メタルハライドランプ
【課題】製造が容易で、長期間の繰り返し使用が可能なメタルハライドランプを提供すること。
【解決手段】内部に水銀及びメタルハライドを収容し、中央領域にて膨出する透光性の発光部１１ａと、発光部１１ａの両側にそれぞれ備えられている側管部１１ｂとを有する石英製の発光管１１、および各側管部１１ｂに収容されている、一方の端部が発光部１１ａの内側に突き出る電極棒１２に接続し、他方の端部が発光管１１の外部に突き出る電極端子に接続する金属材料製の給電部材１４を含み、そして各側管部１１ｂが各給電部材１４に接触して気密封止されているメタルハライドランプであって、上記各給電部材１４に接触する側管部の外周面に黒色被膜１５が形成されていることを特徴とするメタルハライドランプ。
【解決手段】内部に水銀及びメタルハライドを収容し、中央領域にて膨出する透光性の発光部１１ａと、発光部１１ａの両側にそれぞれ備えられている側管部１１ｂとを有する石英製の発光管１１、および各側管部１１ｂに収容されている、一方の端部が発光部１１ａの内側に突き出る電極棒１２に接続し、他方の端部が発光管１１の外部に突き出る電極端子に接続する金属材料製の給電部材１４を含み、そして各側管部１１ｂが各給電部材１４に接触して気密封止されているメタルハライドランプであって、上記各給電部材１４に接触する側管部の外周面に黒色被膜１５が形成されていることを特徴とするメタルハライドランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、舞台や撮影スタジオの照明装置の光源として特に有利に用いることができるメタルハライドランプに関する。
【背景技術】
【０００２】
メタルハライドランプ（メタルハライド放電灯と呼ばれることもある）は、太陽光に近い発光色を有し、またハロゲンランプと比較して高輝度であるという利点を有することから、舞台や撮影スタジオの照明装置の光源として、あるいはホテルやレストランなどの建物の照明装置の光源として広く用いられている。
【０００３】
メタルハライドランプは、内部に水銀及びメタルハライドを収容し、中央領域にて膨出する透光性の発光部と、発光部の両側にそれぞれ備えられている側管部とを有する石英製の発光管、および各側管部に収容されている、一方の端部が上記発光部の内側に突き出る電極棒に接続し、他方の端部が上記発光管の外部に突き出る電極端子に接続する金属材料製の給電部材を備えていて、そして上記各側管部が各給電部材に接触して気密封止された構成を有している。
【０００４】
メタルハライドランプの電極端子に電気的エネルギーを供給することにより、発光管の側管部から発光部の内側に突き出された各電極棒の間にアーク放電が発生し、この放電の発光が照明に利用される。
【０００５】
発光管の側管部は、水銀やメタルハライドの蒸気が発光管の外部に漏れ出さないよう、給電部材に接触した状態にて気密封止される。
【０００６】
発光管の発光部は、アーク放電の放射熱が付与されるため高温になる。そして、発光管の側管部には、アーク放電の放射熱が付与されると共に、高温の発光管から熱が伝達する。このため、側管部、そして側管部に接触している給電部材もまた高温になる。
【０００７】
このため、長期間にわたって繰り返しメタルハライドランプが使用され、ランプの点灯と消灯とが繰り返されると、側管部を形成する石英の熱膨張率が給電部材を形成する金属材料の熱膨張率と比較して極端に小さいことから、側管部の給電部材と接触する部位に繰り返し発生する熱応力により側管部に亀裂を生じることがある。
【０００８】
特許文献１には、発光管（バルブ）の各側管部が電極棒（棒状とした電極材）の基部及び給電部材（金属箔）の各々に接触した状態にて気密封止された構成のメタルハライドランプが開示されている。このメタルハライドランプの電極棒の周囲には、高融点材料とゲッター材料とから形成され、電極棒の径に応じた所定の線径、ピッチ、そして内径を有するコイルが装着されている。そして同文献には、ランプの点灯時の発熱により発光管と電極棒との間に熱膨張係数の差による寸法差を生じるときも、この寸法差は上記コイルに吸収されるため、発光管の電極棒と接触する部位におけるクラック（亀裂）の発生が防止されると記載されている。
【０００９】
一方、特許文献２には、アーク管の一方の端部の外周面に高放射率被覆が形成された高圧ガス放電ランプが開示されている。そして高圧ガス放電ランプの代表例として、アーク管として多結晶アルミナ管を用い、そして高放射率被覆として黒鉛の被覆を用いた高圧ナトリウムランプが開示されている。同文献の放電ランプでは、製造される複数の放電ランプのランプ電圧のばらつきを低減するため、アーク管の端部の外周面に形成された高放射率被覆により、アーク管の冷点（アーク管に封入された水銀とナトリウムとが凝集する部位）を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１０】
【特許文献１】特開平１０−１５４４８５号公報（第１図）
【特許文献２】特開平７−１６９４４２号公報（第１図）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明の課題は、製造が容易で、長期間の繰り返し使用が可能なメタルハライドランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明者は、メタルハライドランプが備える金属材料製の給電部材に接触する石英製の発光管の側管部（側管部の給電部材と接触する部位）の外周面に黒色被膜を形成することにより、この黒色被膜が、アーク放電の熱放射を吸収して側管部の温度を上昇させることなく、発光部から熱が伝達して高温となる側管部の熱放射を促進させてその温度上昇を抑制し、これにより側管部の給電部材と接触する部位に発生する熱応力を低減し、側管部におけるクラックの発生を抑制する機能を発揮することを見出し、本願発明に到達した。
【００１３】
従って、本発明は、内部に水銀及びメタルハライドを収容し、中央領域にて膨出する透光性の発光部と、発光部の両側にそれぞれ備えられている側管部とを有する石英製の発光管、および各側管部に収容されている、一方の端部が上記発光部の内側に突き出る電極棒に接続し、他方の端部が上記発光管の外部に突き出る電極端子に接続する金属材料製の給電部材を含み、そして上記各側管部が各給電部材に接触して気密封止されているメタルハライドランプであって、上記各給電部材に接触する側管部の外周面に黒色被膜が形成されていることを特徴とするメタルハライドランプにある。
【００１４】
本発明のメタルハライドランプの好ましい構成は、次の通りである。
（１）上記の各側管部が接触する給電部材がモリブデン箔である。
（２）黒色被膜が四三酸化鉄からなる黒色顔料粉末及びバインダを含む。
【００１５】
なお、本明細書において「透光性」とは波長が４００〜４０００ｎｍの範囲にある光の透過率が７０％以上であることを意味する。
【発明の効果】
【００１６】
本発明のメタルハライドランプでは、石英製の発光管の各側管部が金属材料製の給電部材に接触して気密封止されていて、そして各側管部の給電部材と接触する部位（各給電部材に接触する側管部）の外周面に黒色被膜が形成されている。この黒色被膜により、側管部の熱放射が促進され、その温度上昇が抑制される。これにより、石英製の側管部と金属材料製の給電部材とが熱膨張する際にも、両者の接触部において、それぞれの熱膨張による伸びが小さくなるため、側管部の給電部材と接触する部位に発生する熱応力が低減される。このため、発光管の側管部における亀裂の発生、そして亀裂からの水銀やメタルハライドの蒸気の漏れ出しの発生が抑制される。従って、本発明のメタルハライドランプは、長期間の繰り返し使用が可能で、また側管部の給電部材と接触する部位の外周面に黒色被膜を形成することにより容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明のメタルハライドランプの構成例を示す一部切り欠き正面図である。
【図２】図１のメタルハライドランプ１０の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
本発明のメタルハライドランプを、添付の図面を用いて説明する。図１は、本発明のメタルハライドランプの構成例を示す一部切り欠き正面図であり、そして図２は、図１のメタルハライドランプ１０の拡大断面図である。但し、図２のメタルハライドランプ１０は、電極棒１２、給電部材１４、および電極端子１３以外の部品についてのみ断面として図示してある。
【００１９】
図１及び図２に示すメタルハライドランプ１０は、内部に水銀及びメタルハライドを収容し、中央領域にて膨出する透光性の発光部１１ａと、発光部１１ａの両側にそれぞれ備えられている側管部１１ｂとを有する石英製の発光管１１、および各側管部１１ｂに収容されている、一方の端部が発光部１１ａの内側に突き出る電極棒１２に接続し、他方の端部が発光管１１の外部に突き出る電極端子１３に接続する金属材料製の給電部材１４を備えていて、そして上記各側管部１１ｂが各給電部材１４に接触して気密封止された構成を有している。このメタルハライドランプ１０は、各給電部材１４に接触する側管部１１ｂの外周面に黒色被膜１５が形成されていることに特徴がある。
【００２０】
発光管１１は、中央領域にて棒出する透光性の発光部１１ａと、その両側にそれぞれ備えられている側管部１１ｂとから構成されている。
【００２１】
発光部１１ａは「透光性」であることが必要である。「透光性」とは、波長が４００〜４０００ｎｍの範囲にある光の透過率が７０％以上であることを意味する。発光部１１ａの光透過率は７５％以上であることが好ましく、８０％以上であることが更に好ましい。
【００２２】
発光部１１ａには、水銀及びメタルハライドが収容される。メタルハライドの例としては、Ｎａ、Ｔｌ、Ｔｈ、Ｉｎ、Ｓｎ、Ｓｉ、Ｓｃ、Ｄｙ、Ｈｏ、Ｔｍなどの金属と沃素または臭素などのハロゲンとの化合物が挙げられる。発光部１１ａには、アルゴンなどの希ガスを収容することができる。
【００２３】
側管部１１ｂには、金属材料製の給電部材１４が収容されている。給電部材１４の一方の端部は発光部１１ａの内側に突き出る電極棒１２に、そして他方の端部は発光管１１の外部に突き出る電極端子１３にそれぞれ接続されている。
【００２４】
電極棒１２は、例えば、タングステンから形成される。電極端子１３としては、例えば、モリブデン製の棒材が用いられる。電極棒１２の基部にはモリブデン箔１７ａが巻き付けられている。
【００２５】
給電部材１４は、モリブデン箔１４ａ、タングステン製の棒材１４ｂ、銅製のより線１４ｃ、およびモリブデン製の棒材１４ｄから構成されている。タングステン製の棒材１４ｂの端部には、モリブデン箔１７ｂが巻き付けられている。より線１４ｃは、給電部材１４が熱膨張した際に変形し、この熱膨張による給電部材１４の伸びを吸収することにより、側管部１１ｂに発生する熱応力を低減する働きをする。
【００２６】
発光管１１の各側管部１１ｂは、各給電部材１４に接触した状態にて気密封止されている。
【００２７】
メタルハライドランプ１０の構成は、次に説明する黒色被膜を除いて、公知のメタルハライドランプの構成と同様であるので、これ以上の説明は行なわない。
【００２８】
図１及び図２に示すメタルハライドランプ１０では、各側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位（各給電部材１４に接触する側管部）の外周面に黒色被膜１５が形成されている。
【００２９】
黒色被膜は、各側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位の外周面の面積の通常は５０％以上、好ましくは８０％以上の領域に形成される。図２に示すように、黒色被膜１５は、側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位の外周面の全体に形成されていることが特に好ましい。
【００３０】
黒色被膜１５により、側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位における熱放射が促進され、その温度上昇が抑制される。これにより、石英製の側管部１１ｂと金属材料製の給電部材１４とが熱膨張する際にも、両者の接触部において、それぞれの熱膨張による伸びが小さくなるため、側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位に発生する熱応力が低減される。このため、発光管１１の側管部１１ｂにおける亀裂の発生、そして亀裂からの水銀やメタルハライドの蒸気の漏れ出しの発生が抑制される。従って、メタルハライドランプ１０は、長期間の繰り返し使用が可能で、また側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位の外周面に黒色被膜１５を形成することにより容易に製造することができる。
【００３１】
図２に示すように、側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位よりも電極棒１２の側、そして電極端子１３の側の部位の外周面に、黒色被膜を形成することができる。また、側管部１１ｂを保護する口金１６の外周面に、黒色被膜を形成することもできる。また、側管部１１ｂに口金が備えられていない場合には、黒色被膜１５を側管部１１ｂの電極端子１３の側の端部にまで延長して形成することもできる。
【００３２】
黒色被膜１５としては、公知の黒色の被膜を用いることができる。黒色被膜１５は、黒色顔料粉末及びバインダを含むことが好ましい。黒色顔料としては、例えば、四三酸化鉄からなる黒色顔料、あるいはセラミック材料からなる黒色顔料を用いることが好ましく、耐熱性に優れることから、四三酸化鉄からなる黒色顔料を用いることが特に好ましい。バインダとしては公知の無機ポリマー（例、金属酸化物系ポリマー）を用いることが好ましい。
【００３３】
黒色被膜１５は、例えば、黒色顔料粉末とバインダとを含む塗布液を、発光管１１の側管部１１ｂの外周面に塗布あるいは吹き付けし、次いで乾燥することにより形成することができる。
【００３４】
黒色被膜１５の厚みは、５〜５０μｍの範囲にあることが好ましく、１０〜４０μｍの範囲にあることが更に好ましい。
【００３５】
図２に示すように、各側管部１１ｂが接触する給電部材（各給電部材１４の側管部１１ｂと接触する部位）は、モリブデン箔１４ａであることが好ましい。
【００３６】
モリブデン箔１４ａは、側管部１１ｂが熱膨張した際に塑性変形し、これにより側管部１１ｂのモリブデン箔１４ａと接触する部位に発生する熱応力を低減する機能を有している。しかしながら、モリブデン箔１４ａは、上記塑性変形を可能とするため薄い厚みに設定されるため電気抵抗が大きく、その内部を流れる電流によって大きなジュール熱を発生させる。
【００３７】
このため、従来の黒色被膜を備えていないメタルハライドランプは、モリブデン箔が高温のため劣化（例、酸化膨張）して、側管部にクラックが発生して気密封止が不十分になったり、電極棒に電気エネルギーを供給することができなくなったりするなどして、長期間の繰り返し使用ができなくなる場合がある。
【００３８】
これに対して、本発明のメタルハライドランプ１０では、側管部１１ｂのモリブデン箔１４ａと接触する部位にて、黒色被膜１５による熱放射が促進されるため、モリブデン箔１４ａの劣化を効果的に抑制することができる。すなわち、モリブデン箔を用いた気密封止を採用しながらも、長期間の繰り返し使用が可能なメタルハライドランプが実現される。
【００３９】
モリブデン箔１４ａには、更に一枚あるいは二枚以上のモリブデン箔を重ねて配置することもできる。モリブデン箔１４ａが、合計で二枚以上のモリブデン箔から構成されているときには、互いに隣接するモリブデン箔の間に石英製の薄板を配置することもできる。
【００４０】
本発明のメタルハライドランプでは、各側管部が、上記の給電部材と接触する部位より電極端子の側にて更に気密封止されていることが好ましい。
【００４１】
図２に示すメタルハライドランプ１０の側管部１１ｂの端部の内側面には、二個の石英製の筒体１８ａ、１８ｂが嵌め合わされて固定（例、溶着）されている。筒体１８ａの端部は、モリブデン製の筒状部材１９に固定（例、溶着）されている。そして側管部１１ｂは、筒状部材１９が給電部材１４の棒材１４ｄの周囲にろう付けされることにより気密封止されている。これにより、黒色被膜１５により温度上昇が抑制された側管部１１ｂを、高温のアーク放電から離れた比較的に低温の部位にて確実に気密封止することができる。
【００４２】
このようにして側管部１１ｂに追加で行なわれる気密封止は、側管部１１ｂの電極棒１２の先端と対応する位置から少なくとも一対の電極棒の間の距離よりも離れた位置にて行なうことが好ましい。すなわち、側管部１１ｂの追加で気密封止が行なわれる位置と電極棒１２の先端と対応する位置との距離（図２：Ｌ）が、一対の電極棒の間の距離（図１：Ｗ）と等しいか、それ以上であることが好ましい。
【００４３】
上記距離Ｌが大きいほど、側管部１１ｂをより低温の部位にて確実に封止することができるが、側管部が長くなる。従って、上記距離Ｌは、距離Ｗの１〜１５倍の範囲内にあることが好ましく、２〜１０倍の範囲内にあることが更に好ましい。
【実施例】
【００４４】
先ず、黒色被膜が形成されていないこと以外は図１及び図２に示すメタルハライドランプと同一の構成を有するメタルハライドランプを用意した。
【００４５】
このメタルハライドランプの口金に透孔を形成し、この透孔から熱電対を挿入し、これを側管部の外周面上で、側管部の追加で気密封止が行なわれる位置（すなわち、図２に示す筒状部材１９と棒材１４ｄとが接触する位置）と対応する位置に固定した。これにより、ランプの周囲の空気の対流（空気の流れ）の影響を受けることなく、側管部の温度を安定に測定することができる。
【００４６】
次に、この黒色被膜が形成されていないメタルハライドランプの点灯を開始してから２０分後に熱電対を用いて側管部の温度を測定したのち、ランプを消灯して放冷した。
【００４７】
続いて、上記のメタルハライドランプの側管部の外周面に、黒色顔料粉末（四三酸化鉄の粉末）とバインダ（有機金属ポリマー）とを含有する黒色塗料の塗布膜を形成し、この塗布膜を常温にて乾燥することにより黒色被膜を形成した。このようにして黒色被膜が形成されたメタルハライドランプの構成は、口金に上記透孔が形成されていることを除き、図１及び図２に示すメタルハライドランプ１０の構成と同一である。
【００４８】
そして、この黒色被膜が形成されたメタルハライドランプの点灯を開始してから２０分後に熱電対を用いて側管部の温度を測定したのち、ランプを消灯して放冷した。
【００４９】
上記の黒色被膜が形成されていないメタルハライドランプについて測定された側管部の温度と、黒色被膜が形成されたメタルハライドランプについて測定された側管部の温度との差は８８℃であり、黒色被膜が側管部（従って、側管部の給電部材と接触する部位）の温度上昇の抑制に極めて有効であることを確認した。
【００５０】
更に、この黒色被膜が形成されたメタルハライドランプを３時間点灯させ、次いで１時間消灯する操作を８５回繰り返したのち、発光管の側管部の目視での観察を行ない、側管部にクラックが発生していないことを確認した。
【符号の説明】
【００５１】
１０ メタルハライドランプ
１１ 発光管
１１ａ 発光部
１１ｂ 側管部
１２ 電極棒
１３ 電極端子
１４ 給電部材
１４ａ モリブデン箔
１４ｂ 棒材
１４ｃ より線
１４ｄ 棒材
１５ 黒色被膜
１６ 口金
１７ａ、１７ｂ モリブデン箔
１８ａ、１８ｂ 筒体
１９ 筒状部材
【技術分野】
【０００１】
本発明は、舞台や撮影スタジオの照明装置の光源として特に有利に用いることができるメタルハライドランプに関する。
【背景技術】
【０００２】
メタルハライドランプ（メタルハライド放電灯と呼ばれることもある）は、太陽光に近い発光色を有し、またハロゲンランプと比較して高輝度であるという利点を有することから、舞台や撮影スタジオの照明装置の光源として、あるいはホテルやレストランなどの建物の照明装置の光源として広く用いられている。
【０００３】
メタルハライドランプは、内部に水銀及びメタルハライドを収容し、中央領域にて膨出する透光性の発光部と、発光部の両側にそれぞれ備えられている側管部とを有する石英製の発光管、および各側管部に収容されている、一方の端部が上記発光部の内側に突き出る電極棒に接続し、他方の端部が上記発光管の外部に突き出る電極端子に接続する金属材料製の給電部材を備えていて、そして上記各側管部が各給電部材に接触して気密封止された構成を有している。
【０００４】
メタルハライドランプの電極端子に電気的エネルギーを供給することにより、発光管の側管部から発光部の内側に突き出された各電極棒の間にアーク放電が発生し、この放電の発光が照明に利用される。
【０００５】
発光管の側管部は、水銀やメタルハライドの蒸気が発光管の外部に漏れ出さないよう、給電部材に接触した状態にて気密封止される。
【０００６】
発光管の発光部は、アーク放電の放射熱が付与されるため高温になる。そして、発光管の側管部には、アーク放電の放射熱が付与されると共に、高温の発光管から熱が伝達する。このため、側管部、そして側管部に接触している給電部材もまた高温になる。
【０００７】
このため、長期間にわたって繰り返しメタルハライドランプが使用され、ランプの点灯と消灯とが繰り返されると、側管部を形成する石英の熱膨張率が給電部材を形成する金属材料の熱膨張率と比較して極端に小さいことから、側管部の給電部材と接触する部位に繰り返し発生する熱応力により側管部に亀裂を生じることがある。
【０００８】
特許文献１には、発光管（バルブ）の各側管部が電極棒（棒状とした電極材）の基部及び給電部材（金属箔）の各々に接触した状態にて気密封止された構成のメタルハライドランプが開示されている。このメタルハライドランプの電極棒の周囲には、高融点材料とゲッター材料とから形成され、電極棒の径に応じた所定の線径、ピッチ、そして内径を有するコイルが装着されている。そして同文献には、ランプの点灯時の発熱により発光管と電極棒との間に熱膨張係数の差による寸法差を生じるときも、この寸法差は上記コイルに吸収されるため、発光管の電極棒と接触する部位におけるクラック（亀裂）の発生が防止されると記載されている。
【０００９】
一方、特許文献２には、アーク管の一方の端部の外周面に高放射率被覆が形成された高圧ガス放電ランプが開示されている。そして高圧ガス放電ランプの代表例として、アーク管として多結晶アルミナ管を用い、そして高放射率被覆として黒鉛の被覆を用いた高圧ナトリウムランプが開示されている。同文献の放電ランプでは、製造される複数の放電ランプのランプ電圧のばらつきを低減するため、アーク管の端部の外周面に形成された高放射率被覆により、アーク管の冷点（アーク管に封入された水銀とナトリウムとが凝集する部位）を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１０】
【特許文献１】特開平１０−１５４４８５号公報（第１図）
【特許文献２】特開平７−１６９４４２号公報（第１図）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明の課題は、製造が容易で、長期間の繰り返し使用が可能なメタルハライドランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明者は、メタルハライドランプが備える金属材料製の給電部材に接触する石英製の発光管の側管部（側管部の給電部材と接触する部位）の外周面に黒色被膜を形成することにより、この黒色被膜が、アーク放電の熱放射を吸収して側管部の温度を上昇させることなく、発光部から熱が伝達して高温となる側管部の熱放射を促進させてその温度上昇を抑制し、これにより側管部の給電部材と接触する部位に発生する熱応力を低減し、側管部におけるクラックの発生を抑制する機能を発揮することを見出し、本願発明に到達した。
【００１３】
従って、本発明は、内部に水銀及びメタルハライドを収容し、中央領域にて膨出する透光性の発光部と、発光部の両側にそれぞれ備えられている側管部とを有する石英製の発光管、および各側管部に収容されている、一方の端部が上記発光部の内側に突き出る電極棒に接続し、他方の端部が上記発光管の外部に突き出る電極端子に接続する金属材料製の給電部材を含み、そして上記各側管部が各給電部材に接触して気密封止されているメタルハライドランプであって、上記各給電部材に接触する側管部の外周面に黒色被膜が形成されていることを特徴とするメタルハライドランプにある。
【００１４】
本発明のメタルハライドランプの好ましい構成は、次の通りである。
（１）上記の各側管部が接触する給電部材がモリブデン箔である。
（２）黒色被膜が四三酸化鉄からなる黒色顔料粉末及びバインダを含む。
【００１５】
なお、本明細書において「透光性」とは波長が４００〜４０００ｎｍの範囲にある光の透過率が７０％以上であることを意味する。
【発明の効果】
【００１６】
本発明のメタルハライドランプでは、石英製の発光管の各側管部が金属材料製の給電部材に接触して気密封止されていて、そして各側管部の給電部材と接触する部位（各給電部材に接触する側管部）の外周面に黒色被膜が形成されている。この黒色被膜により、側管部の熱放射が促進され、その温度上昇が抑制される。これにより、石英製の側管部と金属材料製の給電部材とが熱膨張する際にも、両者の接触部において、それぞれの熱膨張による伸びが小さくなるため、側管部の給電部材と接触する部位に発生する熱応力が低減される。このため、発光管の側管部における亀裂の発生、そして亀裂からの水銀やメタルハライドの蒸気の漏れ出しの発生が抑制される。従って、本発明のメタルハライドランプは、長期間の繰り返し使用が可能で、また側管部の給電部材と接触する部位の外周面に黒色被膜を形成することにより容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明のメタルハライドランプの構成例を示す一部切り欠き正面図である。
【図２】図１のメタルハライドランプ１０の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
本発明のメタルハライドランプを、添付の図面を用いて説明する。図１は、本発明のメタルハライドランプの構成例を示す一部切り欠き正面図であり、そして図２は、図１のメタルハライドランプ１０の拡大断面図である。但し、図２のメタルハライドランプ１０は、電極棒１２、給電部材１４、および電極端子１３以外の部品についてのみ断面として図示してある。
【００１９】
図１及び図２に示すメタルハライドランプ１０は、内部に水銀及びメタルハライドを収容し、中央領域にて膨出する透光性の発光部１１ａと、発光部１１ａの両側にそれぞれ備えられている側管部１１ｂとを有する石英製の発光管１１、および各側管部１１ｂに収容されている、一方の端部が発光部１１ａの内側に突き出る電極棒１２に接続し、他方の端部が発光管１１の外部に突き出る電極端子１３に接続する金属材料製の給電部材１４を備えていて、そして上記各側管部１１ｂが各給電部材１４に接触して気密封止された構成を有している。このメタルハライドランプ１０は、各給電部材１４に接触する側管部１１ｂの外周面に黒色被膜１５が形成されていることに特徴がある。
【００２０】
発光管１１は、中央領域にて棒出する透光性の発光部１１ａと、その両側にそれぞれ備えられている側管部１１ｂとから構成されている。
【００２１】
発光部１１ａは「透光性」であることが必要である。「透光性」とは、波長が４００〜４０００ｎｍの範囲にある光の透過率が７０％以上であることを意味する。発光部１１ａの光透過率は７５％以上であることが好ましく、８０％以上であることが更に好ましい。
【００２２】
発光部１１ａには、水銀及びメタルハライドが収容される。メタルハライドの例としては、Ｎａ、Ｔｌ、Ｔｈ、Ｉｎ、Ｓｎ、Ｓｉ、Ｓｃ、Ｄｙ、Ｈｏ、Ｔｍなどの金属と沃素または臭素などのハロゲンとの化合物が挙げられる。発光部１１ａには、アルゴンなどの希ガスを収容することができる。
【００２３】
側管部１１ｂには、金属材料製の給電部材１４が収容されている。給電部材１４の一方の端部は発光部１１ａの内側に突き出る電極棒１２に、そして他方の端部は発光管１１の外部に突き出る電極端子１３にそれぞれ接続されている。
【００２４】
電極棒１２は、例えば、タングステンから形成される。電極端子１３としては、例えば、モリブデン製の棒材が用いられる。電極棒１２の基部にはモリブデン箔１７ａが巻き付けられている。
【００２５】
給電部材１４は、モリブデン箔１４ａ、タングステン製の棒材１４ｂ、銅製のより線１４ｃ、およびモリブデン製の棒材１４ｄから構成されている。タングステン製の棒材１４ｂの端部には、モリブデン箔１７ｂが巻き付けられている。より線１４ｃは、給電部材１４が熱膨張した際に変形し、この熱膨張による給電部材１４の伸びを吸収することにより、側管部１１ｂに発生する熱応力を低減する働きをする。
【００２６】
発光管１１の各側管部１１ｂは、各給電部材１４に接触した状態にて気密封止されている。
【００２７】
メタルハライドランプ１０の構成は、次に説明する黒色被膜を除いて、公知のメタルハライドランプの構成と同様であるので、これ以上の説明は行なわない。
【００２８】
図１及び図２に示すメタルハライドランプ１０では、各側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位（各給電部材１４に接触する側管部）の外周面に黒色被膜１５が形成されている。
【００２９】
黒色被膜は、各側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位の外周面の面積の通常は５０％以上、好ましくは８０％以上の領域に形成される。図２に示すように、黒色被膜１５は、側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位の外周面の全体に形成されていることが特に好ましい。
【００３０】
黒色被膜１５により、側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位における熱放射が促進され、その温度上昇が抑制される。これにより、石英製の側管部１１ｂと金属材料製の給電部材１４とが熱膨張する際にも、両者の接触部において、それぞれの熱膨張による伸びが小さくなるため、側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位に発生する熱応力が低減される。このため、発光管１１の側管部１１ｂにおける亀裂の発生、そして亀裂からの水銀やメタルハライドの蒸気の漏れ出しの発生が抑制される。従って、メタルハライドランプ１０は、長期間の繰り返し使用が可能で、また側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位の外周面に黒色被膜１５を形成することにより容易に製造することができる。
【００３１】
図２に示すように、側管部１１ｂの給電部材１４と接触する部位よりも電極棒１２の側、そして電極端子１３の側の部位の外周面に、黒色被膜を形成することができる。また、側管部１１ｂを保護する口金１６の外周面に、黒色被膜を形成することもできる。また、側管部１１ｂに口金が備えられていない場合には、黒色被膜１５を側管部１１ｂの電極端子１３の側の端部にまで延長して形成することもできる。
【００３２】
黒色被膜１５としては、公知の黒色の被膜を用いることができる。黒色被膜１５は、黒色顔料粉末及びバインダを含むことが好ましい。黒色顔料としては、例えば、四三酸化鉄からなる黒色顔料、あるいはセラミック材料からなる黒色顔料を用いることが好ましく、耐熱性に優れることから、四三酸化鉄からなる黒色顔料を用いることが特に好ましい。バインダとしては公知の無機ポリマー（例、金属酸化物系ポリマー）を用いることが好ましい。
【００３３】
黒色被膜１５は、例えば、黒色顔料粉末とバインダとを含む塗布液を、発光管１１の側管部１１ｂの外周面に塗布あるいは吹き付けし、次いで乾燥することにより形成することができる。
【００３４】
黒色被膜１５の厚みは、５〜５０μｍの範囲にあることが好ましく、１０〜４０μｍの範囲にあることが更に好ましい。
【００３５】
図２に示すように、各側管部１１ｂが接触する給電部材（各給電部材１４の側管部１１ｂと接触する部位）は、モリブデン箔１４ａであることが好ましい。
【００３６】
モリブデン箔１４ａは、側管部１１ｂが熱膨張した際に塑性変形し、これにより側管部１１ｂのモリブデン箔１４ａと接触する部位に発生する熱応力を低減する機能を有している。しかしながら、モリブデン箔１４ａは、上記塑性変形を可能とするため薄い厚みに設定されるため電気抵抗が大きく、その内部を流れる電流によって大きなジュール熱を発生させる。
【００３７】
このため、従来の黒色被膜を備えていないメタルハライドランプは、モリブデン箔が高温のため劣化（例、酸化膨張）して、側管部にクラックが発生して気密封止が不十分になったり、電極棒に電気エネルギーを供給することができなくなったりするなどして、長期間の繰り返し使用ができなくなる場合がある。
【００３８】
これに対して、本発明のメタルハライドランプ１０では、側管部１１ｂのモリブデン箔１４ａと接触する部位にて、黒色被膜１５による熱放射が促進されるため、モリブデン箔１４ａの劣化を効果的に抑制することができる。すなわち、モリブデン箔を用いた気密封止を採用しながらも、長期間の繰り返し使用が可能なメタルハライドランプが実現される。
【００３９】
モリブデン箔１４ａには、更に一枚あるいは二枚以上のモリブデン箔を重ねて配置することもできる。モリブデン箔１４ａが、合計で二枚以上のモリブデン箔から構成されているときには、互いに隣接するモリブデン箔の間に石英製の薄板を配置することもできる。
【００４０】
本発明のメタルハライドランプでは、各側管部が、上記の給電部材と接触する部位より電極端子の側にて更に気密封止されていることが好ましい。
【００４１】
図２に示すメタルハライドランプ１０の側管部１１ｂの端部の内側面には、二個の石英製の筒体１８ａ、１８ｂが嵌め合わされて固定（例、溶着）されている。筒体１８ａの端部は、モリブデン製の筒状部材１９に固定（例、溶着）されている。そして側管部１１ｂは、筒状部材１９が給電部材１４の棒材１４ｄの周囲にろう付けされることにより気密封止されている。これにより、黒色被膜１５により温度上昇が抑制された側管部１１ｂを、高温のアーク放電から離れた比較的に低温の部位にて確実に気密封止することができる。
【００４２】
このようにして側管部１１ｂに追加で行なわれる気密封止は、側管部１１ｂの電極棒１２の先端と対応する位置から少なくとも一対の電極棒の間の距離よりも離れた位置にて行なうことが好ましい。すなわち、側管部１１ｂの追加で気密封止が行なわれる位置と電極棒１２の先端と対応する位置との距離（図２：Ｌ）が、一対の電極棒の間の距離（図１：Ｗ）と等しいか、それ以上であることが好ましい。
【００４３】
上記距離Ｌが大きいほど、側管部１１ｂをより低温の部位にて確実に封止することができるが、側管部が長くなる。従って、上記距離Ｌは、距離Ｗの１〜１５倍の範囲内にあることが好ましく、２〜１０倍の範囲内にあることが更に好ましい。
【実施例】
【００４４】
先ず、黒色被膜が形成されていないこと以外は図１及び図２に示すメタルハライドランプと同一の構成を有するメタルハライドランプを用意した。
【００４５】
このメタルハライドランプの口金に透孔を形成し、この透孔から熱電対を挿入し、これを側管部の外周面上で、側管部の追加で気密封止が行なわれる位置（すなわち、図２に示す筒状部材１９と棒材１４ｄとが接触する位置）と対応する位置に固定した。これにより、ランプの周囲の空気の対流（空気の流れ）の影響を受けることなく、側管部の温度を安定に測定することができる。
【００４６】
次に、この黒色被膜が形成されていないメタルハライドランプの点灯を開始してから２０分後に熱電対を用いて側管部の温度を測定したのち、ランプを消灯して放冷した。
【００４７】
続いて、上記のメタルハライドランプの側管部の外周面に、黒色顔料粉末（四三酸化鉄の粉末）とバインダ（有機金属ポリマー）とを含有する黒色塗料の塗布膜を形成し、この塗布膜を常温にて乾燥することにより黒色被膜を形成した。このようにして黒色被膜が形成されたメタルハライドランプの構成は、口金に上記透孔が形成されていることを除き、図１及び図２に示すメタルハライドランプ１０の構成と同一である。
【００４８】
そして、この黒色被膜が形成されたメタルハライドランプの点灯を開始してから２０分後に熱電対を用いて側管部の温度を測定したのち、ランプを消灯して放冷した。
【００４９】
上記の黒色被膜が形成されていないメタルハライドランプについて測定された側管部の温度と、黒色被膜が形成されたメタルハライドランプについて測定された側管部の温度との差は８８℃であり、黒色被膜が側管部（従って、側管部の給電部材と接触する部位）の温度上昇の抑制に極めて有効であることを確認した。
【００５０】
更に、この黒色被膜が形成されたメタルハライドランプを３時間点灯させ、次いで１時間消灯する操作を８５回繰り返したのち、発光管の側管部の目視での観察を行ない、側管部にクラックが発生していないことを確認した。
【符号の説明】
【００５１】
１０ メタルハライドランプ
１１ 発光管
１１ａ 発光部
１１ｂ 側管部
１２ 電極棒
１３ 電極端子
１４ 給電部材
１４ａ モリブデン箔
１４ｂ 棒材
１４ｃ より線
１４ｄ 棒材
１５ 黒色被膜
１６ 口金
１７ａ、１７ｂ モリブデン箔
１８ａ、１８ｂ 筒体
１９ 筒状部材
【特許請求の範囲】
【請求項１】
内部に水銀及びメタルハライドを収容し、中央領域にて膨出する透光性の発光部と、該発光部の両側にそれぞれ備えられている側管部とを有する石英製の発光管、および各側管部に収容されている、一方の端部が上記発光部の内側に突き出る電極棒に接続し、他方の端部が上記発光管の外部に突き出る電極端子に接続する金属材料製の給電部材を含み、そして上記各側管部が各給電部材に接触して気密封止されているメタルハライドランプであって、
上記各給電部材に接触する側管部の外周面に黒色被膜が形成されていることを特徴とするメタルハライドランプ。
【請求項２】
上記の各側管部が接触する給電部材がモリブデン箔である請求項１に記載のメタルハライドランプ。
【請求項３】
黒色被膜が四三酸化鉄からなる黒色顔料粉末及びバインダを含む請求項１もしくは２に記載のメタルハライドランプ。
【請求項１】
内部に水銀及びメタルハライドを収容し、中央領域にて膨出する透光性の発光部と、該発光部の両側にそれぞれ備えられている側管部とを有する石英製の発光管、および各側管部に収容されている、一方の端部が上記発光部の内側に突き出る電極棒に接続し、他方の端部が上記発光管の外部に突き出る電極端子に接続する金属材料製の給電部材を含み、そして上記各側管部が各給電部材に接触して気密封止されているメタルハライドランプであって、
上記各給電部材に接触する側管部の外周面に黒色被膜が形成されていることを特徴とするメタルハライドランプ。
【請求項２】
上記の各側管部が接触する給電部材がモリブデン箔である請求項１に記載のメタルハライドランプ。
【請求項３】
黒色被膜が四三酸化鉄からなる黒色顔料粉末及びバインダを含む請求項１もしくは２に記載のメタルハライドランプ。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２０１２−９２１４（Ｐ２０１２−９２１４Ａ）
【公開日】平成２４年１月１２日（２０１２．１．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１４２６７２（Ｐ２０１０−１４２６７２）
【出願日】平成２２年６月２３日（２０１０．６．２３）
【出願人】（０００１６８０７８）江東電気株式会社 (11)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１月１２日（２０１２．１．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年６月２３日（２０１０．６．２３）
【出願人】（０００１６８０７８）江東電気株式会社 (11)
【Ｆターム（参考）】
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