説明

メイクアップ化粧料組成物

【課題】皮脂吸収能に優れたメイクアップ化粧料組成物の提供。
【解決手段】有効成分として、洋麻パウダーを含有するメイクアップ化粧料組成物。皮膚から分泌される皮脂を吸油する能力に優れ、組成物を塗布して長時間が経過しても、てかつくことなく滑らかな皮膚状態を維持できるようにする。それゆえ、化粧が崩れることなく長時間維持されることができて、繰り返し化粧を直す必要がなく便利であり、天然素材から由来するため人体安定性にも優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フェイスパウダー又は、パウダーファンデーション等のメイクアップ化粧料を皮膚に塗布し、時間が経過すると、皮膚から放出された皮脂により皮膚表面がてかつき、化粧膜が不均一になる現象が観察される。また、メイクアップ化粧料に含まれている色素や顔料等が皮脂を吸収して、皮膚の色相が当初よりも不均一かつ暗く見える現象がある。
【0003】
前記のような現象を防止して自然な外観を維持するために、従来、皮脂吸収用紙を利用して皮膚の皮脂を吸収したり、一定時間ごとに化粧を直したりしなければならない等の不便さがあった。化粧品業界では、前記のような問題点を解決して化粧の持続性を維持するために、皮膚から放出される皮脂を吸収することができる無機顔料についての研究が行われた。
【0004】
しかし、一般シリカ又は多孔質シリカを利用して皮膚の皮脂を吸収する場合、無機シリカを使用しなければならないところ、皮膚に刺激があるだけでなく、天然有機農化粧品を望む消費者の要求を満足させることができないという問題点があった。
【0005】
そこで、本願発明者らは、前記の問題点を解決するために鋭意努力した結果、洋麻パウダーを化粧料組成物に含有する場合、皮脂吸油量に優れるとともに、自然親和的な組成物が製造されることを確認し、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許10‐2008‐0111299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、皮脂吸収能に優れたメイクアップ化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、洋麻パウダーを含有するメイクアップ化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る化粧料組成物は、皮膚から分泌される皮脂を吸油する能力に優れ、組成物を塗布して長時間が経過しても、てかつくことなく滑らかな皮膚状態を維持できるようにする。それゆえ、化粧が崩れることなく長時間維持され得、繰り返し化粧を直す必要がなく便利であり、天然素材から由来するため人体安定性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、洋麻の茎皮及び内茎の構造に関するものである。(a‐1)及び(a‐2)は、洋麻の茎皮の外部及び内部の構造に関するものであり、(b‐1)及び(b‐2)は、洋麻の内茎の外部及び内部の構造に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、一観点において、有効成分として、洋麻パウダーを含有するメイクアップ化粧料組成物に関するものである。
【0012】
本発明の一観点において、メイクアップ化粧料組成物は、液体型ファンデーション、クリーム型ファンデーション、BBクリーム、メイクアップベース、プライマー、アイシャドウ、チーク、パウダー、ローション、クリーム、スキン、エッセンス、ブースター等に使用してもよく、フィルム又は紙タイプの脂取り紙の表面に塗布して使用してもよい。
【0013】
本発明の一観点において、洋麻はケナフ(kenaf)とも呼ばれ、アオイ科の一年生草である。洋麻は、ハイビスカス属(Hibiscus sp.)に属するハイビスカス・クレイ(Hibiscus clayi)、ハイビスカス・ヘテロフィルス(Hibiscus heterophyllus)、ハイビスカス・インスラリス(Hibiscus insularis)、ハイビスカス・チリアケウス(Hibiscus tiliaceus)を含めてよく、具体的に、ハイビスカス・カンナビヌス(Hibiscus cannabinus)であってもよい。本発明の一観点であるメイクアップ化粧料組成物において、洋麻パウダーは、洋麻を粉砕して得られることを含む。さらに、本発明の一観点において、前記洋麻パウダーは、洋麻の茎、葉、花又は根等から得られるものだけでなく、洋麻植物そのものから得られるものを含む。
【0014】
本発明の一観点であるメイクアップ化粧料組成物において、前記洋麻パウダーは、洋麻の茎から得られるものを含んでよく、前記洋麻の茎は、洋麻の内茎であるものを含んでよい。洋麻の内茎は、洋麻の茎から茎皮を除去したものを含んでよい。図1において、洋麻の茎皮及び洋麻の内茎の構造を比較した結果を提示した。図1から分かるように、洋麻の茎は、葉や根よりも導管及び師管が広く存在し、特に、洋麻の内茎(図1のb‐1,b‐2)は、スポンジと類似な形態を有しており、皮脂を吸油するために適した構造を有している。
【0015】
本発明の一観点であるメイクアップ化粧料組成物において、前記洋麻パウダーは、組成物の総重量に対して0.01重量%〜30重量%含有されていてよい。洋麻パウダーが0.01重量%未満含有されている場合、化粧料組成物において皮脂吸収能を発揮することができず、30重量%を超えて含有されている場合、化粧料組成物の使用時に異物感が感じられるものと確認された。前記のような観点から、本発明の一観点であるメイクアップ化粧料組成物の洋麻パウダーは、組成物の総重量に対して0.05重量%〜25重量%、0.1重量%〜20重量%、又は0.5重量%〜15重量%含有されていてよい。
【0016】
本発明の一観点であるメイクアップ化粧料組成物において、前記洋麻パウダーの粒子サイズは、5μm〜45μmであるものを含んでよい。洋麻パウダーの粒子サイズが5μm未満である場合、メイクをした後に洋麻パウダーが飛散しやすいものと確認され、洋麻パウダーの粒子サイズが45μm以上である場合、粒子が大きすぎて化粧料組成物の他の構成成分と混ざりにくいものと観察された。前記のような観点から、本発明の一観点であるメイクアップ化粧料組成物の洋麻パウダーの粒子サイズは、10μm〜40μm、15μm〜35μm、又は20μm〜30μmであってよい。
【0017】
さらに、本発明の一観点であるメイクアップ化粧料組成物において、前記メイクアップ化粧料組成物は、油中水型、水中油型、油分散型、粉末型及び圧縮粉末型により構成された群から選択された一つ以上の類型であるものを含んでよい。
【0018】
以下、実施例を通じて、本発明をより詳細に説明することとする。これらの実施例は、単に本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例により制限されるものと解釈されないことは、当業界において通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0019】
(実施例1)
−洋麻茎パウダーの製造−
洋麻(Hibiscus cannabinus)の茎の皮を除去し、選別して自然乾燥した。一次的に粗粉砕をした後、二次的に平均粒子サイズが20〜30μmとなるように、ハンマーミルで微粉砕した。
【0020】
(実施例2)
−洋麻茎パウダーの吸油量測定−
一般シリカ1g、多孔質シリカ1gと、実施例1において得られた洋麻茎パウダー1gのそれぞれについて吸油量を測定した。結果は、表1のとおりである。
【0021】
【表1】

【0022】
前記表1から分かるように、本発明の洋麻茎パウダーは、従来、化粧品業界において皮脂吸収用として使用されていた一般シリカよりも吸油量に優れるものと確認された。さらに、本発明の洋麻茎パウダーは、従来、当業界において使用される多孔質シリカと類似な水準の皮脂吸油量を示すものと観察された。特に、本発明の洋麻茎パウダーは、多孔性シリカと類似な水準の吸油量を示すだけでなく、植物由来の天然素材から得られるものであるため、皮膚への使用時に安定性を高めることができる。
【0023】
(実施例3)
−洋麻茎パウダーを含む油中水型皮脂吸収用化粧料組成物の吸油量測定−
下記表2のような組成により、本発明の化粧料組成物の吸油量を測定した。油相成分及び粉体をまず混合して分散させた溶液に、水相成分を徐々に添加して混合した後、完全に脱気して油中水系型化粧料組成物を製造した。
【0024】
【表2】

【0025】
前記実験例のそれぞれについて官能評価を実施した結果は、表3のとおりである。
【0026】
【表3】

【0027】
*被試験者数=20名
*化粧後、8時間が経過した後に設問評価した。
*設問は、5点尺度とし、肯定的な反応であるほど高い点数となるようにした。
【0028】
前記表3から分かるように、洋麻茎パウダーを含有する実験例2の化粧料組成物は、洋麻茎パウダーを含有しない比較実験例2に比べて、くすみなく化粧が維持され、化粧の崩れがなく、かつ、長時間が経過しても、てかつくことなくさらつきが維持されることが確認された。
【0029】
(実施例4)
−皮脂吸収用化粧料組成物の剤形例−
以下、前記化粧料組成物の剤形例について説明するが、本発明を限定しようとするものでなく、単に具体的に説明しようとするものである。表4は、水中油型皮脂吸収用化粧料組成物の剤形例であり、表5は、油分散型皮脂吸収用化粧料組成物の剤形例である。
(1)水中油型皮脂吸収用化粧料組成物
【0030】
【表4】

【0031】
水相成分を均一に混合し、粉体を投入して均一に攪拌させた後、油相成分を徐々に投入して乳化した後に脱気して、水中油型化粧料組成物を製造した。
(2)油分散型皮脂吸収用化粧料組成物
【0032】
【表5】

【0033】
室温で均一に混合した油相成分に、有機増粘剤をオイルに分散させ、加温した後、粉体をオイルに投入して均一に攪拌し、油分散型皮脂吸収用化粧料組成物を製造した。
【0034】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、かかる具体的技術は単に好ましい実施様態であるに過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されるものでないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項と、それらの等価物により定義されると言えよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、洋麻パウダーを含有するメイクアップ化粧料組成物。
【請求項2】
前記洋麻パウダーは、洋麻の茎から得られるものを含む、請求項1に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項3】
前記洋麻茎は、洋麻の内茎であるものを含む、請求項2に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項4】
前記洋麻パウダーは、組成物の総重量に対して0.01重量%〜30重量%含有されている、請求項1に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項5】
前記洋麻パウダーの粒子サイズは、5μm〜45μmであるものを含む、請求項1に記載のメイクアップ化粧料組成物。
【請求項6】
前記メイクアップ化粧料組成物は、油中水型、水中油型、油分散型、粉末型、及び圧縮粉末型により構成された群から選択された一つ以上の類型であるものを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のメイクアップ化粧料組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2013−103939(P2013−103939A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−252067(P2012−252067)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【出願人】(506213681)株式会社アモーレパシフィック (24)
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】181,2−ga,Hangang−ro,Yongsan−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】