説明

メダル搬送ベルトコンベヤのベルト緊張装置

【課題】 メダル遊技機やメダル貸し機と干渉することなく設置でき、しかもベルトの交換も容易に行える低コストのベルト緊張装置を提供する。
【解決手段】 コンベヤフレーム31の側面に駆動ローラー33を軸支する軸受フレーム32を進退可能に配置し、軸受フレーム32の前後の縦フレーム部32b間位置にその間隔より狭幅の調整部材34を配置し、コンベヤフレーム31の側面の軸受フレーム32の前後位置に固定の張出片31aを軸受フレーム32の進退範囲より大きい間隔をおいて設け、前後の張出片31aと前後の縦フレーム部32bにネジ軸35を回転自在に貫通して調整部材34と螺合し、張出片31aから突出したネジ軸35にナット35aを固着し、調整部材34と外側の縦フレーム部32bの間に圧縮バネ36を介装し、駆動ローラー33を回転させる駆動モーター38を軸受フレーム32に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダル遊技機とメダル貸し機にメダルを供給するメダル搬送ベルトコンベヤにおいて、そのベルトの張力を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機島においては、メダル遊技機とメダル貸し機にメダルを供給する手段としてベルトコンベヤが一般的に使用されている。ベルトコンベヤは、ベルトに適度な張力を与えてローラーに圧接させ、駆動時にスリップしないようにしているが、長期間使用しているとベルトが徐々に伸びてスリップしやすくなるから、張力を定期的に調整する必要がある。
【0003】
この張力を自動的に調整するためのベルト緊張装置として、例えば特許文献1に開示されている技術がある。この技術は、ベルトの復路を下方へループ状に引き出してテンションローラーに張架し、そのテンションローラーを圧縮バネで張力が作用するように付勢した構造を特徴としている。この技術によれば、ベルトが伸びた分、圧縮バネが復元し、一定の張力が常に作用して緊張を保持できる、というものである。
【0004】
ところで、長期間使用して圧縮バネが圧縮前の状態に復元すると、その後ベルトがさらに伸びても復元力が無いから緊張できず、ベルトの交換が必要になる。しかし、特許文献1に記載の技術では、ベルト緊張装置をベルトコンベヤの下方位置に設置するものであるから、遊技機島のレイアウトによってはメダル遊技機やメダル貸し機と干渉して設置できないことがあった。また、ループを形成するためにローラーが別途2個必要であるから、装置のコストもかかっていた。
【0005】
一方、ベルト緊張装置をベルトコンベヤのリターン位置に設けた技術が特許文献2に開示されている。この技術は、ネジ軸が突設されたローラーの軸受をコンベヤフレームに対して進退可能に設けてネジ軸をコンベヤフレームで軸支し、そのネジ軸とコンベヤフレームの間に圧縮バネを介装し、その圧縮バネと軸受の間及びコンベヤフレームから突出した位置のネジ軸にナットをそれぞれ螺合した構造を特徴としている。この技術によれば、外側のナットを回して圧縮バネを圧縮させることで、その発生した復元力でネジ軸に備えた軸受が外側へ移動してベルトを緊張できる、というものである。
【0006】
ところで、ベルトを交換する際は、軸受を内側へ移動させてベルトを緩ませる必要がある。しかし、特許文献2に記載の技術では、ナットをベルトが交換可能な状態となるまで圧縮バネの圧縮方向に回し続ける必要があり、労力を伴う作業であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−215882号公報
【特許文献2】実公平6−30743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、メダル遊技機やメダル貸し機と干渉することなく設置でき、しかもベルトの交換も容易に行える低コストのベルト緊張装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) メダル遊技設備で使用するメダルを搬送するためのメダル搬送ベルトコンベヤにおいて、駆動ローラーと従動ローラーの間に張架したベルトの張力を駆動ローラーの位置で調整するベルト緊張装置であって、前記メダル搬送ベルトコンベヤの固定されたコンベヤフレームの側面位置に駆動ローラーを軸支する軸受フレームを進退可能に配置し、その軸受フレームの前後に有する縦フレーム部間の位置にその縦フレーム部間の間隔より狭幅の調整部材を配置し、コンベヤフレームの側面の軸受フレームの前後位置に固定の張出片を軸受フレームの進退範囲より大きい間隔をおいて設け、その前後の張出片と軸受フレームの前後の縦フレーム部にネジ軸を回転自在に貫通して調整部材と螺合し、そのネジ軸を回転操作する回転操作部を設け、調整部材と軸受フレームの外側の縦フレーム部の間に圧縮バネを介装し、駆動ローラーを回転させるモーターを軸受フレームに取り付けたことを特徴とする、メダル搬送ベルトコンベヤのベルト緊張装置
2) 回転操作部をコンベヤフレームの張出片から突出したネジ軸の軸端に設けた、前記1)記載のメダル搬送ベルトコンベヤのベルト緊張装置
3) メダル搬送ベルトコンベヤが、メダル遊技機とメダル貸し機にメダルを供給するメダル供給ベルトコンベヤとして用いられるものである、前記1)又は2)記載のメダル搬送ベルトコンベヤのベルト緊張装置
4) メダル搬送ベルトコンベヤが、メダル遊技機で使用されたメダルを回収するメダル回収ベルトコンベヤとして用いられるものである、前記1)又は2)記載のメダル搬送ベルトコンベヤのベルト緊張装置
にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるベルトの緊張は以下の手順で行われる。
1)回転操作部で調整部材が外側へ移動するようにネジ軸を回転させて圧縮バネを圧縮させる。
2)圧縮バネがその復元力で軸受フレームの外側の縦フレーム部を押して軸受フレームが外側へ移動し、駆動ローラーと従動ローラーの間隔が拡大してベルトが一定の張力で緊張される。
3)使用中にベルトが伸びると、その伸びた分、圧縮バネの復元力で軸受フレームが外側へ自然に移動し、一定の張力が常に作用して緊張が保持される。
4)圧縮バネが圧縮前の状態に復元し、その後ベルトがさらに伸びてこれ以上緊張できなくなった場合は、回転操作部で調整部材を外側へさらに移動させ、圧縮バネを圧縮して復元力を発生させることで、伸びたベルトが再び緊張される。
【0011】
本発明によるベルトの交換は以下の手順で行われる。
1)回転操作部で調整部材が内側へ移動するようにネジ軸を回転させる。
2)調整部材が軸受フレームの内側の縦フレーム部を押して軸受フレームが内側へ移動し、駆動ローラーと従動ローラーの間隔が縮小してベルトが緩む。
3)緩んだベルトを引き出して新しいベルトと交換する。
4)交換後は回転操作部で調整部材を外側へ移動させ、圧縮バネの復元力で軸受フレームを外側へ移動させてベルトを緊張する。
【0012】
このように、ベルト緊張装置がベルトコンベヤの駆動ローラーの位置に有しているから、ベルトコンベヤの下方のメダル遊技機やメダル貸し機と干渉することなく設置でき、遊技機島のレイアウトの制限を受け難いものとなる。また、ベルトの交換時は、軸受フレームが内側(圧縮バネが復元する方向)へ移動するように操作するから、小さい力で楽に作業できる。さらに、駆動ローラーはテンションローラーとしても作用するから、従来技術のようにテンションローラーを別途取り付ける必要がなく、装置を低コストで製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例の遊技機島の説明図である。
【図2】実施例のベルト緊張装置の側面図である。
【図3】実施例のベルト緊張装置の平面図である。
【図4】実施例のベルト緊張装置の端面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図4のB−B線断面図である。
【図7】実施例のベルトの緊張手順を示す説明図である。
【図8】実施例のベルトの交換手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を実施例と図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例】
【0015】
図1は実施例の遊技機島の説明図、図2は実施例のベルト緊張装置の側面図、図3は実施例のベルト緊張装置の平面図、図4は実施例のベルト緊張装置の端面図、図5は図4のA−A線断面図、図6は図4のB−B線断面図、図7は実施例のベルトの緊張手順を示す説明図、図8は実施例のベルトの交換手順を示す説明図である。
【0016】
図中、1はメダル遊技機、2はメダル貸し機、3はメダル供給ベルトコンベヤ、30はベルト緊張装置、31はコンベヤフレーム、31aは張出片、31bは開口、32は軸受フレーム、32aは軸穴、32bは縦フレーム部、33は駆動ローラー、33aは軸、34は調整部材、34aはネジ穴、35はネジ軸、35aはナット(回転操作部)、36は圧縮バネ、37はベルト、38はモーター、38aは取付台、38b,38cはスプロケット、38dはチェーン、39は従動ローラー、4はメダル供給装置、5はメダル分配装置、6はメダル補給シュート、7はメダル回収ベルトコンベヤである。
【0017】
本実施例の遊技機島は、図1に示すように、隣設したメダル遊技機1及びメダル貸し機2と、これらにメダルを搬送するメダル供給ベルトコンベヤ3と、メダル供給ベルトコンベヤ3にメダルを供給するメダル供給装置4と、メダル供給ベルトコンベヤ3上のメダルをメダル遊技機1とメダル貸し機2に分配するメダル分配装置5と、メダル分配装置5に分配されたメダルをメダル遊技機1とメダル貸し機2の内部に補給するメダル補給シュート6と、メダル遊技機1で使用されたメダルをメダル供給装置4に回収するメダル回収ベルトコンベヤ7とで構成している。ベルト緊張装置30はメダル供給ベルトコンベヤ3及びメダル回収ベルトコンベヤ7のモーター38の位置に取り付けている。
【0018】
ベルト緊張装置30のコンベヤフレーム31は、図2〜6に示すように、一方の端部の左右側面に張出片31aを前後に突設し、その前後の張出片31a間の側面に楕円状の開口31bを形成している。軸受フレーム32は、軸穴32aを開口し、前後に縦フレーム部32bを備えている。駆動ローラー33は左右側面に軸33aを備えている。調整部材34は上下にネジ穴34aを形成している。従動ローラー39は、コンベヤフレーム31の他方の端部に回転自在に軸支している。
【0019】
このコンベヤフレーム31の開口31bに駆動ローラー33の軸33aを通し、前後の張出片31a間の位置に軸受フレーム32を配置して駆動ローラー33の軸33aを軸穴32aで軸支し、その駆動ローラー33と従動ローラー39の間にベルト37を張架している。軸受フレーム32の前後の縦フレーム部32b間の位置には調整部材34を配置し、その調整部材34と軸受フレーム32の外側(図2において左側)の縦フレーム部32bの間に圧縮バネ36を介装し、ネジ軸35を前後の張出片31aと前後の縦フレーム部32bと圧縮バネ36に回転自在に貫通して調整部材34のネジ穴34aと螺合し、前後の張出片31aから突出したネジ軸35の軸端にナット35aを固着している。モーター38は、左右の軸受フレーム32の上部に取付台38aで取り付け、そのモーター38の出力軸に設けたスプロケット38bと駆動ローラー33の軸33aに設けたスプロケット38cの間にチェーン38dを張架している。
【0020】
なお、回転操作部であるナット35aはネジ軸35に溶着すると、1箇所で正逆の回転操作ができる。また、ナット35aの他、ボルトや脱着可能な手回しハンドルなどを用いてもよい。
【0021】
この構造により、図2において、左右いずれかのナット35aを回すと、ネジ軸35が定位置で回転し、調整部材34が左右いずれかに移動する。ナット35aを止めると調整部材34は定位置に保持される。調整部材34が左方向へ移動すると圧縮バネ36が圧縮され、その復元力で軸受フレーム32の左側の縦フレーム部32bを押して軸受フレーム32が左方向へ移動し、駆動ローラー33と従動ローラー39の間隔が拡大する。逆に調整部材34を右方向へ移動させると、その調整部材34が軸受フレーム32の右側の縦フレーム部32bを押して軸受フレーム32が右方向へ移動し、駆動ローラー33と従動ローラー39の間隔が縮小する。モーター38は軸受フレーム32に取り付けられているから、軸受フレーム32が移動しても駆動ローラー33とモーター38の間隔は変化せず、駆動力の伝達に影響はない。
【0022】
本実施例では、図7(a)に示すように、左側のナット35aを回して調整部材34を左方向へ移動させると、圧縮バネ36の復元力で軸受フレーム32が左方向へ移動してベルト37が緊張される。適切な張力が作用したときにナット35aを止め、調整部材34を定位置に保持する。その後、使用中にベルト37が徐々に伸びるが、図7(b)に示すように、ベルト37が伸びた分、圧縮バネ36の復元力で軸受フレーム32が左方向へ自然に移動して一定の張力が作用し、緊張が常に保持される。
【0023】
圧縮バネ36が圧縮前の状態に近くなって復元力が弱くなるか又は圧縮前の状態に復元して復元力が無くなると、ベルト37がさらに伸びてもこれ以上緊張できなくなる。この場合、図7(c)に示すように、左側のナット35aを回して調整部材34を左方向へさらに移動させると、圧縮バネ36が圧縮されて復元力が再度発生し、伸びたベルト37が緊張される。しかし、これを繰り返すと、図7(d)に示すように、いずれは軸受フレーム32の左側の縦フレーム部32bがコンベヤフレーム31の左側の張出片31aに接触して軸受フレーム32が移動できなくなり、調整部材34をさらに左方向へ移動させて圧縮バネ36を圧縮しても、軸受フレーム32は左方向へ移動しないので緊張力が発生せず、緊張不能となる。
【0024】
この場合はベルト37の交換が必要となる。図8(a)に示すように、左側のナット35aを反対方向に回して調整部材34を右方向へ移動させると、調整部材34が軸受フレーム32の右側の縦フレーム部32bを押して軸受フレーム32が右方向へ移動し、駆動ローラー33と従動ローラー39の間隔が縮小してベルト37が緩む。そして、図8(b)に示すように、緩んだベルト37を引き上げて新しいベルト37と交換する。あるいは、ベルト37を伸びた分だけ切り取って両端部を接続しても良い。交換後は、図8(c)に示すように、左側のナット35aを回して調整部材34を左方向へ移動させ、圧縮バネ36の復元力で軸受フレーム32を左方向へ移動させ、ベルト37を適切な張力で緊張する。また、緊張力が作用している状態であっても、何らかのトラブルでベルト37が断裂し、新しいベルト37に交換するか又は断裂した部分を再接続する時にも、前記と同様にして作業が可能である。
【0025】
なお、本実施例ではメダル供給ベルトコンベヤ3に取り付けたベルト緊張装置30について説明したが、メダル回収ベルトコンベヤ7に取り付けたベルト緊張装置30も構成及び作用効果は同じである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の技術は、主としてメダル遊技設備に利用されるが、汎用のベルトコンベヤにも応用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 メダル遊技機
2 メダル貸し機
3 メダル供給ベルトコンベヤ
30 ベルト緊張装置
31 コンベヤフレーム
31a 張出片
31b 開口
32 軸受フレーム
32a 軸穴
32b 縦フレーム部
33 駆動ローラー
33a 軸
34 調整部材
34a ネジ穴
35 ネジ軸
35a ナット(回転操作部)
36 圧縮バネ
37 ベルト
38 モーター
38a 取付台
38b,38c スプロケット
38d チェーン
39 従動ローラー
4 メダル供給装置
5 メダル分配装置
6 メダル補給シュート
7 メダル回収ベルトコンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル遊技設備で使用するメダルを搬送するためのメダル搬送ベルトコンベヤにおいて、駆動ローラーと従動ローラーの間に張架したベルトの張力を駆動ローラーの位置で調整するベルト緊張装置であって、前記メダル搬送ベルトコンベヤの固定されたコンベヤフレームの側面位置に駆動ローラーを軸支する軸受フレームを進退可能に配置し、その軸受フレームの前後に有する縦フレーム部間の位置にその縦フレーム部間の間隔より狭幅の調整部材を配置し、コンベヤフレームの側面の軸受フレームの前後位置に固定の張出片を軸受フレームの進退範囲より大きい間隔をおいて設け、その前後の張出片と軸受フレームの前後の縦フレーム部にネジ軸を回転自在に貫通して調整部材と螺合し、そのネジ軸を回転操作する回転操作部を設け、調整部材と軸受フレームの外側の縦フレーム部の間に圧縮バネを介装し、駆動ローラーを回転させるモーターを軸受フレームに取り付けたことを特徴とする、メダル搬送ベルトコンベヤのベルト緊張装置。
【請求項2】
回転操作部をコンベヤフレームの張出片から突出したネジ軸の軸端に設けた、請求項1記載のメダル搬送ベルトコンベヤのベルト緊張装置。
【請求項3】
メダル搬送ベルトコンベヤが、メダル遊技機とメダル貸し機にメダルを供給するメダル供給ベルトコンベヤとして用いられるものである、請求項1又は2記載のメダル搬送ベルトコンベヤのベルト緊張装置。
【請求項4】
メダル搬送ベルトコンベヤが、メダル遊技機で使用されたメダルを回収するメダル回収ベルトコンベヤとして用いられるものである、請求項1又は2記載のメダル搬送ベルトコンベヤのベルト緊張装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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