説明

メダルプッシャゲーム機

【課題】回収孔の大きさを変更する構成を省スペースにでき、また、構成を簡単にできるメダルプッシャゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム機1は、固定テーブル62及び固定テーブル62上を往復移動する往復テーブル61を有するプッシャ台6を備え、固定テーブル62の側部に設けられ、往復テーブル61の往復移動にともない固定テーブル62上のメダルMの一部を回収する親落ち孔7と、固定テーブル62に対して固定された回転支持部20と、回転支持部20の回転軸20aを中心に回転可能に設けられ、回転支持部20回りに回転移動することにより親落ち孔7の大きさを変更する遮蔽部分41と、遮蔽部分41に一体的に設けられ作業者が操作可能な操作部42とを有する遮蔽板40と、遮蔽板40の回転位置を保持する回転保持部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルのペイアウト率を調整する回収孔を備えるメダルプッシャゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、メダルプッシャゲーム機は、メダルのペイアウト率を調整するために、固定テーブルの側部に親落ち孔といわれる回収孔が設けてあった(例えば特許文献1)。
しかし、従来のメダルプッシャゲーム機は、回収孔の大きさを調整するために、遮蔽板を奥行方向にスライドしていた。このため、従来のメダルプッシャゲーム機は、遮蔽板を奥側に移動するための大きなスペースを確保しなければならず、また、遮蔽板のスライド機構が必要になり構造が複雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−68818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、回収孔の大きさを変更する構成を省スペースにでき、また、構成を簡単にできるメダルプッシャゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
第1の発明は、固定テーブル(62)及び前記固定テーブル上を往復移動する往復テーブル(61)を有するプッシャ台(6)を備えるメダルプッシャゲーム機であって、
前記固定テーブルの側部に設けられ、前記往復テーブルの往復移動にともない前記固定テーブル上のメダルの一部を回収する回収孔(7)と、前記固定テーブルに対して固定された回転支持部(20)と、前記回転支持部の回転軸(20a)を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸回りに回転移動することにより前記回収孔の大きさを変更する遮蔽部分(41)と、前記遮蔽部分に一体的に設けられ作業者が操作可能な操作部(42)とを有する遮蔽部材(40)と、前記遮蔽部材の回転位置を保持する回転保持部(30)とを備えること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
第2の発明は、第1の発明のメダルプッシャゲーム機において、前記遮蔽部材(40)の前記遮蔽部分(41)は、前記回転支持部(20)側に中心を有する円の円弧状又は弦状の外縁部(41c)を有すること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
第3の発明は、第2の発明のメダルプッシャゲーム機において、前記固定テーブル(62)のメダル移動領域は、表面を法線方向から見たときに、前記往復テーブル(61)の移動範囲よりも手前側の領域が、手前側に至るほど左右方向の長さが大きくなる拡張部分(63)を有し、前記回収孔(7)は、前記拡張部分の左右方向外側に設けられていること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
第4の発明は、第1から第3までのいずれかの発明のメダルプッシャゲーム機において、前記遮蔽部材(40)の前記操作部(42)の形状は、前記回転支持部の回転軸(20a)を中心とする円の円弧であること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明のメダルプッシャゲーム機において、前記遮蔽部材をカバーし、前記固定テーブル(62)側から前記操作部(42)及び前記回転保持部(30)を操作する窓部(51)を有するカバー部材(50)を備えること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明のメダルプッシャゲーム機において、前記回収孔(7)は、前記固定テーブル(62)の左側及び右側にそれぞれ設けられ、
前記遮蔽部材(40)は、板状の部材であり、前記固定テーブルに対して固定され、前記遮蔽部材が装着され、前記回転保持部(30)を形成する部分(12c,12d)が前記回転支持部(20)を形成する部分(12b)を介して対向するように2箇所設けられた遮蔽部材装着部材(12)を備えること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明のメダルプッシャゲーム機において、前記遮蔽部材(40)を、前記回転支持部(20)の中心軸(20a)を中心に回転駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備えること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、操作部を操作することにより、遮蔽部材が回転軸回りに回転移動して回収孔の大きさを変更するので、遮蔽部分の最大外形部の回転半径分のスペースが奥行方向にあれば、回収孔の大きさを変更できるため、回収孔の大きさを変更する構成を省スペースにできる。また、遮蔽部材を回転移動する構成であるので、遮蔽部材を直動させるスライド機構が不要であり、構成を簡単にできる。
(2)本発明は、遮蔽部分が、回転支持部側に中心を有する円の円弧状又は弦状の外縁部を有するので、奥行方向のスペースが小さくても、円の半径分のスペースがあれば、回転軸回りに回転移動できる。
【0008】
(3)本発明は、固定テーブルの手前側の領域に拡張部分を有している。この場合、拡張部分よりも外側のゲーム機内部の領域は、奥側に構成部品を設置するために十分なスペースがない。本発明は、このように十分にスペースがない場合であっても、前述したように、遮蔽部分の移動スペースを小さくできるので、遮蔽部材を配置できる。
(4)本発明は、遮蔽部材の操作部の形状が、回転支持部を中心とする円の円弧であるので、操作部を円弧に沿って同一半径で回転移動するように操作できるため、操作性を向上できる。
【0009】
(5)本発明は、カバー部材が遮蔽部材をカバーし、固定テーブル側から操作部及び回転保持部を操作する窓部を有するので、カバー部材で遮蔽部材をカバーして、回収孔をプレイヤから見えにくい構造にできるとともに、良好な操作性を維持できる。
(6)本発明は、遮蔽部材が板状の部材であり、また、遮蔽部材装着部材には、回転保持部を形成する部分が回転支持部を形成する部分を介して対向するように2箇所設けられているので、遮蔽部材及び遮蔽部材装着部材を左右で共通化でき、低コストである。
(7)本発明は、駆動部が遮蔽部材を回転支持部を中心に回転駆動すればいいので、例えば、DCモータの回転軸を回転支持部の回転軸に直接設けることができるため、構造を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態のゲーム機1の斜視図である。
【図2】実施形態のプッシャ台6近傍の構成の三面図である。
【図3】実施形態の親落ち孔7近傍の上面図の拡大図である。
【図4】実施形態の親落ち孔7近傍の正面図の拡大図である。
【図5】実施形態の親落ち孔7近傍の断面図の拡大図である。
【図6】実施形態の親落ち孔7近傍の断面図の拡大図である。
【図7】比較例の親落ち孔107近傍を示す上面図である。
【図8】比較例の親落ち孔107近傍の断面図の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態のゲーム機1の斜視図である。
図1に示すように、ゲーム機1(メダルプッシャゲーム機)は、主にゲームセンタ等の店舗等に設置される装置である。ゲーム機1は、プレイ領域Fにプッシャ台6が配置されたメダルプッシャゲームを行う装置である。プレイ領域Fとは、ゲーム盤5、プッシャ台6等の装置が配置され、メダルMを移動させるプレイが実際に行われる領域をいう。
【0012】
ゲーム機1は、ケース2、ウィンドウ3、メダル投入装置4、ゲーム盤5(盤面)、プッシャ台6、親落ち孔7(回収孔)、メダル獲得孔8、メダル払い出し口9を備える。
ケース2は、ゲーム機1の筐体である。
ウィンドウ3は、ゲーム機1内部のプレイ領域Fとゲーム機1の外部とを仕切る部材である。ウィンドウ3は、ゲーム機1の手前側Y1に設けられている。ウィンドウ3は、外部からプレイ領域Fを視認できるように、透明な材料(例えばガラス、アクリル樹脂等)により形成される。
【0013】
メダル投入装置4は、プレイ領域FにメダルMを投入するために、プレイヤが投入操作をする装置である。メダル投入装置4は、ケース2の手前側Y1に設けられた操作パネル2aに配置されている。
メダル投入装置4は、案内溝4aの端部に設けられたメダル投入孔4cに、プレイヤがメダルMを投入するようになっている。メダル投入孔4cには、投入されたメダルMを検出するメダル投入センサ(図示せず)が設けられている。メダル投入センサは、例えば光学センサであり、メダルMを検出すると、検出情報を制御部(図示せず)に出力する。制御部は、メダル投入センサ4dの出力に応じて、メダル送出部(図示せず)を駆動して、ゲーム盤5の上側Z2に設けられたメダル放出部(図示せず)からゲーム盤5にメダルMを放出する。
【0014】
ゲーム盤5は、表面が手前側Y1を向くように配置されている。ゲーム盤5の上部には、メダル放出部(図示せず)が設けられており、メダル投入装置4にメダルMが投入されると、制御部(図示せず)がメダル放出部からメダルMを放出するようなっている。ゲーム盤5は、このメダル放出部から放出されたメダルMを落下させる部材である。
【0015】
プッシャ台6は、ゲーム盤5よりも下側Z1に設けられている。プッシャ台6は、ゲーム盤5を落下してきたメダルMが載置できる範囲に設けられている。プッシャ台6は、載置されたメダルMを徐々に手前側Y1に移動させて、メダル獲得孔8に落下させる。
【0016】
プッシャ台6は、固定テーブル62と、固定テーブル62上を奥行方向Yに往復移動する往復テーブル61とを備えている。
往復テーブル61は、ゲーム盤5から落下してきたメダルMを載置し、往復移動によってメダルMをゲーム盤5の下側Z1に当接させて、玉突きのように固定テーブル62に押し出すように構成されている。
固定テーブル62は、往復テーブル61から落下してきたメダルMや、ゲーム盤5から落下してきたメダルMを直接載置する。固定テーブル62は、往復テーブル61の往復移動によって、メダルMを往復テーブル61の手前側Y1の側面61aに当接させて、玉突きのようにメダル獲得孔8に落下させるように構成されている。固定テーブル62は、ケース2に対して固定されている。
【0017】
固定テーブル62のメダル移動領域は、表面を上側(表面の法線方向)から見たときに、往復テーブル61の移動範囲よりも手前側Y1の領域に、拡張部分63を有する。拡張部分63は、手前側Y1に至るほど左右方向Xの長さが大きくなるように形成されている(図2(a)に示す傾き方向A参照)。
拡張部分63を設ける理由は、例えば、以下の通りである。
(1)メダルMが広がりながら移動するように見せるためである。
(2)固定テーブル62上のメダルMの流れを奥側Y2から手前側Y1に至る程遅くする。つまり、奥側Y2では、往復テーブル61によってメダルMが手前側Y1に押し出す作用を、プレイヤに分かりやすくするためである。また、固定テーブル62上のメダルMの流れを奥側Y2から手前側Y1に至る程遅くすることにより、メダルMが親落ち孔7に回収されていることを、プレイヤに気付かれにくくするためである。
【0018】
親落ち孔7は、固定テーブル62の拡張部分63の左側X1及び右側X2の外側に、それぞれ設けられている(図2(b)参照)。親落ち孔7は、固定テーブル62上のメダルMの一部を回収する回収孔である。親落ち孔7は、固定テーブル62上のメダルMが、往復テーブル61の往復移動にともない往復テーブル61の手前側側面61aによって手前側Y1に押し出される場合に、左右方向Xに移動するメダルMを回収する。親落ち孔7に落下したメダルMは、ゲーム機1内部のメダル収容ホッパ(図示せず)に導かれる。
親落ち孔7の大きさは、調整可能であり、ペイアウト率(メダル投入数に対するメダル払い出し数の割合)を調整できるようになっている。親落ち孔7近傍の構成は、後述する。
【0019】
メダル獲得孔8は、プッシャ台6よりも手前側Y1に設けられた開口孔であり、プッシャ台6に押し出されたメダルMが落下する。メダル獲得孔8に落下したメダルMは、メダル払い出し装置(図示せず)により、メダル払い出し口9に払い出される。
【0020】
図2は、実施形態のプッシャ台6近傍の構成の三面図である。
図2(a)は、上面図(上側Z2(固定テーブル62表面の法線方向)から見た図)であり、図2(b)は、正面図(手前側Y1から見た図)であり、図2(c)は、図2のC−C部矢視断面図である。
図3は、実施形態の親落ち孔7近傍の上面図の拡大図(図2(a)の矢印III部拡大図)である。
図4は、実施形態の親落ち孔7近傍の正面図の拡大図(図2(b)の矢印IV部拡大図)である。
図5、6は、実施形態の親落ち孔7近傍の断面図の拡大図(図2(c)の矢印V部拡大図)である。
図5は、親落ち孔7の大きさが小さい状態、図6は、親落ち孔7の大きさが大きい状態を示す。
なお、内部構成を説明するために、図2(b)、図3〜図4は、カバー50を取り外した状態を示し、図2(c)は、カバー50を二点鎖線で示す。
【0021】
図2に示すように、ゲーム機1は、ブラケット11、ブラケット12(遮蔽板装着部材)、回転支持部20、回転保持部30、遮蔽板40(遮蔽部材)、カバー50を備える。
ブラケット11は、固定テーブル62の拡張部分63の左右方向X外側に配置されている。ブラケット11は、固定テーブル62に対して固定されている。
図5に示すように、ブラケット11の下側Z1は、固定テーブル62との間に隙間を有している。この隙間によって拡張部分63の左側X1及び右側X2に、親落ち孔7を設けるための開口孔7aがそれぞれ形成される(図4から図6には、開口孔7aの縁部を太線で示す)。
図3に示すように、ブラケット11の上面11aには、スリット11bが設けられている。スリット11bは、遮蔽板40を挿通する隙間である。スリット11bは、回転軸20a(後述する)に直交しており、遮蔽板40が回転移動するときに遮蔽板40の傾き(矢印θ参照)を防止する。
【0022】
ブラケット12は、ブラケット11の上面11aに固定された板材である。ブラケット12の断面は、L字状であり、ブラケット11の上面11aから直立する直立部分12aを有する。ブラケット12には、回転支持部20、回転保持部30が設けられている。
【0023】
回転支持部20は、遮蔽板40が回転する場合の回転軸20aを形成する部分である。回転支持部20は、ブラケット12に設けられためネジのネジ孔12d及びボルト21により構成される。ボルト21は、遮蔽板40及びブラケット12の直立部分12aを、若干の隙間が存在するように締め込まれることにより、遮蔽板40を回転軸20a回りに回転可能に支持している。回転支持部20の回転軸20aは、拡張部分63の傾き方向Aに対して直交している。
【0024】
回転保持部30は、遮蔽板40の回転位置を保持する部分である。回転保持部30は、ブラケット12に設けられためネジのネジ孔12c(回転保持部30を形成する部分)及びボルト31により構成される。ボルト31は、遮蔽板40を直立部分12aとの間に挟み込んだ状態で締め込まれることにより、遮蔽板40が回転できないようにブラケット12に保持する。
なお、ブラケット12は、2箇所のネジ孔12c,12dが、回転軸20aを介して対向するように、設けられている。これは、左右反転させることにより、左側X1及び右側X2のブラケット12を部品共通にして、低コストにするためである。
【0025】
遮蔽板40は、親落ち孔7の大きさを変更する平板状の部材である。遮蔽板40は、回転軸20aを中心に回転可能に設けられている。前述したように、回転軸20aが拡張部分63の傾き方向Aに直交しているので、遮蔽板40は、傾き方向Aに平行な面内を回転移動する。
図5に示すように、遮蔽板40は、遮蔽部分41、操作部42、保持孔43を有する。
遮蔽部分41は、回転軸20a回りに回転移動することにより、開口孔7aの一部を覆って、親落ち孔7の大きさを実際に変更する部分である。遮蔽部分41は、回転軸20a方向から見た形状が、回転軸20aを中心とするほぼ扇形状の部材である。このため、遮蔽部分41は、2つの半径部41a,41b及び円弧部41c(外縁部)によって囲まれたような形状である。
【0026】
傾き方向手前側A1の半径部41aは、親落ち孔7の傾き方向奥側A2の縁部を形成する。
円弧部41cは、回転軸20aを中心とする円の円弧である。このため、図5において、遮蔽板40の回転移動領域は、半径部41a,41bを半径とする円よりも内側になる。
これにより、遮蔽板40は、回転支持部20から半径部41a,41bの回転スペースがあれば、回転軸20a回りに回転移動でき、省スペースで設置できる。
【0027】
操作部42は、遮蔽部分41に一体的に設けられ作業者(遊技場の管理者等)が操作可能な部分である。操作部42は、回転支持部20を介して円弧部41cに対向配置されている。
遮蔽板40の操作部42の形状は、回転支持部20を中心とする円の円弧である。このため、操作部42は、作業者が手の指で回転移動するように操作でき、また回転半径が変化しないので、操作性を向上できる。
【0028】
保持孔43は、遮蔽板40を保持するために、回転保持部30のボルト31を挿通する開口孔である。保持孔43は、回転軸20aを中心とする円弧状に形成されている。円弧の長さは、遮蔽板40の回転範囲に対応するような長さに設定されている。保持孔43は、操作部42内に配置されている。これは、操作部42を操作しながら、回転保持部30を操作できるようにして、操作性を向上するためである。
【0029】
なお、遮蔽板40は、平板状の部材であるので、ブラケット12と同様に、左側X1及び右側X2の部品を共通にできる。このように、ゲーム機1は、親落ち孔7の大きさを調整するための部品を、共通にできるため、低コストである。
【0030】
親落ち孔7は、開口孔7aの傾き方向奥側A2を、遮蔽板40によって遮蔽されることにより形成される。このため、親落ち孔7は、開口孔7aの傾き方向手前側A1に形成される。
開口孔7aの手前側Y1に親落ち孔7を形成する理由は、以下の通りである。
親落ち孔7を傾き方向奥側A2に形成してしまうと、固定テーブル62の奥側Y2のうち左右方向X外側には、壁がなくなってしまう。このため、固定テーブル62の奥側Y2のうち左右方向X外側の領域に位置するメダルMのほとんどは、往復テーブル61の往復移動にともない、左右方向Xに移動し、手前側Y1に移動しにくくなる。そのため、メダルMの移動が不自然になり、プレイヤに親落ち孔7の存在を気付かれてしまう。これを防止するために、ゲーム機は、親落ち孔7を開口孔7aの手前側Y1に形成している。
【0031】
図2に示すように、カバー50は、親落ち孔7及び遮蔽板40の存在をプレイヤに気付かれないように、親落ち孔7よりも固定テーブル62側の部分を覆う部材である(図1参照)。カバー50は、つば51、窓部52を有している。
つば51は、カバー50の下側Z1に設けられている。つば51は、固定テーブル62側に突出するように設けられている。つば51の下側Z1は、固定テーブル62との間に隙間が設けられており、この隙間を、固定テーブル62上のメダルMが親落ち孔7に向けて移動する(図1参照)。
通常、プレイヤは、固定テーブル62を見下ろすようにプレイする。このため、つば51は、プレイヤの親落ち孔7及び遮蔽板40の円弧部41cへの視線を遮ることができる。これにより、ゲーム機1は、親落ち孔7等をプレイヤから見えにくい構造にできる。
【0032】
窓部52は、カバー50の上部に設けられた開口孔である。窓部52は、操作部42及び回転保持部30が、固定テーブル62側から見えるように配置されている。これにより、作業者は、プレイ領域の内側から窓部52に手や工具を挿入して、遮蔽板40を操作することができる。
このように、カバー50は、親落ち孔7及び遮蔽板40をカバーし、固定テーブル62側から操作部42及び回転保持部30を操作する窓部52を有するので、プレイヤから親落ち孔7近傍の構成を見えにくくできるとともに、良好な操作性を維持できる。
【0033】
次に、親落ち孔7の大きさを、図5の状態(親落ち孔7の大きさが小さい状態)から図6の状態(親落ち孔7の大きさが大きい状態)に変更する例を説明する。作業者は、以下の手順に従って、親落ち孔7の大きさを大きくすることができる。
(1)図5に示すように、工具(ドライバ等)の先端を、プレイ領域側からカバー50の窓部52(図2(c)参照に挿入して、回転保持部30のボルト31を緩める。
(2)カバー50の窓部52から、指を入れて、遮蔽板40の操作部42を操作して、遮蔽板40を図5の左回りに回転する。
(3)遮蔽板40を図6に示す位置に配置したら、再び工具の先端を挿入して、回転保持部30のボルト31を締める。このとき、ボルト31の締め付けにともない遮蔽板40が回転しないように、操作部42を指で押さえるとよい。
このように、ゲーム機1は、簡単な作業によって、親落ち孔7の大きさを変更できる。
【0034】
また、ゲーム機1は、遮蔽板40が回転軸20a回りに回転移動して親落ち孔7の大きさを変更するので、遮蔽部分41の最大外形部の回転半径分のスペースが傾き方向奥側A2にあればよいため、親落ち孔7の大きさを変更する構成を省スペースにできる。
【0035】
ここで、前述したように、固定テーブル62は、拡張部分63を有し、親落ち孔7は、拡張部分63の側部に設けられている。
図3、図5に示すように、このような配置の場合、拡張部分63よりも外側の領域であって、親落ち孔7よりも傾き方向奥側A2の部分(図3、図5に示す二点鎖線B付近)は、往復テーブル61及びその近傍の構成部品に干渉してしまうため、遮蔽板40が移動するための大きなスペースを設けることができない。
実施形態では、遮蔽板40の移動スペースを省スペースにできるので、遮蔽板40をこれらの構成部品に干渉させることなく移動できる。
【0036】
図7は、比較例の親落ち孔107近傍を示す上面図である(図3に相当する図)。
図8は、比較例の親落ち孔107近傍の断面図の拡大図である(図5に相当する図)。
なお、比較例の説明及び図面において、実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
比較例は、従来の親落ち孔107の構成であり、拡張部分163の傾き方向A1に沿ってスライド板140をスライド(直動)させるものである。
【0037】
図7、図8中、実線で示したスライド板140は、親落ち孔107を図5と同程度まで遮蔽する位置に配置された状態である(親落ち孔107が小さい状態)。一方、破線で示したスライド板140は、親落ち孔107を図6と同程度の大きさまで開口する位置に配置された状態である(親落ち孔107が大きい状態)。
スライド板140は、実施形態の遮蔽板40と同程度まで親落ち孔107を遮蔽しようとすると、傾き方向A1において、実線で示す程度の長さが必要になる。
そして、実施形態の遮蔽板40と同程度まで親落ち孔107を開口しようとすると、傾き方向A1において、破線で示す位置にまでスライドして後退させなければならない。この場合、スライド板140の後端140aは、実施形態の遮蔽板40の後端の位置よりも傾き方向奥側A2に配置される。なお、比較のため、図6には、孔の後端から遮蔽板40の後端までの長さをL1で示し、図8には、孔の後端からスライド板140の後端までの長さをL101で示した。
【0038】
図7に示すように、比較例のスライド板140は、親落ち孔107を開口しようとすると、後端140aが往復テーブル161や、その近傍の構成部品に干渉する方向に移動する。このため、スライド板140は、これらとの干渉を防止するために、左右方向Xにおいて、実施形態の遮蔽板40よりも、外側に配置しなければならない(矢印C参照)。そのため、比較例のゲーム機は、左右方向Xの大きさが大きくなり、大型になる。
これに対して、実施形態のゲーム機1は、遮蔽板40は、傾き方向A1における移動範囲が小さいため、小型化できる。
【0039】
また、比較例のゲーム機は、スライド板140をガイドするために、下側Z1及び上側Z2にレール等が必要であり、構成が複雑になり、さらに、左側X1及び右側X2のスライド板140を部品共通にすることが困難になるため、高コストである。
これに対して、実施形態のゲーム機1は、前述したように、遮蔽板40を移動する構成を簡単にできるし、左側X1及び右側X2の遮蔽板40を部品共通にできるので、低コストである。
【0040】
以上説明したように、実施形態のゲーム機は、親落ち孔7の大きさを調整するための構成を、省スペース、簡単にできるため、小型化でき、また低コストである。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0042】
(変形形態)
(1)実施形態において、遮蔽板40は、作業者が手で操作する例を示したが、これに限定されない。例えば、遮蔽板40を回転支持部20の回転軸20aを中心に回転駆動するDCモータ等の駆動部と、駆動部を制御する制御部とを設けてもよい。この場合、DCモータ等の駆動部の回転軸を、回転支持部20の回転軸20aに直接接続することができるので、構造を簡単にできる。
【0043】
(2)実施形態において、遮蔽部分41は、回転軸20aを中心とする円の円弧部41cを有する例を示したが、これに限定されない。例えば、遮蔽部分41は、円弧部41cではなく、弦状に外形を有していてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…ゲーム機 6…プッシャ台 7…親落ち孔 7a…開口孔 12…ブラケット 12c,12d…ネジ孔 12d…ネジ孔 20…回転支持部 20a…回転軸 21…ボルト 30…回転保持部 31…ボルト 40…遮蔽板 41…遮蔽部分 41c…円弧部 42…操作部 43…保持孔 62…固定テーブル 61…往復テーブル 63…拡張部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定テーブル及び前記固定テーブル上を往復移動する往復テーブルを有するプッシャ台を備えるメダルプッシャゲーム機であって、
前記固定テーブルの側部に設けられ、前記往復テーブルの往復移動にともない前記固定テーブル上のメダルの一部を回収する回収孔と、
前記固定テーブルに対して固定された回転支持部と、
前記回転支持部の回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸回りに回転移動することにより前記回収孔の大きさを変更する遮蔽部分と、前記遮蔽部分に一体的に設けられ作業者が操作可能な操作部とを有する遮蔽部材と、
前記遮蔽部材の回転位置を保持する回転保持部とを備えること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。
【請求項2】
請求項1に記載のメダルプッシャゲーム機において、
前記遮蔽部材の前記遮蔽部分は、前記回転支持部側に中心を有する円の円弧状又は弦状の外縁部を有すること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。
【請求項3】
請求項2に記載のメダルプッシャゲーム機において、
前記固定テーブルのメダル移動領域は、表面を法線方向から見たときに、前記往復テーブルの移動範囲よりも手前側の領域が、手前側に至るほど左右方向の長さが大きくなる拡張部分を有し、
前記回収孔は、前記拡張部分の左右方向外側に設けられていること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のメダルプッシャゲーム機において、
前記遮蔽部材の前記操作部の形状は、前記回転支持部の回転軸(20a)を中心とする円の円弧であること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のメダルプッシャゲーム機において、
前記遮蔽部材をカバーし、前記固定テーブル側から前記操作部及び前記回転保持部を操作する窓部を有するカバー部材を備えること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のメダルプッシャゲーム機において、
前記回収孔は、前記固定テーブルの左側及び右側にそれぞれ設けられ、
前記遮蔽部材は、板状の部材であり、
前記固定テーブルに対して固定され、前記遮蔽部材が装着され、前記回転保持部を形成する部分が前記回転支持部を形成する部分を介して対向するように2箇所設けられた遮蔽部材装着部材を備えること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のメダルプッシャゲーム機において、
前記遮蔽部材を、前記回転支持部の中心軸を中心に回転駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部とを備えること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−120690(P2012−120690A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273638(P2010−273638)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)