説明

メタフェニレン系高分子化合物及びそれを用いた発光素子

【課題】最大発光効率が優れた発光素子の作製に有用な高分子化合物を提供する。
【解決手段】下記式で表される構成単位と、


アリーレン基、2価の芳香族複素環、もしくは下記式の構成単位を含む高分子化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタフェニレン系高分子化合物及びそれを用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子の発光層に用いる発光材料として、三重項励起状態からの発光を示す燐光発光性化合物をドーパントとしてホスト材料にドーピングしてなる組成物が知られている。
ホスト材料の基本特性としては、ホスト材料の最低三重項励起エネルギー(以下、「T1エネルギー」と言う。)が高いことが重要である。そして、赤色の燐光発光性化合物に対するT1エネルギーの比較的高いホスト材料として、フルオレン−2,7−ジイル基と5位のみに特定の置換基を有する1,3−フェニレン基との共重合体(高分子化合物)が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/133632号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、赤色より短波長の発光色を示す燐光発光性化合物に対するホスト材料として、上記高分子化合物を用いた場合には、得られる発光素子の最大発光効率は十分ではない。
そこで、本発明は、最大発光効率が優れた発光素子の作製に有用な高分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は第一に、下記式(2)で表される構成単位及び下記式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位と、下記式(1)で表される構成単位とを含む高分子化合物を提供する。
【0006】

(1)
〔式中、R1は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アラルキル基又は置換アミノ基を表し、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。2個存在するR3は、同一であっても異なっていてもよい。〕
【0007】

(2)
〔式中、Ar1は、アリーレン基、2価の芳香族複素環基、又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を表す。但し、Ar1は、前記式(1)で表される基ではない。Ar1で表される基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。〕
【0008】

(3)
〔式中、Ar2、Ar3、Ar4及びAr5はそれぞれ独立に、アリーレン基、若しくは2価の芳香族複素環基、又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を表す。Ar6、Ar7及びAr8はそれぞれ独立に、アリール基又は1価の芳香族複素環基を表す。Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7、Ar8で表される基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。Ar5、Ar6、Ar7、Ar8で表される基は、それぞれ、該基が結合する窒素原子と結合しているAr2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar7、Ar8で表される基と、直接結合し、又は−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−N(RA)−、−C(=O)−N(RA)−若しくは−C(RA)2−を介して結合して、5〜7員環を形成していてもよい。n及びnnはそれぞれ独立に、0又は1である。RAは、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、又はアラルキル基を表す。〕
【0009】
本発明は第二に、上記高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する組成物を提供する。
【0010】
本発明は第三に、上記高分子化合物と溶媒とを含有する溶液を提供する。
【0011】
本発明は第四に、上記高分子化合物を含有する薄膜を提供する。
【0012】
本発明は第五に、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた上記高分子化合物を含有する有機層とを有する発光素子を提供する。
【0013】
本発明は第六に、上記発光素子を備えた面状光源及び表示装置を提供する。
【0014】
本発明は第七に、下記式(1a)で表される化合物を提供する。
【0015】

(1a)
〔式中、R1aはアルキル基を表す。Raは、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。xは0〜5の整数を表す。Raが複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。Xaaは、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−O−S(=O)220、−B(OR21)2、−BF4-1、−Sn(R22)3、−MgY1又は−ZnY1を表す。2個存在するXaaは、同一であっても異なっていてもよい。R20は、アルキル基、又はアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、フッ素原子若しくはシアノ基で置換されていてもよいアリール基を表す。R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。2個存在するR21は、同一であっても異なっていてもよく、一緒になって環を形成していてもよい。3個存在するR22は、同一であっても異なっていてもよく、一緒になって環を形成していてもよい。Q1は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムの1価の陽イオンを表す。Y1は、臭素原子、ヨウ素原子又は塩素原子を表す。〕
【0016】
本発明は第八に、下記式(1c)で表される化合物を提供する。
【0017】

(1c)
〔式中、R1cはアルキル基を表す。Rcは、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基を表す。2個存在するRcは、同一であっても異なっていてもよく、一緒になって環を形成していてもよい。Xacは、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−O−S(=O)220、−B(OR21)2、−BF4-1、−Sn(R22)3、−MgY1又は−ZnY1を表す。2個存在するXacは、同一であっても異なっていてもよい。R20、R21、R22、Q1及びY1は、前記と同じ意味を有する。〕
【発明の効果】
【0018】
本発明の高分子化合物は、最大発光効率が優れた有機EL素子等の発光素子の作製に有用な高分子化合物(特に、赤色より短波長の発光色を示す燐光発光性化合物に対するホスト材料として有用な高分子化合物)である。したがって、本発明の組成物も、最大発光効率が優れた発光素子の作製に有用である。さらに、本発明の組成物を用いた発光素子は、通常、優れた輝度半減寿命を有する。また、本発明の高分子化合物は、通常、耐熱性が優れ、良好な青色発光を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「構成単位」は、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味するが、「繰り返し単位」(即ち、高分子化合物中に2個以上存在する単位)として高分子化合物中に存在することが好ましい。「n価の芳香族複素環基」(nは1又は2である)は、芳香族性を示す複素環式化合物からn個の水素原子を除いた原子団を意味し、縮合環を有するものも含む。「複素環式化合物」は、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する原子が、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子等のヘテロ原子を含む有機化合物を意味する。「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール等の前記ヘテロ原子を含む複素環式化合物であり、該複素環自体が芳香族性を示す化合物;フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の前記ヘテロ原子を含む複素環それ自体は芳香族性を示さなくとも、該複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
また、本明細書において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、i−Prはイソプロピル基を表し、n−Buはn−ブチル基を表し、tBu及びt−Buはtert−ブチル基を表す。
【0020】
<高分子化合物>
−式(1)で表される構成単位−
本発明の高分子化合物は、前記式(1)で表される構成単位を含む。
【0021】
・置換基の説明
前記式(1)中、R1、R2、R3で表されるアルキル基は、直鎖、分岐又は環状であり、炭素数が通常1〜20である。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられる。
【0022】
前記式(1)中、R1、R2、R3で表されるアリール基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた原子団であり、縮合環を有するものを含む。前記アリール基は、炭素数が通常6〜60であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜20であり、更に好ましくは6〜14である。該炭素数には置換基の炭素数は含まない。前記アリール基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。
前記アリール基としては、置換又は非置換のフェニル基が好ましい。該フェニル基が有する置換基としては、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、置換アミノ基が好ましく、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基が更に好ましい。
【0023】
前記式(1)中、R1、R2、R3で表される1価の芳香族複素環基は、炭素数が通常3〜60であり、好ましくは3〜20である。該炭素数には置換基の炭素数は含まない。前記1価の芳香族複素環基としては、2−オキサジアゾール基、2−チアジアゾール基、2−チアゾール基、2−オキサゾール基、2−チエニル基、2−ピロリル基、2−フリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−ピリミジル基、2−トリアジル基、3−ピリダジル基、3−カルバゾリル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基等が挙げられる。前記1価の芳香族複素環基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。
前記1価の芳香族複素環基としては、置換又は非置換の2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−ピリミジル基、2−トリアジル基、3−ピリダジル基が好ましい。該1価の芳香族複素環基が有する置換基としては、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基が好ましい。
【0024】
前記式(1)中、R2、R3で表されるアルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状であり、炭素数が通常1〜20である。前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基、2−エトキシエチルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
前記式(1)中、R2、R3で表されるアリールオキシ基は、炭素数が通常6〜60である。前記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基(「C1〜C12アルコキシ」は、アルコキシ部分の炭素数1〜12であることを示し、以下、同様である。)、C1〜C12アルキルフェノキシ基(「C1〜C12アルキル」は、アルキル部分の炭素数1〜12であることを示し、以下、同様である。)、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられる。
【0026】
前記式(1)中、R1、R2、R3で表されるアラルキル基は、炭素数が通常7〜60である。前記アラルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基等が挙げられる。
【0027】
前記式(1)中、R2、R3で表されるアリールアルコキシ基は、炭素数が通常7〜60である。前記アリールアルコキシ基としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基等が挙げられる。
【0028】
前記式(1)中、R1、R2、R3で表される置換アミノ基は、炭素数が通常2〜60である。前記置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は1価の芳香族複素環基で置換されたアミノ基が挙げられる。置換アミノ基には、アミノ基の置換基同士が直接、若しくは炭素原子、酸素原子、硫黄原子等を介して結合して縮合環を形成したものも含まれる。前記置換アミノ基としては、ジアルキル置換アミノ基、ジアリール置換アミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ−4−トリルアミノ基、ジ−4−t−ブチルフェニルアミノ基、ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)アミノ基、N−カルバゾリル基、N−フェノキサジニル基、N−アクリジニル基、N−フェノチアジニル基がより好ましい。
【0029】
前記式(1)中、R2、R3で表される置換カルボニル基は、炭素数が通常2〜60である。前記置換カルボニル基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は1価の芳香族複素環基で置換されたカルボニル基が挙げられ、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基が好ましい。
【0030】
前記式(1)中、R2、R3で表される置換カルボキシル基は、炭素数が通常2〜60である。前記置換カルボキシル基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は1価の芳香族複素環基で置換されたカルボキシル基が挙げられ、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
【0031】
前記式(1)中、R1で表される基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基が好ましく、単量体の重合時の反応性の観点から、アルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0032】
前記式(1)中、R2で表される基としては、本発明の高分子化合物の耐熱性と有機溶媒への溶解性のバランスの観点から、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、置換アミノ基が好ましく、水素原子、アルキル基、非置換又はアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基若しくは置換アミノ基で置換されたアリール基、非置換又はアルキル基、アリール基若しくは1価の芳香族複素環基で置換された1価の芳香族複素環基、ジアリール置換アミノ基がより好ましく、水素原子、アルキル基、非置換又はアルキル基若しくはアリール基で置換されたアリール基が更に好ましく、水素原子、アルキル基、非置換又はアルキル基若しくはアリール基で置換されたフェニル基が特に好ましい。
【0033】
前記式(1)中、R2で表される基としては、本発明の高分子化合物を用いて得られる発光素子の駆動電圧の観点から、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、置換アミノ基が好ましく、非置換又はアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基若しくは置換アミノ基で置換されたアリール基;非置換又はアルキル基、アリール基若しくは1価の芳香族複素環基で置換された1価の芳香族複素環基;ジアリール置換アミノ基がより好ましく、1価の芳香族複素環基又は置換アミノ基で置換されたアリール基;非置換又はアルキル基、アリール基若しくは1価の芳香族複素環基で置換された1価の芳香族複素環基;ジアリール置換アミノ基が更に好ましく、1価の芳香族複素環基又は置換アミノ基で置換されたフェニル基;アルキル基、アリール基又は1価の芳香族複素環基で置換されたピリジル基;アルキル基、アリール基又は1価の芳香族複素環基で置換されたピラジル基;アルキル基、アリール基又は1価の芳香族複素環基で置換されたピリダジル基;アルキル基、アリール基又は1価の芳香族複素環基で置換されたピリミジル基;アルキル基、アリール基又は1価の芳香族複素環基で置換された1,3,5−トリアジン−2−イル基;ピリジル基、ジアリール置換アミノ基が特に好ましい。
【0034】
前記式(1)中、R3で表される基としては、単量体の重合時の反応性の観点から、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0035】
前記式(1)で表される構成単位としては、下記式1−001〜1−017、1−101〜1−113、1−201〜1−208で表される構成単位が挙げられる。
【0036】

【0037】

【0038】

【0039】

【0040】

【0041】

【0042】
前記式(1)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物中に、一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0043】
−式(2)で表される構成単位−
本発明の高分子化合物は、前記式(2)で表される構成単位を含むことが特に好ましい。
【0044】
前記式(2)中、Ar1で表されるアリーレン基は、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団を意味し、縮合環を有するものを含む。前記アリーレン基は、炭素数が通常6〜60であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜14である。該炭素数には置換基の炭素数は含まない。前記アリーレン基としては、1,4−フェニレン基(式2−001)、1,3−フェニレン基(式2−002)、1,2−フェニレン基(式2−003)等のフェニレン基;ナフタレン−1,4−ジイル基(式2−004)、ナフタレン−1,5−ジイル基(式2−005)、ナフタレン−2,6−ジイル基(式(2−006)等のナフタレンジイル基;4,5−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基(式2−007)等のジヒドロフェナントレンジイル基;フルオレン−3,6−ジイル基(式2−008)、フルオレン−2,7−ジイル基(式2−009)等のフルオレンジイル基等が挙げられる。これらのアリーレン基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。
【0045】

【0046】

【0047】

〔式中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。Raは、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基又はアラルキル基を表す。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。複数存在するRaは、同一であっても異なっていてもよい。〕
【0048】
前記式2−001〜2−009中、Rで表されるアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基は、前記式(1)中のR2で表される基として説明し例示したものと同じである。Rとしては、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、置換アミノ基が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基がより好ましい。
【0049】
前記式2−001〜2−009中、Raで表されるアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アラルキル基としては、前記式(1)中のR1で表される基として説明し例示したものと同じである。Raとしては、アリール基、アルキル基が好ましく、非置換又はアルキル基、アルコキシ基若しくはアリール基で置換されたアリール基、アルキル基がより好ましい。
【0050】
前記式(2)中、Ar1で表される2価の芳香族複素環基は、芳香族複素環式化合物から水素原子2個を除いた原子団であり、縮合環を有するものも含む。前記2価の芳香族複素環基は、炭素数が通常3〜60であり、好ましくは3〜20である。該炭素数には置換基の炭素数は含まない。前記2価の芳香族複素環基としては、ピリジン−2,5−ジイル基(式2−101)、ピリジン−2,6−ジイル基(式2−102)等のピリジンジイル基;ピリミジン−4,6−ジイル基(式2−103)等のピリミジンジイル基;トリアジン−2,4−ジイル基(式2−104);ピラジン−2,5−ジイル基(式2−105)等のピラジンジイル基;ピリダジン−3,6−ジイル基(式2−106)等のピリダジンジイル基;キノリン−2,6−ジイル基(式2−107)等のキノリンジイル基;イソキノリン−1,4−ジイル基(式2−108)等のイソキノリンジイル基;キノキサリン−5,8−ジイル基(式2−109)等のキノキサリンジイル基;カルバゾール−3,6−ジイル基(式2−110)、カルバゾール−2,7−ジイル基(式2−111)等のカルバゾールジイル基;ジベンゾフラン−4,7−ジイル基(式2−112)、ジベンゾフラン−3,8−ジイル基(式2−113)等のジベンゾフランジイル基;ジベンゾチオフェン−4,7−ジイル基(式2−114)、ジベンゾチオフェン−3,8−ジイル基(式2−115)等のジベンゾチオフェンジイル基;ジベンゾシロール−4,7−ジイル基(式2−116)、ジベンゾシロール−3,8−ジイル基(式2−117)等のジベンゾシロールジイル基;フェノキサジン−3,7−ジイル基(式2−118)、フェノキサジン−2,8−ジイル基(式2−119)等のフェノキサジンジイル基;フェノチアジン−3,7−ジイル基(式2−120)、フェノチアジン−2,8−ジイル基(式2−121)等のフェノチアジンジイル基;ジヒドロアクリジン−2,7−ジイル基(式2−123)等のジヒドロアクリジンジイル基;(式2−124)で表される2価の基;ピロ−ル−2,5−ジイル基(式2−125)等のピロールジイル基;フラン−2,5−ジイル基(式2−126)等のフランジイル基;チオフェン−2,5−ジイル基(式2−127)等のチオフェンジイル基;ジアゾール−2,5−ジイル基(式2−128)等のジアゾールジイル基;トリアゾール−2,5−ジイル基(式2−129)等のトリアゾールジイル基;オキサゾール−2,5−ジイル基(式2−130)等のオキサゾールジイル基;オキサジアゾール−2,5−ジイル基(式2−131);チアゾール−2,5−ジイル基(式2−132)等のチアゾールジイル基;チアジアゾール−2,5−ジイル基(式2−133)等が挙げられる。これらの2価の芳香族複素環基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。
【0051】

【0052】

【0053】

【0054】

【0055】

【0056】

【0057】

【0058】

〔式中、R及びRaは、前記と同じ意味を有する。〕
【0059】
前記式(2)中、Ar1で表される「該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基」としては、下記式2−201〜2−219で表される基が挙げられる。
【0060】

【0061】

【0062】

【0063】

〔式中、Rは、前記と同じ意味を有する。〕
【0064】
前記式(2)で表される構成単位としては、Ar1が、前記式2−001、前記式2−009、前記式2−218、前記式2−219で表される基である構成単位が好ましい。
【0065】
前記式(2)で表される構成単位としては、得られる発光素子の発光効率の観点からは、下記式(4)で表される構成単位を含むことが好ましく、下記式(4)で表される繰り返し単位及び下記式(4)で表される構成単位以外の構成単位を含むことがより好ましく、得られる発光素子の駆動電圧の観点からは、下記式(5)で表される構成単位を含むことが好ましく、これら両方の観点からは、下記式(5)で表される構成単位及び下記式(6)で表される構成単位を含むことが好ましく、下記式(4)で表される構成単位、下記式(5)で表される構成単位及び下記式(6)で表される構成単位を含むことがより好ましい。
【0066】

(4)
〔式中、R4は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。R5は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。2個存在するR4は、同一であっても異なっていてもよい。2個存在するR5は、同一であっても異なっていてもよい。〕
【0067】

(5)
〔式中、R6は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、又はアラルキル基を表し、2個存在するR6が互いに結合していてもよい。2個存在するR6は、同一であっても異なっていてもよい。R7は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。mは0〜3の整数を表す。2個存在するmは、同一であっても異なっていてもよい。R7が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。〕
【0068】

(6)
〔式中、R10は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。Ar10及びAr11はそれぞれ独立に、アリーレン基、又は、2価の芳香族複素環基を表す。k及びkkはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表す。但し、Ar10及びAr11は、前記式(1)で表される基ではない。Ar10、Ar11で表される基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。Ar10、Ar11が複数存在する場合は、それらは、各々、同一でも異なっていてもよい。〕
【0069】
前記式(4)中、R4で表されるアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基としては、前記式(1)中のR2で表される基として説明し例示したものと同じである。
【0070】
4で表される基としては、本発明の高分子化合物の耐熱性と有機溶媒への溶解性のバランスの観点から、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、置換アミノ基が好ましく、アルキル基、アラルキル基がより好ましく、アルキル基が更に好ましく、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基が特に好ましい。
【0071】
前記式(4)中、R5で表されるアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基としては、前記式(1)中のR2で表される基として説明し例示したものと同じである。
【0072】
5で表される基としては、本発明の高分子化合物の耐熱性、有機溶媒への溶解性、単量体の重合時の反応性の観点から、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アラルキル基が好ましく、水素原子、アルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0073】
前記式(4)で表される構成単位としては、下記式4−001〜4−017、4−101〜4−105で表される構成単位が挙げられる。
【0074】

【0075】

【0076】

【0077】

【0078】
前記式(5)中、R6で表される1価の芳香族複素環基、アラルキル基としては、前記式(1)中のR1で表される基として説明し例示したものと同じである。
【0079】
前記式(5)中、R6で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、2−メチルブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基等が挙げられる。
【0080】
前記式(5)中、R6で表されるアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
【0081】
6で表される基としては、本発明の高分子化合物の耐熱性、有機溶媒への溶解性のバランスの観点から、アリール基、アルキル基が好ましく、非置換又はアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくは置換アミノ基で置換されたアリール基、アルキル基がより好ましく、4−トリル基、4−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−(3,7−ジメチルオクチル)フェニル基、3−トリル基、3−ブチルフェニル基、3−t−ブチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、3−オクチルフェニル基、3−(2−エチルヘキシル)フェニル基、3−(3,7−ジメチルオクチル)フェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジ−(t−ブチル)フェニル基、3,5−ジヘキシルフェニル基、3,5−ジオクチルフェニル基、3、4−ジヘキシルフェニル基、3,4−ジオクチルフェニル基、4−ヘキシルオキシフェニル基、4-オクチルオキシフェニル基、4−(2’−エトキシエチルオキシ)フェニル基、4−(4’−t−ブチルビフェニル)基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル基が特に好ましい。
【0082】
前記式(5)中、R7で表されるアルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基は、前記式(1)中のR2で表される基として説明し例示したものと同じである。
【0083】
前記式(5)中、mは0〜3の整数を表すが、0又は1が好ましい。特に、2個存在するmが、0又は1であるか、共に0であることが好ましく、共に0であることがとりわけ好ましい。
【0084】
前記式(6)中、R10で表される、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基は、前記式(1)中のR2で表される基として説明し例示したものと同じである。
【0085】
10で表される基としては、本発明の高分子化合物の耐熱性、有機溶媒への溶解性のバランスの観点からは、アリール基が好ましく、非置換又はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、1価の芳香族複素環基若しくは置換アミノ基で置換されたアリール基がより好ましく、4−トリル基、4−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−ドデシルフェニル基、3−トリル基、3−ブチルフェニル基、3−t−ブチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、3−オクチルフェニル基、3−(2−エチルヘキシル)フェニル基、3−ドデシルフェニル基、3,5−ジ−t−ブチルフェニル基、3,5−ジヘキシルフェニル基がより好ましい。本発明の高分子化合物を用いた発光素子の駆動電圧の低減の観点からは、1価の芳香族複素環基、置換アミノ基が好ましく、非置換又はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、1価の芳香族複素環基若しくは置換アミノ基で置換された、1つ以上の窒素原子を含む1価の芳香族複素環基若しくは置換アミノ基がより好ましく、2−ピリジル基、4−ヘキシルピリジン−2−イル基、5−オクチルピリジン−2−イル基、3−ピリジル基、5−ヘキシルピリジン−3−イル基、4−ピリジル基、2,5−ジメチルピリジン−4−イル基、N−フェノキサジニル基、N−フェノチアジニル基がより好ましい。
【0086】
前記式(6)中、Ar10、Ar11で表される、アリーレン基、2価の芳香族複素環基は、前記式(2)中のAr1で表されるアリーレン基、2価の芳香族複素環基として説明し例示したものと同じである。
【0087】
Ar10、Ar11で表される基としては、本発明の高分子化合物を用いた発光素子の発光効率向上の観点から、前記式2−001、2−002、2−101、2−103、2−104、2−105、2−106で表される基が好ましく、前記式2−001で表される基がより好ましい。
【0088】
前記式(6)で表される構成単位としては、前記式2−104、2−218又は2−219で表される構成単位を含むことが特に好ましい。
【0089】
前記式(2)、(4)、(5)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物中に、それぞれ、一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0090】
前記式(6)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物中に、一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0091】
−式(3)で表される構成単位−
本発明の高分子化合物を用いた発光素子の駆動電圧の観点から、前記式(3)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【0092】
前記式(3)中、Ar2〜Ar5で表されるアリーレン基は、前記式(2)中のAr1で表されるアリーレン基として説明し例示したものと同じもの、及び前記式(1)で表される構成単位である。
【0093】
前記式(3)中、Ar2〜Ar5で表される2価の芳香族複素環基は、前記式(2)中のAr1で表される2価の芳香族複素環基として説明し例示したものと同じである。
【0094】
前記式(3)中、Ar2〜Ar5で表されるアリーレン基及び2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基は、前記式(2)中のAr1で表される「アリーレン基及び2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基」として説明し例示したものと同じである。
【0095】
前記式(3)中、Ar6〜Ar8で表されるアリール基、1価の芳香族複素環基は、前記式(1)中のR1で表されるアリール基、1価の芳香族複素環基として説明し例示したものと同じである。
【0096】
前記式(3)中、Ar5、Ar6、Ar7、Ar8で表される基は、それぞれ、該基が結合する窒素原子と結合しているAr2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar7、Ar8で表される基と、直接結合し、又は−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−N(RA)−、−C(=O)−N(RA)−若しくは−C(RA)2−を介して結合して、5〜7員環を形成していてもよい。n及びnnはそれぞれ独立に、0又は1である。RAは、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、又はアラルキル基を表す。RAで表される基は、R2で表される基として説明し例示したものと同じである。
【0097】
前記式(3)で表される構成単位としては、下記式3−001〜3−004で表される構成単位が挙げられる。
【0098】

〔式中、Rは、前記と同じ意味を有する。〕
【0099】
前記式(3)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物中に、一種のみ含まれていても二種以上含まれていてもよい。
【0100】
本発明の高分子化合物は、発光素子の作製における作業性の観点から、後述する燐光発光性化合物から誘導される構成単位を含んでいてもよい。
【0101】
本発明の高分子化合物としては、以下の化合物EP−1〜EP−3が挙げられる。
【0102】
【表1】

〔表中、v+w+x+y+z=1であり、かつ、1≧v+w+x≧0.5である。〕
【0103】
本発明の高分子化合物が式(2)で表される構成単位として、式(4)、式(5)で表される構成単位を含む場合、本発明の高分子化合物としては、以下の化合物EP−4〜EP−9が挙げられる。
【0104】
【表2】

〔表中、t'+u'+v'+w'+x'+y'+z'=1であり、かつ、1≧t'+u'+v'+w'+x'≧0.5である。〕
【0105】
本発明の高分子化合物が式(2)で表される構成単位として、式(4)、式(5)、式(6)で表される構成単位を含む場合、本発明の高分子化合物としては、以下の化合物EP−10〜EP−15が挙げられる。
【0106】
【表3】

〔表中、t''+u''+v''+w''+s''+x''+y''+z''=1であり、かつ、1≧t''+u''+v''+w''+s''+x''≧0.5である。〕
【0107】
−その他−
本発明の高分子化合物は、線状ポリマー、分岐ポリマー、ハイパーブランチポリマー、環状ポリマー、櫛形ポリマー、星型ポリマー、網目ポリマー等の任意の形状でよく、それぞれの形状を有する、ホモポリマー、交互コポリマー、周期コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー等の任意の組成及び規則性を有するポリマーでもよい。
【0108】
本発明の高分子化合物において、前記式(1)で表される構成単位の合計モル数に対して、その他の構成単位の合計モル数の割合が、通常、0.1〜999であり、単量体の重合時の反応性の観点から、0.95〜199であることが好ましく、0.95〜99であることがより好ましい。
【0109】
本発明の高分子化合物において、発光素子の駆動電圧の観点から、全構成単位の合計モル数に対して、前記式(1)〜(3)で表される構成単位の合計モル数の割合は、0.7〜1.0であることが好ましく、0.8〜1.0であることがより好ましく、0.9〜1.0であることが更に好ましい。
【0110】
本発明の高分子化合物は、得られる発光素子の駆動電圧の観点から、前記式(3)で表される構成単位、及び/又は、前記式(5)で表される構成単位を含むことが好ましく、全構成単位の合計モル数に対して、前記式(1)、(3)、(5)で表される構成単位の合計モル数の割合が、0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。
【0111】
また、本発明の高分子化合物は、得られる発光素子の駆動電圧の観点から、前記式(3)で表される構成単位、前記式(5)で表される構成単位、及び、前記式(6)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を含むことが好ましく、全構成単位の合計モル数に対して、前記式(1)、(3)、(5)、(6)で表される構成単位の合計モル数の割合が、0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。
【0112】
また、本発明の高分子化合物は、得られる発光素子の駆動電圧、単量体の重合時の反応性の観点から、前記式(1)で表される構成単位が1分子中に2個以上存在し、2個以上存在する前記式(1)で表される構成単位同士が実質的に隣り合っていないことが好ましい。ここで、「実質的に」とは、全ての構成単位同士の結合の個数に対して、前記式(1)で表される構成単位同士が隣り合う結合の個数の割合が、0.05未満であることを意味する。
【0113】
本発明の高分子化合物は、480〜550nmの範囲にフォトルミネッセンスピーク波長を有する燐光発光性化合物との組成物として発光素子の作製に用いた場合、480〜550nmの範囲にフォトルミネッセンスピーク波長を有する燐光発光性化合物から誘導される構成単位を含む高分子化合物として発光素子の作製に用いた場合には、得られる発光素子の発光効率の観点から、前記式(4)で表される構成単位を含み、かつ、本発明の高分子化合物において、前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位の合計モル数に対して、その他の構成単位の合計モル数の割合が、0.95〜1.05であることが好ましく、0.98〜1.02であることがより好ましく、0.99〜1.01であることが特に好ましい。
【0114】
本発明の高分子化合物は、単量体の重合時の反応性の観点、得られる発光素子の駆動電圧の観点から、「前記式(4)で表される構成単位を含み、かつ、本発明の高分子化合物において、前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位の合計モル数に対して、その他の構成単位の合計モル数の割合が、0.95〜1.05であること」、かつ、「前記式(3)で表される構成単位及び前記式(5)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位と、前記式(4)で表される構成単位とを含み、かつ、本発明の高分子化合物において、全構成単位の合計モル数に対して、前記式(1)、(3)、(4)、(5)で表される構成単位の合計モル数割合が、0.7以上であること」が好ましい。
【0115】
本発明の高分子化合物は、単量体の重合時の反応性の観点、得られる発光素子の駆動電圧の観点から、「前記式(4)で表される構成単位を含み、かつ、本発明の高分子化合物において、前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位の合計モル数に対して、その他の構成単位の合計モル数の割合が、0.95〜1.05であること」、かつ、「前記式(3)で表される構成単位、前記式(5)で表される構成単位、及び、前記式(6)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位と、前記式(4)で表される構成単位とを含み、かつ、本発明の高分子化合物において、全構成単位の合計モル数に対して、前記式(1)、(3)、(4)、(5)、(6)で表される構成単位の合計モル数割合が、0.7以上であること」が好ましい。
【0116】
また、本発明の高分子化合物は、単量体の重合時の反応性の観点、得られる発光素子の駆動電圧の観点からは、前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位が1分子中にそれぞれ2個以上存在し、2個以上存在する前記式(1)で表される構成単位同士、2個以上存在する前記式(4)で表される構成単位同士、並びに前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位が、実質的に隣り合っていないことが好ましい。ここで、「実質的に」とは、全ての構成単位同士の結合の個数に対して、前記式(1)で表される構成単位同士が隣り合う結合の個数、前記式(4)で表される構成単位同士が隣り合う結合の個数、並びに前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位が隣り合う結合の個数の合計割合が、0.05未満であることを意味する。
【0117】
本発明の高分子化合物の末端基は、重合活性基であると、該高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の発光効率や寿命が低下する可能性があるので、安定な基が好ましい。この末端基は、主鎖と共役結合しているものが好ましく、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基又は1価の芳香族複素環基と結合しているものである。このアリール基、1価の芳香族複素環基としては、前記式(1)中のR1で表されるアリール基、1価の芳香族複素環基として説明し例示したものと同じである。
【0118】
本発明の高分子化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と言う)によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常、1×103〜1×108であり、好ましくは1×104〜1×106であり、より好ましくは1×104〜5×105である。また、本発明の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常、1×103〜1×108であり、成膜性、発光素子の発光効率の観点から、好ましくは1×104〜5×106であり、より好ましくは3×104〜1×106であり、更に好ましくは3×104〜5×105である。
【0119】
発光素子等を作製するためのプロセスに対する耐久性、発光素子の駆動中の発熱に対する安定性、耐熱性の観点から、本発明の高分子化合物のガラス転移温度は、70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
【0120】
本発明の高分子化合物は、通常、固体状態で蛍光又は燐光を発し、発光素子の材料(例えば、発光材料、電荷輸送材料)として有用である。この高分子化合物を用いた発光素子は、高発光効率で駆動できる高性能の発光素子である。したがって、この発光素子は、液晶ディスプレイのバックライト、照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等の表示装置に有用である。更に、本発明の高分子化合物は、レーザー用色素、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体、導電性薄膜、有機半導体薄膜等の伝導性薄膜用材料、蛍光や燐光を発する発光性薄膜用材料としても有用である。
【0121】
<高分子化合物の製造方法>
本発明の高分子化合物は、例えば、重合反応の種類に応じた適切な反応性基を有する、下記式(B)で表される化合物(単量体となる化合物)及び下記式(C)で表される化合物(単量体となる化合物)からなる群から選ばれる少なくとも一種、並びに、下記式(A)で表される化合物(単量体となる化合物)を、必要に応じて、有機溶媒に溶解し、アルカリや適切な触媒、配位子を用いた公知のアリールカップリング等の重合方法により共重合することにより合成することができる。
【0122】

(A)
〔式中、R1、R2及びR3は、前記と同じ意味を有する。Xa1及びXa2はそれぞれ独立に、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−O−S(=O)220、−B(OR21)2、−BF4-1、−Sn(R22)3、−MgY1又は−ZnY1を表す。R20は、アルキル基、又はアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、フッ素原子若しくはシアノ基で置換されていてもよいアリール基を表す。R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。2個存在するR21は、同一であっても異なっていてもよく、一緒になって環を形成していてもよい。3個存在するR22は、同一であっても異なっていてもよく、一緒になって環を形成していてもよい。Q1は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムの1価の陽イオンを表す。Y1は、臭素原子、ヨウ素原子又は塩素原子を表す。〕
【0123】

(B)
〔式中、Ar1は、前記と同じ意味を有する。Xb1及びXb2はそれぞれ独立に、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−O−S(=O)220、−B(OR21)2、−BF4-1、−Sn(R22)3、−MgY1又は−ZnY1を表す。R20、R21、R22、Q1及びY1は、前記と同じ意味を有する。〕
【0124】

(C)
〔式中、Ar2〜Ar8、n及びnnは、前記と同じ意味を表す。Xc1及びXc2はそれぞれ独立に、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−O−S(=O)220、−B(OR21)2、−BF4-1、−Sn(R22)3、−MgY1又は−ZnY1を表す。R20、R21、R22、Q1及びY1は、前記と同じ意味を有する。〕
【0125】
前記式(A)、(B)及び(C)中、R20、R21及びR22で表されるアルキル基は、前記式(1)中のR2で表されるアルキル基として説明し例示したものと同じであるが、炭素数は、通常、1〜20であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10である。
【0126】
前記式(A)、(B)及び(C)中、R20で表されるアリール基は、R2で表されるアリール基として説明し例示したものと同じであるが、本発明の高分子化合物の合成の容易さ、単量体の重合時の反応性の観点から、フェニル基、4−トリル基、4−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基が好ましい。
【0127】
前記式(A)、(B)及び(C)中、−O−S(=O)220で表される基としては、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、4−メチルフェニルスルホニルオキシ基、4−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0128】
前記式(A)、(B)及び(C)中、−B(OR21)2で表される基としては、以下の式で表される基等が挙げられる。
【0129】

【0130】
前記式(A)、(B)及び(C)中、−BF4-1で表される基としては、以下の式で表される基等が挙げられる。
【0131】

【0132】
前記式(A)、(B)及び(C)中、−Sn(R22)3で表される基としては、トリメチルスタナニル基、トリエチルスタナニル基、トリブチルスタナニル基等が挙げられる。
【0133】
前記式(A)、(B)、(C)で表される化合物は、予め合成し単離したものを用いてもよいし、反応系中で合成してそのまま用いてもよいが、得られる高分子化合物を発光素子に用いる場合、その純度が発光特性の素子の性能に影響を与えるため、重合前の単量体を蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製した後に縮合重合することが好ましい。
【0134】
また、前記式(A)で表される化合物としては、本発明の高分子化合物の耐熱性と有機溶媒への溶解性のバランスの観点から、前記式(1a)で表される化合物が好ましく、得られる発光素子の駆動電圧の観点から、下記式(1b):
【0135】

(1b)
〔式中、R1bはアルキル基を表す。Rbは、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基又は置換アミノ基を表す。2個存在するRbは、同一であっても異なっていてもよい。Xabは、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−O−S(=O)220、−B(OR21)2、−BF4-1、−Sn(R22)3、−MgY1又は−ZnY1を表す。2個存在するRabは、同一であっても異なっていてもよい。R20、R21、R22、Q1及びY1は、前記と同じ意味を有する。〕
で表される化合物、前記式(1c)で表される化合物が好ましい。これらの式中、R1a、R1b、R1cで表されるアルキル基は、R1で表されるアルキル基として説明し例示したものと同じであり、Ra、Rb、Rc表されるアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基は、R2で表される基として説明し例示したものと同じである。
【0136】
前記縮合重合としては、Suzukiカップリング反応により重合する方法(ケミカル レビュー(Chem. Rev.),第95巻,2457-2483頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(Bull. Chem. Soc. Jpn., 第51巻、2091頁(1978年))、Ni(0)触媒により重合する方法(プログレス イン ポリマー サイエンス(Progress in Polymer Science),第17巻,1153〜1205頁,1992年)、Stilleカップリング反応を用いる方法(ヨーロピアン ポリマー ジャーナル(European Polymer Journal),第41巻,2923-2933頁(2005年))等が挙げられるが、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が原料の合成のし易さ、重合反応操作の簡便性の観点から好ましく、高分子化合物の構造制御のしやすさの観点からを考慮すると、Suzukiカップリング反応、Grignard反応、Stilleカップリング反応等のクロスカップリング反応により重合する方法がより好ましく、Suzukiカップリング反応により重合する反応が特に好ましい。
【0137】
前記式(A)、(B)及び(C)中、Xa1、Xa2、Xb1、Xb2、Xc1及びXc2は、重合反応の種類に応じて適切な基を選択すればよいが、Suzukiカップリング反応により重合する方法を選択する場合は、前記式(A)、(B)、(C)で表される化合物の合成の簡便さや取り扱いやすさの観点から、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−B(OR21)2が好ましく、臭素原子、−B(OR21)2がより好ましい。
【0138】
前記縮合重合の方法としては、前記式(A)、(B)、(C)で表される化合物を、必要に応じて、適切な触媒や適切な塩基とともに反応させる方法が挙げられる。Suzukiカップリング反応により重合する方法を選択する場合は、得られる高分子化合物の分子量を所望の分子量とするために、前記式(A)、(B)、(C)で表される化合物が有する、Xa1、Xa2、Xb1、Xb2、Xc1及びXc2で表される臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子の合計モル数と−B(OR21)2で表される基の合計モル数との比率を調整すればよく、通常、前記式(A)、(B)、(C)で表される化合物が有する、Xa1、Xa2、Xb1、Xb2、Xc1及びXc2で表される臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子の合計モル数に対する−B(OR21)2で表される基の合計モル数の比率が0.95〜1.05とすることが好ましく、0.98〜1.02とすることがより好ましく、0.99〜1.01とすることが特に好ましい。
【0139】
なお、前記式(2)で表される構成単位が、前記式(4)で表される構成単位を含む場合には、下記式(D)で表される化合物を用いればよい。
【0140】

(D)
〔式中、R4及びR5は、前記と同じ意味を有する。Xd1及びXd2はそれぞれ独立に、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−O−S(=O)220、−B(OR21)2、−BF4-1、−Sn(R22)3、−MgY1又は−ZnY1を表す。R20、R21、R22、Q1及びY1は、前記と同じ意味を有する。〕
【0141】
本発明の好ましい一実施形態である「前記式(1)で表される構成単位が1分子中に2個以上存在し、2個以上存在する前記式(1)で表される構成単位同士が実質的に隣り合っていない高分子化合物」の合成方法としては、Suzukiカップリング反応により重合する反応において、前記式(A)中のXa1、Xa2として、−B(OR21)2で表される基だけを用いる方法、臭素原子、ヨウ素原子若しくは塩素原子だけを用いる方法が好ましい。これらの方法により、Suzukiカップリング反応がクロスカップリング反応であることから、副反応として僅かに起こり得るホモカップリング反応の割合だけしか、前記式(1)で表される構成単位同士が隣り合う結合が存在しない高分子化合物を得ることができる。なお、ホモカップリング反応の割合は、単量体となる化合物の仕込み比に対する、高分子化合物の数平均分子量から推定できる。
【0142】
本発明の好ましいもう一つの実施形態である「前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位が1分子中にそれぞれ2個以上存在し、2個以上存在する前記式(1)で表される構成単位同士、2個以上存在する前記式(4)で表される構成単位同士、並びに前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位が、実質的に隣り合っていない高分子化合物」の合成方法としては、Suzukiカップリング反応により重合する反応において、前記式(A)中のXa1、Xa2、及び前記式(D)中のXd1、Xd2として、−B(OR21)2で表される基だけを用いる方法、臭素原子、ヨウ素原子又は塩素原子だけを用いる方法が好ましい。これらの方法により、Suzukiカップリング反応がクロスカップリング反応であることから、副反応として僅かに起こり得るホモカップリング反応の割合だけしか、前記式(1)で表される構成単位同士が隣り合う結合、前記式(4)で表される構成単位同士が隣り合う結合、前記式(1)で表される構成単位と前記式(4)で表される構成単位とが隣り合う結合が存在しない高分子化合物を得ることができる。なお、ホモカップリング反応の割合は、単量体となる化合物の仕込み比に対する、高分子化合物の数平均分子量から推定できる。
【0143】
前記触媒は、Suzukiカップリング反応による重合においては、例えば、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム等のパラジウム錯体等の遷移金属錯体と、必要に応じて、トリフェニルホスフィン、トリ(t−ブチルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン等の配位子とからなる触媒である。
また、前記触媒は、Ni(0)触媒による重合においては、例えば、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4−シクロオクタジエン)]ニッケル等のニッケル錯体等の遷移金属錯体と、必要に応じて、トリフェニルホスフィン、トリ(t−ブチルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、ビピリジル等の配位子とからなる触媒である。
これらの触媒は、予め合成したものを用いてもよいし、反応系中で調製したものをそのまま用いてもよい。また、これらの触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0144】
前記触媒を用いる場合には、その使用量は、触媒としての有効量であればよく、前記式(A)、(B)、(C)で表される化合物のモル数の合計に対する触媒の量は、遷移金属換算で、通常、0.00001〜3モル当量であり、好ましくは0.00005〜0.5モル当量であり、より好ましくは0.0001〜0.2モル当量である。
【0145】
Suzukiカップリング反応による重合において、用いられる塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。
【0146】
前記塩基を用いる場合には、その量は、前記式(A)、(B)、(C)で表される化合物のモル数の合計に対して、通常、0.5〜20モル当量であり、好ましくは1〜10モル当量である。
【0147】
前記縮合重合は、溶媒の非存在下で行っても、溶媒の存在下で行ってもよいが、通常、有機溶媒の存在下で行う。
【0148】
前記有機溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。一般的に、副反応を抑制するために、脱酸素処理を行うことが望ましい。前記有機溶媒は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0149】
前記有機溶媒の使用量は、前記式(A)、(B)、(C)で表される化合物の合計濃度が、通常、0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%となる量である。
【0150】
前記縮合重合の反応温度は、好ましくは−100〜200℃であり、より好ましくは−80〜150℃であり、更に好ましくは0〜120℃である。
【0151】
前記反応時間は、通常、1時間以上であり、好ましくは2〜500時間である。
【0152】
前記縮合重合は、前記式(A)、(B)及び(C)中のXa1、Xa2、Xb1、Xb2、Xc1又はXc2が、−MgY1で表される基である場合には、脱水条件下で行う。
【0153】
前記縮合重合において、本発明の高分子化合物の末端に重合活性基が残存するのを避けるために、連鎖停止剤として、下記式(F)で示される化合物を用いてもよい。これにより、高分子化合物の末端がアリール基又は1価の芳香族複素環基で置換された高分子化合物を得ることができる。

(F)
〔式中、Ar9は、アリール基又は1価の芳香族複素環基を表す。Xfは、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−O−S(=O)220、−B(OR21)2、−BF4-1、−Sn(R22)3、−MgY1又は−ZnY1を表す。R20、R21、R22、Q1、Y1は、前記と同じ意味を有する。〕
【0154】
前記式(F)中、Ar9で表されるアリール基、1価の芳香族複素環基は、前記式(1)中のアリール基、1価の芳香族複素環基として説明し例示したものと同じである。
【0155】
前記縮合重合の後処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、メタノール等の低級アルコールに前記縮合重合で得られた反応液を加えて析出させた沈殿を濾過、乾燥させる方法で行うことができる。
【0156】
本発明の高分子化合物の純度が低い場合には、再結晶、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製すればよいが、本発明の高分子化合物を発光素子に用いる場合、その純度が発光特性等の素子の性能に影響を与えるため、縮合重合後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
【0157】
−燐光発光性化合物−
前記燐光発光性化合物としては、三重項発光錯体等の公知の化合物、従来から低分子系の有機EL素子の発光材料として利用されてきた化合物が挙げられる。前記燐光発光性化合物は、Nature, (1998), 395, 151、Appl. Phys. Lett. (1999), 75(1), 4、Proc. SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. (2001), 4105(Organic Light-Emitting Materials and DevicesIV), 119、J. Am. Chem. Soc., (2001), 123, 4304、Appl. Phys. Lett., (1997), 71(18), 2596、Syn. Met., (1998), 94(1), 103、Syn. Met., (1999), 99(2), 1361、Adv. Mater., (1999), 11(10), 852、 Inorg. Chem., (2003), 42, 8609、 Inorg. Chem., (2004), 43, 6513、Journal of the SID 11/1、161 (2003)、WO2002/066552、WO2004/020504、WO2004/020448等に記載されている。前記燐光発光性化合物としては、金属錯体のHOMOにおける、中心金属の最外殻d軌道の軌道係数の2乗の和が、全原子軌道係数の2乗の和において占める割合が1/3以上であることが高発光効率を得る観点で好ましく、中心金属が第6周期に属する遷移金属であるオルトメタル化錯体等が挙げられる。
【0158】
前記三重項発光錯体の中心金属としては、通常、原子番号50以上の原子で、該錯体にスピン−軌道相互作用があり、一重項状態と三重項状態間の項間交差を起こし得る金属が挙げられる。該中心金属としては、好ましくは、金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、タングステン、ユーロピウム、テルビウム、ツリウム、ディスプロシウム、サマリウム、プラセオジム、ガドリニウム、イッテルビウムであり、より好ましくは、金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、タングステンであり、更に好ましくは、金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウムであり、特に好ましくは、金、白金、イリジウム、レニウムであり、とりわけ好ましくは、白金、イリジウムである。
【0159】
前記三重項発光錯体の配位子としては、8−キノリノール及びその誘導体、ベンゾキノリノール及びその誘導体、2−フェニル−ピリジン及びその誘導体等が挙げられる。
【0160】
前記燐光発光性化合物は、溶解性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基等の置換基を有する化合物であることが好ましい。この置換基は、水素原子以外の原子の総数が3個以上であることが好ましく、5個以上であることがより好ましく、7個以上であることが更に好ましく、10個以上であることが特に好ましい。また、この置換基は、配位子毎に存在することが好ましく、その種類は、配位子毎に同一であっても異なっていてもよい。
【0161】
前記燐光発光性化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
【0162】

【0163】
本発明の高分子化合物が含み得る「燐光発光性化合物から誘導される構成単位」とは、前記燐光発光性化合物の水素原子を1個除いた残りの残基を置換基として有するアリーレン基又は2価の芳香族複素環基、前記燐光発光性化合物の水素原子を2個除いた残りの残基、前記燐光発光性化合物の水素原子を3個除いた残りの残基である。この構成単位が、燐光発光性化合物の水素原子を3個除いた残りの残基である場合、本発明の高分子化合物は、該構成単位において分岐している。本発明の高分子化合物において、全構成単位の合計モル数に対する、燐光発光性化合物から誘導される構成単位の合計モル数の割合は、通常、0.0001〜0.4であり、0.001〜0.3が好ましく、0.001〜0.25がより好ましい。
【0164】
−単量体となる化合物−
前記式(A)で表される化合物としては、前記式(1)で表される構成単位の項において例示した構成単位(式1−001〜1−018、1−101〜1−115、1−201〜1−205で表される構成単位、これらが置換基を有する構成単位)における2本の結合手のうち、一方がXa1で表される基、他方がXa2で表される基に置換されてなる化合物が挙げられる。
【0165】
前記式(A)で表される化合物の製造方法としては、公知の反応を用いることができるが、例えば、式(A)で表される化合物は、下記反応スキーム(1)に従って合成することができる。
【0166】

【0167】
以下、一例として、反応スキーム(1)を説明する。
−工程(i)−
クロロホルム溶媒中、化合物A1に、触媒量の鉄粉の存在下で、臭素を作用させることにより、化合物A(Xa1=Xa2=Br)を合成できる。
−工程(ii)−
テトラヒドロフラン溶媒中、化合物A(Xa1=Xa2=Br)をマグネシウム小片で、Grignard中間体を調製し、引き続き、2−イソプロピルオキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン等を作用させることによりホウ酸エステル化すること、又はトリメトキシボラン、トリイソプロピルオキシボラン等を作用させた後に加水分解することでホウ酸化することにより、単量体A(Xa1=Xa2=B(OR212)を合成できる。
−工程(iii)−
塩酸中、化合物A2に、亜硝酸ナトリウムを作用させジアゾ化した後に、ヨウ化カリウムで処理し(Sandmeyer反応)、ヨウ素化することにより、化合物A3を合成できる。
−工程(iv)−
テトラヒドロフラン溶媒中、化合物A3と化合物A4とを、Suzukiカップリング反応によりカップリングさせることで、化合物A(Xa1=Xa2=Br)を合成できる。このとき、化合物A3には置換基として臭素原子とヨウ素原子が存在しているので、選択的にヨウ素原子が反応する条件が好ましい。その条件は、Journal of Organic Chemistry 2005.70.3730−3733に記載されている。
−工程(v)−
テトラヒドロフラン溶媒中、化合物A3に、イソプロピルオキシマグネシウムクロリドのテトラヒドロフラン溶液を作用させGrignard中間体を調製し、引き続き、2−イソプロピルオキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン等を作用させることによりホウ酸エステル化すること、又はトリメトキシボラン、トリイソプロピルオキシボラン等を作用させた後に加水分解することでホウ酸化することにより、化合物A5を合成できる。
−工程(vi)−
テトラヒドロフラン溶媒中、化合物A5と化合物A6とを、Suzukiカップリング反応によりカップリングさせることで、化合物A(Xa1=Xa2=Br)を合成できる。このとき、化合物A3には置換基として臭素原子とB(OR212が存在し、化合物A6には置換基としてヨウ素原子が存在しているが、選択的にヨウ素原子が反応する条件が好ましい。その条件は、Journal of Organic Chemistry 2005.70.3730−3733に記載されている。
【0168】
前記式(1a)で表される化合物は、上記反応スキーム(1)において、例えば、工程(iii)、(iv)、(ii)を経ることで合成できる。
【0169】
前記式(1b)で表される化合物は、上記反応スキーム(1)において、例えば、工程(iii)、(v)、(vi)、(ii)を経ることで合成できる。
【0170】
前記式(1c)で表される化合物は、上記反応スキーム(1)における化合物A2とヨウ化アリールとを炭酸カリウム、tert−ブトキシナトリウム等の塩基、触媒量の塩化第一銅、フェナントロリン又はビピリジンの存在下、トルエン溶媒中で加熱し還流させること(Ullmannカップリング反応)により合成できる。
【0171】
<組成物>
本発明の組成物は、本発明の高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する。本発明の組成物は、発光材料、正孔輸送材料又は電子輸送材料として用いることができる。なお、本発明の組成物において、本発明の高分子化合物、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0172】
本発明の組成物において、「正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料」と本発明の高分子化合物との比率は、本発明の組成物を発光材料に用いる場合は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、「正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料」の割合は、材料ごとに、通常、0.01〜400重量部であり、好ましくは0.05〜150重量部である。
【0173】
前記正孔輸送材料としては、有機EL素子の正孔輸送材料として公知の、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアリールアミン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体等が挙げられる。ここで、これら誘導体は、アリーレン基、2価の芳香族複素環基を共重合成分(構成単位)として有していてもよい。
【0174】
前記電子輸送材料としては、有機EL素子の電子輸送材料として公知の、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、トリアリールトリアジン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。ここで、これらの誘導体は、アリーレン基、2価の芳香族複素環基を共重合成分(構成単位)として有していてもよい。
【0175】
前記発光材料としては、発光効率の観点から、前記燐光発光性化合物を含む材料が好ましい。その他にも、前記発光材料としては、蛍光発光性化合物を用いることができる。蛍光発光性化合物には、低分子蛍光材料、高分子蛍光材料がある。低分子蛍光材料は、通常、400〜700nmの波長範囲に蛍光発光の極大ピークを有する材料であり、その分子量は、通常、3000未満であり、好ましくは100〜2000であり、より好ましくは100〜1000である。
【0176】
前記低分子蛍光材料としては、有機EL素子の発光材料として公知の、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、キナクリドン誘導体、キサンテン系色素、クマリン系色素、シアニン系色素、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、オリゴチオフェン誘導体等の色素系材料;アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等又はTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等の金属錯体系材料が挙げられる。
【0177】
前記高分子蛍光材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記低分子蛍光材料として例示した色素体や金属錯体系発光材料を高分子化した材料が挙げられる。
【0178】
なお、本発明の組成物において、本発明の高分子化合物等の各成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0179】
本発明の組成物が、前記燐光発光性化合物を含む組成物である場合、該燐光発光性化合物の割合は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、0.01〜80重量部であり、好ましくは0.1〜50重量部である。
【0180】
<溶液>
本発明の溶液は、本発明の高分子化合物と溶媒とを含有するもの、又は本発明の組成物が溶媒を含有してなるものである。この溶液は、印刷法等に有用であり、一般に、インク、インク組成物等と呼ぶことがある。本発明の溶媒は、必要に応じて、正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、安定剤、増粘剤(粘度を高めるための高分子量の化合物)、粘度を低くするための低分子量の化合物、界面活性剤、酸化防止剤、本発明の高分子化合物以外の高分子量の化合物等を含んでいてもよい。なお、本発明の溶液に含まれる各成分は、各々、一種単独であっても二種以上の組み合わせであってもよい。
【0181】
本発明の溶液における本発明の高分子化合物の割合は、溶液全体を100重量部としたとき、通常、0.1〜99重量部であり、好ましくは0.5〜40重量部であり、より好ましくは0.5〜20重量部である。
【0182】
本発明の溶液の粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、インクジェットプリント法等の該溶液が吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために、25℃において、1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0183】
前記増粘剤は、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶性であり、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、高分子量のポリスチレン、高分子量のポリメチルメタクリレート等を用いることができる。前記増粘剤として用いる化合物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が5×105以上であることが好ましく、1×106以上であることがより好ましい。
【0184】
前記酸化防止剤は、前記溶液の保存安定性を向上させるためのものである。酸化防止剤としては、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶性であり、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0185】
本発明の溶液を構成する溶媒は、溶質となる固形分を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。この溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0186】
前記溶媒は、成膜性、素子特性等の観点から、2種以上を併用することが好ましく、2〜3種を併用することがより好ましく、2種を併用することが特に好ましい。
【0187】
本発明の溶液に2種の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種の溶媒は25℃において固体状態のものでもよい。成膜性の観点から、1種の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であることが好ましく、200℃以上の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、2種の溶媒のいずれにも60℃において1重量%以上の濃度で本発明の高分子化合物が溶解することが好ましく、2種の溶媒のうちの1種の溶媒には、25℃において1重量%以上の濃度で本発明の高分子化合物が溶解することが好ましい。
【0188】
本発明の溶液中に2種以上の溶媒が含まれる場合、粘度及び成膜性の観点から、沸点が最も高い溶媒が、該溶液中の全溶媒の重量の40〜90重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましく、65〜85重量%であることが更に好ましい。
【0189】
本発明の溶液には、更に、水、金属及びその塩、ケイ素、リン、フッ素、塩素、臭素等を重量基準で1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。前記金属としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、クロム、マンガン、コバルト、白金、イリジウム等が挙げられる。
【0190】
<薄膜>
本発明の薄膜は、本発明の高分子化合物を含有するものであり、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜等である。
【0191】
本発明の薄膜は、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリーコート法、ノズルコート法等で作製することができる。
【0192】
本発明の溶液を用いて薄膜を作製する場合、該溶液に含まれる高分子化合物のガラス転移温度にもよるが、通常、100℃以上の温度(例えば、130℃、160℃)でベークすることができる。
【0193】
前記発光性薄膜は、素子の輝度、発光電圧の観点から、発光量子収率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
【0194】
前記導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが更に好ましい。導電性薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物等をドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。
【0195】
前記有機半導体薄膜は、電子移動度又は正孔移動度の大きい方が、10-5cm2/V/秒以上であることが好ましく、10-3cm2/V/秒以上であることがより好ましく、10-1cm2/V/秒以上であることが特に好ましい。SiO2等の絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に該有機半導体薄膜を形成し、Au等でソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタを作製することができる。
【0196】
<発光素子>
本発明の発光素子は、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた本発明の高分子化合物を含有する有機層とを有する発光素子である。前記有機層は、一層からなるものであっても、二層以上からなるものであってもよく、二層以上からなる場合には、少なくとも一層が前記高分子化合物を含有していればよい。また、前記高分子化合物を含有する有機層は、通常、発光層、正孔輸送層、電子ブロック層として機能するが、発光層として機能することが好ましい。本発明の発光素子は、陰極、陽極、発光層として機能する有機層(以下、単に「発光層」と言う。)以外にも、それらの間に、その他の層を有していてもよい。なお、各層は、一層からなるものであっても、二層以上からなるものであってもよい。また、各層を構成する材料・化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0197】
前記陽極と発光層との間に設けられた層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層等が挙げられる。前記陽極と発光層との間に一層のみ設けられた場合には、正孔注入層であり、前記陽極と発光層との間に二層以上設けられた場合には、陽極に接する層が正孔注入層であり、それ以外の層が正孔輸送層である。前記正孔注入層は、陰極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。前記正孔輸送層は、正孔注入層又は陽極により近い層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層である。電子の輸送を堰き止める機能を有することは、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することができる。
【0198】
前記陰極と発光層との間に設けられた層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層等が挙げられる。前記陰極と発光層との間に一層のみ設けられた場合には、電子注入層であり、前記陰極と発光層との間に二層以上設けられた場合には、陰極に接している層が電子注入層であり、それ以外の層が電子輸送層である。前記電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。前記電子輸送層は、電子注入層又は陰極により近い層からの電子注入を改善する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層を正孔ブロック層と称することがある。正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、正孔(ホール)電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することができる。
【0199】
本発明の発光素子の構造としては、以下のa)〜d)の構造が挙げられる。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0200】
電極に隣接して設けた正孔輸送層、電子輸送層のうち、電極からの電荷(正孔・電子)注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を低下させる効果を有するものは、電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と呼ぶことがある。
【0201】
更に、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記電荷注入層、絶縁層を設けてもよい。また、界面の密着性向上や混合の防止等のために、前記電荷輸送層や発光層の界面に、薄いバッファー層を挿入してもよい。積層する層の順番や数、及び各層の厚さは、発光効率や素子寿命を勘案して調整すればよい。
【0202】
電荷注入層を設けた本発明の発光素子の構造としては、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0203】
陽極は、通常、透明又は半透明であり、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜から構成され、それらの中でも透過率が高い材料から構成されることが好ましい。前記陽極の材料としては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性無機化合物を用いて作製された膜(NESA等)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。前記陽極の作製には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等の方法を用いることができる。また、前記陽極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0204】
陽極の厚さは、光の透過性と電気伝導度とを考慮して選択することができるが、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
【0205】
正孔注入層に用いられる材料としては、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の導電性高分子等が挙げられる。
【0206】
正孔注入層に用いられる材料が導電性高分子である場合、該導電性高分子、高分子化合物の電気伝導度を向上させるために、必要に応じて、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等のアニオンをドープしてもよい。
【0207】
正孔輸送層に用いられる材料としては、前記正孔輸送材料として説明し例示したものが挙げられる。正孔輸送層に用いられる材料が低分子化合物である場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0208】
本発明の高分子化合物が正孔輸送層に用いられる場合は、本発明の高分子化合物が正孔輸送性基(芳香族アミノ基、チエニル基等)を該高分子化合物の構成単位及び/又は置換基として含むことが好ましい。
【0209】
これらの中で、正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアリールアミン及びその誘導体のほか、本発明の高分子化合物が好ましい。
【0210】
正孔輸送層の成膜方法としては、前記正孔輸送層に用いられる材料が低分子化合物である場合には、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜が挙げられ、高分子化合物である場合には、溶液からの成膜が挙げられる。
【0211】
溶液からの成膜に用いる溶媒は、正孔輸送層に用いられる材料を溶解させるものであればよい。この溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が挙げられる。
【0212】
溶液からの成膜には、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0213】
前記高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。この高分子バインダーとしては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0214】
正孔輸送層の厚さは、駆動電圧と発光効率を考慮しつつ選択すればよいが、ピンホールが発生しないような厚さが必要であり、厚過ぎると、発光素子の駆動電圧が高くなることがある。従って、正孔輸送層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
【0215】
発光層は、通常、蛍光又は燐光を発する有機化合物(低分子化合物、高分子化合物)と、必要に応じてこれを補助するドーパントとから形成される。本発明の発光素子における発光層には、本発明の高分子化合物、前記発光材料等が含まれる。発光材料が低分子化合物である場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0216】
発光層には、発光効率を向上させたり、発光波長を変化させたりするために、ドーパントを添加することができる。ドーパントとしては、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等を挙げることができる。
【0217】
発光層の厚さは、駆動電圧と発光効率を考慮して選択すればよいが、通常、2〜200nmである。
【0218】
発光層の成膜には、発光材料を含む溶液を基体の上又は上方に塗布する方法、真空蒸着法、転写法等を用いることができる。溶液からの成膜に用いる溶媒は、正孔輸送層の溶液からの成膜の項で説明し例示したものと同じである。発光材料を含む溶液を基体の上又は上方に塗布するには、スピンコート法、ディップコート法、インクジェット法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スリットコート法等の印刷法を用いることができる。昇華性の低分子化合物の場合は、真空蒸着法を用いることができる。レーザーによる転写や熱転写により、所望の位置に発光層を形成する方法も用いることができる。
【0219】
電子輸送層に用いられる材料としては、本発明の高分子化合物、前記電子輸送材料等が挙げられる。
【0220】
本発明の高分子化合物が電子輸送層に用いられる場合は、本発明の高分子化合物が電子輸送性基(オキサジアゾール基、オキサチアジアゾール基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、トリアジル基等)を該高分子化合物の構成単位及び/又は置換基として含むことが好ましい。
【0221】
これらの中で、電子輸送層に用いる電子輸送材料としては、本発明の高分子化合物、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体が好ましい。
【0222】
電子輸送層の成膜には、前記電子輸送層に用いられる材料が低分子化合物である場合には、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、前記電子輸送層に用いられる材料が高分子化合物である場合には、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。溶液又は溶融状態からの成膜には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液からの成膜は、前記溶液から正孔輸送層を成膜する方法と同じにすればよい。
【0223】
電子輸送層の厚さは、駆動電圧と発光効率を考慮して調整すればよいが、ピンホールが発しないような厚さが必要であり、厚過ぎると、素子の駆動電圧が高くなることがある。従って、電子輸送層の膜厚は、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
【0224】
電子注入層としては、発光層の種類に応じて、Ca層の単層構造からなる電子注入層、又はCaを除いた周期律表IA族とIIA族の金属であり、かつ仕事関数が1.5〜3.0eVの金属及びその金属の酸化物、ハロゲン化物及び炭酸化物から選ばれる1種又は2種以上で形成された層とCa層との積層構造からなる電子注入層が挙げられる。仕事関数が1.5〜3.0eVの、周期律表IA族の金属又はその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物としては、リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、酸化リチウム、炭酸リチウム等が挙げられる。また、仕事関数が1.5〜3.0eVの、Caを除いた周期律表IIA族の金属又はその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物としては、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成すればよい。電子注入層の厚さは、1nm〜1μmが好ましい。
【0225】
陰極の材料としては、仕事関数の小さく発光層への電子注入が容易な材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、若しくは上記金属のうち2種以上の合金、又はそれらのうち1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金、或いはグラファイト又はグラファイト層間化合物等が用いられる。前記合金としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
前記陰極を2層以上の積層構造とする場合には、前記金属、金属酸化物、金属フッ化物、これらの合金と、アルミニウム、銀、クロム等の金属との積層構造が好ましい。
【0226】
前記陰極の厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して選択すればよく、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
【0227】
陰極の作製には、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。陰極作製後、発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。発光素子を長期安定的に用いるためには、該発光素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
【0228】
保護層としては、高分子量の化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等を用いることができる。保護カバーとしては、金属板、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができる。保護としては、保護カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が挙げられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子の損傷を防ぐことが容易である。この空間に窒素やアルゴンのような不活性ガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、更に酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより、製造工程で吸着した水分又は硬化樹脂を通り抜けて浸入する微量の水分が素子に損傷を与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策を採ることが好ましい。
【0229】
本発明の発光素子は、面状光源、表示装置(セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置)、液晶表示装置のバックライト等として用いることができる。本発明の発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極の一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。更に、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、面状の照明用光源等として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0230】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0231】
(数平均分子量及び重量平均分子量)
実施例において、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及びポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、GPC(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。測定する高分子化合物は、約0.5重量%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに30μL注入した。GPCの移動相にはテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0232】
(高速液体クロマトグラフィー(HPLC))
実施例において、化合物の純度の指標となるHPLC面積百分率の値は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC、島津製作所製、商品名:LC−20A)により、特に記載のない限り、254nmにおける値を求めた。測定する化合物は、0.01〜0.2重量%の濃度になるようにテトラヒドロフラン又はクロロホルムに溶解させ、HPLCに濃度に応じて1〜10μL注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリル及びテトラヒドロフランを用い、1mL/分の流速で、アセトニトリル/テトラヒドロフラン=100/0〜0/100(容積比)のグラジエント分析で流した。カラムは、Kaseisorb LC ODS 2000(東京化成工業製)を用いた。検出器は、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD−M20A)を用いた。
【0233】
(ガラス転移温度)
実施例において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定装置(DSC、TA Instruments社製、商品名:DSC2920)により求めた。測定条件としては、サンプルを200℃で5分間保持した後、−50℃まで急冷して30分間保持した。30℃まで温度を上げた後、毎分5℃の昇温速度で300℃まで測定を行った。
【0234】
(蛍光特性評価)
実施例において、蛍光特性(高分子化合物の薄膜の蛍光ピーク波長)の評価は、以下の方法で行った。高分子化合物をトルエン(関東化学社製、電子工業用グレード)に溶解させた。このとき、固形分の濃度は、0.8重量%となるように調製し、該溶液を石英板上に1500rpmの回転速度でスピンコートして高分子化合物の薄膜を作製した。この薄膜を350nmの波長で励起し、蛍光分光光度計(JOBINYVON−SPEX社製、商品名:Fluorolog)を用いて蛍光スペクトルを測定した。
【0235】
<実施例1>
(化合物M1の合成)
【0236】

【0237】
(工程(1a))
アルゴンガス雰囲気下、1000mlフラスコ中、3,5−ジブロモ−4−メチルアニリン(47.0g、177mmol)、35重量%塩酸(111ml)、イオン交換水(111ml)を混合し、氷浴にて冷却したところに、亜硝酸ナトリウム(12.9g、186mmol)をイオン交換水(約130ml)に溶解した溶液を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温にて約1時間攪拌した後に、再度氷浴にて冷却してから、ヨウ化カリウム(30.9g、186mmol)をイオン交換水(約130ml)に溶解した溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温にて約3時間攪拌した後、別途、調製した10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液(約1200ml)に攪拌しながらゆっくりと加えた。酢酸エチル(約1000ml)を加え抽出し、有機層を10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液(約450ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム(50g)で乾燥させ、ろ過、ろ液を濃縮することにより、粗生成物(77g)を得た。上記粗生成物をアセトン(750ml)に溶解させ、活性炭(10g)を加え攪拌した後に、ろ過、ろ液を濃縮した。再度、アセトン(750ml)に溶解させ、活性炭(20g)を加え攪拌した後に、ろ過、ろ液を濃縮し、析出した固体を減圧乾燥させることにより、黄褐色固体(約50g)を得た。得られた固体をヘキサンに溶解させ、エタノールを加えることにより晶析し、得られた結晶をろ取、減圧乾燥させることにより、中間体2,6−ジブロモ−4−ヨードトルエン(28.4g、収率43%、化合物M1a)を白色結晶として得た。
1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ(ppm)=2.51(s、3H)、7.83(s、2H)
(工程(1b))
アルゴンガス雰囲気下、上記同様に合成した化合物M1a(7.14g、19mmol)、4−n−ブチルベンゼンボロン酸(3.21g、18.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.44g、0.38mmol)、炭酸銀(10.5g、38mmol)及び脱水テトラヒドロフラン(190ml)を混合し、遮光下で4時間攪拌した後、セライトを敷いたろ過器に通液することにより、不溶物を除去した。ろ液を濃縮し、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製することにより、目的物である化合物M1(4.69g、HPLC面積百分率(紫外線波長254nm)で99.6%、収率65%)を無色透明液体として得た。
1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ(ppm)=0.94(t、3H)、1.31−1.43(m、2H)、1.56−1.67(m、2H)、2.58(s、3H)、2.64(t、2H)、7.23(d、2H)、7.42(d、2H)、7.71(s、2H)
13C−NMR(75MHz、CDCl3)δ(ppm)=13.94、13.98、22.35、23.35、125.50、126.71、129.01、130.08、135.41、135.61、141.47、143.09
【0238】
<実施例2>
(化合物M2の合成)
【0239】

【0240】
(工程(2a))
アルゴンガス雰囲気下、化合物M1a(18.8g、50.0mmol)、4−トルエンボロン酸(6.80g、50.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.89g、2.5mmol)、炭酸銀(27.6g、100mmol)及び脱水テトラヒドロフラン(500ml)を混合し、遮光下、室温で1時間攪拌した後、50℃に加温して更に2時間攪拌した。室温まで冷却した後に、ヘキサン(約1000ml)で希釈し、セライトを敷いたろ過器に通液することにより、不溶物を除去した。ろ液を濃縮し、得られた固体にメタノール(約1500ml)を加え、加熱還流下で30分間攪拌した後に室温まで冷却し、セライトを敷いたろ過器に通液することにより、不溶物を除去した。ろ液を濃縮し、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製することにより、目的物である化合物M2(11.76g、HPLC面積百分率(紫外線波長254nm)で>99.9%、収率69%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(300MHz、THF−d8)δ(ppm)=2.38(s、3H)、2.60(s、3H)、7.26(d、2H)、7.53(d、2H)、7.85(s、2H)
【0241】
<実施例3>
(化合物M3の合成)
【0242】

【0243】
(工程(3a))
アルゴンガス雰囲気下、化合物M2(11.22g、33.0mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(25.14g、99mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.35g、1.65mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.91g、1.65mmol)、酢酸カリウム(9.72g、99mmol)及び脱水1,4−ジオキサン(264ml)を混合し、加熱還流下で約13時間攪拌し、更に室温で10時間静置した。再び、加熱還流下で1時間攪拌した後に、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.68g、6.6mmol)を加え、加熱還流下で更に3時間攪拌した。室温まで冷却後、不溶物をろ別し、内容量が約70gになるまで濃縮してから、ヘキサン(約500ml)を加え、室温にて1時間攪拌した。この時、黒色の固体が析出した。シリカゲルを敷いたろ過器に通液することにより、不溶物を除去した。ろ液を濃縮することにより固体を析出させ、得られた固体をトルエンに加熱溶解させメタノールを加えて晶析する操作を2回繰り返すことにより、目的物である化合物M3(9.64g、HPLC面積百分率(紫外線波長254nm)で99.0%、収率67%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(300MHz、THF−d8)δ(ppm)=1.36(s,24H)、2.43(s、3H)、2.78(s、3H)、7.14(d、2H)、7.48(d、2H)、8.05(s、2H)
【0244】
<合成例1>
(化合物M4の合成)
【0245】

【0246】
(工程(4a))
アルゴンガス雰囲気下、1000mlフラスコ中、化合物M1a(22.6g、60.0mmol)を脱水テトラヒドロフラン(300ml)に溶解させた溶液に、室温にて、イソプロピルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製、濃度2.0M、60ml)を10分かけて滴下し、室温にて1時間攪拌した。氷浴にて冷却した後に、2−イソプロピルオキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(22.3g、120mmol)を加え、室温にて2時間攪拌した後に、再度氷浴にて冷却してから0.1規定塩酸(180ml)を滴下した。酢酸エチル(360ml)で抽出し、有機層を15重量%食塩水(180ml)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した。ろ液を濃縮し、メタノールを加えることで、固体を析出させた。析出した固体をろ取、減圧乾燥させることにより、中間体2,6−ジブロモ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)トルエン(16.3g、収率72%、化合物M4a)を白色結晶として得た。
1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ(ppm)=1.33(s、12H)、2.58(s、3H)、7.90(s、2H)
【0247】
(工程(4b))
アルゴンガス雰囲気下、1000mlフラスコ中、4−ブロモ−tert−ブチルベンゼン(125g、587mmol)を脱水テトラヒドロフラン(470ml)に溶解させ、−70℃に冷却したところに、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.6M、367mL、587mmol)を90分間かけて滴下し、続いて2時間攪拌することにより、4−tert−ブチルフェニルリチウム/テトラヒドロフラン溶液を調製した。
別途、アルゴンガス雰囲気下、2000mlフラスコ中、塩化シアヌル(50.8g、276mmol)を脱水テトラヒドロフラン(463mL)に溶解させ、−70℃に冷却した。これに、先に調製した4−t−ブチルフェニルリチウム/テトラヒドロフラン溶液全量を内温が−60℃以下を保持する速度で滴下した。滴下終了後、−40℃で4時間、続いて室温で4時間攪拌した。得られた反応混合物にイオン交換水(50ml)をゆっくりと加えた後に、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にイオン交換水(約1000ml)とクロロホルム(約2000ml)を加えて有機層を抽出し、更にイオン交換水(約1000ml)で有機層を洗浄した後に溶媒を減圧留去した。得られた残渣にアセトニトリル(600ml)を加え、加熱還流下で攪拌した後に、熱時濾過により不溶物をろ別した。ろ液を約100mlまで減圧濃縮し、更に70℃に冷却させることにより固体を析出させ、ろ取した。得られた固体をクロロホルム(200mL)/ヘキサン(600mL)混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン)で精製し、更にアセトニトリルから再結晶することにより、目的物である、中間体4,6−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2−クロロ−1,3,5−トリアジン(41.3g、109mmol、収率39%、化合物M4b)を白色結晶として得た。
1H−NMR (300MHz, CDCl3) 、δ(ppm)=1.39(s、18H)、7.56(d、4H)、8.54(d、4H)
LC/MS(APPI, positive) m/z+=380 [M+H]+。
【0248】
(工程(4c))
窒素ガス雰囲気下、200mlフラスコ中、化合物M4a(7.52g、20.0mmol)、化合物M4b(9.12g、24.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.32g、2.0mmol)、炭酸銀(16.5g、60mmol)及び脱水テトラヒドロフラン(160ml)を混合し、遮光下、加熱還流下で33時間攪拌した。反応終了後、トルエン(400ml)で希釈した後に不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、アセトニトリル(200ml)を加え、還流下で1時間攪拌した後に、室温まで冷却し、析出した固体をろ取、減圧乾燥させることにより、粗生成物を得た。中圧シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=98/2〜70/30)で精製した後に、トルエン−アセトニトリルで再結晶を3回繰り返すことにより、目的物である化合物M4(2.46g、HPLC面積百分率(紫外線波長254nm)で99.6%、収率21%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(300MHz、THF−d8)δ(ppm)=1.43(s、18H)、2.68(s、3H)、7.65(d、4H)、8.67(d、4H)、8.89(s、2H)
【0249】
<実施例4>
(化合物M5の合成)

【0250】
(工程(5a))
アルゴンガス雰囲気下、ディーンスターク脱水装置を取り付けた200mlフラスコ中、3,5−ジブロモ−4−メチルアニリン(5.30g、20.0mmol)、塩化銅(I)(0.99g、10mmol)、1,10−フェナントロリン(1.80g、10mmol)、水酸化カリウム(8.98g、160mmol)、4−tert−ブチルヨードベンゼン(16.1g、62mmol)及び脱水トルエン(40ml)を混合し、130℃の油浴にて加熱しながら約8時間攪拌下で還流しながら脱水した。トルエン(200ml)で希釈し、室温まで冷却した後に、セライトを敷いたろ過器に通液することにより、不溶物をろ別した。ろ液に活性白土(和光純薬社製、40g)を加え、室温にて1時間攪拌した後に固体をろ別する操作を3回繰り返した後にろ液を濃縮し、ヘキサンを加えることで固体を析出させ、ろ取した。得られた固体をトルエン−メタノールで再結晶し、更にトルエン−エタノールで再結晶し、続いて、中圧シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製した後に、再度トルエン−メタノールで再結晶することにより、目的物である化合物M5(5.70g、HPLC面積百分率(紫外線波長254nm)で>99.9%、収率54%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(300MHz、THF−d8)δ(ppm)=1.33(s、18H),2.49(s、3H),7.01(d、4H)、7.16(s、2H)、7.36(d、4H)
【0251】
<実施例5>
(化合物M6の合成)
【0252】

【0253】
(工程(6a))
アルゴンガス雰囲気下、200mlフラスコ中、化合物M1a(1.88g、5.00mmol)、N−[4’−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルバゾール(1.85g、5.00mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.29g、0.25mmol)、炭酸銀(2.76g、10mmol)及び脱水テトラヒドロフラン(50ml)を混合し、遮光下、室温で2時間攪拌した後に、更に加熱還流下で5時間攪拌した。反応終了後、トルエン(100ml)で希釈した後に、セライトを敷いたろ過器に通液することにより不溶物をろ別した。ろ液を濃縮し、中圧シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=100/0〜70/30)で精製した後に、トルエン−エタノールで再結晶し、更にトルエン−ヘキサンで再結晶することにより、目的物である化合物M6(1.13g、HPLC面積百分率(紫外線波長254nm)で99.3%、収率37%)を白色結晶として得た。
【0254】
<合成例2>
(化合物M7の合成)
【0255】

【0256】
(工程(7a))
アルゴンガス雰囲気下、1000mlフラスコ中、マグネシウム小片(19.45g、800mmol)に少量の脱水テトラヒドロフランと1,2−ジブロモエタン(1.50g、8mmol)を順次加えた。発熱と発泡により、マグネシウムが活性化されたことを確認した後に、2,6−ジブロモトルエン(49.99g、200mmol)を脱水テトラヒドロフラン(200ml)に溶解した溶液を約2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃のオイルバスにより加熱し、還流下で1時間攪拌した。オイルバスを外し、脱水テトラヒドロフラン(400ml)で希釈し、更に氷浴にて冷却してから、2−イソプロピルオキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(148.85g、800mmol)を加えた。氷浴をはずし、80℃のオイルバスで加熱することにより、還流下で1時間半攪拌した。オイルバスを外し、更に氷浴にて冷却してから、飽和塩化アンモニウム水溶液(50ml)を加え、30分間攪拌した。氷浴を外し、ヘキサン(1500ml)を加え、30分間激しく攪拌した。攪拌を停止し、そのまま15分間静置した後に、シリカゲルを敷き詰めたグラスフィルターによりろ過し、ヘキサン(1000ml)でシリカゲルを洗浄し、合一したろ液を減圧濃縮することにより粗生成物(72.0g)を得た。同様の操作を再度行い、粗生成物(75.4g)を得た。
次に、粗生成物の合計にメタノール(740ml)を加え、85℃のオイルバスを用いて1時間加熱還流下で攪拌した。オイルバスを外し、攪拌しながら室温まで冷却した後に、固体をろ取、メタノール(100ml)で洗浄、減圧乾燥させることにより、白色結晶を得た(59.7g)。乾燥させた結晶をイソプロパノール(780ml)に加熱溶解させた後、静置した状態でゆっくりと室温まで冷却することにより結晶を析出させ、ろ取、メタノール(100ml)で洗浄、50℃で一晩の間減圧乾燥させることにより、目的物である化合物M7(50.8g、HPLC面積百分率(紫外線波長254nm)で99.8%、収率37%)を白色結晶として得た。
1H−NMR(300MHz、CDCl3)δ(ppm)=1.34(s、24H)、2.74(s、3H)、7.14(t、1H)、7.79(d、2H)
【0257】
<合成例3>
(化合物CM1の精製)
【0258】

【0259】
市販の1,3−ジブロモベンゼンを減圧蒸留で精製することにより、GC面積百分率値で>99.9%の1,3−ジブロモベンゼン(化合物CM1)を得た。
【0260】
<合成例4>
(化合物CM2の合成)
【0261】

【0262】
アルゴンガス雰囲気下、300mlフラスコ中、1,4−ジヘキシル−2,5−ジブロモベンゼン(化合物CM2a、8.08g、20.0mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(12.19g、48.0mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.98g、1.2mmol)、酢酸カリウム (11.78g、120.0mmol)、及び脱水1,4−ジオキサン(100ml)を混合し、加熱還流下で6時間攪拌した。トルエン及びイオン交換水を加え、分液し、イオン交換水で洗浄した。無水硫酸ナトリウム及び活性炭を加え、セライトをプレコートした漏斗でろ過した。ろ液を濃縮し、粗生成物(11.94g)を得た。ヘキサンで再結晶し、メタノールで結晶を洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥させることにより、目的物である1,4−ジヘキシル−2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼン(4.23g、収率42%、化合物CM2)を白色針状結晶として得た。
1H−NMR(300MHz、CDCl3)、 δ=0.95(t、6H)、1.39〜1.42(bd、36H)、1.62(m、4H)、2.88(t、4H)、7.59(bd、2H)
LC/MS(ESI posi KCl添加):[M+K]+ 573
【0263】
<合成例5>
(化合物CM3の合成)
【0264】

【0265】
(工程(C3a))
アルゴンガス雰囲気下、遮光した300ml丸底フラスコ中、1,4−ジイソプロピルベンゼン(24.34g、150mmol)、鉄粉(0.838g、15mmol)、脱水クロロホルム(40ml)、トリフルオロ酢酸(1.71g、15mmol)を混合攪拌し、氷浴にて冷却したところへ、臭素(55.1g、345mmol)の脱水クロロホルム(92ml)希釈溶液を30分間かけて滴下し、氷浴にて冷却したまま、更に5時間攪拌し反応させて、反応液を得た。反応終了後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液を氷浴にて冷却したところに、前記反応液をゆっくりと加え、更に15分間攪拌した。分液により有機層と水層を分離し、水層からクロロホルム(100ml)で抽出し、得られた有機層を合一した後に、10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液(200ml)を加え、室温にて30分間攪拌した。この時、有機層の色は薄黄色からほぼ無色透明に変化した。水層を分液により除去し、得られた有機層を15重量%の食塩水(200ml)で洗浄、無水硫酸マグネシウム(30g)で乾燥させ、溶媒を減圧濃縮により留去することで、薄黄色油状物約47gを得た。エタノール(15g)を加え、振り混ぜて均一にした後に、−10℃の冷凍庫に3時間静置することで、結晶を析出させ、ろ取、少量のメタノールで洗浄、室温にて一晩の間減圧乾燥させることにより目的物である1,4−ジブロモ−2,5-ジイソプロピルベンゼン(30.8g、収率64%、化合物CM3a)を白色結晶として得た。
1H−NMR(300MHz、CDCl3)、 δ=1.24(d、12H)、3.30(m、2H)、7.50(s、2H)
【0266】
(工程(C3b))
アルゴンガス雰囲気下、1000mlフラスコ中、マグネシウム小片(9.724g、400mmol)に少量の脱水テトラヒドロフランと1,2−ジブロモエタン(0.75g、4mmol)を順次加えた。発熱と発泡により、マグネシウムが活性化されたことを確認した後に、前記化合物CM3a(32.0g、100mmol)を脱水テトラヒドロフラン(100ml)に溶解した溶液を約1時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃のオイルバスにより加熱し、還流下で1時間攪拌した。オイルバスを外し、脱水テトラヒドロフラン(200ml)で希釈し、更に氷浴により冷却してから、2−イソプロピルオキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(74.4g、400mmol)を加えた。氷浴をはずし、80℃のオイルバスで加熱することにより、還流下で1時間半攪拌した。オイルバスを外し、更に氷浴により冷却してから、飽和塩化アンモニウム水溶液(25ml)を加え、30分間攪拌した。氷浴を外し、ヘキサン(2000ml)を加え、30分間激しく攪拌した。攪拌を停止し、そのまま15分間静置した後に、シリカゲルを敷き詰めたグラスフィルターによりろ過、シリカゲルをヘキサン(1000ml)で洗浄し、合一したろ液を減圧濃縮することにより粗生成物(59.0g)を得た。同様の操作を上記の8割のスケールで行うことにより、粗生成物(44.8g)を得た。
粗生成物合計(103.8g)にメタノール(520ml)を加え、75℃のオイルバスを用いて1時間加熱還流下で攪拌した。オイルバスを外し攪拌しながら室温まで冷却した後に、固体をろ取、メタノール(100ml)で洗浄、減圧乾燥させることにより、白色結晶を得た(48.8g、HPLC面積百分率(紫外線波長254nm)で93.3%)。乾燥させた結晶をイソプロパノール(690ml)に加熱溶解させた後、静置した状態でゆっくりと室温まで冷却することにより結晶を析出させ、ろ取、メタノール(50ml)で洗浄、50℃で一晩の間減圧乾燥させることにより、目的物である1,4−ジイソプロピル−2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンを白色結晶として得た(44.6g、HPLC面積百分率(紫外線波長254nm)で99.8%、収率60%、化合物CM3)。
1H−NMR(300MHz、CDCl3)、 δ=1.23(d、12H),1.34(s、24H)、3.58(m、2H)、7.61(s、2H)
【0267】
<合成例6>
(発光材料EM−B:イリジウム錯体の合成(WO02/066552に記載の合成法))
不活性ガス雰囲気下、2−ブロモピリジンと、1.2当量の3−ブロモフェニルホウ酸とのSuzukiカップリング(触媒:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩基:2M炭酸ナトリウム水溶液、溶媒:エタノール、トルエン)により、下記式:

で表される2−(3'−ブロモフェニル)ピリジンを得た。
【0268】
次に、不活性ガス雰囲気下、トリブロモベンゼンと、2.2当量の4−tertブチルフェニルホウ酸とのSuzukiカップリング(触媒:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩基:2M炭酸ナトリウム水溶液、溶媒:エタノール、トルエン)により下記式:

で表されるブロモ化合物を得た。
【0269】
不活性ガス雰囲気下、このブロモ化合物を、無水THFに溶解後、−78℃に冷却し、やや過剰のtert−ブチルリチウムを滴下した。冷却下、更に、B(OC493を滴下し、室温にて反応させた。得られた反応液を3M塩酸水で後処理したところ、下記式:

で表されるホウ酸化合物を得た。
【0270】
不活性ガス雰囲気下、2−(3'−ブロモフェニル)ピリジンと、1.2当量の前記ホウ酸化合物とのSuzukiカップリング(触媒:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩基:2M炭酸ナトリウム水溶液、溶媒:エタノール、トルエン)により、下記式:

で表される配位子(即ち、配位子となる化合物)を得た。
【0271】
アルゴン雰囲気下、前記配位子と、4当量のIrCl3・3H2O、2−エトキシエタノール、イオン交換水を仕込み還流させた。析出した固体を吸引濾過した。得られた固体をエタノール、イオン交換水の順番で洗浄後、乾燥させ、下記式:

で表される黄色粉体を得た。
【0272】
アルゴン雰囲気下、前記黄色粉体に、2当量の前記配位子を加え、グリコール系溶媒中で加熱することにより、下記式:

で表されるイリジウム錯体(発光材料EM−B)を得た。
1H NMR (300MHz , CHCl3)
δ 1.38 (s, 54 H), δ 6.93 (dd, J = 6.3, 6.6 Hz, 3 H), δ 7.04 (br, 3 H), δ 7.30 (d, J = 7.9 Hz, 3 H), δ 7.48 (d, J = 7.3 Hz, 12 H), δ 7.61-7.70 (m, 21 H), δ 7.82 (s, 6 H) , δ 8.01 (s, 3 H) , δ 8.03 (d, J = 7.9 Hz, 3 H).
LC/MS(APCI posi):[M+H]+ 1677
【0273】
<実施例6>
(高分子化合物P1の合成)
窒素雰囲気下、100mlフラスコ中、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(530.5mg、1.000mmol)、化合物M1(382mg、1.00mmol)、及びトルエン(10ml)の混合物を90℃に加熱し、酢酸パラジウム(0.7mg、3μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(2.1mg、6μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(3.3ml、4.7mmol)を加え、更に加熱することにより還流下で、約30時間攪拌した。
次にベンゼンボロン酸(0.12g、1.0mmol)、酢酸パラジウム(0.3mg、1.5μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(2.1mg、6μmol)を加え105℃に加熱しながら約8時間還流下で攪拌した。
更に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(0.61g)をイオン交換水(6ml)に溶解した溶液を加え85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約13ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約13ml)で2回、イオン交換水(約13ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン(31ml)に溶解し、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(155ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ、高分子化合物(0.38g、高分子化合物P1)を得た。高分子化合物P1のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=1.9×104、Mw=3.4×104であり、ガラス転移温度は124℃であり、薄膜の蛍光ピーク波長は404nmであった。高分子化合物P1は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有する交互共重合体と推定される。
【0274】

【0275】
<実施例7>
(高分子化合物P2の合成)
窒素雰囲気下、200mlフラスコ中、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(963.2mg、1.499mmol)、化合物M2(510.1mg、1.500mmol)、及びトルエン(15ml)の混合物を90℃に加熱し、酢酸パラジウム(0.5mg、2.3μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(3.2mg、9μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(5ml、7mmol)を加え、更に加熱することにより還流下で、約25時間攪拌した。
次にトルエン(15ml)に溶解したベンゼンボロン酸(18.3mg、0.150mmol)、酢酸パラジウム(0.5mg、2.3μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(3.2mg、9μmol)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336、アルドリッチ製)(0.19g)、17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液(8.2ml)を加え105℃に加熱しながら約21時間還流下で攪拌した。
更に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(0.91g)をイオン交換水(9ml)に溶解した溶液を加え85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約20ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約20ml)で2回、イオン交換水(約20ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン(47ml)に溶解し、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(233ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ、高分子化合物(0.67g、高分子化合物P2)を得た。高分子化合物P2のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=3.1×104、Mw=9.0×104であり、ガラス転移温度は189℃であり、薄膜の蛍光ピーク波長は402nmであった。高分子化合物P2は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有する交互共重合体と推定される。
【0276】

【0277】
<実施例8>
(高分子化合物P3の合成)
窒素雰囲気下、200mlフラスコ中、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(1.5915g、3.000mmol)、化合物M5(1.5881g、3.000mmol)、及びトルエン(30ml)の混合物を90℃に加熱し、酢酸パラジウム(1.0mg、4.5μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6.3mg、18μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(10ml、14mmol)を加え、更に加熱することにより還流下で、約20時間攪拌した。
次に、ベンゼンボロン酸(0.366g、3.0mmol)、酢酸パラジウム(1.0mg、4.5μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6.3mg、18μmol)を加え105℃に加熱しながら約4時間還流下で攪拌した。
次に、ブロモベンゼン(0.66g、4.2mmol)、酢酸パラジウム(1.0mg、4.5μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6.3mg、18μmol)を加え105℃に加熱しながら約4時間還流下で攪拌した。
更に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(1.83g)をイオン交換水(18ml)に溶解した溶液を加え85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約40ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約40ml)で2回、イオン交換水(約40ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン(93ml)に溶解し、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(465ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ、高分子化合物(1.87g、高分子化合物P3)を得た。高分子化合物P3のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=1.7×104、Mw=3.2×104であり、ガラス転移温度は137℃であり、薄膜の蛍光ピーク波長は413nmであった。高分子化合物P3は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有する交互共重合体と推定される。
【0278】

【0279】
<実施例9>
(高分子化合物P4の合成)
窒素雰囲気下、200mlフラスコ中、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(1.2851mg、2.000mmol)、化合物CM2a(646.8mg、1.600mmol)、化合物M5(211.7mg、0.400mmol)、及びトルエン(40ml)の混合物を90℃に加熱し、酢酸パラジウム(0.9mg、4μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(5.6mg、16μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(6.6ml、9.4mmol)を加え、更に加熱することにより還流下で、約6時間攪拌した。
次に、トルエン(20ml)に溶解したベンゼンボロン酸(25.7mg、0.200mmol)、酢酸パラジウム(0.9mg、4μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(5.6mg、16μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(6.6ml、9.4mmol)を加え105℃に加熱しながら約16時間還流下で攪拌した。
更に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(1.22g)をイオン交換水(20ml)に溶解した溶液を加え85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約26ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約26ml)で2回、イオン交換水(約26ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン(62ml)に溶解し、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(310ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ、高分子化合物(1.14g、高分子化合物P4)を得た。高分子化合物P4のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=4.5×104、Mw=8.5×105であり、ガラス転移温度は56℃であり、薄膜の蛍光ピーク波長は405nmであった。高分子化合物P4は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有し、(PA)の構成単位と(PB)から選ばれる構成単位とが交互に重合したポリマーと推定される。
【0280】

【0281】
<実施例10>
(高分子化合物P5の合成)
窒素雰囲気下、200mlフラスコ中、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(1.2851mg、2.000mmol)、化合物CM2a(646.8mg、1.600mmol)、化合物M4(238.3mg、0.400mmol)、及びトルエン(40ml)の混合物を90℃に加熱し、酢酸パラジウム(0.9mg、4μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(5.6mg、16μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(6.6ml、9.4mmol)を加え、更に加熱することにより還流下で、約6時間攪拌した。
次に、トルエン(20ml)に溶解したベンゼンボロン酸(25.7mg、0.200mmol)、酢酸パラジウム(0.9mg、4μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(5.6mg、16μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(6.6ml、9.4mmol)を加え105℃に加熱しながら約16時間還流下で攪拌した。
更に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(1.22g)をイオン交換水(20ml)に溶解した溶液を加え、85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約26ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約26ml)で2回、イオン交換水(約26ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン(62ml)に溶解し、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(310ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ、高分子化合物(1.14g、高分子化合物P5)を得た。高分子化合物P5のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=5.6×104、Mw=1.2×105であり、ガラス転移温度は75℃であり、薄膜の蛍光ピーク波長は403nmであった。高分子化合物P5は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有し、(PA)の構成単位と(PB)から選ばれる構成単位とが交互に重合したポリマーと推定される。
【0282】

【0283】
<実施例11>
(高分子化合物P6の合成)
窒素雰囲気下、200mlフラスコ中、化合物CM2(797.4mg、1.600mmol)、化合物M3(173.7mg、0.400mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(658.1mg、1.200mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ビス(4−メチルフェニル)フルオレン(201.7mg、0.400mmol)、4,4’−ジブロモ−4’’−sec−ブチルトリフェニルアミン(183.7mg、0.400mmol)及びトルエン(40ml)の混合物を90℃に加熱し、酢酸パラジウム(0.9mg、4μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(5.6mg、16μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(6.6ml、9.4mmol)を加え、更に加熱することにより還流下で、約6時間攪拌した。
次に、トルエン(20ml)に溶解したベンゼンボロン酸(25.7mg、0.200mmol)、酢酸パラジウム(0.9mg、4μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(5.6mg、16μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(6.6ml、9.4mmol)を加え105℃に加熱しながら約16時間還流下で攪拌した。
更に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(1.22g)をイオン交換水(20ml)に溶解した溶液を加え85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約26ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約26ml)で2回、イオン交換水(約26ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン(62ml)に溶解し、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(310ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ、高分子化合物(0.99g、高分子化合物P6)を得た。高分子化合物P6のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=4.0×104、Mw=7.5×104であり、ガラス転移温度は90℃であり、薄膜の蛍光ピーク波長は402nmであった。高分子化合物P6は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有し、(PA)から選ばれる構成単位と(PB)から選ばれる構成単位とが交互に重合したポリマーと推定される。
【0284】

【0285】
<実施例12>
(高分子化合物P7の合成)
窒素雰囲気下、200mlフラスコ中、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(771.1mg、1.200mmol)、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジヘキシルフルオレン(142.3mg、0.300mmol)、化合物CM2a(303.2mg、0.750mmol)、化合物M2(102.1mg、0.300mmol)、化合物M4(178.7mg、0.300mmol)、化合物M5(79.4mg、0.150mmol)、及びトルエン(30ml)の混合物を90℃に加熱し、酢酸パラジウム(0.7mg、3μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.2mg、12μmol)、10重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(10ml、7mmol)を加え、更に加熱することにより還流下で、約16時間攪拌した。
次に、トルエン(15ml)に溶解したベンゼンボロン酸(19.3mg、0.150mmol)、酢酸パラジウム(0.7mg、3μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.2mg、12μmol)、10重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(10ml、7mmol)を加え、105℃に加熱しながら約9時間還流下で攪拌した。
更に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(0.91g)をイオン交換水(16ml)に溶解した溶液を加え85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約20ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約20ml)で2回、イオン交換水(約20ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン(47ml)に溶解し、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(233ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ、高分子化合物(0.77g、高分子化合物P7)を得た。高分子化合物P7のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=2.2×104、Mw=4.0×104であり、ガラス転移温度は117℃であり、薄膜の蛍光ピーク波長は406nmであった。高分子化合物P7は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有し、(PA)から選ばれる構成単位と(PB)から選ばれる構成単位とが交互に重合したポリマーと推定される。
【0286】

【0287】
<実施例13>
(高分子化合物P8の合成)
窒素雰囲気下、200mlフラスコ中、化合物CM3(1.288g、3.111mmol)、化合物M7(260.9mg、0.760mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(2.009mg、3.550mmol)、4,4’−ジブロモ−4’’−sec−ブチルトリフェニルアミン(0.104mg、0.230mmol)、トルエン(38ml)、酢酸パラジウム(0.85mg、3.8μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(5.3mg、15μmol)、及び20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(12.8ml、18mmol)を還流下で、約21時間攪拌した。
次に、トルエン(5.7ml)に溶解したベンゼンボロン酸(46.5mg、0.4mmol)、酢酸パラジウム(0.85mg、3.8μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(5.3mg、15μmol)を加え、105℃に加熱しながら約15時間還流下で攪拌した。
更に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(2.1g)をイオン交換水(42ml)に溶解した溶液を加え85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約50ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約50ml)で2回、イオン交換水(約50ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン(117ml)に溶解し、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(585ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ、高分子化合物(1.73g、高分子化合物P8)を得た。高分子化合物P8のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=5.1×104、Mw=1.2×105であり、ガラス転移温度は108℃であり、薄膜の蛍光ピーク波長は396nmであった。高分子化合物P8は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有し、(PA)から選ばれる構成単位と(PB)から選ばれる構成単位とが交互に重合したポリマーと推定される。
【0288】

【0289】
<合成例7>
(高分子化合物CP1の合成)
窒素雰囲気下、100mlフラスコ中、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(795.8mg、1.500mmol)、化合物CM1(354mg、1.50mmol)、及びトルエン(15ml)の混合物を90℃に加熱し、酢酸パラジウム(1.0mg、4.5μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(3.2mg、9μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(5ml、7mmol)を加え、更に加熱することにより還流下で、約21時間攪拌した。
次に、トルエン(15ml)に溶解したベンゼンボロン酸(18.3mg、0.150mmol)、酢酸パラジウム(0.5mg、2.3μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(3.2mg、9μmol)を加え、105℃に加熱しながら約8時間還流下で攪拌した。
更に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(0.91g)をイオン交換水(9ml)に溶解した溶液を加え85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約20ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約20ml)で2回、イオン交換水(約20ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン(47ml)に溶解し、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(233ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ、高分子化合物(0.57g、高分子化合物CP1)を得た。高分子化合物CP1のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=3.0×104、Mw=7.0×104であり、ガラス転移温度は89℃であり、薄膜の蛍光ピーク波長は397nm及び415nmであった。高分子化合物CP1は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有する交互共重合体と推定される。
【0290】

【0291】
<合成例8>
(高分子化合物CP2の合成)
窒素雰囲気下、100mlフラスコ中、化合物CM2(1.4731g、2.955mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(1.6980g、3.000mmol)、及びトルエン(30ml)の混合物を90℃に加熱し、酢酸パラジウム(1.0mg、4.5μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6.3mg、18μmol)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(10ml、14mmol)を加え、更に加熱することにより還流下で、約20時間攪拌した。
次に、ベンゼンボロン酸(0.37g、3mmol)、酢酸パラジウム(1.0mg、4.5μmol)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(6.3mg、18μmol)を加え105℃に加熱しながら約8時間還流下で攪拌した。
更に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(1.83g)をイオン交換水(18ml)に溶解した溶液を加え85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約40ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約40ml)で2回、イオン交換水(約40ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ固体を得た。この固体をトルエン(93ml)に溶解し、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(465ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させ、高分子化合物(1.50g、高分子化合物CP2)を得た。高分子化合物CP2のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=5.1×104、Mw=1.1×105であり、薄膜の蛍光ピーク波長は395nmであった。なお、明確なガラス転移温度は測定されず、測定条件から考慮して30℃より低い温度であると推測される。高分子化合物CP2は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有する交互共重合体と推定される。
【0292】

【0293】
<合成例9>
(高分子化合物CP3の合成)
不活性雰囲気下、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(5.20g)、4,4’−ジブロモ−4’’−sec−ブチルトリフェニルアミン(5.42g)、酢酸パラジウム(2.2mg)、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン(15.1mg)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336(アルドリッチ製)、0.91g)及びトルエン(70ml)を混合し、105℃に加熱した。反応液に炭酸ナトリウム水溶液(2mol/l、19ml)を滴下し、4時間還流させた。反応後、ベンゼンボロン酸(121mg)を加え、更に3時間還流させた。次いで、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物の水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、得られた反応液を、水(60ml)で3回、3重量%酢酸水溶液(60ml)で4回、水(60ml)で3回洗浄し、得られたトルエン溶液を、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(約3000ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させ、高分子化合物(5.25g、高分子化合物CP3)を得た。高分子化合物CP3のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=1.2×105、Mw=2.6×105であり、ガラス転移温度は89℃であった。高分子化合物CP3は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有する交互共重合体と推定される。
【0294】

【0295】
<合成例10>
(電子輸送材料ET−Aの合成)
【0296】

【0297】
窒素雰囲気下、トリフルオロメタンスルホン酸 100g(0.653mmol)を仕込み、室温で攪拌した。得られた反応液に、4−ブロモベンゾニトリル 61.93g(0.327mmol)を脱水クロロホルム 851mlに溶かした溶液を、滴下して加えた。得られた溶液を95℃まで昇温し、加熱しながら攪拌した後、室温まで冷却し、そこに、希アンモニア水溶液を氷浴下で加えた。得られた固体を濾別し、水洗後、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧しながら乾燥させ、白色結晶47.8gを得た。
【0298】

【0299】
窒素雰囲気下、得られた白色結晶8.06g(14.65mmol)、4−t−ブチルフェニルボロン酸9.15g(49.84mmol)、Pd(PPh34 1.54g(1.32mmol)、予め窒素バブリングしたトルエン500ml、及び予め窒素バブリングしたエタノール47.3mlを仕込み、攪拌し、加熱して、還流させた。得られた反応液に、予め窒素バブリングした2M炭酸ナトリウム水溶液47.3mlを滴下し、更に加熱して、還流させた。得られた反応液を、放冷後、分液し、水層を除去し、有機層を、希塩酸、水の順番で洗浄、分液した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムに通し、得られた濾液にアセトニトリルを加えた。得られた結晶を減圧しながら乾燥させ、8.23gの白色結晶(以下、「電子輸送材料ET−A」と言う。)を得た。
1H−NMR(270MHz/CDCl3):
δ1.39(s、27H)、7.52(d、6H)、7.65(d、6H)、7.79(d、6H)、8.82(d、6H)
【0300】
<PLQY(フォトルミネッセンス量子収率)測定>
実施例14〜28、実施例39、40、比較例1〜5において、PLQYは、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、商品名:C9920−02)を用い、励起中心波長325nm、励起波長範囲315〜335nm、測定波長範囲390〜800nm(条件A)、及び460〜800nm(条件B)にて測定した。この時、条件Aは組成物全体のPLQYを測定するものであり、条件Bは組成物に含有される発光色として緑色を呈する発光材料に由来するPLQYを測定するものと考えられる。よって、条件Bにより測定されたPLQY値の、条件Aにより測定されたPLQY値に対する比率を求めることにより、添加された発光材料による発光の割合の指標となると考えられる。
【0301】
<実施例14>
前記高分子化合物P1に、下記式:

で表される発光材料EM−A((Iridium (III) tris(2-(4-tolyl)pyridinato-N,C2)、アメリカンダイソース社製、商品名:ADS066GE)を5重量%添加した組成物の0.8重量%キシレン溶液を調製した。この溶液を石英基板上に回転速度1000rpmのスピンコートにて塗布することにより上記組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは66%(条件A)、55%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.83であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.25,0.55)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表4に示す。
【0302】
<実施例15>
実施例14において、高分子化合物P1を高分子化合物P2に代えた以外は、実施例14と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは58%(条件A)、56%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.96であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.27,0.61)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表4に示す。
【0303】
<実施例16>
実施例14において、高分子化合物P1を高分子化合物P3に代えた以外は、実施例14と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは33%(条件A)、31%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.95であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.26,0.58)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表4に示す。
【0304】
<実施例17>
実施例14において、高分子化合物P1を高分子化合物P4に代えた以外は、実施例14と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは46%(条件A)、39%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.84であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.25,0.54)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表4に示す。
【0305】
<実施例18>
実施例14において、高分子化合物P1を高分子化合物P5に代えた以外は、実施例14と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは53%(条件A)、46%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.86であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.25,0.57)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表4に示す。
【0306】
<実施例19>
実施例14において、高分子化合物P1を高分子化合物P6に代えた以外は、実施例14と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは56%(条件A)、52%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.92であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.29,0.59)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表4に示す。
【0307】
<実施例20>
実施例14において、高分子化合物P1を高分子化合物P7に代えた以外は、実施例14と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは46%(条件A)、43%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.93であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.26,0.58)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表4に示す。
【0308】
<比較例1>
実施例14において、高分子化合物P1を高分子化合物CP1に代えた以外は、実施例14と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは2.9%(条件A)、1.3%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.44と低かった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.24、0.26)であり、該薄膜は青緑色発光を示した。このように、色度からも、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合が低いことが確認された。これらの結果を表4に示す。
【0309】
<比較例2>
実施例14において、高分子化合物P1を高分子化合物CP2に代えた以外は、実施例14と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは56%(条件A)、22%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.40と低かった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.23、0.42)であり、該薄膜は青緑色発光を示した。このように、色度からも、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合が低いことが確認された。これらの結果を表4に示す。
【0310】
<比較例3>
実施例14において、高分子化合物P1をPMMA(ポリメタクリル酸メチル)に代えた以外は、実施例14と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは15%(条件A)、15%(条件B)であり、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は1.00であり、該薄膜から得られた発光として、発光材料EM−A単独での発光が得られていることが確認された。また、該薄膜の発光スペクトルより求めたフォトルミネッセンスピーク波長は525nmであり、色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.35、0.60)であり、該薄膜は緑色発光を示した。これらの結果を表4に示す。
【0311】
【表4】

【0312】
<実施例21>
高分子化合物P1に、発光材料EM−Bを5重量%添加した組成物の0.8重量%キシレン溶液を調製した。この溶液を石英基板上に回転速度1000rpmのスピンコートにて塗布することにより上記組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは69%(条件A)、65%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Bに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.95であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.29,0.62)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表5に示す。
【0313】
<実施例22>
実施例21において、高分子化合物P1を高分子化合物P2に代えた以外は、実施例21と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは68%(条件A)、66%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Bに由来する発光の割合の指標となるその比率は、0.96であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.29,0.62)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表5に示す。
【0314】
<実施例23>
実施例21において、高分子化合物P1を高分子化合物P3に代えた以外は、実施例21と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは58%(条件A)、56%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Bに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.96であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.28,0.61)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表5に示す。
【0315】
<実施例24>
実施例21において、高分子化合物P1を高分子化合物P4に代えた以外は、実施例21と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは73%(条件A)、70%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Bに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.96であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.28,0.62)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表5に示す。
【0316】
<実施例25>
実施例21において、高分子化合物P1を高分子化合物P5に代えた以外は、実施例21と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは74%(条件A)、71%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Bに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.96であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.28,0.63)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表5に示す。
【0317】
<実施例26>
実施例21において、高分子化合物P1を高分子化合物P6に代えた以外は、実施例21と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは73%(条件A)、70%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Bに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.96であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.28,0.62)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表5に示す。
【0318】
<実施例27>
実施例21において、高分子化合物P1を高分子化合物P7に代えた以外は、実施例21と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは64%(条件A)、62%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Bに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.97であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.28,0.62)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表5に示す。
【0319】
<実施例28>
実施例21において、高分子化合物P1を高分子化合物P8に代えた以外は、実施例21と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは69%(条件A)、66%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Bに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.95であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.28,0.62)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。これらの結果を表5に示す。
【0320】
<比較例4>
実施例21において、高分子化合物P1を高分子化合物CP1に代えた以外は、実施例21と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは5.4%(条件A)、3.5%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.64と低かった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.26、0.43)であり、該薄膜は青緑色発光を示した。このように、色度からも、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Bに由来する発光の割合が低いことが確認された。これらの結果を表5に示す。
【0321】
<比較例5>
実施例21において、高分子化合物P1をPMMA(ポリメタクリル酸メチル)に代えた以外は、実施例21と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは48%(条件A)、48%(条件B)であり、発光材料EM−Bに由来する発光の割合の指標となるその比率は1.00であり、該薄膜から得られた発光として、発光材料EM−B単独での発光が得られていることが確認された。また、該薄膜の発光スペクトルより求めたフォトルミネッセンスピーク波長は525nmであり、色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.33、0.62)であり、該薄膜は緑色発光を示した。これらの結果を表5に示す。
【0322】
【表5】

【0323】
<実施例29>
(組成物MP1及びその溶液の調製)
高分子化合物P1と発光材料EM−Bとを重量比70:30で混合してなる組成物MP1をキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.6重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液」と言う。
【0324】
(発光素子DP1の作製)
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社製、商品名:BaytronP AI4083)を用いてスピンコートにより65nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で、200℃で10分間乾燥させた。次に、高分子化合物CP3の0.7重量%キシレン溶液を用いてスピンコートにより3000rpmの回転速度で成膜し、窒素ガス雰囲気化ホットプレート上で180℃で60分間乾燥させた。膜厚は約20nmであった。次に、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液を用いてスピンコートにより1600rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約100nmであった。これを窒素ガス雰囲気下ホットプレート上で130℃で10分間乾燥させた後、陰極としてバリウムを約4nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、発光素子DP1を作製した。素子構成は、ITO/BaytronP(65nm)/組成物MP1/Ba(4nm)/Al(80nm)となる。なお、真空度が1×10-4Pa以下に到達した後、金属の蒸着を開始した。
発光素子DP1に電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は33.4cd/Aであり、そのときの電圧は10.0Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は8.6Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.32,0.62)であり、発光効率29.5cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は18時間であった。これらの結果を表6に示す。
【0325】
<実施例30>
(組成物MP4及びその溶液の調製)
高分子化合物P4と発光材料EM−Bとを重量比70:30で混合してなる組成物MP4をキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.3重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP4の2.3重量%キシレン溶液」と言う。
【0326】
(発光素子DP4の作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MP4の2.3重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから2000rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DP4を作製した。発光素子DP4に電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は27.1cd/Aであり、そのときの電圧は10.8Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は9.4Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.33,0.62)であり、発光効率25.4cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は8.4時間であった。これらの結果を表6に示す。
【0327】
<実施例31>
(組成物MP5及びその溶液の調製)
高分子化合物P5と発光材料EM−Bとを重量比70:30で混合してなる組成物MP5をキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.2重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP5の2.2重量%キシレン溶液」と言う。
【0328】
(発光素子DP5の作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MP5の2.2重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから1800rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DP5を作製した。発光素子DP5に電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は28.2cd/Aであり、そのときの電圧は5.4Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は7.3Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.32,0.62)であり、発光効率27.2cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は15時間であった。これらの結果を表6に示す。
【0329】
<実施例32>
(組成物MP7及びその溶液の調製)
高分子化合物P7と発光材料EM−Bとを重量比70:30で混合してなる組成物MP7をキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.6重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP7の2.6重量%キシレン溶液」と呼ぶ。
【0330】
(発光素子DP7の作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MP7の2.6重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから1800rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DP7を作製した。発光素子DP7に電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は37.1cd/Aであり、そのときの電圧は7.4Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は7.1Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.32,0.63)であり、発光効率36.9cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は13時間であった。これらの結果を表6に示す。
【0331】
<実施例33>
(組成物MP8及びその溶液の調製)
高分子化合物P8と発光材料EM−Bとを重量比70:30で混合してなる組成物MP8をキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.2重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP8の2.2重量%キシレン溶液」と言う。
【0332】
(発光素子DP8の作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MP8の2.2重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから2000rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DP8を作製した。発光素子DP8に電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は34.6cd/Aであり、そのときの電圧は11.6Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は10.8Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.32,0.63)であり、発光効率34.5cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は19時間であった。これらの結果を表6に示す。
【0333】
<比較例6>
(組成物MCP1及びその溶液の調製)
高分子化合物CP1と発光材料EM−Bとを重量比70:30で混合してなる組成物MCP1をキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が1.3重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MCP1の1.3重量%キシレン溶液」と言う。
【0334】
(発光素子DCP1の作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MCP1の1.3重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから800rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DCP1を作製した。
発光素子DCP1に電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は10.2cd/Aであり、そのときの電圧は7.6Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は8.4Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.33,0.62)であり、発光効率9.7cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は4.7時間であった。これらの結果を表6に示す。
【0335】
【表6】

【0336】
<実施例34>
(組成物MP1B及びその溶液の調製)
高分子化合物P1、発光材料EM−B、及び電子輸送材料ET−Aを重量比44:30:26で混合してなる組成物MP1Bをキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.6重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP1Bの2.6重量%キシレン溶液」と言う。
【0337】
(発光素子DP1Bの作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MP1Bの2.6重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから1200rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DP1Bを作製した。発光素子DP1Bに電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は39.9cd/Aであり、そのときの電圧は6.6Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は5.3Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.33,0.62)であり、発光効率39.3cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は215時間であった。これらの結果を表7に示す。
【0338】
<実施例35>
(組成物MP4B及びその溶液の調製)
高分子化合物P4、発光材料EM−B、及び電子輸送材料ET−Aを重量比44:30:26で混合してなる組成物MP4Bをキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.3重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP4Bの2.3重量%キシレン溶液」と言う。
【0339】
(発光素子DP4Bの作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MP4Bの2.3重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから1450rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DP4Bを作製した。発光素子DP4Bに電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は35.6cd/Aであり、そのときの電圧は6.2Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は5.6Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.33,0.62)であり、発光効率35.2cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は61時間であった。これらの結果を表7に示す。
【0340】
<実施例36>
(組成物MP6B及びその溶液の調製)
高分子化合物P6、発光材料EM−B、及び電子輸送材料ET−Aとを重量比44:30:26で混合してなる組成物MP6Bをキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.4重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP6Bの2.4重量%キシレン溶液」と言う。
【0341】
(発光素子DP6Bの作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MP6Bの2.4重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから1400rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DP6Bを作製した。発光素子DP6Bに電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は39.2cd/Aであり、そのときの電圧は6.0Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は5.4Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.32,0.62)であり、発光効率37.7cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は62時間であった。これらの結果を表7に示す。
【0342】
<実施例37>
(組成物MP8B及びその溶液の調製)
高分子化合物P8、発光材料EM−B、及び電子輸送材料ET−Aを重量比44:30:26で混合してなる組成物MP8Bをキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.1重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP8Bの2.1重量%キシレン溶液」と言う。
【0343】
(発光素子DP8Bの作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MP8Bの2.1重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから1300rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DP8Bを作製した。発光素子DP8Bに電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は34.7cd/Aであり、そのときの電圧は6.2Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は5.9Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.33,0.62)であり、発光効率34.5cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は91時間であった。これらの結果を表7に示す。
【0344】
<比較例7>
(組成物MCP1B及びその溶液の調製)
高分子化合物CP1、発光材料EM−B、及び電子輸送材料ET−Aを重量比40:30:30で混合してなる組成物MCP1Bをキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.4重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MCP1Bの2.4重量%キシレン溶液」と言う。
【0345】
(発光素子DCP1Bの作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MCP1Bの2.4重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから1400rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DCP1Bを作製した。発光素子DCP1Bに電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は18.6cd/Aであり、そのときの電圧は5.0Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は5.4Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.33,0.62)であり、発光効率17.9cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は14時間であった。これらの結果を表7に示す。
【0346】
【表7】

【0347】
<合成例11>
(化合物CM4の合成)
【0348】

【0349】
窒素雰囲気下、1,4−ジブロモベンゼン(27.1g)の脱水ジエチルエーテル(217ml)溶液をドライアイス/メタノール混合浴を用いて冷却した。得られた懸濁液に2.77Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(37.2ml)をゆっくりと滴下した後、1時間攪拌し、リチウム試薬を調製した。
窒素雰囲気下、塩化シアヌル(10.0g)の脱水ジエチルエーテル(68ml)懸濁液をドライアイス/メタノール混合浴を用いて冷却し、前記リチウム試薬をゆっくり加えた後に室温まで昇温し、室温で反応させた。得られた生成物を濾過し、減圧乾燥させた。得られた固体(16.5g)を精製し、13.2gの針状結晶を得た。
【0350】

【0351】
窒素雰囲気下、マグネシウム(1.37g)に脱水テトラヒドロフラン(65ml)を加えた懸濁液に、4−ドデシルブロモベンゼン(14.2g)の脱水テトラヒドロフラン(15ml)溶液を少量ずつ加え、加熱して、還流下で攪拌した。放冷後、反応液にマグネシウム(0.39g)を追加し、再び加熱して、還流下で反応させ、グリニャール試薬を調製した。
窒素雰囲気下、前記針状結晶(12.0g)の脱水テトラヒドロフラン(100ml)懸濁液に前記グリニャール試薬を撹拌しながら加え、加熱還流させた。放冷後、反応液を、希塩酸水溶液で洗浄した。有機層と水層を分け、水層をジエチルエーテルで抽出した。得られた有機層を合わせて、再び水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水させた後、濾過し、濃縮した。得られた白色固体をシリカゲルカラムで精製し、更に再結晶することによって、白色固体として化合物CM4を6.5g得た。
【0352】
<実施例38>
(高分子化合物P9の合成)
窒素雰囲気下、200mLセパラブルフラスコに、化合物CM3(1.560g)、化合物M7(0.324g)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(2.066g)、化合物CM4(0.598g)及びトルエン(50ml)の混合物を90℃に入れた後に、加熱し、酢酸パラジウム(1.7mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(10.0mg)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(16ml)を加え、更に加熱して、還流下で、約21時間攪拌した。
次に、ベンゼンボロン酸(58mg)、酢酸パラジウム(1.6mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(10.1mg)、及び、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(16ml)を加え、105℃に加熱しながら約20時間還流下で攪拌した。
水層を分液により除去した後に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(2.62g)をイオン交換水(52ml)に溶解した溶液を加え、85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約50ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約50ml)で2回、イオン交換水(約50ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させることにより、固体を得た。この固体をトルエン(約100ml)に溶解させ、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(約300ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させることにより、高分子化合物(1.98g、高分子化合物P9)を得た。高分子化合物P9のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=9.2×104、Mw=2.8×105であり、ガラス転移温度は123℃であり、薄膜の蛍光ピーク波長は396nmであった。高分子化合物P9は、単量体の仕込み比から以下の構成単位及びモル比率を有し、更に(PA)から選ばれる構成単位と(PB)から選ばれる構成単位とが交互に重合したポリマーと推定される。
【0353】

【0354】
<実施例39>
実施例14において、高分子化合物P1を高分子化合物P9に代えた以外は、実施例14と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは48%(条件A)、46%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Aに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.96であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.29,0.59)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。
【0355】
<実施例40>
実施例21において、高分子化合物P1を高分子化合物P9に代えた以外は、実施例21と同様にして、組成物の薄膜を作製し、この薄膜のPLQYを測定した。その結果、該薄膜のPLQYは61%(条件A)、59%(条件B)であり、該薄膜から得られた発光における、発光材料EM−Bに由来する発光の割合の指標となるその比率は0.97であった。また、該薄膜の発光スペクトルより求めた色度座標C.I.E.1931は、(x,y)=(0.28,0.62)であり、該薄膜は良好な緑色発光を示した。
【0356】
<実施例41>
(組成物MP9A及びその溶液の調製)
高分子化合物P8及び発光材料EM−Bを重量比70:30で混合してなる組成物MP9Aをキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が1.8重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP9Aの1.8重量%キシレン溶液」と言う。
【0357】
(発光素子DP9Aの作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MP9Aの1.8重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから2000rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DP9Aを作製した。発光素子DP9Aに電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は34.0cd/Aであり、そのときの電圧は5.8Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は6.2Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.32,0.62)であり、発光効率33.7cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は64時間であった。これらの結果を表8に示す。
【0358】
<実施例42>
(組成物MP9B及びその溶液の調製)
高分子化合物P8及び発光材料EM−Bを重量比60:40で混合してなる組成物MP9Bをキシレン(関東化学社製、電子工業用グレード)に、全固形分濃度が2.0重量%となるように溶解させた。こうして得られた溶液を、以下、「組成物MP9Bの2.0重量%キシレン溶液」と言う。
【0359】
(発光素子DP9Bの作製)
実施例29において、組成物MP1の2.6重量%キシレン溶液に代えて、組成物MP9Bの2.0重量%キシレン溶液を用い、スピンコートの回転数を1600rpmから2000rpmに変更した以外は、実施例29と同様にして、発光素子DP9Bを作製した。発光素子DP9Bに電圧を印加したところ、ピーク波長(EL)520nmの緑色発光を示した。最大発光効率は38.2cd/Aであり、そのときの電圧は5.2Vであった。輝度1000cd/m2での駆動電圧は5.9Vであり、色度座標C.I.E.1931は(x,y)=(0.32,0.62)であり、発光効率38.9cd/Aであった。初期輝度を4000cd/m2に設定し、定電流駆動したところ、輝度半減寿命は168時間であった。これらの結果を表8に示す。
【0360】
【表8】

【0361】
<評価>
表4、5によれば、本発明の高分子化合物を含有する組成物は、PLQYに優れるものであると認められるので、発光素子に用いた場合にも高い最大発光効率を示すと考えられる。また、本発明の高分子化合物は、燐光発光性化合物との組成物として用いた場合に、燐光発光性化合物の色度特性を引き出すホスト材料として有用であると考えられる。
表6〜8によれば、本発明の高分子化合物を含有する組成物を用いた発光素子は、優れた最大発光効率を示し、更には、優れた輝度半減寿命を有すると認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(2)で表される構成単位及び下記式(3)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位と、下記式(1)で表される構成単位とを含む高分子化合物。

(1)
〔式中、R1は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アラルキル基又は置換アミノ基を表し、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。2個存在するR3は、同一であっても異なっていてもよい。〕

(2)
〔式中、Ar1は、アリーレン基、2価の芳香族複素環基、又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を表す。但し、Ar1は、前記式(1)で表される基ではない。Ar1で表される基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。〕

(3)
〔式中、Ar2、Ar3、Ar4及びAr5はそれぞれ独立に、アリーレン基、2価の芳香族複素環基、又は該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を表す。Ar6、Ar7及びAr8はそれぞれ独立に、アリール基又は1価の芳香族複素環基を表す。Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7、Ar8で表される基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。Ar5、Ar6、Ar7、Ar8で表される基は、それぞれ、該基が結合する窒素原子と結合しているAr2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar7、Ar8で表される基と、直接結合し、又は−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−N(RA)−、−C(=O)−N(RA)−若しくは−C(RA)2−を介して結合して、5〜7員環を形成していてもよい。n及びnnはそれぞれ独立に、0又は1である。RAは、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、又はアラルキル基を表す。〕
【請求項2】
1がアルキル基、アリール基又はアラルキル基である、請求項1に記載の高分子化合物。
【請求項3】
1がメチル基である、請求項2に記載の高分子化合物。
【請求項4】
2が水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、又は置換アミノ基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項5】
3が水素原子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項6】
前記式(2)で表される構成単位として、下記式(4)で表される構成単位を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物。

(4)
〔式中、R4は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。R5は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。2個存在するR4は、同一であっても異なっていてもよい。2個存在するR5は、同一であっても異なっていてもよい。〕
【請求項7】
前記式(2)で表される構成単位として、前記式(4)で表される構成単位と、前記式(4)で表される構成単位以外の構成単位とを含む、請求項6に記載の高分子化合物。
【請求項8】
前記式(2)で表される構成単位として、下記式(5)で表される構成単位、及び/又は、下記式(6)で表される構成単位を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高分子化合物。

(5)
〔式中、R6は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、又はアラルキル基を表し、2個存在するR6が互いに結合していてもよい。2個存在するR6は、同一であっても異なっていてもよい。R7は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。mは0〜3の整数を表す。2個存在するmは、同一であっても異なっていてもよい。R7が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。〕

(6)
〔式中、R10は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。Ar10及びAr11はそれぞれ独立に、アリーレン基、又は、2価の芳香族複素環基を表す。k及びkkはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表す。但し、Ar10及びAr11は、前記式(1)で表される基ではない。Ar10、Ar11で表される基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。Ar10、Ar11が複数存在する場合は、それらは、各々、同一でも異なっていてもよい。〕
【請求項9】
前記式(6)で表される構成単位として、下記式2−104、2-218又は2−219で表される構成単位を含む、請求項8に記載の高分子化合物。

〔式中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。〕
【請求項10】
前記式(3)で表される構成単位を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項11】
前記式(1)で表される構成単位の合計モル数に対して、その他の構成単位の合計モル数の割合が0.1〜999である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項12】
前記式(1)で表される構成単位が1分子中に2個以上存在し、2個以上存在する前記式(1)で表される構成単位同士が実質的に隣り合っていない、請求項1〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項13】
前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位の合計モル数に対して、その他の構成単位の合計モル数の割合が0.95〜1.05である、請求項6〜12のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項14】
前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位が1分子中にそれぞれ2個以上存在し、2個以上存在する前記式(1)で表される構成単位同士、2個以上存在する前記式(4)で表される構成単位同士、並びに前記式(1)で表される構成単位及び前記式(4)で表される構成単位が、実質的に隣り合っていない、請求項6〜12のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項15】
更に、燐光発光性化合物から誘導される構成単位を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する組成物。
【請求項17】
前記発光材料が燐光発光性化合物を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の高分子化合物と溶媒とを含有する溶液。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する薄膜。
【請求項20】
陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた請求項1〜15のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する有機層とを有する発光素子。
【請求項21】
請求項20に記載の発光素子を備えた面状光源。
【請求項22】
請求項20に記載の発光素子を備えた表示装置。
【請求項23】
下記式(1a)で表される化合物。

(1a)
〔式中、R1aはアルキル基を表す。Raは、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。xは0〜5の整数を表す。Raが複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。Xaaは、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−O−S(=O)220、−B(OR21)2、−BF4-1、−Sn(R22)3、−MgY1又は−ZnY1を表す。2個存在するXaaは、同一であっても異なっていてもよい。R20は、アルキル基、又はアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、フッ素原子若しくはシアノ基で置換されていてもよいアリール基を表す。R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。2個存在するR21は、同一であっても異なっていてもよく、一緒になって環を形成していてもよい。3個存在するR22は、同一であっても異なっていてもよく、一緒になって環を形成していてもよい。Q1は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムの1価の陽イオンを表す。Y1は、臭素原子、ヨウ素原子又は塩素原子を表す。〕
【請求項24】
下記式(1c)で表される化合物。

(1c)
〔式中、R1cはアルキル基を表す。Rcは、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基を表す。2個存在するRcは、同一であっても異なっていてもよく、一緒になって環を形成していてもよい。Xacは、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、−O−S(=O)220、−B(OR21)2、−BF4-1、−Sn(R22)3、−MgY1又は−ZnY1を表す。2個存在するXacは、同一であっても異なっていてもよい。R20は、アルキル基、又はアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、フッ素原子若しくはシアノ基で置換されていてもよいアリール基を表す。R21及びR22はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。2個存在するR21は、同一であっても異なっていてもよく、一緒になって環を形成していてもよい。3個存在するR22は、同一であっても異なっていてもよく、一緒になって環を形成していてもよい。Q1は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムの1価の陽イオンを表す。Y1は、臭素原子、ヨウ素原子又は塩素原子を表す。〕

【公開番号】特開2010−189630(P2010−189630A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7952(P2010−7952)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(506061668)サメイション株式会社 (51)
【Fターム(参考)】