メダル識別装置及びメダル識別方法
【課題】メダルの投入を偽装する不正行為によりメダルが投入されたと誤認識することを防止可能なメダル識別装置を提供する。
【解決手段】メダル識別装置1は、メダルが流下する通路を形成する筺体と、通路の一部を撮影範囲とするラインセンサ41を有し、所定の撮影間隔ごとにその撮影範囲の1次元画像を生成する撮像部4と、所定の撮影間隔ごとに撮影された複数の1次元画像のそれぞれから、通路内に投入された物体が写っている被写体領域を抽出して被写体領域の幅を求め、複数の1次元画像にわたる被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、メダルが通路を流下する際の複数の1次元画像上でのメダルの幅の時間変化の軌跡と一致する場合にメダルが投入されたと判定し、一方、被写体領域の幅の時間変化の軌跡がメダルの幅の時間変化の軌跡と一致しない場合に不正行為が行われたと判定する制御回路とを有する。
【解決手段】メダル識別装置1は、メダルが流下する通路を形成する筺体と、通路の一部を撮影範囲とするラインセンサ41を有し、所定の撮影間隔ごとにその撮影範囲の1次元画像を生成する撮像部4と、所定の撮影間隔ごとに撮影された複数の1次元画像のそれぞれから、通路内に投入された物体が写っている被写体領域を抽出して被写体領域の幅を求め、複数の1次元画像にわたる被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、メダルが通路を流下する際の複数の1次元画像上でのメダルの幅の時間変化の軌跡と一致する場合にメダルが投入されたと判定し、一方、被写体領域の幅の時間変化の軌跡がメダルの幅の時間変化の軌跡と一致しない場合に不正行為が行われたと判定する制御回路とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルの投入を偽装する不正行為をメダルの投入として誤検出することを防止可能なメダル識別装置及びメダル識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回胴遊技機などの遊技機には、有価価値を持つメダルが投入されると、そのメダルに応じて遊技者が遊技できる回数などを決定するために、投入されたメダルを識別するメダル識別装置が搭載されている。このようなメダル識別装置では、例えば、メダル識別装置内のメダルの通路に沿って、メダルが通過したことを検知するセンサが複数設けられる。各センサは、例えば、発光ダイオードなどの光源と、フォトダイオードなどの受光素子とを有し、その光源と受光素子とが、通路を挟んで対向し、光源からの光が受光素子に達するように設置される。そのため、メダルが光源と受光素子の間を通る瞬間だけ、メダルによって光源からの光が遮られ、その結果として受光素子により検知される受光量が低下することで、このセンサはメダルが通過したことを検知できる。さらに、メダル識別装置は、各センサがメダルが通過したことを検知した順番により、メダルの通過方向を検出できる。
【0003】
しかし、近年、いわゆるクレマンと呼ばれる器具を用いて、メダルの投入を偽装する不正行為が問題となっている。この治具は、メダル識別装置のメダル投入口から挿入可能な板状の治具であり、先端に複数の発光ダイオードを有する。そして治具の手元側のスイッチを操作することにより、各発光ダイオードが、メダルが複数のセンサ間を通り抜ける時間と同程度の間隔で順番に明滅する。これにより、この治具は、メダル識別装置にメダルが投入されたと誤認識させる。このような不正行為を防止するために、センサの投光素子点灯時に、これと同期制御される受光部が受光しているか否かを判定する第1判定部と、センサの投光素子消灯時に受光部が受光していないか否かを判定する第2判定部とを備え、第1及び第2判定部により複数回の適正な受光/遮光であると判定された時、受光信号を出力する一方、第2判定部により投光素子消灯時に受光部が受光していると判定された時、次のタイミングで投光素子を点灯させないようにした投入メダル選別装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−270621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された技術でも、投光素子の発光タイミングと同期して、不正行為用の治具の発光ダイオードを明滅させると、不正行為によるメダルの投入の偽装を完全に防止することができないおそれがあった。また、不正行為には、正規のメダルに紐を取り付け、その紐の一端を保持したままそのメダルをメダル投入口に投入し、メダル識別装置がメダルを識別した後に、紐を引いてメダルをメダル投入口から取り出す行為も知られている。しかし、特許文献1に開示された技術では、このような不正行為を防止することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、メダルの投入を偽装する不正行為によりメダルが投入されたと誤認識することを防止可能なメダル識別装置及びメダル識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの形態として、メダル識別装置が提供される。このメダル識別装置は、メダルが流下する通路を形成する筺体と、その通路の一部を撮影範囲とするラインセンサを有し、所定の撮影間隔ごとにその撮影範囲の1次元画像を生成する撮像部と、所定の撮影間隔ごとに撮影された複数の1次元画像のそれぞれから、通路内に投入された物体が写っている被写体領域を抽出して被写体領域の幅を求め、複数の1次元画像にわたる被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、メダルが通路を流下する際の複数の1次元画像上でのメダルの幅の時間変化の軌跡と一致する場合にメダルが投入されたと判定し、一方、被写体領域の幅の時間変化の軌跡がメダルの幅の時間変化の軌跡と一致しない場合に不正行為が行われたと判定する制御回路とを有する。
【0008】
このメダル識別装置において、ラインセンサは、その長手方向がメダルの流下方向と直交しないように配置されることが好ましい。この場合において、制御回路は、複数の1次元画像のそれぞれから抽出された被写体領域の重心を求め、複数の1次元画像にわたる被写体領域の重心の時間変化の軌跡がメダルが通路を流下する際の複数の1次元画像上でのメダルの重心の時間変化の軌跡と一致しなければ不正行為が行われたと判定することが好ましい。
【0009】
また、メダル識別装置は、メダルが撮影範囲を通り抜けるのに要する期間を所定の撮影間隔で区分した複数のステージごとに定められた、1次元画像上のメダルの幅が取り得る範囲である被写体領域の幅の許容範囲と1次元画像上のメダルの重心が取り得る範囲である被写体領域の重心の許容範囲とを記憶する記憶部をさらに有し、制御回路は、生成された時間順に並べた複数の1次元画像のそれぞれについての被写体領域の幅及び被写体領域の重心が、複数のステージのうちの対応するステージについての被写体領域の幅の許容範囲及び被写体領域の重心の許容範囲に含まれる場合に、被写体領域の幅の時間変化の軌跡がメダルの幅の時間変化の軌跡と一致すると判定することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の他の形態として、メダルが流下する通路を形成する筺体と、その通路の一部を撮影範囲とするラインセンサを有し、所定の時間間隔でその撮影範囲の一次元画像を生成する撮像部とを有するメダル識別装置における、メダル識別方法が提供される。このメダル識別方法は、所定の撮影間隔ごとに撮影された複数の1次元画像のそれぞれから、通路内に投入された物体が写っている被写体領域を抽出してその被写体領域の幅を求めるステップと、複数の1次元画像にわたる被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、メダルが通路を流下する際の複数の1次元画像上でのメダルの幅の時間変化の軌跡と一致するか否かを判定し、一致する場合にメダルが投入されたと判定し、一方、一致しない場合に不正行為が行われたと判定するステップとを含む。
【0011】
なお、ラインセンサは、その長手方向がメダルの流下方向と直交しないように配置されることが好ましい。そしてこのメダル識別方法は、複数の1次元画像のそれぞれから抽出された被写体領域の重心を求めるステップをさらに有し、上記の判定ステップは、複数の1次元画像にわたる被写体領域の重心の時間変化の軌跡がメダルが通路を流下する際の複数の1次元画像上でのメダルの重心の時間変化の軌跡と一致しなければ不正行為が行われたと判定することが好ましい。
【0012】
また、メダル識別装置は、メダルが撮影範囲を通り抜けるのに要する期間を所定の撮影間隔で区分した複数のステージごとに定められた、1次元画像上のメダルの幅が取り得る範囲である被写体領域の幅の許容範囲と1次元画像上のメダルの重心が取り得る範囲である被写体領域の重心の許容範囲とを記憶する記憶部をさらに有することが好ましい。この場合において、メダル識別方法における判定ステップは、生成された時間順に並べた複数の1次元画像のそれぞれについての被写体領域の幅及び被写体領域の重心が、複数のステージのうちの対応するステージについての被写体領域の幅の許容範囲及び被写体領域の重心の許容範囲に含まれる場合に、被写体領域の幅の時間変化の軌跡がメダルの幅の時間変化の軌跡と一致すると判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るメダル識別装置は、メダルの投入を偽装する不正行為によりメダルが投入されたと誤認識することを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一つの実施形態によるメダル識別装置の概略上面図である。
【図2】メダル識別装置の概略背面図である。
【図3】撮像部のカバーを外したときのメダル識別装置の概略背面図である。
【図4】図1のAA’で示された断面を矢印の方向から見た、メダル識別装置の概略断面図である。
【図5】図2のBB’で示された断面を矢印の方向から見た、メダル識別装置の概略断面図である。
【図6】メダル識別装置の回路ブロック図である。
【図7】(a)〜(g)は、それぞれ、メダルが撮像部の撮影範囲を通過する際の、被写体領域とその重心位置の遷移の一例を示す図である。
【図8】(a)は、図7(a)〜(g)に対応する、被写体領域の幅の時間変化の一例を示す図であり、(b)は、図7(a)〜(g)に対応する、被写体領域の重心の時間変化の一例を示す図である。
【図9】(a)は、被写体領域の幅についての許容範囲の一例を示す図であり、(b)は、被写体領域の重心についての許容範囲の一例を示す図である。
【図10】メダル識別方法の動作フローチャートである。
【図11】本発明の一つの実施形態に係るメダル識別装置を備えた回胴遊技機の概略斜視図である。
【図12】前面パネルを開いた状態における、本発明の一つの実施形態に係るメダル識別装置を備えた回胴遊技機の概略斜視図である。
【図13】回胴遊技機の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しつつ、本発明の一つの実施形態によるメダル識別装置について説明する。このメダル識別装置は、メダル識別装置内の通路を流下するメダルを連続的に撮影する、メダルの流下方向に対して傾けて配置されたラインセンサを備えた撮像部を有する。そしてこのメダル識別装置は、その撮像部により生成された連続した複数の一次元画像のそれぞれに写った被写体の幅及び被写体の重心の時間変化の軌跡が、正規のメダルが通過したときにそのメダルが画像に写る幅及び重心の時間変化の軌跡と一致するか否かでメダルが投入されたか不正治具が投入されたかを判定するとともに、投入された正規のメダルに取り付けた紐を引いてメダルを取り出す不正行為によるメダルの計数を防止する。
なお、本実施形態では、メダルの外形形状は、略円形であるとする。
【0016】
図1は、本発明の一つの実施形態によるメダル識別装置1の概略平面図であり、図2は、メダル識別装置1の概略背面図である。図3は、撮像部(後述)のカバーを外したときのメダル識別装置1の概略背面図である。図4は、図1のAA’で示された断面を矢印の方向から見た、メダル識別装置1の概略断面図である。図5は、図2のBB’で示された断面を矢印の方向から見た、メダル識別装置1の概略断面図である。また図6は、メダル識別装置1の回路ブロック図である。
メダル識別装置1は、筺体2と、光源3と、撮像部4と、制御基板5とを有する。光源3及び撮像部4は、筺体2内に収容されており、筺体2の外部に設けられた基板(図示せず)上に配置された制御基板5と信号線を介して接続されている。なお、制御基板5も、筐体2の内部に収容されていてもよい。さらに制御基板5は、メダル識別装置1が搭載される遊技機の主制御回路(図示せず)と信号線を介して接続され、その主制御回路へ、メダル投入を検知したことを表す信号または不正行為を検知したことを表す信号を出力する。
【0017】
筺体2は、例えば、図1に示されたu軸の方向が、回胴遊技機の前面と略平行となり、かつ図2に示されたw軸の方向が、回胴遊技機の縦方向と略平行となるように、回胴遊技機に取り付けられる。そこで、以下では、便宜上、u方向を幅方向と呼び、w方向を高さ方向と呼ぶ。また、図1に示されたv軸の方向を奥行き方向と呼ぶ。
【0018】
図1に示されるように、筺体2の上面には、メダル投入口2aが形成されている。メダル投入口2aは、筺体2の幅方向に沿って、メダルの直径に所定のオフセット(例えば、1mm〜2mm)を加えた長さを持ち、筺体2の奥行き方向に、メダルの厚さに所定のオフセット(例えば、0.5mm〜1mm)を加えた長さを持つ。
【0019】
図3及び図4に示されるように、筺体2は、メダルが流下する通路6をその内部に形成するとともに、光源3及び撮像部4を収容する。そのために、筺体2は、例えば、樹脂を成型することにより所望の形状となるように形成された複数の部品を組み合わせることにより構成される。あるいは、筺体2は、鉄、アルミニウム、銅などの金属により形成されてもよく、あるいは、金属により形成された部品と樹脂により形成された部品とが組み合わされていてもよい。
【0020】
筺体2内に形成された通路6は、筺体2の上端側では高さ方向に沿って形成され、途中で筺体2の幅方向に沿って湾曲した後、右下方へ向けて斜めに形成されている。そして通路6の上端はメダル投入口2aと直結し、一方通路6の下端は、筺体2の右端に形成されたメダル排出口2bと直結されている。そのため、メダル投入口2aから投入されたメダルは、矢印で示されるように、通路6に沿って筺体2内を流下した後、筺体2の右側のメダル排出口2bからメダル識別装置1の外に排出される。なお、この矢印で示される、メダルの流下方向を、以下では便宜上、順方向と呼び、逆にメダル排出口2bからメダル投入口2aへ向かう方向を、逆方向と呼ぶ。
通路6は、メダルがスムーズに流下可能なように、筺体2の幅方向及び高さ方向に沿って、メダルの直径に所定のオフセット(例えば、1mm〜2mm)を加えた長さを持ち、筺体2の奥行き方向に沿って、メダルの厚さに所定のオフセット(例えば、0.5mm〜1mm)を加えた長さを持つ。
なお、通路6の側面には、メダルとの接触面積を減らすために、メダルの流下方向の沿って複数の溝が形成されていてもよい。
【0021】
図4及び図5に示されるように、通路6の湾曲部の下方には、後述するように、撮像部4が通路6を通過するメダルMを撮影できるように、通路6よりも筺体2の背面側に空隙が生じている。そこで、この空隙においてメダルMが通路6から逸脱することを防止するために、通路6の湾曲部の下方において、通路6の上端と下端には、それぞれ、通路6よりも筺体2の背面側に、奥行き方向へのメダルの動きを規制するガイド部材7a、7bが配置されている。そしてガイド部材7aの下端とガイド部材7bの上端間の間隔は、メダルの直径よりも小さく、かつ、撮像部4がメダルMの大部分を撮影できるように、例えば、メダルMの直径よりも僅かに小さく、例えば、メダルMの直径から1mm〜2mmを引いた値となっている。
【0022】
図5に示されるように、光源3は、通路6のガイド部材7aと7bとの間に挟まれた区間に設定された、撮像部4の撮影範囲4aを通過するメダルMを照明するよう、その区間の近傍に、通路6よりも筺体2の正面側に配置される。さらに光源3は、撮影範囲4aを一様に照明可能なように、例えば、通路6の下端に沿って配置された一つまたは複数の発光ダイオード、あるいは蛍光灯といった発光素子と、発光素子からの光を通路6側へ拡散させて出射させる、板状の拡散シートとを有する。拡散シートは、例えば、アクリルあるいはポリカーボネートといった、光源からの光の波長に対して透明な材料により形成される。そして発光素子からの光は、発光素子と対向する拡散シートの下側端面から拡散シート内に入射し、その入射した光は、拡散シートの背面側、すなわち、筺体2の正面側に形成された凹凸によって拡散されて、拡散シートの正面側、すなわち、通路6と対向する面から通路6へ向けて出射する。
光源3は、メダル識別装置1が動作している間、通路6を照明する。あるいは、光源3は、撮像部4が撮影するタイミングだけ発光するように、制御基板5によって制御されていてもよい。
【0023】
なお、変形例によれば、拡散シートは、すりガラス状の半透明なシートであってもよい。この場合には、発光素子は、拡散シートの背面側に、すなわち、通路6に対向する拡散シートの面と反対側の面と対向するように配置されてもよい。また、光源3は、有機EL素子のように、面発光する発光素子、あるいは2次元アレイ状に配列された複数の発光素子を有してもよい。この場合には、発光素子が直接通路6を照明するように配置されてもよい。そして拡散シートは省略されてもよい。
【0024】
撮像部4は、メダル識別装置1が動作している間、通路6の一部に設定された撮影範囲4aを通過するメダルMを所定の撮影周期で連続的に撮影し、そのメダルMの一部の像が写った一次元画像を生成する。そのために、撮像部4は、通路6の湾曲部の下方において、通路6を挟んで光源3と対向するように、筺体2内の通路6の背面側に配置される。そして撮像部4は、例えば、CCDセンサまたはC-MOSセンサといった光電変換素子を一列に配置したラインセンサ41と、ラインセンサ41上に撮影範囲4aに含まれる通路6の一部区間及びその区間を通過するメダルMの像を結像する撮像光学系とを有する。なお、以下では、簡単化のために、撮像部4により生成される一次元画像を単に画像と呼ぶ。
【0025】
撮像部4のラインセンサ41は、通路6の側面に略平行な面内において、すなわち、メダル識別器1の背面と略平行な面内に沿って、ラインセンサ41の長手方向がメダルMの流下方向(図3における矢印Xの方向)と直交しないように、例えば、その長手方向が流下方向に対してなす角θが鋭角となるように傾けて配置される。ラインセンサ41とメダルMの流下方向とがなす角θは、例えば、メダルMが、想定される流下速度で撮影範囲4aを通過したときに、少なくとも3枚の画像においてメダルMの一部が写るように設定されることが好ましい。本実施形態では、このなす角θは、メダルMが撮影範囲4aを通過している間に15枚の画像が取得されるように、ラインセンサ41の下端がラインセンサ41の上端よりも上流側に位置するようにラインセンサ41は配置され、ラインセンサ41とメダルMの流下方向とがなす角θは、60°に設定される。なお、この角θは、撮像部4の撮影周期が短いほど大きく、すなわち、メダルMの流下方向と直交する方向に近づけることができ、その結果として、ラインセンサ41のサイズを短縮できる。逆に、この角θを小さくすることで、撮像部4の撮影周期を長くできるので、単位時間あたりの演算負荷を軽減できる。その結果として、メダル識別装置1の消費電力も低減できる。
【0026】
また撮像部4は、例えば、256画素を有する。各画素の輝度値は、例えば、0〜255で表され、輝度値が大きいほど、輝度が高いことを表す。
【0027】
所定の撮影周期は、上記のように、例えば、メダル識別装置1に投入されたメダルMが撮影範囲4aを通過している間に少なくとも3枚の画像が生成されるように設定される。本実施形態では、15枚の画像が生成されるように、例えば、60フレーム/秒〜120フレーム/秒に設定される。撮像部4は、撮影する度に、生成した画像を制御基板5へ出力する。
【0028】
図6に示されるように、制御基板5は、制御回路51と、メモリ52とを有する。制御回路51は、例えば、プロセッサとその周辺回路とを有する。そして制御回路51は、撮像部4から受け取った画像を解析することにより、通路6を通過するメダルの外形形状及びメダルの移動方向を検出する。またメモリ52は、例えば、不揮発性の読み出し専用の半導体メモリと、揮発性の読み書き可能な半導体メモリとを有する。そしてメモリ52は、制御回路51で実行されるメダル識別処理のプログラム、及び、メダル識別処理で用いられるパラメータ及びメダル識別処理の途中で算出される様々な中間計算値などを記憶する。またメモリ52は、撮像部4から受け取った画像のうち、最新の複数枚の画像、またはそれら画像を2値化することにより得られる複数枚の2値化画像を記憶してもよい。
【0029】
本実施形態では、光源3と撮像部4とが通路6を挟んで配置されている。そのため、メダルMが撮像部4の撮影範囲4a内に位置すると、メダルMが光源3から発した光を遮る。そのため、画像上では、メダルMの像が写っている領域は暗くなり、その周囲は光源3からの光が撮像部4に届くので明るくなる。
【0030】
そこで制御回路51は、例えば、画像を受け取る度に、その画像を、予めメモリ52に記憶された所定の閾値Thよりも低い輝度値を持つ画素の集合をメダルMが写っている被写体領域とし、一方、その閾値Th以上の輝度値を持つ画素の集合をメダルMが写っていない背景領域として2値化する。例えば、制御回路51は、2値化された画像上で、被写体領域に含まれる画素の値を'0'とし、一方、背景領域に含まれる画素の値を'255'とする。
閾値Thは、例えば、通路6を通るメダルを撮影した画像を予め取得し、その画像における被写体領域及び背景領域を特定した上で、被写体領域の輝度値の分布と、背景領域の輝度値の分布を求め、それらの二つの分布を判別分析することで二つの分布が最も分離する値として決定される。あるいは、閾値Thは、輝度値の取り得る最大値の1/4〜1/2の何れかの値、例えば、127に設定されてもよい。
【0031】
次に、制御回路51は、順次得られる複数の画像を2値化したものの中から、メダルの一部が写っている可能性がある2値化画像、すなわち、被写体領域を含む2値化画像をメダル検出候補画像として抽出する。
【0032】
図7(a)〜図7(g)は、それぞれ、メダルMが撮像部4の撮影範囲4aを通過する際に、メダルが写る範囲とその重心位置の遷移の一例を示す図である。なお、メダルMは順方向に沿って流下し、得られた画像は古い方から順に、図7(a)〜図7(g)に示されるとする。なお、図7(a)〜図7(g)では、順方向は、矢印Dで示されるように、左側から右側へ向かう方向である。
図7(a)〜図7(g)のそれぞれにおいて、上側には、メダルMと撮像部4の撮影範囲4aとの位置関係が示されている。また、下側には、撮像部4により生成された画像を2値化した2値化画像700が示されている。2値化画像700上で、黒い領域が被写体領域710であり、一方、白い領域が背景領域720である。
【0033】
図7(a)では、メダルMは撮影範囲4aと重なっていないので、2値化画像700には被写体領域710は存在せず、2値化画像700の全域が背景領域720となっている。その後、図7(b)〜図7(d)に示されるように、メダルMは略円形状をしているために、メダルMが流下するにつれて、メダルMの直径を含む部分と撮影範囲4aとが重なるまでは、2値化画像上に写る被写体領域710の幅Lは徐々に大きくなる。その後、図7(e)〜図7(g)に示されるように、メダルMと撮影範囲4aが重ならなくなるまで、2値化画像700上での被写体領域710の幅Lは徐々に狭くなる。
また、本実施形態では、撮像部4のラインセンサ41の下端側が上端側よりも上流側に位置するように撮像部4が配置されているので、メダルMと撮影範囲4aとが重なる範囲は、メダルMが流下するにつれて撮影範囲4aの下方から上方へ順に移動する。そのため、2値化画像700上における被写体領域710の重心Cも、時間が経過するにつれて徐々に下から上へ向けて移動する。
【0034】
図8(a)は、図7(a)〜(g)に対応する、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡の一例を示す図であり、図8(b)は、図7(a)〜(g)に対応する、被写体領域の重心Cの時間変化の軌跡の一例を示す図である。図8(a)及び図8(b)において、横軸は経過時間を表し、時刻t0〜t6は、それぞれ、図7(a)〜図7(g)に示されたメダルMの位置における画像の生成時刻に相当する。そして図8(a)において、縦軸は被写体領域の幅Lに相当する画素数を表し、各グラフ801〜805は、時刻t1〜t5における被写体領域の幅Lを表す。一方、図8(b)において、縦軸は撮影範囲4aの下端に対応する、画像の下端からの高さに相当する画素数を表し、実線で示された各グラフ811〜815は、時刻t1〜t5における被写体領域の重心Cまでの高さを表す。また、破線で示された各グラフ821〜825は、メダルMが逆方向に移動していた場合の画像の下端からの重心Cまでの高さを表す。
【0035】
図8(a)における矢印800に示されるように、メダルMが順方向に流下すると、連続する複数の画像において、被写体領域の幅Lは単調増加し、最大値に達した後、今度は単調減少する。そしてグラフ803に示された被写体領域の幅Lの最大値は、メダルMの直径と等しいか、メダルMの直径よりも僅かに小さな値となる。一方、もし、メダル以外の不正用治具などがメダル識別装置1に挿入されると、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡は、不正用治具が円形をしていない限り、矢印800とは異なったものとなる。例えば、いわゆるクレマンと呼ばれる不正行為用の治具は、その治具の先端が撮像部4に達するところまで挿入されても、他端がメダル投入口から外へ出るほどの長さを持つ板状となっている。そのため、被写体領域の幅Lは、ある一定時刻以降、流下方向に直交する方向における、その不正用治具の幅に応じた一定値となる。またその板状の部材がアクリル板のような透明な部材で形成されていたとしても、画像上では、治具に設けられた光源及びその駆動回路基板及び配線に相当する部分が被写体領域となる。そのため、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡は、メダルが流下したときのその幅Lの時間変化の軌跡とは異なるものとなる。
また、不正用治具の幅がメダルMの直径よりも小さければ、被写体領域の幅Lも、メダルMの直径に相当する幅よりも小さくなる。
【0036】
なお、メダルMは中心点対称な形状をしているので、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡は、メダルMの進行方向に依存しない。例えば、メダルMに取り付けられた紐を不正行為者が引くなどして、メダルMが逆方向に進む場合も、被写体領域の幅Lは、時間の経過に従って矢印800のように変化するので、被写体領域の幅Lの時間経過だけを調べても、メダルMの進行方向を判別することは困難である。
【0037】
一方、図8(b)における矢印810に示されるように、メダルMが順方向に流下すると、ラインセンサ41の傾きにより連続する複数の画像において、被写体領域の重心Cの高さは単調増加する。逆に、メダルMが逆方向に進むと、矢印820に示されるように、被写体領域の重心Cの高さは単調減少する。
【0038】
上記のように、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡及び被写体領域の重心Cの時間変化の軌跡は、通路6を流下する物体の形状及びその物体の進行方向に応じて異なるものとなる。そこで制御回路51は、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡及び被写体領域の重心Cの時間変化の軌跡が、メダルが順方向に流下しているときに画像上でのメダルの幅Lの時間変化の軌跡及びメダルが写った領域の重心Cの時間変化の軌跡と一致するか否かを調べることにより、被写体領域を流下する物体がメダルか否か、及びメダルが順方向に流下しているか否かを判定する。
【0039】
本実施形態では、制御回路51は、物体が最初に写ってからその物体が写らなくなるまで時間順に並んだ複数の画像における被写体領域の幅L及び重心Cが、メダルが順方向に移動して撮影範囲4aを通過する際の時間区間を撮影周期で複数に分割した各ステージごとのその幅L及び重心Cが取り得る許容範囲内に収まっていれば、被写体領域の幅L及び重心Cの時間変化の軌跡は、画像上のメダルの幅及び重心の時間変化の軌跡と一致していると判定する。なお、各ステージの被写体領域の幅L及び重心Cの許容範囲は、例えば、予め実験により定められ、メモリ52に記憶される。
【0040】
図9(a)は、被写体領域の幅Lについての許容範囲の一例を示す図であり、図9(b)は、被写体領域の重心Cについての許容範囲の一例を示す図である。図9(a)において、横軸はステージを表し、縦軸は、被写体領域の幅Lを表す。またブロック901〜909は、それぞれ、ステージS1〜S9における、被写体領域の幅Lの許容範囲を表す。この例では、ステージS1は物体が最初に検出された画像に対するステージを表し、ステージS9は物体が最後に検出された画像に対するステージを表す。なお、ステージの総数は、例えば、メダルが標準的な移動速度で流下する場合に、撮影範囲4aにメダルの一部が最初に重なってから撮影範囲4aを通り抜けるまでに撮影される画像の枚数に設定される。また各ステージにおける許容範囲901〜909は、それぞれ、撮影部4による撮影周期とメダルが撮影範囲4aに達するタイミングとの関係が一定でないことによる、被写体領域の幅Lの変動範囲に設定される。
図9(b)においても、横軸はステージを表す。なお、図9(b)における各ステージS1〜S9は、それぞれ、図9(a)のステージS1〜S9に対応する。また図9(b)の縦軸は、画像の下端からの高さを表す。そしてブロック912〜918は、ステージS2〜S8における、被写体領域の重心Cの位置の許容範囲を表す。この許容範囲も、撮像部4の撮影周期とメダルが撮影範囲4aに達するタイミングとの関係が一定でないことによる重心Cの変動範囲に設定される。なお、ステージS1及びS9については、重心Cの変動幅が大きいので、重心Cが許容範囲内か否かは考慮されない。言い換えれば、画像上の全域が重心Cの位置の許容範囲とされる。また、複数のステージに対して同一の許容範囲が設定されてもよい。例えば、重心Cに関しては、画像の下端からの高さが時間経過とともに高くなるか、あるいは低くなるかだけが分かればよいので、ステージS2〜S4に対して同一の許容範囲が設定され、ステージS5〜S8に対して同一の許容範囲が設定されてもよい。この場合、実質的には、ステージは2段となる。
【0041】
制御回路51は、物体が写っている、時間的に連続した複数の画像において、被写体領域の幅LがステージS1〜S9の順に、許容範囲901〜909に含まれつつ遷移するか否かを判定する。さらに制御部51は、物体が写っている、時間的に連続した複数の画像において、被写体領域の重心CがステージS2〜S8の順に、許容範囲912〜918に含まれつつ遷移するか否かを判定する。
なお、メダルの移動速度は、遊技者がメダルをメダル識別装置1に投入する際の遊技者の動作、あるいは連続的にメダルが投入されることによるメダル同士の衝突などによって変化する。その結果、メダルは、標準的な移動速度よりも遅いことがある。そのため、被写体領域の幅L及び重心Cが同一のステージについての許容範囲内に含まれる画像が許容滞留回数以下で連続していても、それだけで制御回路51は、不正な物体が投入されたと判定することはない。なお、許容滞留回数は、例えば、メダルが撮影範囲4aを通過する際の想定される最低速度である場合に、一ステージ当たりに撮影される画像の枚数、例えば、2〜3に設定される。
【0042】
図10は、制御回路51により実行されるメダル識別処理の動作フローチャートである。なお、以下の説明において、ステージの総数をNとし、許容滞留回数をMとする。また、ステージ1は、メダルが順方向に流下したときの、被写体領域の幅L及び重心Cに対する最初の許容範囲を表すステージ(図9(a)及び図9(b)におけるステージS1)であり、ステージNは、メダルが順方向に流下したときの、被写体領域の幅L及び重心Cに対する最後の許容範囲を表すステージ(図9(a)及び図9(b)におけるステージS9)を表す。
【0043】
制御回路51は、撮像部4から画像を取得し、その画像を被写体領域と背景領域とに2値化する(ステップS101)。そして制御回路51は、2値化画像から被写体領域の幅L及び重心Cを算出する(ステップS102)。なお、制御回路51は、照明とメダルの位置関係、あるいは通路6内に付着したゴムなどの影響により、本来背景領域に含まれるべき画素が被写体領域に含まれることがある。このような場合、被写体領域に含まれる、連続した画素の集合が2値化画像上で複数検出されることがある。そこで制御回路51は、例えば、2値化画像の上端から順に、被写体領域に含まれる連続した画素の集合を探す。そして制御回路51は、それぞれの画素の集合について、最も上側の画素から最も下側の画素まで連続する画素の数Li(i=1,2,...)を求める。そして、制御回路51は、各画素の集合についての連続する画素数Liのうち、最大となる数Lmaxを、被写体領域の幅Lとする。また、制御回路51は、その最大値Lmaxに対応する画素の集合に含まれる上端の画素と下端の画素との中点を、被写体領域の重心Cとする。なお、制御回路51は、各画素の集合を検出する前に、例えば、被写体領域に含まれる画素に対するモルフォロジーのオープニング演算などを行って、被写体領域に含まれる画素のうちの孤立したものを除去するように、2値化画像を補正してもよい。
【0044】
制御回路51は、被写体領域が最初に検出されたか否か判定する(ステップS103)。なお、被写体領域が最初に検出されたと判定する条件は、例えば、被写体領域の幅Lが上記の許容範囲の各ステージのうちの最初又は最後のステージの許容範囲内に含まれることとすることができる。
【0045】
ステップS103において、被写体領域が最初に検出されたものであれば(ステップS103−Yes)、制御回路51は、着目するステージを表すステージ番号nを'1'に設定する。また制御回路51は、被写体領域の幅L及び重心Cが同一のステージの許容範囲内と判定された画像の枚数を表す滞留カウントmを'0'に設定する(ステップS104)。
【0046】
一方、ステップS103にて、被写体領域が最初に検出されたものでなければ(ステップS103−No)、制御回路51は、ステージ数nが'2'、かつ、滞留カウントmが'0'か否か判定する(ステップS105)。ステージ数nが'2'であり、かつ、滞留カウントmが'0'であれば(ステップS105−Yes)、制御回路51は、被写体領域の幅L及び重心Cが、ステージ2またはステージ(N-1)における許容範囲に含まれているか否か判定する(ステップS106)。
【0047】
幅L及び重心Cのうちの何れか一方でも、ステージ2における許容範囲とステージ(N-1)における許容範囲の両方から外れていれば、制御回路51は、通路6内にメダル以外の物が投入されたと判定する。そして制御回路51は、不正行為を遊技機の主制御回路へ通知する(ステップS112)。
【0048】
一方、幅L及び重心Cの両方が、ステージ2における許容範囲内に含まれていれば、制御回路51は、被写体領域に写っている物体は順方向に進んでいると推定する。そして制御回路51は、ステージ番号のオフセット値αを'0'とし、ステージの遷移方向を表す係数βを、順方向に対応する値である'1'に設定する(ステップS107)。
また、幅L及び重心Cの両方が、ステージ(N-1)における許容範囲内に含まれていれば、制御回路51は、被写体領域に写っている物体は逆方向に進んでいると推定する。そして制御回路51は、ステージ番号のオフセット値αを'(N+1)'とし、ステージの遷移方向を表す係数βを、逆方向に対応する値である'-1'に設定する(ステップS108)。
ステップS107またはS108の後、制御回路51は、ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0049】
一方、ステップS104の後、あるいはステップS105にてステージ数nが'2'でないか、滞留カウントmが'0'でない場合(ステップS105−No)、制御回路51は、被写体領域の幅L及び重心Cが、ステージ{α+βn}における許容範囲内か否か判定する(ステップS109)。すなわち、制御回路51は、前回取得された画像と最新の画像との間での被写体領域の幅L及び重心Cの変化が、同一ステージに収まるほど小さいか否か判定する。被写体領域の幅L及び重心Cの両方がステージ{α+βn}における許容範囲内であれば(ステップS109−Yes)、制御回路51は、滞留カウントmを1インクリメントする(ステップS110)。そして制御回路51は、滞留カウントmが許容滞留回数Mよりも大きいか否か判定する(ステップS111)。滞留カウントmが許容滞留回数M以下であれば(ステップS111−No)、制御回路51は、ステップS101以降の処理を繰り返す。一方、滞留カウントmが許容滞留回数Mよりも大きければ(ステップS111−Yes)、通路6内にメダル以外の物が投入されたと判定する。そして制御回路51は、不正行為を遊技機の主制御回路へ通知する(ステップS112)。
【0050】
一方、ステップS109にて、被写体領域の幅L及び重心Cの何れか一方でもステージ{α+βn}における許容範囲から外れていれば(ステップS109−No)、制御回路51は、被写体領域の幅L及び重心Cが、次のステージ{α+β(n+1)}における許容範囲内か否か判定する(ステップS113)。そして被写体領域の幅L及び重心Cの何れか一方でもステージ{α+β(n+1)}における許容範囲から外れていれば(ステップS113−No)、通路6内にメダル以外の物が投入されたと判定する。そして制御回路51は、不正行為を遊技機の主制御回路へ通知する(ステップS112)。
【0051】
一方、被写体領域の幅L及び重心Cの両方が、ステージ{α+β(n+1)}における許容範囲内であれば(ステップS113−Yes)、制御回路51は、ステージ数nを1インクリメントし、かつ、滞留カウントmを'0'にリセットする(ステップS114)。そして制御回路51は、ステージ数nが、ステージの総数Nよりも大きいか否か判定する(ステップS115)。ステージ数nがステージの総数N以下である場合(ステップS115−No)、画像に写っている物体がメダルであれば、その物体は撮像部4の撮影範囲4aをまだ通り抜けていないはずである。そこで制御回路51は、ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0052】
一方、ステージ数nがステージの総数Nよりも大きければ(ステップS115−Yes)、物体が撮影範囲4aを通り抜けている。そこで制御回路51は、例えば、βの符号を参照して、物体の進行方向が順方向か否か判定する(ステップS116)。物体の進行方向が順方向であれば(ステップS116−Yes)、被写体領域の幅L及び重心Cの時間変化の軌跡は、メダルが通路6を順方向に流下する場合の画像上のメダルの幅L及び重心Cの時間変化の軌跡と一致しているとみなせる。そこで制御回路51は、正規のメダル投入を遊技機の主制御回路へ通知する(ステップS117)。一方、物体の進行方向が逆方向であれば(ステップS116−No)、被写体領域の幅L及び重心Cの時間変化は、メダルが通路6を逆方向に進んだ場合の被写体領域の幅L及び重心Cの時間変化と一致しているとみなせる。そこで制御回路51は、メダルに紐などを取り付けて引き出す不正行為を遊技機の主制御回路へ通知する(ステップS118)。
ステップS112、S117またはS118の後、制御回路51は、メダル識別処理を終了する。なお、変形例によれば、ステップS116にて物体の進行方向が逆方向であると判定された場合、ステップS118の処理を省略し、制御回路51は、正規のメダル投入及び不正行為の何れも、主制御回路へ通知しないこととしてもよい。
【0053】
以上に説明してきたように、このメダル識別装置は、メダル識別装置内の通路の一部を撮影した1次元の画像に写っている、メダル識別装置内に投入された物体が写った被写体領域の幅及び重心の時間的な変化の軌跡が、メダルが通路を流下した場合のその時間変化の軌跡と一致するか否かによって、メダルが投入されたか否かを判定する。この被写体領域の幅の時間変化の軌跡は、撮影範囲を通過する物体の形状に応じて異なるものとなる。そのため、このメダル識別装置は、外形形状がメダルの外形形状と異なる、複数の光源を取り付けた不正行為用の治具を誤ってメダルと識別することを防止できる。またこのメダル識別装置は、ラインセンサがメダルの流下方向に対して傾けて配置されていることから、被写体領域の重心の時間変化の軌跡によりメダルの進行方向も検出できるので、投入されたメダルに取り付けた紐を引いて投入されたメダルをメダル識別装置から取り出す不正行為も検知することができる。また上記のように、被写体領域の幅及び重心の時間変化の軌跡が画像上のメダルの幅及び重心の時間変化の軌跡と一致するか否かを、ステージごとの許容範囲を満たすか否かで判定するという簡単な処理で実行することにより、制御回路の演算負荷が軽減できる。
【0054】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、制御回路は、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡を表す多次元の方程式、例えば、放物線を表す2次元の方程式の係数の組を、物体が写っている複数の画像のそれぞれの被写体領域の幅を用いて、最小二乗法に従って求めてもよい。そして制御回路は、その係数の組と、メダルが通路を流下するときの画像上のメダルの幅Lの標準的な時間変化の軌跡を表すその方程式の係数の組との差を求める。制御回路は、その差が予め定められた許容範囲内に含まれる場合には、被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、画像上に写ったメダルについてのその軌跡と一致すると判定してもよい。すなわち、制御回路は、通路に投入された物体がメダルであると判定してもよい。
同様に、制御回路は、被写体領域の重心Cの時間変化の軌跡を表す一次元の方程式の係数の組を、物体が写っている複数の画像のそれぞれの被写体領域の重心を用いて、最小二乗法に従って求めてもよい。そして制御回路は、その係数の組と、メダルが通路を順方向に流下するときの被写体領域の重心Cの標準的な時間変化の軌跡を表すその方程式の係数の組との差を求める。制御回路は、その差が予め定められた許容範囲内に含まれる場合には、被写体領域の重心の時間変化の軌跡が、画像上に写ったメダルについてのその軌跡と一致すると判定してもよい。すなわち、制御回路は、メダルが順方向に通路を流下したと判定してもよい。
なお、画像上のメダルの幅L及び重心Cの標準的な時間変化の軌跡を表す方程式の係数の組は、例えば、予め実験などにより求められ、メモリに記憶される。
【0055】
また他の変形例によれば、撮像部が有するラインセンサは、そのラインセンサの上端がそのラインセンサの下端よりも上流側に位置するように配置されてもよい。この場合には、メダルが通路を順方向に沿って流下する場合の被写体領域の重心の軌跡は、上記の実施形態とは逆に、通路の下端からの高さが単調減少する軌跡となる。一方、この場合も、メダルが通路を順方向に沿って流下する場合の被写体領域の幅の軌跡は、上記の実施形態と変わらない。
【0056】
さらに他の変形例によれば、制御回路は、撮像部の撮影範囲内に通路に投入された物体が存在しないときに撮影され、予め制御基板のメモリに記憶された参照画像と、撮像部から受け取った画像とで対応画素間の差分演算を行って、その差分値絶対値が所定の閾値以上となる画素の集合を、被写体領域として抽出してもよい。なお、所定の閾値は、例えば、輝度値の取り得る最大値の1/4〜1/2とすることができる。
【0057】
さらに他の変形例によれば、撮像部の撮影範囲よりもメダル投入口側に、メダルの通過を検知するセンサが設けられていてもよい。このセンサは、例えば、通路を挟んで対向するように配置された光源と受光素子とを有する光学センサとすることができる。この場合には、制御回路は、センサがメダルを検知した後に、撮像部により撮影された画像のみを用いて、メダルが写っているか否か判定してもよい。
【0058】
さらに他の変形例によれば、光源と撮像部は、通路に対して同一の側に配置されてもよい。この場合には、光源からの光は、メダルまたは光源が配置された側とは通路の反対側の側壁で反射されて撮像部に達することになる。一般に、メダルは金属製であり、光の反射率が高いので、この変形例では、画像上ではメダルが写っている領域に含まれる画素の輝度値は、メダルが写っていない領域に含まれる画素の輝度値よりも高くなる。なお、メダルが写っている領域に含まれる画素の輝度値とメダルが写っていない領域に含まれる画素の輝度値との差が大きくなるように、通路の側壁には、光源が発する波長の光に対して吸収性を持つ塗料が塗布されることが好ましい。
また、制御回路は、画像を被写体領域と背景領域に2値化する際、2値化閾値よりも輝度が高い画素の値よりも、2値化閾値以下の輝度値を持つ画素の値を高くすることで、上記の実施形態と同様の処理を行って、画像にメダルが写っているか否か、及びメダルの移動方向の推定を行える。
【0059】
さらに他の変形例によれば、メダルが逆方向に進めないようにメダル識別装置が構成されている場合には、撮像部が有するラインセンサは、メダル識別装置の背面に略平行な面に沿って、かつ、メダルの流下方向に対して直交するように配置されてもよい。この場合には、制御回路は、連続して物体が写った複数の画像にわたる、被写体領域の幅の時間変化がメダルが流下する際のメダルを撮影した複数の画像のそれぞれに写ったメダルの幅の時間変化と一致するか否かのみに基づいて、不正行為が行われたか否かを判定してもよい。なお、メダルが逆方向に進めないようにするために、例えば、撮影範囲の下流側の通路の下面に、その下面から突出するようにバネなどで付勢された直角三角形状のラッチ部材が設けられていてもよい。そしてこのラッチ部材の上流側の上端面はメダルの流下方向と鋭角をなし、かつ、下流側の面はメダルの流下方向と直交するように形成される。この場合、メダルが順方向に流下する場合は、ラッチ部材がメダルに押下されて下側へ沈むことによりメダルが通過可能となる。一方、メダルが逆方向に進む場合は、メダルがラッチ部材の下流側の面に当接してもラッチ部材に下向きの力が掛からないのでラッチ部材が沈まず、メダルの逆方向の移動が妨げられる。
【0060】
さらに他の変形例によれば、撮影範囲の長さは、メダルの直径よりも短くてもよい。但しこの場合でも、被写体領域の幅の時間変動の軌跡及び重心の時間変動の軌跡を求められるように、撮影範囲の長さは、撮影範囲とメダルが重なっている間に3枚以上の画像が生成され、かつ、各画像上で被写体領域の幅及び重心の位置が変化する程度の長さ、例えば、メダルの直径の1/2以上であることが好ましい。
【0061】
図11は、本発明の実施形態または変形例によるメダル識別装置を備えた回胴遊技機100の概略斜視図である。また図12は、前面パネルを開いた状態における、回胴遊技機100の概略斜視図である。そして図13は、回胴遊技機100の回路ブロック図である。図11及び図12に示すように、回胴遊技機100は、遊技機本体である本体筺体101と、発光ドラム102a〜102cと、スタートレバー103と、ストップボタン104a〜104cと、前面パネル105とを有する。
また回胴遊技機100は、本体筺体101内に、前面パネル105の背面側に取り付けられたメダル識別装置106と、各種の制御回路などが収容された制御ボックス107と、主制御回路110からの制御信号に応じてメダルを一時貯留し、かつメダルを排出するためのメダル貯留・排出機構108を有する。
そして図13に示されるように、制御ボックス107内には、例えば、回胴遊技機100全体を制御する主制御回路110と、遊技の演出に関連する各部を制御する演出用制御回路111と、回胴遊技機100の各部に電力を供給する電源回路112などが収容されている。
【0062】
前面パネル105の前面の中央上部には開口105aが形成されており、その開口105aを通じて、発光ドラム102a〜102cが視認可能になっている。また開口105aの下側の枠105bの上面には、メダルを投入するための開口105cが形成されており、この開口105cとメダル識別装置106の上面に設けられたメダル投入口とが一致するように、メダル識別装置106が配置されている。なお、メダル識別装置106のメダル排出口は、メダル貯留・排出機構108と接続されており、メダル識別装置106から排出されたメダルは、メダル貯留・排出機構108に回収される。
【0063】
前面パネル105の下部には、下パネルとして、複数の発光ダイオードを含む装飾装置が設けられていてもよい。さらに、装飾装置の下方において、前面パネル105には、メダルを排出するためのメダル排出口105dが形成されている。そしてメダル排出口105dの下方には、排出されたメダルが落下することを防止するためのメダル受け皿105eが取り付けられている。また前面パネル105の左上端近傍及び右上端近傍にはスピーカ(図示せず)が取り付けられてもよい。
【0064】
発光ドラム102a〜102cは、演出用制御回路111からの制御信号に応じて、本体筺体101の前面に対して略平行かつ略水平な回転軸(図示せず)を回転中心として、それぞれ、別個に回転可能となっている。各発光ドラム102a〜102cの表面は、それぞれ、回転方向に沿って複数の略同一幅を持つ領域に区切られ、領域ごとに様々な図柄が描かれている。なお、発光ドラム102a〜102cの代わりに、液晶ディスプレイなどの表示装置が、その表示画面が開口105aを介して視認可能なように設けられてもよい。この場合、表示装置は、演出用制御回路111からの制御信号に応じて、複数のドラムを模擬的に示した画像を表示画面に表示させる。
スタートレバー103は、前面パネル105の枠105bの前面に向かって左側に設けられている。また、枠105bの前面略中央には、ストップボタン104a〜104cが設けられている。ストップボタン104a〜104cは、それぞれ、発光ドラム102a〜102cに対応する。
【0065】
メダル識別装置106は、上記の実施形態または変形例によるメダル識別装置である。そしてメダルが開口105cを通じてメダル識別装置106のメダル投入口に投入されると、メダル識別装置106は、投入されたメダルが正規のものか否か判定し、正規のメダルであれば、その旨を主制御回路110へ出力する。そして主制御回路110は、投入されたメダルに応じて、遊技の回数などを決定し、回胴遊技機100が遊技を開始することを許可する。その後に、スタートレバー103が操作されると、スタートレバー103が操作されたことを示す信号が主制御回路110へ伝達される。そして主制御回路110は、演出用制御回路111に、発光ドラム102a〜102cの回転を開始させる。また演出用制御回路111は、発光ドラム102a〜102cの回転中、遊技者の興趣を高めるために、発光ドラム102a〜102cが停止しているときとは異なる効果音をスピーカを通じて出力させたり、装飾装置の発光ダイオードを明滅させたりしてもよい。
【0066】
その後、ストップスイッチ104a〜104cの何れかが押下されると、主制御回路110は、その押下されたスイッチから押下されたことを示す信号を受信し、その押下されたスイッチに対応する発光ドラムの回転を演出用制御回路111を介して停止させる。あるいは、主制御回路110は、発光ドラム102a〜102cのうち、回転を開始してから所定期間が経過するまでに、対応するストップスイッチが押下されなかった発光ドラムを、その所定期間経過後に、演出用制御回路111を介して停止させる。
そして全ての発光ドラムが停止した時点で、同一の図柄が全ての発光ドラムにわたって一列に並んでいると、主制御回路110は、その図柄に応じた所定枚数のメダルをメダル排出口を通じて排出する。またこの場合、演出制御回路111は、ドラムの回転時及び同一の図柄が全ての発光ドラムにわたって一列に並ばなかったときとは異なる効果音をスピーカを介して出力し、装飾装置の発光ダイオードをその最大輝度で点灯させてもよい。
【0067】
一方、メダル識別装置106は、投入されたメダルが、治具などにより偽装されたもの、あるいは、正規なメダルであっても逆方向へ移動するといった不正な動きをしたと判定した場合には、不正行為が行われた旨を主制御回路110へ通知する。そして主制御回路110は、例えば、回胴遊技機100が設置されたホールの管理システムへ、回胴遊技機100の識別番号とともに、不正行為が行われた旨を通知する。
【0068】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
1 メダル識別装置
2 筺体
2a メダル投入口
2b メダル排出口
3 光源
4 撮像部
41 ラインセンサ
5 制御基板
51 制御回路
52 メモリ(記憶部)
6 通路
7a、7b ガイド部材
100 回胴遊技機
101 本体筺体
102a〜102c 回転ドラム
103 スタートレバー
104a〜104c ストップボタン
105 前面パネル
106 メダル識別装置
107 制御ボックス
108 メダル貯留・排出機構
110 主制御回路
111 演出用制御回路
112 電源回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルの投入を偽装する不正行為をメダルの投入として誤検出することを防止可能なメダル識別装置及びメダル識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回胴遊技機などの遊技機には、有価価値を持つメダルが投入されると、そのメダルに応じて遊技者が遊技できる回数などを決定するために、投入されたメダルを識別するメダル識別装置が搭載されている。このようなメダル識別装置では、例えば、メダル識別装置内のメダルの通路に沿って、メダルが通過したことを検知するセンサが複数設けられる。各センサは、例えば、発光ダイオードなどの光源と、フォトダイオードなどの受光素子とを有し、その光源と受光素子とが、通路を挟んで対向し、光源からの光が受光素子に達するように設置される。そのため、メダルが光源と受光素子の間を通る瞬間だけ、メダルによって光源からの光が遮られ、その結果として受光素子により検知される受光量が低下することで、このセンサはメダルが通過したことを検知できる。さらに、メダル識別装置は、各センサがメダルが通過したことを検知した順番により、メダルの通過方向を検出できる。
【0003】
しかし、近年、いわゆるクレマンと呼ばれる器具を用いて、メダルの投入を偽装する不正行為が問題となっている。この治具は、メダル識別装置のメダル投入口から挿入可能な板状の治具であり、先端に複数の発光ダイオードを有する。そして治具の手元側のスイッチを操作することにより、各発光ダイオードが、メダルが複数のセンサ間を通り抜ける時間と同程度の間隔で順番に明滅する。これにより、この治具は、メダル識別装置にメダルが投入されたと誤認識させる。このような不正行為を防止するために、センサの投光素子点灯時に、これと同期制御される受光部が受光しているか否かを判定する第1判定部と、センサの投光素子消灯時に受光部が受光していないか否かを判定する第2判定部とを備え、第1及び第2判定部により複数回の適正な受光/遮光であると判定された時、受光信号を出力する一方、第2判定部により投光素子消灯時に受光部が受光していると判定された時、次のタイミングで投光素子を点灯させないようにした投入メダル選別装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−270621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された技術でも、投光素子の発光タイミングと同期して、不正行為用の治具の発光ダイオードを明滅させると、不正行為によるメダルの投入の偽装を完全に防止することができないおそれがあった。また、不正行為には、正規のメダルに紐を取り付け、その紐の一端を保持したままそのメダルをメダル投入口に投入し、メダル識別装置がメダルを識別した後に、紐を引いてメダルをメダル投入口から取り出す行為も知られている。しかし、特許文献1に開示された技術では、このような不正行為を防止することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、メダルの投入を偽装する不正行為によりメダルが投入されたと誤認識することを防止可能なメダル識別装置及びメダル識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの形態として、メダル識別装置が提供される。このメダル識別装置は、メダルが流下する通路を形成する筺体と、その通路の一部を撮影範囲とするラインセンサを有し、所定の撮影間隔ごとにその撮影範囲の1次元画像を生成する撮像部と、所定の撮影間隔ごとに撮影された複数の1次元画像のそれぞれから、通路内に投入された物体が写っている被写体領域を抽出して被写体領域の幅を求め、複数の1次元画像にわたる被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、メダルが通路を流下する際の複数の1次元画像上でのメダルの幅の時間変化の軌跡と一致する場合にメダルが投入されたと判定し、一方、被写体領域の幅の時間変化の軌跡がメダルの幅の時間変化の軌跡と一致しない場合に不正行為が行われたと判定する制御回路とを有する。
【0008】
このメダル識別装置において、ラインセンサは、その長手方向がメダルの流下方向と直交しないように配置されることが好ましい。この場合において、制御回路は、複数の1次元画像のそれぞれから抽出された被写体領域の重心を求め、複数の1次元画像にわたる被写体領域の重心の時間変化の軌跡がメダルが通路を流下する際の複数の1次元画像上でのメダルの重心の時間変化の軌跡と一致しなければ不正行為が行われたと判定することが好ましい。
【0009】
また、メダル識別装置は、メダルが撮影範囲を通り抜けるのに要する期間を所定の撮影間隔で区分した複数のステージごとに定められた、1次元画像上のメダルの幅が取り得る範囲である被写体領域の幅の許容範囲と1次元画像上のメダルの重心が取り得る範囲である被写体領域の重心の許容範囲とを記憶する記憶部をさらに有し、制御回路は、生成された時間順に並べた複数の1次元画像のそれぞれについての被写体領域の幅及び被写体領域の重心が、複数のステージのうちの対応するステージについての被写体領域の幅の許容範囲及び被写体領域の重心の許容範囲に含まれる場合に、被写体領域の幅の時間変化の軌跡がメダルの幅の時間変化の軌跡と一致すると判定することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の他の形態として、メダルが流下する通路を形成する筺体と、その通路の一部を撮影範囲とするラインセンサを有し、所定の時間間隔でその撮影範囲の一次元画像を生成する撮像部とを有するメダル識別装置における、メダル識別方法が提供される。このメダル識別方法は、所定の撮影間隔ごとに撮影された複数の1次元画像のそれぞれから、通路内に投入された物体が写っている被写体領域を抽出してその被写体領域の幅を求めるステップと、複数の1次元画像にわたる被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、メダルが通路を流下する際の複数の1次元画像上でのメダルの幅の時間変化の軌跡と一致するか否かを判定し、一致する場合にメダルが投入されたと判定し、一方、一致しない場合に不正行為が行われたと判定するステップとを含む。
【0011】
なお、ラインセンサは、その長手方向がメダルの流下方向と直交しないように配置されることが好ましい。そしてこのメダル識別方法は、複数の1次元画像のそれぞれから抽出された被写体領域の重心を求めるステップをさらに有し、上記の判定ステップは、複数の1次元画像にわたる被写体領域の重心の時間変化の軌跡がメダルが通路を流下する際の複数の1次元画像上でのメダルの重心の時間変化の軌跡と一致しなければ不正行為が行われたと判定することが好ましい。
【0012】
また、メダル識別装置は、メダルが撮影範囲を通り抜けるのに要する期間を所定の撮影間隔で区分した複数のステージごとに定められた、1次元画像上のメダルの幅が取り得る範囲である被写体領域の幅の許容範囲と1次元画像上のメダルの重心が取り得る範囲である被写体領域の重心の許容範囲とを記憶する記憶部をさらに有することが好ましい。この場合において、メダル識別方法における判定ステップは、生成された時間順に並べた複数の1次元画像のそれぞれについての被写体領域の幅及び被写体領域の重心が、複数のステージのうちの対応するステージについての被写体領域の幅の許容範囲及び被写体領域の重心の許容範囲に含まれる場合に、被写体領域の幅の時間変化の軌跡がメダルの幅の時間変化の軌跡と一致すると判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るメダル識別装置は、メダルの投入を偽装する不正行為によりメダルが投入されたと誤認識することを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一つの実施形態によるメダル識別装置の概略上面図である。
【図2】メダル識別装置の概略背面図である。
【図3】撮像部のカバーを外したときのメダル識別装置の概略背面図である。
【図4】図1のAA’で示された断面を矢印の方向から見た、メダル識別装置の概略断面図である。
【図5】図2のBB’で示された断面を矢印の方向から見た、メダル識別装置の概略断面図である。
【図6】メダル識別装置の回路ブロック図である。
【図7】(a)〜(g)は、それぞれ、メダルが撮像部の撮影範囲を通過する際の、被写体領域とその重心位置の遷移の一例を示す図である。
【図8】(a)は、図7(a)〜(g)に対応する、被写体領域の幅の時間変化の一例を示す図であり、(b)は、図7(a)〜(g)に対応する、被写体領域の重心の時間変化の一例を示す図である。
【図9】(a)は、被写体領域の幅についての許容範囲の一例を示す図であり、(b)は、被写体領域の重心についての許容範囲の一例を示す図である。
【図10】メダル識別方法の動作フローチャートである。
【図11】本発明の一つの実施形態に係るメダル識別装置を備えた回胴遊技機の概略斜視図である。
【図12】前面パネルを開いた状態における、本発明の一つの実施形態に係るメダル識別装置を備えた回胴遊技機の概略斜視図である。
【図13】回胴遊技機の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しつつ、本発明の一つの実施形態によるメダル識別装置について説明する。このメダル識別装置は、メダル識別装置内の通路を流下するメダルを連続的に撮影する、メダルの流下方向に対して傾けて配置されたラインセンサを備えた撮像部を有する。そしてこのメダル識別装置は、その撮像部により生成された連続した複数の一次元画像のそれぞれに写った被写体の幅及び被写体の重心の時間変化の軌跡が、正規のメダルが通過したときにそのメダルが画像に写る幅及び重心の時間変化の軌跡と一致するか否かでメダルが投入されたか不正治具が投入されたかを判定するとともに、投入された正規のメダルに取り付けた紐を引いてメダルを取り出す不正行為によるメダルの計数を防止する。
なお、本実施形態では、メダルの外形形状は、略円形であるとする。
【0016】
図1は、本発明の一つの実施形態によるメダル識別装置1の概略平面図であり、図2は、メダル識別装置1の概略背面図である。図3は、撮像部(後述)のカバーを外したときのメダル識別装置1の概略背面図である。図4は、図1のAA’で示された断面を矢印の方向から見た、メダル識別装置1の概略断面図である。図5は、図2のBB’で示された断面を矢印の方向から見た、メダル識別装置1の概略断面図である。また図6は、メダル識別装置1の回路ブロック図である。
メダル識別装置1は、筺体2と、光源3と、撮像部4と、制御基板5とを有する。光源3及び撮像部4は、筺体2内に収容されており、筺体2の外部に設けられた基板(図示せず)上に配置された制御基板5と信号線を介して接続されている。なお、制御基板5も、筐体2の内部に収容されていてもよい。さらに制御基板5は、メダル識別装置1が搭載される遊技機の主制御回路(図示せず)と信号線を介して接続され、その主制御回路へ、メダル投入を検知したことを表す信号または不正行為を検知したことを表す信号を出力する。
【0017】
筺体2は、例えば、図1に示されたu軸の方向が、回胴遊技機の前面と略平行となり、かつ図2に示されたw軸の方向が、回胴遊技機の縦方向と略平行となるように、回胴遊技機に取り付けられる。そこで、以下では、便宜上、u方向を幅方向と呼び、w方向を高さ方向と呼ぶ。また、図1に示されたv軸の方向を奥行き方向と呼ぶ。
【0018】
図1に示されるように、筺体2の上面には、メダル投入口2aが形成されている。メダル投入口2aは、筺体2の幅方向に沿って、メダルの直径に所定のオフセット(例えば、1mm〜2mm)を加えた長さを持ち、筺体2の奥行き方向に、メダルの厚さに所定のオフセット(例えば、0.5mm〜1mm)を加えた長さを持つ。
【0019】
図3及び図4に示されるように、筺体2は、メダルが流下する通路6をその内部に形成するとともに、光源3及び撮像部4を収容する。そのために、筺体2は、例えば、樹脂を成型することにより所望の形状となるように形成された複数の部品を組み合わせることにより構成される。あるいは、筺体2は、鉄、アルミニウム、銅などの金属により形成されてもよく、あるいは、金属により形成された部品と樹脂により形成された部品とが組み合わされていてもよい。
【0020】
筺体2内に形成された通路6は、筺体2の上端側では高さ方向に沿って形成され、途中で筺体2の幅方向に沿って湾曲した後、右下方へ向けて斜めに形成されている。そして通路6の上端はメダル投入口2aと直結し、一方通路6の下端は、筺体2の右端に形成されたメダル排出口2bと直結されている。そのため、メダル投入口2aから投入されたメダルは、矢印で示されるように、通路6に沿って筺体2内を流下した後、筺体2の右側のメダル排出口2bからメダル識別装置1の外に排出される。なお、この矢印で示される、メダルの流下方向を、以下では便宜上、順方向と呼び、逆にメダル排出口2bからメダル投入口2aへ向かう方向を、逆方向と呼ぶ。
通路6は、メダルがスムーズに流下可能なように、筺体2の幅方向及び高さ方向に沿って、メダルの直径に所定のオフセット(例えば、1mm〜2mm)を加えた長さを持ち、筺体2の奥行き方向に沿って、メダルの厚さに所定のオフセット(例えば、0.5mm〜1mm)を加えた長さを持つ。
なお、通路6の側面には、メダルとの接触面積を減らすために、メダルの流下方向の沿って複数の溝が形成されていてもよい。
【0021】
図4及び図5に示されるように、通路6の湾曲部の下方には、後述するように、撮像部4が通路6を通過するメダルMを撮影できるように、通路6よりも筺体2の背面側に空隙が生じている。そこで、この空隙においてメダルMが通路6から逸脱することを防止するために、通路6の湾曲部の下方において、通路6の上端と下端には、それぞれ、通路6よりも筺体2の背面側に、奥行き方向へのメダルの動きを規制するガイド部材7a、7bが配置されている。そしてガイド部材7aの下端とガイド部材7bの上端間の間隔は、メダルの直径よりも小さく、かつ、撮像部4がメダルMの大部分を撮影できるように、例えば、メダルMの直径よりも僅かに小さく、例えば、メダルMの直径から1mm〜2mmを引いた値となっている。
【0022】
図5に示されるように、光源3は、通路6のガイド部材7aと7bとの間に挟まれた区間に設定された、撮像部4の撮影範囲4aを通過するメダルMを照明するよう、その区間の近傍に、通路6よりも筺体2の正面側に配置される。さらに光源3は、撮影範囲4aを一様に照明可能なように、例えば、通路6の下端に沿って配置された一つまたは複数の発光ダイオード、あるいは蛍光灯といった発光素子と、発光素子からの光を通路6側へ拡散させて出射させる、板状の拡散シートとを有する。拡散シートは、例えば、アクリルあるいはポリカーボネートといった、光源からの光の波長に対して透明な材料により形成される。そして発光素子からの光は、発光素子と対向する拡散シートの下側端面から拡散シート内に入射し、その入射した光は、拡散シートの背面側、すなわち、筺体2の正面側に形成された凹凸によって拡散されて、拡散シートの正面側、すなわち、通路6と対向する面から通路6へ向けて出射する。
光源3は、メダル識別装置1が動作している間、通路6を照明する。あるいは、光源3は、撮像部4が撮影するタイミングだけ発光するように、制御基板5によって制御されていてもよい。
【0023】
なお、変形例によれば、拡散シートは、すりガラス状の半透明なシートであってもよい。この場合には、発光素子は、拡散シートの背面側に、すなわち、通路6に対向する拡散シートの面と反対側の面と対向するように配置されてもよい。また、光源3は、有機EL素子のように、面発光する発光素子、あるいは2次元アレイ状に配列された複数の発光素子を有してもよい。この場合には、発光素子が直接通路6を照明するように配置されてもよい。そして拡散シートは省略されてもよい。
【0024】
撮像部4は、メダル識別装置1が動作している間、通路6の一部に設定された撮影範囲4aを通過するメダルMを所定の撮影周期で連続的に撮影し、そのメダルMの一部の像が写った一次元画像を生成する。そのために、撮像部4は、通路6の湾曲部の下方において、通路6を挟んで光源3と対向するように、筺体2内の通路6の背面側に配置される。そして撮像部4は、例えば、CCDセンサまたはC-MOSセンサといった光電変換素子を一列に配置したラインセンサ41と、ラインセンサ41上に撮影範囲4aに含まれる通路6の一部区間及びその区間を通過するメダルMの像を結像する撮像光学系とを有する。なお、以下では、簡単化のために、撮像部4により生成される一次元画像を単に画像と呼ぶ。
【0025】
撮像部4のラインセンサ41は、通路6の側面に略平行な面内において、すなわち、メダル識別器1の背面と略平行な面内に沿って、ラインセンサ41の長手方向がメダルMの流下方向(図3における矢印Xの方向)と直交しないように、例えば、その長手方向が流下方向に対してなす角θが鋭角となるように傾けて配置される。ラインセンサ41とメダルMの流下方向とがなす角θは、例えば、メダルMが、想定される流下速度で撮影範囲4aを通過したときに、少なくとも3枚の画像においてメダルMの一部が写るように設定されることが好ましい。本実施形態では、このなす角θは、メダルMが撮影範囲4aを通過している間に15枚の画像が取得されるように、ラインセンサ41の下端がラインセンサ41の上端よりも上流側に位置するようにラインセンサ41は配置され、ラインセンサ41とメダルMの流下方向とがなす角θは、60°に設定される。なお、この角θは、撮像部4の撮影周期が短いほど大きく、すなわち、メダルMの流下方向と直交する方向に近づけることができ、その結果として、ラインセンサ41のサイズを短縮できる。逆に、この角θを小さくすることで、撮像部4の撮影周期を長くできるので、単位時間あたりの演算負荷を軽減できる。その結果として、メダル識別装置1の消費電力も低減できる。
【0026】
また撮像部4は、例えば、256画素を有する。各画素の輝度値は、例えば、0〜255で表され、輝度値が大きいほど、輝度が高いことを表す。
【0027】
所定の撮影周期は、上記のように、例えば、メダル識別装置1に投入されたメダルMが撮影範囲4aを通過している間に少なくとも3枚の画像が生成されるように設定される。本実施形態では、15枚の画像が生成されるように、例えば、60フレーム/秒〜120フレーム/秒に設定される。撮像部4は、撮影する度に、生成した画像を制御基板5へ出力する。
【0028】
図6に示されるように、制御基板5は、制御回路51と、メモリ52とを有する。制御回路51は、例えば、プロセッサとその周辺回路とを有する。そして制御回路51は、撮像部4から受け取った画像を解析することにより、通路6を通過するメダルの外形形状及びメダルの移動方向を検出する。またメモリ52は、例えば、不揮発性の読み出し専用の半導体メモリと、揮発性の読み書き可能な半導体メモリとを有する。そしてメモリ52は、制御回路51で実行されるメダル識別処理のプログラム、及び、メダル識別処理で用いられるパラメータ及びメダル識別処理の途中で算出される様々な中間計算値などを記憶する。またメモリ52は、撮像部4から受け取った画像のうち、最新の複数枚の画像、またはそれら画像を2値化することにより得られる複数枚の2値化画像を記憶してもよい。
【0029】
本実施形態では、光源3と撮像部4とが通路6を挟んで配置されている。そのため、メダルMが撮像部4の撮影範囲4a内に位置すると、メダルMが光源3から発した光を遮る。そのため、画像上では、メダルMの像が写っている領域は暗くなり、その周囲は光源3からの光が撮像部4に届くので明るくなる。
【0030】
そこで制御回路51は、例えば、画像を受け取る度に、その画像を、予めメモリ52に記憶された所定の閾値Thよりも低い輝度値を持つ画素の集合をメダルMが写っている被写体領域とし、一方、その閾値Th以上の輝度値を持つ画素の集合をメダルMが写っていない背景領域として2値化する。例えば、制御回路51は、2値化された画像上で、被写体領域に含まれる画素の値を'0'とし、一方、背景領域に含まれる画素の値を'255'とする。
閾値Thは、例えば、通路6を通るメダルを撮影した画像を予め取得し、その画像における被写体領域及び背景領域を特定した上で、被写体領域の輝度値の分布と、背景領域の輝度値の分布を求め、それらの二つの分布を判別分析することで二つの分布が最も分離する値として決定される。あるいは、閾値Thは、輝度値の取り得る最大値の1/4〜1/2の何れかの値、例えば、127に設定されてもよい。
【0031】
次に、制御回路51は、順次得られる複数の画像を2値化したものの中から、メダルの一部が写っている可能性がある2値化画像、すなわち、被写体領域を含む2値化画像をメダル検出候補画像として抽出する。
【0032】
図7(a)〜図7(g)は、それぞれ、メダルMが撮像部4の撮影範囲4aを通過する際に、メダルが写る範囲とその重心位置の遷移の一例を示す図である。なお、メダルMは順方向に沿って流下し、得られた画像は古い方から順に、図7(a)〜図7(g)に示されるとする。なお、図7(a)〜図7(g)では、順方向は、矢印Dで示されるように、左側から右側へ向かう方向である。
図7(a)〜図7(g)のそれぞれにおいて、上側には、メダルMと撮像部4の撮影範囲4aとの位置関係が示されている。また、下側には、撮像部4により生成された画像を2値化した2値化画像700が示されている。2値化画像700上で、黒い領域が被写体領域710であり、一方、白い領域が背景領域720である。
【0033】
図7(a)では、メダルMは撮影範囲4aと重なっていないので、2値化画像700には被写体領域710は存在せず、2値化画像700の全域が背景領域720となっている。その後、図7(b)〜図7(d)に示されるように、メダルMは略円形状をしているために、メダルMが流下するにつれて、メダルMの直径を含む部分と撮影範囲4aとが重なるまでは、2値化画像上に写る被写体領域710の幅Lは徐々に大きくなる。その後、図7(e)〜図7(g)に示されるように、メダルMと撮影範囲4aが重ならなくなるまで、2値化画像700上での被写体領域710の幅Lは徐々に狭くなる。
また、本実施形態では、撮像部4のラインセンサ41の下端側が上端側よりも上流側に位置するように撮像部4が配置されているので、メダルMと撮影範囲4aとが重なる範囲は、メダルMが流下するにつれて撮影範囲4aの下方から上方へ順に移動する。そのため、2値化画像700上における被写体領域710の重心Cも、時間が経過するにつれて徐々に下から上へ向けて移動する。
【0034】
図8(a)は、図7(a)〜(g)に対応する、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡の一例を示す図であり、図8(b)は、図7(a)〜(g)に対応する、被写体領域の重心Cの時間変化の軌跡の一例を示す図である。図8(a)及び図8(b)において、横軸は経過時間を表し、時刻t0〜t6は、それぞれ、図7(a)〜図7(g)に示されたメダルMの位置における画像の生成時刻に相当する。そして図8(a)において、縦軸は被写体領域の幅Lに相当する画素数を表し、各グラフ801〜805は、時刻t1〜t5における被写体領域の幅Lを表す。一方、図8(b)において、縦軸は撮影範囲4aの下端に対応する、画像の下端からの高さに相当する画素数を表し、実線で示された各グラフ811〜815は、時刻t1〜t5における被写体領域の重心Cまでの高さを表す。また、破線で示された各グラフ821〜825は、メダルMが逆方向に移動していた場合の画像の下端からの重心Cまでの高さを表す。
【0035】
図8(a)における矢印800に示されるように、メダルMが順方向に流下すると、連続する複数の画像において、被写体領域の幅Lは単調増加し、最大値に達した後、今度は単調減少する。そしてグラフ803に示された被写体領域の幅Lの最大値は、メダルMの直径と等しいか、メダルMの直径よりも僅かに小さな値となる。一方、もし、メダル以外の不正用治具などがメダル識別装置1に挿入されると、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡は、不正用治具が円形をしていない限り、矢印800とは異なったものとなる。例えば、いわゆるクレマンと呼ばれる不正行為用の治具は、その治具の先端が撮像部4に達するところまで挿入されても、他端がメダル投入口から外へ出るほどの長さを持つ板状となっている。そのため、被写体領域の幅Lは、ある一定時刻以降、流下方向に直交する方向における、その不正用治具の幅に応じた一定値となる。またその板状の部材がアクリル板のような透明な部材で形成されていたとしても、画像上では、治具に設けられた光源及びその駆動回路基板及び配線に相当する部分が被写体領域となる。そのため、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡は、メダルが流下したときのその幅Lの時間変化の軌跡とは異なるものとなる。
また、不正用治具の幅がメダルMの直径よりも小さければ、被写体領域の幅Lも、メダルMの直径に相当する幅よりも小さくなる。
【0036】
なお、メダルMは中心点対称な形状をしているので、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡は、メダルMの進行方向に依存しない。例えば、メダルMに取り付けられた紐を不正行為者が引くなどして、メダルMが逆方向に進む場合も、被写体領域の幅Lは、時間の経過に従って矢印800のように変化するので、被写体領域の幅Lの時間経過だけを調べても、メダルMの進行方向を判別することは困難である。
【0037】
一方、図8(b)における矢印810に示されるように、メダルMが順方向に流下すると、ラインセンサ41の傾きにより連続する複数の画像において、被写体領域の重心Cの高さは単調増加する。逆に、メダルMが逆方向に進むと、矢印820に示されるように、被写体領域の重心Cの高さは単調減少する。
【0038】
上記のように、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡及び被写体領域の重心Cの時間変化の軌跡は、通路6を流下する物体の形状及びその物体の進行方向に応じて異なるものとなる。そこで制御回路51は、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡及び被写体領域の重心Cの時間変化の軌跡が、メダルが順方向に流下しているときに画像上でのメダルの幅Lの時間変化の軌跡及びメダルが写った領域の重心Cの時間変化の軌跡と一致するか否かを調べることにより、被写体領域を流下する物体がメダルか否か、及びメダルが順方向に流下しているか否かを判定する。
【0039】
本実施形態では、制御回路51は、物体が最初に写ってからその物体が写らなくなるまで時間順に並んだ複数の画像における被写体領域の幅L及び重心Cが、メダルが順方向に移動して撮影範囲4aを通過する際の時間区間を撮影周期で複数に分割した各ステージごとのその幅L及び重心Cが取り得る許容範囲内に収まっていれば、被写体領域の幅L及び重心Cの時間変化の軌跡は、画像上のメダルの幅及び重心の時間変化の軌跡と一致していると判定する。なお、各ステージの被写体領域の幅L及び重心Cの許容範囲は、例えば、予め実験により定められ、メモリ52に記憶される。
【0040】
図9(a)は、被写体領域の幅Lについての許容範囲の一例を示す図であり、図9(b)は、被写体領域の重心Cについての許容範囲の一例を示す図である。図9(a)において、横軸はステージを表し、縦軸は、被写体領域の幅Lを表す。またブロック901〜909は、それぞれ、ステージS1〜S9における、被写体領域の幅Lの許容範囲を表す。この例では、ステージS1は物体が最初に検出された画像に対するステージを表し、ステージS9は物体が最後に検出された画像に対するステージを表す。なお、ステージの総数は、例えば、メダルが標準的な移動速度で流下する場合に、撮影範囲4aにメダルの一部が最初に重なってから撮影範囲4aを通り抜けるまでに撮影される画像の枚数に設定される。また各ステージにおける許容範囲901〜909は、それぞれ、撮影部4による撮影周期とメダルが撮影範囲4aに達するタイミングとの関係が一定でないことによる、被写体領域の幅Lの変動範囲に設定される。
図9(b)においても、横軸はステージを表す。なお、図9(b)における各ステージS1〜S9は、それぞれ、図9(a)のステージS1〜S9に対応する。また図9(b)の縦軸は、画像の下端からの高さを表す。そしてブロック912〜918は、ステージS2〜S8における、被写体領域の重心Cの位置の許容範囲を表す。この許容範囲も、撮像部4の撮影周期とメダルが撮影範囲4aに達するタイミングとの関係が一定でないことによる重心Cの変動範囲に設定される。なお、ステージS1及びS9については、重心Cの変動幅が大きいので、重心Cが許容範囲内か否かは考慮されない。言い換えれば、画像上の全域が重心Cの位置の許容範囲とされる。また、複数のステージに対して同一の許容範囲が設定されてもよい。例えば、重心Cに関しては、画像の下端からの高さが時間経過とともに高くなるか、あるいは低くなるかだけが分かればよいので、ステージS2〜S4に対して同一の許容範囲が設定され、ステージS5〜S8に対して同一の許容範囲が設定されてもよい。この場合、実質的には、ステージは2段となる。
【0041】
制御回路51は、物体が写っている、時間的に連続した複数の画像において、被写体領域の幅LがステージS1〜S9の順に、許容範囲901〜909に含まれつつ遷移するか否かを判定する。さらに制御部51は、物体が写っている、時間的に連続した複数の画像において、被写体領域の重心CがステージS2〜S8の順に、許容範囲912〜918に含まれつつ遷移するか否かを判定する。
なお、メダルの移動速度は、遊技者がメダルをメダル識別装置1に投入する際の遊技者の動作、あるいは連続的にメダルが投入されることによるメダル同士の衝突などによって変化する。その結果、メダルは、標準的な移動速度よりも遅いことがある。そのため、被写体領域の幅L及び重心Cが同一のステージについての許容範囲内に含まれる画像が許容滞留回数以下で連続していても、それだけで制御回路51は、不正な物体が投入されたと判定することはない。なお、許容滞留回数は、例えば、メダルが撮影範囲4aを通過する際の想定される最低速度である場合に、一ステージ当たりに撮影される画像の枚数、例えば、2〜3に設定される。
【0042】
図10は、制御回路51により実行されるメダル識別処理の動作フローチャートである。なお、以下の説明において、ステージの総数をNとし、許容滞留回数をMとする。また、ステージ1は、メダルが順方向に流下したときの、被写体領域の幅L及び重心Cに対する最初の許容範囲を表すステージ(図9(a)及び図9(b)におけるステージS1)であり、ステージNは、メダルが順方向に流下したときの、被写体領域の幅L及び重心Cに対する最後の許容範囲を表すステージ(図9(a)及び図9(b)におけるステージS9)を表す。
【0043】
制御回路51は、撮像部4から画像を取得し、その画像を被写体領域と背景領域とに2値化する(ステップS101)。そして制御回路51は、2値化画像から被写体領域の幅L及び重心Cを算出する(ステップS102)。なお、制御回路51は、照明とメダルの位置関係、あるいは通路6内に付着したゴムなどの影響により、本来背景領域に含まれるべき画素が被写体領域に含まれることがある。このような場合、被写体領域に含まれる、連続した画素の集合が2値化画像上で複数検出されることがある。そこで制御回路51は、例えば、2値化画像の上端から順に、被写体領域に含まれる連続した画素の集合を探す。そして制御回路51は、それぞれの画素の集合について、最も上側の画素から最も下側の画素まで連続する画素の数Li(i=1,2,...)を求める。そして、制御回路51は、各画素の集合についての連続する画素数Liのうち、最大となる数Lmaxを、被写体領域の幅Lとする。また、制御回路51は、その最大値Lmaxに対応する画素の集合に含まれる上端の画素と下端の画素との中点を、被写体領域の重心Cとする。なお、制御回路51は、各画素の集合を検出する前に、例えば、被写体領域に含まれる画素に対するモルフォロジーのオープニング演算などを行って、被写体領域に含まれる画素のうちの孤立したものを除去するように、2値化画像を補正してもよい。
【0044】
制御回路51は、被写体領域が最初に検出されたか否か判定する(ステップS103)。なお、被写体領域が最初に検出されたと判定する条件は、例えば、被写体領域の幅Lが上記の許容範囲の各ステージのうちの最初又は最後のステージの許容範囲内に含まれることとすることができる。
【0045】
ステップS103において、被写体領域が最初に検出されたものであれば(ステップS103−Yes)、制御回路51は、着目するステージを表すステージ番号nを'1'に設定する。また制御回路51は、被写体領域の幅L及び重心Cが同一のステージの許容範囲内と判定された画像の枚数を表す滞留カウントmを'0'に設定する(ステップS104)。
【0046】
一方、ステップS103にて、被写体領域が最初に検出されたものでなければ(ステップS103−No)、制御回路51は、ステージ数nが'2'、かつ、滞留カウントmが'0'か否か判定する(ステップS105)。ステージ数nが'2'であり、かつ、滞留カウントmが'0'であれば(ステップS105−Yes)、制御回路51は、被写体領域の幅L及び重心Cが、ステージ2またはステージ(N-1)における許容範囲に含まれているか否か判定する(ステップS106)。
【0047】
幅L及び重心Cのうちの何れか一方でも、ステージ2における許容範囲とステージ(N-1)における許容範囲の両方から外れていれば、制御回路51は、通路6内にメダル以外の物が投入されたと判定する。そして制御回路51は、不正行為を遊技機の主制御回路へ通知する(ステップS112)。
【0048】
一方、幅L及び重心Cの両方が、ステージ2における許容範囲内に含まれていれば、制御回路51は、被写体領域に写っている物体は順方向に進んでいると推定する。そして制御回路51は、ステージ番号のオフセット値αを'0'とし、ステージの遷移方向を表す係数βを、順方向に対応する値である'1'に設定する(ステップS107)。
また、幅L及び重心Cの両方が、ステージ(N-1)における許容範囲内に含まれていれば、制御回路51は、被写体領域に写っている物体は逆方向に進んでいると推定する。そして制御回路51は、ステージ番号のオフセット値αを'(N+1)'とし、ステージの遷移方向を表す係数βを、逆方向に対応する値である'-1'に設定する(ステップS108)。
ステップS107またはS108の後、制御回路51は、ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0049】
一方、ステップS104の後、あるいはステップS105にてステージ数nが'2'でないか、滞留カウントmが'0'でない場合(ステップS105−No)、制御回路51は、被写体領域の幅L及び重心Cが、ステージ{α+βn}における許容範囲内か否か判定する(ステップS109)。すなわち、制御回路51は、前回取得された画像と最新の画像との間での被写体領域の幅L及び重心Cの変化が、同一ステージに収まるほど小さいか否か判定する。被写体領域の幅L及び重心Cの両方がステージ{α+βn}における許容範囲内であれば(ステップS109−Yes)、制御回路51は、滞留カウントmを1インクリメントする(ステップS110)。そして制御回路51は、滞留カウントmが許容滞留回数Mよりも大きいか否か判定する(ステップS111)。滞留カウントmが許容滞留回数M以下であれば(ステップS111−No)、制御回路51は、ステップS101以降の処理を繰り返す。一方、滞留カウントmが許容滞留回数Mよりも大きければ(ステップS111−Yes)、通路6内にメダル以外の物が投入されたと判定する。そして制御回路51は、不正行為を遊技機の主制御回路へ通知する(ステップS112)。
【0050】
一方、ステップS109にて、被写体領域の幅L及び重心Cの何れか一方でもステージ{α+βn}における許容範囲から外れていれば(ステップS109−No)、制御回路51は、被写体領域の幅L及び重心Cが、次のステージ{α+β(n+1)}における許容範囲内か否か判定する(ステップS113)。そして被写体領域の幅L及び重心Cの何れか一方でもステージ{α+β(n+1)}における許容範囲から外れていれば(ステップS113−No)、通路6内にメダル以外の物が投入されたと判定する。そして制御回路51は、不正行為を遊技機の主制御回路へ通知する(ステップS112)。
【0051】
一方、被写体領域の幅L及び重心Cの両方が、ステージ{α+β(n+1)}における許容範囲内であれば(ステップS113−Yes)、制御回路51は、ステージ数nを1インクリメントし、かつ、滞留カウントmを'0'にリセットする(ステップS114)。そして制御回路51は、ステージ数nが、ステージの総数Nよりも大きいか否か判定する(ステップS115)。ステージ数nがステージの総数N以下である場合(ステップS115−No)、画像に写っている物体がメダルであれば、その物体は撮像部4の撮影範囲4aをまだ通り抜けていないはずである。そこで制御回路51は、ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0052】
一方、ステージ数nがステージの総数Nよりも大きければ(ステップS115−Yes)、物体が撮影範囲4aを通り抜けている。そこで制御回路51は、例えば、βの符号を参照して、物体の進行方向が順方向か否か判定する(ステップS116)。物体の進行方向が順方向であれば(ステップS116−Yes)、被写体領域の幅L及び重心Cの時間変化の軌跡は、メダルが通路6を順方向に流下する場合の画像上のメダルの幅L及び重心Cの時間変化の軌跡と一致しているとみなせる。そこで制御回路51は、正規のメダル投入を遊技機の主制御回路へ通知する(ステップS117)。一方、物体の進行方向が逆方向であれば(ステップS116−No)、被写体領域の幅L及び重心Cの時間変化は、メダルが通路6を逆方向に進んだ場合の被写体領域の幅L及び重心Cの時間変化と一致しているとみなせる。そこで制御回路51は、メダルに紐などを取り付けて引き出す不正行為を遊技機の主制御回路へ通知する(ステップS118)。
ステップS112、S117またはS118の後、制御回路51は、メダル識別処理を終了する。なお、変形例によれば、ステップS116にて物体の進行方向が逆方向であると判定された場合、ステップS118の処理を省略し、制御回路51は、正規のメダル投入及び不正行為の何れも、主制御回路へ通知しないこととしてもよい。
【0053】
以上に説明してきたように、このメダル識別装置は、メダル識別装置内の通路の一部を撮影した1次元の画像に写っている、メダル識別装置内に投入された物体が写った被写体領域の幅及び重心の時間的な変化の軌跡が、メダルが通路を流下した場合のその時間変化の軌跡と一致するか否かによって、メダルが投入されたか否かを判定する。この被写体領域の幅の時間変化の軌跡は、撮影範囲を通過する物体の形状に応じて異なるものとなる。そのため、このメダル識別装置は、外形形状がメダルの外形形状と異なる、複数の光源を取り付けた不正行為用の治具を誤ってメダルと識別することを防止できる。またこのメダル識別装置は、ラインセンサがメダルの流下方向に対して傾けて配置されていることから、被写体領域の重心の時間変化の軌跡によりメダルの進行方向も検出できるので、投入されたメダルに取り付けた紐を引いて投入されたメダルをメダル識別装置から取り出す不正行為も検知することができる。また上記のように、被写体領域の幅及び重心の時間変化の軌跡が画像上のメダルの幅及び重心の時間変化の軌跡と一致するか否かを、ステージごとの許容範囲を満たすか否かで判定するという簡単な処理で実行することにより、制御回路の演算負荷が軽減できる。
【0054】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、制御回路は、被写体領域の幅Lの時間変化の軌跡を表す多次元の方程式、例えば、放物線を表す2次元の方程式の係数の組を、物体が写っている複数の画像のそれぞれの被写体領域の幅を用いて、最小二乗法に従って求めてもよい。そして制御回路は、その係数の組と、メダルが通路を流下するときの画像上のメダルの幅Lの標準的な時間変化の軌跡を表すその方程式の係数の組との差を求める。制御回路は、その差が予め定められた許容範囲内に含まれる場合には、被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、画像上に写ったメダルについてのその軌跡と一致すると判定してもよい。すなわち、制御回路は、通路に投入された物体がメダルであると判定してもよい。
同様に、制御回路は、被写体領域の重心Cの時間変化の軌跡を表す一次元の方程式の係数の組を、物体が写っている複数の画像のそれぞれの被写体領域の重心を用いて、最小二乗法に従って求めてもよい。そして制御回路は、その係数の組と、メダルが通路を順方向に流下するときの被写体領域の重心Cの標準的な時間変化の軌跡を表すその方程式の係数の組との差を求める。制御回路は、その差が予め定められた許容範囲内に含まれる場合には、被写体領域の重心の時間変化の軌跡が、画像上に写ったメダルについてのその軌跡と一致すると判定してもよい。すなわち、制御回路は、メダルが順方向に通路を流下したと判定してもよい。
なお、画像上のメダルの幅L及び重心Cの標準的な時間変化の軌跡を表す方程式の係数の組は、例えば、予め実験などにより求められ、メモリに記憶される。
【0055】
また他の変形例によれば、撮像部が有するラインセンサは、そのラインセンサの上端がそのラインセンサの下端よりも上流側に位置するように配置されてもよい。この場合には、メダルが通路を順方向に沿って流下する場合の被写体領域の重心の軌跡は、上記の実施形態とは逆に、通路の下端からの高さが単調減少する軌跡となる。一方、この場合も、メダルが通路を順方向に沿って流下する場合の被写体領域の幅の軌跡は、上記の実施形態と変わらない。
【0056】
さらに他の変形例によれば、制御回路は、撮像部の撮影範囲内に通路に投入された物体が存在しないときに撮影され、予め制御基板のメモリに記憶された参照画像と、撮像部から受け取った画像とで対応画素間の差分演算を行って、その差分値絶対値が所定の閾値以上となる画素の集合を、被写体領域として抽出してもよい。なお、所定の閾値は、例えば、輝度値の取り得る最大値の1/4〜1/2とすることができる。
【0057】
さらに他の変形例によれば、撮像部の撮影範囲よりもメダル投入口側に、メダルの通過を検知するセンサが設けられていてもよい。このセンサは、例えば、通路を挟んで対向するように配置された光源と受光素子とを有する光学センサとすることができる。この場合には、制御回路は、センサがメダルを検知した後に、撮像部により撮影された画像のみを用いて、メダルが写っているか否か判定してもよい。
【0058】
さらに他の変形例によれば、光源と撮像部は、通路に対して同一の側に配置されてもよい。この場合には、光源からの光は、メダルまたは光源が配置された側とは通路の反対側の側壁で反射されて撮像部に達することになる。一般に、メダルは金属製であり、光の反射率が高いので、この変形例では、画像上ではメダルが写っている領域に含まれる画素の輝度値は、メダルが写っていない領域に含まれる画素の輝度値よりも高くなる。なお、メダルが写っている領域に含まれる画素の輝度値とメダルが写っていない領域に含まれる画素の輝度値との差が大きくなるように、通路の側壁には、光源が発する波長の光に対して吸収性を持つ塗料が塗布されることが好ましい。
また、制御回路は、画像を被写体領域と背景領域に2値化する際、2値化閾値よりも輝度が高い画素の値よりも、2値化閾値以下の輝度値を持つ画素の値を高くすることで、上記の実施形態と同様の処理を行って、画像にメダルが写っているか否か、及びメダルの移動方向の推定を行える。
【0059】
さらに他の変形例によれば、メダルが逆方向に進めないようにメダル識別装置が構成されている場合には、撮像部が有するラインセンサは、メダル識別装置の背面に略平行な面に沿って、かつ、メダルの流下方向に対して直交するように配置されてもよい。この場合には、制御回路は、連続して物体が写った複数の画像にわたる、被写体領域の幅の時間変化がメダルが流下する際のメダルを撮影した複数の画像のそれぞれに写ったメダルの幅の時間変化と一致するか否かのみに基づいて、不正行為が行われたか否かを判定してもよい。なお、メダルが逆方向に進めないようにするために、例えば、撮影範囲の下流側の通路の下面に、その下面から突出するようにバネなどで付勢された直角三角形状のラッチ部材が設けられていてもよい。そしてこのラッチ部材の上流側の上端面はメダルの流下方向と鋭角をなし、かつ、下流側の面はメダルの流下方向と直交するように形成される。この場合、メダルが順方向に流下する場合は、ラッチ部材がメダルに押下されて下側へ沈むことによりメダルが通過可能となる。一方、メダルが逆方向に進む場合は、メダルがラッチ部材の下流側の面に当接してもラッチ部材に下向きの力が掛からないのでラッチ部材が沈まず、メダルの逆方向の移動が妨げられる。
【0060】
さらに他の変形例によれば、撮影範囲の長さは、メダルの直径よりも短くてもよい。但しこの場合でも、被写体領域の幅の時間変動の軌跡及び重心の時間変動の軌跡を求められるように、撮影範囲の長さは、撮影範囲とメダルが重なっている間に3枚以上の画像が生成され、かつ、各画像上で被写体領域の幅及び重心の位置が変化する程度の長さ、例えば、メダルの直径の1/2以上であることが好ましい。
【0061】
図11は、本発明の実施形態または変形例によるメダル識別装置を備えた回胴遊技機100の概略斜視図である。また図12は、前面パネルを開いた状態における、回胴遊技機100の概略斜視図である。そして図13は、回胴遊技機100の回路ブロック図である。図11及び図12に示すように、回胴遊技機100は、遊技機本体である本体筺体101と、発光ドラム102a〜102cと、スタートレバー103と、ストップボタン104a〜104cと、前面パネル105とを有する。
また回胴遊技機100は、本体筺体101内に、前面パネル105の背面側に取り付けられたメダル識別装置106と、各種の制御回路などが収容された制御ボックス107と、主制御回路110からの制御信号に応じてメダルを一時貯留し、かつメダルを排出するためのメダル貯留・排出機構108を有する。
そして図13に示されるように、制御ボックス107内には、例えば、回胴遊技機100全体を制御する主制御回路110と、遊技の演出に関連する各部を制御する演出用制御回路111と、回胴遊技機100の各部に電力を供給する電源回路112などが収容されている。
【0062】
前面パネル105の前面の中央上部には開口105aが形成されており、その開口105aを通じて、発光ドラム102a〜102cが視認可能になっている。また開口105aの下側の枠105bの上面には、メダルを投入するための開口105cが形成されており、この開口105cとメダル識別装置106の上面に設けられたメダル投入口とが一致するように、メダル識別装置106が配置されている。なお、メダル識別装置106のメダル排出口は、メダル貯留・排出機構108と接続されており、メダル識別装置106から排出されたメダルは、メダル貯留・排出機構108に回収される。
【0063】
前面パネル105の下部には、下パネルとして、複数の発光ダイオードを含む装飾装置が設けられていてもよい。さらに、装飾装置の下方において、前面パネル105には、メダルを排出するためのメダル排出口105dが形成されている。そしてメダル排出口105dの下方には、排出されたメダルが落下することを防止するためのメダル受け皿105eが取り付けられている。また前面パネル105の左上端近傍及び右上端近傍にはスピーカ(図示せず)が取り付けられてもよい。
【0064】
発光ドラム102a〜102cは、演出用制御回路111からの制御信号に応じて、本体筺体101の前面に対して略平行かつ略水平な回転軸(図示せず)を回転中心として、それぞれ、別個に回転可能となっている。各発光ドラム102a〜102cの表面は、それぞれ、回転方向に沿って複数の略同一幅を持つ領域に区切られ、領域ごとに様々な図柄が描かれている。なお、発光ドラム102a〜102cの代わりに、液晶ディスプレイなどの表示装置が、その表示画面が開口105aを介して視認可能なように設けられてもよい。この場合、表示装置は、演出用制御回路111からの制御信号に応じて、複数のドラムを模擬的に示した画像を表示画面に表示させる。
スタートレバー103は、前面パネル105の枠105bの前面に向かって左側に設けられている。また、枠105bの前面略中央には、ストップボタン104a〜104cが設けられている。ストップボタン104a〜104cは、それぞれ、発光ドラム102a〜102cに対応する。
【0065】
メダル識別装置106は、上記の実施形態または変形例によるメダル識別装置である。そしてメダルが開口105cを通じてメダル識別装置106のメダル投入口に投入されると、メダル識別装置106は、投入されたメダルが正規のものか否か判定し、正規のメダルであれば、その旨を主制御回路110へ出力する。そして主制御回路110は、投入されたメダルに応じて、遊技の回数などを決定し、回胴遊技機100が遊技を開始することを許可する。その後に、スタートレバー103が操作されると、スタートレバー103が操作されたことを示す信号が主制御回路110へ伝達される。そして主制御回路110は、演出用制御回路111に、発光ドラム102a〜102cの回転を開始させる。また演出用制御回路111は、発光ドラム102a〜102cの回転中、遊技者の興趣を高めるために、発光ドラム102a〜102cが停止しているときとは異なる効果音をスピーカを通じて出力させたり、装飾装置の発光ダイオードを明滅させたりしてもよい。
【0066】
その後、ストップスイッチ104a〜104cの何れかが押下されると、主制御回路110は、その押下されたスイッチから押下されたことを示す信号を受信し、その押下されたスイッチに対応する発光ドラムの回転を演出用制御回路111を介して停止させる。あるいは、主制御回路110は、発光ドラム102a〜102cのうち、回転を開始してから所定期間が経過するまでに、対応するストップスイッチが押下されなかった発光ドラムを、その所定期間経過後に、演出用制御回路111を介して停止させる。
そして全ての発光ドラムが停止した時点で、同一の図柄が全ての発光ドラムにわたって一列に並んでいると、主制御回路110は、その図柄に応じた所定枚数のメダルをメダル排出口を通じて排出する。またこの場合、演出制御回路111は、ドラムの回転時及び同一の図柄が全ての発光ドラムにわたって一列に並ばなかったときとは異なる効果音をスピーカを介して出力し、装飾装置の発光ダイオードをその最大輝度で点灯させてもよい。
【0067】
一方、メダル識別装置106は、投入されたメダルが、治具などにより偽装されたもの、あるいは、正規なメダルであっても逆方向へ移動するといった不正な動きをしたと判定した場合には、不正行為が行われた旨を主制御回路110へ通知する。そして主制御回路110は、例えば、回胴遊技機100が設置されたホールの管理システムへ、回胴遊技機100の識別番号とともに、不正行為が行われた旨を通知する。
【0068】
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
1 メダル識別装置
2 筺体
2a メダル投入口
2b メダル排出口
3 光源
4 撮像部
41 ラインセンサ
5 制御基板
51 制御回路
52 メモリ(記憶部)
6 通路
7a、7b ガイド部材
100 回胴遊技機
101 本体筺体
102a〜102c 回転ドラム
103 スタートレバー
104a〜104c ストップボタン
105 前面パネル
106 メダル識別装置
107 制御ボックス
108 メダル貯留・排出機構
110 主制御回路
111 演出用制御回路
112 電源回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルが流下する通路を形成する筺体と、
前記通路の一部を撮影範囲とするラインセンサを有し、所定の撮影間隔ごとに当該撮影範囲の1次元画像を生成する撮像部と、
前記所定の撮影間隔ごとに撮影された複数の前記1次元画像のそれぞれから、前記通路内に投入された物体が写っている被写体領域を抽出して該被写体領域の幅を求め、前記複数の1次元画像にわたる該被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、前記メダルが前記通路を流下する際の複数の前記1次元画像上での該メダルの幅の時間変化の軌跡と一致する場合にメダルが投入されたと判定し、一方、前記被写体領域の幅の時間変化の軌跡が前記メダルの幅の時間変化の軌跡と一致しない場合に不正行為が行われたと判定する制御回路と、
を有するメダル識別装置。
【請求項2】
前記ラインセンサは、該ラインセンサの長手方向が前記メダルの流下方向と直交しないように配置され、
前記制御回路は、前記複数の1次元画像のそれぞれから抽出された前記被写体領域の重心を求め、前記複数の1次元画像にわたる前記被写体領域の重心の時間変化の軌跡が前記メダルが前記通路を流下する際の複数の前記1次元画像上での該メダルの重心の時間変化の軌跡と一致しなければ不正行為が行われたと判定する、請求項1に記載のメダル識別装置。
【請求項3】
メダルが前記撮影範囲を通り抜けるのに要する期間を前記所定の撮影間隔で区分した複数のステージごとに定められた、前記1次元画像上のメダルの幅が取り得る範囲である前記被写体領域の幅の許容範囲と前記1次元画像上のメダルの重心が取り得る範囲である前記被写体領域の重心の許容範囲とを記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御回路は、生成された時間順に並べた複数の前記1次元画像のそれぞれについての前記被写体領域の幅及び前記被写体領域の重心が、前記複数のステージのうちの対応するステージについての前記被写体領域の幅の許容範囲及び前記被写体領域の重心の許容範囲に含まれる場合に、前記被写体領域の幅の時間変化の軌跡が前記メダルの幅の時間変化の軌跡と一致すると判定する、請求項2に記載のメダル識別装置。
【請求項4】
メダルが流下する通路を形成する筺体と、前記通路の一部を撮影範囲とするラインセンサを有し、所定の撮影間隔で当該撮影範囲の一次元画像を生成する撮像部とを有するメダル識別装置における、メダル識別方法であって、
前記所定の撮影間隔ごとに撮影された複数の前記1次元画像のそれぞれから、前記通路内に投入された物体が写っている被写体領域を抽出して該被写体領域の幅を求めるステップと、
前記複数の1次元画像にわたる該被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、前記メダルが前記通路を流下する際の複数の前記1次元画像上での該メダルの幅の時間変化の軌跡と一致するか否かを判定し、一致する場合にメダルが投入されたと判定し、一方、一致しない場合に不正行為が行われたと判定するステップと、
を含むメダル識別方法。
【請求項5】
前記ラインセンサは、該ラインセンサの長手方向が前記メダルの流下方向と直交しないように配置され、
前記複数の1次元画像のそれぞれから抽出された前記被写体領域の重心を求めるステップをさらに有し、
前記判定ステップは、前記複数の1次元画像にわたる前記被写体領域の重心の時間変化の軌跡が前記メダルが前記通路を流下する際の複数の1次元画像上での該メダルの重心の時間変化の軌跡と一致しなければ不正行為が行われたと判定する、請求項4に記載のメダル識別方法。
【請求項6】
前記メダル識別装置は、メダルが前記撮影範囲を通り抜けるのに要する期間を前記所定の撮影間隔で区分した複数のステージごとに定められた、前記1次元画像上のメダルの幅が取り得る範囲である前記被写体領域の幅の許容範囲と前記1次元画像上のメダルの重心が取り得る範囲である前記被写体領域の重心の許容範囲とを記憶する記憶部をさらに有し、
前記判定ステップは、生成された時間順に並べた複数の前記1次元画像のそれぞれについての前記被写体領域の幅及び前記被写体領域の重心が、前記複数のステージのうちの対応するステージについての前記被写体領域の幅の許容範囲及び前記被写体領域の重心の許容範囲に含まれる場合に、前記被写体領域の幅の時間変化の軌跡が前記メダルの幅の時間変化の軌跡と一致すると判定する、請求項5に記載のメダル識別方法。
【請求項1】
メダルが流下する通路を形成する筺体と、
前記通路の一部を撮影範囲とするラインセンサを有し、所定の撮影間隔ごとに当該撮影範囲の1次元画像を生成する撮像部と、
前記所定の撮影間隔ごとに撮影された複数の前記1次元画像のそれぞれから、前記通路内に投入された物体が写っている被写体領域を抽出して該被写体領域の幅を求め、前記複数の1次元画像にわたる該被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、前記メダルが前記通路を流下する際の複数の前記1次元画像上での該メダルの幅の時間変化の軌跡と一致する場合にメダルが投入されたと判定し、一方、前記被写体領域の幅の時間変化の軌跡が前記メダルの幅の時間変化の軌跡と一致しない場合に不正行為が行われたと判定する制御回路と、
を有するメダル識別装置。
【請求項2】
前記ラインセンサは、該ラインセンサの長手方向が前記メダルの流下方向と直交しないように配置され、
前記制御回路は、前記複数の1次元画像のそれぞれから抽出された前記被写体領域の重心を求め、前記複数の1次元画像にわたる前記被写体領域の重心の時間変化の軌跡が前記メダルが前記通路を流下する際の複数の前記1次元画像上での該メダルの重心の時間変化の軌跡と一致しなければ不正行為が行われたと判定する、請求項1に記載のメダル識別装置。
【請求項3】
メダルが前記撮影範囲を通り抜けるのに要する期間を前記所定の撮影間隔で区分した複数のステージごとに定められた、前記1次元画像上のメダルの幅が取り得る範囲である前記被写体領域の幅の許容範囲と前記1次元画像上のメダルの重心が取り得る範囲である前記被写体領域の重心の許容範囲とを記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御回路は、生成された時間順に並べた複数の前記1次元画像のそれぞれについての前記被写体領域の幅及び前記被写体領域の重心が、前記複数のステージのうちの対応するステージについての前記被写体領域の幅の許容範囲及び前記被写体領域の重心の許容範囲に含まれる場合に、前記被写体領域の幅の時間変化の軌跡が前記メダルの幅の時間変化の軌跡と一致すると判定する、請求項2に記載のメダル識別装置。
【請求項4】
メダルが流下する通路を形成する筺体と、前記通路の一部を撮影範囲とするラインセンサを有し、所定の撮影間隔で当該撮影範囲の一次元画像を生成する撮像部とを有するメダル識別装置における、メダル識別方法であって、
前記所定の撮影間隔ごとに撮影された複数の前記1次元画像のそれぞれから、前記通路内に投入された物体が写っている被写体領域を抽出して該被写体領域の幅を求めるステップと、
前記複数の1次元画像にわたる該被写体領域の幅の時間変化の軌跡が、前記メダルが前記通路を流下する際の複数の前記1次元画像上での該メダルの幅の時間変化の軌跡と一致するか否かを判定し、一致する場合にメダルが投入されたと判定し、一方、一致しない場合に不正行為が行われたと判定するステップと、
を含むメダル識別方法。
【請求項5】
前記ラインセンサは、該ラインセンサの長手方向が前記メダルの流下方向と直交しないように配置され、
前記複数の1次元画像のそれぞれから抽出された前記被写体領域の重心を求めるステップをさらに有し、
前記判定ステップは、前記複数の1次元画像にわたる前記被写体領域の重心の時間変化の軌跡が前記メダルが前記通路を流下する際の複数の1次元画像上での該メダルの重心の時間変化の軌跡と一致しなければ不正行為が行われたと判定する、請求項4に記載のメダル識別方法。
【請求項6】
前記メダル識別装置は、メダルが前記撮影範囲を通り抜けるのに要する期間を前記所定の撮影間隔で区分した複数のステージごとに定められた、前記1次元画像上のメダルの幅が取り得る範囲である前記被写体領域の幅の許容範囲と前記1次元画像上のメダルの重心が取り得る範囲である前記被写体領域の重心の許容範囲とを記憶する記憶部をさらに有し、
前記判定ステップは、生成された時間順に並べた複数の前記1次元画像のそれぞれについての前記被写体領域の幅及び前記被写体領域の重心が、前記複数のステージのうちの対応するステージについての前記被写体領域の幅の許容範囲及び前記被写体領域の重心の許容範囲に含まれる場合に、前記被写体領域の幅の時間変化の軌跡が前記メダルの幅の時間変化の軌跡と一致すると判定する、請求項5に記載のメダル識別方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−94590(P2013−94590A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242853(P2011−242853)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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