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メソ細孔を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法
説明

メソ細孔を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法

【課題】1〜10nmの平均細孔径なるメソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子の簡便でかつ高い生産効率の製造方法を提供する。
【解決手段】界面活性剤水溶液と、ナノサイズに形状制御した炭酸カルシウムを混合することにより、界面活性剤ミセル構造を当該炭酸カルシウム表面に形成し、シリコンアルコキシドの反応により前記ミセル構造に対応したメソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多孔性無機粒子は、医薬、農薬、化粧品などへの用途を目的として、キャリヤーとして利用することが知られている。特に、数nmの均一なメソ細孔を持つシリカ殻と、当該シリカ殻の内部に中空構造を有する中空粒子は、前記用途における薬物、農薬、化粧品などの有効成分を、中空構造内に多量に保持することができ、また前記メソ細孔構造を利用して前記有効成分を徐放するという機能を持つ。ナノテクノロジーの発展により、当該中空粒子をナノサイズの中空粒子とすることによって、また当該中空粒子の形状を様々に変化させることによって、前記徐放性能をより精密に制御できるなど、当該中空粒子の応用範囲が広がることが期待できる。前記多孔性無機粒子に関する発明として、特許文献1および2がある。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、ポリメタクリル酸メチルからなる粒子をコアとし、当該コア粒子表面で、カチオン性界面活性剤をミセル化した層を形成し、当該ミセル表面で加水分解、縮合反応させたシリコンアルコキシドを付加させ、加熱処理することによって界面活性剤とコア粒子を除去し、前記界面活性剤のアルキル鎖長に応じたメソ細孔を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子を製造する方法である。
【0004】
特許文献1に記載のメソ細孔を有するシリカ殻からなる中空粒子は、所望の径を有するコア粒子を製造することによって、また界面活性剤の種類や濃度を制御することによって、平均粒子径0.04〜2μm、平均細孔径が1〜5nmのメソ細孔を有する。ところが、コア粒子であるポリメタクリル酸メチル粒子は、その性質により球状形態のみ製造され、また100nm以下の粒子径を安定して製造することが困難である。さらに、当該コア粒子表面と前記界面活性剤との相互作用力が小さいため、前処理としてコア粒子表面を改質する必要であるという問題があった。
【0005】
特許文献2に記載の技術は、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部と、前記外殻部よりも内側に存在する中空部とを含む中空粒子の製造方法に関するものであり、疎水性有機化合物と界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液を高圧乳化法により加圧して、前記疎水性有機化合物を含む乳化滴を含んだ乳濁液を形成する工程と、前記乳濁液にシリカ源を添加し、前記乳化滴表面に、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部を形成し、前記外殻部と前記外殻部よりも内側に前記乳化滴が含まれた複合シリカ粒子を析出させる工程と、前記複合シリカ粒子から前記乳化滴を除去する工程とを含む、メソ細孔を有するシリカ殻からなる中空粒子の製造方法である。
【0006】
特許文献2に記載の発明の中空メソポーラスシリカ粒子は、1〜3nmの範囲内の平均細孔径を有し、平均粒子径が0.005〜0.2μmであるナノ中空粒子であり、500〜1500m/gという大きな比表面積を有することから、当該ナノ中空粒子を触媒や薬物キャリヤーとして用いるためには有効である。ところが、当該構造を形成するためには、界面活性剤と水系溶媒の混合液内で界面活性剤のミセル化を行いながら、当該ミセルと疎水性有機化合物溶液を混合し、水系溶媒中に疎水性有機化合物溶液の球状液滴を形成し、当該疎水性有機化合物溶液の液滴表面に前記ミセルを積層し、さらにシリカ源を添加し前記ミセル表面にシリカ層を形成するという多くの工程が必要である。さらに、前記液滴径を小さくするために、前記ミセル水系溶媒と疎水性有機化合物溶液の混合液を複数回高圧乳化処理させる必要があり、複数回の処理により前記液滴表面に形成した複層ミセル構造が破壊されるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−037150
【特許文献2】特開2011−132044
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、かかる従来技術の不具合を解決すべくなされたものであって、複雑な工程や装置を必要とせず、形態制御が容易で、ナノサイズ化したメソ細孔構造を有するシリカ殻からなる中空粒子を安定して提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らはナノサイズで形状制御した炭酸カルシウムを利用することより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の方法が提供される。
【0010】
[1] 平均細孔径が1〜10nmのメソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子とその製造方法であって、界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液と、炭酸カルシウム粒子を有機溶媒に分散させた分散液を混合し、さらにシリコンアルコキシド及び塩基触媒を混合して、前記炭酸カルシウム粒子表面にシリカコーティングを行い、その後、当該シリカコーティング粒子の内部における前記炭酸カルシウム粒子と前記界面活性剤を除去することを特徴とする、シリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法。
【0011】
[2] 前記シリカ殻からなるナノ中空粒子の形状が、球状、回転楕円体状、円筒状、あるいは立方体状である前記[1]に記載のナノ中空粒子の製造方法。
【0012】
[3] 前記シリカ殻からなるナノ中空粒子が、30〜300nmの平均粒子径である前記[1]または[2]に記載のナノ中空粒子の製造方法。
【0013】
[4] 前記シリカ殻の殻厚が、3〜20nmである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のナノ中空粒子の製造方法。
【0014】
[5] 前記界面活性剤が、下記一般式(1)及び一般式(2)で表わされる第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のナノ中空粒子の製造方法。
[R(CHN] ・・・(1)
[R(CHN] ・・・(2)
(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状または分岐状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、メソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子を、界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液と、炭酸カルシウム粒子を有機溶媒に分散させた分散液を混合し、さらにシリコンアルコキシド及び塩基触媒を混合し、前記炭酸カルシウム粒子と前記界面活性剤を加熱により除去させることによって、容易にメソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子を提供することができる。
【0016】
当該炭酸カルシウム粒子は、球状、回転楕円体状、円筒状、あるいは立方体状のいずれかの形態で、しかも500nm以下のナノサイズ粒子を容易に安定して製造することが可能である。かかる様々な形状の炭酸カルシウム粒子をコア粒子として用いることにより、複雑な工程を必要とせず、コア粒子の形状を反映したナノ中空粒子の製造が可能となる。
【0017】
さらに、炭酸カルシウム粒子表面と前記界面活性剤の相互作用力が大きいため、炭酸カルシウム粒子表面にミセル化した界面活性剤層が容易に形成され、ミセル化表面に加水分解したシリコンアルコキシドが付加することができる。したがって、コア粒子表面に前処理を必要とせず、前記界面活性剤のアルキル鎖長に応じたメソ細孔を有するシリカ殻の製造が高効率で行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1に係るナノ中空粒子のTEM写真である。
【図2】本発明の実施例2に係るナノ中空粒子のTEM写真である。
【図3】本発明の実施例3に係るナノ中空粒子のTEM写真である。
【図4】本発明の実施例4に係るナノ中空粒子のTEM写真である。
【図5】本発明の実施例6に係るナノ中空粒子のTEM写真である。
【図6】本発明の実施例8に係るナノ中空粒子のTEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0020】
本発明によって得られるメソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子は、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部と、前記外殻部よりも内側の中空部とを含む中空メソポーラスシリカ粒子である。シリカ殻のメソ細孔構造が、小角X線散乱法で求めた平均細孔径が1〜10nm、好ましくは1〜3nmである。そして「メソ細孔構造」とは、細孔径が1〜10nmであって、規則的に配列された複数の細孔を有する構造である。メソ細孔構造は、例えば、カチオン性界面活性剤のミセル化と当該ミセル表面にシリカ源が自己組織化することにより形成される。
【0021】
メソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子の形状は、球状、回転楕円体状、円筒状、または立方体状の形態であるものである。ここで、「球状」とは、球に限らず面で囲まれた球に似た形状をいい、「回転楕円体状」とは、回転楕円体に限らず面で囲まれた回転楕円体に似た形状をいい、「円筒状」とは、円筒に限らず円筒に似た形状をいい、「立方体状」とは、立方体に限らず面で囲まれた立方体に似た形状をいう。そして、このような球状、回転楕円体状、円筒状、または立方体状形態を有するシリカ殻からなる中空粒子は、例えば、乾燥粉末状態で球状、回転楕円体状、円筒状、または立方体状の形態の炭酸カルシウム粒子を用いることによって製造される。なお、中空粒子の平均粒子径は、回転楕円体状の場合は、長径と短径の平均、円筒状の場合は円筒底面の径と長さの平均、立方体状の場合は、一辺の長さを言う。
【0022】
本発明のシリカ殻からなるナノ中空粒子は、メソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子であって、界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液と、炭酸カルシウム粒子を有機溶媒に分散させた分散液を混合し、さらにシリコンアルコキシド及び塩基触媒を混合し、前記炭酸カルシウム粒子と前記界面活性剤を加熱により除去させて得られるメソ細孔構造のシリカ殻からなるナノ中空粒子である。
【0023】
ここで、「有機溶媒」としては、シリコンアルコキシドと水に対して溶解性があり、さらにシリコンアルコキシドの加水分解を促進可能なものであればよく、例えばアルコール類、グリコール類、グリコールエステル類、アセトン等のケトン類、脂肪族炭素、芳香族炭化水素等の単体溶媒もしくはこれら2種類以上の混合溶媒が挙げられるが、中でもアルコール類が望ましい。
【0024】
「シリコンアルコキシド」としては、その加水分解によりシリカを析出させることができるものであればよく、例えばテトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリブトキシシラン、トリブトキシシラン等を用いることができる。加えて、「塩基触媒」としては、例えば、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
【0025】
また界面活性剤は下記一般式(1)及び一般式(2)で表わされる第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤が好ましい。
[R(CHN] ・・・(1)
[R(CHN] ・・・(2)
(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状または分岐状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
【0026】
なお、特許文献2に記載の製造方法では、上記のとおり、メソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造が容易でないことがわかった。本願の発明者らによって、前記の理由が、ナノサイズの中空粒子を得るために必要な複数回の高圧乳化処理によって、メソ細孔構造が破壊されるためであるとわかった。
【0027】
本発明のメソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法(以下「本発明の製造方法」と略する場合もある。)について説明する。本発明の製造方法によれば、例えば、平均細孔径が1〜10nm、好ましくは1〜3nm、平均粒子径が5〜200nmのナノ中空粒子を容易に製造できる。
【0028】
[混合液の調整]
本発明の製造方法では、まず、界面活性剤と水系媒体とを含む混合液を調整する。混合液の調整は、例えば、界面活性剤を水系媒体へ添加することで行う。撹拌中の混合液の温度は、水系媒体の蒸発を防いで、混合液中の界面活性剤の濃度の変動を抑制する観点から、0〜90℃に保たれていると好ましい。
【0029】
[炭酸カルシウムを含む分散液の調製]
乾燥粉体の炭酸カルシウムを有機溶媒中に分散させた分散液を調整する。分散液の調整は、例えば有機溶媒に炭酸カルシウムを添加して撹拌することで行える。上記撹拌に使用される撹拌機の種類について特に制限はない。撹拌機としては、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機等が挙げられる。市販の撹拌機としては、例えば、ディスパー(PRIMIX社製)、クリアミクス(M−テクニック社製)、キャビトロン(太平洋機工社製)等が使用できる。撹拌中の混合液の温度は、水系媒体の蒸発を防いで、混合液中の界面活性剤の濃度の変動を抑制する観点から、0〜90℃に保たれていると好ましい。
【0030】
本発明の製造方法で用いられる界面活性剤としては、下記一般式(1)及び一般式(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤が好ましい。
[R(CHN]+ (1)
[R(CHN]+ (2)
(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
【0031】
上記一般式(1)及び一般式(2)におけるR及びRは、疎水性有機化合物の利用率の向上の観点から、それぞれ独立して、好ましくは炭素数6〜18、さらに好ましくは炭素数8〜16の直鎖状又は分岐状アルキル基である。炭素数4〜22のアルキル基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。
【0032】
一般式(1)及び一般式(2)におけるXは、規則性の高いメソ細孔を形成させるという観点から好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン等の1価陰イオンから選ばれる1種以上である。Xとしては、より好ましくはハロゲンイオンであり、さらに好ましくは塩素イオン又は臭素イオンであり、より一層好ましくは臭素イオンである。
【0033】
一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)等が挙げられる。
【0034】
一般式(2)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0035】
これらの第四級アンモニウム塩の中でも、規則的なメソ細孔を形成させる観点から、特に一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムブロミドまたはアルキルトリメチルアンモニウムクロリドがより好ましい。
【0036】
これらの界面活性剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。炭酸カルシウムを含む混合液における界面活性剤の含有量は、混合液中の炭酸カルシウムの表面積等に応じて適宜調製すればよいが、メソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子の収率および分散性を向上させる観点から、0.1〜100ミリモル/Lであると好ましい。10〜85ミリモル/Lであるとより好ましい。
【0037】
[シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部の形成と炭酸カルシウムの除去]
本発明の製造方法では、以上のようにして調整された炭酸カルシウムを含む混合液にシリカ源を添加し、炭酸カルシウム表面に、シリカを含むメソ細孔構造を有する外殻部を形成して、外殻部と外殻部よりも内側に存在する炭酸カルシウムとを含む複合シリカ粒子を析出させる。シリカ殻の殻厚は、シリコンアルコキシドと炭酸カルシウムの添加割合(シリコンアルコキシド/CaCO)によって変化させることができる。そして、炭酸カルシウム粒子と前記界面活性剤を加熱により除去させてメソ細孔構造のシリカ殻からなるナノ中空粒子を得る。
【0038】
臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)を濃度が10〜85ミリモル/Lとなるように蒸留水と混合して界面活性剤水溶液を調製する。一方、立方体状炭酸カルシウム粒子をコア粒子としてエタノール中に分散させ、前記CTAB水溶液と混合する。テトラエトキシシラン(TEOS)、28%アンモニア水溶液(NHOH)を前記混合液に添加し、ゾル−ゲル法により炭酸カルシウム表面にCTAB皮膜とシリカコーティングを施してコアシェル粒子を得た。前記コアシェル粒子を蒸留水中に分散させ、3規定の塩酸水溶液を用いてコア粒子を溶解除去し、メソ細孔を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子を得た。各種試薬の配合量、反応条件、製造したシリカ殻なるナノ中空粒子の殻厚、シリカ殻の平均細孔径、中空粒子の比表面積は、下記表1に示すとおりである。シリカ殻厚はTEM観察結果から計測し、シリカ殻の平均細孔径はX線小角散乱により算出、比表面積はBET式を用いて算出した。
【0039】
【表1】

【0040】
図1〜6に、実施例1、2、3、4、6、8の条件で製造したナノ中空粒子のTEM写真を示す。シリカ殻にメソ細孔構造が形成されていることがわかる。炭酸カルシウム分散液に臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)を加えるとシリカ殻にメソ細孔が形成されるが、CTABを加えない条件では、シリカ殻にメソ細孔は形成されなかった(比較例1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜10nmの平均細孔径を持つメソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子とその製造方法であって、界面活性剤と水系溶媒とを含む混合液と、炭酸カルシウム粒子を有機溶媒に分散させた分散液を混合し、さらにシリコンアルコキシド及び塩基触媒を混合し、前記炭酸カルシウム粒子表面にシリカコーティングを施し、その後、当該シリカコーティング粒子の内部における前記炭酸カルシウム粒子と前記界面活性剤を除去させてなることを特徴とするメソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子の製造方法。
【請求項2】
前記シリカ殻からなるナノ中空粒子の形状が、球状、回転楕円体状、円筒状、あるいは立方体状である請求項1に記載のナノ中空粒子の製造方法
【請求項3】
前記メソ細孔構造を有するシリカ殻からなるナノ中空粒子が、30〜300nmの平均粒子径を有する請求項1または2に記載のナノ中空粒子。
【請求項4】
前記メソ細孔構造を有するシリカ殻の殻厚が、3〜20nmである請求項1〜3のいずれかに記載のナノ中空粒子の製造方法。
【請求項5】
前記界面活性剤が、下記一般式(1)及び一般式(2)で表わされる第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤である請求項1〜4のいずれかに記載のナノ中空粒子の製造方法。
[R(CHN] ・・・(1)
[R(CHN] ・・・(2)
(式中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状または分岐状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−103860(P2013−103860A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249211(P2011−249211)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】