説明

メタリック塗装物

【課題】 メタリック塗膜の金属光沢を効果的に発現させるためには、乾燥塗膜中での金属片を規則的に配向させることが重要である。そこでバインダー樹脂の主成分に鎖状高分子を用いたメタリック塗料による塗装方法が提案されている。しかし、バインダー樹脂の主成分として鎖状高分子を用いた場合、加熱等により可塑性が発現し、添加されている金属片の配向を阻害しないものの、塗膜が反応硬化しないために、手の脂汗や汗、環境中の水分等によりメタリック塗膜の耐性が悪化する問題があった。
【解決手段】 積層塗膜からなるメタリック塗装物において、少なくとも水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料により形成した塗膜と、イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料により形成した塗膜とが、一体の複合塗膜層となるメタリック塗装物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属光沢を有するメタリック塗装物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メタリック塗装物は、外観の意匠性を向上させるために様々な発明がなされている。特に蒸着金属膜を粉砕した金属片を用いたメタリック塗膜は、金属光沢を有することから新規高輝度メタリック塗装物として様々な分野で使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−162977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メタリック塗膜の金属光沢を効果的に発現させるためには、乾燥塗膜中での金属片を規則的に配向させることが重要である。そこでバインダー樹脂の主成分に鎖状高分子を用いたメタリック塗料による塗装方法が提案されている。
しかし、バインダー樹脂の主成分として鎖状高分子を用いた場合、加熱等により可塑性が発現し、添加されている金属片の配向を阻害しないものの、塗膜が反応硬化しないために、手の脂汗や汗、環境中の水分等によりメタリック塗膜の耐性が悪化する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、積層塗膜からなるメタリック塗装物において、少なくとも水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料により形成した塗膜と、イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料により形成した塗膜とが、一体の複合塗膜層となることを特徴とするメタリック塗装物を要旨とするものである。
【0006】
被塗物の材質は、塗装できる材料であればよく特に限定されない。具体的には、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金、鉄またはその合金、亜鉛またはその合金、マグネシウムまたはその合金、チタンまたはその合金、金またはその合金、銀またはその合金、白金またはその合金、スズまたはその合金、ニッケルまたはその合金などの金属材料、塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアミド、ナイロン、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂材料、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー、シリコーン、スチレンブタジエン、ウレタン、ブタジエン、イソプレン、フッ素などの合成ゴムや天然ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂などの熱硬化樹脂材料、アルミナ、ジルコニア、陶磁器、ガラスなどのセラミック材料、木材、紙、石などの天然材料などを用いることができる。
また、これらの材料は1種または2種以上の混合物であってもよい。さらに、これらの材質には、予め湿式めっき法や乾式めっき法、塗装、印刷、化成処理やクロメート処理などの公知の方法により、ニッケルやクロムや黒クロムなどの金属めっき層、あるいは金や銀やパラジウムなどの貴金属めっき層、塗膜層、印刷層、接着層、酸化物層などの下地処理層を形成してもよい。
【0007】
水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料は、少なくとも水酸基を2個以上含む化合物と、メタリック粉体と、液媒体を含んでいればよく、液媒体として有機溶剤を使用した有機溶剤系塗料や、水または水と有機溶剤を混合した溶液を使用した水系塗料であれば特に限定しない。
メタリック粉体は、鱗片状ガラスフレークの表面をニッケルや銀などの金属もしくは金属酸化物で被覆した特殊顔料や、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金、鉄またはその合金、亜鉛またはその合金、マグネシウムまたはその合金、チタンまたはその合金、金またはその合金、銀またはその合金、白金またはその合金、スズまたはその合金、ニッケルまたはその合金、クロムまたはその合金、コバルトまたはその合金などの金属粉体や、前記金属の酸化物や窒化物などを公知の方法により粉砕したメタリック顔料や、種々の形状(鱗片状、棒状、長方形状、星型状、球状など)に加工した合成樹脂粉体表面や無機粉体表面に公知の方法(めっき法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ法など)により前記金属又は/及び前記金属の酸化物や窒化物などを形成した複合粉体などが使用できる。
特に、蒸着金属膜を粉砕した金属片をメタリック粉体とすることにより、金属調の外観を有し、且つ金属光沢の優れたメタリック塗膜を形成することが出来る。メタリック粉体の重量濃度は、乾燥塗膜中に50wt%以上で優れた金属調の外観を有するメタリック塗膜が得られる。また、50wt%未満では、メタリック粉体が重なり合い優れた金属調の外観は得られず、外観特性が悪化する。
【0008】
水酸基を2個以上含む化合物は、液媒体に可溶で、加熱等により可塑性を発現する樹脂が好適に使用できる。具体的には、ポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオール、又はこれらポリオールを主成分とする混合物が挙げられ、これらは一種もしくは二種以上の混合物でもよい。またこれらに、テルペン系樹脂やロジン系樹脂などの粘着性付与剤や、パラフィン系オイルなどの柔軟剤、カーボンブラック、タルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、無機顔料、有機顔料などの充填剤、ゼオライト、シリカゲルなどの吸着剤などを必要に応じて添加することもできる。
また、水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料における水酸基を2個以上含む化合物と、イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料における水酸基を2個以上含む化合物は、一体の複合塗膜層を得るために同じ化合物が望ましい。
【0009】
イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料は、少なくともイソシアネート基を有する高分子材料と、水酸基を2個以上含む化合物と、液媒体を含んでいればよく、液媒体として有機溶剤を使用した有機溶剤系塗料や、水または水と有機溶剤を混合した溶液を使用した水系塗料であれば特に限定しない。
イソシアネート基を有する高分子材料は、本発明において重要な材料であり、前記水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料から形成される塗膜と、前記イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料から形成する塗膜とを、ウレタン結合により反応硬化させ一体の複合塗膜とするための化合物である。
具体的には、ポリイソシアネート樹脂を主成分とする硬化剤であり、その添加量は、前記イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料中の水酸基を2個以上含む化合物の化学当量1に対して、イソシアネート基を有する高分子材料の化学当量が2以上、すなわち当量比で1:2以上となるようにすればよい。
その具体的な計算方法としては、下記式で算出すればよい。
イソシアネート基を有する高分子材料の量(g)=水酸基を2個以上含む化合物の量(g)×(水酸基を2個以上含む化合物の水酸基価((mg/g)+水酸基を2個以上含む化合物の酸価(mg/g))/イソシアネート基を有する高分子材料のNCO(wt%))×(42/561)×R とし、R=2以上(イソシアネート基を有する高分子材料の化学当量2以上/水酸基を2個以上含む化合物の化学当量1)とすれば良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料中に過剰に添加されたイソシアネート基を有する高分子材料が、水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料から得られる未硬化の塗膜中(所謂ウエット塗膜中)に移行し、イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料から得られる塗膜と水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料から得られる塗膜と反応硬化し、一体の複合塗膜となることで、手の脂汗や汗、環境中の水分等による耐性が悪化を防止することができる。
また、被塗物上に先に水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料を塗布することで、加熱により反応硬化が開始しないために、可塑性が発現し、メタリック粉体が塗膜内で再配列させることが可能となり、デザイン的なテスクチャーを制御することが可能となる。
さらにメタリック粉体が、蒸着金属膜を粉砕してなる金属片であり、重量濃度が乾燥塗膜中に50wt%以上であると、再配列時にメタリック粉体が薄膜状(基材と平行に寝た状態)となる再配列動作を阻害する他の添加物(水酸基を2個以上含む化合物など)の重量濃度が少ないために、あたかも蒸着金属膜を形成したような金属光沢を有するデザイン的なテクスチャーが得られる。
【0011】
さらに効果を製造方法を基に具体的に説明する。
(1)被塗物上に水酸基を2個以上含む化合物(以下、D化合物と称す)とメタリック粉体とを含む塗料を塗布する工程。
(2)前記塗料で塗装した被塗物を加熱及び/又は室温放置する工程。
(3)加熱及び/又は室温放置することで、D化合物とメタリック粉体とを含む塗料から得られた塗膜が可塑性を発現し、メタリック粉体が前記塗膜内で一列に再配置する工程。
この時点では、前記塗膜は硬化するための物質(イソシアネート基を有する高分子材料)を含まないため、未硬化の状態(所謂ウエット塗膜の状態)である。
(4)次にイソシアネート基を有する高分子材料(以下、F高分子材料と称す)と水酸基を2個以上含む化合物(以下、E化合物と称す)とを含む塗料を前記D化合物とメタリック粉体とを含む塗料で塗装した被塗物上に塗布する工程。
このF高分子材料とE化合物とを含む塗料は、E化合物を反応硬化させるためのF高分子材料を含むが、F高分子材料の添加量がE化合物を反応硬化に必要な添加量以上に配合されている。
(5)次に加熱及び/又は室温放置することで、E化合物はF高分子材料と反応硬化する課程で、過剰に添加されたF化合物(未反応のF化合物)が、D化合物との反応のために濃度勾配の有するD化合物とメタリック粉体とを含む塗料から得られた塗膜に移行し、恰も一つの塗膜のような一体の複合塗膜となり反応硬化する工程。
その結果、反応硬化した一体の複合塗膜は、耐性を悪化する外的因子に対して塗膜中への浸入を防止することで、手の脂汗や汗、環境中の水分等による耐性の悪化を防止することができる。
尚、前記製造方法は、効果を説明する為の一例であり、一体の複合塗膜となる前のそれぞれの塗料を塗布する順番を変えても、耐性を悪化する外的因子に対して塗膜中への浸入を防止することで、手の脂汗や汗、環境中の水分等による耐性の悪化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料により形成した塗膜と、イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料により形成した塗膜とが、一体の複合塗膜層としたことを最も主要な特徴し、その一体の複合塗膜層がイソシアネート基を有する高分子材料で反応硬化することで、手の脂汗や汗、環境中の水分等による耐性が悪化を抑制する目的を実現した。
【0013】
(実施例1)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。
次に水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」に、メタリック粉体として「粉砕アルミニウムペースト(4690NS,東洋アルミニウム(株)製)」を、乾燥塗膜中に50wt%となるように配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したメタリック塗料をスプレー塗装した後、30℃、30分の条件で乾燥した。
次にイソシアネート基を有する高分子材料として「トリレンジイソシアネート系硬化剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)」と、水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」とを、R=2(当量比)で配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したクリヤー塗料をスプレー塗装した。
次に90℃で30分間加熱し、前記メタリック塗料から得られた塗膜と、前記クリヤー塗料から得られた塗膜の二層とが一体の複合塗膜となったメタリック塗膜を得た。
【0014】
(実施例2)
実施例1と同様の被塗物を用いた。
次に水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」に、メタリック粉体として「蒸着金属膜を粉砕してなるアルミニウムペースト(Ciba METASHEEN 41−0010、Ciba Specialty Chemicals,Inc製)」を、乾燥塗膜中に50wt%となるように配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したメタリック塗料をスプレー塗装した後、30℃、30分の条件で乾燥した。
次にイソシアネート基を有する高分子材料として「トリレンジイソシアネート系硬化剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)」と、水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」とを、R=2(当量比)で配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したクリヤー塗料をスプレー塗装した。
次に90℃で30分間加熱し、前記メタリック塗料から得られた塗膜と、前記クリヤー塗料から得られた塗膜の二層とが一体の複合塗膜となったメタリック塗膜を得た。
【0015】
(実施例3)
実施例1と同様の被塗物を用いた。
次に水酸基を2個以上含む化合物として「ポリカーボネートポリオール(ニッポラン982、日本ポリウレタン工業(株)製)」に、メタリック粉体として「蒸着金属膜を粉砕してなるアルミニウムペースト(Ciba METASHEEN 41−0010、Ciba Specialty Chemicals,Inc製)」を、乾燥塗膜中に50wt%となるように配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したメタリック塗料をスプレー塗装した後、50℃、10分の条件で乾燥した。
次にイソシアネート基を有する高分子材料として「ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤(コロネートHL、日本ポリウレタン工業(株)製)」と、水酸基を2個以上含む化合物として「ポリカーボネートポリオール(ニッポラン982、日本ポリウレタン工業(株)製)」とを、R=2(当量比)で配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したクリヤー塗料をスプレー塗装した。
次に70℃で60分間加熱し、前記メタリック塗料から得られた塗膜と、前記クリヤー塗料から得られた塗膜の二層とが一体の複合塗膜となったメタリック塗膜を得た。
【0016】
(実施例4)
実施例1と同様の被塗物を用いた。
次に水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」に、メタリック粉体として「蒸着金属膜を粉砕してなるアルミニウムペースト(Ciba METASHEEN 41−0010、Ciba Specialty Chemicals,Inc製)」を、乾燥塗膜中に50wt%となるように配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したメタリック塗料をスプレー塗装した後、30℃、30分の条件で乾燥した。
次にイソシアネート基を有する高分子材料として「トリレンジイソシアネート系硬化剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)」と、水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」とを、R=1(当量比)で配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したクリヤー塗料をスプレー塗装した。
次に90℃で30分間加熱し、前記メタリック塗料から得られた塗膜と、前記クリヤー塗料から得られた塗膜の二層とが一体の複合塗膜となったメタリック塗膜を得た。
【0017】
(実施例5)
実施例1と同様の被塗物を用いた。
次に水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」に、メタリック粉体として「蒸着金属膜を粉砕してなるアルミニウムペースト(Ciba METASHEEN 41−0010、Ciba Specialty Chemicals,Inc製)」を、乾燥塗膜中に50wt%となるように配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したメタリック塗料をスプレー塗装した後、30℃、30分の条件で乾燥した。
次にイソシアネート基を有する高分子材料として「トリレンジイソシアネート系硬化剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)」と、水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」とを、R=3(当量比)で配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したクリヤー塗料をスプレー塗装した。
次に90℃で30分間加熱し、前記メタリック塗料から得られた塗膜と、前記クリヤー塗料から得られた塗膜の二層とが一体の複合塗膜となったメタリック塗膜を得た。
【0018】
(実施例6)
実施例1と同様の被塗物を用いた。
次にイソシアネート基を有する高分子材料として「トリレンジイソシアネート系硬化剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)」と、水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」とを、R=2(当量比)で配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したクリヤー塗料をスプレー塗装した後、30℃、30分の条件で乾燥した。
次に水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」に、メタリック粉体として「蒸着金属膜を粉砕してなるアルミニウムペースト(Ciba METASHEEN 41−0010、Ciba Specialty Chemicals,Inc製)」を、乾燥塗膜中に50wt%となるように配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したメタリック塗料をスプレー塗装した。
次に90℃で30分間加熱し、前記メタリック塗料から得られた塗膜と、前記クリヤー塗料から得られた塗膜の二層とが一体の複合塗膜となったメタリック塗膜を得た。
【0019】
(実施例7)
実施例1と同様の被塗物を用いた。
次にイソシアネート基を有する高分子材料として「ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤(コロネートHL、日本ポリウレタン工業(株)製)」と、水酸基を2個以上含む化合物として「ポリカーボネートポリオール(ニッポラン982、日本ポリウレタン工業(株)製)」とを、R=2(当量比)で配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したクリヤー塗料をスプレー塗装した後、50℃、10分の条件で乾燥した。
次に水酸基を2個以上含む化合物として「ポリカーボネートポリオール(ニッポラン982、日本ポリウレタン工業(株)製)」に、メタリック粉体として「蒸着金属膜を粉砕してなるアルミニウムペースト(Ciba METASHEEN 41−0010、Ciba Specialty Chemicals,Inc製)」を、乾燥塗膜中に50wt%となるように配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したメタリック塗料をスプレー塗装した。
次に70℃で60分間加熱し、前記メタリック塗料から得られた塗膜と、前記クリヤー塗料から得られた塗膜の二層とが一体の複合塗膜となったメタリック塗膜を得た。
【0020】
(比較例1)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。
次に水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」に、メタリック粉体として「粉砕アルミニウムペースト(4690NS,東洋アルミニウム(株)製)」を、乾燥塗膜中に50wt%となるように配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したメタリック塗料をスプレー塗装した後、30℃、30分の条件で乾燥しメタリック塗膜を得た。
【0021】
(比較例2)
真鍮製の、外径10mm、長さ100mmである横断面外形状が円形の材料の、塗料を塗布する面(塗布面)に、バフ研磨を施して表面を平滑にし、ジクロロメタンで脱脂処理し被塗物とした。
次に水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」に、メタリック粉体として「粉砕アルミニウムペースト(4690NS,東洋アルミニウム(株)製)」を、乾燥塗膜中に50wt%となるように配合し、さらに一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したメタリック塗料をスプレー塗装した後、30℃、30分の条件で乾燥した。
次に水酸基を2個以上含む化合物として「ポリエステルポリオール(ニッポラン800、日本ポリウレタン工業(株)製)」とを、一般公知のウレタン塗料用シンナー(naxマイティラックG−IIシンナー、日本ペイント(株)製)にて2倍したクリヤー塗料をスプレー塗装した。
次に90℃で30分間加熱し、前記メタリック塗料から得られた塗膜と、前記クリヤー塗料から得られた塗膜の二層とが一体の複合塗膜となったメタリック塗膜を得た。
【0022】
<塗膜密着性評価(碁盤目試験)>
実施例及び比較例で得た装飾体をJIS K 5600−5−6「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に規定されているクロスカット法(1mmの正方形を10×10コマ(計100コマ))にて密着性を評価する。尚、評価は、100コマの碁盤目内で塗膜が残ったコマ数とした。
【0023】
<水に対する塗膜密着性評価(沸騰水試験)>
2級の純度の水(ISO3696)を沸騰状態にし、実施例及び比較例で得た装飾体を前記沸騰状態の水に25分間浸漬した後、塗装物を沸騰状態の水の中から取りだし常温に戻す。次にJIS K 5600−5−6「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に規定されているクロスカット法(1mmの正方形を10×10コマ(計100コマ))にて密着性を評価する。尚、評価は、100コマの碁盤目内で塗膜が残ったコマ数とした。
【0024】
<金属光沢を有するデザイン的なテクスチャーの評価(目視判定法)>
JIS K 5600−4−3:1999「塗料一般試験方法−第4部:塗膜の視覚特性−第3節:色の目視比較」に準じた色観察用照明(自然昼光照明)下で目視にて金属光沢の有無を評価した。
【0025】
評価結果を表1に示す。
【0026】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層塗膜からなるメタリック塗装物において、少なくとも水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料により形成した塗膜と、イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料により形成した塗膜とが、一体の複合塗膜層となることを特徴とするメタリック塗装物。
【請求項2】
前記水酸基を2個以上含む化合物とメタリック粉体とを含む塗料により形成した塗膜上に、イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料により形成した塗膜を形成した後、一体の複合塗膜層としたことを特徴とする請求項1記載のメタリック塗装物。
【請求項3】
前記メタリック粉体が、蒸着金属膜を粉砕してなる金属片であることを特徴とする請求項1〜2記載のメタリック塗装物。
【請求項4】
前記水酸基を2個以上含む化合物が、ポリエステルポリオール及び/又はポリカーボネートポリオールを主成分とする塗料であることを特徴とする請求項1〜2記載のメタリック塗装物。
【請求項5】
前記イソシアネート基を有する高分子材料が、ポリイソシアネート樹脂を主成分とする硬化剤であることを特徴とする請求項1〜2記載のメタリック塗装物。
【請求項6】
前記イソシアネート基を有する高分子材料と水酸基を2個以上含む化合物とを含む塗料中の水酸基を2個以上含む化合物の化学当量1に対して、イソシアネート基を有する高分子材料の化学当量が2以上であること特徴とする請求項1〜2記載のメタリック塗装物。
【請求項7】
前記一体の複合塗膜層が、ウレタン結合により形成されたことを特徴とする請求項1記載のメタリック塗装物。

【公開番号】特開2009−286017(P2009−286017A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141881(P2008−141881)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】