説明

メインバルブの構造

【課題】 メインバルブ等のメインテナンスを容易に行い得る真空蒸着装置を提供する。
【解決手段】 真空槽を主ポンプで排気するために設けたメインバルブ5の一部に、取外し可能な背面扉12を設ける。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、真空槽の排気室を構成するメインバルブに改良を加えた真空蒸着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2は従来の真空蒸着装置の概略構成を示すものである。同図において、1は真空蒸着装置の主要部をなす真空槽であって、該真空槽1は取手により装置の前方へ開くことができる扉2を備えている。3は真空槽内の上方に設置した基板取り付けドーム、4は真空槽内の下方に設置した蒸発源である。また、5は真空槽1の排気室を構成するメインバルブ、6はメインバルブ5の底部に設けた排気口、7は前記排気口6を開閉する主弁であって、この主弁7はエアーシリンダー10によって駆動される。8はメインバルブ5の排気口6に接続した主排気ポンプ、9は真空槽1とメインバルブ5の間に設置した防着バッフル、11は排気口6を主弁7で気密に閉じるためのOリングである。かかる真空蒸着装置の真空槽1を真空排気する場合は、まず、メインバルブ5内の主弁7をエアーシリンダー10によって開き、主排気ポンプ8を稼動させて排気口6から真空槽1内の空気を所定の圧力まで排気する。その後、蒸発源4の蒸発物質を蒸発させ、基板ドーム3に取り付けられた基板へ蒸発物質を蒸着させる構成となっている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
図2に示すような真空蒸着装置では、ある一定期間装置を稼動させると、防着バッフル9や真空槽1の内壁に蒸発物が付着したり、更に長時間稼動させた場合は、メインバルブ5内のOリング11が磨耗したりして、真空槽1の内部の清掃あるいはメインテナンス等を行う必要が生じてくる。このような場合、図2のような従来の装置では、例えばメインバルブ5のOリング11を交換しようとすると、真空槽1の前方の扉2を開けて、作業者が真空槽1内に潜り込んだうえ、まず防着バッフル9等の槽内部の部品を取り外した後に、更に奥のメインバルブ5にまで入って作業を行う必要があり、作業性の点で大きな問題があった。
本考案は上記のような従来装置の問題点を解決しようとするもので、メインバルブ等のメインテナンスを容易に行い得る真空蒸着装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本考案では、真空槽を主ポンプで排気するために設けたメインバルブの一部に、取外し可能な背面扉を設けてメインテナンス時の作業性を改善するものである。
【0005】
【考案の実施の形態】
(1)実施例の構成の説明 図1は本考案に係る真空蒸着装置の概略構成を示すもので、1は真空蒸着装置の主要部をなす真空槽、2は取手により装置の前方へ開くことができる扉、3は真空槽内の上方に設置した基板取り付けドーム、4は真空槽内の下方に設置した蒸発源である。また、5は真空槽の排気室を構成するメインバルブ、6はメインバルブの底部に設けた排気口、7は前記排気口を開閉する主弁であり、この主弁7はエアーシリンダー10によって駆動される。8はメインバルブに接続した主排気ポンプ、9は真空槽とメインバルブの間に設置した防着バッフル、11は排気口の周囲に設けたOリングである。本考案に係る真空蒸着装置は、上記のような構成において、真空槽1の排気室を構成するメインバルブ5の一部に取外し可能な背面扉12を設けたものである。図示の実施例では、メインバルブ5の後部、すなわち真空槽1との接続部の反対側を開口してフランジ部を形成し、このフランジ部に取外し可能なメインテナンス用の背面扉12を取付けてある。
【0006】
(2)実施例の作用・動作の説明 本考案に係る真空蒸着装置を一定期間連続的に稼動させて、メインテナンスが必要な時期となり、例えばメインバルブ5内のOリング11を交換しようとする場合、メインバルブ5の一部に設けた背面扉12を取り外すことにより、真空槽1に潜り込むことなく、Oリング11を容易に交換することができる。更に、メインバルブ5内に付着した蒸発物等の清掃も容易に行うことができる。
【0007】
【考案の効果】
本考案によれば、真空蒸着装置の排気室を構成するメインバルブの一部に取外し可能な背面扉を設けたので、この背面扉を取り外すことにより、メインバルブ内部の清掃やメインテナンスが極めて容易になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る真空蒸着装置の概略構成図である。
【図2】従来の真空蒸着装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 真空槽
2 扉
3 基板取付けドーム
4 蒸発源
5 メインバルブ
6 排気口
7 主弁
8 主排気ポンプ
9 防着バッフル
10 エアーシリンダー
11 Oリング
12 背面扉

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 真空槽を主ポンプで排気するために設けたメインバルブの一部に、取外し可能なメインテナンス用の背面扉を設けたことを特徴とする真空蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】実用新案登録第3084590号(U3084590)
【登録日】平成13年12月26日(2001.12.26)
【発行日】平成14年3月29日(2002.3.29)
【考案の名称】メインバルブの構造
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2001−5950(U2001−5950)
【出願日】平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願人】(000146009)株式会社昭和真空 (72)