説明

ムスカリン性M3受容体のリガンドとしてのピペリジニウムおよびピロリジニウム誘導体

塩形または双性イオン形の、式I
【化1】


〔式中、R、R、R、R、R、J、LおよびMは明細書で定義の意味を有する。〕の化合物は、ムスカリン性M3受容体が介在する状態の処置に有用である。該化合物を含む医薬組成物および該化合物の製造法も記載する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、有機化合物、それらの製造法および医薬としてのそれらの使用に関する。
【0002】
一つの局面において、本発明は、塩形または双性イオン形の式I
【化1】

〔式中、
およびRは、各々独立してC−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であり;
は水素、ヒドロキシ、または所望によりヒドロキシで置換されているC−C−アルキルであり;
LおよびMは各々(結合および−CH−CH−)、(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJはC−C−アルキレンであるか、
またはLおよびMは各々(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJは結合であり;
はC−C−アルキルであり;
は−SO−R、−S(=O)−R、−CO−R、−CO−O−R、−CO−NH−Rまたは−Rで置換されているC−アルキルであるか、
またはRは−O−R、−S−R、−SO−R、−S(=O)−R、−CO−R、−O−CO−R、−CO−O−R、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−Rまたは−Rで置換されているC−C10−アルキルであるか、
またはRは所望により−Rまたは−Rで置換されているC−C10−アルケニルまたはC−C10−アルキニルであり;
はC−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であるか、
またはRは所望によりC−C10−アルコキシ、−O−R、C−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基で置換されているC−C10−アルキルであり;
は窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であり;そして
はC−C15−炭素環式基である〕
の化合物を提供する。
【0003】
明細書中で使用する用語は下記の意味を有する:
“所望により置換されている”は、言及している基が記載のラジカルの1個または任意の組み合わせで1箇所またはそれ以上の位置を置換されていてよいことを意味する。
【0004】
本明細書で使用する“ハロ”または“ハロゲン”は、元素周期表の17族(以前はVII族)に属する元素を意味し、それは例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり得る。好ましくはハロまたはハロゲンはフッ素、塩素または臭素である。
【0005】
本明細書で使用する“C−C10−アルキル”は、1個から10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを意味する。好ましくは、C−C10−アルキルはC−C−アルキル、例えばC−C−アルキルである。
【0006】
本明細書で使用する“C−C10−アルキレン”は、1個から10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキレンを意味する。好ましくは、C−C10−アルキレンはC−C−アルキレンである。
【0007】
本明細書で使用する“C−C10−アルケニル”は、2個から10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルケニルを意味する。好ましくは、C−C10−アルケニルはC−C−アルケニルである。
【0008】
本明細書で使用する“C−C10−アルキニル”は、2個から10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキニルを意味する。好ましくは、C−C10−アルキニルはC−C−アルキニル、例えばC−C−アルキニルである。
【0009】
本明細書で使用する“C−C10−アルコキシ”は、1個から10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコキシを意味する。好ましくは、C−C10−アルコキシはC−C−アルコキシである。
【0010】
本明細書で使用する“C−C15−炭素環式基”は、3から15環炭素原子を有する炭素環式基、例えばC−C−シクロアルキル、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルのような環状脂肪族、またはフェニルのような芳香族性のいずれかの単環式基(これは、1個またはそれ以上、通常1個または2個のC−C−アルキル基で置換されていてよい)、またはインダニル、インデニルもしくはナフチルのような環状脂肪族または芳香族性であってよい、C−二環式、C−二環式またはC10−二環式基のような二環式基(また1個またはそれ以上、通常1個または2個のC−C−アルキル基で置換されていてよい)を意味する。好ましくはC−C15−炭素環式基はC−C10−炭素環式基、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、インダニルまたはナフチルである。フェニルがとりわけ好ましい。本C−C15−炭素環式基は置換されていても置換されていなくてもよい。好ましい置換基は、ハロ、例えば、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、C−C10−アルキル、C−C10−ハロアルキル、C−C10−アルコキシ、C−C10−アルキルカルボニル、C−C10−アルキルスルホニル、−SONH、−COO−C−C10−アリール、−COO−C−C15−アラルキル、C−C15−炭素環式基および窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基を含む。“C−C15−炭素環式基”は、最もとりわけ非置換フェニルである。
【0011】
本明細書で使用する“C−C−シクロアルキル”は、3から8炭素原子を有するシクロアルキルを意味する。好ましくは“C−C−シクロアルキル”は“C−C−シクロアルキル”である。
【0012】
本明細書で使用する“C−C10−ハロアルキル”は、1個またはそれ以上のハロゲン原子、好ましくは1個、2個または3個のハロゲン原子で置換された、前記で定義のC−C10−アルキルを意味する。好ましくは“C−C10−ハロアルキル”は“C−C−ハロアルキル”である。
【0013】
本明細書で使用する“C−C10−アルキルカルボニル”は、カルボニル基に結合した、前記で定義のC−C10−アルキルである。好ましくは“C−C10−アルキルカルボニル”は“C−C−アルキルカルボニル”である。
【0014】
本明細書で使用する“C−C10−アルキルスルホニル”は、−SO−に結合したC−C10−アルキルである。好ましくは“C−C10−アルキルスルホニル”は“C−C−アルキルスルホニル”である。
【0015】
“本明細書で使用する窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基”は、5から12環原子を有する、飽和または不飽和であってよい、モノヘテロ環式、ビヘテロ環式またはトリヘテロ環式基を意味する。モノヘテロ環式基は、フリル、ピロリル、ピロリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チエニル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペラジニル、モルホリニル、トリアジニル、オキサジニルまたはチアゾリルを含む。ビヘテロ環式基は、ベンザゾリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリルおよびベンゾチアゾリルを含む。好ましくは本5−から12−員ヘテロ環式基は5−から9−員ヘテロ環式基である。好ましい5−から9−員ヘテロ環式基は、フリル、ピロリル、トリアゾリル、チエニル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ベンザゾリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリルおよびベンゾチアゾリルを含むが、とりわけチエニルである。本5−から12−員ヘテロ環式基は、非置換であるか、または例えば、1個、2個、3個または4個の置換基で置換されていてよい。好ましい置換基は、所望によりアミノカルボニルで置換されているハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、C−C10−アルキル、C−C10−アルキルカルボニルおよびC−C10−アルコキシを含む。
【0016】
本明細書で使用する“アミノカルボニル”は、窒素原子を介してカルボニル基に結合しているアミノを意味する。
【0017】
本明細書で使用する“C−C10−アリール”は、6から10個の炭素原子を含み、例えば、フェニルのような単環式基またはナフチルのような二環式基であり得る、一価炭素環式芳香族性基を意味する。好ましくはC−C10−アリールはC−C−アリール、とりわけフェニルである。
【0018】
本明細書で使用する“C−C15−アラルキル”は、前記で定義のC−C10−アリールで置換されている、アルキル、例えば前記で定義のC−C−アルキルを意味する。好ましくはC−C15−アラルキルは、フェニル−C−C−アルキルのようなC−C10−アラルキルである。
【0019】
本明細書および特許請求の範囲を通して、文脈から他の解釈が必要でない限り、“含む”または“含み”または“包含する”などのその変形は、記載の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を含むが、すべての他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を排除するものではないことは理解されよう。
【0020】
好ましい化合物は、
およびRが各々独立してC−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であり;
がヒドロキシであり;
LおよびMが各々(結合および−CH−CH−)、(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJがC−C−アルキレンであるか、
またはLおよびMが各々(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJが結合であり;
がC−C−アルキルであり;
が−CO−Rまたは−CO−NH−Rで置換されているC−アルキルであるか、
またはRが−O−R、−S−R、−O−CO−Rまたは−Rで置換されているC−C10−アルキルであるか、
またはRが所望により−Rで置換されているC−C10−アルケニルまたはC−C10−アルキニルであり;
がC−C15−炭素環式基であるか、
またはRが所望によりC−C10−アルコキシ、O−RまたはC−C15−炭素環式基で置換されているC−C10−アルキルであり;そして
がC−C15−炭素環式基である、
塩形または双性イオン形の、式Iの化合物を含む。
【0021】
とりわけ好ましい化合物は、
およびRが、各々独立してC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニル、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する5−から9−員ヘテロ環式基、好ましくはチエニルであり;
がヒドロキシであり;
LおよびMが各々(結合および−CH−CH−)、(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJがC−C−アルキレンであるか、
またはLおよびMが各々(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJが結合であり;
がC−C−アルキルであり;
が−CO−Rまたは−CO−NH−Rで置換されているC−アルキルであるか、
またはRが−O−R、−S−R、−O−CO−Rまたは−Rで置換されているC−C−アルキルであるか、
またはRが所望により−Rで置換されているC−C−アルケニルまたはC−C−アルキニルであり;
がC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルであるか、
またはRが所望によりC−C−アルコキシ、O−RまたはC−C10−炭素環式基で置換されているC−C15−アルキルであり;そして
がC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルである、
塩形または双性イオン形の、式Iの化合物を含む。
【0022】
第2の局面において、本発明は、塩形または双性イオン形の、式Ia
【化2】

〔式中、
およびRは、各々独立してC−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であり;
は水素、ヒドロキシ、または所望によりヒドロキシで置換されているC−C−アルキルであり;
JおよびKは両方とも独立してC−C−アルキレンであるか、
またはJおよびKの一方は結合であり、他方はC−C−アルキレンであり;
LはC−C−アルキレンであり;
はC−C−アルキルであり;
は−OR、−O−CO−Rまたは−CO−O−Rで置換されているC−C−アルキルであり;そして
はC−C−アルキル、C−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基である。〕
の化合物を提供する。
【0023】
好ましい化合物はまた
およびRが、各々独立してC−C15−炭素環式基であり;
がヒドロキシであり;
Jが結合であり;
KがC−C−アルキレンであり;
LがC−C−アルキレンであり;
がC−C−アルキルであり;
が−ORで置換されているC−C−アルキルであり;そして
がC−C15−炭素環式基である、
塩形または双性イオン形の、式Iaの化合物を含む。
【0024】
とりわけ好ましい化合物はまた、
およびRが、各々独立してC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルであり;
がヒドロキシであり;
Jが結合であり;
KがC−C−アルキレンであり;
LがC−C−アルキレンであり;
がメチルであり;
が−ORで置換されているC−C−アルキルであり;そして
がC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルである、
塩形または双性イオン形の、式Iaの化合物を含む。
【0025】
式Iの化合物は、4級アンモニウム塩である。適当な対イオンは、例えば、フルオリド、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、ニトレート、スルフェート、ホスフェート、ホルメート、アセテート、トリフルオロアセテート、プロピオネート、ブチレート、ラクテート、シトレート、テートレート、マレート、マレエート、スクシネート、ベンゾエート、p−クロロベンゾエート、ジフェニル−アセテートまたはトリフェニルアセテート、o−ヒドロキシベンゾエート、p−ヒドロキシベンゾエート、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキシレート、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキシレート、メタンスルホネートおよびベンゼンスルホネートを含む、薬学的に許容される対イオンである。
【0026】
塩基性中心を含む式Iの化合物は、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩を形成できる。式Iの化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素酸のようなハロゲン化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸;および有機酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸および酪酸のような脂肪族モノカルボン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸またはリンゴ酸のような脂肪族ヒドロキシ酸、マレイン酸またはコハク酸のようなジカルボン酸、安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸またはトリフェニル酢酸のような芳香族性カルボン酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸または3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸のような芳香族性ヒドロキシ酸、およびメタンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸のようなスルホン酸のものを含む。これらの塩は、式Iの化合物から、既知の塩形成法により製造できる。
【0027】
酸性、例えば、カルボキシル基を含む式Iの化合物は、塩基と、特に当分野で既知のもののような薬学的に許容される塩基と塩を形成できる;適当なこのような塩基は、金属塩、特にナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、またはアンモニアまたはエタノールアミン、ベンジルアミンもしくはピリジンのような薬学的に許容される有機アミンまたはヘテロ環式塩基との塩を含む。これらの塩は、式Iの化合物から、既知の塩形成法により製造できる。
【0028】
1個またはそれ以上のキラル中心が存在するこれらの化合物において、本化合物は、個々の光学活性異性体形としてまたはそれらの混合物として、例えば、ラセミ体またはジアステレオマー混合物として存在する。例えばJで示される部分が結合している環炭素原子でキラル中心を作るとき、4級窒素原子はまたキラル中心となり、故に4つの可能なジアステレオ異性体が存在する。本発明は個々の光学活性RおよびS異性体ならびにその混合物、例えば、ラセミ体もしくはジアステレオマー混合物の両方を包含する。特に好ましい本発明の化合物は、単一エナンチオマーまたは単一ジアステレオマーのいずれかの単一異性体である。驚くべきことに、これらの単一異性体は選択すべき混合物の最も強力な成分を可能にし、驚くべきことにM3受容体において改善された滞在時間を提供でき、故に、特に1日1回投与に適した、長い作用時間の薬剤を送達する。
【0029】
特にとりわけ好ましい本発明の化合物は、下記実施例に記載のものである。
【0030】
本発明はまた式Iの化合物を製造する方法であり:
(i)(A)式II
【化3】

〔式中、R、R、R、R、J、LおよびMは上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその被保護形と、式III
【化4】

〔式中有、Rは上記で定義の通り、そしてXはクロロ、ブロモまたはヨードである。〕の化合物を反応させ;
(B)式IV
【化5】

〔式中、R、R、R、R、J、LおよびMは上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその被保護形と、式V
【化6】

〔式中、Rは上記で定義の通り、そしてXはクロロ、ブロモまたはヨードである。〕
の化合物を反応させ;
(C)Rが−Q−NH−CO−Rである式Iの化合物を製造するために、式VI
【化7】

〔式中、R、R、R、R、J、LおよびMは上記で定義の通りであり、そしてQはC−C10−アルキレンである。〕
の化合物またはその被保護形と、式VII
【化8】

〔式中、Rは上記で定義の通りである。〕
の化合物またはそのアミド形成誘導体を反応させるか;または
(D)Rがカルボキシで置換されているC−C15−炭素環式基で置換されているC−C10−アルキルである式Iの化合物の製造のために、R、R、R、R、J、LおよびMが上記で定義の通りであり、そしてRが−COO−C−C10−アリールまたは−COO−C−C15−アラルキルのいずれかで置換されているC−C15−炭素環式基により置換されているC−C10−アルキルである式Iの化合物を変換し;そして
(ii)塩または双性イオン形の産物を回収する
ことを含む、方法も提供する。
【0031】
方法(A)は、飽和ヘテロ環式アミンとハロゲニドの反応に関して既知の方法を使用して、または実施例に後記のものに準じて行い得る。反応は、簡便には有機溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジメチル−ホルムアミド、エーテル、アセトニトリルまたはアセトン中で行う。反応は、20℃から120℃、簡便には室温から80℃の間の温度で行う。
【0032】
方法(B)は、飽和ヘテロ環式アミンとハロゲニドの反応に関して既知の方法を使用して、または実施例に後記のものに準じて行い得る。反応は、簡便には有機溶媒、例えばジメチルスルホキシド、ジメチル−ホルムアミド、エーテル、アセトニトリルまたはアセトン中で行う。反応は、20℃から120℃、簡便には室温から80℃の間の温度で行う。
【0033】
方法(C)は、カルボン酸(または酸ハライド誘導体のようなそのアミド−形成誘導体)とアミンの反応に関して既知の方法を使用して、または例えば実施例に後記のものに準じて行い得る。本反応は、簡便にはカルボン酸とアミンを、有機溶媒、例えばジメチルホルムアミドを使用して、1個またはそれ以上カップリング剤、例えばO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3−,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスフェート(HATU)、および塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在下に反応させることにより行う。適当な反応温度は10℃から40℃、例えば室温である。
【0034】
方法(D)は、対応するカルボン酸を形成させるためのエステルの変換に関して既知の方法を使用して、または実施例に後記のものに準じて行い得る。反応は、簡便には、例えば、ジメチルホルムアミドのような有機溶媒中の、例えば、パラジウム炭素10%での接触水素化により行い得る。反応は、簡便には室温で行う。
【0035】
式IIの化合物が単一エナンチオマーであるかまたはアキラルであるとき、式Iの化合物を得るための3級アミンのアルキル化は、2個のジアステレオ異性体の混合物をもたらす。これらの異性体は、慣用法で、例えば、分別結晶またはカラムクロマトグラフィーにより、分離し得る。
【0036】
式IIの化合物は個々の光学活性異性体形またはそれらの混合物として、例えば、ラセミ体またはジアステレオマー混合物として存在し得る。好ましい式IIの化合物は、式IIaまたはIIb
【化9】

〔式中、R、R、R、R、J、LおよびMは上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその被保護形である。
【0037】
式IIの化合物は、既知であるか、または式VIII
【化10】

〔式中、R、RおよびRは上記で定義の通りであり、そしてRはC−C−アルキルである。〕
の化合物またはその被保護形と、式IX
【化11】

〔式中、R、J、LおよびMは各々上記で定義の通りである。〕
の化合物の反応により製造できる。本反応は、カルボン酸エステルとアルコールの反応に関して既知の方法を使用して、または実施例に後記のものに準じて行い得る。本反応は、簡便には有機溶媒、例えばシクロヘキサンまたはトルエン中、好ましくはアルカリ金属、例えばナトリウムの存在下、アルゴンのような不活性雰囲気下に行う。反応は、40℃から120℃の間の温度で行い得るが、好ましくは還流条件下である。
【0038】
がヒドロキシルである式IIの化合物は、式X
【化12】

〔式中、R、R、J、LおよびMは上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその被保護形と、式XI
【化13】

〔式中、Rは上記で定義の通りであり、そしてXはクロロ、ブロモまたはヨードである。〕
の化合物の反応により製造できる。
【0039】
式IIIの化合物は既知であるか、または既知の方法にしたがい、または実施例に後記のものに準じて製造できる。
【0040】
式IVの化合物は、個々の光学活性異性体形またはそれらの混合物として、例えば、ラセミ体またはジアステレオマー混合物として存在し得る。好ましい式IVの化合物は、式IVaまたはIVb
【化14】

〔式中、R、R、R、R、J、LおよびMは各々上記で定義の通りである。〕
の化合物またはその被保護形である。
【0041】
式IVの化合物は、R、RおよびRが上記で定義の通りであり、そしてRがC−C−アルキルである式VIIIまたはその被保護形の化合物と、式XII
【化15】

〔式中、R、J、LおよびMは各々上記で定義の通りである。〕
の化合物の反応により、製造できる。反応は、カルボン酸エステルとアルコールの反応に関して既知の方法を使用して、または実施例に後記のものに準じて行い得る。反応は、簡便には有機溶媒、例えばシクロヘキサンまたはトルエン中、好ましくはアルカリ金属、例えば、ナトリウムの存在下、アルゴンのような不活性雰囲気下で行う。反応は、40℃から120℃の間の温度で行い得るが、好ましくは還流条件下である。
【0042】
式Vの化合物は既知であるか、または既知の方法にしたがい、または実施例に後記のものに準じて製造できる。
【0043】
式VIの化合物は新規であり、R、R、R、R、J、MおよびLが上記で定義の通りである式IIの化合物と、式XIII
【化16】

〔式中、Xはクロロ、ブロモまたはヨードであり、QはC−C10−アルキレンであり、そしてWは保護基である。〕
の化合物の反応により製造できる。この反応は、ヘテロ環式アミンとハロアルキルアミンの反応に関して既知の方法を使用して、または実施例に後記のものに準じて行い得る。反応は、簡便には有機溶媒、例えばジメチルホルムアミド中で行う。反応は、40℃から80℃、好ましくは50℃から70℃の間の温度で行うが、とりわけ約60℃である。保護基は、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基である。
【0044】
式VIIまたはVIIIの化合物は既知であるか、または既知の方法にしたがい、または実施例に後記のものに準じて製造できる。
【0045】
式IXおよびXIIの化合物は既知であるか、または対応する2級アミンをアルアルキル化することにより製造できる。例えばRがメチルである式IXの化合物は、式XIV
【化17】

〔式中、J、LおよびMは上記で定義の通りである。〕
の化合物とホルムアルデヒドを、ギ酸の存在下で反応させることにより製造できる。反応は、簡便には溶媒、例えば水中、40℃から120℃の温度で、しかし好ましくは約80℃で行う。あるいは、式Xの化合物は、J、LおよびMが上記で定義の通りである式XIIの化合物と、Rが上記で定義の通りであり、そしてXがクロロ、ブロモまたはヨードである式IIIの化合物の反応により、製造できる。反応は、簡便には有機溶媒、例えばアセトニトリル中、40℃から120℃の温度で、しかし好ましくは還流下、塩基、例えば炭酸カリウムの存在下で行う。
【0046】
式Xの化合物は、R、J、LおよびMが上記で定義の通りである式IXの化合物と、式XV
【化18】

〔式中、Rは上記で定義の通りであり、そしてXはクロロ、ブロモまたはヨードである。〕
の化合物の反応により、製造できる。
【0047】
式XI、XIII、XIVまたはXVの化合物は既知であるか、または既知の方法にしたがい、または実施例に後記のものに準じて製造できる。
【0048】
保護された官能基または保護基に関して言及しているとき、該保護基は官能基の性質にしたがって、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, John Wiley & Sons Inc, Third Edition, 1999に記載の通り選択でき、本文献はまた保護基の水素での置換に適した方法も記載する。
【0049】
式Iの化合物は4級アンモニウム塩であり、イオン交換クロマトグラフィーを使用して異なる塩の間で変換し得る。本化合物は水和物または結晶化に使用した溶媒を含む溶媒和物の形で得ることができる。補式Iの化合物は反応混合物から回収でき、既知の方法を使用して精製できる。式Iの化合物は、最初はジアステレオマー混合物として単離するが、ほとんどの場合、それらは好ましくは本発明の組成物中、単一エナンチオマーまたはジアステレオ異性体として使用される。
【0050】
薬学的に許容される塩または双性イオンの形の式Iの化合物(以後、代替的に本発明の薬剤と呼ぶ)は、医薬として有用である。したがって、本発明はまた医薬として使用するための、薬学的に許容される塩または双性イオンの形の式Iの化合物も提供する。本発明の薬剤は、ムスカリン性アンタゴニスト、特にムスカリン性M3受容体アンタゴニストとして作用し、故に気管支収縮の阻害剤として作用する。
【0051】
本発明の薬剤のヒトムスカリン性アセチルコリンM3受容体での親和性(Ki)は、放射標識アンタゴニスト[H]n−メチルスコポラミンメチルクロライド(NMS)との競合的フィルトレーション結合アッセイにおいて決定できる:
【0052】
ヒトM3受容体を安定にトランスフェクトしたCHO細胞からの膜を10μgタンパク質/ウェルで調製し、次いで本発明の薬剤の連続希釈、Kd濃度(0.25nM)の[H]NMSおよびアッセイ緩衝液(20mmol HEPES、1mmol MgCl、pH7.4)と17時間、室温でインキュベートする。アッセイを、250μL最終容量で、最終ジメチルスルホキシド濃度1%の存在下で行う。[H]NMSの総結合を、本発明の薬剤の非存在下、対応する量を置き換えたアッセイ緩衝液により決定する。[H]NMSの非特異的結合を、300nM 臭化イプラトロピウムの存在下で決定する。インキュベーション時間後、膜を0.05%ポリエチレンイミン含有UnifilterTM GF/Bフィルター・プレートに、BrandelTM filtration harvester 9600を使用して回収する。フィルター・プレートを2時間、35℃で乾燥させ、その後MicroscintTM‘O’カクテルを添加し、Packard TopcountTMシンチレーターで、H−シンチレーションプロトコールを使用して読む。すべてのIC50を、XL-Fitグラフパッケージを利用して計算し、K値を、Cheng-Prusoff補正(Cheng Y., Prusoff W. H. (1973) Biochem. Pharmacol. 22 3099-3109)を使用して導く。
【0053】
下記実施例の化合物は、上記アッセイで1μM以下のIC50値を有する。例えば、実施例1a、1b、2、13、25、29、46b、47b、49、63、88、95、96aおよび97bの化合物は、各々1.4、1.3、2.14、0.39、3.7、0.41、0.64、0.55、0.68、0.33、0.88、0.44、0.2および0.75nMのM3 K値を有する。
【0054】
そのアセチルコリンのM3ムスカリン性受容体への結合の阻害を考慮して、本発明の薬剤は、ムスカリン性M3受容体が介在する状態、特に、例えば、過剰な腺分泌または平滑筋収縮に至る上昇した副交感神経緊張が関連する状態の処置に有用である。本発明の処置は、対症的または予防的であり得る。
【0055】
それらの抗ムスカリン性活性を考慮して、本発明の薬剤は、気管支平滑筋の弛緩および気管支収縮の軽減に有用である。気管支収縮の軽減は、Chong et al, J. Pharmacol. Toxicol. Methods 1998, 39, 163, Hammelmann et al, Am. J. Respir. Crit. Care Med., 1997, 156, 766のインビボプレチスモグラフィー・モデルおよび類似のモデルのようなモデルにおいて測定できる。本発明の薬剤は、したがって、閉塞性または炎症性気道疾患の処置に有用である。長時間の作用の観点から、本発明の薬剤はこのような疾患の処置において1日1回の投与が可能である。他の局面において、本発明の薬剤は、頻脈、振戦および不穏のようなβアゴニストで一般的に遭遇する副作用の発生が低い特徴を示し、このような薬剤は、したがって、閉塞性または炎症性気道疾患の必要時(軽減)処置ならびに予防的処置の使用に適している。
【0056】
本発明を適用できる炎症性または閉塞性気道疾患は内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方を含む、どんなタイプまたは原因であれ喘息を含む。喘息の処置は、主要な医学的関心事の確立された患者範疇であり、現在、初期喘息患者または早期喘息患者としてしばしば同定されている“ゼーゼー言う幼児”と診断されたまたは診断可能な、喘鳴症状を示す、例えば、4歳または5歳より小さい対象の処置を包含すると理解されるべきである。(簡便のために、この特定の喘息状態を、“ゼーゼー言う幼児症候群”と呼ぶ。)
【0057】
喘息の処置における予防的効果は、例えば、急性喘息用発作または気管支収縮を伴う発作のような症候的発作の頻度または重症度の減少、肺機能の改善または気道過敏性の改善により明らかである。これは、さらに他の対症的治療、すなわち、発作が起きた場合に症候的発作を限定するまたは途中で止めるためのまたはこれを意図した、例えば抗炎症性(例えば、副腎皮質ステロイド)または気管支拡張性治療の必要性の減少により明らかとなり得る。喘息における予防的利点は、特に、“早朝悪化(morning dipping)”の傾向のある対象で明らかであり得る。“早朝悪化”は喘息患者のかなりの割合に共通し、午前4時から6時の間、すなわち、通常対症的喘息治療の前回の投与から一番遠い時間の喘息の発作により特徴付けられる認識されている喘息の症候群である。
【0058】
本発明が適用できる他の炎症性または閉塞性気道疾患および状態は、成人/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性気管支炎もしくはそれに附随する呼吸困難を含む慢性閉塞性肺または気道疾患(COPDまたはCOAD)、気腫、ならびに他の薬物治療、特に他の吸入薬治療の結果の気道過敏症の悪化を含む。本発明はまた、例えば急性、アラキジン性(arachidic)、カタル性、クループ性、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含む、どんなタイプまたは原因であれ気管支炎の処置にも適用できる。本発明を適用できるさらなる炎症性または閉塞性気道疾患は、例えば、アルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿肺症、石肺症、嚢胞性線維症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症および綿肺症を含む、どんなタイプまたは原因であれ塵肺(しばしば気道の閉塞を伴い、慢性または急性であり、しばしば粉塵の繰り返し吸引により起こる、肺の炎症性の、一般に職業的な疾患)を含む。
【0059】
それらの有用な抗ムスカリン性活性を考慮して、本発明の薬剤はまた子宮、膀胱または血管系の平滑筋の弛緩が必要な状態の処置にも有用である。それらはしたがって妊娠時の早産陣痛(premature labour pains)の予防または軽減に有用である。それらはまた慢性および急性蕁麻疹、乾癬、アレルギー性結膜炎、ざ瘡疹(actinitis)、アレルギー性鼻炎を含む鼻炎、肥満細胞症、尿失禁(特に過活動膀胱が原因のもの)、頻尿、神経因性膀胱または不安定膀胱、膀胱痙攣(cytospasm)および慢性膀胱炎のような泌尿器障害;過敏性大腸症候群、痙攣性結腸炎(spastic colitis)、憩室炎および消化性潰瘍のような消化管障害;および迷走神経誘発洞性徐脈のような心臓血管障害の処置、ならびに眼科的介入に有用である。
【0060】
本発明の薬剤は、抗炎症、気管支拡張、抗ヒスタミン、鬱血除去または鎮咳剤物質のような他の医薬物質との組み合わせの使用のための併用剤として、特に前記のような閉塞性または炎症性気道疾患の処置に、例えばこのような薬剤の増強剤としてまたはこのような薬剤の必要量または可能性のある副作用を減少させる手段として、有用である。本発明の薬剤は、1個またはそれ以上の他の医薬物質と、固定された組成物中に混合されるか、または、他の医薬物質(複数もある)と別々に、前に、同時に、または後に投与してよい。したがって、本発明は、前記の本発明の化合物と、抗炎症性、気管支拡張、抗ヒスタミン、鬱血除去または鎮咳剤物質の組み合わせを含み、該本発明の薬剤と該医薬物質は同じまたは異なる医薬組成物中に存在する。
【0061】
このような抗炎症剤は、ステロイド、例えばブデソニド、ベクラメタゾン、フルチカゾン、シクレソニドまたはモメタゾンのようなグルココルチコステロイド、またはWO02/88167、WO02/12266、WO02/100879またはWO02/00679に記載のステロイド、とりわけ実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101のもの、およびWO00/00531、WO02/10143、WO03/082280、WO03/082787、WO03/104195、WO04/005229に記載のような非ステロイド性ステロイドアゴニスト;US5451700に記載のもののようなLTB4アンタゴニスト、またLY293111、CGS025019C、CP-195543、SC-53228、BIIL 284、ONO 4057、SB 209247;モンテルカストおよびザフィルカストのようなLTD4アンタゴニスト;シルモラスト(Ariflo(登録商標) GlaxoSmithKline)、Roflumilast(Byk Gulden)、V-11294A(Napp)、BAY19-8004(Bayer)、SCH-351591(Schering-Plough)、Arofylline(Almirall Prodesfarma)、PD189659(Parke-Davis)、AWD-12-281(Asta Medica)、CDC-801(Celgene)、SelCID(TM) CC-10004(Celgene)、KW-4490(Kyowa Hakko Kogyo)、WO03/104204、WO03/104205、WO04/000814、WO04/000839およびWO04005258(Merck)、ならびにWO98/18796およびWO03/39544に記載のもののようなPDE4阻害剤;EP1052264、EP1241176、EP409595A2、WO94/17090、WO96/02543、WO96/02553、WO98/28319、WO99/24449、WO99/24450、WO99/24451、WO99/38877、WO99/41267、WO99/67263、WO99/67264、WO99/67265、WO99/67266、WO00/23457、WO00/77018、WO00/78774、WO01/23399、WO01/27130、WO01/27131、WO01/60835、WO01/94368、WO02/00676、WO02/22630、WO02/96462およびWO03/086408に記載のようなA2aアゴニスト;およびWO02/42298に記載のようなA2bアンタゴニストを含む。
【0062】
本発明の薬剤は、ケモカイン受容体アンタゴニスト、カルシウムチャネルブロッカー、アルファ−アドレノセプターアンタゴニスト、ドーパミンアゴニスト、エンドセリンアンタゴニスト、サブスタンスPアンタゴニスト、5−LO阻害剤、VLA−4アンタゴニストおよびテオフィリンとの組み合わせ治療に有用である。
【0063】
本発明の薬剤はまた特にベータ−2アドレノセプターアゴニストまたはコルチコステロイドとの組み合わせ使用のための併用剤として有用である。適当なベータ−2アドレノセプターアゴニストは、サルブタモール、テルブタリン、サロメテロールおよび、とりわけ、ホルモテロールおよびそれらの薬学的に許容される塩、および、その文献の内容を本明細書に引用して包含するWO0075114の式Iの化合物(遊離形または塩もしくは溶媒和形の)、好ましくはその実施例の化合物、とりわけ式
【化19】

の化合物およびその薬学的に許容される塩、ならびに、WO04/16601の式Iの化合物(遊離形または塩もしくは溶媒和形の)、好ましくは実施例1、3、4、5および79の化合物を含む。
【0064】
併用抗ヒスタミン剤物質は、塩酸セチリジン、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラチジン、デスロラチジン、ジフェンヒドラミンおよび塩酸フェキソフェナジン、アクチバクシン(activastine)、アステミゾール、アゼラスチン、エバスタチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテフェナジンを含む。
【0065】
本発明の薬剤と1個またはそれ以上のベータ−2アドレノセプターアゴニスト、ステロイド、PDE4阻害剤、A2aアゴニスト、A2bアンタゴニストおよびLTD4アンタゴニストの組み合わせは、例えば、喘息および特にCOPDを含む気道疾患の処置に使用できる。好ましい3種の組み合わせは、本発明の薬剤、ベータ−2アドレノセプターアゴニストおよびステロイドを含む。
【0066】
前記によって、本発明はまた必要とする対象、特にヒト対象に、前記の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む、閉塞性または炎症性気道疾患を処置する方法を提供する。他の局面において、本発明は、閉塞性または炎症性気道疾患の処置用医薬の製造に使用するための、前記の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0067】
本発明の薬剤は、任意の適当な経路で、例えば、経口で、例えば錠剤またはカプセルの形で;非経腸、例えば静脈内に;例えば乾癬の処置において皮膚に局所的に;例えば枯草熱の処置において、経鼻で;または、好ましくは、特に閉塞性または炎症性気道疾患の処置において、吸入で投与できる。特に、本発明の薬剤は、COPDおよび喘息の処置のために吸入用製剤として送達できる。
【0068】
さらなる局面において、本発明は、遊離形またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の式Iの化合物を、所望により薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物を提供する。このような組成物は、慣用の希釈剤または賦形剤および製剤分野(galenic art)で既知の技術を使用して、製造できる。故に、経口投与形は、錠剤およびカプセルを含む。局所投与用組成物は、クリーム、軟膏、ゲルまたは経皮送達システム、例えばパッチの形を取り得る。吸入用組成物は、エアロゾルまたは他の噴霧可能な製剤もしくは乾燥粉末製剤を含み得る。
【0069】
組成物がエアロゾル製剤を含むとき、それは、好ましくは、例えば、HFA134aまたはHFA227またはこれらの混合物のようなヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)高圧ガスを含み、そして、当分野で既知のエタノール(20重量%まで)のような1個またはそれ以上の共溶媒、および/またはオレイン酸またはソルビタントリオレエートのような1個またはそれ以上の界面活性剤、および/またはラクトースのような1個またはそれ以上の増量剤を含み得る。組成物が乾燥粉末製剤を含むとき、それは、好ましくは、例えば、10ミクロンまでの粒子直径の式Iの化合物を、所望により、所望の粒子サイズ分布のラクトースのような希釈剤または担体および湿気による製品の性能悪化を保護することを助ける化合物、例えば、ステアリン酸マグネシウムと共に含む。組成物が噴霧可能製剤を含むとき、それは、好ましくは、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコールのような共溶媒および界面活性剤であり得る安定化剤を含む媒体中に、溶解または懸濁した、式Iの化合物を含む。
【0070】
本発明はまた(A)吸入可能な形の遊離形、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の式Iの化合物;(B)吸入可能な形のこのような化合物を、吸入可能な形の薬学的に許容される担体と共に含む医薬;(C)吸入可能な形のこのような化合物を、吸入器と共に含む医薬製品;および(D)吸入可能な形のこのような化合物を含む吸入器を含む。
【0071】
本発明の実施に際して用いる本発明の薬剤の用量は、例えば、処置すべき状態、所望の効果および投与の形態などに依存してもちろん変化するであろう。一般に、吸入による投与のための適当な一日量は、0.0001から30mg/kg、典型的に0.01から10mg/患者であり、一方、経口投与では適当な一日量は0.01から100mg/kgの程度である。
【0072】
本発明を下記実施例により説明する。
【0073】
実施例
これらの実施例のすべての化合物は、最初4級窒素原子でのジアステレオ異性体の混合物として単離する。個々のジアステレオ異性体を本実施例において示す場合、それはこのような混合物の分別結晶により単離される。これらの単一異性体の立体化学は、nmrおよび/またはx線結晶学により決定する。
【0074】
とりわけ好ましい式Iの化合物は、式XVI
【化20】

〔式中、Tは下記表1に示す通りである。〕
を含み、その製造法を以下に示す。すべての化合物は4級アンモニウム塩である。表はまたマススペクトルデータを示す。適切な対イオンが関連する製造法において同定される。
【0075】
【表1】

【0076】
さらにとりわけ好ましい式Iの化合物は、Tが下記表2および3に示す通りである式XVIの化合物であり、その製造法を以下に示す。すべての化合物は4級アンモニウム塩である。表はまたマススペクトルデータを示す。適切な対イオンが関連する製造法において同定される。
【0077】
【表2】

【表3】

【表4】

【0078】
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【0079】
またさらにとりわけ好ましい式Iの化合物は、式XVII
【化21】

〔式中、Tは下記表4および5に示す通りである。〕
の化合物を含み、その製造法を以下に示す。すべての化合物は4級アンモニウム塩である。表はまたマススペクトルデータを示す。適切な対イオンが関連する製造法において同定される。
【0080】
【表9】

【表10】

【0081】
【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【0082】
中間体化合物の製造
使用する略語は下記の通りである:DCMはジクロロメタン、DMFはジメチルホルムアミド、そしてDMSOはジメチルスルホキシドおよびTHFはテトラヒドロフランである。
【0083】
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸−1−メチル−ピペリジン−4−イル−エステル
この化合物は、米国特許明細書US3252981に記載の方法を使用して製造する。
【0084】
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルメチルエステル
(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−メタノール(2.58g、20mmol)およびヒドロキシ−ジフェニル−酢酸メチルエステル(9.69g、40mmol)をトルエン(65ml)に懸濁する。モレキュラー・シーブ4A(1g)を添加し、混合物を室温で10分撹拌する。ナトリウム(0.08g)を添加し、反応混合物を80℃で3時間撹拌する。さらにナトリウム(0.1g)を次いで添加し、加熱を80℃で18時間維持する。反応混合物を室温に冷却し、固体を濾取し、酢酸エチルで洗浄する。濾液を1回飽和水性NaHCO溶液(50ml)でおよび2回水性HCl 1M(各25ml)で洗浄する。合わせた酸性水性層を飽和水性NaHCO溶液および固体NaHCOで塩基性化し、得られた沈殿を濾過により除去し、真空下で乾燥させて表題生成物を白色固体として得る(M+H):340.09。
【0085】
ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルエステル
a)オキソ−チオフェン−2−イル−アセチルクロライド:
DCM(80ml)中に懸濁し、5℃に冷却したオキソ−チオフェン−2−イル−酢酸(8g、51.2mmol)の溶液に、塩化オキサリル(5.3ml、61.5mmol)、続いてDMF(0.1ml)を添加する。撹拌を1時間、5℃および18時間、室温で続ける。反応混合物を蒸発乾固し、トルエンを次いで添加し、混合物をもう1回蒸発させて表題化合物を濃色油状物として得る。
【0086】
b)オキソ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルエステル:
0から5℃のオキソ−チオフェン−2−イル−アセチルクロライド(29mmol)のクロロホルム(60ml)溶液に、1−メチル−ピペリジン−4−オール(5.87g、29mmol)のクロロホルム(60ml)溶液を、撹拌しながら滴下する。得られた混合物を2時間、室温で撹拌する。10%炭酸カリウム溶液、水(×2)、硫酸マグネシウムでの乾燥、濾過および蒸発により表題化合物を得る。
【0087】
c)ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルエステル:
2−ブロモチオフェン(3.2ml、33mmol)のTHF(30ml)溶液を、マグネシウム(0.8g、33mmol)およびヨウ素1結晶の混合物のTHF(30ml)溶液に滴下する。2−ブロモチオフェンのちょうど半分を添加した後、添加を反応が開始するまで(発熱により判断)やめる。次いで、添加を、40℃以下の反応温度を維持しながら完了させる。添加が完了した後、反応混合物を70℃で1時間加熱する。この混合物を次いで冷却し、オキソ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルエステル(6.48g、25.6mmol)のTHF(80ml)溶液に添加する。添加が完了した後、反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで2時間加熱還流する。室温に冷却後、飽和水性塩化アンモニウム溶液(100ml)を添加する。この溶液をジエチルエーテルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。フラッシュシリカカラムクロマトグラフィーでの精製により、表題生成物を得る。
【0088】
ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルメチルエステル
a)オキソ−チオフェン−2−イル−アセチルクロライド:
DCM(80ml)に懸濁し、5℃に冷却したオキソ−チオフェン−2−イル−酢酸(8g、51.2mmol)の溶液に、塩化オキサリル(5.3ml、61.5mmol)、続いてDMF(0.1ml)を添加する。撹拌を1時間、5℃および18時間、室温で続ける。反応混合物を蒸発乾固し、トルエンを次いで添加し、混合物をもう1回蒸発させて表題化合物を濃色油状物として得る。
【0089】
b)オキソ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルメチルエステル:
0から5℃で、オキソ−チオフェン−2−イル−アセチルクロライド(31.5mmol)のクロロホルム(60ml)溶液に、(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−メタノール(4.07g、31.5mmol)のクロロホルム(60ml)溶液を、温度を5℃以下に維持しながら滴下する。得られた混合物を2時間、室温で撹拌する。10%炭酸カリウム溶液、水での洗浄次いで、硫酸マグネシウムでの乾燥、濾過および蒸発により表題化合物を得る。
【0090】
c)ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルメチルエステル:
2−ブロモチオフェン(2.15ml、22.2mmol)のTHF(15ml)溶液を、マグネシウム(0.54g、22.2mmol)およびヨウ素1結晶の混合物のTHF(15ml)溶液に滴下する。2−ブロモチオフェンのちょうど半分を添加した後、添加を反応が開始するまで(発熱により判断)やめる。次いで、添加を、40℃以下の反応温度を維持しながら完了させる。添加が完了した後、反応混合物を20分加熱還流する。この混合物を次いで冷却し、オキソ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルメチルエステル(4.6g、17.2mmol)のTHF(40ml)溶液に添加する。添加が完了した後、反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで2.5時間加熱還流する。室温に冷却後、飽和水性塩化アンモニウム溶液(100ml)をジエチルエーテルと共に添加する。この溶液をジエチルエーテルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。フラッシュシリカカラムクロマトグラフィーでの精製により、表題生成物を得る。
【0091】
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸(R)−1−メチル−ピペリジン−3−イルエステル
a)(R)−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル:
(R)−3−ヒドロキシピペリジンヒドロクロライド(6.574g、0.048mol)を、撹拌下、水性2M 水酸化ナトリウム溶液(65ml)に溶解し、0℃に冷却する。ジ−tert−ブチルジカーボネート(11.44g、0.525mol)の1,4−ジオキサン(65ml)溶液を滴下し、反応混合物を室温で90分撹拌する。反応混合物をクロロホルム(3×150ml)抽出し、合わせた有機層を1回水および1回塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾取し、蒸発乾固して表題化合物を得る。
【0092】
b)(R)−1−メチル−ピペリジン−3−オール:
(R)−3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(10g、0.05mol)を、不活性雰囲気下乾燥THF(50ml)に溶解し、0℃に冷却する。水素化リチウムアルミニウム、1M THF溶液(80ml、0.08mol)を、この溶液に0から5℃でカニューレを介して添加する。添加後、反応混合物を室温に温め、一晩撹拌する。反応混合物を氷浴で冷却し、ロッシェル塩(5g)を添加し、反応物を30分撹拌したままにする。その後水(10ml)を滴下し、溶媒を蒸発させる。残渣をクロロホルム(70ml)およびイソプロパノール(30ml)に取り込み、1時間撹拌する。固体を濾取し、再び抽出する。有機抽出物を合わせ、蒸発させて、表題化合物を薄色の油状物として得る。
【0093】
c)ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸(R)−1−メチル−ピペリジン−3−イルエステル:
(R)−1−メチル−ピペリジン−3−オール(4.61g、0.040mol)およびヒドロキシ−ジフェニル−酢酸メチルエステル(9.63g、0.040mol)の混合物のシクロヘキサン(50ml)溶液に、予め活性化した4Aモレキュラー・シーブを添加し、混合物を50℃に加熱する。ナトリウム金属(50mg)を次いで添加し、得られた混合物を加熱還流する。1時間後さらにナトリウム(50mg)を添加し、還流を5時間維持する。濃縮、クロロホルムへの再溶解、水、続いて塩水での洗浄、硫酸マグネシウムでの乾燥、濾過および蒸発により粗生成物を得る。吸引フラッシュシリカクロマトグラフィーでの精製(勾配溶出:DCMからDCM:メタノール20:1)により、蒸発後、表題生成物を泡状物として得る。
【0094】
ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸(R)−1−メチル−ピペリジン−3−イルエステル
a)オキソ−チオフェン−2−イル−アセチルクロライド:
DCM(80ml)に懸濁し、5℃に冷却したオキソ−チオフェン−2−イル−酢酸(8g、51.2mmol)の溶液に、塩化オキサリル(5.3ml、61.5mmol)、続いてDMF(0.1ml)を添加する。撹拌を1時間、5℃および18時間、室温で続ける。反応混合物を蒸発乾固し、トルエンを次いで添加し、混合物をもう1回蒸発させて表題化合物を濃色油状物として得る。
【0095】
b)オキソ−チオフェン−2−イル−酢酸(R)−1−メチル−ピペリジン−3−イルエステル:
5℃でオキソ−チオフェン−2−イル−アセチルクロライド(8.9g、51.2mmol)のDCM(50ml)溶液に、(R)−1−メチル−ピペリジン−3−オール(5.87g、51mmol)のDCM(50ml)を、20分にわたり撹拌しながら滴下する。得られた混合物を18時間、室温で撹拌する。1M 重炭酸ナトリウム溶液での洗浄、硫酸マグネシウムでの乾燥、濾過および蒸発により表題化合物を濃色油状物として得る。
【0096】
c)ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸(R)−1−メチル−ピペリジン−3−イルエステル:
2−ブロモチオフェン(0.092ml、0.94mmol)のTHF(2ml)溶液をマグネシウム(0.576g、23.7mmol)に添加し、続いてヨウ素1結晶を添加する。さらに2−ブロモチオフェン(2.2ml、22.8mmol)のTHF(48ml)を次いで滴下し、その間穏やかな還流を維持する。添加が完了した後、反応混合物を1時間加熱還流する。この混合物を次いでオキソ−チオフェン−2−イル−酢酸(R)−1−メチル−ピペリジン−3−イルエステル(6g、23.7mmol)のTHF溶液に、撹拌しながら滴下する。添加が完了した後、反応混合物を2時間加熱還流する。室温に冷却後、飽和水性塩化アンモニウム溶液(100ml)、続いて水(100ml)を添加する。得られた溶液を酢酸エチル(200ml)で抽出し、得られた有機相を1M 塩酸(100ml)で抽出する。水性層の炭酸ナトリウムでの塩基性化、酢酸エチルでの抽出、硫酸マグネシウムでの乾燥、濾過および濃縮により表題生成物を褐色油状物として得、それは放置すると結晶化する。
【0097】
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸(S)−1−メチル−ピロリジン−2−イルメチルエステル
((S)−1−メチル−ピロリジン−2−イル)−メタノール(2.38ml、20mmol)およびヒドロキシ−ジフェニル−酢酸メチルエステル(7.27g、30mmol)をトルエン(20ml)に懸濁する。モレキュラー・シーブ4A(3g)を添加し、懸濁液を撹拌下に80℃に加熱する。ナトリウム(0.46g、20mmol)を添加し、反応混合物を80℃で3時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、固体を濾取し、トルエンで洗浄する。濾液を1回飽和水性NaHCO溶液(50ml)および2回水性HCl 1M(各30ml)で洗浄する。合わせた酸性水性層をpH8に飽和水性NaHCO溶液で調節する。エマルジョンを酢酸エチル(50ml)で抽出する。合わせた酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾取し、蒸発乾固して黄色油状物としての生成物を得、それは放置すると結晶化する。(M+H):326.2
【0098】
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸(R)−1−メチル−ピロリジン−2−イル−メチルエステルを同様に製造する。
【0099】
ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸(S)−1−メチル−ピロリジン−2−イルメチルエステル
モレキュラー・シーブ4A、((S)−1−メチル−ピロリジン−2−イル)−メタノール(3.71g、31.2mmol)およびヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸メチルエステル(3.96g、15.6mmol)の混合物のトルエン(40ml)溶液に、ナトリウム(65mg)を添加し、懸濁液を撹拌下に80℃で3.5時間加熱する。さらにナトリウム(65mg)を次いで添加し、反応混合物を80℃で16時間撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、ジエチルエーテル(100ml)で希釈し、HCl 1M(2×100ml)で抽出する。合わせた酸性水性層をジエチルエーテル(50ml)で洗浄し、水酸化ナトリウム4Mで氷で冷やしながら塩基性化する。溶液を次いで酢酸エチルおよびジエチルエーテルで抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して表題生成物を得る。
【0100】
具体的実施例の製造
使用する略語は下記の通りである:DCMはジクロロメタン、DMFはジメチルホルムアミド、そしてDMSOはジメチルスルホキシド、HPLCは高速液体クロマトグラフィーである。
【0101】
実施例1
Cisおよびtrans−4−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジニウムブロマイド(1a,1b)
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸−1−メチル−ピペリジン−4−イル−エステル(0.5g、1.5mmol)および(2−ブロモ−エトキシ)−ベンゼン(0.37g、1.8mmol)をDMFに溶解し、40℃で24時間加熱する。さらに(2−ブロモ−エトキシ)−ベンゼン(0.18g、0.9mmol)および100mgの炭酸カリウムを添加し、撹拌を40℃でさらに24時間続ける。温度を60℃に上げ、(2−ブロモ−エトキシ)−ベンゼン(0.1g、0.5mmol)を添加し、撹拌をその温度で24時間続ける。さらなる(2−ブロモ−エトキシ)−ベンゼン(0.1、0.5mmol)を添加し、撹拌を16時間、60℃続ける。反応混合物を濾過し、溶媒を蒸発させる。得られた油状物をアセトニトリルに取り込み、生成物を結晶化させてcisおよびtrans異性体の混合物(1a)を得る。固体を濾取し、アセトニトリルから2回結晶化させて、transジアステレオ異性体(1b)を白色固体として得る。
【0102】
実施例2
(S)−2−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシメチル)−1−メチル−1−オクト−2−イニル−ピロリジニウムトリフルオロアセテート
200μlの1−ブロモオクト−2−インの1.1M DMSO溶液を、200μlのヒドロキシ−ジフェニル−酢酸(S)−1−メチル−ピロリジン−2−イルメチルエステルの0.368M DMSO溶液に、96ウェルプレートにおいて自動液体処理装置で添加する。ウェルプレートを密封し、40℃で48時間オーブンに入れる。ウェルプレートを室温に冷却し、反応混合物を質量管理(mass directed)分取HPLCで、アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸で溶出して精製し、表題化合物を油状物として得る。生成物を、4級窒素原子でその立体化学が変化している、ジアステレオ異性体の混合物として単離する。分取HPLC後に存在する対イオンはブロマイドおよびトリフルオロアセテートの様々な混合物である。
【0103】
実施例3から24および49から62の化合物は、適当な出発化合物を使用して、同様に製造する。
【0104】
実施例25
4−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシメチル)−1−メチル−1−(2−オキソ−2−フェニル−エチル)−ピペリジニウムトリフルオロアセテート
200μlの2−ブロモ−1−フェニル−エタノンの1.1M DMSO溶液を、200μlのヒドロキシ−ジフェニル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルメチルエステルの0.368M DMSO溶液に、96ウェルプレートにおいて自動液体処理装置で添加する。ウェルプレートを密封し、40℃で48時間オーブンに入れる。ウェルプレートを室温に冷却し、反応混合物を質量管理分取HPLCで、アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸で溶出して精製し、表題化合物を油状物として得る。生成物を4級窒素原子でその立体化学が変化している、ジアステレオ異性体の混合物として単離する。分取HPLC後に存在する対イオンはブロマイドおよびトリフルオロアセテートの様々な混合物である。
【0105】
実施例26から42および63から932の化合物は、適当な出発化合物を使用して、同様に製造する。
【0106】
実施例43および44
Cisおよびtrans4−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−メチル−1−(3−フェノキシ−プロピル)−ピペリジニウムブロマイド
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸−1−メチル−ピペリジン−4−イル−エステル(2.44g、7.52mmol)および(3−ブロモ−プロポキシ)−ベンゼン(1.78ml、11.3mmol)をDMF(16ml)に溶解し、50℃で20時間撹拌する。濃縮により白色固体を得、それをアセトニトリルでトリチュレートし、真空乾燥する。アセトニトリルからの再結晶により、主に一つのジアステレオ異性体の形成した結晶からの単離ができる。他方のジアステレオ異性体はさらに濃縮後に濾液から主に沈殿する。これらの2つの固体は表題化合物のcisおよびtrans異性体である。
【0107】
実施例45
1−[2−(4−ベンジルオキシカルボニル−フェニル)−エチル]−4−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−メチル−ピペリジニウムブロマイド
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸−1−メチル−ピペリジン−4−イル−エステル(1.56g、4.8mmol)および4−(2−ブロモ−エチル)−安息香酸ベンジルエステル(2.3ml、7.21mmol)をDMF(5ml)に溶解し、50℃で20時間撹拌し、続いて60℃で5時間加熱する。濃縮およびC−18逆相クロマトグラフィー(溶離剤:水/アセトニトリル)での2回の精製により、表題化合物をジアステレオ異性体の混合物として得る。
【0108】
実施例46
(1S/R,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジニウムブロマイド(46a)、(1S,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジニウムブロマイド(46b)および(1R,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジニウムブロマイド(46c)
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸(R)−1−メチル−ピペリジン−3−イルエステル(2.25g、0.00692mol)および(2−ブロモ−エトキシ)−ベンゼン(2.08g、0.0103mol)をアセトニトリル(3ml)に溶解し、60℃で72時間撹拌して(1S/R,3R)混合物(46a)を得る。反応混合物を室温に冷却し、蒸発乾固し白色泡状物を産生する。次いでアセトンの泡状物への添加によりトリチュレーションを行い、次いでそれを超音波処理し、加熱還流し、放置して室温に冷却する。懸濁物を濾取し、乾燥させ、得られた固体を少量の水を含むアセトニトリルから2回再結晶し、(1S,3R)−ジアステレオ異性体(46b)を白色固体として得る。最初のアセトン・トリチュレーションからの母液を次いで取り、蒸発させて固体を得る。残渣をC18シリカゲル(70g)での20ml/分で40分にわたる水/アセトニトリル100/0から0/100勾配を用いた、フラッシュクロマトグラフィーにより精製する。生成物含有フラクションを合わせ、蒸発させて、主に(1R,3R)−ジアステレオ異性体(46c)を白色固体として得る。
【0109】
実施例47
(1S/R、3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−メチル−1−(3−フェニル−プロピル)−ピペリジニウムブロマイド(47a)および(1R,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−メチル−1−(3−フェニル−プロピル)−ピペリジニウムブロマイド(47b)
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸(R)−1−メチル−ピペリジン−3−イルエステル(3.0g、0.00923mol)および(3−ブロモ−プロピル)−ベンゼン(2.12ml、0.0138mol)をアセトニトリル(3ml)に溶解し、60℃で24時間撹拌する。この時点でHPLC/MSは(1S/R、3R)混合物(47a)の生成を示す。室温で72時間放置することにより白色固体が沈殿する。アセトニトリルからの2回連続再結晶により、(1R,3R)−表題化合物(47b)を得る。
【0110】
実施例48
(1R/S,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジフェニル−アセトキシ)−1−メチル−1−(2−フェノキシ−プロピル)−ピペリジニウムブロマイド
ヒドロキシ−ジフェニル−酢酸(R)−メチル−ピペリジン−3−イルエステル(1.7g、0.00523mol)および(3−ブロモ−プロポキシ)−ベンゼン(1.2ml、0.00781mol)をアセトニトリル(2ml)に溶解し、60℃で一晩撹拌する。反応混合物を室温に冷却し、蒸発乾固する。残渣をDCMに取り込み、水で抽出する。水性層をDCM(3×20ml)で洗浄し、蒸発乾固する。残渣をC18シリカゲル(70g)での20ml/分で25分にwたる水/アセトニトリル100/0から0/100の勾配を用いた、フラッシュクロマトグラフィーにより精製する。生成物含有フラクションを合わせ、蒸発させて、700mgの表題化合物を白色泡状物として得た。
【0111】
実施例94
Trans−4−(2−ヒドロキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−アセトキシ)−1−メチル−1−(3−フェニル−プロピル)−ピペリジニウムブロマイド
ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルエステル(1.5g、4.44mmol)および(3−ブロモ−プロピル)−ベンゼン(1.4ml、8.88mmol)をDMF(5ml)に溶解し、50℃で16時間撹拌する。得られた固体を濾過により分離し、DMF(5ml)で洗浄し、高真空下で乾燥させて、1:1 cis/transジアステレオ異性体の混合物を得る(実施例67では別異性体としてとして単離されるが)。2回のさらなるDMFからの再結晶により、表題化合物(transジアステレオ異性体)を得る。
【0112】
実施例95
Trans−4−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチオフェン−2−イル−アセトキシ)−1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジニウムブロマイド
ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−ピペリジン−4−イルエステル(1.5g、0.00444mol)および2−フェノキシエチルブロマイド(1.79g、0.00888mol)をDMF(5ml)に溶解し、50℃で16時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固してcis/trans混合物を得、残渣をアセトニトリル(10ml)に取り込み、室温で10分撹拌する。懸濁液を濾過し、固体をアセトニトリルから再結晶して、trans異性体(139)を白色固体として得る。
【0113】
実施例96
(1R,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチオフェン−2−イル−アセトキシ)−1−メチル−1−(3−フェニル−プロピル)−ピペリジニウムブロマイド(96a)および(1S,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチオフェン−2−イル−アセトキシ)−1−メチル−1−(3−フェニル−プロピル)−ピペリジニウムブロマイド(96b)
ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸(R)−1−メチル−ピペリジン−3−イルエステル(2.1g、0.00623mol)をアセトニトリル(5ml)に60℃で溶解し、1−ブロモ−3−フェニルプロパン(1.43ml、0.00934mol)を滴下する。18時間、60℃で撹拌後、白色固体が現れ、撹拌をさらに8時間、この温度で続ける。懸濁液を室温に冷却し、固体を濾取する。固体を2滴の水を含む3mlのアセトニトリルから再結晶し、(1R,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−アセトキシ)−1−メチル−1−(3−フェニル−プロピル)−ピペリジニウムブロマイド(96a)を白色固体として得る。反応混合物母液を蒸発乾固し、残渣をC18シリカゲル(70g)での20ml/分で25分にわたる水/アセトニトリル100/0から0/100勾配を用いた、フラッシュクロマトグラフィーにより精製する。生成物含有フラクションを合わせ、蒸発乾固して、(1S,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−アセトキシ)−1−メチル−1−(3−フェニル−プロピル)−ピペリジニウムブロマイド(96b)を白色無定形固体として得る。
【0114】
実施例97
(1R/S,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチオフェン−2−イル−アセトキシ)−1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジニウムブロマイド(97a)および(1R,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチオフェン−2−イル−アセトキシ)−1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジニウムブロマイド(97b)
ヒドロキシ−ジ−チオフェン−2−イル−酢酸(R)−1−メチル−ピペリジン−3−イルエステル(0.57、0.00169mol)をアセトニトリル(3ml)に60℃で溶解し、2−フェノキシエチルブロマイド(0.51g、0.00254mol)のアセトニトリル(1ml)溶液を滴下する。反応混合物を96時間還流し、室温に冷却し、冷蔵庫に入れる。これにより、異性体(1R/S,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチオフェン−2−イル−アセトキシ)−1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジニウムブロマイド(97a)の約1:1の混合物を得る。懸濁液を濾取し、冷アセトニトリルで洗浄して、(1R,3R)−3−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチオフェン−2−イル−アセトキシ)−1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジニウムブロマイド(97b)を白色固体として得る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩形または双性イオン形の、式I
【化1】

〔式中、
およびRは、各々独立してC−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であり;
は水素、ヒドロキシ、または所望によりヒドロキシで置換されているC−C−アルキルであり;
LおよびMは各々(結合および−CH−CH−)、(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJはC−C−アルキレンであるか、
またはLおよびMは各々(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJは結合であり;
はC−C−アルキルであり;
は−SO−R、−S(=O)−R、−CO−R、−CO−O−R、−CO−NH−Rまたは−Rで置換されているC−アルキルであるか、
またはRは−O−R、−S−R、−SO−R、−S(=O)−R、−CO−R、−O−CO−R、−CO−O−R、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−Rまたは−Rで置換されているC−C10−アルキルであるか、
またはRは所望により−Rまたは−Rで置換されているC−C10−アルケニルまたはC−C10−アルキニルであり;
はC−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であるか、
またはRは所望によりC−C10−アルコキシ、−O−R、C−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基で置換されているC−C10−アルキルであり;
は窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であり;そして
はC−C15−炭素環式基である。〕
の化合物。
【請求項2】
およびRが、各々独立してC−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であり;
がヒドロキシであり;
LおよびMが各々(結合および−CH−CH−)、(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJがC−C−アルキレンであるか、
またはLおよびMが各々(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJが結合であり;
がC−C−アルキルであり;
が−CO−Rまたは−CO−NH−Rで置換されているC−アルキルであるか、
またはRが−O−R、−S−R、−O−CO−Rまたは−Rで置換されているC−C10−アルキルであるか、
またはRが所望により−Rで置換されているC−C10−アルケニルまたはC−C10−アルキニルであり;
がC−C15−炭素環式基であるか、
またはRが所望によりC−C10−アルコキシ、O−RまたはC−C15−炭素環式基で置換されているC−C10−アルキルであり;そして
がC−C15−炭素環式基である、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
およびRが、各々独立してC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニル、または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する5−から9−員ヘテロ環式基、好ましくはチエニルであり;
がヒドロキシであり;
LおよびMが各々(結合および−CH−CH−)、(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJがC−C−アルキレンであるか、
またはLおよびMが各々(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJが結合であり;
がC−C−アルキルであり;
が−CO−Rまたは−CO−NH−Rで置換されているC−アルキルであるか、
またはRが−O−R、−S−R、−O−CO−Rまたは−Rで置換されているC−C−アルキルであるか、
またはRが所望により−Rで置換されているC−C−アルケニルまたはC−C−アルキニルであり;
がC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルであるか、
またはRが所望によりC−C−アルコキシ、O−RまたはC−C10−炭素環式基で置換されているC−C15−アルキルであり;そして
がC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルである、
請求項2記載の化合物。
【請求項4】
式Ia
【化2】

〔式中、
およびRは、各々独立してC−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であり;
は水素、ヒドロキシ、または所望によりヒドロキシで置換されているC−C−アルキルであり;
JおよびKは両方とも独立してC−C−アルキレンであるか、
またはJおよびKの一方は結合であり、他方はC−C−アルキレンであり;
LはC−C−アルキレンであり;
はC−C−アルキルであり;
は−OR、−O−CO−Rまたは−CO−O−Rで置換されているC−C−アルキルであり;そして
はC−C−アルキル、C−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基である。〕
の化合物でもある、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
およびRが、各々独立してC−C15−炭素環式基であり;
がヒドロキシであり;
Jが結合であり;
KがC−C−アルキレンであり;
LがC−C−アルキレンであり;
がC−C−アルキルであり;
が−ORで置換されているC−C−アルキルであり;そして
がC−C15−炭素環式基である、
請求項4記載の化合物。
【請求項6】
およびRが、各々独立してC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルであり;
がヒドロキシであり;
Jが結合であり;
KがC−C−アルキレンであり;
LがC−C−アルキレンであり;
がメチルであり;
が−ORで置換されているC−C−アルキルであり;そして
がC−C10−炭素環式基、好ましくはフェニルである、
請求項5記載の化合物。
【請求項7】
式XVI
【化3】

〔式中、Tは下記表:
【表1】

に示す通りである。〕
の化合物でもある、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Tが下記表:
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

に示す通りである、式XVIの化合物でもある、
請求項1記載の化合物。
【請求項9】
式XVII
【化4】

〔式中、Tは下記表:
【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

に示す通りである。〕
の化合物でもある、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、充血除去剤または鎮咳剤物質である少なくとも1種の医薬物質と組み合わせる、請求項1から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
活性成分として、請求項1から10のいずれかに記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項13】
ムスカリン性M3受容体が介在する状態の処置用医薬を製造するための、請求項1から10のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項14】
炎症状態またはアレルギー状態、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置用医薬を製造するための、請求項1から10のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項15】
化合物が単一エナンチオマーである、請求項13または14記載の使用。
【請求項16】
請求項1記載の式Iの化合物を製造する方法であり:
(i)(A)式II
【化5】

〔式中、R、R、R、R、J、LおよびMは請求項1で定義の通りである。〕
の化合物またはその被保護形と、式III
【化6】

〔式中、Rは請求項1で定義の通りであり、そしてXはクロロ、ブロモまたはヨードである。〕
の化合物を反応させ;
(B)式IV
【化7】

〔式中、R、R、R、R、J、LおよびMは請求項1で定義の通りである。〕
の化合物またはその被保護形と、式V
【化8】

〔式中、Rは請求項1で定義の通りであり、そしてXはクロロ、ブロモまたはヨードである。〕
の化合物を反応させ;
(C)Rが−Q−NH−CO−Rである式Iの化合物を製造するために、式VI
【化9】

〔式中、R、R、R、R、J、LおよびMは請求項1で定義の通であり、そしてQはC−C10−アルキレンである。〕
の化合物またはその被保護形と、式VII
【化10】

〔式中、Rは請求項1で定義の通りである。〕
またはそのアミド形成誘導体を反応させるか;または
(D)Rがカルボキシで置換されているC−C15−炭素環式基で置換されているC−C10−アルキルである式Iの化合物の製造のために、R、R、R、R、J、LおよびMが請求項1で定義の通りであり、そしてRが−COO−C−C10−アリールまたは−COO−C−C15−アラルキルのいずれかで置換されているC−C15−炭素環式基により置換されているC−C10−アルキルである式Iの化合物を変換し;そして
(ii)塩または双性イオン形の産物を回収する
ことを含む、方法。
【請求項17】
塩形または双性イオン形の、式VI
【化11】

〔式中、
およびRは、各々独立してC−C15−炭素環式基または窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を有する5−から12−員ヘテロ環式基であり;
は水素、ヒドロキシ、または所望によりヒドロキシで置換されているC−C−アルキルであり;
LおよびMは各々(結合および−CH−CH−)、(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJはC−C−アルキレンであるか、
またはLおよびMは各々(−CH−および−CH−CH−)または(−CH−CH−および−CH−)であり、そしてJは結合であり;
はC−C−アルキルであり;そして
QはC−C10−アルキレンである。〕
の化合物。


【公表番号】特表2008−529965(P2008−529965A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516038(P2006−516038)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006795
【国際公開番号】WO2005/000815
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】