メタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法
【課題】 複雑な形状の自動車用部品を対象とし、成形樹脂の組成(メタリック粒子の配向性、ベース樹脂の流動性)、金型改良及び成形条件を総合的に考慮し、最適化することで、光輝感とメタリック粒子の配向のバラツキなどによる外観不良が出ない高品位の無塗装メタリック樹脂射出成形品の製造方法とその品質評価方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、所定のメタリック樹脂(アルミニウム粒子、パール粒子及び着色剤を所定の割合で混練したペレット)を用いて射出成形を行うことにおいて、金型の構成と成形条件の選択により樹脂中のメタリック粒子の配向角度は好ましくは2°〜45、最も好ましくは4°〜23°となるようにしたことを特徴とするメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【解決手段】 本発明は、所定のメタリック樹脂(アルミニウム粒子、パール粒子及び着色剤を所定の割合で混練したペレット)を用いて射出成形を行うことにおいて、金型の構成と成形条件の選択により樹脂中のメタリック粒子の配向角度は好ましくは2°〜45、最も好ましくは4°〜23°となるようにしたことを特徴とするメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタリック粒子入り樹脂を用いた無塗装化プラスチック射出成形品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の内外装の一部製品は、射出成形法により製造され、吹きつけ塗装にて仕上げられ成形品外観不良の改善や高級感を出している。しかし、塗装コストが高いことや有機溶剤による環境汚染のため、無塗装化の成型方法が求められている。
【0003】
そこで、メタリック材料の組成(特に、メタリック粒子や着色剤の配合率)や成型条件を変化させたり、金型を改良したりして射出成形を行うことにより、メタリック外観を有する成形品の製造方法が提案されている。例えば、下記特許文献1〜3が挙げられる。
【0004】
特許文献1に開示された発明においては、アルミニウムフレークと熱可塑性樹脂の割合を変え、アルミニウムフレークが比較的多い割合で混練されるので、混練時アルミ同士が接触する頻度を多くし、アルミニウムフレークとポリカーボネートのような硬質の熱可塑性樹脂との接触を低減することにより、アルミニウムフレークの変形や損傷を低減させメタリック外観を有する成形品の製造方法に関するものである。特許文献2においては、アルミニウム粉、干渉パールマイカ及び熱可塑性樹脂を所定の割合で配合し、さらに着色材を配合することにより塗装品と同様のフリップフロップ性メタリック感(視線の方向により色相が変化して見えること。)のある成形品の製造に関するものである。さらに、特許文献3においては、ウェルドラインが発生する製品の表面側になるキャビティに磁石を埋設した金型を使用し、射出成形する樹脂に磁性体金属フレークを混在し、磁力を交互に発生させ、溶融樹脂流れを移動することでウェルドラインの発生を防止するメタリック樹脂成形方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−188745号公報
【特許文献2】特開2006−9034号公報
【特許文献3】特開平10−95026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の先行技術例のように、これまでメタリック樹脂の組成、成形条件の変化及び金型構造の改善を施すことによりメタリック塗装品と同等な光輝感と外観品質を持つメタリック樹脂の射出成形技術は比較的に形状が単純な製品の成形に限られたものが大部分となり、実際の自動車用のスイッチパネルやドアミラーのように、多数の穴、凹みや曲面を持つ複雑な形状の製品を対象とした無塗装メタリック樹脂成型は技術的に非常に困難とされ、未だ解決されていない。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて、複雑な形状の自動車用部品を対象とし、成形樹脂の組成(メタリック粒子の配向性、ベース樹脂の流動性)、金型改良及び成形条件を総合的に考慮し、最適化することで、光輝感とメタリック粒子の配向のバラツキなどによる外観不良が出ない高品位の無塗装メタリック樹脂射出成形品の製造方法とその成形品の品質評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る請求項1の発明は、所定のメタリック樹脂(アルミニウム粒子、パール粒子及び着色剤を所定の割合で混練したペレット)の射出成形を行うことで樹脂中のメタリック粒子の配向性をよくすることにおいて、金型の構成と成形条件の選択によりメタリック粒子(主にアルミニウムフレーク粒子)配向角度は好ましくは2°〜45、最も好ましくは4°〜23°となるようにしたことを特徴とするメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。金型の構成には、以下の請求項の発明におけるように、射出成形金型のゲートの形態や、射出成形金型のリブの形状と位置の設定を変更や、2つ以上の溶融樹脂の流れが合流する場所に発生するウェルドラインをなくすように成形製品の性能に影響を与えない製品不要部分の肉づけとガス抜きピンを設定や、流動樹脂が一番最後に充填される端末部のメタリック粒子の配向を調整し、製品表面外観を改善できるように金型にオーバースピル(余剰捨てキャビティ)を設定したこと等が含まれる。同様に、成形条件の選択には、以下の請求項の発明におけるように、射出成形金型のゲートの形態をファンゲートやフィルムゲートにしたことにより低圧や低速の射出成形を可能となり容量が小さい射出成形機でも十分成形を可能とすること前記メタリック樹脂と流動性が高いベース樹脂を混合した成型樹脂を用いることや、メタリック樹脂を用いて射出成形する際に射出速度、射出圧力及び型締め圧力などの射出成形条件を最適に調整すること等が含まれる。
【0009】
本発明に係る請求項2の発明は、前記メタリック樹脂と流動性が高いベース樹脂を混合した成型樹脂を用いることで樹脂中のメタリックの配向性を良くし、製品表面外観を改善することを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0010】
本発明に係る請求項3の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリックの配向性をよくするために射出成形金型のゲートの形態をファンゲートやフィルムゲートにしたことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0011】
本発明に係る請求項4の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリックの配向性をよくするために射出成形金型のゲートの形態をファンゲートやフィルムゲートにしたことにより低圧や低速の射出成形を可能となり容量が小さい射出成形機でも十分成形を可能とすることを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0012】
本発明に係る請求項5の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリックの配向性をよくするために射出成形金型のリブの形状と位置の設定を変更したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0013】
本発明に係る請求項6の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリックの配向の不均一や2つ以上の溶融樹脂の流れが合流する場所に発生するメタリック粒子の配向の乱れをなくすために成形製品の性能に影響を与えない製品不要部分の肉づけ(例えば穴部をふさぐことなど)とガス抜きピンを設定したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0014】
本発明に係る請求項7の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形する際に流動樹脂が一番最後に充填される端末部のメタリック粒子の配向を調整し、製品表面外観を改善できるように金型にオーバースピル(余剰捨てキャビティ)を設定したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0015】
本発明に係る請求項8の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形する際に射出速度、射出圧力及び型締め圧力などの射出成形条件を最適に調整することで樹脂中のメタリック粒子の配向性向上や良好な製品表面外観を得ることを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複雑な形状の自動車用部品を対象とし、メタリック粒子の配向性、ベース樹脂の流動性、ゲート形態、リブの形状や位置設定などの金型改良及び射出圧力、速度、型閉め圧などの成形条件を総合的に考慮し、最適化することで、光輝感と外観不良が出ない高品位の無塗装射出成形品を提供できる。自動車業界として、環境負荷が少ない部品の製造方法が望まれており、無塗装化によって、納期の短縮も可能であり、また、コスト低減にもつながるため、無塗装メタリック射出成形品に対する要望は多く、実用化の可能性は非常に高い。さらに、本発明は自動車内外装品だけではなく、家電製品などにも応用が可能なので、市場への波及効果も大きい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る、成形品表面上の色ムラがある部分と色ムラがない部分を観察した写真を示す図である。
【図2】本発明に係る、成形表面でのメタリック粒子の傾きとアスペクト比の関係を説明する図である。
【図3】本発明に係る、成形表面でのメタリック粒子の配向角度とアスペクト比の関係を示す図である。
【図4】本発明に係る、成形品表面上の色ムラがある部分と色ムラがない部分における粒子のアスペクト比を求めた図である。
【図5】本発明に係る、表面上の色ムラの部分とムラがない部分での粒子の配向角度を求めた図である。
【図6】本発明に係る、成形品の外観(メタリック粒子の配向)に及ぼすベース樹脂の流動性と成形条件の関係を示す図である。
【図7】本発明に係る、射出成形金型のゲートの形態とメタリック粒子の配向性との関係を示す図である。
【図8】本発明に係る、射出成形金型のリブの形状や位置設定とメタリック粒子の配向性との関係を示す図である。
【図9】本発明に係る、製品不要部分の肉付けやガス抜きピンと成形表面外観との関連性を示す図である。
【図10】本発明に係る、ガス抜きピンと成形表面外観との関連性を示す図である。
【図11】本発明に係る、オーバースピル(余剰捨てキャビティ)設定と成形表面外観(メタリック粒子の配向)との関連性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0019】
まず、メタリック粒子入り成形樹脂を用いて作製した射出成形品表面での外観状態(良好、不良の状態)とメタリック粒子の配向性の関係を実験的に明らかにした。図1に目視で観察した成型品表面上の黒い色ムラ(細い筋状の模様)がある部分と色ムラがない部分を光学顕微鏡で観察した結果を示す。この筋状の模様が生じる原因としては樹脂中のメタリック粒子の配向性と関係があると考えられる。次に、このような成型品表面上における色ムラの有無によるメタリック粒子の配向を観察した。ここでは、走査型電子顕微鏡のステージに観察試料を固定し、ステージを0°から10°刻みに傾け、画像上の粒子の長径と短径のアスペクト比(長径/短径)を80°まで計測し、メタリック粒子のアスペクト比と角度の関係式を求めた。粒子は長径方向と短径方向の2方向に傾けた状態となる。粒子は楕円形状をしており、長径方向に傾くか短径方向に傾くかでアスペクト比と角度の関係が異なる(但し、水平面に対する配向角度のアスペクト比λは、0°と180°、10°と190°、20°と200°、30°と210°、40°と220°、50°と230°、60°と240°、70°と250°、80°と260°、との各組において互いに同じ値となる。)。図2のように例えば、長径方向に傾くとアスペクト比が1に近づく。一方、短径方向に傾くと、アスペクト比が初期値1.42よりも大きくなっていくと考えられるため、両方向に対してそれぞれ関係式を求めた。本射出成形実験に使用したメタリック粒子を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
図3にメタリック粒子の配向角度とアスペクト比の関係を示す。図より長径方向に傾いたときはアスペクト比と角度の関係はほぼ線型で、角度が大きくなるにつれてアスペクト比が減少していくことがわかった。一方、短径方向に傾いたときは、角度が増加するとアスペクト比が大きく増加することがわかり、傾いた方向によってアスペクト比と角度の関係に違いが生じることがわかった。また、長短径傾きにおける配向角度とアスペクト比の関係式はそれぞれ図中に共に示す。
【0022】
図4は上記の図1の光学顕微鏡で観察した成型品表面上の黒い色ムラ(細い筋状の模様)がある部分と色ムラがない部分の画像から、同様の方法で粒子のアスペクト比を求めたものである。ここで、測定点数はそれぞれ10個である。この図より、表面上の色ムラの部分では、粒子の配向に乱れが生じ、アスペクト比が大きくなっていることがわかる。これに対して、表面上に黒い色ムラが見えているところから離れた表面外観が良好なところではアスペクト比の平均は1.5程を示しており、成形樹脂中のメタリック粒子が成型品表面に平行に配列していることが言える。また、図4で求めたアスペクト比を上記図3中の関係式に当てはめて、成型品表面のメタリック粒子の角度を求めた結果を図5に示す。この図より、表面上の色ムラの部分とムラがない部分での粒子の配向角度の平均値を求めると表2のようになり、特に、表面上の色ムラがない部分の粒子配向角度は好ましくは2°〜45°、最も好ましくは4°〜23°となる。アスペクト比と同様に、細い筋状の模様がある部分では粒子が基準の平衡状態からかなり傾いて配向性に乱れが生じていることがわかる(20°〜60°)。以上の結果から、メタリック粒子入り成形樹脂を用いて作製した射出成形品表面での外観状態(良好、不良の状態)は樹脂中のメタリック粒子の配向性と密接な関係があることが明らかとなった(表2参照)。したがって、樹脂中のメタリック粒子の配向性を均一に制御することが良好な製品表面外観を得るために不可欠であることとなり、このようなメタリック粒子の配向に乱れが生じないように、ベース樹脂の流動性、金型改良及び成形条件を総合的に考慮することで、高品位の無塗装メタリック樹脂射出成形品を実現した製造方法(メタリック樹脂射出成形方法)及びその成形品の品質評価方法を以下に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
図6は、本発明のメタリック樹脂射出成形品の外観(メタリック粒子の配向)に及ぼすベース樹脂の流動性(MFR:Melt Flow Rate)と成形条件の関係をまとめて表したものである。この図より、樹脂の流動性を大きくすると、射出成形圧力、型締圧力、射出速度が低くなることが分かる。また、射出成形品の外観(メタリック粒子の配向性)は、ベース樹脂の流動性が大きくなると良くなることが分かった。即ち、メタリック粒子入り樹脂を用いる射出成形については、外観が良好な成型品を得るためには、流動性が高いベース樹脂の方が有効であることがわかる。また、材料の流れの良いものは、射出圧力及び射出速度を低くすることが出来るためメタリック粒子の配向性を容易に調整できると考えられる。
【0025】
図7に射出成形金型のゲートの形態とメタリック粒子の配向性を調べた結果を示す。サイドゲートからファンゲートに変えてゲートを大きくすることにより射出成型時の圧力を低くすることができる。同様に、射出速度を低くして樹脂を流すことができるためより多くの樹脂中のメタリック粒子の配向をベース樹脂の流れ方向と一致させることができるため成型品の外観不良をなくすことができる。また、ゲートを大きくすることにより型締め圧力を低く設定できるため樹脂中のガスと金型の中に入っている空気を逃がすことができるため容量が小さい機械でも成形が十分可能となる。
【0026】
成形樹脂の流れと平行にあるリブの位置と形状を変更することで、メタリック粒子の配向を均一にできることを図8に示す。図に示すようにリブがあると表面とリブとの合わせ目にメタリック粒子配向の並びに変化が生じて外観不良が起きる。したがって、樹脂の流れ方向のリブをなくすことによりメタリック粒子配向の乱れを抑制し、外観不良をなくすことができる。
【0027】
次に、製品の性能に影響を与えない製品不要部分の肉付けとガス抜きピンを設定する。その一例を図9に示す。穴があると必ずメタリックの配向の乱れによる成型品表面上での粒子の流れ模様(図1に示す黒い色ムラで細い筋状の模様)とウェルドラインが発生することがわかる。そこで、穴がある製品については、穴部を製品の穴部以外の部分の肉厚より薄い肉厚であらかじめふさいでおく。これにより製品の穴部以外の肉厚の厚い部分(穴の周囲:穴回りを含む。)における溶融樹脂の流れは良好となる。そして、溶融樹脂の流れは、ふさいだ穴部の薄い肉厚部内に、メタリック粒子の配向の不均一のままで、且つ、ガスを含んだ状態で最後に流れ込む。そこで、図10に示すような金型のコア側にガス抜きピンを設置して、エアーにより強制的にガスを引くことにより、穴部の薄い肉厚部のメタリック粒子の配向は不均一の状態のままであるが、厚い肉厚の穴回りの溶融樹脂の流れが一層促進されると共に、金型内のガス抜きが十分行えるので、穴回りのメタリック粒子の配向がより均一となり、細い筋状の模様やウェルドラインの発生をなくすことが出来、且つ、ガスの悪影響のない外観良好な、形状の安定した射出成形品を得ることが出来る。成形後、ふさがれた穴部は、機械加工やレーザ加工等にて穴を形成すればよく、加工工数も比較的少なくて済み、製品の仕上がり状況も良好なものとなる。
【0028】
さらに、メタリック粒子の配向が乱れる部分や樹脂中のガスと金型の中に入っている空気を逃がすためにオーバースピル(余剰捨てキャビティ)を設定することでメタリック粒子の配向を調整できる。図11には金型にオーバースピル(余剰捨てキャビティ)を設定することにより、樹脂が最後に充填される部分(製品の端末部)のメタリック粒子の配向を調整して表面外観が改善できることを示す。
【0029】
本発明のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
メタリック塗装品と同等な光輝感と外観品質が要求される自動車の内外装などのメタリック射出成形品への利用可能性は極めて大きい。また、自動車業界として、環境に優しい無塗装成形部品の製造により、コスト面や工程手番の短縮、軽量化などを含むと、1台の自動車にて1部品実用化だけでも大きなメリットが見込める。さらに、本発明は自動車内外装品だけではなく、家電製品などにも応用が可能なので、市場への影響も大きい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタリック粒子入り樹脂を用いた無塗装化プラスチック射出成形品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の内外装の一部製品は、射出成形法により製造され、吹きつけ塗装にて仕上げられ成形品外観不良の改善や高級感を出している。しかし、塗装コストが高いことや有機溶剤による環境汚染のため、無塗装化の成型方法が求められている。
【0003】
そこで、メタリック材料の組成(特に、メタリック粒子や着色剤の配合率)や成型条件を変化させたり、金型を改良したりして射出成形を行うことにより、メタリック外観を有する成形品の製造方法が提案されている。例えば、下記特許文献1〜3が挙げられる。
【0004】
特許文献1に開示された発明においては、アルミニウムフレークと熱可塑性樹脂の割合を変え、アルミニウムフレークが比較的多い割合で混練されるので、混練時アルミ同士が接触する頻度を多くし、アルミニウムフレークとポリカーボネートのような硬質の熱可塑性樹脂との接触を低減することにより、アルミニウムフレークの変形や損傷を低減させメタリック外観を有する成形品の製造方法に関するものである。特許文献2においては、アルミニウム粉、干渉パールマイカ及び熱可塑性樹脂を所定の割合で配合し、さらに着色材を配合することにより塗装品と同様のフリップフロップ性メタリック感(視線の方向により色相が変化して見えること。)のある成形品の製造に関するものである。さらに、特許文献3においては、ウェルドラインが発生する製品の表面側になるキャビティに磁石を埋設した金型を使用し、射出成形する樹脂に磁性体金属フレークを混在し、磁力を交互に発生させ、溶融樹脂流れを移動することでウェルドラインの発生を防止するメタリック樹脂成形方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−188745号公報
【特許文献2】特開2006−9034号公報
【特許文献3】特開平10−95026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の先行技術例のように、これまでメタリック樹脂の組成、成形条件の変化及び金型構造の改善を施すことによりメタリック塗装品と同等な光輝感と外観品質を持つメタリック樹脂の射出成形技術は比較的に形状が単純な製品の成形に限られたものが大部分となり、実際の自動車用のスイッチパネルやドアミラーのように、多数の穴、凹みや曲面を持つ複雑な形状の製品を対象とした無塗装メタリック樹脂成型は技術的に非常に困難とされ、未だ解決されていない。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて、複雑な形状の自動車用部品を対象とし、成形樹脂の組成(メタリック粒子の配向性、ベース樹脂の流動性)、金型改良及び成形条件を総合的に考慮し、最適化することで、光輝感とメタリック粒子の配向のバラツキなどによる外観不良が出ない高品位の無塗装メタリック樹脂射出成形品の製造方法とその成形品の品質評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る請求項1の発明は、所定のメタリック樹脂(アルミニウム粒子、パール粒子及び着色剤を所定の割合で混練したペレット)の射出成形を行うことで樹脂中のメタリック粒子の配向性をよくすることにおいて、金型の構成と成形条件の選択によりメタリック粒子(主にアルミニウムフレーク粒子)配向角度は好ましくは2°〜45、最も好ましくは4°〜23°となるようにしたことを特徴とするメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。金型の構成には、以下の請求項の発明におけるように、射出成形金型のゲートの形態や、射出成形金型のリブの形状と位置の設定を変更や、2つ以上の溶融樹脂の流れが合流する場所に発生するウェルドラインをなくすように成形製品の性能に影響を与えない製品不要部分の肉づけとガス抜きピンを設定や、流動樹脂が一番最後に充填される端末部のメタリック粒子の配向を調整し、製品表面外観を改善できるように金型にオーバースピル(余剰捨てキャビティ)を設定したこと等が含まれる。同様に、成形条件の選択には、以下の請求項の発明におけるように、射出成形金型のゲートの形態をファンゲートやフィルムゲートにしたことにより低圧や低速の射出成形を可能となり容量が小さい射出成形機でも十分成形を可能とすること前記メタリック樹脂と流動性が高いベース樹脂を混合した成型樹脂を用いることや、メタリック樹脂を用いて射出成形する際に射出速度、射出圧力及び型締め圧力などの射出成形条件を最適に調整すること等が含まれる。
【0009】
本発明に係る請求項2の発明は、前記メタリック樹脂と流動性が高いベース樹脂を混合した成型樹脂を用いることで樹脂中のメタリックの配向性を良くし、製品表面外観を改善することを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0010】
本発明に係る請求項3の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリックの配向性をよくするために射出成形金型のゲートの形態をファンゲートやフィルムゲートにしたことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0011】
本発明に係る請求項4の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリックの配向性をよくするために射出成形金型のゲートの形態をファンゲートやフィルムゲートにしたことにより低圧や低速の射出成形を可能となり容量が小さい射出成形機でも十分成形を可能とすることを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0012】
本発明に係る請求項5の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリックの配向性をよくするために射出成形金型のリブの形状と位置の設定を変更したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0013】
本発明に係る請求項6の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリックの配向の不均一や2つ以上の溶融樹脂の流れが合流する場所に発生するメタリック粒子の配向の乱れをなくすために成形製品の性能に影響を与えない製品不要部分の肉づけ(例えば穴部をふさぐことなど)とガス抜きピンを設定したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0014】
本発明に係る請求項7の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形する際に流動樹脂が一番最後に充填される端末部のメタリック粒子の配向を調整し、製品表面外観を改善できるように金型にオーバースピル(余剰捨てキャビティ)を設定したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【0015】
本発明に係る請求項8の発明は、前記メタリック樹脂を用いて射出成形する際に射出速度、射出圧力及び型締め圧力などの射出成形条件を最適に調整することで樹脂中のメタリック粒子の配向性向上や良好な製品表面外観を得ることを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複雑な形状の自動車用部品を対象とし、メタリック粒子の配向性、ベース樹脂の流動性、ゲート形態、リブの形状や位置設定などの金型改良及び射出圧力、速度、型閉め圧などの成形条件を総合的に考慮し、最適化することで、光輝感と外観不良が出ない高品位の無塗装射出成形品を提供できる。自動車業界として、環境負荷が少ない部品の製造方法が望まれており、無塗装化によって、納期の短縮も可能であり、また、コスト低減にもつながるため、無塗装メタリック射出成形品に対する要望は多く、実用化の可能性は非常に高い。さらに、本発明は自動車内外装品だけではなく、家電製品などにも応用が可能なので、市場への波及効果も大きい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る、成形品表面上の色ムラがある部分と色ムラがない部分を観察した写真を示す図である。
【図2】本発明に係る、成形表面でのメタリック粒子の傾きとアスペクト比の関係を説明する図である。
【図3】本発明に係る、成形表面でのメタリック粒子の配向角度とアスペクト比の関係を示す図である。
【図4】本発明に係る、成形品表面上の色ムラがある部分と色ムラがない部分における粒子のアスペクト比を求めた図である。
【図5】本発明に係る、表面上の色ムラの部分とムラがない部分での粒子の配向角度を求めた図である。
【図6】本発明に係る、成形品の外観(メタリック粒子の配向)に及ぼすベース樹脂の流動性と成形条件の関係を示す図である。
【図7】本発明に係る、射出成形金型のゲートの形態とメタリック粒子の配向性との関係を示す図である。
【図8】本発明に係る、射出成形金型のリブの形状や位置設定とメタリック粒子の配向性との関係を示す図である。
【図9】本発明に係る、製品不要部分の肉付けやガス抜きピンと成形表面外観との関連性を示す図である。
【図10】本発明に係る、ガス抜きピンと成形表面外観との関連性を示す図である。
【図11】本発明に係る、オーバースピル(余剰捨てキャビティ)設定と成形表面外観(メタリック粒子の配向)との関連性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0019】
まず、メタリック粒子入り成形樹脂を用いて作製した射出成形品表面での外観状態(良好、不良の状態)とメタリック粒子の配向性の関係を実験的に明らかにした。図1に目視で観察した成型品表面上の黒い色ムラ(細い筋状の模様)がある部分と色ムラがない部分を光学顕微鏡で観察した結果を示す。この筋状の模様が生じる原因としては樹脂中のメタリック粒子の配向性と関係があると考えられる。次に、このような成型品表面上における色ムラの有無によるメタリック粒子の配向を観察した。ここでは、走査型電子顕微鏡のステージに観察試料を固定し、ステージを0°から10°刻みに傾け、画像上の粒子の長径と短径のアスペクト比(長径/短径)を80°まで計測し、メタリック粒子のアスペクト比と角度の関係式を求めた。粒子は長径方向と短径方向の2方向に傾けた状態となる。粒子は楕円形状をしており、長径方向に傾くか短径方向に傾くかでアスペクト比と角度の関係が異なる(但し、水平面に対する配向角度のアスペクト比λは、0°と180°、10°と190°、20°と200°、30°と210°、40°と220°、50°と230°、60°と240°、70°と250°、80°と260°、との各組において互いに同じ値となる。)。図2のように例えば、長径方向に傾くとアスペクト比が1に近づく。一方、短径方向に傾くと、アスペクト比が初期値1.42よりも大きくなっていくと考えられるため、両方向に対してそれぞれ関係式を求めた。本射出成形実験に使用したメタリック粒子を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
図3にメタリック粒子の配向角度とアスペクト比の関係を示す。図より長径方向に傾いたときはアスペクト比と角度の関係はほぼ線型で、角度が大きくなるにつれてアスペクト比が減少していくことがわかった。一方、短径方向に傾いたときは、角度が増加するとアスペクト比が大きく増加することがわかり、傾いた方向によってアスペクト比と角度の関係に違いが生じることがわかった。また、長短径傾きにおける配向角度とアスペクト比の関係式はそれぞれ図中に共に示す。
【0022】
図4は上記の図1の光学顕微鏡で観察した成型品表面上の黒い色ムラ(細い筋状の模様)がある部分と色ムラがない部分の画像から、同様の方法で粒子のアスペクト比を求めたものである。ここで、測定点数はそれぞれ10個である。この図より、表面上の色ムラの部分では、粒子の配向に乱れが生じ、アスペクト比が大きくなっていることがわかる。これに対して、表面上に黒い色ムラが見えているところから離れた表面外観が良好なところではアスペクト比の平均は1.5程を示しており、成形樹脂中のメタリック粒子が成型品表面に平行に配列していることが言える。また、図4で求めたアスペクト比を上記図3中の関係式に当てはめて、成型品表面のメタリック粒子の角度を求めた結果を図5に示す。この図より、表面上の色ムラの部分とムラがない部分での粒子の配向角度の平均値を求めると表2のようになり、特に、表面上の色ムラがない部分の粒子配向角度は好ましくは2°〜45°、最も好ましくは4°〜23°となる。アスペクト比と同様に、細い筋状の模様がある部分では粒子が基準の平衡状態からかなり傾いて配向性に乱れが生じていることがわかる(20°〜60°)。以上の結果から、メタリック粒子入り成形樹脂を用いて作製した射出成形品表面での外観状態(良好、不良の状態)は樹脂中のメタリック粒子の配向性と密接な関係があることが明らかとなった(表2参照)。したがって、樹脂中のメタリック粒子の配向性を均一に制御することが良好な製品表面外観を得るために不可欠であることとなり、このようなメタリック粒子の配向に乱れが生じないように、ベース樹脂の流動性、金型改良及び成形条件を総合的に考慮することで、高品位の無塗装メタリック樹脂射出成形品を実現した製造方法(メタリック樹脂射出成形方法)及びその成形品の品質評価方法を以下に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
図6は、本発明のメタリック樹脂射出成形品の外観(メタリック粒子の配向)に及ぼすベース樹脂の流動性(MFR:Melt Flow Rate)と成形条件の関係をまとめて表したものである。この図より、樹脂の流動性を大きくすると、射出成形圧力、型締圧力、射出速度が低くなることが分かる。また、射出成形品の外観(メタリック粒子の配向性)は、ベース樹脂の流動性が大きくなると良くなることが分かった。即ち、メタリック粒子入り樹脂を用いる射出成形については、外観が良好な成型品を得るためには、流動性が高いベース樹脂の方が有効であることがわかる。また、材料の流れの良いものは、射出圧力及び射出速度を低くすることが出来るためメタリック粒子の配向性を容易に調整できると考えられる。
【0025】
図7に射出成形金型のゲートの形態とメタリック粒子の配向性を調べた結果を示す。サイドゲートからファンゲートに変えてゲートを大きくすることにより射出成型時の圧力を低くすることができる。同様に、射出速度を低くして樹脂を流すことができるためより多くの樹脂中のメタリック粒子の配向をベース樹脂の流れ方向と一致させることができるため成型品の外観不良をなくすことができる。また、ゲートを大きくすることにより型締め圧力を低く設定できるため樹脂中のガスと金型の中に入っている空気を逃がすことができるため容量が小さい機械でも成形が十分可能となる。
【0026】
成形樹脂の流れと平行にあるリブの位置と形状を変更することで、メタリック粒子の配向を均一にできることを図8に示す。図に示すようにリブがあると表面とリブとの合わせ目にメタリック粒子配向の並びに変化が生じて外観不良が起きる。したがって、樹脂の流れ方向のリブをなくすことによりメタリック粒子配向の乱れを抑制し、外観不良をなくすことができる。
【0027】
次に、製品の性能に影響を与えない製品不要部分の肉付けとガス抜きピンを設定する。その一例を図9に示す。穴があると必ずメタリックの配向の乱れによる成型品表面上での粒子の流れ模様(図1に示す黒い色ムラで細い筋状の模様)とウェルドラインが発生することがわかる。そこで、穴がある製品については、穴部を製品の穴部以外の部分の肉厚より薄い肉厚であらかじめふさいでおく。これにより製品の穴部以外の肉厚の厚い部分(穴の周囲:穴回りを含む。)における溶融樹脂の流れは良好となる。そして、溶融樹脂の流れは、ふさいだ穴部の薄い肉厚部内に、メタリック粒子の配向の不均一のままで、且つ、ガスを含んだ状態で最後に流れ込む。そこで、図10に示すような金型のコア側にガス抜きピンを設置して、エアーにより強制的にガスを引くことにより、穴部の薄い肉厚部のメタリック粒子の配向は不均一の状態のままであるが、厚い肉厚の穴回りの溶融樹脂の流れが一層促進されると共に、金型内のガス抜きが十分行えるので、穴回りのメタリック粒子の配向がより均一となり、細い筋状の模様やウェルドラインの発生をなくすことが出来、且つ、ガスの悪影響のない外観良好な、形状の安定した射出成形品を得ることが出来る。成形後、ふさがれた穴部は、機械加工やレーザ加工等にて穴を形成すればよく、加工工数も比較的少なくて済み、製品の仕上がり状況も良好なものとなる。
【0028】
さらに、メタリック粒子の配向が乱れる部分や樹脂中のガスと金型の中に入っている空気を逃がすためにオーバースピル(余剰捨てキャビティ)を設定することでメタリック粒子の配向を調整できる。図11には金型にオーバースピル(余剰捨てキャビティ)を設定することにより、樹脂が最後に充填される部分(製品の端末部)のメタリック粒子の配向を調整して表面外観が改善できることを示す。
【0029】
本発明のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
メタリック塗装品と同等な光輝感と外観品質が要求される自動車の内外装などのメタリック射出成形品への利用可能性は極めて大きい。また、自動車業界として、環境に優しい無塗装成形部品の製造により、コスト面や工程手番の短縮、軽量化などを含むと、1台の自動車にて1部品実用化だけでも大きなメリットが見込める。さらに、本発明は自動車内外装品だけではなく、家電製品などにも応用が可能なので、市場への影響も大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタリック樹脂(アルミニウム粒子、パール粒子及び着色剤を所定の割合で混練したペレット)を用いて射出成形を行うことにおいて、樹脂中のメタリック粒子の配向角度は好ましくは2°〜45、最も好ましくは4°〜23°となるようにしたことを特徴とするメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項2】
前記メタリック樹脂と流動性が高いベース樹脂を混合した成型樹脂を用いることで樹脂中のメタリック粒子の配向性を良くしたことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項3】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリック粒子の配向性をよくするために射出成形金型のゲートの形態をファンゲートやフィルムゲートにしたことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項4】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリック粒子の配向性をよくするために射出成形金型のゲートの形態をファンゲートやフィルムゲートにし、低圧や低速の射出成形を可能とし、且つ、容量が小さい射出成形機で成形を可能としたことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項5】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリック粒子の配向性をよくするために射出成形金型のリブの形状と位置の設定を変更したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項6】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリック粒子の配向の不均一や2つ以上の樹脂の流れが合流する場所に発生するウェルドラインをなくすように成形製品の性能に影響を与えない製品不要部分の肉づけとガス抜きピンを設定したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項7】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形する際に樹脂が一番最後に充填される端末部のメタリック粒子の配向を調整し、製品表面外観を改善できるように金型にオーバースピルを設定したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項8】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形する際に射出速度、射出圧力及び型締め圧力などの射出成形条件を最適に調整することで樹脂中のメタリック粒子の配向性向上や良好な成形製品表面外観を得ることを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項1】
メタリック樹脂(アルミニウム粒子、パール粒子及び着色剤を所定の割合で混練したペレット)を用いて射出成形を行うことにおいて、樹脂中のメタリック粒子の配向角度は好ましくは2°〜45、最も好ましくは4°〜23°となるようにしたことを特徴とするメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項2】
前記メタリック樹脂と流動性が高いベース樹脂を混合した成型樹脂を用いることで樹脂中のメタリック粒子の配向性を良くしたことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項3】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリック粒子の配向性をよくするために射出成形金型のゲートの形態をファンゲートやフィルムゲートにしたことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項4】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリック粒子の配向性をよくするために射出成形金型のゲートの形態をファンゲートやフィルムゲートにし、低圧や低速の射出成形を可能とし、且つ、容量が小さい射出成形機で成形を可能としたことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項5】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリック粒子の配向性をよくするために射出成形金型のリブの形状と位置の設定を変更したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項6】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形樹脂中のメタリック粒子の配向の不均一や2つ以上の樹脂の流れが合流する場所に発生するウェルドラインをなくすように成形製品の性能に影響を与えない製品不要部分の肉づけとガス抜きピンを設定したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項7】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形する際に樹脂が一番最後に充填される端末部のメタリック粒子の配向を調整し、製品表面外観を改善できるように金型にオーバースピルを設定したことを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【請求項8】
前記メタリック樹脂を用いて射出成形する際に射出速度、射出圧力及び型締め圧力などの射出成形条件を最適に調整することで樹脂中のメタリック粒子の配向性向上や良好な成形製品表面外観を得ることを特徴とする請求項1に記載のメタリック樹脂射出成形品の射出成形方法及びその成形品の品質評価方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【公開番号】特開2011−183577(P2011−183577A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48536(P2010−48536)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(591032703)群馬県 (144)
【出願人】(395003969)三和化工株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(591032703)群馬県 (144)
【出願人】(395003969)三和化工株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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