説明

メイクアップシミュレーションシステム

【課題】動画像に含まれるユーザの顔を少ない処理負担で正確にメイクアップできるメイクアップシミュレーションシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】メイクアップシミュレーションシステムであって、撮影した動画像を出力する撮影手段2と、出力された動画像を画像処理して出力する制御手段8と、制御手段8から出力された動画像を表示する表示手段7とを備え、制御手段8は動画像からユーザの顔を所定のトラッキングポイントに基づいて認識する顔認識処理手段と、トラッキングポイントに基づいて動画像に含まれるユーザの顔に所定のメイクアップを施して表示手段に出力するメイクアップ処理手段とを備えることにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメイクアップシミュレーションシステムに係り、特に動画像に含まれるユーザの顔にメイクアップを施すメイクアップシミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メイクアップを施す為の商品の販売等のため、実際にメイクアップを施すことなくコンピュータ上でメイクアップ後の顔をシミュレーションする技術が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1ではシミュレーション結果が静止画で表示されるため、ユーザの表情が変化した際のメイクアップ後の顔を容易に確認することができなかった。そこで、ユーザの表情の変化を捕らえた動画像内で化粧をシミュレートする技術の開発が進められている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−346627号公報
【特許文献2】特開2003−44837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載の化粧シミュレーション装置はユーザの表情の変化を口および両目に対応する画素領域で特定し、その画素領域をテンプレートマッチングにより追跡することで、フェースメークを施す化粧領域を算出している(例えば、段落[0028]参照)。このように、ユーザの表情の変化を口および両目に対応する画素領域で追跡することはコンピュータの処理負担が大きく、目を閉じた場合等への正確な対処が難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、動画像に含まれるユーザの顔を少ない処理負担で正確にメイクアップすることができるメイクアップシミュレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、ユーザの顔を撮影した動画像にメイクアップを施すメイクアップシミュレーションシステムであって、ユーザの顔を撮影して動画像を出力する撮影手段と、前記撮影手段から出力された動画像を受信し、前記動画像を画像処理して出力する制御手段と、前記制御手段から出力された動画像を表示する表示手段とを備え、前記制御手段は、前記動画像からユーザの顔を所定のトラッキングポイントに基づいて認識する顔認識処理手段と、前記トラッキングポイントに基づいて前記動画像に含まれるユーザの顔に所定のメイクアップを施して前記表示手段に出力するメイクアップ処理手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動画像に含まれるユーザの顔を少ない処理負担で正確にメイクアップすることができるメイクアップシミュレーションシステムを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるメイクアップシミュレーション装置の第一実施例の外観図である。
【図2】メイクアップシミュレーション装置の第一実施例の断面図である。
【図3】本発明によるメイクアップシミュレーション装置の第二実施例の外観図である。
【図4】メイクアップシミュレーション装置の第二実施例の断面図である。
【図5】本発明によるメイクアップシミュレーション装置の第三実施例の外観図である。
【図6】メイクアップシミュレーション装置の第三実施例の断面図である。
【図7】本発明によるメイクアップシミュレーション装置の第四実施例の外観図である。
【図8】メイクアップシミュレーション装置の第四実施例の断面図である。
【図9】本発明によるメイクアップシミュレーション装置の第五実施例の外観図である。
【図10】メイクアップシミュレーション装置の第五実施例の断面図である。
【図11】メイクアップシミュレーション装置の第五実施例のハードウェア構成図である。
【図12】メイクアップシミュレーション装置が行なう処理の概略を表したフローチャートである。
【図13】モニタに表示されるメイン画面及び操作パネルに表示される操作画面の一例のイメージ図である。
【図14】メイクアップシミュレーション装置が行なうメイクアップシミュレーション以外の処理を表すイメージ図である。
【図15】本発明によるメイクアップシミュレーションシステムの一実施例のシステム構成図である。
【図16】シミュレータメインアプリが行なう処理を表す画面イメージ図である。
【図17】メイクアップ前画像に含まれるユーザの顔のイメージ画像である。
【図18】トラッキングポイントを表す一例のイメージ図である。
【図19】メイクアップ処理パラメータファイルの一例の構成図である。
【図20】口紅処理により参照されるトラッキングポイントを示すイメージ図である。
【図21】口紅処理を示す一例のフローチャートである。
【図22】輪郭抽出処理を表す一例のイメージ図である。
【図23】輪郭抽出用画像600の唇8点及び鼻3点のトラッキングポイントと、唇8点及び鼻3点のトラッキングポイントを元に再探索して抽出した輪郭抽出用画像601のポイントとの比較画面である。
【図24】唇8点及び鼻3点のトラッキングポイントからデフォルトポイントを求める処理を表した一例のイメージ図である。
【図25】ポイント又はデフォルトポイントから輪郭を完成させる処理を表したイメージ図である。
【図26】色塗りマップ生成処理を表した一例のイメージ図である。
【図27】色塗りマップに基づく色塗り処理を表した一例のイメージ図である。
【図28】シャドウ処理により参照されるトラッキングポイントを示すイメージ図である。
【図29】シャドウ処理を示す一例のフローチャートである。
【図30】基本輪郭の生成処理を表す一例のイメージ図である。
【図31】色塗り輪郭の生成処理を表す一例のイメージ図である。
【図32】ぼかし処理を掛けていない色塗りマップと、ぼかし処理を掛けている色塗りマップとを表した一例のイメージ図である。
【図33】チーク処理により参照されるトラッキングポイントを示すイメージ図である。
【図34】チーク処理を示す一例のフローチャートである。
【図35】色塗り輪郭を表した一例のイメージ図である。
【図36】眉処理により参照されるトラッキングポイントを示すイメージ図である。
【図37】眉処理を示す一例のフローチャートである。
【図38】眉輪郭抽出処理を表す一例のイメージ図である。
【図39】変形指定に対応した指示曲線の作成処理を表す一例のイメージ図である。
【図40】ファンデーション処理により参照されるトラッキングポイントを示すイメージ図である。
【図41】ファンデーション処理を示す一例のフローチャートである。
【図42】輪郭を表した一例のイメージ画像である。
【図43】ぼかし処理前の元画像と、ぼかし処理後の元画像とを表した一例のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。図1は本発明によるメイクアップシミュレーション装置の第一実施例の外観図である。メイクアップシミュレーション装置1は、カメラ2,操作パネル4,プリンタ5,照明6及びモニタ7を含む構成である。
【0011】
カメラ2は、メイクアップシミュレーション装置1の前方に立ったユーザを撮影して動画像を出力する。操作パネル4は、操作画像を表示すると共に、ユーザからの操作を受け付けて操作情報を出力する。プリンタ5は、モニタに表示される画像(例えばメイクアップ後のイメージ画像等)及び情報(例えばイメージ画像のようにメイクアップする為の商品情報等)を印刷する。照明6は、例えばメイクアップシミュレーションが開始されたあとで調光を行う。
【0012】
図2はメイクアップシミュレーション装置の第一実施例の断面図である。メイクアップシミュレーション装置1は、カメラ2,操作パネル4,プリンタ5,モニタ7,制御部8を含む構成である。
【0013】
カメラ2は、撮影した動画像を制御部8に出力する。操作パネル4は、制御部8から出力された操作画像を表示すると共に、ユーザからの操作を受け付けて操作情報を制御部8に出力する。プリンタ5は、制御部8から出力された画像及び情報を印刷する。モニタ7は制御部8から出力された動画像(メイン画像)を表示する。制御部8は、カメラ2から出力された動画像を受信し、その動画像を後述するように画像処理することにより、動画像に含まれるユーザの顔にメイクアップを施してモニタ7に出力する。
【0014】
図1及び図2のメイクアップシミュレーション装置1は鏡というメイクアップに必要不可欠なアイテムをコンセプトとし、ユーザとのインタラクティブな機能を持つ。即ちメイクアップシミュレーション装置1は、ユーザがあたかも鏡を見ながら自然にメイクアップをしている気分にさせる特徴を持つ。
【0015】
メイクアップシミュレーション装置1はカメラ2から出力された動画像等を制御部8で画像処理し、動画像に含まれるユーザの顔にメイクアップを施して、デジタルの鏡であるモニタ7に表示する。メイクアップシミュレーション装置1は、様々な商品情報、美容情報およびユーザの顔にメイクアップを施したイメージ画像をモニタ7に表示できる。
【0016】
また、図3は本発明によるメイクアップシミュレーション装置の第二実施例の外観図である。なお、図1と同一部分については同一符号を付している。
【0017】
図3のメイクアップシミュレーション装置1は、操作パネル4,プリンタ5,照明6及び透明板9を含む構成である。透明板9は、メイクアップシミュレーション装置1の外側からの光を透過すると共に、メイクアップシミュレーション装置1の内側からの光を透過する。
【0018】
図4はメイクアップシミュレーション装置の第二実施例の断面図である。なお、図2と同一部分については同一符号を付している。図4のメイクアップシミュレーション装置1は、カメラ2,ハーフミラー3,操作パネル4,プリンタ5,モニタ7,制御部8及び透明板9を含む構成である。
【0019】
ハーフミラー(半透明鏡)3は当たった光を反射させると共に、当たった光の一部を透過させる。カメラ2はハーフミラー3,透明板9を介してメイクアップシミュレーション装置1の前方に立ったユーザを撮影可能な位置に設置されている。カメラ2は、ユーザの目線の高さに設置される。カメラ2は、ハーフミラー3,透明板9を介してメイクアップシミュレーション装置1の前方に立ったユーザを撮影して動画像を出力する。
【0020】
モニタ7はハーフミラー3,透明板9を介してメイクアップシミュレーション装置1の前方に立ったユーザが見ることのできる位置に設置されている。モニタ7から出力された光はハーフミラー3により反射し、透明板9を介してメイクアップシミュレーション装置1の外側に出力される。したがって、ユーザはモニタ7に表示されている動画像をメイクアップシミュレーション装置1の外側から見ることができる。
【0021】
図3及び図4のメイクアップシミュレーション装置1は鏡というメイクアップに必要不可欠なアイテムをコンセプトとし、ユーザとのインタラクティブな機能を持つ。即ちメイクアップシミュレーション装置1は、ユーザがあたかも鏡を見ながら自然にメイクアップをしている気分にさせる特徴を持つ。
【0022】
メイクアップシミュレーション装置1はカメラ2を目線の高さに設置している為、実施例1のカメラ2の位置に設置するよりも、メイクアップシミュレーション装置1の前方に立ったユーザの顔を自然に撮影できる。
【0023】
メイクアップシミュレーション装置1はカメラ2から出力された動画像等を制御部8で画像処理し、動画像に含まれるユーザの顔にメイクアップを施して、デジタルの鏡であるモニタ7に表示する。メイクアップシミュレーション装置1は、様々な商品情報、美容情報およびユーザの顔にメイクアップを施したイメージ画像をモニタ7に表示できる。
【0024】
また、図5は、本発明によるメイクアップシミュレーション装置の第三実施例の外観図である。なお、前図と同一部分については同一符号を付している。図5のメイクアップシミュレーション装置1は、カメラ2,ハーフミラー3,操作パネル4,プリンタ5及び照明6を含む構成である。
【0025】
ハーフミラー3は、明るい方からの光の一部(例えば50%)を透過すると共に、明るい方からの光の残り(例えば50%)を手前に反射する。暗い方に光が無いため、ハーフミラー3は暗い方からの光の透過も反射もしない。
【0026】
照明6はメイクアップシミュレーションが開始されたあと、ハーフミラー3のモニタ7側が明るくなるように調光する。したがって、モニタ7の表示方向側に設けられたハーフミラー3は、メイクアップシミュレーションが開始される前、ユーザ側(メイクアップシミュレーション装置1の外側)からの光を反射して鏡として機能する。
【0027】
ハーフミラー3はメイクアップシミュレーションが開始された後、モニタ7側(メイクアップシミュレーション装置1の内側)からの光を透過してガラスとして機能する。したがって、ユーザはハーフミラー3を通してモニタ7に表示されている動画像を見ることができる。
【0028】
図6はメイクアップシミュレーション装置の第三実施例の断面図である。図6のメイクアップシミュレーション装置1は、カメラ2,ハーフミラー3,操作パネル4,プリンタ5,モニタ7,制御部8を含む構成である。なお、前図と同一部分については同一符号を付している。モニタ7に表示された動画像はガラスとして機能しているハーフミラー3を透過する。ユーザは、モニタ7に表示されている動画像をメイクアップシミュレーション装置1の外側から見ることができる。
【0029】
図5及び図6のメイクアップシミュレーション装置1は鏡というメイクアップに必要不可欠なアイテムをコンセプトとし、ユーザとのインタラクティブな機能を持つ。即ちメイクアップシミュレーション装置1は、ユーザがあたかも鏡を見ながら自然にメイクアップをしている気分にさせる特徴を持つ。
【0030】
メイクアップシミュレーション装置1はカメラ2から出力された動画像等を制御部8で画像処理し、動画像に含まれるユーザの顔にメイクアップを施して、デジタルの鏡であるモニタ7に表示する。メイクアップシミュレーション装置1は、様々な商品情報、美容情報およびユーザの顔にメイクアップを施したイメージ画像をモニタ7に表示できる。
【0031】
また、図7は本発明によるメイクアップシミュレーション装置の第四実施例の外観図である。図8はメイクアップシミュレーション装置の第四実施例の断面図である。なお、前図と同一部分については同一符号を付している。メイクアップシミュレーション装置1はカメラ2,プリンタ5,照明6,タッチパネルモニタ15を含む構成である。
【0032】
図7及び図8のメイクアップシミュレーション装置1は、操作パネル4及びモニタ7の替わりにタッチパネルモニタ15を含む構成である点で、図1及び図2のメイクアップシミュレーション装置1と異なっている。タッチパネルモニタ15は、操作パネル4及びモニタ7として機能する。
【0033】
タッチパネルモニタ15は、操作画像を表示すると共に、ユーザからの操作を受け付けて操作情報を出力する。タッチパネルモニタ15は、制御部8から出力された操作画像を表示すると共に、ユーザからの操作を受け付けて操作情報を制御部8に出力する。タッチパネルモニタ15は制御部8から出力された動画像(メイン画像)を表示する。制御部8はカメラ2から出力された動画像を受信し、その動画像を後述するように画像処理することにより、動画像に含まれるユーザの顔にメイクアップを施してタッチパネルモニタ15に出力する。
【0034】
図7及び図8のメイクアップシミュレーション装置1は鏡というメイクアップに必要不可欠なアイテムをコンセプトとし、ユーザとのインタラクティブな機能を持つ。即ちメイクアップシミュレーション装置1は、ユーザがあたかも鏡を見ながら自然にメイクアップをしている気分にさせる特徴を持つ。
【0035】
メイクアップシミュレーション装置1はカメラ2から出力された動画像等を制御部8で画像処理し、動画像に含まれるユーザの顔にメイクアップを施して、デジタルの鏡であるタッチパネルモニタ15に表示する。メイクアップシミュレーション装置1は、様々な商品情報、美容情報およびユーザの顔にメイクアップを施したイメージ画像をタッチパネルモニタ15に表示できる。
【0036】
第四実施例のメイクアップシミュレーション装置1は、例えばユーザが使って試すテスター用の商品(以下、テスター品という)を陳列する陳列ケースを、図9及び図10のように備えるようにしてセルフ販売用の筐体として利用することもできる。図9は、本発明によるメイクアップシミュレーション装置の第五実施例の外観図である。図10は、メイクアップシミュレーション装置の第五実施例の断面図である。なお、前図と同一部分については同一符号を付している。
【0037】
メイクアップシミュレーション装置1は、カメラ2,プリンタ5,照明6,タッチパネルモニタ15,陳列ケース16及びICタグリーダライタ17を含む構成である。図9及び図10のメイクアップシミュレーション装置1は、陳列ケース16及びICタグリーダライタ17を含む構成である点で、図7及び図8のメイクアップシミュレーション装置1と異なっている。
【0038】
陳列ケース16は、複数のテスター品を陳列するものである。なお、テスター品にはIC(RFID)タグが添付されている。テスター品に添付されたICタグにはテスター品を識別可能な識別情報が格納されている。ユーザが陳列ケース16からテスター品を取り出してICタグリーダライタ17に近づけることで、ICタグリーダライタ17はICタグからテスター品の識別情報を読み取る。
【0039】
ICタグリーダライタ17はICタグから読み取ったテスター品の識別情報を制御部8に送信する。制御部8はカメラ2から出力された動画像を受信し、その動画像を後述するように画像処理することにより、ICタグから読み取った識別情報に対応するテスター品を用いて、動画像に含まれるユーザの顔にメイクアップを施したイメージ画像をタッチパネルモニタ15に出力する。
【0040】
なお、テスター品と識別情報とを対応付ける対応表はメイクアップシミュレーション装置1に備えておいてもよいし、メイクアップシミュレーション装置1からネットワーク経由で取得可能な他の装置に備えておいてもよい。
【0041】
また、図9及び図10のメイクアップシミュレーション装置1ではテスター品の識別にICタグを利用する例を示したが、バーコード,二次元コード,ラベル等を利用するようにしてもよい。さらに、図9及び図10のメイクアップシミュレーション装置1は取り出したテスター品が分かるような仕組み(例えば光センサなどのセンサを利用した位置認識など)を陳列ケース16に設けておき、陳列ケース16から制御部8に通知するようにしてもよい。
【0042】
図9及び図10のメイクアップシミュレーション装置1は鏡というメイクアップに必要不可欠なアイテムをコンセプトとし、ユーザとのインタラクティブな機能を持つ。即ちメイクアップシミュレーション装置1は、ユーザがあたかも鏡を見ながら自然にメイクアップをしている気分にさせる特徴を持つ。
【0043】
メイクアップシミュレーション装置1はカメラ2から出力された動画像等を制御部8で画像処理し、動画像に含まれるユーザの顔に、ユーザが陳列ケース16から選択したテスター品を用いてメイクアップを施したイメージ画像を、デジタルの鏡であるタッチパネルモニタ15に表示する。メイクアップシミュレーション装置1は、様々な商品情報、美容情報およびユーザの顔にメイクアップを施したイメージ画像をタッチパネルモニタ15に表示できる。ユーザが陳列ケース16から選択したテスター品のログを取ることで、メイクアップシミュレーション装置1はユーザの嗜好等のデータを取得できる。
【0044】
なお、例えばテスター品だけでなく、商品を陳列するための棚を備えたメイクアップシミュレーション装置1であれば、タッチパネルモニタ15に表示される商品を棚に陳列しておくことにより、セルフ販売用の筐体として効果的に利用できる。
【0045】
以下、第一実施例のメイクアップシミュレーション装置1を例に説明する。図11はメイクアップシミュレーション装置の一実施例のハードウェア構成図である。なお、図1及び図2と同一部分については同一符号を付している。
【0046】
図11のメイクアップシミュレーション装置1は、それぞれバスBで相互に接続されているカメラ2,操作パネル4,プリンタ5,モニタ7,演算処理装置10,メモリ装置11,ドライブ装置12および補助記憶装置13で構成される。なお、図11の演算処理装置10,メモリ装置11,ドライブ装置12および補助記憶装置13は、図2の制御部8を構成する。
【0047】
本発明のメイクアップシミュレーションプログラムは、メイクアップシミュレーション装置1を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。メイクアップシミュレーションプログラムは例えば記録媒体14の配布などによって提供される。
【0048】
なお、メイクアップシミュレーションプログラムを記録した記録媒体14は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0049】
また、メイクアップシミュレーションプログラムを記録した記録媒体14がドライブ装置12にセットされると、メイクアップシミュレーションプログラムは記録媒体14からドライブ装置12を介して補助記憶装置13にインストールされる。補助記憶装置13はインストールされたメイクアップシミュレーションプログラムを格納すると共に、必要なファイル,データ等を格納する。メモリ装置11は、起動時に補助記憶装置13からメイクアップシミュレーションプログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置10はメモリ装置11に格納されたメイクアップシミュレーションプログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0050】
図12はメイクアップシミュレーション装置が行なう処理の概略を表した一実施例のフローチャートである。図13はモニタに表示されるメイン画面及び操作パネルに表示される操作画面の一例のイメージ図である。図13の画面イメージ100〜111はモニタ7に表示されるメイン画面のものである。画面イメージ200〜210は操作パネル4に表示される操作画面のものである。
【0051】
制御部8は、カメラ2が撮影した動画像を継続して受信している。このとき、制御部8はモニタ7に画面イメージ100を表示し、操作パネル4に画面イメージ200を表示している。画面イメージ100及び200はスクリーンセーバーを表示している例を表している。
【0052】
ステップS1に進み、制御部8は受信している動画像にユーザの顔が含まれているか否かを継続して判定している。制御部8は動画像にユーザの顔が含まれていることを認識するまでステップS1の処理を繰り返し行う(S1においてNO)。
【0053】
動画像にユーザの顔が含まれていることを認識すると(S1においてYES)、制御部8はステップS2に進み、メイクアップシミュレーションを行なう為のメイクアップシミュレーションプログラムを含むソフトを起動する。このとき、制御部8はモニタ7に画面イメージ101を表示し、操作パネル4に画面イメージ201を表示する。
【0054】
画面イメージ101はカメラ2でユーザの顔を撮影した動画像を表示している例を表している。画面イメージ201は、横に移動する歓迎のコメントを表示している例を表している。
【0055】
ステップS3に進み、制御部8はステップS2で起動したソフトに基づいてメイクアップシミュレーションを開始する。このとき、制御部8はモニタ7に画面イメージ102を表示し、操作パネル4に画面イメージ202を表示する。画面イメージ102は、カメラ2でユーザの顔を撮影した動画像に、魔法の鏡的な演出を施して表示している例を表している。画面イメージ202は、画面イメージ201と同様、横に移動する歓迎のコメントを表示している例を表している。
【0056】
ステップS4に進み、制御部8はメイクアップシミュレーションを後述するように実行する。このとき、制御部8はモニタ7に画面イメージ103〜106を順次表示し、操作パネル4に画面イメージ203〜206を表示する。
【0057】
画面イメージ103〜106は、メイクアップシミュレーションにより4つのメイクアップパターン(イメージ)が施されたユーザの顔を表示している例を表している。画面イメージ203〜206は、そのときモニタ7に表示されている画面イメージ103〜106のメイクアップパターンの内容(例えば名称等)を表示している例を表している。所定時間が経過するか、又はユーザが操作パネル4にタッチするまで、制御部8はモニタ7に画面イメージ103〜106を順次表示し、操作パネル4に画面イメージ203〜206を表示する。
【0058】
所定時間が経過するか、又はユーザが操作パネル4にタッチすると、制御部8はステップS5に進み、モニタ7に画面イメージ107を表示し、操作パネル4に画面イメージ207を表示する。画面イメージ107は、画面イメージ101と同様、カメラ2でユーザの顔を撮影した動画像を表示している例を表している。画面イメージ207は、4つのメイクアップパターン(イメージ)から1つのイメージを選択可能なイメージ選択画面を表示している例を表している。ユーザは、操作パネル4を操作することで、イメージ選択画面から1つのイメージを選択することができる。
【0059】
ステップS6に進み、制御部8はイメージ選択画面から1つのイメージが選択されるまでステップS6の処理を繰り返し行う(S6においてNO)。ユーザがイメージ選択画面から1つのイメージを選択すると、操作パネル4はユーザからの操作を受け付けて操作情報を制御部8に出力する。
【0060】
ユーザがイメージ選択画面から1つのイメージを選択したと判定すると(S6においてYES)、制御部8はステップS7に進み、選択されたイメージのイメージ画面をモニタ7及び操作パネル4に表示する。このとき、制御部8はモニタ7に画面イメージ108を表示し、操作パネル4に画面イメージ208を表示する。
【0061】
画面イメージ108は、イメージ選択画面から選択された1つのイメージに基づき、異なるカラーパターンが施されたメイクアップ後のユーザの顔のイメージ画像と、イメージ画像のようにメイクアップする為の商品情報とを順次表示している例を表している。画面イメージ208は、イメージ選択画面から選択された1つのイメージの内容と、そのときモニタ7に表示されている画面イメージ108のイメージ画像のようにメイクアップする為の商品情報とを表示している例を表している。
【0062】
なお、ユーザは操作パネル4を操作することによりプリントアウトを指示することもできる。ユーザからのプリントアウト指示を受け付けると、制御部8は画面イメージ109をモニタ7に表示し、画面イメージ209を操作パネル4に表示する。画面イメージ109は、プリントアウトするイメージ画像を表示している例を表している。画面イメージ209は、プリントアウト中のコメントを表示している例を表している。制御部8はプリンタ5を制御してモニタ7に表示されているイメージ画像をプリントアウトする。
【0063】
また、ユーザは操作パネル4を操作することにより、メイクアップ前及び後のイメージ画像から成る比較画面の表示およびプリントアウトを指示することもできる。ユーザからの比較画面の表示指示を受け付けると、制御部8は画面イメージ110をモニタ7に表示する。画面イメージ110は、メイクアップ前及び後のイメージ画像から成る比較画面を表示している例を表している。比較画面を表示している状態で、ユーザからのプリントアウト指示を受け付けると、制御部8はプリンタ5を制御してモニタ7に表示されている比較画面をプリントアウトする。
【0064】
ユーザによるメイクアップシミュレーションが終了すると、制御部8はモニタ7及び操作パネル4にスクリーンセーバーである画面イメージ111及び210を表示して、処理を終了する。
【0065】
なお、図12及び図13の例ではメイクアップシミュレーションにより4つのイメージを表示しているが、4つ以外のイメージを表示するものであってもよい。また、メイクアップシミュレーション装置1はカメラ2から出力された動画像に含まれるユーザの顔にメイクアップを施す例を示しているが、予め撮影した動画像を動画ファイルとして補助記憶装置13等に記憶しておき、その動画ファイルに含まれるユーザの顔にメイクアップを施すものであってもよい。
【0066】
メイクアップシミュレーション装置1はカメラ2から出力された動画像をメイクアップシミュレーション以外に利用することもできる。図14はメイクアップシミュレーション装置が行なうメイクアップシミュレーション以外の処理を表すイメージ図である。
【0067】
画面イメージ300は、カメラ2で撮影したユーザの顔の動画像を表示している例を表している。メイクアップシミュレーション装置1は動画像に含まれているユーザの顔を認識し、ユーザの顔の静止画301を切り出す。
【0068】
メイクアップシミュレーション装置1は、顔立ち分析ロジックおよび肌分析ロジックにより静止画301の顔立ち診断および肌色診断を行い、その結果を表す画面イメージ302をモニタ7に表示できる。なお、顔立ち分析ロジックおよび肌分析ロジックにより静止画301の顔立ち診断および肌色診断を行なう処理は、例えば特開2001−346627号公報に記載されている公知技術である。
【0069】
また、メイクアップシミュレーション装置1は画面イメージ303のようなコース選択画面303をモニタ7に表示して、各コース(例えばトレンド、ベーシック、フリー)をユーザに選択させることもできる。メイクアップシミュレーション装置1は、ユーザにより選択されたコースに基づく画面イメージ304〜309をモニタ7に表示して、シミュレーション及びアドバイスを行なう。
【0070】
画面イメージ304〜306は、各コースのシミュレーション画面を表示している例を表している。画面イメージ307〜309は、各コースのアドバイス画面を表示している例を表している。
【0071】
例えばベーシックコースとは、顔立ち診断および肌色診断の結果に基づいて、最適なメイクアップテクニックをシミュレーション及びアドバイスするものである。また、トレンドコースとは最新のトレンドメイクアップのシミュレーション及びアドバイスするものである。また、フリーメイクアップコースとは目元,口元,ほお,眉,個々のパーツに対応したアイテムのシミュレーション及びアドバイスするものである。
【0072】
シミュレーション画面又はアドバイス画面を表示している状態で、ユーザからのプリントアウト指示を受け付けると、制御部8はプリンタ5を制御してモニタ7に表示されているシミュレーション画面又はアドバイス画面をプリントアウトすることもできる。
【0073】
次に、上記のようなメイクアップシミュレーション装置1を実現する為のメイクアップシミュレーションシステムの詳細について説明する。図15は、本発明によるメイクアップシミュレーションシステムの一実施例のシステム構成図である。
【0074】
図15のメイクアップシミュレーションシステム20は、アナログカメラ21,USBキャプチャデバイス22,動画ファイル23,メイクアップカメラ24,静止画システム25,動画ファイル26,共有メモリ27,シミュレータメインアプリ28及びインターフェースアプリ29を含む構成である。
【0075】
アナログカメラ21は撮影した例えばNTSC方式の動画像をUSBキャプチャデバイス22経由で出力する。USBキャプチャデバイス22から出力された動画像は、例えばAPI(application programming interface)の一例としてのDirectX31を利用してシミュレータメインアプリ28に入力される。また、動画ファイル23もDirectX31を利用してシミュレータメインアプリ28に入力される。
【0076】
メイクアップカメラ24は撮影した動画像をシリアルインターフェースの一例としてのIEEE1394経由で出力する。メイクアップカメラ24から出力された動画像は専用API32を利用してシミュレータメインアプリ28に入力される。シミュレータメインアプリ28は専用API32を利用して入力された動画像から動画像用解像度の原画像と静止画用解像度の静止画像とを得る。
【0077】
シミュレータメインアプリ28はDirectX31を利用して入力された動画像及び動画ファイル23と、専用API32を利用して入力された動画像から得られた動画像用解像度の動画像とを原画像とし、原画像に対してトリミング及び縮小処理を行う。
【0078】
シミュレータメインアプリ28は原画像に対してトリミングを行ってメイクアップ前画像を得る。また、シミュレータメインアプリ28は原画像に対して縮小処理を行って顔認識処理用画像を得る。顔認識処理部33は、顔認識処理用画像からユーザの顔を認識するための後述するようなトラッキングポイント34を、FFT(高速フーリエ変換)により得る。
【0079】
メイクアップ処理部35は、トラッキングポイント34に基づき、メイクアップ前画像に含まれるユーザの顔に、ファンデーション,眉,シャドウ,口紅,チークから成るメイクアップを施してメイクアップ後画像を得る。メイクアップ処理部35は、ファンデーション処理部36,眉処理部37,シャドウ処理部38,口紅処理部39,チーク処理部40を含む構成である。
【0080】
なお、メイクアップ処理部35はメイクアップ後画像のようにメイクアップする為の商品情報41をメイクアップ後画像に含ませることができる。動画サーバ42は、メイクアップ前画像およびメイクアップ後画像を共有メモリ27に書き込むと共に、メイクアップ前画像およびメイクアップ後画像を動画ファイル26として出力することもできる。
【0081】
インターフェースアプリ29は、ActiveXコントローラ50及びActiveXビュアー51を利用する、動画コントロールオブジェクト52,動画表示オブジェクト53及びその他のコントローラ54を含む構成である。なお、インターフェースアプリ29とシミュレータメインアプリ28とはActiveX&Socketによる連携を図っている。
【0082】
インターフェースアプリ29はActiveXビュアー51を利用して、供給メモリ27に書き込まれているメイクアップ前画像およびメイクアップ後画像を前述したモニタ7に表示することができる。
【0083】
シミュレータメインアプリ28は、専用API32を利用して入力された動画像から得られた静止画用解像度の静止画像に対してトリミング及び縮小処理を行う。シミュレータメインアプリ28は静止画用解像度の静止画像に対してトリミングを行なう。さらに、シミュレータメインアプリ28は静止画用解像度の静止画像に対して縮小処理を行って顔認識処理用画像を得る。顔認識処理部43は、顔認識処理用画像からユーザの顔を認識する為の後述するようなトラッキングポイント44を得る。
【0084】
シミュレータメインアプリ28はトラッキングポイント44に基づき、トリミングを行った動画像に含まれるユーザの顔から詳細部位を抽出し、その詳細部位から顔立ち診断および肌色診断に用いるタイプ、肌色等の追加情報を得て、トラッキングポイント44に追加情報を付加したトラッキングポイント45と、専用API32を利用して入力された動画像から得られた静止画用解像度の静止画像とを静止画システム25に出力する。
【0085】
静止画システム25は、トラッキングポイント45を使用し、前述した顔立ち分析ロジックおよび肌分析ロジックにより静止画301の顔立ち診断および肌色診断を行い、その結果を表す画面イメージ302をモニタ7に表示できる。その他、静止画システム25は画面イメージ303〜309をモニタ7に表示することもできる。
【0086】
図16は、シミュレータメインアプリが行なう処理を表す画面イメージ図である。画面イメージ400はメイクアップ前画像を表示した例を表している。画面イメージ401は顔認識処理用画像から得たトラッキングポイント34をメイクアップ前画像に重ねて表示した例を表している。また、画面イメージ402はトラッキングポイント34に基づいてメイクアップ前画像に含まれるユーザの顔にメイクアップを施したメイクアップ後画像を表示した例を表している。
【0087】
以下、シミュレータメインアプリ28が行なう処理のうち、顔認識処理,メイクアップ処理の詳細について図面を参照しつつ順番に説明していく。なお、本実施例では、メイクアップ処理の一例として、ファンデーション処理,眉処理,シャドウ処理,口紅処理及びチーク処理から成るメイクアップ処理を説明するが、他の組み合わせであってもよい。
【0088】
(顔認識処理)
図17はメイクアップ前画像に含まれるユーザの顔のイメージ画像である。図18はトラッキングポイントを表す一例のイメージ図である。シミュレータメインアプリ28の顔認識処理部33は、図17のようなイメージ画像からユーザの顔を認識する為の図18のような45点のトラッキングポイント34を得る。図18のトラッキングポイント34は一例であって、制御部8の処理能力やモニタ7の精細度に応じて調整してもよい。
【0089】
このように、メイクアップ前画像に含まれるユーザの顔からトラッキングポイント34を得ることにより、メイクアップ処理部35はトラッキングポイント34と関連付けてメイクアップの施し方や色を図19のようなメイクアップ処理パラメータファイルに設定しておくことができる。
【0090】
図19はメイクアップ処理パラメータファイルの一例の構成図である。図19のメイクアップ処理パラメータファイルは、目元,口元,チーク等ごとにトラッキングポイント34と関連付けてメイクアップの施し方や色が設定されているものである。なお、メイクアップ処理パラメータファイルはメイクアップパターン(イメージ)毎に設定されるものである。図19のメイクアップ処理パラメータファイルは、クラスエレガンスの例を表している。
【0091】
(口紅処理)
シミュレータメインアプリ28に含まれる口紅処理部39は図20に示すように唇8点及び鼻3点のトラッキングポイント34を参照し、口紅処理を行う。図20は口紅処理により参照されるトラッキングポイントを示すイメージ図である。
【0092】
図21は口紅処理を示す一例のフローチャートである。口紅処理は大別するとステップS10の前準備処理とステップS20の色塗り処理とで構成される。前準備処理は、ステップS11の切出し&回転処理,ステップS12の輪郭抽出用画像の作成処理,ステップS13の輪郭抽出処理,ステップS14のスプライン曲線生成処理,ステップS15の回転戻し処理,ステップS16の色塗りマップ生成処理とで構成される。色塗り処理は、ステップS21の色塗りマップに基づく色塗り処理,ステップS22のデバック&デザイン用描画処理とで構成される。
【0093】
ステップS11の切出し&回転処理に進み、口紅処理部39は、顔認識処理用画像からユーザの顔の唇を含む部分画像500を切り出し、その部分画像500を処理用の姿勢に回転させて部分画像501を得る。
【0094】
ステップS12の輪郭抽出用画像の作成処理に進み、口紅処理部39は部分画像501から輪郭抽出用画像を作成する。ステップS13の輪郭抽出処理に進み、口紅処理部39は輪郭抽出用画像から唇の輪郭を部分画像502に示すようにポイントで抽出する。
【0095】
図22は輪郭抽出処理を表す一例のイメージ図である。輪郭抽出用画像600は唇8点及び鼻3点のトラッキングポイントが重ねて表示されている。口紅処理部39は、唇8点及び鼻3点のトラッキングポイントを元に再探索して輪郭抽出用画像601のポイントを抽出する。
【0096】
図23は輪郭抽出用画像600の唇8点及び鼻3点のトラッキングポイントと、唇8点及び鼻3点のトラッキングポイントを元に再探索して抽出した輪郭抽出用画像601のポイントとの比較画面である。なお、上記再探索が不調な場合は輪郭抽出用画像600の唇8点及び鼻3点のトラッキングポイントから算出した図24のようなデフォルトポイントを採用する。
【0097】
図24は唇8点及び鼻3点のトラッキングポイントからデフォルトポイントを求める処理を表した一例のイメージ図である。口紅処理部39は鼻の3点のトラッキングポイントを参照し、上唇5点に対してデフォルトポイントを求める。
【0098】
ステップS14のスプライン曲線生成処理に進み、口紅処理部39は輪郭抽出用画像601のポイント又は図24のようなデフォルトポイントを2次スプラインで補間し、図25に示すような輪郭を完成させる。図25は、ポイント又はデフォルトポイントから輪郭を完成させる処理を表したイメージ図である。部分画像503のように唇の輪郭が完成すると、口紅処理部39はステップS15に進み、ステップS11の切出し&回転処理で行った回転を元に戻す回転戻し処理を行なう。
【0099】
ステップS16の色塗りマップ生成処理に進み、口紅処理部39は部分画像700の明度および彩度から色塗りの強さを決める色塗りマップを生成する。図26は色塗りマップ生成処理を表した一例のイメージ図である。具体的に、口紅処理部39は明度および彩度から色塗りの強さを表すグレースケール画像701を生成する。口紅処理部39は、ステップS14のスプライン曲線生成処理で完成させた唇の輪郭で囲まれた部分画像702のみを色塗りマップ504としてグレースケール画像701から切り出す。
【0100】
ステップS21の色塗りマップに基づく色塗り処理に進み、口紅処理部39はステップS16の色塗りマップ生成処理で生成した色塗りマップ504と、図19のようなメイクアップ処理パラメータファイルに設定されているメイクアップの施し方や指定色に基づいてメイクアップ前画像に対して着色を行なう。
【0101】
図27は色塗りマップに基づく色塗り処理を表した一例のイメージ図である。口紅処理部39は図19のようなメイクアップ処理パラメータファイル801に設定されているメイクアップの施し方や指定色と、ステップS16の色塗りマップ生成処理で生成した色塗りマップ802とに基づいて、メイクアップ前画像803に対して着色を行い、メイクアップ後画像804を得る。
【0102】
そして、ステップS22のデバック&デザイン用描画処理に進み、口紅処理部39はデバック&デザイン用描画の処理を行ったあと、口紅処理を終了する。
【0103】
(シャドウ処理)
シミュレータメインアプリ28に含まれるシャドウ処理部38は図28に示すように左右別に目3点及び眉1点のトラッキングポイント34を参照し、シャドウ処理を行う。図28はシャドウ処理により参照されるトラッキングポイントを示すイメージ図である。
【0104】
図29はシャドウ処理を示す一例のフローチャートである。シャドウ処理は大別するとステップS30の前準備処理とステップS40の色塗り処理とで構成される。前準備処理は、ステップS31の基本輪郭の生成処理で構成される。
【0105】
色塗り処理は、色塗りパターン分繰り返し行なう、ステップS41の色塗り輪郭の生成処理,ステップS42の色塗り中心の生成処理,ステップS43の色塗りマップの生成処理,ステップS44の色塗りマップに基づく色塗り処理,ステップS45のデバック&デザイン用描画処理とで構成される。
【0106】
ステップS31の基本輪郭の生成処理に進み、シャドウ処理部38は、顔認識処理用画像からユーザの顔の目の形状を部分画像900のように得る。図30は、基本輪郭の生成処理を表す一例のイメージ図である。
【0107】
シャドウ処理部38は色塗り輪郭の基本となる輪郭を生成するため、部分画像1001に示すように、目の中心から上下方向を探索して目の輪郭(上辺境界&下辺境界)を2点認識する。シャドウ処理部38は、認識した目の輪郭2点,目尻及び目頭の4点に、スプライン補間で生成した4点を追加して、計8点によるポリゴンを部分画像1002のように生成する。
【0108】
ステップS41の色塗り輪郭の生成処理に進み、シャドウ処理部38は色塗り輪郭を部分画像901のように生成する。図31は色塗り輪郭の生成処理を表す一例のイメージ図である。シャドウ処理部38は色塗り輪郭を生成するため、部分画像1101に示すように、目尻及び目頭を基準に色塗り輪郭を生成する。なお、輪郭の拡張、頂点のシフト等についてはGUIでパラメータ指定するようにしてもよい。
【0109】
ステップS42の色塗り中心の生成処理に進み、シャドウ処理部38は色塗り中心位置を部分画像902の「●」ように生成する。ステップS43の色塗りマップの生成処理に進み、シャドウ処理部38は部分画像903のように、色塗りの強さを決める色塗りマップを生成する。
【0110】
具体的に、色塗りマップ生成処理は色塗り中心からポリゴンの辺までの距離に対応して塗りの強さを決定する。例えばシャドウ処理部38は辺に近いほど塗りの強さを弱めるように色塗りマップを決定する。なお、色塗りマップ生成処理は色塗り輪郭から基本輪郭を除いた部分を対象としている。
【0111】
シャドウ処理部38は生成した色塗りマップに対し、図32に示すように、ぼかし処理を掛けることで更に滑らかなグラデーションを生成する。図32は、ぼかし処理を掛けていない色塗りマップと、ぼかし処理を掛けている色塗りマップとを表した一例のイメージ図である。
【0112】
ステップS44の色塗りマップに基づく色塗り処理に進み、シャドウ処理部38はステップS43の色塗りマップの生成処理で生成した色塗りマップ903と、図19のようなメイクアップ処理パラメータファイルに設定されているメイクアップの施し方や指定色に基づいてメイクアップ前画像に対して着色を行ない、メイクアップ後画像を得る。
【0113】
そして、ステップS45のデバック&デザイン用描画処理に進み、シャドウ処理部38はデバック&デザイン用描画の処理を行ったあと、シャドウ処理を終了する。なお、シャドウ処理部38はステップS41〜S45の処理を色塗りパターン分だけ繰り返し行なうことで、多色塗りを実現することもできる。
【0114】
(チーク処理)
シミュレータメインアプリ28に含まれるチーク処理部40は図33に示すように目尻&口角(左右別)、眼間&鼻中心(スタビライズ用)のトラッキングポイント34を参照して、チーク処理を行う。図33はチーク処理により参照されるトラッキングポイントを示すイメージ図である。
【0115】
図34はチーク処理を示す一例のフローチャートである。チーク処理は、ステップS50の色塗り輪郭の生成処理,ステップS51の色塗り処理,ステップS52のデバック&デザイン用描画処理とで構成される。
【0116】
ステップS50の色塗り輪郭の生成処理に進み、チーク処理部40は色塗り輪郭を生成するため、目尻及び口角を基準に色塗り輪郭として輪郭ポリゴンを生成する。図35は色塗り輪郭を表した一例のイメージ図である。なお、輪郭ポリゴンの点数,大きさ,形状または位置等はGUIでパラメータ指定するようにしてもよい。
【0117】
ステップS51の色塗り処理に進み、チーク処理部40は色塗り中心から輪郭ポリゴンの辺までの距離に対応して塗りの強さを決定する。なお、塗りの強さの決定に処理コストが掛かりすぎる場合は、解像度(GUIでパラメータ指定)を落として(モザイク状に間引きして)塗りの強さを決定してもよい。チーク処理部40は決定した塗りの強さと、図19のようなメイクアップ処理パラメータファイルに設定されているメイクアップの施し方や指定色に基づいてメイクアップ前画像に対して着色を行ない、メイクアップ後画像を得る。
【0118】
そして、ステップS52のデバック&デザイン用描画処理に進み、チーク処理部40はデバック&デザイン用描画の処理を行ったあと、チーク処理を終了する。
【0119】
(眉処理)
シミュレータメインアプリ28に含まれる眉処理部37は図36に示すように左右別に目尻,目中心および眉2点のトラッキングポイント34を参照し、眉処理を行う。図36は眉処理により参照されるトラッキングポイントを示すイメージ図である。
【0120】
図37は眉処理を示す一例のフローチャートである。眉処理は大別するとステップS60の眉輪郭抽出処理,ステップS70の元眉領域の消去処理,ステップS80の眉形状の変形処理,ステップS90の変形眉の貼付け処理で構成される。
【0121】
元眉領域の消去処理は、ステップS71の領域の膨張処理,ステップS72の眉の消去処理で構成される。眉形状の変形処理は、ステップS81の変形指定に対応した指示曲線の作成処理,ステップS82の変形眉の生成処理で構成される。
【0122】
ステップS60の眉輪郭抽出処理に進み、眉処理部37は顔認識処理用画像からユーザの顔の眉の形状を部分画像2001のように得る。図38は、眉輪郭抽出処理を表す一例のイメージ図である。眉処理部37は眉の輪郭を抽出するため、部分画像2101に示すように、眉尻(実際には眉の中心付近)を中心に左右に眉を探索する。眉処理部37は部分画像2102に示すように、探索結果から眉の輪郭形状を認識する。
【0123】
ステップS71の領域の膨張処理に進み、眉処理部37は認識した眉の輪郭形状を表す領域を膨張させる。ステップS72の眉の消去処理に進み、眉処理部37は膨張させた領域を付近の肌色を使って塗りつぶすことで眉を消去する。また、眉処理部37は膨張させた領域の境界部分に、なじませる処理を施す。
【0124】
ステップS81の変形指定に対応した指示曲線の作成処理に進み、眉処理部37は認識した眉の輪郭形状を表す領域(スケルトン)を指定に従って変形させる。図39は変形指定に対応した指示曲線の作成処理を表す一例のイメージ図である。
【0125】
眉処理部37は、部分画像2201に示すように、認識した眉の輪郭形状を表す領域を横方向の軸線と縦方向の複数のタンザクから成るスケルトン2202に置き換え、軸線の形状とタンザクの高さを変えることで、例えばスケルトン2203のように変形処理を施すことができる。
【0126】
ステップS82の変形眉の生成処理に進み、眉処理部37はスケルトン2203から変形眉を生成する。ステップS90の変形眉の貼付け処理に進み、眉処理部37は変形眉をメイクアップ前画像に対して貼付けて、メイクアップ後画像を得る。
【0127】
(ファンデーション処理)
シミュレータメインアプリ28に含まれるファンデーション処理部36は図40に示すように左右別に目尻,目頭および眉1点、眼間および鼻中心のトラッキングポイント34を参照し、ファンデーション処理を行う。図40はファンデーション処理により参照されるトラッキングポイントを示すイメージ図である。
【0128】
図41はファンデーション処理を示す一例のフローチャートである。ファンデーション処理は、ステップS101の輪郭の生成処理,ステップS102の対象画像へのぼかし処理,ステップS103の画像の貼り付け処理で構成される。なお、ステップS101〜S103の処理は対象エリア分、繰り返し行われる。
【0129】
ステップS101の輪郭の生成処理に進み、ファンデーション処理部36は図42のイメージ画像に示すように、額,鼻,頬(左右)の3種類(4箇所)の輪郭を生成する。図42は輪郭を表した一例のイメージ画像である。なお、各輪郭のサイズ,位置等はGUIでパラメータ指定するようにしてもよい。
【0130】
ステップS102の対象画像へのぼかし処理に進み、ファンデーション処理部36は生成した輪郭に対応する対象画像へのぼかし処理を図43のように行なう。図43は、ぼかし処理前の元画像と、ぼかし処理後の元画像とを表した一例のイメージ図である。対象画像へのぼかし処理により、ファンデーション処理部36は肌の細かい荒れ等を平滑化することができる。
【0131】
ステップS103の画像の貼り付け処理に進み、ファンデーション処理部36は、ぼかし処理後の対象画像をメイクアップ前画像の額,鼻,頬(左右)の3種類(4箇所)の輪郭に貼り付け、メイクアップ後画像を得る。
【0132】
以上、本発明によれば、動画像に含まれるユーザの顔に、少ない処理負担で正確にメイクアップを施すことができる。なお、特許請求の範囲に記載した撮影手段はカメラ2に相当し、制御手段は制御部8に相当し、表示手段はモニタ7に相当し、顔認識処理手段は顔認識処理部33に相当し、メイクアップ処理手段はメイクアップ処理部35に相当し、操作手段は操作パネル4に相当し、ハーフミラー手段はハーフミラー3に相当し、印刷手段はプリンタ5に相当する。
【0133】
また、本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0134】
本発明のメイクアップシミュレーション装置1はリアルタイムシミュレーションである為、静止画によるものや従来のメイクアップシミュレーション装置1と異なり、瞬時に顔のトラッキングポイントを認識し、そのトラッキングポイントをもとにシミュレーションを行うことができるので、これまでできなかった以下のことも可能にしている。
【0135】
本発明のメイクアップシミュレーション装置1はリアルタイムなシミュレーションが可能である。本発明のメイクアップシミュレーション装置1は、これまでのように正面顔だけでなく、横顔からのシミュレーション等も可能なため、頬紅等のシミュレーション効果やテクニックの確認が容易である。
【0136】
本発明のメイクアップシミュレーション装置1は、リアルタイムなシミュレーションになったことで、これまでの平面的な表現から、顔を立体としてとらえた分析や、立体感や質感の表現も可能になった。
【0137】
また、本発明のメイクアップシミュレーション装置1は、同時に何人もの顔認識が可能であるため、同時に何人ものリアルタイムなシミュレーションが可能である。本発明のメイクアップシミュレーション装置1は顔認識機能が優れていることから、個々の顔立ちにあわせて、あるいは男性、女性を自動的に分類し、顔立ちや分類にあわせたメイクアップが可能である。例えば本発明のメイクアップシミュレーション装置1は、カップルで同時に、それぞれのメイクアップシミュレーションが可能である。
【符号の説明】
【0138】
1 メイクアップシミュレーション装置
2 カメラ
3 ハーフミラー
4 操作パネル
5 プリンタ
6 照明
7 モニタ
8 制御部
9 透明板
10 演算処理装置
11 メモリ装置
12 ドライブ装置
13 補助記憶装置
14 記録媒体
15 タッチパネルモニタ
16 陳列ケース
17 ICタグリーダライタ
25 静止画システム
27 共有メモリ
28 シミュレータメインアプリ
29 インターフェースアプリ
33 顔認識処理部
34 トラッキングポイント
35 メイクアップ処理部
36 ファンデーション処理部
37 眉処理部
38 シャドウ処理部
39 口紅処理部
40 チーク処理部
41 商品情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの顔を撮影した動画像にメイクアップを施すメイクアップシミュレーションシステムであって、
ユーザの顔を撮影して動画像を出力する撮影手段と、
前記撮影手段から出力された動画像を受信し、前記動画像を画像処理して出力する制御手段と、
前記制御手段から出力された動画像を表示する表示手段とを備え、
前記制御手段は、前記動画像からユーザの顔を所定のトラッキングポイントに基づいて認識する顔認識処理手段と、
前記トラッキングポイントに基づいて前記動画像に含まれるユーザの顔に所定のメイクアップを施して前記表示手段に出力するメイクアップ処理手段と
を備えることを特徴とするメイクアップシミュレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図23】
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【図25】
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【図34】
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【図41】
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【図13】
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【図14】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図24】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2013−101633(P2013−101633A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−270838(P2012−270838)
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2007−5098(P2007−5098)の分割
【原出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】