説明

メガネフレームのツル継手構造

【課題】 メガネフレームのツルを連結する継手構造であって、新聞、雑誌を読む際にフロント部の傾斜角度を調整できるようにしたツル継手構造の提供。
【解決手段】 ヨロイ5の先端に設けて上下方向の軸を有す継手には連結部10が折畳み出来るように連結し、そして連結部10の先端には水平方向に設けた軸ネジ9を介してツル2を連結し、又連結部先端からツル側へアーム11を延ばし、アーム先端には複数の係合溝12a,12bを形成し、ツル側には係合片13を取付けて上記係合溝12a,12bにはバネ力を付勢した係合片13を係合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はツルが折畳まれる普通の継手の他に、フロント部の傾斜を調整することが出来る角度調整部を備えたツル継手構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メガネフレームはフロント部の両側にツルが取付けられ、該ツルは折畳み出来るように継手構造を備えている。該継手構造には色々あるが、一般的には蝶番継手が用いられており、メガネを外すときにはツルは折畳まれる。そして、メガネを掛ける場合には、ツルを開いて先端に挿着したモダンを耳に係止することが出来る。
【0003】
ところで、両ツルはフロント部の両側から後方へ延びているが、フロント部が置かれる面に対して垂直方向ではなく、多少傾斜している。図5はフロント部(イ)とツル(ロ)の関係を示している側面図であるが、このようにフロント部(イ)とツル(ロ)の交差角θは90°より多少小さく成っている。これは、毎日の生活において人の視線は水平より僅かに下方を向いている為であり、この視線の角度に合わされる。
【0004】
ところが、人が新聞や雑誌を読む場合には、視線がさらに下方を向くことから、フロント部(イ)が通常支えられる傾斜では見づらい場合が多い。そこで、老眼鏡を掛ける必要がある年寄りは、新聞・雑誌を読む場合にツル先端の耳掛け部(モダン)の位置を上げることでフロント部の傾斜角を大きくなって見やすくしている。特に、遠近両用レンズを装着しているメガネを掛けている場合には、その効果が大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、老眼鏡(特に遠近両用レンズを装着したメガネ)を掛けて新聞や雑誌を読む場合には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、耳に係止するツル先端部のモダンの位置を上方へズラスことなくフロント部の傾斜角度の調整が出来るツル継手構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るメガネフレームのツル継手構造は、ツルを折畳むことが出来る継手とフロント部の傾斜角度を調整する為の継手を有している。ツル折畳み用の継手は従来と同じく蝶番を使用する場合もあれば、他の継手構造とする場合もあり、特に限定するものではない。しかし、ツル折畳み用の継手の軸は上下方向であるのに対して、フロント部の傾斜角調整用の継手軸は水平方向としている。
【0007】
ところで、フロント部の傾斜角度調整用継手としては軸ネジが用いられ、ヨロイ先端の継手には連結部が折畳み出来るように取付けられ、この連結部先端にツルが連結している。そして何れか一方側の部材(連結部又はツル)からアームを延ばすと共にアーム先端には複数の係合溝を上下方向に設けている。又、他方の部材には係合片を取付け、該係合片にはバネ力が付勢されて上記アームの係合溝に係合する。
【0008】
従って、傾斜角度調整用継手を介してフロント側の連結部は回動して向きが変わり、フロント部の傾斜角の調整が出来る。しかし、上記アームの先端に形成した係合溝には係合片の先端が係合することでフロント部の傾斜角度は一定に定まる。しかも、係合溝にはバネ力を付勢した状態で係合する為に、フロント部はガタ付くことなく安定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の継手構造をメガネフレームに採用することで、ツルに対するフロント部の傾斜角度を自由に調整することが出来る。すなわち、遠方を見るときには通常の傾斜角度とし、新聞や雑誌を読むときにはフロント部を僅かに倒すことが出来、レンズの軸線を視線に出来るだけ近づけることが可能となる。そして、アーム先端には複数の係合溝を形成することで、フロント部を所定の傾斜角度に調整出来、しかも係合溝には係合片の先端がバネ力を付勢した状態で係合するために、フロント部は安定する。
【実施例】
【0010】
図1は本発明に係る継手構造を採用したメガネフレームを表している外観図である。同図の1はフロント部、2,2はツルを表して、フロント部1は両リム3,3と連結部材4、及びヨロイ5,5を有し、レンズ6,6が嵌るリム3,3は連結部材4にて連結され、そしてヨロイ5,5はリム3,3の外側にロウ付けされている。又、リム3,3の内側(フロント部中央部)には鼻当てパット7,7が取付けられている。
【0011】
ところで、ヨロイ5,5にはツル2,2が取付けられているが、該ツル2,2が折畳み出来るように継手8,8を介して連結している。そして、ツル2,2には軸ネジ9,9が設けられ、該軸ネジ9,9を中心としてフロント部1は上下動して、その傾きを変えることが出来る。ここで、ツル2,2が折畳まれる上記継手8,8の軸ネジは上下方向とし、フロント部1の傾きを変える軸ネジ9,9は水平方向と成っている。
【0012】
図2は本発明の継手構造を表している実施例であり、(a)は平面図、(b)は遠方を見る場合のフロント部の傾斜角とした継手構造、(c)は新聞、雑誌を読む際のフロント部の傾斜角とした継手構造を示している。ツル2にはヨロイ側にフロント部側部材としての連結部10が設けられ、ヨロイ5とは継手8を介して連結部10が連結され、この連結部10に軸ネジ9を介してツル2が連結している。
【0013】
この連結部10はツル2の一部であり、ツル2が折畳まれる際には連結部10もツル2と共に折畳まれる。そして、ツル2は連結部10に対して垂直面内で上下方向に旋回してその向きを変えることが出来る。このように、軸ネジ9を中心としてツル2は旋回できるが、所定の向きで停止することが出来る継手構造と成っている。すなわち、定めたフロント部1の傾斜角が動かないようにロックされる。
【0014】
連結部10からアーム11を延ばし、該アーム11の先端には係合溝12a,12bを形成している。ツル2には上記アーム11を挟む表面部15と内面部16を設け、軸ネジ9はアーム11の基部、及び表面部15と内面部16の先端部に設けられている。従って、ツル2に対して連結部10及びヨロイ5は旋回して上下方向の向きを変えることが出来る。勿論、ヨロイ5に取着されているフロント部1の向きが変わる。
【0015】
そしてアーム先端に形成した係合溝12a,12bには係合片13が係合している。係合片13には後方へ軸14を延ばし、該軸14はコイルバネ17のコイル穴に嵌って組み合わされ、ツル2に設けた軸穴18に収容されている。コイルバネ17のバネ力は上記係合片13に作用し、係合片13が係合溝12a又は12bに係合している。
【0016】
図3はツル2と連結部10を分離した場合を表している。ツル2に設けた表面部15と内面部16の間に形成した空間19にアーム11が嵌り、空間19の底には上記軸穴18が設けられている。図4はこの軸穴18に嵌るコイルバネ17と軸付き係合片13であり、係合片13はコイルバネ17に押されて軸穴18から一部突出し、空間19の底付近に位置しているアーム11の先端係合溝12a,12bに係合することが出来る。
【0017】
図2(b)は遠方を見る場合であり、係合片13は係合溝12aに係合している。そして、図2(c)は新聞や雑誌を読む場合であり、係合片13は係合溝12bに係合している。新聞、雑誌を読む際にはメガネを掛けた状態で、ツル2に対して連結部10及びヨロイ5を屈曲してフロント部1の傾斜角を変えることが出来る。係合溝12a,12bの深さはmとし、係合片13が係合溝12aから係合溝12bに移動するためには、係合片13が深さmに相当する距離だけ一旦後退する。
【0018】
係合溝12bに嵌った係合片13はフロント部1を安定して保持することが出来る。ここで、係合溝12a,12bの深さmが小さいと、フロント部1の傾斜角度が安定しないが、逆に大きすぎるとフロント部1の傾斜角度の調整に無理がかかる。
【0019】
図2に示した実施例は、連結部10からアーム11を延ばし、ツル2に係合片13及びコイルバネ17を設けているが、逆にツル側からアームを延ばすと共に連結部側に係合片及びコイルバネを設けることも可能である。又、係合片とコイルバネを別部品として構成しているが、板バネに係合片を一体成形することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る継手部構造を備えたメガネフレーム。
【図2】本発明に係る継手部構造を示す実施例。
【図3】継手部を構成するツルと連結部。
【図4】継手部を構成する係合片とコイルバネ。
【図5】フロント部とツルの位置関係。
【符号の説明】
【0021】
1 フロント部
2 ツル
3 継手
4 連結部材
5 ヨロイ
6 レンズ
7 鼻当てパット
8 継手
9 軸ネジ
10 連結部
11 アーム
12 係合溝
13 係合片
14 軸
15 表面部
16 内面部
17 コイルバネ
18 軸穴
19 空間



【特許請求の範囲】
【請求項1】
メガネフレームのツルを連結する継手構造において、ヨロイの先端に設けて上下方向の軸を有す継手には連結部が折畳み出来るように連結し、そして連結部の先端には水平方向に設けた軸ネジを介してツルを連結し、又連結部先端からツル側へアームを延ばし、アーム先端には複数の係合溝を形成し、ツル側には係合片を取付けて上記係合溝にはバネ力を付勢した係合片を係合したことを特徴とするメガネフレームのツル継手構造。
【請求項2】
メガネフレームのツルを連結する継手構造において、ヨロイの先端に設けて上下方向の軸を有す継手には連結部が折畳み出来るように連結し、そして連結部の先端には水平方向に設けた軸ネジを介してツルを連結し、又ツルから連結部側へアームを延ばし、アーム先端には複数の係合溝を形成し、連結部側には係合片を取付けて上記係合溝にはバネ力を付勢した係合片を係合したことを特徴とするメガネフレームのツル継手構造。
【請求項3】
上記係合片には軸を連結し、軸をコイルバネのコイル穴に嵌めると共にコイルバネのバネ力を上記係合片に付勢した請求項1、又は請求項2記載のメガネフレームのツル継手構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−107396(P2008−107396A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287513(P2006−287513)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(598048196)株式会社エクセル眼鏡 (8)
【Fターム(参考)】