説明

メダルゲーム機

【課題】メダル投入操作からゲーム盤にメダルを送出するまでの応答性が高く、プレイヤがメダルを狙った方向にうまくメダルを落下できるメダルゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム機1は、メダル投入装置4の操作に応じて、メダルMを送出するメダル送出部21と、メダルMを搬送するレール部22と、ゲーム盤5と、レール部22の先端に設けられ、ゲーム盤5の左右方向Xの中央かつ上部に1つのみ配置されたメダル放出部23と、ゲーム盤5に設けられ、メダル放出部23が落下したメダルMが入賞する入賞部53,54と、メダル放出部23及び入賞部53,54の間に1つのみ配置され、ゲーム盤5のメダル落下領域をカバーする揺動角度を有するように左右方向Xに往復して揺動し、メダル放出部23から放出されたメダルMの落下方向を変えるメダル落下方向変換部51とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盤面に落下させたメダルによりプレイするメダルゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム盤面にメダルを落下させて、揺動部材の揺動位置に応じて、メダルが落下する方向を変化させるメダルゲーム機があった(例えば特許文献1)。
しかし、従来のメダルゲーム機は、プレイヤがメダル投入操作してから、ゲーム盤にメダルが送り出されるまでに時間がかかり、つまり応答性が低かった。このため、プレイヤは、メダルを狙った方向にうまく落下させるためには、何枚もメダルを投入してこの時間を把握しなければならなかった。
また、従来のメダルゲーム機は、応答性の低さを補うために、左右にそれぞれメダル放出部を設けなければならず、高コストであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−40592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、メダル投入操作からゲーム盤にメダルを送出するまでの応答性が高く、プレイヤがメダルを狙った方向にうまくメダルを落下でき、また低コストのメダルゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
第1の発明は、プレイヤがメダル投入操作する操作部(4)と、前記操作部の操作に応じて、メダル(M)を送出するメダル送出部(21)と、前記メダル送出部が送出したメダルを搬送するレール部(22)と、表面が鉛直になるように配置された盤面(5)と、前記レール部の先端に設けられ、前記レール部により搬送されたメダルを前記盤面に直接落下させるように放出するメダル放出部(23)と、前記盤面に設けられ、前記メダル放出部が落下したメダルが入賞するメダル入賞部(53,54)と、前記メダル放出部及び前記メダル入賞部の間に配置され、左右方向に往復して揺動し、前記メダル放出部から放出されたメダルの落下方向を変えるメダル落下方向変換部(51)と、を備えるメダルゲーム機である。
第2の発明は、第1の発明のメダルゲーム機において、前記メダル放出部は、前記盤面の左右方向の中央かつ上部に1つのみ配置され、前記メダル落下方向変換部は、前記メダル放出部及び前記メダル入賞部の間に1つのみ配置され、前記盤面のメダル落下領域をカバーする揺動角度を有すること、を備えるメダルゲーム機である。
第3の発明は、第1又は第2の発明のメダルゲーム機において、前記操作部(4)は、プレイヤがメダル(M)を投入するメダル投入部(4c)を備え、前記メダル投入部に投入されたメダルを検出するメダル投入検出部(4d)を備え、前記メダル送出部(21)は、前記メダル投入検出部の出力に応じてメダルを送出し、前記メダル放出部からメダルを放出すること、を特徴とするメダルゲーム機である。
第4の発明は、第1から第3までのいずれかの発明のメダルゲーム機において、前記操作部(4)は、プレイヤがメダルを連続して放出する操作である連続放出操作が可能な投入装置を備え、前記メダル送出部(21)は、前記操作部の連続放出操作に対応し、かつ前記メダル放出部が放出するメダルが連続しても重ならない応答時間で、メダルを送出すること、を特徴とするメダルゲーム機である。
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明のメダルゲーム機において、前記メダル入賞部(54)は、左右方向に往復移動すること、を特徴とするメダルゲーム機である。
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明のメダルゲーム機において、前記操作部(4)の操作、又は前記メダル放出部(23)からのメダル放出に応じて、効果音を出力する音声出力部(12)を備えること、を特徴とするメダルゲーム機である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
第1の発明は、レール部がメダルをメダル放出部まで搬送し、メダル放出部がレール部により搬送されたメダルを盤面に直接落下させるので、メダル放出部から盤面まで通路等を配置する必要がない。れにより、プレイヤのメダル投入操作に応じて、高い応答性で、メダル投入操作とほぼ同時にメダル放出できる。
また、第1の発明は、プレイヤが狙いたい方向にメダル落下方向変換部が位置している状態で、プレイヤによってメダル投入操作されれば、メダル投入操作とほぼ同時にメダル放出されるので、メダル入賞部への入賞を狙いやすく、操作性を向上できる。
第2の発明は、メダル放出部が盤面の左右方向の中央かつ上部に配置され、メダル落下方向変換部が盤面のメダル落下領域をカバーする揺動角度を有するので、メダル放出部及びメダル落下方向変換部が1つのみであっても、盤面のメダル落下領域をカバーでき、低コストで製造できる。
【0007】
第3の発明は、メダル投入部を備えるので、プレイヤのメダル投入に応じて高い応答性で、メダル放出できる。
第4の発明は、連続放出操作に対応した応答時間で、メダルを送出するので、前述した高い応答性により、連続放出できる。また、メダル放出部から連続で放出しても、メダルが重ならない程度にまで、応答性を高めることができる。
【0008】
第5の発明は、メダル入賞部が左右方向に往復移動しても、前述した高い応答性を有するので、プレイヤは、メダル入賞部に狙いをつけてメダル放出できる。
第6の発明は、メダル放出に応じて音声出力部から効果音を出力し、また前述した高い応答性を有するので、メダル放出とほぼ同時に、効果音を音声出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態のゲーム機1の斜視図、ゲーム盤5を手前側Y1から見た図である。
【図2】実施形態のメダル投入装置4の断面図(手前側Y1から見た図)である。
【図3】実施形態のゲーム盤5、プッシャ台6、ゲーム機1の内部構成を説明する斜視図である。
【図4】実施形態のゲーム盤5及びレール部22の正面図である。
【図5】実施形態のゲーム機1のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のゲーム機1の斜視図、ゲーム盤5を手前側Y1から見た図である。
図1に示すように、ゲーム機1は、左右方向Xの幅2m程度、奥行方向Yの長さ1m程度、鉛直方向Zの高さ2m程度の大型の装置であり、主にゲームセンタ等の店舗等に設置される。ゲーム機1は、プレイ領域Fにプッシャ台6が配置されたメダルプッシャゲーム機である。プレイ領域Fとは、プッシャ台6、ゲーム盤5等の装置が配置され、メダルMを移動させるプレイが実際に行われる領域をいう。
ゲーム機1は、左側X1及び右側X2にそれぞれプレイ領域が設けられており、2人のプレイヤが同時にプレイ可能である。以下の説明において、ゲーム機1の左側X1の構成に主に説明するが、右側X2の構成もほぼ同様な構成である。
【0011】
ゲーム機1の概略の構成を説明する。
ゲーム機1は、ケース2、ウィンドウ3、メダル投入装置4(操作部)、ゲーム盤5(盤面)、プッシャ台6、メダル獲得孔10、メダル払い出し口11、音声出力部12を備える。
ケース2は、ゲーム機1の筐体である。
ウィンドウ3は、ゲーム機1内部のプレイ領域Fとゲーム機1の外部とを仕切る部材である。ウィンドウ3は、ゲーム機1の手前側Y1に設けられている。ウィンドウ3は、外部からプレイ領域Fを視認できるように、透明な材料(例えばガラス、アクリル樹脂等)により形成される。
【0012】
メダル投入装置4は、プレイ領域FにメダルMを投入するために、プレイヤが投入操作をする装置である。メダル投入装置4は、ケース2の手前側Y1に設けられた操作パネル2aに配置されている。
【0013】
ゲーム盤5は、プレイ領域Fの奥側Y2に直立するように、表面が鉛直になるように配置されている。ゲーム盤5の上部には、メダル放出部23(後述する)が設けられており、メダル投入装置4にメダルMが投入されると、メダル放出部23からメダルMを射出するように構成されている。ゲーム盤5の手前側Y1には透明板5aが設けられており、メダルMは、ゲーム盤5及び透明板5aの隙間を落下するようになっている。
【0014】
プッシャ台6は、プレイ領域Fの奥側Y2に配置されている。プッシャ台6は、ゲーム盤5から落下してきたメダルMを徐々に手前側Y1に移動させて、メダル獲得孔10に落下させるように構成されている。
【0015】
メダル獲得孔10は、プッシャ台6よりも手前側Y1に設けられた開口孔であり、プッシャ台6に押し出されたメダルMが落下する。メダル獲得孔10には、メダル獲得センサ10a(図5参照)が設けられている。
メダル獲得センサ10aは、メダル獲得孔10に落下したメダルMを検出する光学センサである。メダル獲得センサ10aは、メダルMを検出すると、検出情報を制御部81(図5参照)に出力する。
メダル払い出し口11は、メダル獲得孔10に落下したメダルMを払い出す開口孔である。
音声出力部12は、効果音、BGM等を出力するスピーカである。音声出力部12は、メダル放出に応じて、発射音を出力する。
【0016】
次に、ゲーム機1の各構成について詳細に説明する。
図2は、実施形態のメダル投入装置4の断面図(手前側Y1から見た図)である。
図3は、実施形態のゲーム盤5、プッシャ台6、ゲーム機1の内部構成を説明する斜視図である。
図4は、実施形態のゲーム盤5及びレール部22の正面図である。
【0017】
メダル投入装置4について説明する。
図2に示すように、メダル投入装置4は、特開2010−142397号公報に記載されたメダル連続投入装置であり、基本構成が上記公報の装置と同一である。メダル投入装置4は、プレイヤが案内溝4aに挿入したメダルMを、連続してゲーム機1内部に投入できるようになっている。
メダル投入装置4は、案内溝4a、加振モータ4b(加振部)、メダル投入孔4c(メダル投入部)、メダル投入センサ4d(メダル投入検出部)を備える。
案内溝4aは、左右方向Xに設けられた溝であり、底面がメダル投入孔4cの方向に向かって、下側Z1に傾斜(傾斜角度θ1)している。
加振モータ4b(加振部)は、案内溝4aを振動させて、案内溝4aに挿入されたメダルMを整列させるモータである。
【0018】
メダル投入孔4cは、案内溝4aの下端に設けられた孔であり、案内溝4a内で整列されたメダルMが落下(投入)するようになっている。
メダル投入センサ4dは、メダル投入孔4cに投入されたメダルMを検出する光学センサである。メダル投入センサ4dは、メダル投入孔4c内部に設けられている。メダル投入センサ4dは、メダルMを検出すると、検出情報を制御部81(図5参照)に出力する。
以上の構成により、メダル投入装置4は、プレイヤがメダルMをメダル投入孔4cに投入するように操作すると、メダルMがメダル投入孔4cに落下し、そのメダルMをメダル投入センサ4dが検出するようになっている。また、メダル投入装置4は、メダル放出部23から連続してメダルMを放出するために、プレイヤがメダル投入孔4cに連続してメダルMを投入(連続放出操作)できるようになっている。
【0019】
メダルMを送出及び放出する構成について説明する。
図3に示すように、ゲーム機1は、ホッパ20、レール部22、メダル放出部23を備える。
ホッパ20は、メダル投入装置4に投入されたメダルMを貯留する容器である。メダル投入装置4に投入されたメダルMは、レール20aを通ってホッパ20に導かれる。ホッパ20には、メダル送出部21が設けられている。
メダル送出部21は、ロータ21a、メダル送出モータ21bを備える。
ロータ21aは、ホッパ20の底部に配置されている。ロータ21aは回転駆動されることにより、レール部22に1枚ずつメダルMを送り出す。
メダル送出モータ21bは、ロータ21aを回転駆動するDCモータ等である。メダル送出モータ21bは、制御部81(図5参照)により制御され、メダル投入センサ4dの出力に応じて回転駆動される。
【0020】
レール部22は、メダル送出部21が送出したメダルMをメダル放出部23に搬送する部材である。レール部22は、鉛直部22a、コーナ部22b、水平部22cを備える。
鉛直部22aは、ゲーム盤5よりも左側X1のスペースに、ホッパ20から上側Z2に伸びるように配置される。
コーナ部22bは、鉛直部22a及び水平部22cを接続する部分であり、ゲーム盤5の左上コーナを外側から囲うような円弧状である。
水平部22cは、ゲーム盤5よりも上側Z2の部分に、左右方向Xに水平に配置されている。
レール部22は、後端(メダル放出部23側の端部)から先端(メダル放出部23側の端部)まで、メダルMが連なって収容されている。
【0021】
図4に示すように、メダル放出部23は、水平部22cの先端に設けられている。メダル放出部23は、ゲーム盤5の左右方向Xの中央かつ上部に配置され、レール部22により搬送されたメダルMをゲーム盤5に直接放出する。メダル放出部23は、水平部22cの先端から下側Z1に貫通する空洞23aを有する。水平部22cの先端から送出されたメダルMは、この空洞23aを通ってゲーム盤5に落下する。この空洞23aの鉛直方向Zの長さは、例えば20mm程度である。また、メダル放出部23の下端と、ゲーム盤5までの距離L1は、例えば数mm程度であり、放出されたメダルMは、直ぐにゲーム盤5に導かれる。
【0022】
メダル放出部23は、ストッパ23b、メダル放出センサ23c(放出検出部)を備える。
ストッパ23bは、上端23dを中心に方向θ2に回転するように付勢されており、メダル送出モータ21bが駆動停止している場合には、水平部22cの先端に配置されたメダルMを、空洞23a内に転がり落ちないように押さえている。一方、ストッパ23bは、メダル送出モータ21bが駆動している場合には、水平部22cの先端に配置されたメダルMが送出される力によって、方向θ2とは反対側に押し戻される。そして、メダルMが通過できる程度まで、ストッパ23bが押し戻されると、メダルMは、空洞23a内に落下する。
メダル放出センサ23cは、空洞23a内に落下したメダルMを検出する光学センサである。メダル放出センサ23cは、メダルMを検出すると、検出情報を制御部81(図5参照)に出力する。
【0023】
メダルMを送出及び放出する動作を説明する。
図3に示すように、メダル送出部21がホッパ20内のメダルMをレール部22内に送出すると、予めレール部22内に収容されていたメダルMは、メダル放出部23に向かって移動する。図4に示すように、水平部22c先端に配置されたメダルは、ストッパ23bを押し戻し、空洞23a内に落下する。
この場合、ストッパ23bが方向θ2に戻ろうとするので、メダルMは、ストッパ23bにはじかれて、下側Z1に勢いをつけられて空洞23a内に落下する。空洞23a内からゲーム盤5までは、メダルMが転がる通路等は設けられていないので、メダル放出部23から落下したメダルMは、重力によって加速しながら落下する。つまり、メダルMは、ほとんど摩擦抵抗等がかかることがなく、ほとんど無抵抗で落下する。水平部22c先端からゲーム盤5までの距離は、20数mm程度であるので、水平部22c先端に配置されたメダルMは、メダル送出部21の駆動開始から、0.15秒程でゲーム盤5に到達できる。
【0024】
ゲーム盤5について説明する。
図4に示すように、ゲーム盤5は、メダル落下方向変換部51、ピン52、固定入賞部53(メダル入賞部)、移動入賞部54(メダル入賞部)、表示部55を備える。
メダル落下方向変換部51は、ゲーム盤5内の上側Z2かつ左右方向Xの中央であり、メダル放出部23の直下に設けられている。つまり、メダル落下方向変換部51は、メダル放出部23と、固定入賞部53及び移動入賞部54との間に配置されている。メダル落下方向変換部51は、2つの羽根51L,51Rを備えている。
【0025】
2つの羽根51L,51Rは、それぞれ上端を中心に左右方向Xに往復するように揺動(回転)する。羽根51L,51Rは、左右方向Xに同期して回転する。羽根51L,51Rは、DCモータ等を備える羽根駆動部51a(図5参照)によって駆動される。メダル放出部23から放出されたメダルMは、2つの羽根51L,51Rの間を通って、落下方向が変化する。羽根51L,51Rの揺動角度は、メダル放出部23が1つでもあっても、ゲーム盤5の左右方向Xの落下範囲(表示部55よりも外側の領域5c及び固定入賞部53が設定されている範囲)を、全てカバーできる角度(角度θ3参照)になっている。
ピン52は、ゲーム盤5に複数設けられている。ピン52は、メダルMの落下方向を不規則に変化させたり、連設された部分52a等では、連設された方向にメダルMを導いたりする。
【0026】
固定入賞部53は、表示部55の上側Z2に、左右方向Xに5つ並べて配置されている。後述するように、プレイヤは、固定入賞部53に狙いを定めてメダルMを落下させて、入賞させることができる。
固定入賞部53は、ゲーム盤5との間に隙間を有する平板53aにより構成され、この隙間をメダルMが通過する。通過したメダルMは、ゲーム盤5をそのまま下側Z1に落下する。各固定入賞部53には、固定入賞部センサ53bが設けられている。固定入賞部センサ53bは、入賞したメダルMを検出すると、検出情報を制御部81(図5参照)に出力する。
【0027】
移動入賞部54は、表示部55の下側Z1の範囲で、左右方向Xに往復移動するように設けられた入賞孔である。
移動入賞部54は、表示部55の下側Z1を、レール54a上を左右方向Xに往復移動するように設けられた入賞孔である。移動入賞部54には、入賞したメダルMを検出する移動入賞部センサ54b(図5参照)が設けられている。移動入賞部センサ54bは、入賞したメダルMを検出すると、検出情報を制御部81(図5参照)に出力する。
移動入賞部54は、移動入賞部駆動部54c(図5参照)によって駆動される。この移動入賞部駆動部54cは、例えばDCモータ等であり、制御部81(図5参照)によって制御される。プレイヤは、固定入賞部53と同様に、移動入賞部54に狙いを定めてメダルMを落下させて、入賞させることができる。
【0028】
表示部55は、ゲーム盤5の中央に配置された液晶表示装置等のモニタである。表示部55は、スロットを表示したり、プレイ進行に応じた演出表示をする。
【0029】
プッシャ台6について説明する。
図3に示すように、プッシャ台6は、固定テーブル62と、固定テーブル62上を奥行方向Yに往復移動する往復テーブル61とを備えている。
往復テーブル61は、ゲーム盤5から落下してきたメダルMを往復テーブル61に載置し、往復移動によってメダルMをゲーム盤5の下側に当接させて、玉突きのように固定テーブル62に押し出すように構成されている。
固定テーブル62は、往復テーブル61から落下してきたメダルMを載置し、往復テーブル61の往復移動によって、メダルMを往復テーブル61の手前側Y1の壁61aに当接させて、玉突きのようにメダル獲得孔10に落下させるように構成されている。
【0030】
メダルMを払い出すための構成について説明する。
図3に示すように、ゲーム機1は、ホッパ60、払い出し駆動部60a、レール60bを備える。
ホッパ60は、メダル獲得孔10に落下したメダルMが導かれる容器である。
払い出し駆動部60aは、メダル送出部21と同様な構成を備えており、ホッパ60に導かれたメダルMをレール60b内に送り出す装置である。払い出し駆動部60aは、制御部81(図5参照)により制御される。払い出し駆動部60aが、レール60b内に1枚メダルMを送出すると、レール60b内の先端に配置されたメダルMが払い出し口11から払い出されるようになっている。
【0031】
図5は、実施形態のゲーム機1のブロック図である。
ゲーム機1は、前述したハードウェアの他に、記憶部80、制御部81を備える。
記憶部80は、ゲーム機1の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。記憶部80は、ゲームプログラム80aを有している。
ゲームプログラム80aは、プッシャゲームを進行するためのプログラムであり、メダルMを放出するときに音声出力部12から出力する効果音(発射音)や、表示部55に表示するスロットに関するプログラム等を有している。
【0032】
制御部81は、ゲーム機1を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU(中央処理装置)等から構成される。制御部81は、記憶部80に記憶されたプログラムに従って動作する。制御部81は、メダル制御部81a、プレイ進行部81b、必要に応じてこれら各制御部の間で情報を伝達するためのバスを備える。
メダル制御部81aは、メダル投入装置4、メダル送出部21、メダル放出部23等のメダル投入、メダル放出に係る装置を制御する制御部である。
プレイ進行部81bは、ゲームの進行を統括的に制御する制御部である。
【0033】
次に、ゲーム機1の動作、処理について説明する。
(メダルMを1枚放出する場合の動作)
ゲーム機1がメダルMを1枚放出する場合の動作について説明する。
図4に示すように、プレイヤがメダル投入操作をすると、つまりメダル投入装置4のメダル投入孔4cにメダルMを投入すると、メダル投入センサ4dは、このメダルMを検出して検出情報を制御部81に出力する。
プレイヤは、メダルMを投入するタイミングを、メダル落下方向変換部51に応じて、以下のように決めることができる。
【0034】
(a)固定入賞部53を狙う場合には、メダル落下方向変換部51がその方向を向いているときに、メダルMを投入すればよい。
(b)移動入賞部54を狙う場合には、メダルMが移動入賞部54に到達するまでに、移動入賞部54がどの位置に移動しているかを予想して、メダル落下方向変換部51がその方向を向いているときに、メダルMを投入すればよい。
(c)移動テーブルの左右方向Xの端部にメダルMを載置するために、入賞を狙わずに表示部55よりも外側の領域5cを狙うときには、メダル落下方向変換部51がその方向を向いているときに、メダルMを投入すればよい。
【0035】
プレイ進行部81bは、メダル投入センサ4dの出力に応じて、音声出力部12から効果音を出力する。
メダル制御部81aは、メダル投入センサ4dの出力に応じて、メダル送出部21を駆動開始して、レール部22内にメダルを送り出す。レール部22内のメダルMは、先端側に移動する。
図4に示すように、水平部22cの先端に配置されたメダルMは、ストッパ23bによって勢いをつけられて、メダル放出部23の空洞23a内に落下する。メダル放出センサ23cは、空洞23a内に落下したメダルMを検出すると、検出情報を制御部81に出力する。
メダル制御部81aは、メダル放出センサ23cの出力に応じて、メダル送出部21を駆動停止して、メダルMの送出を停止する。以上により、プレイヤが1枚メダルMを投入すると、メダルMが1枚ゲーム盤5に放出される。
なお、プレイ進行部81bは、メダル投入センサ4dの代わりに、メダル放出センサ23cの出力に応じて、効果音を出力してもよい。
【0036】
以上の動作において、メダル投入センサ4dが検出してからメダル放出までに必要な時間、つまり応答時間は、主に、メダルMを送出する時間と、メダルMが空洞23a内を落下する時間との和によって求められる。
メダル放出部23は、前述したように、メダルMを転がす通路等が設けられていないので、メダルMが空洞23a内を落下する時間を大幅に削減でき、この総和を従来よりも大幅に削減できる。なお、応答時間を実測したところ、従来のゲーム機1では、0.5〜1秒程度であったが、実施形態では、0.15秒程度まで削減できた。
また、ゲーム機1は、メダルMが実際に放出されるのとほぼ同時に、効果音を音声出力できる。このため、メダル投入(メダル放出)と効果音の音声出力との時間のずれが小さいので、プレイヤが違和感を感じることがない。
【0037】
このように、ゲーム機1は、プレイヤのメダル投入に対して高い応答性で、メダル放出できる。これにより、ゲーム機1は、メダル投入操作とほぼ同時にメダル放出できるので、プレイヤが狙いたい方向にメダル落下方向変換部51が向いている状態でメダル投入操作されれば、固定入賞部53及び移動入賞部54への入賞の可能性を高くでき、操作性を向上できる。
【0038】
また従来のゲーム機1では、メダル投入からメダル放出までに時間がかかり、プレイヤは、その時間を把握するまでに、数枚から数十枚程度のメダルMを無駄に投入しなければならなかった。これに対して、実施形態のゲーム機1では、高応答性であるためメダルMを無駄に投入する必要がなく、仮にその時間を把握する必要があったとしても、従来よりもそのために投入するメダルMの枚数を少なくできる。
さらに、上記(b)のように、移動入賞部54が左右方向Xに往復移動しても、高応答性によりプレイヤによる狙いをつけやすくできる。
【0039】
(メダルMを連続して放出する場合の動作)
メダルMを1枚放出する場合の動作は、前述した(メダルMを1枚放出する場合の動作)を繰り返して行うものである。
メダル投入装置4は、前述したように、連続投入に適した装置である。図2に示すように、メダルMを連続投入する場合の時間間隔は、案内溝4aの奥壁4eが斜面になっているので、メダルMがこの斜面からある程度の摩擦抵抗を受けながら滑落する時間になる。
一方、図4に示すように、メダル放出部23は、メダルMを空洞23a内で落下させるので、メダルMにはほとんど抵抗がかからない。このため、メダル放出部23が時間当たりに連続放出可能な枚数は、メダル投入装置4が時間当たりに連続投入可能な枚数よりも多い。これにより、メダル送出部21は、メダル投入装置4の連続投入に対応して、メダルMを放出できる。すなわち、メダル放出部23は、上記説明した構成であるからこそ、メダル投入装置4の連続投入可能な枚数に対応した、メダル放出をすることができる。
なお、メダル放出部23は、メダル放出部23から連続で落下しても、放出するメダルMが重ならない程度まで、時間当たりに連続放出可能な枚数を高めることができる。
【0040】
(プレイ進行処理)
プレイ進行部81bのプレイ進行処理について、説明する。
ゲーム盤5に放出したメダルMが、固定入賞部53、移動入賞部54に入賞すると、固定入賞部センサ53b、移動入賞部センサ54bが入賞したメダルMを検出して、検出情報を制御部81に出力する。プレイ進行部81bは、固定入賞部センサ53b、移動入賞部センサ54bの出力に応じて、表示部55のスロットを回転させて、所定の数字が揃うと、ボーナスゲームを開始する。
【0041】
ボーナスゲーム中は、プレイ進行部81bは、移動入賞部54の移動速度を速くする。この場合であっても、メダル投入から放出までの応答性が高いので、プレイヤは、移動入賞部54を狙ってメダル投入できる。そして、移動入賞部54にメダルMが入賞すると、プレイ進行部81bは、移動入賞部センサ54bの出力に応じて、メダルMを大量に払い出す。
なお、プレイ進行部81bは、移動入賞部54の代わりに、メダル落下方向変換部51の揺動速度を変更してもよい。この場合であっても、メダル投入から放出までの応答性が高いので、プレイヤは、移動入賞部54を狙ってメダル投入できる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のゲーム機1は、プレイヤのメダル投入操作に応じて、高い応答性でメダル放出でき、また連続投入装置に適した構成にできる。
【0043】
また、前述した特許文献1の発明のように、レール先端からメダル落下口(メダル放出部)まで通路が設けられている場合には、通路内でのメダルの通過速度が遅くなるため、メダル投入操作に応じた応答性が低い。このため、特許文献1の発明は、左右にそれぞれメダル放出部及びメダル送出装置を設けて応答性を高くする必要がある。また、メダル落下方向変換部を各メダル放出部に対応して設ける必要があり、高コストになってしまう。
これに対して、本実施形態のゲーム機1は、メダル放出の応答性を高くすることにより、メダル放出部23を1つのみ設ければよく、またメダル落下方向変換部51の揺動角度を、ゲーム盤5の左右方向Xの範囲を全てカバーできるようにしている。このため、ゲーム機1は、メダル落下方向変換部51が1つのみであっても、ゲーム盤5のメダル落下領域をカバーでき、低コストで製造できる。
【0044】
さらに、前述した特許文献1の発明のように、通路内の通過速度が遅いと、前後のメダルの重なりを防止する程度に応答時間に設定すると、通過速度が遅い分、時間当たりのメダルの放出枚数が制限されてしまう。
これに対して、本実施形態のゲーム機1は、ストッパ23bがメダルMに下側Z1に勢いをつけて落下させる。またメダルMは、重力によって加速し、かつほとんど無抵抗で落下する。このため、ゲーム機1は、メダルMをゲーム盤5に直接落下するように放出でき、メダルMを高速でゲーム盤5に到達させ、前後のメダルMの重なりを防止する程度に応答時間に設定しても、時間当たりのメダルMの放出枚数を向上できる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0046】
(変形形態)
実施形態において、メダル送出動作(メダル放出動作)は、メダル投入センサ4dが投入されたメダルMを検出することにより行われる例を示したが、これに限定されない。例えば、メダルを放出するために操作する操作ボタンを操作パネルに設けておいてもよい。この場合には、プレイヤによる連続放出操作を簡単にできるし、またメダル投入装置4のような連続投入可能な枚数に制限されないため、メダル放出部23が時間当たりに連続放出可能な上限の枚数のメダルMを放出できる。
【符号の説明】
【0047】
1…ゲーム機 4…メダル投入装置 4c…メダル投入孔 4d…メダル投入センサ 5…ゲーム盤 12…音声出力部 21…メダル送出部 22…レール部 23…メダル放出部 51…メダル落下方向変換部 53…固定入賞部 54…移動入賞部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤがメダル投入操作する操作部と、
前記操作部の操作に応じて、メダルを送出するメダル送出部と、
前記メダル送出部が送出したメダルを搬送するレール部と、
表面が鉛直になるように配置された盤面と、
前記レール部の先端に設けられ、前記レール部により搬送されたメダルを前記盤面に直接落下させるように放出するメダル放出部と、
前記盤面に設けられ、前記メダル放出部が落下したメダルが入賞するメダル入賞部と、
前記メダル放出部及び前記メダル入賞部の間に配置され、左右方向に往復して揺動し、前記メダル放出部から放出されたメダルの落下方向を変えるメダル落下方向変換部と、
を備えるメダルゲーム機。
【請求項2】
請求項1に記載のメダルゲーム機において、
前記メダル放出部は、前記盤面の左右方向の中央かつ上部に1つのみ配置され、
前記メダル落下方向変換部は、前記メダル放出部及び前記メダル入賞部の間に1つのみ配置され、前記盤面のメダル落下領域をカバーする揺動角度を有すること、
を備えるメダルゲーム機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のメダルゲーム機において、
前記操作部は、プレイヤがメダルを投入するメダル投入部を備え、
前記メダル投入部に投入されたメダルを検出するメダル投入検出部を備え、
前記メダル送出部は、前記メダル投入検出部の出力に応じてメダルを送出し、前記メダル放出部からメダルを放出すること、
を特徴とするメダルゲーム機。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のメダルゲーム機において、
前記操作部は、プレイヤがメダルを連続して放出する操作である連続放出操作が可能な投入装置を備え、
前記メダル送出部は、前記操作部の連続放出操作に対応し、かつ前記メダル放出部が放出するメダルが連続しても重ならない応答時間で、メダルを送出すること、
を特徴とするメダルゲーム機。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のメダルゲーム機において、
前記メダル入賞部は、左右方向に往復移動すること、
を特徴とするメダルゲーム機。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のメダルゲーム機において、
前記操作部の操作、又は前記メダル放出部からのメダル放出に応じて、効果音を出力する音声出力部を備えること、
を特徴とするメダルゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−50751(P2012−50751A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197132(P2010−197132)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)