説明

メソテリンに結合するヒト抗体およびその使用

本開示は、特異的にメソテリンに高親和性で結合する単離されたモノクローナル抗体、特にヒトモノクローナル抗体を提供する。好ましくは、上記抗体はヒトメソテリンに結合する。ある実施形態において、上記抗体は、メソテリン発現細胞に内在化することが可能であり、または抗原依存性細胞毒性を媒介することが可能である。さらに、本発明は、メソテリンが卵巣癌抗原CA125に結合することを阻害することができる抗メソテリン抗体を提供する。本開示の抗体をコードする核酸分子、発現ベクター、宿主細胞および本開示の抗体を発現する方法も提供する。抗体パートナー分子コンジュゲート、二重特異性分子および本開示の抗体を含む医薬組成物も提供する。本開示は、本開示の抗メソテリン抗体を用いて、中皮腫、膵臓癌および卵巣癌のような癌を処置する方法ならびに、メソテリンを検出する方法を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、ヒトメソテリンに結合し、以下の特性:
(a)1×10−8M以下のKでヒトメソテリンに結合すること、
(b)メソテリン発現細胞によって内在化されること、
(c)卵巣癌抗原CA125へのメソテリンの結合を阻害すること、
(d)メソテリン発現細胞に対して、抗体依存性細胞毒性(ADCC)を示すこと、または
(e)サイトトキシンに結合した場合、生体内でメソテリン発現細胞の増殖を阻害すること、
のうちの少なくとも1つを示す、抗体。
【請求項2】
特性(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のうちの少なくとも2つを示す、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
特性(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のうちの少なくとも3つを示す、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
特性(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のうちの4つを示す、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
特性(a)、(b)、(c)、(d)および(e)のうちの5つ全てを示す、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
5×10−9M以下のKでヒトメソテリンに結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
参照抗体によって認識されるヒトメソテリン上のエピトープに結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、
ここで、該参照抗体が、
(a)配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(c)配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、単離されたモノクローナル抗体。
【請求項8】
前記参照抗体が、
配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
前記参照抗体が、
配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項10】
前記参照抗体が、
配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項11】
ヒトV3−33遺伝子もしくはヒトV3−7遺伝子の産物であるか、またはそれらに由来する重鎖可変領域を含み、特異的にヒトメソテリンに結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項12】
ヒトVL6遺伝子もしくはヒトVA27遺伝子の産物であるか、またはそれらに由来する軽鎖可変領域を含み、特異的にヒトメソテリンに結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項13】
(a)ヒトV3−33遺伝子の産物であるか、もしくはそれに由来する重鎖可変領域およびヒトVL6遺伝子の産物であるか、もしくはそれに由来する軽鎖可変領域、または
(b)ヒトV3−7遺伝子の産物であるか、もしくはそれに由来する重鎖可変領域およびヒトVA27遺伝子の産物であるか、もしくはそれに由来する軽鎖可変領域を含み、
特異的にヒトメソテリンに結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項14】
(a)配列番号1を含む重鎖可変領域CDR1と、
(b)配列番号4を含む重鎖可変領域CDR2と、
(c)配列番号7を含む重鎖可変領域CDR3と、
(d)配列番号10を含む軽鎖可変領域CDR1と、
(e)配列番号13を含む軽鎖可変領域CDR2と、
(f)配列番号16を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項15】
(a)配列番号2を含む重鎖可変領域CDR1と、
(b)配列番号5を含む重鎖可変領域CDR2と、
(c)配列番号8を含む重鎖可変領域CDR3と、
(d)配列番号11を含む軽鎖可変領域CDR1と、
(e)配列番号14を含む軽鎖可変領域CDR2と、
(f)配列番号17を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項16】
(a)配列番号3を含む重鎖可変領域CDR1と、
(b)配列番号6を含む重鎖可変領域CDR2と、
(c)配列番号9を含む重鎖可変領域CDR3と、
(d)配列番号12を含む軽鎖可変領域CDR1と、
(e)配列番号15を含む軽鎖可変領域CDR2と、
(f)配列番号18を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項17】
(a)配列番号19〜21からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、
(b)配列番号22〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含み、
特異的にヒトメソテリンタンパク質に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
【請求項18】
(a)配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、
(b)配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項17に記載の抗体。
【請求項19】
(a)配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、
(b)配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項17に記載の抗体。
【請求項20】
(a)配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、
(b)配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項17に記載の抗体。
【請求項21】
請求項1に記載の抗体またはその抗原結合部分と、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項22】
請求項1に記載の抗体またはその抗原結合部分と、パートナー分子とを含み、前記パートナー分子が治療剤である、抗体パートナー分子コンジュゲート。
【請求項23】
請求項22に記載の抗体パートナー分子コンジュゲートと、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項24】
前記治療剤がサイトトキシンである、請求項22に記載の抗体パートナー分子コンジュゲート。
【請求項25】
請求項24に記載の抗体パートナー分子コンジュゲートと、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項26】
前記治療剤が、放射性同位体である、請求項22に記載の抗体パートナー分子コンジュゲート。
【請求項27】
請求項26に記載の抗体パートナー分子コンジュゲートと、薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項28】
請求項1に記載の抗体またはその抗原結合部分をコードする、単離された核酸分子。
【請求項29】
請求項28に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項30】
請求項29に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項31】
請求項30に記載の宿主細胞において前記抗体を発現する工程と、前記宿主細胞から前記抗体を単離する工程とを含む、抗メソテリン抗体を調製するための方法。
【請求項32】
メソテリン発現腫瘍細胞と、請求項1に記載の抗体とを接触させて、それにより、メソテリン腫瘍細胞の増殖を阻害する工程を含む、メソテリン発現腫瘍細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項33】
メソテリン発現腫瘍細胞と、請求項22に記載の抗体パートナー分子コンジュゲートとを接触させて、それにより、メソテリン腫瘍細胞の増殖を阻害する工程を含む、メソテリン発現腫瘍細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項34】
前記治療剤はサイトトキシンである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記メソテリン発現腫瘍細胞が、中皮腫細胞、膵臓腫瘍細胞、卵巣腫瘍細胞、胃腫瘍細胞、肺腫瘍細胞または子宮内膜腫瘍細胞である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記メソテリン発現腫瘍細胞が、中皮腫、乳頭漿液性卵巣腺癌(papillary serous ovarian adenocarcinoma)、明細胞卵巣癌、ミュラー管混合卵巣癌(mixed Mullerian ovarian carcinoma)、子宮内膜粘液性卵巣癌(endometroid mucinous ovarian carcinoma)、膵臓腺癌、膵管腺癌(ductal pancreatic adenocarcinoma)、子宮漿液性癌(uterine serous carcinoma)、肺腺癌、肝外胆管癌、胃腺癌、食道腺癌、結腸直腸腺癌および乳腺癌からなる群より選択される癌由来である、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
被験体に請求項1に記載の抗体を投与し、それにより、前記被験体において癌を処置することを含む、被験体の癌を処置する方法。
【請求項38】
被験体に請求項22に記載の抗体パートナー分子を投与し、それにより、前記被験体において癌を処置することを含む、被験体の癌を処置する方法。
【請求項39】
前記治療剤がサイトトキシンである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記癌が中皮腫、膵臓癌、卵巣癌、胃癌、肺癌または子宮内膜癌である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記癌が、中皮腫、乳頭漿液性卵巣腺癌、明細胞卵巣癌、ミュラー管混合卵巣癌、子宮内膜膜粘液性卵巣癌、膵臓腺癌、膵管腺癌、子宮漿液性癌、肺腺癌、肝外胆管癌、胃腺癌、食道腺癌、結腸直腸腺癌および乳腺癌からなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
(a)(i)配列番号1〜3からなる群より選択されるCDR1配列、配列番号4〜6からなる群より選択されるCDR2配列および/もしくは配列番号7〜9からなる群より選択されるCDR3配列を含む重鎖可変領域抗体配列、ならびに/または(ii)配列番号10〜12からなる群より選択されるCDR1配列、配列番号13〜15からなる群より選択されるCDR2配列および/もしくは配列番号16〜18からなる群より選択されるCDR3配列を含む軽鎖可変領域抗体配列を調製する工程と、
(b)前記重鎖可変領域抗体配列および/または前記軽鎖可変領域抗体配列内の少なくとも1つのアミノ酸残基を変化させて、少なくとも1つの変化させた抗体配列を作製する工程と、
(c)前記変化させた抗体配列をタンパク質として発現する工程と、
を含む抗メソテリン抗体を調製するための方法。
【請求項43】
パートナー分子に結合した請求項1に記載の抗体を含み、該パートナー分子が化学的リンカーによって該抗体に結合する、抗体パートナー分子コンジュゲート。
【請求項44】
前記化学的リンカーが、ペプチジルリンカー、ヒドラジンリンカーおよびジスルフィドリンカーからなる群より選択される、請求項45に記載の抗体パートナー分子コンジュゲート。
【請求項45】
フコース残基を欠く、単離された抗メソテリン抗体。
【請求項46】
細胞表面メソテリンを発現する細胞の抗体依存性細胞毒性を強める、請求項45に記載の抗体。
【請求項47】
前記細胞の抗体依存性細胞毒性を誘導するのに十分な条件下で、メソテリン発現細胞と、請求項46に記載の抗体とを接触させる工程を含む、メソテリン発現細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項48】
前記細胞が腫瘍細胞である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記抗メソテリン抗体がヒト抗体である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
被験体におけるメソテリンを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害するのに有効な量で前記被験体に脱フコシル化(defucosylated)抗メソテリン抗体を投与する工程を含む、被験体におけるメソテリンを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項51】
前記抗メソテリン抗体がヒト抗体である、請求項50に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2010−539981(P2010−539981A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528054(P2010−528054)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/078123
【国際公開番号】WO2009/045957
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(509054371)ブリストル−マイヤーズ スクウィブ カンパニー (10)
【Fターム(参考)】