説明

メダル送出装置及びゲーム機

【課題】なるべく直接手を触れないで容易に素早くメダルを送出できるとともに、製造コストの低減された及び/又はメダルサイズに対する許容度が大きいメダル送出装置又はこれを備えるゲーム機を提供する。
【解決手段】滑動面12と、滑動面12に対して上方に向けて起立する境界壁により区画された移送面22と、メダルが通過可能な間隙が形成され、滑動面12及び移送面22を囲繞して起立する外周壁31と、滑動面上のメダルを駆動する回転体40と、ラッチ手段50が閉鎖状態となる方向にラッチ手段50を付勢する付勢手段56とを備え、滑動面の正回転方向側における境界壁は、正回転方向に向かうにつれて外周壁31への距離を漸減させつつ間隙に接近する軌跡を有しており、境界壁に沿って正回転方向に駆動される滑動面上のメダルがラッチ手段50に当接することで、ラッチ手段50が開放状態に移行してメダルが間隙から送出されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルを遊技媒体とするゲーム機に好適に使用されるメダル送出装置及び当該メダル送出装置を有するゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
メダルを遊技媒体とするゲーム機としては、ゲームフィールド内の適切な位置を狙ってメダルを投入するなどのゲームが行われ、そのゲームの結果に基づいてメダルが払い出されるもの(例えば、プッシャーゲーム機)や、ゲーム機へのメダル投入を契機として行われる抽選や遊技者によるボタン操作などに基づいてゲーム結果が決定され、そのゲーム結果に応じてメダルが払い出されるもの(例えば、スロットマシーンやポーカーゲーム機)など様々な種類のゲーム機が知られている。
【0003】
これらのゲーム機では、ゲーム機へのメダルの投入に細長いスリット状の投入口が使用されることが一般的であったが、スリット状の投入口に多数のメダルを素早く投入することは多くの遊技者にとって困難であり、ある程度の時間続けると手が疲れてしまう問題がある。また、メダルを手で摘んで投入することが必要なために、ゲームをするうちに手が黒く汚れてしまう問題があった。
【0004】
特許文献1,2には、上記問題に対処したメダル送出装置が開示されている。
【0005】
特許文献1のメダル送出装置は、ゲームフィールドにメダルを導くためのレール3と、レール3の基端部に取り付けられたメダルをストックできるストッカー7と、ストッカー7の側部に形成された誘導溝11と、誘導溝11とレール3とを連結するスライド面12とを有しており、誘導溝11内のメダルをスライド面12に向けてスライドさせるだけで投入ができるため、メダル投入の操作が容易であり、予め誘導溝11にメダルを整列させておけばメダルの連続投入も可能である。
【0006】
特許文献2のメダル送出装置は、メダルを貯留する貯留部20と、メダルが滑動できる滑動面42と、メダルが通過可能な間隙44が形成された円筒状の外周壁43と、複数のメダル孔51が形成され、メダル孔51から滑動面42に落下したメダルを外周壁43に向けて駆動する回転盤50と、外周壁43の間隙44まで駆動されたメダルを付勢して間隙44から送出するための付勢手段46bと、回転盤50を回転させるハンドル60とを備えており、ハンドル60によって回転盤50を回転させることで回転盤50の回転量に応じた枚数のメダルが間隙44からゲーム機に投入される。従って、メダル投入の操作性は一層向上し、連続的に素早くメダルを投入することが容易であり、投入速度を調整することも容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−065515号公報
【特許文献2】特開2008−043478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明者は、特許文献1,2が以下の課題を有することを見出した。
【0009】
特許文献1のメダル送出装置ではメダルを誘導溝11に整列させる操作が面倒である。また、直接手で触れてメダルを整列、スライドさせることが必要なため、ゲームをするうちに手が疲れたり、汚れたりする問題が完全には解消されていない。
【0010】
特許文献2のメダル送出装置では、スリット状の投入口が有していた各種問題は解消されているものの、メダルを外周壁に向けて駆動するための構造や、メダルに送出のための付勢力を与える構造が複雑であり、製造コストが高くなる。
【0011】
更に、ゲーム機に使用されるメダルはゲーム場毎にサイズが異なっているが、特許文献1,2のメダル送出装置はメダルサイズに対する許容度が小さく、メダルサイズに合わせてその構成や部品を調整又は交換することが必要である。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、下記のいずれか1以上の目的を達成するものである。
【0013】
すなわち本発明の目的は、なるべく直接手を触れないで及び/又は容易に及び/又は素早く及び/又は連続的にメダルを送出できるメダル送出装置であって、機構が簡略化され、及び/又は、低コストで製造することができるメダル送出装置又はこれを備えるゲーム機を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、なるべく直接手を触れないで及び/又は容易に及び/又は素早く及び/又は連続的にメダルを送出できるメダル送出装置であって、メダルのサイズに対する許容度が大きいメダル送出装置、及び/又は、構成や部品の調整又は交換をすることなくサイズの異なるより多くの種類のメダルを送出できるメダル送出装置又はこれを備えるゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明は上記問題を解決するものであり、
滑動面と、
前記滑動面に対して上方に向かって起立する境界壁により前記滑動面から区画された移送面と、
前記滑動面及び移送面を囲繞し、前記滑動面に対して上方に向かって起立するメダルが通過可能な間隙が形成された外周壁と、
前記外周壁の内側の前記境界壁の上方位置で回転可能であり、正回転方向に回転したときに前記滑動面上のメダルを前記正回転方向に駆動する正駆動部を有する回転体と、
前記回転体を回転させるための操作手段と、
前記間隙からのメダルの通過を阻止する閉鎖状態と、前記間隙からのメダルの通過を許容する開放状態の間での移行が可能なラッチ手段と、
前記ラッチ手段が前記閉鎖状態となる方向に前記ラッチ手段を付勢する付勢手段とを備えるメダル送出装置であって、
前記滑動面の前記正回転方向側における前記境界壁は、前記正回転方向に向かうにつれて前記外周壁への距離を漸減させつつ前記間隙に接近する軌跡を有しており、
前記正駆動部により前記境界壁に沿って前記正回転方向に駆動される前記滑動面上のメダルが前記ラッチ手段に当接することで、前記ラッチ手段が前記開放状態に移行してメダルが前記間隙から送出されることを特徴とするメダル送出装置(請求項1)、又は、これを備えるゲーム機(請求項8)である。
【0016】
かかる発明では、操作手段を用いて回転体を回転させるだけで回転体の回転量に応じた枚数のメダルを外周壁の間隙から送出することが可能である。従って、特許文献2のメダル送出装置と同程度にメダルの投入操作、及び/又は、素早いメダル投入、及び/又は、メダルの連続投入を容易化することが可能である。
【0017】
しかも、本願発明では、メダルの外周壁外方への駆動機能が、シンプルな構成の境界壁(所定の高さを有し、正回転方向に向かうにつれて外周壁への距離を漸減させつつ間隙に接近する軌跡を有する境界壁)によって達成されるため、回転盤の構造等が複雑となる特許文献2のメダル送出装置に比べて製造コストの低減、及び/又は、故障可能性の低減が達成される。同様の理由から、メダルサイズに対する許容度を大きくすることが可能であり、構成や部品の調整や交換等を行うことなく様々なサイズのメダルの送出が可能である。
【0018】
本発明の滑動面は、メダルを滑動(滑動面に対して概略水平な状態で移動すること)させることができる面を言い、本発明の移送面は、メダルを移動させることができる面を言う。
【0019】
本発明の外周壁は、回転体が回転した際にメダルが周囲に散らばってしまうことを防止するものであり、この目的が達成される範囲で外周壁の形状、高さ、滑動面に対する起立角度等は問わない。
【0020】
本発明の間隙は、外周壁に形成されたメダルが通過することが可能な空間、穴、孔、切欠等を意味する。
【0021】
本発明における正回転方向は、時計回り方向又は反時計回り方向を意味し、逆回転方向は、正回転方向の逆の回転方向を意味する。
【0022】
本発明の操作手段は、回転体を回転させるための任意の手段であり、ハンドルなどの人の力で回転体を回転させるものでもよく、モーターなどの動力で回転させるものでも良い。
【0023】
本発明のラッチ手段は、間隙からのメダルの通過を阻止する状態(閉鎖状態)と間隙からのメダルを許容する状態(開放状態)を取ることができ、その両状態間での移行(切り替え)をすることができる任意の手段であり、この目的が達成できる範囲で構造、メカニズム、形状、サイズ等は問わない。
【0024】
本発明の境界壁は、滑動面上を正駆動部により正回転方向に駆動されるメダルを移送面側に移動させずに、境界壁の軌跡に沿って外周壁の外方に向けて移動(滑動)させるためのものである。境界壁の高さは、移送面側への移動よりも、境界壁の軌跡に沿った移動の方が生じ易ければ足りるので、メダルの厚み(種々の厚みのメダルの使用が想定される場合には、最も薄いメダルの厚み)の30〜80%程度の高さが適切である。上記の目的が達成される限り、境界壁の高さが場所によって違っていても構わない。
【0025】
本発明のメダル送出装置は、ゲーム機へのメダル投入に好適に使用することができるものであるが、その用途はこれに限られるものではなく、例えば、メダルを計数するためのメダルカウンターなど、メダルを1枚ずつ又は連続的に送出することが必要又は好適な任意の装置又は用途に使用することができる。
【0026】
本願におけるメダルは、ある程度硬質の材料(金属、セラミックス、プラスチックなど)製で、ある厚みを持った平面視での外形が概略円形の物を言う。メダルは貨幣として使用可能かどうかを問わない。
【0027】
本発明では、前記回転体が、それぞれ異なる方向に伸びる複数の突起を有しており、隣接する前記突起と前記外周壁の間には少なくとも1枚のメダルを収容できる領域が形成され、前記突起のそれぞれが前記正駆動部を有すること(請求項2)が好ましい。
【0028】
かかる発明では、回転体が正回転方向に1回転する毎に送出されるメダル数を制御することが可能となる。すなわち、隣接する突起間にメダルが1枚だけ収容できる領域が形成されるように各突起の形状、間隔等を調整すれば、回転体が1回転する間に突起の個数(領域の個数)と同数のメダルが送出される。さらに、突起間の間隔を等間隔にすれば、回転体を等速で回転させることで等速度(等時間間隔)でメダルが送出されるメダル送出装置が実現できる。
【0029】
本発明では、前記ラッチ手段は前記閉鎖状態において前記間隙の少なくとも一部を閉鎖する端面を有しており、前記端面に、下方に向かうにつれて後退する傾斜が与えられていること(請求項3)が好ましい。
【0030】
かかる発明では、ラッチ手段に当接したメダルが端面の傾斜によって下方への付勢力を受けることになる。そのため、滑動面のメダルが境界壁を乗り越えて移送面に移動し難くすることができ、外周壁の間隙からのメダル送出の確実性を高めることができる。
【0031】
本発明では、前記ラッチ手段が、先端部と、前記境界壁又は前記境界壁の延長線と前記外周壁との交点よりも逆回転方向側の前記外周壁の外側位置で回動自在に軸支される基端部とを有する回動部材であり、前記閉鎖状態では、前記付勢手段の付勢力により前記ラッチ手段の前記先端部は前記交点に接近した位置に保持され、前記正駆動部により前記境界壁に沿って前記正回転方向に駆動されるメダルが前記ラッチ手段に当接したときの当接力により、前記先端部が前記交点から離間するように回動することで前記ラッチ手段は前記開放状態となり、メダルが前記外周壁の外側に出たときに前記付勢手段の付勢力により前記先端部が前記交点に接近する方向に前記ラッチ手段が回動する際に前記ラッチ部材を介して前記付勢手段の付勢力がメダルに作用してメダルが前記外周壁の外方に向けて送出されること(請求項4)が好ましい。
【0032】
かかる発明では、ある速度をもってメダルを外周壁の外部に送出するための付勢力を簡易な構成をもってメダルに与えることが可能となる。
【0033】
本発明では、前記回転体が、前記逆回転方向に回転したときに前記滑動面上のメダルを前記逆回転方向に駆動する逆駆動部を有し、前記滑動面の前記逆回転方向側における前記移送面との境界には、スロープが形成されていること(請求項5)が好ましい。
【0034】
かかる発明では、メダルを正逆両回転方向に駆動することができるため、メダル詰まりが生じた場合などにメダルを攪拌するなどが可能になる。
【0035】
また、滑動面の逆回転方向側における移送面との境界にはスロープが形成されているために、回転体を逆回転方向に回転させたときには、上記境界における滑動面から移送面へのメダル移行をスムーズにしてメダル詰まり等の不具合が生じ難くなる。
【0036】
本発明では、ベース部材と、ベース部材の上面の一部を覆うように取り付けられた薄板部材とを更に備え、前記薄板部材に覆われていない前記ベース部材の上面に前記滑動面が形成され、前記薄板部材の上面に前記移送面が形成されていること(請求項6)が好ましい。
【0037】
本発明のベース部材と薄板部材はともにシンプルな形状構成とすることが可能である。従って、前者に後者を取り付けるだけで滑動面及び移送面を形成できる本発明では、一層の製造容易化、低コスト化を達成することができる。
【0038】
本発明では、前記ベース部材にスリットが設けられ、前記薄板部材の前記正回転方向の端部に下方に折り曲げられた屈曲部が形成され、前記屈曲部が前記スリットに挿入されて前記薄板部材が前記ベース部材に取り付けられること(請求項7)が好ましい。
【0039】
かかる発明では、薄板部材の屈曲部をベース部材のスリットに挿入するだけでスロープを形成することが可能であるため、スロープの形成の容易化を達成できる。屈曲部のスリットへの挿入をベース部材と薄板部材の位置合わせに用いることで製造の一層の容易化を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係るメダル送出装置を示す説明図。
【0041】
【図2】メダル送出装置を分解して示す説明図。
【0042】
【図3】枠部材の裏面を示す説明図。
【0043】
【図4】ラッチ部材を拡大して示す説明図。
【0044】
【図5】メダル送出装置を平面視で示す説明図。
【0045】
【図6】メダル送出装置の動作説明図。
【0046】
【図7】メダル送出装置の動作説明図。
【0047】
【図8】本発明の他の実施形態に係るメダル送出装置を示す説明図。
【0048】
【図9】メダル送出装置の動作説明図。
【0049】
【図10】本発明の一実施形態に係るゲーム機を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、本発明の一実施形態に係るメダル送出装置1を示す説明図であり、図2はメダル送出装置1を分解して示す説明図である。
【0051】
図示のように、メダル送出装置1は、ベース部材10と、薄板部材20と、枠部材30と、回転体40と、ラッチ部材50と、回転軸60に取り付けられたハンドル61から構成されている。
【0052】
ベース部材10は、メダルが滑動できる上面11を有する部材である。本実施形態では、内部に種々の機構部品を収納可能とするために箱状のベース部材10が示されているが、メダルが滑動できる上面11を有する限りベース部材10の形状は任意である。
【0053】
ベース部材10の上面11には、回転軸60を挿通する軸孔13と細長いスリット14が形成されている。ベース部材10の側部には、メダル送出装置1から送出されるメダルを誘導するための軌道(レール)15が取り付けられている。
【0054】
なお、メダル送出装置1は、図1に示すように斜めに(上面11を水平から傾斜させて)設置される場合もあるので、本願明細書及び特許請求の範囲では「上」、「下」、「上方」、「下方」、「高さ」等は、上面11(又は滑動面12)を水平にしたときの上、下、上方、下方、高さ等の意味で用いている。
【0055】
薄板部材20は、円盤の一部を切り欠いた形状の全面に渡って均一な厚みを有する板状の部材であり、薄板部材20の上面21はメダルが滑動することが可能である。薄板部材20の中央には回転軸60を挿通する軸孔23が形成され、切り欠きにより生じた正回転方向(図2にXで示す回転方向)側の端面には、斜め下方に折り曲げられたフラップ24が形成されている。
【0056】
薄板部材20は、フラップ24の先端をスリット14に挿入してベース部材10の上面11上に取り付けられる。従って、薄板部材20の上面21は、ベース部材10の上面11よりも薄板部材20の厚み分だけ上方に位置することになる。
【0057】
枠部材30は、中央に薄板部材20と概略同径又はこれより若干大径の外周壁31が形成された部材である。図では円筒状の外周壁31が示されているが、回転体40が回転したときのメダルの滑動を阻害せず、メダルが四散することを防ぐことができる他の形状とすることができる。外周壁31の高さは、薄板部材20と回転体40の厚みの合計値と同じか又はそれ以上とすることができる。
【0058】
図3に示すように、枠部材30の下面32には、外周壁31の所定の角度範囲αの部分に向けて開放する所定高さの溝33が形成されている。枠部材30をベース部材10上に取り付けたときに溝33により形成される空間(ベース部材10の上面11と溝33の天井の間の空間)は、本発明の間隙33として機能する。
【0059】
間隙33の幅(角度範囲αで示される部分の長さ)は使用が想定されるメダルの直径よりも大きい寸法とすることが必要である。間隙33の高さは、メダルの厚みよりも若干大きくすることが好ましい。遊技場で使用される最も厚いメダルの厚みが2.3mmであることから、本実施形態では間隙33の高さは2.5mmとされている。
【0060】
上記開放部分(角度範囲αの部分)における回転体40の正回転方向側(図2にXで示す回転方向)の端部34から外方に向けて直線状の側壁35が形成されており、この側壁35は、外周壁31の内側から送出されたメダルを軌道15に誘導するためのガイドとして機能する。
【0061】
枠部材30上面の所定位置には、後述の付勢手段56を係止するための係止ピン37が立設されており、端部34から逆回転方向(図2にYで示す回転方向)に所定距離離間した外周壁31の外側の所定位置には、ラッチ部材50の回動軸54を軸支する軸孔38が穿孔されている。
【0062】
枠部材30は、軸孔13,23と外周壁31が概略同心となるようにベース部材10上に設置される。このとき、本実施形態では枠部材30の下面32とベース部材10の上面11は接触するが、メダルが通過できない程度であれば両者が部分的に又は全体的に離間していても構わない。
【0063】
回転体40は、中央部分41と、中央部分41から四方に伸びる4本の突起42とを有する板状部材であり、回転体40の中心から各突起42の先端までの長さは外周壁31の半径と概略同寸法かそれよりも若干短い寸法である。各突起42間の間隔は等間隔(90度間隔)とされており、隣接する2つの突起42と外周壁31の間には、概略U字状の領域43が形成される。領域43のサイズ、形状は、平置き状態(表裏面のいずれか一方の全体を滑動面12又は移送面22に接触させた状態)のメダルを1枚以上収容できる範囲で任意とすることができるが、本実施形態の領域43は、メダル1枚は収容できるがメダル2枚は収容できないサイズ、形状とされている。
【0064】
回転体40の中心には、回転軸60を挿通する軸孔44が形成されており、回転体40は、薄板部材20の上面21(境界壁25)から上方に僅かに離間した位置で回転可能に回転軸60に取り付けられる。
【0065】
各突起42の正回転方向側の側辺45は、回転体が正回転方向に回転した際にメダルを正回転方向に駆動する正駆動部として機能し、各突起42の逆回転方向側の側辺46は、回転体が逆回転方向に回転した際にメダルを逆回転方向に駆動する逆駆動部として機能する。側辺45は、メダルが境界壁25に当接した状態で正回転方向に駆動される際に、メダルが外周壁31の外方に向かう動きを阻害しないように、回転半径方向と概略平行、又は、それよりも逆回転方向側に傾斜していることが好ましい。
【0066】
ラッチ部材50は、基端部51から先端部52まで所定の長さを有し、外周壁31側の端面53が外周壁31と同程度の曲率で湾曲した細長い板状の部材である。ラッチ部材50の基端部51は回動軸54の周りに回動自在に軸支され、係止ピン37,55間に渡されたバネ等の付勢手段56により外周壁31の内側への付勢力が加えられるようになっている。また、ラッチ部材50の中程にはネジなどよりなる当接部材57が植設されており、端面53が外周壁31と概略一致したところ(閉鎖状態)で当接部材57が枠部材30の外壁に当接し、ラッチ部材50がそれ以上外周壁31の内側に回動できないようになっている。ラッチ部材50の長さは、ラッチ部材50が閉鎖状態になったときに、先端部52と間隙33の端部34の距離D(図5参照)が遊技場で使用される最も径の小さいメダルよりも小さくなる寸法に設定されている。従って、閉鎖状態ではメダルは間隙33を通過することができない。
【0067】
ラッチ部材50の端面53には、図4に示すように、下方に向かうにつれて後退する(外周壁31から離間する)傾斜が付与されている。
【0068】
図5には、ベース部材10に薄板部材20、枠部材30及びラッチ部材50が取り付けられた状態のメダル送出装置1が示されている。なお、図中48は、回転体40が回転したときに中央部分41(より正確には、回転体40の中心からの距離が最も短い部分47)が描く軌跡である。
【0069】
図において、ベース部材10の上面11のうち、軌跡48と外周壁31の間の部分であって、薄板部材20に覆われない部分が本発明の滑動面12として機能し、薄板部材20の上面21のうち、軌跡48の外側の部分が移送面22として機能する。
【0070】
そして、滑動面12と移送面22の境界には滑動面12に対して上方に向けて起立する境界壁25,26が形成される。滑動面12に対する境界壁25,26の高さは、ベース部材10と薄板部材20が完全に密着している場合は薄板部材20の厚みと同じであり、両者間に間隔がある場合は、薄板部材20の厚みとその間隔を合わせた高さとなる。
【0071】
滑動面12の正回転方向(X)側の境界壁25の高さは、回転体40の側辺45により正回転方向に駆動される滑動面12上のメダルが、境界壁25を移送面22側に乗り越えずに、境界壁25に沿って外周壁31の外方に向けて移動(滑動)し易くなる程度以上の高さとすることが好ましい。ただし、境界壁25の上方で回転する回転体40が滑動面12上のメダルに接触しなければならないため、境界壁25の高さはメダルの厚み以下にする必要がある。具体的には、境界壁25は、使用が想定されるメダルの厚みの30%〜80%の高さであることが好ましく、遊技場で使用される最も薄いメダルの厚みが1.6mmであることから、本実施形態の境界壁25の高さは1.0mmとされている。メダルが境界壁25を乗り越え難くするために、滑動面12に対する境界壁25の起立角度は100度以下(本実施形態では概略90度)とすることが好ましい。
【0072】
境界壁25は、正回転方向に向かうにつれて外周壁31への距離を漸減させつつ間隙33に接近する軌跡を有している。メダルを側壁35に沿ってより円滑に送出するためには、上記軌跡は、正回転方向に向かうにつれて間隙33の端部34に接近するものであり、端部34の近傍において境界壁25(軌跡)と側壁35が成す角度がなるべく小さい(例えば15度以下)ことが好ましい(図5の例では、境界壁25と側壁35の成す角度は概略0度(概略平行)である)。
【0073】
一方、滑動面12の逆回転方向(Y)側の境界壁26の途中には、斜め下方に折り曲げられてスリット14に挿入されたフラップ24によりなだらかなスロープが形成されている。境界壁26は境界壁25と同じ高さである必要はないが、本実施形態では、薄板部材20が均一な厚みを有しているため、両者は同じになっている。
【0074】
図6、7は、メダル送出装置1のメダル送出動作の説明図である。
【0075】
1枚のメダルMが外周壁31内側の空間に入っている状態でハンドル61を用いて回転体40を正回転方向に回転させると、いずれかのタイミングでメダルMは図6(A)のように回転体40のいずれかの領域43内に収容される。
【0076】
この状態から回転体40が回転していくと、メダルMは正駆動部である側辺45に駆動されて滑動面12に移動し(図6(B))、やがては境界壁25に当接する(図6(C))。
【0077】
以降は、メダルMは境界壁25を乗り越えられないため、境界壁25に沿って正回転方向に駆動されるが、境界壁25は、正回転方向に向かうにつれて外周壁31への距離が漸減する軌跡を有しているため、メダルMは外周壁31の外方に向けて移動(滑動)していき、ラッチ部材50の端面53に当接する(図6(D))。
【0078】
ラッチ部材50は、初期状態では端面53が外周壁31と面一の閉鎖状態にあるが、回転体40が図6(D)から更に回転すると、回転体40からの駆動力と境界壁25からの抗力により外周壁31外方に向かう合力がメダルMを介してラッチ部材50に作用する。メダルMは、この合力によってラッチ部材50を回動軸54の周りで外方に向けて回動させながら、間隙33から外周壁31の外側に移動していく(図7(A))。そして、ラッチ部材50の先端部52と間隙33の端部34の距離DがメダルMが通過可能となったところでラッチ部材50は開放状態となる(図7(B))。
【0079】
図6(D)〜図7(B)の過程では、ラッチ部材50の端面53には、下方に向けて後退する傾斜が与えられているため、メダルMは端面53から下方への(滑動面12に向けた)押圧力を受けることになり、メダルMが境界壁25を乗り越えて移送面22側に移動してしまう可能性が抑制される。
【0080】
更に回転体40が回転し、メダルMが完全に外周壁31の外側に押し出される(図7(C))と、外方への合力は失われ、ラッチ部材50は付勢手段56の付勢力により内方に向けて回動する。このときの付勢力がラッチ部材50の先端部52を介してメダルMに作用し、メダルMはある速度をもって側壁35に沿って軌道15に向けて送出される。
【0081】
外周壁31内側の空間に多数のメダルMを収容した状態で回転体40を正回転方向に回転させると、やがては4つの領域43のすべてに1枚のメダルMが収容された状態となる。各領域43のメダルMは上記と同様の過程に従って軌道15に向けて送出され、送出により空になった領域43には回転体40が回転する間に次のメダルMが収容される。従って、外周壁31内側の空間に十分な枚数のメダルMを収容し、突起部42の材質、形状、寸法等によってメダルMが容易に各領域43に収容されるようにしておけば、回転体40を1回転させる毎に4枚のメダルを送出することが可能である。
【0082】
このように、メダル送出装置1では、シンプルな構成の境界壁25(正回転方向に向かうにつれて外周壁31への距離を漸減させつつ間隙33に接近する軌跡の境界壁25)によってメダルMを外周壁31の外方に駆動する機能が達成されるため、製造コストの低減、故障可能性の低減等の効果が達成される。また、シンプルな構成のラッチ部材50及び付勢手段56によりメダルMをある速度で送出するための付勢力を付与することができるため、製造コストや故障可能性の一層の低減が達成される。
【0083】
更に、メダル送出装置1では、境界壁25の高さよりもある程度(例えば0.3mm)厚く、間隙33の高さよりもある程度(例えば、0.1mm)薄いメダルであれば送出可能であるため、境界壁25及び間隙33の高さを調整することでメダルの厚さに対する許容度を拡大することが可能である。例えば、境界壁25の高さを1.0mm、間隙33の高さを2.5mmとした本実施形態のメダル送出装置1では、厚さが概ね1.3〜2.4mmの範囲のメダルであれば使用可能である。また、ラッチ部材50の長さや回動可能角度などを適宜調整することで、メダルの径に対する許容度を拡大することも可能である。
【0084】
回転体40を逆回転方向に回転させると、領域43に収容されたメダルMは逆駆動部である側辺46により逆回転方向に駆動されるが、側辺46に駆動される滑動面12上のメダルMが境界壁26の位置に至ったときには、フラップ24により形成されるスロープにより円滑に境界壁26を乗り越えて移送面22に移動することができる。従って、メダル詰まりなどを生じることなく回転体40を逆回転方向に回転させることが可能である。
【0085】
このように、回転体40を逆回転方向にも回転させることができるため、メダル詰まりなどの際に回転体40を逆回転方向に回転させてメダルをかき混ぜるなどが可能である。また、そのような用法が意図されない場合であっても、ユーザーが誤って回転体40を逆回転方向に回転させたときに境界壁26でメダル詰まりを生じるなどの不都合を防止できる。
【0086】
図8は、本発明の他の実施形態に係るメダル送出装置2の構成を示す説明図である。
【0087】
メダル送出装置2は、メダル送出装置1と実質的に同構成のベース部材10,枠部材30,ラッチ部材50及び回転軸60と、メダル送出装置1とは異なる構成の薄板部材120,回転体140及びハンドル161を有している。
【0088】
薄板部材120は、正回転方向側の端面が薄板部材20よりも大きく切り欠かれた形状を有している。そのために境界壁126がメダル送出装置1の境界壁26よりも逆回転方向側に位置し、滑動面12はメダル送出装置1よりも広くなり、移送面122はメダル送出装置1よりも狭くなっている。他の構成(薄板部材120の厚さや境界壁125の高さ、軌跡など)はメダル送出装置1と同様である。
【0089】
回転体140は、回転軸60に回転可能に軸支された平面視概略矩形の板部材である。回転体140の長さ及び回転軸60への取付位置は、回転軸60の中心から回転体140の先端までの長さが外周壁31の半径と概略同じかそれよりも若干短くなるように設定されている。回転体140の正回転方向側の直線状の側辺145はメダルを正回転方向に駆動する正駆動部として機能し、逆回転方向側の直線状の側辺146は、メダルを逆回転方向に駆動する逆駆動部として機能する。このように、回転体140は、正駆動部及び逆駆動部がそれぞれ1つであり、直線状である点でメダル送出装置1の回転体40と相違する。
【0090】
ハンドル161は、回転体140の先端部付近に直付けされている点においてメダル送出装置1のハンドル61と相違する。
【0091】
図9は、メダル送出装置2のメダル送出動作を示す説明図である。
【0092】
多数のメダルMを外周壁31内に入れた状態でハンドル161を操作して回転体140を正回転方向に回転させると、図9(A)に示すように、何枚かのメダルM1(図では3枚)が滑動面12上で平置き状態になる。図9(A)では、滑動面12上にあるけれども、メダルM1に重なっているために平置き状態ではないメダルはM2で示されており、滑動面12上にないメダルはM3で示されている。
【0093】
この状態から回転体140を正回転方向に回転させると、一番手前のメダルM1が回転体140の側辺145に駆動され、他のメダルM1は玉突き式に駆動されて滑動面12上を正回転方向に移動し、やがては一番奥側のメダルM1が境界壁125に当接し、メダル送出装置1について説明した態様と同様の態様で境界壁125に沿って外方に移動し、ラッチ部材50を外方に回動させつつ、間隙33から外周壁31の外側に押し出されていき(図9(B))、その全体が外周壁31の外側に出たところでラッチ部材50が内方に回動するときの付勢力によりメダルM1は側壁35に沿ってある速度で送出される(図9(C))。
【0094】
更に回転体140が回転することで、手前側のメダルM1も同様にして次々に送出されていくが、平置き状態ではないメダルM2は容易に境界壁125を乗り越えるため、外周壁31外部に送出されることなく移送面122上に移動する。
【0095】
なお、回転体140の回転速度や滑動面12、移送面122の水平に対する傾斜角度、振動の有無などによっては、図9(A)の状態から図9(C)の状態に至る間に平置き状態でなかったメダルM2が滑動面上で平置き状態になることもあり得るが、そのような場合は、そのメダルM2はメダルM1について上記したと同様の態様で間隙33から送出される。
【0096】
同様に、図9(A)の状態から図9(C)の状態に至る間に平置き状態にあったメダルM1が他のメダルに乗り上げるなどで平置き状態でなくなることもあり得るが、そのような場合は、そのメダルM1はメダルM2について上記したと同様の態様で移送面122に移動する。
【0097】
更に回転体140を回転させて図9(A)から1回転したところでは、側辺145による駆動やメダル相互間の衝突によりメダルM2,M3の何枚かは滑動面12上で平置き状態となる。これらのメダルは回転体140が次の1回転をする間に上記と同様にして送出されていく。
【0098】
滑動面12上で平置き状態にすることができるメダルの最大数は、滑動面12の広さに応じて定まるが、本実施形態のメダル送出装置2では、回転体140を1回転させる毎に、その最大数以下の枚数のメダルが送出される。
【0099】
このように、メダル送出装置2では、より簡略化された構成をもってメダル送出装置1について上記したと同様の効果が達成される。従って、製造コストや故障可能性を一層低減することが可能である。
【0100】
図10は、本発明の1実施形態に係るメダル送出装置3を備えるゲーム機4を示す説明図である。
【0101】
図示のように、ゲーム機4は、不図示のプッシャー機構により前後方向に往復動するプッシャー81、多数のメダルが堆積するテーブル82、プッシャー81の往復動でテーブル82から押し出されるメダルを回収する回収路83などが形成されたゲームフィールド80と、遊技者による各種操作が行われる操作卓90とを有しており、操作卓90には、回収路83から払い出されるメダルを受ける受皿91などとともにメダル送出装置3が配置されている。
【0102】
本実施形態のメダル送出装置3は、ハンドル261の回転軸260が不図示のギアやプーリーなどにより回転体40,140の回転軸60に連結されており、ハンドル261を正逆回転方向に回転させることで回転体40,140を正逆回転方向に回転できるようになっている点、外周壁31の上部に下面開放の円錐台状のホッパー70が取り付けられて大量のメダルを収容できるようになっている点、ベース部材10や薄板部材20,120、枠部材30などが操作卓90の下に埋め込まれていて外部からは見え難くなっている点、間隙33から送出されたメダルが付勢手段56又は他の追加的な付勢手段(不図示)により付勢されてゲームフィールド80内に設置された射出口71から射出されるようになっている点を除いてメダル送出装置1又は2と同様の構成を有している。
【0103】
本実施形態のゲーム機4では、カップ92等に入れたメダルをホッパー70に流し込んでハンドル261を回転させることで、ハンドル261の回転速度(回転体40,140の回転速度)に応じた速度乃至時間間隔でメダル送出装置3からメダルが次々に送出され、送出されたメダルは射出口71からテーブル82めがけて射出される。
【0104】
また、プッシャー81の動作によりテーブル82から落下したメダルは回収路83から受皿91に払い出されるが、図示のように、傾斜した通路93によって受皿91とホッパー70の上縁を接続することで、受皿91に払い出されたメダルが自然に、或いは、手で流し込むことでホッパー70内に補填されるようにすることも可能であり、これにより、メダルに直接手を触れる必要性がより低減される。
【0105】
以上、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内において種々の変更、改変を行うことが可能である。
【0106】
例えば、上記実施形態では、それぞれ個別の部材であるベース部材、薄板部材、ガイドフレームから組み立てられるメダル送出装置を例として説明したが、これらの部材の任意の2つ又はすべてを単一の部材(成型品)で構成することも可能であり、これらの部材のいずれか又はすべてを複数の要素部材から構成することも可能である。
【0107】
また、上記実施形態では、境界壁25,125と境界壁26,126が同じ高さである場合を例として説明したが、境界壁26,126は境界壁25,125よりも低くても構わないし、形成されていなくても構わない。すなわち、上記実施形態では全面に渡って均一な厚さの薄板部材20,120を使用したが、例えば、境界壁25,125側で厚く、境界壁26,126に近づくにつれて薄くなる薄板部材20,120を使用すれば、境界壁26,126は低くする(又は実質的に境界壁26,126は無くす)ことが可能であり、この場合でもメダル送出装置の動作に特別の支障は生じない。
【0108】
また、上記実施形態では、移送面22が滑動面12の上方に位置する場合を例として説明したが、移送面22は滑動面12と同じ高さでも良いし、境界壁26,126における移送面22から滑動面12へのメダルの移動が円滑に行えるのなら移送面22は滑動面12の下方にあっても構わない。
【0109】
その他、上記実施形態におけるメダル送出装置又はゲーム機、或いは、これらを構成する部材の具体的な形状、寸法、材質、性状、組立方法、動作等は単に好ましい例として記載したものであり、本発明はこれらにより限定されない。
【符号の説明】
【0110】
1,2,3・・・メダル送出装置、4・・・ゲーム機、10・・・ベース部材、11・・・上面、12・・・滑動面、13・・・軸孔、14・・・スリット、15・・・軌道、20,120・・・薄板部材、21・・・上面、22,122・・・移送面、23・・・軸孔、24・・・フラップ、25,26,125,126・・・境界壁、30・・・枠部材、31・・・外周壁、32・・・下面、33・・・間隙(溝)、34・・・端部、35・・・側壁、37・・・係止ピン、38・・・軸孔、40,140・・・回転体、41・・・中央部分、42・・・突起、43・・・領域、44・・・軸孔、45,46,145,146・・・側辺、50・・・ラッチ部材、51・・・基端部、52・・・先端部、53・・・端面、54・・・回動軸、55・・・係止ピン、56・・・付勢手段、57・・・当接部材、60,260・・・回転軸、61,161,261・・・ハンドル、70・・・ホッパー、71・・・射出口、80・・・ゲームフィールド、81・・・プッシャー、82・・・テーブル、83・・・回収路、90・・・操作卓、91・・・受皿、92・・・カップ、93・・・通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑動面と、
前記滑動面に対して上方に向かって起立する境界壁により前記滑動面から区画された移送面と、
前記滑動面及び移送面を囲繞し、前記滑動面に対して上方に向かって起立するメダルが通過可能な間隙が形成された外周壁と、
前記外周壁の内側の前記境界壁の上方位置で回転可能であり、正回転方向に回転したときに前記滑動面上のメダルを前記正回転方向に駆動する正駆動部を有する回転体と、
前記回転体を回転させるための操作手段と、
前記間隙からのメダルの通過を阻止する閉鎖状態と、前記間隙からのメダルの通過を許容する開放状態の間での移行が可能なラッチ手段と、
前記ラッチ手段が前記閉鎖状態となる方向に前記ラッチ手段を付勢する付勢手段とを備えるメダル送出装置であって、
前記滑動面の前記正回転方向側における前記境界壁は、前記正回転方向に向かうにつれて前記外周壁への距離を漸減させつつ前記間隙に接近する軌跡を有しており、
前記正駆動部により前記境界壁に沿って前記正回転方向に駆動される前記滑動面上のメダルが前記ラッチ手段に当接することで、前記ラッチ手段が前記開放状態に移行してメダルが前記間隙から送出されることを特徴とするメダル送出装置。
【請求項2】
前記回転体が、それぞれ異なる方向に伸びる複数の突起を有しており、
隣接する前記突起と前記外周壁の間には少なくとも1枚のメダルを収容できる領域が形成され、
前記突起のそれぞれが前記正駆動部を有することを特徴とする請求項1に記載のメダル送出装置。
【請求項3】
前記ラッチ手段は前記閉鎖状態において前記間隙の少なくとも一部を閉鎖する端面を有しており、前記端面に、下方に向かうにつれて後退する傾斜が与えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のメダル送出装置。
【請求項4】
前記ラッチ手段が、
先端部と、前記境界壁又は前記境界壁の延長線と前記外周壁との交点よりも逆回転方向側の前記外周壁の外側位置で回動自在に軸支される基端部とを有する回動部材であり、
前記閉鎖状態では、前記付勢手段の付勢力により前記ラッチ手段の前記先端部は前記交点に接近した位置に保持され、
前記正駆動部により前記境界壁に沿って前記正回転方向に駆動されるメダルが前記ラッチ手段に当接したときの当接力により、前記先端部が前記交点から離間するように回動することで前記ラッチ手段は前記開放状態となり、
メダルが前記外周壁の外側に出たときに前記付勢手段の付勢力により前記先端部が前記交点に接近する方向に前記ラッチ手段が回動する際に前記ラッチ部材を介して前記付勢手段の付勢力がメダルに作用してメダルが前記外周壁の外方に向けて送出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のメダル送出装置。
【請求項5】
前記回転体が、前記逆回転方向に回転したときに前記滑動面上のメダルを前記逆回転方向に駆動する逆駆動部を有し、
前記滑動面の前記逆回転方向側における前記移送面との境界には、スロープが形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のメダル送出装置。
【請求項6】
ベース部材と、ベース部材の上面の一部を覆うように取り付けられた薄板部材とを更に備え、
前記薄板部材に覆われていない前記ベース部材の上面に前記滑動面が形成され、前記薄板部材の上面に前記移送面が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のメダル送出装置。
【請求項7】
前記ベース部材にスリットが設けられ、
前記薄板部材の前記正回転方向の端部に下方に折り曲げられた屈曲部が形成され、
前記屈曲部が前記スリットに挿入されて前記薄板部材が前記ベース部材に取り付けられることを特徴とする請求項6に記載のメダル送出装置。
【請求項8】
滑動面と、
前記滑動面に対して上方に向かって起立する境界壁により前記滑動面から区画された移送面と、
前記滑動面及び移送面を囲繞し、前記滑動面に対して上方に向かって起立するメダルが通過可能な間隙が形成された外周壁と、
前記外周壁の内側の前記境界壁の上方位置で回転可能であり、正回転方向に回転したときに前記滑動面上のメダルを前記正回転方向に駆動する正駆動部を有する回転体と、
前記回転体を回転させるための操作手段と、
前記間隙からのメダルの通過を阻止する閉鎖状態と、前記間隙からのメダルの通過を許容する開放状態の間での移行が可能なラッチ手段と、
前記ラッチ手段が前記閉鎖状態となる方向に前記ラッチ手段を付勢する付勢手段とを備えるメダル送出装置を有するゲーム機であって、
前記滑動面の前記正回転方向側における前記境界壁は、前記正回転方向に向かうにつれて前記外周壁への距離を漸減させつつ前記間隙に接近する軌跡を有しており、
前記正駆動部により前記境界壁に沿って前記正回転方向に駆動される前記滑動面上のメダルが前記ラッチ手段に当接することで、前記ラッチ手段が前記開放状態に移行してメダルが前記間隙から送出されることを特徴とするメダル送出装置を有するゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−92449(P2011−92449A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249730(P2009−249730)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】