説明

ムチン合成インヒビター

本発明は、ムチン合成を調整する方法および疾患(例えば、喘息および気管支炎を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺疾患、嚢胞性繊維症および、急性または慢性の呼吸器感染症)に関連するムチン過剰生成を制御する化合物の治療上の適用に関する。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、ムチン合成あるいは肺または消化管におけるムチンレベルを減少させる、少なくとも一つの本発明の化合物を含み得、ここで、この化合物は、キノリンまたはキノリン誘導体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ムチン合成を調節する方法および疾患(例えば、喘息、気管支炎、炎症性肺疾患、嚢胞性繊維症および、急性または慢性の呼吸器感染症ならびに慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連するムチン過剰生成の制御における化合物の治療上の適用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
気道上皮は、粘膜毛様体系および機械的障壁を介する気道防御機構において、不可欠な役割を果たすことが知られている。最近の研究は、気道上皮細胞(AEC)が、多発性気道障害の病理において重要な生物学的メディエータ−を、生成および放出するよう活性化され得ることを示す(PolitoおよびProud、1998;Takizawa、1998)。証拠は、上皮が本質的に慢性気道障害(例えば、喘息、慢性気管支炎、肺気腫および嚢胞性繊維症)において障害を起こすことを示してきた(Holgateら、1999;Jeffery PK、1991;Salvato、1968;GlynnおよびMichaels、1960)。これらの気道障害における特徴の一つは、AECによる粘液の過剰生成である。粘液の主要な高分子成分は、ムチンとして知られている大きな糖タンパク質である。最近、少なくとも7つのヒトムチンの分子構造が決定された。この公知のムチン転写物は、それらの全体的な繰返し構造において類似であるにもかかわらず、遺伝子間に配列相同性を有さない(VoynowおよびRose、1994)異質なものである。
【0003】
有害な刺激は、AECを活性化することが知られている。これらの刺激は、薬物または環境汚染に対するアレルギー疾患における抗原から、煙草の煙および慢性閉塞性肺疾患の形態に関連する感染因子まで変動し得る。AEC活性化は、変更されたイオン輸送、毛様体の拍動における変化ならびに粘膜の増加をもたらす、ムチンの増大された生成および分泌をもたらす。AEC活性化に呼応して生成されたメディエータ−は、炎症性細胞の流入を促進するケモカインを含む(Takizawa、1998)。これらの炎症性細胞は、今後はAECを損傷し得るメディエータ−を生成し得る。AECの損傷は、炎症促進性生成物(肺の破壊および機能の損失を導き得る気道壁の面構築を促進する、プロテアーゼならびに成長因子)の拡大された、そして持続性である供給源となる、細胞増殖(杯細胞および粘膜下の腺細胞の過形成)を刺激する(Holgateら、1999)。
【0004】
粘液の過剰生成およびその生理化学的特徴は、多くの方法で肺病理学に寄与し得る。ムチンの過剰生成による生理学的粘膜毛様体クリアランスの崩壊は、粘膜の栓塞、空気のトラッピングおよび無気肺(感染によりしばしば併発される)を導き得る。
【0005】
喘息は、罹患率および重篤度が増大しているように思われる、慢性的な閉塞性の肺障害である(GergenおよびWeiss、1992)。人口の30〜40%がアトピー性のアレルギーを罹患し、そしてこの集団において子供の15%および成人の5%が喘息を罹患していると推定される(GergenおよびWeiss、1922)。
【0006】
喘息において、抗原による免疫系の活性化は、アレルギー性炎症を導く。このタイプの免疫活性が生じる場合、肺炎、気道過敏、杯細胞および粘膜下腺の過形成ならびにムチン過剰生成および過剰分泌を伴う(Basleら、1989)(Paillasse、1989)(Bosqueら、1990)。粘液の過剰生成ならびに杯細胞および粘膜下腺細胞の過形成に関連する栓塞は、喘息の病理学における重要な部分であり、そして軽い喘息性および喘息性の状態で死亡した個体の両方の気道における実験について記載されてきた(Earle、1953)(CardellおよびPearson、1959)(Dunnill、1960)(Dunnillら、1969)(Aikawaら、1992)(Cutzら、1978)。特定の炎症性細胞は、T細胞、抗原提示細胞、IgEを生成するB細胞、IgEに結合する好塩基球および好酸球を含むこの反応において重要である。これらの炎症性細胞は、アレルギー性炎症の部位で集積し、そしてそれらが放出した毒性生成物は、AECおよびこれらの障害に関連する他の組織の破壊に寄与する。
【0007】
上に言及される関連特許出願において、出願人はインターロイキン−9(IL9)、そのレセプターおよびIL9により影響される活性が、アトピー性のアレルギー、喘息および関連疾患における治療的インターベンションのために適切な標的であることを実証した。アレルゲンによる肥満細胞からのメディエータ−の放出は、アレルギーにおいて重大な開始事象であると長らく考えられてきた。IL9は、本来肥満細胞成長因子として同定され、そしてIL9がMCP−1、MCP−2、MCP−4(Eklundら、1993)およびグランザイムB(Louahedら、1995)を含む肥満細胞プロテアーゼの発現をアップレギュレートすることが実証されてきた。したがって、IL9は、肥満細胞の増殖および分化において役割を供すると思われる。さらに、IL9は、高親和性IgEレセプターのα鎖の発現をアップレギュレートする(Dugasら、1993)。なおさらに、インビトロ研究およびインビボ研究の両方が、初回抗原刺激を受けたB細胞からのIgEの放出を増強するためのIL9を示してきた(Petit−Frereら、1993)。
【0008】
最近、IL9は、ムチン合成を刺激し、アレルギー性の気道疾患において、肺流体のムチン刺激活性の50〜60%程度の原因となり得ることが示された(Longpreら、1999)。ムチン合成および粘液過剰生成の全体的なアップレギュレーションは、背景染色からのマウスと比較して、IL9トランスジェニックマウスにおいて生じる。IL9は、特異的にMUC2およびMUC5ACの遺伝子およびタンパク質を、インビボおよびインビトロでアップレギュレートする(Louahedら、2000)。さらに、IL9中和化抗体は、喘息の動物モデルにおいて抗原チャレンジに対するムチンのアップレギュレーションを完全に阻害する(McLaneら、2000)。現在の喘息処置は、多くの不都合に悩んでいる。主要な治療薬であるβレセプターアゴニストは、一時的に肺機能を改善することにより症状を軽減させるが、根底にある炎症に作用せず、それらはムチン生成も抑制しない。さらに、βレセプターアゴニストの常用は、それらの効力および安全性を減少させる脱感作を生じる(Molinoffら、1995)。根底にある炎症を除去し得、そしてそれによってムチン生成を減少させる薬剤(例えば、抗炎症ステロイド)は、免疫抑制から骨損失に及ぶそれら自身の不利益のリストを有する(Molinoffら、1995)。
【0009】
慢性気管支炎は、慢性閉塞性肺疾患の別の形態である。成人の5%近くが、この慢性気管支炎で苦しんでいる。慢性気管支炎は、慢性の痰の過剰生成として定義される。粘液過剰生成は、一般的に誘導気道の炎症と関連している。好中球およびマクロファージを含む炎症細胞のメディエータ−は、この疾患において増大したムチン遺伝子発現と関連し得る(Voynowら、1999;Borchersら、1999)。この増大した粘液の生成は、この肺疾患の主要な特徴の一つである気道閉塞と関連している。治療は、ほとんどが対症療法であり、そして感染を制御することおよび肺機能のさらなる損失を予防することに焦点を合わせている。気管支炎の症状を処置するためにしばしば使用される、鬱血除去薬、去痰薬およびこれら薬剤の組み合わせは、ムチン生成を変化させるよう意図されていない。粘液溶解薬は、粘膜毛様体のクリアランスを促進し得、そして気道分泌物の粘性および/または弾性を減少させることにより症状の軽減を提供し得るが、ムチン合成または粘液の過剰生成を阻害しない(Takahashiら、1998)。嚢胞性線維症(CF)は、肺に影響するさらに別の疾患であり、そして気道閉塞および引き続くコロニー化ならびに吸入された病原体による感染の結果生じる、粘度の高い分泌物に関連する(Engら、1996)。DNAレベルは、CF肺において有意に増大され、そして痰の粘性を増大し得る。一方病理学的な粘液の過剰生成に対する有効な処置が無いため、組換えエアゾール化DNAseは、これらの患者において有効である。したがって、CFにおいて気道上皮細胞によるムチン過剰生成を阻害することが可能な薬剤の同定のための、当該分野において特定のまだ対処されていない必要性が存在する。ムチン分泌により誘発される気道閉塞に加えて、CF患者はまた、消化管への酵素の送達を阻止する、膵管における粘液栓塞で苦しんでいる。この結果が、吸収不良症候群、脂肪便および下痢である。
【0010】
慢性非アレルギー性副鼻腔炎は、疾患に寄与する粘液生成における量的変化および質的変化によって頻繁に併発される。これらの変化は、ゲル形成ムチン(例えば、MUC2、MUC5A/CおよびMUC5B)の過分泌を含む。さらに、慢性副鼻腔炎を有する患者は、頻繁にムコイド鼻漏または粘液膿性の鼻漏を訴える。最近の研究は、慢性副鼻腔炎に関する過分泌は、局所的に増大したムチン合成の結果であり得る、と示唆する(Shinogiら、Laryngoscope 111(2):240−245、2001)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
粘液過剰生成は、多発性慢性閉塞肺の特徴の一つであるにもかかわらず、当該分野はこれらの肺疾患に関連するムチンの合成または過剰生成を阻害する方法を一切有さない。したがって、ムチンの過剰生成を阻害し、そして粘膜毛様体クリアランスの促進および肺機能の保存のためにこれらの患者の分泌物を薄める特定の必要性が、当該分野において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要約)
本発明は、ムチン糖タンパク質の合成および過剰生成を阻害する薬剤の発見ならびにこれらの分子を、慢性閉塞性肺疾患および他の疾患において病理学的な粘液の過剰生成を処置するために使用する方法に関する。
【0013】
一つの局面において、本発明はムチンの生成による特徴付けられる呼吸器疾患を有する被験体を処置する方法を提供し、この方法は、被験体に式I:
【0014】
【化5】

の化合物を少なくとも1つ含む有効量の組成物を投与する工程を包含し、
ここで:X〜XはC、S、O、およびNからなる群より独立して選択され;R〜R11はハロゲン、アルキル、アリール、トリフルオロメチル、置換アルキル、置換アリール、ハロゲン、ハロゲン置換アルキル、ハロゲン置換アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルキルエーテル、アリールエーテル、アミン、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルエステル、アリールエステル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、チオール、アルキルチオエーテル、アリールチオエーテル、アルキルスルホン、アリールスルホン、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシドおよびスルホンアミドからなる群よりそれぞれ独立して選択され;RおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRは、それらが結合する原子とともに、シクロアルキル環、アリール環およびヘテロアリール環を形成し;Yは、C(O)R(ここでRはアリール、ホスホン酸塩、スチリルおよび3H−イソベンゾフラン−1−オン−3−オキシル)および3H−イソベンゾフラン−1−オン−3−イルからなる群より選択される置換基である)、水素、カルボン酸塩、アルキルカルボン酸塩、サルフェート、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、カルボン酸のアミド、カルボン酸のエステル、リン酸のアミド、リン酸のエステル、スルホン酸のアミド、スルホン酸のエステル、、ホスホン酸のアミド、ホスホン酸のエステル、スルホンアミド、ホスホンアミド、テトラゾールおよびヒドロキサム酸からなる群より選択される置換基であり;R11およびYは、環状スルホンアミドを形成し得;ZはO、N、S、C、スルホキシドおよびスルホンからなる群より選択され、原子がS、スルホキシドまたはスルホンの場合、R10およびR11は存在せず、そして原子がNの場合、R10のみが存在することが知られており;mは0または1であり、そしてnは1または2であり;ここで、式1の化合物は、ムチン合成あるいは肺または消化管におけるムチンレベルを減少させる。いくつかの実施形態において、このムチン合成は、塩素イオンチャネル依存性であり得る。いくつかの実施形態において、この化合物は、ICACC塩素イオンチャネルを発現する細胞においてムチン合成を減少させる。いくつかの実施形態において、この化合物は、アントラニル酸のアナログおよび誘導体、2−アミノ−ニコチン酸のアナログおよび誘導体、2−アミノ−フェニル酢酸のアナログおよび誘導体、ベンドロフルメサイアザイド、それらの塩およびそれらのプロドラッグからなる群より選択される。いくつかの好ましい実施形態において、この化合物は、タルニフルメート(talniflumate)、フルフェナム酸、ニフルム酸、メフェナム酸、それらの塩、それらの誘導体およびそれらのプロドラッグからなる群より選択される。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の組成物は、タルニフルメート、タルニフルメート誘導体、それらの塩またはそれらのプロドラッグを含む。
【0015】
本発明の一つの局面は、式II:
【0016】
【化6】

の構造を有する新しい化学的実体あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩に関する。
【0017】
ここで、XはS、N、OまたはCRであり;YはCRR’、O、NR、CRR’−CRR’またはCR=CRであり;ZはNR、O、S、CRR’またはCRR’−CRR’であり、R〜Rは、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、ハロ置換アルキルおよびハロからなる群より独立して選択され;R
【0018】
【化7】

であり;
Qは、CR、NRまたは
【0019】
【化8】

であり;
はHまたはベンジルであり;Rは、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、OHまたはハロであり;ならびにRおよびR’は、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、OHまたはハロである。
【0020】
本発明はまた、ムチンインヒビターとして式IIの化合物に関する。式IIの化合物は、ムチンの生成により特徴付けられる疾患を有する患者を処置する方法において使用され得る。この式IIの化合物は、吸入、経口投与および他の公知な投与形態のための組成物中に処方され得る。式IIの化合物はまた、慢性副鼻腔炎、炎症性肺疾患、喘息、嚢胞性線維症ならびに急性および慢性の呼吸器感染症ならびに慢性閉塞性肺疾患を処置するために使用され得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、ムチン合成あるいは肺または消化管におけるムチンレベルを減少させる、少なくとも一つの式Iの化合物を含み得、ここで、この化合物は、キノリンまたはキノリン誘導体である。いくつかの実施形態において、この化合物は好ましくはキノリンの2位または3位をアミン基で改変されたキノリンであり得る。好ましい実施形態において、化合物は、環外の窒素は、一つ以上の部分で改変されている3−アミノ−キノリンであり得る。いくつかの実施形態において、環外のアミン基は、芳香族部分で改変され得る。この芳香族部分は、改変されていても改変されていなくともよい。好ましい実施形態において、この芳香族基は、一つ以上の置換基で改変され得るベンジル基である。適切な置換基として、ハロゲンが挙げられるが、これに限定されない。好ましい実施形態において、この化合物は、N−(フルオロベンジル)−3−アミノ−キノリン(図19)であり、好ましくは、このフッ素はメタ位である。
【0022】
本発明の別の局面において、ムチン合成を減少させる式Iの化合物はまた、酵素シクロオキシゲナーゼのインヒビター(例えば、タルニフルメート)である。より好ましい実施形態において、この化合物は、酵素シクロオキシゲナーゼ−2の特異的インヒビターである。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、ムチンの生成により特徴付けられる呼吸器疾患を有する被験体を、吸入によって本発明の組成物を投与することにより処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この組成物は液体の形態または粉末の形態である。いくつかの実施形態において、この組成物はエアロゾル化されている。他の実施形態において、この組成物は少なくとも一つの去痰剤、抗ヒスタミン剤、粘液溶解剤、抗生物質または鬱血除去剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、この去痰剤はグアイフェネシンである。本発明の組成物は、少なくとも一つの安定剤、吸収亢進剤または香料付加剤をさらに含み得る。いくつかの好ましい実施形態において、この安定剤は、シクロデキストランであり、そして/あるいは、吸収亢進剤はキトサンである。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の組成物および方法は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺疾患、嚢胞性繊維症および、急性または慢性の感染症からなる群より選択される呼吸器疾患を処置するために使用され得る。任意のこれらの疾患の一つの処置は、吸入によって一つ以上の本発明の組成物を投与することにより得る。いくつかの実施形態において、本発明は、肺気腫、慢性気管支炎および喘息からなる群から選択されるCOPDを処置する方法および物質を提供する。
【0025】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物および方法は、嚢胞性繊維症のGI合併症(例えば、吸収不良症候群、脂肪便および下痢)を処置するために使用され得る。これらの疾患の処置は、一つ以上の本発明の組成物を経口で投与することによってであり得る。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、ムチン生成またはムチンレベルを減少させるのに有効な量の、タルニフルメート、フルフェナム酸、ニフラム酸、メフェナム酸、それらの塩、それらの誘導体およびそれらのプロドラッグからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含む、吸入送達のために処方された治療用組成物を提供する。いくつかの好ましい実施形態において、この組成物はタルニフルメート、タルニフルメート誘導体、それらの塩またはそれらのプロドラッグを含む。いくつかの実施形態において、この組成物は、液体の形態または粉末の形態である。いくつかの実施形態において、この組成物は少なくとも一つの去痰剤、粘液溶解剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤または鬱血除去剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、この去痰剤はグアイフェネシンである。
【0027】
上記の薬剤に加えて、本発明の吸入のために処方される薬学的組成物は、少なくとも一つの安定剤、吸収亢進剤または香料付加剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、この安定剤は、シクロデキストランであり、そして/あるいは、吸収亢進剤はキトサンである。
【0028】
本発明はまた、上に記載される治療学的組成物を含む吸入デバイスを提供する。
【0029】
(発明の詳細な説明)
本発明は、部分的に、肺の非繊毛性上皮細胞の活性化に起因する粘膜過剰生成が、MUC2およびMUC5ACを含むムチン遺伝子の誘導により引き起こされることの発見に由来する。したがって、本発面の一つの局面は、上皮細胞活性化の阻害である。AEC活性化の阻害は、ケモカイン生成、気管支応答およびムチン遺伝子発現をダウンレギュレートする。ムチン合成またはムチンレベルを減少させる分子は、それゆえ本発明の一部である。
【0030】
ムチン合成またはムチンレベルを減少させる薬剤:本明細書中に記載されるように、本発明の処方物および組成物は、ムチン合成またはムチンレベルを減少させ、あるいは何らかの方法でムチンの過剰生成を減少させる薬剤を含む。本明細書中で使用される場合「減少させる」とは、ムチンのレベル、活性化、機能、安定性または合成におけるダウンレギュレーションとして定義される。好ましい薬剤は、塩素イオンチャネル依存性の、ムチンのレベル、活性化、機能、安定性または合成を減少させる。本明細書中で使用される場合「塩素イオンチャネル」とは、WO 99/44620(本明細書中にその全体が参考として援用される)に参照されるICACC塩素イオンチャネルおよび関連するチャネルをいうが、これらに限定されない。これらの定義下にある薬剤は、実施例において記載されるアッセイにおけるスクリーニングにより、同定され得るかまたはその活性が検証され得る。例えば、実施例7および実施例8において記載される、インビボアッセイおよびインビトロアッセイは、薬剤の活性をスクリーニング、同定または検証するために使用され得る。
【0031】
ムチン合成またはムチンレベルを減少させる、本発明の好ましい実施形態の化合物は、式I:
【0032】
【化9】

の化合物である。
【0033】
ここで、X〜XはC、S、O、およびNからなる群より独立して選択され;R〜R11はハロゲン、アルキル、アリール、トリフルオロメチル、置換アルキル、置換アリール、ハロゲン、ハロゲン置換アルキル、ハロゲン置換アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルキルエーテル、アリールエーテル、アミン、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルエステル、アリールエステル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、チオール、アルキルチオエーテル、アリールチオエーテル、アルキルスルホン、アリールスルホン、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシドおよびスルホンアミドからなる群よりそれぞれ独立して選択され;RおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRは、それが結合する原子とともに、シクロアルキル環、アリール環およびヘテロアリール環を形成し;Yは、C(O)R(ここでRはアリール、ホスホン酸塩、スチリルおよび3H−イソベンゾフラン−1−オン−3−オキシルおよび3H−イソベンゾフラン−1−オン−3−イルからなる群より選択される置換基である)、水素、カルボン酸塩、アルキルカルボン酸塩、サルフェート、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、カルボン酸のアミド、カルボン酸のエステル、リン酸のアミド、リン酸のエステル、スルホン酸のアミド、スルホン酸のエステル、、ホスホン酸のアミド、ホスホン酸のエステル、スルホンアミド、ホスホンアミド、テトラゾールおよびヒドロキサム酸からなる群より選択される置換基であり;R11およびYは、環状スルホンアミドを形成し得;ZはO、N、S、C、スルホキシドおよびスルホンからなる群より選択される原子であり、原子がS、スルホキシドまたはスルホンの場合、R10およびR11は存在せず、そして原子がNの場合、R10のみが存在することが知られており;mは0または1であり、そしてnは1または2であり;ここで、式1の前記化合物は、被験体においてムチン合成またはムチンレベルを減少させる。
【0034】
好ましい実施形態において、YはC(O)R(ここで、Rは、アリール、ホスホネート、スチリルおよび3H−イソベンゾフラン−1−オン−3−オキシルおよび3H−イソベンゾフラン−1−オン−3−イルから選択される置換基である)、またはカルボキシレートであり、R〜R11は、トリフルオロメチルまたはアリキルであり、そしてXはCまたはNである。
【0035】
別の好ましい実施形態において、nは2であり、一つのZはNR10であり、そして他のZ基はCR1011であり、ここでR10はHであり、そしてR11はアミン基であり、ならびにYはスルホンであり、その結果YおよびR11が環状スルホンアミドを形成する。
【0036】
好ましい実施形態において、ムチン合成またはムチンレベルを減少させる式Iの化合物は、アントラニル酸(2−アミノ安息香酸)のアナログおよび誘導体を含む。いくつかの好ましい実施形態において、この分子はN−誘導体化アントラニル酸であり得る。いくつかの実施形態において、アントラニル酸のアミノ基は、一つ以上の基で改変され得る。いくつかの実施形態において、この基は芳香族基であり得る。好ましい実施形態において、この基はトリフルオロメチル−フェニル基であり得、好ましくは3−トリフルオロメチル−フェニル基であり、そしてムチン合成またはムチンレベルを減少させる分子は、フルフェナム酸である。別の好ましい実施形態において、このアミノ基は、2,3−ジメチル−フェニル基で誘導体化され得、そしてムチン合成またはムチンレベルを減少させる分子は、メフェナム酸である。当業者は、アントラニル酸の他のフェニル誘導体が、本発明において使用され得ることを理解する。他の好ましい実施形態において、安息香酸環は、一つ以上の置換基を含み得る。好ましい実施形態において、安息香酸環およびアミノ基の両方が、改変され得る。他の好ましい実施形態は、アミノ基に結合した安息香酸環および芳香族基上に置換基を有する分子を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、ムチン合成を減少させる式Iの化合物は、2−アミノ−ニコチン酸のアナログおよび誘導体を含む。いくつかの実施形態において、環外アミノ基は、一つ以上の基を含むよう改変され得る。いくつかの好ましい実施形態において、この環外アミノ基は、芳香族基で改変され得る。適切な芳香族基としては、フェニル基、改変フェニル基、ベンジル基、改変ベンジル基などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、この芳香族基は、3−トリフルオロメチル−フェニル基であり得、そして2−アミノニコチン酸の誘導体は、ニフルム酸である。
【0038】
いくつかの実施形態において、ムチン合成を減少させる式Iの化合物は、2−アミノ−フェニル酢酸のアナログおよび誘導体であり得る。いくつかの実施形態において、アミノ基は、一つ以上の基を含むよう改変され得る。いくつかの実施形態において、このアミノ基は、芳香族基で改変され得る。適切な芳香族基として、フェニル基、改変フェニル基、ベンジル基、改変ベンジル基などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、この2−アミノ−フェニル酢酸は、2,6−ジクロロフェニル基でN−改変され、そしてムチン合成またはムチンレベルを減少させる分子は、タルニフルメートである。
【0039】
いくつかの実施形態において、ムチン合成またはムチンレベルを減少させる式Iの化合物は、ベンドロフルメサイアジドであり得る。
【0040】
本発明の一つの局面は、式II:
【0041】
【化10】

の構造を有する新しい化学実体に関する。
【0042】
ここで、XはS、N、OまたはCRであり;YはCRR’、O、NR、CRR’−CRR’またはCR=CRであり;ZはNR、O、S、CRR’またはCRR’−CRR’であり;R〜Rは、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、ハロ置換アルキルおよびハロからなる群より独立して選択され;R
【0043】
【化11】

であり;
Qは、CR、NRまたは
【0044】
【化12】

であり;
はHまたはベンジルであり;Rは、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、OHまたはハロであり;ならびにRおよびR’は、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、OHまたはハロである。
【0045】
式IIの化合物は、ムチンの生成により特徴付けられる疾患を処置する方法において有用である。式IIの化合物を含む薬学的組成物がまた、企図される。慢性副鼻腔炎、喘息、慢性気管支炎、炎症性肺疾患、嚢胞性繊維症ならびに、急性または慢性の呼吸器感染症および慢性閉塞性肺疾患からなる群より選択される疾患を有する被験体を処置する方法がまた、本発明により企図され、このような方法は、このような処置を必要とする被験体に、有効量の式IIの化合物を投与する工程を包含する。
【0046】
本発明はまた、ムチン合成またはムチンレベルを減少させる、上記の分子の一つ以上のプロドラッグの使用を企図する。本明細書に定義される場合、プロドラッグとは、上記のものとは違った形態において投与され、そして被験体の生体内において記載される形態に変化する分子である。好ましいプロドラッグとして、フェナメート(fenamate)のプロドラッグが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの好ましいプロドラッグは、ムチン合成またはムチンレベルを減少させる分子の酸形態のエステルである。好ましいエステルとして、NFAのエステル(例えば、β−モルホリノエチルエステル、モルニフルメートおよびフタリジルエステル、タルニフルメート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
定義「アルキル」とは、直鎖、分枝鎖または環状基を含む飽和脂肪族炭化水素をいう。好ましくは、このアルキル基は1〜20個の炭素原子(数的な幅はどこでも;例えば、本明細書中に規定される「1〜20」とは、その基アルキル基(この場合)が、その基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、20個までの炭素原子を含み得ることを意味する)を有する。より好ましくは、1〜10個の炭素原子を有する中間サイズのアルキル基である。最も好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル基である。このアルキル基は、置換されていても置換されていなくともよい。置換されている場合、各置換基は、好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシおよびホスホネートから一つ以上個々に選択される。
【0048】
「スチリル」基とは、−CH=CH−アリール基をいう。
【0049】
「トリフルオロメチル」基とは、−CF基をいう。
【0050】
「アリール」基とは、完全共役π電子系を有する、全て炭素である単環基または縮合環多環(すなわち、環は炭素原子の隣接する対を共有する)基をいう。アリール基の例は、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルであるが、これらに限定されない。このアリール基は、置換されていても置換されていなくともよい。置換されている場合、各置換基は、好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアルキルエステルから一つ以上選択される。
【0051】
「ハロゲン」基とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素をいう。
【0052】
「シクロアルキル」基とは、全て炭素である単環基または縮合環(すなわち、環は炭素原子の隣接する対を共有する)基をいい、ここで、一つ以上のこの環は、完全共役π電子系を有さない。このシクロアルキル基の例は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、アダマンタン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタンおよびシクロヘプタトリエンであるが、これらに限定されない。シクロアルキル基は、置換されていても置換されていなくともよい。置換されている場合、各置換基は、好ましくは、ハロゲンおよびヒドロキシから、個々に一つ以上選択される。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」基とは、環において窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される一つ以上の原子を有し、そしてさらに、完全共役π電子系を有する、単環基または縮合環(すなわち、環は炭素原子の隣接する対を共有する)基をいう。このヘテロアリール基の例は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、プリンおよびカルバゾールであるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換されていても置換されていなくともよい。置換されている場合、各置換基は、好ましくは、ハロゲンおよびヒドロキシから、個々に一つ以上選択される。
【0054】
「ヒドロキシル」基とは、−OHである。
【0055】
「アルキルエーテル」基とは、−O−アルキル基であり、ここで用語「アルキル」は上記に定義される。
【0056】
「アリールエーテル」基または「アリールオキシ」基とは、−O−アリール基であり、ここで用語「アリール」は上記に定義される。
【0057】
「アミン」基とは、−NH基または−NH−基である。
【0058】
「アルキルアミン」基とは、−NHアルキル基であり、ここで用語「アルキル」は上記に定義される。
【0059】
「アリールアミン」基とは、−NHアリールであり、ここで用語「アリール」は上記に定義される。
【0060】
「アルキルエステル」基とは、−C(O)Oアルキルであり、ここで用語「アルキル」は上記に定義される。
【0061】
「アリールエステル」基とは、−C(O)Oアリールであり、ここで用語「アリール」は上記に定義される。
【0062】
「アルキルスルホンアミド」基とは、−SONHアルキルであり、ここで用語「アルキル」は上記に定義される。
【0063】
「アリールスルホンアミド」基とは、−SONHアリールであり、ここで用語「アリール」は上記に定義される。
【0064】
「チオール」基とは、−SH基である。
【0065】
「アルキルチオエーテル」基とは、−S−アルキル基であり、ここで用語「アルキル」は上記に定義される。
【0066】
「アリールチオエーテル」基または「アリールチオ」基とは、−S−アリール基であり、ここで用語「アリール」は上記に定義される。
【0067】
「スルホキシド」基とは、−SO−基である。
【0068】
「スルホン」基とは、−SO−基である。
【0069】
「アルキルスルホン」基とは、−SOアルキルであり、ここで用語「アルキル」は上記に定義される。
【0070】
「アリールスルホン」基とは、−SOアリールであり、ここで用語「アリール」は上記に定義される。
【0071】
「アルキルスルホキシド」基とは、−S(O)アルキルであり、ここで用語「アルキル」は上記に定義される。
【0072】
「アリールスルホン」基とは、−S(O)アリールであり、ここで用語「アリール」は上記に定義される。
【0073】
「カルボンキシレート」基とは、−COH基である。
【0074】
「アルキルキシレート」基とは、−アルキル−COHである。
【0075】
「サルフェート」基とは、−OSO基である。
【0076】
「スルホネート」基とは、−SO(OR)基である。
【0077】
「ホスフェート」基とは、−OPO基である。
【0078】
「ホスホネート」基とは、−P(O)(OR)基であり、ここでRはH、アルキルまたはアリールである。
【0079】
「カルボン酸のアミド」基とは、−CONR’R”基であり、ここでR’およびR”は独立してH、アルキルまたはアリールである。
【0080】
「カルボン酸のエステル」基とは、−COR’基であり、ここでR’はアルキルまたはアリールである。
【0081】
「リン酸のアミド」基とは、−OPONR’R”基であり、ここでR’およびR”は独立してH、アルキルまたはアリールである。
【0082】
「リン酸のエステル」基とは、−OPOOR’基であり、ここでR’は、アルキルまたはアリールである。
【0083】
「スルホン酸のアミド」基とは、−OSONR’R”基であり、ここでR’およびR”は独立してH、アルキルまたはアリールである。
【0084】
「スルホン酸のエステル」基とは、−OSOOR’基であり、ここでR’は、アルキルまたはアリールである。
【0085】
「ホスホン酸のアミド」基とは、−PONR’R”基であり、ここでR’およびR”は独立してH、アルキルまたはアリールである。
【0086】
「ホスホン酸のエステル」基とは、−POOR’基であり、ここでR’は、アルキルまたはアリールである。
【0087】
「スルホンアミド」基とは、−SONR’R”基であり、ここでR’およびR”は独立してH、アルキルまたはアリールである。
【0088】
「ホスホンアミド」基とは、−NR’−POHである。
【0089】
「ヒドロキサム酸」基とは、−C(O)NHOH基である。
【0090】
ムチンインヒビターとして有用な特定の化合物:以下の化合物を合成し、ムチン合成のインヒビターとしての活性を有すると決定された。
【0091】
【化13】

ムチンの生成を調節する薬剤の使用:実施例において提供されるように、ムチンの発現を調節、減少またはダウンレギュレートする薬剤が、ムチン生成に関連する生物学的プロセスおよび病理学的プロセスを調節するために使用され得る。
【0092】
出願人らは、IL9が、ムチン遺伝子産物の発現を選択的に誘発していることを観察した。したがって、IL9についての多面的な役割(これは多くの抗原誘発応答に対して重要である)は、AECにおけるムチンのアップレギュレーションに、部分的に依存している。IL9の機能が中和抗体処理によりダウンレギュレートされている場合、動物は、肺における抗原誘発応答から完全に保護され得る。これらの応答として:気管支の応答性亢進、気管支洗浄における好酸球増加症および細胞計数の上昇、血清IgEの上昇、炎症に関連する肺における組織学的変化、ならびに粘液の過剰生成に関連する杯細胞および粘膜下細胞の異常増殖が挙げられる。IL9のダウンレギュレーションおよび喘息様応答は、ムチンの発現のダウンレギュレーションと関連している(図10)。したがって、喘息の病原の根底にあり、そしてこの障害に関連するアレルギー性炎症を特徴付けるこのような応答の、ムチン生成のダウンレギュレーションによる処置は、本発明の範囲内である。
【0093】
IL9トランスジェニックマウス気道の組織学的分析は、非繊毛性上皮細胞におけるムチン過剰生成を示した(Temannら、1998;Louahedら、2000)。IL9トランスジェニックマウス肺におけるムチンの誘発は、IL9がこれらの細胞による粘液の生成を促進することを示唆する(図8を参照のこと)。MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5BおよびMUC5ACのmRNAを発現する、活性型Caco2細胞が生成され、そしてムチン生成のインヒビターについて試験するために使用されてきた。これらの細胞は、過ヨウ素酸シッフ染色(Periodic Acid−Schiff staining、PAS)を使用してムチンについて染色され得る。図1Aに示されるように、未処理の活性型Caco2細胞は、PAS陽性ムチン複合糖質に対して集中的に染色する。コントロールおよび活性型細胞は、ニフラム酸(NFA)または4,4’−ジイソチオシアノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸(DIDS)の存在下で培養された。インヒビター処理した活性型細胞のPAS染色は、未処理細胞と比較して、複合糖質の有意に少ない陽性染色を明らかにした(図1Bに図1Dを比較した)。
【0094】
ムチンダウンレギュレーションについての治療の可能性が喘息において同定されてきたが、出願人らはまた、嚢胞性繊維症におけるムチンのダウンレギュレーションについての治療の可能性を認識してきた。嚢胞性繊維症を有する患者は、気道閉塞およびその後のコロニー化を引き起こし、そして吸入された病原性の微生物により感染される、濃い分泌物により特徴付けられる肺疾患により活動が妨げられる(Engら、1996)。ゆえに出願人らは、肺におけるムチン生成をダウンレギュレートすることによる嚢胞性繊維症を処置するための方法を提供する。
【0095】
嚢胞性繊維症におけるムチン過剰生成はまた、消化管に消化酵素を送達する膵管においても存在し、吸収不良症候群、脂肪便および下痢を生じる。ゆえに出願人らはまた、膵臓におけるムチン生成をダウンレギュレートすることによる嚢胞性繊維症を処置するための方法を提供する。
【0096】
出願人らはまた、慢性気管支炎および肺気腫におけるムチンのダウンレギュレーションについての治療の可能性を同定してきた。慢性気管支炎および肺気腫を有する患者は、気道閉塞およびその後のコロニー化を引き起こし、そして吸入された病原性の微生物により感染される、濃い分泌物により特徴付けられる肺疾患により活動が妨げられる(Engら、1996)。ゆえに出願人らは、肺におけるムチン生成をダウンレギュレートすることによる慢性気管支炎および肺気腫を処置するための方法を提供する。
【0097】
本明細書中で使用される場合、被験体は、ムチン生成により媒介される病理学的プロセスまたは生物学的プロセスを調節する必要がある限り、任意の哺乳動物であり得る。用語「哺乳動物」とは、哺乳類綱に属している個体として意味付けられる。本発明は、ヒト被験体の処置において特に有用である。
【0098】
病理学的プロセスとは、悪影響を生じる生物学的プロセスの範疇をいう。例えば、本発明のムチン過剰生成は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺疾患、嚢胞性繊維症および、急性または慢性の感染症を含む呼吸器疾患に関連し得る。COPDとして、気管支炎、喘息および肺気腫が挙げられるが、これらに限定されない。ムチン過剰生成はまた、胃腸疾患(例えば、嚢胞性繊維症において存在する吸収不良症候群、脂肪便および下痢)に関連し得る。
【0099】
本明細書中で使用される場合、薬剤は、その薬剤が病態プロセスの程度または重篤度を低減させる場合に、病態プロセスを調節すると言われる。例えば、気道閉塞は、ムチン合成、ムチンのレベルおよび/または過剰生成を何らかの方法で低減または調節する薬剤の投与により、予防され得るか、または、疾患の進行が調節され得る。
【0100】
治療的組成物:本発明の薬剤は、単独でまたは特定の病態プロセスを調節する他の薬剤と組み合わせて提供され得る。例えば、本発明の薬剤は、抗喘息剤と組み合わせて投与され得る。別の実施形態において、薬剤は去痰剤、粘液溶解剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤または鬱血除去剤と組み合わせて投与され得る。さらに別の実施形態において、薬剤は、界面活性剤、安定剤、吸収亢進剤、βアドレナリンレセプターまたはプリンレセプターのアゴニストあるいは香料付加剤または組成物の嗜好性を増大させる他の薬剤と共に投与され得る。一つの例として、本発明の組成物は、活性剤に加えて去痰剤(例えば、グアイフェネシン)、安定剤(シクロデキストラン)および/または吸収亢進剤(例えば、キトサン)を含み得る。任意のこのような薬剤は、本発明の組成物中に使用され得る。
【0101】
本明細書中で使用される場合、二つ以上の薬剤は、この薬剤が同時に投与されるか、または薬剤が同時に作用するような様式において独立して投与される場合に、組み合わせて投与されると言われる。
【0102】
本発明の処置方法において使用される化合物は、処置されるべき状態、部位特異的処置の必要性、投与されるべき薬物の量の考慮および類似の考慮に依存して、全身的にあるいは局所的に投与され得る。例えば、本発明の薬剤は、非経口経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、経皮経路、局所経路または舌下経路を経由して投与され得る。あるいは、または同時に、投与は経口経路または経鼻経路によるかあるいは肺に直接になされ得る。好ましい実施形態において、本発明の化合物は吸入により投与され得る。吸入治療のために、この化合物は液体エアロゾル、定量式吸入器による投与のために有用な溶液中にあり得、あるいは乾燥粉末吸入器のために適切な形態であり得る。投与される用量は、レシピエントの年齢、健康および体重、併用の処置の種類、ある場合はその処置の頻度、ならびに所望の効果の性質に依存する。
【0103】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の薬剤はエアロゾルとして処方され得る。薬学的エアロゾルの処方は、当業者に慣習的である。例えば、Sciarra,J. Remington:The Sciences and Practice of Pharmacy 第19版、95章、Mack Publishing Company、Easton、PAを参照のこと。この薬剤は、溶液エアロゾル、乾燥粉末の分散または懸濁エアロゾル、エマルジョンまたは半固体調製物として処方され得る。このエアロゾルは、当業者に公知である任意の噴霧システムを使用して送達され得る。このエアロゾルは例えば経鼻吸入により、上部気道に、もしくは気道下部または両方に適用され得る。
【0104】
本発明の他の好ましい実施形態において、治療剤は粒子中に処方され得、またはバイオアベイラビリティおよび消化吸収を改善するために微粉化され得る。特に、タルニフルメートは、当該分野において標準的な技術(Chaumeil,J.C.ら、Methods Find.Exp.Clin.Pharmacol.20(3):211−215(1998)によって議論されている方法を含む)を使用して処方され得、および微粉化され得る。このプロセスにおいて、本発明のタルニフルメートまたは他の薬剤の粉砕は、慣習の型のボールミルまたはハンマーミル中で実施され得る。これらの手順はまた、微粉化されるべき物質が熱くならないという利点を有するガス状のジェットマイクロナイザーにおける微粉化により実施され得る。
【0105】
他の実施形態において、任意の一般的な局所処方物(例えば、溶液、懸濁液、軟膏(ointment)または軟膏(salve)など)が利用され得る。このような局所処方物の調製は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesにより例示されるように、薬学的処方物の分野において詳しく記載されている。局所適用について、これらの化合物はまた粉末または噴霧、特にエアロゾル形態として投与され得た。この活性成分は、全身投与に適合される薬学的組成物中で投与され得る。公知のように、薬物が全身的に投与される場合、薬物は粉末、ピル、錠剤などとして、あるいは経口投与のためのシロップまたはエリキシル剤として調製され得る。静脈内投与、腹腔内投与または病巣内投与のために、この化合物は、注入によって投与可能である溶液または懸濁液として調製される。特定の症例において、これらの化合物を皮下または筋内注入の沈着のために、坐薬の形態あるいは徐放処方物として調製することは有用であり得る。
【0106】
組成物あるいはそこに含まれる薬剤の有効量は、ムチンの活性、機能、安定性または合成を、低減、減少またらダウンレギュレートする量である。好ましい組成物または薬剤は、ICACC塩素イオンチャネル依存性のムチンの活性、機能、安定性または合成を含む、塩素イオンチャネル依存性のムチンの活性、機能、安定性または合成を、低減、減少またらダウンレギュレートする。所定の有効量は、状態により変動し、そして特定の場合において、有効量は処置される状態の重篤度および患者の処置に対する感受性と共に変動する。それゆえ、所定の有効量は、慣用的な実験を通じ時と場所により最良に決定される。しかしながら、本発明に従う慢性閉塞性肺障害の処置において、0.001重量%と5重量%との間、好ましくは約0.01%〜1%を含む処方物は、通常治療有効量を構成すると予想される。全身投与される場合、0.01mg/体重kg/日と100mg/体重kg/日との間、しかし好ましくは約0.1mg/kg/日〜10mg/kg/日の量は、大半の場合において治療結果に効果的である。
【0107】
吸入によって投与される場合、0.01mg/体重kg/日と100mg/体重kg/日との間、しかし好ましくは約0.10mg/kg/日〜10mg/kg/日の量は、大半の場合において治療結果に効果的である。いくつかの場合において、定量式エアロゾル単位は、化合物を約0.8mgの本発明の化合物、例えばタルニフルメートを含む。この処方物で、成人のための維持用量は、約2吸入(約1.6mg)を1日2回(約3.2mg)である。
【0108】
本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリアとともに本発明の化合物を含む薬学的組成物を含む。薬学的に受容可能なキャリアは、無菌の液体(例えば、水および石油、動物油、植物油または合成起源の油(例えばピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油など)を含む油)であり得る。薬学的組成物が静脈内に投与されるか、または、吸入によって投与される場合、水は好ましいキャリアである。特にエアロゾルによる吸入のために、生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水はまた、キャリアとして利用され得る。特に注射溶液のために、乳酸生理食塩水溶液および水性ブドウ糖溶液および水性グリセロール溶液はまた、液体キャリアとして利用され得る。適切な薬学的に受容可能なキャリアは、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、1995に記載されている。
【0109】
薬理学的に活性な薬剤に加えて、本発明の組成物は、賦形剤および補助剤を含む、適切な薬学的に受容可能なキャリアを含み得、それは調製物中の活性化合物の処理を促進し、作用部位への送達のために薬学的に使用され得る。非経口的な投与のために適切な処方物として、水溶性形態(例えば、水溶性の塩)の活性化合物の水性溶液が挙げられる。さらに、適切な油状の注射用懸濁液として活性化合物の懸濁液が、投与され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルとして、脂肪油(例えば、ゴマ油または合成脂肪油エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド))が挙げられる。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘度を増大させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストラン)を含み得る。必要に応じて、この懸濁液はまた、上記のような安定剤を含み得る。リポソームはまた、細胞中に送達するために薬剤をカプセル化するために使用され得る。
【0110】
上で議論されるように、本発明によるこの全身的投与のための薬学的処方物は、経腸投与、非経口投与または局所投与のために処方され得る。実際、これら3タイプ全ての処方物は、活性成分の全身投与を達成するために同時に使用され得る。
【0111】
経口投与のための適切な処方物として、硬ゼラチンカプセルまたは軟ゼラチンカプセル、ピル、錠剤(コーティング錠を含む)、エリキシル剤、懸濁剤、シロップまたはそれらの吸入および制御された放出形態が挙げられる。経口吸入または経鼻吸入のために適切な処方物として、当該分野において周知の賦形剤を伴うか、または伴わない水性溶液が挙げられる。
【0112】
本発明の治療的または薬学的な、組成物または処方物は、容器、バイアル、吸入装置などにおいて、気管支の分泌物を薄くすること、粘液流動の増大を通じて炎症を起こした気道膜を潤滑にすること、ならびに/あるいは、粘着性の、濃厚な粘液の減少した生成および除去を促進することにより気道の排液の低下を促進する、組成物または処方物の効能を記す説明書またはラベルと共に包まれ得る。このラベルまたは説明書はまた、指示および使用法、例えば、本明細書中に記載される種々の状態(重度の喘息、慢性気管支炎、嚢胞性繊維症、上部および下部気道の感染ならびに気道または生体内の他の場所における粘着性のある粘液の残留により悪化される他の状態をやわらげることが挙げられるが、これらの限定されない)の症候の軽減の維持を記し得る。
【0113】
本発明の装置は、一つ以上の治療的組成物を、上部および/または下部気道に導入するように適合された任意の装置であり得る。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の装置は、定量式吸入器であり得る。この装置は、本発明の治療的組成物を液体、泡状または粉末の微細に分散したの霧の形態において送達するように適合され得る。この装置は、ポンプ、液化ガス、圧縮ガスなどを含むが、これらの限定されない、当業者に公知の任意の噴霧システムを使用し得る。本発明の装置は、代表的にはこれを通じて治療的組成物の流動が移動する一つ以上のバルブおよびこの流動を制御するための作動装置を備える容器を含む。本発明における使用のために適切な装置は、例えば、Remington:The Sciences and Practice of Pharmacy、第19版、95章、1676−1692ページ、Mack Publishing Co.、Easton、PA 1995において見られ得る。
【0114】
本発明の実施は、当業者の技術範囲内である分子生物学、薬理学、免疫学および生物化学の、慣習的用語および技術を使用し得る。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1985を参照のこと。
【0115】
さらなる説明無しに、当業者は、前述の説明および以下の例示的な実施例を使用して、本発明の化合物を生成および利用し得、そして特許請求される方法を実行し得ると考えられる。ゆえに以下の実用的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を特に指摘し、そして開示の残りの部分を何ら制限するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0116】
(合成実施例)
(実施例1:アントラリン酸または2−アミノニコチン酸からのムチン合成インヒビターの合成)
ムチン合成インヒビターのこのクラスの調製を、以下のスキームにより達成した:
【0117】
【化14】

(実施例2:式IIのムチン合成インヒビターのC、OおよびSアナログの合成)
ムチン合成インヒビターのこのクラスの調製を、以下の一般スキームにより達成した。これは−ケトホスホン酸塩の調製において主に異なる。ジアリールアミンを含むアナログに対して、環状無水物を調製した。メチルエステルから直接ホスホン酸塩を調製する試みは、相対的に良くない結果を生じた。収率は可変性であり、そして良くなかった。イサトイン無水物からのホスホン酸塩の調製は、改善された結果を生じた。他のジアリールエーテルアナログおよびチオエーテルアナログについてのメチルエーテルは満足な結果を生じた。
【0118】
これらの化合物についての一般的な合成スキームは以下の通りである:
【0119】
【化15】

(実施例3:B−ケトホスホン酸塩の調製)
ジメチルメチルホスホン酸塩のアニオンを、THF中で−78℃にて調製する。ブチルリチウムを、指標として添加した微量のトリフェニルメタノンと共に、ホスホン酸塩の溶液に添加する。このブチルリチウムを、シリンジによって、かすかな赤〜ピンクの呈色が残るまでゆっくりと添加する。メチルエステルまたは無水物を、反応温度を−78℃に維持して、添加漏斗によって反応液に滴加する。この反応物を、代表的には無水物のエステルが薄層クロマトグラフィー(TLC)によって現われなくなるまで−78℃で攪拌させる。ホスホン酸塩を、種々の有機物への反復抽出により単離する。これらの化合物の極性は、しばしば十分な回復のためにそれらを水性層から塩析されることを必要とする。有機層をNaSOで乾燥させ、そして溶媒を減圧で取り除く。この方法で単離した粗製の生成物は、多くの場合において、さらに精製すること無く反応を継続するのに十分な純度である。
【0120】
(実施例4:α,β−不飽和ケトンの調製)
ホスホン酸塩カルボアニオンを、代表的にはNaOtBuを塩基として使用して、THF中でケトホスホン酸塩から調製する。ホスホン酸塩エステルおよび塩基を、THF中で0℃〜室温にてあらかじめ混ぜておく。塩基が溶解した後、アルデヒドの添加前に、反応物を約5分間室温で攪拌させる。反応は、代表的には室温で24時間以内に完了に達する。
【0121】
(実施例5:ラクトンおよび遊離酸の調製)
ラクトンを、好ましくは安息香酸2−カルボキシアルデヒドの4−メトキシベンジルエステルから調製する。ラクトンを、最小限のCHCl/TFA 50/50中に溶解させる。溶液は、反応が進むにつれて、迅速に赤色〜紫色の色合いを帯びる。開裂を、大半の例について最初の15分以内に完了した。閉環を、反応において自発的に進行させ、そして精密検査する。精密検査は、反応の内容物をHOおよび適切な有機物を含む分液漏斗に注ぐ工程を包含する。有機物を、TFAのバルクを取り除くために水で繰返し洗浄する。有機物をNa2SO4で乾燥させ、そして濾過する。溶媒を減圧下で取り除く。残渣は、通常任意の数の溶媒からの、十分な収率の純度においてラクトンを単離するために再結晶化され得る。
【0122】
遊離酸を、実施例1のベンジルエステルから生成する。この経路は、ラクトンおよび遊離酸の両方を、ベンジルエステルの水素付加と比較したオレフィンの水素付加の相対速度の関数として提供する。反応を、代表的には、エタノールエチル酢酸混合物中で還流で実施する。ギ酸を、還元剤として、そして炭素上のPdを触媒として使用する場合、ラクトンはあったとしても非常にゆっくりと飽和遊離酸に還元されるのみである。類似の状況下で、ギ酸アンモニウムを還元剤として使用する場合、反応はより激しく、そしてラクトンはさらに飽和遊離酸へと還元され得るが、ニコチン酸系は、仮に存在しても還元されない。
【0123】
(実施例6:スルホンアミドアナログの調製)
スルホンアミドアナログを、実施例1および5において使用した化学に類似する化学により調製した。主要な差異は、スルホンアミドを2−安息香酸カルボキシアルデヒドのカルボキシレート官能性に置換することである。アナログビルディングブロックを、以下:
【0124】
【化16】

に示される経路によってサッカリンから調製する。
【0125】
(生物学的実施例)
(実施例1:NFAは、ムチンを過剰生成するように活性化されたCaco2細胞によるムチン精製を阻害する)
MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5BおよびMUC5ACのmRNAを発現する活性型Caco2細胞を生成し、ムチン生成のインヒビターについての試験に使用した。これらの細胞は、過ヨウ素酸シッフ染色(PAS)を使用してムチンに対して染色し得る。図1に示されるように、Caco2コントロール細胞は、点在する2、3の複合糖質小胞により基底のPAS染色を示したが(パネルA)、Caco2細胞の活性化は、PAS陽性ムチン複合糖質の数および強度を劇的に増大させた(パネルB)。活性型Caco2細胞を、ニフラム酸(NFA)または4,4’−ジイソチオシアノスチルビン−2,2−ジスルホン酸(DIDS)の存在下で培養した。所定の濃度(NFAに対して100(mおよびDIDSに対して300μm)において、インヒビター処理した活性型Caco2細胞のPAS染色は、未処理細胞と比較して、有意に少ないムチン複合糖質の陽性反応を明らかにした(図1Bと比較した図1D)。さらに、コントロール細胞においてみられた僅かな染色をまた阻害した(図1Aと比較した図1C)。活性型Caco2細胞によるムチン生成をまた、他のフェナメート(例えば、フルフェナメート(FFA)、トルフェナメート(TFLA))によって、そして部分的にメフェナメート(MFA)およびメクロフェナメート(MLFA)によって阻害し得た(図2)。関連する化合物であるナプロキセン(MMNA)およびスリンダクは、無効性であった。NFA処理細胞におけるこの減少したムチン生成は、それらの生存度がNFAのさらに高い濃度によってので影響されないため、細胞の生理学的状態の劇的な変化に起因していなかった(図3)。まとめると、この結果は、これらの薬物が上皮の活性化を阻害することに一致する。さらに、この結果はNFAおよびそのアナログ(図11に示されるフェニルアントラニル酸誘導体)、DIDSおよびSIDSの、多発性慢性閉塞性肺疾患の特徴である粘液過剰生成に対する直接的な効果をはっきりと実証する。
【0126】
(実施例2:NFAはムチンを過剰生成するように活性化されたCaco2細胞によるエオタキシン生成を阻害する)
エオタキシンを発現および分泌する活性型LHL4細胞を生成し、そしてエオタキシン生成のインヒビターについての試験に対して使用してきた。これらの細胞を、当該分野において周知のELISA技術(R&D Systems)によりエオタキシンについてインビトロでアッセイした。図4において示されるように、活性型LHL4細胞を、ニフラム酸(NFA)の漸増濃度が無い場合(コントロール)またはある場合において培養した。エオタキシン生成の有意な阻害を、NFAの漸増濃度と共に記述した。同一の実験において、DIDSおよびSIDSによる類似の阻害が観察された。Mad/C3細胞は、NFA、DIDSおよびSIDSによるエオタキシン生成の類似の阻害を示した。まとめると、これらの結果は、エオタキシン生成に対するNFAの直接的な効果をはっきりと実証した。
【0127】
(実施例3:National Cancer InstituteまたはJackson Laboratories(Bar Harbor ME)から購入した、DBA、C57B6およびB6D2F1系統の、NFA適格のウイルスを含まない雄性マウスおよび雌性マウスによる喘息のマウスモデルにおけるムチン過剰生成の阻害)
IL−9トランスジェニックマウス(Tg5)およびそれらの親系統(FVB)を、Ludwing Institute(Brussels、Belgium)から得た。動物を、高性能で、粒子状のフィルター処理がされた空気の施設で飼育し、実験操作に先立って3〜7日間食餌および水を自由摂取させた。この動物施設を、22℃に維持して、そして明:暗サイクルを自動制御(10:14時間 明:暗)した。
【0128】
(表現型および前処理の効果)
動物は、前処理を受けなかったかまたは気管支炎応答性亢進、気管支肺胞の洗浄流体の組成、ムチン生成および血清IgEに対する前処理の効果を評価するために、Aspergillus fumigatus抗原の経鼻吸引により感作されたかのいずれであった。マウスを、Aspergillusまたは生理食塩水で経鼻的にチャレンジし(0日目、7日目、14日目、21日目および22日目に)、そして最後の投薬から24時間後に表現型を分類した。感作マウスを、0日目〜21日目に気管内滴下(IT)によりPBSまたは100(gのNFAいずれかで処理した。肺における粘液生成およびムチン発現の阻害を、NFAの処理効果を評価するために使用し、また他の薬物候補の処理効果を評価するために使用し得た。気管支収縮性の応答を決定するために、呼吸器系の圧力を、気管で測定し、薬物に対する曝露前および曝露中に記録した。マウスを麻酔し、そして既に記載のように機器を備えた(Levittら、1988;LevittおよびMitzner、1989;Kleebergerら、1990;Levitt、1991;LevittおよびEwart、1995;Ewartら、1995)。気道応答は、以下の一つ以上に対して測定する:5−ヒドロキシトリプタミン、アセチルコリン、アトラクリウムまたはサブスタンス−Pアナログ。気管支収縮チャレンジ後の呼気性の最大圧力における変化の、単純かつ再現可能な測定を、Airway Pressure Time Index(APTI)と呼んで使用した(Levittら、1988;LevittおよびMitzner、1989)。このAPTIを、注入時から最大圧力が基線またはプラトーに戻るまで統合した、最大呼吸圧における変化により評価した。このAPTIは、気道抵抗性と比較され得るが、しかしながら、このAPTIは気管収縮からの回復に関連する、さらなる成分を含む。
【0129】
屠殺前に、麻酔した動物において下大動脈のニードルパンチによって、血清IgE測定のために全血を回収した。サンプルを、細胞を分離するために遠心分離し、そして血清を回収し、総IgEレベルを測定するために使用した。直ぐに測定しないサンプルを、−20℃で凍結した。
【0130】
すべてのIgE血清サンプルを、ELISA抗体−サンドイッチアッセイを使用して測定した。マイクロタイターのプレートを、1ウェルあたり50μlのラット抗マウスIgE抗体(Southern Biotechnology)を、アジドナトリウムと共に、炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウムのコーティング緩衝液中に2.5(g/mlの濃度でコーティングした。プレートを、プラスチックのラップでカバーし、4℃で16時間インキュベートした。このプレートを、各洗浄に対して5分間インキュベートしながら、リン酸緩衝化生理食塩水中0.05%Tween−20の洗浄緩衝液で3回洗浄した。非特異的結合部位のブロッキングを、プラスチックのラップでカバーし、そして37℃で2時間インキュベートしながら、1ウェルあたり200μlの、リン酸緩衝化生理食塩水中5%のウシ血清アルブミンの添加によって達成した。洗浄緩衝液で3回洗浄後、二連の50μlの試験サンプルを、各ウェルに添加した。試験サンプルを、洗浄緩衝液中5%のウシ血清アルブミンで、1:10、1:50および1:100に希釈後、アッセイした。試験サンプルに加えて、一連のIgE標準物(PharMingen)を、洗浄緩衝液中5%のウシ血清アルブミン中0.8ng/ml〜200ng/mlの濃度でアッセイして標準曲線を作成した。サンプルも標準物も含まないブランクを、プレートリーダーをゼロに合わせるために使用した(バックグラウンド)。サンプルおよび標準物の添加後、プレートをプラスチックのラップでカバーし、そして室温で2時間インキュベートした。洗浄緩衝液で3回洗浄後、50μlの2次抗体ラット抗マウスIgE西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体を、洗浄緩衝液中5%のウシ血清アルブミン中250ng/mlの濃度で添加した。このプレートをプラスチックのラップでカバーし、そして室温で2時間インキュベートした。洗浄緩衝液で3回洗浄後、100(lの0.1Mクエン酸緩衝液中基質0.5mg/mlのo−フェニレンジアミンを、各ウェルに添加した。5〜10分後に、反応を50(lの12.5%硫酸で停止し、そして吸光度をMR5000プレートリーダー(Dynatech)において490nmで測定した。標準曲線を、標準物のIgE濃度から抗原濃度をX軸(対数目盛り)に、そして吸光度をY軸(均等目盛り)にとって作成した。サンプルにおけるIgEの濃度を、標準曲線から内挿した。
【0131】
気管支肺胞洗浄(BAL)および細胞の分析を、前述のようの実施した(Kleebergerら、1990)。肺の組織学的研究を、肺をインサイチュで固定剤で満たし、そしてホルマリン中に置くか、あるいは摘出し、そして即時に液体窒素中で凍結させるかのいずれかの後に実施した。先の計測は作為的であり得るため、これらの研究について分類した動物を使用した。したがって、動物の小群を、これらの動物が気管支応答試験だけでなく他の試験のために使用され無いことを除いて、種々の前処理を受ける集団としてまったく等しく、並行して処理した。気管支応答試験後、肺を取り除き、そして上記のように液体窒素中に沈めた。凍結切片化、染色、および組織学的試験を、当業者に明らかな様式で実施した。
【0132】
上皮細胞の活性化をブロックし、そしてインビトロでのムチン生成およびエオタキシン生成をダウンレギュレートするNFAを、抗原誘発ムチン生成、気管支応答、血清IgEおよび気道炎症に対して、マウスにおいてBALによって評価したように、インビボでの上皮細胞活性化の重要性を評価するために治癒的に使用した。ビヒクル処理した対応コントロールと比較した、気道応答、BAL、粘液生成および血清IgEレベルに対するNFA処理の効果を決定した。図5および図6は、NFAが気道応答性亢進およびBAL肺好酸球それぞれを抑制できるが、血清IgEレベルに対しては効果が無かったことを示す。さらに、NFAはまた、抗原曝露により引き起こされる、肺における粘液の過剰生成を抑制し得た(図7)。
【0133】
(実施例4:トランスジェニックマウスにおけるIL9による上皮細胞活性化は、粘液過剰生成およびムチン遺伝子のアップレギュレーションを生じる。薬物スクリーニングについてのモデル。)
ウイルスを含まないことが証明されている雄性および雌性のIL9トランスジェニックマウス(IL9TG−FVB/N)5〜6週齢を、本発明者らの実験室において繁殖させた。雄性および雌性のFVB/Nマウス5〜6週齢を、Jackson Laboratories(Bar Harbor ME)から購入した。動物を、高性能で、粒子状のフィルター処理がされた空気の施設で飼育し、実験処置に先立って3〜7日間食餌および水を自由摂取させた。この動物施設を、22℃に維持し、そして明:暗サイクルを自動制御(10:14時間 明:暗)した。
【0134】
(表現型分類および処理の効果)
動物を、ナイーブ、同一処理コントロールとして使用した、シャム(ビヒクル)処理または同一のビヒクルにおける薬物を気管支内(IT)受容の24時間後に表現型分類した。マウスを、3日間、1日につき1回、IT処理した。NFA(100μg)またはIL−9に対する抗体を、PBS ITにおいて投与した。処理応答を、組織学的試験(処理肺およびコントロール肺を通じて10枚以上の切片のPAS染色、または同じ肺からのMUC1、MUC2およびMUC3発現のウエスタンブロッティング)によりムチンインヒビターの評価によって測定した。図8に、IL−9トランスジェニックマウスが、コントロールFVBマウスと比較して、構成的にムチンを過剰生成することを示す。喘息性IL9トランスジェニック(図8)(ナイーブおよびビヒクルコントロール)において生じる、高レベルの構成的なムチン生成からの、FVB/N肺(正常陽性コントロール)においてみられる、ずっと低い基線のムチン生成に相当するレベルへの減少を、任意の薬物について有意であるとみなした。IL9トランスジェニックにおける粘液生成のアップレギュレーションは、RT−PCRによって示されるMUC2およびMUC5ACのmRNAレベルの定常状態の増大に特異的に関連する(図9)。
【0135】
中和IL−9抗体は、IL9トランスジェニック肺におけるムチン生成の有意な減少を産出すると示された(図10)NFAはまた、このモデルにおいてムチン生成を減少させた。
【0136】
(実施例5:タルニフルメートによる喘息のマウスモデルにおけるムチン過剰生成の阻害)
ウイルスを含まないことが証明されている雄性のB6D2F1マウス5〜6週齢を、Jackson Laboratories(Bar Harbor ME)から購入した。動物を、高性能で、粒子状のフィルター処理がされた空気の施設で飼育し、実験処置に先立って5〜7日間食餌および水を自由摂取させた。この動物施設を、22℃に維持し、そして明:暗サイクルを自動制御(12:12時間 明:暗)した。
【0137】
表現型および処理の効果。動物を、タルニフルメート含有マウス飼料または標準マウス飼料のいずれかを自由摂取させた。動物は、感作を受けなかったかまたは気管支炎応答性亢進、気管支肺胞の洗浄流体の組成、ムチン生成および血清IgEに対する前処理の効果を評価するために、Aspergillus fumigatus抗原の経鼻吸引により感作されたかのいずれである。マウスを、Aspergillusで経鼻的に誘発し(0日目、7日目、16日目および17日目に)、そして最後の投薬から24時間後に表現型を分類した。肺における粘膜生成の阻害を、タルニフルメートの処理効果を評価するために使用し、また他の薬物候補の処理効果を評価するために使用し得た。気管支収縮性の応答を決定するために、呼吸器系の圧力を、気管で測定し、薬物に対する曝露前および曝露中に記録した。マウスを麻酔し、そして既に記載のように機器を備えた(Levittら、1988;LevittおよびMitzner、1989;Kleebergerら、1990;Levitt、1991;LevittおよびEwart、1995;Ewartら、1995)。気道応答は、以下の一つ以上に対して測定する:5−ヒドロキシトリプタミン、アセチルコリン、アトラクリウムまたはサブスタンス−Pアナログ。気管支収縮の誘発後の呼気性の最大圧力における変化の、単純かつ再現可能な測定を、Airway Pressure Time Index(APTI)と呼んで使用した(Levittら、1988;LevittおよびMitzner、1989)。このAPTIを、注入時から最大圧力が基線またはプラトーに戻るまで統合した、最大呼吸圧における変化により評価した。このAPTIは、気道抵抗性と比較され得るが、しかしながら、このAPTIは、気管収縮からの回復に関連する、さらなる成分を含む。気管支肺胞洗浄(BAL)および細胞の分析を、前述のようの実施した(Kleebergerら、1990)。肺の組織学的研究を、肺を摘出し、そして即時に液体窒素中で凍結させた後に実施した。気管支応答試験後、肺を取り除き、そして上記のように液体窒素中に沈めた。凍結切片化、染色、および組織学的試験を、当業者に明らかな様式で実施した。
【0138】
処理応答を、組織化学的試験(処理肺およびコントロール肺のPAS染色)によるムチン阻害の評価によって測定した。
【0139】
タルニフルメートでの経口処理は、ムチン染色を減少させた。図15Aは、標準マウス飼料を摂取させたAsp感作マウスから得たマウス肺におけるPAS染色を示す。図15Bは、タルニフルメート含有飼料を摂取させたAsp感作マウスから得られた結果を示す。図16は、気管支肺胞洗浄により決定した、肺好酸球に対するタルニフルメートコーティングマウス飼料摂取の結果を示す。タルニフルメートは、標準マウス飼料を摂取させた感作マウスに比べて、Aspergillus fumigatusに感作したマウスから得られた好酸球細胞の数を減少させた。
【0140】
(実施例6:上皮細胞株におけるICACC−1の過剰発現は、ムチン生成を促進する)
NCl−H292細胞、ヒト肺粘液性類表皮癌細胞株を、American Type Culture Collection(Manassas VA)から購入し、そして10%FBSおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco/BRL)を補充したRPMI1640培地において培養した。この細胞を、5%CO2を追加した、加湿した、空気を含むインキュベーターにおいて37℃で増殖させた。hlCACC−1を過剰発現する安定なNCl−H292細胞細胞株を、製造者の説明書にしたがってFijin Transfectionキット(Boehringer−Mannheim)を使用して、pcDNA3−hlCACC−1の形質転換により確立した。コントロール細胞株(NCl−H292/ctl)を、同一の手順を使用して、NCl−H292細胞株にpcDNA3(ctl)を形質転換することにより生成した。hlCACC−1遺伝子の発現を、ノーザン分析によりpcDNA3−hlCACC−1形質転換体について確認した。
【0141】
s−ELLA(特異的酵素連結レクチンアッセイ)のために、細胞を、24ウェル組織培養プレートに撒き、そしてコンフルエントまで72時間培養した。上清を、1μg/ml抗MUC5A/C抗体(New marker、Fremont CA)で、あらかじめコーティングした96ウェルプレートに移し、1%BSAでブロッキングした。MUC5A/C結合抗体を、次いでHRP−レクチン(Sigma)で検出した。
【0142】
RT−PCRのために、全RNAを、製造者のプロトコールにしたがってTrizol試薬(Gibco/BRL)を使用して細胞株から単離した。RT−PCRを、全RNAの1μgを逆転写することにより、そしてcDNAをPCRによって、適切なプライマーで増幅することにより実施した。生成物を2%アガロースゲル上での電気泳動により分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。ヒトICACC−1メッセージを産生するために使用したプライマー対は:センス5’−GGCACAGATCTTTTCATTGCTA−3’(配列番号1)およびアンチセンス5’−GTGAATGCCAGGAATGGTGCT−3’(配列番号2)であり、これは182塩基を生成する。ムチンメッセージを産生するために使用したプライマー対を表1に列挙する。
【0143】
【表1】

NCl−H292細胞は、MUC1を恒常的に発現するのに対し、MUC2およびMUC5A/C mRNA発現は、基線の検出レベル以下である。図12Aは、ICACC mRNAについて増大した発現レベルを示しているpcDNA3−hlCACC−1形質転換細胞の、ノーザンブロット分析の結果を示す。ICACC−1過剰発現クローンからの全細胞溶解物のウェスタンブロット分析は、促進されたMUC2タンパク質の生成を明らかにした(図12B)。MUC5A/C発現は、ICACC−1過剰発現細胞において有意に増大していた一方、MUC1はRT−PCR分析において変化しなかった(図12C)。特異的ELLA分析はまた、非形質転換NCl−H292細胞または空のベクターで形質転換した細胞と比較して、ICACC−1発現クローンにおいてMUC5A/Cタンパク質の過剰生成を明らかにした(図12D)。
【0144】
(実施例7:hlCACC−1過剰発現NCl−H292細胞における粘液の過剰生成およびMUC 5A/C発現の阻害)
粘液複合糖質生成の決定のために、NCl−H292/ctlおよびNCl−H292/hlCACC−1(AAF 15)細胞を、24ウェルプレートにおいて3日間培養した。次いで細胞をホルマリンで固定し、そして粘液複合糖質を、AB/PAS染色(Sigma)により視覚化した。NCl−H292コントロール細胞は、点在する2、3の複合糖質ベシクルと共に基底のPAS染色を示し(図13A)、ICACCの過剰発現は、PAS陽性ムコ−複合糖質の数および強度を劇的に増大させた(図13B)。塩素イオンチャネルブロッキング研究のために、細胞を、ニフラム酸(NFA)(Sigma)を100μM濃度、メフェナム酸(MFA)を125または250(M、あるいはタルニフルメートを12.5、25または50(Mの存在下、あるいは培地単独で培養した。NFA、MFAまたはタルニフルメートで処理した細胞のPAS染色は、未処理細胞と比較して、有意に少ないムコ−複合糖質の陽性染色を示した(図13CおよびDならびに図14の挿入)。インヒビター処理したコントロール細胞のPAS染色は、未処理細胞と視覚的な差は示さなかった(図13AおよびC)。
【0145】
タルニフルメート(図14)、Nimesulide(図17)およびMSI−2079(図18、MSI−2079の構造を、図19に示す)のついてのIC50値を、hCLCA1発現H292細胞におけるMUC5A/C分泌の阻害に基いて決定した。コンフルエントな細胞を、OPTI MEMにおいて0〜250μMの濃度のインヒビターで処理した。インヒビターの添加48時間後に、分泌されたMUC5A/Cを実施例5において記載のELLAアッセイにより検出した。IC50値を、データ分析ソフトウェアGraphPad Prismで決定した。図14の挿入に、PAS染色により検出したタルニフルメート処理に対する応答における細胞内ムチンレベルを示す。
【0146】
(実施例8:CFアッセイにおけるタルニフルメートおよびアナログの効果)
機能的なCFTRタンパク質を発現しないCFマウス(CFノックアウトマウスとCF ΔF508マウスの両方)を離乳させて、浸透物質を投与して生存させた。離乳の2週間以内で、浸透物質処置を中止し、マウスを、タルニフルメート含有固形飼料またはコントロール固形飼料のいずれかに置いた。コントロール固形飼料を摂取するCFマウスは、10〜15%体重が減って死ぬか(CFノックアウト)、または、浸透物質後7日以内に動物の瀕死の状態に起因して安楽死させた(CF ΔF508)。対照的に、タルニフルメート(osあたりおよそ100mg/kgの用量)を摂取したCFマウスは、8〜12%体重が増加し、少なくとも26日間生存し、この時点で、これらのマウスを屠殺して、組織病理学を評価した(図20を参照のこと)。
【0147】
ムチン生成に対するタルニフルメート誘導体の効果をまた、上記の方法において記載したように、ELLAおよびIC50(表2)における変化について評価した。
【0148】
【表2】

タルニフルメートの所望のアナログ(図21を参照のこと)を、以下に示す反応スキームを介して合成した。ジメチルメチルホスホン酸のアニオンを、テトラヒドロフラン中で、−78℃にて、ブチルリチウムをホスホン酸に添加することによって生じた。ニフルム酸メチルエステル(1,MSI 2213)を、ホスホン酸カルボアニオンのこの溶液に添加して、β−ケトホスホン酸(2,MSI 2215)を生じた。この次の反応工程において、(2,MSI 2215)のホスホン酸カルボアニオンを、テトラヒドロフラン中の(2,MSI 2215)の溶液に塩基;tertブトキシドナトリウムを添加することによって生じる。安息香酸2−カルボキシアルデヒドのベンジルエステルを、ホスホン酸カルボアニオンを含む反応容器に添加して、α,β不飽和ケトン(3,MSI 2214)を生じた。ギ酸およびC上のPd触媒を用いる(3,MSI 2214)の交換水素付加により、所望のラクトン(4,MSI 2216)ならびにより少ない量の還元型生成物(5,MSI 2217)の2つの主要な生成物を生じた。
【0149】
(実施例9:COPDアッセイにおけるタルニフルメートの効果)
MUC2の転写を、Liら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,Vol.95,pp.5718−5723に記載されるようにモニタリングした。簡単に述べると、上皮細胞株を、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流にクローニングしたMUC2遺伝子由来プロモーター領域を含むレポーター構築物を用いてトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、無血清培地(SFM)単独でか、または、示されるように、S.aureus細菌由来のリポテイコ酸を含有する無血清培地(LTA)もしくは、アデノシンを含有する無血清培地(aden)もしくはタルニフルメートを含有する無血清培地(MSI)で処理した。次いで、細胞を溶解させ、そして、溶解物におけるルシフェラーゼの酵素活性を測定した(RLU)。タルニフルメートは、MUC2のリポテイコ酸誘導を調節した(図22を参照のこと)。これはまた、CFについての適切なモデルである。
【0150】
(実施例10:塩素イオンチャネル活性に対するタルニフルメートの効果)
図23は、塩素イオンチャネルを発現するプラスミドを用いてトランスフェクトした細胞に対するパッチクランプ実験の結果を示す。ヒト塩素イオンチャネルhlCACC−1を発現するプラスミドを用いてトランスフェクトしたNCl−H292細胞をパッチクランプ処理し、塩素イオン電流(I)をある範囲の電圧(V)にわたって測定した。実質的な塩素イオン電流は、ベースライン(四角)と比較して、2μMイオノマイシンおよび2mM カルシウムの添加により発動され(丸)、hlCACC−1の活性化を示した。5μMのタルニフルメートの添加(三角)により、正電圧における塩素イオン電流の減少を生じ、チャネル活性の阻害を示した。
【0151】
タルニフルメートで観察された結果とは対照的に、ジクロフェナクは、塩素イオンチャネル活性を阻害しなかった。マウス塩素イオンチャネルm1CACC−1を発現するプラスミドを用いてトランスフェクトしたHEK293細胞を、パッチクランプ処理し、塩素イオン電流をある範囲の電圧(V,左列)にわたって測定し、この結果を以下の表3に示す。各列は、イオノマイシンおよびカルシウムの無(−)もしくは有(+)、そして、所定の濃度のジクロフェナク(μM)の存在下での特定の正電圧において発動された電流を列挙する。実質的な電流は、最初の2列と比較して、2μM イオノマイシンおよび2mM カルシウムの添加によって発動され、イオノマイシン/カルシウム処理によるm1CACC−1の活性化を示した。例えば、100mVの正電圧において、塩素イオン電流は、39nA/pFから105nA/pFまで増加した。ジクロフェナクによるチャネル活性の阻害は、5μM〜50μMの範囲のジクロフェナク濃度では観察されなかった。100mVの正電圧において、ジクロフェナクの不在下で観察された105nA/pFと比較して、5μMのジクロフェナクは115nA/pFの電流を生じ、20μMのジクロフェナクは109nA/pFを生じ、50μMは106nA/pFを生じた。
【0152】
【表3】

(実施例11:タルニフルメート、化合物2216および化合物1〜15のIC50およびLD50
ELLA、酵素連結レクチンアッセイを用いて、hCLCA1を過剰発現するH292クローン15細胞によるムチン生成に対する化合物の阻害効果を決定した。H292クローン15細胞(hCLCA1を過剰発現するヒト肺粘膜表皮癌細胞由来のサブクローン)をコンフルエントまで増殖させ、その後、48時間にわたって、化合物の濃度を増加してインキュベートした。馴化培地を回収し、そして、以下に記載するように、ELLA測定によってMUC5AC(肺における主要な分泌ムチン)含量を決定した。96ウェルマイクロタイタープレートを、ヒトMUC5ACに対するマウスモノクローナル抗体(1−13M1,NeoMarkers)でコーティングし、次いで、試験馴化培地と共にインキュベートした。結合したMUC5ACを、MUC5ACのように高度にグリコシル化されたタンパク質に対して高い親和性を有する西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化ダイズレクチンによって検出した。ペルオキシダーゼ基質であるTMB(テトラメチルベンジン塩基)の変換を、450nmにて読み取ることによって定量した。O.D.(光学密度)の読みを、化合物の濃度に対してプロットした。直線回帰を用いて、ビヒクル処理細胞と比較した場合にO.D.が50%減少した濃度(IC50)を導いた。
【0153】
化合物の細胞毒性を決定するために、致命的な色素であるAlamar Blue(生細胞においてNADPH、FADHおよびシトクロームのような呼吸性酵素によって還元され得る)を、1%の最終濃度にて2時間、化合物処理した細胞(上記参照のこと)に添加した。酸化型Alamar Blueの還元により、キャブが530nm(励起波長)および590nm(放射波長)において測定される蛍光放射を生じた。LD50を、ビヒクル処理細胞と比較した場合に、蛍光の読みが50%減少した濃度として規定する。理想の化合物は、低いIC50と高いLD50を有するべきである。
【0154】
細胞内(貯蔵)ムチンに対する化合物の阻害効果を決定するために、化合物処理細胞を、糖タンパク質を染色する過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色で染色した。ムチンは、呼吸器細胞における主要な糖タンパク質なので、この染色により、細胞内ムチンの間接的な定量的評価が得られる。
【0155】
【表4】

本発明は、種々の特定の物質、手順および実施例を参照して本明細書中に記載および例示されてきたが、本発明は、その目的のために選択される物質および手順の特定の組み合わせに限定されないことが理解される。多数の種々のこのような詳細が、当業者に理解されるものとして含意され得る。本出願を通じて引用された全ての特許、特許出願および他の参考文献は、その全体において参考として本明細書中に援用される。
【0156】
(参考文献)
以下の参考文献は、本出願において全ての参考文献、特許または特許出願が言及されるように、その全体において参考として本明細書中に援用される:
【0157】
【表5−1】

【0158】
【表5−2】

【0159】
【表5−3】

【0160】
【表5−4】

【0161】
【表5−5】

【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図1は、ムチン生成に対するNFAの効果を示す。NFAインヒビターは、インビトロでムチンの過剰生成をブロックする。
【図2】図2は、NFAおよび種々の化合物の活性型Caco2細胞によるムチンの過剰生成を抑制する能力を示す。この図は、フェナメートによる活性型Caco2細胞におけるムチン生成の阻害を示す。
【図3】図3は、NFAでの活性型Caco2細胞株の処理が、それらの生存度に影響しなかったことを示す。この図は、NFAが上皮細胞の増殖に影響しないことを示す。
【図4】図4は、ケモカインであるエオタキシンの、上皮細胞増殖の阻害を示す。この図は、NFAがケモカイン生成を含む上皮細胞活性化をブロックすることを示す。
【図5】図5は、NFAの気管内投与が、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)と比較して、抗原誘発応答性亢進(Af+NFA)を抑制することを示す。この図は、NFAが気道応答性亢進を含む上皮抗原応答をブロックすることを示す。
【図6】図6は、NFAの気管内投与の結果を示す。この図は、NFAが、インビボで抗原誘発肺好酸球を低減させることを示す。これは、NFA(Af+NFA)の存在下においてAspergillusで活性化した後の好酸球と、NFAリン酸緩衝化生理食塩水(Af+PBS)の非存在下において活性化した後の好酸球とを比較することにより見られる。
【図7】図7は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)と比較した、粘液(ムチン複合糖質)における抗原誘発の増加に対するNFAの気管内投与(Af+NFA)の結果を示す。この図は、NFAが、曝露マウスの肺において抗原に起因する増大したムチン発現をブロックすることを示す。
【図8】図8は、気道において恒常的にムチンを過剰生成するIL9トランスジェニックマウスを、コントロールFVBマウスと対比して示す。
【図9】図9は、IL9トランスジェニックの肺におけるムチンの恒常的な過剰発現が、マウスのバックグラウンド染色(FVB/NJ)と比較して、MUC2およびMUC5ACの定常状態の転写物の特異的なアップレギュレーションに関連していることを示す。この図は、特異的ムチン遺伝子が、IL−9トランスジェニックマウスの肺においてアップレギュレートされていることを示す。
【図10】図10は、抗IL−9抗体の、抗原曝露マウスの肺におけるムチン過剰生成に対する効果を示す。この図は、中和がIL−9抗体が、抗原曝露マウスにおいてムチン過剰生成を妨げることを示す。
【図11】図11は、ムチン生成をブロックする化合物のための一般式Iを示し、ここで:X〜XはC、S、O、およびNからなる群より独立して選択され;R〜R11はハロゲン、アルキル、アリール、トリフルオロメチル、置換アルキル、置換アリール、ハロゲン、ハロゲン置換アルキル、ハロゲン置換アリール、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルキルエーテル、アリールエーテル、アミン、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルエステル、アリールエステル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、チオール、アルキルチオエーテル、アリールチオエーテル、アルキルスルホン、アリールスルホン、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシドおよびスルホンアミドからなる群よりそれぞれ独立して選択され;RおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRあるいはRおよびRは、それが結合する原子とともに、シクロアルキル環、アリール環およびヘテロアリール環を形成し;Yは、C(O)R(ここでRはアリール、ホスホン酸塩、スチリルおよび3H−イソベンゾフラン−1−オン−3−オキシルおよび3H−イソベンゾフラン−1−オン−3−イルからなる群より選択される置換基である)、水素、カルボン酸塩、アルキルカルボン酸塩、サルフェート、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、カルボン酸のアミド、カルボン酸のエステル、リン酸のアミド、リン酸のエステル、スルホン酸のアミド、スルホン酸のエステル、、ホスホン酸のアミド、ホスホン酸のエステル、スルホンアミド、ホスホンアミド、テトラゾールおよびヒドロキサム酸からなる群より選択される置換基であり;R11およびYは、環状スルホンアミドを形成し得;ZはO、N、S、C、スルホキシドおよびスルホンからなる群より選択され、原子がS、スルホキシドまたはスルホンの場合、R10およびR11は存在せず、そして原子がNの場合、R10のみが存在することが知られており;mは0または1であり、そしてnは1または2であり;ここで、式1の化合物は、被験体においてムチン合成あるいはムチンレベルを減少させる。
【図12】図12は、NCl−H292細胞においてhlCACC−1によって誘発されるムチン発現を示す。
【図13】図13は、hlCACC−1過剰発現NCl−H292細胞における粘液の過剰発現を示す。
【図14】タルニフルメートによる粘液生成の阻害を示す。
【図15A】図15Aは、マウスにおいてタルニフルメートを経口投与した場合のタルニフルメートによるムチン過剰生成の阻害を示す。図15Aは、Aspergillus fumigatusに感作させ、標準マウス飼料を摂取させたマウスからの肺切片(H&Eで染色)を示す。
【図15B】図15Bは、マウスにおいてタルニフルメートを経口投与した場合のタルニフルメートによるムチン過剰生成の阻害を示す。図15Bは、Aspergillus fumigatusに感作させ、タルニフルメートコーティングされたマウス飼料を摂取させたマウスからの肺切片(H&Eで染色)を示す。
【図16】図16は、マウスにおいてタルニフルメートを経口投与した場合のタルニフルメートによる肺好酸球の阻害を示す。この図は、AHR373:Aspergillus fumigatusで感作したB6D2F1/J雄性マウスのBALに対するタルニフルメートマウス飼料の効果を示す。
【図17】図17は、NimesulideによるMUC5A/C分泌の阻害を示す。
【図18】図18は、MSI−2079によるMUC5A/C分泌の阻害を示す。
【図19】図19は、MSI−2079の構造を示す。
【図20】図20は、CFマウスに対するタルニフルメートの効果を示す。
【図21】図21は、MSI 2214−2217の構造を示す。
【図22】図22は、MUC2の誘発依存性リポテイコ酸に対するタルニフルメートの効果を示す。
【図23】hlCACC−1を発現する細胞における電圧の関数としての塩素電流のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)に記載の化合物であって、ここで:
【化1】

XはS、N、OまたはCRであり;
YはCRR’、O、NR、CRR’−CRR’またはCR=CRであり;
ZはNR、O、S、CRR’またはCRR’−CRR’であり;
〜Rは、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、ハロ置換アルキルおよびハロからなる群より独立して選択され;

【化2】

であり;
Qは、CR、NRまたは
【化3】

であり;
はHまたはベンジルであり;
は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、OHまたはハロであり;および
RおよびR’は、独立して、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、OHまたはハロ、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩である、化合物。
【請求項2】
以下:
【化4−1】

【化4−2】

からなる群より選択される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項4】
前記組成物が、微粉にされている、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、被験体に非経口投与、局所投与、経口投与されるか、または吸入によって投与される、請求項3または請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記局所投与される組成物が、溶液、懸濁液、ゲル、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ローションまたはシャンプーである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記経口投与される組成物が、錠剤、カプセル、シロップまたはエリキシル剤である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記非経口投与される組成物が、静脈内に、腹腔内に、病巣内に、皮下にまたは筋肉内に投与される、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
前記吸入される組成物が、液体または粉末である、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
前記吸入される組成物が、エアゾル化されている、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記吸入される組成物が、定量式吸入器または少容量ネブライザーによって投与される、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、約0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日の量で投与される、請求項5に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、約0.10mg/kg/日〜約10mg/kg/日の量で投与される、請求項5に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、少なくとも一つのさらなる治療剤をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも一つのさらなる治療剤が、抗喘息剤、去痰剤、粘液溶解剤、抗ヒスタミン、鬱血除去剤、βレセプターアゴニストおよびプリンレセプターアゴニストからなる群より選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記去痰剤が、グアイフェネシンである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、界面活性剤、吸収亢進剤、安定剤、香料付加剤および薬学的に受容可能なキャリアからなる群より選択される、少なくとも一つのアジュバントをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項18】
前記安定剤が、シクロデキストランである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記吸収亢進剤が、キトサンである、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
ムチン生成に関連する疾患状態を有する被験体の処置のための医薬の製造における、請求項1または請求項2に記載の化合物の使用。
【請求項21】
前記疾患状態が、気道疾患および消化管疾患からなる群より選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記気道疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺疾患、嚢胞性繊維症および、急性または慢性の呼吸器感染症からなる群より選択される、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
ムチン生成に関連する疾患状態を有する被験体の処置のための医薬の製造における、請求項3に記載の薬学的組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2006−513165(P2006−513165A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552028(P2004−552028)
【出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/035864
【国際公開番号】WO2004/043392
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(501097189)ジェネーラ・コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】