説明

メタクリル酸製造用触媒およびその製造方法、ならびにメタクリル酸の製造方法

【課題】メタクリル酸を高選択率で製造できるメタクリル酸製造用触媒、その製造方法、およびこの触媒を用いたメタクリル酸の製造方法を提供する。
【解決手段】リン元素、モリブデン元素、X元素(ヒ素、ビスマス、テルル、ゲルマニウム、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素)およびアルカリ金属元素を含む触媒を製造するにあたり、水中に少なくともモリブデン原料およびリン原料を添加して、ヘテロポリ酸を含む水性スラリーまたは水溶液を調製し、その水性スラリーまたは水溶液にアルカリ金属化合物を添加して、ヘテロポリ酸の少なくとも一部がアルカリ金属塩になったヘテロポリ酸塩を析出させた後、X元素の原料を添加する。そして、この間の水性スラリーまたは水溶液のpHを3以下になるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するためのメタクリル酸製造用触媒(以下、単に「触媒」とも記す)の製造方法、この方法により製造される触媒、およびこの触媒を用いたメタクリル酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するメタクリル酸製造用触媒としては、モリブデンおよびリンを含むケギン型ヘテロポリ酸系触媒が知られている。このようなヘテロポリ酸系触媒としては、カウンターカチオンがプロトンであるプロトン型ヘテロポリ酸、およびそのプロトンの一部をセシウム、ルビジウム、カリウムなどのアルカリ金属で置換し、ヘテロポリ酸塩にしたものが知られている(以下、プロトン型ヘテロポリ酸を単に「ヘテロポリ酸」とも言い、プロトン型ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸塩を「ヘテロポリ酸(塩)」とも言う)。なお、プロトン型ヘテロポリ酸は水溶性であるが、プロトンがアルカリ金属で置換されたヘテロポリ酸塩はこれらカチオンのイオン半径が大きいため、一般に水に難溶性である。
【0003】
ヘテロポリ酸(塩)の構造としては、以下のような記載がある。
【0004】
ヘテロポリ酸(塩)は、中心に異種元素(以下、「中心元素」という)があり、酸素を共有して縮合酸基が縮合して形成される単核または複核の錯イオンを有している。縮合形態は数種類知られており、リン、ヒ素、ケイ素、ゲルマニウム、チタン等が中心元素となり得る(非特許文献1)。
【0005】
ヘテロポリ酸(塩)系触媒の製造法としては、例えば以下の提案がされている。
(a)触媒原料を溶解混合した溶液のpHをケギン型ヘテロポリ酸が安定に存在できる強酸性に保ち、85℃以上に加熱することによりケギン型ヘテロポリ酸を完成させ、次いで溶液を80℃以下に冷却した後にアルカリイオンおよびアンモニウムイオン等を添加する(特許文献1、2)。
(b)触媒成分を含む混合溶液の乾燥の際に乾燥物の粒子径を制御し、水や低級アルコールを添加して湿式成形を行う(特許文献3)。
(c)有効成分としてアンチモン、銅、コバルト、ビスマス、ヒ素を含み、pH4以下で調製を行う(特許文献4)。
(d)有効成分としてアンチモンを含み、アンチモン化合物以外の必須活性成分を添加した後、アンチモン化合物を混合する(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−7037号公報
【特許文献2】特開平4−16242号公報
【特許文献3】特開平8−10621号公報
【特許文献4】特開平5−31368号公報
【特許文献5】特開2006−272151号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】大竹正之,小野田武,触媒,vol.18,No.6(1976)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(a)の方法のように、ヘテロポリ酸が調製時からケギン型を形成しているような製造法を用いることで、特に低い反応温度において従来より高選択率でメタクリル酸を得ることができる。
【0009】
このような触媒を工業的に用いる場合は成形して使用するのが一般的であり、成形触媒に優れた性能を付与するため、触媒中の細孔構造の制御が非常に重要である。細孔構造を制御する方法として(b)の方法が提案されているが、(a)の方法によって製造された触媒を湿式成形すると、熱処理によって触媒中の有効成分が減少してしまい、それによってメタクリル酸選択率が低下してしまうという問題点を有している。
【0010】
例えば(c)および(d)の方法では、調製時からケギン型ヘテロポリ酸を形成させているが、湿式成形による触媒中の有効成分が減少するので、湿式成形を利用すると本来の性能を発揮することができなくなってしまう。
【0011】
本発明は、上述したような従来の方法による問題点を解決し、メタクリル酸を高選択率で製造できるメタクリル酸製造用触媒、その製造方法、およびこの触媒を用いたメタクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、強酸性下でケギン型ヘテロポリ酸を完成させ、次いでアルカリ金属化合物を添加してケギン型ヘテロポリ酸塩を析出させた後に、湿式成形を用いることで熱処理により減少してしまう有効成分(X元素)を添加することにより、X元素の減少を抑制し、触媒性能が大きく向上することを見出した。
【0013】
この理由としては、X元素の存在形態は複数あり、ケギン型ヘテロポリ酸(塩)形成時にX元素が存在していると、X元素が湿式成形および熱処理によって減少しやすい化合物を形成してしまうためと推測している。そのため、ヘテロポリ酸塩形成後にX元素を添加することで、X元素は湿式成形および熱処理によっても減少しにくい化合物を形成し、メタクリル酸選択率を向上させることができる。
【0014】
すなわち、本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられる、リン元素、モリブデン元素、X元素(ヒ素、ビスマス、テルル、ゲルマニウム、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素)およびアルカリ金属元素を含む触媒の製造方法であって、
(i)水中に少なくともモリブデン原料およびリン原料を添加して、ヘテロポリ酸を含む水性スラリーまたは水溶液を調製する工程と、
(ii)前記水性スラリーまたは水溶液にアルカリ金属化合物を添加して、前記ヘテロポリ酸の少なくとも一部がアルカリ金属塩になったヘテロポリ酸塩を析出させる工程と、
(iii)前記ヘテロポリ酸塩が析出している水性スラリーに、X元素の原料を添加する工程と、
(iv)全ての触媒原料を含む水性スラリーまたは水溶液を乾燥して、乾燥物を得る工程と、
(v)前記乾燥物を熱処理する工程と
を有し、前記工程(i)〜(iii)における水性スラリーまたは水溶液のpHが3以下であることを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法である。
【0015】
また、本発明は、上記のメタクリル酸製造用触媒の製造方法で製造されたメタクリル酸製造用触媒である。また、本発明は、上記のメタクリル酸製造用触媒の製造方法で製造されたメタクリル酸製造用触媒を用いて、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を高選択率で製造できるメタクリル酸製造用触媒、その製造方法、およびそのメタクリル酸製造用触媒を用いたメタクリル酸の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<メタクリル酸合成用触媒およびその製造方法>
本発明は、リン元素、モリブデン元素、X元素(ヒ素、ビスマス、テルル、ゲルマニウム、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素)およびアルカリ金属元素を含む触媒であり、下記式(1)で表される組成を有することが好ましい。
【0018】
MoabcCudefgh (1)
式中、Mo、P、V、CuおよびOはそれぞれモリブデン、リン、バナジウム、銅および酸素を示す元素記号である。Xはヒ素、ビスマス、テルル、ゲルマニウム、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Yはジルコニウム、銀、鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、コバルト、マンガン、バリウム、セリウムおよびランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Zはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比率を表し、a=12のとき、b=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、e=0.1〜3、f=0〜3、g=0.01〜3であり、hは前記各元素の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。
【0019】
本発明の触媒は、以下の工程を有する製造方法により製造される。
・工程(i):水中に少なくともモリブデン原料およびリン原料を添加して、ヘテロポリ酸を含む水性スラリーまたは水溶液を調製する(調製工程)。
・工程(ii):前記水性スラリーまたは水溶液にアルカリ金属化合物を添加して、前記ヘテロポリ酸の少なくとも一部がアルカリ金属塩になったヘテロポリ酸塩を析出させる(析出工程)。
・工程(iii):前記ヘテロポリ酸塩が析出している水性スラリーに、X元素の原料を添加する(X元素添加工程)。
・工程(iv):全ての触媒原料を含む水性スラリーまたは水溶液を乾燥して、乾燥物を得る(乾燥工程)。
・工程(v):前記乾燥物を熱処理する(熱処理工程)。
【0020】
さらに、前記乾燥物を成形する工程(成形工程)を有していてもよい。
【0021】
〔調製工程〕
この工程では、水中に少なくともモリブデン原料およびリン原料を添加して、ヘテロポリ酸を含む水性スラリーまたは水溶液を調製する。すなわち、調製工程では、X元素の原料を添加しない。
【0022】
調製したヘテロポリ酸の構造は、水性スラリーまたは水溶液を乾燥させたものを赤外吸収分析で測定することにより確認することができる。ケギン型構造を有するヘテロポリ酸であれば、得られる赤外吸収スペクトルは、1060、960、870および780cm-1付近に特徴的なピークを有する。ドーソン型構造を有するヘテロポリ酸である場合、得られる赤外吸収スペクトルは、1040、1020、930、720および680cm-1付近に特徴的なピークを有する。
【0023】
モリブデン原料、リン原料、アルカリ金属化合物およびX元素の原料以外の触媒原料(式(1)で表される組成を有する触媒を製造する場合においては、バナジウム原料、銅原料およびY元素の原料)等は、調製工程、析出工程およびX元素添加工程のいずれの段階で添加してもよく、各工程の間や後に添加しても構わない。添加する触媒原料の配合量は、目的とする触媒の組成に応じて適宜決定すればよい。
【0024】
使用する触媒原料としては、各元素の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、酸化物、ハロゲン化物等が挙げられる。モリブデン原料としては、三酸化モリブデン、パラモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、塩化モリブデン等が挙げられる。リン原料としては、正リン酸、五酸化リン、リン酸アンモニウム等が挙げられる。バナジウム原料としては、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム、リンバナドモリブデン酸等が挙げられる。なお、バナジウム原料としてリンバナドモリブデン酸を用いる場合、リンバナドモリブデン酸にはモリブデン元素およびリン元素も含まれているため、モリブデン原料およびリン原料の添加量を調整する必要がある。銅原料としては、硝酸銅、酸化銅、炭酸銅、酢酸銅等が挙げられる。
【0025】
水性スラリーまたは水溶液の調製は、水に各元素の原料を加え、加熱しながら攪拌する方法が簡便であり好ましい。各元素の原料はそのまま添加してもよく、溶媒に溶解または懸濁させた各元素の原料の溶液またはスラリーの状態で添加してもよい。溶媒を用いる場合における溶媒としては、水、エチルアルコール、アセトン等が挙げられるが、水性スラリーまたは水溶液と同じ水を用いることが好ましい。水性スラリーまたは水溶液の加熱温度は80〜130℃が好ましく、90〜130℃がより好ましい。
【0026】
調製工程における水性スラリーまたは水溶液のpHは、ケギン型ヘテロポリ酸が安定に存在できる3以下とすることが必要であり、2以下とすることが好ましい。調製工程における水性スラリーまたは水溶液のpHを3以下とする方法としては、例えば、モリブデン原料として三酸化モリブデンを使用する、硝酸根等を多く含むように各元素の原料を選択する等の方法が挙げられる。
【0027】
〔析出工程〕
この工程では、調製工程で得られた水性スラリーまたは水溶液にアルカリ金属化合物を添加して、ヘテロポリ酸の少なくとも一部がアルカリ金属塩になったヘテロポリ酸塩を析出させる。アルカリ金属化合物を添加する前に、水性スラリーまたは水溶液を冷却することが好ましい。冷却温度は20〜80℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。
【0028】
析出させたヘテロポリ酸塩の構造は、ヘテロポリ酸塩をろ過等により分離し乾燥させたものを赤外吸収分析で測定することにより確認することができる。ケギン型構造を有するヘテロポリ酸塩であれば、得られる赤外吸収スペクトルは、1060、960、870および780cm-1付近に特徴的なピークを有する。ドーソン型構造を有するヘテロポリ酸塩である場合、得られる赤外吸収スペクトルは、1040、1020、930、720および680cm-1付近に特徴的なピークを有する。
【0029】
アルカリ金属化合物としては、セシウム化合物、カリウム化合物、ルビジウム化合物等が挙げられる。式(1)で表される組成を有する触媒を製造する場合においては、Z元素の原料となる。熱安定性の点から、セシウム化合物が好ましい。セシウム化合物としては、重炭酸セシウム、硝酸セシウム、水酸化セシウム等が上げられる。アルカリ金属化合物の添加量は、目的とする触媒の組成に応じて適宜決定すればよい。
【0030】
アルカリ金属化合物は、溶媒に溶解または懸濁させたアルカリ金属化合物の溶液またはスラリーの状態で添加することが好ましい。溶媒としては、水、エチルアルコール、アセトン等が挙げられるが、水性スラリーまたは水溶液と同じ水を用いることが好ましい。
【0031】
析出工程における水性スラリーまたは水溶液のpHは、ケギン型ヘテロポリ酸が安定に存在できる3以下とすることが必要であり、2以下とすることが好ましい。析出工程における水性スラリーまたは水溶液のpHを3以下とする方法としては、例えば、アルカリ金属化合物として炭酸塩, 硝酸塩を選択する等の方法が挙げられる。
【0032】
アルカリ金属化合物を添加した水性スラリーは引き続きX元素添加工程に処しても、静置してもよいが、攪拌することが好ましい。撹拌装置としては、回転翼撹拌機、高速回転剪断撹拌機(ホモジナイザー等)等の回転式撹拌装置、振り子式の直線運動型撹拌機、容器ごと振とうする振とう機、超音波等を用いた振動式撹拌機等の公知の撹拌装置が挙げられる。回転式撹拌装置における撹拌翼または回転刃の回転速度は、液の飛散等の不都合が起きない程度に、容器、撹拌翼、邪魔板等の形状、液量等を勘案して適宜調整すればよい。撹拌は連続的または断続的のいずれの方法で行ってもよいが、連続的に行う方が好ましい。
【0033】
撹拌時の水性スラリーの温度は、20〜80℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。また、アルカリ金属化合物を添加した後の撹拌時間は、5〜60分が好ましく、10〜30分がより好ましい。また、静置する時の水性スラリーの温度は、20〜80℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。静置する時間は、5〜60分が好ましく、10〜30分がより好ましい。
【0034】
〔X元素添加工程〕
この工程では、ヘテロポリ酸塩が析出している水性スラリーに、X元素の原料を添加する。X元素の原料の添加量は、目的とする触媒の組成に応じて適宜決定すればよい。
【0035】
X元素の原料はそのまま添加してもよく、溶媒に溶解または懸濁させたX元素の原料の溶液またはスラリーの状態で添加してもよい。溶媒を用いる場合における溶媒としては、水、エチルアルコール、アセトン等が挙げられるが、水性スラリーと同じ水を用いることが好ましい。
【0036】
X元素添加工程における水性スラリーのpHは、ケギン型ヘテロポリ酸が安定に存在できる3.0以下とすることが必要であり、2.0以下とすることが好ましい。X元素添加工程における水性スラリーのpHを3.0以下とする方法としては、例えば、X元素の原料として酸性物質を選択する等の方法が挙げられる。
【0037】
〔乾燥工程〕
この工程では、全ての原料を含む水性スラリーを加熱して乾燥することで、乾燥物を得ることができる。乾燥方法は特に限定されず、例えば、スプレー乾燥法、ドラム乾燥法、蒸発乾固法、気流乾燥法等の公知の方法が挙げられる。乾燥と同時に粒子が得られること、得られる粒子の形状が整った球形であることから、スプレー乾燥法を用いることが好ましい。乾燥条件は乾燥方法により異なるが、スプレー乾燥法を用いる場合、乾燥機入口温度は200〜400℃、好ましくは220〜370℃の温度範囲である。
【0038】
〔成形工程〕
得られた乾燥物をそのまま熱処理してもよいが、その乾燥物を成形し、得られた成形品を熱処理してもよい。また、乾燥物を後述する熱処理工程で熱処理したものを成形してもよい。成形方法としては、押出成形、打錠成型、担持成形、転動造粒等の公知の方法が挙げられる。乾燥粒子の崩壊が少なく、反応に有効な細孔が得やすいことから、押出成形法を用いることが好ましい。成形品の形状としては特に制限はなく、球状、リング状、円柱状、星型状等の任意の形状が挙げられる。
【0039】
押出成形法を用いる場合、得られた乾燥物に水および/またはアルコールを添加し混練りした後、押出成形を行う。混練りにあたっては、水および/またはアルコールの他に、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の有機バインダーを添加することもできる。有機バインダーの種類は特に限定されないが、成形時の触媒粒子の崩壊度が少ないことから、触媒スラリーに添加する有機バインダーとは溶解度の異なるものが好ましい。
【0040】
〔熱処理工程〕
この工程では、乾燥物または乾燥物の成形品を熱処理することで、触媒を得ることができる。熱処理条件としては、特に限定はなく、公知の熱処理条件を適用できる。熱処理は、通常、空気等の酸素含有ガス流通下および/または不活性ガス流通下で、200〜500℃、好ましくは300〜450℃で、0.5時間以上、好ましくは1〜40時間で行う。
【0041】
以上のような本発明のメタクリル酸製造用触媒は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を高選択率で製造できる触媒となる。
【0042】
<メタクリル酸の製造方法>
本発明のメタクリル酸の製造方法は、上記本発明のメタクリル酸製造用触媒を用いて、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造することを特徴とする。
【0043】
具体的には、メタクロレインおよび分子状酸素を含む原料ガスと、本発明の触媒とを接触させることで、メタクリル酸を製造する。この反応は、通常、固定床で行う。また、触媒層は1層でもよく、2層以上でもよい。メタクリル酸製造用触媒は、担体に担持させたものであってもよく、その他の添加成分を混合したものであってもよい。
【0044】
原料ガス中のメタクロレインの濃度は、広い範囲で変えることができ、1〜20容量%が好ましく、3〜10容量%がより好ましい。メタクロレインは、水、低級飽和アルデヒド等の本反応に実質的な影響を与えない不純物を少量含んでいてもよい。
【0045】
原料ガス中の分子状酸素の濃度は、メタクロレイン1モルに対して0.4〜4モルが好ましく、0.5〜3モルがより好ましい。なお、分子状酸素源としては、経済性の点から空気が好ましい。必要ならば、空気に純酸素を加えて分子状酸素を富化した気体等を用いてもよい。
【0046】
原料ガスは、メタクロレインおよび分子状酸素源を、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスで希釈したものであってもよい。さらに、原料ガスに水蒸気を加えてもよい。水の存在下で反応を行うことにより、メタクリル酸をより高収率で得ることができる。原料ガス中の水蒸気の濃度は、0.1〜50容量%が好ましく、1〜40容量%が特に好ましい。
【0047】
原料ガスとメタクリル酸製造用触媒との接触時間は、1.5〜15秒が好ましく、2〜5秒がより好ましい。
【0048】
反応圧力は、大気圧(0.1MPa−G)〜数気圧(例えば1MPa−G)が好ましい。反応温度は、200〜450℃が好ましく、250〜400℃が特に好ましい。
【実施例】
【0049】
以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例中の「部」は質量部を意味する。
【0050】
触媒組成は、アンモニア水に溶解した成分をICP発光分析法と原子吸光分析法で分析することによって算出した。
【0051】
原料ガスおよび生成物の分析は、ガスクロマトグラフィーを用いて行った。ガスクロマトグラフィーの結果から、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を下記式にて求めた。
メタクロレインの反応率(%)=(B/A)×100、
メタクリル酸の選択率(%)=(C/B)×100、
メタクリル酸の収率(%)=(C/A)×100。
式中、Aは供給したメタクロレインのモル数、Bは反応したメタクロレインのモル数、Cは生成したメタクリル酸のモル数である。
【0052】
〔実施例1〕
[調製工程]
純水400部に、三酸化モリブデン100部、メタバナジン酸アンモニウム3.1部、85質量%リン酸水溶液7.3部および硝酸銅1.5部を溶解し、これを攪拌しながら95℃に昇温し、液温を95℃に保ちつつ3時間攪拌した。このとき得られた水性スラリーのpHは0.86であった。
【0053】
[析出工程]
続いて、この混合液を50℃まで冷却し、回転翼攪拌機を用いて攪拌しながら、純水20部に溶解した重炭酸セシウム12.4部および純水20部に溶解した硝酸アンモニウム11.6部を滴下して、ヘテロポリ酸塩を析出させた。このとき得られた水性スラリーのpHは0.98であった。
【0054】
[X元素添加工程]
この混合液を15分間攪拌した後、60質量%ヒ酸水溶液8.9部を滴下し、さらに15分間攪拌した。このとき得られた水性スラリーのpHは0.88であった。
【0055】
[乾燥工程]
この混合液を、乾燥機入口温度270℃、噴霧用回転円盤16000回転/分の条件で、並流式スプレー乾燥機を用いて乾燥した。
【0056】
[成形工程]
得られた触媒乾燥粒子100部に対してエチルアルコール45部を添加混合し、押し出し成形機により外径6mm、内径3mm、平均長さ4mmのリング状に成形した。得られた成形品の酸素以外の元素組成(以下同じ)は、次の通りであった。
【0057】
Mo120.451.1As0.65Cu0.11Cs1.1
[熱処理工程]
続いて、この成形品を60℃で16時間乾燥し、次いで空気流通下に380℃で12時間熱処理した。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0058】
Mo120.451.1As0.61Cu0.11Cs1.1
<メタクリル酸の製造>
この触媒を反応管に充填し、メタクロレイン5容量%、酸素10容量%、水蒸気30容量%、窒素55容量%の原料ガスを反応温度290℃、接触時間3.6秒で通じた。生成物を捕集し、ガスクロマトグラフィーで分析してメタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0059】
〔比較例1〕
純水400部に、三酸化モリブデン100部、メタバナジン酸アンモニウム3.1部、85質量%リン酸水溶液7.3部、60質量%ヒ酸水溶液8.9部および硝酸銅1.5部を溶解し、これを攪拌しながら95℃に昇温し、液温を95℃に保ちつつ3時間攪拌した。このとき得られた混合液のpHは0.91であった。続いて、この混合液を50℃まで冷却後、回転翼攪拌機を用いて攪拌しながら、純水20部に溶解した重炭酸セシウム12.4部および純水20部に溶解した硝酸アンモニウム11.6部を滴下して、ヘテロポリ酸塩を析出させ、さらに15分間攪拌した。このとき得られた混合液のpHは1.05であった。
【0060】
この混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして成形した。得られた成形品の元素組成は、次の通りであった。
【0061】
Mo120.451.1As0.65Cu0.11Cs1.1
続いて、この成形品を用いた以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0062】
Mo120.451.1As0.43Cu0.11Cs1.1
この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行い、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0063】
〔実施例2〕
[調製工程]
純水200部に、三酸化モリブデン100部、メタバナジン酸アンモニウム3.1部、85%質量リン酸水溶液7.3部および硝酸銅1.5部を溶解し、これを攪拌しながら95℃に昇温し、液温を95℃に保ちつつ3時間攪拌した。このとき得られた混合液のpHは1.09であった。
【0064】
[析出工程]
続いて、この混合液を50℃まで冷却し、回転翼攪拌機を用いて攪拌しながら、純水20部に溶解した硝酸セシウム12.4部および28質量%アンモニア水18.0部を滴下して、ヘテロポリ酸塩を析出させた。このとき得られた混合液のpHは2.48であった。
【0065】
[X元素添加工程]
この混合液を15分間攪拌した後、60質量%ヒ酸水溶液8.9部を滴下し、さらに15分間攪拌した。このとき得られた混合液のpHは2.50であった。
【0066】
この混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、乾燥、成形した。得られた成形品の元素組成は、次の通りであった。
【0067】
Mo120.451.1As0.65Cu0.11Cs1.1
続いて、この成形品を用いた以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0068】
Mo120.451.1As0.62Cu0.11Cs1.1
この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行い、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0069】
〔比較例2〕
純水200部に、三酸化モリブデン100部、メタバナジン酸アンモニウム3.1部、85%質量リン酸水溶液7.3部、60質量%ヒ酸水溶液8.9部および硝酸銅1.5部を溶解し、これを攪拌しながら95℃に昇温し、液温を95℃に保ちつつ3時間攪拌した。このとき得られた混合液のpHは1.15であった。続いて、この混合液を50℃まで冷却し、回転翼攪拌機を用いて攪拌しながら、純水20部に溶解した硝酸セシウム12.4部および28質量%アンモニア水18.0部を滴下して、ヘテロポリ酸塩を析出させ、さらに15分間攪拌した。このとき得られた混合液のpHは2.55であった。
【0070】
この混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして成形した。得られた成形品の元素組成は、次の通りであった。
【0071】
Mo120.451.1As0.65Cu0.11Cs1.1
続いて、この成形品を用いた以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0072】
Mo120.451.1As0.51Cu0.11Cs1.1
この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行い、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0073】
〔比較例3〕
28質量%アンモニア水の量を18.0部から19.0部に変更した以外は、実施例2と同様にして混合液を調製した。ヘテロポリ酸塩を析出させたときの混合液のpHは3.69であり、最終的に得られた混合液のpHは3.70であった。
【0074】
この混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして成形した。得られた成形品の元素組成は、次の通りであった。
【0075】
Mo120.451.1As0.65Cu0.11Cs1.1
続いて、この成形品を用いた以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0076】
Mo120.451.1As0.62Cu0.11Cs1.1
この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行い、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0077】
〔比較例4〕
28質量%アンモニア水の量を18.0部から19.0部に変更した以外は、比較例2と同様にして混合液を調製した。最終的に得られた混合液のpHは3.72であった。
【0078】
この混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして成形した。得られた成形品の元素組成は、次の通りであった。
【0079】
Mo120.451.1As0.65Cu0.11Cs1.1
続いて、この成形品を用いた以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0080】
Mo120.451.1As0.58Cu0.11Cs1.1
この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行い、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0081】
〔実施例3〕
60質量%ヒ酸水溶液8.9部を酸化ビスマス8.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。最終的に得られた混合液のpHは1.14であった。
【0082】
この混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして成形した。得られた成形品の元素組成は、次の通りであった。
【0083】
Mo120.451.1Bi0.6Cu0.11Cs1.1
続いて、この成形品を用いた以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0084】
Mo120.451.1Bi0.58Cu0.11Cs1.1
この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行い、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0085】
〔比較例5〕
60質量%ヒ酸水溶液8.9部を酸化ビスマス8.1部に変更した以外は、比較例1と同様にして混合液を調製した。最終的に得られた混合液のpHは1.22であった。
【0086】
この混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして成形した。得られた成形品の元素組成は、次の通りであった。
【0087】
Mo120.451.1Bi0.6Cu0.11Cs1.1
続いて、この成形品を用いた以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0088】
Mo120.451.1Bi0.41Cu0.11Cs1.1
この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行い、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0089】
〔実施例4〕
60質量%ヒ酸水溶液8.9部をテルル酸5.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。最終的に得られた混合液のpHは1.01であった。
【0090】
この混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして成形した。得られた成形品の元素組成は、次の通りであった。
【0091】
Mo120.451.1Te0.4Cu0.11Cs1.1
続いて、この成形品を用いた以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0092】
Mo120.451.1Te0.38Cu0.11Cs1.1
この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行い、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0093】
〔比較例6〕
60質量%ヒ酸水溶液8.9部をテルル酸5.3部に変更した以外は、比較例1と同様にして混合液を調製した。最終的に得られた混合液のpHは1.12であった。
【0094】
この混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして成形した。得られた成形品の元素組成は、次の通りであった。
【0095】
Mo120.451.1Te0.4Cu0.11Cs1.1
続いて、この成形品を用いた以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0096】
Mo120.451.1Te0.27Cu0.11Cs1.1
この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行い、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0097】
〔比較例7〕
60質量%ヒ酸水溶液8.9部を三酸化アンチモン3.4部に変更した以外は、実施例1と同様にして混合液を調製した。最終的に得られた混合液のpHは0.99であった。
【0098】
この混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして成形した。得られた成形品の元素組成は、次の通りであった。
【0099】
Mo120.451.1Sb0.3Cu0.11Cs1.1
続いて、この成形品を用いた以外は、実施例1と同様にして熱処理を行った。得られた触媒の元素組成は、次の通りであった。
【0100】
Mo120.451.1Sb0.28Cu0.11Cs1.1
この触媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリル酸の製造を行い、メタクロレインの反応率、メタクリル酸の選択率、およびメタクリル酸の収率を求めた。結果を表1に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
以上の結果から、工程(i)〜(iii)における混合液のpHが3以下になる条件でヘテロポリ酸塩を析出させた後、X元素の原料を添加した実施例1〜4では、熱処理によるX元素の減少率が低く、高い収率でメタクリル酸を製造することができた。一方、ヘテロポリ酸塩を析出させる前にX元素の原料を添加した比較例1、2、5および6では、熱処理によるX元素の減少率が高く、メタクリル酸の選択率が低下していた。ヘテロポリ酸塩を析出させた後にX元素の原料を添加したが、工程(ii)および(iii)における混合液のpHが3を超えている比較例3では、熱処理によるX元素の減少率は低いものの、メタクロレインの反応率が低く、ヘテロポリ酸塩を析出させる前にX元素の原料を添加した比較例4に対するメタクリル酸の収率の優位性は小さい。また、X元素の代わりにアンチモン元素を添加した比較例7では、熱処理によるアンチモン元素の減少率は低いものの、メタクリル酸の選択率が低かった。すなわち、メタクリル酸の選択率の向上には、触媒有効成分としてX元素の添加が有効であると言える。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明のメタクリル酸製造用触媒は、メタクリル酸の選択率を高めることができるので、メタクリル酸の製造に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられる、リン元素、モリブデン元素、X元素(ヒ素、ビスマス、テルル、ゲルマニウム、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素)およびアルカリ金属元素を含む触媒の製造方法であって、
(i)水中に少なくともモリブデン原料およびリン原料を添加して、ヘテロポリ酸を含む水性スラリーまたは水溶液を調製する工程と、
(ii)前記水性スラリーまたは水溶液にアルカリ金属化合物を添加して、前記ヘテロポリ酸の少なくとも一部がアルカリ金属塩になったヘテロポリ酸塩を析出させる工程と、
(iii)前記ヘテロポリ酸塩が析出している水性スラリーに、X元素の原料を添加する工程と、
(iv)全ての触媒原料を含む水性スラリーまたは水溶液を乾燥して、乾燥物を得る工程と、
(v)前記乾燥物を熱処理する工程と
を有し、前記工程(i)〜(iii)における水性スラリーまたは水溶液のpHが3以下であるメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法で製造されたメタクリル酸製造用触媒。
【請求項3】
請求項1に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法で製造されたメタクリル酸製造用触媒を用いて、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法。

【公開番号】特開2011−224505(P2011−224505A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98675(P2010−98675)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】