説明

メダルゲーム装置、メダルゲームの制御方法、および該制御方法を実現させるプログラムを記憶した記録媒体

【課題】ゲームのスキルや知識の有無によるメダルの払出量の差異を減少させ、初心者から上級者まで幅広い客層の遊戯者がゲームを楽しむことができるメダルゲーム装置、メダルゲームの制御方法、および該制御方法を実現させるプログラムを記憶した記録媒体を提供する。
【解決手段】投入メダルが筐体内の入賞口を通過することにより入力操作が実行されるメダルゲームにおいて、所定のサンプリング時間までの間の投入メダル枚数に対する入賞メダル枚数の比率を算出するとともに、該比率に基づいて遊戯者のスキルレベルを判別し、その判別の結果、遊戯者のスキルレベルが所定のレベルの場合には、メダルの払出処理を実行する際に参照されるメダル払出データを変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームの結果に応じて、メダルやコインなどの遊戯媒体が払出、または装置内の仮想メダルポイントが加算されるタイプのメダルゲーム装置、メダルゲームの制御方法、および該制御方法を実現させるプログラムを記憶した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のメダルゲーム装置として、投入したメダル枚数などに応じて大当たり(以下、ジャックポットという)用の積み立てを行い、所定の条件を満たした際に通常のジャックポット(JP)に加えて、積み立て分を上乗せすることで特別なジャックポットを発生させることにより、払出し枚数を大幅に変化させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。また、複数の遊戯装置毎のプレイ状況をシステム内に設置されたサーバ装置で監視するとともに、該サーバ装置によるプレイ状況判断に基づいて特別なジャックポットゲームを実行させ、通常のジャックポット払出しに加えて特別なジャックポット払出しを行うことにより、多くの遊戯者が同時に遊んで盛り上がれるような工夫をしたものも知られている(例えば、特許文献2)。ジャックポットが発生する所定の条件としては、例えば、各遊戯装置それぞれのメインゲームにおいてジャックポットポイントを獲得することでジャックポットゲージを最大まで貯める、あるいはメインゲーム中に所定条件を満たすことで発生する各種ミニゲームなどでジャックポット発生役を成立させるなどの条件が適用されている。
【0003】
これまでのメダルゲーム装置では、筐体デザインやゲームルール、および設置される店舗などが、子供向けの製品と一般層(大人)向けの製品との間で明確に差別化されていた。すなわち、子供向けのメダルゲーム装置では、ゲームルールが簡略化されており、かつ、払出し入賞に至る過程における高度なスキルなどは不要であった。一方、一般層向けのメダルゲーム装置では、遊戯者がスキルを上達することによって、より多くのメダルの払出しを受けることができる仕様になっており、これがゲームの趣向性の一部に含まれているものが多かった。
【0004】
したがって、従来のメダルゲーム装置においては、全般的にゲームの知識およびスキルが低い子供は上記子供向けの製品で遊戯することが多かったため、そのような遊戯者でも開発者側の想定した遊び方により期待値どおりのメダル払出しを受けることができ、十分にゲームを楽しむことができていた。また、従来の一般層向けのメダルゲーム装置では、ゲームの知識およびスキルが高い上級者層が遊戯者であったため、例えば、上述したようなジャックポットの発生契機直前で遊戯台から去ってしまい、大量のメダル払出しを得ることができないといった該遊戯者にとって不利益となる行為は殆ど見受けられなかったため、同様に十分にゲームを楽しむことができていた。
【0005】
【特許文献1】特開平6−246068号公報
【特許文献2】特開2008−29648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、近年、メダルゲーム装置の趣向性を向上させることを目的として、複数の異なる種類のゲームが1つのシステム内でプレイされるメダルゲームシステムが提供されている(例えば特許文献2参照)。このようなメダルゲームシステムでは、子供から大人まで幅広いスキルレベルの遊戯者が混在してプレイすることが予想されるため、特にゲームの知識やスキルが乏しい初心者は、上述したような不利益な行為をとってしまう可能性があった。
【0007】
また、近年の一般層向けメダルゲーム装置では、遊戯者のスキルやゲーム知識に応じてメダルの払出量に大きな差異が生じ易い傾向にある。一般的に、この種のメダルゲーム装置の遊戯者は、予めメダル貸機からメダルを入手してプレイするため、遊戯者が子供などの初心者である場合、手持ちのメダルを使い切った時点でジャックポット(JP)の発生契機が直前に迫っていたとしても、ゲームの継続を断念してしまう可能性が高かった。また、プッシャータイプと呼ばれるタイプのゲーム機においては、ゲーム装置内の盤面上にある入賞口(いわゆる「チャッカー」、「チャッカー」、または「ターゲット」と呼ばれる)に対してメダルを通過させたり命中させたりすることで入賞と判定され、該判定によりメダルの払出し及び抽選による特典を得てゲームを進行させることが一般的であるが、遊戯者のスキルによって生じる入賞率(標的に対して投入したメダルが通過又は命中する率、つまり入賞メダル枚数/投入メダル枚数)の格差により、スキルやゲーム知識の低い初心者は、無駄なメダルを大量に消費してしまい、ジャックポットの発生契機に達する前にゲームへの期待感が薄れ、遊戯台を離れてしまうことが多かった。このような行動により、子供層などの初心者に払い出されるべきメダル量が、本来開発側が意図していたメダル払出量よりも減少してしまい、この結果、メダルゲームを遊戯する子供層などに対して十分な満足感を与えることができない、という問題が生じていた。
【0008】
なお、ここでいうプッシャーゲーム機での払出しとしては、ゲーム装置内部に払出し枚数分のメダルが払い出される第1の払出しと、ゲーム装置から遊戯者に対してメダルが払い出される第2の払出しの2種類が挙げられる。具体的な例としては、ゲーム装置内部に一旦払い出されたメダルが更にプッシャーメカと呼ばれるスライドする盤面(プッシャー)により押し出され間接的に筐体内部より払い出される場合、および当選等で取得されたメダルポイントに応じたメダルが直接払出しホッパーメカによって遊戯者に払い出される場合、またそれらの組み合わせとして、プッシャーメカのスライド等によりゲーム装置内部に設定された遊戯者払出しゾーンなどに落下した分のメダル枚数が前記払出しホッパーによって筐体外側に払いださせれる場合とがある。本願においては、第1・第2のいずれの場合についても払出しとして扱うこととする。
【0009】
さて、一方、優れたスキルおよび詳細なゲーム知識を有する上級者は、上述したような初心者が遊戯したことによりJP発生契機が直前に迫っているような空台に着いてプレイすることにより、少ないメダル投入枚数でジャックポット(JP)を引き当ててしまうことが可能であった(通称「ハイエナ行為」)。これにより、本来初心者層の遊戯者が獲得可能であったメダルの払出しがこのような上級者層に流れてしまう、という問題があった。
【0010】
したがって、当分野の開発者や運営者などの間では、初心者から上級者までの幅広い遊戯者層による稼働を期待することができないために、集客率および稼働率の低下が懸念されており、上述したような初心者と上級者との間におけるメダルの払出量の格差を解消するような手段および制御方法を備えたメダルゲーム装置が求められていた。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ゲームのスキルや知識の有無によるメダルの払出量の差異を減少させ、初心者から上級者まで幅広い客層の遊戯者がゲームを楽しむことができるメダルゲーム装置、メダルゲームの制御方法、および該制御方法を実現させるプログラムを記憶した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、遊戯者によるメダルの投入を検知してゲームの入力操作が実行されるメダルゲーム装置において、前記遊戯者により投入される前記メダルを検知する投入メダル検知手段と、メダルが入賞口を通過したことを検知して入賞処理を行う入賞メダル検知手段と、前記入賞メダル検知手段からの検出信号に応じてメダル払出データを参照してメダルを前記遊戯者に払い出すメダル払出手段と、所定のサンプリング時間内における投入メダル枚数に対する入賞メダル枚数の比率である入賞率を算出し、該比率に基づいて前記遊戯者のスキルレベルを判別するスキルレベル判別手段と、前記スキルレベル判別手段によって判別された前記遊戯者のスキルレベルが所定のレベルの場合に、前記メダル払出手段が参照するメダル払出データを変更する払出データ変更手段とを備えていることにより、達成される。
【0013】
また、本発明の上記目的は、前記払出データ変更手段が、前記入賞処理を行なう際に参照されるメダル払出データを、前記入賞率と予め設定されている想定値との相違割合に応じて変更することにより、効果的に達成される。
【0014】
また、本発明の上記目的は、前記入賞メダル枚数または前記投入メダル枚数に応じて、大当りポイントを積み立てる大当りポイント貯蓄手段と、前記大当り貯蓄手段によって積み立てられた大当りポイントが予め設定されている大当り発生ポイント値に達した際に、大当りゲーム演出を実行する大当りゲーム演出実行手段とをさらに備えていることにより、効果的に達成される。
【0015】
また、本発明の上記目的は、前記払出データ変更手段が、前記大当りゲーム演出時に払出されるメダル枚数を、前記サンプリング時間内における入賞メダル枚数と予め設定されている想定入賞メダル枚数との相違割合に応じて変更することにより、効果的に達成される。
【0016】
また、本発明の上記目的は、前記払出データ変更手段が、1回の入賞時に前記大当りポイント貯蓄手段によって積み立てられる前記大当り演出による払出し発生に必要な大当りポイントの加算量を変更することにより、効果的に達成される。
【0017】
また、本発明の上記目的は、前記スキルレベル判別手段による前記サンプリング時間は、前記大当りポイントが初期の状態から前記大当たり演出による払出し発生に必要な大当り発生ポイント値に到達するまでに要する平均時間の半分に設定されていることにより、効果的に達成される。
【0018】
また、本発明の上記目的は、前記スキルレベル判別手段による前記サンプリング時間の計時開始は、前記大当りポイントが初期状態である時点、または、予め設定された未遊戯設定時間内に前記メダルが前記投入メダル検知手段によって1枚も検知されなかった後に、最初の投入メダルが検知された時点であることにより、効果的に達成される。
【0019】
また、本発明の上記目的は、前記ポイント貯蓄手段によって積み立てられた前記大当りポイントの状態を表示する大当りポイントゲージ表示手段をさらに備えていることにより、効果的に達成される。
【0020】
また、本発明の上記目的は、遊戯者によるメダルの投入を検知してゲームの入力操作が実行されるメダルゲームの制御方法において、前記遊戯者により投入される前記メダルを検知する投入メダル検知ステップと、メダルが入賞口を通過したことを検知して入賞処理を行う入賞メダル検知ステップと、前記入賞メダル検知ステップからの検出信号に応じてメダル払出データを参照してメダルを前記遊戯者に払い出すメダル払出ステップと、
所定のサンプリング時間内における投入メダル枚数に対する入賞メダル枚数の比率である入賞率を算出し、該比率に基づいて前記遊戯者のスキルレベルを判別するスキルレベル判別ステップと、前記スキルレベル判別ステップによって判別された前記遊戯者のスキルレベルが所定のレベルの場合に、前記メダル払出手段が参照する前記メダル払出データを変更する払出データ変更ステップとを含むことにより、達成される。
【0021】
また、本発明の上記目的は、前記払出データ変更ステップが、前記入賞処理を行なう際に参照されるメダル払出データを、前記入賞率と予め設定されている想定値との相違割合に応じて変更することにより、効果的に達成される。
【0022】
また、本発明の上記目的は、前記入賞メダル枚数または前記投入メダル枚数に応じて、大当りポイントを積み立てる大当りポイント貯蓄ステップと、前記大当り貯蓄ステップによって積み立てられた大当りポイントが予め設定されている大当り発生ポイント値に達した際に、大当りゲーム演出を実行する大当りゲーム演出実行ステップとをさらに含むことにより、効果的に達成される。
【0023】
また、本発明の上記目的は、前記払出データ変更ステップが、前記大当りゲーム演出時に払出されるメダル枚数を、前記サンプリング時間内における入賞メダル枚数と予め設定されている想定入賞メダル枚数との相違割合に応じて変更することにより、効果的に達成される。
【0024】
また、本発明の上記目的は、前記払出データ変更ステップが、1回の入賞時に前記大当りポイント貯蓄ステップによって積み立てられる前記大当り演出による払出し発生に必要な大当りポイントの加算量を変更することにより、効果的に達成される。
【0025】
また、本発明の上記目的は、前記スキルレベル判別ステップによる前記サンプリング時間は、前記大当りポイントが初期の状態から前記大当たり演出による払出し発生に必要な大当り発生ポイント値に到達するまでに要する平均時間の半分に設定されていることにより、効果的に達成される。
【0026】
また、本発明の上記目的は、前記スキルレベル判別ステップによる前記サンプリング時間の計時開始は、前記大当りポイントが初期の状態である時点、または、予め設定された未遊戯設定時間内に前記メダルが前記投入メダル検知ステップによって1枚も検知されなかった後に、最初の投入メダルが検知された時点であることにより、効果的に達成される。
【0027】
また、本発明の上記目的は、前記ポイント貯蓄ステップによって積み立てられた前記大当りポイントの状態を表示する大当りポイントゲージ表示ステップをさらに含むことにより、効果的に達成される。
【0028】
さらに、本発明の上記目的は、前記メダルゲームの制御方法を実現させるプログラムを記憶した記録媒体により、達成される。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るメダルゲーム装置、メダルゲームの制御方法、および該制御方法を実現させるプログラムを記憶した記録媒体によれば、最初に投入されたメダルが検知された時点から所定のサンプリング時間までの間の投入メダル枚数に対する入賞メダル枚数の比率を算出するとともに、該比率に基づいて遊戯者のスキルレベルを判別し、その判別の結果に応じて、入賞によるメダル払出データの変更、または抽選処理する際に参照するメダル払出データの変更、あるいはその両方の処理を実行することによって、メダルの払出量を一時的に変更するようになっている。これにより、例えば、初心者と判別された遊戯者に対しては払出量を増加させるなどの救済処置をとることができるので、ゲームのスキルや知識の有無によるメダルの払出量の差異を減少させることができる。この結果、初心者から上級者までの幅広い遊戯者層が十分に満足して楽しむことができ、稼働率および集客率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照にしながら本発明の実施形態について説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係るゲームシステムの一例を概略的に示す構成図であり、図2は、そのゲームシステムの一例の外観を概略的に示す斜視図である。
【0032】
図1に示すように、本実施形態に係るゲームシステムでは、複数のメダルゲーム装置1A〜1Dがネットワーク2を介してサーバ装置3に接続された構成になっており、各メダルゲーム装置1A〜1Dでは、それぞれ異なるメインゲームが実行される。なお、本実施形態では説明を簡略化するために、4つのメダルゲーム装置GM1〜GM4がサーバ装置3に接続されたゲームシステムを一例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、各独立した複数のメダルゲーム装置1において独立して実行させることも可能であり、また、1つのサーバ装置3に接続されているメダルゲーム装置の数は適宜変更することができる。
【0033】
図2に示すように、各メダルゲーム装置1A〜1Dの前には、1人ないし2人が着席可能な椅子4A〜4Dが配設されている。各メダルゲーム装置1A〜1Dは、上述したメインゲームおよび該メインゲームによるジャックポット(JP)ゲーム以外に、種々のミニゲームが行なえる他、複数の遊戯者が同時に参加可能なスーパージャックポット(SJP)ゲームを実行することができ、このSJPゲームに当選した遊戯者には大量のメダルが払い出されるようになっている。
【0034】
図3は、本発明の実施形態に係るメダルゲーム装置(サテライト)の外観を概略的に示す斜視図である。同図において、メダルゲーム装置1は、メダルMを方向設定しつつ筐体5の内部空間5aに投入可能なハンドル6を備え、該ハンドル6の一側面にはメダル投入口6aが形成されている。また、少なくとも前面部に外部から視認可能な透明窓7が配設された筐体5の内部空間5aには、ゲーム画面などを表示する表示ディスプレイ(液晶モニタ等)8、および底面の所定位置に配された複数の入賞口(チャッカー)9が設けられている。
【0035】
このような構成からなるメダルゲーム装置1では、ハンドル14を介して投入されたメダルMが表示ディスプレイ8に表示されたアイテム等に対応する位置の入賞口9を通過すると、後述する制御処理により入賞抽選演出が表示ディスプレイ8に表示される。そして、入賞の状況、または入賞等により条件を満たした場合に発生する抽選の結果に応じて、筐体5の内部空間5a内に所定枚数のメダルの払出しが実行され、その払い出されたメダルMが筐体5の前面中央部に設けられたシュート部10に落下される。これにより、その枚数分のメダルがペイアウトホッパーより筐体5の外部に払い出され、遊戯者に対するメダルの払出しが実行される。
【0036】
また、筐体5の上面部には、上述したジャックポット(JP)またはスーパージャックポット(SJP)のゲーム参加権利取得時、及び当選時に演出として点灯・点滅する回転灯(パトライト)などからなるサテライト側当選報知手段(第1報知部)11が配設されている。遊戯者および他の遊戯者は、この第1報知部11の点灯・点滅を視認することにより、JPの当選またはSJPゲームへの参加、及び当選中であるメダルゲーム装置1を確認することができる。
【0037】
図4は、本発明の実施形態に係るメダルゲーム装置(サテライト)における制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【0038】
同図に示すように、各メダルゲーム装置1の筐体5の内部には、少なくとも、ゲーム中の演出などを含むゲームの進行を制御するCPU、各種プログラムやデータテーブルなどが格納されたROM、一時データの記録領域およびCPUのワークエリアとして機能するRAMを備えたサテライトボード12が搭載されている。このサテライトボード12には、ハンドル6の内部に配設され、該ハンドル6を介して投入されたメダルMを検知する投入メダルセンサ13と、各入賞口(「チャッカー」、「チェッカー」、または「ターゲット」等とも呼ばれる)9に配設され、表示ディスプレイ(LCD)8に表示されたアイテム等に対応する入賞口9を通過したメダルMを検知する入賞メダルセンサ14と、ゲームメニューモードやミニゲーム実行中の選択・決定操作を入力するためのボタンスイッチ15と、各メダルゲーム装置のリセット、あるいはメンテナンス実行時に使用されるメンテナンススイッチ15とが接続されている。
【0039】
また、サテライトボード12上には、入賞メダルセンサ13からの検出信号に応じて、予め設定されているメダル払出データに基づく抽選処理を実行する抽選処理部17と、該抽選処理部17による抽選結果に応じて、所定量のメダルMを遊戯者に払い出す払出メダル制御部18と、所定のサンプリング時間内における投入メダル枚数に対する入賞メダル枚数の比率(入賞率)に基づいて遊戯者のスキルレベルと判別するスキルレベル判別部19と、該スキルレベル判別部19の判別結果に応じて、払出データを一時的に変更する払出データ変更部20と、入賞メダル枚数や投入メダル枚数に応じてジャックポットの発生条件となるJPポイントを積み立てて記録するJPポイント貯蓄手段21とが備えられている。
【0040】
さらに、サテライトボード12上には、入賞メダル枚数や投入メダル枚数に応じて、スーパージャックポット(SJP)の発生条件となるSJPポイントを積み立てて記録するSJPポイント貯蓄部22と、投入メダルセンサ13からの検出信号に基づいて当該サテライト1が遊戯中であるか否かを判断するメダル投入フラグ判断部23と、上述した以外のゲーム演出などのメイン制御を実行するサテライトメイン制御部24と、ネットワーク2を介して接続されたサーバ装置3や他のサテライト1との通信制御を実行する通信部25とが備えられている。
【0041】
サテライトボード12上のこれらの構成要素による処理は、制御プログラム、各種設定データやテーブルなどが記憶されたワーキングメモリ(ROM,RAM等)とCPUとの協働によって実行される。また、上述した各構成要素は、機能上、別ブロックとして記載されているが、実際にはメイン制御部25または異なる処理部で処理される構成であってもよい。
【0042】
また、サテライトボード12には、サテライトボードからの出力信号に応じてゲーム画像などを表示するLCD8および音声を出力するスピーカ26と、サテライトホッパー27、ペイアウトホッパー28、振り分け部29、スロープ部30、JPメカ部31およびプッシャーメカ部32を有するプッシャーゲームユニット33と、当選報知手段(第1報知部)11およびハロゲンランプ34の点灯・点滅を制御する第1報知部制御基板35とが接続されている。
【0043】
プッシャーゲームユニット33において、サテライトホッパー27は、振り分け部29とゲーム中の遊戯者へのメダル獲得に対してゲーム装置内部空間5a内にメダル払出しを行なう。単純にメダルゲーム装置1の内部空間5aに対してメダル払出しを行なう場合には、振り分け部29は、内部空間のスロープ部30側にメダル払出しを行う。一方、いわゆるJP払出し権を獲得した場合には、振り分け部29は、JPメカ部31側に対してメダル払出しを予め実行し、かつ、メダルが内部に貯留されたJPメカ部31は、サテライトメイン制御部25から出力されたJP払出し制御信号に基づいて、筐体内部のスロープ部30上にJP払出しとしてメダルの放出を実行する。いずれの払出しの場合でも、前記スロープ部30上におけるプッシャーメカ部32の前後運動に伴なって、押し出し盤(プッシャーユニット)によるメダルの押し出しが行なわれ、スロープ部30上に堆積されたメダルがシュート部10に向かって押し出される。押し出されたメダルの一部は、シュート部10に備えられたメダルカウント手段によってカウントされ、カウント分の枚数のメダルがペイアウトホッパー28によって筐体5の外部側の遊戯者に対して払い出される。
【0044】
図5は、本発明の実施形態に係るメダルゲーム装置におけるゲーム演出画像の一例を示す図である。同図に示す画像は、複数の異なるメダルゲーム装置1A〜1Dの中の1つで実行されるメダルゲームにおいて表示ディスプレイ(LCD)8に出力されるゲーム演出画像であり、このゲーム演出画像の出力制御は、当該メダルゲーム装置1のサテライトボード12によって実行される。
【0045】
同図において、画面の下部に表示されている標的キャラクタ8aは、ハンドル6から投入されたメダルMの標的となるアイテム(ここでは「蓋」や「お茶」)であり、ターンテーブルに沿って移動するように制御されている。遊戯者は、この標的キャラクタの位置と対応する下方の入賞口8を投入したメダルMで狙い、その的中の可否が入賞メダルセンサ14によって検出される。入賞メダルセンサ14によって入賞メダルが検知されると、画面の左上部および右上部に表示されているルーレット8bが回転し、抽選処理部18による抽選結果に応じて、所定量のメダル払出しやJPポイント貯蓄部21によるJPポイントの積み立て処理が実行される。このJPポイント貯蓄部21によるJPポイントの積み立て状況は、画面最上部に表示されているJPポイントゲージ(ここでは「おさんぽゲージ」)8cで視認することができる。また、画面の中央上部には、SJPポイント貯蓄部22によるSJPポイントの積み立て状況を把握することができるSJPポイントゲージ(ここでは「スーパージャックポットアイコン」)が表示されている。
【0046】
なお、このメダルゲームでは、入賞メダルのストック機能が搭載されており、現時点のストック数については、標的キャラクタ8aが移動しているターンテーブルの上方に表示されたストックキャラクタ8eの数量によって認識できるようになっている。
【0047】
上述したスキルレベル判別部19は、例えば、所定のサンプリング時間内における入賞率が所定のパーセンテージ、一例として50%以上であるか否かを判定基準として設定し、その入賞率を下回った場合には当該遊戯者のスキルレベルが初心者レベルであると判別するようになっている。そして、スキルレベル判別手段19によって初心者レベルであると判別された場合には、払出データ変更部20によって、抽選処理部17が抽選処理を実行する際に参照するメダル払出データを変更する処理が実行され、これにより、初心者救済処置が実現される。このメダル払出データの変更は、例えば、初心者レベルの場合に当選確率(JP発生確率)を入賞率と予め設定されている想定値との相違割合に応じて上昇させる、あるいは、1回入賞時にJPポイント貯蓄部21(SJPポイント貯蓄部22)によって積み立てられるJPポイント(SJPポイント)の加算量を上記相違割合に応じて上昇させる、などである。
【0048】
また、スキルレベル判別部19におけるサンプリング時間は、おおよそ一般的な遊戯者がJPポイント貯蓄部21により積み立てられるJPポイントゲージが初期状態から最大値にまで到達するのに要する平均時間の半分(JPポイントゲージが最大値まで到達するのに要する平均時間が30分である場合には15分)に設定されている。なお、このサンプリング時間の設定は、これに限定されず、例えばJPポイントゲージが最大値に到達する時間が短いゲームなどでは、その時間を平均時間の半分よりも長く(例えば75%前後)に設定してもよい。また、時間を用いて遊戯者レベル判断するのに誤差が生じ易いような場合には、入賞メダル枚数がJPポイントゲージが初期状態から最大値に到達するのに要する入賞メダル枚数のおおよそ半分の枚数に到達するまで、すなわち、時間ではなく投入されたメダル枚数をサンプリング判断の基準と設定してもよい。
【0049】
また、このスキルレベル判別部19によるサンプリング時間の計時開始は、JPポイントゲージが初期状態となった時点、または予め設定されている未遊戯設定時間内(例えば30分間)に投入メダルセンサ13によって投入メダルが1枚も検知されなかった場合にリセットし、その後、最初にメダルが検知された時点より計時開始が行なわれるよう設定されている。一般的に、初心者であってもいわゆるジャックポット的な大当たりが発生した場合(つまりJPゲージが初期状態になった場合)には、それを契機として席を替わることが多く、また、ジャックポット発生に至る途中で何らかの理由で席を立った場合には、しばらくの間、当該装置は遊戯者がいない状態となる。したがって、これらの状況に対応するために、上述のようなサンプリング時間の計時開始が設定されている。。
【0050】
また、上述した処理とは別の初心者救済処置として、想定値を下回った無駄な投入メダルを貯留しておき、例えばサンプリング時間内における入賞率が想定入賞率(一例として50%と設定)よりも5%以上下回った遊戯者に対して、上記貯留されたメダルを原資として、JPの当選時に前記貯留分のメダルの一定比率を本来のJP払出し枚数に追加して払出しを行なうような初心者救済の調整をかけるようにしてもよい。例えば、ある遊戯者が100枚のメダルを投入し、その結果、入賞口に到達した枚数が40枚であったとした場合、想定入賞率である50%、つまり50枚に対して10枚分が無駄な投入メダルとなる。この無駄な投入メダル10枚は、全体の投入枚数の10%にあたるので、初心者判定無駄メダル閾値を5%とした場合、その閾値を超えていることになる。したがって、その10枚分を貯留メダルとして内部メモリに記録しておき、JP当選時に通常のJP払出し枚数に10枚分のうちの一部(一例として30%)である3枚分を追加して払い出す。
【0051】
図6は、本発明の実施形態に係るメダルゲーム装置に接続されたサーバ装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、サーバ装置3の筐体36の内部には、種々の処理を実行するサーバ装置ボード37が搭載され、該サーバ装置ボード37には、サーバ装置3のリセット時あるいはメンテナンス実行時に使用されるメンテナンススイッチ38と、フラッシュメモリ等からなるメディアの読込/書込を実行するメディア読込/書込部39とが接続されている。
【0052】
また、サーバ装置ボード36には、SJPインジケータ40,41、サイドLED42,43、ビルボード44等を有するサーバ装置電飾部45と、メンテナンスの表示に使用されるメンテナンスLCD46と、サーバ側当選報知手段(第2報知部)47の点灯・点滅を制御する第2報知部制御基板48と、サーバ装置ボード36によって制御された音声(効果音や警告音等)を出力するスピーカ49とが接続されている。
【0053】
サーバ装置ボード35上には、SJP抽選タイミング設定部50と、メダル投入フラグ保持部51と、SJP抽選タイミングやSJP発生が確定した後に、一定時間その状況を潜伏して演出を行なう際のタイミング判定に用いられるタイマー部52と、選択されたサテライトを記憶する選択サテライト記憶部53と、SJPの一次抽選や二次抽選などを行なうSJP抽選処理部54と、メディア読込/書込部39に接続されたメディア内情報にスクランブル等の暗号化処理を実行する復号部56と、SJP開始までの潜伏状況を設定し、サテライト側の状況に応じてその開始タイミング設定するSJP潜伏タイミング設定部57と、第1報知部11および第2報知部47の点灯、消灯、回転などを制御する当選報知制御部58と、ネットワーク2を介して接続された各サテライト1A〜1Dとの通信制御を実行する通信部59と、サテライト側の状況を該通信部59より取得した上で、SJP潜伏タイミング設定部57にその状況を送信するサテライト状況判断部60と、上述した以外のメイン制御を実行するサーバ装置メイン制御部61とを備えている。
【0054】
なお、このサーバ装置ボード37のこれらの構成要素による処理は、上述したサテライトボードと同様、制御プログラム、各種設定データやテーブルなどが記憶されたワーキングメモリ(ROM,RAM等)とCPUとの協働によって実行され、かつ、上述した各構成要素は、機能上、別ブロックとして記載されているが、実際にはメイン制御部61または異なる処理部で処理される構成であってもよい。
【0055】
また、本実施形態のメダルゲームシステムでは、各メダルゲーム装置1A〜1Dにおいて、ノーマルゲーム中の投入メダルのポイントに対する所定割合のポイントがSJPポイント貯蓄部22に蓄積され、該蓄積ポイントが所定値以上になった場合に当該サテライト1がSJPの抽選対象として選択される。
【0056】
SJPの処理において、サーバ装置3のJP抽選タイミング設定部50によって設定されるSJPの抽選タイミングは、例えば、30〜60分の間の時間を乱数によって選択することにより設定される。なお、このタイミングの設定は、これに限定されるものではなく、例えば、一定時間毎に抽選を行なったり、各サテライト1A〜1Dのメダル投入状況に応じてその時間の増減を調整するようにしてもよい。
【0057】
サーバ装置3のメダル投入フラグ保持部51は、各サテライト1A〜1Dにおけるメダルの投入履歴を保持する。各サテライト1A〜1Dのメダル投入フラグ判断部23は、所定時間(例えば1分)毎に投入メダルセンサ13からの信号に受けて、その情報を所定タイミングに応じて記憶し、サーバ装置3に送信する。この送信に対して、サーバ装置3のメダル投入フラグ保持部51は、所定回数(例えば3回分)の受信データ(コイン投入の有無)を保持する。これにより、サーバ装置3は、各サテライト1A〜1Dにおける遊戯者の有無を判別することが可能である。なお、各サテライト1A〜1Dのメダル投入フラグ判断部23は、例えば、メダルMがメダル投入口6aなどで詰まった場合、あるいは、投入メダルセンサ13の不具合により恒常的にON状態になっている場合には、メダル投入フラグをオフとして判断するように設定されていてもよい。これにより、各サテライト1A〜1Dにおける遊戯者の有無は、より正確に判別される。
【0058】
サーバ装置3の選択サテライト記憶部53は、タイマー部52によってSJP抽選を開始するタイミングであると判断された際に、メダル投入フラグ保持部51により判断された各サテライト1A〜1Dの使用状況を記憶する。ここで、使用中のサテライト台数が所定台数に満たない場合にはSJP演出処理を中止する。一方、使用中のサテライト台数が所定台数以上である場合には、サーバ装置3は、各サテライト1A〜1DのSJPポイント貯蓄部22に記憶されている投入メダルやクレジットなどの蓄積ポイントの送信を各サテライトボード12に要求し、その状況を参照する。その結果、その蓄積ポイントが所定値以上のサテライト1が存在した場合には、そのサテライト1をSJP演出処理の対象として記憶し、SJP演出処理を継続する。この際、当選報知制御部58は、第2報知部制御基板48を介して、サーバ装置3の第2報知部47を短時間(例えば1秒間)回転点灯させるように制御する。
【0059】
SJP抽選処理を実行するSJP抽選処理部54は、選択サテライト記憶部53に記憶されたサテライト1に対して、ボーナスゲームであるSJPゲーム発生の一次抽選を行なう。この一次抽選の処理は、例えば、SJP抽選処理部54によって発生された乱数が所定値よりも大きいか否かを判断基準として実行される。このSJP集線処理部54による一次抽選に応じて、当選報知制御部58は、第1報知部制御基板35を介して、一次抽選に当選したサテライト1の第1報知部11を短時間(例えば1秒間)回転点灯させるように制御し、これにより二次抽選の実行を遊戯者に予告する。なお、本実施形態では、遊戯者がメダルの投入を所定時間以上継続しており、かつ、SJPポイントが所定値以上積み立てられていることがSJP抽選の対象となっているが、この条件は限定されるものではなく、場合によってはそれらのいずれかの条件のみによってSJP抽選の対象を判断するようにしてもよい。
【0060】
上述した二次抽選の実行予告後、サーバ装置3は、一次抽選と同様の手段で二次抽選を実行し、該二次抽選に当選した場合には、SJPチャンスである全員参加型のパーティイーゲーム(SJPゲーム)の発生が確定する。このSJPゲームの発生が確定すると、SJP潜伏タイミング設定部57によってSJPゲームの開始タイミングが設定される。ここで、開始タイミングが各サテライト1A〜1Dのメインゲームの基本周期に対してあまりに長いと、期待が外れた遊戯者が席を立ってしまうことが考えられるため、この開始までの潜伏タイミングは、例えば5分程度であることが好ましい。
【0061】
サーバ装置3は、このSJP潜伏タイミングの設定後、サテライト状況判断部60によって、該当するサテライト1のメインゲームの進行状況をチャックし、パーティーゲーム(SJPゲーム)を開始可能か否かの判断を行う。例えば、サテライト1のメインゲームにおける払出しの個別抽選を行なっている最中にパーティーゲームが発生した場合、その遊戯者にとって得べかりし払出しが行なわれない、という状況が生じてしまう。そこで、サテライト状況判断部60によって該当するサテライト1におけるメインゲームの進行に支障があると判断された場合には、SJP潜伏タイミング値が再設定されるとともに、SJPゲームの開始待ち処理が再実行される。
【0062】
上記SJPゲームの開始待ち処理が実行されると、SJPゲームの実行処理に移行される。まず、サーバ装置3は、各サテライト1A〜1DのSJPポイント貯蓄22に記憶されているSJPカウンタ値を参照し、その状況に応じて複数のSJPゲームの中から実行するSJPゲームを選択する。このSJPゲームの選択は、例えば、全てのサテライト1A〜1DのSJPカウンタ値が所定値より高い場合には獲得可能枚数の期待値が高いSJPゲームを選択させる、あるいは、特定のサテライト1のSJPカウンタ値のみが高い場合にはそのサテライト1の遊戯者にとって有利なSJPゲームを選択させるようになっていることが好ましい。そして、SJPゲーム設定部55によってスーパージャックポット(SJP)のためのボーナスゲームが設定され、選択サテライト記憶部53に記憶されたサテライト1において上記ボーナスゲームが実行される。このボーナスゲームは、同一システム内で連結されている各サテライト1A〜1Dの遊戯状況に応じてその内容が選択されるので、ボーナスゲーム参加者全員が同時に参加可能なパーティーゲームになっている。ボーナスゲームにおいてメダルを獲得した遊戯者のサテライト1では、メダルもしくはクレジットの払出しが実行されるとともに、当該サテライト1のボーナスゲームの結果や全体のメダル払出状況などに応じてSJPカウンタ値が減算される。これにより、特定のサテライト1が連続してSJPでメダルを獲得する確率が低くなり、各遊戯者がプレイし続けることで公平にSJPによる恩恵をうけることができるので、運営者側にとっては遊戯者の長時間の継続したプレイを期待することができる。なお、選択サテライトから漏れたサテライト1については、パーティーゲーム実行中もサテライトメイン制御部24によって通常のメインゲームが実行される。
【0063】
図7は、本発明の実施形態に係るメダルゲームの制御処理を説明するためのフローチャートである。ここで説明される処理は、上述したサテライトボード12のスキルレベル判別部19および払出データ変更部20によって実行される初心者救済処理である。
【0064】
同図において、初心者救済処理が開始されると、まず、スキルレベル判別部19が遊戯者レベルを判別する際の判断基準となる入賞率のサンプリング時間、未遊戯状態である時間を示す未遊戯設定時間、および入賞払出し・抽選判定に用いられるモードがリセットされる(ステップS101)。すなわち、仮に払出データ変更部20によって入賞払出し・抽選判定に用いられるデータが初心者モードに設定されていた場合には、ここで初心者モードから規定値モードに戻される。次に、JPポイント貯蓄部21によって積み立てられているJPポイントが初期状態(JP=0)であるか否かが判断される(ステップS102)。ここで、JPポイントが初期状態でないと判断された場合には、各ゲーム装置であるサテライト端末毎に予め設定されている未遊戯設定時間(例えば30分間)の計時が開始され(ステップS103)、投入メダルセンサ13を介して投入メダルの検知されたか否かが監視される(ステップS104)。その後、投入メダルが検知された場合には、その時点でサンプリング時間(例えば15分間)の計時が開始される(ステップS105)。投入メダルが検知されない場合には、ステップS101に移行して遊戯状況が再確認される。
【0065】
一方、ステップS102においてJPポイントが初期状態であると判断された場合には、すでに一度ジャックポットが発生し、その後も遊戯者が継続してプレイを続けていると判断され、上記の場合と同様にサンプリング時間の計時が開始される。したがって、スキルレベル判別部19によって遊戯者レベルを判別するために、サンプリング情報である投入・入賞のメダル枚数情報の取得が投入メダルセンサ13および入賞メダルセンサ14を介して開始され(ステップS106)、以後、所定のサンプリング時間が経過するまで投入メダル枚数および入賞メダル枚数に関する情報が取得される(ステップS107)。この投入・入賞メダル枚数情報の取得により、当該遊戯者が初心者か否かを判定する為の入賞率が計算により求められる(ステップS108)。
【0066】
サンプリング時間の経過後、該サンプリング時間における入賞率(入賞メダル枚数/投入メダル枚数)が予め設定されている想定値(50%)以下であるか否かが判断される(ステップS109)。ここで、入賞率が想定値以下であると判断された場合には、当該サテライトでプレイしている遊戯者が初心者レベルであることを意味するので、払出データ変更部20によって、抽選処理部17によって入賞処理を行なう際に参照されるメダル払出データ(抽選確率データ)が、入賞率と想定値との相違割合に応じてJP抽選確率を規定値モード用の抽選確率データよりも上昇させた初心者モード用の抽選確率データに設定される(ステップS110)。なお、ここでメダル払出量を上昇するための手段として、上述したように、想定値を下回ったメダルを貯留し、その貯留メダルの一部をJP当選時に払出される本来の枚数に追加しするような初心者救済の調整を実行してもよい。
【0067】
ステップS110で設定された初心者モード用のメダル払出データは、ジャックポットに当選する(ステップS111)、または所定の時間メダル投入が為されない状態、つまり上述した未遊戯設定時間が経過したと判定されるまで適用される(ステップS113)。もしも途中で、ジャックポットに当選すると、ステップS101に移行して、抽選処理部17によって参照されるメダル払出データが初心者モード用から規定値モード用に戻され(ステップS101)、再びステップS101以降の処理が実行される。
【0068】
一方、ステップS109において入賞率が想定値(50%)を上回っている場合には、当該サテライトでプレイしている遊戯者が中・上級者であることを意味するので、抽選処理部17によって参照されるメダル払出データは通常(規定値モード用)のままであり、再びステップS101以降の処理が実行される。
【0069】
また、ステップS112において未遊戯設定時間が経過していない場合には、ステップS105に移行して、再度サンプリング処理が実行される。したがって、最初に初心者モードに設定されたとしても、それ以降のサンプリングの結果、プレイを継続している間にスキルレベルの上達が認められた場合には、JPに当選していなくても規定値モードに戻される。
【0070】
一方、ステップS112において未遊戯設定時間が経過している場合には、遊戯者がプレイを中断したと判断し、処理を終了する。
【0071】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係るゲームシステムの一例を概略的に示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るゲームシステムの一例の外観を概略的に示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るメダルゲーム装置(サテライト)の外観を概略的に示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るメダルゲーム装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係るメダルゲーム装置におけるゲーム演出画像の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るメダルゲーム装置に接続されたサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係るメダルゲームの制御処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1,1A〜1D・・・メダルゲーム装置(サテライト)
6・・・ハンドル
8・・・表示ディスプレイ(LCD)
8c・・・JPポイントゲージ
8d・・・SJPポイントゲージ
9・・・入賞口
12・・・サテライトボード
13・・・投入メダルセンサ
14・・・入賞メダルセンサ
17・・・抽選処理部
18・・・払出メダル制御部
19・・・スキルレベル判別部
20・・・払出データ変更部
21・・・JPポイント貯蓄部
22・・・SJPポイント貯蓄部
M・・・メダル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊戯者によるメダルの投入を検知してゲームの入力操作が実行されるメダルゲーム装置であって、
前記遊戯者により投入される前記メダルを検知する投入メダル検知手段と、
メダルが入賞口を通過したことを検知して入賞処理を行う入賞メダル検知手段と、
前記入賞メダル検知手段からの検出信号に応じてメダル払出データを参照してメダルを前記遊戯者に払い出すメダル払出手段と、
所定のサンプリング時間内における投入メダル枚数に対する入賞メダル枚数の比率である入賞率を算出し、該比率に基づいて前記遊戯者のスキルレベルを判別するスキルレベル判別手段と、
前記スキルレベル判別手段によって判別された前記遊戯者のスキルレベルが所定のレベルの場合に、前記メダル払出手段が参照するメダル払出データを変更する払出データ変更手段と
を備えていることを特徴とするメダルゲーム装置。
【請求項2】
前記払出データ変更手段は、前記入賞処理を行なう際に参照されるメダル払出データを、前記入賞率と予め設定されている想定値との相違割合に応じて変更する請求項1に記載のメダルゲーム装置。
【請求項3】
前記入賞メダル枚数または前記投入メダル枚数に応じて、大当りポイントを積み立てる大当りポイント貯蓄手段と、
前記大当り貯蓄手段によって積み立てられた大当りポイントが予め設定されている大当り発生ポイント値に達した際に、大当りゲーム演出を実行する大当りゲーム演出実行手段と
をさらに備えている請求項1または2に記載のメダルゲーム装置。
【請求項4】
前記払出データ変更手段は、前記大当りゲーム演出時に払出されるメダル枚数を、前記サンプリング時間内における入賞メダル枚数と予め設定されている想定入賞メダル枚数との相違割合に応じて変更する請求項3に記載のメダルゲーム装置。
【請求項5】
前記払出データ変更手段は、1回の入賞時に前記大当りポイント貯蓄手段によって積み立てられる前記大当り演出による払出し発生に必要な大当りポイントの加算量を変更する請求項3または4に記載のメダルゲーム装置。
【請求項6】
前記スキルレベル判別手段による前記サンプリング時間は、前記大当りポイントが初期の状態から前記大当たり演出による払出し発生に必要な大当り発生ポイント値に到達するまでに要する平均時間の半分に設定されている請求項3ないし5のいずれかに記載のメダルゲーム装置。
【請求項7】
前記スキルレベル判別手段による前記サンプリング時間の計時開始は、前記大当りポイントが初期状態である時点、または、予め設定された未遊戯設定時間内に前記メダルが前記投入メダル検知手段によって1枚も検知されなかった後に、最初の投入メダルが検知された時点である請求項3ないし6のいずれかに記載のメダルゲーム装置。
【請求項8】
前記ポイント貯蓄手段によって積み立てられた前記大当りポイントの状態を表示する大当りポイントゲージ表示手段をさらに備えている請求項3ないし7のいずれかに記載のメダルゲーム装置。
【請求項9】
遊戯者によるメダルの投入を検知してゲームの入力操作が実行されるメダルゲームの制御方法であって、
前記遊戯者により投入される前記メダルを検知する投入メダル検知ステップと、
メダルが入賞口を通過したことを検知して入賞処理を行う入賞メダル検知ステップと、
前記入賞メダル検知ステップからの検出信号に応じてメダル払出データを参照してメダルを前記遊戯者に払い出すメダル払出ステップと、
所定のサンプリング時間内における投入メダル枚数に対する入賞メダル枚数の比率である入賞率を算出し、該比率に基づいて前記遊戯者のスキルレベルを判別するスキルレベル判別ステップと、
前記スキルレベル判別ステップによって判別された前記遊戯者のスキルレベルが所定のレベルの場合に、前記メダル払出手段が参照するメダル払出データを変更する払出データ変更ステップと
を含むことを特徴とするメダルゲームの制御方法。
【請求項10】
前記払出データ変更ステップは、前記入賞処理を行なう際に参照されるメダル払出データを、前記入賞率と予め設定されている想定値との相違割合に応じて変更する請求項9に記載のメダルゲームの制御方法。
【請求項11】
前記入賞メダル枚数または前記投入メダル枚数に応じて、大当りポイントを積み立てる大当りポイント貯蓄ステップと、
前記大当り貯蓄ステップによって積み立てられた大当りポイントが予め設定されている大当り発生ポイント値に達した際に、大当りゲーム演出を実行する大当りゲーム演出実行ステップと
をさらに含む請求項9または10に記載のメダルゲームの制御方法。
【請求項12】
前記払出データ変更ステップは、前記大当りゲーム演出時に払出されるメダル枚数を、前記サンプリング時間内における入賞メダル枚数と予め設定されている想定入賞メダル枚数との相違割合に応じて変更する請求項11に記載のメダルゲームの制御方法。
【請求項13】
前記払出データ変更ステップは、1回の入賞時に前記大当りポイント貯蓄ステップによって積み立てられる前記大当り演出による払出し発生に必要な大当りポイントの加算量を変更する請求項11または12に記載のメダルゲームの制御方法。
【請求項14】
前記スキルレベル判別ステップによる前記サンプリング時間は、前記大当りポイントが初期の状態から前記大当たり演出による払出し発生に必要な大当り発生ポイント値に到達するまでに要する平均時間の半分に設定されている請求項11ないし13のいずれかに記載のメダルゲームの制御方法。
【請求項15】
前記スキルレベル判別ステップによる前記サンプリング時間の計時開始は、前記大当りポイントが初期の状態である時点、または、予め設定された未遊戯設定時間内に前記メダルが前記投入メダル検知ステップによって1枚も検知されなかった後に、最初の投入メダルが検知された時点である請求項11ないし14のいずれかに記載のメダルゲームの制御方法。
【請求項16】
前記ポイント貯蓄ステップによって積み立てられた前記大当りポイントの状態を表示する大当りポイントゲージ表示ステップをさらに含む請求項11ないし15のいずれかに記載のメダルゲームの制御方法。
【請求項17】
請求項9ないし16のいずれかに記載のメダルゲームの制御方法を実現させるプログラムを記憶した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−88830(P2010−88830A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264684(P2008−264684)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】