メダルセレクタ及び遊技台
【課題】電断せずに着脱しても遊技台の本体回路を破損させず、本体回路を保護することができるとともに、本体回路の回路設計の負担を軽減させることができるメダルセレクタ及び当該メダルセレクタを備える遊技台を提供する。
【解決手段】スロットマシン100に着脱自在なメダルセレクタ6において、ソレノイド681の動作機構によりメダルの通過を制御するメダルブロッカユニット68を備え、メダルブロッカユニット68は、ソレノイド681の2端子から導出された各リード線L1、L2の線端に接続された無極性コネクタCN2を介して、スロットマシン100に接続され、ソレノイド681の両極間には、予め定められた最大電圧を越えた場合に2方向のいずれに対しても電流を流すことができる過電圧保護装置OVPを備えている。
【解決手段】スロットマシン100に着脱自在なメダルセレクタ6において、ソレノイド681の動作機構によりメダルの通過を制御するメダルブロッカユニット68を備え、メダルブロッカユニット68は、ソレノイド681の2端子から導出された各リード線L1、L2の線端に接続された無極性コネクタCN2を介して、スロットマシン100に接続され、ソレノイド681の両極間には、予め定められた最大電圧を越えた場合に2方向のいずれに対しても電流を流すことができる過電圧保護装置OVPを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン(パチスロ)やパチンコ機に代表される遊技台に関し、特に遊技台に具備されるメダルセレクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流ソレノイド等のコイルを駆動する回路では、コイルONからOFFにする際に生じるサージ電圧によって周辺回路の誤動作や駆動ICの破損のおそれがあった。そこで、回路上はコイルに流れる電流と逆向きに並列にダイオードを取り付けるようにしていた。下記の特許文献1は、ソレノイドに逆起電力直防止ダイオードを取り付けた遊技台を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開平7−80122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スロットマシンのメダルセレクタは、メンテナンス等の目的で、メダルセレクタ自体がスロットマシン本体から取り外し可能な構成となっている。また、スロットマシン本体に電源が供給された場合、メダルセレクタに取り付けられたソレノイドに電源が供給された状態が維持され、スロットマシン本体にメダルの投入が可能となる。そこで、営業中にメダルセレクタにトラブルが発生した場合、設置店の係員により、スロットマシン本体を電断させることなくメダルセレクタをスロットマシン本体から取り外し、取り付けられることがあり、この場合に予想を超えるサージ(過電圧)が生じることで駆動ICを破損させることが問題となっていた。すなわち、電源が供給されている状態にあるメダルセレクタをスロットマシン本体から取り外すと、メダルセレクタに取り付けられたソレノイドにより経路内(メダルセレクタ内の経路)の電圧が上昇し、その後、スロットマシン本体にメダルセレクタを取り付けた際に、上述した電圧上昇の影響をスロットマシン本体が受け、スロットマシン本体の駆動ICに耐電圧を越える電圧がかかり、駆動ICを破損させることがあった。
【0005】
なお、上述した問題に対しては、スロットマシン本体側の回路内にダイオード等を取り付ける対策もあるが、スロットマシンを設計する場合に、その都度対策を施さなければならないため、手間がかかるという問題があった。また、メダルセレクタに取り付けられたソレノイドは、2方向の何れに対しても電流を流すことで正常な機能を発揮する構成を有しているが、この2方向の両者の方向に過電圧対策が施されていない場合、導線の接続ミスやコネクタの接続ミスにより、同様に電圧上昇の影響をスロットマシン本体が受ける問題があった。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、遊技台本体を電断せずにメダルセレクタを着脱しても遊技台の本体回路を破損させず、本体回路を保護することができるとともに、本体回路の回路設計の負担を軽減することができるメダルセレクタ及び当該メダルセレクタを備える遊技台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るメダルセレクタは、次のように構成される。
【0008】
本発明に係るメダルセレクタは、その一態様として、遊技台に着脱自在なメダルセレクタにおいて、ソレノイドの動作機構によりメダルの通過を制御するメダルブロッカユニットを備え、前記メダルブロッカユニットは、前記ソレノイドの2端子から導出された各リード線端に接続された無極性コネクタを介して、前記遊技台に接続され、前記ソレノイドの両極間には、予め定められた最大電圧を越えた場合に2方向のいずれに対しても電流を流すことができる過電圧保護装置を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様においては、電断せずにメダルセレクタを遊技台本体から着脱しても、メダルブロッカユニットのソレノイドの両極には過電圧保護装置が装着されているので、メダルセレクタ内の回路に生じた電圧上昇をメダルセレクタ内で除去することができ、遊技台本体の回路内の電子部品を破損させることがない。また、ソレノイドは無極性コネクタを介して遊技台本体と接続されているので、コネクタを逆挿ししても、電子部品を破損させてしまうことがない。この結果、電断せずにメダルセレクタを着脱しても遊技台本体の回路を保護することができる。
【0010】
さらには、サージ電圧除去機能をメダルセレクタ側で備えるので、遊技台の本体回路において電圧上昇に対する対策を施す必要がないので、遊技台本体の回路設計の負担を軽減させることができる
この場合、前記過電圧保護装置は、前記ソレノイドが備えていることが好ましい。これにより、メダルセレクタに対する過電圧保護機能の装着が容易となる。
【0011】
一例として、前記過電圧保護装置は、2つのツェナーダイオードを互いに逆向きにして直列に接続して構成されている。これにより、簡単な構成で、最大電圧を越えた場合には、いずれの方向に対しても電流を流すことができる。
【0012】
また、本発明に係る遊技台は、その一態様として、上述した本発明に係るメダルセレクタを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様においては、電断せずに着脱しても遊技台の本体回路を破損させず、本体回路を保護することができるとともに、本体回路の回路設計の負担を軽減させることができる遊技台を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のメダルセレクタ及び遊技台によれば、電断せずに着脱しても本体回路を破損させず、本体回路を保護することができるとともに、本体回路の回路設計の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン100の外観斜視図である。スロットマシン100は、メダルの投入により遊技が開始され、遊技の結果によりメダルが払い出されるものである。
【0016】
<全体構成>
スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110〜112が構成されている。リール110〜112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110〜112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合わせが変動することとなる。なお、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
【0017】
また、各々のリール110〜112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。バックライトは、例えば、7色(赤、緑、青紫の三原色と、白色等をはじめとするこれらの混合色)の光を発することが可能であり、各原色に対応したLED等を含んで構成される。
【0018】
なお、スロットマシン100内部において各々のリール110〜112の近傍には、投光部と受光部からなる光学式センサ(図示せず)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部のあいだを、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110〜112を停止させる。
【0019】
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
【0020】
スタートランプ121は、リール110〜112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役(例えば、リプレイ−リプレイ−リプレイの再遊技図柄の組み合せが入賞ライン114上に揃ったとき)に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、後述する内部抽選において、特定の入賞役(例えば、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、遊技開始にあたって遊技者にメダルの投入が必要であることを報知するランプである。
【0021】
払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、メダル投入時のエラー表示や、ビッグボーナスゲーム中(BBゲーム中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。
【0022】
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入ブロック134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口134aを形成するブロックである。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入ブロック134のメダル投入口134aから実際のメダルを投入することもできる。
【0023】
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型のスイッチである。すなわち、メダル投入ブロック134のメダル投入口に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110〜112が回転し、遊技が開始される。ストップボタンユニット136に設けられたストップボタン137〜139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110〜112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110〜112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137〜139を操作すると対応するいずれかのリール110〜112が停止することになる。
【0024】
精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿210に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。ドアキー140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。キーを差し込んで時計方向に回すとロックが解除され、スロットマシン100の前面扉102を開けることができる。メダル払出口155は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿210は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿210は、本実施形態では発光可能な受皿を採用しており、以下受皿ランプ210と呼ぶこともある。
【0025】
音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ210は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプであり遊技状態に応じて点灯/消灯/点滅する。灰皿部200は、煙草の吸殻を入れるための容器であり、メダル受皿210の内側にネジ止めされている。リールパネル161は、図柄表示窓113を有するパネルであり、タイトルパネル162は、そのスロットマシンの機種名や各種のデザインが描かれるパネルである。
【0026】
液晶表示装置(LCD)180は、遊技に関する各種の情報を表示することができる(例えば、ゲームを盛り上げるためのキャラクター等を登場させたり、リーチ目等を表示させたり、スロットマシンの内部で異常が発生したときのエラーの内容を表示させたりする)。もちろん、液晶表示装置180のかわりに、複数のLEDを2次元に配置したドットマトリックス式表示装置等、他の表示手段を用いてもよい。また。液晶表示装置180の左右それぞれには開閉可能な扉装置183が設けられ、液晶表示装置180の演出に合わせて、扉を開閉させて、演出を行うようになっている。
【0027】
<制御部>
次に、図2及び図3を参照してスロットマシン100の制御部の構成について説明する。スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信された制御情報(以下、コマンドと略称)に応じて各種機器を制御する副制御部400と、から構成されている。尚、制御部の構成は、これに限定されることはなく、例えば、主制御部300と副制御部400をひとつにしても何ら問題ない。
【0028】
<主制御部>
まず、図2を用いて、スロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。
【0029】
クロック補正回路314は、水晶発振器311から発振されたクロックを分周してCPU310に供給する回路である。例えば、水晶発振器311の周波数が12MHzの場合に、分周後のクロックは6MHzとなる。CPU310は、クロック回路314により分周されたクロックをシステムクロックとして受け入れて動作する。
【0030】
また、CPU310には、後述するセンサやスイッチの状態を常時監視するための監視周期やモータの駆動パルスの送信周期を設定するためのタイマ回路315がバスを介して接続されている。CPU310は、電源が投入されると、データバスを介してROM312の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路315に送信する。
【0031】
タイマ回路315は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU310に送信する。CPU310は、この割込み要求を契機に、各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、CPU310のシステムクロックを6MHz、タイマ回路315の分周値を1/256、ROM312の分周用のデータを44に設定した場合、この割り込みの基準時間は、256×44÷6MHz=1.877msとなる。
【0032】
また、CPU310には、各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等を記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。これらのROM312やRAM313については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部400においても同様である。
【0033】
また、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース380が接続され、割込み時間ごとに入力インタフェース380を介して、メダル投入センサ320、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、メダル投入ボタンセンサ323、精算スイッチセンサ324、設定変更スイッチセンサ325、設定キースイッチセンサ326及びリセットスイッチセンサ327の状態を検出し、各センサを監視している。
【0034】
メダル投入センサ320は、メダル投入口134aの内部の通路に2個設置されており、メダルの通過有無を検出する。スタートレバーセンサ321は、スタートレバー135に設置されており、遊技者によるスタート操作を検出する。ストップボタンセンサ322は、ストップボタンユニット136の各々のストップボタン(左・中・右)に設置されており、遊技者によるストップボタンの操作を検出する。
【0035】
メダル投入ボタンセンサ323は、メダル投入ボタン130、131のそれぞれに設置されており、RAM313に電子的に貯留されているメダルを遊技用のメダルとして投入する場合の投入操作を検出する。たとえば、CPU310は、メダル投入ボタン130に対応するメダル投入センサ323がHレベルになった場合に、電子的に貯留メダルを1枚投入し、メダル投入ボタン131に対応するメダル投入センサ323がHレベルになった場合に、電子的に貯留メダルを3枚投入する。
【0036】
精算スイッチセンサ324は、精算ボタン132に設けられている。精算ボタン132が一回押されると、貯留されているメダルを精算し、もう一回押されると、払い出されるメダルが電子的に貯留される貯留モードとなる。
【0037】
設定変更スイッチセンサ325は、設定変更スイッチ(図示せず;スロットマシン100の筐体内部にある)に設置されており、設定変更スイッチの押下を検出する。設定変更スイッチは、後述する設定キースイッチ(図示せず;スロットマシン100の筐体内部にある)がONの状態において押下されると、設定値が変更されるボタンである。ここで、設定値とは、所定期間の遊技を行ったときに遊技者が賭け数として遊技台に使用した遊技媒体の総数に対して、遊技台が払い出した遊技媒体の総数の割合を調整するための値であり、いわゆる「払出率」と称されるもので、複数段階の設定値、例えば、設定「1」〜設定「6」まで設定可能である。設定キースイッチセンサ326は、設定キースイッチに設置されており、設定キースイッチの状態を検出する。
【0038】
リセットスイッチセンサ327は、リセットスイッチ(図示せず;スロットマシン100の筐体内部にある)に設置されており、RAM313を初期化する操作を検知する。なお、以上の各センサは、非接触式のセンサであっても接点式のセンサであってもよい。
【0039】
CPU310には、さらに、入力インタフェース381、出力インタフェース390、391がアドレスデコード回路340を介してアドレスバスに接続されている。CPU310は、これらのインタフェースを介して外部のデバイスと信号の送受信を行っている。
【0040】
入力インタフェース381には、インデックスセンサ330が接続されている。インデックスセンサ330は、具体的には、各リール110〜112の取付台の所定位置に設置されており、リールに設けた遮光片がこのインデックスセンサ330を通過するたびにHレベルになる。CPU310は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。
【0041】
出力インタフェース390には、リールを駆動させるためのリールモータ駆動部350、ホッパー220(バケットにたまっているメダルをメダル排出口155から払出すための装置。図5参照)のモータを駆動するためのホッパーモータ駆動部351と、遊技ランプ352(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122、告知ランプ123、メダル投入ランプ124等)と、7セグメント表示器353(払出枚数表示器125、遊技回数表示器126、貯留枚数表示器127等)が接続されている。
【0042】
また、出力インタフェース390には、ブロッカソレノイド681が接続されている。ブロッカソレノイド681は、メダルブロッカ682(メダル投入口134aから投入されたメダルの通過する通路と直交する方向に回動するようになっている。図6参照)に回動力を付勢する電磁ソレノイドであり、所定の条件が成立した場合(例えば、スタートレバー135の操作があった後等)ではメダルが通路を通過できないようにメダルブロッカ682を返却状態(メダルブロッカがメダルの通路に突出してメダル通路が閉じられた状態)となるように制御している。
【0043】
また、CPU310には、乱数発生回路370がデータバスを介して接続されている。乱数発生回路370は、水晶発振器311及び水晶発振器360から発振されるクロックに基づいて、一定の範囲内で値をインクリメントし、そのカウント値をCPU310に出力することのできるインクリメントカウンタであり、後述する入賞役の内部抽選をはじめ各種抽選処理に使用される。本発実施形態における乱数発生回路370は、2つの乱数カウンタを備えている。例えば、水晶発振器311のクロック周波数を用いて0〜65535までの値をインクリメントするカウンタと、水晶発振器360のクロック周波数を用いて0〜16777215までの値をインクリメントするカウンタが備えている。
【0044】
また、CPU310のデータバスには、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェース391が接続されている。
【0045】
<副制御部>
次に、図3を用いて、スロットマシン100の副制御部400について説明する。副制御部400は、主制御部300より送信されたコマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する演算処理装置であるCPU410や、CPU410が各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、以下に述べる構成を有する。
【0046】
クロック補正回路414は、水晶発振器411から発振されたクロックを補正し、補正後のクロックをシステムクロックとしてCPU410に供給する回路である。
【0047】
また、CPU410にはタイマ回路415がバスを介して接続されている。CPU410は、所定のタイミングでデータバスを介してROM412の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路415に送信する。タイマ回路415は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU410に送信する。CPU410は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
【0048】
また、CPU410には、副制御部400の全体を制御するための命令及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータが記憶されたROM412や、データ等を一時的に保存するためのRAM413が各バスを介して接続されている。
【0049】
また、CPU410には、外部の信号を送受信するための入出力インタフェース460が接続されており、入出力インタフェース460には、各リール110〜112の図柄を背面より照明するためのバックライト420、前面扉102の開閉を検出するための扉センサ421、RAM413のデータをクリアにするためのリセットスイッチ422及び所定の場合に警告音や警告表示などの報知が可能な報知設定スイッチ423が接続されている。
【0050】
CPU410には、データバスを介して主制御部300からコマンドを受信するための入力インタフェース461が接続されており、入力インタフェース461を介して受信したコマンドに基づいて、遊技全体を盛り上げる演出処理等が実行される。
【0051】
また、CPU410のデータバスとアドレスバスには、音源IC480が接続されている。音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。また、音源IC480には、音声データが記憶されたROM481が接続されており、音源IC480は、ROM481から取得した音声データをアンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。
【0052】
CPU410には、主制御部300と同様に、外部ICを選択するためのアドレスデコード回路450が接続されており、アドレスデコード回路450には、主制御部300からのコマンドを受信するための入力インタフェース461、扉・液晶画面制御部500からの信号を入力するための入力インタフェース471、時計IC423、7セグメント表示器440への信号を出力するための出力インタフェース472が接続されている。
【0053】
時計IC423が接続されていることで、CPU410は、現在時刻を取得することが可能である。7セグメント表示器440は、スロットマシン100の内部に設けられており、たとえば副制御部400に設定された所定情報を店の係員等が確認できるようになっている。
【0054】
更に、出力インタフェース470には、デマルチプレクサ419が接続されている。デマルチプレクサ419は、出力インタフェース470から送信された信号を各表示部等に分配する。すなわち、デマルチプレクサ419は、CPU410から受信されたデータに応じて上部ランプ1950、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、リールパネルランプ128、タイトルパネルランプ170、払出口ストロボ171、受皿ランプ210を制御する。
【0055】
タイトルパネルランプ170は、タイトルパネル162を照明するランプであり、払出口ストロボ171は、メダル排出口155の内側に設置されたストロボタイプのランプである。
【0056】
なお、CPU410から扉・液晶画面制御部500への信号送信は、デマルチプレクサ419を介して実施する。扉・液晶画面制御部500は、液晶表示装置180及び扉装置183を制御する制御部である。
【0057】
<遊技の基本的制御>
図4は、本実施形態のスロットマシン100における遊技の基本的制御を示す主制御部メイン処理のフローチャートである。遊技の基本的制御は、主制御部300のCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、同図のステップS102からS109の処理を繰り返し実行する。
【0058】
ステップS101では、電源投入が行われると、まず、各種の初期化処理が行われる。
【0059】
ステップS102では、遊技開始処理を実行する。ここでは、ここでは、メダルの投入の有無をチェックし、投入されたメダルの枚数に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合はメダルの投入が不要である。また、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定する。
【0060】
ステップS103では、乱数発生回路370で発生させた乱数を取得する。
【0061】
ステップS104では、ステップS103で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、RAM313に設定されたその入賞役のフラグがONになる。入賞役としては、例えば、リプレイ(再遊技)、小役、ボーナス(BB、RB)等を挙げることができる。ここで、ビッグボーナス(BB)及びレギュラーボーナス(RB)はボーナスゲームに移行する図柄として、また、再遊技(リプレイ)は新たにメダルを投入することなく再遊技が可能となる図柄として、それぞれ入賞役とは区別され「作動役」と呼ばれる場合があるが、本実施形態における「入賞役」には、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技、シフトレギュラーボーナスが含まれ、本実施形態における「入賞」には、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技、シフトレギュラーボーナスへの入賞が含まれる。
【0062】
なお、各入賞役には、メダルのベット数及び設定値(1〜6)ごと、に内部抽選の当選確率が設定されており、入賞役抽選テーブルはこれに従って構成され、抽選時に取得される乱数値の範囲(例えば、0〜16384)は予めいくつかの領域(各当選確率の大きさに相当する領域)に分割されており、各領域に各入賞役の当選やはずれが対応付けられている。そして、入賞役の内部抽選では、取得した乱数値がどの範囲に属するかで入賞役の内部当選の当否が決定する。この方式は他の抽選処理でも採用される。
【0063】
また、ステップS104では、内部抽選の後、リール停止制御テーブルを選択する処理を行う。これは、各リールの停止操作に対する制御を選択する処理である。ここで、リール110〜112の停止制御について簡単に説明する。リールの停止制御は、予め定めた複数種類のリール停止制御テーブルの中から内部抽選結果に基づいていずれかを選択し、選択したリール停止制御テーブルに基づき行う。リール停止制御テーブルは主制御部300のROM312に格納されている。リール停止制御テーブルは、内部抽選で内部当選した入賞役か、又は、いわゆるフラグ持ち越し中の入賞役については、対応する図柄組合せが揃って表示されることが許容される一方、そうでない場合には各入賞役に対応する図柄組合せが揃って表示されないように構成されている。例えば、小役の「ベル」に内部当選していない場合、「ベル」の図柄組合せが表示されるタイミングでリール110〜112の停止操作が行われたとしても、リール110〜112は直ちに停止せずにベルの図柄組合せが揃わないように制御される。逆に、「ベル」に内部当選している場合には、ベルの図柄組合せが表示されるタイミングでリール110〜112の停止操作が行われなかったとしても、一定の範囲でリール110〜112は直ちに停止せずにベルの図柄組合せが揃うように制御されることになる。
【0064】
ステップS105では、リール回転開始処理により、全リール110〜112の回転を開始させる。その後、ストップボタン137〜139の受け付けが可能となる。
【0065】
ステップS106では、リールの停止制御を行う。ここでは、ストップボタン137〜139に対する操作に応じて、リール110〜112のうち、操作されたストップボタン137〜139に対応するいずれかのリールをステップS104で選択したリール停止制御テーブルに従って停止させる。全リール110〜112が停止するとステップS107へ進む。
【0066】
ステップS107では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、内部当選した入賞役又はフラグ持越し中の入賞役に対応する図柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならばベル入賞と判定する。また、入賞した入賞役に対応するフラグがリセットされる。
【0067】
ステップS108では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。
【0068】
ステップS109では、遊技状態制御処理を実行する。この遊技状態制御処理では、遊技状態を移行するための制御が行われ、例えば、ビッグボーナスやレギュラーボーナスのようなボーナス入賞の場合に次回から対応するボーナスゲームを開始できるよう準備し、それらの最終遊技では、次回から通常遊技が開始できるよう準備する。以上により1ゲームの処理が終了し、その後、ステップS102へ戻って同様の処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
【0069】
<メダルセレクタ>
次に、スロットマシン100の筐体内に設置されるメダルセレクタ6について説明する。
【0070】
図5は、前面扉102を開いた状態におけるスロットマシン100の外観斜視図であり、スロットマシン100の内部構成を示す図、図6はメダルセレクタ6の組立斜視図、図7はメダルセレクタ6の分解斜視図、図8はメダルセレクタ6の正面説明図、図9は図6の背面から見たときのメダルセレクタ6の組立斜視図である。
【0071】
メダルセレクタ6は、メダル投入口ブロック134のメダル投入口134aに投入されたメダルを選別し、サイズの小さい不正なメダルを選別して、前面扉102の背面側に設けたシュート221を介してメダル排出口155からメダル受皿210に排出するとともに、正規のメダルを取り込んでホッパー220のメダルタンクに送り出すユニット化された装置である。すなわち、このメダルセレクタ6は、図7に示すように、メダル通路を形成するセレクタ本体ユニット61と、このセレクタ本体ユニット61に着脱自在に設けられる側面ガイドユニット62と、選別された不正なメダルをシュートへ案内する開閉及び着脱可能なカバーガイド63と、から構成されている。尚、メダルセレクタ6は、取付基板64を介してスロットマシン100の前面扉102の裏面側に、着脱自在に取り付けられる。
【0072】
セレクタ本体ユニット61は、メダル選別開口611を開設した平面図形状がほぼコ字状のベース基板612を中心に構成してある。メダル選別開口611は、底辺がメダルの移送方向に沿って下り傾斜する斜めに開設した横長な開口であって、このメダル選別開口611の下縁付近には、投入されたメダルが転動しながらホッパーのメダルタンクの方向へ移動するメダル通路を形成する移送ガイド65が、ネジ等によって取り付けてある。
【0073】
メダル選別開口611の上縁付近には、スペーサ部材661を設ける。このスペーサ部材661は、例えば合成樹脂製の板材であって、ほぼメダルと同じ厚さを有し、ベース基板612にネジ等で着脱可能に取り付けられている。また、スペーサ部材661は、投入されて転動するメダルの上縁が係止する係止爪662を有し、転動するメダルの上部一側をガイドする上部ガイド66を構成する。
【0074】
メダル選別開口611には、投入されたメダルを、遊技者の操作に応じて、メダル受皿210に返却するためのメダル返却装置67が臨ませてある。このメダル返却装置67は、遊技者が、メダル詰まりを解除するために、メダル返却ボタン133を操作したときに、先端部675がメダル選別開口611の中に突入して、メダル通路に詰まったメダルをシュート内に落下させてメダル排出口155からメダル受皿210に返却する。
【0075】
メダル選別開口611には、投入されたメダルを側面からガイドする側面ガイドユニット62を臨ませる。この側面ガイドユニット62は、ベース基板612に対して軸受部624により回動自在且つ着脱自在に設けられている。この側面ガイドユニット62は、装着時にベース基板612に対峙するガイド基板623を有し、このガイド基板623に、軸受部624と、可動型押出しガイド627とが装着してある。ガイド基板623は、ベース基板612と対峙したときに、メダル投入口134aに投入されたメダルをベース基板612と間に落とし込むようになっている。
【0076】
また、側面ガイドユニット62は、可動型押出しガイド627を備え、この可動型押出しガイド627は、メダルを押圧する方向に緩く付勢され、先端が前記メダル選別開口611に臨んでいる。
【0077】
メダル選別開口611の下縁付近には、投入されたメダルが転動するメダル転動面652を有する移送ガイド65が、メダルの下部一側をガイドするベース基板612に対して止着されている。
【0078】
この移送ガイド65は、スペーサ部材661とほぼ同じ厚さを有する板材であって、ネジ等によって、メダル選別開口611の下縁から若干下がった位置に取り付けてある。また、この移送ガイド65は、メダルが転動して流下するように下り傾斜が設けてり、傾斜下流端に対応するセレクタ本体ユニット61の側面部分には、メダル送り口613が開設してある。そして、メダルセレクタ6を、図7に示す取付基板64に装着した場合に、移送ガイド65の流下端であるメダル送り口613が、前記した取付基板64の搬送樋641の入口に連絡し、選別された正規のメダルを搬送樋641を介してホッパーのメダルタンクへ移送するメダル通路を形成する。
【0079】
また、図6及び図9に示すように、セレクタ本体ユニット61には、メダルブロッカユニット68が設けられている。このメダルブロッカユニット68は、メダルの通路に突出してメダルの通過を妨げる突出位置とメダルの通路に突出しない非突出位置との間で移動可能に設けられた可動部材であるメダルブロッカ682と、メダルブロッカ682を移動させる駆動手段であるブロッカソレノイド681を備えており、所定の条件が成立したときには、メダルの通路を閉じて、メダルを返却状態とすることができる。メダルを通過させる場合、ブロッカソレノイド681は電源を供給されることにより磁力を発生し、メダルブロッカ682をメダルの通路に突出しない非突出位置に移動させている。逆に言えば、ブロッカソレノイド681に電源が供給されていない場合は、メダルブロッカ682はメダルの通路に突出してメダルの通過を妨げる突出位置にある。よって、一般的なスロットマシンは、スロットマシン本体に電源供給されていない状態でメダルが投入された場合に、この投入されたメダルをメダル受皿210に返却可能となっている。なお、図9には図示されていないが、メダルブロッカユニット68は、ブロッカソレノイド681から導出した2つのリード線端に接続するコネクタを介して、スロットマシン100の本体(詳しくは、スロットマシン100の前面扉102に設けられた中継基板)に接続され、電源を供給されている。
【0080】
本実施形態のメダルブロッカユニット68(ブロッカソレノイド681)の回路構成は、図9に示すように、ソレノイドSOLと過電圧保護装置OVPを具備する構成であり、過電圧保護装置OVPは、ソレノイドSOLと並列にソレノイドSOLの両極間に接続されている。具体的には、過電圧保護装置OVPは、2つのツェナーダイオードZD1、ZD2を互いに逆向きにして直列に接続して構成されている。このような構成を採用することにより、後述するように電断せずにメダルセレクタ6をスロットマシン本体から着脱してソレノイドSOLに過電圧(逆起電力)が生じても、電圧保護装置OVPがソレノイドSOLによる過電圧(逆起電力)を防止して、スロットマシン本体の回路を保護するようになっている(詳しくは後述する)。
【0081】
次に、主に図7及び図8を参照して、メダルセレクタ6の動作を簡単に説明する。メダルセレクタ6を備えるスロットマシン100において、遊技を行うために、遊技者がメダルをメダル投入口ブロック134のメダル投入口134aへ投入する。
【0082】
メダル投入口134aから投入したされたメダルは、メダルセレクタ6のメダル通路を流下する。このとき、メダルの下縁をメダル転動面652が支えると共に、側面ガイドユニット62の可動型の押出しガイド627が側方より緩く押圧する。このため、メダルが正規のものであって規定の外径を有していれば、上縁が上部ガイド66である係止爪662に係止する。従って、当該メダルは、メダル通路を形成する移送ガイド65の下り傾斜にしたがって、搬送樋641へ連なるメダル送り口613へ向けて転動しながら流下する。一方、規定のサイズよりも小さい不正なメダルは、係止爪662に係止できないので、転倒してカバーガイド63の内側へ落下する。
【0083】
尚、図8に示すLの領域にメダルが存在しているときは、メダル返却ボタン133の操作に応じて、メダル返却装置67の先端部675がメダル選別開口611の中に突入し、メダルに接触可能であるので、メダル通路に詰まったメダルをシュート内に落下させることができる。一方、メダル投入センサ320によりメダル投入異常に関するエラーが検出されたときは、メダル返却ボタン133の操作を不可にして、メダル通路に詰まったメダルの返却を不可にしている。
【0084】
これは、メダル投入センサ320により検出されたエラーは、メダル投入センサ320近傍で発生したエラーであるため、メダル投入異常に関するエラーが発生した場合には、メダル通路内に設置された不正機器を用いての不正行為の可能性もあるので、当該不正機器を排出させないためである。
【0085】
<メダルセレクタの着脱>
図10はメダルセレクタ6をスロットマシン100に着脱したときの概略回路図である。図10(a)は、メダルセレクタ6をスロットマシン本体に取り付けた状態、図10(b)は、メダルセレクタ6をスロットマシン本体から取り外した状態を示している。
【0086】
メダルセレクタ6のメダルブロッカユニット68は、ブロッカソレノイド681から導出した2つのリード線L1、L2の線端に接続するコネクタCN2を介して、スロットマシン100の本体側のコネクタCN1に接続されている。また、ブロッカソレノイド681は、ソレノイドSOLと並列に、ソレノイドSOLの両極間に過電圧保護装置OVPを接続している。なお、コネクタCN1及びCN2は、無極性コネクタであるため、コネクタを逆挿しすることも可能であり、この場合においても、後述するように、回路内の電子部品を破損させてしまうことがない。
【0087】
このような構成において、まず、図10(a)に示すように、メダルセレクタ6をスロットマシン本体に取り付けて電源ONのときには、メダルブロッカユニット68のソレノイドSOLにはA方向に電流が流れている。この状態(電源ONのまま)で、図10(b)に示すように、コネクタCN2を抜くと、メダルブロッカユニット68には電源が供給されないので、ソレノイドSOLは電流を流し続けようとし、その結果、P1の電位が上昇する。
【0088】
ここで、過電圧保護装置OVPは、上述したように、ツェナーダイオードZD1、ZD2を互いに逆向きにして直列に接続して構成されている。すなわち、P1の電位が上昇して所定電圧(降伏電圧)より高くなったときは、ツェナーダイオードZD1が機能して、a方向に電流を流すようになっているので、過電圧保護装置OVPとソレノイドSOLで構成される回路内をA方向に電流が循環して流れ、これにより、P1の電位上昇のエネルギーがメダルセレクタ6内の回路で消費され、P1の電位上昇は解消されるようになっている。その結果、取り外したメダルセレクタ6をスロットマシン本体に取り付けても、本体側の駆動IC等の電子部品を破壊することはない。
【0089】
図11は、過電圧保護装置OVPを備えていないメダルセレクタをスロットマシン100に着脱したときの概略回路図である。図11(a)は、メダルセレクタをスロットマシン本体に取り付けた状態、図11(b)は、メダルセレクタをスロットマシン本体から取り外した状態を示している。
【0090】
同様にして、メダルセレクタをスロットマシン本体に取り付けて電源ONの状態(図11(a))から、メダルセレクタを取り外したときには(図11(b))、P1の電位が上昇するため、その後、メダルセレクタをスロットマシン本体に取り付けたときには、本体側の回路がP1の電位上昇の影響を受ける。そのため、本体側の駆動IC等の電子部品に耐電圧を越える電圧がかかる場合には、本体側の駆動IC等の電子部品が破壊されてしまう。なお、メダルセレクタをスロットマシン本体側から取り外して、その後、取り付けるという一連の行為は、メダルセレクタとスロットマシン本体側を接続しているコネクタを取り外す行為の中であり得ることである。この場合には、コネクタが円滑に抜けないことがあるので、コネクタを取り外すという一行為の中で上述した図11(a)→図11(b)→図11(a)という状態が再現されるものである。また、これとは別に一旦取り外したメダルセレクタを所定時間経過後にスロットマシン本体に取り付けるという行為においても、勿論、上述した図11(a)→図11(b)→図11(a)という状態は再現される。
【0091】
なお、図11に示すように、メダルセレクタ側に過電圧保護機能を備えない場合には、スロットマシン本体側において過電圧保護機能を施すという対策も考えられるが(例えば、本体側の回路に逆起電力直防止ダイオードを取り付けるなど)、この場合には、スロットマシン本体側の基板設計に影響を与えるので、遊技台の基板設計のたびに上述した対策を施さなければならず、手間がかかるという問題がある。これに対して、本実施形態のメダルセレクタ6においては、メダルセレクタ側のメダルブロッカユニット68が過電圧保護装置OVPを備えているので、遊技台本体の基板設計の際に過電圧保護機能を考慮する必要がない。すなわち、遊技台本体の基板設計の負担を軽減することができるという効果がある。
【0092】
また、図10においては、P1の電位上昇の場合を例に説明したが、P2の電位上昇の場合であっても、本実施形態のメダルブロッカユニット68は対応可能である。すなわち、P2の電位が上昇して所定電圧(降伏電圧)より高くなったときは、ツェナーダイオードZD2が機能して、b方向に電流を流すようになっているので、過電圧保護装置OVPとソレノイドSOLで構成される回路内をB方向に電流が循環して流れ、これにより、P2の電位上昇のエネルギーがメダルセレクタ6内の回路で消費され、P2の電位上昇は解消されるようになっている。その結果、メダルセレクタ6をスロットマシン本体に取り付けても、本体側の駆動IC等の電子部品を破壊することはない。さらに、過電圧保護装置OVPとして、放電管やバリスタ等の装置を備えるようにしてもよい。
【0093】
このように本実施形態のメダルセレクタ6は、メダルブロッカユニット68内の回路において所定電圧より高くなった場合には、いずれの方向(A方向、B方向)に対しても電流を流すことができる過電圧保護装置OVPを備えている。これは、本実施形態においては、無極性コネクタCN1及びCN2により、本体側とメダルセレクタ側が接続されるので、逆挿しすることも可能であり、逆挿しすることがあっても、メダルブロッカユニット68内で生じる電圧上昇をメダルブロッカユニット68内の回路で解消できることを示すものである。すなわち、コネクタを逆挿ししても、スロットマシン本体の電子部品を破損させてしまうことがない。
【0094】
なお、本実施形態においては、好適な例として図10に示すように、ブロッカソレノイド681が過電圧保護装置OVPを備える構成としたが、過電圧保護装置OVPが配設される位置はこれに限定されない。すなわち、メダルセレクタ6側において、ブロッカソレノイド681の両極に配設されればよく、例えば、リード線上に配設されてもよいし、無極性コネクタCN2上に配設されてもよい。
【0095】
以上述べたように、本実施形態のメダルセレクタ6によれば、ソレノイド681の両極間には、ツェナーダイオードZD1、ZD2を互いに逆向きにして直列に接続して構成された過電圧保護装置OVPを備え、予め定められた最大電圧を越えた場合に2方向のいずれに対しても電流を流すことができるようになっているので、メダルセレクタ6内の電圧上昇をメダルセレクタ6内の回路で消費できるようになっている。この結果、電断せずに着脱してもスロットマシン本体の回路を破損させず、本体回路を保護することができるとともに、本体回路の回路設計の負担を軽減することができる。
【0096】
さらには、メダルブロッカユニット68とスロットマシン本体側は無極性コネクタを介して接続されているので、逆挿ししても、スロットマシン本体の電子部品を破損させてしまうことがない。
【0097】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施形態に対して種々の変形や変更を施すことができる。
【0098】
例えば、上記実施形態では、スロットマシンに着脱可能なメダルセレクタに対して本発明を適用したが、本発明はスロットマシン(パチスロ)やパチンコ機に代表される遊技台に着脱可能な所定装置に対して適用可能であり、所定装置が電磁力により駆動するアクチュエータを備えるならば、当該アクチュエータの回路に過電圧保護装置を接続することにより、電断せずに着脱しても遊技台本体の回路を保護することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御部を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの副制御部を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御部メイン処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの全面扉を開放した状態における筐体内の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタの外観斜視図である。
【図7】図6に示すメダルセレクタの分解斜視図である。
【図8】図6に示すメダルセレクタの正面図である。
【図9】図6に示すメダルセレクタを背面から見たときの外観斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタをスロットマシン本体から着脱したときの状態を示す回路図である。
【図11】過電圧保護機能を具備しないメダルセレクタをスロットマシン本体から着脱したときの状態を示す回路図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン(パチスロ)やパチンコ機に代表される遊技台に関し、特に遊技台に具備されるメダルセレクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流ソレノイド等のコイルを駆動する回路では、コイルONからOFFにする際に生じるサージ電圧によって周辺回路の誤動作や駆動ICの破損のおそれがあった。そこで、回路上はコイルに流れる電流と逆向きに並列にダイオードを取り付けるようにしていた。下記の特許文献1は、ソレノイドに逆起電力直防止ダイオードを取り付けた遊技台を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開平7−80122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スロットマシンのメダルセレクタは、メンテナンス等の目的で、メダルセレクタ自体がスロットマシン本体から取り外し可能な構成となっている。また、スロットマシン本体に電源が供給された場合、メダルセレクタに取り付けられたソレノイドに電源が供給された状態が維持され、スロットマシン本体にメダルの投入が可能となる。そこで、営業中にメダルセレクタにトラブルが発生した場合、設置店の係員により、スロットマシン本体を電断させることなくメダルセレクタをスロットマシン本体から取り外し、取り付けられることがあり、この場合に予想を超えるサージ(過電圧)が生じることで駆動ICを破損させることが問題となっていた。すなわち、電源が供給されている状態にあるメダルセレクタをスロットマシン本体から取り外すと、メダルセレクタに取り付けられたソレノイドにより経路内(メダルセレクタ内の経路)の電圧が上昇し、その後、スロットマシン本体にメダルセレクタを取り付けた際に、上述した電圧上昇の影響をスロットマシン本体が受け、スロットマシン本体の駆動ICに耐電圧を越える電圧がかかり、駆動ICを破損させることがあった。
【0005】
なお、上述した問題に対しては、スロットマシン本体側の回路内にダイオード等を取り付ける対策もあるが、スロットマシンを設計する場合に、その都度対策を施さなければならないため、手間がかかるという問題があった。また、メダルセレクタに取り付けられたソレノイドは、2方向の何れに対しても電流を流すことで正常な機能を発揮する構成を有しているが、この2方向の両者の方向に過電圧対策が施されていない場合、導線の接続ミスやコネクタの接続ミスにより、同様に電圧上昇の影響をスロットマシン本体が受ける問題があった。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、遊技台本体を電断せずにメダルセレクタを着脱しても遊技台の本体回路を破損させず、本体回路を保護することができるとともに、本体回路の回路設計の負担を軽減することができるメダルセレクタ及び当該メダルセレクタを備える遊技台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るメダルセレクタは、次のように構成される。
【0008】
本発明に係るメダルセレクタは、その一態様として、遊技台に着脱自在なメダルセレクタにおいて、ソレノイドの動作機構によりメダルの通過を制御するメダルブロッカユニットを備え、前記メダルブロッカユニットは、前記ソレノイドの2端子から導出された各リード線端に接続された無極性コネクタを介して、前記遊技台に接続され、前記ソレノイドの両極間には、予め定められた最大電圧を越えた場合に2方向のいずれに対しても電流を流すことができる過電圧保護装置を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様においては、電断せずにメダルセレクタを遊技台本体から着脱しても、メダルブロッカユニットのソレノイドの両極には過電圧保護装置が装着されているので、メダルセレクタ内の回路に生じた電圧上昇をメダルセレクタ内で除去することができ、遊技台本体の回路内の電子部品を破損させることがない。また、ソレノイドは無極性コネクタを介して遊技台本体と接続されているので、コネクタを逆挿ししても、電子部品を破損させてしまうことがない。この結果、電断せずにメダルセレクタを着脱しても遊技台本体の回路を保護することができる。
【0010】
さらには、サージ電圧除去機能をメダルセレクタ側で備えるので、遊技台の本体回路において電圧上昇に対する対策を施す必要がないので、遊技台本体の回路設計の負担を軽減させることができる
この場合、前記過電圧保護装置は、前記ソレノイドが備えていることが好ましい。これにより、メダルセレクタに対する過電圧保護機能の装着が容易となる。
【0011】
一例として、前記過電圧保護装置は、2つのツェナーダイオードを互いに逆向きにして直列に接続して構成されている。これにより、簡単な構成で、最大電圧を越えた場合には、いずれの方向に対しても電流を流すことができる。
【0012】
また、本発明に係る遊技台は、その一態様として、上述した本発明に係るメダルセレクタを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様においては、電断せずに着脱しても遊技台の本体回路を破損させず、本体回路を保護することができるとともに、本体回路の回路設計の負担を軽減させることができる遊技台を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のメダルセレクタ及び遊技台によれば、電断せずに着脱しても本体回路を破損させず、本体回路を保護することができるとともに、本体回路の回路設計の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン100の外観斜視図である。スロットマシン100は、メダルの投入により遊技が開始され、遊技の結果によりメダルが払い出されるものである。
【0016】
<全体構成>
スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110〜112が構成されている。リール110〜112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110〜112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合わせが変動することとなる。なお、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
【0017】
また、各々のリール110〜112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。バックライトは、例えば、7色(赤、緑、青紫の三原色と、白色等をはじめとするこれらの混合色)の光を発することが可能であり、各原色に対応したLED等を含んで構成される。
【0018】
なお、スロットマシン100内部において各々のリール110〜112の近傍には、投光部と受光部からなる光学式センサ(図示せず)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部のあいだを、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110〜112を停止させる。
【0019】
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
【0020】
スタートランプ121は、リール110〜112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役(例えば、リプレイ−リプレイ−リプレイの再遊技図柄の組み合せが入賞ライン114上に揃ったとき)に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、後述する内部抽選において、特定の入賞役(例えば、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、遊技開始にあたって遊技者にメダルの投入が必要であることを報知するランプである。
【0021】
払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、メダル投入時のエラー表示や、ビッグボーナスゲーム中(BBゲーム中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。
【0022】
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入ブロック134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口134aを形成するブロックである。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入ブロック134のメダル投入口134aから実際のメダルを投入することもできる。
【0023】
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型のスイッチである。すなわち、メダル投入ブロック134のメダル投入口に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110〜112が回転し、遊技が開始される。ストップボタンユニット136に設けられたストップボタン137〜139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110〜112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110〜112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137〜139を操作すると対応するいずれかのリール110〜112が停止することになる。
【0024】
精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿210に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。ドアキー140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。キーを差し込んで時計方向に回すとロックが解除され、スロットマシン100の前面扉102を開けることができる。メダル払出口155は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿210は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿210は、本実施形態では発光可能な受皿を採用しており、以下受皿ランプ210と呼ぶこともある。
【0025】
音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ210は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプであり遊技状態に応じて点灯/消灯/点滅する。灰皿部200は、煙草の吸殻を入れるための容器であり、メダル受皿210の内側にネジ止めされている。リールパネル161は、図柄表示窓113を有するパネルであり、タイトルパネル162は、そのスロットマシンの機種名や各種のデザインが描かれるパネルである。
【0026】
液晶表示装置(LCD)180は、遊技に関する各種の情報を表示することができる(例えば、ゲームを盛り上げるためのキャラクター等を登場させたり、リーチ目等を表示させたり、スロットマシンの内部で異常が発生したときのエラーの内容を表示させたりする)。もちろん、液晶表示装置180のかわりに、複数のLEDを2次元に配置したドットマトリックス式表示装置等、他の表示手段を用いてもよい。また。液晶表示装置180の左右それぞれには開閉可能な扉装置183が設けられ、液晶表示装置180の演出に合わせて、扉を開閉させて、演出を行うようになっている。
【0027】
<制御部>
次に、図2及び図3を参照してスロットマシン100の制御部の構成について説明する。スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信された制御情報(以下、コマンドと略称)に応じて各種機器を制御する副制御部400と、から構成されている。尚、制御部の構成は、これに限定されることはなく、例えば、主制御部300と副制御部400をひとつにしても何ら問題ない。
【0028】
<主制御部>
まず、図2を用いて、スロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。
【0029】
クロック補正回路314は、水晶発振器311から発振されたクロックを分周してCPU310に供給する回路である。例えば、水晶発振器311の周波数が12MHzの場合に、分周後のクロックは6MHzとなる。CPU310は、クロック回路314により分周されたクロックをシステムクロックとして受け入れて動作する。
【0030】
また、CPU310には、後述するセンサやスイッチの状態を常時監視するための監視周期やモータの駆動パルスの送信周期を設定するためのタイマ回路315がバスを介して接続されている。CPU310は、電源が投入されると、データバスを介してROM312の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路315に送信する。
【0031】
タイマ回路315は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU310に送信する。CPU310は、この割込み要求を契機に、各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、CPU310のシステムクロックを6MHz、タイマ回路315の分周値を1/256、ROM312の分周用のデータを44に設定した場合、この割り込みの基準時間は、256×44÷6MHz=1.877msとなる。
【0032】
また、CPU310には、各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等を記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。これらのROM312やRAM313については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部400においても同様である。
【0033】
また、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース380が接続され、割込み時間ごとに入力インタフェース380を介して、メダル投入センサ320、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、メダル投入ボタンセンサ323、精算スイッチセンサ324、設定変更スイッチセンサ325、設定キースイッチセンサ326及びリセットスイッチセンサ327の状態を検出し、各センサを監視している。
【0034】
メダル投入センサ320は、メダル投入口134aの内部の通路に2個設置されており、メダルの通過有無を検出する。スタートレバーセンサ321は、スタートレバー135に設置されており、遊技者によるスタート操作を検出する。ストップボタンセンサ322は、ストップボタンユニット136の各々のストップボタン(左・中・右)に設置されており、遊技者によるストップボタンの操作を検出する。
【0035】
メダル投入ボタンセンサ323は、メダル投入ボタン130、131のそれぞれに設置されており、RAM313に電子的に貯留されているメダルを遊技用のメダルとして投入する場合の投入操作を検出する。たとえば、CPU310は、メダル投入ボタン130に対応するメダル投入センサ323がHレベルになった場合に、電子的に貯留メダルを1枚投入し、メダル投入ボタン131に対応するメダル投入センサ323がHレベルになった場合に、電子的に貯留メダルを3枚投入する。
【0036】
精算スイッチセンサ324は、精算ボタン132に設けられている。精算ボタン132が一回押されると、貯留されているメダルを精算し、もう一回押されると、払い出されるメダルが電子的に貯留される貯留モードとなる。
【0037】
設定変更スイッチセンサ325は、設定変更スイッチ(図示せず;スロットマシン100の筐体内部にある)に設置されており、設定変更スイッチの押下を検出する。設定変更スイッチは、後述する設定キースイッチ(図示せず;スロットマシン100の筐体内部にある)がONの状態において押下されると、設定値が変更されるボタンである。ここで、設定値とは、所定期間の遊技を行ったときに遊技者が賭け数として遊技台に使用した遊技媒体の総数に対して、遊技台が払い出した遊技媒体の総数の割合を調整するための値であり、いわゆる「払出率」と称されるもので、複数段階の設定値、例えば、設定「1」〜設定「6」まで設定可能である。設定キースイッチセンサ326は、設定キースイッチに設置されており、設定キースイッチの状態を検出する。
【0038】
リセットスイッチセンサ327は、リセットスイッチ(図示せず;スロットマシン100の筐体内部にある)に設置されており、RAM313を初期化する操作を検知する。なお、以上の各センサは、非接触式のセンサであっても接点式のセンサであってもよい。
【0039】
CPU310には、さらに、入力インタフェース381、出力インタフェース390、391がアドレスデコード回路340を介してアドレスバスに接続されている。CPU310は、これらのインタフェースを介して外部のデバイスと信号の送受信を行っている。
【0040】
入力インタフェース381には、インデックスセンサ330が接続されている。インデックスセンサ330は、具体的には、各リール110〜112の取付台の所定位置に設置されており、リールに設けた遮光片がこのインデックスセンサ330を通過するたびにHレベルになる。CPU310は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。
【0041】
出力インタフェース390には、リールを駆動させるためのリールモータ駆動部350、ホッパー220(バケットにたまっているメダルをメダル排出口155から払出すための装置。図5参照)のモータを駆動するためのホッパーモータ駆動部351と、遊技ランプ352(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122、告知ランプ123、メダル投入ランプ124等)と、7セグメント表示器353(払出枚数表示器125、遊技回数表示器126、貯留枚数表示器127等)が接続されている。
【0042】
また、出力インタフェース390には、ブロッカソレノイド681が接続されている。ブロッカソレノイド681は、メダルブロッカ682(メダル投入口134aから投入されたメダルの通過する通路と直交する方向に回動するようになっている。図6参照)に回動力を付勢する電磁ソレノイドであり、所定の条件が成立した場合(例えば、スタートレバー135の操作があった後等)ではメダルが通路を通過できないようにメダルブロッカ682を返却状態(メダルブロッカがメダルの通路に突出してメダル通路が閉じられた状態)となるように制御している。
【0043】
また、CPU310には、乱数発生回路370がデータバスを介して接続されている。乱数発生回路370は、水晶発振器311及び水晶発振器360から発振されるクロックに基づいて、一定の範囲内で値をインクリメントし、そのカウント値をCPU310に出力することのできるインクリメントカウンタであり、後述する入賞役の内部抽選をはじめ各種抽選処理に使用される。本発実施形態における乱数発生回路370は、2つの乱数カウンタを備えている。例えば、水晶発振器311のクロック周波数を用いて0〜65535までの値をインクリメントするカウンタと、水晶発振器360のクロック周波数を用いて0〜16777215までの値をインクリメントするカウンタが備えている。
【0044】
また、CPU310のデータバスには、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェース391が接続されている。
【0045】
<副制御部>
次に、図3を用いて、スロットマシン100の副制御部400について説明する。副制御部400は、主制御部300より送信されたコマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する演算処理装置であるCPU410や、CPU410が各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、以下に述べる構成を有する。
【0046】
クロック補正回路414は、水晶発振器411から発振されたクロックを補正し、補正後のクロックをシステムクロックとしてCPU410に供給する回路である。
【0047】
また、CPU410にはタイマ回路415がバスを介して接続されている。CPU410は、所定のタイミングでデータバスを介してROM412の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路415に送信する。タイマ回路415は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU410に送信する。CPU410は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
【0048】
また、CPU410には、副制御部400の全体を制御するための命令及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータが記憶されたROM412や、データ等を一時的に保存するためのRAM413が各バスを介して接続されている。
【0049】
また、CPU410には、外部の信号を送受信するための入出力インタフェース460が接続されており、入出力インタフェース460には、各リール110〜112の図柄を背面より照明するためのバックライト420、前面扉102の開閉を検出するための扉センサ421、RAM413のデータをクリアにするためのリセットスイッチ422及び所定の場合に警告音や警告表示などの報知が可能な報知設定スイッチ423が接続されている。
【0050】
CPU410には、データバスを介して主制御部300からコマンドを受信するための入力インタフェース461が接続されており、入力インタフェース461を介して受信したコマンドに基づいて、遊技全体を盛り上げる演出処理等が実行される。
【0051】
また、CPU410のデータバスとアドレスバスには、音源IC480が接続されている。音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。また、音源IC480には、音声データが記憶されたROM481が接続されており、音源IC480は、ROM481から取得した音声データをアンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。
【0052】
CPU410には、主制御部300と同様に、外部ICを選択するためのアドレスデコード回路450が接続されており、アドレスデコード回路450には、主制御部300からのコマンドを受信するための入力インタフェース461、扉・液晶画面制御部500からの信号を入力するための入力インタフェース471、時計IC423、7セグメント表示器440への信号を出力するための出力インタフェース472が接続されている。
【0053】
時計IC423が接続されていることで、CPU410は、現在時刻を取得することが可能である。7セグメント表示器440は、スロットマシン100の内部に設けられており、たとえば副制御部400に設定された所定情報を店の係員等が確認できるようになっている。
【0054】
更に、出力インタフェース470には、デマルチプレクサ419が接続されている。デマルチプレクサ419は、出力インタフェース470から送信された信号を各表示部等に分配する。すなわち、デマルチプレクサ419は、CPU410から受信されたデータに応じて上部ランプ1950、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、リールパネルランプ128、タイトルパネルランプ170、払出口ストロボ171、受皿ランプ210を制御する。
【0055】
タイトルパネルランプ170は、タイトルパネル162を照明するランプであり、払出口ストロボ171は、メダル排出口155の内側に設置されたストロボタイプのランプである。
【0056】
なお、CPU410から扉・液晶画面制御部500への信号送信は、デマルチプレクサ419を介して実施する。扉・液晶画面制御部500は、液晶表示装置180及び扉装置183を制御する制御部である。
【0057】
<遊技の基本的制御>
図4は、本実施形態のスロットマシン100における遊技の基本的制御を示す主制御部メイン処理のフローチャートである。遊技の基本的制御は、主制御部300のCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、同図のステップS102からS109の処理を繰り返し実行する。
【0058】
ステップS101では、電源投入が行われると、まず、各種の初期化処理が行われる。
【0059】
ステップS102では、遊技開始処理を実行する。ここでは、ここでは、メダルの投入の有無をチェックし、投入されたメダルの枚数に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合はメダルの投入が不要である。また、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定する。
【0060】
ステップS103では、乱数発生回路370で発生させた乱数を取得する。
【0061】
ステップS104では、ステップS103で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、RAM313に設定されたその入賞役のフラグがONになる。入賞役としては、例えば、リプレイ(再遊技)、小役、ボーナス(BB、RB)等を挙げることができる。ここで、ビッグボーナス(BB)及びレギュラーボーナス(RB)はボーナスゲームに移行する図柄として、また、再遊技(リプレイ)は新たにメダルを投入することなく再遊技が可能となる図柄として、それぞれ入賞役とは区別され「作動役」と呼ばれる場合があるが、本実施形態における「入賞役」には、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技、シフトレギュラーボーナスが含まれ、本実施形態における「入賞」には、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技、シフトレギュラーボーナスへの入賞が含まれる。
【0062】
なお、各入賞役には、メダルのベット数及び設定値(1〜6)ごと、に内部抽選の当選確率が設定されており、入賞役抽選テーブルはこれに従って構成され、抽選時に取得される乱数値の範囲(例えば、0〜16384)は予めいくつかの領域(各当選確率の大きさに相当する領域)に分割されており、各領域に各入賞役の当選やはずれが対応付けられている。そして、入賞役の内部抽選では、取得した乱数値がどの範囲に属するかで入賞役の内部当選の当否が決定する。この方式は他の抽選処理でも採用される。
【0063】
また、ステップS104では、内部抽選の後、リール停止制御テーブルを選択する処理を行う。これは、各リールの停止操作に対する制御を選択する処理である。ここで、リール110〜112の停止制御について簡単に説明する。リールの停止制御は、予め定めた複数種類のリール停止制御テーブルの中から内部抽選結果に基づいていずれかを選択し、選択したリール停止制御テーブルに基づき行う。リール停止制御テーブルは主制御部300のROM312に格納されている。リール停止制御テーブルは、内部抽選で内部当選した入賞役か、又は、いわゆるフラグ持ち越し中の入賞役については、対応する図柄組合せが揃って表示されることが許容される一方、そうでない場合には各入賞役に対応する図柄組合せが揃って表示されないように構成されている。例えば、小役の「ベル」に内部当選していない場合、「ベル」の図柄組合せが表示されるタイミングでリール110〜112の停止操作が行われたとしても、リール110〜112は直ちに停止せずにベルの図柄組合せが揃わないように制御される。逆に、「ベル」に内部当選している場合には、ベルの図柄組合せが表示されるタイミングでリール110〜112の停止操作が行われなかったとしても、一定の範囲でリール110〜112は直ちに停止せずにベルの図柄組合せが揃うように制御されることになる。
【0064】
ステップS105では、リール回転開始処理により、全リール110〜112の回転を開始させる。その後、ストップボタン137〜139の受け付けが可能となる。
【0065】
ステップS106では、リールの停止制御を行う。ここでは、ストップボタン137〜139に対する操作に応じて、リール110〜112のうち、操作されたストップボタン137〜139に対応するいずれかのリールをステップS104で選択したリール停止制御テーブルに従って停止させる。全リール110〜112が停止するとステップS107へ進む。
【0066】
ステップS107では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、内部当選した入賞役又はフラグ持越し中の入賞役に対応する図柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならばベル入賞と判定する。また、入賞した入賞役に対応するフラグがリセットされる。
【0067】
ステップS108では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。
【0068】
ステップS109では、遊技状態制御処理を実行する。この遊技状態制御処理では、遊技状態を移行するための制御が行われ、例えば、ビッグボーナスやレギュラーボーナスのようなボーナス入賞の場合に次回から対応するボーナスゲームを開始できるよう準備し、それらの最終遊技では、次回から通常遊技が開始できるよう準備する。以上により1ゲームの処理が終了し、その後、ステップS102へ戻って同様の処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
【0069】
<メダルセレクタ>
次に、スロットマシン100の筐体内に設置されるメダルセレクタ6について説明する。
【0070】
図5は、前面扉102を開いた状態におけるスロットマシン100の外観斜視図であり、スロットマシン100の内部構成を示す図、図6はメダルセレクタ6の組立斜視図、図7はメダルセレクタ6の分解斜視図、図8はメダルセレクタ6の正面説明図、図9は図6の背面から見たときのメダルセレクタ6の組立斜視図である。
【0071】
メダルセレクタ6は、メダル投入口ブロック134のメダル投入口134aに投入されたメダルを選別し、サイズの小さい不正なメダルを選別して、前面扉102の背面側に設けたシュート221を介してメダル排出口155からメダル受皿210に排出するとともに、正規のメダルを取り込んでホッパー220のメダルタンクに送り出すユニット化された装置である。すなわち、このメダルセレクタ6は、図7に示すように、メダル通路を形成するセレクタ本体ユニット61と、このセレクタ本体ユニット61に着脱自在に設けられる側面ガイドユニット62と、選別された不正なメダルをシュートへ案内する開閉及び着脱可能なカバーガイド63と、から構成されている。尚、メダルセレクタ6は、取付基板64を介してスロットマシン100の前面扉102の裏面側に、着脱自在に取り付けられる。
【0072】
セレクタ本体ユニット61は、メダル選別開口611を開設した平面図形状がほぼコ字状のベース基板612を中心に構成してある。メダル選別開口611は、底辺がメダルの移送方向に沿って下り傾斜する斜めに開設した横長な開口であって、このメダル選別開口611の下縁付近には、投入されたメダルが転動しながらホッパーのメダルタンクの方向へ移動するメダル通路を形成する移送ガイド65が、ネジ等によって取り付けてある。
【0073】
メダル選別開口611の上縁付近には、スペーサ部材661を設ける。このスペーサ部材661は、例えば合成樹脂製の板材であって、ほぼメダルと同じ厚さを有し、ベース基板612にネジ等で着脱可能に取り付けられている。また、スペーサ部材661は、投入されて転動するメダルの上縁が係止する係止爪662を有し、転動するメダルの上部一側をガイドする上部ガイド66を構成する。
【0074】
メダル選別開口611には、投入されたメダルを、遊技者の操作に応じて、メダル受皿210に返却するためのメダル返却装置67が臨ませてある。このメダル返却装置67は、遊技者が、メダル詰まりを解除するために、メダル返却ボタン133を操作したときに、先端部675がメダル選別開口611の中に突入して、メダル通路に詰まったメダルをシュート内に落下させてメダル排出口155からメダル受皿210に返却する。
【0075】
メダル選別開口611には、投入されたメダルを側面からガイドする側面ガイドユニット62を臨ませる。この側面ガイドユニット62は、ベース基板612に対して軸受部624により回動自在且つ着脱自在に設けられている。この側面ガイドユニット62は、装着時にベース基板612に対峙するガイド基板623を有し、このガイド基板623に、軸受部624と、可動型押出しガイド627とが装着してある。ガイド基板623は、ベース基板612と対峙したときに、メダル投入口134aに投入されたメダルをベース基板612と間に落とし込むようになっている。
【0076】
また、側面ガイドユニット62は、可動型押出しガイド627を備え、この可動型押出しガイド627は、メダルを押圧する方向に緩く付勢され、先端が前記メダル選別開口611に臨んでいる。
【0077】
メダル選別開口611の下縁付近には、投入されたメダルが転動するメダル転動面652を有する移送ガイド65が、メダルの下部一側をガイドするベース基板612に対して止着されている。
【0078】
この移送ガイド65は、スペーサ部材661とほぼ同じ厚さを有する板材であって、ネジ等によって、メダル選別開口611の下縁から若干下がった位置に取り付けてある。また、この移送ガイド65は、メダルが転動して流下するように下り傾斜が設けてり、傾斜下流端に対応するセレクタ本体ユニット61の側面部分には、メダル送り口613が開設してある。そして、メダルセレクタ6を、図7に示す取付基板64に装着した場合に、移送ガイド65の流下端であるメダル送り口613が、前記した取付基板64の搬送樋641の入口に連絡し、選別された正規のメダルを搬送樋641を介してホッパーのメダルタンクへ移送するメダル通路を形成する。
【0079】
また、図6及び図9に示すように、セレクタ本体ユニット61には、メダルブロッカユニット68が設けられている。このメダルブロッカユニット68は、メダルの通路に突出してメダルの通過を妨げる突出位置とメダルの通路に突出しない非突出位置との間で移動可能に設けられた可動部材であるメダルブロッカ682と、メダルブロッカ682を移動させる駆動手段であるブロッカソレノイド681を備えており、所定の条件が成立したときには、メダルの通路を閉じて、メダルを返却状態とすることができる。メダルを通過させる場合、ブロッカソレノイド681は電源を供給されることにより磁力を発生し、メダルブロッカ682をメダルの通路に突出しない非突出位置に移動させている。逆に言えば、ブロッカソレノイド681に電源が供給されていない場合は、メダルブロッカ682はメダルの通路に突出してメダルの通過を妨げる突出位置にある。よって、一般的なスロットマシンは、スロットマシン本体に電源供給されていない状態でメダルが投入された場合に、この投入されたメダルをメダル受皿210に返却可能となっている。なお、図9には図示されていないが、メダルブロッカユニット68は、ブロッカソレノイド681から導出した2つのリード線端に接続するコネクタを介して、スロットマシン100の本体(詳しくは、スロットマシン100の前面扉102に設けられた中継基板)に接続され、電源を供給されている。
【0080】
本実施形態のメダルブロッカユニット68(ブロッカソレノイド681)の回路構成は、図9に示すように、ソレノイドSOLと過電圧保護装置OVPを具備する構成であり、過電圧保護装置OVPは、ソレノイドSOLと並列にソレノイドSOLの両極間に接続されている。具体的には、過電圧保護装置OVPは、2つのツェナーダイオードZD1、ZD2を互いに逆向きにして直列に接続して構成されている。このような構成を採用することにより、後述するように電断せずにメダルセレクタ6をスロットマシン本体から着脱してソレノイドSOLに過電圧(逆起電力)が生じても、電圧保護装置OVPがソレノイドSOLによる過電圧(逆起電力)を防止して、スロットマシン本体の回路を保護するようになっている(詳しくは後述する)。
【0081】
次に、主に図7及び図8を参照して、メダルセレクタ6の動作を簡単に説明する。メダルセレクタ6を備えるスロットマシン100において、遊技を行うために、遊技者がメダルをメダル投入口ブロック134のメダル投入口134aへ投入する。
【0082】
メダル投入口134aから投入したされたメダルは、メダルセレクタ6のメダル通路を流下する。このとき、メダルの下縁をメダル転動面652が支えると共に、側面ガイドユニット62の可動型の押出しガイド627が側方より緩く押圧する。このため、メダルが正規のものであって規定の外径を有していれば、上縁が上部ガイド66である係止爪662に係止する。従って、当該メダルは、メダル通路を形成する移送ガイド65の下り傾斜にしたがって、搬送樋641へ連なるメダル送り口613へ向けて転動しながら流下する。一方、規定のサイズよりも小さい不正なメダルは、係止爪662に係止できないので、転倒してカバーガイド63の内側へ落下する。
【0083】
尚、図8に示すLの領域にメダルが存在しているときは、メダル返却ボタン133の操作に応じて、メダル返却装置67の先端部675がメダル選別開口611の中に突入し、メダルに接触可能であるので、メダル通路に詰まったメダルをシュート内に落下させることができる。一方、メダル投入センサ320によりメダル投入異常に関するエラーが検出されたときは、メダル返却ボタン133の操作を不可にして、メダル通路に詰まったメダルの返却を不可にしている。
【0084】
これは、メダル投入センサ320により検出されたエラーは、メダル投入センサ320近傍で発生したエラーであるため、メダル投入異常に関するエラーが発生した場合には、メダル通路内に設置された不正機器を用いての不正行為の可能性もあるので、当該不正機器を排出させないためである。
【0085】
<メダルセレクタの着脱>
図10はメダルセレクタ6をスロットマシン100に着脱したときの概略回路図である。図10(a)は、メダルセレクタ6をスロットマシン本体に取り付けた状態、図10(b)は、メダルセレクタ6をスロットマシン本体から取り外した状態を示している。
【0086】
メダルセレクタ6のメダルブロッカユニット68は、ブロッカソレノイド681から導出した2つのリード線L1、L2の線端に接続するコネクタCN2を介して、スロットマシン100の本体側のコネクタCN1に接続されている。また、ブロッカソレノイド681は、ソレノイドSOLと並列に、ソレノイドSOLの両極間に過電圧保護装置OVPを接続している。なお、コネクタCN1及びCN2は、無極性コネクタであるため、コネクタを逆挿しすることも可能であり、この場合においても、後述するように、回路内の電子部品を破損させてしまうことがない。
【0087】
このような構成において、まず、図10(a)に示すように、メダルセレクタ6をスロットマシン本体に取り付けて電源ONのときには、メダルブロッカユニット68のソレノイドSOLにはA方向に電流が流れている。この状態(電源ONのまま)で、図10(b)に示すように、コネクタCN2を抜くと、メダルブロッカユニット68には電源が供給されないので、ソレノイドSOLは電流を流し続けようとし、その結果、P1の電位が上昇する。
【0088】
ここで、過電圧保護装置OVPは、上述したように、ツェナーダイオードZD1、ZD2を互いに逆向きにして直列に接続して構成されている。すなわち、P1の電位が上昇して所定電圧(降伏電圧)より高くなったときは、ツェナーダイオードZD1が機能して、a方向に電流を流すようになっているので、過電圧保護装置OVPとソレノイドSOLで構成される回路内をA方向に電流が循環して流れ、これにより、P1の電位上昇のエネルギーがメダルセレクタ6内の回路で消費され、P1の電位上昇は解消されるようになっている。その結果、取り外したメダルセレクタ6をスロットマシン本体に取り付けても、本体側の駆動IC等の電子部品を破壊することはない。
【0089】
図11は、過電圧保護装置OVPを備えていないメダルセレクタをスロットマシン100に着脱したときの概略回路図である。図11(a)は、メダルセレクタをスロットマシン本体に取り付けた状態、図11(b)は、メダルセレクタをスロットマシン本体から取り外した状態を示している。
【0090】
同様にして、メダルセレクタをスロットマシン本体に取り付けて電源ONの状態(図11(a))から、メダルセレクタを取り外したときには(図11(b))、P1の電位が上昇するため、その後、メダルセレクタをスロットマシン本体に取り付けたときには、本体側の回路がP1の電位上昇の影響を受ける。そのため、本体側の駆動IC等の電子部品に耐電圧を越える電圧がかかる場合には、本体側の駆動IC等の電子部品が破壊されてしまう。なお、メダルセレクタをスロットマシン本体側から取り外して、その後、取り付けるという一連の行為は、メダルセレクタとスロットマシン本体側を接続しているコネクタを取り外す行為の中であり得ることである。この場合には、コネクタが円滑に抜けないことがあるので、コネクタを取り外すという一行為の中で上述した図11(a)→図11(b)→図11(a)という状態が再現されるものである。また、これとは別に一旦取り外したメダルセレクタを所定時間経過後にスロットマシン本体に取り付けるという行為においても、勿論、上述した図11(a)→図11(b)→図11(a)という状態は再現される。
【0091】
なお、図11に示すように、メダルセレクタ側に過電圧保護機能を備えない場合には、スロットマシン本体側において過電圧保護機能を施すという対策も考えられるが(例えば、本体側の回路に逆起電力直防止ダイオードを取り付けるなど)、この場合には、スロットマシン本体側の基板設計に影響を与えるので、遊技台の基板設計のたびに上述した対策を施さなければならず、手間がかかるという問題がある。これに対して、本実施形態のメダルセレクタ6においては、メダルセレクタ側のメダルブロッカユニット68が過電圧保護装置OVPを備えているので、遊技台本体の基板設計の際に過電圧保護機能を考慮する必要がない。すなわち、遊技台本体の基板設計の負担を軽減することができるという効果がある。
【0092】
また、図10においては、P1の電位上昇の場合を例に説明したが、P2の電位上昇の場合であっても、本実施形態のメダルブロッカユニット68は対応可能である。すなわち、P2の電位が上昇して所定電圧(降伏電圧)より高くなったときは、ツェナーダイオードZD2が機能して、b方向に電流を流すようになっているので、過電圧保護装置OVPとソレノイドSOLで構成される回路内をB方向に電流が循環して流れ、これにより、P2の電位上昇のエネルギーがメダルセレクタ6内の回路で消費され、P2の電位上昇は解消されるようになっている。その結果、メダルセレクタ6をスロットマシン本体に取り付けても、本体側の駆動IC等の電子部品を破壊することはない。さらに、過電圧保護装置OVPとして、放電管やバリスタ等の装置を備えるようにしてもよい。
【0093】
このように本実施形態のメダルセレクタ6は、メダルブロッカユニット68内の回路において所定電圧より高くなった場合には、いずれの方向(A方向、B方向)に対しても電流を流すことができる過電圧保護装置OVPを備えている。これは、本実施形態においては、無極性コネクタCN1及びCN2により、本体側とメダルセレクタ側が接続されるので、逆挿しすることも可能であり、逆挿しすることがあっても、メダルブロッカユニット68内で生じる電圧上昇をメダルブロッカユニット68内の回路で解消できることを示すものである。すなわち、コネクタを逆挿ししても、スロットマシン本体の電子部品を破損させてしまうことがない。
【0094】
なお、本実施形態においては、好適な例として図10に示すように、ブロッカソレノイド681が過電圧保護装置OVPを備える構成としたが、過電圧保護装置OVPが配設される位置はこれに限定されない。すなわち、メダルセレクタ6側において、ブロッカソレノイド681の両極に配設されればよく、例えば、リード線上に配設されてもよいし、無極性コネクタCN2上に配設されてもよい。
【0095】
以上述べたように、本実施形態のメダルセレクタ6によれば、ソレノイド681の両極間には、ツェナーダイオードZD1、ZD2を互いに逆向きにして直列に接続して構成された過電圧保護装置OVPを備え、予め定められた最大電圧を越えた場合に2方向のいずれに対しても電流を流すことができるようになっているので、メダルセレクタ6内の電圧上昇をメダルセレクタ6内の回路で消費できるようになっている。この結果、電断せずに着脱してもスロットマシン本体の回路を破損させず、本体回路を保護することができるとともに、本体回路の回路設計の負担を軽減することができる。
【0096】
さらには、メダルブロッカユニット68とスロットマシン本体側は無極性コネクタを介して接続されているので、逆挿ししても、スロットマシン本体の電子部品を破損させてしまうことがない。
【0097】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施形態に対して種々の変形や変更を施すことができる。
【0098】
例えば、上記実施形態では、スロットマシンに着脱可能なメダルセレクタに対して本発明を適用したが、本発明はスロットマシン(パチスロ)やパチンコ機に代表される遊技台に着脱可能な所定装置に対して適用可能であり、所定装置が電磁力により駆動するアクチュエータを備えるならば、当該アクチュエータの回路に過電圧保護装置を接続することにより、電断せずに着脱しても遊技台本体の回路を保護することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御部を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの副制御部を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの主制御部メイン処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの全面扉を開放した状態における筐体内の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタの外観斜視図である。
【図7】図6に示すメダルセレクタの分解斜視図である。
【図8】図6に示すメダルセレクタの正面図である。
【図9】図6に示すメダルセレクタを背面から見たときの外観斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクタをスロットマシン本体から着脱したときの状態を示す回路図である。
【図11】過電圧保護機能を具備しないメダルセレクタをスロットマシン本体から着脱したときの状態を示す回路図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技台に着脱自在なメダルセレクタにおいて、
ソレノイドの動作機構によりメダルの通過を制御するメダルブロッカユニットを備え、
前記メダルブロッカユニットは、
前記ソレノイドの2端子から導出された各リード線端に接続された無極性コネクタを介して、前記遊技台に接続され、
前記ソレノイドの両極間には、予め定められた最大電圧を越えた場合に2方向のいずれに対しても電流を流すことができる過電圧保護装置を備えることを特徴とするメダルセレクタ。
【請求項2】
前記過電圧保護装置は、前記ソレノイドが備えていることを特徴とする請求項1記載のメダルセレクタ。
【請求項3】
前記過電圧保護装置は、
2つのツェナーダイオードを互いに逆向きにして直列に接続して構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のメダルセレクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のメダルセレクタを有することを特徴とする遊技台。
【請求項1】
遊技台に着脱自在なメダルセレクタにおいて、
ソレノイドの動作機構によりメダルの通過を制御するメダルブロッカユニットを備え、
前記メダルブロッカユニットは、
前記ソレノイドの2端子から導出された各リード線端に接続された無極性コネクタを介して、前記遊技台に接続され、
前記ソレノイドの両極間には、予め定められた最大電圧を越えた場合に2方向のいずれに対しても電流を流すことができる過電圧保護装置を備えることを特徴とするメダルセレクタ。
【請求項2】
前記過電圧保護装置は、前記ソレノイドが備えていることを特徴とする請求項1記載のメダルセレクタ。
【請求項3】
前記過電圧保護装置は、
2つのツェナーダイオードを互いに逆向きにして直列に接続して構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のメダルセレクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のメダルセレクタを有することを特徴とする遊技台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−112440(P2009−112440A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287187(P2007−287187)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(597044139)株式会社大都技研 (1,470)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(597044139)株式会社大都技研 (1,470)
【Fターム(参考)】
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