説明

メセムブリン及び関連化合物を含有する医薬組成物

【課題】メセムブリン及び関連化合物を含有する医薬組成物の開発。
【解決手段】セロトニン吸収阻害剤としてのメセムブリン及び関連化合物(例えば、メセムブラノール、メセムブラノン)、そのような化合物又はMesembryanthemaceae 科の植物(例えば、Sceletium (Aizoaceae) tortuosum) の乾燥品又は抽出物を前記化合物の標準化された含量で含有する、鬱状態、不安感のある心理的及び精神的障害、アルコール及び薬物依存症、過食症、及び強迫性障害の治療における使用のための医薬組成物が開示されている。メセムブリンの新規な誘導体も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、セロトニン吸収阻害剤としてのメセムブリン(mesembrine) 及び関連化合物、その活性含量に関して標準化された Mesembryanthemaceae 科の植物の乾燥品又は抽出物を活性成分として含む医薬組成物、及び新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
天然に存在するアルカロイドであるメセムブリンがCNS−刺激作用を有する医薬品として有用であることは公知である(田辺製薬のJP71043539を参照のこと)。
【0003】
南アフリカの Cape において、“kougoed"、“channa" 又は “kanna" という呼び名で知られている植物又は植物産物が、誘酔剤、鎮静剤として及び気分を発揚させるために、幾つかの集落によって伝統的に用いられていることは周知である。“kougoed"、“channa" 又は “kanna" と呼ばれるこれら植物は、全てが Mesembryanthemaceae 科のメンバーであり、種々の量で (−)−メセムブリン及び関連アルカロイドを含有している。
【0004】
Journal of Ethnopharmacology, 50 (1996), pp. 119-130 において、Psychoactive constituents of the genus Sceletium N.E.Br. and other Mesembryanthemaceae と題された Smith らによる文献は、精神活性製剤中における Sceletium 植物の使用の300年間にわたって記録された歴史的データを吟味し、Sceletium 植物からの “kougoed" の調製と使用についての技術を説明し、そして、多くの現在の使用者の主観的経験を記述している。Sceletium 植物及び Mesembryanthemaceae 科の他のメンバー中のアルカロイドの分布も検討されている。化学的研究で、3つの異なる構造的カテゴリーに属する9種ものアルカロイドが Sceletium 中に見出されている。
【特許文献1】JP71043539
【非特許文献1】Journal of Ethnopharmacology, 50 (1996), pp. 119-130
【発明の開示】
【0005】
発明の要旨
本発明の第1の側面によれば、式I:
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、環Aは、
【0008】
【化2】

【0009】
からなる群から選択され;
R1及びR2は、H、OH、OCH3 及びO(CH2)nCH3から独立に選択され;
R3は、H、CH3及び (CH2)nCH3から独立に選択され;
nは1〜6の整数であり;そして
Q1及びQ2は、CH2、C=O及びCHOHから独立に選択される。)
を有する化合物の、セロトニン吸収阻害剤での治療に応答する疾患の治療のための医薬品の製造における使用が提供される。
【0010】
セロトニン吸収阻害剤としてのそれらの役割において、これら化合物は、アルコール及び薬物依存症、過食症の治療、及び強迫性障害の治療における、軽度〜中度の鬱病、不安感が存在する心理的及び精神的障害、大きな鬱病的諸症状、即ち、一度の症状と不安感を伴った周期的鬱病の治療に使用することができる。
【0011】
本発明の第2の側面によれば、上記の式Iを有するセロトニン吸収阻害剤を、20μg〜2mgの用量、好ましくは50μg〜500μgの用量、より好ましくは100μg〜300μgの用量で含む、単位投与形態の医薬組成物が提供される。
【0012】
本発明の第3の側面によれば、セロトニン吸収阻害剤での治療に応答する疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に上記の式Iを有する有効量の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0013】
本発明の第4の側面によれば、Mesembryanthemaceae 科の植物の植物材料又は抽出物を活性成分として含む医薬組成物であって、各単位剤形中に、20μg〜2mgの量、好ましくは50μg〜500μgの量、より好ましくは100μg〜300μgの量の、メセムブリン、メセムブラノール (mesembranol) 及びメセムブラノン (mesembranone)、又はそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含有する医薬組成物が提供される。
【0014】
Mesembryanthemaceae 科の植物は、好ましくは Sceletium 属の植物、より好ましくは Sceletium tortuosum (L.) N.E.Br 種の植物である。
【0015】
本発明の医薬組成物は、アルコール及び薬物依存症、過食症の治療、及び強迫性障害の治療における、軽度〜中度の鬱病、不安感が存在する心理的及び精神的障害、大きな鬱病的諸症状、即ち、一度の症状と不安感を伴った周期的鬱病の治療に有用である。
【0016】
本発明の第5の側面によれば、式I:
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、環Aは、
【0019】
【化4】

【0020】
からなる群から選択され;
R1及びR2は、H、OH、OCH3 及びO(CH2)nCH3から独立に選択され;
R3は、H、CH3及び (CH2)nCH3から独立に選択され;
nは1〜6の整数であり;そして
Q1及びQ2は、CH2、C=O及びCHOHから独立に選択される。
但し、
(1) 環Aが
【0021】
【化5】

【0022】
であるときは、R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、Q1がCH2であって、Q2がC=OでもCHOHでもなく;
(2) 環Aが
【0023】
【化6】

【0024】
であるときは、R1及びR2がOCH3であるか又はR1がOHでR2がHであり、R3がCH3であり、Q1がCH2であって、Q2がC=Oではなく;そして
(3) 環Aが
【0025】
【化7】

【0026】
であるときは、R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、Q1がC=Oであって、Q2がC=Oではない。)
を有する化合物が提供される。
【0027】
実施態様の説明
本発明の第1の側面は、式Iの化合物のセロトニン吸収阻害剤としての使用である。
【0028】
式Iの化合物は、それらのいずれの形態の異性体で、即ち、(−) 異性体として又は (+) 異性体として、又はこれら2種の異性体のラセミ混合物として用いてもよい。好ましい形態は (−) 異性体である。
【0029】
式Iの化合物は、次の3つのグループに細分することができる。
【0030】
【化8】

【0031】
式Iの化合物において、好ましくは、R1及びR2が両方ともOCH3であり、R3がCH3であり、Q1がCH2であり、そしてQ2がC=O又はCHOHから選択される。
【0032】
式I.1の好ましい化合物は、R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、Q1がCH2であって、Q2がC=Oである化合物である。
【0033】
これは、メセムブリンとして知られている化合物である。
【0034】
3a−(3,4−ジメトキシフェニル)オクタハイドロ−1−メチル−6H−インドール−6−オンとしても知られているメセムブリンの構造は、Popelak ら, Naturwiss. 47, 156 (1960) により報告され、P W Jeffs ら, J. Am. Chem. Soc., 91, 3831 (1969) によりその配座が報告された。
【0035】
メセムブリンは、好ましくは、その (−) 異性体、即ち、(−)−メセムブリンとして使用される。
【0036】
式I.1のもう1つの好ましい化合物は、R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、Q1がCH2であって、Q2がCHOHである化合物、即ち、メセムブラノールとして知られている化合物である。
【0037】
式I.2の好ましい化合物は、R1がOH又はOCH3から選択され、R2がH又はOCH3から選択され、R3がCH3であり、Q1がCH2であって、Q2がC=Oである化合物である。
【0038】
式I.2の特に好ましい化合物は、R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、Q1がCH2であって、Q2がC=Oである化合物、即ち、メセムブラノンとして知られている化合物である。
【0039】
式I.3の好ましい化合物は、R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、Q1及びQ2がC=Oである化合物である。
【0040】
上述のように、メセムブリンがCNS刺激作用を有する医薬品として有用であることは公知である。しかしながら、本発明の化合物が、セロトニン吸収阻害剤としての作用とは完全に異なる様式を有すること、及び特定の用量では抗鬱薬、弱精神安定薬及び抗不安薬として作用することが今回発見されたのである。
【0041】
かくして、式Iの化合物は、軽度〜中度の鬱病、不安感が存在する心理的及び精神的障害、大きな鬱病的諸症状、アルコール及び薬物依存症、過食症、及び強迫性障害からなる群から選択される疾患の治療に有用である。
【0042】
本発明の第2の側面は、上記の式Iを有するセロトニン吸収阻害剤を、20μg〜2mgの用量、好ましくは50μg〜500μgの用量、より好ましくは100μg〜300μgの用量で含む、好ましくは1日1回の投与としての単位投与形態の医薬組成物である。
【0043】
式Iの化合物は、例えば、水−エタノール性チンキ剤、錠剤、カプセル剤、鼻腔噴霧剤又は皮膚パッチ剤のような医薬投与に適するあらゆる剤形に製剤することができる。それら製剤を、経口、舌下、鼻腔内及び経皮で摂取できるようにデザインすることができる。
【0044】
本発明の第3の側面は、セロトニン吸収阻害剤での治療に応答する疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に式Iを有する有効量の化合物を上記の用量で投与することを含む方法が提供される。
【0045】
上記の医薬組成物及び方法にとって好ましい化合物は、(−)−メセムブリンであり、メセムブラノール及びメセムブラノンも好ましい。
【0046】
本発明の第4の側面は、Mesembryanthemaceae 科の植物、より好ましくは Sceletium 属の植物、最も好ましくは Sceletium tortuosum (L.) N.E.Br 種の植物の植物材料又は抽出物を活性成分として含む医薬組成物であって、各単位剤形中に、20μg〜2mgの量、好ましくは50μg〜500μgの量、より好ましくは100μg〜300μgの量の、メセムブリン、メセムブラノール及びメセムブラノン、又はそれらの2種又は3種の混合物からなる群から選択される化合物を含有する医薬組成物である。
【0047】
換言すれば、この医薬組成物は、天然の植物材料から誘導されるとはいえ、既知のかつ特定の含量の活性成分又は諸活性成分を含有しなければならない。
【0048】
本発明の医薬組成物は、新鮮な又は乾燥された、パルプ若しくは粉末に粉砕された植物部分、又は植物の水性若しくはアルコール性抽出物を含み、それら全ては、メセムブリン、メセムブラノール又はメセムブラノンを含有する。
【0049】
この医薬組成物は、例えば、経口、舌下、鼻腔内及び経皮投与のための、水−エタノール性チンキ剤、錠剤、カプセル剤、鼻腔噴霧剤又は皮膚パッチ剤として製剤することができる。
【0050】
(−)−メセムブリンを含有する植物からの抽出方法及びその分析方法を以下に記載する。
【0051】
1 抽出方法
乾燥原料:
原料(アルコール抽出物)を分析前に最高40℃で風乾する。メセムブリンの収量は変動するが、典型的には乾燥葉1g当たり15〜35mg(平均値は1g乾燥重量当たり約15mg)である。微粉砕(乳棒とすり鉢)した原料を15mlの0.05M H2SO4と混合して室温で20分間放置する。濾過後、残存固体を5mlの0.05M H2SO4で再抽出する。水相を合わせて、粗製グレードのセライト(24g)が入ったガラスカラムに充填し、アンモニア(4ml)でアルカリ性にし、そして100mlのCH2Cl2(1×)で抽出する。このCH2Cl2抽出液を無水Na2SO4で乾燥して溶媒を減圧留去すると、アルカロイドが炭褐色油として残る。このアルカロイドをH2SO4の代わりに熱くした又は冷えた水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、クロロホルム又はジクロロメタンで抽出することもできる。
【0052】
新鮮な原料:
新鮮な葉の葉汁(又はアルコール抽出液)を直接検討しても、アルカロイドを熱くした又は冷えた水、エタノール、エタノール/アセトニトリル、クロロホルム又はジクロロメタン又は他の何らかの適する溶媒中で直接抽出してもよい。HPLC又はGC用に、サンプルを濾過(例えば、0.45μmフィルター)してカラムを不純物から保護しなければならない。メセムブリンの収量は変動するが、典型的には葉汁1ml当たり0.8〜6.5mg(平均値は1ml当たり約3.3mg)である。
【0053】
分析方法
2.1 薄層クロマトグラフィー
この方法は、4,5二重結合を有するメセムブリンアルカロイド(メセムブレノンなど)と二重結合を有さないもの(メセムブリンなど)の間での分離性が乏しいので、大まかなスクリーニングの目的にのみ用いることができる。ルーチンのスクリーニングのためには、次のシステムが適する(メセムブリンのRf=0.6):CHCl3:シクロヘキサン:Et2NH(4:5:1)中で展開するMerck 60 F254 シリカゲルプレート(0.25mm層厚)。これらプレートを100℃で3分間乾燥し、UV254とUV365で検視してから、ヨウ化白金酸塩又はドラーゲンドルフ噴霧試薬を噴霧する。
【0054】
2.2 ガスクロマトグラフィー(GC)
抽出物を最少量のMeOH中に溶かして比較GC及びGC−MSにより検討する。真正メセムブリンを外部スタンダードとして用いてアルカロイド含量を定量する。
【0055】
A 大量のサンプルのためのルーチン分析(迅速システム):DB−1溶融シリカキャピラリーカラム(30m×0.25mm内径;キャリヤガスとして4ml/分のHe;100℃/分でカラム温度を200℃から300℃まで、15分間等温;注入口温度230℃;FID(火炎イオン化検出器)検出300℃;スプリット比30:1;注入用量1μl)。
【0056】
B 高解析分析(選択されたサンプル,低速システム):DB−1溶融シリカキャピラリーカラム(30m×0.25mm内径;キャリヤガスとして4ml/分のHe;60℃/分でカラム温度を150℃から320℃まで、15分間等温;注入口温度230℃;PND(リン−窒素検出器)検出300℃;スプリット比30:1;注入用量1μl)。
【0057】
C GC−MS用:DB−1溶融シリカキャピラリーカラム(30m×0.32mm内径;キャリヤガスとしてHe;60℃/分でカラム温度を150℃から300℃まで、15分間等温;スプリット比20:1;注入用量1μl)のような典型的システム。
【0058】
2.3 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
フェノメネックス (phenomenex) IB-Sil カラムを用いる(C18逆相、5μm粒径、250mm×4.6mm内径、流速1ml/分、20μlサンプルループ)。B中に30%のAを含む等比率溶媒系(A=水中1%トリエチルアミン;B=60%アセトニトリル)。全流し時間は10分間である。2つのチャンネル(Aを280±30nmに設定し、Bを292±10nmに設定)を用いるダイオードアレイ検出器による検出。結果を1mlの葉汁当たりのmgメセムブリンで表示(検出器応答から計算する、チャンネルA及びBの平均値)。1ml当たり0.05mg以下の濃度については、チャンネルAがより正確である(低い方の検出限界は1mlの葉汁当たり約0.01mg)。この方法は、純粋なメセムブリンの異なる5種の濃度を用いかつ System Gold (Beckman) ソフトウェアーパッケージを用いて計算された検量線に依存する。収量については“新鮮な原料の抽出”の項を参照のこと。
【0059】
3 マススペクトル及び1H NMRスペクトルによるメセムブリンの同定
検討した2集団の Sceletium tortuosum において、メセムブリンは殆ど唯一の化合物として葉の中に存在する(少量で無視できる量のメセムブレノン及びメセムブラノールがときどき存在することがある)。このアルカロイドを上記の方法を用いて葉から単離してマススペクトル(相対的構造)及び1H NMRスペクトル(絶対的配座)により十分に同定した。旋光度を測定して、この天然物質が(−)型であることを確認した。
【0060】
メセムブラノール及びメセムブラノンを適する植物原料から抽出し、メセムブリンについて上記した通りに、分析及び同定することができる。
【0061】
式Iの化合物のグループに属するメセムブリン、メセムブラノール及びメセムブラノンの誘導体は、当該技術分野で既知の方法によりこれら出発化合物から調製することができる。
【0062】
メセムブリン、メセムブラノン又はメセムブラノールの高いオーダーのアルキルエステルは、メトキシメチル基を(例えば、無水フッ化水素を用いて)酸分解し、対応するヒドロキシル化合物(R1,2=OH)を得てから、適切なアルキルハライド(例えば、CH3(CH2)nBr)を用いてアルキル化することにより調製することができる。
【0063】
上記のヒドロキシル化合物は、(例えば、パラジウムでの)接触水素化により対応するベンジル化合物(R1,2=H)に還元することができる。
【0064】
メセムブラノールは、(例えば、パラジウムでの)接触水素化によりメセムブリンから調製することができる。
【0065】
式I.3の化合物は、酢酸第二水銀での脱水素により上記の適切なメセムブリン誘導体から調製することができる。
【0066】
式I.2及び式I.3の化合物は、t−ブタノール中で二酸化セレニウム(SeO2)を用いて酸化してから所望の位置異性体を精製することによりメセムブリンから調製することができる。
【0067】
単離した純粋な (−)−メセムブリンを、Oceanix Biosciences Corporation の支部である Novascreen との契約を介して、アメリカ合衆国の National Institute of Mental Health により生物活性についてスクリーニングした。図1に示すように、三環性抗鬱薬である塩酸イミプラミンと比較して、(−)−メセムブリンは、ナノモル濃度においてIC50を有する非常に強いセロトニン吸収阻害剤であることが分かった。
【0068】
(−)−メセムブリンの試験から、以下の表1に示す結果も得られた。
【0069】
【表1】

【0070】
(−)−メセムブリンの塩酸イミプラミンと比較した阻害定数(Ki)は、Ki=3.6E−8であることが分かった。
【0071】
更に、Sceletium N.E.Br.の全植物抽出液、メセムブラノール及びメセムブラノンを Novascreen との契約を介して、アメリカ合衆国の National Institute of Mental Health により生物活性についてスクリーニングした。これらアッセイの結果を図2〜4に示す。これらアッセイは、全植物抽出液、並びにメセムブラノール及びメセムブラノンが非常に強いセロトニン吸収阻害剤であることを示している。
【0072】
本発明の化合物の作用の種々の in vitro 検討を成人ボランティアで次のように行った:
検討1.N=3の健康な成人ボランティア、全員健康プロヘッショナル,1996年9月13日
400μgのメセムブリンを含有するように標準化された、1回用量の標準化された乾燥全体植物製剤を舌下で投与した。急速な作用の発現(10〜15分)が全員に見られた。抗不安作用が全員に見られた。気分の持続的発揚が全員に見られた。抗不安作用の期間は5〜8時間に及んだ。
【0073】
検討2.N=2の健康な成人ボランティア、全員健康プロヘッショナル,1996年9月21日
1mlの60%エタノール中に溶解させた純粋な (−)−メセムブリンの200μg1回用量を舌下で投与した。急速な作用の発現(それぞれ7及び12分)が両人に見られた。抗不安作用が両人に見られた。気分の持続的発揚が(それぞれ約8時間及び11時間)両人に見られた。抗不安作用の期間は5〜8時間に及んだ。
【0074】
検討3.N=2の健康な成人ボランティア、両人とも自称アルコール中毒患者で多物質濫用者,1996年9月21日
1mlの抽出液(60%エタノール)当たり100μgのメセムブリンを含有する全体植物水−エタノール抽出液の5ml1回用量を経口投与した(メセムブリン500μgの総用量)。急速な作用の発現(15〜20分)が両人に見られた。抗不安作用が両人に見られた。1回用量の投与後24時間、いずれのボランティアも、飲酒も、不法な又は他の薬物も使用しなかった。
【実施例】
【0075】
以下に本発明の医薬組成物の例を示す。
【0076】
実施例1
この液体組成物は、約200μg/mlの (−)−メセムブリンを含有する60%エタノール/水溶媒を含む。
【0077】
この液体組成物の典型的な用量は、1日当たり1〜5mlである。
【0078】
実施例2
この舌下錠は、Sceletium tortuosum の噴霧乾燥30%水−エタノール抽出物を含有し、200μgの (−)−メセムブリンと慣用的な医薬用賦形剤を含有する。
【0079】
実施例3
この経口用錠剤は、200μgの 純粋な(−)−メセムブリンと慣用的な医薬用賦形剤を含有する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】コード番号18532により示される (−)−メセムブリンを公知のセロトニン吸収阻害剤である塩酸イミプラミンと比較したセロトニン吸収アッセイのグラフである。
【図2】コード番号18639により示されるMesembryanthemaceae 科からの植物の全植物抽出物のセロトニン吸収アッセイのグラフ、並びに公知のセロトニン吸収阻害剤である塩酸イミプラミンとの比較である。
【図3】コード番号18623により示されるメセムブラノールのセロトニン吸収アッセイのグラフ、並びに公知のセロトニン吸収阻害剤である塩酸イミプラミンとの比較である。
【図4】コード番号18622により示されるメセムブラノールのセロトニン吸収アッセイのグラフ、並びに公知のセロトニン吸収阻害剤である塩酸イミプラミンとの比較である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、環Aは、
【化2】

からなる群から選択され;
R1及びR2は、H、OH、OCH3 及びO(CH2)nCH3から独立に選択され;
R3は、H、CH3及び (CH2)nCH3から独立に選択され;
nは1〜6の整数であり;そして
Q1及びQ2は、CH2、C=O及びCHOHから独立に選択される。)
を有する化合物の、セロトニン吸収阻害剤での治療に応答する疾患の治療のための医薬品の製造における使用。
【請求項2】
R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、Q1がCH2であり、そしてQ2がC=O又はCHOHから選択される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
環Aが
【化3】

であり、R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、Q1がCH2であり、そしてQ2がC=Oである、請求項1記載の使用。
【請求項4】
式Iの化合物が (−)−メセムブリンである、請求項1記載の使用。
【請求項5】
環Aが
【化4】

であり、R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、Q1がCH2であり、そしてQ2がCHOHである、請求項1記載の使用。
【請求項6】
環Aが
【化5】

であり、R1がOH又はOCH3から選択され、R2がH又はOCH3から選択され、R3がCH3であり、Q1がCH2であり、そしてQ2がC=Oである、請求項1記載の使用。
【請求項7】
環Aが
【化6】

であり、R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、Q1がCH2であり、そしてQ2がC=Oである、請求項1記載の使用。
【請求項8】
環Aが
【化7】

であり、R1及びR2がOCH3であり、R3がCH3であり、そしてQ1及びQ2がC=Oである、請求項1記載の使用。
【請求項9】
疾患が、軽度〜中度の鬱病、不安感が存在する心理的及び精神的障害、大きな鬱病的諸症状、アルコール及び薬物依存症、過食症、及び強迫性障害からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
式I:
【化8】

(式中、環Aは、
【化9】

からなる群から選択され;
R1及びR2は、H、OH、OCH3 及びO(CH2)nCH3から独立に選択され;
R3は、H、CH3及び (CH2)nCH3から独立に選択され;
nは1〜6の整数であり;そして
Q1及びQ2は、CH2、C=O及びCHOHから独立に選択される。)
を有するセロトニン吸収阻害剤を20μg〜2mgの用量で含む単位投与形態にある医薬組成物。
【請求項11】
セロトニン吸収阻害剤を50μg〜500μgの用量で含む、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
セロトニン吸収阻害剤が (−)−メセムブリンである、請求項10又は11記載の医薬組成物。
【請求項13】
セロトニン吸収阻害剤での治療に応答する疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に式I:
【化10】

(式中、環Aは、
【化11】

からなる群から選択され;
R1及びR2は、H、OH、OCH3 及びO(CH2)nCH3から独立に選択され;
R3は、H、CH3及び (CH2)nCH3から独立に選択され;
nは1〜6の整数であり;そして
Q1及びQ2は、CH2、C=O及びCHOHから独立に選択される。)
を有する有効量の化合物を投与することを含む方法。
【請求項14】
セロトニン吸収阻害剤が20μg〜2mgの単位用量で投与される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
セロトニン吸収阻害剤が50μg〜500μgの単位用量で投与される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
セロトニン吸収阻害剤が (−)−メセムブリンである、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
疾患が、軽度〜中度の鬱病、不安感が存在する心理的及び精神的障害、大きな鬱病的諸症状、アルコール及び薬物依存症、過食症、及び強迫性障害からなる群から選択される、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
Mesembryanthemaceae 科の植物の植物材料又は抽出物を活性成分として含む医薬組成物であって、各単位剤形中に、20μg〜2mgの量の、メセムブリン、メセムブラノール及びメセムブラノン、又はそれらの2種またはそれ以上の混合物からなる群から選択される化合物を含有する医薬組成物。
【請求項19】
軽度〜中度の鬱病、不安感が存在する心理的及び精神的障害、大きな鬱病的諸症状、アルコール及び薬物依存症、過食症、及び強迫性障害からなる群から選択される疾患の治療のための請求項18記載の医薬組成物。
【請求項20】
各単位剤形が50μg〜500μgの化合物を含有する、請求項18又は19記載の医薬組成物。
【請求項21】
水−エタノール性チンキ剤、錠剤、カプセル剤、鼻腔噴霧剤又は皮膚パッチ剤の形態にある、請求項18〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−62387(P2009−62387A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272215(P2008−272215)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【分割の表示】特願平10−500314の分割
【原出願日】平成9年6月3日(1997.6.3)
【出願人】(508284551)エイチ.エル.ホール・アンド・サンズ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】