説明

メタクリル酸製造用触媒の再生方法及びメタクリル酸の製造方法

【課題】 触媒活性を良好に回復させつつ、触媒寿命をも向上させることができるメタクリル酸製造用触媒の再生方法を提供する。
【解決手段】 リン、モリブデン及びアルカリ金属元素を含む組成のヘテロポリ酸化合物からなる新品触媒をメタクリル酸の製造に使用して得られた使用済触媒からメタクリル酸製造用触媒を再生する方法であって、前記使用済触媒にモリブデン化合物及び水を混合し、その後、乾燥し、焼成する各工程を含み、かつ、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比が、前記新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比よりも小さくなるように、前記使用済触媒に対するモリブデン化合物の混合量を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン、モリブデン及びアルカリ金属元素を含む組成のヘテロポリ酸化合物からなる使用済みの触媒に再生処理を施し、メタクリル酸製造用触媒を再生する方法と、この方法により得られた再生触媒を用いて、メタクリル酸を製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
リン、モリブデン及びアルカリ金属元素を含む組成のヘテロポリ酸化合物からなるメタクリル酸製造用触媒は、例えばメタクロレイン等を原料とする気相接触酸化反応に長時間使用すると、熱負荷等によりモリブデンの一部が触媒から飛散、消失して触媒活性が低下することが知られている。
【0003】
かかる使用済触媒の再生方法としては、例えば、モリブデンが一部飛散、消失した使用済触媒に対して、消失した分に相当する量のモリブデン化合物を水とともに混合して処理することにより、再生される触媒におけるヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比が、反応に使用前の新品触媒のそれと同一になるようにする方法が報告されている(特許文献1、2)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−286762号公報
【特許文献2】特開2001−286763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の再生方法で再生された再生触媒は、初期の触媒活性については良好な性能を発揮するものの、触媒寿命の点では必ずしも満足のいくものではなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、触媒活性を良好に回復させつつ、触媒寿命をも向上させることができるメタクリル酸製造用触媒の再生方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、この方法により得られた再生触媒を用いて、良好な転化率及び選択率を長時間維持することができるメタクリル酸の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、使用済触媒にモリブデン化合物及び水を混合して処理するにあたり、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比が、使用前の新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比よりも小さくなるように、使用済触媒に対するモリブデン化合物の混合量を調整することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)リン、モリブデン及びアルカリ金属元素を含む組成のヘテロポリ酸化合物からなる新品触媒をメタクリル酸の製造に使用して得られた使用済触媒からメタクリル酸製造用触媒を再生する方法であって、前記使用済触媒にモリブデン化合物及び水を混合し、その後、乾燥し、焼成する各工程を含み、かつ、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比が、前記新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比よりも小さくなるように、前記使用済触媒に対するモリブデン化合物の混合量を調整することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
(2)新品触媒が下記式(I)
PaMobVcXdYeOx (I)
(式(I)中、P、Mo及びVはそれぞれリン、モリブデン及びバナジウムを表し、Xはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を示し、Yは銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン、セリウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Oは酸素を表し、b=12としたとき、0<a≦3、0≦c≦3、0<d≦3、0≦e≦3であり、xは各元素の酸化状態により定まる値である)
で示されるヘテロポリ酸化合物からなる前記(1)に記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
(3)新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比をαとし、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比をβとしたときに、β/αの値が0.9以上である前記(1)または(2)に記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
(4)使用済触媒にモリブデン化合物及び水を混合するにあたり、硝酸根及びアンモニウム根をも混合する前記(1)〜(3)のいずれかに記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
(5)使用済触媒にモリブデン化合物及び水を混合する前に、該使用済触媒に350℃以上の熱処理を施す前記(1)〜(4)のいずれかに記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法により再生されたメタクリル酸製造用触媒の存在下に、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群より選ばれる化合物を気相接触酸化反応に付すことを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メタクリル酸製造用触媒を再生するにあたり、触媒活性を良好に回復させつつ、触媒寿命をも向上させることができる。また、この方法により再生された再生触媒を用いれば、良好な転化率及び選択率を長時間維持しながら、メタクリル酸を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のメタクリル酸製造用触媒の再生方法は、新品であるメタクリル酸製造用触媒(以下「新品触媒」と称することもある)をメタクリル酸の製造に使用して得られた使用済触媒に再生処理を施し、再生触媒を得る方法である。
本発明におけるメタクリル酸製造用触媒(新品触媒)は、リン、モリブデン及びアルカリ金属元素を必須とする組成のヘテロポリ酸化合物からなるものであり、遊離のヘテロポリ酸からなるものであってもよいし、ヘテロポリ酸の塩からなるものであってもよい。中でも、ヘテロポリ酸の酸性塩(部分中和塩)からなるものが好ましく、さらに好ましくはケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものである。
【0011】
前記ヘテロポリ酸化合物が必須の構成元素として含有するアルカリ金属元素としては、例えば、カリウム、ルビジウム、セシウム等が好ましく挙げられる。さらに、前記ヘテロポリ酸化合物は、リン、モリブデン及びアルカリ金属元素以外の元素として、バナジウムを含有することが望ましく、また、銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン、セリウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(以下「Y元素」と称することもある)を含有することが望ましい。
【0012】
前記メタクリル酸製造用触媒(新品触媒)を構成する前記ヘテロポリ酸化合物の好ましい組成を示すと、下記式(I)の通りである。
PaMobVcXdYeOx (I)
(式(I)中、P、Mo及びVはそれぞれリン、モリブデン及びバナジウムを表し、Xはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を示し、Yは銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン、セリウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素(すなわち、前記Y元素)を示し、Oは酸素を表し、b=12としたとき、0<a≦3、0≦c≦3、0<d≦3、0≦e≦3であり、xは各元素の酸化状態により定まる値である)
【0013】
前記メタクリル酸製造用触媒(新品触媒)は、例えば、ヘテロポリ酸化合物を構成する上述した各元素を含む化合物(例えば、各元素のオキソ酸、オキソ酸塩、酸化物、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物等)を混合し、所望の形状に成形した後、焼成するなど、従来公知の方法で製造されたものであればよい。例えば、リンを含む化合物としては、リン酸、リン酸塩等が用いられ、モリブデンを含む化合物としては、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウムの如きモリブデン酸塩、酸化モリブデン、塩化モリブデン等が用いられ、アルカリ金属元素を含む化合物としては、酸化物、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物等が用いられる。また、バナジウムを含む化合物としては、バナジン酸、バナジン酸アンモニウム(メタバナジン酸アンモニウム)の如きバナジン酸塩(メタバナジン酸塩)、酸化バナジウム、塩化バナジウム等が用いられ、前記Y元素を含む化合物としては、オキソ酸、オキソ酸塩、酸化物、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物、ハロゲン化物等が用いられる。
【0014】
かかるメタクリル酸製造用触媒(新品触媒)をメタクリル酸の製造に使用すると、熱負荷等によりモリブデンの一部が触媒から飛散、消失して触媒活性が低下することがある。本発明の再生方法では、このように触媒活性の低下した使用済触媒を再生処理の対象とする。
【0015】
本発明の再生方法は、前記使用済触媒にモリブデン化合物及び水を混合する混合工程を必須とし、その後、乾燥工程及び焼成工程を経て、再生触媒を得るものである。
前記混合工程においては、再生に供する使用済触媒の組成と新品触媒の組成とに基づいてモリブデン化合物の混合量を調整することが重要である。すなわち、使用済触媒に対するモリブデン化合物の混合量は、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比が、前記新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比よりも小さくなるように、調整する。つまり、本発明では、使用済触媒にモリブデン化合物を混合することによってメタクリル酸の製造で飛散、消失したモリブデンを補うのであるが、その際、消失分に相当する量を添加して新品触媒と同じ原子比に戻すのではなく、消失分よりも少ない量のモリブデンを添加して得られる再生触媒におけるアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比が新品触媒のそれよりも小さくなるようにするのである。これにより、触媒活性を回復させると同時に、触媒寿命も向上させることができる。
特に、本発明の再生方法においては、新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比をαとし、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比をβとしたときに、β/αの値が0.9以上であることが、触媒の初期活性の点で好ましい。
【0016】
前記混合工程におけるモリブデン化合物の混合量は、具体的には、新品触媒及び再生に供する前の使用済触媒の触媒組成(構成成分の種類と量)を、蛍光X線分析やICP発光分析等により調べ、両触媒の組成の差からメタクリル酸の製造で消失した元素の種類とその消失量を把握し、その結果に基づき、得られる再生触媒が特定の組成(アルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比が上述した範囲となる組成)を有するものとなるよう決定すればよい。なお、得られた再生触媒の触媒組成は、前記と同様、蛍光X線分析やICP発光分析等により分析し、確認することができる。
【0017】
前記混合工程において混合するモリブデン化合物としては、モリブデン酸、モルブデン酸アンモニウムの如きモリブデン酸塩、酸化モリブデン、塩化モリブデンなど、新品触媒の製造に用いることのできるモリブデンを含む化合物の中から、1種もしくは2種以上を適宜選択すればよい。
前記混合工程において混合する水としては、通常イオン交換水が用いられる。水の混合量は、該混合工程で得られる混合物中のモリブデン原子の量(使用済触媒に含まれるモリブデンと混合工程で添加するモリブデン化合物に含まれるモリブデンとの合計)1重量部に対し、通常1〜20重量部である。
【0018】
前記混合工程においては、使用済触媒に対し、上述したモリブデン化合物及び水とともに、リン化合物やその他の触媒構成元素を含む化合物を混合することも可能である。すなわち、前記ヘテロポリ酸化合物からなるメタクリル酸製造用触媒(新品触媒)をメタクリル酸の製造に使用した場合、モリブデンのみならず、リンやその他の触媒構成元素についても一部が触媒から飛散、消失し、これが触媒活性低下の要因となることがある。したがって、モリブデン化合物を混合するに際し、リン化合物等を混合し、消失したリン等を補うことにより、触媒活性を効果的に回復させることができる。
【0019】
例えば、リン化合物を混合する場合、その混合量は、通常、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するリンの原子比が、前記新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するリンの原子比と同じになるように(換言すれば、リンの消失分に相当する量を添加して新品触媒と同じ原子比に戻すように)、調整される。ただし、選択率を向上させるうえでは、リン化合物の混合量は、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するリンの原子比が、前記新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するリンの原子比よりも大きくなるように、調整することが好ましい。
リン化合物の混合量は、具体的には、モリブデン化合物と同様、メタクリル酸の製造で消失した消失量に基づき、得られる再生触媒のアルカリ金属元素に対するリンの原子比が所望の範囲となるよう決定すればよい。
前記混合工程において混合するリン化合物としては、リン酸、リン酸塩など、新品触媒の製造に用いることのできるリンを含む化合物の中から、1種もしくは2種以上を適宜選択すればよい。
【0020】
なお、前記その他の触媒構成元素(モリブデンおよびリン以外の元素)を含む化合物を混合する場合には、その混合量は、再生触媒においてほぼ同等の転化率、選択率及び触媒寿命を発現する範囲内であれば、特に制限されず、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対する当該元素の原子比が、前記新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対する当該元素の原子比と同等になるように調整してもよいし、あるいは、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対する当該元素の原子比が、前記新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対する当該元素の原子比よりも大きくなるように又は小さくなるように調整することも可能である。
【0021】
前記混合工程に供する使用済触媒には、モリブデン化合物及び水を混合する前に、あらかじめ前処理として、350℃以上の熱処理を施すことが好ましい。これにより、得られる再生触媒における転化率や選択率をさらに向上させることができる。
使用済触媒の前処理として行う前記熱処理の処理温度の上限は、特に制限されないが、好ましくは600℃以下、より好ましくは550℃以下である。熱処理の処理時間は、特に制限されないが、通常0.1〜24時間であり、好ましくは0.5〜10時間である。
【0022】
また、使用済触媒の前処理として行う前記熱処理は、酸化性ガスの雰囲気下で行ってもよいし、非酸化性ガスの雰囲気下で行ってもよいが、酸化性ガスの雰囲気下で行うのが好ましい。ここでいう酸化性ガスとは、酸化性物質を含むガスであり、例えば、酸素含有ガスが挙げられる。酸素含有ガスを用いる場合、その酸素濃度は、通常1〜30容量%程度とすればよく、酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスで希釈される。また、前記酸化性ガスには、必要に応じて水分を存在させてもよいが、その濃度は通常10容量%以下である。酸化性ガスとしては、中でも、空気が好ましい。
【0023】
前記混合工程に供する使用済触媒が成形体である場合、そのまま用いてもよいが、必要に応じて、モリブデン化合物及び水を混合する前に、従来公知の方法で粉砕処理を施すこともできる。ただし、該成形体(使用済触媒)に触媒の強度を発現させるファイバー等が含まれている場合には、これらファイバー等が切断されると強度低下が懸念されるため、ファイバー等が切断されないよう粉砕の程度を調整することが好ましい。
なお、前記混合工程に供する使用済触媒に、粉砕処理と前処理として行う前記熱処理との両方を施す場合、両処理の順序は特に制限されないが、通常は粉砕処理を行った後に熱処理が施される。
【0024】
前記混合工程においては、使用済触媒にモリブデン化合物及び水を混合するにあたり、硝酸根及びアンモニウム根をも混合することが好ましい。これにより、得られる再生触媒における転化率や選択率をさらに向上させることができる。
前記硝酸根を混合するには、硝酸根供給源として、例えば、硝酸や、硝酸アンモニウムのような硝酸塩等を混合すればよく、他方、前記アンモニウム根を混合するには、アンモニウム根供給源として、例えば、アンモニアや、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウムのようなアンモニウム塩等を混合すればよい。好ましくは、硝酸根供給源としては、硝酸、硝酸アンモニウムを用いるのがよく、アンモニウム根供給源としては、アンモニア、硝酸アンモニウムを用いるのがよい。これら硝酸根供給源及びアンモニウム根供給源の比率は、適宜調整しうるが、硝酸根に対するアンモニウム根のモル比率が1.3以下になるように調整するのが効果的である。なお、混合工程で混合するモリブデン化合物等にアンモニウム根や硝酸根が含まれる場合には、それらの量も考慮して、前記比率になるよう調整する。
【0025】
前記混合工程において、上述した各成分の混合順序は特に制限されるものではなく、適宜設定すればよい。
【0026】
前記混合工程で得られた混合物は、次いで乾燥工程に付されるのであるが、乾燥工程に供する前に、密閉容器内で100℃以上にて加熱することにより熟成させる熟成処理を施すことが好ましい。混合工程で得られた混合物にこのような熟成処理を施すことにより、触媒活性を効果的に回復させることができる。熟成処理における加熱温度の上限は、200℃以下であるのが好ましく、150℃以下であるのがより好ましい。熟成処理における加熱時間は、充分な活性回復効果を得るうえでは、通常0.1時間以上、好ましくは2時間以上であり、生産性の観点からは、10時間以下であるのがよい。
【0027】
前記乾燥工程において実施する乾燥方法は、特に制限されるものではなく、例えば、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法など、この分野で通常用いられる方法を採用することができる。また、乾燥条件についても、混合物中の水分含量が充分に低減されるよう適宜設定すればよく、特に制限されない。
【0028】
前記乾燥工程で得られた乾燥物は、次いで焼成工程に付されるのであるが、焼成工程に供する前に、必要に応じて、所望の形状(リング状、ペレット状、球状、円柱状など)に成形する成形処理を施すことができる。成形処理は、例えば打錠成形や押出成形など、この分野で通常用いられる方法により行えばよい。成形処理に際しては、必要に応じて、前記乾燥物に、水、成形助剤、気孔剤等を加えることができる。成形助剤としては、例えば、セラミックファイバーやグラスファイバーのほか、硝酸アンモニウム等が挙げられる。特に、硝酸アンモニウムは、成形助剤としての機能を有するほか、気孔剤としての機能も有する。
【0029】
前記成形処理で得られた成形体には、引き続き、調温調湿処理を施すことが好ましい。焼成工程に付す前に調温調湿処理を施すことにより、より安定な触媒を得ることができる。調温調湿処理は、具体的には、40〜100℃、相対湿度10〜60%の雰囲気下に、成形体を0.5〜10時間程度曝すことにより行われる。該処理は、例えば、調温、調湿された槽内にて行ってもよいし、調温、調湿されたガスを成形体に吹き付けることにより行ってもよい。また、該処理を行う際の雰囲気ガスとしては、通常、空気が用いられるが、窒素等の不活性ガスを用いてもよい。
【0030】
前記焼成工程は、この分野で通常用いられる方法により行うことができ、特に制限はされない。例えば、酸素等の酸化性ガスの雰囲気下で行ってもよいし、窒素等の非酸化性ガスの雰囲気下で行ってもよく、焼成温度は通常300℃以上で行われる。好ましくは、酸化性ガスの雰囲気下で第一段焼成を行い、次いで非酸化性ガスの雰囲気下で第二段焼成を行う、二段階の焼成方法を採用するのがよい。このように焼成を二段階で行なうことにより、より良好に触媒寿命を回復させることができる。
【0031】
焼成を二段階で行う場合、第一段焼成で用いられる酸化性ガスは、酸化性物質を含むガスであり、例えば、酸素含有ガスが挙げられる。酸素含有ガスを用いる場合、その酸素濃度は、通常1〜30容量%程度とすればよく、酸素源としては、通常、空気や純酸素が用いられ、必要に応じて不活性ガスで希釈される。また、前記酸化性ガスには、必要に応じて水分を存在させてもよいが、その濃度は通常10容量%以下である。酸化性ガスとしては、中でも、空気が好ましい。第一段焼成は、通常、このような酸化性ガスの気流下で行われる。また、第一段焼成の温度は、通常360〜410℃であり、好ましくは380〜400℃である。
【0032】
焼成を二段階で行う場合、第二段焼成で用いられる非酸化性ガスは、実質的に酸素の如き酸化性物質を含有しないガスであり、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。また、前記非酸化性ガスには、必要に応じて水分を存在させてもよいが、その濃度は通常10容量%以下である。非酸化性ガスとしては、中でも、窒素が好ましい。第二段焼成は、通常、このような非酸化性ガスの気流下で行われる。また、第二段焼成の温度は、通常420〜500℃であり、好ましくは420〜450℃である。
【0033】
なお、前記焼成工程に先立ち、前焼成として、酸化性ガス又は非酸化性ガスの雰囲気下に、180〜300℃程度の温度で保持する熱処理を行うことが好ましい。
【0034】
かくして、触媒活性が良好に回復し、かつ触媒寿命も向上した再生触媒を得ることができる。この再生触媒は、新品触媒と同様、ヘテロポリ酸化合物からなるものであり、遊離のヘテロポリ酸からなるものであってもよいし、ヘテロポリ酸の塩からなるものであってもよい。中でも、ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものが好ましく、さらにケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものがより好ましい。
【0035】
本発明のメタクリル酸の製造方法は、前記本発明の再生方法により再生されたメタクリル酸製造用触媒の存在下に、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群より選ばれる化合物(以下「原料化合物」と称することもある)を気相接触酸化反応に付すものである。このように本発明の再生触媒を用いることにより、良好な転化率及び選択率を長時間維持しながら、メタクリル酸を製造することができる。
【0036】
メタクリル酸の製造は、通常、固定床多管式反応器に触媒を充填し、これに前記原料化合物と酸素とを含む原料ガスを供給することにより行われるが、これに限定されるものではなく、流動床や移動床のような反応形式を採用することもできる。酸素源としては、通常、空気が用いられる。また、原料ガス中には、前記原料化合物及び酸素以外の成分として、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気等が含まれていてもよい。
【0037】
前記原料ガスに含まれる原料化合物は、必ずしも高純度の精製品である必要はなく、例えば、メタクロレインとしては、イソブチレンやt−ブチルアルコールの気相接触酸化反応により得られたメタクロレインを含む反応生成ガスを用いることもできる。なお、前記原料ガスに含まれる原料化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0038】
メタクリル酸の製造における反応条件は、原料ガスに含まれる原料化合物の種類等に応じて適宜設定すればよい。例えば、前記原料化合物としてメタクロレインを用いる場合、通常、原料ガス中のメタクロレイン濃度は1〜10容量%、水蒸気濃度は1〜30容量%、メタクロレインに対する酸素のモル比は1〜5、空間速度は500〜5000h-1(標準状態基準)、反応温度は250〜350℃、反応圧力は0.1〜0.3MPa、である条件下で反応が行われる。他方、前記原料化合物としてイソブタンを用いる場合、通常、原料ガス中のイソブタン濃度は1〜85容量%、水蒸気濃度は3〜30容量%、イソブタンに対する酸素のモル比は0.05〜4、空間速度は400〜5000h-1(標準状態基準)、反応温度は250〜400℃、反応圧力は0.1〜1MPa、である条件下で反応が行われる。また、前記原料化合物としてイソブチルアルデヒドやイソ酪酸を用いる場合には、通常、メタクロレインを原料として用いる場合とほぼ同様の反応条件が採用される。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、以下で使用した空気は2容量%の水分を含むもの(大気相当)であり、以下で使用した窒素は実質的に水分を含まないものである。
【0040】
以下の各例において得られた触媒の分析、評価は、下記のようにして行った。
<触媒組成(構成元素比)>
蛍光X線分析装置(リガク社製「ZSX Primus II」)を用い、触媒を蛍光X線分析することにより求めた。
【0041】
<触媒の活性試験>
触媒9gを内径16mmのガラス製マイクロリアクターに充填し、この中に、メタクロレイン、空気、スチーム及び窒素を混合して調製した原料ガス(組成:メタクロレイン4容量%、分子状酸素12容量%、水蒸気17容量%、窒素67容量%)を空間速度670h-1で供給して、炉温(マイクロリアクターを加熱するための炉の温度)280℃で1時間反応させた後、炉温を一旦355℃に昇温して1時間反応させ、その後再び、炉温280℃で1時間反応を行った。そして、反応終了時点(すなわち、炉温を再度280℃としてから1時間経過時)での出口ガス(反応後のガス)をサンプリングし、ガスクロマログラフィーにより分析して、下記式に基づき転化率(%)及び選択率(%)を求めた。
【0042】
転化率(%)=〔反応したメタクロレインのモル数÷供給したメタクロレイン
のモル数〕×100
選択率(%)=〔生成したメタクリル酸のモル数÷反応したメタクロレイン
のモル数〕×100
【0043】
<触媒の寿命試験>
触媒4.5gを内径16mmのガラス製マイクロリアクターに充填し、この中に、メタクロレイン、空気、スチーム及び窒素を混合して調製した原料ガス(組成:メタクロレイン4容量%、分子状酸素12容量%、水蒸気17容量%、窒素67容量%)を空間速度1340h-1で供給して、炉温(マイクロリアクターを加熱するための炉の温度)330℃で連続して反応を行なった。反応開始から7〜10日おきに出口ガス(反応後のガス)をサンプリングし、上記活性試験と同様にして転化率を求めた。そして、転化率が約70%になるまでの経過日数と、そのときの最終転化率(%)を調べるとともに、この間(反応開始から転化率が約70%になった時点まで)に得た転化率のデータを、反応時間を横軸に、転化率を縦軸にとってプロットし、最小二乗法により算出した傾きを転化率低下速度(%/日)とした。
【0044】
(参考例1−新品触媒の調製)
40℃に加熱したイオン交換水224kgに、硝酸セシウム[CsNO3]38.2kg、75重量%オルトリン酸27.4kg、及び70重量%硝酸25.2kgを溶解させ、これをA液とした。一方、40℃に加熱したイオン交換水330kgに、モリブデン酸アンモニウム4水和物[(NH46Mo724・4H2O]297kgを溶解させた後、メタバナジン酸アンモニウム[NH4VO3]8.19kgを懸濁させ、これをB液とした。
【0045】
A液とB液の温度を40℃に保持しながら、攪拌下、B液にA液を滴下し、滴下終了後の混合液を密閉容器内で120℃にて5.8時間攪拌した。次いで、得られた混合液に対して、三酸化アンチモン[Sb23]10.2kg及び硝酸銅3水和物[Cu(NO32・3H2O]10.2kgを、イオン交換水23kg中に懸濁させた状態で添加し、その後、密閉容器内で120℃にて5時間攪拌した。次に、このようにして得られたスラリー状混合物をスプレードライヤーにて乾燥し、得られた乾燥粉末100重量部に対して、セラミックファイバー4重量部、硝酸アンモニウム13重量部、及びイオン交換水9.7重量部を加えて混練した後、直径5mm、高さ6mmの円柱状に押出成形した。得られた成形体を、温度90℃、相対湿度30%にて3時間乾燥させた後、空気気流中で220℃にて22時間、空気気流中で250℃にて1時間の順に熱処理(前焼成)を施した。次いで、窒素気流中で435℃まで昇温して、同温度で3時間保持し、その後、窒素気流中で300℃まで冷却した後、気流を窒素から空気に切り替え、空気気流中で再び390℃まで昇温して、同温度で3時間保持することにより、焼成した。その後、空気気流中で70℃まで冷却してから、成形体を取り出し、これを新品触媒とした。
【0046】
得られた新品触媒は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムをそれぞれ1.5、12、0.5、0.5、0.3及び1.4の原子比で含む組成のケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものであった。なお、新品触媒におけるセシウムに対するモリブデンの原子比αは8.6(≒12/1.4)であった。この新品触媒を上記活性試験及び寿命試験に供したところ、転化率は87%、選択率は84%、転化率低下速度は0.2%/日であった。
【0047】
(参考例2−使用済触媒の調製)
参考例1で得た新品触媒を長時間、メタクロレインの接触気相酸化反応に付し、使用済触媒を得た。
【0048】
得られた使用済触媒を構成するヘテロポリ酸の酸性塩は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムをそれぞれ1.3、9.6、0.5、0.5、0.3及び1.4の原子比で含む組成を有するものであった。この使用済触媒を上記活性試験に供したところ、転化率は35%、選択率は85%であった。
【0049】
(実施例1)
参考例2で得られた使用済触媒200gに、空気雰囲気下、450℃にて5時間熱処理を施した。得られた熱処理後の触媒(使用済触媒)をイオン交換水400gに加えて撹拌し、次いで、三酸化モリブデン[MoO3]27.2gと、75重量%オルトリン酸2.7gとを添加した。このとき、三酸化モリブデンの添加量は、参考例1で得た新品触媒におけるヘテロポリ酸の酸性塩の組成と、参考例2で得た使用済触媒におけるヘテロポリ酸の酸性塩の組成とを比較することにより、使用済触媒におけるモリブデンの減少量を把握し、添加されるモリブデン原子の量がこの減少量よりも少なくなる範囲で決定した。また、オルトリン酸の添加量は、上記と同様に使用済触媒におけるリンの減少量を把握し、添加されるリン原子の量がこの減少量と同じになるよう決定した。
【0050】
続いて、硝酸アンモニウム[NH4NO3]69.2gを加えた後、70℃に昇温して同温度で1時間保持し、次いで、25重量%アンモニア水12.5gを添加し、70℃にて1時間保持した後、密閉容器内で120℃にて5時間攪拌して、スラリー状の混合物を得た。このスラリー状混合物中の硝酸根に対するアンモニウム根のモル比率は、1.2であった。
【0051】
次に、得られたスラリー状混合物を120℃で乾燥し、得られた乾燥物100重量部に対して、硝酸アンモニウム5重量部及びイオン交換水7重量部を加えて混練した後、直径5mm、高さ6mmの円柱状に押出成形した。得られた成形体を、温度90℃、相対湿度30%にて3時間乾燥させた後、空気気流中で220℃にて22時間、空気気流中で250℃にて1時間の順に熱処理(前焼成)を施した。次いで、空気気流中で390℃まで昇温して、同温度で3時間保持した後、気流を空気から窒素に切り換え、窒素気流中で435℃まで昇温して、同温度で4時間保持することにより、焼成した。その後、窒素気流中で70℃まで冷却してから、成形体を取り出し、これを再生触媒(1)とした。
【0052】
得られた再生触媒(1)は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムをそれぞれ1.5、11.7、0.5、0.5、0.3及び1.4の原子比で含む組成のケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものであった。なお、この再生触媒(1)におけるセシウムに対するモリブデンの原子比βは8.4(≒11.7/1.4)であり、β/αの値は0.98(≒(11.7/1.4)/(12/1.4))であった。この再生触媒(1)を上記活性試験及び寿命試験に供したところ、表1に示す結果となった。
【0053】
(実施例2)
実施例1において、三酸化モリブデン[MoO3]の添加量を27.2gから22.8gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行なって、再生触媒(2)を得た。
得られた再生触媒(2)は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムをそれぞれ1.5、11.4、0.5、0.5、0.3及び1.4の原子比で含む組成のケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものであった。なお、この再生触媒(2)におけるセシウムに対するモリブデンの原子比βは8.1(≒11.4/1.4)であり、β/αの値は0.95(≒(11.4/1.4)/(12/1.4))であった。この再生触媒(2)を上記活性試験及び寿命試験に供したところ、表1に示す結果となった。
【0054】
(比較例1)
実施例1において、三酸化モリブデン[MoO3]の添加量を27.2gから31.5gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較用の再生触媒(C1)を得た。
得られた再生触媒(C1)は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムをそれぞれ1.5、12、0.5、0.5、0.3及び1.4の原子比で含む組成のケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものであった。なお、この再生触媒(C1)におけるセシウムに対するモリブデンの原子比βは8.6(≒12/1.4)であり、β/αの値は1.00(=(12/1.4)/(12/1.4))であった。この再生触媒(C1)を上記活性試験及び寿命試験に供したところ、表1に示す結果となった。
【0055】
(比較例2)
実施例1において、三酸化モリブデン[MoO3]の添加量を27.2gから35.93gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較用の再生触媒(C2)を得た。
得られた再生触媒(C2)は、リン、モリブデン、バナジウム、アンチモン、銅及びセシウムをそれぞれ1.5、12.3、0.5、0.5、0.3及び1.4の原子比で含む組成のケギン型ヘテロポリ酸の酸性塩からなるものであった。なお、この再生触媒(C2)におけるセシウムに対するモリブデンの原子比βは8.8(≒12.3/1.4)であり、β/αの値は1.03(≒(12.3/1.4)/(12/1.4))であった。この再生触媒(C2)を上記活性試験及び寿命試験に供したところ、表1に示す結果となった。
【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン、モリブデン及びアルカリ金属元素を含む組成のヘテロポリ酸化合物からなる新品触媒をメタクリル酸の製造に使用して得られた使用済触媒からメタクリル酸製造用触媒を再生する方法であって、
前記使用済触媒にモリブデン化合物及び水を混合し、その後、乾燥し、焼成する各工程を含み、かつ、
再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比が、前記新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比よりも小さくなるように、前記使用済触媒に対するモリブデン化合物の混合量を調整することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
【請求項2】
新品触媒が下記式(I)
PaMobVcXdYeOx (I)
(式(I)中、P、Mo及びVはそれぞれリン、モリブデン及びバナジウムを表し、Xはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素を示し、Yは銅、ヒ素、アンチモン、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルト、ランタン、セリウム及びタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Oは酸素を表し、b=12としたとき、0<a≦3、0≦c≦3、0<d≦3、0≦e≦3であり、xは各元素の酸化状態により定まる値である)
で示されるヘテロポリ酸化合物からなる請求項1に記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
【請求項3】
新品触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比をαとし、再生された触媒を構成するヘテロポリ酸化合物のアルカリ金属元素に対するモリブデンの原子比をβとしたときに、β/αの値が0.9以上である請求項1または2に記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
【請求項4】
使用済触媒にモリブデン化合物及び水を混合するにあたり、硝酸根及びアンモニウム根をも混合する請求項1〜3のいずれかに記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
【請求項5】
使用済触媒にモリブデン化合物及び水を混合する前に、該使用済触媒に350℃以上の熱処理を施す請求項1〜4のいずれかに記載のメタクリル酸製造用触媒の再生方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法により再生されたメタクリル酸製造用触媒の存在下に、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群より選ばれる化合物を気相接触酸化反応に付すことを特徴とするメタクリル酸の製造方法。

【公開番号】特開2010−155197(P2010−155197A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334615(P2008−334615)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】