説明

メシル酸エプロサルタンを含む錠剤

無水形態または二水和物形態のどちらかの唯一の形態でメシル酸エプロサルタンを含む錠剤を記載する。別の態様において、メシル酸エプロサルタンが、USP装置2を使用し、錠剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5℃において配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて測定して、溶解中のすべての時点で、1セットのさまざまな錠剤サンプルからの溶解の変動性の相対標準偏差が30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である溶解プロフィールを示す程度に、無水または二水和物のどちらかである1種の第1の形態で提供される、直接圧縮により得ることができるメシル酸エプロサルタンを含む錠剤を開示する。さらに、1セットの錠剤のサンプルであって、それぞれが有効成分としてメシル酸エプロサルタンを含み、メシル酸エプロサルタンが、溶解中のすべての時点で、上記セットのさまざまな錠剤サンプルからの溶解の変動性の相対標準偏差が30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である溶解プロフィールを示す、1セットの錠剤のサンプルを記載する。錠剤は、無水または二水和物のどちらかである、唯一の第1の形態でメシル酸エプロサルタンを提供すること、場合によって、前記唯一の第1の形態を維持しながら、メシル酸エプロサルタンを乾式造粒法および直接圧縮に供することを含む方法を使用することによって、または微粒子型のメシル酸エプロサルタンおよび賦形剤または添加剤と混合し、調製されたメシル酸エプロサルタンの全乾燥製剤または顆粒が、それぞれ室温で決定して0.62未満、好ましくは0.60未満、より好ましくは0.50未満の水分活性を有すること、およびその後の打錠を含む方法によって調製することができる。適切な予防的および/または治療的使用もまた記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメシル酸エプロサルタンの新規な錠剤に関する。本発明は、メシル酸エプロサルタンの錠剤の新規な調製方法に関する。この錠剤は、医薬品として、特に高血圧、鬱血性心不全および腎不全の予防および/または治療に非常に有用である。
【背景技術】
【0002】
メシル酸エプロサルタン、化学的には(E)−α−[2−n−ブチル−1−[(4−カルボキシフェニル)メチル]−1H−イミダゾール−5−イル]メチレン−2−チオフェンプロピオン酸モノメタンスルホン酸は、本態性高血圧の治療用に承認されたアンギオテンシンII受容体(AT)拮抗薬である。この薬剤は、血圧(BP)降下作用から独立した脳血管事象の二次予防における利益を有する、忍容性が良好で、有効な降圧薬である。メシル酸エプロサルタンは、重篤な有害事象の可能性が低く、臨床的に有意な薬剤間相互作用を伴わない、降圧戦略との組み合わせに、有望な薬剤として確立されている。
【0003】
溶解度の低さ(通常pH2において0.1mg/ml未満)および腸上皮を越える浸透性の低さのため、この薬剤は非常に低い生体利用効率(13%)を示す。したがって、所望の生物学的効果(すなわち、血圧の有意な降下)を得るために、経口医薬投与形態に高用量のメシル酸エプロサルタンを組み込む必要がある。単剤療法として使用する場合、メシル酸エプロサルタンの推奨される毎日の出発用量および通常の維持量は、735.8mgであり、600mgのエプロサルタンと同等であり、Teveten(商標)600mg錠として市販されている。したがって、満足のいく技術特性(すなわち、流動性、圧縮率)を得るために必要とされる賦形剤の量は、錠剤重量を可能な限り低く保つために最小限であるべきである(望ましくは約1000mg未満)。より大きな錠剤は、患者のコンプライアンスの観点から好ましくない。
【0004】
US6,262,102B1はエプロサルタンの一水和物形態に関し、US2001/0031877A1はエプロサルタンの二水和物形態に関し、それぞれそれらの製造方法に関する。US6,262,102B1によれば、一水和物形態は、二水和形態の真空乾燥中に、または無水物を水と一緒に造粒し、保存および真空乾燥する時に製造される。US2001/0031877A1によれば、二水和形態は、化合物の無水形態の湿式造粒方法中に、インサイツで調製される。上記の特許において開示される医薬製剤は、すべて、無水メシル酸エプロサルタンから出発し、インサイツでさまざまな水和物形態を発生させ、方法を予測不可能にし、製剤をメシル酸エプロサルタンのさまざまな形態、すなわち無水物、一水和物および二水和物の存在を伴った製剤にする湿式造粒により製造される。US2002/0098241A1において、メシル酸塩形態とは異なる、無水エプロサルタンの遊離の塩基形態は、湿式造粒中に水和物を形成せず、したがってエプロサルタンの遊離の塩基性無水形態が、高薬剤用量を含む湿式または乾式造粒に提案されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,262,102号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2001/0031877号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0098241号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(発明の要旨)
本発明の目的は、物理的に安定なメシル酸エプロサルタンを含み、より調節された、または均一化された溶解プロフィールを有する、改善されたメシル酸エプロサルタン錠剤を提供すること、ならびにより強健(robust)、経済的および許容可能なそれらの製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、無水形態または二水和物形態どちらかの唯一の形態でメシル酸エプロサルタンを含む錠剤を提供する。
【0008】
さらなる態様において、本発明は、メシル酸エプロサルタンが、USP装置2を使用し、錠剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5℃において配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて測定して、溶解中のすべての時点で、1セットのさまざまな錠剤サンプルからの溶解の変動性の相対標準偏差が30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である溶解プロフィールを示す程度に、無水または二水和物のどちらかである1種の第1の形態で提供される、直接圧縮により得ることができるメシル酸エプロサルタンを含む錠剤を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明は、1セットの、前述の態様に従った錠剤のサンプルであって、それぞれが有効成分としてメシル酸エプロサルタンを含み、メシル酸エプロサルタンが、USP装置2を使用し、錠剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5℃において配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて測定して、溶解中のすべての時点で、1セットのさまざまな錠剤サンプルからの溶解の変動性の相対標準偏差が30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である溶解プロフィールを示す、1セットの錠剤のサンプルを提供する。
【0010】
本発明は、無水または二水和物のどちらかである、唯一の第1の形態でメシル酸エプロサルタンを提供すること、場合によって、前記唯一の第1の形態を維持しながら、メシル酸エプロサルタンを乾式造粒法および直接圧縮に供することを含む、錠剤の調製方法を、その上さらに提供する。
【0011】
その上さらなる態様において、本発明は、微粒子型のメシル酸エプロサルタンを賦形剤または添加剤と混合し、調製されたメシル酸エプロサルタンの全乾燥製剤または顆粒が、それぞれ室温で決定して0.62未満、好ましくは0.60未満、より好ましくは0.50未満の水分活性を有すること、およびその後の打錠を含む、錠剤の調製方法を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、無水形態または二水和物形態のどちらかの唯一の形態でメシル酸エプロサルタンを含む少なくとも1つの錠剤を含み、前記少なくとも1つの錠剤が、蒸気および水分の浸透に対して密閉され、好ましくはさらに露光に対して保護されるパッケージ内に包装されるパッケージを提供する。
【0013】
本発明に従って提供または調製される錠剤、1セットの錠剤のサンプルおよびパッケージは、高血圧、鬱血性心不全および腎不全の予防および/または治療に特に適している。
【0014】
上述の態様において、メシル酸エプロサルタンは無水形態が好ましく、本質的に、特にメシル酸エプロサルタンの一水和物形態および二水和物形態が完全に不在であることがより好ましい。不在は、メシル酸エプロサルタンの一水和物形態および二水和物形態のどちらも、X線観察により検出不可能であることを特に意味する。
【0015】
発明、その有利性および好ましい実施形態の説明
以下の項目に要約されている、本発明の態様、有利な特徴および好ましい実施形態は、それぞれ単独または組み合わせで、本発明の目的の解決にさらに寄与する。
【0016】
(1)メシル酸エプロサルタンを、無水形態または二水和物形態のどちらかの唯一の形態で含む錠剤。
【0017】
(2)メシル酸エプロサルタンが、USP装置2を使用し、錠剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5℃において配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて測定して、溶解中のすべての時点で、1セットのさまざまな錠剤サンプルからの溶解の変動性の相対標準偏差が30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である溶解プロフィールを示す程度に、無水または二水和物のどちらかである1種の第1の形態で提供される、直接圧縮により得ることができるメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0018】
(3)メシル酸エプロサルタンが、錠剤総量に対して少なくとも50%w/wの量で存在する、(1)または(2)に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0019】
(4)水分含有量が、錠剤総量の5重量%以下である、(1)から(3)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0020】
(5)メシル酸エプロサルタンを微粒子型で提供することによって得られ、少なくとも65v/v%のメシル酸エプロサルタン粒子が粒径範囲2から27μmに収まる、(1)から(4)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0021】
(6)少なくとも75v/v%、好ましくは少なくとも85v/v%のメシル酸エプロサルタン粒子が、2から27μmの粒径範囲に収まる、(5)に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0022】
(7)メシル酸エプロサルタンおよび賦形剤を組み合わせて含み、賦形剤が、ポリエチレングリコール(PEG;Macrogol)、好ましくは400から20000の範囲の分子量を有するPEG;ポリビニルピロリドン(PVP)またはその架橋形態であるクロスポビドン;二酸化ケイ素、好ましくはヒュームドシリカまたはコロイド状二酸化ケイ素;糖エステルおよびポリヒドロキシ糖、好ましくはマンニトール;乳糖、イソマルト、ラクチトールおよびデキストロース;緩衝塩、好ましくは無水モノ−、ジ−またはトリ−塩基性リン酸、より好ましくはリン酸カルシウム、硫酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム;親水性、アニオン性、カチオン性、両性イオン性および非イオン性の界面活性剤および親油性添加剤、例えばモノ−、ジ−またはトリグリセライド、ポリエトキシ化脂肪酸、脂肪酸エステルおよび油、好ましくはオレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムならびにポリグリコール化グリセリド;タルク;多糖類、好ましくはデンプンおよびセルロース、より好ましくはヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、フタル酸HPMC、シクロデキストリンおよびカルボマー、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース(MCC)、粉末セルロース;ポリペプチド、例えばゼラチン;ならびにそれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含む、(1)から(6)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0023】
(8)賦形剤が、400から20000の範囲の分子量を有するPEG;約50から約100μmの粒径を有し、≦1.5%の水分含有量を有するMCC;少なくとも約50m/gの比表面積を有するフュームドシリカおよびそれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含む、(7)に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0024】
(9)賦形剤が、乳糖、イソマルトおよびマンニトールならびにそれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含む、(7)または(8)に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0025】
(10)メシル酸エプロサルタンおよび賦形剤を組み合わせて含み、賦形剤が400から20000の範囲の分子量を有するPEGおよびマンニトールを少なくとも含む、(1)から(9)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0026】
(11)賦形剤が、乳糖、イソマルトまたはそれらの混合物をさらに含む、(10)に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0027】
(12)賦形剤が凝集液と組み合わされることはない、(1)から(11)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0028】
(13)すべての賦形剤が粉末形態で加えられ、粉末形態で存在しない適切な賦形剤または添加剤は場合によって除外される、(12)に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0029】
(14)個々の賦形剤または添加剤の各量が10重量%を超えない、(1)から(13)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0030】
(15)前記メシル酸エプロサルタンが二水和物形態、好ましくは無水形態だけであり、メシル酸エプロサルタンの他の形態が存在しない、(1)から(14)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0031】
(16)前記メシル酸エプロサルタンが二水和物形態だけである、(1)から(14)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0032】
(17)前記メシル酸エプロサルタンが無水形態だけである、(1)から(14)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0033】
(18)微粒子型のメシル酸エプロサルタンおよび賦形剤または添加剤を混合して含み、メシル酸エプロサルタンの錠剤が0.62未満の水分活性を有する、(1)から(17)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0034】
(19)それぞれ室温における決定で0.62未満、好ましくは0.60未満およびより好ましくは0.50未満の総水分活性を有する、(1)から(18)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0035】
(20)全錠剤の≦5重量%、好ましくは≦2重量%、とりわけ≦0.5重量%の水分含有量を有する、(1)から(19)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0036】
(21)粒子の40重量%以下が45μmより小さい、好ましくは粒子の35重量%以下、より好ましくは粒子の20重量%以下が45μmより小さい粒径分布を有する顆粒を提供することにより得られる、(1)から(20)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0037】
(22)直接圧縮により得られる、(1)から(21)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0038】
(23)少なくとも40%、好ましくは少なくとも35%、とりわけ少なくとも30%の圧縮率を有するメシル酸エプロサルタンの乾燥製剤または顆粒、および前記乾燥製剤または顆粒を直接圧縮に供することから得られる、(1)から(22)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0039】
(24)無水または二水和のいずれかである第1の形態から、メシル酸エプロサルタンの別の形態または混合形態への転換の予防が、少なくとも3カ月間、好ましくは6カ月間にわたって本質的に維持されるほどに、メシル酸エプロサルタンが物理的に安定である(1)または(23)に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0040】
(25)錠剤の総量に対して、メシル酸エプロサルタンを、少なくとも50%、好ましくは少なくとも65%、とりわけ少なくとも70%w/wの量で含む、(1)から(24)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0041】
(26)80から280N、とりわけ100から250N、よりとりわけ150から200Nの硬度を有する、(1)から(25)のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0042】
(27)錠剤中の原初のエプロサルタンの量に対して、USP装置2を使用し、錠剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5°Cにおいて配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて試験して、それぞれ錠剤中の原初のエプロサルタンの量に対して、30分以内に少なくとも50%の比率でエプロサルタンを放出すること、好ましくは60分以内に少なくとも60%および90分以内に少なくとも70%の比率でエプロサルタンを放出することによる溶解プロフィールを有する、メシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【0043】
(28)1セットの錠剤サンプルであって、それぞれが、有効成分としてメシル酸エプロサルタンを含み、メシル酸エプロサルタンが、USP装置2を使用し、錠剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5°Cにおいて配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて測定して、溶解中のすべての時点で、上記セットのさまざまな錠剤サンプルからの溶解の変動性の相対標準偏差が30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である溶解プロフィールを示す、1セットの錠剤サンプル。
【0044】
(29)1セットの、(1)から(27)のいずれか一項に記載の錠剤のサンプルであって、それぞれが有効成分としてメシル酸エプロサルタンを含み、メシル酸エプロサルタンが、USP装置2を使用し、錠剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5℃において配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて測定して、溶解中のすべての時点で、上記セットのさまざまな錠剤サンプルからの溶解の変動性の相対標準偏差が30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である溶解プロフィールを示す、1セットの錠剤のサンプル。
【0045】
(30)微粒子型のメシル酸エプロサルタンを賦形剤または添加剤と混合し、調製されたメシル酸エプロサルタンの全乾燥製剤または顆粒が、それぞれ室温で決定して0.62未満、好ましくは0.60未満、より好ましくは0.50未満の水分活性を有すること、およびその後の打錠を含む、錠剤の調製方法。
【0046】
(31)調製に使用した個々の賦形剤または添加剤が、それぞれ室温で決定して0.62未満、好ましくは0.60未満、より好ましくは0.50未満の限定された水分活性を有する、(30)に記載の方法。
【0047】
(32)混合ステップに使用した賦形剤または添加剤が、(7)から(14)のいずれか一項において定義される、(31)または(32)に記載の方法。
【0048】
(33)ブリケッティングまたはスラッギング、その後場合によって篩過または製粉をさらに含む、(30)から(32)のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
(34)ブリケッティングまたはスラッギング、その後場合によって篩過または製粉のステップが、40重量%未満、好ましくは35重量%未満、より好ましくは20重量%未満の粒子が45μmより小さいことにより定義される粒径分布を製造される粒径が示すように調節するように実施される、(33)に記載の方法。
【0050】
(35)無水または二水和物のどちらかである、唯一の第1の形態でメシル酸エプロサルタンを提供すること、場合によって、前記唯一の第1の形態を維持しながら、メシル酸エプロサルタンを乾式造粒法および直接圧縮に供することを含む、錠剤の調製方法。
【0051】
(36)無水メシル酸エプロサルタンだけを提供し、その後維持することを特徴とする(35)に記載の方法。
【0052】
(37)無水エプロサルタン二水和物(anhydrous eprosartan dihydrate)だけを提供し、その後維持することを特徴とする、(35)に記載の方法。
【0053】
(38)製造されたメシル酸エプロサルタンの第1の形態が、少なくとも3カ月、好ましくは少なくとも6カ月にわたって、メシル酸エプロサルタンの別の形態に転換しない、(35)から(37)のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
(39)無水形態または二水和物形態のどちらかの唯一の形態でメシル酸エプロサルタンを含む少なくとも1つの錠剤を含み、前記少なくとも1つの錠剤が、蒸気および水分の浸透に対して密閉され、好ましくはさらに露光に対して保護されるパッケージ内に包装されるパッケージ。
【0055】
(40)ブリスターパックとして設計される、(39)に記載のパッケージ。
【0056】
(41)主にまたは完全にHDPE(高密度ポリエチレン)で作られるボトルとして設計される、(39)に記載のパッケージ。
【0057】
(42)ホイル/ホイルブリスター、好ましくはアルミニウム/アルミニウムブリスターを形成することによって、またはアルミニウムもしくはアルミニウム/プラスチック複合材料からなるブリスター底部およびカバーフィルムならびにブリスター底部の背面に対して密閉されるアルミニウム/プラスチック積層材料から形成される下方密閉トレイを含むパックを形成することによって蒸気の浸透に対して密閉される、(39)から(41)のいずれか一項に記載のパッケージ。
【0058】
(43)錠剤が乾式造粒または直接圧縮を介して得られた、(39)から(42)のいずれか一項に記載のパッケージ。
【0059】
(44)高血圧、鬱血性心不全および/または腎不全の予防および/または治療のための、項目(1)から(29)または(39)から(43)のいずれか一項に記載の使用。
【0060】
驚いたことに、本発明を使用することにより、錠剤が、有効成分のメシル酸エプロサルタンを唯一の多形として含むように調製できることが発見された。具体的には、好ましくは上記の賦形剤または添加剤から選択される適切な賦形剤または添加剤を使用する、乾式造粒または直接圧縮法によるメシル酸エプロサルタンの固体形態の調製の場合、メシル酸エプロサルタンを、無水形態または二水和物形態のどちらかの唯一の形態で提供することが可能である。さらに、本発明のこの態様において、乾式造粒または直接圧縮は、上記の特別の条件を用いて実施されることが好ましい。湿式造粒法とは対照的に、メシル酸エプロサルタンの唯一の形態、すなわち、無水形態または二水和物形態のどちらかは、本発明に従って調製された錠剤においてXRD分析により検出された。本発明のこの特徴に伴う有意な有利性は、溶解率の変動がより少ないことである。このことは、メシル酸エプロサルタンの無水形態が調製され、他の水和形態に変換しない場合、特に有益である。
【0061】
ある限定された粒径範囲を有する微粒子型でメシル酸エプロサルタンを使用することのさらなる有利性は、このメシル酸エプロサルタン形態を含む乾燥製剤または顆粒が自由流動性および凝集性の粉末特徴が改善され、凝集性のブリケッティングおよび乾式造粒の挙動を示すことであり、この作用は、有効で強健な乾式造粒打錠または直接圧縮にとって重要である。粒径が約2μmより小さいメシル酸エプロサルタン粒子が多すぎる場合、後の加工において摘み取り(picking)および付着(sticking)が生じる傾向があり、粒径が約27μmより大きいメシル酸エプロサルタン粒子が多すぎる場合、圧縮率が乏しくなる傾向にある。したがって、粒径分布の少なくとも65v/v%のメシル酸エプロサルタン粒子が粒径範囲2から27μpmに収まることが観察された。さらに、微粒子型の出発メシル酸エプロサルタンの特有の粒径範囲を観察することは、特に無水型である場合、溶解プロフィールの明らかな強化および溶解率の変動の低さに関する高度な溶解再現性に寄与する。メシル酸エプロサルタンを加工する場合、その粒径は実質的に変化しないままであり、通常全体として変化しないままである。全特徴の改善を考慮して、本発明に従って加工されたメシル酸エプロサルタン粒子の少なくとも75v/v%、より好ましくは少なくとも85v/v%が、2から27μmの粒径範囲に収まることが好ましい。
【0062】
メシル酸エプロサルタンを、特に無水形態で使用する場合、少なくとも400から20000範囲のPEG、特にmacrogol4000(PEG−4000)、をマンニトールと一緒に含む特定の賦形剤と組み合わせて使用することにより、インビトロ研究における溶解プロフィールの驚くべき著しい好ましい影響が得られ、これらの賦形剤両方によりブリケッティング用粉末混合物および打錠用顆粒のさらなる物理的特性が有意に強化され、その後、得られた錠剤の優れた圧縮率および重量の低下および硬度の変動性が提供される。
【0063】
さらに、メシル酸エプロサルタンを、特に無水形態で使用する場合、最終投与形態の最終水分活性に対するそれらの累積寄与が0.62未満であるような水分活性をそれぞれ有する賦形剤または添加剤と一緒に加工することによって、無水メシル酸エプロサルタンの乾燥製剤または顆粒調製物を得ることができ、乾式造粒または直接圧縮により適切に、および有効に再度加工でき、すなわち摘み取りおよび付着が減少し、溶解プロフィールが強化された錠剤を、最終的に再度提供することが、驚いたことに発見された。この目的を達成するために、調製された全メシル酸エプロサルタンの錠剤は、それぞれ室温で決定して、0.62未満、好ましくは0.60未満、より好ましくは0.50未満の水分活性を有することが好ましい。このことは、水分活性の前述の条件を個々に満たす賦形剤または添加剤を選択することによって、最も有効に達成できる。水分活性が前述の範囲より高い1種または複数種の賦形剤または添加剤が存在する場合、他の賦形剤または添加剤の水分活性が、調製された全錠剤の最終水分活性が、水分活性の前述の条件を満たすほどに低いことが好ましい。水分活性が、非湿式加工および長期保存の間のメシル酸エプロサルタンの安定性にさらに寄与することに注意されたい。例えば、メシル酸エプロサルタンの無水形態または二水和形態のどちらかである、初めに使用した単回形態は、加工および保存の間維持され得ることが確実であり得る。さらにその結果、異なる製品のサンプル、バッチまたはロット間の溶解プロフィールの変動は有意に減少できる。
【0064】
乾燥製剤または顆粒および最終的に単回投与形態、特に本発明に従った錠剤に導入されたメシル酸エプロサルタンは、特に好ましい無水形態の場合、メシル酸エプロサルタンの化学的および物理的安定形態をやはり維持する。適切な単位投与形態への直接圧縮による、または造粒による圧縮メシル酸エプロサルタン錠剤の調製は、本発明に従って、有効に実現可能であるので、有効成分は、無水形態から水和(一水和および二水和)形態に実質的に転換しない。このことは、有効成分の安定性を、有意にさらに強化する。
【0065】
したがって、本発明に従って、メシル酸エプロサルタンの無水形態または二水和形態のどちらか一形態から別の形態への転換を、加工の間だけでなく、長期保存の時間を通しても連続して避けることができる。このことは、錠剤などの単回投与形態を、製造直後に、水蒸気および水分に対して本質的または全体的に不浸透性であるパッケージ、特にブリスターパック、ボトルまたはプレススルーパッケージ(PTP)内に包装または保つ場合、特に実現可能である。最終包装までの全製造が、多くても60%RH(相対湿度)、より好ましくは多くても50%RHである水蒸気条件下で実施されることがより好ましい。
【0066】
適切なパッケージは、本質的または全体的に水蒸気/水分不浸透性であり、限定するものではないが、ホイル/ホイルパック、例えばアルミニウム/アルミニウムブリスター、HDPE(高密度ポリエチレンボトル)、水蒸気障壁特性が改善されたプラスチック製のシート、例えばコーティングされたポリ(塩化ビニル)またはポリプロピレン、ポリプロピレンおよびポリ(フッ化ビニリデン)の積層シート、および通常熱成形される「トロピカルブリスター」の名称で公知のブリスター底部を有するブリスターパックを含む。好ましくは、本発明に従ったブリスターパックは、冷間成形ホイル/ホイルブリスター設計を有し、さらに好ましくは、水分、酸素および光から最大100%保護が可能な黒い底部および/またはカバーを有する。ホイル/ホイルブリスターパックの一要素は、プラスチックフィルム(例えばPVCまたはPE)、接着、ホイル、接着、および外部プラスチックフィルムの積層を含む。PETまたはPVCであってよい外部フィルムは、アルミニウムの薄層を支持し、熱融着層として機能する。アルミニウム層は、普通、単一の厚い層ではなく、いくつかの非常に薄い層からなる。多重層は、ピンホールがホイルをすべて通らないことを確実にするために役立つ。多重層はまた、金属の伸縮性を増加し、低温延伸法を容易にする。これらの多重層のウェブは、形成、充填、密閉の機能を順序通りに実施する、熱成形−充填−密閉機であるがどのウェブも形成ステップ前に加熱されない機械において、形成され、充填され、密閉される。冷間成形方法中のホイル/ホイルブリスターパックの製造方法において、ホイルは、空洞を形成するためのプラグの周辺で形作られ、型打ちされる。
【0067】
「トロピカルブリスター」において、カバーフィルムはアルミニウムまたはアルミニウム/プラスチック複合材料からなり、通常冷間成形される、アルミニウム/プラスチック積層材料製の下部密閉トレイは、ブリスター底部の背面に対して密閉される。したがって、トロピカルブリスターにおいて、中身を有するブリスター底部は、カバー層中および下部密閉トレイ中のアルミニウムフィルムにより、外気からの蒸気およびガスの浸透に対して完全に保護される。
【0068】
さらに、好ましくは調節された粒径を有する、唯一の形態、例えば無水形態で存在するメシル酸エプロサルタンを使用することによって、および/または上記のような賦形剤または添加剤を選択することによって、許容可能な程度の硬度、もろさ、重量、形状、崩壊性および溶解性を含む、全特性が改善された錠剤のような単回投与形態を有効に、および確実に製造することが可能である。特定の結合剤、希釈剤および/または流動促進剤から、特にそれらの水分活性特徴の低さおよび水または水分含有量の低さを考慮して添加剤を選択することは、前述の特徴の最適なバランスに、さらに有意に寄与できる。
【0069】
メシル酸エプロサルタンは、特に上記の1種または複数種の賦形剤または添加剤と組み合わせて、微粒子型で、および単一の形態、例えば無水形態だけで存在するので、得られた乾燥製剤または顆粒は製剤原料の十分な凝集性を発揮する。このことは、直接圧縮による、または乾式造粒によるさらなる加工を容易にする。特に、圧縮および造粒法の間の付着および摘み取り問題を有効に回避でき、高用量のメシル酸エプロサルタン含有率を含有する固体投与形態を可能にする、すなわち、メシル酸エプロサルタンそれ自体が、圧縮錠剤重量のように、単回投与医薬製剤の総重量の相当部分を構成する。異なる製品のバッチまたは製品ロット中の有効成分の含有率間の実質的変動は、それによって信頼できる手法で抑制できる。本発明に従って、メシル酸エプロサルタンは、単回投与医薬製剤の総量に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも65重量%、とりわけ少なくとも70重量%の量に有利に達することができる。このような高薬剤用量を乾式造粒により達成でき、その結果湿式造粒の時間および経費を回避し、有効成分の安定した無水形態の転換の危険性を回避することが、本発明のさらなる特有の有利性である。
【0070】
本明細書においてメシル酸エプロサルタンに関連して使用される「無水形態または二水和物形態のどちらかの唯一の形態だけ」という用語は、メシル酸エプロサルタンの無水形態または二水和物形態のどちらかの実質的に唯一の形態を意味する。具体的には、この用語は、錠剤に製剤化された場合、USP装置2を使用し、錠剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5℃において配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて測定して、溶解中のすべての時点で、1セットのさまざまな錠剤サンプルからの溶解の変動性の相対標準偏差が30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である溶解プロフィールを示す程度の、メシル酸エプロサルタンの一形態を意味する。微量のメシル酸エプロサルタンの他の形態は、メシル酸エプロサルタンの溶解の変動性を損なわない限り、メシル酸エプロサルタンの唯一の形態中に存在していてもよく、CuKα線を使用して、2から40°の2θ範囲;0.033°の2θステップ;積算時間50秒(定期試験)および好ましくは4から20°の2θ範囲;0.033°の2θステップ;積算時間2000秒で記録した場合、回折計の検出限界を下回ることが好ましく、好ましくは存在しない。
【0071】
本明細書において使用する「乾燥製剤または顆粒」という用語は、有効成分のメシル酸エプロサルタンおよび医薬投与形態(特に錠剤)用のさらなる成分が、通常の湿式条件を回避しながら、本質的に乾式または完全に乾式の条件を使用する加工された調製品を意味する。これは、通常、有効成分の加工の間、限定量の液体、例えば、全製剤質量の明らかに10重量%未満、好ましくは5重量%未満、とりわけ2重量%未満の範囲で使用することによってまたは好ましくは湿式造粒において凝集のために、そうでなければ普通使用される液体、例えば水、エタノールもしくはそれらの組み合わせを全体的に回避することによって製造される。
【0072】
本明細書において使用する「水分活性」という用語は、a=p/pという表現で定義され、pは物質中の水の蒸気圧であり、pは同じ温度における純水の蒸気圧である。水圧は、適切な水分活性測定装置、例えば、センサー0628.0024を使用する機器Testo650により測定でき、双方ともEminTech(Helsingborg、Sweden)により入手可能および販売されている。特に述べない場合、本明細書において言及される水分活性は室温で決定され、本明細書において室温は22±0.5°Cとして理解される。
【0073】
本明細書において使用する「錠剤サンプルのセット」または「一連の錠剤のサンプル」という用語は、異なる製品のサンプル、バッチまたはロットから収集されたメシル酸エプロサルタンのサンプルを意味する。セット内の変動を、6種の異なるサンプル、例えば6個の錠剤から計算できる。本発明に従って、異なる製品バッチ/ロット間でさえ特徴の変動を満たすことが可能である。
【0074】
発明のさらなる有利性および好ましい実施形態の説明
以下において、本発明を、添付の図面を参照しながら好ましい実施形態および実施例により、より詳細に記載するつもりであるが、これらの実施形態、実施例および図面は例示目的のみで提示しており、決して本発明を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】無水メシル酸エプロサルタンのさまざまな粒径の溶解挙動に関する効果を例示的に示し、それぞれが600mgのメシル酸エプロサルタンを含む、相対的に緩徐な溶解製剤(実施例6;65v/v%未満が2から27μm(d(0.9)=35μm)の粒径を有するメシル酸エプロサルタン粒子)および相対的に高速な溶解製剤(実施例6;65v/v%を超えて2から27μm(d(0.9)=10μm)の粒径を有するメシル酸エプロサルタン粒子)に例示される図である。
【図2】実施例7(マンニトールおよびPEG−4000を含む)、実施例8(マンニトールを含まない)および実施例10(マンニトールおよびPEG−4000の双方とも含まない)に従った無水メシル酸エプロサルタンの溶解プロフィールへの、低水分活性の特徴およびある種の添加剤を含むことの影響を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
メシル酸エプロサルタンは吸湿性(60%を超えるRHにおいて)である。60%を超えるRHにおいて、無水メシル酸エプロサルタンはメシル酸エプロサルタン一水和物および後に二水和物に転換し、これらは安定性の問題を示し、そのままでは圧縮不可能である。その結果として、高強度投与形態(全錠剤含有用量の有効成分の、望ましくは最低でも60重量%、より好ましくは少なくとも約70重量%程度を有するもの)に直接圧縮でき、なお、許容可能であり好ましくは強化されているインビトロ溶解プロフィールをさらに有する自由流動性および凝集性があるメシル酸エプロサルタン組成物を提供する必要がある。
【0077】
メシル酸エプロサルタンは、本発明に従って、乾燥製剤または乾燥顆粒として提供される。好ましい実施形態によると、本発明に従って使用されるメシル酸エプロサルタンは、無水形態、粒子形態および結晶形態である。このことが、混合成分の直接圧縮または乾式造粒加工を可能にするために、製剤または顆粒を、好ましくは上記の1つの適切に選択された賦形剤または添加剤と混合可能にする。または、メシル酸エプロサルタンは、二水和形態および/または結晶形態である。
【0078】
乾式造粒の有利性は、ブレンドの均一性、関与する製造ステップがより少ないこと、熱および水分の除去、ブリケット、顆粒および錠剤の形成過程において有効成分および凝集粒子双方の粒径の調節が可能であること、物理的安定性の維持を含む。全方法は、粉末の計量、ブリケッティングまたはスラッギング、場合によって篩過、製粉およびブレンディングおよび最終圧縮だけを含んでよく、したがってコストがより少ない。
【0079】
本発明は、有効物質として、特定の粒径の、唯一の形態(好ましくは無水または一水和もしくは二水和形態)であるメシル酸エプロサルタンおよび医薬的に安全な賦形剤を含有する錠剤形態の製剤に特に関する。
【0080】
薬剤のエプロサルタンの溶解プロフィールは、変動の影響を調査することにより評価され、有効成分の粒径および添加剤/賦形剤の特定の特性、特に限定された水分活性を有することに関する特性が重要な因子であり、添加剤/賦形剤の型、不活性成分の量および錠剤の物理的特性に関する考慮が、方法および製品にさらなる有益な影響を与え得ることが発見された。
【0081】
本発明の使用に適した粒径を得るために、メシル酸エプロサルタンの、適切に微粉化、製粉、PEG製粉または微細化された形態が使用でき、好ましくは、少なくとも65%(v/v)が上記のように2から27μmの範囲に収まる粒径に整えられた無水形態および結晶形態が使用される。メシル酸エプロサルタンの粒径分布は、例えば、(例えば、Malvern Mastersizer Sを使用して)レーザー回折により測定できる。
【0082】
メシル酸エプロサルタンは比較的安定であることが実証されているが、この物質の特性により、この分子は、水/水分に接触した場合、物理的に変化する傾向があるものになっている。その結果として、エプロサルタンの満足のいく物理的安定性を得るため、および3種の異なる形態(無水、一水和および二水和)の変動性、したがって最終固体投与形態における溶解率の変動性を防ぐために、エプロサルタンを含有する錠剤に組み込まれる賦形剤は、上記のような限定された水分活性を有するために慎重に選択されるべきである。さまざまな賦形剤または添加剤との結合型または会合型とは関係なく、水分活性の特性は医薬製剤内の活性水分子に関係するので、本発明に従った水分活性の特性を詳細に観察することによって、改善された特徴が検討される。まさに、このような活性水分子の限定は、メシル酸エプロサルタンを含有する最終医薬製剤の加工中および特に保存中の両方において、メシル酸エプロサルタンの3種の異なる形態の望ましくない転換を防ぐための重要な基準である。加えて、全体としての錠剤中の水分含有量を好ましくは最小にする、好ましくは5%未満、より好ましくは2重量%未満、とりわけ0.5%未満であることが好ましい。驚いたことに、本発明者らは、乾式造粒法および適切な賦形剤の使用は、錠剤内のメシル酸エプロサルタン(一形態のみ、例えば無水物)の満足のいく物理的安定性をもたらし、同時に最終製剤の溶解プロフィールおよび変動性は許容可能であることを観察した。さらに、錠剤の製造においてエネルギーを消費するような乾燥を実施することを、直接圧縮または乾式造粒を使用する単純な過程において有益に省くことができる。特に乾式造粒を使用する場合、本発明の方法は、例えば、ブリケッティングまたはスラッギング、場合によって篩過および/または製粉ならびに打錠などの少数のステップだけを含むことができ、このことは方法の節約およびコストに有利である。このことは、上記のような適切な賦形剤および添加剤の選択と一緒になって、本発明の全方法をより強健、経済的および許容可能にする。
【0083】
したがって、本発明に従ったメシル酸エプロサルタンを含む錠剤が、本質的に無水形態のメシル酸エプロサルタンだけを含む、すなわちメシル酸エプロサルタンの一水和物形態または二水和物形態の実質的存在が無い、または完全に不在でさえあることが特に好ましい。メシル酸エプロサルタンの好ましい実質的に純粋な無水形態はX線回折分析により特定できる。または、メシル酸エプロサルタンの別の単一形態は二水和形態であり、X線回折分析により、この場合も同様に特定可能である。
【0084】
長期にわたって物理的安定性を維持するために、本発明に従った乾燥製剤または顆粒が、全乾燥製剤の≦5重量%、好ましくは≦2重量%、とりわけ≦0.5重量%の水分含有量を有することが好ましい。
【0085】
本発明に従って、充填剤、結合剤または他の賦形剤の量は、直接圧縮または乾式造粒方法を使用する場合でも、最終錠剤の有益な特徴を未だ提供しながら限定することができる。例えば個々の賦形剤または添加剤それぞれの量は10重量%を超えてはいけない、好ましくは、それらは7.5重量%または6重量%さえ超えてはいけない。さらに、賦形剤または添加剤の過半量(賦形剤/添加剤成分の半分を超える)が、それぞれ5重量%を超えてはいけない。このことは、高投入量薬剤が、本発明に従った乾燥製剤または顆粒を用いて達成できることと同じことを意味する。
【0086】
湿式造粒方法において、賦形剤の限定はより簡単であり、必要とされる流動特性および凝集特性を有する材料を提供し、分離傾向の無い許容可能な固体投与形態を得ることはより簡単である。
【0087】
驚いたことに、本発明に従ったメシル酸エプロサルタンの新規に開発された錠剤は、基本的に湿式造粒の錠剤サイズと同じ錠剤サイズが可能であり、同時に錠剤は優れた物理的特性および安定性、さらに高重量比のメシル酸エプロサルタンを得る可能性を有する。したがって、本発明は、高用量のメシル酸エプロサルタンを含有する、直接圧縮または乾式造粒の錠剤に関する機会を提供し、その結果、先行技術における、有効成分の安定形態を維持しながら湿式造粒の時間および経費を避ける必要性を満たす。先に説明したように、長期間にわたり無水または二水和のどちらかである単回形態を維持することは、溶解プロフィールの変動性を確実により少なくする。安定な無水メシル酸エプロサルタンを用いて高用量でメシル酸エプロサルタンを提供することは、とりわけ、例えば0.15g/秒未満である薬剤それ自体のかなり乏しい流動性特徴およびしたがって、従来の錠剤プレスのパンチについて当初から付随する付着の問題を考慮して、本発明の価値のある利点である。
【0088】
上記の特定の物質の選択に注意を払うことに加えて、有効成分またはメシル酸エプロサルタン以外の賦形剤または添加剤を、結合剤、希釈剤、潤滑剤、崩壊剤、流動促進剤の単独または併用から適切に選択することができる。さらに有用な添加剤は、限定するものではないが、緩衝化剤、酸化防止剤、着色剤、安定剤、充填剤、可塑剤、乳化剤、保存料、増粘安定化剤またはパシフィアー(passifiers)、香味剤を、単独または併用で含むことができる。
【0089】
乾式加工、例えばブリケッティングまたはスラッギング、篩過または打錠の間、いずれの湿式条件でも好ましく避けるために、有効成分のメシル酸エプロサルタンと混合された賦形剤または添加剤は凝集液を含まない。好ましくは、粉末形態で存在しない適切な賦形剤または添加剤を場合によって除外し、粉末成分だけがメシル酸エプロサルタンとの混合に使用されるべきである。
【0090】
流動性、圧縮率、塊の均一性、錠剤の硬度、高薬剤投入量および薬剤成分の均一性および優れた溶解プロフィールを含む全特徴の有利な改善のために、以下の好ましい一連の条件が重要であることが発見された:
個々の賦形剤または添加剤のそれぞれの量が、好ましくは最終単回投与医薬製剤の総量に対して10重量%を超えない。
【0091】
賦形剤または添加剤およびメシル酸エプロサルタンとの混合後に得られた乾燥製剤または顆粒が、低水分含有量、全乾燥製剤または顆粒および最終的に得られた単回投与医薬製剤に対して好ましくは≦5重量%または好ましくは≦2重量%、とりわけ≦0.5重量%を有する。このことは、適した賦形剤もしくは添加剤物質を適切に選択することによって、または賦形剤もしくは添加剤物質を水分含有量を減少させる方法、例えば加熱、乾燥、凍結乾燥、水脱着などに供することによって、最も有効に達成できる。
【0092】
メシル酸エプロサルタンの乾燥製剤または顆粒は、粒子の40重量%以下が45μmより小さい、好ましくは粒子の35重量%以下、より好ましくは粒子の20重量%以下が45μmより小さい粒径分布を有する顆粒により定義される。このことは、ブリケッティング、場合によって2.0mm(第1の篩)および1.2mm(第2の篩)の適切な網目サイズを通して製粉または篩過を実施する場合に、製造した顆粒がそのような粒径分布を示すように圧力を適切に調節することによって、最も有効に達成できる。篩分け分析を使用し、顆粒の粒径分布を測定する。
【0093】
メシル酸エプロサルタンを、無水または二水和物のどちらかである、唯一の第1の形態で提供する乾燥製剤または顆粒。
【0094】
乾式造粒方法において、粉末粒子は高圧下で凝集する。製剤成分は、乾燥状態で圧縮される。十分な結合強度が圧縮単独によって達成できない場合、同様に乾燥状態で結合剤を加えることが好ましい。初期の圧縮段階は、特別に設計された方法のステップにより実施できる。従来の錠剤プレスの第1の使用は、多くの場合スラッギングまたはブリケッティングと称される。製剤成分は、一般的に許容可能な特徴(硬度、もろさ、重量、形状、崩壊性、溶解性)を有する錠剤作製のための必要な特質を有していないので、この段階で製造される錠剤(スラッグまたはブリケット)は、特に外観および重量の均一性に関して普通許容できる品質ではない。ブリケットはその後破壊され、顆粒製品を形成し、これを篩過後再度圧縮し、満足のいく錠剤を得る。第2の圧縮において、製剤の圧縮率の緩和が、ブリケッティング段階に使用した圧力に反比例したことが観察された。これは、高圧におけるブリケッティングは、好ましくは避けるべきであることを含意する。ブリケッティング段階に適した条件の例は、予備力は最大5kNであり、主力は最大35kNである。これは普通、例えば70−90Nの範囲でブリケットの硬度をもたらす。
【0095】
本発明に従って使用される、特に適した添加剤は、ポリエチレングリコール(PEG;Macrogol)、好ましくは400から20000の範囲の分子量を有するPEG;ポリビニルピロリドン(PVP)またはその架橋形態であるクロスポビドン;二酸化ケイ素、好ましくはヒュームドシリカまたはコロイド状二酸化ケイ素;糖エステルおよびポリヒドロキシ糖、好ましくはマンニトール;乳糖、イソマルト、ラクチトールおよびデキストロース;緩衝塩、好ましくは無水モノ−、ジ−またはトリ−塩基性リン酸、より好ましくはリン酸カルシウム、硫酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム;親水性、アニオン性、カチオン性、両性イオン性および非イオン性の界面活性剤および親油性添加剤、例えばモノ−、ジ−またはトリグリセライド、ポリエトキシ化脂肪酸および脂肪酸エステルおよび油、好ましくはオレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムならびにポリグリコール化グリセリド;タルク;多糖類、好ましくはデンプンおよびセルロース、より好ましくはヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、フタル酸HPMC、シクロデキストリンおよびカルボマー、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース(MCC)、粉末セルロース;ポリペプチド、例えばゼラチン;ならびにそれらの混合物からなる群から好ましくは選択される。本発明の単回投与医薬製剤は、カバーフィルムまたはシェルをさらに含み、好ましい実施形態に従ったこれは、同様に非吸湿性である。さらなる好ましい実施形態において、二機能性または多機能性の賦形剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素(CSD)および微結晶性セルロース(MCC)を混合した、例えばProsolv(商標)が使用できる。
【0096】
メシル酸エプロサルタンの無水形態を含有および維持しながら、硬度、もろさ、重量、形状、崩壊性および溶解性を含む優れた全特徴を有する錠剤の製造に関して、賦形剤または添加剤として、400から20000範囲の分子量を有する少なくとも1種のPEG(特にMACROGOL4000)、イソマルトおよびマンニトールを選択した場合最適な結果が得られた。
【0097】
錠剤は、特に錠剤中のエプロサルタンの原初の量に対して、30分以内に少なくとも50%の比率でエプロサルタンを放出する、より好ましくは60分以内に少なくとも60%および90分以内に少なくとも70%のより差次的な比率でそれぞれ放出する場合、有益な放出特性を発揮する。溶解特性は、USP装置2を使用し、製剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5°Cにおいて配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて試験する。試料は溶解槽から一定の時間間隔で採取し、メシル酸エプロサルタンの濃度をHPLCにより分析した。さらに、錠剤は、溶解プロフィールの限定された変動を示し、前記は、30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満のRSD(相対標準偏差)であり、溶解中に前述の手順を使用して任意の時間に試験した。RSDは、異なるサンプルまたは製品のバッチもしくはロットの6つの測定値から計算した。さらに、約80から280N、とりわけ100から250N、よりとりわけ150から200Nの適切な硬度が、本発明に従った錠剤のために有利に達成できる。さらに、錠剤の適切なサイズを維持したままの高薬剤投入量の利益のために、少なくとも40%、好ましくは少なくとも35%、とりわけ少なくとも30%の圧縮率を有するメシル酸エプロサルタンの乾燥製剤または顆粒を提供することが、有益に可能である。本発明に従って、直接圧縮または乾式造粒された錠剤が得られ、これは、より強健、経済的および信頼できる直接圧縮または乾式造粒法を目的として、少なくとも60重量%の高用量の薬剤および(周囲温度および湿度において)承認された物理的および化学的安定形態を有し、したがって、本発明に従った単回投与医薬製剤は、特に高血圧、鬱血性心不全および腎不全の予防および/または治療用医薬品の調製に特に有用である。所望であれば、メシル酸エプロサルタンは、別の有効成分と、同じ単回投与形態内に組み合わせるまたはさらに個別の投与形態で組み合わせることができる。
【0098】
本発明の別の有利性は、有効成分の唯一の多形体を含む錠剤を調製できることである。具体的には、直接圧縮によりメシル酸エプロサルタンの錠剤を調製する場合、特に乾式造粒法により調製する場合、無水形態または二水和物形態のどちらかである、唯一の前記第1の形態でメシル酸エプロサルタンを維持することが可能である。特に、メシル酸エプロサルタンの無水または二水和物形態のどちらか1つを提供することから出発し、この活性形態を、適した賦形剤または添加剤、好ましくは上記のような賦形剤または添加剤を用いてさらに加工すること、固体投与形態、例えば、錠剤を直接圧縮により、好ましくは乾式造粒により、特に上記のような特別な条件を用いて作ることが特に有効であることが発見された。乾燥製剤または顆粒において、一水和物形態は不安定で、二水和物に転換する傾向があるので、唯一の多形体を有し、維持する製剤に関する必要条件を普通満たさないため、メシル酸エプロサルタンの一水和形態の使用は、適切ではない。加えて、湿式造粒により調製された錠剤において、メシル酸エプロサルタンの無水形態および水和形態の双方は、XRD分析により検出された。さらに、湿式造粒の場合、無水形態および水和形態の間の比率は、水分量、操作環境、造粒の乾燥時間などの多くの要因に左右される。従来の手法で湿式造粒により製剤を得た場合、二水和物がインサイツの湿式造粒において発生するので、得られた混合物は、少なくとも2形態のメシル酸エプロサルタン、すなわち、無水および二水和物を含有した。その種の変動は、インビトロおよびインビボの溶解率、特に高変動性の溶解率ならびに打錠法における錠剤の重量および硬度の変動性に非常に影響を与えることができる。他方、メシル酸エプロサルタンの唯一の形態、特に無水形態は、本発明に従って調製された錠剤中に、XRD分析によって検出された。結果として、溶解率の変動は、メシル酸エプロサルタンの唯一の第1の形態の存在によって、その後顕著に減少した。
【0099】
以下の実施例は、本発明の単なる例示であり、これらの実施例およびそれらの他の同等物は、本開示および添付の特許請求の範囲と照らし合わせて当業者には明らかになると思われるので、決して本発明の範囲を限定するものとして見なすべきではない。
【実施例】
【0100】
実施例1、2および3
【0101】
【表1】

【0102】
エプロサルタン錠の調製
微粉化有効成分の使用に基づいて、まず、製造方法として直接圧縮を調査した。有効物質およびステアリン酸マグネシウムを除く他のすべての賦形剤の混合物をホモジナイズし篩過した。その後、ステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合し、錠剤への圧縮を試み、個々の質量は、実施例1に関して975mg、実施例2および3に関して1007.50mgであった。メシル酸エプロサルタン(0.15g/秒未満;パンチへの付着あり)の非常に低い流動性および賦形剤と比較して高パーセントの有効成分(≧73%)に従って、最も一般的に使用される結合剤をさまざまな組み合わせで用いた直接圧縮が不可能であった。
【0103】
乾式造粒法によるさらなる調査を実施した。
【0104】
メシル酸エプロサルタンの粒径は、選択された技術手順および溶解プロフィーに従って本発明における使用のために、少なくとも65v/v%の粒子が2μmから27μmの範囲に収まった。メシル酸エプロサルタンのこの特徴は、特にメシル酸エプロサルタンが単一形態だけである場合、とりわけ無水形態だけである場合、最終ブレンドの一貫性のある粒径に寄与し、後期加工の間の摘み取りおよび付着の問題を回避し、含量均一性の問題を取り除く。粒径が大きくなるほど、錠剤からのメシル酸エプロサルタンの放出が減速され、さらに低い圧縮率により打錠法は非常に問題があることになる。
【0105】
メシル酸エプロサルタンの粒径分布は、レーザー回折により、Malvern Mastersizer Sを使用して測定した。サンプルセルは、少容量のサンプル分散セルMS1であり、提示は3NHEであり、溶媒はヘキサンであり、撹拌速度は2000rpmであった。以下の手順を使用した。サンプルセルをヘキサンで満たし、100mgのビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムを加え、測定装置に並べ、バックグランドを測定した。試料を、適切なオブスキュレーション(obscuration)(10−30%)に達するまでサンプルセルに加える。検出器からのシグナルが安定な時に分析する。
【0106】
メシル酸エプロサルタン錠のさらなる調査のために選択された成分を表2に示す。
【0107】
【表2】

【0108】
macrogol−4000、マンニトール、微結晶性セルロースおよびイソマルトならびに他の賦形剤との組み合わせは、直接圧縮用混合物と比較して、圧縮率の有意な改善を提供する。他方、さまざまな流動促進剤および潤滑剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクの混合物は、流動性を向上できる。さらに乳糖は、さまざまな粒径ならびにさまざまな型の微結晶性セルロースおよびマンニトールに従ったブリケッティング法において粉末の流動性に急激な変化を示す。乳糖の型は、粒径、流動性、圧縮率および溶解度に関する特徴を考慮に入れて、適切に選択される。得られた顆粒の球の特性および粒径は、単独および好ましくは組み合わせて考えて、錠剤混合の圧縮率において役に立つ。粒子間摩擦が非常に減少した混合におけるこの結果は、有効なブレンディングおよび非常に優れた流動をもたらす。優れた流動性は、錠剤の重量および硬度における変動を減少する。
【0109】
Macrogol 4000およびマンニトールは、錠剤の圧縮率(35−40%)について特定の影響を与える。さらに、溶解プロフィールは、これら2つの賦形剤により非常に改善される。その上さらに、流動促進剤および潤滑剤、特にイソマルトと一緒(例えば、GalenIQ721(商標))の、ブリケッティング法の間の添加(内相)は、有効成分が最大およそ81%の粉末の許容可能な流動性に強く寄与する。
【0110】
上記のリストからのさまざまな賦形剤を使用する乾式造粒法において、メシル酸エプロサルタン無水物の物理的安定性を調査した。無水形態のメシル酸エプロサルタンは、周囲温度および湿度において物理的および化学的に安定であり、これらを、本発明者らの研究室において乾式造粒法の始めから終りまで使用した。最終錠剤形態およびプラセボ粉末を、X線回折(XRD)パターンにより分析し、メシル酸エプロサルタンの無水形態の存在を確認する。
【0111】
実施例4および5
【0112】
【表3】

【0113】
粉末および顆粒の流動性、圧縮率、錠剤の重量および硬度の変動は、実施例4および5のための選択された賦形剤に従ったブリケッティングおよび打錠における主な問題であった。
【0114】
成分を秤量し、実験室のブレンダーの目的で5分間ブレンドした。その後、粉末混合物(内部)を、ロータリー式錠剤プレスを使用して、調節された環境下でブリケットへの圧縮に使用した。その後、ブリケットを、2.5mm、その後1.2mmの篩を通して2回挽いた。その後、外部賦形剤を、0.3mmの篩でふるい、顆粒に加え、5分間混合した。得られた最終ブレンドを、ロータリー式錠剤プレスを使用して、調節された環境下で錠剤に圧縮した。錠剤は、圧縮重量975mgで、カプセル型の両凸パンチを使用して圧縮した。
【0115】
実施例4おおよび5の製造方法を、さらなる調査において反復した。
【0116】
実施例6
【0117】
【表4】

【0118】
実施例6に使用するメシル酸エプロサルタンの粒径範囲は、少なくとも65v/v %の粒子が2から27μmのサイズを有した。そのd(0.9)は、≦10ミクロンであった。粒子の65v/v%未満が2から27μmのサイズを有するようなさまざまな粒径(d(0.9)≦35)の、賦形剤の同じ組み合わせ(型および量)を錠剤の参照分析に使用した。参照試料の粒径が大きくなるほど、錠剤からのメシル酸エプロサルタンの放出は減速され、さらに低い圧縮率により打錠法は非常に問題があることになる。重量および硬度の変動性は参照試料の粒径が大きくなるほど、有意に高くなる。
【0119】
実施例7、8、9および10
【0120】
【表5】

【0121】
実施例7、8、9および10の混合物に関する溶解プロフィールに加えて、粉末および顆粒の物理的特性は、macrogol 4000およびマンニトールがブリケッティングおよび打錠の方法において、すなわち、方法の特徴、ならびにインビトロ研究、特に溶解プロフィールに技術的に関係がある非常に有意な影響(p<0.05;スチューデントt検定)を与えることを示した。
【0122】
実施例11
【0123】
【表6】

【0124】
実施例12
上記の実施例において得られたメシル酸エプロサルタンの溶解特性をインビボの関連溶解試験によって評価した。USP装置2を試験のために使用した。1000mLの人工液(0.1M HCl)を溶解槽中に配置し、パドル翼を50rpmで用い、37±0.5°Cを維持しながら混合した。試料を溶解槽から一定の時間間隔で採取し、メシル酸エプロサルタンの濃度をHPLCにより分析した。
【0125】
図1は、600mgのメシル酸エプロサルタンを含む、より緩徐な溶解製剤(実施例6;65v/v%未満が2から27μmのサイズを有するメシル酸エプロサルタン粒子)およびより高速の溶解製剤(実施例6;少なくとも65v/v%が2から27μmのサイズを有するメシル酸エプロサルタン粒子)からの、それぞれの溶解プロフィールを示す。
【0126】
粒径の異なる活性物質を含む同じ製剤に関する溶解試験の結果によれば、粒径は溶解プロフィールに有意な影響を与えたことが確認された。エンドポイントの差は、5%より高かった。さらに、これら2つの異なる型の有効成分により製造された乾燥顆粒の流動性は、より大きい粒径を含んだ顆粒の方が、細かく微粉化されたメシル酸エプロサルタン粉末を含む顆粒より悪かった。したがって、圧縮率および変動性(錠剤の重量および硬度)は、粒径がより小さい方が有意に優れていた。
【0127】
図2は、実施例7(マンニトールおよびPEG−4000を含む)、実施例8(マンニトールを含まない)および実施例10(マンニトールおよびPEG−4000の双方とも含まない)のメシル酸エプロサルタンの溶解プロフィールを示す。
【0128】
実施例7、8および10の混合物に関する溶解プロフィールは、macrogol 4000(PEG−4000)およびマンニトールが、溶解プロフィール(インビトロ研究)に非常に有意な影響を与えたことを示した。その上さらに、これらの賦形剤を双方とも含まない場合、ブリケッティング用粉末混合物および打錠用顆粒の物理的特性は、錠剤の重量および硬度の変動性をもたらす非常に低い圧縮率により、有意に悪い。
【0129】
実施例13
本発明に従った錠剤のサンプルを、メシル酸エプロサルタン二水和物形態を、APIとして提供し、加工したことを違いとして、上記の実施例に記載のように製造した。得られた錠剤は、50重量%を超えるAPI投入量を達成し、以下の特徴を有した:
流動性(打錠用最終混合物):0.6g/秒。
水分含有量(打錠用最終混合物):5.6%。
圧縮率(打錠用最終混合物):およそ25%。
硬度(ブリケット):50−80N。
硬度(錠剤):160−240N。
【0130】
実施例14
この実施例において、本発明に従って調製された錠剤を、さまざまなさらなる方法で調査し、適用した。
【0131】
(1)メシル酸エプロサルタンの唯一の形態:
回折図形を、X’Pert PRO MPD回折計においてCuKα線を使用して収集した。データを、2から40°の2θ範囲;0.033°の2θステップ;積算時間50秒(定期試験)および4から20°の2θ範囲;0.033°の2θステップ;積算時間2000秒(より低いLODを得るため)で記録した。より長い積算時間を用いた測定値の範囲を、公知のメシル酸エプロサルタン結晶形態の回折図形に従って選択し、これらはすべて慎重に測定された4から20°の2θ範囲の特徴的なピークを有した。
【0132】
メシル酸エプロサルタンの無水形態だけを、本発明に従って調製した錠剤中に検出した。
【0133】
(2)メシル酸エプロサルタン乾燥顆粒および錠剤の水分含有量:
さらに、乾燥顆粒および錠剤を、製造中および製造後ごとに水分含有量に関して検査した。用いた方法は、乾燥減量試験法(80℃において15分)であった。水分含有量は常に1.2%未満であったことが見出された。したがって、適切な包装(密閉パック、黒いプラスチック袋または黒いガラス(vitrum nigrum))後、6カ月後、水分含有量は未だ1.2%未満であった。加えて水分活性の測定値は、常に0.62未満の製剤の水分活性を示した。
【0134】
(3)メシル酸エプロサルタン乾燥顆粒の粒径および錠剤の硬度:
本発明に従った乾燥顆粒を、予備力最大5kN、主力最大35kNを用いてブリケッティングに供した。
【0135】
その後、ブリケットを2.0mmの第1の篩および1.2mmの第2の篩を通してふるった。篩過後の粒径分布を以下の表1に示す。
【0136】
【表7】

【0137】
粒子の形状およびサイズは、打錠法の前には同じではないことが示された。本発明者らの調査によれば、粒子の40重量%未満が45μmより小さい、とりわけ粒子の35重量%未満、よりとりわけ粒子の20重量%未満が45μmより小さい場合が最も良い。さもなければ、小型粒子がさらなる加工の間に付着および摘み取りを起こす。
【0138】
錠剤の硬度を試験するために使用した標準的な方法は、本明細書において言及したように、圧縮試験であり、これは普通研究開発および品質管理のために使用される。錠剤を、錠剤を破砕する2つの顎部の間に配置する。この機械は、錠剤にかかる力を測定し、砕ける時を検出する。圧縮力が錠剤にかかるが、錠剤は普通引張手法で、錠剤の直径に沿って、かかった力と直行して壊れる。ニュートン(N)−ニュートンは、力のSI単位であり、錠剤の硬度を試験するために使用されるべき単位である。9.807ニュートン=1キログラム。錠剤の硬度が言及される時、実際には錠剤の圧縮力を意味する。
【0139】
本発明に従って実現可能な硬度の範囲は、90−280N、とりわけ100−250N、よりとりわけ150−200Nである。
【0140】
(4)溶解の変動性:
本発明の錠剤および市販の比較製品の錠剤を、溶解の変動性に注意して溶解試験に供した。本発明に従って製造したさまざまな錠剤に対して比較した結果を表2および3に示す。
【0141】
【表8】

【0142】
【表9】

【0143】
本発明に従った医薬製剤(錠剤)は比較製品を上回る優れた溶解プロフィールを有し、特に、医薬製剤(錠剤)コレクションのさまざまなサンプル中のより低い変動性に関して、これらはインビボの適用において有益な効果を有したことが確認された。本発明に従って、溶解の変動性は、USP装置2を使用し、6つの製剤サンプルのそれぞれを1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5°Cにおいて配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて5、10または15分後に測定して、30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満の相対標準偏差(RSD)であることが実現可能である。RSDが、USP装置2を使用し、製剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5°Cにおいて配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いる、前述の測定条件下の溶解試験の中のすべての時点で、30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満のRSDであることが特に実現可能であり望ましい。本発明に従った医薬製剤(錠剤)が優れているという事実は、特徴(i)有効成分の唯一の形態(ここでは無水メシル酸エプロサルタンだけ);(ii)有効成分であるメシル酸エプロサルタンの粒径;および(iii)特定の賦形剤の型によりもたらされる効果に主に起因すると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水形態または二水和物形態のどちらかの唯一の形態で、メシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項2】
メシル酸エプロサルタンが、USP装置2を使用し、錠剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5℃において配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて測定して、溶解中のすべての時点で、1セットのさまざまな錠剤サンプルからの溶解の変動性の相対標準偏差が30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である溶解プロフィールを示す程度に、無水または二水和物のどちらかである1種の第1の形態で提供される、直接圧縮により得ることができるメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項3】
メシル酸エプロサルタンが、錠剤総量に対して少なくとも50%w/wの量で存在する、請求項1または2に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項4】
水分含有量が、全錠剤の5重量%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項5】
微粒子型のメシル酸エプロサルタンおよび賦形剤または添加剤を混合して含み、メシル酸エプロサルタンの錠剤が0.62未満の水分活性を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項6】
メシル酸エプロサルタンおよび賦形剤を組み合わせて含み、賦形剤が400から20000の範囲の分子量を有するPEGおよびマンニトールを少なくとも含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項7】
賦形剤が、少なくとも乳糖もしくはイソマルトまたはそれらの混合物をさらに含む、請求項6に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項8】
メシル酸エプロサルタンを微粒子型で提供することによって得られ、少なくとも65v/v%のメシル酸エプロサルタン粒子が粒径2から27μmの範囲に収まる、請求項1から7のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項9】
粒子の40重量%以下が45μmより小さい、好ましくは粒子の35重量%以下、より好ましくは粒子の20重量%以下が45μmより小さい粒径分布を有する顆粒を提供することにより得られる、請求項1から8のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項10】
錠剤に加えられる賦形剤または添加剤が凝集液と組み合わされない、請求項1から9のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項11】
USP装置2を使用し、製剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5°Cにおいて配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて試験して、前記製剤中の原初のエプロサルタンの量に対して、30分以内に少なくとも50%の比率でエプロサルタンを放出することによる溶解プロフィールを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のメシル酸エプロサルタンを含む錠剤。
【請求項12】
1セットの、請求項1から11のいずれか一項に記載の錠剤のサンプルであって、それぞれが有効成分としてメシル酸エプロサルタンを含み、メシル酸エプロサルタンが、USP装置2を使用し、錠剤を1000mlの0.1M塩酸中に37±0.5℃において配置して、50rpmの速度でパドル翼を用いて測定して、溶解中のすべての時点で、前記セットのさまざまな錠剤サンプルからの溶解の変動性の相対標準偏差が30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満である溶解プロフィールを示す、1セットの錠剤のサンプル。
【請求項13】
無水または二水和物のどちらかである、唯一の第1の形態でメシル酸エプロサルタンを提供すること、場合によって、前記唯一の第1の形態を維持しながら、メシル酸エプロサルタンを乾式造粒法および直接圧縮に供することを含む、錠剤の調製方法。
【請求項14】
微粒子型のメシル酸エプロサルタンを賦形剤または添加剤と混合し、調製されたメシル酸エプロサルタンの全乾燥製剤または顆粒が、それぞれ室温で決定して0.62未満、好ましくは0.60未満、より好ましくは0.50未満の水分活性を有すること、およびその後の打錠を含む、錠剤の調製方法。
【請求項15】
無水形態または二水和物形態のどちらかの唯一の形態でメシル酸エプロサルタンを含む少なくとも1つの錠剤を含み、前記少なくとも1つの錠剤が、蒸気および水分の浸透に対して密閉され、好ましくはさらに露光に対して保護されるパッケージ内に包装されるパッケージ。
【請求項16】
高血圧、鬱血性心不全および/または腎不全の予防および/または治療のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の錠剤、請求項12に記載の1セットの錠剤のサンプルまたは請求項15に記載のパッケージの使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−516529(P2011−516529A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503443(P2011−503443)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054261
【国際公開番号】WO2009/124984
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】