(0.25M)に溶解し、等量の1M水酸化ナトリウムを加える。室温にて15時間激しく撹拌する。完了次第、反応液を濃塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出する。溶媒を蒸発させると965mg(84%)の表題の化合物が得られた。MS(m/e):214.9(M−)。
【0047】
以下の化合物は、基本的に上述のように製造する。
【表6】

【0048】
方法H
2−フルオロ−6−フェニルピリジン−3−カルボン酸
2,6−ジフルオロピリジン(5.0mL、5.51mmol)を無水テトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、−40℃に冷却する。フェニルリチウム(1.8Mヘキサン留分、30.6mL)を5分以上かけて滴下する。生じた紫色の反応液を−40℃で30分間撹拌したのち、室温にする。反応液を水でクエンチし、溶液を酢酸エチルで数回抽出する。抽出液を合わせ、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、シリカゲル上で蒸発させる。フラッシュカラムクロマトグラフィーにより2−フルオロ−6−フェニルピリジン1.0g(12%)が黄色いオイルとして得られた。
【0049】
LDA(3.46mmol)の無水テトラヒドロフラン(6mL)溶液を−78℃に冷却する。冷却したLDA溶液に2−フルオロ−6−フェニルピリジンの無水テトラヒドロフラン(6mL)溶液をカニューレ処理する。−78℃で30分間撹拌した後、二酸化炭素ガスを10分間液中に通す。反応液を室温に戻し、アルゴンガスでパージする。反応液を1M水酸化ナトリウムで抽出し、有機層を捨てる。水層を濃塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させると、表題の化合物(405mg,65%)が薄い黄色の固体として得られた。MS(m/e):216.1(M−)。
【0050】
方法J
3,5−ジフルオロビフェニル−4−カルボン酸
1−ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼン(0.863mL、7.50mmol)およびフェニルボロン酸(1.22g、10.00mmol)を混合し、方法Gで述べた条件の操作により1.3gの3,5−ジフルオロビフェニルが得られた。
【0051】
3,5−ジフルオロビフェニル(1.3g、6.83mmol)粗製物をテトラヒドロフラン(14mL)に溶解し、−78℃に冷却する。テトラヒドロフラン(14mL)中において、BuLi(ヘキサン留分中に1.6Mの溶液,5.33mL)を−78℃でテトラメチルピペリジン(1.4mL,1.25当量)に添加することにより 、LiTMPを調製した。冷却したLiTMPを、冷却した3,5−ジフルオロビフェニルでカニューレ処理し、反応液を−78℃で1時間撹拌する。二酸化炭素ガスを溶液中に5分間通気し、反応液を室温まで温め、50mLの1M水酸化ナトリウム中に注ぎ込み、50mLの酢酸エチルで抽出する。有機層を捨てる。残った水層を濃塩酸で酸性化し、酢酸エチルで二回抽出する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させると、表題の化合物1.22gが白い固体として得られた(77%)。MS(m/e):233.1(M−)。
【0052】
方法K
3,2’,6’−トリフルオロビフェニル−4−カルボン酸
4−ブロモ−2−フルオロ安息香酸メチル(3.66g、15.75mmol)、4,4,5,5,4’,4’,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラニル(5.0g、19.68mmol)および酢酸カリウム(4.63g,47.19mmol)をジメチルスルホキサイド(40mL)中で混合し、溶液をアルゴンでパージする。PdCl(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)(10mol%、1.35g)を加え、溶液をアルゴンで再びパージする。反応液を80℃で3時間加熱し、室温まで冷却する。反応液を水で洗浄し、酢酸エチルで抽出し、濃縮する。その結果生じる黒色のオイルを、酢酸エチル:ヘキサン留分1:2に再溶解し、シリカゲルのショートプラグで濾過し、濃縮する。2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸メチルが黄色いオイルとして得られた。
【0053】
結果として生じたこの黄色いオイルをアセトン(100mL)に溶解し、室温にてNaIO4(10.1g,47.25mmol)、NHOAc(3.63g、47.25mmol)、および水(50mL)と混合する。室温にて18時間撹拌し、分液ロートに移し、酢酸エチルで数回抽出する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、3.0gの3−フルオロ−4−カルボメトキシベンゼンボロン酸が白い固体として得られた。
【0054】
上記で得られたボロン酸(800mg,4.04mmol)および2,6−ジフルオロブロモベンゼン(1.17g,6.06mmol)を、方法Gで述べられた手順に従ってカップリングすると、表題の化合物380mgが得られた。MS(m/e):251.1(M−)。
【0055】
方法L
6−フェニルピリダジン−3−カルボン酸
6−フェニルピリダジン−3−オール(5.0g、29.06mmol)はトルエン(100mL)に溶解され、90℃に加熱される。オキシ臭化リン(25g、87.19mmol)が数回に分けて加えられ、反応液を30分間加熱される。その結果黄色い溶液が室温まで冷やされ、氷水上に注がれ、酢酸エチルで抽出される。有機層は更に水と1M水酸化ナトリウムで洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、蒸発され黄色い固体になる。CHClで再結晶させると2.17gの3−ブロモ−6−フェニルピリダジンが得られた。
【0056】
3−ブロモ−6−フェニルピリダジン(1.0g,4.25mmol)は、ジメチルホルムアミド(5mL)、MeOH(5mL)、トリエチルアミン(1.18mL、8.50mmol)、およびPd(OAc)(76mg,0.33mmol)と混合され、混合物は脱気される。1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(235mg、0.42mmol)が反応液に加えられ、再び脱気される。二酸化炭素ガスが5分間液中に通気され、反応液は50psi(345kPa)の二酸化炭素下に置かれる。その結果生じた溶液は、50℃で18時間加熱される。反応液は室温まで冷却され、水で希釈され、酢酸エチルで抽出される。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、シリカゲル上で蒸発濃縮され、フラッシュカラムクロマトグラフィーにかけられる。
【0057】
方法Aで概説された条件を用いた加水分解により表題の化合物80mgが得られた。1H NMR(CDCl):8.24(d,1H,J=8.8Hz)、8.18−8.15(m,2H)、8.0(d,1H,J=9.2Hz)、7.56−7.55(m,3H)。
【0058】
方法M
6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−カルボン酸
6−ブロモピリジン−3−カルボン酸メチルエステル(1.03g、4.78mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(1.88g、13.41mmol)、およびフッ化セシウム(2.55g、16.78mmol)をジメチルホルムアミド(25mL)と水(4mL)に撹拌しつつ混合する。不均一系反応混合物を密閉せずに80℃のオイルバス中に置く。5分間加熱した後、Pd(OAc)(150mg,0.67mmol)を一度に加える。17時間後、反応液を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、更に酢酸エチルを加えながらセライトのショートプラグで濾過する。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発濃縮する。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製の結果、6−(4−フルオロフェニル)ピリジン−3−カルボン酸メチルエステルが黄色い固体として得られた。精製されたエステルをテトラヒドロフラン(0.25M)に溶解し、等量の1M水酸化ナトリウムを加える。室温にて15時間激しく撹拌する。完了次第、反応液を濃塩酸で酸性化し、濾過によって白色の沈殿物を回収する。減圧下で乾燥すると、385mg(37%)の表題化合物が得られた。MS(m/e):218.1(MH+)。
【0059】
以下の化合物は、基本的に上述のように製造する。
【表7】

【0060】
方法N
6−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピリジン−3−カルボン酸
6−ブロモピリジン−3−カルボン酸メチルエステル(387mg、1.79mmol)、4−フルオロ−2−メチルフェニルボロン酸(338mg、2.19mmol)、Pd(OAc)(40mg、0.18mmol)、フッ化セシウム(27mg、0.18mmol)および炭酸ナトリウム(570mg、5.38mmol)をジメチルホルムアミド(6mL)と水(6mL)に撹拌しつつ混合する。反応混合物を窒素でパージし、トリフェニルホスフィン(47mg,0.18mmol)を加え、窒素で再びパージする。密閉した反応液を80℃のオイルバス中に置き、17時間撹拌する。室温まで冷却し、シリカゲルのショートプラグに通す。カラムをジクロロメタン (100 mL)、次いで水メタノール(100mL、3メタノール/1水)で洗浄する。合わせた画分を真空中で濃縮し、残留固形物を水(10mL)に懸濁する。黒色の固形物を濾過で除き、1N塩酸溶液でpH4に酸性化する。濾過で回収され乾燥された白い沈殿物が、表題の化合物306mg(74%)である。MS(m/e):231.9(MH+)。
【0061】
以下の化合物は、基本的に上述のように製造する。
【表8】

【0062】
製造例1−1
2−(6−フルオロピリジン−2−イルスルファニル)エチルアミン
水酸化ナトリウム(138mg,5.46mmol)をテトラヒドロフラン(6mL)に懸濁し、0℃のアイスバス中で冷却した。(2−メルカプトエタノール)カルバミック酸tert−ブチルエステル(0.461mL,2.73mmol)を5分以上かけて滴下して加えた。反応液を30分間撹拌し、2,6−ジフルオロピリジン(0.495mL、0.546mmol)を加え、アイスバスを外して更に1時間撹拌した。反応液を再冷却し、水でクエンチした。ヘキサン留分/酢酸エチル1/1で抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン留分)を行なった。この結果生じたオレンジ色のオイルをトリフルオロ酢酸(3mL)に溶解し、15分間撹拌した。反応液を乾燥窒素ガスの奔流で濃縮し、無水塩化メチレンに再溶解し、蒸発濃縮すると、表題の化合物120mgがオレンジ色のオイルとして得られた。1H NMR(dMeOH):7.70(m,1H)、7.22(m,1H)、6.78(m,1H)、3.44(m,2H)、3.34(m,2H)。
【0063】
製造例2−1
2−(5−フェニルフラン−2−イル)エチルアミン
5−フェニルフラン−2−カルバルデヒド(808mg、4.69mmol)、メタノール(2.0mL)、およびニトロメタン(1.13mL)を混合し、冷却した。0.20mLの1M水酸化ナトリウムと0.70mLを合わせて反応液に加えた。15分間撹拌し、水(5mL)で希釈し、1.0mLの濃塩酸を加え、更に20時間撹拌した。酢酸エチルで反応液を抽出し、有機層を乾燥し、濾過し、蒸発濃縮することにより、1.14gの2−(2−ニトロビニル)−5−フェニルフランが褐色のオイルとして得られた。このオイルは更なる精製なしで使うことが出来る。MH+216.0。
【0064】
水素化アルミニウムリチウム(21mL、1.0Mエーテル溶液)を0℃に冷却し、2−(2−ニトロビニル)−5−フェニルフラン(760mg、5mLのエーテル中、3.53mmol)を加えた。反応液を室温で15時間撹拌した。反応液を0℃に再冷却し、0.80mLの水で、次いで0.80mLの1M水酸化ナトリウムと0.80mLの水(x3)でクエンチした。更にテトラヒドロフランを加えて反応液を希釈し、室温で2時間撹拌した。濾過し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、再び濾過した。濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン,MeOH,NHOH)を行うと、表題の化合物134mg(20%)が褐色のオイルとして得られた。MH+188.0。
【0065】
製造例3−1
2−(4−フェニルピラゾール−1−イル)エチルアミン
4−フェニルイミダゾール(1.0075g,6.99mmol)を10mLテトラヒドロフランに溶解し、水酸化ナトリウム(60%)(366.4mg,9.16mmol)を10mLテトラヒドロフラン懸濁液に滴下して加えた。15時間後、反応液を加熱還流し2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、10mLテトラヒドロフラン中にN−(2−ブロモメチル)フタルイミド(1.8649g,7.34mmol)の溶液を滴下することによって反応液をクエンチした。反応液を加熱還流し、更に18時間撹拌した。反応液に水を加え、テトラヒドロフランを減圧下で除去した。残留物を酢酸エチルと塩水とで分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、溶媒を減圧下で除くと、2.0513gの粗精製材料が得られた。シリカゲルクロマトグラフィー(2%MeOH/CHCl)を行い、182.4mgの2−(2−(4−フェニル−イミダゾール−1−イル)−エチル)−イソインドール−1,3−ジオン(8%)を得る。MS(m/e):318.0(M+1)。
【0066】
この材料(182.4mg,0.575mmol)を10mLの無水エタノールに溶解した。ヒドラジン水和物(575.7mg,11.5mmol)を反応混合物に加え、反応液を加熱還流した。4時間後、反応液を冷却した。反応液を濾過し、濾過液を減圧下で濃縮した。残留物を塩化メチレンと水とで分配した。水層を塩化メチレン(2X)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、溶媒を減圧下で除くと、表題の化合物59.3mgが得られた(収量55%)。MS(m/e):188.0(M+1)。
【0067】
製造例4−1
C−(5−フェニル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)メチルアミン
塩化ベンゾイル(6.82g、48.51mmol)を20mLジオキサンに溶解し、オキサミンヒドラジド(5.00g、48.51mmol)および炭酸水素ナトリウム(4.08g、48.67mmol)のジオキサン溶液200mLの還流混合液に滴下して加えた。反応液を還流しながら4時間撹拌し、温濾過した。濾過液を減圧下で濃縮すると、9.89gの白い固体が得られた。水から再結晶すると、4.4058gの2−(N’−ベンゾイル−ヒドラジノ)−2−オキソ−アセトアミドが得られた。MS(m/e):206.1(M−1)。この材料(1.1113g、5.36mmol)を25mLのPOClに懸濁し、反応液を3時間、100℃で加熱した。反応液を室温に冷却し、減圧下で溶媒を除く。残留物を酢酸エチルに溶解し、氷冷した水飽和炭酸水素ナトリウムにゆっくり加えた。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、溶媒を減圧下で除くと574.7mgの粗製物が得られた。シリカゲルクロマトグラフィー(100%CHCl)を行なうと241.0mgの5−フェニル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニトリル(26%)が得られた。MS(m/e):171(M)。この材料(104.8mg,0.612mmol)を、10mL無水エタノール/1mL濃塩酸/51.5mgのPd(黒)に溶解し、1atmの水素に2.5時間曝すことによって還元した。反応液をセライトのパッドで濾過し、濾過液を減圧下で濃縮した。残留物を塩化メチレンと水とで分配した。水層を分離し、5N水酸化ナトリウムでアルカリ性化し、水層を塩化メチレンで抽出(3X)した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、減圧下で溶媒を除くと28.2mgの表題生成物が得られた(収量26%)。MS(m/e):176.0(M+1)。
【0068】
製造例5−1
2−(2−フェニルイミダゾール−1−イル)エチルアミン
2−フェニルイミダゾール(1.0892g、7.55mmol)を10mLジメチルホルムアミドに溶解し、NaH(60%)(400.5mg、10.01mmol)の10mLジメチルホルムアミド懸濁液に滴下して加えた。一時間後、反応液を70℃に加熱し、2時間撹拌した。5mLジメチルホルムアミドにN−(2−ブロモメチル)フタルイミド(1.8649g、7.34mmol)の溶液を滴下して加えた。反応液を更に48時間撹拌した。反応液を水でクエンチし、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶解し、塩水(3X)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、溶媒を減圧下で除くと、2.1776gの粗製物が得られた。シリカゲルクロマトグラフィー(1%MeOH/CHCl)を行い、90.1mgの2−(2−(2−フェニルイミダゾール−1−イル)エチル)イソインドール−1,3−ジオンを得た。MS(m/e):318.0(M+1)。
【0069】
この材料(90.1mg,0.284mmol)を10mL無水エタノールに溶解した。ヒドラジン水和物(284.3mg,5.68mmol)を反応混合物に加え、反応液を加熱還流した。17時間後、反応液を冷却した。反応混合物を濾過し、濾過液を減圧下で濃縮した。残留物を塩化メチレンと水とで分配した。水層を塩化メチレン(2X)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、減圧下で溶媒を除くと、59.3mgの表題化合物(24%)が得られた。MS(m/e):188.0(M+1)。
【0070】
製造例6−1
2−2−(4−フルオロフェニルスルファニル)エチル)メチルアミン
(2−ブロモエチル)メチルアミン臭化水素酸塩(500mg、2.28mmol)、4−フルオロベンゼンチオール(0.243mL、2.28mmol)、およびアセトニトリル(10mL)中のt−ブトキシドカリウム(512mg、4.56mmol)の混合物を17時間還流した。減圧下で溶媒を除き、残留物をエーテルと5N水酸化ナトリウム溶液に溶解した。有機層を1N塩酸溶液で抽出した。酸性の水層を5N水酸化ナトリウム溶液で中和し、エーテルで二度抽出した。エーテル抽出液を合わせ硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧化で濃縮すると260mgの表題化合物が得られた。
【0071】
製造例6−2から6−3は、基本的に6−1と同様に調製した。
【表9】

【0072】
製造例7−1
2−(5−メチルチオフェン−2−イル)エチルアミン
A.2−(3−tert−ブトキシ−プロピル)−イソインドール−1,3−ジオン
2−(3−ヒドロキシプロピル)イソインドール−1,3−ジオン(2g,9.74mmol,1eq)を40mLのジクロロメタンに窒素下で溶解した。硫酸(780μL)を加え、反応混合物を−5℃に冷却した。ドライアイスとアセトンが詰まった−78℃のコールドフィンガーを用い、イソブチレンガスを液体に凝縮した。約20mLの凝集させた液を反応混合物に加え、撹拌しながらオーバーナイトでゆっくり室温まで温める。反応液に飽和させた炭酸水素ナトリウム水を加え、生成物を有機層に抽出した。分離した有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥すると、1.969g(7収量7%)の2−(3−tert−ブトキシプロピル)イソインドール−1,3−ジオンが無色のオイルとして得られた。
【0073】
B.3−tert−ブトキシプロピルアミン
2−(3−tert−ブトキシプロピル)イソインドール−1,3−ジオン(1.969g,7.535mmol,1eq)に100mLのエタノールを窒素下で加えた。反応混合物にヒドラジン(2.4g,75.35mmol,10eq)を加え、一晩60℃で加熱した。反応液を0℃に冷却し、固体のフタルヒドラジド副産物を濾取した。ロータリーエバポレーターで溶出液から溶媒を除くと、フタルヒドラジドと所望の生成物である3−tert−ブトキシプロピルアミン(約122mg,収量12%)の両方の粗混合物580mgが得られた。MS(m/e):132.1(MH+)。
【0074】
C.2−メチル−5−(2−ニトロビニル)チオフェン
5−メチルチオフェン−2−カルバルデヒド(1g、7.9mmol、1eq)とニトロメタン(484mg,7.9mmol,1eqのメタノール(3mL)溶液を10℃に冷却した。水酸化ナトリウム(332mg,8.3mmol,1.05eq)の水溶液(1.5mL)を反応液に加えた。反応液を15分間撹拌し、氷水を加えた。この混合物を塩酸溶液(1.67mLの濃塩酸を2.4mLの水に加えたもの)に加え、一晩撹拌した。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮すると2−メチル−5−(2−ニトロビニル)チオフェン(966mg,収量72%)が粗固形物として得られた。
【0075】
D.2−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−エチルアミン
2−メチル−5−(2−ニトロビニル)チオフェン(粗製483mg、2.855mmol、1eq)のジエチルエーテル(15mL)溶液を、水素化アルミニウムリチウム(227mg,5.995mmol,2.1eq)のジエチルエーテル溶液(5.995mL)に、溶液の緩やかな還流を維持できる速度で加えた。反応液を5分間撹拌した。注意して水を加え、次いで酒石酸カリウムナトリウムを少量ずつ数回に分けて加えた。反応液を1時間激しく撹拌した後、一晩静置した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮すると、360mgの粗製物がオイルとして得られた。カラムクロマトグラフィーを行なうと82mg(収量20%)の2−(5−メチルチオフェン−2−イル)エチルアミンが得られた。MS(m/e):142.0(MH+)。
【0076】
製造例8−1
C−(5−ブロモフラン−2−イル)メチルアミン
表題化合物は、テトラヒドロンレターズ(Tetrahedron Letters)40(12)、2295−2299ページ(1999)に掲載の方法に従って調製した。
【0077】
製造例9−1
C−(5−エチルフラン−2−イル)メチルアミン
表題化合物は、テトラヒドロンレターズ(Tetrahedron Letters)40(12)、2295−2299ページ(1999)に掲載の方法に従って調製した。
【0078】
製造例10−1
3−ピリジン−2−イル−プロピルアミン
A.2−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)イソインドール−1,3−ジオン
テトラヒドロフラン(5.0mL)中のフタルイミド(0.54g,3.7mmol)とPPh(0.95g,3.6mmol)の混合物を0℃に冷却した。2−ピリジンプロパノール(0.50g,3.7mmol)とジエチルアゾジカルボン酸塩(0.60mL,3.8mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン(5.0mL)に4分以上かけて滴下して加えた。4時間後、反応混合物を濃縮し、ジエチルエーテル(50mL)に再溶解し、濾過した。濾過液を濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、20%の80:18:2 CHCl/MeOH/濃NHOHの塩化メチレン溶液で溶出すると、2−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)イソインドール−1,3−ジオンが赤色のオイルとして得られ、更なる精製なしに使用される。1H NMR(CDCl)δ8.45−8.50(m,1H)、7.37−7.88(m,5H)、6.99−7.16(m,2H)、3.75−3.81(m,2H)、2.85−2.90(m,2H)、2.20−2.25(m,2H)。
【0079】
B.3−ピリジン−2−イル−プロピルアミン
2−(3−ピリジン−2−イル−プロピル)イソインドール−1,3−ジオン(7.0g、26.0mmol)をフラスコに入れ、ヒドラジン(4.0mL)のMeOH(200mL)溶液を加えた。12時間後、混合物を濾過し、ろ液を濃縮し、塩化メチレンで滴定し、2度目の濾過を行なった。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行ない、80:18:2 CHCl/MeOH/濃NHOHで溶出すると、表題の化合物が褐色のオイルとして得られた(4.59g)。MS:m/e=137(MH+)。
【0080】
製造例11−1
3−ピリジン−3−イル−プロピルアミン
A.2−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)イソインドール−1,3−ジオン
テトラヒドロフラン(80mL)中のフタルイミド(5.4g,37mmol)とPPh(9.6g,37mmol)混合物を0℃に冷却した。テトラヒドロフラン(50mL)中の3−ピリジンプロパノール(5.0g,37mmol)とジエチルアゾジカルボン酸塩(5.8mL,37mmol)溶液を滴下して加えた。2時間後、反応混合物を塩化メチレン(100mL)、および水(100mL)で希釈した。有機層を水で(100mL)、次いで塩水(100mL)で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮すると、2−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)イソインドール−1,3−ジオンが黄色い固体として得られ、更なる精製なしに使用することができる。1H NMR(CDCl)δ7.14−8.47(m,8H)、3.75−3.79(m,2H)、2.67−2.72(m,2H)、2.04−2.09(m,2H)。
【0081】
B.3−ピリジン−3−イル−プロピルアミン
メタノール(200mL)中のヒドラジン(4.0mL)溶液を2−(3−ピリジン−3−イル−プロピル)イソインドール−1,3−ジオン(8.0g、30mmol)に加えた。48時間後、混合物を濾過し、濾過液を濃縮した。塩化メチレン(100mL)に倍散し、2度目の濾過を行なった。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行ない、80:18:2 CHCl/MeOH/濃NHOHで溶出すると、表題の化合物が黄色のオイルとして得られた(3.3g,)。MSm/e=137(MH+).
【0082】
製造例12−1
3−ピリジン−4−イル−プロピルアミン
A.2−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)イソインドール−1,3−ジオン
テトラヒドロフラン(80mL)中のフタルイミド(5.4g,37mmol)とPPh(9.6g,37mmol)の混合物を0℃に冷却した。テトラヒドロフラン(55mL)中の4−ピリジンプロパノール(5.0g,37mmol)とジエチルアゾジカルボン酸塩(5.8mL,37mmol)の溶液を滴下して加えた。2時間後、室温に温め、反応混合物を濃縮し褐色のペーストとし、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行ない、20%の80:18:2 CHCl/MeOH/濃NHOH)の塩化メチレン溶液で溶出すると、2−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)イソインドール−1,3−ジオンが黄色の固体として得られた。薄層クロマトグラフィー(TLC)(SiO):Rf=0.68[塩化メチレン中20%の80:18:2CHCl/MeOH/濃NHOH溶液]。
【0083】
B.3−ピリジン−4−イル−プロピルアミン
メタノール(200mL)中ヒドラジン(4.0mL)の溶液を2−(3−ピリジン−4−イル−プロピル)イソインドール−1,3−ジオン(8.0g,30mmol)に加えた。48時間後、混合物を濾過し、濾過液を濃縮し、塩化メチレン(150mL)に倍散し、2度目の濾過を行なった。濾過液をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにかけ、80:18:2 CHCl/MeOH/濃NHOH)で溶出すると、表題の化合物が黄色のオイルとして得られた(3.42g)。MS:m/e=137(MH+)。
【0084】
製造例13−1
フェノキシエチルアミン
水酸化ナトリウム(ミネラルオイル中に60%、6.63g,166mmol)をジオキサン(150mL)中の2−ヒドロキシエチルアミン(10.0mL,166mmol)溶液に窒素下、室温で加えた。室温で10分間撹拌した。2−クロロピリジン(15.6mL,166mmol)を加え、反応混合物を加熱還流した。14時間還流を撹拌後、反応混合物を室温に冷却し、水(100mL)と塩化メチレン(200mL)で希釈した。水層を塩化メチレン(2×100mL)で抽出した。有機層を塩水(200mL)と合わせ、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮により、オレンジ色のオイルが得られた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにかけ、50%の80:18:2 CHCl/MeOH/濃NHOH)塩化メチレン中溶液で溶出すると表題化合物が黄色のオイルとして得られた(17.9g)。MS:m/z=139(MH+)。
【0085】
製造例14−1
2−フェニルスルファニル−エチルアミン
2−塩酸アミノエタンチオール(4.07g,35.6mmol)をジオキサン(75mL)中に50℃で混合した。水酸化ナトリウム(ミネラルオイル中60%、2.84g、71.0mmol)を窒素下、室温で加えた。反応液を5分間撹拌した。2−クロロピリジン(3.5mL,37mmol)を混合物に加えた。混合物を24時間還流した後、室温に冷却した。水(100mL)、および塩化メチレン(300mL)を混合物に加えた。水層を塩化メチレン(3×50mL)で抽出した。有機層を塩水(200mL)で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮によってオレンジ色のオイルが得られた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにかけ、50%(80:18:12 CHCl/MeOH/濃NHOH)/塩化メチレンで溶出すると、表題化合物が黄色のオイルとして得られた(1.67g)。m/e=155(MH+)。
【0086】
製造例15−1
C−(2−メチルチアゾール−5−イル)メチルアミン
A.5−ブロモメチル−2−メチルチアゾール
ベンゼン(80mL)中の2,5−ジメチルチアゾール(0.730g,5.10mmol)の溶液に、N−ブロモサクシンイミド(0.908g,5.10mmol)および触媒量の過酸化ベンゾイルを加えた。反応液を2時間加熱還流し、室温でオーバーナイト撹拌した。混合物を冷却し、ジエチルエーテルで希釈し、飽和Na2SO3(75mL)で、次いで飽和炭酸水素ナトリウム(75mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、100%ジエチルエーテルで溶出すると390mgの表題化合物が得られた。
1H NMR(CDCl)δ7.39(s,1H)、4.70(s,2H)、2.48(s,3H)。
【0087】
B.2−(2−メチルチアゾール−5−イルメチル)イソインドール−1,3−ジオン
ジメチルホルムアミド(2mL)中の5−ブロモメチル−2−メチルチアゾール(390mg、2.03mmol)をジメチルホルムアミド(8mL)中のフタルイミドカリウム(434mg,2.34mmol)の懸濁液に滴下して加えた。反応液を窒素下、室温でオーバーナイト撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチル(100mL)に溶解し、水(100mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、最初に4:1ヘキサン/酢酸エチルで、次いで100%酢酸エチルで溶出すると、210mgの2−(2−メチルチアゾール−5−イルメチル)イソインドール−1,3−ジオンが黄褐色の固体として得られた。MS:m/z=259(MH+)。
【0088】
C.C−(2−メチルチアゾール−5−イル)メチルアミン
2−(2−メチルチアゾール−5−イルメチル)イソインドール−1,3−ジオン(210mg、0.814mmol)を6NHCl(8mL)に懸濁し、2.5時間加熱還流した。室温まで冷却し、更に5時間撹拌した。混合物を2N水酸化ナトリウムでアルカリ化し、塩化メチレン(3×50mL)で抽出し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、そして濃縮すると、70mg(収量61%)の表題の化合物が褐色のオイルとして得られた。1H NMR(CDCl)δ7.34(s,1H)、4.11(s,2H)、2.45(s,3H)、1.70(brs,2H)。
【0089】
製造例16−1
2−チアゾール−2−イル−エチルアミン
A.3−チアゾール−2−イル−アクリル酸
2−フォルミルチアゾール(10.0g,88.4mmol)とマロン酸(9.2g,88.4mmol)を混合した。ピリジン(7.2mL,88.5g)に溶解し、3滴のピペリジンを加えた。混合物を窒素下、100℃で3時間加熱し、冷却し、水で希釈し、固形分を濾取すると1.7gの表題の化合物が白い固体として得られた。濾過液を濃縮し、1N塩酸で酸性化し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、そして濃縮すると、更に4.8gの3−チアゾール−2−イル−アクリル酸が得られた。MS:m/e=156(MH+)。
【0090】
B.3−チアゾール−2−イル−プロピオン酸
3−チアゾール−2−イル−アクリル酸(580mg、3.74mmol)および5%Pd/C(270mg)をエタノール(200mL)に混合、懸濁した。混合液を窒素でパージした。次いで水素で30分間パージし、1気圧の水素下で6時間撹拌した。反応混合物をセライト(登録商標)で濾過し、濾過ケーキに更にエタノールを加えて洗浄した。濾過液を濃縮すると550mg(94%)の3−チアゾール−2−イル−プロピオン酸が白色の固体として得られた。MS:m/e=158(MH+)。
【0091】
C.(2−チアゾール−2−イル−エチル)カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル
窒素下で3−チアゾール−2−イル−プロピオン酸(650mg,4.14mmol)をトルエン(20mL)に懸濁した。トリエチルアミン(580μL,4.14mmol)を加え、次いでジフェニルリン酸アジド(1.14g、4.14mmol)を加えた。反応混合物を2時間80℃に加熱し、その後トリメチルシリルエタノール(1.2mL,8.28mmol)を加え、溶液を更に1時間80度に加熱した。一晩30℃で冷却した。混合物を濃縮し、10%水酸化ナトリウムでアルカリ化し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、1:1ヘキサン画分/酢酸エチルで溶出すると、570mgの(2−チアゾール−2−イル−エチル)カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステルが黄色のオイルとして得られた。1H NMR(CDCl)δ7.71(d,J=3Hz,1H)、7.23(d,J=3Hz,1H)、5.30(brs,1H)、4.02−4.21(m,2H)、3.58−3.70(m,2H)、3.19−3.29(m,2H)、0.95−1.06(m,2H)、0.05(s,9H)。
【0092】
D.2−チアゾール−2−イル−エチルアミン
(2−チアゾール−2−イル−エチル)カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル(570mg,2.1mmol)を1M TBAFのテトラヒドロフラン(2.5mL)溶液に溶解し、溶液を窒素下、50℃で一時間加熱した。次いで、2.1mLの1M TBAF溶液を追加した。1時間後、更に2.5mLの1M TBAFを追加し、混合物を室温に冷却し、一晩撹拌した。混合物を濃縮し、93:7:1 CHCl/MeOH/濃NHOHの溶媒でクロマトグラフィーにかけた。その結果得られた不純物を含む材料を水で洗浄し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、有機層を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮すると、60mgの表題化合物が得られた。水層をCHCl(7×100mL)で抽出すると、更に290mgの表題化合物が得られた。ロットを合わせ、93:7:1 CHCl/MeOH/濃NHOHの溶媒で再びクロマトグラフィーにかけると、160mgの表題化合物が得られた。MS:m/e=129(MH+)。
【0093】
製造例17−1
C−(2−フェニル−オキサゾール−5−イル)メチレンアミン
A.N−(2−ヒロドキシプロピル)ベンズアミド
窒素下、0℃で1−アミノ−2−プロパノール(5.0g,66.6mmol)の塩化メチレン(250mL)溶液を調製した。ヒューニッヒ塩(Hunig's Base)(11.6mL,66.6mmol)、次いで塩化ベンゾイル(7.7mL,66.6mmol)を加えた。反応混合物を室温に温め、一晩撹拌した。溶液を、塩水(100mL)、続いて1M塩酸(75mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮すると10.0gのN−(2−ヒロドキシプロピル)ベンズアミドが得られた。MS:m/e=180(MH+)。
【0094】
B.N−(2−オキソプロピル)ベンズアミド
N−(2−ヒロドキシプロピル)ベンズアミド(8.22g,45.9mmol)の塩化メチレン(100mL)溶液を調製した。N−メチルモルホリンN−オキシド(7.0g,60.0mmol)を加え、次いで粉末の4Åモレキュラーシーブを加えた。混合物を0℃に冷却し、テトラ−n−プロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩を一度に加えた。混合物を30分間攪拌し、その後、室温で1時間温めてセライト(登録商標)で濾過した。濾過液を濃縮し、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、100%酢酸エチルで溶出すると6.1gのN−(2−オキソプロピル)ベンズアミドが白い固体として得られた。MS:m/e=178(MH+)。
【0095】
C.5−メチル−2−フェニルオキサゾール
N−(2−オキソプロピル)ベンズアミド(1.0g,5.65mmol)の濃H2SO(10mL)溶液を1時間、100℃で加熱した。反応液を冷却し、氷上に注ぎ、固体のNa2CO3で中和し、酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を塩水(75mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮すると、黄色のオイルが得られた。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い100%酢酸エチルで溶出すると、790mg(収量88%)の5−メチル−2−フェニルオキサゾールが得られた。MS:m/e=160(MH+)。
【0096】
D.5−ブロモメチル−2−フェニルオキサゾール
5−メチル−2−フェニルオキサゾール(790mg,4.97mmol)のCCl4(70mL)溶液を窒素下で調製した。N−ブロモサクシンイミド(884mg,4.97mmol)と触媒量の過酸化ベンゾイルを加えた。混合物を2時間還流し、室温に冷却し、一晩撹拌した。反応混合物をNa2SO3(75mL)の飽和溶液、次いで飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)で洗浄し.有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮すると、1.17gの5−ブロモメチル−2−フェニルオキサゾールが白い固体として得られた。MS:m/e=238(MH+)。
【0097】
E.2−(2−フェニルオキサゾール−5−イルメチル)イソインドール−1,3−ジオン
5−ブロモメチル−2−フェニルオキサゾール(1.17g,4.94mmol)をジメチルホルムアミド(15mL)に溶解し、フタルイミドカリウム(1.1g,5.93mmol)のジメチルホルムアミド(15mL)溶液に滴下して加えた。反応液を室温にて一晩撹拌し、濃縮してジメチルホルムアミドを除き、酢酸エチル(75mL)に溶解し、飽和Na2CO3(50mL)および塩水(75mL)で洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、4:1から1:1ヘキサン画分/酢酸エチルで溶出すると、1.5gの2−(2−フェニルオキサゾール−5−イルメチル)イソインドール−1,3−ジオンがオフホワイトの固形物として得られた。MS:m/e=305(MH+)。
【0098】
F.C−(2−フェニル−オキサゾール−5−イル)−メチルアミン
2−(2−フェニルオキサゾール−5−イルメチル)イソインドール−1,3−ジオン(1.5g,4.94mmol)の6N塩酸(75mL)懸濁溶液を5日間加熱還流した。冷却し、3N水酸化ナトリウムでアルカリ化し塩化メチレン(2×150mL)で抽出した。有機層を乾燥(Na2SO4)、濾過し、濃縮すると、400mgの表題化合物が黄色のオイルとして得られた。MS:m/e=175(MH+)。
【0099】
製造例18−1
C−(5−フェニル−チオフェン−2−イル)−メチルアミン
4−フェニル−2−ホルミルチオフェン(2.0g,11.4mmol)のメタノール(50mL)溶液を調製した。NHOAc(8.75g,113.5mmol)およびNaCNBH(0.5g,7.95mmol)を加えた。反応混合物を室温にて窒素下3日間撹拌する混合物を濃縮し、水で希釈し、1N水酸化ナトリウムでアルカリ化し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、9:1酢酸エチル/MeOHで溶出すると、100mgの表題化合物が得られた。1H NMR(CDCl)δ7.58(d,J=8Hz,2H)、7.25−7.40(m,3H)、7.16(d,J=4Hz,1H)、6.89(d,J=4Hz,1H)、4.08(s,2H)。
【0100】
製造例19−1
C−(4−フェニル−フラン−3−イル)−メチルアミン
A.4−フェニルフラン−3−カルボン酸エチルエステル
4−フェニルオキサゾール(3.33g,23.0mmol)とエチルフェニルプロピオレート(4.0g,23.0mmol)を密閉した試験管内で混合し、20時間220℃で加熱した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、4:1ヘキサン画分/酢酸エチルで溶出すると、3.9gの4−フェニルフラン−3−カルボン酸エチルが黄色のオイルとして得られた。MS:m/e=217(MH+)。
【0101】
B.(4−フェニルフラン−3−イル)メタノール
4−フェニルフラン−3−カルボン酸エチル(3.9g,18.1mmol)のトルエン(20mL)溶液を窒素下、−78℃で調製した。1.0M水素化ジイソブチルアルミニウムの塩化メチレン(35mL,35.0mmol)溶液を加えた。反応混合物を1時間撹拌し、水でクエンチし、10%ロシェル塩(Rochelle’s salt)(200mL)中に注ぐ。水層を酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。有機層を塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い4:1ヘキサン画分/酢酸エチルで溶出すると、2.3gの(4−フェニルフラン−3−イル)メタノールが得られた。1H NMR(CDCl)δ7.51−7.58(m,4H)、7.30−7.45(m,3H)、4.67(d,J=5Hz,2H)。
【0102】
C.4−フェニル−3−ホルミルフラン
(4−フェニルフラン−3−イル)メタノール(2.3g,13.2mmol)の塩化メチレン(20mL)溶液を調製した。N−メチルモルホリンN−オキシド(2.2g,18.5mmol)および粉末の4Åモレキュラーシーブを加えた。混合物を0℃に冷却し、テトラ−n−プロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩を加えた。混合物を室温まで温め、更に3時間撹拌した。反応混合物をセライト(登録商標)で濾過し、濾過液を濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い10%ジエチルエーテル/ヘキサンで溶出すると、1.36gの4−フェニル−3−ホルミルフランが得られた。1H NMR(CDCl)δ10.01(s,1H),8.15(s,1H)、7.60(s,1H)、7.35−7.54(m,5H)。
【0103】
D.C−(4−フェニルフラン−3−イル)−メチルアミン
4−フェニル−3−ホルミルフラン(1.36g、7.91mmol)のメタノール(35mL)溶液を調製した。NHOAc(6.1g、79.1mmol)およびNaCNBH(348mg、5.54mmol)を加えた。反応混合液を窒素下で2.5日撹拌し、その後、混合液を濃縮し、水(50mL)で希釈し、1N水酸化ナトリウムで酸性化し、塩化メチレン(2×100mL)で抽出した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、9:1酢酸エチル/MeOH、次いで100%MeOHで抽出すると、200mgの表題混合物が得られた。1H NMR(CDCl)δ7.52(s,1H)、7.30−7.46(m,6H)、3.87(s,2H)。
【0104】
製造例20−1
C−(4−フェニルフラン−2−イル)メチルアミン
A.2−ホルミル−4−フェニル−フラン
4−ブロモ−2−ホルミルフラン(3.7g,21.1mmol)の1,2−ジメトキシエタン(148mL)溶液を調製した。フェニルボロン酸(5.16g,42.3mmol)、K2CO3(31.6mL,63.4mmol)、Pd(dba)(660mg,0.63mmol)、およびPPh(670mg,2.5mmol)を加えた。反応混合物を窒素下で10分間、室温で撹拌した。10分後、混合物を80℃で3日間加熱した。反応混合物を塩水(30mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い1:1ヘキサン画分/酢酸エチルで溶出すると、表題化合物(1.5g)が褐色の液体として得られた。1H NMR(CDCl)δ9.71(s,1H)、7.97(s,1H)、6.82−7.55(m,6H)。
【0105】
B.C−(4−フェニル−フラン−2−イル)メチルアミン
4−フェニル−2−ホルミルフラン(1.5g,8.7mmol)とMeOH(35mL)の溶液を調製した。NHOAc(6.7g,87.1mmol)およびNaCNBH(380mg,6.1mmol)を加えた。反応混合液を窒素下で12時間撹拌した。反応終了後、結果生じた混合液を濃縮し、水(10mL)で希釈し、1N水酸化ナトリウムでアルカリ化し、ジエチルエーテル(2×10mL)で抽出した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い9:1酢酸エチル/MeOHで溶出すると、表題化合物(230mg)が白色の固体として得られた。1H NMR(CDCl)δ7.65(s,1H)、7.46(d,J=7Hz,1H)、7.36(t,J=7Hz,1H)、7.26(m,1H)、6.49(s,1H)、3.89(s,2H)、2.10(s,2H)。
【0106】
製造例21−1
C−(2−メチルチアゾール−4−イル)メチルアミン
A.(2−メチルチアゾール−4−イル)酢酸エチル
チオアセトアミド(10g,133mmol)のエタノール(75mL)溶液を調製した。4−クロロアセト酢酸エチル(16.5mL,122mmol)を加えた。反応液を50℃で一晩撹拌し、その後、減圧下で濃縮した。結果得られたオイルを水(75mL)に溶解し、ジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。水層をCHCl(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧下で濃縮すると、(2−メチルチアゾール−4−イル)酢酸エチル(17g)が固体として得られた。1H NMR(CDCl)δ7.02(s,1H)、4.15−4.25(m,2H)、3.79(s,2H)、2.71(s,3H)、1.25(t,J=7Hz,3H)。
【0107】
B.(2−メチルチアゾール−4−イル)酢酸
(2−メチルチアゾール−4−イルメチル)カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル(17g,92mmol)のテトラヒドロフラン/水(1:1,400mL)溶液を調製した。水酸化カリウム(10.3g,184mmol)を加えた。反応液を室温にて1時間撹拌した。溶液を減圧下で濃縮してテトラヒドロフランを除き、その後1N HClで酸性化した。水層をCHClで抽出した。結果得られた有機層を塩水(200mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧下で濃縮すると、(2−メチルチアゾール−4−イル)酢酸(11.3g)が個体として得られた。1H NMR(CDCl)δ7.00(s,1H)、3.85(s,2H),2.71(s,3H)。
【0108】
C.(2−メチルチアゾール−4−イルメチル)カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル
(2−メチルチアゾール−4−イル)酢酸(3.8g,22.7mmol)のトルエン(100mL)およびトリエチルアミン(3.2mL,22.7mmol)の溶液を調製した。ジフェニルリン酸アジド(4.9mL,22.7mmol)を加えた。反応液を80℃で2時間撹拌し、その後トリメチルシリルエタノール(6.5mL,45.5mmol)を加えた。80℃で1時間撹拌し続け、その後40℃で一晩撹拌した。結果得られた溶液を減圧下で濃縮してトルエンを除き、10%水酸化ナトリウム(50mL)でアルカリ化した。水層を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(50mL)で洗浄し,乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧下で濃縮すると個体が得られた。クロマトグラフィー(シリカゲル、7:3ヘキサン画分/酢酸エチル)を行なうと、(2−メチルチアゾール−4−イルメチル)カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル(11g)が個体として得られた。1H NMR(CDCl)δ6.99(s,1H)、5.30(brs,1H)、4.42(d,J=7Hz,2H)、4.18(t,J=9Hz,2H)、2.60(s,3H)、0.99(t,J=9Hz,2H)、0.05(s,9H)。
【0109】
D.C−(2−メチル−チアゾール−4−イル)メチルアミン
(2−メチルチアゾール−4−イルメチル)カルバミン酸2−トリメチルシラニル−エチルエステル(3.5g,13.1mmol)を1Mフッ化テトラブチルアンモニウムのテトラヒドロフラン(26.2mL)溶液に加えた。50℃で2.5時間撹拌した。結果得られた溶液を減圧下で濃縮するとオイルが得られた。オイルを水に溶解し、10%水酸化ナトリウムでアルカリ化し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮してオイルとした。クロマトグラフィー(シリカゲル,93:7:1 CHCl/MeOH/濃 NHOH)を行なうと、C−(2−メチル−チアゾール−4−イル)メチルアミン(140mg)がえら得る。MS:m/e=129(MH+)。
【0110】
製造例22−1
2−チアゾール−4イル−エチルアミン
A.2−(3−オキソブチル)イソインドール−1,3−ジオン
フタルイミド(5g,34mmol)の酢酸エチル(40mL)溶液を調製した。メチルビニルケトン(2.8mL,34mmol)を加え、次いでNaOEt(116mg,1.7mmol)のエタノール(10mL)溶液を加えた。反応液を室温にて2時間撹拌し、その後、加熱還流し、3時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮すると固体が得られた。エタノールから再結晶すると、2−(3−オキソブチル)イソインドール−1,3−ジオン(6.8g)が得られた。1H NMR(CDCl)δ7.82−7.88(m,2H)、7.69−7.77(m,2H)、3.97(t,J=7Hz,2H)、2.88(t,J=7Hz,2H)、2.20(s,3H)。
【0111】
B.2−(4−ブロモ−3−オキソブチル)イソインドール−1,3−ジオン
2−(3−オキソブチル)イソインドール−1,3−ジオン(6.8g,31.5mmol)のメタノール(50mL)の冷溶液(0℃)を調製した。BR2(3.2mL,63mmol)を加えた。反応液を室温まで戻し、15時間撹拌した。10M硫酸(26mL)を加え、混合物を15時間撹拌した。固体を濾取して減圧下で乾燥すると、2−(4−ブロモ−3−オキソブチル)イソインドール−1,3−ジオン(2.3g)が得られた。1H NMR(CDCl)δ7.85−7.90(m,2H)、7.69−7.77(m,2H)、4.05(t,J=7Hz,2H)、3.96(s,2H)、3.15(t,J=7Hz,2H)。
【0112】
C.2−(2−チアゾール−4−イルエチル)イソインドール−1,3−ジオン
ホルムアミド(2mL,50mmol)およびP25(4.4g,10mmol)、ジオキサン(50mL)を2時間還流した。この粗製溶液を2−(4−ブロモ−3−オキソブチル)イソインドール−1,3−ジオン(2.3g,7.7mmol)のジオキサン(100mL)溶液に加え、この結果生じた反応溶液を1.5時間還流した。酢酸エチル(100mL)と1N水酸化ナトリウム(100mL)を混合液に加えた。有機層を分離し、塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧下で濃縮するとオイルが得られた。クロマトグラフィー(シリカゲル、7:3 ヘキサン/酢酸エチル)を行なうと、2−(2−チアゾール−4−イルエチル)イソインドール−1,3−ジオン(790mg)が得られた。1H NMR(CDCl)δ8.75(s,1H)、7.80−7.88(m,2H)、7.69−7.75(m,2H)、7.08(s,1H)、4.10(t,J=7Hz,2H)、3.28(t,J=7Hz,2H)。
【0113】
D.2−チアゾール−4−イルエチルアミン
2−(2−チアゾール−4−イルエチル)イソインドール−1,3−ジオン(720mg,3.1mmol)のメタノール(100mL)溶液を調製した。ヒドラジン(0.6mL,20mmol)を加えた。反応液を48時間撹拌し、還流し、その後室温で48時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮するとオイルが得られた。クロマトグラフィー(シリカゲル、93:6:1 CHCl/MeOH/濃NHOH)を行なうと、表題化合物(50mg)が得られた。1H NMR(CDCl)δ8.78(s,1H)、7.04(s,1H)、3.10(t,J=7Hz,2H)、2.97(t,J=7Hz,2H)。
【0114】
製造例23−1
3−ベンゾイミダゾール−1−イル−プロピルアミン
水酸化ナトリウム(812mg,20mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を調製した。ベンジミダゾール(2g,16.9mmol)を窒素下で加えた。混合液を1時間還流した。同時に3−ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩(3.7g,16.9mmolを窒素下で水酸化ナトリウム(676mg,16.9mmol)懸濁液に加え、混合物を1時間還流した。二つの反応混合物を合わせた。反応混合液を濾過し、濾過液を濃縮してオイルとし、水酸化ナトリウムでアルカリ化し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮するとオイルになった。クロマトグラフィー(シリカゲル、9:1 塩化メチレン/MeOH)を行なうと、表題化合物(780mg)が得られた。MS:m/e=176(MH+)。
【0115】
製造例24−1
C−(5−フェニルチアゾール−4−イル)メチルアミン
A.チオ安息香酸O−エチル
安息香酸エチル(10g,66.5mmol)のキシレン(100mL)溶液を調製した。ローソン試薬(Lawesson’s reagent)(14.5g,36mmol)を加えた。反応液を5時間還流し、減圧下で濃縮しオイルとした。クロマトグラフィー(シリカゲル、100%ヘキサン)でチオ安息香酸O−エチル(6.9g)が得られた。1H NMR(CDCl)δ8.20(d,J=8Hz,2H)、7.52(t,J=7Hz,1H)、7.39(t,J=7Hz,2H)、4.69−4.78(m,2H)、1.55(t,J=7Hz,3H)。
【0116】
B.5−フェニルチアゾール−4−カルボン酸エチルエステル
NaCN(0.25g,5.2mmol)のエタノール(50mL)懸濁液を調製した。イソシアノ酢酸エチル(5mL,45.6mmol)とチオ安息香酸O−エチル(6.9g,41.5mmol)のエタノール(25mL)溶液を滴下して加えた。反応混合液を50℃で96時間撹拌し、その後、減圧下で濃縮しオイルとした。クロマトグラフィー(シリカゲル、3:7 ヘキサン/酢酸エチル)を行なうと、5−フェニルチアゾール−4−カルボン酸エチル(6.0g)が得られた。MS:m/e=234(MH+)。
【0117】
C.(5−フェニルチアゾール−4−イル)メタノール
5−フェニルチアゾール−4−カルボン酸エチル(3.0g,12.9mmol)のテトラヒドロフラン(150mL)冷溶液(0℃)を調製した。LiAlH4(488mg,12.9mmol)を加えた。反応液をゆっくりと室温まで温め、3時間撹拌した。水(25mL)でクエンチし、セライト(登録商標)で濾過した。濾過液を減圧下で残渣となるまで濃縮した。クロマトグラフィー(シリカゲル、3:7 ヘキサン/酢酸エチル)を行うと、(5−フェニルチアゾール−4−イル)メタノール(1.4g)が得られた。1H NMR(CDCl)δ8.75(s,1H)、7.40−7.55(m,5H)、4.80(d,J=4Hz,2H)、3.15−3.22(m,1H)。
【0118】
D.4−ブロモメチル−5−フェニルチアゾール
(5−フェニル−チアゾール−4−イル)メタノール(1.4g,7.3mmol)のCH3CN(50mL)冷溶液(0℃)を調製した。PPh(2.6g,9.7mmol)とCBr4(3.2g,9.7mmol)を加えた。反応液を0℃で3時間撹拌し、室温まで戻し、その後、減圧下で濃縮してオイルとした。クロマトグラフィー(シリカゲル、4:1 ヘキサン/酢酸エチル)を行なうと、表題化合物(400mg)が得られた。1H NMR(CDCl)δ8.80(s,1H)、7.40−7.60(m,5H)、4.65(s,2H)。
【0119】
E.2−(5−フェニルチアゾール−4−イルメチル)イソインドール−1,3−ジオン
フタルイミドカリウム(350mg,1.8mmol)のジメチルホルムアミド(25mL)の冷溶液(0℃)を調製した。4−ブロモメチル−5−フェニルチアゾール(400mg,1.6mmol)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液を滴下して加えた。反応液を室温に温め、3時間撹拌し、その後濃縮した。残留物を酢酸エチル(100mL)に溶解し、飽和Na2CO3(50mL)と塩水(50mL)で洗浄し、その後、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、濃縮すると褐色の残留物となった。クロマトグラフィー(シリカゲル、4:1 ヘキサン/酢酸エチル)を行なうと、2−(5−フェニルチアゾール−4−イルメチル)イソインドール−1,3−ジオン(270mg)が得られた。
1H NMR(CDCl)δ8.70(s,1H)、7.35−7.89(m,9H)、5.04(s,2H)。
【0120】
F.C−(5−フェニル−チアゾール−4−イル)−メチルアミン
2−(5−フェニルチアゾール−4−イルメチル)イソインドール−1,3−ジオン(260mg,0.8mmol)のメタノール(15mL)冷溶液(0℃)を調製した。ヒドラジン(0.05mL,1.6mmol)を加えた。反応液を室温まで温め、一晩撹拌した。減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(25mL)に溶解し、濾過して固体を除く。濾過液を減圧下で濃縮しオイルとした。クロマトグラフィー(シリカゲル、93:6:1 CHCl/MeOH/濃NHOH)を行なうと、表題化合物(130mg)がえら得る。1H NMR(CDCl)δ8.75(s,1H)、7.39−7.49(m,5H)、4.00(s,2H)、1.62(brs,2H)。
【0121】
製造例25−1
C−(3−フェニルフラン−2−イル)メチルアミン
A.3−ブロモフラン−2−カルバルデヒド
3−ブロモフラン(0.61mL,6.80mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液を窒素下、−78℃で調製した。リチウムジイソプロピルアミド(2Mのテトラヒドロフラン溶液,4.08mL,8.16mmol)を30分以上かけて滴下して加えた。直ちにジメチルホルムアミドで反応をクエンチし、室温まで温め、飽和炭酸水素ナトリウム水で洗浄した。水層を酢酸エチル(2×10mL)で抽出し、合わせた有機層を塩水(40mL)で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。この結果生じた残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、5:1hヘキサン/酢酸エチルで溶出すると、514mgの3−ブロモフラン−2−カルバルデヒドが白色の固体として得られた。MS:m/e=175[MH+]。
【0122】
B.3−フェニルフラン−2−カルバルデヒド
3−ブロモフラン−2−カルバルデヒド(381mg,2.19mmol)、フェニルボロン酸(534mg,4.38mmol)、および2M炭酸カリウム(3.28mL,6.57mmol)の1,2−ジメトキシエタン(20mL)の混合液を調製した。この混合液に窒素を20分間通気した。Pd(dba)(68mg,0.06mmol)とPPh(68mg,0.26mmol)を加え、混合液を窒素で更に10分間パージした。その後、混合液を80℃で加熱した。24時間後、溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチルに再溶解した。水層を酢酸エチル(2×10mL)で抽出し、合わせた有機層を塩水(40mL)で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、5:1ヘキサン/酢酸エチルで溶出すると、405mgの表題化合物が白色の固体として得られた。MS:m/e=173[MH+]。
【0123】
C.C−(3−フェニルフラン−2−イル)メチルアミン
3−フェニルフラン−2−カルバルデヒド(401mg,2.33mmol)とNHOAc(1.79g,23.30mmol)のメタノール(8mL)溶液を、窒素下、室温で撹拌した。NaCNBH(102mg,1.63mmol)を加えた。室温で24時間撹拌後、混合液を濃縮し、水(2mL)で希釈し、1N水酸化ナトリウムでアルカリ化し、ジエチルエーテル(4×10mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、9:1酢酸エチル/MeOHで溶出すると、37mgの表題化合物が黄色の固体として得られた。1H NMR(CDCl)δ7.19−7.41(m,6H)、6.49(d,J=2Hz,1H)、3.95(s,2H)、1.80(brs,2H)。
【0124】
製造例26−1
C−(5−フェニルチオフェン−3−イル)メチルアミン
A.5−ブロモチオフェン−3−カルボン酸
チオフェンカルボン酸(500mg,3.90mmol)のHOAc(5mL)溶液を調製した。BR2(0.17mL,0.85mmol)のHOAc(3mL)溶液を滴下して加えた。その後、混合液を窒素下、室温で15分撹拌した。氷冷した水で反応をクエンチし、更に10分間撹拌した。生成物が析出したら、溶液を−10℃に冷却した。溶液を濾過し、濾過ケーキを氷冷した水ですすぎ生成物を乾燥すると、473mgの5−ブロモチオフェン−3−カルボン酸が白色の固体として得られた。1H NMR(ジメチルスルホキサイド−d6)δ12.90(brs,1H)、8.18(d,J=1.5Hz,1H)、7.46(d,J=1.5Hz,1H)。
【0125】
B.5−ブロモチオフェン−3−カルボン酸メチルエステル
5−ブロモチオフェン−3−カルボン酸(500mg,2.41mmol)のメタノール(5mL)溶液を調製した。濃塩酸(0.1mL)を加えた。混合液を3時間還流し、室温に冷却し、水に注ぎ入れ、ジエチルエーテル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を水(10mL)で、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水(10mL)で洗浄した。乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、5:1 ヘキサン/酢酸エチルで溶出すると、409mgの5−ブロモチオフェン−3−カルボン酸メチルが白色の固体として得られた。1H NMR(CDCl)δ8.10(d,J=1.5Hz,1H)、7.17(d,J=1.5Hz,1H)、3.86(s,3H)。
【0126】
C.5−フェニルチオフェン−3−カルボン酸メチルエステル
5−ブロモ−チオフェン−3−カルボン酸メチル(1.86g,8.41mmol)、フェニルボロン酸(2.05g,16.83mmol)、および1M炭酸カリウム溶液(12.5mL,25.23mmol)の1,2−ジメトキシエタン(70mL)溶液の混合液を製造し、窒素で20分間パージした。Pd(PPh(485mg,0.42mmol)を加え、再び窒素で10分間パージした。80℃で24時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチルに再溶解した。水層を酢酸エチル(2×20mL)で抽出し、有機層を塩水(40mL)で洗浄し、乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、10:1 ヘキサン/酢酸エチルで溶出すると、947mgの5−フェニルチオフェン−3−カルボン酸メチルが白い固体として得られた。MS:m/e=219[MH+]。
【0127】
D.(5−フェニルチオフェン−3−イル)メタノール
5−ブロモチオフェン−3−カルボン酸メチル(500mg,2.29mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を製造し、窒素下で0℃に冷却した。LiAlH4(1Mテトラヒドロフラン)をゆっくり加えた。0℃で1時間おいた後、反応液を水でクエンチした。セライト(登録商標)で濾過し、酢酸エチルですすぐ。濾過液を濃縮すると、416mgの(5−フェニルチオフェン−3−イル)メタノールが白色の固体として得られた。1H NMR(CDCl)δ7.60−7.61(m,2H)、7.25−7.37(m,4H)、7.16(s,1H)、4.69(d,J=2Hz,2H)、1.58(m,1H)。
【0128】
E.4−ブロモメチル−2−フェニルチオフェン
(5−フェニルチオフェン−3−イル)メタノール(394mg,2.07mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を調製した。窒素下で0℃に冷却した。PPh(723mg,2.75mmol)を加えた。四臭化炭素(912mg,2.75mmol)のCH3CN(15mL)溶液を滴下して加えた。反応液を0℃で2時間撹拌し、その後、室温に温めオーバーナイト放置した。混合物を濃縮し、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、7:3 酢酸エチル/ヘキサンで溶出すると、515mgの4−ブロモメチル−2−フェニルチオフェンが白色の固体として得られた。MS:m/e=254[MH+]。
【0129】
F.2−(5−フェニルチオフェン−3−イルメチル)イソインドール−1、3−ジオン
フタルイミドカリウム(457mg,2.47mmol)のジメチルホルムアミド(6mL)溶液を調製した。4−ブロモメチル−2−フェニル−チオフェン(523mg,2.06mmol)のジメチルホルムアミド(6mL)溶液を滴下して加えた。反応混合物を窒素下、室温にて一晩撹拌した。溶液を濃縮し、酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水(20mL)、次いで塩水(20mL)で洗浄した。乾燥(硫酸マグネシウム)し、濾過し、濃縮した。この結果生じた残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い5:1 ヘキサン/酢酸エチルで溶出すると、565mgの2−(5−フェニルチオフェン−3−イルメチル)イソインドール−1、3−ジオンが黄色の固体として得られた。1H NMR(CDCl)δ7.84−7.88(m,2H)、7.70−7.72(m,2H0,7.54−7.57(m,2H)、7.25−7.34(m,5H)、4.83(s,2H)。
【0130】
G.C−(5−フェニルチオフェン−3−イル)メチルアミン
2−(5−フェニルチオフェン−3−イルメチル)イソインドール−1、3−ジオン(565mg,1.77mmol)のメタノール(57mL)溶液を調製した。ヒドラジン(0.35mL,11.14mmol)を加えた。混合物を加熱還流した。1時間撹拌後、混合液を室温まで冷却し、濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行い、50:40:9:1塩化メチレン/CHCl/MeOH/濃NHOHで溶出すると、280mgの表題化合物が黄色の固体として得られた。MS:m/e=190[MH+]。
【0131】
製造例27−1
2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−カルバルデヒド
エチル−3−メチルピラゾール−5−カルボン酸塩(1.0893g,7.07mmol)を10mLテトラヒドロフランに溶解し、水酸化ナトリウム(60%)(377.6mg,9.44mmol)の10mLテトラヒドロフラン懸濁液を滴下して加えた。2時間後、反応液をヨウ化メチル(過剰量)でクエンチし、更に2時間撹拌した。反応液に水を加え、減圧下でテトラヒドロフランを除く。酢酸エチルと塩水で分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、減圧下で溶媒を除くと、950.0mgの2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルの粗製物が得られた。この粗製物(950.0mg,5.65mmol)を10mLテトラヒドロフランに溶解し、水素化アルミニウムリチウム(220.2mg)の20mLテトラヒドロフラン・スラリーを0℃で滴下して加えた。この温度で30分後、反応液を加熱還流した。反応液を室温に冷却し、20mL酢酸エチルを反応液に加えた。白い沈殿物が生じるまで5N水酸化ナトリウムを反応液に加えた。反応液を濾過し、濾過液を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチルと水で分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、溶媒を減圧下で除くと、493.7mgの(2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−イル)−メタノールの粗製物が得られた。この粗製物(493.7mg,3.91mmol)を20mL塩化メチレンに溶解し、MnO(1.2939g,14.88mmol)を反応混合物に加えた。反応混合物を加熱還流し、16時間撹拌した。反応液を冷却し、セライトのパッドで濾過した。濾過液を減圧下で濃縮すると、444.5mgの粗製物が得られた。バイオテージ(Biotage)のクロマトグラフィー(25%酢酸エチル/ヘキサン留分)を行なうと、138.7mgの表題化合物が得られた。1H NMR(CDCl)δ9.81(1H,s)、6.46(1H,s)、3.82(3H,s)、2.24(3H,s)。
【0132】
製造例28−1
5−メチルフラン−2−カルバルデヒド
1−メチルピペラジン(3.3g,32.81mmol,1.05eq)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液に、アルゴン下にて、−78℃でn−ブチルリチウム(13.12mL,ヘキサン留分中に2.5Mの溶液32.81mmol,1.05eq)溶液をゆっくりと加えた。−78℃で15分間撹拌し、その後ゆっくりとフラン−2−カルバルデヒド(3.0g,31.25mmol,1eq)を加えた。−78℃で20分間撹拌し、その後ゆっくりとsec−ブチルリチウム(25.24mL,1.3Mヘキサン留分,32.81mmol,1.05eq)溶液を加えた。−78℃で1時間撹拌した。撹拌を補助するために、更にテトラヒドロフラン(150mL)を加えた。更に2時間撹拌し、ゆっくりとヨードメタン(17.7g,125mmol,4eq)を加えた。室温まで一晩ゆっくりと温める。反応液を10:1の10%塩酸:氷の混合物に注ぎ、撹拌した。ジエチルエーテルを加え、生成物を有機層へ抽出した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。フルオリシル(Fluorisil)で精製すると、485mgの5−メチルフラン−2−カルバルデヒドが得られた。
【0133】
実施例1−1
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−((3−エトキシプロピルアミノ)メチル)−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
【化6】

A. (R)−(2R−ヒドロキシ−6−イオドインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
(R)−(6−アミノ−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(5.0g,18.9mmol)と100mLのジヨードメタンを窒素下で混合した。亜硝酸イソアミル(11g,94.5mmol,12.7mL)をこの出発物質に加えた。この溶液を室温で1時間撹拌し、7℃に加熱し、更に1時間撹拌した。反応液を冷却し、高真空ロータリーエバポレーターで60−70℃でジヨードメタンを除く。粗製物をジクロロメタンに溶解し、シリカゲルで精製すると3.92gの(R)−(2R−ヒドロキシ−6−イオドインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステルが黄色の粉末として得られた。
【0134】
B. (R)−(6−エチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
(R)−(2R−ヒドロキシ−6−イオドインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(4g,10.66mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(616mg,.53mmol)を窒素下で混合し、100mL無水ジオキサンを加えた。この溶液を撹拌しながらトリブチル(ビニル)スズ(3.72g,11.73mmol,3.4mL)を加え75℃に加熱した。溶液を75℃にて一晩撹拌した。溶液を冷却し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除く。酢酸エチルを加え、次いで約50mL飽和フッ化カリウム水溶液を加えた。2時間激しく撹拌し、二相性の混合物をフィルター付きガラスロート中のセライトの浅いベッドで濾過した。有機層を分離し、その後、数回水で、最後に塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除くと5.84gの粗製物が得られ、シリカゲルで精製した。すると2.3gの(R)−(6−エチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステルが得られた。MS(m/e):276.9(MH+)。
【0135】
C. (R)−(6−ホルミル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
(R)−(6−エチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.3g,8.35mmol,1eq)を60mLの2:1塩化メチレン:メタノール溶液に溶解した。溶液をドライアイス/アセトン浴中で−78℃に冷却した。冷却した溶液にガス拡散チューブを通じてO3を15分間通気した。O3の通気を止め、溶液を−78℃にて15分間窒素でパージした。メチルスルフィド(1.04g,16.7mmol,1.226mL,2eq)を溶液にゆっくり加えた。ゆっくりと温め室温にし、ロータリーエバポレーターで溶媒を除くと3.5gの粗製油が得られた。このオイルをシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。すると、1.86gの(R)−(6−ホルミル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステルが得られた。MS(m/e):276(MH−)。
【0136】
D. (R)−(6−(3−エトキシプロピルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
(R)−(6−ホルミル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.0g,3.6mmol,1eq)と30mLの1,2−ジクロロエタンを窒素下で混合した。3−エトキシプロピルアミン(558mg,5.41mmol,648μL,1.5eq)を室温で加え、溶液を10分間撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.146g,5.41mmol,1.5eq)を加え、反応液を室温にて一晩撹拌した。ロータリーエバポレーターで溶媒を除く。原材料をメタノールに溶解し、pH試験紙でアルカリ性が確認されるまで、水酸化物陰イオンの交換樹脂(AG1−X8樹脂,20−50メッシュ、水酸化物タイプ,カタログ番号140−1422、バイオラド社)で処理を行なった。樹脂を濾取する前に5分間撹拌した。メタノールをロータリーエバポレーターで除く。更にメタノールを加え、ロータリーエバポレーターで濃縮を続ける。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製すると、884mg(収量67%)の(R)−(6−(3−エトキシプロピルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステルが得られた。MS(m/e):365.3(MH+)。
【0137】
E. 3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−(3−エトキシプロピルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
0℃、窒素下にて、(6−(3−エトキシプロピルアミノ)メチル−2−ヒドロキシインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(877mg,2.41mmol,1eq)と5mLトリフルオロ酢酸を混合した。冷却した溶液を30分間撹拌した。トリフルオロ酢酸をロータリーエバポレーターで除く。原材料をメタノールに溶解し、pH試験紙でアルカリ性が確認されるまで水酸化物陰イオンの交換樹脂(AG1−X8樹脂,20−50メッシュ、水酸化物タイプ,カタログ番号#140−1422、バイオラド社)で処理を行なった。樹脂を濾取する前に5分間撹拌した。メタノールをロータリーエバポレーターで除く。更にメタノールを加え、ロータリーエバポレーターで濃縮を繰返すと遊離塩基が得られた。3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸2,5−ジオキソピロリジン−イルエステル(739mg,2.23mmol,1.08eq)を遊離塩基に加え、窒素下で10mLの無水ジメチルホルムアミドを加えた。室温にて一晩撹拌した。ジメチルホルムアミドを高真空ロータリーエバポレーターで除き、粗製物をメタノールに溶解し、再度酸性になるまで水酸化物樹脂で処理を行なった。樹脂を濾取する前に5分間撹拌し、メタノールをロータリーエバポレーターで除く。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製すると、表題化合物(823mg)が得られた。MS(m/e):463(MH+)。
【0138】
実施例1−2から1−18は、基本的に実施例1−1と同様に製造した。
【表10】

【表11】

【0139】
実施例2−1
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−(3−イソプロポキシプロピルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
【化7】

A. (R)−(2R−ヒドロキシ−6−イオド)インダン−1−イル−トリフルオロ酢酸アンモニウム
(2−ヒドロキシ−6−イオドインダン−1−イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(8.67g,23.12mmol)を0℃にてトリフルオロ酢酸(50mL)溶液に加えた。1時間撹拌した。溶媒を蒸発すると固体となった。固体をトルエン(75mL)に懸濁し、再蒸発すると10.8gの表題化合物が得られた。
【0140】
B. 3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(2R−ヒドロキシ−6−イオドインダン−1−イル)アミド
塩化オキサリル(3.22g,25.43mmol)の塩化メチレン(8mL)溶液を、3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(5g23.13mmol)の塩化メチレン(100mL)懸濁液に0℃にて滴下して加えた。その後、懸濁液を23℃に温め、2時間撹拌した。その結果得られた酸塩化物溶液を15分以上かけて、23℃の(R)−(2R−ヒドロキシ−6−イオドインダン−1−イル−トリフルオロ酢酸アンモニウム(10.8g,23.12mmol)、Na2CO3(12.25g,115.8mmol)、塩化メチレン(60mL)、および水(60mL)の二相性の混合液にゆっくりと加えた。反応混合液を2時間撹拌し、濾過した。濾取された固体を水ですすぐ。濾過液相を分離し、有機層を蒸発すると更に固体が得られた。これらの固体を濾過された固体と合わせ、アセトニトリル(150mL)に懸濁し、15時間23℃で撹拌した。懸濁液を濾過し、固体を乾燥すると、8.58gの3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(2R−ヒドロキシ−6−イオドインダン−1−イル)アミドが黄褐色の固体として得られた。2回目の収穫では、更に0.95gが得られた。MS(m/z):474(M+1)。
【0141】
C. 3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(2R−ヒドロキシ−6−ビニルインダン−1−イル)アミド
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(2R−ヒドロキシ−6−イオドインダン−1−イル)アミド(5g,10.56mmol)、トリブチル(ビニル)スズ(3.58g,11.3mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)Pd(0)(0.61g,0.52mmol)、およびジオキサン(125mL)の懸濁液を、4時間75℃で加熱した。反応液を冷却し、溶媒を蒸発すると残渣が得られた。残渣を酢酸エチル(125mL)に懸濁し、その後15分加熱還流し、0℃に冷却し、濾過した。濾過液をフッ化カリウム(46g)と水(50mL)の溶液と15分間撹拌した。その後、混合液をセライトのパッドで濾過した。濾過液層を分離し、酢酸エチル層を水(100mL)と、次いで飽和塩水(100mL)で連続して洗浄した。酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発すると残渣が得られた。残渣をフラッシュカラム(80/20塩化メチレン/酢酸エチル)で精製すると、2.19gの精製された3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(2R−ヒドロキシ−6−ビニルインダン−1−イル)アミド(55%)が得られた。MS(m/z):374.2(M+1)。
【0142】
D. 3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−ホルミル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(2R−ヒドロキシ−6−ビニルインダン−1−イル)アミド(1.94g,5.18mmol,1eq)を100mLの1:1塩化メチレン:メタノール溶液に溶解した。溶液をドライアイス/アセトン浴で−78℃に冷却した。ガス拡散チューブを用いてO3を冷却した溶液に10分間通した。O3の通気を止め、−78℃にて窒素ガスで溶液を15分間パージした。メチルスルフィド(1.04g,16.7mmol,1.226mL,2eq)をゆっくりと加えた。溶液を室温にゆっくりと温め、ロータリーエバポレーターで溶媒を除くと、2.18gの粗製物が得られた。これをシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。すると1.423gの3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−ホルミル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミドが得られた。MS(m/e):376.2(MH+)。
【0143】
E. 3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−(3−イソプロポキシプロピルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−ホルミル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド(50mg,.133mmol,1eq)と3mLの1,2−ジクロロエタンを窒素下で混合した。3−イソプロポキシプロピルアミン(23mg,.199mmol,26μL,1.5eq)を室温にて加え、溶液を10分間撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(42mg,.199mmol,1.5eq)を加え、反応液を室温にて一晩撹拌した。ロータリーエバポレーターで溶媒を除き、粗製物を酢酸エチルに溶解した。シリカゲルクロマトグラフィーで粗製物を精製すると、49mgの表題化合物が得られた。MS(m/e):477.3(MH+)。
【0144】
実施例2−2から2−63は、基本的に実施例2−1と同様に製造した。
【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【0145】
実施例3−1
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−(2−フェニルエチルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
【化8】

3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(6−ホルミル−2−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド(1当量,50mg)、4−フェネチルアミン(1.5当量,24mg)、およびチタンイソプロポキシド(2.0当量,75mg)のエタノール溶液を、反応完了まで撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(1.5当量,12mg)を反応混合物に加え、反応完了まで撹拌した。反応混合物を濃縮した。残留物をジクロロメタンに溶解し、1M水酸化ナトリウムで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーでメタノールのジクロロメタン混合液で精製すると、20mgの表題化合物が固体として得られた(収量28%)。MS(m/e):481.3(M+).
【0146】
実施例3−2から3−5は、基本的に実施例3−1と同様に製造した。
【表17】

【0147】
実施例4−1
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−アミノメチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
【化9】

炎で乾燥したフラスコにシアン化ナトリウム(693mg,14.1mmol)と15mLジメチルスルホキサイドを入れる。シアン化銅(1.05g,11.7mmol)を加え、アルゴン下にて一晩激しく撹拌した。不均一系の緑褐色の溶液が得られた。別のフラスコで、3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−アミノ−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミドを30mLテトラヒドロフランに溶解し、0℃に冷却した。三フッ化ホウ素エチルエ−テル(0.478mL,3.77mmol)、次いでt−亜硝酸ブチル(0.413mL,3.53mmol)を加えた。反応液を0℃で1時間撹拌し、100mLの冷却したヘキサンを加え、生じた沈澱を濾過し、更にヘキサンを加えて洗浄し、直ちに20mLのジメチルスルホキサイドに再溶解した。このジメチルスルホキサイド溶液をNaCu(CN)溶液に、激しく撹拌しながら5分以上かけて滴下して加えた。反応液を15分以上撹拌し、水で希釈し、酢酸エチル(3×)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、シリカゲル上で蒸発した。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル,ヘキサン留分)で精製すると、636mgの3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−シアノ−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミドが得られた。MH−371.7。
【0148】
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−シアノ−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド(473mg,1.27mmol)、エタノール(30mL)および濃塩酸(3.0mL)を混合した。フラスコ内を減圧してから酸素で満たす。反応液を室温にて一晩撹拌した。あらゆる沈澱を溶解するために、反応液を水(30mL)とテトラヒドロフラン(30mL)で希釈した。反応液をセライトで濾過した。pH試験紙でアルカリ性が確認されるまで水層に5M水酸化ナトリウムを加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮すると、表題化合物が白色の固体として得られた(454mg)。MS:375.1(MH−)。
【0149】
実施例5−1
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−((6−ブロモピリジン−2−イル)メチルアミノ)メチル)−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
【化10】

3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−アミノメチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド(50mg,0.132mmol)および6−ブロモピリジン−2−カルバルデヒド(24mg,0.132mmol)をテトラヒドロフラン(1.0mL)中に混合した。トリ(アセトキシ)水素化ホウ素ナトリウム(63mg,0.198mmol)を加え、室温にて一晩撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウムで希釈し、酢酸エチル×3で抽出した。有機層をプールし、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、シリカゲル上で蒸発した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(MeOH,酢酸エチル,ヘキサン留分)で精製すると、33mgの表題化合物が得られた。MS:546.0(MH+)。
【0150】
実施例5−2から5−4は、基本的に実施例5−1と同様に製造した。
【表18】

【0151】
実施例6−1
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−((2,5−ジメチル−2H−ピラゾ−ル−3−イル)メチルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
【化11】

3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−アミノメチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド(51.6mg,0.137mmol)と2,5−ジメチル−2H−ピラゾール−3−カルバルデヒド(17.5mg,0.141mmol)を3mLの無水エタノールに溶解した。トリエチルアミン(27.73mg,0.274mmol)とチタン(IV)イソプロポキシド(77.89mg,0.274mmol)を反応混合物に加え、室温にて24時間撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(19.3mg,0.510mmol)を反応混合物に加え、4時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物を塩化メチレンと1N水酸化ナトリウムで分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過し、減圧下で溶媒を除くと、33.1mgの粗製物が得られた。これをシリカゲルクロマトグラフィー(5%MeOH/CHCl)で精製すると、20.1mgの表題化合物が得られた。MS(m/e):485.2(M+1)。
【0152】
実施例6−2は、基本的に実施例6−1と同様に製造した
【表19】

【0153】
実施例7−1
3,2’−ジフルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−((3−エトキシプロピル)メチルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
【化12】

3,2’−ジフルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−(3−エトキシプロピルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド(20mg,0.04mmol)、ホルムアルデヒド(25mg,0.83mmol)、およびギ酸(100mg,2.08mmol)を試験管に加えた。溶液を95℃にて一晩加熱した。水を加え、次いで反応液にアンモニウムハイドロオキサイドを数滴加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲル上で粗製物を精製すると、12mgの表題化合物が得られた。MS(m/e):495.3(MH+)。
【0154】
実施例7−2から7−4は、基本的に実施例7−1と同様に製造した。
【表20】

【0155】
実施例8−1
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−((3−エトキシプロピル)エチルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
【化12】

3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−(3−エトキシプロピルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド(50mg,.108mmol,1eq)と5mLの1,2−ジクロロエタンを窒素下で混合した。アセトアルデヒド(約1mL)、次いでトリアセトキシ水素化ホウ素(34mg,0.162mmol,1.5eq)を加え、反応液を室温にて一晩撹拌した。溶媒をロータリーエバポレーターで除き、粗製物をメタノールに溶解した。pH試験紙でアルカリ性が確認されるまで水酸化物陰イオンの交換樹脂(AG1−X8樹脂,20−50メッシュ、水酸化物タイプ、カタログ番号140−1422、バイオラド社)を加え、処理を行なった。樹脂を濾取する前に5分間撹拌した。メタノールをロータリーエバポレーターで除く。更にメタノールを加え、ロータリーエバポレーターでの濃縮を繰返すと、80mgの精製物が得られた。シリカゲルクロマトグラフィーで粗製物を精製すると、19mgの表題化合物が黄色のオイルとして得られた。MS(m/e):491.3(MH+)。
【0156】
実施例8−2から8−5は、基本的に実施例8−1と同様に製造した。
【表21】

【0157】
実施例9−1
3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(R)−(6−((ベンゾチオフェン−2−イル)メチルアミノ)メチル−2R−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド
【化13】

3−フルオロビフェニル−4−カルボン酸(6−アミノメチル−2−ヒドロキシインダン−1−イル)アミド(43mg,0.11mmol)、2−クロロメチル−ベンゾチオフェン(21mg,0.11mmol)および臭化テトラブチルアンモニウム(3mg)を1.0mLアセトニトリル中で混合し、50℃にて3日間加熱した。反応液を室温に冷却し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン留分)で精製すると、表題化合物が得られた。MS:523.0MH+。
【0158】
本発明の化合物は、単独で、または、医薬的に許容し得る担体や賦形剤、配合や選択された化合物の溶解性や化学特性で決定される性質、選択された投与経路、そして標準的な薬務といった要素を兼ね合わせた医薬組成物として投与され得る。本発明の化合物はそれ自体が効果的であるが、安定性や利便性、溶解性および同様の目的に応じて製剤され、医薬的に許容し得る塩の形で投与されてもよい。実際に、式1の化合物は、通常、医薬的に許容しうる担体や希釈剤と混合された医薬組成物の形で投与される。
【0159】
したがって、本発明は、式1の化合物および医薬的に許容し得る希釈剤を含む医薬組成物を提供した。本発明はまた、式1の医薬組成物を包むラベルを含む適切な包装をも提供した。
【0160】
式1の化合物は様々な経路で投与し得る。本明細書に記載された障害に悩まされる患者の有効な治療のため、式1の化合物は有効量で生体内で利用可能な形状、または経口および非経口経路を含むあらゆる方法で投与され得る。例えば、式1は経口、吸入、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、鼻腔内、直腸、眼球、局所的、舌下、頬側、および同様の方法で投与され得る。本請求で述べられる障害の治療には、一般的に経口投与が好ましい。
【0161】
製剤分野の熟練者は、選択された化合物の特定の特徴、治療される障害の容態、障害の病期や状態、またその他の関連する状況によって適切な投与の形状や方法を容易に選択することが出来る。(「レミントン製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)第18版」、マック出版社(Mack Publishing Co.)(1990)).
【0162】
医薬組成物は、医薬分野で周知の方法にて製造する。担体や賦形剤は、活性成分の溶剤または媒体として用いることができる半固体、または液体材料でよい。適切な担体や賦形剤は当該分野で周知である。薬剤組成は経口、吸入、非経口、または局所的な使用のために適合され、錠剤、カプセル、エアロゾル、吸入、座剤、液体、懸濁剤または同様の形態で患者に投与されてもよい。
【0163】
本発明の化合物は、例えば不活性の希釈剤またはカプセル、または錠剤に圧縮して経口で投与されてもよい。経口治療投与の目的には、化合物は賦形剤と混合して、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウェーハ、チューインガムや同様の形態で用いてもよい。これらの調製物は、少なくとも4%の活性成分である本発明化合物を含むべきであるが、特定の形態によって単位の重量の4%から約70%の間で適宜変更を加えても良い。組成物中に存在する化合物の量は適切な用量が得られた量である。本発明による好ましい組成と調製は、当業者によって決定されてもよい。
【0164】
タブレット、錠剤、トローチやそれに同等のものは、一つかそれ以上の以下のような補助剤も含んでもよい。結晶セルロース、トラガントガム、ゼラチンといった結合剤、デンプンまたラクトースのような賦形剤、アルギニン酸、プリモジェル(Primogel)、コーンスターチやそれに同等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムやステロテックス(Sterotex)のような潤滑剤、コロイド二酸化ケイ素のような粉末流動促進材、サッカロースまたはサッカリンのような甘味剤もしくは、ペパーミント、メチルサリチル酸、またはオレンジ風味の香料添加剤を加えてもよい。用量単位がカプセルの形であった場合、上記の補助剤のタイプに加えて、ポリエチレングリコールや脂肪油のような液体担体を含んでもよい。その他の用量単位の形態は、例えばコーティング剤のような、用量単位の物理的な形態を改良するその他の様々な補助剤を含んでもよい。従って、タブレットもしくは錠剤は、砂糖やシェラック、またはその他のコーティング剤で被覆されてもよい。シロップは本化合物に加えて、甘味剤としてサッカロース、然るべき保存料、色素と着色料、そして香料を含んでも良い。これらの様々な組成を調製したのに用いられる材料は、医薬的に純粋で、使用される量においては無毒でなければならない。
【0165】
経口、および非経口治療投与の目的のために、本発明の化合物は溶液か懸濁液に加えられても良い。これらの調製物は一般的に少なくとも0.1%の発明化合物を含むが、重量の0.1から約90%の範囲で変動してもよい。当該組成物中に存在する式1の化合物の量は、適切な用量が得られた量である。溶液や懸濁液は、一つかそれ以上の以下のような補助剤も含んで良い。注射液の水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、またはその他の合成溶剤のような滅菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤、酢酸、クエン酸、またはリン酸のような緩衝剤、塩化ナトリウムまたはデキストロースのような浸透圧調整剤を含んでもよい。非経口製剤は、ガラスやプラスチックでできたアンプルや使い捨て注射器、または複数用量のバイアルに封入することができる。本発明による好ましい組成と調製は、当業者によって決定されてもよい。
【0166】
本発明の化合物は、局所的に投与してもよい。また、そのように投薬する場合、担体は溶液、軟膏、もしくはゲル基剤を適切に含んで良い。基剤は、例えば、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜ロウ、ミネラルオイル、水やアルコールといった希釈剤、乳化剤、および安定剤、のうちの一つかそれ以上を含んでもよい。局所製剤は、式1またはその医薬的な塩を1.0%から約10%w/v(単位容量当たりの重量)の濃度で含んでもよい。
【0167】
式1の化合物は、M−1ムスカリン性受容体のアゴニストである。更に、式1の化合物は、特定のムスカリン性受容体の選択的アゴニストである。本発明の化合物は、生物学的利用能、薬物動態、安全性、および効力に関する有用な特性を有した。ムスカリンアゴニストについては、そのサブタイプの結合プロフィールを含めて、当該分野で周知の手法により同定することが出来る。
【0168】
一実施形態では、本発明は必要とする患者に対して式1の化合物を有効量投与することを含む、ムスカリン性受容体に関わる障害の治療方法を提供した。つまり、本発明は本請求で治療対象として述べられた様々な障害や、このようなアゴニストで治療可能であると当業者によって認識されたその他の障害を企図している。
【0169】
確立され一般に容認された分類に従い、ムスカリンアゴニストで治療可能な数多くの障害が知られているが、知られていないものもある。例えば、認知は複雑であり、現象が充分に定義づけられていないこともある。しかし、認知は様々な「領域」を含んでいることが広く知られている。これらの領域は、短期記憶、長期記憶、作業記憶、実行機能、注意力を含んでいる。
【0170】
本発明の化合物は、上述の認知領域、または認知に関するその他の側面の何らかの欠損によると特徴付けられる障害の治療に有用であると解釈される。従って、「認知障害」という用語は、短期記憶、長期記憶、作業記憶、実行機能、注意力を含み、しかしこれらに限定されない一つ以上の認知領域の欠損として特徴付けられるあらゆる障害を含むことを意味した。
【0171】
本発明によって治療される認知障害の一つは、加齢に関連した認知の減退である。この障害は当該分野ではあまり明確に定義されていないが、加齢に伴う、特に記憶と注意力における認知領域の減退を含んでいる。別の認知障害は、軽度認知障害である。この障害もまた、当該分野ではあまり明確に定義されていないが、認知領域の減退を伴い、患者群の大多数はアルツハイマー病の初期に相当すると考えられている。別の認知障害は、統合失調症に関わる認知欠損である。認知の混乱と統合失調症のその他の症状は現時点では明確に理解されていない。明確な症状を発症する遥か以前から認知の問題を経験する人もいるが、一方、初期症状とそれに続く再発の後に認知の低下を来す人もいる。更に、別の認知障害は化学療法によって誘発された認知の損失である。癌の化学療法を受ける人は認知機能の減退を経験する場合があり、この減退は長期間持続する可能性がある。また、卒中、虚血、低酸素症、炎症、感染過程、および心臓バイパス手術や移植、卒中に続く認知の欠損を含む多種多様の発作、脳虚血、脊髄外傷、頭部外傷、周生期低酸素症、胎児期アルコール症候群、心停止、および低血糖神経損傷、血管性認知症、多梗塞認知症、筋萎縮性側索硬化症、および多発性硬化症は結果として認知欠損を来す恐れがあり、これらは本発明によって治療することが出来る。
【0172】
確立され一般に容認された分類法に従い、ムスカリンアゴニストにより治療できる障害が知られているが、これらの分類法は様々な文献に見いだすことができる。例えば、現時点で第4版の「精神障害の診断と統計マニュアル(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM−IV(商標)))」(1994、米国精神医学学会(American Psychiatric Association)、ワシントンD.C.(Washington,D.C.)では、本申請で述べられた多くの障害を特定する診断手段が提供されている。また、「第五訂疾病の国際分類(the International Classification of Diseases, Tenth Revision (ICD−10))」は、本申請で述べられた多くの障害の分類を提供している。熟練した技術者には、DSM−IVおよびICD−10で述べられた障害を含めて、本申請で述べられた障害に関する疾病の別の術語、疾病分類、および分類体系があること、そして医療化学の進歩により用語や分類体系が発展するということが分かるだろう。
【0173】
特に好適な実施形態では、本発明は、認知障害(加齢による認知障害、軽度認知障害、総合失調症に伴う認知障害、および化学療法誘発性認知障害を含む)、ADHD、気分障害(鬱病、躁病、双極性障害を含む)精神障害(特に統合失調症と統合失調症様障害)、認知症(アルツハイマー病、AIDS誘発性認知症、血管性認知症、特徴的な組織学的所見を欠く認知症を含む)、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、疼痛(急性疼痛と慢性疼痛を含む)、口腔乾燥症(口渇症)レヴィー小体病(びまん性レヴィー小体病を含む)、失語症(原発性失語症および原発性失語症症候群を含む)、低血圧症候群、および慢性大腸炎(クローン病を含む)からなるグループから選択された障害の治療方法を提供し、必要な患者に対して式1の化合物を有効量投与することを含む。すなわち、本発明は、ムスカリン性受容体に関する障害治療のための式1の化合物、または医薬組成物の使用を提供した。
【0174】
「治療」という用語は、本請求で述べられているムスカリン性受容体に関連するそれぞれの障害に関わる総体的症状の改善を含めて示すものと認識される。また、当業者は、現在障害に悩まされている患者を、または予防的に上述の障害を発病しやすいと考えられる患者を、式1の化合物の有効量で治療することによって障害に作用してよいとも認識している。したがって、「治療」という用語は、本明細書で述べられた障害の進行を遅延した。か、妨げるか、抑止するか、制御するか、または停止した。全ての目的を指して意味するが、必ずしも全ての症状の完全な除去を指すわけではなく、また上述の障害の予防処置も含めて意味した。
【0175】
本発明は、本請求で述べられた障害の補助療法を含むと解釈されている。すなわち、式1の化合物は、特に、AMPA増強剤、オランザピンを含む代表的または特殊な抗精神病薬、mGluR作用薬といった様々な薬剤、NMDA拮抗剤、IL1−6阻害剤、タクリンやドネペジルのようなコリンエステラーゼ阻害剤を含むその他のコリン作用剤、アミロイドの前駆体タンパク質のプロセッシング阻害剤を含むアミロイドタンパク質のプロセッシングを阻害する化合物やアミロイドタンパク質に対する抗体、フルオキセチン、パロキセチン、ベンラファクシンといたSSRIやSNRIを含む抗鬱剤、抗不安薬などの多種多様なその他の治療剤との組合せで、認知欠損がその症状の一つである障害の治療に有用である。上記の組合せは、個別の成分で同じ効果を生じるのに必要な用量より遥かに少量で効果を発揮するので、相乗的で有利であると考えられている。
【0176】
上述の補助治療を踏まえて、本発明は式1の化合物と、AMPA増強剤、オランザピンを含む代表的または特殊な抗精神病薬、mGluR作用薬、NMDA拮抗剤、IL1−6阻害剤、タクリンやドネペジルのようなコリンエステラーゼ阻害剤、アミロイドの前駆体タンパク質のプロセッシング阻害剤を含むアミロイドタンパク質のプロセッシングを阻害する化合物、アミロイドタンパク質に対する抗体、フルオキセチン、パロキセチン、ベンラファクシンといたSSRIやSNRIを含む抗鬱剤、そして抗不安薬からなる、以上のグループから選択された一つまたはそれ以上の治療薬を含む製品を、認知欠損が症状の一つである障害の治療のための、同時の、別々の、または、連続した投与のための複合製剤としても提供した。別の実施形態においては、本発明は認知欠損が症状の一つである障害の治療のために、同時の、別々の、または、連続投与のための複合剤としての医薬品製造における、式1の、AMPA増強剤、オランザピンを含む代表的または特殊な抗精神病薬、mGluR作用薬、NMDA拮抗剤、IL1−6阻害剤、タクリンやドネペジルのようなコリンエステラーゼ阻害剤、アミロイドの前駆体タンパク質のプロセッシング阻害剤を含むアミロイドタンパク質のプロセッシングを阻害する化合物、アミロイドタンパク質に対する抗体、フルオキセチン、パロキセチン、ベンラファクシンといたSSRIやSNRIを含む抗鬱剤、および抗不安薬からなるグループから選択された一つまたはそれ以上の治療薬との併用方法も提供した。
【0177】
本請求で用いられる際、「同時の、別々の、または、連続した投与」という用語は、全ての治療薬が特定の時点である治療活性を確実に発揮するように、二つ以上の治療薬がある期間内に投与された場合を指す。すなわち、効果が途切れないようにする必要があり、治療活性は少なくともある程度重複していなければならない。
【0178】
本請求で用いられる際、「患者」という用語は、ムスカリン性受容体に関わる一つまたはそれ以上の障害を煩うほ乳類を含む。モルモット、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、およびヒトが、用語の意味の範囲に含まれる動物の例である。
【0179】
本請求で用いられる際、式1の化合物の「有効量」という用語は、本請求で述べられた障害の治療に有効である用量の分量を指す。
【0180】
有効量は、当業者である担当診断医によって、従来の技術を用いて、また類似の状況下で得られた観察結果から容易に決定され得る。式1の化合物の用量である有効量の決定は、担当診断医によって、投与される式1の化合物と、もしあれば同時に適応される他の療法、ほ乳類の種別、身体の大きさと年齢、および一般的な健康状態、特定の関連障害、併発の度合いや障害の重症度、患者個別の反応、投与の方法、投与された薬剤の生物利用能上の特性、選択された用法、同時に用いる他の薬物治療、およびその他の関連の状況といった、しかしこれに限定されない、数多くの要素が考慮される。
【0181】
式1の化合物の有効量は、体重1キログラム当り、1日当り、約0.01ミリグラム(mg/kg/日)から約50mg/kg/日で変動すると予測され、体重1キログラム当り、1日当り、約0.1ミリグラム(mg/kg/日)から約20mg/kg/日が好ましい。より好ましい量は、当業者が決定することが出来る。
【0182】
障害は本発明で治療される障害のうち、いくつかの障害が特に好ましい。特に好ましい障害は、認知障害(特に、軽度の認知障害と統合失調症に伴う認知障害)、アルツハイマー病、統合失調症を含む精神障害の治療を含む。
【0183】
本出願記載の障害の、数多くの前臨床実験動物モデルが記載されている。
【0184】
実施例A
放射状迷路
記憶保持に対する薬剤の効果の研究(プッシネンR.(Pussinen,R.)およびシルヴィオJ.(Sirvio,J.),精神薬理学雑誌(Journal of Psychopharmacology)、13、171−179ページ(1999)、ストーブリU.(Staubli,U.)等、米国科学アカデミー会報(Proceedings of the National Academy of Sciences)、91、777−781ページ(1994))には、8アームの放射状迷路での遅延非見本合わせ課題法が用いられた。
【0185】
よく訓練されたラットに、無作為に選ばれた迷路の4つのアームからの報酬餌を探して回収させた(サンプリング期)。しばらくして、ラットを、解放した8つのアームに接触させ、すでに進入して餌を得たアームを記憶し、該当のアームを避ける能力がテストされた。サンプリング期のセッションの間に、餌を置いたアームへの再進入は、参照エラー(reference error)として数え、一方、記憶保持セッションの間の同じアームへの1回以上の進入は作業エラー(working error)として数えた。記憶保持テストの間に生じたエラーの合計数(参照+作業)は、遅延時間の上昇と共に増加した。例えば、若いオスのラットは1分の遅延では0.66(+0.4)のエラーを行い、1時間の遅延では2(+0.5)のエラー、7時間の遅延では3.95(+0.2)のエラーを生じた(本研究室での観察結果)。
【0186】
オスのSD(Sprague−Dawley)ラットを一個体ずつ収容し、12時間の明暗周期(午前6時点灯)で維持した。ラットには水を自由摂取させ、ピュリナ社(Purina)の研究用固形飼料の追加給飼によって自由摂食体重の85%に維持した。
【0187】
ラットは、最初に8つのアームそれぞれの端にある餌を探すよう訓練された。ラットが、エラー(つまり、1回のセッションの間に同じアームへ1回以上の進入)2回未満という基準に3日間連続で達したら、第4と第5のアーム間の選択で1分間の遅延を課す。この訓練によって、薬剤投与前にラットにこの手順の作業状況に完全に馴染ませる。遅延課題で安定した成績が得られたようになったら(つまり、3日間連続で、2回以上のエラーをしない)、7時間の遅延時間を用いた薬剤および媒体試験を開始した。毎日、各ラットに対して、新しいアームセットに餌を置き、迷路は遅延時間の間に完全に清掃した。
【0188】
サンプリングセッションの間、各ラットを塞がれた8アームの迷路に通じる中央の足場上に置く。8つ中4つのアームを無作為に選択し、餌を置く。餌が置かれたアームへのゲートを引き上げ、4つのアームそれぞれの端にある餌が得られたよう5分間与えた。ラットが餌を得たらすぐに取り出し、媒体または様々な用量の化合物を投与後、飼育ケージに戻した。7時間後(記憶保持セッション)、ラットを塞がれた8アームの迷路に通じる中央の足場上に戻す。以前、サンプリングセッションの間に餌が置かれていた4つのアームに餌を置き、8つ全てのアームのゲートを引き上げた。ラットには、残っている4個の餌を得るために5分が与えられる。餌が無いアーム、または前に入ったアームへの進入は、エラーとして数えた。繰り返しのある分散分析法(repeated measure ANOVA)を用いて有意差(p<0.05)を求め、次いで、コントロールとの比較のためにダネット検定(Dunnett’s test)を行った。
【0189】
試験化合物を標準と比較するため、サンプリング段階の後、スコポラミンとタクリンを直ちに皮下注射により投与した。健忘性で知られるスコポラミンの効果を3時間の遅延の後でテストし、一方、アルツハイマー病の治療に用いられるコリンエステラーゼ阻害剤であるタクリンの効果は、4時間の遅延の後でテストした。スコポラミンにより、3時間遅延の後に用量依存の記憶保持の崩壊が生じた。タクリンは、10mg/kgで6時間遅延の後の記憶保持を有意に改善したが、3mg/kgでは改善は見られなかった。
【0190】
実施例B
8アーム放射状迷路獲得における習得
アルツハイマー病(AD)の徴候学上の顕著な早期の特徴は、陳述記憶の明白な欠損である(R.W.パークス(R.W. Parks)、R.F.ゼック(R.F. Zec)およびR.S.ウィルソン(R.S.Wilson)編,アルツハイマー病およびその他の認知症の神経心理学(Neuropsychology of Alzheimer’s Disease and Other Dementias)、3−80ページ(オックスフォード大学出版部、ニューヨーク(Oxford University Press, New York))(1993))。
【0191】
障害の進行と共に、認識力のその他の範囲も同様に深刻に影響を受ける。脳領域で、アルツハイマー病の進行の初期に影響されるのは、陳述記憶のための重要な神経基質である海馬である。(「正常な加齢とアルツハイマー病の海馬の神経パターンにおける相違(Differences in the pattern of hippocampal neuronal loss in normal aging and Alzheimer’s disease.)」ランセット誌(Lancet)、344、769−72ページ(1994))。動物モデルにおいて海馬機能の評価にしばしば用いられる行動試験の一つが、8アーム放射状迷路である(オールトン(Olton D.S.)、「行動薬理学ツールとしての放射状迷路(The Radial Arm Maze as a Tool in Behavioral Pharmacology)」、生理学と行動誌(Physiology & Behavior)、40、793−97ページ(1986))。
【0192】
海馬の病変、または薬理作用による遮断は、この作業能力を崩壊した。更に、加齢した動物は一般的にこの作業能力に欠ける(ポーソルR.D.(Porsolt R.D.)、ルーS.(Roux S.)およびウェットスタインJ.G.(Wettstein J.G.)、認知症動物モデル、薬剤開発研究(Animal Models of Dementia, Drug Development Research)、35、214−29ページ(1995))。
【0193】
この空間学習と記憶の試験では、空腹のラットを迷路の中央に置き、アームの通路の端にある餌を探すために迷路を横断した。このバージョンの迷路では、ラットは、既に入ったアームが復元されないというウィン−シフト戦略(win−shift strategy)を学ぶ。つまり、最も効果的な獲得戦略は、それぞれのアームに一度ずつ入ることである。4日間の実験のうち1日目には、ラットはこの迷路実験の経験が無いため、このバージョンの迷路では、一般的な学習過程も活用することになった。
【0194】
オスのSDラット(Sprague Dawley(登録商標))は、到着次第、通常の光周期のコロニー室(colony room)に一個体ずつ収容し、テストの前に少なくとも4日間環境に順応した。各ラットを実験過程を通じて目的体重の85%に減量し、維持した。適正体重は、年齢とラットの毎日の体重測定の組合せに基づき、研究用固形飼料の配分の調節によって維持した。
【0195】
個別のラットを迷路の中心に配置し、次いで全てのギロチンドアが引上げ、迷路の全ての領域に自由に出入りできるようにすることによってセッションを開始した。飼料箱は8通路のアームの各先端に設置し、各飼料箱には1つの固形飼料を入れた。毎日のセッションは、8つ全ての飼料箱を訪ねた場合か、ラットが時間切れになった場合(第1日目は15分、第2−4日目には5分)に終了した。アームへの進入の回数を記録した。エラーは、アームへの反復進入か、セッション時間中に行き損なったアームの数として数えた。第1日目に少なくとも1アーム、第2日目には2アーム、第3、4日目は少なくとも4アームに行き損なった動物は、研究から除外した。
【0196】
各ラットを、擬似無作為に媒体か薬剤群のいずれかに割り当て、実験期間を通じて同じ処置を与えた。媒体は滅菌水中5%のアカシアからなる。注射は、日々の各セッションの20〜30分前に皮下に投与した。
【0197】
この獲得作業では、第一日目に行なわれたエラー数と比較して、媒体処置された動物は一貫して顕著な迷路学習の顕著な習得を示したわけではなかった。我々は、迷路学習の獲得を促進する化合物では、その効果はしばしば訓練の第4日目まで観察されないということを見いだした。従って、結果は、処置郡全てにわたって第4日目のエラーの合計で構成されている。
【0198】
実施例C
細胞内カルシウムの機能的動員
ムスカリンのサブタイプ(M1−M5)を発現しているCHO細胞を、DMEM:F−12 (3:1),10%FBSnz,20mM HEPES,1%ペニシリン/ストレプトマイシン,250 μg/mL G418 (ギブコ社(GibcoBRL)#10131−027)中で単層で培養した。細胞をO/CO、95%/5%で維持し、3〜4日毎に継代培養した。細胞をアッセイに先立ち24時間前に50,000/ウェルの密度で蒔き、また48時間前に25,000/ウェル(100μL/ウェル)の密度で、コスター社(Costar)の壁が黒く底が透明な96穴プレート(コスター社(Costar)#3603)に蒔いた。その後細胞を、細胞質Ca2+の指示薬、フルオ(Fluo−3)(1mMフルオ(Fluo)は1:1で20%プルロニック酸(pluronic acid)と混合し、培地中の最終濃度5μMになるよう希釈、2.5mM、50μL/ウェルで追加)を含む最小必須培地で、5%COを含む環境において37℃で60分間インキュベートした。細胞を、フェノールレッドを含まないハンクス液(Hanks Balanced Salt Solution (HBSS))(1X)(ギブコBRL社(GibcoBRL)#14065−056)、20mM HEPES(シグマ社(Sigma)#P8761)、およびプロベネシド(2.5mM)(100X:1:100)を含む100μL/ウェルの洗浄バッファーで2回洗浄した。アッセイのために、100μLを各ウェルに加える(100μLの2X薬剤をFLIPRによって添加する)。プレートをラブシステム社(LabSystems)のマルチドロップを用いて3回洗浄し、残ったバッファーを除く。また、プレートをペーパータオル上で吸い取り、残りの化合物を除く。
【0199】
化合物を、2%ジメチルスルホキサイド,フェノールレッドを含まないHBSS(1X)(ギブコBRL社(GibcoBRL)#14065−056)、20mM HEPES(シグマ社(Sigma)#P8761)、およびプロベネシド(2.5mM)(100X:1:100)を含むアッセイバッファーにて2×(ウェル中の100μLのアッセイバッファーに100μLの薬剤を添加する)で調製した。
【0200】
プレートを次に蛍光画像プレートリーダーシステム装置(FLIPR、モレキュラーデヴァイス社、カリフォルニア州サニーヴェイル(Devices, Sunnyvale, CA))に置き、化合物添加前後の細胞の蛍光(λEX=488nm、λEM=540nm)をモニターした。
【0201】
同様に、M1アゴニストの選択性を、他のムスカリン性受容体サブタイプ(M2、M3、M4およびM5)にわたるスクリーニングによって評価した。また、構造的に類縁のGタンパク質共役型受容体(GPCR)の標的と同様に、多数のタンパク質標的に対しても、化合物のスクリーニングを行い、M1受容体の選択性を確認した。
【0202】
実施例D
機能的GTP結合
培養細胞:ヒトM1−M5受容体で形質移入されたCHO細胞を、懸濁培養か単層培養のいずれかで培養した。懸濁培養の細胞を、ローラーボトルで一定に撹拌しながら37℃、5%COで、5%のウシ胎児血清、トブラマイシン50μg/mL、20mMHEPESを追加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)/F−12(3:1)培養液を用いて培養した。単層培養は、T−225フラスコで37℃、5%COで、10%のウシ胎児血清、および100,000U/literのペニシリン/ストレプトマイシンを追加したダルベッコ変法イーグル培地を用いて培養させた。細胞を、密集度95%でトリプシンを含まない解離培養液を用いて集め、遠心で回収し、−80℃で保存した。ヒトのムスカリン性受容体を安定して発現している細胞は、米国国立衛生研究所(the National Institutes of Health)から入手した。
【0203】
膜の調製:細胞のぺレットを解凍し、20倍容量の20mMリン酸ナトリウムバッファーpH7.4に再懸濁し、ティシュマイザー(Tissuemizer)を用いて高速で30秒間、2回ホモジナイズした。ホモジネートは4℃にて200gで15分間遠心した。上清を取り除き、氷上に保存した。この手順を2回繰り返し、プールされた上清を4℃にて40,000gで15分間遠心した。膜は5mgタンパク質/mLで懸濁し、−80℃で保存した。図の説明文に別段の記載の無い限り、M1、M2、およびM4細胞の膜は、懸濁で培養された細胞から調製し、一方M3およびM5細胞の膜は単層で培養された細胞から調製した。受容体密度(pmol mg1膜タンパク質)は、M1−M5受容体についてそれぞれ9.3、0.7、0.6、0.9および4.8であった。
【0204】
オスのSDラット(Sprague−Dawley rat)の線条体組織を、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル、1mMジチオスレイトール、10%ショ糖を含む、10倍容量の10mM HEPESおよび1mM EGTA、pH7.4中で手でホモジナイズした。ホモジネートは、6倍に希釈し、4℃にて1000gで10分間遠心した。上清は取り置き、ぺレットは再度ホモジナイズし、上述のように遠心した。上清を合わせ、11,000gで20分間遠心した。その結果得られたぺレットを、1mMのジチオスレイトールおよび1mM MgClを含む40倍容量の10mM HEPES、1mM EGTA,pH7.4中でホモジナイズし、27,000gで20分間遠心した。その結果得られたぺレットを、1.5mg/mLのタンパク質濃度で同バッファーに懸濁、小分注して凍結し、−80℃で保存した。
【0205】
GTPγ35S結合:アッセイは、コスター社(Costar)の96穴プレート内で最終容量200μLのpH7.4の20mM HEPES、100mM NaCl、および5mM MgCl中で、25℃で行なった。適当な濃度のGDPを含む100μLの膜標品(細胞膜に対しては、ウェル当たりタンパク質25μg、脳の膜に対してはウェル当たり9−15μg)を加え、次いで50μLのバッファー±作動剤および拮抗剤の添加をテストし、次いで、アッセイ中の最終濃度がCHOの膜には200pM、脳の膜には500pMになるよう50μLのGTPγ35Sを加えた。CHOの膜には、M1、M3、およびM5受容体アッセイには0.1μM GDPを用い、一方、M2とM4のアッセイには1μM GDPを用いた。脳の膜には、抗Gαq/11と共に行なうアッセイには0.1μM GDPを用い、一方、抗Gαi(1−3)と抗Gαoを用いるアッセイには、50μM GDPを用いた。CHO細胞の膜は、作用剤、拮抗剤と共に25℃で30分間インキュベートし、次いでGTPγ35Sを添加、更に30分間インキュベートした。脳の膜を、作用剤、拮抗剤と共に25℃で20分間インキュベートし、次いでGTPγ35Sを添加、更に60分間インキュベートした。ラベリングの期間中に作用剤と拮抗剤が確実に平衡状態達するように、プレインキュベーションを行った。
【0206】
膜への総結合量を測定するため、懸濁された小麦胚芽凝集素(WGA)コーティングSPAビーズを加えた。15分後、プレートを1000gで15分間遠心し、放射活性がウォーラック社(Wallac)のプレートカウンターを用いて測定し。Gタンパク質特異的な結合を測定するため、35Sラベルされた膜を0.27%のノニデットP−40(Nonidet P−40)(全ての3.5mLのアッセイバッファーに、1.5mLの10%ノニデットP−40を含む20μl/ウェルの溶液)で30分間可溶化し、次いで、1/400から1/100の最終希釈倍率になるように望ましい抗体(10μL/ウェル)を加え、更に60分間インキュベートした。懸濁された抗IgG抗体コーティングSPAビーズをウェル当たり50μl加え、プレートを3時間インキュベートし、遠心して、上述のように放射活性を測定した。各ビンの小麦胚芽凝集素(WGA)コーティングSPAビーズを10mLのアッセイバッファーに懸濁し、各ビンの抗IgG抗体コーティングSPAビーズを20mLのアッセイバッファーに懸濁した。タンパク質は、BCA(bicinchoninic acid)法を用いて測定した。
【0207】
材料:35S−GTPγS(1000−1200Ci/mmol)、抗ウサギIgGおよび抗マウスIgGコーティングのSPAビーズ、小麦胚芽凝集素(WGA)コーティングSPAビーズは、アマシャム社(Amersham)(イリノイ州アーリントンハイツ(Arlington Heights, IL))から入手した。ウサギ抗Gαq/11抗体およびウサギ抗Gαi(1−3)抗体は、サンタクルーズバイオテクノロジー社(Santa Cruz Biotechnologies)(カリフォルニア州サンタクルーズ(Santa Cruz, CA))より入手。抗Gαoマウスモノクローナル抗体は、ケミコン社(Chemicon)(カリフォルニア州テメキュラ(Temecula, CA))オキソトレモリンMとピペラジンは、リサーチバイオケミカル社(Research Biochemicals Inc.)(マサチューセッツ州ナティック(Natick, MA))より入手した。11−{[2−((ジエチルアミノ)メチル)−1−ピペリジニル]アセチル}−5,11−ジヒドロ−6H−ピリド[2,3b][1,4]ベンゾジアゼピン−6−オン(AFDX 116)は、イーライリリー社(Eli Lilly)で合成された。完全プロテアーゼ阻害剤カクテルと10%ノニデットP−40は、ベーリンガーマンハイム社(Boehringer Mannheim)(インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis, IN))から入手した。
【0208】
M1アゴニストの選択性を、他のムスカリン性受容体サブタイプ(M2、M3、M4およびM5)にわたるスクリーニングによって評価した。また、構造的に類縁のGタンパク質共役型受容体(GPCR)の標的と同様に、多数のタンパク質標的に対しても、化合物のスクリーニングを行い、M1受容体の選択性を確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

の化合物であって、
式中、
Q、X、Y、およびZのうちの2つまでがNであり、Q、X、Y、およびZのうち少なくとも2つがCHである場合、または、YはCH、ZはCHであり、「Q=X」部分は「S」で示され、チオフェン環を形成する場合、Q、X、Y、およびZはCR1およびNからなる群から独立して選択され、
1は水素、ハロゲン、C−CアルコキシおよびC−Cアルキルからなる群から発現ごとに独立して選択され、
2はハロゲン;C−Cアルコキシ;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;シアノ;トリフルオロメチル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよいピリジニル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から選択される1つの置換基で置換されていてもよいチエニル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、およびシアノからなる群から独立して選択される1つから3つの置換基で置換されていてもよいフェニル;およびハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよいピロリルからなる群から選択され
3aは式
【化2】

で示される基であって
X’はC−Cアルカンジイルおよび
【化3】

からなる群から選択され、
Y’はOおよびSからなる群から選択され、ならびに
Z’はC−Cアルキル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、およびニトロからなる群から独立して選択される1つから3つの置換基で置換されていてもよいC−Cシクロアルキル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、シアノ、およびニトロからなる群から独立して選択される1つから3つの置換基で置換されていてもよいフェニル;ハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよいヘテロアリール;およびハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよいヘテロ環から選択され、
pは0または1であり、
qは0または1であって、
pが0の場合には、qは0であり、
3bは水素、C−Cアルキル、およびベンジルからなる群から選択され、
またはR3aおよびR3bはそれらが結合する窒素とともに、ハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で置換されていてもよいヘテロ環を形成し、
4は水素、ヒドロキシ、およびフルオロからなる群から選択され、
5は水素、ハロゲン、C−Cアルコキシ、およびC−Cアルキルからなる群から選択され、
mは1または2であり、
nは1または2である化合物、
あるいは医薬的に許容し得るその付加塩。
【請求項2】
5は水素、R4はヒドロキシ、mは1であり、次式
【化4】

に示す1位および2位にトランス立体化学を有する、請求項1の化合物。
【請求項3】
Q、X、Y、およびZがそれぞれCHである、請求項1および2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
Q、X、Y、およびZの1つがCFであり、その他がCHである、請求項1および2のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
QがCFであり、X、Y、およびZがそれぞれCHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
2が、ハロゲン、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、トリフルオロメチル、およびシアノからなる群から独立して選択される1つから3つの置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
2がフェニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
nが1である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1の化合物および医薬的に許容し得る希釈剤で構成される薬剤組成。
【請求項10】
ムスカリン性受容体に関連する障害の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に対して請求項1の化合物を有効量で投与することを含む、ムスカリン性受容体に関連する障害の治療方法。
【請求項11】
認知障害の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に対して請求項1の化合物を有効量で投与することを含む、認知障害の治療方法。
【請求項12】
アルツハイマー病の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に対して請求項1の化合物を有効量投与することを含む、アルツハイマー病の治療方法。
【請求項13】
統合失調症の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に対して請求項1の化合物を有効量投与することを含む、統合失調症の治療方法。
【請求項14】
軽度認知障害の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に対して請求項1の化合物を有効量投与することを含む、軽度認知障害の治療方法。
【請求項15】
統合失調症に関連する認知障害の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に対して請求項1の化合物を有効量で投与することを含む、統合失調症に関連する認知障害の治療方法。

【公表番号】特表2007−520440(P2007−520440A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518649(P2006−518649)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/019094
【国際公開番号】WO2005/009941
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】