説明

メタマテリアル用の単位共振器、共振器アレイおよびメタマテリアルの製造方法

【課題】 実用可能なメタマテリアルの作製および制御技術を提供する。
【解決手段】 本発明のある態様においては、支持媒体に保持され電磁波に作用するようになっているメタマテリアル1000用の単位共振器であって、芯部品10と、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って該芯部品に当接して並ぶいくつかの周辺部品20であって、該周辺部品それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しており、該動作波長の電磁波にとって電気回路として作用する周辺部品とを備える単位共振器100が提供される。また、本発明の別の態様においては、そのような単位共振器100を複数備えている共振器アレイも提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメタマテリアル用の単位共振器、共振器アレイおよびメタマテリアルの製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、外部磁場による粒子の整列作用を利用したメタマテリアル用の単位共振器、共振器アレイおよびメタマテリアルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁波の磁場成分に作用することが可能な人工材料であるメタマテリアルが開発されている。メタマテリアルの一例は、例えば光の振動磁場成分に応答するという、自然界に存在する物質の有さない性質を人工的に付与した媒体または材料である。メタマテリアルは、例えば、負の屈折率を示す方向に光の伝搬方向を曲げることを可能にするといった従来の材質においては実現されない性質を示すことから、光の伝搬を人工的に操作する能力を拡大するものとして期待を集め、精力的な研究開発の対象となっている。
【0003】
典型的なメタマテリアルにおいて光などの電磁波の伝搬特性の基盤となるのは、媒体に埋め込まれた多数の金属微小共振器である。その金属微小共振器の大きさは、メタマテリアルとしての作用を及ぼす電磁波の波長(以下、「動作波長」という)の1/4〜1/10程度とされる。例えば、マイクロ波よりも短い動作波長に対しては、金属微小共振器のための微細構造のサイズにおいて、マイクロメートルオーダーや、ナノメートルオーダーという微小さが要求される。金属微小共振器を作製するために必要な微細加工の難易度は要求される微小さに応じて急速に高まってゆくため、多くのメタマテリアルの動作波長は、ミリメートルスケールの構造を用いたマイクロ波またはそれよりも長い波長域とされる。実証される大半のメタマテリアルの事例もそのような波長範囲のものである。
【0004】
その一方、マイクロ波より短い波長をもつ電磁波、例えば可視光領域に動作波長を有するメタマテリアルも提案されている。特に3次元構造として光波長域のメタマテリアルを作製する手法の一つとして、金属多層膜をドライエッチング法により削り出す手法がカルフォルニア大学バークレー校のZhangらにより提案され実証されている(非特許文献1:Nature 455, 376 (2008))。また、光波長域のメタマテリアル構造を3次元的に作製する別の手法として、レジスト塗布、電子線描画、金属薄膜蒸着、リフトオフという一連の工程を繰り返す手法がStuttgart大学のGiessenらにより提案され実証されている(非特許文献2:Nature Materials 7, 31 (2008))。これらに報告される手法は、いずれも、従来の半導体微細加工技術を採用することにより、2次元構造を1層ずつ積層して3次元構造を作製するアプローチを採用する手法である。このため、上記いずれの手法であっても、作製される3次元構造を作製する際に構造誤差が蓄積しやすいという問題点がある。さらに、上記いずれの手法も、作製工程を実行するためには多大な時間を要するという問題も有している。そのため、これらの提案の手法に従って大面積・大容積のメタマテリアル構造を作製することは困難を伴う。
【0005】
3次元構造のメタマテリアル構造を作製するための別の手法として、自己組織化を利用する手法も提案されている。この手法は、金属微小共振器の基本構造となる微粒子やロッドを何らかの液体などの適当な支持媒体に分散させ、支持媒体の凝集力を利用して自己組織化させるものである。その凝集の際には、界面などの領域に微粒子やロッドが自ら集まって規則配列構造が形成されるため、その規則配列構造をメタマテリアル構造の形成のために利用するのである。しかし、この自己組織化によって得られる配列形態の選択肢は限定されている。メタマテリアルが注目を集めている理由、すなわち電磁波に対する媒体の作用を人工的に制御することが可能となる、という観点からすると、凝集を利用する自己組織化によって得られる配列形態の多様性は、十分なものとはいえない。
【0006】
さらに本願の発明者らは、メタマテリアルのための金属微小共振器として、split−ring共振器構造(以下「SRR構造」という)がメタマテリアルの基本共振器構造として有効であることを数値計算により示している(非特許文献3:Ishikawa et al, Phys. Rev. Lett., Vol. 95, 237401, (2005))。このSRR構造は、例えば、円環状の導電路に切り込みのようなギャップまたはスプリット部を設けた導電体により形成される。その計算結果による知見を実際のメタマテリアルにおいて実証しようとする場合にも、SRR構造の作製手法が問題となる。非特許文献3に報告されている金属微小共振器を作製して作用を実証するための手法として、金属イオンを溶解させた媒体にレーザー光を照射することより多光子吸収による還元反応を起こさせ、任意の場所に金属を析出させる手法がある。この手法では、微細なスケールにて金属微小共振器が作製される。しかし、この作製手法においても、レーザー光を走査し構造を一つ一つ描く必要があるために、作製工程に時間を要するという課題がある。また、形成可能な金属微小共振器も、上記媒体に接する固体の支持体に支えられたものに限定されているため、この手法では、計算などによって確認される様々な条件を実験的に確認することにとどまる。
【0007】
これらと異なるアプローチを採用する共振器構造の作製手法として、外部磁場を利用する手法が開示されている。例えば、特許文献1(特開2011−64724号公報)には、「光学素子の製造方法および光学素子」と題して、外部磁場の作用によって磁気構造を整列させる手法が開示されている(特許文献1、例えば段落0017)。この手法においては、あらかじめリソグラフィ技術等によって磁気共振器が作製される(同、例えば段落0016)。また、磁性体を用いたメタマテリアルに関しても報告がなされている(非特許文献4:S. Tomita et al, Phys. Rev. Lett. 96, 167402 (2006))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011− 64724号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J. Valentine, S. Zhang, T. Zentgraf, E. Ulin-Avila,D.A. Genov, G. Bartal, and X. Zhang, “Three-dimensional optical metamaterialwith negative refractive index,” Nature 455, 376 (2008).
【非特許文献2】N. Liu, H.C. Guo, L.W. Fu, S. Kaiser, H. Schweizer,and H. Giessen, “Three-dimensional photonic metamaterials at opticalfrequencies,” Nature Materials 7, 31 (2008).
【非特許文献3】A. Ishikawa, T. Tanaka, and S. Kawata, “NegativeMagnetic Permeability in the Visible Light Region,” Phys. Rev. Lett., Vol. 95, 237401 (2005)
【非特許文献4】S. Tomita, T. Kato, S. Tsunashima, S. Iwata, M.Fujii, and S. Hayashi, “Magneto-optical Kerr effects of yttrium-iron garnetthin films incorporating gold nanaoparticles,” Phys. Rev. Lett. 96, 167402 (2006).
【非特許文献5】R.M. Erb,H.S. Son, B. Samanta, V.M. Rotello, and B.B. Yellen, “Magnetic assembly ofcolloidal superstructures with multiple symmetry,” Nature 457, 999 (2009).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のメタマテリアルの作製手法においては、マイクロメートルからナノメートルスケールのサイズの共振器構造を一括して大面積または大容積にて作製可能な技術は未だ提案されていない。つまり、赤外光、可視光、そして紫外光といった短い波長領域で動作するメタマテリアルを、大量に、または一括して形成可能な方法は考案されていない。また、従来のメタマテリアルを作製する手法においては、幅広い設計自由度を持つメタマテリアル形成・制御技術は未だ提案されていない。
【0011】
さらに上記いずれの手法においても、作製される金属微小共振器は作製された後には個別の金属微小共振器の形状や、金属微小共振器相互の配列が不動なものとなる。そのため、例えば、メタマテリアルとしての性質を制御または調整するために、金属微小共振器の構造を制御すること、つまり、個々の金属微小共振器の特性が変更されるようなアクティブ・メタマテリアルは作製されていていない。
【0012】
本発明は上述した問題の少なくともいずれかを解決することを課題とする。すなわち本発明は、実用性の高いメタマテリアルの作製および制御技術を提供することにより、メタマテリアルを採用する各種の素子やデバイスの製造または生産に貢献する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の発明者らはメタマテリアルとは何ら関係ない手法に着目した。非特許文献5(R.M. Erb et al, Nature 457, 999 (2009))の報告によれば、流体に分散されている微粒子に外部磁場を印加すると、様々な規則構造を形成することが可能である。より具体的には、本願の発明者らは、例えば、非特許文献5のFigure1に開示される構造体に注目した。非特許文献5においては、外部磁場を印加することによってごく微小な構造体が形成されている。その構造体は、コア粒子(核)となる部材(本出願において、「芯部品」と呼ぶ)と、その芯部品にとって赤道に相当する位置をほぼ等間隔に取り囲むより小さい部材(「周辺部品」)とを含むようなものである。例えば、芯部品と周辺部品を流動性のある流体に分散させることより分散流体に外部磁場を印加すれば、ごく微小な構造体が形成される。形成される微小な構造体では、外径の大きな芯部品の球体の表面の周囲に、小さな外径のいくつかの周辺部品が並ぶような構造が形成される。典型的例として、芯部品を常磁性あるいは強磁性体とし、周辺部品を芯部品より微小な反磁性の物体とすれば、芯部品の赤道付近に、芯部品がいくつか並ぶ微小な構造体が形成される。本願の発明者らは、このようにして形成される一つ一つの微小な構造体を上述したメタマテリアルのための共振器として機能させることが可能なことに気づいた。例えば、その全体の大きさを適宜調整すれば、その微小な構造体は、SRR構造またはそれに類する個々の共振器として利用できる可能性を秘めている。
【0014】
したがって、本発明のある態様においては、支持媒体に保持され電磁波に作用するようになっているメタマテリアル用の単位共振器であって、芯部品と、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って該芯部品に当接して並ぶいくつかの周辺部品であって、該周辺部品それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しており、該動作波長の電磁波にとって電気回路として作用する周辺部品とを備える単位共振器が提供される。
【0015】
このサイズの異なる芯部品と部品を用いた微小な構造体は、様々な磁性を示す材料を芯部品や周辺部品として採用して作製することが可能である。
【0016】
本発明の別の態様としては、共振器アレイを提供することもできる。つまり、本発明のある態様においては、複数の単位共振器を支持媒体中に備えているメタマテリアル用の共振器アレイであって、該単位共振器それぞれが、芯部品と、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って並び、該芯部品に当接して配置されているいくつかの周辺部品であって、該周辺部品それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しており、該動作波長の電磁波にとって電気回路として作用する周辺部品とを備えるものである共振器アレイが提供される。
【0017】
単位共振器は、単独で電磁波に対する共振器としての作用を示し、それが多数集合しても電磁波に対する観測可能な機能をもたらす。さらに単位共振器がある程度の規則性を以って並んで配列(アレイ)となることにより、より顕著な様々な機能も発現される。したがって、そのような共振器アレイも本発明の態様の一つとして提供される。
【0018】
そして、本発明においては、メタマテリアルを製造する方法も提供される。つまり、本発明のある態様においては、芯部品と、それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しているいくつかの周辺部品とを含む単位共振器のための部品の集合を支持流体に分散させることにより部品分散流体を準備する工程と、該部品分散流体に外部磁場を印加して前記支持流体中において前記単位共振器のそれぞれを構築する工程であって、該外部磁場により、前記芯部品に当接しながら、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って並ぶように前記周辺部品を配置する、工程とを含むメタマテリアルの製造方法も提供される。
【0019】
外部磁場を用いて単位共振器を構築する手法は微細加工を必須とするものではない。特に、動作波長と関連する共振器のサイズすなわち上記リングのサイズは、例えば芯部品の形状によって制御することができる。このため、本発明の各態様によれば、加工に長大な処理時間を要したり、加工領域が2次元的な領域に制限されたりする、といった制約が少ないメタマテリアルやその製造方法が提供される。
【0020】
本発明の各態様において、単位共振器とは、入射電磁波と磁気的または電気的に結合して電流を生じさせて、入射電磁波に反応する最小単位の素子をいう。本発明の各態様において、芯部品とは、単位共振器の中央に配置される部品をいい、単位共振器の全体のサイズを決定する役割を果たす。周辺部品とは芯部品より小さい部品であり、単位共振器において芯部品に当接してリングに並んでいるか、またはリングをなしている。なお、リングとは円環、楕円環、矩形の周縁などのような一重のループの経路をいう。本出願におけるリングそれ自体は経路に過ぎない。つまり、周辺部品は、リングに沿うように並んでいる場合であっても、周辺部品同士が互いに接触している場合もあれば、隣り合っているもの同士がある距離または間隔を置いている場合もある。本発明の各態様において、電磁波の動作波長は特段限定されない。例えば、動作波長として想定する電磁波には、マイクロ波、テラヘルツ波、赤外光、可視光、紫外光などの波長範囲のものが含まれている。本発明の各態様において支持媒体とは、芯部品や周辺部品を保持する役割を果たす固体または流体の媒体である。特に支持流体と記載した場合には、支持媒体のうち固体を除くものをいう。また、単位共振器は、共振器として動作するためには、動作の時点において必ずしも芯部品を中心に有している必要は無い。電磁波に対して反応する部材が例えばリングに並ぶ周辺部品のみであり、芯部品がなくとも、いくつかの周辺部品による電気的または磁気的な作用によって単位共振器が動作することもある。
【0021】
本発明の典型的な態様においては、磁場に対して相反する応答特性の部品が組み合わされる。例えば、常磁性体または強磁性体の芯部品と反磁性の周辺部品、という組合せや、逆に、反磁性体の芯部品と常磁性体または強磁性体の周辺部品とを組み合わせて単位共振器か作製される。限定するものではないが、周辺部品は特に、外径がマイクロメートル〜ナノメートルの大きさのスケールをもつ微小物体とされることがある。また芯部品は、単位共振器において周辺部品が当接する対象となる物体であり、上述したように周辺部品が並ぶリングのサイズを決定する役割を果たす。このような芯部品や周辺部品は支持媒体に分散されることによって分散体とされる。特にこの支持媒体が液体などの流体である場合のその分散体(「部品分散流体」)においては、各部品の互いの配置は変化することがある。そのような場合には、その部品分散流体に外部磁場を印加することにより、外部磁場が影響する広範囲にわたり、単位共振器が形成され、また、その単位共振器の配列も形成される。そのため、こうして形成される単位共振器を、例えば赤外光、可視光、そして紫外光といった波長範囲のメタマテリアルの素子として利用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のいくつかの態様によれば、実用性の高いメタマテリアルやその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のある実施形態におけるメタマテリアルの構造を示す構成図である。図1(a)は、メタマテリアルの全体像を示す概略図であり、図1(b)は、そのメタマテリアルに含まれている一の単位共振器の構造を拡大して示す拡大概略図、そして図1(c)は、一の単位共振器を含む面においてメタマテリアルを切断した拡大断面図である。
【図2】本発明のある実施形態において、芯部品が常磁性体または強磁性体である場合における単位共振器の形成原理を説明するための説明図である。図2(a)は、芯部品の周囲に形成される芯部品の磁化による磁場の分布およびその強弱を示す分布の側面図および平面図であり、図2(b)は、周辺部品が反磁性体である場合における周辺部品の配置を示す側面図および平面図であり、そして、図2(c)は、周辺部品が常磁性体または強磁性体である場合における周辺部品の配置を示す側面図および平面図である。
【図3】本発明のある実施形態において、芯部品が反磁性体である場合における単位共振器の形成原理を説明するための説明図である。図3の各図の表記は、芯部品が反磁性体であること、それに伴って磁束密度の強弱が反転することを除き、図2と同様である。
【図4】本発明のある実施形態において、単位共振器をなす周辺部品の間隔が調整される原理を説明する説明図である。
【図5】本発明のある実施形態において、単位共振器の2次元的配列が形成される原理を説明する説明図である。
【図6】本発明のある実施形態において、単位共振器が外部磁場方向の直線上で配列をなす原理を説明する説明図である。
【図7】本発明のある実施形態において、単位共振器が3次元的配列をなす原理を説明する説明図である。
【図8】本発明のある実施形態において、メタマテリアル作製装置の例示の構成を示す構成図である。
【図9】本発明のある実施形態において、外部磁場により単位共振器やその配列が制御されている様子を示す光学顕微鏡像である。このうち、図9(a)は、外部磁場を印加した状態の像、そして図9(b)は、印加していた外部磁場を解除した状態の像である。
【図10】本発明のある実施形態におけるメタマテリアルの製造方法を示すフローチャートである。図10(a)は、メタマテリアルを製造する前半の工程を示すフローチャートである。図10(b)は、図10(a)に続けて外部磁場の印加条件を調整する手順を示すフローチャートである。そして図10(c)は、支持流体が光硬化性樹脂を含んでいる場合において、メタマテリアルを製造する後半の工程を示すフローチャートである。
【図11】本発明のある実施形態におけるメタマテリアルの製造方法を示すフローチャートである。図11(a)は、図10(a)に続けて光硬化性樹脂を用いて部分的に露光することにより機能がパターニングされているメタマテリアルの製造方法を示すフローチャートである。また、図11(b)は、部分的に軟化されている支持媒体を用いて機能がパターニングされているメタマテリアルの製造方法を示すフローチャートである。
【図12】本発明のある実施形態における光硬化性樹脂を用い部分露光や、熱可塑性樹脂を用いる部分昇温により得られる改良されたメタマテリアルの構成の一例を示す説明図である。
【図13】本発明のある実施形態におけるインプリント法によって作製されるメタマテリアルの作製途中の各工程の構造を示す説明図である。
【図14】本発明のある実施形態におけるインプリント法に採用される芯スペーサー型の形状と、それにより作製される周辺部品によるリング状の仮想的な配線パターンを示す説明図である。
【図15】本発明のある実施形態におけるガイド壁を有するメタマテリアルの作製途中の各工程の構造を示す説明図である。図15(a)は、ガイド壁を形成する手法を説明する説明図、図15(b)は、ガイド壁を有するメタマテリアルの構成を示す断面図、そして図15(c)は、単位共振器それぞれとガイド壁との位置関係を示す斜視図である。
【図16】本発明のある実施形態におけるガイド壁および単位共振器の位置関係と、周辺部品によるリングの仮想的な配線パターンを示す説明図である。
【図17】本発明のある実施形態において、高いガイド壁を有するメタマテリアルにおいて、その構造とガイド壁内に収容されている単位共振器の配列を示す説明図である。図17(a)は、高いガイド壁を有するメタマテリアルの構造を示す断面図、そして、図17(b)は高いガイド壁の構造を示す分解斜視図であり、図17(c)〜図17(e)は、単位共振器それぞれと高いガイド壁との位置関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の説明に際し特に言及がない限り、全図にわたり共通する部分または要素には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。
【0025】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態として、単位共振器の形成および共振器アレイの形成原理について説明する。
【0026】
[1 単位共振器構造]
図1は本実施形態のメタマテリアル1000の構成を示す構成図である。特に図1(a)はメタマテリアル1000の全体像を示す概略図であり、図1(b)はそのメタマテリアルに含まれている一の単位共振器の構造を拡大して示す拡大概略図であり、そして図1(c)は一の単位共振器100を含む面においてメタマテリアルを切断した拡大断面図である。メタマテリアル1000には、芯部品10といくつかの周辺部品20とを備える単位共振器100が複数備わっている。芯部品10といくつかの周辺部品20は、球、柱状体、多面体、および不定形からなる群から選択されたいずれか一の形状を有している。
【0027】
単位共振器100それぞれは支持媒体180に保持されている。単位共振器100は、単独でまたは複数のものが協調的に動作し、メタマテリアル1000に入射し支持媒体180を透過してくる電磁波300に対して磁気的または電気的な作用を及ぼす。例えばリング14に並ぶ周辺部品20は、そのリング14に沿ったリング状の電気回路として動作する。その電気回路には、電磁波300の振動電界または振動磁界のいずれかまたはその両方の作用により、電磁波300と同じ周波数の電流が流れる。例えば、リング14が含まれる面に平行な振動電界成分を有する電磁波が入射した際には、リング14における周辺部品20のなす電気回路に、その電磁波と同一の周波数の交流電流が流れる。また、リング14が含まれる面に垂直な振動磁界成分を有する電磁波が入射した際に、リング14における周辺部品20のなす電気回路に電磁波と同一の周波数の交流電流が流れる。これらの交流電流は、周辺部品20の並びの作る回路の電気的性質に応じて流れ、電磁波300と同位相または直交する位相の成分を有する。つまり、単位共振器100は、電磁波300に対して磁気的または電気的に結合することにより電流を生じさせる、電磁波300に反応する最小単位の素子となる。また、その最小単位の素子として単位共振器100を含むメタマテリアル1000は、その全体が人工的に性質が制御された媒体として振る舞い、電磁波300に対してメタマテリアルとしての作用を及ぼす。
【0028】
図1に示したメタマテリアル1000が電磁波300と相互作用してメタマテリアルとしての機能を発揮する態様には種々のものが含まれている。一例としては、多数の単位共振器100の配列が必ずしも完全な規則性を有していない場合であっても、個別の単位共振器100が電磁波300に対して電磁的な作用を及ぼすことにより、メタマテリアルとしての機能が発揮される。その最も典型的な電磁的な作用が、電磁波300と周辺部品20の作る電気回路との共鳴である。別の例として、多数の単位共振器100が規則的に配列していることにより顕著な作用がもたらされることもある。例えば、高い規則性を以て配列している単位共振器100の配列は、そこに入射した電磁波300のコヒーレンスを劣化させずにメタマテリアルとしての作用を生じさせることもある。
【0029】
支持媒体180は、電磁波300を透過させる性質を持つ任意の等方性または異方性媒質である。支持媒体180は、特に固体であるか、液体であるか、気体であるかを問わない。一つの典型的な支持媒体180は磁性流体である(磁性流体については後述する)。
【0030】
また、周辺部品20には、典型的には例えば金属球などの導電性材料が選択される。これは、周辺部品20の作る電気回路において、周辺部品20自体が電気的な導通路となるためである。
【0031】
上記導電性材料以外にも、周辺部品20の特性、特に磁気的性質と電気的性質は、周辺部品20を混合物質または複合体とすることにより調整することも可能である。例えば、周辺部品20は、常磁性体もしくは強磁性体、または反磁性体からなる磁性制御材質群から選択された少なくとも一の材質と、導体または絶縁体からなる導電性制御材質群から選択された少なくとも一の材質との混合物質とされる。特に周辺部品20は、それ自体が多層構造の構成とされることも有用である。つまり、周辺部品20では、常磁性体もしくは強磁性体、または反磁性体からなる磁性制御材質群から選択された少なくとも一の材質を含む中心核と、導体または絶縁体からなる導電性制御材質群から選択された少なくとも一の材質を含む表面被覆層とを含ものとされる。これは、周辺部品20が電気的作用を示す場合に、金属に対する電磁波の侵入長(skin depth)程度、例えば20nm程度の厚みだけの金属を表面に配置し、内部に位置する中心核に磁気的な性質を担わせることにより、周辺部品20の磁気的性質と電気的性質とを両立させることが可能なためである。その場合、周辺部品20に用いる導電性制御材質群が、ガラス、誘電体、有機材料および高分子材料からなる材質群とされていることが好ましい。これらの材質を含む導電性制御材質を用いると、周辺部品20のなす性質を所望のものとなるように調整することができる。
【0032】
これに対し、芯部品10の材質は、主に磁気的性質に着目して選択される。例えば、芯部品10は、常磁性体もしくは強磁性体、または反磁性体からなる磁性制御材質群から選択された少なくとも一の材質を含んでいる。これらの磁性制御材質群としては、鉄、コバルト、ニッケル、希土類金属およびマグネタイトを含む磁性元素または磁性化合物からなる材質群とされていることが好ましい。強磁性体であるマグネタイトや、反磁性体である銅や多くの有機材料によって、芯部品10や周辺部品20の性質を所望のものとなるように調整することができる。
【0033】
本実施形態のメタマテリアル1000の典型的な構成では、支持媒体180は、外部磁場により各部品が自己集積する作用を利用して形成される。その部品となるのが、図1(b)において単位共振器100を構成している芯部品10といくつかの周辺部品20である。周辺部品20は、一例として図1(c)に示すように、支持媒体180に保持されながら芯部品10に当接している。たとえ支持媒体180が流体であったとしても、外部磁場の作用によって、周辺部品20を芯部品10に当接させる状態を維持することは可能である。そればかりか、支持媒体180が流体であっても、芯部品10や周辺部品20の磁気的性質を適切に選択することにより、図1に示したような個別の単位共振器100を構築することが可能である。この単位共振器100が構築される原理について、芯部品10および周辺部品20の磁気的性質によって場合分けして以下に説明する。
【0034】
[1−1 形成原理:芯部品が常磁性体または強磁性体である場合]
図2は、芯部品10が常磁性体または強磁性体である場合における単位共振器100の形成原理を説明するための説明図である。図2(a)は、芯部品の周囲に形成される芯部品の磁化による磁場の分布およびその強弱を示す分布の側面図および平面図(それぞれ、(図2(a1)および(a2))である。図2(b)は、周辺部品が反磁性体である場合における周辺部品の配置を示す側面図および平面図(それぞれ、(図2(b1)および(b2))である。そして、図2(c)は、周辺部品が常磁性体または強磁性体である場合における周辺部品の配置を示す側面図および平面図(それぞれ、(図2(c1)および(c2))である。各図において特にハッチングにより示しているのは、芯部品の周囲に芯部品によって形成される磁束およびその磁束と外部磁場とを合成したときの磁束密度の強い領域(クロスハッチ部)および弱い領域(ハッチング部)である。
【0035】
多数の芯部品10と周辺部品20とは、固化も硬化もしていない支持媒体180、例えば磁性流体である支持流体に分散させておく。芯部品10と周辺部品20とを含む分散体の全体に外部磁場Hを印加すると、支持流体の中で、常磁性体または強磁性体である芯部品10には、外部磁場Hの方向を向く磁気モーメントMが誘起される。この磁気モーメントMは、図2(a1)に示すように、芯部品10の外部に磁束を誘起する。ただし、実際の芯部品10の周囲の空間の磁束は、外部磁場Hが支持流体に作る磁束(図示しない)と図2(a1)に例示した磁気モーメントMが誘起する磁束とを各位置においてベクトル的に重ね合せて合成したものである。その磁束の分布を具体的にみると、芯部品10表面の図2(a1)の上下に位置する極92および極94では、外部磁場Hによる磁束と芯部品10による磁束とが同じ向きとなっている。このため、極92および極94付近の実際の磁束密度は、外部磁場Hにより支持媒体180に生成される平均的な磁束密度に比べて大きさ(絶対値)が大きくなる。また、芯部品10の中心を通り外部磁場Hに垂直な平面と芯部品10の表面との交線付近となる位置96(「赤道96」という)においては、外部磁場Hによる磁束と芯部品10による磁束とが逆向きとなっている。このため、赤道96付近の実際の磁束密度は、外部磁場Hによる平均的な磁束密度から弱まる。これらの効果によって、芯部品10が周囲に作る磁束密度は、赤道96付近にて絶対値が極小となり、極92および極94の付近で極大となる。図2(a1)にはその位置がハッチングにより示されている。なお、図2に示すように芯部品10が球である場合には、芯部品10周囲の磁束の分布は、極92と極94とをつなぐ軸の回りに軸対称となる。このため、赤道96付近における磁束密度の極小の領域は、赤道96を取り囲む形状となっている。
【0036】
[1−1−1 周辺部品が反磁性体のとき]
図2(b1)および図2(b2)には、周辺部品20が反磁性体であるときに、外部磁場Hを全体に印加した後の芯部品10と周辺部品20との配置の一例を示している。なお、図2(b1)は、構造の理解を容易にする目的で、わずかに傾斜した方向からの斜視図を示している。周辺部品20が反磁性体である場合には、周辺部品20は、磁束密度が極小の位置に配置される。このため、図2(b1)および図2(b2)に示すように、芯部品10の赤道96に沿って周辺部品20が並ぶ。この場合、周辺部品20に生じる磁気モーメント(図示しない)は外部磁場Hとは逆向きとなる。ここで、外部磁場Hが周辺部品20に誘起する磁気モーメントは、周囲の磁束密度が強いほどポテンシャルエネルギーを高める。このため、出来る限り安定な状態を取ろうとして、周辺部品20が赤道96近傍の磁束密度が極小の位置に集まろうとする。その結果、芯部品10に当接しながら周辺部品20がリング14をなして並ぶ。芯部品10が常磁性体または強磁性体であり、周辺部品20が反磁性体であるという組合せのとき、芯部品10が作るリング14は、赤道96を含む平面、すなわち、芯部品10のほぼ中心を通る平面に含まれている。
【0037】
[1−1−2 周辺部品が常磁性体または強磁性体のとき]
図2(c1)および図2(c2)には、周辺部品20が常磁性体または強磁性体であるときに、外部磁場を全体に印加した後の芯部品10と周辺部品20との配置の一例を示している。なお、図2(c1)も、図2(b1)と同様にわずかに傾斜した方向からの斜視図を示している。周辺部品20が常磁性体または強磁性体であるときには、周辺部品20は、磁束密度の極大の位置に近付くほどポテンシャルエネルギーが低下する。このため周辺部品20は、図2(c1)および図2(c2)に示すように、芯部品10に当接しながら極92および極94付近に並ぶ。この場合、周辺部品20は、リング142およびリング144に沿って並ぶこととなる。リング142およびリング144は、それぞれ、極92および極94にて芯部品10を挟み互いにほぼ平行である二つの平面に含まれている。
【0038】
[1−2 形成原理:芯部品が反磁性体である場合]
図3は、芯部品10が反磁性体である場合における単位共振器100の形成原理を説明するための説明図である。図3の各図の表記は、芯部品が反磁性体であること、それに伴って磁束密度の強弱が反転することを除き、図2と同様である。特に図3(a1)に示した芯部品10の作る磁束は、その向きが図2(a1)に示したものと逆である。これは、支持流体の中で、反磁性体である芯部品10には、外部磁場Hの方向の逆を向く磁気モーメントMが誘起されるためである。その結果、外部磁場による磁束密度とベクトル的に重ね合わされた各部の実際の磁束密度は、赤道96において極大となり、極92および極94付近において極小となる。芯部品10が球である場合に芯部品10周囲の磁束の分布が、極92と極94とをつなぐ軸の回りに軸対称である点は図2の場合と同様である。その結果、周辺部品が反磁性体であるか、または、常磁性体もしくは強磁性体であるかによって構築される単位共振器100の形態は、図2に示したものとその関係が逆となる。
【0039】
図3(b1)および図3(b2)には、周辺部品20が反磁性体であるときに、外部磁場を全体に印加した後の芯部品10と周辺部品20との配置の一例を示している。また、図3(c1)および図3(c2)には、周辺部品20が常磁性体または強磁性体であるときに、外部磁場を全体に印加した後の芯部品10と周辺部品20との配置の一例を示している。周辺部品20が反磁性体であるときには、周辺部品20は、磁束密度の極小の位置に配置される。このため、図3(b1)および図3(b2)に示すように、周辺部品20は、芯部品10に当接しながら、極92および極94付近のリング142および144に沿うように並ぶ。また、常磁性体または強磁性体である周辺部品20は、芯部品10に当接しながら、赤道96付近のリング14に沿うように並ぶ。
【0040】
本実施形態において、リング14またはリング142、144の径は、電磁波の動作波長に比して小さくされ、例えば、動作波長の1/4〜1/10程度とされる。この動作波長は、各リングが存在する支持媒体180における実際の波長と比較される。例えば支持媒体180が電磁波に対して屈折率nを有している場合には、真空中の電磁波の波長λではなく、各リングのサイズと比較する場合には支持媒体中の実際の波長λ/nを比較の基準のための動作波長とする。また、リング14、142、144の径が動作波長より小さくされるため、各リングに沿って並ぶ周辺部品20の径は、動作波長よりも小さい。また、芯部品10の径もリング14のサイズを決定するため、動作波長よりも小さくされる。例えば、芯部品10と周辺部品20とがいずれも50nm以上100μm以下のサイズとされ、動作波長に合せて選択される。芯部品10と周辺部品20とがいずれも50nm以上100μm以下のサイズとされると、より有効な波長範囲においてメタマテリアルとしての動作を実現することが可能となる。つまり、動作波長を紫外線(波長:200nm程度)からマイクロ波(波長:500μm程度)とする。そして、支持媒体180の屈折率を、一般的な液体、プラスチックに合せて1.5前後とする。その上で上述した動作波長の1/4〜1/10程度という選択基準をあてはめることにより、50nm以上100μm以下との数値が得られる。
【0041】
[1−3 単位共振器構造の制御]
[1−3−1 周辺部品の間隔および個数数の制御]
次に、芯部品10に当接しながらリングに沿って周辺部品20が並ぶ単位共振器100において、周辺部品20のより微細な構造を制御する手法について説明する。ここでは、赤道96付近のリング14に沿って周辺部品20が並ぶ構成を例に説明する(図2(b)、図3(c))。
【0042】
図4は、単位共振器100をなす周辺部品20の間隔またはリング14における周辺部品20の個数が調整される原理を説明する説明図である。常磁性体または強磁性体である芯部品10と反磁性体の周辺部品20との組合せの場合(図2(b))、または、反磁性体の芯部品10と、常磁性体または強磁性体である周辺部品20との組合せの場合(図3(c))の単位共振器100においては、外部磁場Hに対する磁気モーメントの向きが赤道96のリング上のすべての周辺部品20において同じとなる。このため、周辺部品20それぞれには互いに反発する斥力が生じ、リング14に沿って隣り合う周辺部品20同士の間隔はほぼ等間隔となる。図4に示すように、周辺部品20に誘起される磁気モーメントが強くなるにつれて、特に隣り合った周辺部品20同士の反発力が強くなる。その結果、赤道上のリング14を構成する周辺部品20の数は、周辺部品20に誘起される磁気モーメントが強くなるにつれて、単位共振器100A、100B、100Cという順に少なくなってゆく。ここで、互いにある距離離れている二つの周辺部品20の間に働く斥力つまり反発力は、磁気飽和に満たない範囲において、周辺部品20それぞれの磁気モーメントの大きさに比例する。
【0043】
さらに外部磁場の強度を制御することにより、各リングを構成する周辺部品20の間隔または個数を制御することが可能である。これは、周辺部品20それぞれの磁気モーメントの大きさは外部磁場の強度に比例するためである。最も典型的には、上述したように、周辺部品20同士の反発力の影響を決定する磁気モーメントの大きさを外部磁場によって制御することにより、各リングを構成する周辺部品20の間隔または個数が制御される。
【0044】
ただし、磁気モーメントの大きさを変更するために外部磁場の強度を変更すると、芯部品10が周辺部品20に対して及ぼす引力にも変化が生じることには注意が必要である。端的な例として、反磁性体の芯部品10と、常磁性体または強磁性体である周辺部品20との組合せの場合(図3(c))に基づいて説明する。この場合、外部磁場Hを強めるにつれ反磁性の芯部品10が持つ磁気モーメントも増大し、赤道96周囲における磁束密度が増加する。その結果、常磁性体または強磁性体である周辺部品20を引き寄せる引力も一層強くなり、より多数の周辺部品20が芯部品10に集まることとなる。このため、上述した周辺部品20同士の反発力の影響よりも、芯部品10と周辺部品20の間の引力が強くなる影響が顕著な場合もある。その場合には、典型的には、外部磁場Hを強めるにつれ、リング14に並ぶ周辺部品20の個数が増大することとなる。
【0045】
このように、芯部品10や周辺部品20の磁気的性質を調整することにより、図4に示した周辺部品20の磁気モーメントを増減させた場合の制御を、外部磁場により行なうこが可能となる。
【0046】
なお、ここでの芯部品10と周辺部品20の磁気モーメントの大きさは、芯部品10と周辺部品20の周囲、すなわち例えば磁性流体である支持媒体180の磁束密度または磁気モーメントの大きさを基準とする相対的な値である。したがって、支持媒体180が、芯部品10や周辺部品20に比べて小さい磁性微粒子として例えば酸化鉄微粉を含む磁性流体である場合、酸化鉄微粉の濃度を制御することより磁性流体の磁気モーメントの大きさを制御しても、リングを構成する周辺部品20の間隔または個数を同様に制御することが可能である。また、発明者らは、周辺部品20同士に斥力が生じるのは、実用上は、周辺部品20が常磁性体または強磁性体であるとき(図3(c))と予想している。周辺部品20が反磁性体であるとき(図2(b))に、周辺部品20同士の斥力が生じるためには、周辺部品20として強い反磁性を示す反磁性体が必要になるからである。
【0047】
このように、芯部品10に当接しながらリング14に沿って並ぶ周辺部品20の間隔や個数は、周辺部品20それぞれの磁気モーメント、外部磁場、そして支持媒体180の磁気的特性を調整することにより制御される。ここでリング14に沿って並ぶ周辺部品20の間の間隔や数によって、周辺部品20のなす電気回路のキャパシタ成分や、リアクタンス成分が制御される。このため、リング14における周辺部品20の間隔や数を調整することにより、入射する電磁波300に対するメタマテリアル1000の作用をも制御することが可能となる。このように、リング14に沿って並ぶ周辺部品20の間隔や個数は、単位共振器100にとって特性を制御するための構造パラメーターとなる。
【0048】
なお、同様の原理によって極92および極94付近のリング142および144に沿って並ぶ周辺部品20(図2(c)、図3(b))に対しても、互いに作用する斥力や周辺部品20と芯部品10との間の引力により、リングに沿って並ぶ周辺部品20の互いの間隔や個数を制御することが可能である。
【0049】
[1−3−2 リングの径の制御]
図4に示したように、赤道96における周辺部品20の互いの間隔や個数が変化しても、リング14の径は変化しない。これは、リング14の径が、赤道96の径と、周辺部品20の径により決定され、周辺部品20の間隔や個数とは無関係だからである。しかし、リング14の径は、周辺部品20の作る電気回路の特性にも影響を与える。本実施形態においては、リング14の径を制御するために分散される芯部品10の粒径が調整される。このため、芯部品10の粒径やその粒径分布も、単位共振器100にとって特性を制御するための構造パラメーターとなる。
【0050】
なお、極92および極94付近のリング142、144(図2(c)、図3(b))の径は、芯部品10の粒径によっては大きな影響を受けず、周辺部品20の互いの間隔や個数に応じて変化する。つまり、リング142、144の径は、周辺部品20同士に生じる引力や斥力によって変化する。
【0051】
[2 共振器アレイの形成原理]
次に、本実施形態のメタマテリアル1000において、単位共振器100が配列される原理について説明する。
【0052】
[2−1 外部磁場に垂直な面内の2次元配列]
図5は、単位共振器100の2次元的配列が形成される原理を説明する説明図である。図5は、典型例として、単位共振器100の芯部品10が常磁性体または強磁性体である場合を示しており、支持流体に保持されて外部磁場Hが印加されている場合を示している。これまで説明してきたように、支持流体に当初分散されていた芯部品10には、外部場Hが印加されると磁気モーメントMが誘起される。その結果、芯部品10それぞれは、外部磁場Hにより誘起された磁気モーメントMのために、その外部磁場Hに垂直な平面上において近くに位置する同じ向きの磁気モーメントMを持つ芯部品10から斥力を受ける。したがって、図5に示されるように、芯部品10および単位共振器100同士には、外部磁場Hに垂直な平面内(外部磁場をz軸に合わせた場合、x-y面、図5)にて三角格子を形成するような力が作用する。このように、外部磁場Hを印加することにより、単位共振器100同士の2次元的な配列に対してもある程度の規則性が導入される。
【0053】
なお、単位共振器100同士の2次元的な配列つまり各単位共振器100の間の外部磁場に垂直な面における相対配置も、外部磁場Hによって誘起される磁気モーメントMの大きさの大きさによる影響を受ける。したがって、支持媒体が流体であり外部磁場Hに応じて常磁性体または強磁性体として機能する場合には、上記配列には、支持媒体の示す磁性との相対的な強さとして単位共振器100の磁気モーメントMが影響する。ここで、多くの液体は弱い反磁性を示し、印加した磁場に比して内部に生成される磁束密度を、真空や空気中の磁束密度に比べて弱めるような消磁効果が生じる。このため、支持媒体の磁性つまり磁性微粒子を含む磁性流体であれば、支持媒体の消磁効果を補償することより、単位共振器100同士の2次元的な配列を安定させることが可能である。支持流体として用いることができる磁性流体は、例えば10nm程度の外径の酸化鉄微粒子を水や油に分散させてコロイドとしたものである。
【0054】
[2−2 外部磁場方向の配列]
図6は、単位共振器のなす配列が外部磁場方向の直線上で形成される原理を説明する説明図である。図5を参照して上述したように、芯部品10同士つまり単位共振器100同士の間には、芯部品10に誘起される磁気モーメントMによる力が作用する。この力は、外部磁場Hの方向すなわち図6の紙面の上下方向にとっては引力となるため、当該方向に向く直線上にある芯部品10同士には、引力が作用するためである。これは、砂鉄が磁石の作る磁力線に沿って並ぶのに似た現象である。このように、外部磁場Hの方向には芯部品10同士に磁気的な引力が作用する。
【0055】
本願発明者は、実際の芯部品10同士の配列では、外部磁場Hの強度を変化させると、外部磁場Hの方向における芯部品10同士の距離が変化することを観察している。具体的には、図6に示したように、外部磁場Hが強くなると、芯部品10同士の距離は短くなる。このことは、上記磁気による引力以外の何らかの力が芯部品10に作用していることを示している。この力については、例えば重力などが考えられる。この現象を利用すれば、外部磁場Hの強度を調整することによって、外部磁場Hの方向における芯部品10同士つまり単位共振器100同士の間の距離を制御することができる。その制御を適切に行なえば、単位共振器100のいくつかを、外部磁場の方向を向く直線群の各直線に沿ってほぼ一定の間隔を置いて並べることが可能となる。また、その単位共振器100同士の各直線おける相対配置つまり各単位共振器100の間の間隔を、外部磁場によって制御することが可能となる。
【0056】
[2−3 3次元的な配列]
図7は、本実施形態において単位共振器100のなす3次元的配列が形成される原理を説明する説明図である。単位共振器100の配列においては、芯部品10や周辺部品20の各部品とそれらが分散されている支持流体とからなる部品分散流体に外部磁場Hを印加すると、外部磁場Hに垂直な面内と外部磁場Hの方向との両方の配列が一度に制御されて形成されることがある。つまり、図5および図6を参照して説明した現象が同時に生じる場合がある。その結果、図7に示すように、外部磁場Hの効果によって、支持流体内において単位共振器100が3次元的に配列することとなる。
【0057】
[3 単位共振器の構築と単位共振器の配列]
ここまでに説明したメタマテリアル1000の構成においては、電磁波300に対するメタマテリアルとしての機能が発現するかどうかは個々の単位共振器100が構築されるかどうかによって決定される。このため、メタマテリアルとしての機能は、単位共振器100が構築されている限り、例えばランダムな位置に単位共振器100が分散されていても実現される。それに加え、メタマテリアル1000の機能は、単位共振器100の作る配列が規則的になると、個別の単位共振器100の電磁波に対する作用が規則的または協調的なものとなって、より高度化される。つまり、規則的に配列した単位共振器100を有するメタマテリアルを作製することにより、例えばコヒーレンスの高い電磁波300に対して、メタマテリアルとしての作用を及ぼしつつも、散乱やコヒーレンス低下を生じさせにくいメタマテリアル1000が作製される。
【0058】
[3−1 メタマテリアルの機能を制御するためのパラメーター]
所望のメタマテリアル1000を作製するために調整されるパラメーターは、上述した芯部品10の磁気的性質、周辺部品20の磁気的性質以外の典型的なものとして、支持流体の磁気的性質、外部磁場Hの条件(強度、方向)を挙げることができる。このうち、支持流体の磁気的性質の調整は、典型的には、支持流体の透磁率を制御して実施される。その結果、図4を参照して説明したように、リングに並ぶ周辺部品20の数、つまり周辺部品20の隣り合うもの同士の間隔といった構造パラメーターを制御することが可能となる。ひいては単位共振器よる共振周波数を操作するといった特性の調整が可能となる。そして、外部磁場Hの条件の一つは強度である。この外部磁場HのON/OFFに連動して、瞬時に単位共振器のリング構造を形成したり、分解したりすることができる。さらに、外部磁場Hの条件のうち磁場の方向も重要である。本願の発明者らは、このような外部磁場により単位共振器100が構築されたり2次元的または3次元的な配列を取るという性質は、メタマテリアルを製造するために都合が良い性質であると考えている。特に、従来のメタマテリアルを作製する手法が微細加工を用いることによって個々の共振器を作製していたことと比較して、磁場を利用することにより、単位共振器の構築、単位共振器の配列の形成を一括して行なうことが可能な本実施形態は大きな利点を有している。
【0059】
なお、支持流体を固化または硬化することにより、外部磁場Hを印加した状態のメタマテリアル1000を作製し、その性質を支持媒体180とともに固定することも十分に可能である。この詳細については第2実施形態として後述する。
【0060】
[4 実施例による観察]
[4−1 メタマテリアル作製装置]
次に、上述した構成のメタマテリアル1000を、支持媒体180として磁性流体を用いて実際に作製した実施例と、作製されたメタマテリアルの観察結果について説明する。図8はメタマテリアル作製装置500の例示の構成を示す構成図である。図8に示すように、メタマテリアル作製装置500においては、外部磁場の変動に対して、強磁性体、常磁性体または反磁性体である各部品が鋭敏に応答できるように、部品を保持する支持媒体が流体である液体とされる。したがって、磁場が印加されるのは芯部品10や周辺部品20の各部品を支持流体に分散させた部品分散流体である。ここで、典型的には、上述した支持流体の消磁効果を補償するための支持流体として、磁気応答性の高い流体、つまり透磁率の高い流体である磁性流体を採用する。
【0061】
図8のメタマテリアル作製装置500においては、単位共振器100やメタマテリアルが形成される様子を観察することも可能である。観察されるメタマテリアルの試料片は、周囲を封止した一対のガラス板G1、G2の間隙に必要な部品と支持流体からなる部品分散流体を封入したものである。この封止により、支持流体の液体成分の蒸発が防止される。なお、蒸発が生じると、部品分散流体に分散された部品が表面張力による攪乱を受けて観察が難しくなる場合がある。また、両面にガラスが存在していることは、支持流体が磁性流体である場合に特有の外部磁場印加時の流れパターンの生成が抑制され、流れによる単位共振器100の形成への攪乱を防止できる利点をもたらす。
【0062】
このように準備した試料片を、外部磁場を印加するための空芯ソレノイド型のコイルC1およびC2を有する磁場生成装置に搭載する。磁場生成装置は、十分に均一性の高い磁場を生成しうるように構成されており、準備した試料片は、各コイルC1およびC2の軸上の中央に配置される。観察のために、試料片は、非磁性材料の支持部をもつ自動XYステージX−Yに載置される。
【0063】
[4−2 共振器構造形成]
作製したメタマテリアルの詳細な作製条件を説明する。部品分散流体としては、磁性流体に芯部品10と周辺部品20を分散させた。具体的には、芯部品10として直径2.7μm磁性ビーズ(invitrogenブランド、 Dynabeads M−270、Life Technologies社(米国))と、周辺部品20として直径250nm金微粒子(Gold colloid 250nm、BBInternational社(英国)との双方を磁性流体(EMG705、株式会社フェローテック(日本))中に分散させた。この部品分散流体から図8に示したように試験片を作製し、磁場生成装置に搭載した。
【0064】
磁場生成装置により所定の磁場を生成すると、支持流体中における印加された外部磁場の作用がおよぶ領域全体にわたって単位共振器100が形成される。単位共振器100は、支持流体の内部において、外部磁場を印加している間だけ形成され、外部磁場を解除すると無秩序状態に戻る。したがって、作製されるメタマテリアル1000は、外部磁場のON/OFF、または、外部磁場の強度を制御することにより、電磁波に対する作用をON/OFF、または中間的な作用に制御することが可能な、アクティブ・メタマテリアルとして利用することが可能となる。
【0065】
図9は、このようにして作製されたメタマテリアル1000において、外部磁場により単位共振器やその配列が制御されている様子を示す光学顕微鏡像である。なお、支持流体は流体の状態を保っているため、外部磁場Hが印加されている間のみメタマテリアルとして機能する。図9(a)は外部磁場Hを印加した状態を示しており、図9(b)は印加していた外部磁場Hを解除した状態を示している。これらの顕微鏡像は、図8に示したメタマテリアル作製装置の、コイルC1およびC2の中心軸に沿う方向から観察した光学顕微鏡像である。したがって、例えば図7において、紙面の上方から、つまりZ軸の逆向きに観察した状況に相当する。なお、図9(a)および図9(b)の光学顕微鏡像は、上記メタマテリアル作製装置の磁場印加方向に合せる光軸を持つように組み上げた顕微鏡光学系を用い、青色LED(発光ダイオード)を光源とする透過照明において撮影した静止顕微鏡像である。本撮影には、観察側に100倍の油浸対物レンズ(UPLFLN100XOI2、オリンパス株式会社(日本))、照明側に油浸コンデンサーレンズ(U−TLO、オリンパス株式会社(日本))を採用した。
【0066】
観察では、光学顕微鏡(図示しない)に装備した磁場生成装置により上記試験片に0〜300Oe(0〜2.38×10A/m)の範囲の直流磁場を印加した。まず、外部磁場を全く印加しないで芯部品10と周辺部品20を支持流体に分散させた部品分散流体を観察したところ、芯部品10と周辺部品20とがブラウン運動により振動している様子が観察された(図示しない)。このように、外部磁場を印加するまで各部品はブラウン運動により激しく振動し、特段の構造を示していない。
【0067】
次に300Oe(2.38×10A/m)の外部磁場をガラス板G1、G2に垂直方向に印加すると、直ちに各部品のブラウン運動が抑制された。つまり、芯部品10は、それまで特に規則性の見られない位置においてブラウン運動により動き回っていた状態から、ほぼ静止しつつ図9(a)に示す位置に配列された。さらに観察を続けると、芯部品10それぞれの回りには周辺部品20である金微粒子が動き回りながら引き寄せられてゆく様子が観察された。その金微粒子は、芯部品10である磁性ビーズの赤道96上に集まり、リング14に並んだ状態となって芯部品10の表面に当接し、芯部品10に寄り添うようにして動きをほぼ止めた(図9(a))。図9(a)には、芯部品10の回りに周辺部品20が集積して単位共振器100が構築されている様子が示されている。外部磁場Hの印加を開始してから、図9(a)の配列が得られるまで時間にして約1秒以下であった。また、この観察において磁場を印加し始めると、芯部品10である各々の磁性ビーズ同士は互いに反発しているようであった。というのは、外部磁場方向に垂直な面内(図9(a)の紙面内)では、図9(a)の配列が得られるまでに、単位共振器100それぞれが三角格子状に配列されてゆく様子が観察されたためである。図9(a)には、近くの芯部品10との間の距離が離されている様子をいくつかの両頭矢印により図5および図7と同様に例示している。なお、作製したメタマテリアル1000に採用した周辺部品20が小径(直径250nm)のAu微粒子であり静止画の顕微鏡像では判別が難しい。実際の観察では周辺部品20が移動し芯部品10に集まる様子が明瞭に観察されたため、図9(a)には観察から判別された単位共振器100の様子を図により併記している。
【0068】
その後、図9(a)の配列が形成された状態は、300Oeの磁場を印加し続ける限り特段変化しなくなった。そこで再度外部磁場Hを解除すると、元の部品分散流体、すなわち、芯部品10と周辺部品20が支持流体に分散された状態に戻ってゆく様子が観察された。周辺部品20は、外部磁場Hを解除した直後から芯部品10から離れて再び分散されてゆく。芯部品10は、周辺部品20より大きな粒径であるため、ブラウン運動が相対的に弱くやや時間をかけて3角格子の規則的な配列を崩していった。図9(b)は、周辺部品20が十分にバラバラに分散されたものの、芯部品10が外部磁場Hの影響で配列していた状況をわずかに残している時点の顕微鏡像である。直前までの外部磁場Hの影響により、外部磁場Hの方向に並んでいた芯部品10の並びが、外部磁場Hの解除とともに崩れてゆく様子が図9(b)に撮影されている。これに対し周辺部品20は、3次元的にも分散しており、図9(b)にはほとんど撮影されていない。そして留意すべき点は、芯部品10であるいくつかの磁性ビーズにおいて、その背面から別の磁性ビーズが現れることが確認されたことである。図9(b)に実線により囲んで示したように、複数の芯部品10の背後から外部磁場Hによりそれまで隠れていた芯部品10であるいくつかの磁性ビーズが姿を現し、時間とともに離れてゆくことが観察された。これは、芯部品10である複数の磁性ビーズが、外部磁場の方向に平行に、つまり図9(a)の紙面の前後方向に配列していたことを示している。その後観察を続けると、芯部品10の配列の規則性が完全に失われてゆくことが確認された。
【0069】
以上の観察結果は外部磁場Hが印加される試料片の範囲において同様であった。このように、外部磁場Hを印加することよって単位共振器100が構築されること、単位共振器100の配列が形成されること、その単位共振器100の配列が3次元的なものであること、そして、単位共振器100それ自体の構造や配列が外部磁場を解除することにより失われることが確認された。本実施形態により、3次元的な単位共振器100の配列を有するメタマテリアルを、ある厚み、ある広がりの3次元領域において一括して作製しうることを確認した。
【0070】
なお、観察結果を示したものは、図2(b)に示した常磁性体または強磁性体である芯部品10を反磁性体である周辺部品20が取り囲んだ構造の単位共振器100である。ただし、同様のメタマテリアル作製装置によって、図2および図3にて説明した他のいずれの構造の単位共振器100も構築されることも別途確認した。
【0071】
<第2実施形態>
[5 メタマテリアルの製造方法]
本発明においてはメタマテリアルの製造方法も提供される。以下、その製造方法について第2実施形態として説明する。第1実施形態において用いた各図面についても必要に応じて参照する。
【0072】
[5−1 全体の処理]
図10(a)は、本実施形態のメタマテリアルを製造する前半の工程を示すフローチャートである。本実施形態においてメタマテリアルを製造するためには、まず支持流体に芯部品10と周辺部品20とを分散することにより、流体である部品分散流体を準備する(S102)。次に、その部品分散流体に対して外部磁場を印加する(S104)。その外部磁場と、部品分散流体に分散されている芯部品10や周辺部品20、そして支持流体の条件を適宜調整すれば、その外部磁場を印加した時点でメタマテリアル1000が形成される。その結果、例えば周辺部品20が、外部磁場Hに垂直な平面内のリング14や、リング142および144(図2)に沿って並ぶ。この時点では、図4を参照して上述したように、周辺部品20には、互いに反発する斥力が生じ、リング14に沿って隣り合う周辺部品20同士の間隔はほぼ等間隔となる。これは、部品分散流体が流動性を有しており外部磁場が印加されていることによって生じる現象である。このため、外部磁場の印加条件を調整することによって電磁波300に対する特性を変更することが可能である。
【0073】
[5−2 外部磁場による制御]
図10(b)は、図10(a)に続けてメタマテリアルの特性を制御する手順を示すフローチャートである。メタマテリアルの特性を制御する場合には、例えば外部磁場の印加条件が調整される。これを実現するために、第1実施形態において図4を参照して説明したように、外部磁場の強度を変更し、個々の単位共振器100の構造を調整して電磁波300に対する特性を制御することにより行なわれる。また、図5〜図7を参照して説明したように、外部磁場の印加条件を変更し単位共振器100同士の2次元的な配列や3次元的な配列を制御することよってもメタマテリアルの特性が制御される。なお、これらの外部磁場の制御には、例えば、磁場の強度ばかりではなく、外部磁場の印加方向を変更して単位共振器100各々の磁気モーメントMの向きを制御することによっても実現される。部品分散流体が流動性を維持している限り、各時点の外部磁場によって、アクティブ・メタマテリアルの作用を調整することが可能である。この際調整されるアクティブ・メタマテリアルの特性は、例えば動作波長にあわせてリング状の電気回路の共振周波数、偏光状態(偏光の種類および偏光方向)、伝搬方向などである。
【0074】
[5−3 メタマテリアルの機能の固定化]
[5−3−1 光硬化性樹脂]
ここまでに説明したメタマテリアル1000では、部品分散流体が流動性を維持している。本実施形態のメタマテリアルの製造方法においては、メタマテリアルとしての電磁波に対する作用または機能が固定されているタイプのパッシブ・メタマテリアルを製造する手法も提供される。図10(c)は、支持流体が光硬化性樹脂を含んでいる場合において、図10(a)に続けてメタマテリアルを製造する後半の工程を示すフローチャートである。この場合、図10(a)の工程S102において準備されていた部品分散流体における支持流体には、例えば紫外線等の適当な刺激によって重合を開始する光硬化性樹脂の未硬化のものを混入させておく。そして、光を利用して前駆体である支持流体を固化または硬化し支持媒体を形成することにより、単位共振器やその配列を固定化する。このような支持流体では、適当なタイミングに、その光硬化性樹脂に硬化を開始させる紫外線等の光による露光(S124)が行なわれる。この露光のための最も典型的なタイミングは、外部磁場を調整することにより、所望の単位共振器100の構造が得られて、単位共振器100の配列も目的通りとなった時点である。そのため、露光(S124)より前に、外部磁場により単位共振器それぞれが構築されて、単位共振器が配列されている(S122)。このような手順によって、光硬化性樹脂を含んでいる支持流体を用いてパッシブ・メタマテリアルを製造することが可能となる。
【0075】
[5−3−2 溶媒を揮発させる手法]
揮発性溶媒を利用することによっても上述した光硬化性樹脂による機能の固定化と同様の効果を実現することができる。つまり、支持媒体のための前駆体となる流体として、揮発性溶媒とその揮発性溶媒に可溶な樹脂とを含んでいるものを採用する。そして、外部磁場を印加しながら揮発性溶媒を揮発させれば、芯部品と周辺部品との相対配置が支持媒体において固定されることとなる。これにより、流動性のある間に構築された単位共振器の構造が固定され、また、単位共振器のなす配列も固定される。
【0076】
[5−3−3 単位共振器のみを固定する手法]
本実施形態においては、さらに、構築された単位共振器の構造のみを固定することも可能である。例えば、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂の未硬化の樹脂(モノマー等)を芯部品10および周辺部品20のいずれかまたはその両方の表面のみに結合させたり被覆しておく。この状態で外部磁場を印加して単位共振器を構築し、露光あるいは熱を加えて部品表面の未硬化の樹脂を固化または硬化させる。この工程を採用すれば、芯部品10と周辺部品20とを備える単位共振器の構造がこれらの部品が互いに接着されることにより固定され、一体化した単位共振器が形成される。一体化された単位共振器は、その時点での分散媒となっている支持流体(「製造用分散媒」)とともにメタマテリアルとして利用することが可能である。また、一体化された単位共振器を支持流体から分離し別の任意の分散媒(「動作用分散媒」)に再度分散させてメタマテリアルを製造することも可能である。つまり、一体化された単位共振器を部品の接着により作製する手法を採用すれば、共振器構造が固定された単位共振器を大量に製造することが可能となる。また、この手法を採用すれば、使用される際のメタマテリアルに含まれる動作用分散媒を一体化された単位共振器の作製のための支持流体である製造用分散媒とは別のものとすることが可能となる。なお、単位共振器を支持流体から分離するためには、遠心分離、濾過、分級などの任意の手法を用いることができる。
【0077】
[5−4 機能のパターニング]
[5−4−1 部分露光によるパターニング]
上述した光硬化性樹脂を含む支持流体を用いる場合には、さらに、メタマテリアルの機能を高める手法を採用することができる。図11(a)は、図10(a)に続けて光硬化性樹脂を用いて部分的に露光することにより機能がパターニングされているメタマテリアルの製造方法を示すフローチャートである。外部磁場Hによって構築されている単位共振器100やその配列は、部分的な露光(「部分露光」、S132)によって所望の領域のみにて固定される。露光領域を部分のみに制限するためには、たとえ適当なマスクを用いることが有用である。その後、露光すべき領域(「未露光領域」)がある場合に(S134、Yの分岐)、外部磁場Hの印加条件が必要に応じて変更される(S136)。この際、未露光領域を露光するために、マスク(図示しない)の透過部の位置が適宜変更される。そして、このような露光領域を変更し外部磁場の印加条件を変更しながら、未露光領域がなくなるまで部分露光が繰り返される。未露光領域がなくなると(S134、Nの分岐)作製が終了する。
【0078】
[5−4−2 部分昇温によるパターニング]
上述したような領域毎のパターニングは、光硬化性樹脂を用いなくとも実行することが可能である。図11(b)は、部分昇温によって機能がパターニングされているメタマテリアルの製造方法を示すフローチャートである。例えば、支持媒体180に熱可塑性樹脂を含めておく。そして、図10(a)の工程S102における部品分散流体と同様の部品分散流体を、軟化または融解した熱可塑性樹脂に部品の集合を分散させたものとする(S142)。その部品分散流体は一旦冷却して固化される(S144)。この時点で部品を分散させている硬化分散体が形成される。次に、外部磁場Hを印加する(S146)。この時点では、芯部品10や周辺部品20は磁化して磁気モーメントが生じているものの、部品は移動することができない。そして、所望の領域のみ、部分的に昇温させる(S148)。すると、昇温された部分のみ支持媒体の流動性が回復し支持流体と同様の状況となる。こうして単位共振器100の構築や単位共振器100の配列が可能となる。このような部分昇温による領域を限定した軟化または融解は、例えば、レーザー光を集光して照射することにより部分的に昇温させれば容易に実現することができる。次に昇温した部分を冷却して固化する(S150)。外部磁場は十分に固化するまで印加され続けている。このため、部分昇温させた領域においては、外部磁場に応じて単位共振器100が構築され、単位共振器100の配列が形成される。なお、積極的な冷却S150が必要かどうかは、昇温される温度、放熱性など種々の条件に依存する。そのため、特段の工程として冷却S150を行なう必要が無い場合もある。昇温すべき領域(「未昇温領域」)がある場合には(S152、Yの分岐)、外部磁場の印加条件が変更され(S154)てこの処理が繰り返され、未昇温領域がなくなると(S152、Nの分岐)作製が終了となる。
【0079】
なお、上述した部分露光によるパターニングや部分昇温によるパターニングにおいて紫外光または熱線などの光線の照射位置を制御するためには、上述したマスクのほか、光線を任意の手法によってスキャンしたり、また、例えばデジタルミラーデバイスにより所定の位置のみに光線を照射する、といった任意の手法を採用することが可能である。
【0080】
[5−4−3 パターニングによる効果(1)]
図12は、上述した光硬化性樹脂を用いる部分露光や、熱可塑性樹脂を用いる部分昇温により得られる改良されたメタマテリアル2000の構成の一例を示す説明図である。メタマテリアル2000においては、上述したいずれかの手法によって、例えば領域220、240、260、そして280毎に別々の外部磁場の印加条件により、単位共振器100が構築され、単位共振器100が配置される。各領域における単位共振器100の様子を拡大して図に表示している。このうち、領域220、240、260は、互いに同じ強度で印加方向が異なる磁場によって単位共振器100の構築および配列が行なわれ、領域280は、領域260と同じ向きで強度が異なる外部磁場によって単位共振器100の構築および配列が行なわれたものである。そのため、領域220、240、260では、単位共振器100をみると、一の芯部品10に対して当接している周辺部品20の数は変わらず、周辺部品20が並ぶ平面の向きが異なっている。また、単位共振器100それぞれは、その平面に垂直方向に並んでいる。これは、その単位共振器100それぞれの並びの方向に外部磁場が印加されていたためである。これに対して領域280は、領域260と同じ向きで強度が異なる外部磁場が印加されたため、図4を参照して説明したように、リング14において周辺部品20が並ぶ数が異なっている。
【0081】
このように構築される単位共振器100や単位共振器100の配列を領域毎に作り分けるパターニングを行なうことによって、電磁場に対する作用または機能を領域毎に、つまり部分的に制御することができる。例えば、上述したメタマテリアル2000のように、一つのメタマテリアル内に様々な方向を向き、構造パラメーターも様々に異なる共振器構造を形成することが可能となる。具体的には、単位共振器100が、領域220、240、および260のように様々な方向を向いていることは、作製したメタマテリアルが様々な方向から入射する光に対して共振器構造を作用させ、入射光の磁場成分に影響を及ぼしうることを意味する。例えば、負の屈折率といったメタマテリアルとして機能を発揮する電磁波の入射方向は、通常は単位共振器の向きや配列に関連して定まる。そのため、本実施形態のメタマテリアルの作製方法その入射方向を拡げる広角化が達成される。また、領域260と領域280のように単位共振器100の周辺部品20の並びが異なることは、単位共振器100の構造パラメーターの違いとなって現われる。これは、単位共振器100の共振周波数が各領域において異なることを意味し、メタマテリアルとして機能する電磁波や光の波長範囲を広げるうることを意味する。つまり、作用する電磁波の波長範囲を拡げた、広帯域化したメタマテリアルを作製することが可能となる。このように、上述したいずれかのパターニングの手法を採用することより、外部磁場により一括して作製可能なメタマテリアルでありながら、部分的に機能または作用が制御され、メタマテリアル全体の機能を高度化させることが可能となる。
【0082】
[5−4−4 パターニングによる効果(2)]
図12を参照して説明したメタマテリアル2000においては、概して板状のメタマテリアル2000の広がり方向に区切られた領域220〜280によって、パターニングの効果を説明した。本実施形態のメタマテリアルの作製方法におけるパターニングの区切りには特段限定はなく、外部磁場の強度や方向を制御すること、そして光硬化性樹脂などの部品の配置を固定する作用を有する媒体を用いることによって実現可能な任意のパターニングを行なうことが含まれている。例えば、平面内においては一様な構造を有し、厚み方向の領域毎に、構築される単位共振器100やその配列を変化させて異なる機能を実現することも可能である。
【0083】
また、作製された領域に別々の機能や作用を有するメタマテリアルにおいて、作用を受ける光などの電磁波が、複数の領域を通過することを考慮して各領域(単位領域)における単位共振器100の構造や単位共振器100の配列を決定することも有効である。例えば、メタマテリアルが、電磁波の通過順に、それぞれが薄層に形成された第1単位領域層、第2単位領域層、そして第3単位領域層というように層を通過するように作製することが有効である。そして各単位領域層における単位共振器100を配列する際に加えられる外部磁場の方向を、第1単位領域層、第2単位領域層、そして第3単位領域層の順に光の進行方向に対してらせんを描くように、または歳差するよう変化させて作製する。そのようにして作製された第1単位領域層、第2単位領域層、そして第3単位領域層を通過する電磁波においては、右円偏光と左円偏光とに対して異なる特性を示す。つまり、第1単位領域層、第2単位領域層、そして第3単位領域層という単位領域を複数組み合わせた構造に対して、一の機能が実現されている。特に、左右の円偏光に対して異なる伝播特性を示す場合には、得られる一の機能が、光学活性または旋光性となる。
【0084】
<第3実施形態>
[6 微細加工技術との組合せ]
本発明のメタマテリアルは、上述した外部磁場を用いる手法に加えて微細加工を組み合わせる実施形態としても実施することができる。
【0085】
[6−1 インプリントを利用する手法]
図13は本実施形態(第3実施形態)においてインプリント法によって作製されるメタマテリアルの作製途中の各工程の構造を示す説明図である。本実施形態においてはインプリント型が利用される。その一例は、図13(b)に示した配列された芯スペーサー型54、56が形成されているインプリント型50である。インプリント型50は、型基板52に、例えば常磁性体または強磁性体である層を組み合わせて形成されており、芯部品10に対応する形状に形成された芯スペーサー型54、56を備えている。
【0086】
本実施形態の一例のメタマテリアルの作製方法は次の通りである。まず、インプリント型50を作製する。インプリント型50は、図13(a)に示した型基板52であるガラス基板に、例えばスピンコートによって、酸化鉄ナノ粒子を含んだガラスライク層として層52Cを形成する。このガラスライク層は、例えば無機ポリマーであるHSQ(Hydrogen Silsesquioxane)やAQUAMICA(商標)を用いる。また、酸化鉄ナノ粒子は、層52Cに対して常磁性または強磁性の磁性を与える役割をする。
【0087】
そして、図13(b)に示すように、芯スペーサー型54、56を残して、それ以外の層52Cを除去する。この加工のためには、例えばFIB(収束イオンビーム)によってフッ素系イオンにより酸化物であるガラスライク層を除去する。こうしてインプリント型50が完成する。なお、インプリント型50はインプリント法により他の部材に対してオスメスが反転された形状を写し取ることが可能な任意の面を有する型を意味しており、そのインプリント型50自体がどのように作製されるかは特段限定されない。
【0088】
次に、このインプリント型50を利用してメタマテリアル1100を作製する。具体的には、図13(c)に示すように、周辺部品分散流体110Lを、ある厚みで支持基板42に形成しておく。この周辺部品分散流体110Lは、動作させる電磁波の波長である動作波長しに比して小さい単位共振器のための周辺部品の集合を、支持流体に分散させたものである。周辺部品分散流体110Lにおいては、分散媒となる支持媒体が流動性を示す支持流体180Lとなっている。例えば、紫外線硬化樹脂を含む支持流体180Lとして用いられ、そこに、周辺部品20となる金微粒子が分散されている。そこに、図13(c)に示すように、芯スペーサー型54、56の側を向けてインプリント型50が接触され必要に応じて加圧される。その状態で図13(d)に示すように、外部磁場Hが印加されると、外部磁場Hによる作用によって、支持流体180Lに保持されている周辺部品20には、インプリント型50の芯スペーサー型54、56に向かう引力が生じる。そして、周辺部品20はインプリント型50の芯スペーサー型54、56に引き寄せられて当接する。その状態を、周辺部品20とインプリント型50のみにて示すのが図13(e)である。この時点で、周辺部品20は、動作波長に比べて小さい径のリングに並んでいる。そして、例えば支持流体180Lの紫外線硬化樹脂を硬化させることによって、周辺部品20の並びを固定する。すると、図13(e)における周辺部品20の並びが反映されて、周辺部品20が、芯スペーサー型54、56が作った芯跡地の周囲にリング状に並んで支持媒体180に保持された状態となる(図13(f))。そして、必要に応じて、平滑化層48によってこの芯跡地を埋めれば、図13(g)のようにインプリント法を用いたメタマテリアル1100が形成される。
【0089】
この手法は、一層の単位共振器100を形成することには限定されない。必要に応じて、作製されたメタマテリアル1100(図13(g))の平滑化層48の表面を新たな下地面として、そこに図13(c)の段階のように再び周辺部品分散流体110Lを配置して以降の工程を繰り返せば、単位共振器100が3次元的に配置されているメタマテリアル(図示しない)を作製することが可能となる。
【0090】
図14は、インプリント法に採用される芯スペーサー型の形状と、それにより作製される周辺部品によるリング状の仮想的な配線パターンを示す説明図である。図14(a)は芯スペーサー型54の平面図である。そして、図14(b)は芯スペーサー型56によって作製されるメタマテリアル1100に含まれている単位共振器110(単位共振器110A、110Bと区別する)の平面図である。単位共振器110A、110Bは、いずれも、周辺部品20のリング14に沿う並びによって形成されている(図14(a2)、図14(b2))。このリング14に沿う並びは、芯スペーサー型54、56の形状を反映したものである(図14(a1)、図14(b1))。つまり、スプリット部のための突出部54S、56Sがそれぞれ設けられている芯スペーサー型54、56においては、周辺部品20のリング14に沿う並びにも、スプリット部S1およびS2が形成される(図14(a2)、図14(b2))。図14(a3)および図14(b3)には、周辺部品20が金属などの良導体である場合における単位共振器110A、110Bそれぞれの共振器構造を導電膜のトレースにより実現する仮想的な配線パターン110AMおよび110BMを示している。配線パターン110AMおよび110BMは、リング14における周辺部品20の並びを電気的にほぼ等価な仮想的な配線パターンとして示したものである。スプリット部のための突出部54S、56Sの形状・位置・数を調整することは、仮想的な配線パターン110AMおよび110BMにおいて、スプリット部S1およびS2の幅・位置・数を調整することに相当する。このため、芯スペーサー型54、56の突出部54S、56Sを調整することにより、リング14における周辺部品20の並びを制御してSRR構造のスプリット部を調整するかのような効果を果たすことが可能である。
【0091】
このようなインプリント型50を用いることにはいくつかの利点がある。その一つは、スプリット部を突出部54S、56Sの形状や位置として微細加工の技術によって作製することが可能なことである。この点は、例えば図13(a)に示したように、一つのインプリント型50に、複数種の芯スペーサー型54と芯スペーサー型56を含める際には、例えばメタマテリアルの広帯域化などの利点をもたらす。図示しないが、芯スペーサー型個別の形状は同一のものであっても、作製されるメタマテリアルの位置によって芯スペーサー型の配列、例えば芯スペーサー型同士の間隔や形成される格子のタイプを変更することにより、メタマテリアルの領域毎に電磁波への異なる作用を実現することも可能である。これらのインプリント型50を採用する場合には、図5を参照して説明した常磁性体または強磁性体の芯部品10の場合における磁気モーメントに由来する斥力を利用した単位共振器の配列に比べて、微細加工による高い形状制御性がメタマテリアルに実現される。
【0092】
また別の利点として、芯スペーサー型54、56が使用時のメタマテリアルに残留しない点を挙げることができる。端的には、電磁波300に対する性質を考慮せずに芯スペーサー型54、56を選択できることである。例えば、芯スペーサー型54、56の材質として電磁波300に対して吸収が強い材質や散乱が強い材質を採用することも可能となる。このため、芯スペーサー型54、56としては、例えば常磁性体または強磁性体を採用し、周辺部品20として反磁性体を採用することにより、図2(b)を参照して説明したようなリング14に沿って並ぶ周辺部品20と同様の周辺部品の配列を形成することが可能である。また、その逆に、芯スペーサー型54、56として反磁性体を採用し、周辺部品20として例えば常磁性体または強磁性体を採用することも可能である。
【0093】
[6−2 ガイド壁の利用]
本実施形態における微細加工と組み合わせる別の手法は、ガイド壁を用いるものである。図15は、ガイド壁64を有するメタマテリアルの作製途中の各工程の構造を示す説明図である。図15(a)は、ガイド壁64を形成する手法を説明する説明図、図15(b)は、ガイド壁64を有するメタマテリアル1200の構成を示す断面図、そして、図15(c)は、単位共振器120それぞれとガイド壁64との位置関係を示す斜視図である。また、図16は、ガイド壁および単位共振器の位置関係と、周辺部品によるリングの仮想的な配線パターンを示す説明図である。この場合にも、芯部品10と周辺部品20が作る単位共振器120において、リング14は、電磁波の動作波長に比して小さい径にされており、また、周辺部品20も芯部品10に比して小さいサイズとされている。
【0094】
図15(a)に示すように、メタマテリアル1200に採用されるガイド壁64は、基部62から突出しており、例えば、インプリント型72からの型抜きによって作製されてガイド壁の列64、64をなしている。このようなガイド壁64は、例えばPDMS(ポリジメチルシロキサン)等の材質によって形成することにより、電磁波(例えば可視光)を透過するような性質を持たせることが可能である。
【0095】
このガイド壁64は、隣り合うガイド壁64との間にスペーシングを備えている。このスペーシングには、図15(b)に示すように、支持媒体180に保持されている芯部品10と周辺部品20とによる単位共振器120が配置されている。つまり、最初に図15(a)に示したガイド壁64を形成し、その後、部品分散流体、すなわち芯部品10と周辺部品20が支持流体に分散された状態のものが、そのガイド壁64がつくるスペーシングの位置に配置される。そして、必要に応じてカバースリップ66が配置され、図10(b)を参照し説明したのと同様に外部磁場が印加される。その結果、芯部品10や周辺部品20の磁性に応じ、図2または図3を参照し説明したものと同様の単位共振器120が形成される。
【0096】
このような単位共振器120の配置が可能となるように、ガイド壁64の高さは、少なくとも1層の単位共振器120をスペーシングに収容しうるものとされている。図15(b)に示すメタマテリアル1200において、例えば単位共振器120それぞれが保持されている媒体は支持媒体180であり、支持流体180L(図13)のように流動性を示すものも採用される。この支持媒体180としては、例えば光硬化性樹脂を含んで固化または硬化されているような媒体も採用される。特に流動性を有する支持媒体を用いる場合には、スペーシングを封止するために、基部62に対向する面には、カバースリップ66が配置される場合もある。また、メタマテリアル1200が電磁波に対し作用を及ぼすため、例えばガイド壁64は、動作波長の電磁波を透過させる材質により作製されていることが好ましい。
【0097】
なお、ガイド壁64は上述したインプリント法によるほか、他の手法により作製することも可能である。例えばレジスト膜など適当な膜に開口部を設けたマスク(図示しない)を通しドライエッチングを行なう。ドライエッチングを採用する場合には、例えばガラス板などの基板において、当該基板自体または当該基板の上に設けた任意の層を選択的にエッチングしスペーシングとなる凹部を形成する。この工程により、凹部をスペーシング、そして凹部の側壁や隣合う別々の凹部の間の凸部をガイド壁とすることが可能である。また、当該基板自体または当該基板に設けた任意の層をFIBにより直接切削しスペーシングとなる凹部を形成することにより、その凹部の側壁や凹部の間の凸部をガイド壁とすることも可能である。
【0098】
このガイド壁64の役割は、一つには、ガイド壁64の間のスペーシングにより一定の配列規則を単位共振器120に与える効果である。ガイド壁64が存在することにより、単位共振器120が形成される位置が制限され、単位共振器120の配列の規則性が高まる。もう一つ、スペーシングが芯部品10や周辺部品20の外径と特別な関係を満たすように形成されている場合には、ガイド壁64がスプリット部を形成する役割をも果たす。すなわち図16に示すように、ガイド壁64の間のスペーシングの幅Wが、例えば芯部品10の外径よりも大きく、かつ、芯部品10の外径と周辺部品20の外径の2倍との和よりも小さくなるようになっていると、リング14に沿う周辺部品20の並びには、スプリット部S3が形成される。これは、ガイド壁64の形状を調整することにより共振器としての特性を制御しうることを意味している。なお、必要に応じてこの形成工程を繰り返せば、単位共振器120が3次元的に配列されたメタマテリアル(図示しない)も作製することができる。例えば、カバースリップ66の上面を新たな下地としてガイド壁64が形成され繰り返し単位共振器120が構成される。
【0099】
[5−3 高いガイド壁を利用した3次元制御]
さらに、図17は、高いガイド壁を有するメタマテリアル1300において、その構造と、ガイド壁内に収容されている単位共振器の配列を示す説明図である。図17(a)は、高いガイド壁84を有するメタマテリアル1300の構造を示す断面図、そして、図17(b)は高いガイド壁84の構造を示す分解斜視図であり、図17(c)〜図17(e)は、単位共振器130それぞれと高いガイド壁84との位置関係を示す斜視図である。
【0100】
図17に示したガイド壁84のガイド壁64(図15)からみた変更点は、ガイド壁84が、複数の単位共振器130を高さ方向に収容しうる高さに基部82から突出していることである。このため、ガイド壁84を用いるメタマテリアル1300も、図15を参照し説明したメタマテリアル1200と同様の利点を有する。つまり、メタマテリアル1300に用いられる単位共振器130も、ガイド壁84によりスプリット部S3(図16)が形成される。加えて、メタマテリアル1300においては、3次元的に配列している単位共振器130に対しても、高いガイド壁84が配列の規則性を高める効果を発揮する。このため、ガイド壁84を形成する微細加工を行ない、磁場を印加することによって、互いに高い規則性を以て配列されている単位共振器130の3次元的な配列を形成することが可能となる。この場合にも、表面における散乱を防止するなどの目的のために、必要に応じカバースリップ86が配置される。
【0101】
本発明のいずれかの実施形態によれば、例えば赤外光から紫外光までの、可視光を含む短い波長においてメタマテリアルとして機能する人工光学材料が提供される。しかも、メタマテリアルの基本構成部品となる芯部品10や周辺部品20が支持媒体に分散されている状態で外部磁場を印加することにより、単位共振器を一括して大量に形成する形成することが可能となる。本発明のいずれかの実施態様によれば、構成部品である芯部品10や周辺部品20を封入した構造により2次元あるいは3次元の人工光学材料を形成することが可能であり、外部磁場の操作あるいは樹脂により構造を固定化することにより、アクティブまたはパッシブのメタマテリアルの両機能を発現することが可能となる。すなわち、本発明のいずれかの態様により、例えば大面積メタマテリアルシートの実現への道が開かれたり、レンズやプリズムなどのかさ高く複雑な形状の光学素子を、例えばシート状素子に置き換えたりすることが可能になる場合がある。つまり、本発明のいずれかの態様は、様々な光学
モジュールの小型化、簡略化へと貢献しうるものである。ひいては、本発明のいずれかの態様は、例えばスーパーレンズシートの実現、CCDやCMOSなどの撮像素子の高感度化、半導体回路の更なる細線化等に貢献しうるようなメタマテリアルを、より簡易に作製することが可能となる。
【0102】
<態様項の列記>
最後に、本発明の各実施形態として上述したものの具体的態様を態様項として列記する。
【0103】
[態様項1]
支持媒体に保持され電磁波に作用するようになっているメタマテリアル用の単位共振器であって、
芯部品と、
電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って該芯部品に当接して並ぶいくつかの周辺部品であって、該周辺部品それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しており、該動作波長の電磁波にとって電気回路として作用する周辺部品と
を備える
単位共振器。
【0104】
[態様項2]
前記周辺部品が、前記芯部品のほぼ中心を通る平面に含まれる前記リングに沿って並んでいる
態様項1に記載の単位共振器。
【0105】
[態様項3]
前記芯部品が常磁性体または強磁性体であり、前記周辺部品が反磁性体である
態様項2に記載の単位共振器。
【0106】
[態様項4]
前記芯部品が反磁性体であり、前記周辺部品が常磁性体または強磁性体である
態様項2に記載の単位共振器。
【0107】
[態様項5]
前記周辺部品が、前記芯部品を挟み互いにほぼ平行な二つの平面それぞれに含まれるリングに沿って並んでいる
態様項1に記載の単位共振器。
【0108】
[態様項6]
前記芯部品と前記周辺部品とがいずれも常磁性体または強磁性体である
態様項5に記載の単位共振器。
【0109】
[態様項7]
前記芯部品と前記周辺部品とがいずれも反磁性体である
態様項5に記載の単位共振器。
【0110】
[態様項8]
前記周辺部品のうち一の芯部品に当接し一のリングに沿って隣り合うもの同士の間隔がほぼ等間隔に配置されている
態様項1に記載の単位共振器。
【0111】
[態様項9]
前記支持媒体が前記芯部品および前記周辺部品のいずれよりも小さい磁性微粒子を含んでいる
態様項1に記載の単位共振器。
【0112】
[態様項10]
前記リングが含まれる面に平行な電界成分を有する電磁波が入射した際に、前記リングにおける前記周辺部品のなす電気回路に該電磁波と同一の周波数の交流電流が流れる
態様項2または態様項5に記載の単位共振器。
【0113】
[態様項11]
前記リングが含まれる面に垂直な磁場成分を有する電磁波が入射した際に、前記リングにおける前記周辺部品のなす電気回路に該電磁波と同一の周波数の交流電流が流れる
態様項2または態様項5に記載の単位共振器。
【0114】
[態様項12]
前記芯部品に対する前記周辺部品の相対配置、または前記周辺部品のうち一の芯部品に当接しているもの同士の相対配置が、少なくともいずれかの時点に印加された外部磁場により定まっている
態様項3、態様項4、態様項6乃至態様項9のいずれか1項に記載の単位共振器。
【0115】
[態様項13]
前記支持媒体が流体であり、
前記芯部品に対する前記周辺部品の相対配置、または前記周辺部品のうち一の芯部品に当接しているもの同士の相対配置のいずれかを、使用時の外部磁場の印加条件に応じて変化させる
態様項12に記載の単位共振器。
【0116】
[態様項14]
前記支持媒体のための前駆体が未硬化の光硬化性樹脂を含んでおり、
前記外部磁場を印加しながら該光硬化性樹脂に硬化を開始させる光を該前駆体に照射することにより、前記芯部品と前記周辺部品との相対配置が前記支持媒体において固定されている
態様項12に記載の単位共振器。
【0117】
[態様項15]
前記支持媒体のための前駆体が揮発性溶媒と該揮発性溶媒に可溶な樹脂とを含んでおり、
前記外部磁場を印加しながら該揮発性溶媒を揮発させることにより、前記芯部品と前記周辺部品との相対配置が前記支持媒体において固定されている
態様項12に記載の単位共振器。
【0118】
[態様項16]
前記芯部品と前記周辺部品とがいずれも50nm以上100μm以下のサイズである
態様項1に記載の単位共振器。
【0119】
[態様項17]
前記芯部品と前記周辺部品が、球、柱状体、多面体、および不定形からなる群から選択されたいずれか一の形状を有している
態様項1に記載の単位共振器。
【0120】
[態様項18]
前記芯部品が、常磁性体もしくは強磁性体、または反磁性体からなる磁性制御材質群から選択された少なくとも一の材質を含んでいる
態様項1に記載の単位共振器。
【0121】
[態様項19]
前記周辺部品が金属微粒子または金属球である
態様項1に記載の単位共振器。
【0122】
[態様項20]
前記周辺部品が、常磁性体もしくは強磁性体、または反磁性体からなる磁性制御材質群から選択された少なくとも一の材質と、導体または絶縁体からなる導電性制御材質群から選択された少なくとも一の材質との混合物質である
態様項1に記載の単位共振器。
【0123】
[態様項21]
前記周辺部品が、常磁性体もしくは強磁性体、または反磁性体からなる磁性制御材質群から選択された少なくとも一の材質を含む中心核と、導体または絶縁体からなる導電性制御材質群から選択された少なくとも一の材質を含む表面被覆層とを含ものである
態様項1に記載の単位共振器。
【0124】
[態様項22]
前記磁性制御材質群が、鉄、コバルト、ニッケル、希土類金属、およびマグネタイトを含む磁性元素または磁性化合物からなる材質群である
態様項18乃至態様項21のいずれか1項に記載の単位共振器。
【0125】
[態様項23]
前記導電性制御材質群が、ガラス、誘電体、有機材料および高分子材料からなる材質群である
態様項20または態様項21に記載の単位共振器。
【0126】
[態様項24]
前記芯部品に当接しているいくつかの周辺部品が該芯部品に接着され、各単位共振器の構造が固定化されている
態様項1に記載の単位共振器。
【0127】
[態様項25]
複数の単位共振器を支持媒体中に備えているメタマテリアル用の共振器アレイであって、
該単位共振器それぞれが、
芯部品と、
電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って並び、該芯部品に当接して配置されているいくつかの周辺部品であって、該周辺部品それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しており、該動作波長の電磁波にとって電気回路として作用する周辺部品と
を備えるものである
共振器アレイ。
【0128】
[態様項26]
前記支持媒体が前記芯部品および前記周辺部品のいずれよりも小さい磁性微粒子を含んでいる
態様項25に記載の共振器アレイ。
【0129】
[態様項27]
前記単位共振器それぞれに備わる前記芯部品が常磁性体または強磁性体であり、
前記複数の単位共振器のうちある平面に含まれる少なくともいくつかの単位共振器が三角格子をなしている
態様項25に記載の共振器アレイ。
【0130】
[態様項28]
前記単位共振器それぞれに備わる前記芯部品が常磁性体または強磁性体であり、
前記複数の単位共振器のうちの少なくともいくつかの単位共振器が、ある方向に向く直線群の各直線上に沿って互いにほぼ一定の間隔を置いて並んでいる
態様項25に記載の共振器アレイ。
【0131】
[態様項29]
前記複数の単位共振器のうちの少なくともいくつかの単位共振器同士の相対配置が、少なくともいずれかの時点に印加された外部磁場により定まっている
態様項26乃至態様項28のいずれか1項に記載の共振器アレイ。
【0132】
[態様項30]
前記支持媒体が流体であり、
前記単位共振器の互いの相対配置を使用時の外部磁場の印加条件に応じて変化させる
態様項26乃至態様項28のいずれか1項に記載の共振器アレイ。
【0133】
[態様項31]
前記支持媒体のための前駆体が未硬化の光硬化性樹脂を含んでおり、
前記外部磁場を印加しながら該光硬化性樹脂に硬化を開始させる光が該前駆体に照射され、前記支持媒体において前記複数の単位共振器のうちの少なくともいくつかの単位共振器の相対配置が硬化した前記光硬化性樹脂により固定されている
態様項30に記載の共振器アレイ。
【0134】
[態様項32]
前記光は、第1の印加条件にて前記外部磁場を印加しながら前記前駆体の第1の露光領域に照射され、第2の印加条件にて前記外部磁場を印加しながら前記前駆体の第2の露光領域に照射され、
それにより、前記第1の露光領域と前記第2の露光領域とに対応する前記支持媒体の各領域において電磁波に対する作用が互いに異なっている
態様項31に記載の共振器アレイ。
【0135】
[態様項33]
前記支持媒体のための前駆体が揮発性溶媒と該揮発性溶媒に可溶な樹脂とを含んでおり、
前記外部磁場を印加しながら該揮発性溶媒が揮発され、前記支持媒体において前記複数の単位共振器に含まれる少なくともいくつかの単位共振器の相対配置が前記樹脂により固定されている
態様項30に記載の共振器アレイ。
【0136】
[態様項34]
前記支持媒体が熱可塑性樹脂を含んでおり、
第1の印加条件にて前記外部磁場を印加しながら、該支持媒体の第1の加熱領域に照射される光または熱線により該第1の加熱領域の該熱可塑性樹脂が部分的に軟化され、
第2の印加条件にて前記外部磁場を印加しながら、該支持媒体の第2の加熱領域に照射される光または熱線により該第2の加熱領域の該熱可塑性樹脂が部分的に軟化され、
それにより、該第1の加熱領域と該第2の加熱領域とにおける電磁波に対する作用が互いに異なっている
態様項30に記載の共振器アレイ。
【0137】
[態様項35]
電磁波に対する作用が異なっている単位領域を複数組合せることにより、電磁波に対する一の機能を実現している
態様項32または態様項34に記載の共振器アレイ。
【0138】
[態様項36]
前記単位領域それぞれの前記複数の単位共振器の配向方向が異なっており、
前記一の機能が光学活性である
態様項35に記載の共振器アレイ。
【0139】
[態様項37]
前記芯部品と前記周辺部品とがいずれも50nm以上100μm以下のサイズである
態様項25に記載の共振器アレイ。
【0140】
[態様項38]
前記芯部品と前記周辺部品が、球、柱状体、多面体、および不定形からなる群から選択されたいずれか一の形状を有している
態様項25に記載の共振器アレイ。
【0141】
[態様項39]
前記芯部品が、常磁性体もしくは強磁性体、または反磁性体からなる磁性制御材質群から選択された少なくとも一の材質を含んでいる
態様項25に記載の共振器アレイ。
【0142】
[態様項40]
前記磁性制御材質群が、鉄、コバルト、ニッケル、希土類金属、およびマグネタイトを含む磁性元素または磁性化合物からなる材質群である
態様項39に記載の共振器アレイ。
【0143】
[態様項41]
芯部品と、それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しているいくつかの周辺部品とを含む単位共振器のための部品の集合を支持流体に分散させることにより部品分散流体を準備する工程と、
該部品分散流体に外部磁場を印加して前記支持流体中において前記単位共振器のそれぞれを構築する工程であって、該外部磁場により、前記芯部品に当接しながら、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って並ぶように前記周辺部品を配置する、工程と
を含む
メタマテリアルの製造方法。
【0144】
[態様項42]
前記周辺部品が常磁性体または強磁性体であり、
前記単位共振器のそれぞれを構築する工程が、印加した前記外部磁場の方向に垂直な平面内に前記リングが配置され、前記周辺部品の相互間に生じる斥力により、該リングにおいて複数の周辺部品の隣接するもの同士の間隔をほぼ等間隔に配置するものである
態様項41に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0145】
[態様項43]
前記部品分散流体に外部磁場を印加して前記支持流体中において前記単位共振器を配列する工程であって、該外部磁場により、前記部品の集合に含まれる少なくともいくつかの前記芯部品の間に磁気による引力または斥力が生成される、工程
をさらに含む
態様項41に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0146】
[態様項44]
前記芯部品が常磁性体または強磁性体であり、
前記単位共振器を配列する工程が、印加した前記外部磁場の方向に垂直な平面内において前記芯部品の相互間に生じる斥力により、該平面内において複数の単位共振器のうちの少なくともいくつかを三角格子状に配列するものである
態様項43に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0147】
[態様項45]
前記支持流体が前記芯部品および前記周辺部品のいずれよりも小さい磁性微粒子を含んでいる
態様項41乃至態様項44のいずれか1項に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0148】
[態様項46]
前記支持流体が光硬化性樹脂を含んでおり、
前記部品分散流体に外部磁場を印加しながら、該光硬化性樹脂に硬化を開始させる光を該部品分散流体に照射する工程
をさらに含む
態様項41または態様項43に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0149】
[態様項47]
前記光を該部品分散流体に照射する工程が、前記光を外部磁場の第1の印加条件にて前記部品分散流体の第1の露光領域に照射し、前記光を外部磁場の第2の印加条件にて前記部品分散流体の第2の露光領域に照射するものである
態様項46に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0150】
[態様項48]
前記支持流体が揮発性溶媒と該揮発性溶媒に可溶な樹脂とを含んでおり、
前記部品分散流体に前記外部磁場を印加しながら該揮発性溶媒が揮発される
態様項41または態様項43に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0151】
[態様項49]
前記支持流体が熱可塑性樹脂を含んでおり、
前記部品分散流体を冷却して前記部品の集合が分散された硬化分散体を作る工程と、
前記硬化分散体に第1の印加条件にて前記外部磁場を印加しながら、前記硬化分散体の第1の加熱領域に照射される光または熱線により前記熱可塑性樹脂を軟化または融解させる熱を加える工程と、
前記硬化分散体に第2の印加条件にて前記外部磁場を印加しながら、前記硬化分散体の第2の加熱領域に照射される光または熱線により前記熱可塑性樹脂を軟化または融解させる熱を加える工程と
をさらに含み、それにより、前記第1の加熱領域と前記第2の加熱領域とにおける前記硬化分散体の電磁波に対する作用が互いに異なっている
態様項41または態様項43に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0152】
[態様項50]
支持流体から固化または硬化された支持媒体と、
該支持媒体に保持されているいくつかの周辺部品であって、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って並び、該動作波長の電磁波にとって電気回路として作用する周辺部品と
を備え、
前記リングに沿う並びは、前記支持流体に前記周辺部品が分散されてなる周辺部品分散流体に接触されたインプリント型の突出している芯スペーサー型に対して、前記周辺部品の少なくともいくつかを外部磁場の作用によって当接させながら、前記支持流体を固化または硬化することにより形成されたものである
メタマテリアル。
【0153】
[態様項51]
前記芯スペーサー型が形成した凹み領域を埋め、前記動作波長の電磁波を透過させる平滑化層
をさらに備える
態様項50に記載のメタマテリアル。
【0154】
[態様項52]
動作させる電磁波の波長である動作波長に比して小さい単位共振器のための周辺部品の集合を、支持流体に分散させることにより周辺部品分散流体を準備する工程と、
突出している芯スペーサー型の配列を有するインプリント型を、前記周辺部品分散流体に接触させる工程と、
外部磁場を印加して前記周辺部品により前記支持流体中において前記単位共振器のそれぞれを構築する工程であって、該外部磁場により前記芯スペーサー型に少なくともいくつかの前記周辺部品を当接させることにより、動作させる電磁波の波長である動作波長に比して小さい径のリングに沿って前記周辺部品を並べる、工程と、
前記支持流体を固化または硬化して、前記周辺部品分散流体を固化または硬化したものから前記インプリント型を分離する工程と
を含む
メタマテリアルの製造方法。
【0155】
[態様項53]
前記芯スペーサー型が常磁性体または強磁性体であり、前記周辺部品が反磁性体である
態様項52に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0156】
[態様項54]
前記芯スペーサー型が反磁性体であり、前記周辺部品が常磁性体または強磁性体である
態様項52に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0157】
[態様項55]
前記芯スペーサー型には、前記リングにおいて前記周辺部品を配置しないスプリット部のための突出部が設けられている
態様項52に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0158】
[態様項56]
前記芯スペーサー型の配列、または、前記芯スペーサー型の形状が互いに異なるいくつかの領域を含む
態様項52に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0159】
[態様項57]
前記芯スペーサー型が形成した凹み領域を埋め、前記動作波長の電磁波を透過させる滑化層を形成する工程
をさらに含む
態様項52に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0160】
[態様項58]
前記単位共振器のそれぞれを構築する工程において、前記周辺部品の集合に含まれる周辺部品と前記芯スペーサー型との間に磁気による引力または斥力が生じる
態様項52に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0161】
[態様項59]
支持媒体と、
該支持媒体に保持されている芯部品と、
該支持媒体に保持されているいくつかの周辺部品であって、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って前記芯部品に当接して並び、該芯部品と同等または該芯部品より小さいサイズを有しており、該動作波長の電磁波にとって電気回路として作用する周辺部品と、
突出して並ぶガイド壁の列であって、隣り合うガイド壁との間隙であるスペーシングに、前記支持媒体と前記芯部品と前記周辺部品とを収容しているガイド壁の列と
を備える
メタマテリアル。
【0162】
[態様項60]
前記ガイド壁の突出している高さが前記スペーシングが複数の前記芯部品を収容しうるものであり、
前記芯部品が3次元的に配列されている
態様項59に記載のメタマテリアル。
【0163】
[態様項61]
前記スペーシングの幅が、前記部品の集合に含まれる芯部品の径よりも広く、前記部品の集合に含まれる周辺部品の径の2倍と前記芯部品の径との和よりも狭く、前記リングに、前記周辺部品が配置されないスプリット部が形成されている
態様項59または態様項60に記載のメタマテリアル。
【0164】
[態様項62]
前記ガイド壁が、前記動作波長の電磁波を透過させる
態様項59に記載のメタマテリアル。
【0165】
[態様項63]
動作させる電磁波の波長である動作波長に比して小さい単位共振器のための部品の集合を支持流体に分散させることにより部品分散流体を準備する工程と、
隣り合うガイド壁との間隙として少なくとも前記芯部品を収容しうる幅のスペーシングを有して突出して並ぶガイド壁の列を準備する工程と、
該ガイド壁の列の間の前記スペーシングに、前記部品分散流体を配置する工程と、
外部磁場を印加して前記部品により流体である前記支持流体中において前記単位共振器のそれぞれを構築する工程であって、前記部品の集合に含まれる少なくともいくつかの前記周辺部品が前記芯部品に当接してリングに沿って並ぶ、工程と
を含む
メタマテリアルの製造方法。
【0166】
[態様項64]
前記ガイド壁の突出している高さが前記スペーシングが複数の前記単位共振器を収容しうるものであり、
前記単位共振器が3次元的に配列されている
態様項63に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0167】
[態様項65]
前記スペーシングの幅が、前記部品の集合に含まれる芯部品の径よりも広く、前記部品の集合に含まれる周辺部品の径の2倍と前記芯部品の径との和よりも狭く、それにより、前記リングに、前記周辺部品が配置されないスプリット部が形成される
態様項63に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0168】
[態様項66]
前記ガイド壁の列を準備する工程が、ガイド壁を形成するためのインプリント型によってガイド壁を形成する工程である
態様項63に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0169】
[態様項67]
前記ガイド壁の列を準備する工程が、開口部を設けたマスク越しのドライエッチングにより前記スペーシングとなる凹部を任意の層に形成する工程である
態様項63に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0170】
[態様項68]
前記ガイド壁の列を準備する工程が、FIB(収束イオンビーム)により任意の層を直接切削して前記スペーシングとなる凹部を形成する工程である
態様項63に記載のメタマテリアルの製造方法。
【0171】
[態様項69]
芯部品と、それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しているいくつかの周辺部品とを含む単位共振器のための部品の集合を支持流体に分散させることにより部品分散流体を準備する工程と、ここで、前記芯部品と前記周辺部品とのいずれかまたはその両方の表面の上に光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂の未硬化の前駆体が結合または被覆されており、
前記部品分散流体に外部磁場を印加して前記支持流体中において前記単位共振器のそれぞれを構築する工程であって、該外部磁場により、前記芯部品に当接しながら、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って並ぶように前記周辺部品を配置する、工程と、
前記未硬化の前記前駆体を固化または硬化させることにより、前記芯部品に当接しているいくつかの周辺部品を該芯部品に接着させ、各単位共振器の構造を固定化する工程と
を含む
メタマテリアル用の単位共振器の製造方法。
【0172】
[態様項70]
構造が固定化されている前記単位共振器を前記支持流体から分離する工程
をさらに含む
態様項69に記載のメタマテリアル用の単位共振器の製造方法。
【0173】
[態様項71]
態様項70に記載の前記単位共振器を前記支持流体とは別の分散媒に分散させる工程
を含む
メタマテリアルの製造方法。
【0174】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。上述の実施形態、実施例およびその観察例、ならびに各態様項は、発明を説明するために記載されたものであり、本出願の発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきものである。また、実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明は、メタマテリアルを用いる任意の光学素子を採用する光学機器に適用される。
【符号の説明】
【0176】
1000、1100、1200、1300、2000 メタマテリアル
100、100A、100B、100C、110、120、130 単位共振器
10 芯部品
20 周辺部品
180 支持媒体
180L 支持流体
14、142、144 リング
92、94 極
96 赤道
110L 周辺部品分散流体
220、240、260、260 領域
300 電磁波
42 支持基板
48 平滑化層
50 インプリント型
52 型基板
52C 層
54、56 芯スペーサー型
54S、56S 突出部
62、82 基部
64、84 ガイド壁
66、86 カバースリップ
72 インプリント型
500 メタマテリアル作製装置
S1、S2、S3 スプリット部
C1、C2 コイル
G1、G2 ガラス板
X−Y 自動XYステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持媒体に保持され電磁波に作用するようになっているメタマテリアル用の単位共振器であって、
芯部品と、
電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って該芯部品に当接して並ぶいくつかの周辺部品であって、該周辺部品それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しており、該動作波長の電磁波にとって電気回路として作用する周辺部品と
を備える
単位共振器。
【請求項2】
前記周辺部品が、前記芯部品のほぼ中心を通る平面に含まれる前記リングに沿って並んでいる
請求項1に記載の単位共振器。
【請求項3】
前記芯部品が常磁性体または強磁性体であり前記周辺部品が反磁性体であるか、または、前記芯部品が反磁性体であり前記周辺部品が常磁性体または強磁性体である
請求項2に記載の単位共振器。
【請求項4】
前記周辺部品が、前記芯部品を挟み互いにほぼ平行な二つの平面それぞれに含まれるリングに沿って並んでいる
請求項1に記載の単位共振器。
【請求項5】
前記支持媒体が前記芯部品および前記周辺部品のいずれよりも小さい磁性微粒子を含んでいる
請求項1に記載の単位共振器。
【請求項6】
前記リングが含まれる面に平行な電界成分を有する電磁波が入射した際に、または、前記リングが含まれる面に垂直な磁場成分を有する電磁波が入射した際に、前記リングにおける前記周辺部品のなす電気回路に該電磁波と同一の周波数の交流電流が流れる
請求項2または請求項4に記載の単位共振器。
【請求項7】
前記芯部品に対する前記周辺部品の相対配置、または前記周辺部品のうち一の芯部品に当接しているもの同士の相対配置が、少なくともいずれかの時点に印加された外部磁場により定まっており、
前記支持媒体が流体であり、
前記芯部品に対する前記周辺部品の相対配置、または前記周辺部品のうち一の芯部品に当接しているもの同士の相対配置のいずれかを、使用時の外部磁場の印加条件に応じて変化させる
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の単位共振器。
【請求項8】
前記支持媒体のための前駆体が未硬化の光硬化性樹脂を含んでおり、
前記外部磁場を印加しながら該光硬化性樹脂に硬化を開始させる光を該前駆体に照射することにより、前記芯部品と前記周辺部品との相対配置が前記支持媒体において固定されている
請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の単位共振器。
【請求項9】
前記周辺部品が金属微粒子または金属球である
請求項1に記載の単位共振器。
【請求項10】
複数の単位共振器を支持媒体中に備えているメタマテリアル用の共振器アレイであって、
該単位共振器それぞれが、
芯部品と、
電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って並び、該芯部品に当接して配置されているいくつかの周辺部品であって、該周辺部品それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しており、該動作波長の電磁波にとって電気回路として作用する周辺部品と
を備えるものである
共振器アレイ。
【請求項11】
前記支持媒体が前記芯部品および前記周辺部品のいずれよりも小さい磁性微粒子を含んでいる
請求項10に記載の共振器アレイ。
【請求項12】
前記単位共振器それぞれに備わる前記芯部品が常磁性体または強磁性体であり、
前記複数の単位共振器のうちある平面に含まれる少なくともいくつかの単位共振器が三角格子をなしている
請求項10に記載の共振器アレイ。
【請求項13】
前記単位共振器それぞれに備わる前記芯部品が常磁性体または強磁性体であり、
前記複数の単位共振器のうちの少なくともいくつかの単位共振器が、ある方向に向く直線群の各直線上に沿って互いにほぼ一定の間隔を置いて並んでいる
請求項10に記載の共振器アレイ。
【請求項14】
前記支持媒体が流体であり、前記単位共振器の互いの相対配置を使用時の外部磁場の印加条件に応じて変化させる
請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の共振器アレイ。
【請求項15】
前記支持媒体のための前駆体が未硬化の光硬化性樹脂を含んでおり、
前記外部磁場を印加しながら該光硬化性樹脂に硬化を開始させる光が該前駆体に照射され、前記支持媒体において前記複数の単位共振器のうちの少なくともいくつかの単位共振器の相対配置が硬化した前記光硬化性樹脂により固定されており、
前記光は、第1の印加条件にて前記外部磁場を印加しながら前記前駆体の第1の露光領域に照射され、第2の印加条件にて前記外部磁場を印加しながら前記前駆体の第2の露光領域に照射され、
それにより、前記第1の露光領域と前記第2の露光領域とに対応する前記支持媒体の各領域において電磁波に対する作用が互いに異なっている
請求項14に記載の共振器アレイ。
【請求項16】
電磁波に対する作用が異なっている単位領域を複数組合せることにより、電磁波に対する一の機能を実現している
請求項15に記載の共振器アレイ。
【請求項17】
芯部品と、それぞれが前記芯部品と同等または芯部品より小さいサイズを有しているいくつかの周辺部品とを含む単位共振器のための部品の集合を支持流体に分散させることにより部品分散流体を準備する工程と、
該部品分散流体に外部磁場を印加して前記支持流体中において前記単位共振器のそれぞれを構築する工程であって、該外部磁場により、前記芯部品に当接しながら、電磁波の動作波長に比して小さい径のリングに沿って並ぶように前記周辺部品を配置する、工程と
を含む
メタマテリアルの製造方法。
【請求項18】
前記部品分散流体に外部磁場を印加して前記支持流体中において前記単位共振器を配列する工程であって、該外部磁場により、前記部品の集合に含まれる少なくともいくつかの前記芯部品の間に磁気による引力または斥力が生成される、工程
をさらに含む
請求項17に記載のメタマテリアルの製造方法。
【請求項19】
前記支持流体が未硬化の光硬化性樹脂を含んでおり、
前記部品分散流体に外部磁場を印加しながら、該光硬化性樹脂に硬化を開始させる光を該部品分散流体に照射する工程
をさらに含む
請求項17または請求項18に記載のメタマテリアルの製造方法。
【請求項20】
前記光を該部品分散流体に照射する工程が、前記光を外部磁場の第1の印加条件にて前記部品分散流体の第1の露光領域に照射し、前記光を外部磁場の第2の印加条件にて前記部品分散流体の第2の露光領域に照射するものである
請求項19に記載のメタマテリアルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−5044(P2013−5044A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131447(P2011−131447)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】