説明

メガネフレーム用部品

【課題】 立体感、深みのある鮮やかな模様が得られるメガネフレーム用部品を提供する。
【解決手段】 弾性を有する金属からなる基材2と、基材2の表面に積層される弾性を有する樹脂からなるマーキング層3と、マーキング層3の表面に積層される弾性を有する透明又は半透明の樹脂からなる被覆層5とを備える。マーキング層3の表面にはレーザー加工により所定のパターンの溝4が設けられ、この溝4の底面に基材2の地肌が露出する。マーキング層3及び被覆層5は50μm以上の厚みに設定される。被覆層5の表面側からマーキング層3の溝4及び溝4の底面の基材2の地肌を目視することにより、立体感、深みのある鮮やかな模様が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リム、ブリッジ、ヨロイ、テンプル等のメガネフレーム用部品に関し、特に、模様付きのメガネフレーム用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リム、ブリッジ、ヨロイ、テンプル等のメガネフレーム用部品の表面に着色、印刷、エッチング等により模様、色彩等を付したものが知られている。また、メガネフレーム用部品の表面にレーザーを照射して変色させ、この変色させた部分で所定のパターンの模様、色彩を表現するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
さらに、メガネフレーム用部品の表面に透明層を設け、この透明層内に不透明層を形成し、透明層の表面から不透明層に向けてレーザーを照射し、不透明層の表面を変色させ、変色させた部分により模様、色彩を表現するように構成したものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
さらに、金属製の基材の表面に七宝を積層したメガネフレーム用部品が知られている。
【0005】
さらに、金属製の基材の表面にプレス加工により凹凸を形成し、この凹凸により模様を構成するようにしたメガネフレーム用部品が知られている。
【特許文献1】特開昭54−56576号公報
【特許文献2】実開平5−33122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような各種のメガネフレーム用部品のうち、着色、印刷、エッチングによって模様、色彩を付したもの、表面にレーザーによって変色を加えて、模様、色彩を付したものは、メガネフレーム用部品の表面のみに模様、色彩が付されているため、立体感に欠け、深みのある鮮やかな色彩の模様が得られない。また、きめ細やかな模様も得られない。さらに、透明層内の不透明層の表面に模様、色彩を付したものは、ある程度の深みのある模様、色彩が得られるが、これでも十分な深みのある模様、色彩が得られない。また、きめ細やかな模様も得られない。さらに、基材の表面に七宝を積層したメガネフレーム用部品は、深みのある模様、色彩、きめ細やかな模様が得られるが、基材の弾性変形に七宝が追従することができないため、模様を構成する七宝の部分に割れ等が生じる問題がある。さらに、基材の表面にプレス加工により凹凸を形成したものは、ある程度立体的な模様を形成することはできるものの、凹凸の幅が制限されるため、きめ細やかな深みのある模様を形成することができない。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題を解決したものであって、基材の表面に一回の塗布で膜厚を厚くしてレーザー加工をすることにより立体感を有することができ、深みのある鮮やかな色彩の模様が得られるとともに、きめ細やかな模様が得られる。また、その上部に樹脂層を薄く塗布することでさらに立体感が出るとともにレーザー加工部の腐食防止になるとともに、模様を構成する部分に割れ等が生じることがない。さらに、模様を構成する凹凸の幅の制約がなくなってきめ細やかな深みのある模様を有する、メガネフレーム用部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、本発明の請求項1に係るメガネフレーム用部品は、メガネフレームのリム、ブリッジ、ヨロイ、テンプル等を構成するメガネフレーム用部品であって、弾性を有する金属からなる基材と、該基材の表面に50μm以上の厚さで積層される弾性を有する樹脂からなるマーキング層とを備え、前記マーキング層には、レーザー加工により所定のパターンの溝が該溝の底面に前記基材の地肌を露出させた状態で形成されている手段を採用している。
【0009】
また、本発明の請求項2に係るメガネフレーム用部品は、請求項1に記載のメガネフレーム用部品であって、前記マーキング層の表面には、弾性を有する透明又は半透明の樹脂からなる被覆層が50μm以上の厚さで積層されている手段を採用している。
【0010】
さらに、本発明の請求項3に係るメガネフレーム用部品は、請求項1又は2に記載のメガネフレーム用部品であって、前記マーキング層と前記基材との間には、弾性を有する透明又は半透明の樹脂からなる50μm以上の厚みの下地層が介装されている手段を採用している。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、前記のように構成したことにより、マーキング層の表面側からマーキング層の溝及び溝の底面に露出している基材の地肌を目視することができる。この場合、マーキング層は50μm以上の厚さを有しているので、溝の形状に応じた立体感のある模様が得られる。また、マーキング層の色彩、基材の色彩等が相俟って、深みのある鮮やかな色彩の模様が得られる。さらに、レーザー加工によるきめ細やかな模様が得られる。
【0012】
さらに、マーキング層の表面には弾性を有する透明又は半透明の樹脂からなる被覆層が積層されているので、被覆層を透過してマーキング層の溝及び溝の底面に露出している基材の地肌を目視することができる。この場合、被覆層は50μm以上の厚さを有しているので、マーキング層の溝による模様をさらに立体感のあるものとすることができる。さらに、被覆層の色彩、マーキング層の色彩、基材の色彩等が相俟って、深みのある鮮やかな色彩の模様が得られる。
【0013】
さらに、基材とマーキング層との間に下地層を介装させることにより、マーキング層の溝による模様をさらに立体感のあるものとすることができる。
【0014】
さらに、マーキング層、被覆層及び下地層は、それぞれ弾性を有する樹脂から形成されているので、基材の弾性変形に追従してマーキング層、被覆層及び下地層を弾性変形させることができるので、マーキング層、被覆層及び下地層に割れが生じるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2には、本発明によるメガネフレーム用部品の第1の実施の形態が示されていて、このメガネフレーム用部品1は、メガネフレームのテンプルに適用したものであって、弾性を有する金属からなる基材2と、基材2の表面に所定の厚みで積層される弾性を有する樹脂からなるマーキング層3とを備えている。
【0016】
基材2は、ニッケル合金、ベリリューム銅、金、チタン合金、ニッケル・チタン合金等の弾性を有する各種の金属から形成されるものであって、薄板状、丸棒状等に形成され、この基材2の表面の一部にマーキング層3が所定の厚みで積層される。
【0017】
マーキング層3は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の弾性を有する樹脂から形成され、基材2の表面の一部に塗布等の積層手段によって所定の厚みで積層される。
【0018】
マーキング層3の厚みは、50μm以上とし、好ましくは50〜60μmとする。マーキング層3は、素材に顔料を混合させて素材自体に着色しても良いし、基材2の表面に積層した後に表面に塗料を塗布して着色しても良い。この場合、一色又は二色以上の色を付すことができる。
【0019】
マーキング層3の表面の一部には、レーザービーム加工により所定のパターンの溝4が形成される。この場合、レーザーの出力を調整することにより、溝4に対応するマーキング層3の部分を完全に除去し、溝4の底面に基材2の地肌を露出させている。溝4の形状は特に限定されるものではなく、各種の文字、模様等とすることができる。この実施の形態においては格子状の模様としている。
【0020】
レーザービーム加工に使用するレーザーとしては、特に限定するものではなく、CO2レーザー、Arレーザー、YAGレーザー等のレーザーが挙げられる。この実施の形態においては、CO2レーザーを使用している。
【0021】
上記のように構成したこの実施の形態によるメガネフレーム用部品1にあっては、基材2の表面にマーキング層3を積層し、マーキング層3にレーザー加工により所定のパターンの溝4を形成し、溝4の底面に基材2の地肌を露出させるように構成したので、マーキング層3の表面側からマーキング層3の格子状の溝4及び溝4の底面に露出している基材2の地肌を目視できることになる。
【0022】
この場合、マーキング層3は50μm以上の厚さに設定されているので、溝4の形状に応じた立体感のある格子状の模様が得られる。また、マーキング層3の色彩、基材2の色彩等が相俟って、深みのある鮮やかな色彩の格子状の模様が得られる。さらに、レーザー加工によって溝4を形成しているので、きめ細やかな模様が得られる。さらに、マーキング層3は弾性を有する樹脂から形成されているので、基材2の弾性変形に追従してマーキング層3を弾性変形させることができることになり、マーキング層3に割れ等が生じるのを防止できる。
【0023】
図3には、本発明によるメガネフレーム用部品の第2の実施の形態が示されていて、このメガネフレーム用部品1は、マーキング層3の表面に弾性を有する透明又は半透明の樹脂からなる被覆層5を所定の厚みで積層したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0024】
被覆層5は、マーキング層3の表面に所定のパターンの溝4を形成した後に、マーキング層4の表面に塗布等の積層手段によって所定の厚みで設けられる。この場合、被覆層5を構成する樹脂に顔料等を混合させて色を付しても良い。但し、マーキング層3の表面を透過可能な色に制限される。
【0025】
被覆層5の厚みは、50μm以上とし、好ましくは50〜60μmとする。このような厚みに被覆層5を設定することにより、マーキング層3に形成した溝4による模様にさらに立体感を与えることができる。被覆層5を構成する樹脂としてはアクリル系樹脂等が挙げられる。
【0026】
そして、この実施の形態によるメガネフレーム用部品1にあっても、基材2の表面にマーキング層3を積層し、マーキング層3にレーザー加工により所定のパターンの溝4を形成し、溝4の底面に基材2の地肌を露出させ、さらにマーキング層3の表面に被覆層5を積層しているので、被覆層5の表面側からマーキング層3の格子状の溝4及び溝4の底面に露出している基材2の地肌を目視できることになる。
【0027】
この場合、被覆層5及びマーキング層3は、50μm以上の厚さに設定されているので、溝4の形状に応じた立体感のある格子状の模様が得られる。また、被覆層5の色彩、マーキング層3の色彩、基材2の色彩等が相俟って、深みのある鮮やかな色彩の格子状の模様が得られる。さらに、レーザー加工によって溝4を形成しているので、きめ細やかな模様が得られる。さらに、被覆層5及びマーキング層3は弾性を有する樹脂から形成されているので、基材2の弾性変形に追従してマーキング層3及び被覆層5を弾性変形させることができるので、マーキング層3及び被覆層5に割れ等が生じるのを防止できる。
【0028】
図4には、本発明によるメガネフレーム用部品の第3の実施の形態が示されていて、このメガネフレーム用部品1は、基材2とマーキング層3との間に下地層6を介装させたものであって、その他の構成は前記第2の実施の形態に示すものと同様である。
【0029】
下地層6は、弾性を有する透明又は半透明のアクリル系樹脂等からなるものであって、この下地層6を透過して基材2の地肌を目視することができる。この場合、アクリル系樹脂に顔料を添加して、下地層6に色を付しても良い。但し、基材2の表面を透過可能な色に制限される。下地層6の厚みは50μm以上とし、好ましくは50〜60μmとする。
【0030】
そして、この実施の形態によるメガネフレーム用部品1にあっても、基材2の表面に下地層6を介してマーキング層3を積層し、マーキング層3にレーザー加工により所定のパターンの溝4を形成し、溝4の底面に下地層6を介して基材2の地肌を露出させ、さらにマーキング層3の表面に被覆層5を積層しているので、被覆層5の表面側からマーキング層3の格子状の溝4、及び溝4の底面に下地層6を介して露出している基材2の地肌を目視できることになる。
【0031】
この場合、被覆層5、マーキング層3及び下地層6は、50μm以上の厚さに設定されているので、溝4の形状に応じた立体感のある格子状の模様が得られる。また、被覆層5の色彩、マーキング層3の色彩、下地層6の色彩、基材2の色彩等が相俟って、深みのある鮮やかな色彩の格子状の模様が得られる。さらに、レーザー加工によって溝4を形成しているので、きめ細やかな模様が得られる。さらに、被覆層5、マーキング層3及び下地層6は弾性を有する樹脂から形成されているので、基材2の弾性変形に追従して被覆層5、マーキング層3及び下地層6を弾性変形させることができるので、被覆層5、マーキング層3及び下地層6に割れ等が生じるのを防止できる。
【0032】
なお、図示はしないが、第1の実施の形態のメガネフレーム用部品の基材とマーキング層との間に下地層を介装させても良いものである。また、前記各実施の形態においては、マーキング層に格子状の溝を設けることにより格子状の模様を構成したが、各種の文字、模様等の溝を設けることによりその溝に対応した模様を構成するようにしても良い。さらに、前記各実施の形態においては、本発明をメガネフレームのテンプルに適用したが、リム、ヨロイ、ブリッジ等に適用しても良いし、その他の部品に適用しても良い。
【0033】
以上のようなこの発明によれば、従来はアクリル樹脂を薄くしないと発泡するので複数回塗布して厚くしたが、一回で40〜80μmの厚さに塗布することができ、このものをレーザーで掘ることで立体感がでる。さらに、その上部にアクリル樹脂等を薄く塗布することで更に立体感がでるとともに、レーザー加工の腐食防止にもなる。そしてアクリルを使用することで厚さがあっても割れることがないし、NT、βチタン等の弾性部材を使用することにより、従来加工しづらかったプレス加工にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明によるメガネフレーム用部品の第1の実施の形態を示した平面図である。
【図2】図1の部分拡大断面図である。
【図3】本発明によるメガネフレーム用部品の第2の実施の形態を示した部分拡大断面図である。
【図4】本発明によるメガネフレーム用部品の第3の実施の形態を示した部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 メガネフレーム用部品
2 基材
3 マーキング層
4 溝
5 被覆層
6 下地層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メガネフレームのリム、ブリッジ、ヨロイ、テンプル等を構成するメガネフレーム用部品であって、弾性を有する金属からなる基材と、該基材の表面に50μm以上の厚さで積層される弾性を有する樹脂からなるマーキング層とを備え、前記マーキング層には、レーザー加工により所定のパターンの溝が該溝の底面に前記基材の地肌を露出させた状態で形成されていることを特徴とするメガネフレーム用部品。
【請求項2】
前記マーキング層の表面には、弾性を有する透明又は半透明の樹脂からなる被覆層が50μm以上の厚さで積層されていることを特徴とする請求項1に記載のメガネフレーム用部品。
【請求項3】
前記マーキング層と前記基材との間には、弾性を有する透明又は半透明の樹脂からなる50μm以上の厚みの下地層が介装されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のメガネフレーム用部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−162980(P2006−162980A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354442(P2004−354442)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(503131054)ミートカラー産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】