説明

メタライズ組成物及びセラミック配線基板

【課題】 低融点の導電材料であっても所定の形状及び寸法の導体層とすることができるメタライズ組成物、及びこれを用いた導体層を備えるセラミック配線基板を提供する。
【解決手段】 本発明のメタライズ組成物は、低融点金属(Cu等)と、金属化合物(WC等)とを含有し、且つ低融点金属と金属化合物との合計を100体積%とした場合に、金属化合物の含有量は33〜72体積%である。また、本発明のセラミック配線基板1は、セラミック部11(アルミナ等からなる。)と、その表面又は内部に配設された導体層12とを備え、導体層は、セラミック部を構成するセラミック材料の焼結温度よりも融点が低い低融点金属からなる低融点金属部(Cu等からなる。)と、低融点金属部内に形成され、セラミック材料の焼結温度よりも融点が高い金属化合物からなる金属化合物連接部(WC等からなる。)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタライズ組成物及びセラミック配線基板に関する。更に詳しくは、本発明は、未焼成セラミック基体との同時焼成の際に、溶融した低融点金属が金属化合物により保持され、所定の形状及び寸法の配線パターン等の導体層を形成することができ、且つこの導体層とセラミック基体とを十分に密着させることができるメタライズ組成物、及びこのメタライズ組成物を用いてなる導体層を備えるセラミック配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の高速化及び高集積化にともない、半導体部品等が実装される多層配線基板等のセラミック配線基板には、高強度、高熱伝導、低損失であることが要求される。また、セラミック配線基板が備える導体層は低抵抗であることが好ましい。
【0003】
従来から、アルミナ等の高温で焼成されるセラミック材料からなる絶縁体を備える回路基板及びパッケージ等では、内部導体層及び表面導体層として、W及びMo等の高融点金属が用いられている。これらの金属の融点は、例えば、アルミナの焼結温度よりも高く、同時焼成することができるためである。しかし、Wを用いて形成された導体層の比抵抗値は、通常、20μΩ・cm以上であり、一方、Cuを用いた場合は導体層の比抵抗値を5μΩ・cm以下とすることもでき、W及びMo等に対して低抵抗である。そのため、アルミナ等の高温で焼成されるセラミック材料の場合も、このセラミック材料とCuとを同時焼成する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平4−124071号公報
【特許文献2】特開平7−15101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、Cu等の低抵抗の金属材料の融点は、アルミナ等の高温で焼成されるセラミック材料の焼結温度より低く、これらを同時焼成した場合、溶融したCu等が流動し、未焼成アルミナシート等の表面に拡散することがあり、形成される配線パターン等の導体層の保形性が低下する。また、特許文献1及び特許文献2に記載された方法では、Cu等からなる導体層が未焼成アルミナ成形体の内部に密封された状態、即ち、表面に露出しない状態で同時焼成され、その後、配線を表面に露出させる場合は、研磨加工などが必要であり、歩留りが低下し、コスト高となる傾向がある。
【0006】
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、未焼成セラミック基体との同時焼成の際に、溶融した低融点金属が金属化合物により保持され、所定の形状及び寸法の配線パターン等の導体層を形成することができ、且つこの導体層とセラミック基体とを十分に密着させることができるメタライズ組成物、及びこのメタライズ組成物を用いてなる導体層を備えるセラミック配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のとおりである。
1.Cu、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とする低融点金属と、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物及び金属珪化物のうちの少なくとも1種を主成分とする金属化合物とを含有し、且つ該低融点金属と該金属化合物との合計を100体積%とした場合に、該金属化合物の含有量は33〜72体積%であることを特徴とするメタライズ組成物。
2.上記金属化合物の体積抵抗率が45×10−8Ω・m以下である上記1.に記載のメタライズ組成物。
3.上記低融点金属はCuを主成分とし、且つ上記金属化合物はWCを主成分とする上記1.又は2.に記載のメタライズ組成物。
4.上記低融点金属と上記金属化合物との合計を100質量%とした場合に、該低融点金属は18.0〜53.5質量%である上記3.に記載のメタライズ組成物。
5.セラミック基体と、該セラミック基体の表面又は内部に配設された導体層とを備えるセラミック配線基板において、該導体層は、焼成により該セラミック基体を構成することとなるセラミック材料の焼成温度よりも融点が低い低融点金属からなる低融点金属部と、該低融点金属部内に形成され、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物及び金属珪化物のうちの少なくとも1種を主成分とし、該セラミック材料の該焼成温度よりも融点が高い金属化合物からなる金属化合物連接部と、を備えることを特徴とするセラミック配線基板。
6.上記金属化合物の体積抵抗率が45×10−8Ω・m以下である上記5.に記載のメタライズ組成物。
7.上記金属化合物連接部は、上記金属化合物からなる粒子同士が接触して形成されている上記6.に記載のセラミック配線基板。
8.上記低融点金属はCu、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とするものである上記6.又は7.に記載のセラミック配線基板。
9.セラミック基体と、該セラミック基体の表面又は内部に配設された導体層とを備えるセラミック配線基板において、該導体層は、Cu、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とする低融点金属と、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物及び金属珪化物のうちの少なくとも1種を主成分とする金属化合物とを含有し、且つ該低融点金属と該金属化合物との合計を100体積%とした場合に、該金属化合物の含有量が33〜72体積%であることを特徴とするセラミック配線基板。
10.上記金属化合物の体積抵抗率が45×10−8Ω・m以下である上記9.に記載のメタライズ組成物。
11.上記低融点金属はCuを主成分とし、且つ上記金属化合物はWCを主成分とする上記6.、7.、9.又は10.に記載のセラミック配線基板。
【発明の効果】
【0008】
本発明のメタライズ組成物によれば、未焼成セラミック基体との同時焼成の際に、溶融した低融点金属が金属化合物により保持され、所定の形状及び寸法の配線パターン等の導体層を形成することができ、且つこの導体層とセラミック基体とを十分に密着させることができる。
また、金属化合物の体積抵抗率が45×10−8Ω・m以下である場合は、十分に抵抗の低い導体層とすることができる。
更に、低融点金属がCuを主成分とし、且つ金属化合物がWCを主成分とする場合は、溶融した低融点金属が金属化合物により十分に保持され、所定の形状及び寸法の導体層をより容易に形成することができる。
また、Cuを主成分とする低融点金属と、WCを主成分とする金属化合物との合計を100質量%とした場合に、低融点金属が18.0〜53.5質量%である場合は、溶融した低融点金属が金属化合物により十分に保持され、所定の形状及び寸法を有し、低抵抗の導体層とすることができ、且つこの導体層とセラミック基体とを十分に密着させることができる。
導体層が低融点金属部と金属化合物連接部とを備える本発明のセラミック配線基板によれば、所定の形状及び寸法の配線パターン等の導体層を有し、且つこの導体層とセラミック基体とが十分に密着した配線基板とすることができ、細線化も容易である。
更に、金属化合物の体積抵抗率が45×10−8Ω・m以下である場合は、十分に抵抗の低い導体層を有する配線基板とすることができる。
また、金属化合物連接部が、金属化合物からなる粒子同士が接触して形成されている場合は、低融点金属が不連続となる部分のない低融点金属部が形成され、所定の形状及び寸法の導体層を有する配線基板とすることができる。
更に、低融点金属がCu、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とするものである場合は、十分に抵抗の低い導体層を有する配線基板とすることができる。
導体層が、低融点金属と金属化合物とを含有し、且つこれらの合計を100体積%とした場合に、金属化合物が33〜72体積%である本発明の他のセラミック配線基板によれば、溶融した低融点金属が金属化合物により十分に保持され、所定の形状及び寸法の導体層を有し、且つこの導体層とセラミック基体とが十分に密着した配線基板とすることができる。
また、金属化合物の体積抵抗率が45×10−8Ω・m以下である場合は、十分に抵抗の低い導体層を有する配線基板とすることができる。
更に、本発明のセラミック配線基板及び本発明の他のセラミック配線基板において、低融点金属がCuを主成分とし、且つ金属化合物がWCを主成分とする場合は、溶融した低融点金属が金属化合物により十分に保持され、所定の形状及び寸法を有し、低抵抗の導体層とすることができ、且つこの導体層とセラミック基体とを十分に密着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
[1]メタライズ組成物
上記「低融点金属」は、Cu、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とする。この「少なくとも1種を主成分とする」とは、Cu、Ag及びAuのうちの1種のみを含有する場合は、この1種の含有量が、低融点金属全体を100質量%としたときに、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上(100質量%であってもよい。)であることをいう。また、Cu、Ag及びAuのうちの2種以上を含有する場合は、その合計含有量が、低融点金属全体を100質量%としたときに、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上(100質量%であってもよい。)であることをいう。Cu、Ag及びAuは、それぞれ単体であってもよく、各々の金属を含有する合金であってもよい。合金である場合、この合金にはCu、Ag及びAuのうちの1種のみが含有されていてもよいし、2種以上が含有されていてもよい。更に、低融点金属にCu、Ag及びAuを除く他の金属が含有される場合、この他の金属は特に限定されないが、Al、Ni、Zn、Sn及びMn等が挙げられる。この他の金属の含有量は、低融点金属全体を100質量%としたときに、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0010】
低融点金属の融点は、Cu、Ag及びAuの各々の単体のみからなる場合は、それぞれの融点となる。また、低融点金属が複数の金属を含有するときは、その融点は特に限定されないが、通常、1200℃以下、好ましくは1150℃以下、より好ましくは1100℃以下(通常、900℃以上)である。
【0011】
更に、本発明のメタライズ組成物を用いて形成された未焼成導体層(焼成されて配線パターン、ヒータパターン等の導体層となる。)を、この未焼成導体層が配設された未焼成セラミック基体(焼成されてセラミック基体となる。)と同時焼成する場合、低融点金属の融点は、未焼成セラミック基体の形成に用いられたセラミック材料の焼成温度より低い。即ち、セラミック材料がアルミナ基焼結体である場合、低融点金属の融点は1300℃以下、特に1100℃以下(通常、800℃以上)であることが好ましい。また、ジルコニア基焼結体である場合も、低融点金属の融点は1300℃以下、特に1000℃以下(通常、800℃以上)であることが好ましい。
【0012】
メタライズ組成物における低融点金属の形態は特に限定されず、固体状でもよく、有機金属化合物等のように液状でもよい。この低融点金属は、通常、固体状であり、特に粉末状である。即ち、低融点金属粉末として含有される。低融点金属粉末の形状及び寸法は特に限定されない。この粉末の形状は、球状、楕円体状、鱗片状及び針状等のいずれでもよく、これらの各々の形状の粉末の混合物であってもよい。また、粉末の平均粒径(球状でない場合は最大寸法の平均値であるとする。)は、0.5〜8μm、好ましくは1〜5μm、より好ましくは1.5〜4μm)である。この範囲の平均粒径であれば、メタライズ組成物により形成された導体層の保形性を向上させることができる。
【0013】
上記「金属化合物」は、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物及び金属珪化物のうちの少なくとも1種である。これらの金属化合物は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0014】
この金属化合物の融点は、低融点金属の融点より高い。即ち、金属化合物の融点は、1300℃を越え、好ましくは1700℃を越え、より好ましくは3000℃を越える。
更に、本発明のメタライズ組成物を用いて形成された未焼成導体層を、この未焼成導体層が配設された未焼成セラミック基体と同時焼成する場合、金属化合物の融点は、未焼成セラミック基体の作製に用いられたセラミック材料の焼成温度より高い。即ち、セラミック材料がアルミナ基焼結体である場合、金属化合物の融点は1700℃以上、特に3000℃以上(通常、3500℃以下)である。また、ジルコニア基焼結体である場合も、金属化合物の融点は1700℃以上、特に3000℃以上(通常、3500℃以下)である。
【0015】
更に、この金属化合物の体積抵抗率は45×10−8Ω・m以下であることが好ましい。この体積抵抗率は、30×10−8Ω・m以下であることがより好ましく、20×10−8Ω・m以下であることが特に好ましい。金属化合物の体積抵抗率が45×10−8Ω・m以下であれば、十分に抵抗の低い導体層とすることができ、また、抵抗の低い導体層を有する配線基板とすることができる。
【0016】
上記「金属炭化物」としては、WC(2865℃、19×10−8Ω・m)、TaC(3880℃、22×10−8Ω・m)、NbC(3900℃、44×10−8Ω・m)、HfC(3887℃、39×10−8Ω・m)、ZrC(3540℃、49×10−8Ω・m)及びTiC(約3200℃、61×10−8Ω・m)等が挙げられる。これらのうちでは、融点が高く、体積抵抗率が小さい、WC、TaC及びNbCが好ましい。また、WC及びTaCがより好ましく、WCが特に好ましい。金属炭化物は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0017】
上記「金属窒化物」としては、TiN(2950℃、40×10−8Ω・m)、ZrN(2700℃、18×10−8Ω・m)、HfN(3000℃、32×10−8Ω・m)及びNbN(2573℃、54×10−8Ω・m)等が挙げられる。これらのうちでは、融点が高く、体積抵抗率が小さい、TiN及びZrNが好ましく、TiNがより好ましい。金属窒化物は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0018】
上記「金属硼化物」としては、TiB(2900℃、9×10−8Ω・m)、ZrB(3000℃、10×10−8Ω・m)、NbB(3050℃、26×10−8Ω・m)、MoB(2140℃、26×10−8Ω・m)、MoB(2100℃、45×10−8Ω・m)、LaB(2720℃、15×10−8Ω・m)、TaB(3200℃、33×10−8Ω・m)、W(2370℃、22×10−8Ω・m)、CrB(2050℃、45×10−8Ω・m)及びCrB(2200℃、30×10−8Ω・m)等が挙げられる。これらのうちでは、融点が高く、体積抵抗率が小さい、TiB及びZrBが好ましく、TiBがより好ましい。金属硼化物は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記「金属珪化物」としては、MoSi(1980℃、22×10−8Ω・m)、TiSi(1500℃、17×10−8Ω・m)及びWSi(2160℃、13×10−8Ω・m)等が挙げられ、これらはいずれも体積抵抗率が小さく、好ましい。金属珪化物は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
尚、各々の金属化合物における括弧内の数値は融点及び体積抵抗率である。
【0019】
メタライズ組成物における金属化合物の形態は特に限定されないが、通常、固体状であり、更には粉末状である。即ち、金属化合物粉末として含有される。金属化合物粉末の形状及び寸法は特に限定されない。この粉末の形状は、球状、楕円体状、鱗片状及び針状等のいずれでもよく、これらの各々の形状の粉末の混合物であってもよい。また、粉末の平均粒径(球状でない場合は最大寸法の平均値であるとする。)は、1〜10μm、好ましくは1〜5μm、より好ましくは1〜3μmである。この範囲の平均粒径であれば、導体層の保形性に優れ、溶融した低融点金属が連続して形成された抵抗の低い導体層とすることができる。
【0020】
また、低融点金属と金属化合物とは、その合計を100体積%とした場合に、金属化合物の含有量が33〜72体積%、即ち、低融点金属は28〜67体積%である。この金属化合物の含有量は35〜65体積%、即ち、低融点金属は35〜65体積%であることが好ましく、金属化合物の含有量は38〜55体積%、即ち、低融点金属は45〜62体積%であることがより好ましく、金属化合物の含有量は38〜48体積%、即ち、低融点金属は52〜62体積%であることが特に好ましい。金属化合物の含有量が33体積%未満であると、即ち、低融点金属が67体積%を越えると、金属化合物が溶融した低融点金属を十分に保持することができず、所定の形状及び寸法の配線パターン等の導体層とすることができない。一方、金属化合物の含有量が72体積%を越えると、即ち、低融点金属が28体積%未満であると、導体層とセラミック基体との密着性が低下し、導体層がセラミック基体から剥離することがある。この密着性は、例えば、後記の実施例における密着強度により評価することができ、この密着強度は、1.8MPa以上、特に2.5MPa以上、更に3.0MPa以上であることが好ましい。
尚、低融点金属と金属化合物の体積割合は、所定量のメタライズ組成物を非酸化雰囲気において500℃で10時間加熱して有機バインダ及び溶剤等を除去し、その後、低融点金属及びその他の元素を定量し、一方、X線回折により金属化合物の種類を確認して、元素の定量値から金属化合物の質量を算出し、次いで、低融点金属及び金属化合物の各々の質量を密度で除して体積に換算し、それぞれの体積値から算出することができる。
【0021】
低融点金属と金属化合物との組み合わせは特に限定されないが、濡れ性に優れる組み合わせとすることが好ましい。この濡れ性に優れるとは、例えば、後記の実施例において記載された方法により評価した場合に、金属化合物からなる成形体の内部に低融点金属の少なくとも一部が吸収される組み合わせ(図15の態様、図15では低融点金属のすべてが金属化合物からなる成形体に吸収されている。)が特に好ましく、溶融した低融点金属が金属化合物からなる成形体の表面において流動する組み合わせ(図16の態様)が好ましい。この濡れ性に優れる組み合わせとしては、例えば、低融点金属の主成分がCuである場合、金属化合物としては、WC、NbC、TaC、TiC、TiN及びTiB等が挙げられる。これらのうちではWCが好ましい。更に、低融点金属の95質量%以上、特に100質量%がCuであり、金属化合物の95質量%以上、特に100質量%がWCである組み合せが特に好ましい。
【0022】
メタライズ組成物には、低融点金属及び金属化合物の他に以下のもの等を含有させることができる。例えば、有機ビヒクルを含有させることができる。この有機ビヒクルには、通常、バインダ及び溶剤が含有される。このバインダ及び溶剤の種類及び含有量等は特に限定されない。未焼成セラミック基体とメタライズ組成物からなる未焼成導体層とを同時焼成する場合は、この未焼成セラミック基体に含有されるバインダ及び溶剤等に適したものを選択することもできる。
【0023】
バインダとしては、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂及びポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。バインダは1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0024】
溶剤としては、カルビトール類、セロソルブ類、酢酸エステル類、フタル酸エステル類、セバシン酸エステル類、1価アルコール類及びケトン類等が挙げられる。カルビトール類としては、ブチルカルビトール、メチルカルビトール及びエチルカルビトール等が挙げられる。セロソルブ類としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等が挙げられる。酢酸エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチル等が挙げられる。フタル酸エステル類としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジオクチル等が挙げられる。セバシン酸エステル類としては、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル及びセバシン酸ジオクチル等が挙げられる。1価アルコール類としては、イソプロピルアルコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、シクロヘキサノン及びトリメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。溶剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0025】
有機ビヒクルの含有量は特に限定されないが、メタライズ組成物全体を100質量%とした場合に、5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%とすることができる。また、有機ビヒクルのうち、バインダは5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%とすることができ、溶剤は70〜95質量%、好ましくは80〜90質量%とすることができる。これによって、特にスクリーン印刷により未焼成導体層を形成する場合に、メッシュ跡の発生、印刷ダレ、カスレ及びニジミ等の印刷不良を生じることのないメタライズ組成物とすることができる。
【0026】
更に、メタライズ組成物には、有機ビヒクルの他に、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、分散剤、滑剤、酸化防止剤、焼成収縮率調整剤及びセラミック成分等を含有させることもできる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0027】
メタライズ組成物の粘度は特に限定されないが、回転円筒粘度計[例えば、RION社製、型式「VISCO TESTER VT−4」を使用し、2号ローター(ローター径15mm、ローター厚さ1mm)を用いて、ローター回転数62.5rpmで測定することができる。]により温度23℃において測定した粘度は5000dPa・s以下、好ましくは100〜3000dPa・s、より好ましくは500〜1500dPa・sである。これによって、特にスクリーン印刷により未焼成導体層を形成する場合に、メッシュ跡の発生、印刷ダレ、カスレ及びニジミ等の印刷不良を生じることのないメタライズ組成物とすることができる。
【0028】
メタライズ組成物は低融点金属と金属化合物等とを混合することで調製することができる。この混合の方法は特に限定されないが、低融点金属と金属化合物とを均一に混合することができる方法が好ましい。この混合にはボールミル及びビーズミル等の混合機を用いることが好ましい。混合が不十分で低融点金属と金属化合物とが互いに十分に均一に分散していない場合は、形成される導体層の比抵抗が大きくなる傾向がある。
【0029】
本発明のメタライズ組成物の使用方法は特に限定されず、例えば、このメタライズ組成物からなる未焼成導体層は、未焼成セラミック基体の所定部分に直接形成してもよいし、間接的に形成してもよい。
この直接形成するとは、未焼成セラミック基体の所定部分にメタライズ組成物を直接塗布して未焼成導体層を形成する方法である。この塗布方法は特に限定されず、スクリーン印刷法、ロールコート法及びカーテンコート法等のいずれであってもよい。一方、間接的に形成するとは、ポリエステルフィルム等の薄膜の表面にメタライズ組成物を塗布してメタライズフィルムを作製し、その後、このメタライズフィルムから未焼成導体層を未焼成セラミック基体の所定部分に転写して形成する方法である。この際の塗布方法も特に限定されず、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、ロールコート法及びカーテンコート法等のいずれであってもよい。
【0030】
本発明のメタライズ組成物を用いて形成される導体層は特に限定されず、例えば、最小幅が100μm以下、特に75μm以下、更に50μm以下(通常、20μm以上)の導体層とすることができる。また、厚さが30μm以下、特に20μm以下、更に10μm以下(通常、5μm以上)の導体層とすることができる。更に、最小幅が100μm以下であり、且つ厚さが30μm以下の導体層とすることができ、特に最小幅が75μm以下であり、且つ厚さが20μm以下の導体層とすることができ、更に最小幅が50μm以下(通常、20μm以上)であり、且つ厚さが10μm以下(通常、5μm以上)の導体層とすることができる。
【0031】
また、本発明のメタライズ組成物では、金属化合物として33〜72体積%のWCを使用し、未焼成セラミックシートと同時焼成して導体層を形成した場合に、後記の実施例における方法により評価した導体層の比抵抗値を3.8〜25.0μΩ・cm、導体層とセラミック基体との密着強度を1.8〜4.0MPaとすることができる。更に、金属化合物が35〜65体積%であるときは、比抵抗値を3.8〜20.0μΩ・cm、密着強度を1.8〜4.0MPaとすることができ、金属化合物が38〜55体積%であるときは、比抵抗値を3.8〜12.0μΩ・cm、密着強度を1.8〜4.0MPaとすることができ、金属化合物が38〜48体積%であるときは、比抵抗値を3.8〜6.0μΩ・cm、密着強度を2.5〜4.0MPaとすることができる。また、金属化合物の含有量が33〜72体積%であれば、導体層中に空隙があったとしても、空隙数が少なく、特に径が5μm以上の空隙はほとんどなく、優れた外観を有する導体層とすることができる。尚、金属化合物がTiB及びTaCの場合も、同じ含有量でそれぞれ同様の比抵抗値及び密着強度とすることができ、同様に優れた外観を有する導体層とすることができる。
【0032】
[2]セラミック配線基板
本発明のセラミック配線基板は、セラミック基体と、このセラミック基体の表面又は内部に配設された導体層とを備え、導体層は、焼成によりセラミック基体を構成することとなるセラミック材料の焼成温度よりも融点が低い低融点金属からなる低融点金属部と、低融点金属部内に形成され、セラミック材料の焼成温度よりも融点が高い金属化合物からなる金属化合物連接部と、を備える。
【0033】
上記「セラミック基体」は、セラミック配線基板において焼成セラミックからなる部分である。セラミック基体を構成するセラミックは特に限定されず、アルミナ、ジルコニア、コーデェライト、ムライト、チタニア、石英、フォルステライト、ワラストナイト、アノーサイト、エンスタタイト、ジオプサイト、アーケルマナイト、ゲーレナイト、スピネル、ガーナイト、並びにチタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム及びチタン酸バリウム等のチタン酸塩などが挙げられる。このセラミックとしては、絶縁性及び強度等の観点から、アルミナ、ジルコニア、コーデェライト及びムライト等が好ましい。セラミックは1種のみでもよく、例えば、アルミナとジルコニアのように混合して焼成させることができるものであれば、2種以上であってもよい。
【0034】
また、セラミック基体には、焼結助剤に由来する成分及びガラス成分等を含有させることができる。
焼結助剤に由来する成分は、結晶性の成分でもよく、非晶性の成分でもよい。この焼結助剤に由来する成分としては、SiO、MgO、SrO及び希土類酸化物等の金属酸化物が挙げられる。更に、ガラス成分としては、Si、Al、Na、K、Mg、Ca、Ba、B、Pb、Zn、Zr、Fe及びTi等を含有するものが挙げられる。例えば、アルミノケイ酸ガラス及びアルミノホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
【0035】
上記「導体層」は、セラミック基体の表面又は内部に配設される。この導体層の形態は特に限定されず、1層のみがセラミック基体の表面又は内部に配設されていてもよく、2層以上がセラミック基体の表面又は内部に配設されていてもよい。2層以上の導体層がセラミック基体の一部を介して配設されている場合、各々の導体層は層間接続されることにより導通されていてもよく、接続されずにそれぞれが独立した導体層であってもよい。更に、本発明のセラミック配線基板では、特にセラミック基体の表面に導体層が配設されていても、所定の形状及び寸法の導体層とすることができる。この導体層の導電性は特に限定されないが、金属化合物の種類によって導電性が変化するため、目的、用途等によって金属化合物を選定することが好ましい。導体層の比抵抗値は常温において70μΩ・cm以下、特に35μΩ・cm以下とすることができ、18μΩ・cm以下、特に15μΩ・cm以下、更に10μΩ・cm以下であることが好ましく、5μΩ・cm以下であることがより好ましい。また、この導体層とセラミック基体との、後記の実施例における方法により測定した密着強度は、1.8MPa以上、特に2.5MPa以上、更に3.0MPa以上であることが好ましい。
この導体層としては、例えば、通常の導通用配線、抵抗用配線、パッド形状等のコンデンサ用配線、インダクタンス用配線及びボンディングパッドなどが挙げられる。
【0036】
導体層は、低融点金属部と、この低融点金属部内に形成された金属化合物連接部とを備える。
上記「低融点金属部」は、焼成によりセラミック基体を構成することとなるセラミック材料の焼成温度より融点が低い低融点金属からなる。この低融点金属部は、導電層において導電性に寄与する部分である。尚、低融点金属については、前記のメタライズ組成物における低融点金属に関する記載をそのまま適用することができる。但し、メタライズ組成物における低融点金属の形態は、通常、粉末等であるが、低融点金属部内における形態は、通常、低融点金属からなる連続相である。
【0037】
上記「金属化合物連接部」は、低融点金属部内に形成され、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物及び金属珪化物のうちの少なくとも1種を主成分とし、セラミック材料の焼成温度より融点が高い金属化合物からなる部分である。尚、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物及び金属珪化物の各々については、前記のメタライズ組成物における金属化合物に関する記載をそのまま適用することができる。但し、メタライズ組成物における金属化合物の形態は、通常、粉末等であるが、低融点金属部内における形態は、通常、金属化合物からなる連続相である。更に、この連続相は、金属化合物の粒子等が焼結して連なっていてもよいし、焼結はせず、隣り合う粒子等が単に接触して連なっていてもよい。この金属化合物連接部により、未焼成セラミック基体と未焼成導体層とを同時焼成する際に、溶融した低融点金属の流動が抑えられ、所定の形状及び寸法の導体層が形成される。
【0038】
本発明の他のセラミック配線基板は、セラミック基体と、このセラミック基体の表面又は内部に配設された導体層とを備え、この導体層は、低融点金属と金属化合物とを含有し、これらの合計を100体積%とした場合に、金属化合物の含有量が33〜72体積%である。
このセラミック基体については、前記の本発明のセラミック配線基板におけるセラミック基体に関する記載をそのまま適用することができる。また、導体層の形態、導電性及びセラミック基体との密着強度については、前記の本発明のセラミック配線基板における導体層に関する記載をそのまま適用することができる。更に、低融点金属と金属化合物及び金属化合物の含有量については、前記の本発明のメタライズ組成物に関する記載をそのまま適用することができる。
尚、低融点金属と金属化合物の体積割合は、導体層の断面を電子顕微鏡により観察した場合に、所定面積の視野における低融点金属の面積と金属化合物の面積との割合であるとする。
【0039】
セラミック配線基板においては、未焼成セラミック基体と未焼成導体層の各々の焼成時の熱膨張率の差により反りが生じることがある。この反りの有無及び反りを生じる場合は反りの程度は、低融点金属及び金属化合物の各々の種類とそれらの量比、セラミック基体を構成するセラミックの種類、並びに焼成温度などによって異なる。そのため、低融点金属、金属化合物及びセラミックの組み合わせ、並びに焼成温度等を設定する場合は、この反りが抑えられる好ましい組み合わせ及び焼成温度等とすることが好ましい。尚、この反りとは、セラミック配線基板を平坦面に置いたときに、この平坦面からの最大高さと最小高さとの差であり、通常、この差が300μm以下であれば問題ない。
【0040】
本発明のセラミック配線基板及び本発明の他のセラミック配線基板は、マザーボード等の通常の配線基板、フリップチップ用配線基板、CSP用配線基板及びMCP用配線基板、水晶用配線基板等のパッケージ用配線基板、並びにアンテナスイッチモジュール用配線基板、ミキサーモジュール用配線基板、PLLモジュール用配線基板及びMCM用配線基板等のモジュール用配線基板、PA用配線基板、SAWフィルタ用配線基板等の各種の配線基板として用いることができる。
【0041】
また、本発明の配線基板及び本発明の他のセラミック配線基板では、金属化合物として特定量のWCを含有する本発明のメタライズ組成物を用いることで、前記と同様の比抵抗値及び密着強度を有し、且つ同様に優れた外観を備える導体層とすることができる。尚、金属化合物がTiB及びTaCの場合も、同じ含有量でそれぞれ同様の比抵抗値及び密着強度とすることができ、同様に優れた外観を有する導体層とすることができる。
【0042】
[3]セラミック配線基板の製造
本発明のセラミック配線基板及び本発明の他のセラミック配線基板の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
(1)未焼成セラミックシートの作製
セラミック原料、焼結助剤、バインダ樹脂及び溶剤等を、ボールミル、ビーズミル等の混合機により混合してスラリーを調製する。各々の成分を配合する順序等は特に限定されず、すべての成分を一括してボールミル等に投入して混合してもよく、特定の順序に従って配合し、混合してもよい。セラミック原料としては、前記のセラミック基体を構成することとなるセラミック原料を用いることができる。
【0043】
焼結助剤としては、セラミック基体を構成するセラミックの種類によって各種のものを用いることができる。この焼結助剤としては、例えば、SiO、MgO、SrO及び希土類酸化物、並びに加熱によりこれらの酸化物となる炭酸塩、水酸化物等の化合物などが挙げられる。バインダ樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリペプチド、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、セルロース誘導体、ポリオキシエチレン及びポリビニルアルコール等を用いることができる。溶剤としては、トルエン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類などを用いることができる。これらの焼結助剤、バインダ樹脂及び溶剤は各々1種のみ用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。スラリーには必要に応じて可塑剤、分散剤、消泡剤、着色剤及び酸化剤等のうちの少なくとも1種を配合することもできる。
【0044】
このスラリーを用いてシートを成形する。このシートは、ドクターブレード法、ロールコータ法等により、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどからなる樹脂フィルム及びステンレス鋼等からなる金属プレートなどの支持体の表面において成形することができる。その後、このシートを溶剤の種類等により所定の温度で乾燥させて溶剤を除去し、未焼成セラミックシートを作製する(このシートを1枚のみ用いる場合は、このシートの焼結体がセラミック基体となる。シートを2枚以上用いる場合は、これらのシートが一体に焼成されてなる焼結体がセラミック基体となる。)。
【0045】
(2)未焼成導体層の形成
上記(1)において作製した未焼成セラミックシートの表面に、スクリーン印刷法等によりメタライズ組成物からなる塗膜を配設し、乾燥して、未焼成導体層を形成し、未焼成セラミック配線基板を作製することができる。更に、セラミック配線基板において2層以上の導体層がセラミック層の両面に形成され、且つそれらが導通される場合は、未焼成セラミックシートの所定位置に設けられたビアホールにビア充填用ペーストを充填し、この未焼成セラミックシートの両面に未焼成導体層を形成することで、未焼成セラミック配線基板を作製することができる。
【0046】
また、多層配線基板の場合は、未焼成セラミックシートの所定位置に設けられたビアホールにビア充填用ペーストを充填し、この未焼成セラミックシートの未焼成導体層が形成された面に、ビアホールにビア充填用ペーストが充填された他の未焼成セラミックシートを積層し、この未焼成セラミックシートの表面に同様にして未焼成導体層を形成し、この操作を繰り返すことで、未焼成多層配線基板を作製することができる(このように複数枚のシートを用いる場合は、上記のように、これらのシートが積層された積層体の焼結体がセラミック基体となる。)。ビア充填用ペーストとしては、上記のメタライズ組成物と同様の組成を有するもの、及び異なる組成を有するものを用いることができ、同様の組成を有するものが用いられることが多い。このようにして未焼成セラミック配線基板及び未焼成多層配線基板を作製することができる。
【0047】
(3)焼成
上記(2)において作製した未焼成セラミック配線基板及び未焼成多層配線基板を焼成することによりセラミック配線基板、例えば、図1のような、多層配線基板を製造することができる。焼成温度及びこの焼成温度を保持する時間は特に限定されず、低融点金属及びセラミック原料の種類等によって設定することができる。また、焼成雰囲気も特に限定されず、低融点金属及びセラミック原料の種類等によって、窒素雰囲気及びアルゴン等の不活性ガス雰囲気などの非酸化性雰囲気又は大気雰囲気等の酸化性雰囲気などとすることができる。この非酸化性雰囲気とは、酸素分圧が低い雰囲気であり、通常、酸素分圧が10Pa以下、特に0.1Pa以下(通常、0.0001Pa以上)である雰囲気である。また、この焼成雰囲気は湿潤雰囲気であってもよい。この湿潤雰囲気とは、露点が管理された雰囲気であり、露点が90℃以下、特に80℃以下(通常、5℃以上)に維持されている雰囲気である。尚、この焼成雰囲気は、低融点金属にCuが含有される場合は、非酸化性雰囲気である必要があり、非酸化性雰囲気、且つ湿潤雰囲気であることが好ましい。
【0048】
[4]セラミック基体を構成するセラミックがアルミナであり、低融点金属がCu、金属化合物がWCである場合
アルミナを主成分とする未焼成セラミック基体と、Cuを主成分とする低融点金属及びWCを主成分とする金属化合物からなる未焼成導体層とを同時焼成する場合、焼成後の導体層の保形性及び溶融したCuのセラミック基体への拡散を考慮すると、焼成温度を1200〜1300℃とすることが好ましい。更に、この温度範囲で焼成したときにアルミナが十分に緻密化され、その相対密度が95%以上、特に97%以上となることが好ましい。
【0049】
このようにアルミナを低温で十分に緻密化させるためには、アルミナ原料として平均粒径が0.1〜1.0μm、特に0.1〜5μmである微粉末を用いることが好ましい。また、焼結助剤として、Si、Mn、Ti、Zr並びにMg、Ca、Sr及びBa等の周期律表2族の各々の元素の化合物のうちの少なくとも4種以上を用いることが好ましい。更に、アルミナ原料と焼結助剤との合計を100質量%とした場合に、焼結助剤は、酸化物換算の合計で5〜20質量%であることが好ましい。これにより、焼成温度1200〜1300℃にて焼結体を緻密化することができる。尚、酸化物換算は、SiはSiO、MnはMnO、TiはTiO、ZrはZrO、MgはMgO、CaはCaO、SrはSrO、BaはBaOとして換算する。
【0050】
焼結助剤としては、Si、Mn、Ti及びZrの各々の元素の化合物のうちの1種以上と、周期律表2族のそれぞれの元素の化合物の1種以上とを組み合わせて用いることが好ましい。更に、周期律表2族の各々の元素の化合物は2種以上を用いることが好ましい。周期律表2族の元素の化合物を2種以上用いることで焼結性がより向上する。この焼結助剤の組み合わせとしては、Si、Mn、Ti及びMgの各々の化合物、並びにSi、Mn、Ti及びBaのそれぞれの化合物の組み合わせが好ましく、Si、Mn、Ti、Zr及びBaの各々の化合物の組み合わせがより好ましく、Si、Mn、Ti、Zr、Sr及びBaのそれぞれの化合物、並びにSi、Mn、Ti、Zr、Mg及びBaの各々の化合物の組み合わせが特に好ましい。
【0051】
焼結助剤としては、上記の各々の元素の酸化物又は加熱されて酸化物となる化合物を用いることができる。また、この酸化物又加熱されて酸化物となる化合物は、上記の元素のうちの1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。例えば、2種以上の元素を有する複酸化物等であってもよい。更に、加熱されて酸化物となる化合物の種類は特に限定されず、例えば、炭酸塩、水酸化物、炭酸水素塩、硝酸塩及び有機金属化合物等が挙げられる。
【0052】
また、低融点金属がCuを主成分とする場合は、焼成は、酸素分圧が10Pa以下、好ましくは0.1Pa以下(通常、0.0001Pa以上)の非酸化性雰囲気においてなされる。非酸化性雰囲気としては、窒素ガス雰囲気及びアルゴン等の不活性ガス雰囲気が挙げられる。更に、低融点金属がCuを主成分とするときは、焼成雰囲気は、非酸化性雰囲気であり、且つ湿潤雰囲気であることが好ましい。この湿潤雰囲気は露点が管理された雰囲気であり、通常、露点が90℃以下、好ましくは80℃以下に維持されている雰囲気である。また、Cuの場合は特に露点が7〜35℃、更に10〜35℃であることがより好ましく、15〜35℃であることが特に好ましい。露点が7〜35℃であれば、溶融したCuと未焼成アルミナとの濡れ性が高く、溶融したCuがWCにより十分に保持され、且つCuの拡散が抑えられ、抵抗の低い導体層とすることができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]セラミック配線基板の製造及び密着強度測定用導体層の作製
(1)メタライズ組成物の調製
Cu粉末(平均粒径3.6μm)と、WC粉末(平均粒径1.5μm)(実験例2〜11)、TiB粉末(平均粒径1.5μm)(実験例12)、TaC粉末(平均粒径1.2μm)(実験例13)、ZrC粉末(平均粒径1.5μm)(実験例14)、TiC粉末(平均粒径1.2μm)(実験例15)とを、表1に記載の体積割合となるように秤量し、樹脂製の内張りが施されたボールミルに投入した。また、このボールミルにアルミナ製の玉石、並びに溶媒として55質量部のアセトン及び15質量部のブチルカルビトール[この溶媒の含有量は、Cu粉末と、WC粉末、TiB粉末、TaC粉末、ZrC粉末又はTiC粉末との合計を100質量部とした値である。]を投入し、18時間混合し、粉砕した。その後、ボールミルに、有機バインダとして4質量部のエチルセルロース並びに溶媒として12質量部のアセトン及び10質量部のブチルカルビトールを混合した有機ビヒクルを、メタライズ組成物全体を100質量部とした場合に15質量部となるように投入し、更に20時間混合し、粉砕してメタライズ組成物を調製した。
尚、実験例1では、導体層用の金属粉末としてW粉末を使用し、また、金属化合物の粉末を用なかった他は実験例2〜15と同様にしてメタライズ組成物を調製した。
【0054】
(2)未焼成アルミナシートの作製
実験例2〜15では、セラミック原料粉末としてAl粉末(純度99%、平均粒径0.6μm)92質量%、焼結助剤粉末として、SiO粉末(純度99%、平均粒径1.5μm)2.7質量%、MgCO粉末(純度99%、平均粒径6.0μm)0.6質量%、BaCO粉末(純度99%、平均粒径1.8μm)1.1質量%、TiO粉末(純度99%、平均粒径1.0μm)1.5質量%、MnO粉末(純度90%、平均粒径7.0μm)1.5質量%及びZrO粉末(純度99%、平均粒径1.5μm)0.6質量%[以下の他の成分の配合量は、各々のセラミック粉末の合計を100質量部とした場合の値である。]、分散剤としてモノオレイン酸ソルビタン2.0質量部、溶媒としてメチルエチルケトン20質量部及びトルエン15質量部、をボールミルに投入し、16時間湿式混合した。その後、有機バインダとしてポリビニルブチラール樹脂12質量部、可塑剤としてフタル酸ジオクチル4質量部、溶媒としてメチルエチルケトン20質量部及びトルエン15質量部、を投入し、更に16時間混合し、スラリーを調製した。次いで、このスラリーを用いてドクターブレード法によりシートを成形し、このシートを40℃で30分、更に70℃で1時間乾燥して、縦140mm、横170mm、厚さ0.1mmの未焼成アルミナシートを作製した。
尚、実験例1では、セラミック原料粉末としてAl粉末(純度99%、平均粒径1.2μm)93.3質量%、焼結助剤粉末として、SiO粉末(純度99%、平均粒径1.5μm)5.2質量%、MgCO粉末(純度99%、平均粒径6.0μm)0.6質量%及びCaCO粉末(純度99%、平均粒径1.5μm)0.9質量%、を用いた他は実験例2〜15と同様にして未焼成アルミナシートを作製した。
【0055】
(3)未焼成導体層の形成
上記(1)で調製した実験例1〜15のメタライズ組成物を、上記(2)で調製した未焼成アルミナシートの表面にスクリーン印刷して、未焼成配線パターンを形成した。また、実験例2〜15のメタライズ組成物を、未焼成アルミナシートの表面にスクリーン印刷して、密着強度を測定するための縦2mm、横2mm、厚さ10μmの未焼成導体層を形成した。
【0056】
(4)焼成
上記(3)で作製した、未焼成配線パターン及び密着強度を測定するための未焼成導体層が形成された(実験例1では、密着強度を測定するための未焼成導体層は形成されていない。)未焼成アルミナシートを、水素炉に収容し、50体積%の水素ガスと50体積%の窒素ガスとからなる不活性雰囲気において、実験例2〜15では1250℃、実験例1では1550℃の焼成温度、及び表1に記載の各々の露点でそれぞれ2時間保持して焼成した。このようにして、実験例2〜15では、アルミナからなるセラミック基体と、Cuからなる低融点金属部及びWC、TiB、TaC、ZrC又はTiCからなる金属化合物連接部とを有する導体層と、を備えるセラミック配線基板を製造し、同時に密着強度測定用導体層を形成した。また、実験例1では、アルミナからなるセラミック基体と、Wからなる導体層とを備えるセラミック配線基板を製造した。
【0057】
図2に、走査型電子顕微鏡により倍率1500倍で観察した実験例4の配線基板の断面を示す。この図2によれば、アルミナからなるセラミック基体(図2における右側の黒色の部分)に導体層が密着しており、導体層は溶融したCuが固化してなる連続相と、WC粒子からなる連続相(粒子が連なっているのがWC粒子からなる連続相である。)とにより形成されていることが分かる。また、導体層12は、図3のような平面形状を有し、線幅が200μm、配線間距離が600μm、厚さが20μmであり、aが12mm、bが3mmである。尚、121は抵抗測定用の端子である。
【0058】
【表1】

【0059】
[2]導体層の評価
(1)比抵抗値
形成された導体層の抵抗を4端子法により測定し、以下の式を用いて比抵抗値を算出した。結果を表1に併記し、図12にグラフにより図示する。
比抵抗値(μΩ・cm)=[抵抗値(Ω)×導体層の厚さ(μm)×導体層の幅(μm)]/[100×導体層の長さ(cm)]
【0060】
(2)密着強度
図4のように、密着強度測定用導体層21の全表面に、無電解メッキによりNiめっきを施してNiめっき層22を形成し、このNiめっき層に、直径0.5mmのNi系リード線23をハンダ付けした。その後、リード線を20mm/分の速度で垂直方向に引っ張り、剥離したときの強度を測定した。この剥離強度をアルミナ基体に対する導体層の密着強度とする。cは15mmである。結果を表1に併記し、図13にグラフにより図示する。更に、低融点金属が60体積%である場合の露点と密着強度との相関を図14にグラフにより図示する。
【0061】
(3)外観
導体層の外観を光学顕微鏡により倍率450倍で観察した。外観の評価基準は下記の通りである。結果を表1に併記する。また、図5〜11は、実験例2〜8の各々の配線基板の導体層を観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
○;導体層中に空隙(図5〜11の導体層の説明図において、導体が存在せず、セラミック基体が黒くみえている部分)がある場合に、空隙数が少なく、特に径が5μm以上の空隙はほとんどない。
×;導体層中に径が5μm以上の空隙を含め、数多くの空隙がある。
【0062】
表1及び図12〜14によれば、従来のように、導体層としてWを使用し、通常のアルミナの焼成温度である1550℃で焼成した実験例1では、外観は良好であったが、比抵抗値が20.0μΩ・cmと高いことが分かる。また、WCの含有量が30体積%と過少である実験例2では、比抵抗値は7.0μΩ・cmと低いものの、導体層中に空隙が多く、導体層の保形性が劣る。更に、WCの含有量が75体積%と過多である実験例9では、外観は良好であるものの、密着強度が1.2MPaと低く、導体層とセラミック基体との密着性が劣ることが分かる。
【0063】
一方、メタライズ組成物が35〜70体積%のWCを含有する実験例3〜8及び10〜11では、比抵抗値は24.4μΩ・cm以下であり、且つ外観に優れ、密着強度も十分に大きいことが分かる。また、WCの含有量が35〜45体積%の実験例3〜5及び10、11では、比抵抗値が4.0〜5.0μΩ・cmであり、特に低抵抗である。更に、WCの含有量が35〜40体積%であり、露点が20〜30℃である実験例3〜4及び11では、密着強度が特に大きいことが分かる。また、40体積%のTiBを含有する実験例12では、比抵抗値は3.7μΩ・cmと十分に低く、40体積%のTaCを含有する実験例13では、比抵抗値は5.8μΩ・cmと低く、且ついずれも密着強度も十分に大きいことが分かる。更に、40体積%のZrCを含有する実験例14では、比抵抗値は31.6μΩ・cm、40体積%のTiCを含有する実験例15では、比抵抗値は66.8μΩ・cmと実験例1より高い。このように、保形性及び外観に優れていても金属化合物の種類により比抵抗値の高い導体層となるため、目的、用途等により金属化合物を選定することが好ましい。
尚、図5〜11によれば、WCの含有量が30体積%の実験例2(図5参照)では、WCが少ないため比抵抗値はそれほど高くないが、導体層に径が5μmを越える大きい空隙が多くみられ、小径の空隙も多く、外観が劣る。また、WCの含有量が35体積%の実験例3(図6参照)では、導体層にやや大きい空隙もみられるが、比抵抗値は十分に低い。更に、40〜60体積%のWCを含有する実験例4〜8(図7〜11参照)では、微小な空隙はみられるものの、外観はいずれも良好である。尚、この実験例4〜8では、WCの増加とともに比抵抗値が高くなっていることが分かる。
【0064】
[3]低融点金属と金属化合物との濡れ性の評価
濡れ性は以下のようにして評価した。
(1)低融点金属の粉末であるCu粉末(平均粒径3.6μm)をプレス成形し、直径10mm、厚さ1mmの円板状の成形体とし、その後、この成形体を98MPaの圧力でCIP処理した。
(2)WC粉末(平均粒径1.5μm)、TaC粉末(平均粒径1.2μm)、NbC粉末(平均粒径1.5μm)、TiC粉末(平均粒径1.2μm)、TiN粉末(平均粒径1.2μm)及びTiB粉末(平均粒径1.5μm)の各々をプレス成形し、直径19mm、厚さ7mmの円板状の成形体とし、その後、686MPaの圧力でCIP処理した。
(3)上記(2)で作製した金属化合物からなる成形体上に、上記(1)で作製したCuからなる成形体を各々の中心を同じくして載置し、水素炉に収容し、炉の雰囲気を窒素50体積%と水素50体積%との乾燥混合気体雰囲気とし、次いで、昇温速度6℃/分で1250℃まで昇温させ、1250℃で15分間保持し、その後、室温まで放冷して取り出した。
(4)取り出した各々の試験体において、Cu(低融点金属)からなる成形体の形態が下記の図15〜17のうちのいずれであるかを目視で観察した。
【0065】
図15は、金属化合物からなる成形体に低融点金属のすべてが浸透した特に好ましい状態を模式的に表したものである。また、図16は、金属化合物からなる成形体に低融点金属の一部が浸透した場合、又は浸透はしていないが、成形体の表面で低融点金属が流動している(観察時には固化している。)等の好ましい状態を模式的に表したものである。更に、図17は、低融点金属が球状になっており、低融点金属と金属化合物からなる成形体との濡れ性が劣っている状態を模式的に表したものである。尚、低融点金属と金属化合物からなる成形体との濡れ性が劣っており、低融点金属が溶融時に成形体の表面から流下することもある。
【0066】
低融点金属であるCuと各々の金属化合物との濡れ性を上記のようにして評価した結果、WCでは図15の状態となりCuとの濡れ性に特に優れていた。更に、NbC、TaC、TiC、TiN及びTiBでは図16の状態となりCuとの濡れ性に優れていた。尚、上記(2)と同様にしてアルミニウムの酸化物であるアルミナを用いて円板状の成形体とし、CIP処理したものでは、図17の状態となり、金属酸化物はCuとの濡れ性が劣っていることが分かる。
【0067】
[4]反りの評価
(1)反り評価用試験体の作製
Cu粉末(平均粒径3.6μm)を60体積%、WC粉末(平均粒径1.5μm)、TaC粉末(平均粒径1.2μm)、NbC粉末(平均粒径1.5μm)、TiC粉末(平均粒径1.2μm)、TiN粉末(平均粒径1.2μm)及びTiB粉末(平均粒径1.5μm)の各々を40体積%とし、前記[1]、(1)と同様にしてメタライズ組成物を調製した。また、前記[1]、(2)と同様にして作製した未焼成アルミナシートの表面に、それぞれのメタライズ組成物を、前記[1]、(3)と同様にスクリーン印刷して、縦50mm、横50mm、厚さ0.1μmの未焼成導体層を形成した。その後、上記[1]、(4)と同様にして1250℃、露点20℃で同時焼成して反り評価用試験体を作製した。
【0068】
(2)反りの評価
上記(1)で作製した各々の反り評価用試験体の反りを、試験体を平坦面に置いたときの平坦面からの最大高さと最小高さとの差で評価した。その結果、WCでは最大高さと最小高さとの差が20μmで実質的に反りがないといえる。また、TiC及びTiBでは差が50〜100μmであり反りは小さく、NbC、TaC及びTiNでは差が200〜300μmであり反りが大きかった。このように、CuとWCとの組み合わせは、上記の濡れ性に優れるとともに、未焼成アルミナ基体との同時焼成における反りの観点からも好ましい組み合わせであることが分かる。
【0069】
[5]低融点金属と金属化合物との混合、粉砕方法の検討
Cu粉末とWC粉末とをボールミルにより混合し、粉砕したときと、乳鉢と乳棒とを用いて混合し、粉砕したときの、導体層の外観を観察し、その抵抗を測定して比抵抗値を前記と同様にして算出した。
(1)メタライズ組成物の調製
Cu粉末(平均粒径3.6μm)60体積%、WC粉末(平均粒径1.5μm)40体積%(合計質量は100g)、溶剤としてアセトン50ミリリットル及びブチルカルビトール20ミリリットル、を(1)樹脂製の内張りを施したボールミルにより、アルミナ製の玉石を用いて16時間混合し、粉砕した。また、(2)同じ組成の分散液を、乳鉢と乳棒とを用いて15分間混合し、粉砕した。その後、(1)、(2)いずれの場合も、溶剤としてアセトン25ミリリットル及びブチルカルビトール14ミリリットル、有機バインダとしてエチルセルロース3.8g、を更に投入し、(1)では18時間、(2)では5分間、それぞれ混合、粉砕を継続し、次いで、湯煎し、メタライズ組成物を調製した。
【0070】
(2)未焼成導体層の形成及び焼成
上記(1)で調製した各々のメタライズ組成物を、前記[1]、(2)と同様にして作製した未焼成アルミナシートの表面にスクリーン印刷して、前記[1]、(3)と同様の平面形状及び厚さの未焼成導体層を形成し、その後、この未焼成セラミック配線基板を真空高温炉(酸素分圧は0.1Pa以下である。)に収容し、1250℃で2時間保持して焼成し、セラミック配線基板を製造した。
【0071】
(3)導体層の評価
形成された導体層の比抵抗値を前記[2]、(1)と同様にして算出した。また、導体層の外観を前記[2]、(2)と同様にして観察し、評価した。その結果、上記(1)のようにボールミルを用いて混合し、粉砕した場合は、図18のように、CuとWCとは、ともに微細な粒子として互いに均一に分散しており、Cuの緻密な連続相が形成され、比抵抗値は4μΩ・cmであった。一方、上記(2)のように乳鉢と乳棒とを用いて混合し、粉砕した場合は、図19のように、Cuが十分に連続相を形成しておらず、比抵抗値は6μΩ・cmであった。このように、混合、粉砕の方法が形成される導体層の外観及び抵抗に影響を及ぼすため、ボールミル等により低融点金属と金属化合物とを混合、粉砕し、互いに十分に均一に分散させることが好ましい。
【0072】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に限られず、目的、用途等に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、セラミック配線基板の反りは、セラミック部を構成することとなるセラミック材料、低融点金属及び金属化合物の各々の種類及びこれらの組み合わせ、並びに焼成温度等によっても異なり、上記のCuとの組み合わせの場合も、上記の評価結果では反りが大きかったNbC、TaC及びTiNの各々では、例えば、焼成温度を1250℃より低温の適温とすることで、反りをより抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明のセラミック配線基板(多層配線基板)の一例の断面を示す模式図である。
【図2】実験例4のセラミック配線基板の断面を走査型電子顕微鏡により観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
【図3】各々の実験例のセラミック配線基板における導体層の平面形状を示す模式図である。
【図4】密着強度を測定するための試験体の様子を示す模式図である。
【図5】実験例2のセラミック配線基板に形成された導体層の一部を光学顕微鏡により観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
【図6】実験例3のセラミック配線基板に形成された導体層の一部を光学顕微鏡により観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
【図7】実験例4のセラミック配線基板に形成された導体層の一部を光学顕微鏡により観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
【図8】実験例5のセラミック配線基板に形成された導体層の一部を光学顕微鏡により観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
【図9】実験例6のセラミック配線基板に形成された導体層の一部を光学顕微鏡により観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
【図10】実験例7のセラミック配線基板に形成された導体層の一部を光学顕微鏡により観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
【図11】実験例8のセラミック配線基板に形成された導体層の一部を光学顕微鏡により観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
【図12】実験例1〜9のセラミック配線基板に形成された導体層におけるWC含有量と比抵抗値との相関を表すグラフである。
【図13】実験例2〜9のセラミック配線基板に形成された導体層におけるWC含有量と密着強度との相関を表すグラフである。
【図14】実験例4及び10、11のセラミック配線基板に形成された導体層における露点と密着強度との相関を表すグラフである。
【図15】Cuと各種の金属化合物との濡れ性を評価した場合に、濡れ性が特に優れているときの様子を模式的に示す説明図である。
【図16】Cuと各種の金属化合物との濡れ性を評価した場合に、濡れ性が優れているときの様子を模式的に示す説明図である。
【図17】Cuと各種の金属化合物との濡れ性を評価した場合に、濡れ性が劣っているときの様子を模式的に示す説明図である。
【図18】CuとWCとをボールミルにより混合し、粉砕した場合の、セラミック配線基板における導体層の外観を光学顕微鏡により観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
【図19】CuとWCとを乳鉢と乳棒とで混合し、粉砕した場合の、セラミック配線基板における導体層の外観を光学顕微鏡により観察し、撮影した結果に基づく説明図である。
【符号の説明】
【0074】
1;セラミック配線基板、11;セラミック部、12;導体層、121;抵抗測定用端子、13ビア導体、21;密着強度測定用導体層、22;Niめっき層、23;リード線、31;アルミナ成形体、32;Cu成形体、321;アルミナ成形体に浸透したCu、322;溶融流動したCu、323;溶融し球状となったCu。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とする低融点金属と、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物及び金属珪化物のうちの少なくとも1種を主成分とする金属化合物とを含有し、且つ該低融点金属と該金属化合物との合計を100体積%とした場合に、該金属化合物の含有量は33〜72体積%であることを特徴とするメタライズ組成物。
【請求項2】
上記金属化合物の体積抵抗率が45×10−8Ω・m以下である請求項1に記載のメタライズ組成物。
【請求項3】
上記低融点金属はCuを主成分とし、且つ上記金属化合物はWCを主成分とする請求項1又は2に記載のメタライズ組成物。
【請求項4】
上記低融点金属と上記金属化合物との合計を100質量%とした場合に、該低融点金属は18.0〜53.5質量%である請求項3に記載のメタライズ組成物。
【請求項5】
セラミック基体と、該セラミック基体の表面又は内部に配設された導体層とを備えるセラミック配線基板において、
該導体層は、焼成により該セラミック基体を構成することとなるセラミック材料の焼成温度よりも融点が低い低融点金属からなる低融点金属部と、該低融点金属部内に形成され、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物及び金属珪化物のうちの少なくとも1種を主成分とし、該セラミック材料の該焼成温度よりも融点が高い金属化合物からなる金属化合物連接部と、を備えることを特徴とするセラミック配線基板。
【請求項6】
上記金属化合物の体積抵抗率が45×10−8Ω・m以下である請求項5に記載のメタライズ組成物。
【請求項7】
上記金属化合物連接部は、上記金属化合物からなる粒子同士が接触して形成されている請求項6に記載のセラミック配線基板。
【請求項8】
上記低融点金属はCu、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とするものである請求項6又は7に記載のセラミック配線基板。
【請求項9】
セラミック基体と、該セラミック基体の表面又は内部に配設された導体層とを備えるセラミック配線基板において、
該導体層は、Cu、Ag及びAuのうちの少なくとも1種を主成分とする低融点金属と、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物及び金属珪化物のうちの少なくとも1種を主成分とする金属化合物とを含有し、且つ該低融点金属と該金属化合物との合計を100体積%とした場合に、該金属化合物の含有量が33〜72体積%であることを特徴とするセラミック配線基板。
【請求項10】
上記金属化合物の体積抵抗率が45×10−8Ω・m以下である請求項9に記載のメタライズ組成物。
【請求項11】
上記低融点金属はCuを主成分とし、且つ上記金属化合物はWCを主成分とする請求項6、7、9又は10に記載のセラミック配線基板。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−73280(P2006−73280A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253366(P2004−253366)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】