説明

メダルプッシャーゲーム機用の不正行為防止装置付メダルエントリー装置

【課題】プレイヤーによる違反プレイに対する防護手段を備えたメダルエントリー装置を提供する。
【解決手段】メダル投入口を備えたハンドルと、メダルの真贋を判別するメダル判別装置と、メダル判別装置から供給されたメダルを先端まで転動させゲームフィールド22上に放出するメダルガイドとを一軸上に連結して成るメダル銃と、メダル銃のハンドルに近接した箇所に設けられるアダプタと、透明板に取り付けられ、メダル銃をそのアダプタとハンドルとを筐体外に残してゲーム機筐体前面の透明板10に設けた取付孔に挿入した状態でアダプタを回転自在に保持するブラケットと、から成るメダルゲーム機用のメダルエントリー装置30Aにおいて、アダプタと、ブラケットの間にロータリーダンパーを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルプッシャーゲーム機用メダルエントリー装置に関し、特に、プレイヤーがメダルエントリー装置を左右に速く且つ大きく振り動かし、ゲームフィールド上に積み上がったメダルを不正に振り落とそうとするなどの違反プレイを行うことに対する防護手段を備えたメダルエントリー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メダルプッシャーゲーム機は従来広く知られ且つ楽しまれている。
メダルプッシャーゲーム機には、固定されたゲームフィールド上に前後に往復運動するメダルプッシャーが設けられており、プレイヤーがメダルエントリー装置を用いてゲームフィールド上に投入したメダルが、メダルプッシャーに押されてゲームフィールドの前縁に設けた払出溝に落とされると、それらのメダルがプレイヤーに払い出されるようになっている。
【0003】
メダルプッシャーゲーム機には通常左右に各1丁のメダルエントリー装置が設けられており、メダルはプレイヤーがこのメダルエントリー装置を用いてゲームフィールド上に投入する外、各種のイベントが発生したとき、ゲームのルールに従って自動的に所定数のメダルがゲームフィールド上に放出されるようになっており、又、ゲームフィールドの左右には、所謂「親落ち溝」が設けられ、ここに落ちたメダルはゲーム機に回収されるようになっている。
【0004】
このため、ゲーム中、幾つかのメダルがゲームフィールドから払出溝に落ちそうになっているが、なかなか落ちないと言う状況が発生する。
このような場合、プレイヤーの中には、メダルエントリー装置を左右に激しく振り、ゲーム機に衝撃を与え、不正にメダルを落とそうとする者が現れる。
【0005】
かかる行為は、ゲームの公平を損ない、不当にメダルを取得する不正行為である上、エントリー装置その他、ゲーム装置の各部を損傷する不法行為であるが、従来はかかる不正行為を有効に防止できる手段がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−218638号公報
【特許文献2】特開2004−167001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、メダルエントリー装置が左右に激しく振られても、装置本体に伝わる衝撃が緩和され、そのためメダルが不正に払出溝に落下するのを防止できる手段を提供することを目的とする。
即ち本発明は、不正行為防止装置付きのメダルエントリー装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
叙上の課題を解決するため、メダルエントリー装置と、それが取り付けられるメダルプッシャーゲーム機筐体の正面透明板の間にロータリーダンパーを設ける。
【発明の効果】
【0009】
メダルエントリー装置には、左右の振り幅を規制するため、ストッパーピンが設けられているので、メダルエントリー装置に強い力が加えられたときは、ロータリーダンパーの作用で強い制動力が発生するため、メダルエントリー装置がストッパーピンに当るときの衝撃が緩和され、メダルが振り落とされることが防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、メダルプッシャーゲーム機の正面図である。
【図2】図2は、本発明に係るメダルエントリー装置が、メダルプッシャーゲーム装置の正面透明板に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示した状態において、ロータリーダンパーの使用方法を示す一部立体分解図である。
【図4】図2に示した状態を示す平面図である。
【図5】ロータリーダンパーの取り付け状態を示す一部拡大断面図である。
【図6】メダルエントリー装置の取り付け状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
図中、100はメダルプッシャーゲーム機、
10はその筐体前面の透明板、
20は、固定されたゲームフィールド22、ゲームフィールドの上面に設けられ、前後に往復移動するメダルプッシャー24、及びメダルプッシャー24の上面に接して設けられる固定壁部材からなるメインゲーム装置、
30、30A、30Bは、メダルガイド31、メダル判別装置32、ハンドル33、メダル投入口33a、本体部材35、アダプタ36、ロータリーダンパー37及びローラリーダンパーケース38、及び、メダル返戻ガイド39から成るメダルエントリー装置、
40は、ビデオディスプレイ装置、
50は、メダルホッパー、
60は、プラスチックカバーである。
【0012】
図1において、メダルプッシャーゲーム装置100の正面には、アクリル製の透明板10が設けられ、透明板10には、プレイヤーがメダルをゲーム装置内に投入するため、左右のメダルエントリー装置30A及び30Bが設けられる。
【0013】
ゲーム装置100内には、メインゲーム装置20、ビデオディスプレイ40、メダルホッパー50その他、公知のゲーム装置、演出装置が設けられている。
メインゲーム装置20は、固定されたゲームフィールド22、ゲームフィールド22の上面に設けられ、前後に往復移動するメダルプッシャー24、及びメダルプッシャー24の上面に接して設けられる固定壁部材26から成り、メダルプッシャー24は、ゲームフィールド22と固定壁部材26の間に挟まれた状態で、前後に往復運動している。
【0014】
本実施例において、透明板10のメダルエントリー装置30の取付部は、筐体内側に窪んでおり、メダルエントリー装置30は、透明板10に設けられたブラケット36により、メダルガイド31の先端が下向きになるよう傾斜した姿勢で取り付けられる。
【0015】
メダルエントリー装置30には、ハンドル33に近接してアダプタ35が設けられ、そのアダプタ35には、その上端部に細く短い回転軸部35aを、下端部に回転軸孔35bを互いに同軸となる様に設けてある。
【0016】
アダプタ35は、その回転軸部35a及び回転軸孔35bの中心軸が鉛直になるように、かつ回転自在に支持しており、これによりプレイヤーはメダルエントリー装置30のハンドル33を左右に回動させることにより、メダルガイド31の方向を変えることができ、これによりメダル投入口33aから投入されたメダルを、ゲームフィールド22又はメダルプッシャー24の上に投入することができる。
【0017】
このメダルプッシャーゲーム機では以下のようにしてゲームが行われる。
プレイヤーは予め取得した手持ちのメダルを、メダルエントリー装置を用いてゲームフィールド22及びメダルプッシャー24の上に放出する。
このため、放出されたメダルは、ゲームフィールド22及びメダルプッシャー24の上に落下する。
そのため、メダルプッシャー24の上面で固定壁部材26近くに落ちたメダルは固定壁部材26に押され、前方(筐体正面の透明板のある方向。)に移動するので、これに押されて他のメダルも前方に移動し、やがてゲームフィールド22上に落下し、次いでメダルプッシャー24に押されて前方に進み、以前からあったメダルを押し、前方に移動させる。ゲームフィールド22上のメダルは、次第に前方に押しやられ、やがてゲームフィールド22の前縁から、図示されていない払出溝に落ち、プレイヤーに払い出される。
【0018】
ゲームはこのようにして進行するが、ゲームフィールド22の前縁近くに直ぐ落ちそうなメダルがある状態のとき、プレイヤーの手持ちメダルが尽きたりすると、プレイヤーの中には、メダルエントリー装置を左右に激しく振ってゲームフィールド22に振動を与えメダルを振り落とそうとする者が現れる。
【0019】
かかる行為は、次のプレイヤーが取得すべきメダルを横取りする不法行為であり、且つ、メダルエントリー装置その他の装置を損傷する恐れのある不法行為であり、許されるものではない。
然しながら、今日、ゲーム場では来店客に比べて店員の数が少なく、又、騒音も多いので、かかる不法行為を根絶することは困難であり、そのため、かかる不法行為の防止策の提案が求められていたが、今日まで有効な防止策は、提案されていない。
【0020】
このため、本発明においては、メダルエントリー装置30のアダプタ35の上部回転軸35Aと、筐体の一部、望ましくは前面透明板10に取り付けたブラケット36の間に、ロータリーダンパーを設ける。
【0021】
ロータリーダンパーは、中空円盤形の密閉容器の中に回転円盤を設け、回転円盤の回転軸を容器壁を貫通して外方に突出させると共に、容器内に高粘度液体を満たしたもので、容器を固定し、回転円盤を回転させたとき、高粘性液体の粘性抵抗により回転円盤に制動力を作用させるものである。
【0022】
ロータリーダンパーの取付方法の一例は、図5及び図6に示されている。
透明板10にメダルエントリー装置30を取り付けるためのアダプタ35が設けられ、メダルエントリー装置30は、そのブラケット36を介して、アダプタ35が鉛直に成るように、筐体正面の透明板10の所定箇所に取り付けられる。
【0023】
ロータリーダンパー37は、鉛直に保持されたアダプタ35の頂部と、ブラケット36の上部の間に設けられる。
メダルエントリー装置30はその主体部、即ちメダル銃34の中心線に対しハンドル側に傾斜したアダプタ35を有し、そのアダプタ35の上面には、短く細い回転軸部35aが設けられ、下面には、上記回転軸部35aと同軸に軸取付孔35bが設けられている。
【0024】
ブラケット36は、その上面では、回転軸部35aがブラケット36に設けた軸孔36aにより回転自在に支持され、下面では、その軸取付孔35bを通して、アダプタ35の軸取付孔35bに圧入される回転軸部材39により回転自在に支持されている。
【0025】
アダプタ35の頂部に設けられた回転軸部35aには、これと同軸に、ロータリーダンパー37の回転軸37aを支持する回転軸孔35bが設けられており、回転軸部37aは、回転軸孔35bに固く嵌め込まれ、これによりロータリーダンパー37がアダプタ35に連結される。
【0026】
一方、ロータリーダンパー37の本体ベース37bは、ブラケット36にネジ止めされるか、又は、ロータリーダンパーケース38に設けた回り止めピン(図示せず)などにより回転を阻止されるかしており、このため、メダルエントリー装置30を激しく振り回そうとすると、アダプタ35は強い制動力を受けることになるので、メダル銃34がストッパーに激突し、ゲーム装置が強い衝撃を受け、メダルが不正に払い出されることが防止される。
【0027】
このため、悪質なプレイヤーによる不正行為が行われなくなる一方、メダルエントリー装置30を緩やかに操作するときは、殆ど制動力が掛からないので、善良なプレイヤーのゲームには何ら支障がない。
【符号の説明】
【0028】
100 メダルプッシャーゲーム機、
10 筐体前面の透明板、
20 メダルエントリー装置
22 ゲームフィールド
24 メダルプッシャー
26 固定壁部材
30 メダルエントリー装置
30A メダルエントリー装置A
30B メダルエントリー装置B
31 メダルガイド
32 メダル判別装置
33 ハンドル
33a メダル投入口
34 メダル銃
35 アダプタ
35a 回転軸部
35b 回転軸孔
36 ブラケット
36a 回転軸孔a
36b 回転軸孔b
37 ロータリーダンパー
37a 回転軸
37b 本体ベース
38 ロータリーダンパーケース
39 回転軸部材
310 メダル返戻ガイド
40 ビデオディスプレイ装置、
50 メダルホッパー、
60 プラスチックカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル投入口(33a)を備えたハンドル(33)と、メダル投入口(33a)から投入されたメダルの真贋を判別するメダル判別装置(32)と、メダル通路が形成された深い樋状の構造体であって、メダル判別装置(32)から供給されたメダルを先端まで転動させゲームフィールド(22)上に放出するメダルガイド(31)とを一軸上に連結して成るメダル銃(34)と、
メダル銃(34)のハンドル(33)に近接した箇所に設けられるアダプタ(35)と、
透明板(10)に取り付けられ、メダル銃(34)をそのアダプタ(35)とハンドル(33)とを筐体外に残してゲーム機筐体前面の透明板(10)に設けた取付孔に挿入した状態でアダプタ(35)を回転自在に保持するブラケット(36)と、
から成るメダルゲーム機用のメダルエントリー装置(30)において、
アダプタ(35)と、ブラケット(36)の間にロータリーダンパー(37)を設けたことを特徴とする上記のメダルエントリー装置(30)。
【請求項2】
上記アダプタ(35)に、ブラケット(36)により保持される回転軸部(35a)が設けられ、回転軸部(35a)の端部には回転軸孔a(36a)が設けられ、ロータリーダンパー(37)の回転軸(37a)は、この回転軸孔a(36a)に固く挿入され、ロータリーダンパー(37)の本体ベース(37b)は、ブラケット(36)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のメダルエントリー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−50783(P2012−50783A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197833(P2010−197833)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)