説明

メインメモリ化データベース

【目的】多量データ検索処理の高速化が求められる処理業務において、メインメモリにデータベースを構築し、検索処理の高応答性を確保すること。
【構成】ディスプレイ装置107が接続された計算機システム101内に、中央処理装置106,主記憶装置102,オペレーティングシステム103が搭載されユーザアプリケーションプログラム105を介して、補助記憶装置108上のデータベース109からメインメモリデータベース104を構成している。主記憶装置102上にメインメモリデータベース104を配置する手段を設ける。
【効果】メインメモリデータベースの構築が可能となり、大量データの検索処理は、メインメモリのみ介して行われるため高応答性を確保することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、計算機システムにおける補助記憶装置メインメモリ化データベースに関する。
【0002】
【従来の技術】従来においては、補助記憶装置データベース上の使用頻度の高いデータをバッファ記憶装置に配置して高速化をはかるものが主であり、バッファ記憶装置が小容量であるため、データ量が多い検索処理などはバッファ記憶装置に比べ低速の補助記憶装置上のデータベースをアクセスする場合が往々にして発生していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】バッファ記憶装置の代わりにメインメモリに大容量のデータベースを構築することにより、バッファ記憶装置のときよりも補助記憶装置へアクセスする頻度を少なくできると考えたときに、補助記憶装置上のデータベースから、使用できる容量に限りのあるメモリに対してどのような条件で、いかにしてメインメモリへデータベースを構築するかという問題がある。
【0004】本発明の目的は、検索処理の高速化が求められる処理業務において、メインメモリへデータベースを提供し、大量データの検索処理の高応答性を確保することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、補助記憶装置上にデータベースをもつ計算機システムにおいて、補助記憶装置データベース上のレコードの各項目に対応して定義されたテーブル情報からメインメモリへ配置する項目のみを連結してレコードを短く編集し、ハッシュ法により各レコード上のキーを変換して得たレコード番号により主記憶上に配置しデータベースを構築する手段を設けたものである。
【0006】
【作用】検索処理に関わる項目のみを連結した縮小データベースにより、実際大規模な容量の使用が許されないメインメモリでもデータベースの構築が可能となり、従来補助記憶装置から読み込んでいた大量データの検索処理は、メインメモリのみ介して行われるため高応答性を確保する。
【0007】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に従って説明する。
【0008】図1は、本発明のメインメモリデータベースのシステム構成図である。図に於いて、ディスプレイ装置107が接続された計算機システム101内に、中央処理装置106,主記憶装置102,オペレーティングシステム103が搭載されユーザアプリケーションプログラム105を介して、補助記憶装置108上のデータベース109からメインメモリデータベース104を構成している。
【0009】図2は、本発明のメインメモリデータベースと補助記憶装置データベースの、検索と更新の概要を示した図である。データの検索件数が多いレコード上の項目は、後述する手段によりメインメモリ上に存在するため、補助記憶装置を一切検索する必要がなく、メインメモリデータベースのみの検索で高速に処理が完結する。一方、更新処理は、同期をとるために補助記憶装置データベースとメインメモリデータベースを同時に更新する必要があり、その分処理時間がかかる結果となるが、メモリを更新する時間は、ほとんど無視できる位の時間であり、また検索処理の高速化が求められる業務に於て問題とはならない。
【0010】図3は、補助記憶装置データベースから特定項目をメインメモリデータベースへ配置する処理を示している。特定項目は、補助記憶装置上のデータベースを検索する複数のユーザアプリケーションプログラムの中で、全件あるいは多件データベースのレコード検索を行うものについて、そのユーザアプリケーションプログラムが必要とするレコード上の各項目を洗い出し、メインメモリへ配置しておくことにより、メインメモリのみを検索することで処理が完結し、大量データ検索処理の高速化に効果があるものとする。洗い出しによりメインメモリへ配置することが決定した項目は、補助記憶装置上の各データベースのレコードの項目に対応した補助記憶装置上の別の記憶領域に設けたメインメモリ配置項目定義テーブルに該当する項目へメインメモリへ配置することを示すフラグ『1』を設定し、それ以外についてはメインメモリへ配置しないことを示すフラグ『0(ゼロ)』を設定する。メインメモリへ特定項目を配置する処理は、初期起動時(電源投入時)に補助記憶装置上のデータベースの全レコードを対象に行う。図4にメインメモリデータベースレコード配置のための編集処理フローを示す。まず、メインメモリ配置項目定義テーブルを読み込み、次に補助記憶装置上のデータベースのレコードを読み込み、メインメモリ配置項目定義テーブルの各項目のフラグが『1ならば配置』『0(ゼロ)ならば配置しない』に従いレコードの連結処理を行う。連結編集したレコードを、メインメモリデータベースの領域として格納する。ここで、メインメモリデータベースの格納方法としては、補助記憶装置上のデータベースから読み込んだレコード順に格納していく方法などが考えられるが、ここでは、補助記憶装置上のデータベースの各レコードにもつキーをキーの取り得る範囲をある限られた数値範囲に変換するハッシュ法によりキー変換してメインメモリ上のレコード番号を取得し、格納する方法を採用した。この方法だと、メインメモリデータベースからキーによる検索時、キー変換により直接該当レコードを引き当てることが可能となり、いわゆるインデックスとしての機能を持たせることができるため有効である。これを補助記憶装置上のデータベースの全レコードについて繰返し行い、メインメモリ上にデータベースを構築する。図4にメインメモリデータベースレコード配置のための編集処理フローを示す。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、検索処理に関わる項目のみを連結した縮小データベースにより、実際大規模な容量の使用が許されないメインメモリでもデータベースの構築が可能となり、従来補助記憶装置から読み込んでいた大量データの検索処理は、メインメモリのみ介して行われるため高応答性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のメインメモリデータベースのシステム構成図である。
【図2】本発明のメインメモリデータベースと補助記憶装置データベースの検索と更新の概要を示す図である。
【図3】補助記憶データベースから特定項目をメインメモリデータベースへ配置する処理を示す図である。
【図4】メインメモリデータベースレコード配置のための編集処理フローを示す図である。
【符号の説明】
101…計算機システム、102…主記憶装置、103…オペレーティングシステム、104…メインメモリデータベース、105…ユーザアプリケーションプログラム、106…中央処理装置、107…ディスプレイ装置、108…補助記憶装置、109…データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】中央処理装置と主記憶装置(メインメモリ)と補助記憶装置とディスプレイ装置と、主記憶装置または補助記憶装置に置かれるオペレーティングシステムと、ユーザデータを保管するためのデータベースと、データベースの更新/検索とユーザデータの編集を行うユーザアプリケーションプログラムからなる計算機システムにおいて、補助記憶装置上データベースのレコード内の、定義テーブルに指定された多量データ検索の対象となる項目のみを連結したレコードを、各レコード上のキーをハッシュ変換した主記憶上のレコード番号を求め、主記憶装置上に配置したデータベースを構築する手段を有することを特徴とするメインメモリ化データベース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平7−334402
【公開日】平成7年(1995)12月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−130101
【出願日】平成6年(1994)6月13日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)