説明

メタンスルホアミドアゾ染料

本発明は、式(I)


[式中、Mは、2個の水素原子、またはCu、Co、Ni、Mn、ZnおよびAlからなる群から選択される1個の金属イオンを表し、Aは、置換ナフチル基または置換ピラゾリル基を表す。]のモノアゾ、ジアゾおよびトリアゾ着色剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のメタンスルホンアミド含有アゾ染料、その調製方法、および特にインクジェット印刷プロセスのための記録液におけるその使用を記載する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプロセスは、非接触印刷プロセスであり、一般に2つの形態、ドロップ・オン・デマンドおよび連続流において存在する。ドロップ・オン・デマンドの原理は、ノズルからの液滴の形態にあるインクを、電子的制御下で適時に適切な場所に配置する。一方連続流においては、インクは連続的に噴出し、次いで、加えて電子荷電の後、受け取る媒体(例えば、紙)に吹き付けるか、収集容器中に向ける。高解像力および高分解能の印刷を得るために、印刷に存在する記録液および染料は、特に耐光性と耐水性に関して非常に厳しい必要条件を満たす必要がある。高耐光性は、特に屋外のインクジェット用途に対しておよび写真品質のインクジェット印刷の製造において、非常に重要である。
【0003】
この全てにおける最も重要な役割が、インクにおいて使用される染料によって果たされている。多数の染料が開発されてきたが、今日のインクジェット印刷プロセスの必要条件を満たすものは、ほんの僅かである。
【0004】
クロム錯体染料の一群は、高耐光性を持っているが、クロム量が環境的に許容されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、環境的に安全であり、水および/または有機溶媒中での特筆すべき高可溶性を有し、良好な耐オゾン性および耐光性、高い色強度および輝度を有する、改善された着色剤が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある種のメタンスルホンアミド含有アゾ染料が、この目的を実現することが見出された。
【0007】
したがって、本発明は、一般式(I)の化合物を提供する。
【0008】
【化7】

[式中、
Mは、2個の水素原子を表し、またはCu、Co、Ni、Mn、ZnおよびAlからなる群から選択される1個の金属イオンを表し;
Aは、
【0009】
【化8】

であり、
は、H、OHまたは−NH−(CH)a−SOであり、aは、1から6、好ましくは2、3または4であり;
は、Hであり、または式
【0010】
【化9】

の基であり、
Dは、C、C(OH)またはC(OCH)であり;
Xは、H、アルカリ金属、好ましくはNaまたはKであり;NH、C〜C18アルキル−NH、(C〜C18アルキル)NH、(C〜C18アルキル)NH、(C〜C18アルキル)CNH、(C〜C18アルキル)CHNH、または(C〜C18アルキル)Nであり、
nは、1から4、好ましくは1または2である。]
Mが2個の水素原子(金属のない化合物)またはCuを表す、式(I)の化合物が好ましい。
【0011】
式(IIa)から(IIf)のモノアゾ化合物が特に好ましい。
【0012】
【化10】


[式中、X、aおよびnは、それぞれ上記に定義したとおりである。]
式(IIIa)および(IIIb)のジアゾ化合物が、特に好ましい。
【0013】
【化11】

[式中、Xおよびnは、それぞれ上記に定義したとおりである。]
式(IVa)および(IVb)のトリアゾ化合物が、特に好ましい。
【0014】
【化12】

[式中、RおよびXは、それぞれ上記に定義したとおりである。]
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、2−ジ(メタンスルホニル)アミドアニリンをジアゾ化し、得られたジアゾニウム塩を環構造Aに対応するカップリング部分と結合させること、2個のメタンスルホンアミド基の1個を脱離させること、場合によって得られたアゾ化合物をCu、Co、Ni、Mn、ZnまたはAl塩と反応させることを含む、式(I)の化合物を調製する方法をさらに提供する。
【0016】
2−ジ(メタンスルホニル)アミドアニリン出発化合物は、2−ニトロアニリンを過剰のピリジン中で少なくとも2当量のメタンスルホニルクロリドと反応させ、次いで、ニトロ基を、例えば塩酸/エタノール中で鉄または錫により還元することによって調製することができる。
【0017】
ジアゾ化およびカップリングステップは、通常の方法によって実施することができる。
【0018】
ジアゾ化は、好ましくは水溶液または懸濁液中で亜硝酸ナトリウムにより、0〜10℃およびpH1から3で実施する。
【0019】
アゾカップリングは、好ましくは水溶液または懸濁液の形で0〜20℃およびpH3から9で実施する。
【0020】
特定のジアゾニウム塩と特定のカップリング部分とのモル比は、好ましくは1:(0.8〜2)である。
【0021】
2個のメタンスルホンアミド基の1個の脱離は、水性アルカリ媒体中で、好ましくはpH9〜12、約60〜80℃で選択的に実施する。
【0022】
錯化は、水性金属塩溶液、例えば金属硫酸塩、金属クロリド、金属ブロミド、金属硫酸水素塩、金属重炭酸塩または金属炭酸塩を添加することによって有利に実施される。金属は、上記に定義されたとおりであり、より好ましくは銅である。錯化は、特定の染料によって、酸範囲でもアルカリ範囲でも実施することができる。温度は、60〜130℃であるべきであり、必要ならば過圧が使用される。
【0023】
本発明によるジアゾ染料は、上記の対応するメタンスルホニル含有モノアゾ染料を最初に調製し、次いで、Aのナフチル基上の遊離アミノ基をカップリングの前にジアゾ化することによって調製することができる。形成されたジアゾ染料は、次に、上記の金属塩により錯化することができる。
【0024】
本発明によるトリアゾ染料は、上記の対応するジアゾ染料を最初に調製し、次いで、フェニル基D上の遊離アミノ基を、カップリングの前にジアゾ化することによって調製することができる。
【0025】
しかし、メタンスルホニル含有モノアゾ染料をジアゾ化し、適当なフェニルアゾナフタレンスルホン酸塩と結合させること、またはメタンスルホニル含有モノアゾ染料をジアゾ化されたフェニルアゾナフタレンスルホン酸塩と結合させることも可能である。
【0026】
次いで、この形成されたトリアゾ染料は、上記の金属塩により錯化することができる。
【0027】
しかし、またモノアゾ染料の代わりに、既に錯化されたモノアゾ染料により上述の合成の変形を実施することも可能である。
【0028】
スルホ基上のカチオンを交換するために、アゾ染料を、対応する塩、例えば置換されたアンモニウム塩の溶液と反応させることができる。
【0029】
本発明による染料は、得られたままの、好ましくは水性の反応混合物から、塩析、濾過、または噴霧乾燥によって単離することができる。膜濾過による部分的なまたは完全な脱塩は事前にしてもしなくてもよい。しかし、単離ステップを省き、本発明の染料を含む反応混合物を、有機および/または無機塩基ならびに/あるいは保湿剤を添加することによって、濃縮された染料溶液に直接転化することができ、膜濾過による部分的なまたは完全な脱塩は事前にしてもしなくてもよい。また別法として、錯体染料をプレスケーキ(望ましい場合には、フラッシングプロセスを含む)として、または粉体として使用することができる。この染料は、水溶液の形態でイオン交換樹脂に適用して、さらに精製することができる。
【0030】
ある種の色相を実現するためには、本発明の染料を、好ましくは例えばC.I.Acid Yellow 17および23、C.I.Direct Yellow 86、98および132、C.I.Reactive Yellow 37、C.I.Pigment Yellow 17、74、83、97、120、139、151、155および180;C.I.Direct Red 1、11、37、62、75、81、87、89、95、227;C.I.Acid Red 1、8、80、81、82、87、94、115、131、144、152、154、186、245、249および289;C.I.Reactive Red 21、22、23、35、63、106、107、112、113、114、126、127、128、129、130、131、137、160、161、174、180;C.I.Pigment Red 122、176、184、185および269;C.I.Direct Blue 199、C.I.Acid Blue 9、C.I.Pigment Blue 15:1〜15:4などのColour Indexに表示されている着色剤の群からの、さらなる着色剤により調色することができる。調色着色剤は、好ましくは本発明の染料の乾燥重量に基づいて、0.001〜5重量%、特に0.01〜1重量%の量で添加される。
【0031】
本発明の染料は、式(I)の染料および調色着色剤を、指定されたブレンド比において、乾燥粉体、その溶液、水−または溶媒−湿潤プレスケーキおよび/またはマスターバッチの形態において互いにまたは染料から調製された調色インクと混合することによって調色着色剤と混合することができる。
【0032】
また、本発明は、例えば、ポリエステル、絹、羊毛またはブレンド織物などの天然または合成繊維材料を染色および印刷するための、特に種々の記録媒体に文字および画像を記録するための、またパルプ着色紙またはセルロースのための、式(I)の(場合によって調色された)染料の使用を提供する。
【0033】
記載された染料を記録液において使用する場合には、指定された必要条件に合わせて適当に仕上げる。染料は、得られたままの、好ましくは水性の反応混合物から、膜濾過および/またはイオン交換による事前の部分的なまたは完全な脱塩をして、またはせずに、塩析および濾過、または噴霧乾燥によって単離することができる。しかし、また単離ステップを省き、染料を含む反応混合物を、膜濾過による事前の部分的なまたは完全な脱塩をして、またはせずに、有機および/または無機塩基、場合により保湿剤、防腐剤を添加することによって、濃縮された染料溶液に直接転化することができる。また別法として、染料をプレスケーキ(望ましい場合には、フラッシングプロセスを含む)として、または粉体として使用することができる。有利には、本発明の染料は、非常に純粋で塩のない、すなわちNaClまたは染料の合成中に形成された他の通常の無機塩がない形態において使用される。
【0034】
濃縮された染料溶液のための有用な無機塩基には、例えば水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムおよびアンモニアが含まれる。有用な有機塩基には、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、N−メチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N−フェニルアミノプロパノール、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンおよびポリエチレンイミンが含まれる。
【0035】
濃縮された染料溶液のための有用な保湿剤には、例えばホルムアミド、尿素、テトラメチル尿素、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチルグリコール、メチルセロソルブ、グリセロール、N−メチルピロリドン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、キシレンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウムおよびブチルモノグリコール硫酸ナトリウムが含まれる。
【0036】
本発明の染料は、記録液、特にインクジェット印刷プロセスのための水性および非水性インクを調製するために、ホットメルトプロセスによって作られるか、またはミクロエマルジョンをベースとするようなインクのために、あるいは他の印刷、複製、マーキング、筆記、製図、スタンピングまたは記帳プロセスのために、特に有用である。
【0037】
また、本発明は、上記のように、調色のための他の着色剤を含むか、または含まない、本発明の1つまたは複数の染料を含む記録液を提供する。かかる調色着色剤は、有利には、記録液の総重量に基づいて0〜20重量%の範囲にあり、好ましくは0.01〜10重量%の範囲にあり、特に0.1〜5重量%の範囲にある量で含まれる。
【0038】
記録液の組成は、意図する目的に適合させる必要がある。
【0039】
本発明の記録液は、一般に、調色着色剤を含むことがある式(I)の染料を乾燥重量基準で合計0.1〜50重量%含み、水を0〜99重量%含み、有機溶媒および/または保湿剤を0.5〜99.5重量%含む。好ましい実施形態において、この記録液は、指定の染料を乾燥重量基準で0.5〜15重量%、水を35〜75重量%、有機溶媒および/または保湿剤を10〜50重量%含み、他の好ましい実施形態においては、指定の染料を乾燥重量基準で0.5〜15重量%、水を0〜20重量%、有機溶媒および/または保湿剤を70〜99.5重量%含む。
【0040】
染料(I)およびそれを含む記録液を調製するために使用する水は、好ましくは蒸留水または脱塩水の形態において使用される。
【0041】
記録液中に含まれる溶媒および/または保湿剤は、有機溶媒またはかかる溶媒の混合物であってよく、その場合には、水混和性溶媒が好ましい。有用な溶媒には、例えば一価または多価アルコール、そのエーテルおよびエステル、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール;二価または三価アルコール、特に2〜6個の炭素原子を有する、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセロール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール;多価アルコールの低級アルキルエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル、またはモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトンおよびケトンアルコール;アミド、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン;また、尿素、テトラメチル尿素、チオジグリコール、ε−カプロラクタムが含まれる。
【0042】
本発明の記録液は、通常の添加剤、例えば防腐剤、カチオン、アニオンまたは非イオン界面活性物質(界面活性剤および湿潤剤)およびまた粘度調整剤、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、また接着性および耐磨耗性を増強するためにフィルム形成剤、またはバインダーとして、水溶性天然または人造樹脂をさらに含むことができる。光保護剤、蛍光増白剤、酸化剤、還元剤および遊離ラジカル捕そく剤をさらに含むことができる。
【0043】
アミン、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、N−エチルジイソプロピルアミンを、記録液のpHを上げるために含ませることができる。それらは、通常、記録液の総重量に基づいて0〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%で、記録液中に存在する。
【0044】
インクジェット印刷プロセスのための記録液は、この印刷プロセスの実施形態、例えばそれが連続ジェット、断続ジェット、インパルスジェットまたは複合ジェットプロセスかどうかによって、さらに添加剤を含ませ、例えばpHを緩衝し、導電率を調整し、比熱溶量を調整し、熱膨張係数を調整し、および導電率を調整することができる。
【0045】
本発明の記録液は、粘度および表面張力の点からも、インクジェットプロセスに適する範囲にある。本発明の記録液は、高光学濃度および優れた耐光性および耐水性を有する印刷画像を提供する。
【0046】
本発明の染料は、黒、黄、マゼンタ、シアン、場合によって緑、および場合によって橙着色剤と組み合わせて、インクセットとして、さらに使用することができる。次の印刷インクのセットが好ましい:着色剤としてカーボンブラック、特にガスブラックまたはファーネスブラック、例えばC.I.Reactive Black 8、C.I.Reactive Black 31、C.I.Direct Black 168、C.I.Sol.Sulfur Black 1および2、C.I.Acid Black 194を含む黒配合物;染料C.I.Acid Blue 9、C.I.Direct Blue 199、またはフタロシアニンの群の顔料、インダンスロン、またはトリアリールカルボニウム顔料、特にColour Index 顔料 Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 16、Pigment Blue 56、Pigment Blue 60、またはPigment Blue 61を含むシアン配合物;染料C.I.Reactive Red 23、C.I.Reactive Red 180、C.I.Acid Red 52、またはモノアゾの群の顔料、ジスアゾ、β−ナフトール、Naphthol AS、レーキアゾ、金属錯体、ベンズイミダゾロン、アンサンスロン、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、チオインジゴ、トリアリールカルボニウム、またはジケトピロロピロール顔料、特にColour Index 顔料 Pigment Red 2、Pigment Red 3、Pigment Red 4、Pigment Red 5、Pigment Red 9、Pigment Red 12、Pigment Red 14、Pigment Red 38、Pigment Red 48:2、Pigment Red 48:3、Pigment Red 48:4、Pigment Red 53:1、Pigment Red 57:1、Pigment Red 112、Pigment Red 122、Pigment Red 144、Pigment Red 146、Pigment Red 147、Pigment Red 149、Pigment Red 168、Pigment Red 169、Pigment Red 170、Pigment Red 175、Pigment Red 176、Pigment Red 177、Pigment Red 179、Pigment Red 181、Pigment Red 184、Pigment Red 185、Pigment Red 187、Pigment Red 188、Pigment Red 207、Pigment Red 208、Pigment Red 209、Pigment Red 210、Pigment Red 214、Pigment Red 242、Pigment Red 247、Pigment Red 253、Pigment Red 254、Pigment Red 256、Pigment Red 257、Pigment Red 262、Pigment Red 263、Pigment Red 266、Pigment Red 269、Pigment Red 274、Pigment Violet 19、Pigment Violet 23、またはPigment Violet 32を含むマゼンタ配合物;好ましくは染料C.I.Acid Yellow17、C.I.Acid Yellow 23、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 98、C.I.Direct Yellow 132、C.I.Reactive Yellow 37、またはモノアゾの群の顔料、ジアゾ、ベンズイミダゾリン、イソインドリノン、イソインドリン、またはペリノン顔料、特にColour Index顔料 Pigment Yellow 1、Pigment Yellow 3、Pigment Yellow 12、Pigment Yellow 13、Pigment Yellow 14、Pigment Yellow 16、Pigment Yellow 17、Pigment Yellow 73、Pigment Yellow 74、Pigment Yellow 81、Pigment Yellow 83、Pigment Yellow 87、Pigment Yellow 97、Pigment Yellow 111、Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 126、Pigment Yellow 127、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 173、Pigment Yellow 174、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 176、Pigment Yellow 180、Pigment Yellow 181、Pigment Yellow 191、Pigment Yellow 194、Pigment Yellow 196、またはPigment Yellow 213を含む黄配合物;好ましくはジアゾの群の顔料、β−ナフトール、Naphthol AS、ベンズイミダゾロン、またはペリノン顔料、特にColour Index顔料 Pigment Orange 5、Pigment Orange 13、 Pigment Orange 34、Pigment Orange 36、Pigment Orange 38、Pigment Orange 43、Pigment Orange 62、Pigment Orange 68、Pigment Orange 70、Pigment Orange 72、またはPigment Orange 74を含む橙配合物;好ましくはフタロシアニン顔料の群の顔料、特にColour Index顔料 Pigment Green 7またはPigment Green 36を含む緑配合物。
【0047】
本発明の染料混合物は、電子写真トナーおよび顕色剤、例えば1成分および2成分粉体トナー、磁気トナー、液体トナー、重合トナーおよびその他の特殊トナーにおいて、着色剤としてさらに有用である。
【0048】
典型的なトナーバインダーは、個々にまたはポリエチレンおよびポリプロピレンと組み合わせて、スチレン、スチレン−アクリレート、スチレン−ブタジエン、アクリレート、ポリエステル、フェノールエポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリウレタン、などの付加重合、重付加およびポリ縮合樹脂であり、これらは、それぞれ電荷制御剤、ワックスまたは流動性付与剤などの成分をさらに含むことができ、または引き続きこれらの添加剤により改変される。
【0049】
本発明の染料混合物は、粉体および粉体コーティングにおいて、例えば金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、織物材料、紙またはゴムからなる物体の表面コーティングに使用される、特に摩擦帯電または静電的噴霧粉体コーティングにおける着色剤として、さらに有用である。
【0050】
粉体コーティング樹脂は、一般に、通常の硬化剤と一緒になって、エポキシ樹脂、カルボキシルおよびヒドロキシル含有ポリエステル樹脂、ポリウレタンおよびアクリル樹脂である。樹脂の組合せも使用される。例えば、エポキシ樹脂は、しばしばカルボキシル−およびヒドロキシル含有ポリエステル樹脂と組み合わせて使用される。
【0051】
また、本発明の染料は、カラーフィルターに対し、加法的のみならず減法的発色に対しても着色剤として、また電子新聞用の電子的インクにおける、および医療部門における着色剤として有用である。
【0052】
本発明のアゾ染料は、印刷インク、ラッカー、塗料、絵の具、プラスチック、ゴム材料、事務用品、木材塗装および洗浄剤における着色剤としてさらに有用である。典型的な印刷インクは、例えばオフセット印刷インク、図版グラビアインク、および、水性および溶液型包装印刷用、およびフレキソ印刷用印刷インクである。典型的な塗料は、自動車OEMおよび補修用塗料、工業用塗料ならびに建築用塗料(例えば、高分子物質の下塗り、またはエマルジョン塗料)である。典型的プラスチック着色は、例えば可塑化および非可塑化PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリオレフィン、またはポリスチレンにおけるものである。
【0053】
本発明の染料は、例えば金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、織物材料、紙およびゴムからなる物体の表面コーティングにさらに使用することができる。
【0054】
上記の用途分野においても、本発明の染料は、上記に列挙した染料および/または顔料によりさらに調色することができる。
【0055】
以下の実施例において、部は、重量による。以下の式において、酸性水素原子は、全てまたは部分的にpHに応じてNaまたはKによって置換することができ、逆も同様である。
【実施例1】
【0056】
a)ジアゾ化およびカップリング
2−ジ(メタンスルホニル)アミドアニリン5.3部を水25部および30重量%塩酸5.9部の混合物中に撹拌して入れた。氷10部を添加した後、アミンを、4N亜硝酸ナトリウム5容量部を添加することによってジアゾ化した。次に、これを5℃で2時間撹拌してから、スルファミン酸により過剰の亜硝酸塩を消滅させた。
【0057】
次いで、形成された懸濁液を、水30部中の1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸(ジナトリウム塩)8.4部の溶液に滴下して添加した。形成された混合物を室温で2時間撹拌してから、モノアゾ染料の体積の大きな赤色の析出物を濾別し、乾燥した。
【0058】
b)脱メシル化およびCuによる錯化
a)のモノアゾ染料19.5部を、水75部および30重量%水酸化ナトリウム水溶液9.6部に溶解した。溶液を60℃で1時間加熱し、次いで、酢酸ナトリウム5.4部と混合した。80℃に加熱した後、硫酸銅(II)水和物5部を1時間にわたり少量ずつ添加して、式
【0059】
【化13】

のモノアゾ銅錯体染料の暗赤色溶液を生成した。室温に冷却後、0.1〜0.3μmフィルターを通して染料溶液を濾過し、引き続いて、膜脱塩システムによって脱塩した。
【実施例2】
【0060】
実施例1のモノアゾ銅錯体染料溶液90部を、水20部中のC12〜C14アルキルアミン7.4部の溶液35部および30%塩酸4.8部と混合した。形成された析出物を1時間撹拌および濾別し、残渣を脱イオン水で塩がないように洗浄し、洗浄および乾燥すると、式
【0061】
【化14】

[式中、「アルキル」は、それぞれの場合に、C12〜C14−アルキルである。]
の化合物15部が後に残った。
【実施例3】
【0062】
a)ジアゾ化およびモノアゾ染料へのカップリング
2−ジ(メタンスルホニル)アミドアニリン11.5部を水50部および30重量%塩酸12部の混合物中に撹拌して入れた。氷30部を添加した後、アミンを、4N亜硝酸ナトリウム溶液10容量部を添加することによってジアゾ化した。次に、これを5℃で2時間撹拌してから、スルファミン酸により過剰の亜硝酸塩を消滅させた。
【0063】
次いで、形成された懸濁液を、2−アミノ−8−ヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸10.4部を水100部および水酸化ナトリウム水溶液10.8重量部に溶かした溶液に滴下して添加した。炭酸ナトリウム8部を同時に添加することによって8.5〜9.0のpHに設定した。形成された混合物を室温で3時間撹拌し、濾別し、乾燥した。
【0064】
b)ジアゾ化およびジアゾ染料へのカップリング
a)のモノアゾ染料18.8部を、水200部および30重量%塩酸29部の混合物中に撹拌して入れた。氷50部を添加した後、アミンを、4N亜硝酸ナトリウム8容量部を添加することによってジアゾ化した。次に、これを5℃で2時間撹拌してから、スルファミン酸により過剰の亜硝酸塩を消滅させた。
【0065】
次いで、形成された懸濁液を、水55部中の2−ヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸8.5部の溶液および30重量%水酸化ナトリウム水溶液3.7部に滴下して添加した。30重量%水酸化ナトリウム水溶液32部を同時に添加することによって8.5〜9.0のpHに設定した。形成された暗いすみれ色の混合物を室温で3時間撹拌した。形成されたジアゾ染料を濾別し、乾燥した。
【0066】
c)脱メシル化およびCuによる錯化
b)のジアゾ染料16.8部を、水50部および30重量%水酸化ナトリウム水溶液1.5部中に撹拌して入れた。混合物を60℃で1時間加熱し、次いで、酢酸ナトリウム1.5部と混合した。98℃に加熱した後、水10部中の硫酸銅(II)水和物1.8部を添加した。反応混合物を6時間還流して、式
【0067】
【化15】

のジアゾ銅錯体染料のすみれ色の溶液を形成した。室温に冷却後、0.1〜0.3μmフィルターを通して染料溶液を濾過し、引き続いて、膜脱塩システムによって脱塩した。
【実施例4】
【0068】
実施例3のジアゾ銅錯体染料溶液67部を、水7部中のC12〜C14アルキルアミン2.7部の溶液13部および30%塩酸1.8部と混合した。形成された析出物を1時間撹拌および濾別し、残渣を脱イオン水で塩がないように洗浄し、洗浄および乾燥すると、次式の化合物7.2部が後に残った。
【0069】
【化16】

[式中、「アルキル」は、それぞれの場合に、C12〜C14−アルキルである。]
【実施例5】
【0070】
2−[(4−アミノ−3−メトキシフェニル)アゾ]ナフタレン−6,8−ジスルホン酸ジナトリウム塩(CAS No.65151−26−0)9.7部を、水120部および30重量%塩酸5.7部の混合物中に撹拌して入れた。氷50部を添加した後、アミンを、4N亜硝酸ナトリウム5.2容量部を添加することによってジアゾ化した。次に、これを5℃で1時間撹拌してから、スルファミン酸により過剰の亜硝酸塩を消滅させた。このオレンジ色溶液を実施例1b)のモノアゾ銅錯体染料12.5部の溶液に徐々に添加した。酢酸ナトリウム5部を同時に添加することによって4.3〜4.5のpHに設定した。形成された混合物を室温で3時間撹拌し、式
【0071】
【化17】

のトリアゾ銅錯体染料の黒色溶液が形成された。室温に冷却後、0.1〜0.3μmフィルターを通して染料溶液を濾過し、引き続いて、膜脱塩システムによって脱塩した。
【実施例6】
【0072】
実施例5のトリアゾ銅錯体染料溶液200部を、水40部中の2−エチルヘキシルアミン10.3部の溶液60部および30重量%塩酸9.4部と混合した。形成された黒色析出物を1時間撹拌および濾別し、残渣を脱イオン水で塩がないように洗浄し、乾燥すると、式
【0073】
【化18】

の化合物25部が後に残った。
【実施例7】
【0074】
銅塩を添加することなしに、実施例1を繰り返して、次式の化合物を調製した。
【0075】
【化19】

【実施例8】
【0076】
銅塩を添加することなしに、実施例3を繰り返して、次式の化合物を調製した。
【0077】
【化20】

【実施例9】
【0078】
銅塩を添加することなしに、実施例5を繰り返して、次式の化合物を調製した。
【0079】
【化21】

【実施例10】
【0080】
記録液の調製
実施例1のとおりの純粋な染料2.5gを、ジエチレングリコール20.0g、トリエタノールアミン1.0g、尿素1.0gおよび脱塩水78.0gの混合物に添加し、25℃で撹拌することによって、その中に溶解した。
【0081】
このように調製されたインクは、非常に良好な耐光性を有するマゼンタ色印刷を提供する。
【0082】
インクジェットインクを、実施例2〜9の純粋な染料を使用して、同様に調製した。
【0083】
調製した記録液を60℃で4週間貯蔵して、その貯蔵安定性を試験した。60℃で4週間後、析出物は形成されていなかったし、記録液は、残渣を残すことなく非常に微細なフィルターを通して濾過可能であった。比色検査は、貯蔵安定性試験のために実施された性能試験に差異を示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物。
【化1】

[式中、
Mは、2個の水素原子を表し、またはCu、Co、Ni、Mn、ZnおよびAlからなる群から選択される1個の金属イオンを表し;
Aは、
【化2】

であり、
は、H、OH、または−NH−(CH)a−SOであり、aは、1から6であり;
は、Hであり、または式
【化3】


の基であり、
Dは、C、C(OH)またはC(OCH)であり;
Xは、H、アルカリ金属、NH、C〜C18アルキル−NH、(C〜C18アルキル)NH、(C〜C18アルキル)NH、(C〜C18アルキル)CNH、(C〜C18アルキル)CHNHまたは(C〜C18アルキル)Nであり、
nは、1から4である。]
【請求項2】
式(IIa)から(IIf)を特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化4】



【請求項3】
式(IIIa)または(IIIb)を特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化5】


【請求項4】
式(IVa)または(IVb)を特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化6】

【請求項5】
2−ジ(メタンスルホニル)アミドアニリンをジアゾ化し、得られたジアゾニウム塩を環構造Aに対応するカップリング部分と結合させること、2個のメタンスルホンアミド基の1個を脱離させること、場合によって得られたアゾ化合物をCu、Co、Ni、Mn、ZnまたはAl塩と反応させることを含む、請求項1から4の一項または複数項に記載の化合物を調製する方法。
【請求項6】
天然または合成繊維材料に染色および印刷するための、記録媒体に文字および画像を記録するための、紙またはセルロースをパルプ着色するための、さらに印刷インク、ラッカー、塗料、プラスチック、ゴム材料、事務用品、木材塗装および洗浄剤、ならびに絵の具中の着色剤としての、請求項1から4の一項または複数項に記載の化合物の使用。
【請求項7】
インクジェットインクおよび電子写真トナー中の着色剤としての請求項6に記載の使用。
【請求項8】
請求項1から4の一項または複数項に記載の少なくとも1種の化合物、および場合によって調色着色剤を、乾燥重量基準で合計0.1から50重量%、水を0から99重量%、有機溶媒および/または保湿剤を0.5から99.5重量%含む記録液。
【請求項9】
黒、黄、シアン、マゼンタ、場合によってオレンジ、および場合によって緑からなるインクセット内での請求項8に記載の記録液の使用。

【公表番号】特表2006−524274(P2006−524274A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504924(P2006−504924)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003380
【国際公開番号】WO2004/090045
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(598109501)クラリアント・プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲーエムベーハー (45)
【氏名又は名称原語表記】Clariant Produkte (Deutschland)GmbH
【Fターム(参考)】