説明

メダルプッシャゲーム機

【課題】メダルの獲得しやすさを、プレイヤに目立つように報知できるメダルプッシャゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム機1は、プレイ領域F内に設けられ、固定テーブル6b及び固定テーブル6b上を往復移動する往復テーブル6aを有するプッシャ台6と、ゲーム機1に投入されたメダルMの数量と、ゲーム機1から払い出されたメダルMの数量とに基づいて算出されるペイアウト率の設定を受け付けるペイアウト率設定部3と、プレイヤに視認可能に設けられ、固定テーブル6bの先端に配置され、後端から先端に至る程上側Z2に傾斜する羽根10と、羽根10の高さを変更する羽根駆動部15と、ペイアウト率の設定に基づいて羽根駆動部15を制御して、羽根10の高さを変更する羽根制御部62とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルを払い出すメダルプッシャゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プッシャゲーム機には、ペイアウト率を調整するための無効メダル案内口(親落孔)が設けられていた(例えば特許文献1)。
しかし、無効メダル案内口は、プレイヤから見えにくい位置に配置されているため、ペイアウト率が高く設定され、メダルが獲得しやすくても、プレイヤに対して報知できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−153055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、メダルの獲得しやすさを、プレイヤに目立つように報知できるメダルプッシャゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
第1の発明は、プレイ領域内に設けられ、固定テーブル及び前記固定テーブル上を往復移動する往復テーブルを有するプッシャ台(6)を備えるメダルプッシャゲーム機であって、このプッシャゲーム機に投入されたメダル(M)の数量と、このプッシャゲーム機から払い出されたメダルの数量とに基づいて算出されるペイアウト率の設定を受け付けるペイアウト率設定部(3)と、プレイヤに視認可能に設けられ、前記固定テーブルの先端に配置され、後端から先端に至る程上側に傾斜する羽根(10,210)と、前記羽根の高さを変更する駆動部(15,215)と、前記ペイアウト率の設定に基づいて前記駆動部を制御して、前記羽根の前記高さを変更する羽根制御部(62)とを備えること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
第2の発明は、プレイ領域内に設けられ、固定テーブル及び前記固定テーブル上を往復移動する往復テーブルを有するプッシャ台(6)を備えるメダルプッシャゲーム機であって、このゲーム機内部に設けられ、前記プレイ領域内に設けられた入賞部(5b)と、プレイヤに視認可能に設けられ、前記固定テーブルの先端に配置され、後端から先端に至る程上側に傾斜する羽根(10,210)と、前記羽根の高さを変更する駆動部(15,215)と、前記入賞部へのメダル入賞に応じて前記駆動部を制御して、前記羽根の傾斜角度を変更する羽根制御部(62)とを備えること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
第3の発明は、第1又は第2の発明のメダルプッシャゲーム機において、前記羽根(10)は、前記固定テーブル(6b)に対して回転可能に支持され、前記駆動部(15)は、前記羽根の前記固定テーブルに対する角度(θ10)を変更することにより、前記高さ(H10)を変更すること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
第4の発明は、第1又は第2の発明のメダルプッシャゲーム機において、前記羽根(210)は、前記固定テーブル(206b)に対して、前記羽根の傾斜角度に対応した傾斜方向(A)への繰り出し量が変更可能に支持され、前記駆動部(215)は、前記羽根の前記繰り出し量を変更することにより、前記高さ(H210)を変更すること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明のメダルプッシャゲーム機において、前記固定テーブル上を移動するメダルを回収する親落孔(20)と、前記親落孔をプレイヤから見えにくくするようにカバーするカバー部(2d)と、前記親落孔の大きさを変更する親落孔変更部(30)とを備え、前記羽根制御部(60)は、前記駆動部(215)を制御して前記羽根(10)の高さを低くする程、前記親落孔変更部を制御して前記親落孔の大きさを大きくすること、を特徴とするメダルプッシャゲーム機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
第1の発明は、羽根が固定テーブルの先端にプレイヤに視認可能に設けられ、ペイアウト率の設定に基づいて羽根の高さを変更するので、ペイアウト率に応じたメダルの獲得しやすさを、プレイヤに目立つように報知できる。
第2の発明は、羽根が固定テーブルの先端にプレイヤに視認可能に設けられ、入賞部へのメダル入賞に応じて羽根の傾斜角度を変更するので、入賞部へのメダル入賞に応じたメダルの獲得しやすさを、プレイヤに目立つように報知できる。
【0008】
第3の発明は、羽根が固定テーブルに対して回転可能に支持されているので、羽根を回転する回転機構を設けて、羽根の高さを変更できる。
第4の発明は、羽根が固定テーブルに対して傾斜方向への繰り出し量が変更可能に支持されているので、羽根をスライドするスライド機構を設けて、羽根の高さを変更できる。
第5の発明は、羽根の高さを低くすることにより、プレイヤにはメダルを獲得しやすいように見せながら、プレイヤから見えにくい親落孔の大きさを小さくすることにより、実際には、メダルの獲得しやすさが極端に変化しないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態のゲーム機1の一部の斜視図である。
【図2】第1実施形態の固定テーブル6b近傍の断面図、正面図である。
【図3】第1実施形態の親落孔20近傍の上面図、正面図である。
【図4】第1実施形態のゲーム機1のブロック図である。
【図5】第1実施形態のゲーム機1の動作を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態のゲーム機1のボーナスゲーム時の処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態のゲーム機201の固定テーブル206bの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態のゲーム機1の一部の斜視図である。
図2は、第1実施形態の固定テーブル6b近傍の断面図、正面図である。
図2(a)は、固定テーブル6b近傍を右側X2から見た断面図である。
図2(b)は、羽根10の孔部12a近傍の正面図(手前側Y1から見た図)である。
図3は、第1実施形態の親落孔20近傍の上面図、正面図である。
図3(a)は、第1実施形態の親落孔20近傍の上面図(上側Z2から見た図)である。
図3(b)は、第1実施形態の親落孔20近傍の正面図である。
【0011】
図1に示すように、ゲーム機1は、プレイ領域Fにプッシャ台6が配置されたメダルプッシャゲーム機である。プレイ領域Fとは、ゲーム盤5、プッシャ台6等の装置が配置され、メダルMを移動させるプレイが実際に行われる領域をいう。
図1から図3に示すように、ゲーム機1は、ケース2、ウィンドウ2a、ペイアウト率設定部3、メダル投入装置4、ゲーム盤5、プッシャ台6、羽根10、羽根駆動部15、親落孔20、親落孔駆動部35、メダル獲得孔40、メダル払い出し口41を備える。
【0012】
図1に示すように、ケース2は、ゲーム機1の筐体である。
ウィンドウ2aは、ゲーム機1内部のプレイ領域Fとゲーム機1の外部とを仕切る部材である。ウィンドウ2aは、ゲーム機1の手前側Y1に設けられている。ウィンドウ2aは、外部からプレイ領域Fを視認できるように、透明な材料(例えばガラス、アクリル樹脂等)により形成される。
【0013】
ペイアウト率設定部3は、ペイアウト率の設定を受け付ける操作部である。ペイアウト率とは、「ペイアウト率=払い出されたメダルMの数量/投入されたメダルMの数量」によって求められる割合をいう。つまり、ペイアウト率は、高い程メダルが払い出されやすく、一方、低い程メダルが払い出されにくい。
ペイアウト率設定部3は、ケース2の手前側Y1に配置されている。ペイアウト率設定部3は、メンテナンス時等に操作者(例えば遊戯施設の管理者)によって操作される。ペイアウト率設定部3は、通常(プレイ時等)は、カバー(図示せず)によって覆われており、プレイヤが視認できないようになっている。ペイアウト率設定部3は、設定情報を制御部60(図4参照)に出力する。
【0014】
メダル投入装置4は、プレイ領域FにメダルMを投入するために、プレイヤが投入操作をする装置である。メダル投入装置4は、ケース2の手前側Y1に設けられた操作パネル2bに配置されている。
メダル投入装置4は、案内溝4aの下端に設けられたメダル投入孔4c(図2(b)参照)にメダルMを投入するようになっている。メダル投入孔4cには、投入されたメダルMを検出するメダル投入センサ4d(図4参照)が設けられている。メダル投入センサ4dは、例えば光学センサであり、メダルMを検出すると、検出情報を制御部60(図4参照)に出力する。
【0015】
ゲーム盤5は、盤面が鉛直になるように配置されている。ゲーム盤5の上部には、メダル放出部5eが設けられており、メダル投入装置4にメダルMが投入されると、制御部60(図4参照)が、ホッパ(図示せず)内のメダルMをメダル放出部5eから放出するようになっている。
【0016】
ゲーム盤5は、揺動羽根5a、入賞部5b(メダル入賞部)、表示部5dを備える。
揺動羽根5aは、メダル放出部5eから放出されたメダルMの落下方向を変更する羽根10である。揺動羽根5aは、左右方向Xに往復して回転するように設けられている。
入賞部5b、ゲーム盤5を落下してきたメダルMを入賞させる入賞口である。プレイヤは、揺動羽根5aの揺動位置に応じて、入賞部5bに狙いを定めて、メダル放出部5eからメダルMを落下させて、入賞させることができる。
入賞部5bには、入賞部センサ5c(図4参照)が設けられている。入賞部センサ5cは、例えば光学センサ等であり、入賞したメダルMを検出すると、検出情報を制御部60(図4参照)に出力する。
表示部5dは、ゲーム盤5の中央に配置された液晶表示装置等のモニタである。表示部5dは、スロットを表示したり、プレイ進行に応じた演出表示をする。
【0017】
プッシャ台6は、ゲーム盤5から落下してきたメダルMを徐々に手前側Y1に移動させて、メダル獲得孔40に落下させる装置である。プッシャ台6は、固定テーブル6bと、固定テーブル6b上を奥行方向Yに往復移動する往復テーブル6aとを備えている。
往復テーブル6aは、ゲーム盤5から落下してきたメダルMを載置し、往復移動によってメダルMをゲーム盤5の下側に当接させて、玉突きのように固定テーブル6bに手前側Y1に押し出すように構成されている。
固定テーブル6bは、往復テーブル6aから落下してきたメダルMを載置し、往復テーブル6aの往復移動によって、メダルMを往復テーブル6aの手前側Y1の壁6cに当接させる。これにより、固定テーブル6b上のメダルMは、玉突きのように手前側Y1に移動して、メダル獲得孔40に落下する。
【0018】
図2に示すように、羽根10は、固定テーブル6bの先端(手前側Y1の端部)に配置され、プレイヤに視認可能である。羽根10は、後端(奥側Y2の端部)から先端(手前側Y1の端部)に至る程上側Z2に傾斜するように配置される。羽根10は、ヒンジ機構によって、固定テーブル6bに対して左右方向Xの軸10a回りに回転可能である(回転方向θ1参照)。羽根10は、羽根駆動部15によって傾斜角度θ10が変更され、羽根先端10bの固定テーブル6b表面からの高さH10が調整可能である。
【0019】
羽根10は、左右方向Xから見た断面形状がL字状である。羽根10は、本体部11、下部12、孔部12aを有する。
本体部11は、羽根10の本体を構成する板状の部分である。本体部11は、前述したように、実際に固定テーブル6bの先端から傾斜して配置される部分である。
下部12は、羽根10の下側Z1部分を構成する板状の部分である。
孔部12aは、下部12に設けられた上下方向に細長い長孔である。孔部12aには、羽根駆動軸17が挿通されている。
【0020】
羽根駆動部15は、羽根10の高さH10を変更する駆動装置である。羽根駆動部15は、羽根駆動モータ16、羽根駆動軸17を備える。
羽根駆動モータ16は、DCモータ等であり、制御部60(図4参照)に制御される。羽根駆動モータ16は、駆動軸に平歯車(ピニオンギア)16aを備える。
羽根駆動軸17は、羽根10及び羽根駆動モータ16を機械的に接続する軸体である。羽根駆動軸17は、固定テーブル6bに対して固定された軸受18によって、奥行方向Yに移動可能に支持されている。
【0021】
羽根駆動軸17は、ラックギア部17a、先端球部17b、奥側球部17cを備える。
ラックギア部17aは、羽根駆動軸17の周囲に設けられた平歯車である。ラックギア部17aは、羽根駆動モータ16の平歯車16aに噛み合っている。ラックギア部17aと、羽根駆動モータ16の平歯車16aとは、ラックアンドピニオン方式の伝達機構を構成する。
先端球部17bは、羽根駆動軸17の先端(手前側Y1の端部)に設けられた球体である。
奥側球部17cは、先端球部17bよりも奥側Y2に設けられた球体である。
先端球部17b、奥側球部17cは、羽根10の下部12を挟み込むように配置されている。
【0022】
羽根駆動軸17は、軸径が羽根10の孔部12aよりも小さく、また、先端球部17b及び奥側球部17cの直径が羽根10の孔部12aよりも大きい。
このため、羽根10の下部12は、先端球部17b及び奥側球部17cに当接すると、それ以上回転しないように規制される。これにより、羽根駆動モータ16の駆動力が羽根駆動軸17に伝達され、羽根駆動軸17が奥行方向Yに駆動すると、下部12が回転駆動され、羽根先端10bの固定テーブル6b表面からの高さH10が変更される。
【0023】
羽根10の高さH10つまり傾斜角度θ10は、光学センサ等の検出部によって検出され、この検出部が検出情報を制御部60(図4参照)に出力する。制御部60は、この検出情報に基づいて、羽根10の高さH10を判定できる。
【0024】
羽根10の高さH10が高い程、固定テーブル6b上のメダルMは、羽根10を乗り越えにくくなる。このため、羽根10の抵抗が大きくなり、固定テーブル6b上のメダルMは、手前側Y1に移動しにくくなり、親落孔20に導かれやすくなる。
【0025】
図1から図3に示すように、親落孔20は、固定テーブル6bの左側X1及び右側X2に設けられたメダル回収用の開口孔である。なお、以下の説明において、左側X1の親落孔20について説明するが、右側X2にも同様に設けられている。
親落孔20は、つばを有するカバー2d等(図1参照)によって覆われており、プレイヤから見えにくい。これにより、ゲーム機1は、固定テーブル6b上の左側X1及び右側X2の領域を移動するメダルMの一部を、プレイヤに気付かれないように回収できる。
【0026】
図3に示すように、親落孔変更部30は、親落孔20の大きさつまり親落孔20の開度を変更する装置である。親落孔変更部30は、開閉板31、親落孔駆動部35を備える。
開閉板31は、親落孔20の開口部外側(左側X1)に設けられている。開閉板31は、矩形の板材である。開閉板31は、スライド機構31aにより、親落孔20に沿って奥行方向Yに移動可能に支持されている。開閉板31は、親落孔20に沿って移動することにより、親落孔20の大きさを変更する。
開閉板31は、外側(左側X1)に突出するように設けられたフランジ32を備える。
【0027】
親落孔駆動部35は、開閉板31を奥行方向Yに駆動する装置である。親落孔駆動部35は、羽根駆動部15と同様な駆動装置である。図2、図3及び以下の説明において、親落孔駆動部35のうち羽根駆動部15と同様に機能を果たす部分には、末尾に、羽根駆動部15と同様な符号を付す。
親落孔駆動部35は、親落孔駆動モータ36、親落孔駆動軸37を備える。
親落孔駆動部35は、親落孔駆動軸37が開閉板31のフランジ32の孔部32aに係合することにより、開閉板31を奥行方向Yに駆動する。
【0028】
親落孔20は、上記構成によって、開度が変更される。
親落孔20の開度は、開閉板31の位置を検出する検出部(図示せず)の出力に基づいて、制御部60(図4参照)が判定する。
親落孔20の開度が大きい程、固定テーブル6b上のメダルMは、親落孔20から落下しやすくなる。
【0029】
図1に示すように、メダル獲得孔40は、プッシャ台6よりも手前側Y1に設けられた開口孔であり、プッシャ台6に押し出されたメダルMが落下する。
メダル払い出し口41は、メダル獲得孔40に落下したメダルMを払い出す開口孔である。メダル払い出しセンサ41aは、メダル獲得孔40に落下したメダルMを検出する光学センサである。メダル払い出しセンサ41aは、メダルMを検出すると、検出情報を制御部60(図4参照)に出力する。
【0030】
なお、メダル払い出し口41に払い出すメダルMは、メダル獲得孔40に落下したメダルそのものではなく、ゲーム機1内部のホッパ(図示せず)に収容したものでもよい。この場合には、メダル獲得孔40に落下したメダルMを検出する獲得センサと、ホッパのメダルMをメダル払い出し口41に払い出す送出装置とを設ければよい。そして、制御部60(図4参照)がこの獲得センサの出力に応じて、送出装置を制御して、ホッパのメダルMをメダル払い出し口41に払い出せばよい。
【0031】
図4は、第1実施形態のゲーム機1のブロック図である。
ゲーム機1は、前述したハードウェアの他に、記憶部50、制御部60を備える。
記憶部50は、ゲーム機1の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。ゲーム機1は、ゲームプログラム51を有している。
ゲームプログラム51は、プッシャゲームを進行するためのプログラムであり、ペイアウト率の制御に関するプログラム、表示部5dに表示するスロットに関するプログラム等を有している。
ゲームプログラム51は、ペイアウト率と、傾斜角度θ10及び親落孔20の開度とを対応付けたテーブルを記憶している。このテーブルは、例えば、プレイ開始時の設定条件として利用される。このテーブルは、予め(例えばゲーム機1の製造時)作成しておいてもよいし、操作者が作成してもよい。また、このテーブルは、ゲーム機1の実際の稼動状況(例えば設定したペイアウトと、後述する算出ペイアウトとの差異)に応じて、書き換えできるようにしておいてもよい。
制御部60は、ゲーム機1を統括的に制御する制御装置ある。制御部60は、例えばCPU(中央処理装置)等から構成される。制御部60は、記憶部50に記憶されたプログラムに従って動作する。
制御部60は、ペイアウト率制御部61、羽根制御部62、親落孔制御部63、プレイ進行制御部64を備える。
ペイアウト率制御部61は、ペイアウト率に関する制御を行う制御部である。ペイアウト率制御部61は、ペイアウト率の設定を行ったり、メダル投入センサ4d、メダル払い出しセンサ41aの出力に基づいて、ゲーム機1のペイアウト率を算出する。
羽根制御部62は、羽根駆動部15を制御して、羽根10の高さH10を変更する制御部である。
親落孔制御部63は、親落孔駆動部35を制御して、親落孔20の大きさを変更する制御部である。
プレイ進行制御部64は、プレイ進行を統括的に制御する制御部である。
【0032】
図5は、第1実施形態のゲーム機1の動作を示すフローチャートである。
図6は、第1実施形態のゲーム機1のボーナスゲーム時の処理を示すフローチャートである。
最初に、ステップS(以下、単に「S」という)1において、操作者がペイアウト率設定部3を操作すると、ペイアウト率設定部3が設定情報を制御部60に出力する。ペイアウト率制御部61は、その出力に応じて、ペイアウト率の設定を受け付ける。以下、設定したペイアウト率を、設定ペイアウト率という。
S3において、ペイアウト率制御部61は、設定ペイアウト率に基づいて、プレイ開始時の設定条件として、記憶部50のテーブルから羽根10の傾斜角度θ10、親落孔20の開度を読み出す。羽根制御部62は、羽根駆動部15を制御して、羽根10を回転駆動して、ペイアウト率制御部61が読み出した傾斜角度θ10になるように配置する。また、親落孔制御部63は、親落孔駆動部35を制御して、親落孔20の開閉板31をペイアウト率制御部61が読み出した開度になるように駆動する。
【0033】
S3において、ペイアウト率制御部61は、メダル投入センサ4dの出力に基づいて、メダル投入孔4cにメダル投入されたか否かを判定する。ペイアウト率制御部61は、メダル投入されたと判定した場合には(S3:YES)、S4に進み、一方、メダル投入されていないと判定した場合には(S3:NO)、S5に進む。
S4において、ペイアウト率制御部61は、投入メダルをカウントして、記憶部50に記憶する。
【0034】
S5において、ペイアウト率制御部61は、メダル払い出しセンサ41aの出力に基づいて、メダルMが払い出されたか否かを判定する。ペイアウト率制御部61は、メダルMが払い出されたと判定した場合には(S5:YES)、S6に進み、一方、メダルMが払い出されていないと判定した場合には(S5:NO)、S7に進む。
S7において、ペイアウト率制御部61は、払い出しメダルをカウントして、記憶部50に記憶する。
【0035】
S7において、ペイアウト率制御部61は、以下のように、ペイアウト率を算出する。以下、算出したペイアウト率を、算出ペイアウト率という。
ペイアウト率制御部61は、記憶部50を参照して、投入されたメダル総数量と、払い出されたメダル総数量を算出する。ペイアウト率制御部61は、「算出ペイアウト率=払い出されたメダル総数量/投入されたメダル総数量」を算出する。
【0036】
S8において、ペイアウト率制御部61は、「算出ペイアウト率=設定ペイアウト率」であるか否かを判定する。ペイアウト率制御部61は、「算出ペイアウト率=設定ペイアウト率」であると判定した場合には(S8:YES)、羽根10及び親落孔20を駆動することなく、つまりペイアウト率を維持した状態でS10に進む。一方、ペイアウト率制御部61は、「算出ペイアウト率=設定ペイアウト率」ではないと判定した場合には(S8:NO)、S9に進む。
【0037】
S9において、ペイアウト率制御部61は、「算出ペイアウト率>設定ペイアウト率」であるか否かを判定する。ペイアウト率制御部61は、「算出ペイアウト率>設定ペイアウト率」であると判定した場合には(S9:YES)、S91aに進み、一方、「算出ペイアウト率>設定ペイアウト率」ではないと判定した場合には(S9:NO)、S92aに進む。
【0038】
(ペイアウト率低下処理)
S91a,S91bの処理は、ペイアウト率を低下させるための処理である。
S91aにおいて、羽根制御部62は、羽根駆動部15を制御して、羽根10を回転駆動してより高い位置に配置する。これにより、固定テーブル6b上のメダルMは、羽根10が高いためにメダル獲得孔40に落下しにくくなる。羽根制御部62は、例えば、算出ペイアウト率及び設定ペイアウト率の差が大きい程、回転させる角度を大きく設定できる。
S91bにおいて、親落孔20制御は、親落孔駆動部35を制御して、親落孔20の開度がより大きくなるように、開閉板31を駆動する。これにより、固定テーブル6b上のメダルMは、親落孔20に落下しにくくなり、手前側Y1に移動しにくくなる。
【0039】
S91a,S91bにより、プレイヤがメダル投入して固定テーブル6b上にメダルMが放出されても、メダルMが払い出されにくくなり、ペイアウト率が低減する。
なお、ゲーム機1は、親落孔20の大きさを大きくする(S91b)だけでなく、羽根10を高くする(S91a)ので、実際にメダルMが固定テーブル6bから落下する部分の形態を変更できるため、迅速にメダルMが払い出されないように機能できる。つまり、ゲーム機1は、ペイアウト率の低減を、迅速に実行できる。
【0040】
(ペイアウト率上昇処理)
S92a,S92bの処理は、ペイアウト率を上昇させるための処理である。
S92aにおいて、羽根制御部62は、羽根駆動部15を制御して、羽根10を回転駆動してより低い位置に配置する。これにより、固定テーブル6b上のメダルMは、羽根10が低いためにメダル獲得孔40に落下しやすくなる。羽根制御部62は、例えば、算出ペイアウト率及び設定ペイアウト率の差が大きい程、回転させる角度を大きく設定できる。
S92bにおいて、親落孔20制御は、親落孔駆動部35を制御して、親落孔20の開度がより大きくなるように、開閉板31を駆動する。
【0041】
上記S92a,S92bにおいて、ゲーム機1は、S92aでは、羽根10が低くなるように制御し、一方、S92bでは、親落孔20の開度がより大きくなるように制御している。つまり、ゲーム機1は、S92aでは、メダルMが払い出ししやすくなるように制御し、一方、S92bでは、メダルMが払い出しにくくなるように制御している。
【0042】
このように、ゲーム機1は、羽根10及び親落孔20の作用が逆になるように制御している。その理由は、以下の通りである。
(1)羽根10は、固定テーブル6bの先端に配置されているので、ペイアウト率の変化が極端に出やすい。このため、羽根10が低い位置に配置されると、ペイアウト率が極端に増加してしまう可能性がある。このようなペイアウト率の極端な変化を抑制するために、親落孔20の開度がより大きくなるように制御するためである。なお、S92bでは、ペイアウト率を微調整できればいいので、S92bでの親落孔20の開度の変化量は、S91bでの変化量よりも少なくてもよい。
(2)羽根10は、固定テーブル6bの先端に配置されているので、プレイヤから目立つ位置に配置されている。一方、親落孔20は、カバーされているので、プレイヤからは、目立たない位置に配置されている。このため、プレイヤに対しては、羽根10の高さH10を低くなったことによって、メダルMが極端に獲得しやすくなったように見せかけて、一方で、親落孔20の大きさを大きくすることによって、メダルMを回収しやすくし、ペイアウト率の極端な変化を抑制するためである。
【0043】
S10において、プレイ進行制御部64は、入賞部センサ5cの出力に基づいて、メダル入賞したか否かを判定する。プレイ進行制御部64は、メダル入賞したと判定した場合には(S10:YES)、S11に進み、一方、メダル入賞していないと判定した場合には(S10:NO)、S13に進む。
S11において、プレイ進行制御部64は、スロットを駆動して、スロットの出目に応じて、ボーナスゲームを開始するか否かを判定する。ボーナスゲームを開始する条件は、スロットの出目が例えば「777」の場合である。プレイ進行制御部64は、ボーナスゲームを開始すると判定した場合には(S11:YES)、S12に進んでボーナスゲームの処理を行い、一方、ボーナスゲームを開始しないと判定した場合には(S11:NO)、S13に進む。
【0044】
(ボーナスゲーム)
図6に示すように、S11aからS11dでは、制御部60は、ボーナスゲームの処理をする。
S11aにおいて、羽根制御部62は、羽根10を低い位置に駆動する(上記S92a参照)。
ボーナスゲームでは、メダルMをより払い出しやすくするために羽根10を低い位置に駆動するのみで、親落孔20の開度の変更は、行わない。これにより、固定テーブル6b上のメダルMが、獲得しやすい状態になる。
なお、ボーナスゲームでは、親落孔制御部63は、親落孔駆動部35を制御して、親落孔20の開度をより小さくしてもよい。
【0045】
このように、メダル獲得しやすい状態にする理由は、以下の通りである。
(1)ボーナスゲームは、メダル入賞しスロットが揃ったことにより、プレイヤに与えられる特典であるため、よりメダルMを獲得しやすい状態にするためである。
(2)ボーナスゲーム発生により、プレイヤに対して、周囲のプレイヤ等の注目が集まる状況になる。この状況で、プレイヤが大量のメダルMを獲得できれば、周囲のプレイヤ等のプレイ意欲が向上するからである。
【0046】
S11bにおいて、プレイ進行制御部64は、ボーナスゲーム終了か否かを判定する。ボーナスゲームが終了する条件は、所定時間(例えば、数分間)経過した場合、所定枚数のメダルM(例えば、数十枚)を払い出した場合等である。プレイ進行制御部64は、ボーナスゲーム終了と判定した場合には(S11b:YES)、S11cに進み、一方、ボーナスゲーム終了ではない(ボーナスゲーム継続)と判定した場合には(S11b:NO)、ボーナスゲーム終了まで待機する。
S11cにおいて、羽根制御部62は、羽根10をボーナスゲーム発生前のもとの位置に駆動する。
S11dにおいて、制御部60は、ボーナスゲームでの羽根10の駆動処理を終了して、プレイ進行制御部64は、S13に進む。
【0047】
図5に戻り、S14において、プレイ進行制御部64は、プレイ終了したか否かを判定する。プレイ終了する場合は、所定時間メダル投入がない場合等である。プレイ進行は、プレイ終了したと判定した場合には(S14:YES)、S15に進んで処理を終了し、一方、プレイ終了していないと判定した場合には(S14:NO)、S1からの処理を繰り返す。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のゲーム機1は、固定テーブル6bの手前側Y1の羽根10の高さH10を変更するので、プレイヤにメダルMの獲得しやすさの度合を、目立つように報知できる。
また、羽根10の高さH10を低くすることにより、プレイヤにはメダルMを獲得しやすいように見せながら、プレイヤから見えにくい親落孔20の大きさを小さくすることにより、実際には、メダルMの獲得しやすさが極端に変化しないようにできる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図7は、第2実施形態のゲーム機201の固定テーブル206bの断面図(図2(a)に相当する図)である。
固定テーブル206bは、下面の先端に、傾斜角度θ210に対応した傾斜方向Aに傾斜する斜面206dを備えている。
図7(b)に示すように、羽根210は、本体部211が、2つのネジ213によって固定テーブル206bの斜面206dに保持されている。ネジ213頭部及び羽根210下面には、羽根210が傾斜方向Aにスライド可能な程度の隙間を有している。なお、このようなスライド構造は、左右方向Xに数箇所設けられており、羽根210は、傾斜方向Aに平行移動できる。
【0050】
羽根駆動部215の駆動軸217は、軸方向が傾斜方向Aになるように配置されている。駆動軸217は、羽根210の下部212の孔部212aに挿通されている。駆動軸217の先端球部217a及び奥側球部217bは、羽根210の下部212を挟み込むように配置されている。
以上の構成により、羽根駆動部215は、傾斜方向Aへの羽根210の繰り出し量を変更することにより、羽根210の高さH210を変更できる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態のゲーム機201は、羽根210のスライド機構を設けて、羽根210の高さH210を変更できる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0053】
(変形形態)
(1)実施形態において、ゲーム機は、羽根の高さ及び親落孔の開度を変更する例を示したが、これに限定されない。例えば、ゲーム機は、羽根のみを変更してもよい。この場合には、制御対象が羽根のみになるので、制御、処理を簡単にすることができる。
【0054】
(2)実施形態において、プレイ領域に放出するメダルは、投入メダルそのものとは異なる例を示したが、これに限定されない。例えば、ゲーム機がゲーム盤を備えておらず、メダルをプッシャ台に直接放出する場合には、プッシャ台(プレイ領域)に放出するメダルは、投入したメダルそのものであってもよい。この場合にも、投入メダルを検出するメダル投入センサを設ければ、実施形態と同様な効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0055】
1,201…ゲーム機 3…ペイアウト率設定部 4…メダル投入装置 4c…メダル投入孔 4d…メダル投入センサ 5b…入賞部 6…プッシャ台 6a,206a…往復テーブル 6b,206b…固定テーブル 10,210…羽根 15,215,…羽根駆動部 20…親落孔 35…親落孔駆動部 40…メダル獲得孔 41…メダル払い出し口 41a…メダル払い出しセンサ 60…制御部 61…ペイアウト率制御部 62…羽根制御部 63…親落孔制御部 64…プレイ進行制御部 F…プレイ領域 θ10,θ210…傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイ領域内に設けられ、固定テーブル及び前記固定テーブル上を往復移動する往復テーブルを有するプッシャ台を備えるメダルプッシャゲーム機であって、
このプッシャゲーム機に投入されたメダルの数量と、このプッシャゲーム機から払い出されたメダルの数量とに基づいて算出されるペイアウト率の設定を受け付けるペイアウト率設定部と、
プレイヤに視認可能に設けられ、前記固定テーブルの先端に配置され、後端から先端に至る程上側に傾斜する羽根と、
前記羽根の高さを変更する駆動部と、
前記ペイアウト率の設定に基づいて前記駆動部を制御して、前記羽根の前記高さを変更する羽根制御部とを備えること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。
【請求項2】
プレイ領域内に設けられ、固定テーブル及び前記固定テーブル上を往復移動する往復テーブルを有するプッシャ台を備えるメダルプッシャゲーム機であって、
このゲーム機内部に設けられ、前記プレイ領域内に設けられた入賞部と、
プレイヤに視認可能に設けられ、前記固定テーブルの先端に配置され、後端から先端に至る程上側に傾斜する羽根と、
前記羽根の高さを変更する駆動部と、
前記入賞部へのメダル入賞に応じて前記駆動部を制御して、前記羽根の傾斜角度を変更する羽根制御部とを備えること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のメダルプッシャゲーム機において、
前記羽根は、前記固定テーブルに対して回転可能に支持され、
前記駆動部は、前記羽根の前記固定テーブルに対する角度を変更することにより、前記高さを変更すること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のメダルプッシャゲーム機において、
前記羽根は、前記固定テーブルに対して、前記羽根の傾斜角度に対応した傾斜方向への繰り出し量が変更可能に支持され、
前記駆動部は、前記羽根の前記繰り出し量を変更することにより、前記高さを変更すること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のメダルプッシャゲーム機において、
前記固定テーブル上を移動するメダルを回収する親落孔と、
前記親落孔をプレイヤから見えにくくするようにカバーするカバー部と、
前記親落孔の大きさを変更する親落孔変更部とを備え、
前記羽根制御部は、前記駆動部を制御して前記羽根の高さを低くする程、前記親落孔変更部を制御して前記親落孔の大きさを大きくすること、
を特徴とするメダルプッシャゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−157637(P2012−157637A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20922(P2011−20922)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)