説明

メダル遊戯装置のメダル払い出し装置

【課題】メダル遊戯の興趣が損なわれることのないよう、メダルフィールドへのメダル払い出し時における当該メダルの堆積状態の偏りを少なくする。
【解決手段】メダルフィールド40内にて移動しメダルを押し出す動作をするプッシャ50と、メダル搬送装置71から供給されたメダルをメダルフィールド40に案内し、プッシャ70の移動方向を横断する方向に整列させた状態を形成するメダルガイド72と、該メダルガイド72によって整列した状態のメダルを保持して貯留状態を形成するメダルストッパ73と、該メダルストッパ73またはメダルガイド72を駆動して貯留状態を解除するアクチュエータ74と、を備え、当該遊戯装置において所定の条件が成立した場合にメダルをメダルフィールド40に払い出す。メダルストッパ73が、案内部材75の一部に形成されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメダル遊戯装置のメダル払い出し装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、メダル払い出し装置の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
メダルを使う遊戯装置として、従来、プッシャを備えたメダル遊戯装置が知られている。このメダル遊戯装置は、当該装置へプレイヤ(遊戯者)がメダルを投入することにより、プッシャが往復動するフィールド(本明細書ではメダルフィールドという)にてプッシャに押圧されたメダルが当該メダルフィールドから落下し、落下したメダル(または落下したメダルに相当する枚数のメダル)がプレイヤに払い出されるように構成されている。
【0003】
また、メダルが所定領域を通過した場合や、メダル以外の付加価値遊戯部材(例えばボール)がメダルフィールドから落下した場合などに抽選処理を行い、所定役(例えば「当たり」役など)が当選した場合には抽選処理に基づく褒賞としてのメダルをメダルフィールド等に払い出すようにして遊戯の興趣性を高めている装置も知られている。所定役が当選した場合のメダル払い出しは、例えば、メダルホッパーなどと呼ばれる供給装置から直接的に、またはメダルフィールドを向いた特定のメダル払い出し用レールなどの通路を経由して、十枚ないし数十枚程度のメダルを順次払い出すことが一般的に行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−272429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようなメダル遊戯装置においては、メダルフィールド上の特定箇所に向けてメダルが払い出されることから、メダルの堆積状態に偏りが生じることがある。このようにメダルの堆積状態に偏りが生じると、褒賞として払い出された枚数の割に当該メダルフィールドから落下するメダル枚数(つまりはプレイヤの手元に払い出されるメダル枚数)が少なくなってしまい、この差が極端になるとプレイヤの期待感を大きく削いで遊戯の興趣性が失われかねない。
【0006】
そこで、本発明は、メダル遊戯の興趣が損なわれることのないよう、メダルフィールドへのメダル払い出し時における当該メダルの堆積状態の偏りを防ぐメダル遊戯装置のメダル払い出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討を行った。上述のごときメダル遊戯装置における一般的な抽選処理で、十枚ないし数十枚程度のメダルを払い出す「小当たり」などとも呼ばれる所定役が当選した場合、メダル払い出し用レールの末端からメダルを1枚ずつ連続して払い出すことが一般的に行われている。このような方式は、メダル払い出しのための機構が比較的単純で済み、また大きなスペースを要しないことから多く採用されているものの、メダル払い出し位置が一定である結果、メダルの堆積状態に偏りが生じやすいという面もある。この点、例えばメダル払い出し用レールを可動とすること等も考えられるが、機構が複雑になる割に効果はそれ程でもない。これらに基づき、特にメダルフィールドへのメダル払い出し時にメダル遊戯の興趣が損なわれることがないよう当該メダル払い出しの態様自体を見直してさらに検討を重ねた本発明者は、かかる課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。
【0008】
本発明はかかる知見に基づくものであり、プレイヤが当該装置の外部から当該装置内へメダルを投入して遊戯する遊戯装置において、複数のメダルが載置されるメダルフィールドにメダルを払い出すメダル払い出し装置であって、メダルフィールド内にて移動しメダルを押し出す動作をするプッシャと、メダル搬送装置から供給されたメダルをメダルフィールドに案内し、プッシャの移動方向を横断する方向に整列させた状態を形成するメダルガイドと、該メダルガイドによって整列した状態のメダルを保持して貯留状態を形成するメダルストッパと、該メダルストッパまたはメダルガイドを駆動して貯留状態を解除するアクチュエータと、を備え、当該遊戯装置において所定の条件が成立した場合にメダルをメダルフィールドに払い出す、というものである。
【0009】
かかるメダル遊戯装置のメダル払い出し装置においては、供給されたメダルはメダルガイドによりに案内され、メダルストッパにより、プッシャの移動方向を横断する方向に整列した状態で貯留される。メダルを払い出す場合(一例として、小当たり等の所定役が当選した場合)には、アクチュエータを駆動して貯留状態を解除すればこれら貯留されているメダルがメダルフィールドへ払い出される。貯留時、メダルはプッシャの移動方向を横断する方向に整列した状態で貯留されているため、これらメダルは当該プッシャの移動方向を横断する方向(例えば、メダルフィールドの幅方向)に関して均等に払い出される。
【0010】
この点、従来のメダル払い出し装置であれば、メダルの堆積状態に偏りが生じた結果として、プッシャが往復動しても押し出されてメダルフィールドから落下するメダル枚数つまりはプレイヤの手元に払い出されるメダル枚数が少なくなる場合が起こり得たが、本発明にかかるメダル払い出し装置によれば、偏りがないよう貯留メダルが均等に払い出されるため、プッシャの往復動時、プレイヤの期待に見合う枚数のメダルがメダルフィールドから落下する可能性が高い。このことから、本発明にかかるメダル払い出し装置によれば、特にメダルフィールドへのメダル払い出し時における興趣性が損なわれるのを回避することができる。
【0011】
また、上述のメダル払い出し装置は、貯留状態が解除されたメダルを、貯留状態における整列した状態を保つようにメダルフィールドに案内する案内部材を備えることが好ましい。
【0012】
また、メダルストッパが、案内部材の一部に形成されていることも好ましい。かかるメダルストッパは、メダルガイドによって案内されたメダルの一部(例えば下部)を保持して貯留状態とする。
【0013】
この案内部材はメダルガイドの両側が対称に形成された形状であり、当該メダルガイドおよび案内部材を挟んで配置された異なるメダルフィールドに対して選択的にメダルを払い出すものであることが好ましい。このような構成のメダル払い出し装置は、メダルガイド等を挟んで配置された異なる遊戯フィールドに共通の装置として機能することができる。
【0014】
また、案内部材は、支点を中心にして異なるメダルフィールドの一方または他方に向けてメダルの貯留状態が解除される状態まで傾動可能であることが好ましい。または、案内部材が、メダルフィールドの一方または他方に向けてメダルの貯留状態が解除される状態まで移動可能であることも好ましい。
【0015】
さらに、メダルガイドは、当該メダルガイドによって案内されるメダルの一部をプレイヤが視認可能な隙間を有していることも好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メダルフィールドへ払い出したメダルの堆積状態の偏りを防ぐメダル払い出し装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲーム装置の模式的斜視図である。
【図2】図1に示すゲーム装置を矢印Aの方向からみたときの模式的正面図である。
【図3】図1に示すゲーム装置を矢印Bの方向からみたときの模式的側面図である。
【図4】図1に示すゲーム装置を矢印Cの方向からみたときの模式的平面図である。
【図5】図4の平面図においてゲーム装置の天板を外した状態を示す模式的平面図である。
【図6】本発明にかかる小当たりメカ(メダル払い出し装置)の構成例を示す斜視図である。
【図7】図6に示す小当たりメカのメダルガイドやアクチュエータ等の構成をより詳細に示す斜視図である。
【図8】図6および図7に示す面とは逆側からみた小当たりメカの図(背面図)である。
【図9】メダルホッパー(メダル搬送装置)側からみた小当たりメカの図(側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0019】
(全体構成)
図1〜図5は、一実施形態に係るゲーム装置1を示す図である。図1はゲーム装置1の模式的斜視図、図2は図1に示すゲーム装置1を矢印Aの方向からみたときの模式的正面図、図3は図1に示すゲーム装置を矢印Bの方向からみたときの模式的側面図である。また、図4は図1に示すゲーム装置を矢印Cの方向からみたときの模式的平面図であり、図5は図4の平面図においてゲーム装置1の天板を外した状態を示す模式的平面図である。なお、図1〜図5には、以下の説明で方向や平面を便宜的に規定する3次元(XYZ)座標系を設定しており、例えば、Z軸は鉛直方向、X軸はゲーム装置1の幅方向、Y軸はゲーム装置1の奥行き方向をそれぞれ表わしている。
【0020】
図1〜5に示すゲーム装置1は、例示的に、直方体形状の筐体10と、筐体10の周囲に設けられた1又は複数(例示的に4つ)のいわゆるサテライト(プレイヤが遊戯を実行する端末装置のことで、以下、「プレイヤステーション」という)20とを備える。プレイヤは、プレイヤステーション20に対面してゲーム装置1が提供するゲームを楽しむことができる。
【0021】
ゲーム装置1には、1又は複数の照明装置(電飾)や1又は複数の音声出力装置(例えばスピーカ)等の演出装置を適宜に設けることができ、これらの演出装置によって光や音声、音楽等による演出を実施することも可能である。図1〜図5には、4つのプレイヤステーション20に対応して4つのスピーカ30をゲーム装置1の天板12に設けた様子を例示している。
【0022】
筐体10は、例示的に、ベース筐体部分10aとカバー筐体部分10bとに分けることができる(図2参照)。ベース筐体部分10aには、プレイヤが対面してゲーム操作に用いられるコンソールパネル22、コンソールパネル22に付設されたボタン装置23等を適宜に設けることができる。コンソールパネル22及びボタン装置23は、後述のメダル投入装置21とともにプレイヤステーション20の一例を成す。
【0023】
ベース筐体部分10aの内部には、ゲーム装置1の動作(ゲームの進行等)を制御するゲーム制御装置(CPUやメモリ等)を設けることができる。コンソールパネル22及びボタン装置23の組は、例示的に、ベース筐体部分10aを成す4つの側壁のうちゲーム装置1の奥行き方向(Y軸方向)に対向する2つの側壁のそれぞれに幅方向(X軸方向)に所定の間隔を空けて2つずつ(計4つ)設けることができる。
【0024】
カバー筺体部分10bは、例示的に、4つの側壁11−1,11−2,11−3,11−4と、ゲーム装置1の屋根を成す天板12とを備える。カバー筐体部分10bの内側に、ゲーム装置1のゲーム空間(プレイヤによって遊戯内容が視認されうる部分)が形成される。コンソールパネル22の上方に位置するカバー筐体部分10b(対向する側壁11−1及び11−3)には、1又は複数のメダル投入装置21を設けることができる。
【0025】
メダル投入装置21は、プレイヤがゲーム装置1内部のゲーム空間へメダルを投入するのに用いられる。図1〜図5には、対向する側壁11−1及び11−3のそれぞれに4台(計8台)のメダル投入装置21が設けられた様子を例示している。メダル投入装置21は、カバー筐体部分10bの所定領域、例えばプレイヤが椅子(図示省略)に座った状態(あるいはプレイヤが立った状態でもよい)で操作しやすい位置に、所定の固定部材を用いて固定することができる。
【0026】
4つの側壁11−i(i=1〜4のいずれか)のうち、メダル投入装置21が設けられた側壁11−1及び11−3には、内部のゲーム空間を外部から視認できるように、それぞれガラスやアクリル、ポリカーボネート等の、可視光線を透過する透明部材を用いることができる。図1及び図2においては、例示的に、横方向(X軸方向)のスライド動作により開閉可能な2枚のガラス(又はアクリル)板111が所定の窓枠に取り付けられた様子を示している。
【0027】
図1及び図2に例示するように、透明部材、例えばガラス(又はアクリル)板111は、メダル投入装置21の固定部材を除いた周囲領域(例えば、X軸方向に隣接するメダル投入装置21−21間)にも適用することができる。これにより、側壁11−1及び11−3における透明領域の面積を増やすことができ、メダル投入装置21近傍のゲーム空間の視認性を向上することができる。
【0028】
メダル投入装置21の設けられていない残りの側壁11−2及び11−4の一部又は全部には、ハーフミラー等の可視光線の一部を反射し一部を透過する板状の部材(以下、「板状ビームスプリッター」ともいう。)を用いることができる。図1及び図3においては、例示的に、側壁11−2及び11−4のそれぞれに2枚のハーフミラー112が取り付けられた様子を示している。なお、ハーフミラー112は、ガラス(又はアクリル)板にハーフミラーフィルムを貼り付けたものでもよい。
【0029】
ゲーム装置1の内部のゲーム空間よりも当該ゲーム装置1の設置場所の照明が相対的に暗ければ、ハーフミラー112は、明るい側(ゲーム空間)からの光を透過する。したがって、ゲーム装置1の外側に位置する人は、側壁11−2及び11−4を通してそれぞれ内部のゲーム空間を視認することができる。
【0030】
逆に、暗い側(ゲーム装置1外部)からゲーム空間へは逆方向と比べて相対的に弱い光がハーフミラー112を透過する。したがって、ゲーム空間内の光の反射が優位になるから、側壁11−1又は11−3を成すガラス板111を通してゲーム空間を視認する者にとって、側壁11−2及び11−4を成すハーフミラー112はゲーム空間を映す鏡として機能する。その結果、ゲーム空間の照明度や空間的な広がり感を向上させることができる。また、プレイヤは、ゲーム装置1の反対側(平面視において対面あるいは対角線上)に位置する他のプレイヤステーション20に対応するゲーム空間の様子をハーフミラー112の反射により視認することも容易となる。
【0031】
カバー筐体部分10bが成すゲーム空間は、プレイヤステーション20の数に対応して空間的、仮想的に区画することができ、各区画のそれぞれには、メダルプッシャゲームを実施する種々の機構や装飾(電飾やゲーム空間を仮想的に広く見せるミラー等)を設けることができる。
【0032】
例示的に、ゲーム空間は図5に示すように平面視において4区画に分けることができ、各区画に対応するベース筐体部分10aのそれぞれに、メダルが載置されるメダルフィールド40(40−1〜40−4)と、当該メダルフィールド40上を例えばゲーム装置1の奥行き方向(Y軸方向)に往復動(スライド)可能なプレート状のプッシャ50とを設けることができる。
【0033】
なお、各区画は隣接する区画に対して互いに対称な構成とすることができる。例えば、ゲーム装置1のゲーム空間は、側壁11−1側から見た場合と反対側の側壁11−3側から見た場合とで同じ空間に見えるように構成することができ、また、側壁11−2側から見た場合と反対側の側壁11−4側から見た場合についても同じ空間に見えるように構成することができる。図1及び図2においては、ゲーム装置1内のゲーム空間の様子を把握し易いように構成の一部の図示を省略しており、そのため非対称に見える部分が存在する。
【0034】
プッシャ50は、例示的に、メダルフィールド40に対する立壁面となる端面51(図5参照)を有し、当該端面51にてメダルフィールド40に置かれているメダルを前記往復動により押し出し、当該メダルフィールド40の手前側端部に位置するメダルから順次落下させることができる。
【0035】
また、プッシャ50の上面もメダルが堆積可能となっており、投入されたメダル、あるいは例えば後述するメダル払い出し装置70によって払い出されたメダルは、まず、この上面に落下するように案内される。プッシャ50の上面に落下したメダルは、プッシャ50の往復動に伴って移動し、メダル払い出し装置70の下端部に接触することで、プッシャ50に対して相対的に前方へ移動する。新たに投入されたメダルが前方に移動する際に、上面に堆積しているメダルに押圧力が加わり、端面51の手前にメダルが落ちる。なお、往復動することにより、メダルフィールド40に置かれているメダルを押し出し順次落下させるというプッシャ50の機能に照らせば、当該プッシャ50の上面もメダルフィールド40の一部に含めて差し支えない。
【0036】
プッシャ50の往復動は、例えば、モーターの回転運動を所定ストローク量の直線(往復)運動に変換するクランク機構等を用いて実現することができる。図示を省略した既述のゲーム制御装置は、周期的又は間欠的なタイミングでプッシャ50を作動させることができる。なお、プッシャ50の往復動は、ソレノイドなどのアクチュエータや駆動源を用いて実現してもよい。
【0037】
プッシャ50は、対面するプレイヤステーション20に対応する2つのメダルフィールド40に共通化することができる。例えば、プッシャ50の形状を、平面視においてY軸方向両端に2つの端面51を有する矩形状とし、一方の端面51でメダルフィールド40−1(又は40−3)に置かれたメダルを押し、他方の端面51でメダルフィールド40−4(又は40−2)に置かれたメダルを押すことができるようにしてもよい。
【0038】
メダルフィールド40に例えば堆積した状態等で存在するメダル数が多くなると、プッシャ50の往復動に応じてプッシャ50の端面51から干渉(押圧力)を受けるメダル数が確率的に増える。メダルに押圧力が加わり、その押圧力が他のメダルに伝播することで、1又は複数のメダルを例えばメダルフィールド40と側壁11−1(11−3)との間に設けられた溝状の隙間(落下溝)60(図5参照)へ落下させることができる。落下溝60に落下したメダル(または当該落下したメダル数と同数の払い出し用メダル)は、ベース筐体部分10aに設けられたペイアウト装置(図示省略)及びメダル払い出し口(図示省略)を通じてプレイヤに払い出すことができる。
【0039】
したがって、プレイヤは、できるだけプッシャ50の端面51近傍にメダルが投入、配置されるよう、メダルフィールド40へのメダル投入位置を調整するとよい。メダル投入位置は、メダル投入装置21の水平面(XY平面)内の向きを操作することで調整可能である。メダルフィールド40に対するメダル投入位置が良ければ、プレイヤは、投入したメダル数以上の枚数のメダルを獲得可能である。
【0040】
なお、1つのメダルフィールド40につき複数のメダル投入装置21を設けることで、複数プレイヤが同じメダルフィールド40に対してメダルを投入してメダルプッシャゲームを楽しむことができる。図1〜図5に例示するゲーム装置1では、1つのメダルフィールド40につき2台のメダル投入装置21が設けられているから、4箇所のメダルフィールド40−1〜40−4でそれぞれ2人ずつ(最大8人)のプレイヤが同時にメダルプッシャゲームを実施可能である。なお、1人のプレイヤが2台のメダル投入装置21を操作してもよい。
【0041】
メダル投入装置21は、図5中に示すように、例示的に、メダル投入口(図示省略)を有するメダル投入部210と、前記メダル投入口に連通するとともに、メダルフィールド40に向けて延在し、かつ、鉛直下方に向かって傾斜するメダルスロープ(メダル通路)211とを備える。
【0042】
メダルスロープ211は、メダル1枚分が通過可能な厚さのスリットを有し、かつ、メダルの転がり移動を可能とするガイドレールを有する。メダル投入口に投入されたメダルは、当該ガイドレールを自重によってメダルフィールド40に向けて転がり落ちて、ガイドレールの先端(終端)部(以下、「メダル放出口」ともいう。)からメダルフィールド40に放出される。
【0043】
メダル放出口の向きは、水平面内において所定の角度範囲で変更できる。例えば、メダルスロープの途中に、プレイヤの操作に応じて水平面内で回動可能な1又は複数の可動部(関節部)212(図5参照)を設けることができる。当該可動部212を通じて、プレイヤは、メダル放出口の水平面内における向きを適宜に変更することで、メダルがメダルフィールド40に落下する位置を調整することができる。なお、代替的あるいは付加的に、メダル投入装置21の側壁11−1(11−3)への取り付け部分を、水平方向に回動可能な構造として、メダル放出口の向きを調節可能としてもよい。
【0044】
ゲーム空間には、各区画の一部又は全部に共通のゲーム演出装置を1又は複数設けることができる。第1のゲーム演出装置の一例は、メダルフィールド40に複数(例えば10枚)のメダルを一度に払い出し可能なメダル払い出し装置(以下、「小当たりメカ」ともいう)であり、例えばプッシャ50の上方で図5の平面視において符号70で示す位置に設けることができる。なお、以下、当該装置を「メダル払い出し装置70」と表記する。メダル払い出し装置70は、平面視においてゲーム装置1の奥行き方向(Y軸方向)に隣接する2つのメダルフィールド40に共通とすることができる。
【0045】
この場合、メダル払い出し装置70は、ゲーム制御装置(図示省略)の制御の下、Y軸方向に隣接する2つのメダルフィールド40の一方に対して選択的に複数メダルを一度に払い出すことができる。
【0046】
例えば、ゲーム制御装置において、ゲーム装置1の奥行き方向(Y軸方向)に対面するプレイヤステーション20の一方に抽選等による所定のゲーム条件が成立した場合に、メダル払い出し装置70は、当該ゲーム制御装置の制御を受けて、ゲーム条件の成立したプレイヤステーション20に対応するメダルフィールド40に、成立したゲーム条件に応じた所定枚数のメダルを一度に払い出すことができる。所定のゲーム条件とは、例えば、抽選結果として「小当たり」等と呼ばれる通常的な役が当選した場合などである。この場合、例えば数枚〜数十枚程度のメダルが配当として払い出される。
【0047】
メダル払い出し装置70へのメダルの供給及び補充は、例示的に、メダルホッパーと称される(第1の)メダル搬送装置71によって行なうことができる。メダル搬送装置71は、例えばベース筐体部分10aの底部からゲーム空間内に設置されたメダル払い出し装置70へ延在するメダル搬送路(メダルガイド)72にメダルを補充する。
【0048】
落下溝60以外の隙間や孔部からベース筐体部分10a内に落下しプレイヤに払い出されなかったメダル(払い出しの対象とならなかったメダル)は、図示を省略したメダル回収装置によって回収された後、メダル搬送装置71により搬送され、メダル払い出し装置70のメダルガイド72へ導入される。
【0049】
メダルガイド72は、例示的に、メダル1枚分が通過可能な厚さのスリット通路を有し、当該スリット通路においてメダルを1枚ずつ一列に整列させることができる。メダルガイド72は、例示的に、側壁11−2(11−4)の幅方向(Y軸方向)中心近傍のゲーム空間に、高さ方向(Z軸方向)に沿って設けることができる。
【0050】
第2のゲーム演出装置の一例は、ベース筐体部分10a上のゲーム空間の中央付近に設けられたセンターユニット80である。センターユニット80には、例示的に、水平面(XY平面)内で回転可能なターンテーブル81や、液晶ディスプレイ等の表示装置82を適宜に設けることができる。表示装置82には、ゲーム制御装置からの制御を受けてゲーム内容の説明等を適宜に表示させることができる。
【0051】
ターンテーブル81は、例えばモーターやギアを用いた回転駆動機構(図示省略)によって駆動することができる。当該回転駆動機構は、ゲーム制御装置からの制御を受けて、ターンテーブル81の回転方向や回転速度等を制御することが可能である。
【0052】
ターンテーブル81の露出面(例えば平面視においてドーナツ状のフィールド)には、メダルが載置される。以下、当該フィールドを「メダルフィールド81」と称する。メダルフィールド81には、例えばセンターユニット80に設けられたメダル供給装置(図示省略)からメダルが供給される。
【0053】
当該メダル供給装置へのメダルの供給及び補充は、(第2の)メダル搬送装置84(図1及び図2参照)によって行なうことができる。メダル搬送装置84は、例えばベース筐体部分10aの内部から天板12を経由してセンターユニット80へ延在するメダルガイド85を有する。メダルガイド85には、例えば既述のメダル回収装置によって回収されたメダルが導入される。
【0054】
メダルガイド85は、例示的に、メダル1枚分が通過可能な厚さのスリット通路を有し、当該スリット通路をメダルが一枚ずつ後続のメダルに押されながらセンターユニット80に設けられたメダル供給装置へ移動してゆく。
【0055】
メダルガイド85は、例示的に、側壁11−2(11−4)及び天板12の幅方向(Y軸方向)中心近傍のゲーム空間に、側壁11−2(11−4)及び天板12の長手方向の中心線に沿って設けることができる。メダルガイド85のスリット通路は、メダル払い出し装置70に至るメダルガイド72のスリット通路と部分的に共用されていてもよい。
【0056】
メダル搬送装置84(メダルガイド85)は、両側壁11−2及び11−4側にそれぞれ設けてもよい。この場合、センターユニット80、ひいてはメダルフィールド81への単位時間あたりの供給メダル数(メダル供給能力)を、片側1台の場合よりも増やすことが可能である。
【0057】
センターユニット80は、当該センターユニット80のメダルフィールド(以下、「共通フィールド」ともいう。)81から落下したメダルがメダルフィールド(以下、「個別フィールド」ともいう。)40のいずれかに落下しうるように、各プレイヤステーション20に対応するメダルフィールド40に連係した状態で配置することができる。
【0058】
共通フィールド81上には、例示的に、共通フィールド81とともに回転し、当該共通フィールド81の径方向(共通フィールド81上でフィールド中心からフィールド外周に向かう方向及びその逆の方向)に往復動(スライド)可能なプレート(プッシャ)83を設けることができる(図1及び図5参照)。
【0059】
プッシャ83は、共通フィールド(メダルフィールド)81に対する立壁面となる端面、例えば円弧状の端面を有するように形成することができる。当該円弧状の端面によって、共通フィールド81に置かれているメダルを前記往復動により共通フィールド81から落下するように押すことができる。プッシャ83から直接あるいは間接的に押圧力を受けて共通フィールド81から押し出されたメダルは、個別フィールド40のいずれかに落下し得る。
【0060】
プッシャ83の往復動も、例えば、モーターの回転運動を所定ストローク量の直線(往復)運動に変換するクランク機構や、ソレノイドなどのアクチュエータ、あるいは駆動源等を用いて実現することができる。ただし、プッシャ83の往復動は、当該プッシャ83の操作権限が与えられたプレイヤステーション20から制御可能とすることができる。
【0061】
プッシャ83の操作権限は、例えば、ゲーム制御装置において所定の抽選等によって特定のゲーム条件が成立したプレイヤステーション20に与えられるものとすることができる。操作権限を与えられたプレイヤステーション20では、例えばボタン装置23を操作(例えば押下)することでゲーム制御装置にプッシャ操作信号を与えてプッシャ83を作動させることができる。操作権限が与えられた状態であるか否かは、例えばゲーム制御装置がボタン装置23の照明制御(点灯、点滅等)を行なうことによって表示することができる。
【0062】
プレイヤは、ボタン装置23の操作権限が与えられたことを認識すると、当該操作権限が与えられたプレイヤの方を向いて静止したプッシャ83の押し出し方向がプレイ中の個別フィールド40に向かう方向となる角度範囲にある任意のタイミングで、ボタン装置23を操作することができる。ターンテーブル81は回転し続けており、プレイヤは、ターンテーブル81上のメダルやボールが移動して行くのを見ながら、狙ったメダルやボールを落とす目的でタイミングを図って当該ボタン装置23を適時に操作すると、プレイ中の個別フィールド40に向かう方向にプッシャ83の端面が押し出されて、共通フィールド81から当該個別フィールド40にメダルを落下させることができる。なお、プッシャ83の操作権限は所定時間、あるいは共通フィールド81の所定周回数だけ有効な設定にすることができる。
【0063】
以上のようなメダルプッシャゲームを実施可能なゲーム装置1では、ボールやカプセル等の、メダルとは異なる部材(オブジェクト)を遊戯の興趣性をより高める遊戯価値部材として追加的にメダルフィールド40又は81に供給できるようにしてもよい。ボールやカプセル等は、興趣性のより高いゲームを演出する遊戯価値部材の一例であり、例えば、メダルフィールド40又は81に供給されたボールが、1又は複数のメダルとともに所定の落下溝(前記メダルの落下溝60と共通でもよいし異なってもよい)に移動すると当該落下溝から落下する。
【0064】
当該ボールの落下を光センサ等で検出したゲーム装置1(ゲーム制御装置)は、所定の抽選を実施する。当該抽選の結果、小当たり等の役が当選すると、ゲーム装置1(ゲーム制御装置)は、メダル払い出し装置70によって、メダルを当選プレイヤに対応する個別フィールド40に供給する。
【0065】
ボールは、当選の種類(配当等)に応じて複数種類用意することができ、例えば、当選の種類に応じてボールの色やサイズ(径)を異ならせることができる。したがって、ゲーム制御装置において、ボール径が大きいほど当選時にメダル供給装置から個別フィールド40に放出するメダル数を多くするような設定も可能である。
【0066】
このようなボールを用いた演出を可能とするゲーム装置1には、例えば落下溝60からベース筐体部分10aの内部に落下したボールを回収してゲーム空間の所定領域(例えば、メダルフィールド40又は81)に再供給するボール循環装置90(図1〜図3参照)を設けることができる。
【0067】
ボール循環装置90には、例えば、メダルフィールド40又は81にボールを案内するボールスロープ91(図1参照)と、落下溝60から落下したボールを回収して当該ボールスロープ91の開始端(入口)へ搬送する搬送装置92(図1〜図3参照)とを備えることができる。
【0068】
例示的に、前記ボールスロープ91の入口(以下、「スロープ入口」ともいう。)は、メダルフィールド40及び81よりも鉛直上方に設けることができ、搬送装置92は、搬送方向が鉛直方向となるようにベース筐体部分10a内からゲーム空間へ突出して設置されて、回収したボールを前記スロープ入口に搬送(揚送)する。
【0069】
搬送装置92は、ゲーム装置1において1又は複数設けることができる。例えば、各メダルフィールド40別に搬送装置92をそれぞれ設けることもできる。この場合、各搬送装置92は、例示的に、平面視における側壁11−2及び11−4の中央近傍の空間に、隣接して配置することができる(図1及び図3参照)。
【0070】
搬送装置92には、例示的に、スクリューコンベヤを用いることができる。本例のスクリューコンベヤ92は、ゲーム空間で用いられる異なる径のボールを搬送物の一例として同じ搬送経路で搬送可能である。したがって、異なるボール径に個別のスクリューコンベヤあるいは個別の搬送経路を設けずに済み、ゲーム装置1の規模(設置スペース)やコスト等の低減化を図ることができる。
【0071】
(メダル払い出し装置70)
図6等に、本例の小当たりメカ(メダル払い出し装置)70の構成例を示す。ゲーム装置1の小当たりメカ70は、メダルフィールド40(40−1〜40−4)に対してメダル(図7と図8において符号Mで示す)を払い出すための装置として構成されている(図6等参照)。このような小当たりメカ70の構成は特に限定されるものではないが、例えば本実施形態の小当たりメカ70は、メダルガイド72と、メダルストッパ73と、アクチュエータ74とを少なくとも備え、当該ゲーム装置1において所定の条件が成立した場合にメダルMをメダルフィールド40に払い出す装置として構成されている。メダルガイド72、アクチュエータ74等は、支持フレーム724,725、基台726に支持されている(図6、図7参照)。
【0072】
このような小当たりメカ70は、対向するメダルフィールド40間の共用の装置として形成されていることも好ましい。上述したように、一例として4つのプレイヤステーション(いわゆるサテライト)20が、2つずつ対向するように配置されている本実施形態のゲーム装置1においては、対向するプレイヤステーションどうしの間に共通のメダル払い出し装置として小当たりメカ70が1つずつ配置されている(図5等参照)。具体的には、プレイヤステーション20のメダルフィールド40−1と、該プレイヤステーション20に対向するプレイヤステーション20のメダルフィールド40−4との間に第1の小当たりメカ70が設けられ、これらとは別のプレイヤステーション20のメダルフィールド40−2と、該プレイヤステーション20に対向するプレイヤステーション20のメダルフィールド40−3との間に第2の小当たりメカ70が設けられている。
【0073】
メダルガイド72は、メダルホッパー(メダル搬送装置)71から供給されたメダルMを、プッシャ50の往復動方向を横断する方向(本実施形態の場合、メダルフィールド40の幅方向に一致)に沿ってセンターユニット80のある側へ向けて案内して整列した状態を形成する部材である(図7等参照)。例えば本実施形態では、このようなメダルガイド72を、メダルMの厚みよりも僅かに広い間隔を有するように配置された一対の対称形状の板状レール(ホッパーレール)721で構成している(図9等参照)。このように、本実施形態のメダルガイド72は一対の板状レールが対向するように配置されることによって構成されており、上下はそれぞれ抜けた構造(換言すれば、当該メダルガイド72の間に位置するメダルMは上方から視認可能な構造)となっている(図9等参照)。また、メダルガイド72の先端には、案内された1枚目のメダルMが突き当たる送り止め723が形成されている(図9参照)。
【0074】
さらに、メダルガイド72は、当該メダルガイド72によって案内されるメダルMの一部をプレイヤが視認可能な隙間722を有していることが好ましい。このような隙間722は、メダルホッパー71から供給されたメダルMがメダルガイド72に沿って案内される様子、メダルMが一列に並んで貯留状態にある様子、これらメダルMがメダルフィールド40に払い出される様子をプレイヤに見せやすくする。例えば本実施形態では、メダルガイド72を、メダルMの略上半分を保持する程度に当該メダルMの外径よりも幅狭の板状レール721によって構成し、当該メダルガイド72の下縁とメダルストッパ73の上縁との隙間を、メダルMの少なくとも下半分が視認可能な隙間722として機能させている(図8参照)。さらに、本実施形態では、板状レール721自体にも例えば矩形のスリット状の隙間722を設け、メダルMをさらに視認しやすくするとともに、当該板状レール721の計量化を図っている。なお、特にメダルガイド72の下部に形成される隙間722の領域を大きくすれば、その分だけメダルMが視認しやすくなるほか、後述するメダルストッパ73を僅かにずらしただけで貯留状態のメダルMを落下させることができるという利点もある。
【0075】
メダルストッパ73は、上述のメダルガイド72によって整列した状態のメダルMを保持して貯留状態を形成する部材である。貯留状態にときに当該メダルストッパ73を解除すると、貯留されていたメダルMはメダルガイド72から落下してメダルフィールド40へと払い出される。このようなメダルストッパ73は、本実施形態として後述するごとく案内部材75の一部に形成されていてもよいし、該案内部材75とは別の独立した部材として形成されていてもよい。
【0076】
案内部材75は、貯留状態が解除されたメダルMをメダルフィールド40に案内する部材である。本実施形態においては、この案内部材75を、側面視において対称な形状とし(図9参照)、小当たりメカ70の両側に位置するメダルフィールド40のいずれに対しても貯留されたメダルMを選択的に払い出せるようにしている。
【0077】
なお、本実施形態のゲーム装置1においては、小当たりメカ70の下部に傾斜部41が形成されている(図6参照)。この傾斜部41は、小当たりメカ70から払い出されたメダルMをメダルフィールド40へと案内するよう、各メダルフィールド40に向けて傾斜している(図9等参照)。また、本実施形態では、この傾斜部41に、液晶ディスプレイ等の表示装置42を設けている(図6参照)。この表示装置42には、各プレイヤステーション20における遊戯状況(ゲーム進行状況、ステイタス、抽選結果など)を表示することができる。
【0078】
ここで、案内部材75は、上述した傾斜部41に連なる傾斜部分を備えるように形成されていることが好ましい。本実施形態では、案内部材75を側面視において二等辺三角形とし、小当たりメカ70から払い出されたメダルMが案内部材75の傾斜部分、さらに上述の傾斜部41の表面上を滑り台のように滑り落ちて各メダルフィールド40へと案内されるようにしている(図9等参照)。
【0079】
さらに本実施形態では、この案内部材75の一部を上述のメダルストッパ73として機能させている。より具体的に説明すると、本実施形態の案内部材75はその上縁が一定幅を有する平面とされており、当該平面が、メダルガイド72によって整列した状態のメダルMの下端を保持して貯留状態を形成するメダルストッパ73として機能するようになっている。また、本実施形態では、このメダルストッパ73(案内部材75の上縁)を、メダルMの送り方向(センターユニット80の方向)に向かって下がるように傾斜させている(図8参照)。メダルホッパー71から供給されたメダルMは、このメダルストッパ73(案内部材75の上縁)の傾斜に沿って転がりセンターユニット80の方向へと案内される。なお、本実施形態のメダルガイドは、当該メダルストッパ73(案内部材75の上縁)との間隔(隙間722の幅)が等しくなるように同様に傾斜している(図9参照)。
【0080】
また、本実施形態の案内部材75は、支点76を中心にして異なるメダルフィールド40の一方または他方に向けて傾動可能に形成されており、いわば可動レールとして機能するようになっている(図8、図9参照)。例えば、メダルMを貯留した状態において、この案内部材75が一方のメダルフィールド(例えばメダルフィールド40−1)側に傾動すれば、メダルMは他方のメダルフィールド(メダルフィールド40−4)側へと落下して払い出される。逆に、案内部材75が他方のメダルフィールド(例えばメダルフィールド40−4)側に傾動すれば、メダルMは一方のメダルフィールド(メダルフィールド40−1)側へと落下して払い出される(図9等参照)。
【0081】
支点76は、案内部材75の傾動中心である。例えば本実施形態では、メダルガイド72や案内部材75を支持する支持フレーム724,725に支軸を通し、該支軸によって案内部材75を傾動可能に支持している(図9等参照)。なお、本実施形態では当該支軸をほぼ水平に設けているが(図8参照)、メダルストッパ73(案内部材75の上縁)やメダルガイド72の傾斜に合わせて支軸を傾斜させることも可能である。
【0082】
また、小当たりメカ70には、案内部材75を中立位置(メダルMが保持されて貯留状態となる位置)に復帰させる方向に付勢する付勢部材が設けられている。案内部材75を中立位置へと適宜復帰させることができれば付勢部材の具体例は特に限定されないが、本実施形態では、コイルスプリング77を利用して案内部材75を付勢している。本実施形態のコイルスプリング77は、基台726上のスプリング台727に設けられ、その一端は案内部材75の下部突起753に引っ掛けた状態とされている(図7〜図9参照)。なお、2つのコイルスプリング77を用い、案内部材75の一方向への付勢と逆方向への付勢を各コイルスプリング77で行うようにしてもよいが、本実施形態では1つのコイルスプリング77のみを用いて案内部材75を両方向へ付勢することとしている。例示すれば、本実施形態では、当該コイルスプリング77の両端を下部突起に引っ掛けるとともに、コイルスプリング7の一端が案内部材75を付勢しうる領域および他端が案内部材75を付勢しうる領域をそれぞれ例えば弾性領域制限用突起771等を用いて制限し、案内部材75が中立位置に戻った際にはコイルスプリング77のいずれの端部からも付勢されない状態とすることによって、単一のコイルスプリング77で案内部材75を両方向へ付勢しうる構造としている。
【0083】
さらに、小当たりメカ70には、メダルストッパ73を駆動して貯留状態を解除するアクチュエータ74が設けられている。該アクチュエータ74の具体例も特に限定されることはないが、本実施形態では例えば2個のソレノイド74(具体的にはメダルホッパー71寄りの基端側ソレノイド741,およびセンターユニット80寄りの先端側ソレノイド742の2個)を利用し、一方のソレノイド74によって案内部材75を一方向へ傾動させ、他方のソレノイド74によって案内部材75を他の方向へ傾動させるようにしている(図7等参照)。
【0084】
アクチュエータ74等の具体例を示せば以下のとおりである。基台726上に固定された基端側ソレノイド74aのプランジャ741aには、支軸742aを中心に揺動するレバー743aが回転自在に取り付けられている(図9等参照)。このレバー743aの先端には、押圧部材744aが設けられている。一方、案内部材75の下部には、メダルホッパー71に向けて突出する被押圧突起751aが形成されている(図8等参照)。この被押圧突起751aは、上述したレバー743a先端の押圧部材744aが当接する位置に形成されている。
【0085】
このようなアクチュエータ74等の具体例において、まず基端側ソレノイド74aを駆動してプランジャ741aを引き込むとレバー743aが揺動し、その先端の押圧部材744aが被押圧突起751aを押圧する。そうすると、可動レールとして機能する案内部材75は、支点76を中心としてメダルフィールド40−1側へと傾動する(図9中における時計回り方向に傾動する)。このとき、メダルストッパ73が解除され、メダルガイド72に貯留された状態のメダルMは落下し、メダルフィールド40−4側へと払い出される。また、基端側ソレノイド74aの駆動を解除すると、コイルスプリング77に付勢されている案内部材は元の中立位置に復帰し、これに伴い、押圧部材744a、レバー743a等も元の状態へと戻る(図9等参照)。
【0086】
なお、以上は基端側ソレノイド74a等の構成であるが、これらとは逆側の先端側ソレノイド74b、プランジャ741b、支軸742b、レバー743b、押圧部材744b、被押圧突起751bについては、配置や向きが異なるのみで基本構成や動作は同様である(図8等参照)。この先端側ソレノイド74bを駆動すれば案内部材75をメダルフィールド40−4側へと傾動させてメダルMをメダルフィールド40−1側へと払い出し、上述の基端側ソレノイド74aを駆動すれば案内部材75をメダルフィールド40−1側へと傾動させてメダルMをメダルフィールド40−1側へと払い出すというように、選択的にメダルMを払い出すことができる。
【0087】
また、小当たりメカ70には、案内部材75が中立位置にあるかどうか検出可能な装置(中立位置検出装置)も併せて設けられていることが好ましい。本実施形態では、基台726に光センサ78を設け、案内部材75の下部に一体的に形成された位置検出用突起754の位置に応じて案内部材75が中立位置にあるかどうかを判断している(図7参照)。
【0088】
上述したように、本実施形態の小当たりメカ(メダル払い出し装置)70においては、複数のメダルMが、メダルガイド72によってメダルフィールド40の幅方向に案内され、整列した状態で貯留され、所定時にメダルストッパ73を解除することによってこれら貯留メダルMが一度に払い出される。この場合、これらメダルMは、プッシャ50の往復動方向を横断する方向(本実施形態の場合、メダルフィールド40の幅方向に一致)に整列した状態のままメダルストッパ73による保持を失って落下することから、メダルフィールドの幅方向に関して均等に払い出される。このように、複数のメダルMをメダルフィールド40の幅方向に関して偏りがないよう均等に払い出すようにした本実施形態の小当たりメカ(メダル払い出し装置)70によれば、プッシャ50の往復動時、プレイヤの期待に見合う枚数のメダルMがメダルフィールド40から落下することが期待できる。したがって、本実施形態のゲーム装置(メダル遊戯装置)1においては、特にメダルフィールド40へのメダル払い出し時における興趣性が損なわれるのを回避することが可能である。
【0089】
しかも、本実施形態の小当たりメカ(メダル払い出し装置)70においては、メダルガイド72に隙間722が形成されているため、プレイヤからすれば、メダルホッパー71から供給されたメダルMがメダルガイド72に沿って案内される様子、メダルMが一列に並んで貯留状態にある様子、これらメダルMがそのまま落下してメダルフィールド40に払い出される様子などを視認しやすい。特に、一列に並んで貯留状態にある複数メダルMがそのままメダルフィールド40に払い出される構成、ならびにメダル払い出しに至るまでの様子を見やすくした構成は、メダルフィールド40へのメダル払い出し時およびその後のプッシャ50の往復動時、プレイヤの期待に見合う枚数のメダルMがメダルフィールド40から落下することを期待させるという演出効果も発揮しうる。
【0090】
なお、本実施形態では、小当たりメカ(メダル払い出し装置)70におけるメダルMの貯留数が10枚である場合を例示したにすぎない(図8)。ちなみに、当該小当たりメカ70によれば、一回のメダル払い出し動作によって10枚のメダルMを払い出すことができる。また、払い出し動作を例えば2回あるいは3回連続して行えば20枚あるいは30枚のメダル払い出しを行うことができる。
【0091】
また、対向する複数のメダルフィールド40(あるいは対向する複数のプレイヤステーション20)にて同じ小当たりメカ(メダル払い出し装置)70を共用する構成とした本実施形態のゲーム装置1によれば、コスト圧縮やスペース狭小化の点で好ましいことはもちろん、複数のプレイヤ間における興趣性向上に資するという点でも好ましい。すなわち、あるプレイヤステーション20において小当たりメカ70が作動しメダルMが払い出される様子は、特に対向するプレイヤステーション20のプレイヤからよく見てとれる。したがって、あるプレイヤステーション20においてメダルMが多く払い出される状況が周囲に伝わりやすい構成は、当該ゲーム装置1における遊戯の雰囲気を盛り上げる要素となりうる。
【0092】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した実施形態では支点76を中心として案内部材(可動レール)75を傾動させるようにした構成を説明したが、これは一例に過ぎず、この他、案内部材75を水平面に平行に移動させる構成としてもよい。すなわち、ここでは詳細な構成例についてまでは言及しないが、一方のメダルフィールド(例えばメダルフィールド40−1)側に向かう向き、および他方のメダルフィールド(例えばメダルフィールド40−4)側に向かう向き(プレイヤから見て前後方向)へとスライドして移動可能な案内部材75によっても、上述した実施形態と同様、メダルガイド72によって案内されるメダルMをメダルストッパ73によって保持し(貯留状態)、該メダルストッパ73を解除してこれらメダルMをメダルフィールド40に対して選択的に払い出すことが可能である。
【0093】
また、上述した実施形態では案内部材(可動レール)75を傾動させ、メダルMを貯留する状態や払い出す状態を適宜切り換えるようにした構成例を示したが、この代わりに、案内部材75は固定として移動させず、メダルガイド72をプレイヤから見て前後方向に動かすことによってこれら状態を切り換えるようにすることも可能である。要は、メダルガイド20に対するメダルストッパ73や案内部材の動きは相対的なものであればよく、どちらを動かすようにしても構わない。
【0094】
また、上述した実施形態ではメダルガイド72によって複数のメダルMを一列に並べるようにした小当たりメカ(メダル払い出し装置)70を例示したが、当該メダルガイド72の構造を適宜変更して、これらメダルMを複数列に並べるようにしてもよい。こうすることにより、一度に払い出すメダルMの枚数を大幅に増やすことが可能である。なお、このようにメダルMを複数に並べる場合においては、これらメダルMを保持するメダルストッパ73を複数にしてもよいし、当該メダルストッパ73によるメダル保持領域を太く形成して単一のメダルストッパ73によって複数列のメダルMをまとめて保持できるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、遊戯者が当該装置の外部から当該装置内のメダルフィールドへメダルを投入して遊戯するための遊戯装置に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0096】
1…ゲーム装置(メダル遊戯装置)、10…筐体、10a…ベース筐体部分、10b…カバー筐体部分、11−1〜11−4…側壁、12…天板、20…プレイヤステーション、21…メダル投入装置、22…コンソールパネル、23…ボタン装置、30…スピーカ、40…メダルフィールド(個別フィールド)、41…傾斜部、42…表示装置、50…プッシャ、51…端面、60…落下溝、70…小当たりメカ(メダル払い出し装置)、71…メダルホッパー(メダル搬送装置)、72…メダルガイド、73…メダルストッパ、74…アクチュエータ、74a…基端側ソレノイド(アクチュエータ)、74b…先端側ソレノイド(アクチュエータ)、75…案内部材、76……支点、77…コイルスプリング(付勢部材)、78…光センサ(中立位置検出装置)、80…センターユニット、81…ターンテーブル(メダルフィールド(共通フィールド))、82…表示装置、83…プッシャ、84…メダル搬送装置、85…メダルガイド、111…ガラス板、112…ハーフミラー(板状ビームスプリッター)、210…メダル投入部、211…メダルスロープ(メダル通路)、212…可動部(関節部)、721…板状レール、722…隙間、723…送り止め、724,725…支持フレーム、726…基台、727…スプリング台、741a,741b…プランジャ、742a,742b…支軸、743a,743b…レバー、744a,744b…押圧部材、751a,751b…被押圧突起、753…下部突起、754…位置検出用突起、771…弾性領域制限用突起、M…メダル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤが当該装置の外部から当該装置内へメダルを投入して遊戯する遊戯装置において、複数のメダルが載置されるメダルフィールドにメダルを払い出すメダル払い出し装置であって、
前記メダルフィールド内にて移動し前記メダルを押し出す動作をするプッシャと、
メダル搬送装置から供給されたメダルを前記メダルフィールドに案内し、前記プッシャの移動方向を横断する方向に整列させた状態を形成するメダルガイドと、
該メダルガイドによって整列した状態の前記メダルを保持して貯留状態を形成するメダルストッパと、
該メダルストッパまたは前記メダルガイドを駆動して前記貯留状態を解除するアクチュエータと、
を備え、当該遊戯装置において所定の条件が成立した場合に前記メダルを前記メダルフィールドに払い出す、メダル払い出し装置。
【請求項2】
前記貯留状態が解除されたメダルを、前記貯留状態における整列した状態を保つように前記メダルフィールドに案内する案内部材を備える、請求項1に記載のメダル払い出し装置。
【請求項3】
前記メダルストッパが、前記案内部材の一部に形成されている、請求項2に記載のメダル払い出し装置。
【請求項4】
前記案内部材は前記メダルガイドの両側が対称に形成された形状であり、当該メダルガイドおよび案内部材を挟んで配置された異なる前記メダルフィールドに対して選択的に前記メダルを払い出す、請求項2または3に記載のメダル払い出し装置。
【請求項5】
前記案内部材は、支点を中心にして前記異なるメダルフィールドの一方または他方に向けて前記メダルの貯留状態が解除される状態まで傾動可能である、請求項4に記載のメダル払い出し装置。
【請求項6】
前記案内部材は、前記メダルフィールドの一方または他方に向けて前記メダルの貯留状態が解除される状態まで移動可能である、請求項4に記載のメダル払い出し装置。
【請求項7】
前記メダルガイドは、当該メダルガイドによって案内される前記メダルの一部をプレイヤが視認可能な隙間を有している、請求項1から6のいずれか一項に記載のメダル払い出し装置。

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−120826(P2011−120826A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282981(P2009−282981)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)