説明

メダル選別装置

【課題】
指定枚数のメダルを正確に払い出せるメダル選別装置を提供する。
【解決手段】
第1保留ボウルに貯留されたメダルを1枚ずつ分離して送り出す送出装置と、前記送出装置から供給されたメダルを第2保留ボウルに一時保留し、かつ、前記一時保留されたメダルを1枚ずつ区分けしてメダルの移動経路に送り出す整列供給装置と、前記整列供給装置から送り出されたメダルを前記移動経路に沿って移動させる移動装置と、前記移動経路においてメダルの真偽を判別するメダル判別手段と、前記メダル判別手段の判別結果に基づき、前記移動経路に沿って移動するメダルを真正メダル出口および偽メダル出口のいずれか一方に振り分ける振分装置と、前記メダル判別手段により判別された真正メダルの枚数に応じて前記送出装置から前記第2保留ボウルへ供給される供給メダル枚数を調整する制御装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダル選別装置に関し、詳しくは、真正メダルと偽メダルとを選別すると共に選別された真正メダルを計数し、指定枚数の真正メダルが計数される毎に当該計数を停止して当該指定枚数の真正メダルが払い出されるバッチ計数機能を有するメダル選別装置に関する。本発明は、メダルの表面または裏面に形成された画像を撮像装置で取得し、真正メダルと偽メダルとを選別するメダル選別装置に好適に使用される。
【0002】
なお、本明細書において、「メダル」とは、ゲーム機のメダルおよびトークン等の代用硬貨、通貨としての硬貨を含み、形状は円形、多角形を含む。
【背景技術】
【0003】
画像処理を利用した選別装置としては、例えば、特許文献1に開示されたトークン選別装置がある。特許文献1のトークン選別装置では、回転ディスクによって保留ボウル内にバラ状態で保留されたトークンを一つずつ区分けして撮像工程に送り出す整列供給装置と、整列供給装置から一つずつ送り出されたトークンを押動翼を有する押動体によって一つずつ押動して撮像経路を移動させる押動装置と、撮像経路を移動するトークンを撮像し、画像情報を取得する撮像装置と、撮像装置で撮像した情報に基づきトークンの真偽を判別する判別装置と、判別装置の判別結果に基づき押動体によって搬送されたトークンを真正トークン出口または偽トークン出口に振り分ける振分装置と、を含んでいる。
【0004】
また、選別された硬貨を所定枚数計数する毎に一旦計数を停止し、硬貨を取り出した後に再度計数を開始する、バッチ処理またはバッチ計数と呼ばれる機能を有する硬貨選別装置が知られており、例えば、特許文献2に開示された硬貨選別機がある。
【0005】
特許文献2の硬貨選別機では、バッチ処理モード時に、識別部で識別される指定金種硬貨を異常硬貨排除手段により排除してリジェクト箱へ収納させるとともに、指定金種硬貨が所定枚数計数される毎に硬貨停止手段により所定枚数以降の硬貨を停止させ、かつ、異常硬貨が識別されたときはバッチ処理を停止させるバッチ処理制御部を具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4682343号公報(図1〜6、段落番号0024〜0028、段落番号0030〜段落番号0032、段落番号0036、段落番号0045)
【特許文献2】特許第3405643号公報(図1〜図4、段落番号0056〜段落番号0066)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のトークン選別装置においてバッチ計数を実行する場合、真正トークンの選別枚数が指定枚数に達したときに整列供給装置および押動装置の作動を急速停止して選別を瞬時に停止する必要がある。停止が遅れると、撮像経路上に在る後続の真正トークンが振分装置により真正トークン出口に振り分けられ、指定枚数を超えるトークンが真正トークン出口から払い出されるからである。しかしながら、整列供給装置および押動装置の作動には慣性によるオーバーランが生じるため、選別を瞬時に停止するのは難しい。したがって、指定枚数のトークンを正確に払い出すのは困難であるという問題がある。こうした過剰な払い出しを防止するには、少なくとも真正トークンの選別枚数が指定枚数に近づいたときに整列供給装置および押動装置の作動速度を遅くすればよい。しかし、その場合には処理速度が低下するという問題がある。
【0008】
また、特許文献1のトークン選別装置において保留ボウル内に貯留可能な最大トークン枚数、すなわち保留ボウルの容量を変更する場合、整列供給装置の設計を変更する必要がある。保留ボウルの容量が変更されると整列供給装置に対する最大負荷も変化するからである。したがって、小容量から大容量までの様々な仕様に容易に対応できないという問題がある。
【0009】
特許文献2の硬貨選別機では、指定金種硬貨が所定枚数計数される毎に硬貨停止手段により所定枚数以降の硬貨が停止されるため、過剰な枚数の払い出しが防止される。しかし、硬貨停止手段により停止された硬貨通路内の硬貨を逆方向に搬送して回転円盤上に戻した後にバッチ処理を再開しているため、再開までに時間が費やされてしまい、処理速度が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は、上述した従来技術の問題を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、指定枚数のメダルを正確に払い出すことのできるメダル選別装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、処理速度の低下を生じることなく指定枚数のメダルを正確に払い出すことのできるメダル選別装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、小容量から大容量までの様々な仕様に容易に対応できるメダル選別装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、メンテナンス性を向上できるメダル選別装置を提供することにある。
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明および添付図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明にかかるメダル選別装置は以下のように構成される。
【0012】
(1)本発明のメダル選別装置は、メダルの真偽を判別して真正メダルおよび偽メダルに選別すると共に選別された真正メダルを計数し、指定枚数の真正メダルが計数される毎に当該選別および計数を停止して前記指定枚数の真正メダルが払い出されるバッチ計数機能を有するメダル選別装置であって、第1保留ボウルに貯留されたメダルを1枚ずつ分離して送り出す送出装置と、前記送出装置から供給されたメダルを第2保留ボウルに一時保留し、かつ、前記一時保留されたメダルを1枚ずつ区分けしてメダルの移動経路に送り出す整列供給装置と、前記整列供給装置から送り出されたメダルを前記移動経路に沿って移動させる移動装置と、前記移動経路においてメダルの真偽を判別するメダル判別手段と、前記メダル判別手段の判別結果に基づき、前記移動経路に沿って移動するメダルを真正メダル出口および偽メダル出口のいずれか一方に振り分ける振分装置と、前記メダル判別手段により判別された真正メダルの枚数に応じて前記送出装置から前記第2保留ボウルへ供給される供給メダル枚数を調整する制御装置と、を備える。
【0013】
なお、本発明において「供給メダル枚数を調整する」とは、供給するメダルの枚数を適宜に変更することを意味する。
【0014】
本発明のメダル選別装置では、第1保留ボウルに貯留されたメダルが送出装置により1枚ずつ分離されて送り出される。送出装置から送り出されたメダルは第2保留ボウルに供給されて一時保留され、一時保留されたメダルが整列供給装置により1枚ずつ区分けされてメダルの移動経路に送り出される。整列供給装置から送り出されたメダルは移動装置により移動経路に沿って移動され、移動経路においてメダル判別手段により真偽が判別される。移動経路に沿って移動するメダルはメダル判別手段の判別結果に基づいて振分装置により真正メダル出口および偽メダル出口のいずれか一方に振り分けられる。そして、判別された真正メダルの枚数に応じて送出装置から第2保留ボウルへ供給される供給メダル枚数が制御装置により調整される。そのため、払い出される真正メダルの枚数が指定枚数を超えないように第2保留ボウルへの供給メダル枚数を調整すれば、指定枚数のメダルを正確に払い出すことができる。しかも、整列供給装置および移動装置と送出装置とを個別に作動させれば、整列供給装置および移動装置を停止させなくとも指定枚数のメダルの払い出しが可能となるので、整列供給装置および移動装置の停止に起因した処理速度の低下が生じない。したがって、処理速度の低下を生じることなく指定枚数のメダルを正確に払い出すことができる。
【0015】
また、第1保留ボウルの容量を変更すれば、第2保留ボウルの容量を変更することなくメダル選別装置全体の処理容量を変更できる。第1保留ボウルの容量変更に伴い送出装置の仕様変更も必要となるが、送出装置として公知のホッパ装置を使用すれば、変更は比較的容易である。したがって、小容量から大容量までの様々な仕様に容易に対応できる。
【0016】
さらに、送出装置を介して第2保留ボウルにメダルが供給されるため、メダルに付着したごみ等の異物は送出装置を通過する際に低減される。通常、メダル判別手段に異物が進入するとメダルの判別に悪影響を及ぼす。そのため、メダル判別手段の定期的な清掃が必要である。しかし、送出装置により異物が低減されるので、メダル判別装置の清掃サイクルが長くなり、メンテナンス性が向上する。
【0017】
(2)本発明のメダル選別装置の好ましい例では、上記(1)のメダル選別装置において、前記制御装置が、前記送出装置を作動および非作動を繰り返す間欠作動させると共に、前記送出装置の間欠作動毎に前記供給メダル枚数を設定する。この場合、送出装置のメダル送出速度を整列供給装置のメダル送出速度より高めても、非作動時間を適宜の値に設定すれば、第2保留ボウルにおけるオーバーフローを防止できる利点がある。これにより、第2保留ボウルの容量を小さくできるので、整列供給装置の小型化が可能となり、ひいてはメダル選別装置を小型化できる。
【0018】
(3)本発明のメダル選別装置の他の好ましい例では、上記(2)のメダル選別装置において、前記制御装置が、前記送出装置の間欠作動毎に前記真正メダル枚数と前記指定枚数との枚数差を求め、前記枚数差が所定値を超える場合に前記供給メダル枚数を前記所定値に設定し、前記枚数差が前記所定値以下の場合に前記供給メダル枚数を前記枚数差に設定する。この場合、真正メダル枚数と指定枚数との枚数差が所定値以下になるまでは所定値のメダルを供給し、枚数差が所定値以下になると供給枚数が減少されて指定枚数に対する不足分のみを供給するため、指定枚数のメダルを正確に払い出すことができると共に、間欠作動の繰り返し回数が減少して処理速度が高まる。
【0019】
(4)本発明のメダル選別装置のさらに他の好ましい例では、上記(3)のメダル選別装置において、前記メダル判別手段によるメダルの判別が所定時間行われない場合、前記送出装置の非作動状態で前記メダルの判別が実行される。この場合、第2保留ボウルや移動経路にメダルが残存していても、残存するメダルの判別が確実に実行されるため、指定枚数のメダルをより一層正確に払い出すことができる。
【0020】
(5)本発明のメダル選別装置のさらに他の好ましい例では、上記(4)のメダル選別装置において、前記メダル判別手段が、前記移動経路に沿って移動するメダルを撮像し画像情報を取得する撮像装置と、前記撮像装置で取得された画像情報に基づきメダルの真偽を判別する判別装置と、を有する。この場合、撮像装置で取得された画像情報に基づきメダルの真偽が判別されるので、より正確な判別が可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のメダル選別装置では、(a)指定枚数のメダルを正確に払い出すことができる、(b)処理速度の低下を生じることなく指定枚数のメダルを正確に払い出すことができる、(c)小容量から大容量までの様々な仕様に容易に対応できる、(d)メンテナンス性が向上する、といった効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例のメダル選別装置を示す斜視図である。
【図2】図1のメダル選別装置の筐体上部を除いた状態の平面図である。
【図3】図1のメダル選別装置を構成する送出装置を示す、保留ボウルを除いた状態の斜視図である。
【図4】図3の送出装置の保留ボウルを除いた状態の平面図である。
【図5】図1のメダル選別装置を構成する選別ユニットを示す斜視図である。
【図6】図5の選別ユニットの保留ボウルを除いた状態の平面図である。
【図7】図5の選別ユニットの保留ボウルおよび撮像装置を除いた状態の平面図である。
【図8】図5の選別ユニットの保留ボウル、撮像装置および案内体を除いた状態の平面図である。
【図9】図6のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図6のX−X線に沿った断面図である。
【図11】図5の選別ユニットを構成する撮像装置を示す斜視図である。
【図12】図5の選別ユニットを構成する撮像装置および真偽判別装置を示す概略ブロック図である。
【図13】図12の撮像装置を構成するタイミング信号出力装置を示す概略図である。
【図14】図1のメダル選別装置を構成する制御装置を説明するための概略ブロック図である。
【図15】図1のメダル選別装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】図15の選別計数ステップの詳細を示すフローチャートである。
【図17】図15の選別計数ステップの詳細を示すフローチャートで、図16の続きである。
【図18】図17の供給枚数カウントステップの詳細を示すフローチャートである。
【図19】図17の選別枚数カウントステップの詳細を示すフローチャートである。
【図20】図1のメダル選別装置の動作を説明するための供給枚数の時間推移を示すグラフで、(A)はバッチ計数モードの場合、(B)は通常計数モードの場合である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0024】
(構成)
図1および図2は、本発明の一実施例のメダル選別装置1を示す。このメダル選別装置1は、メダルMの真偽を判別して真正メダルおよび偽メダルに選別すると共に、選別された真正メダルおよび偽メダルを計数する機能を有する。メダル選別装置1は、ほぼ矩形の箱型形状を有する筐体2と、筐体2内に配置された送出装置10および選別ユニット20と、送出装置10および選別ユニット20間に配置されたメダル通路11と、制御装置30とを含んで構成されている。
【0025】
まず、図1を参照しながら、筐体2について説明する。筐体2は、上面2a、底面2b、前面2c、背面2d、右側面2eおよび左側面2fを有している。筐体2の上面2aにおいて、背面2d側にはほぼ矩形の開口3aを有するメダル投入口3が配置され、前面2c側には表示器5および複数の操作ボタン6を有する操作パネル4が配置されている。操作ボタン6を操作することによりメダル選別装置1の始動および停止が可能であると共に、動作モードや表示器5の表示内容を切り替えることもできる。
【0026】
筐体2の前面2cには、真正メダル払出シュート8を覆う払出シュートカバ7が外方に突出して形成されている。真正メダル払出シュート8は、筐体2の内部から払出シュートカバ7内を通って下方に伸び、メダル選別装置1により選別された真正メダルを払い出す機能を有している。真正メダル払出シュート8の下端には、収納袋装着用リング8aが挿入されている。収納袋装着用リング8aは、一部分が切り欠かれた円環板状部材からなり、払い出された真正メダルを収納するための真正メダル収納袋(図示せず)を真正メダル払出シュート8に装着する機能を有する。
【0027】
筐体2の右側面2eにおいて、前面2c側下方には偽メダル収納ボックス9が配置されている。偽メダル収納ボックス9は、メダル選別装置1により選別された偽メダルを収納する機能を有している。
【0028】
次に、図3および図4を参照しながら、送出装置10について説明する。送出装置10は、バラ積み状態で保留されたメダルMを一枚ずつ分離して送り出す機能を有する。したがって、送出装置10は、同様の機能を有する他の装置に変更することができる。本実施例では、送出装置10はメダルホッパ装置100である。メダルホッパ装置100としては、例えば、特開2010−218505号公報に開示された装置が使用される。メダルホッパ装置100は、少なくともフレーム101、ベース102、第1保留ボウル103、回転ディスク104、メダルMの周方向案内装置105、弾出装置106、出口通路107、メダル検知装置108および出口通路画定装置109を含んでいる。
【0029】
フレーム101は、ベース102および第1保留ボウル103を支持する機能を有し、樹脂にて射出成型された矩形の筒状をしている。フレーム101は、下端ベース部111と、下端ベース部111に一体化され上向きに延びる矩形筒形のサポート部112とを含んでいる。サポート部112の中空部には、制御基板や回転ディスク104の駆動のための第1電気モータ110等が配置され、頭部は斜めに形成されている。
【0030】
ベース102は、第1保留ボウル103、回転ディスク104、周方向案内装置105、弾出装置106、およびメダル検知装置108を所定の位置に保持する機能と、回転ディスク104によって移動されるメダルMを案内する機能とを有する。ベース102は、矩形の厚板状を呈し、サポート部112の頂部に固定されている。換言すれば、ベース102は、所定の角度で傾斜している。
【0031】
ベース102は、上面121の中央に位置する有底かつ円形鍋形のガイド穴122と、上下端部に形成した第1保留ボウル103の第1取付部123A、123Bおよび第2取付部124A、124Bと、ガイド穴122の周面の一部を開口した出口開口125、裏面側にメダル検知装置108の取付部126および周方向案内装置105の取付部(図示せず)を含んでいる。ガイド穴122の底面122aは、大凡平面であり、中央に、回転ディスク104を取り付ける回転軸127が貫通する軸孔(図示せず)が形成されている。
【0032】
回転ディスク104によって押動されるメダルMは、その下面がガイド穴122の底面122a上を滑りつつ、かつ、その周面がガイド穴122の周面である周壁128に案内されつつ移動する。出口開口125に臨んで後述の弾出装置106が配置されている
【0033】
第1保留ボウル103は、メダルMをバラ積み状態に貯留する機能を有する。第1保留ボウル103の下端部131は、ガイド穴122とほぼ同一径の円筒状であって、ベース102に対し直交方向に延びている。換言すれば、下端部131は斜め上方に向かって伸びており、上端部132には四角形状に拡大する上部開口133が形成されている。この上部開口133は、図1に示すメダル投入口3の開口3aに相対している。下端部131の円筒内の底孔134には、回転ディスク104の上部が配置されている。第1保留ボウル103の上端部132と下端部131は傾斜壁によって接続され、その上に乗ったメダルMは、重力によって自然滑落し、下方の回転ディスク104上に落下する。第1取付部123A、123Bおよび第2取付部124A、124Bに第1保留ボウル103の下部に形成した係止部(図示せず)を係止することにより、第1保留ボウル103を簡単操作でベース102に取付け、取外しできるようにしてある。なお、本実施例における第1保留ボウル103の最大メダル貯留枚数(換言すれば、メダル容量)は、約2000枚である。
【0034】
回転ディスク104は、第1保留ボウル103にバラ積み状態に保留されるメダルMを一枚ずつ区分けし、弾出装置106に搬送する機能を有する。回転ディスク104は、第1電気モータ110によって減速機(図示せず)を介して回転駆動される。回転ディスク104には、回転軸線を中心とする所定半径の円上であって等間隔に円形の通孔141が形成され、通孔141の上面側は、下向き錐形の導入部142が形成されている。また、中央部には円錐形であって、かつ、回転軸127を取付けると共にメダルMの攪拌のための中央凸部143が形成されている。回転ディスク104は、その下部がガイド穴122内にその周面が周壁128に対しメダルMの厚みよりも狭い間隔で、また、その上部は第1保留ボウル103の下端部131の底孔134内に僅かな隙間を空けて配置されている。
【0035】
回転ディスク104の裏面側において、通孔141を区画するリブ144の下面には、メダルMを押し出すための第1押動部145および第2押動部146が通孔141のそれぞれに相対して下向きに突出形成されている。
【0036】
回転ディスク104が回転された場合、その上に載っているメダルMは通孔141、中央凸部143等によって攪拌され、姿勢が変化させられて通孔141に落下する。落下したメダルMの下面はガイド穴122の底面122aに、外周は周壁128によって案内される。そして、回転ディスク104の回転によって第1押動部145および第2押動部146によって押動されて回転ディスク104と共に連れ回りされる。このとき、メダルMの周面は周壁128に案内されるが、周壁128に対する接触圧は殆どが遠心力に基づくものであるので大きな接触圧ではない。連れ回り過程において、周方向案内装置105の第1規制体105Aおよび第2規制体105Bによって連れ回りを阻止されたメダルMは、回転ディスク104の周方向へ案内され、最終的に第2押動部146によって、出口開口125へ押し込まれる。
【0037】
周方向案内装置105は、第1押動部145および第2押動部146によって押動されるメダルMを、回転ディスク104の周方向に案内し、出口開口125に誘導する機能を有する。具体的には、ベース102を下側から上側に貫通し、回転ディスク104に向かって伸びる円柱ピン状の第1規制体105Aおよび第2規制体105Bが配置されている。換言すれば、第1規制体105Aおよび第2規制体105BはメダルMの移動経路に突出している。
【0038】
第1規制体105Aおよび第2規制体105Bは、ベース102の裏面の取付部に一端を固定された板バネ(図示せず)に固定されている。これにより、第1押動部145および第2押動部146によって押動されるメダルMは第1規制体105Aおよび第2規制体105Bによって回転ディスク104による連れ回りを阻止され、出口開口125側へ案内される。第1規制体105Aおよび第2規制体105BがメダルMから所定の横方向の力を受けた場合、板バネが弾性変形して第1規制体105Aおよび第2規制体105Bは底面122aの下方に向かって移動可能であり、メダルMがそれを乗り越えて移動可能になり、回転ディスク104と共に移動できる。
【0039】
出口開口125は、周方向案内装置105の側方のガイド穴122の周壁128が所定長にわたって切除された矩形の開口である。本実施例においては、後述の第1ガイド161および第2ガイド162によってメダルMの出口が画定されるので、これらの間が出口開口125である。出口開口125の長さ(ガイド穴122の周方向の長さ)は、メダルMが通過するに十分な長さである。
【0040】
出口通路107は、後述の弾出装置106によって弾き出されたメダルMを案内する機能を有する。出口通路107は、出口開口125に連続して回転ディスク104の周方向に伸びる薄板状の通路である。出口通路107は、ベース102に形成された凹溝171、第1ガイド161、第2ガイド162および凹溝171の上側解放面を覆う出口通路画定ガイド172によって画定され、回転ディスク104の周方向に伸びている。凹溝171の底面173は、底面122aと同一平面内に配置され、第2押動部146によって押し出されるメダルMの下面が案内される。
【0041】
弾出装置106は、回転ディスク104によって一枚ずつ区分けされて送り出されるメダルMをひとつずつ弾き出す機能を有する。弾出装置106は、第1ガイド161、第2ガイド162および付勢手段163を含んでいる。
【0042】
第1ガイド161は、メダルMが弾き出される際、出口開口125の一側を固定的に画定する機能を有する。さらに、本実施例においては、小径メダルまたは大径メダルの何れが使用される場合であっても、第2ガイド162の移動量が同一になるようにする機能を有する。本実施例における第1ガイド161は、へら状の板金製ガイド体164の弧状端部164aによって構成されている。なお、ガイド体164の詳細な構成については、上記特開2010−218505号公報に開示されているため、ここではその説明を省略する。
【0043】
第2ガイド162は移動可能に設けられ、第1ガイド161との間でメダルMを挟んで弾き出す機能を有する。第2ガイド162は、本実施例では支軸165に回転自在に支持されたローラ166である。第2ガイド162は、回転ディスク104および第1ガイド161の側方に配置され、出口開口125の一側壁を構成している。支軸165は、ベース102の裏面に下向きに固定された支軸167にピボット運動可能に取り付けられた揺動レバ168の一端部に固定され、ベース102の弧状長孔(図示せず)を通って出口開口125に隣接し、かつ第1ガイド161に対し所定距離離れた出口通路107に位置している。
【0044】
付勢手段163は、第2ガイド162を第1ガイド161に弾性的に近づける機能を有している。本実施例では、付勢手段163はスプリングである。メダルMの直径部が第1ガイド161と第2ガイド162との間に進行した場合、第2ガイド162が弾き出し位置に移動された後、付勢手段163の弾発力でメダルMを出口通路107へ弾き出す。なお、第2ガイド162は揺動レバ168によってピボット運動を行うが、直線運動により第1ガイド161に対し接近、離隔するよう変更することができる。また、付勢手段163は、スプリングの他、電磁アクチュエータ、空気アクチュエータ等同様の機能を有する装置に変更することができる。
【0045】
メダル検知装置108は、メダルMによる第2ガイド162の移動を直接的または間接的に検知してメダル検知信号DSを出力する機能を有する。本実施例のメダル検知装置108は、第2ガイド162と、第2ガイド162を支持する揺動レバ168と、揺動レバ168と一体的に移動する作用片181と、作用片181の検知装置182とを含んでいる。作用片181は、揺動レバ168と一体に、第2ガイド162よりも支軸167から遠い位置に形成され、支軸167を中心とする円弧状に所定の長さで延在する被検知部である。
【0046】
検知装置182は、被検知部である作用片181を検知した場合、「H」又は「L」の電気的なメダル検知信号DSを出力する機能を有する。実施例の検知装置182は、透過形の光電センサであり、透孔から投光される投射光が遮断された場合、メダル検知信号DSを出力する。検知装置182は、ベース102の裏面に取付部126を介して固定されている。
【0047】
出口通路画定装置109は、出口通路107を画定する機能を有する。本実施例において、出口通路画定装置109はベース102および出口通路画定ガイド172により構成される。しかし、メダルMの通路を画定する構造であれば、他の構成を採用できる。出口通路107の端面がメダルMの出口191である。出口通路107は、ベース102の凹溝171に出口通路画定ガイド172を嵌め込んだ後、スクリュウ等の固定手段によってベース102に固定することにより画定形成される。具体的には、出口通路107の下面は底面122aによって画定され、上面は出口通路画定ガイド172の下面によって画定され、側面は凹溝171の側壁によって画定される。
【0048】
次に、図5〜図8を参照しながら、選別ユニット20について説明する。選別ユニット20は、多数のメダルMの表面の模様を撮像して画像情報として取得し、取得した画像情報に基づいて真偽を判別し、当該判別結果に基づいて真正メダルまたは偽メダルに選別する機能を有する。選別ユニット20としては、例えば、特開2009−193373号公報に開示された装置が使用される。選別ユニット20は、少なくとも、整列供給装置21、移動装置22、撮像装置23、真偽判別装置24および振分装置25を含んでいる。
【0049】
まず、整列供給装置21について説明する。整列供給装置21は、バラ積み状態のメダルMを一枚ずつ区分けして次の撮像工程に送り出す機能を有している。したがって、整列供給装置21は同様の機能を有する他の装置に変更することが出来る。本実施例における整列供給装置21は、バラ積み状態のメダルMを一枚ずつ区分けして次行程の移動装置22に送り出す機能を有し、縦向き筒形の第2保留ボウル211と、第2保留ボウル211の下部に位置する送出装置221とを含んでいる。
【0050】
第2保留ボウル211は全体として縦向きの筒形をし、上部はほぼ矩形であって、上端に受入開口212を有し、下端部には円形孔213が形成されている。第2保留ボウル211は、メダルMをバラ積み状態で多数保留する機能を有し、後述の案内体226の上面に着脱可能に取り付けられている。なお、本実施例における第2保留ボウル211のメダル容量は、約100枚である。
【0051】
送出装置221は、第2保留ボウル211に保留されたメダルMを一枚ずつ区分けして送り出す機能を有する。したがって、送出装置221は同様の機能を有する他の装置に変更することが出来る。本実施例における送出装置221は、メダルMの直径よりも僅かに大径の複数の通孔222を有する回転ディスク223である。回転ディスク223は、第2保留ボウル211下方の箱型の基台224の上面であるベース225に重ねて配置した案内体226に形成された第1円形孔231内に配置され、ベース225に固定された第2電気モータ241によって伝達機構242および回転軸232を介して図6において反時計方向に回転される。回転ディスク223は、中央に山形の攪拌部233を有し、案内体226の第1円形孔231において、第2保留ボウル211の下部の円形孔213と同心状態に配置されている。
【0052】
回転ディスク223は、通孔222の間のリブの裏面に押出突条234を有する。通孔222内に落下したメダルMは、第1円形孔231のベース225に支えられ、かつ、第1円形孔231の周面によって案内されつつ回転ディスク223の回転によって押出突条234によって押されて回転ディスク223と共に移動する。移動されるメダルMは、ベース225から突出し、メダルMの移動通路に位置する規制ピン235、236によって回転ディスク223の周方向へ案内される。周方向に案内されたメダルMは、連通路237を通って移動装置22へ一枚ずつ区分けして送り出される。
【0053】
回転ディスク223の側方に隣接配置したローラ238は、図7において反時計方向に回転ディスク223の周囲を弾性的に回動できる。ローラ238は、回転ディスク223に隣接して配置され、送り出されたメダルMが衝突した際、その衝撃を緩衝すると共に移動装置22側へ案内する機能を有する。したがって、ローラ238は固定することもできる。
【0054】
ベース225は、メダルMの下面がスライドしつつ案内される機能を有する。本実施例において、ベース225は撮像部ベース251とその他部位ベース252とによって構成されている。しかし、ベース225は撮像部ベース251と同一材によって一枚の板状体により構成することができる。本実施例では他部位ベース252はステンレス板の表面に窒化鉄化合物層処理を施して耐摩耗性を向上させると共に表面を暗色かつ梨地にしてある。他部位ベース252の撮像装置23に相対する部分に大凡矩形状の開口253が形成される。
【0055】
撮像部ベース251は、この開口253に密に嵌り込む形状に暗色の樹脂基材によって成形される。暗色とは、黒色、ダークグレー、ダークブラウン、ダークブルー等をいい、低反射率の色彩および明度をいう。樹脂基材は、例えば、耐摩耗性を考慮してポリアセタール樹脂を採用している。本実施例ではポリアセタール樹脂を基材にカーボンーパウダを混合し、黒色の樹脂基材を用いている。これにより、樹脂基材が黒色であるから色彩および明度による光の反射率が最も小さい。しかし、黒色に近いダーク系の暗色にすることによっても同様の効果が得られる。そして、樹脂は表面から内部に至るまで均一な着色度を有することから樹脂基材が磨耗しても表面は同一の黒色、および明度である。
【0056】
また、メダルMはゲーム機等において機械的に圧力を受けたり金属部に衝突したりするので、微視的に見れば表面は平滑ではない。メダルMが撮像部ベース251をスライドした場合、撮像部ベース251の樹脂基材はメダルMよりも硬度が低いのでメダルMにより傷つけられ、表面が鏡面状にはならず、粗面である。これによって、撮像のための投射光は粗面によって乱反射し、また、明度が変化しないので低反射率を保持する。よって、撮像部ベース251を暗色樹脂にすることにより、スライド面が磨耗しても当初とほぼ同一の明度および反射度を維持できる。
【0057】
さらに、樹脂基材にガラス製若しくはセラミック製の繊維、ガラスビーズ等の硬度の高い微小片を混入することが好ましい。これにより、微小片は撮像部ベース251の表面に露出するので、撮像部ベース251の耐摩耗性を向上することができる。他方、樹脂基材が磨耗した場合、微小片の樹脂基材による保持力が低下し、メダルMのスライドにより微小片が樹脂基材から脱落する。微小片が脱落すると、その抜け穴は撮像部ベース251の表面に対して凹穴を呈する。また、撮像部ベース251の表面には脱落していない微小片が突出している。これら凹穴および突出微少片によって撮像部ベース251の表面は微細な凹凸が形成される。換言すれば、撮像部ベース251の表面は凹穴および突出微少片によって梨地状に形成される。そして、微少片の脱落および突出は、撮像部ベース251の樹脂基材の摩耗によって繰り返される。以上より、撮像部ベース251の表面は、常時黒色、かつ、梨地に保たれる。
【0058】
撮像部ベース251は、案内体226によって基台224との間に挟まれて固定される。撮像部ベース251が摩耗、破損、撮像に支障を来す大きな傷を受けた場合、別の撮像部ベース251に交換できる。この交換は、案内体226を取り外すことにより行えるので交換作業が容易である。なお、微小片として、炭素繊維を採用した場合、撮像部ベース251が導電性を有することになるので、メダルMがスライドすることにより生じる静電気を基台224にアースできる。これにより、撮像部ベース251の帯電による磨耗粉および油成分の付着を抑制することができる。さらに、撮像部ベース251の撮像装置23の撮像面に相対する位置に気流孔254が複数穿孔されている。
【0059】
気流孔254は、図示しない気流生成手段によって吹き込まれた空気を後述の移動通路274に吹き出し、若しくは移動通路274から空気流を吸引する機能を有する。気流孔254は、円形、矩形、三角形等各種可能であるが、製造性や耐久性を考慮すると円形が好ましい。その直径は、小さすぎる場合、移動通路274に十分な空気流を生じさせることができず、大きすぎると後述の投光装置283の反射量に影響を与え、適正な撮像ができないので、その直径は、2ミリから2.5ミリが好ましい。また、本実施例では、後述の撮像装置23の撮像面284に相対する位置に複数の気流孔254が形成されている。撮像面284に相対する移動通路274において、最も気流の流勢を高め、撮像面284に粉塵が付着するのを防止するためである。しかし、粉塵を気流に載せて除去する機能を考慮すれば、気流孔254は撮像面284に相対する撮像部ベース251に配置する必要はなく、メダルMの移動通路274に面して形成されていればよい。
【0060】
なお、気流生成手段については、上記特開2009−193373号公報とほぼ同じ構成を有するため、ここではその説明を省略する。
【0061】
次に、移動装置22について説明する。移動装置22は、送出装置221から一枚ずつ送り出されたメダルMを一枚ずつ所定の方向へ積極的に移動させる機能を有する。したがって、移動装置22は、同様の機能を有する他の装置に変更することができる。例えば、移動するベルトによってメダルMを移動させることができる。この場合、ベルトが移動体である。本実施例において移動装置22は、移動体261および案内体226を含んでいる。
【0062】
移動体261は所定の速度で所定の方向へ移動し、整列供給装置21から一枚ずつ送り出されたメダルMを一枚ずつ強制的に押動する機能を有する。本実施例において移動体261は、回転体262に形成した三枚プロペラ状の押動レバ263A、263B、263Cの回転方向前端である。回転体262は、回転軸264の先端に固定されている。回転軸264は、回転ディスク223と同期して図7において時計方向へ回転するよう、回転ディスク223の伝達機構242から伝達装置243を介して回転駆動される。換言すれば、押動レバ263A、263B、263Cはベース225の直近上方に位置するベース225と平行な仮想面内に存する回動経路265を旋回する。これら押動レバ263A、263B、263Cの縁部上面266は、メダルMの上面よりも上方に位置しないよう配置されている。
【0063】
また、押動レバ263A、263B、263Cの間に半円形のメダルMの受入凹部267A、267B、267Cを形成する。これら受入凹部267A、267B、267Cは、使用が想定される最大径メダルよりも僅かに大きく形成される。この構成により、受入凹部267A、267B、267Cに一つずつ受け入れられたメダルMは、前後の移動体261および後述の弧状案内面に衝突して案内されつつ時計方向に移動される。
【0064】
本実施例において、押動レバ263A、263B、263Cが形成された移動体261の周縁部268は、メダルMの厚みよりも薄くし、かつ、撮像部ベース251上をスライドするメダルMの上面よりも撮像部ベース251に近い面内を旋回する。その理由は、後述の投光装置からの投射光が押動レバ263A、263B、263Cに遮られてメダルMの表面が陰にならないようにするためである。押動レバ263A、263B、263Cにおいて、中央部269は周縁部268より厚く形成され、押動レバ263A、263B、263Cの強度を保つと共にメダルMの撮像が影響を受けないようにしている。
【0065】
本実施例において移動体261は、撮像部ベース251と同一の材質にて成形されている。換言すれば、微少片入りの暗色樹脂にて一体成形されている。したがって、前述したように移動体261の表面は梨地状をなし、光は乱反射され、また、明度が低いので光反射率も低く、総合的光反射率は低い。よって、移動体261によるトークン撮像への影響は皆無に等しい。
【0066】
案内体226は、移動体261によって押動されるメダルMを所定の方向に案内する機能を有する。したがって、同様の機能を有する他の装置に変更することができる。本実施例において、案内体226には、ステンレス板により構成され、第1円形孔231に連続して第2円形孔271が形成されている。案内体226の厚みは、メダルMの厚みを考慮して設定してある。すなわち、メダルMは種類毎に厚みが異なるので、使用が想定されるトークン厚み種類内において、最も厚いメダルMの厚み以上であって、かつ、最も薄いトークン厚みの二倍未満に設定してある。メダルMの重なりを防止すると共に、高速で移動されるメダルMの不規則な動きを規制するためである。第2円形孔271の一部周面がメダルMの弧状案内面272である。この弧状案内面271は、メダルMの周面が摺動するので、前記窒化層を形成するなどの硬化処理が施されている。
【0067】
図7に示すように、弧状案内面271の一部に相対して案内体226の上面に三日月状の凹溝273が形成してある。凹溝273は、撮像部ベース251の上面からの高さがトークン厚みの約三分の二であり、移動体261の上面の撮像部ベース251の上面からの高さとほぼ同一高さである。凹溝273は撮像装置23に相対して設けられ、その表面は撮像部ベース251同様に梨地処理されている。したがって、撮像装置23の後述の投光装置からの投射光は、メダルMの上面を通過した後、凹溝273の上面に達する。よって、メダルMの上面が案内体226の陰になることがないので、メダルMの撮像に影響を与えない。なお、案内体226は回転ディスク223に相対する部位と回転体262の周囲部位等に分割して形成することができる。
【0068】
回転体262は、第2円形孔271に同心に配置され、かつ、回転ディスク223と同期して図6において時計方向に回転される。これにより、連通路237を通過したメダルMは直ぐさま回転体262の移動体261によって押されて撮像部ベース251上に移動され、弧状案内面272によってその周面を案内されつつ大凡180度方向転換され、後述の出口275に達する。メダルMは、撮像装置23による撮像情報に基づいて真偽判別され、振分装置25によって真正メダル出口335または偽メダル出口336に案内される。メダルMが移動体261によって押されつつ弧状案内面272によって案内されて移動する経路が移動通路274であり、この移動通路274に面して撮像装置23が配置されている。移動通路274は、メダルMが移動する通路(換言すれば、メダルMの移動経路)である。
【0069】
次に、図11および図12を参照しながら、撮像装置23について説明する。撮像装置23は、移動通路274を移動するメダルMの一面を撮像し、画像情報を取得する機能を有する。したがって、撮像装置23は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。撮像装置23、大まかには図11に示すように、箱形の本体281内にカメラ282および投光装置283が配置され(図12参照)、下面の円形の撮像面284を介して撮像する。撮像面284は、透明のガラス板285により構成され、このガラス板285を介して投光装置283から投射し、カメラ282によって撮影する。
【0070】
撮像装置23は、撮像部ベース251上をスライドするメダルMの上面を撮像するように配置されている。しかし、撮像装置23はメダルMの下面を撮像するよう配置することもできる。撮像装置23は、少なくとも、カメラ282、投光装置283およびタイミング信号生成装置286を含んでいる。
【0071】
カメラ282は、対面するメダルMの一面を撮像し、その一面(すなわち、表面または裏面)に形成された模様の画像情報を取得する機能を有する。本実施例においてカメラ282は、例えばCCDカメラであり、シャッタを使用する方式と使用しない方式があるが、高速で移動するメダルMが撮像可能であれば、何れの方式も使用することが出来る。
【0072】
投光装置283は、メダルMに集中的に投光する機能を有する。投光装置283は、高速で移動する多数のメダルMを撮像するため、高輝度かつ高耐久性が要求され、例えば多数の白色LEDをメダルMに対面させて構成することが好ましい。
【0073】
タイミング信号生成装置286は、移動するメダルMに連動し、少なくとも、カメラ282の撮像タイミングおよび投光装置283の投光タイミングを設定するためのタイミング信号を出力する機能を有する。したがって、タイミング信号生成装置286は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。本実施例においてタイミング信号生成装置286は、移動体261の位置を間接的に検知することによりタイミング信号を出力するが、移動体261の位置を直接的に検知、例えば、押動レバ263A、263B、263Cの位置を直接的に検知することによりタイミング信号を出力してもよい。
【0074】
タイミング信号生成装置286は、回転体262の回転軸264に固定した円板287、第1タイミングセンサ288および第2タイミングセンサ289により構成されるタイミング信号出力装置290と、タイミング信号出力回路291とを含んでいる(図12参照)。図13に示すように、円板287には、押動レバ263A、263B、263Cに対応して等角度で三つの基準透孔292A、292B、292Cが回転軸264を中心とする第1同心円C1上に形成されている。また、それら基準透孔292A、292B、292Cの間には等角度で同一数の分角透孔293が第2同心円C2上に形成されている。第1タイミングセンサ288は、投光部294からの投射光が基準透孔292A、292B、292Cを透過可能に配置され、受光部295での受光毎に基準信号SSをタイミング信号出力回路291に出力する。第2タイミングセンサ289は、投光部296からの投射光が複数の分角透孔293を透過可能に配置され、受光部297での受光毎にカウント信号CSをタイミング信号出力回路291に出力する。
【0075】
タイミング信号出力回路291は、第1タイミングセンサ288からの基準信号SSおよび第2タイミングセンサ289からのカウント信号CSを受信し、予め設定されたタイミングで投光信号PSを出力する。例えば、第1タイミングセンサ288からの基準信号SSを受信した後、第2タイミングセンサ289からのカウント信号CSが所定数、例えば20になった場合、投光信号PSを出力する。なお、タイミング信号出力回路291は所定数のカウント信号CSの入力された後、所定時間経過後に投光信号PSを出力することもできる。本実施例のようにカウント信号CSの数に基づいて投光信号PSを出力することにより、投光のためのタイミング信号を精度良く出力することができる。
【0076】
投光装置283は、この投光信号PSがトリガーになって投光される。この投光タイミングは、移動体261によって押動されるメダルMの上面全体を撮像するに適したタイミングである。また、カメラ282は投光装置283の投光に同期して撮像処理をする。
【0077】
次に、真偽判別装置24について説明する。真偽判別装置24は、撮像装置23で撮像された画像を画像情報に変換し、その画像情報を基準画像情報と比較して真正メダルであるか偽メダルであるか判別する機能を有する。したがって、真偽判別装置24は同様の機能を有する他の手段に変更することができる。本実施例において真偽判別装置24は、撮像装置23から取得した画像を画像情報化する取得画像情報器301と、基準画像情報を記憶する基準画像情報器302と、取得画像情報器301から供給される取得画像情報と基準画像情報器302に記憶された基準画像情報とを比較する比較器303と、比較器303からの信号に基づきメダルMの正偽を判別して真正メダル信号TS又は偽メダル信号FSを出力する判別器304とを含んでいる。撮像装置23および真偽判別装置24は、移動通路(すなわち、移動経路)274においてメダルMの真偽を判別する判別手段26を構成する。
【0078】
次に撮像装置23の移動装置311について説明する。移動装置311は、撮像装置23を撮像位置と非撮像位置との間で移動させる機能を有する。移動装置311は、上記特開2009−193373号公報に開示されたものとほぼ同一の構成を有する。よって、ここではその説明を省略する。なお、移動装置311は、同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
【0079】
次に、クリーニング装置321について説明する。図6〜図8に示すように、クリーニング装置321は、撮像装置23の撮像面284の移動経路に配置され、撮像面284を掃除する機能を有する。撮像面284を掃除できる機能であれば他の装置に換えることができる。本実施例においてクリーニング装置321は、ベース225面から突出して配置した不織布等で構成した拭き取り体322である。拭き取り体322は、撮像装置23の撮像面284の移動経路ないし非撮像位置に配置され、撮像面284に所定の力で摺接可能である。撮像面284を拭き取り体322で拭き払うことにより、撮像面284に付着した塵埃を除去できる。クリーニング装置321は、回転式のブラシ等に変更することができる。
【0080】
次に、図7および図10を参照しながら振分装置25について説明する。振分装置25は、移動装置22の出口275から送り出されたメダルMを真偽判別装置24の判別結果に基づいて真正メダルと偽メダルに振り分ける機能を有する。よって、振分装置25は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。本実施例における振分装置25は、出口275に連続して形成された断面矩形の下向き慣性移動通路331の中間に配置されている。振分装置25は、逸らせ体332、分岐通路333およびアクチュエータ334を含んでいる。
【0081】
下向き慣性移動通路331は、基台224に配置され、出口275から受け入れたメダルMを真正メダル出口335または偽メダル出口336に案内する機能を有する。よって、同様の機能を有する他の構成に換えることが出来る。本実施例において下向き慣性移動通路331は、出口275の下方に配置され、断面チャンネル形の樋状に形成され、撮像装置23から遠ざかる方向へ伸び、その底面337は遠ざかるにしたがって下降する下向き斜面に形成されている。通路幅は、対象メダルの最大直径に対し、1.1倍程度が好ましい。小型化するためである。
【0082】
また、底面337の傾斜角は、底面337上のメダルMが自重で自然落下できる角度が好ましい。メダルMが低速度で下向き慣性移動通路331へ進行した場合であっても、滞留させることなく振り分けるためである。下向き慣性移動通路331の伸長方向端部が真正メダル出口335である。メダルMは、下向き慣性移動通路331において移動体261による押動から開放された後であるので、移動体261の押動後の慣性力に依存して進行する。詳述すれば、撮像部ベース251に平行な横方向へのベクトルと重力によるベクトルとの合力の方向に進行する。
【0083】
換言すれば、メダルMは、下向き慣性移動通路331において図10の左下方へ落下しつつ進行し、真正メダル出口335から次の装置に供給される。よって、状況によりメダルMは、下向き慣性移動通路331の底面337上を滑り落ち、通路の空中を移動し、若しくは通路をバウンドしつつ移動する。なお、慣性移動通路であるから、出口275を設けずにベース225の延長上をメダルMが慣性移動する過程において、真正メダルと偽メダルに選別することもできる。この場合、メダルMがベース225の延長上を移動する通路が慣性移動通路である。
【0084】
逸らせ体332は、真偽判別装置24からの真正メダル信号TSまたは偽メダル信号FSに基づいて異なる通路へメダルMを案内する機能を有する。したがって、逸らせ体332は同様の機能を有する他の装置に変更することができる。本実施例において逸らせ体332は、底面337の中間に形成された振分開口338に配置される。振分開口338は、矩形の開口である。
【0085】
逸らせ体332は、振分開口338よりも一回り小型に形成された矩形の板状体であり、一端がアクチュエータ334の回動軸339に固定されている。回動軸339は、振分開口338の下流側端部に配置され、ノーマル状態において逸らせ体332が底面337の一部をなすよう傾斜して配置される。逸らせ体332の出口275側の先端は、底面337に連続する位置において、図示しないストッパによって係止され、保持される。この位置が待機位置SPである。また、アクチュエータ334が作動された場合、図10において反時計方向に回動され、水平線に対し約45度傾斜した鎖線位置で図示しないストッパによって係止され、保持される。このとき、逸らせ体332はガイド340の下面に形成された約45度で傾斜する案内斜面の延長上に位置し、下向き慣性移動通路331のほぼ全体を横断する。この位置が逸らせ位置DPである
【0086】
分岐通路333は、振分開口338の下方に位置し、平面視、下向き慣性移動通路331に対し直交方向へ伸びる断面チャンネル形の通路である。分岐通路333の底面341は、下向き慣性移動通路331から離れる方向に下向き斜面に形成される。この傾斜角は、メダルMが自重によって滑り落ちることが可能な角度である。分岐通路333の幅は、想定最大メダル直径の約1.3倍が好ましい。メダルMの暴れによるメダルジャムを防止するためである。分岐通路333の基台224の出口が偽メダル出口336である。よって、分岐通路333も下向き慣性移動通路331の一部であるが、偽メダルの混入率が低い場合は真正メダル出口335に向かう下向き慣性移動通路331となる。
【0087】
移動体261によって出口275に向かって弧状案内面272に案内されつつ移動されるメダルMは、弧状案内面272の端面から接線方向に高速で送り出される。送り出されたメダルMは、慣性力により進行しつつ重力により下方に落下して出口275から下向き慣性移動通路331へ進行する。メダルMが真正メダルと判別された場合、逸らせ体332は、図10に実線で示すように底面337の一部を構成しているので、下向き慣性移動通路331を進行するメダルMは、真正メダル出口335から飛び出した後、図1の真正メダル払出シュート8に誘導される。
【0088】
メダルMは、下向き慣性移動通路331において、通常は底面337に案内されることなく進行する。しかし、進行速度が低い場合や飛び出し方向がずれた場合、メダルMは下向き慣性移動通路331を構成する底面337および側壁によって案内される。逸らせ体332の先端は、底面337の延長線上若しくは僅かに下方に配置されるから、高速で移動するメダルMと衝突することはない。よって、メダルMの衝突による逸らせ体332の先端の損傷を防止することができる。
【0089】
メダルMが偽メダルであると判別された場合、偽メダル信号FSに基づいてアクチュエータ334が所定時間作動され、回動軸339が図10の反時計方向に回動される。これにより、逸らせ体332は回動軸339の反時計方向の回動によって図10の鎖線で示す逸らせ位置DPに移動される。逸らせ体332が逸らせ位置DPに位置した場合、メダルMが移動する下向き慣性移動通路331を横断する。下向き慣性移動通路331を移動するメダルMは、逸らせ体332に衝突して下方へ方向転換され、分岐通路333に案内される。分岐通路333に案内されたメダルMは、分岐通路333の底面341を自重により滑り落ちて偽メダル出口336から飛び出した後、図1の偽メダル収納ボックス9内に収納される。
【0090】
アクチュエータ334は、例えば、図12に示すロータリーソレノイド352であり、基台224に内蔵される。ロータリーソレノイド352は励磁されない場合、内蔵のスプリングによって回動され、回動軸339を介して逸らせ体332を待機位置SPに保持する。ロータリーソレノイド352が励磁された場合、逸らせ体332は逸らせ位置DPに移動される。ロータリーソレノイド352は、図12の振分制御部351からのソレノイド駆動信号SDSによって駆動される。すなわち、真偽判別装置24からの真正メダル信号TSおよびタイミング信号出力装置290からのタイミング信号TMSに基づいて励磁され、逸らせ体332を逸らせ位置DPへ移動させ、所定時間経過後消磁され、逸らせ体332を待機位置SPに戻す。偽メダル信号FSが連続する場合、ロータリーソレノイド352は消磁されず、逸らせ体332に逸らせ位置DPを継続させることが好ましい。消励磁の繰り返しによる逸らせ体332の移動タイミングズレによる不具合を防止するためである。
【0091】
次に、メダル通路11について説明する。図2に示すように、メダル通路11は、送出装置10(換言すれば、メダルホッパ装置100)から送り出されるメダルMを選別ユニット20に送る機能を有する。メダル通路11は、断面矩形の箱型であり、図1に示すように、メダルホッパ装置100の出口191から選別ユニット20の第2保留ボウル211に向けて延在している。メダル通路11の入口11aは、メダルホッパ装置100の出口191に相対して配置され、メダルホッパ装置100から送り出されるメダルMを受け入れ可能である。メダル通路11の出口11bは、選別ユニット20の第2保留ボウル211の受入開口212の上方に配置され、出口11bから放出されるメダルMを第2保留ボウル211に受け入れ可能である。メダルホッパ装置100の弾出装置106により弾き出されたメダルMは、出口191からメダル通路11の入口11aに導入され、慣性力によりメダル通路11内を進行して出口11bから放出される。放出されたメダルMは、選別ユニット20の第2保留ボウル211に受け入れられる。
【0092】
メダル通路11の上面11cにはほぼ矩形の開口12が形成され、除電装置13が開口12に相対して配置されている。本実施例では、除電装置13は、図示しない取付部によりメダル通路11に固定され、かつ、電気的に接地された除電ブラシ14である。除電ブラシ14のブラシ先端(図示せず)は、開口12を介してメダル通路11内に突出している。この突出したブラシ先端がメダル通路11内を移動するメダルMに接触することにより、メダルホッパ装置100において帯電されたメダルMが除電される。このように除電されたメダルMが選別ユニット20に供給されることにより、選別ユニット20の電気的作動をより安定させることができる。換言すれば、メダル選別装置1の誤作動が効果的に防止される。また、除電ブラシ14はメダル通路11に取り付けられているので、除電ブラシ14が磨耗した場合にも容易に交換可能であり、除電ブラシ14の交換により除電効果が維持される。換言すれば、メンテナンスが容易である。
【0093】
次に、制御装置30について説明する。図14に示すように、制御装置30は、入出力制御部401、選別計数制御部402および振分制御部351を含んでいる。
【0094】
まず、入出力制御部401について説明する。入出力制御部401は、操作ボタン6からの操作信号OPSを受けて表示器5に表示信号DPSを出力し、表示器5に各種情報を表示する機能を有する。また、入出力制御部401は、操作信号OPSに含まれる作動に関する情報を選別計数制御部402に出力する機能を有する。
【0095】
選別計数制御部402は、送出装置10(すなわち、メダルホッパ装置100)の第1電気モータ110と選別ユニット20の第2電気モータ241に対しモータ制御信号MCS1、MCS2をそれぞれ出力し、第1および第2電気モータ110、241を起動および停止する機能を有する。換言すれば、送出装置10および選別ユニット20の作動を制御する機能を有する。また、メダル検知装置108から供給されるメダル検知信号DSに基づきメダルホッパ装置100から送り出されたメダルMの枚数を計数すると共に、真偽判別装置24から供給された真正メダル信号TSおよび偽メダル信号FSに基づき真正メダル枚数および偽メダル枚数を計数する機能を有する。
【0096】
振分制御部351は、上述したように、ロータリーソレノイド352の作動を制御する機能を有する。
【0097】
(動作)
本実施例のメダル選別装置1は、選別計数動作の異なる2つの計数モードを有している。すなわち、計数モードには、送出装置10の第1保留ボウル103に貯留されたメダルMの全てを選別計数する「通常計数モード」と、指定された枚数の真正メダルが選別計数される毎に選別計数を停止する「バッチ計数モード」とがある。操作パネル4の操作ボタン6を使用することにより、「通常計数モード」および「バッチ計数モード」のいずれか一方が選択可能である。計数モードは、操作ボタン6により変更されない限り、設定済みの計数モードが有効となる。設定済みの計数モードは制御装置30の不揮発性メモリ(図示せず)に記憶され、電源がオフされた後の電源再投入時においても有効である。本実施例において、予め設定された計数モード(換言すれば、デフォルトの計数モード)は「通常計数モード」である。
【0098】
以下、図15〜図19を参照しながら、メダル選別装置1の動作について説明する。
【0099】
まず、図15に示すように、ステップS1において計数モードの変更があるか否かが判定される。計数モードの変更がある場合にはステップS2に進み、計数モードの変更がない場合にはステップS5に進む。
【0100】
ステップS2では、変更後の計数モードがバッチ計数モードであるか否かが判定される。変更後の計数モードがバッチ計数モードである場合、ステップS3に進み、選別する真正メダルの指定枚数Nbの入力があるか否かが判定される。指定枚数Nbの入力がある場合、ステップS4において指定枚数Nbが設定された後、ステップS5に進む。指定枚数Nbの入力がない場合、ステップS3を繰り返し実行する。換言すれば、指定枚数Nbの入力待ちの状態となる。
【0101】
ステップS2において変更後の計数モードがバッチ計数モードでない場合、ステップS5に進む。換言すれば、ステップS2において変更後の計数モードが通常計数モードの場合、ステップS5に進む。
【0102】
ステップS5では、選別計数を開始するか否かが判定される。選別計数の開始は、所定の操作ボタン6を押下することにより指示される。選別計数の開始が指示された場合、ステップS6に進み、選別計数が実行される。選別計数の開始が指示されない場合、ステップS1に戻り、ステップS1〜S5が繰り返し実行される。換言すれば、選別計数の開始が指示されるまでは、計数モードの変更が可能である。
【0103】
ステップS6では、図16および図17に示す各ステップにより、通常計数モードおよびバッチ計数モードのいずれかの選別計数が実行される。ステップS6の選別計数の実行後、ステップS1に戻る。換言すれば、計数モードの変更および同じ計数モードでの再実行が可能となる。
【0104】
図16および図17の選別計数ステップでは、最初のステップS11において、選別ユニット20の第2電気モータ241が起動される。換言すれば、選別ユニット20が作動される。
【0105】
次のステップS12では、初期設定がなされる。すなわち、送出装置10から送り出されたメダルMの総供給枚数Nt、選別ユニット20において真正メダルとして選別された真正メダル枚数Ntmおよび偽メダルとして選別された偽メダル枚数Nfmにそれぞれ「0」が設定される。また、インターバル時間tiに「3秒」が設定され、リトライ数Crおよびインターバル残り時間tirにそれぞれ「0」が設定される。
【0106】
送出装置10は、作動および非作動が繰り返されて間欠作動する。すなわち、図20に示すように、所定の非作動時間(ここでは、インターバル時間という)tiを隔てて複数の作動時間Ts1、Ts2、Ts3、…が存在する。総供給枚数Ntとは、選別計数が開始された後の現在時刻において、送出装置10から送り出されたメダルMの総枚数である。また、インターバル残り時間tirは、送出装置10の非作動時にインターバル時間tiに達するまでの残り時間である。換言すれば、インターバル残り時間tirは、インターバル時間tiから送出装置10の非作動後の経過時間tspを減算した時間「ti−tsp」である。なお、リトライ数Crについては後述する。
【0107】
次のステップS13では、インターバル残り時間tirが「0」であるか否かが判定される。インターバル残り時間tirが「0」である場合(すなわち、「tir=0」の場合)、ステップS14に進み、インターバル残り時間tirが「0」でない場合(すなわち、「tir≠0」の場合)、図17のステップS22に進む。換言すれば、インターバル時間tiが終了して送出装置10が作動状態であればステップS14に進み、インターバル時間ti中で送出装置10が非作動状態であればステップS22に進む。
【0108】
次のステップS14では、計数モードがバッチ計数モードであるか否かが判定される。バッチ計数モードである場合、ステップS15に進み、バッチ計数モードでない場合(すなわち、通常計数モードである場合)、ステップS19に進む。
【0109】
次のステップS15では、真正メダル枚数Ntmが図15のステップS4で設定された指定枚数Nb未満であるか否かが判定される。真正メダル枚数Ntmが指定枚数Nb未満の場合(すなわち、「Nb>Ntm」の場合)、ステップS16に進む。すなわち、ステップS16〜S28による設定供給枚数Nsの設定、ステップS20による現在供給枚数Ncの設定およびステップS21による第1電気モータ110の起動は実行されない。他方、真正メダル枚数Ntmが指定枚数Nb以上の場合(すなわち、「Nb≦Ntm」の場合)、図17のステップS22に進む。
【0110】
次のステップS16では、指定枚数Nbから真正メダル枚数Ntmを減算した値を設定供給枚数Nsに設定する。設定供給枚数Nsは、送出装置10の各作動時間Ts1、Ts2、Ts3、…において送出装置10から送り出す(すなわち、第2保留ボウル211に供給される)メダル枚数の上限値である。
【0111】
次のステップS17では、設定供給枚数Nsが最大供給枚数Nmを超えているか否かが判定される。最大供給枚数Nmは、第2保留ボウル211の容量を超えない範囲で適宜に設定されたメダル枚数であり、第2保留ボウル211のオーバーフローを防止するために設定される。設定供給枚数Nsが最大供給枚数Nmを超えている場合(すなわち、「Ns>Nm」の場合)、次のステップS18において設定供給枚数Nsに最大供給枚数Nmが設定される。設定供給枚数Nsが最大供給枚数Nm以下の場合(すなわち、「Ns≦Nm」の場合)、ステップS20に進む。換言すれば、設定供給枚数Nsがそのまま維持される。なお、本実施例では、第2保留ボウル211の容量が約100枚であり、最大供給枚数Nmは50枚に設定されている。これは、オーバーフローを完全に防止するためである。
【0112】
ステップS14においてバッチ計数モードでないと判定された場合、ステップS19において設定供給枚数Nsに最大供給枚数Nmが設定された後、ステップS20に進む。これは、通常計数モードの場合、設定供給枚数Nsを調整する必要がないからである。
【0113】
ステップS18またはステップS19に続いて実行されるステップS20では、現在供給枚数Ncに「0」が設定される。現在供給枚数Ncは、送出装置10の各作動時間Ts1、Ts2、Ts3、…において送出装置10から送り出された現在のメダル枚数である。
【0114】
次のステップS21では、第1電気モータ110が起動される。換言すれば、ステップS21において送出装置10(すなわち、メダルホッパ装置100)が作動される。
【0115】
次に実行される図17のステップS22では、図18に示す各ステップが実行され、メダルMの供給枚数がカウントされる。すなわち、ステップS41では、送出装置10のメダル検知装置108からメダル検知信号DSが出力されたか否かが判定される。メダル検知信号DSが出力された場合、ステップS42において現在供給枚数Ncおよび総供給枚数Ntにそれぞれ「1」が加算された後、図17のステップS22に戻る。換言すれば、メダル検知信号DSが出力されるとステップS42において現在供給枚数Ncおよび総供給枚数Ntが計数(カウントアップ)される。ステップS41においてメダル検知信号DSが出力されない場合、図17のステップS22に戻る。
【0116】
図17において次のステップS23では、図19に示す各ステップが実行され、メダルMの選別枚数がカウントされる。すなわち、ステップS51では、選別ユニット20の真偽判別装置24から真正メダル信号TSまたは偽メダル信号FSが出力されたか否かが判定される。真正メダル信号TSまたは偽メダル信号FSが出力された場合、ステップS52において真正メダル信号TSであるか否かが判定される。真正メダル信号TSである場合、ステップS53において真正メダル枚数Ntmに「1」が加算される。真正メダル信号TSでない場合(すなわち、偽メダル信号FSの場合)、ステップS54において偽メダル枚数Nfmに「1」が加算される。換言すれば、真偽判別装置24がメダルMを判別し、真正メダル信号TSが出力されるとステップS52、S53において真正メダル枚数Ntmが計数され、偽メダル信号FSが出力されるとステップS52、S54において偽メダル枚数Nfmが計数される。ステップS53、S54の実行後、図17のステップS23に戻る。
【0117】
図17において次のステップS24では、ステップS23において所定時間選別枚数のカウントがないか否かが判定される。選別枚数のカウントがない場合、ステップS31に進み、選別枚数のカウントがある場合、ステップS25に進む。
【0118】
ステップS25では、バッチ計数モードであるか否かが判定される。バッチ計数モードの場合、ステップS26に進み、バッチ計数モードでない場合(すなわち、通常計数モードの場合)、ステップS27に進む。
【0119】
ステップS26では、ステップS23で計数された真正メダル枚数Ntmが指定枚数Nb以上であるか否かが判定される。指定枚数Nb以上の場合(すなわち、「Ntm≧Ns」の場合)、ステップS35において第2電気モータ241が停止され、次のステップS35において第1電気モータ110が停止された後、図15のステップS6に戻る。換言すれば、真正メダル枚数Ntmが指定枚数Nbに達したときに、選別ユニット20および送出装置10の作動がそれぞれ停止されてステップS6の選別計数が終了する。
【0120】
ステップS26において真正メダル枚数Ntmが指定枚数Nb未満の場合(すなわち、「Ntm<Nb」の場合)、ステップS27においてインターバル残り時間tirが「0」であるか否かが判定される。インターバル残り時間tirが「0」である場合(すなわち、「tir=0」の場合)、ステップS28に進み、インターバル残り時間tirが「0」でない場合(すなわち、「tir≠0」の場合)、図16のステップS13に戻る。換言すれば、インターバル時間tiが終了して送出装置10が作動状態であればステップS28に進み、インターバル時間ti中で送出装置10が非作動状態であればステップS13に戻る。
【0121】
ステップS27からステップS13に戻った場合、インターバル残り時間tirが「0」ではないため、ステップS13の後にステップS22〜S24が実行される。そして、ステップS23において選別枚数のカウントがある場合、ステップS25〜S27が実行される。すなわち、送出装置10の非作動状態において、ステップS24で所定時間選別枚数のカウントがないと判定される(換言すれば、選別ユニット20の第2保留ボウル211内に貯留されたメダルMの全てが選別される)、または、ステップS26で真正メダル枚数Ntmが指定枚数Nb以上と判定されるまで、ステップS13、S22〜S27が繰り返し実行される。
【0122】
ステップS28では、現在供給枚数Ncが設定供給枚数Nsと等しいか否かが判断される。現在供給枚数Ncが設定供給枚数Nsと等しい場合(すなわち、「Nc=Ns」の場合)、ステップS29において第1電気モータ110が停止された後、ステップS30においてインターバル残り時間tirにインターバル時間tiが設定される。換言すれば、送出装置10が設定供給枚数NsのメダルMを送り出した時点で送出装置10は非作動状態とされ、インターバル残り時間tirが「3秒」に設定される。その後、図16のステップS13に戻る。
【0123】
ステップS30からステップS13に戻った場合、インターバル残り時間tirに「3」が設定されているため、ステップS13の後にステップS14〜S21が実行される。換言すれば、設定供給枚数Nsおよび現在供給枚数Ncが再設定された後、第1電気モータ110が起動されて送出装置10が作動される。換言すれば、送出装置10において、次の作動時間Ts1、Ts2、Ts3、…が開始される。
【0124】
ステップS28において現在供給枚数Ncが設定供給枚数Nsと等しくない場合(すなわち、「Nc≠Ns」の場合)、ステップS22に戻り、ステップS22〜S27が繰り返し実行される。換言すれば、送出装置10が設定供給枚数NsのメダルMを送り出すまでは、ステップS22〜S27が繰り返し実行される。
【0125】
ステップS24において所定時間選別枚数のカウントがない場合に実行されるステップS31では、第1電気モータ110が停止される。換言すれば、送出装置10が非作動状態となる。
【0126】
次のステップS32では、リトライ数Crに「1」が加算されると共に、インターバル残り時間tirにインターバル時間tiが設定される。換言すれば、リトライ数Crがカウントアップされ、インターバル残り時間tirが「3秒」に再設定される。
【0127】
次のステップS33では、リトライ数Crが「3」と等しいか否かが判定される。リトライ数Crが「3」と等しい場合(すなわち、「Cr=3」の場合)、ステップS34に進み、リトライ数Crが「3」と等しくない場合(すなわち、「Cr≠3」の場合)、図16のステップS13に戻る。
【0128】
ステップS33からステップS13に戻った場合、ステップS32においてインターバル残り時間tirに「3」が設定されているため、ステップS13の後にステップS22〜S24が実行される。そして、ステップS23において選別枚数のカウントがない場合、ステップS31〜S33が実行される。したがって、所定時間選別枚数のカウントがない場合、リトライ数Crが「3」に達するまで、ステップS13、S22〜S24、S31〜S33が繰り返し実行される。すなわち、リトライ数Crは、送出装置10の非作動状態において選別計数が繰り返し実行される回数である。
【0129】
ステップS33においてリトライ数Crが「3」と等しい場合、上述のステップS34およびステップS35が実行された後、図15のステップS6に戻る。換言すれば、リトライ数Crが所定回数を超えたときには、選別ユニット20および送出装置10の作動がそれぞれ停止されてステップS6の選別計数が終了する。
【0130】
次に、図20を参照しながらメダル選別装置1の動作の具体例を説明する。まず、図20(A)を参照して、指定枚数Nbが「200」のバッチ計数モードについて説明する。
【0131】
最初の作動時間Ts1では、図16のステップS16において設定供給枚数Nsに最大供給枚数Nmの「50」が設定され、送出装置10から50枚のメダルMが送り出されて選別ユニット20の第2保留ボウル211に供給される。この50枚のメダルMのうちの48枚が真正メダルとして選別され、2枚が偽メダルとして選別される。次の作動時間Ts2においても、設定供給枚数Nsに最大供給枚数Nmの「50」が設定されるので、送出装置10から50枚のメダルMが送り出され、そのうちの47枚が真正メダルとして選別され、3枚が偽メダルとして選別される。同様に、作動時間Ts3、Ts4において、送出装置10から50枚のメダルMがそれぞれ送り出され、そのうちの49枚および48枚が真正メダルとしてそれぞれ選別され、1枚および2枚が偽メダルとしてそれぞれ選別される。この時点で、総供給枚数Ntは200枚、真正メダル枚数Ntmは192枚、偽メダル枚数Nfmは8枚である。
【0132】
次の作動時間Ts5では、ステップS16において設定供給枚数Nsに指定枚数Nb(Nb=200)から真正メダル枚数Ntm(Ntm=192)を減算した枚数「8」が設定され、送出装置10から8枚のメダルMが送り出される。そのうちの6枚が真正メダルとして選別され、2枚が偽メダルとして選別される。この時点で、総供給枚数Ntは208枚、真正メダル枚数Ntmは198枚、偽メダル枚数Nfmは10枚である。
【0133】
次の作動時間Ts6では、ステップS16において設定供給枚数Nsに指定枚数Nb(Nb=200)から真正メダル枚数Ntm(Ntm=198)を減算した枚数「2」が設定され、送出装置10から2枚のメダルMが送り出される。そのうちの2枚が真正メダルとして選別される。こうして、200枚の真正メダルが選別計数され、選別計数が停止される。この時点で、総供給枚数Ntは210枚、真正メダル枚数Ntmは200枚、偽メダル枚数Nfmは10枚である。なお、再度選別計数を実行する場合、操作パネル4の所定の操作ボタン6を押下することにより可能となる。
【0134】
次に、図20(B)を参照して、通常計数モードについて説明する。ここでは、送出装置10の第1保留ボウル103に210枚のメダルMが貯留されているものとする。
【0135】
最初の作動時間Ts1では、図16のステップS19において設定供給枚数Nsに最大供給枚数Nmの「50」が設定され、送出装置10から50枚のメダルMが送り出されて選別ユニット20の第2保留ボウル211に供給される。この50枚のメダルMのうちの48枚が真正メダルとして選別され、2枚が偽メダルとして選別される。同様に、作動時間Ts2、Ts3、Ts4において、送出装置10から50枚のメダルMがそれぞれ送り出され、そのうちの47枚、49枚および48枚が真正メダルとしてそれぞれ選別され、3枚、1枚および2枚
【0136】
が偽メダルとしてそれぞれ選別される。この時点で、総供給枚数Ntは200枚、真正メダル枚数Ntmは192枚、偽メダル枚数Nfmは8枚である。
【0137】
次の作動時間Ts5では、ステップS19において設定供給枚数Nsに最大供給枚数Nmの「50」が設定されるが、第1保留ボウル103に貯留されているメダルMの残数は10枚であるため、送出装置10から10枚のメダルMが送り出され、そのうちの8枚が真正メダルとして選別され、2枚が偽メダルとして選別される。こうして、第1保留ボウル103に貯留された全210枚のメダルMの選別計数が完了する。
【0138】
以上述べた通り、本発明の一実施例のメダル選別装置1では、送出装置10、整列供給装置21、移動装置22、撮像装置23、真偽判別装置24、振分装置25および制御装置30を備える。送出装置10の第1保留ボウル103に貯留されたメダルMは、送出装置10により1枚ずつ分離されて送り出される。送出装置10から送り出されたメダルMは、整列供給装置21の第2保留ボウル211に供給されて一時保留され、整列供給装置21により1枚ずつ区分けされてメダルMの移動通路274に送り出される。整列供給装置21から送り出されたメダルMは、移動装置22により移動通路274に沿って移動される。移動通路274において、メダルMは撮像装置23により撮像されて画像情報が取得され、取得された画像情報に基づき真偽判別装置24によりメダルMの真偽が判別される。判別された真正メダル枚数Ntmは制御装置30により計数され、移動通路274に沿って移動するメダルMは真偽判別装置24の判別結果に基づいて振分装置25により真正メダル出口335および偽メダル出口336のいずれか一方に振り分けられる。そして、計数された真正メダル枚数Ntmに応じて送出装置10から第2保留ボウル211へ供給される設定供給枚数Nsが制御装置30により調整される。そのため、払い出される真正メダル枚数Ntmが指定枚数Nbを超えないように設定供給枚数Nsを調整すれば、指定枚数Nbの真正メダルを正確に払い出すことができる。しかも、整列供給装置21および移動装置22と送出装置10とを個別に作動させれば、整列供給装置21および移動装置22を停止させなくとも指定枚数Nbの真正メダルの払い出しが可能となるので、整列供給装置21および移動装置22の停止に起因した処理速度の低下が生じない。したがって、処理速度の低下を生じることなく指定枚数Nbの真正メダルを正確に払い出すことができる。
【0139】
また、第1保留ボウル103の容量を変更すれば、第2保留ボウル211の容量を変更することなくメダル選別装置1全体の処理容量を変更できる。しかも、送出装置10のみを所望容量の第1保留ボウル103を有するメダルホッパ装置100に置換すればよいので、変更は比較的容易である。したがって、小容量から大容量までの様々な仕様に容易に対応できる。
【0140】
さらに、送出装置10を介して第2保留ボウル211にメダルMが供給されるため、メダルMに付着したごみ等の異物は送出装置10を通過する際に低減される。そのため、撮像装置23の清掃のサイクルが長くなり、メンテナンス性が向上する。
【0141】
送出装置10は制御装置30により間欠作動され、かつ、送出装置10の間欠作動毎に設定供給枚数Nsが設定される。そのため、送出装置10のメダル送出速度を整列供給装置21のメダル送出速度より高めても、非作動時間を適宜の値に設定すれば、第2保留ボウル211におけるオーバーフローを防止できる。これにより、第2保留ボウル211の容量を小さくできるので、整列供給装置21の小型化が可能となり、ひいてはメダル選別装置1を小型化できる。
【0142】
制御装置30により送出装置10の間欠作動毎に真正メダル枚数Ntmと指定枚数Nbとの枚数差(Nb−Ntm)を求め、枚数差(Nb−Ntm)が最大供給枚数Nmを超える場合に設定供給枚数Nsを最大供給枚数Nmに設定し、枚数差(Nb−Ntm)が最大供給枚数Nm以下の場合に設定供給枚数Nsを枚数差(Nb−Ntm)に設定する。換言すれば、枚数差(Nb−Ntm)が最大供給枚数Nm以下となるまでは最大供給枚数NmのメダルMが第2保留ボウル211に供給され、枚数差(Nb−Ntm)が最大供給枚数Nm以下になると設定供給枚数Nsが減少されて指定枚数Nbに対する不足分のみが第2保留ボウル211に供給される。そのため、最大供給枚数Nmが大きい場合にも、枚数差(Nb−Ntm)が最大供給枚数Nm以下になると設定供給枚数Nsが段階的に減少される。したがって、指定枚数Nbのメダルを正確に払い出すことができると共に、間欠作動の繰り返し回数が減少して処理速度が高まる。
【0143】
真偽判別装置24によるメダルMの判別が所定時間行われない場合、送出装置10の非作動状態でメダルMの判別が実行される。そのため、第2保留ボウル211や移動通路274にメダルMが残存していても、残存するメダルMの判別が確実に実行されるため、指定枚数Nbの真正メダル枚数Ntmをより一層正確に払い出すことができる。
【0144】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施例では、送出装置10としてメダルホッパ装置100を使用しているが、同様の機能を有する他の装置に置き換えてもよい。整列供給装置21および移動装置22についても同様である。
【0145】
また、撮像装置23により取得された画像情報に基づきメダルMの真偽を判別しているが、画像情報以外の他の情報によりメダルの真偽を判別する場合にも本発明は適用可能である。
【0146】
さらに、真偽判別装置24から出力される真正メダル信号TSおよび偽メダル信号FSに基づいて制御装置30が真正メダル枚数Ntmおよび偽メダル枚数Nfmを計数しているが、他の計数装置を用いて真正メダル枚数Ntmおよび偽メダル枚数Nfmを計数することもできる。例えば、真正メダル出口335および偽メダル出口336の近傍にメダル検知装置を設置してもよい。
【0147】
上記実施例では、メダル選別装置1について説明したが、硬貨選別装置への適用も勿論可能である。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、ゲーム場等で使用されるメダル選別装置に好適である。特に、他店メダルなどの偽メダルを排除し、かつ、所定枚数の真正メダルを選別する機能を有するメダル選別装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0149】
1 メダル選別装置
2 筐体
2a 上面
2b 底面
2c 前面
2d 背面
2e 右側面
2f 左側面
3 メダル投入口
3a 開口
4 操作パネル
5 表示器
6 操作ボタン
7 払出シュートカバ
8 真正メダル払出シュート
8a 収納袋装着用リング
9 偽メダル収納ボックス
10 送出装置
11 メダル通路
11a 入口
11b 出口
11c 上面
12 開口
13 除電装置
14 除電ブラシ
20 選別ユニット
21 整列供給装置
22 移動装置
23 撮像装置
24 真偽判別装置
25 振分装置
26 判別手段
30 制御装置
100 メダルホッパ装置
101 フレーム
102 ベース
103 第1保留ボウル
104 回転ディスク
105 周方向案内装置
105A 第1規制体
105B 第2規制体
106 弾出装置
107 出口通路
108 メダル検知装置
109 出口通路画定装置
110 第1電気モータ
111 下端ベース部
112 サポート部
121 上面
122 ガイド穴
122a 底面
123A、123B 第1取付部
124A、124B 第2取付部
125 出口開口
126 取付部
127 回転軸
128 周壁
131 下端部
132 上端部
133 上部開口
134 底孔
141 通孔
142 導入部
143 中央凸部
144 リブ
145 第1押動部
146 第2押動部
161 第1ガイド
162 第2ガイド
163 付勢手段
164 ガイド体
164a 弧状端部
165 支軸
166 ローラ
167 支軸
168 揺動レバ
171 凹溝
172 出口通路画定ガイド
173 底面
181 作用片
182 検知装置
191 出口
211 第2保留ボウル
212 受入開口
213 円形孔
221 送出装置
222 通孔
223 回転ディスク
224 基台
225 ベース
226 案内体
231 第1円形孔
232 回転軸
233 攪拌部
234 押出突条
235、236 規制ピン
237 連通路
238 ローラ
241 第2電気モータ
242 伝達機構
243 伝達装置
251 撮像部ベース
252 他部位ベース
253 大凡矩形状の開口
253 開口
254 気流孔
261 移動体
262 回転体
263A、263B、263C 押動レバ
264 回転軸
265 回動経路
266 縁部上面
267A、267B、267C 受入凹部
268 周縁部
269 中央部
271 第2円形孔
271 弧状案内面
272 弧状案内面
273 凹溝
274 移動通路(移動経路)
275 出口
281 本体
282 カメラ
283 投光装置
284 撮像面
285 ガラス板
286 タイミング信号生成装置
287 円板
288 第1タイミングセンサ
289 第2タイミングセンサ
290 タイミング信号出力装置
291 タイミング信号出力回路
292A、292B、292C 基準透孔
293 分角透孔
294 投光部
295 受光部
296 投光部
297 受光部
301 取得画像情報器
302 基準画像情報器
303 比較器
304 判別器
311 移動装置
321 クリーニング装置
322 拭き取り体
331 下向き慣性移動通路
332 逸らせ体
333 分岐通路
334 アクチュエータ
335 真正メダル出口
336 偽メダル出口
337 底面
338 振分開口
339 回動軸
340 ガイド
341 底面
351 振分制御部
352 ロータリーソレノイド
401 入出力制御部
402 選別計数制御部
C1 第1同心円
C2 第2同心円
M メダル
CS カウント信号
SS 基準信号
TMS タイミング信号
PS 投光信号
DS メダル検知信号
TS 真正メダル信号
FS 偽メダル信号
DPS 表示信号
MCS1、MCS2 モータ制御信号
OPS 操作信号
SDS ソレノイド駆動信号
Cr リトライ数
Nb 指定枚数
Nc 現在供給枚数
Nfm 偽メダル枚数
Nm 最大供給枚数
Ns 値を設定供給枚数
Ns 設定供給枚数
Nt 総供給枚数
Ntm 真正メダル枚数
ti インターバル時間
tir インターバル残り時間
Ts2、Ts3、Ts4 作動時間
tsp 非作動後の経過時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル(M)の真偽を判別して真正メダルおよび偽メダルに選別すると共に選別された真正メダルを計数し、指定枚数(Nb)の真正メダルが計数される毎に当該選別および計数を停止して前記指定枚数(Nb)の真正メダルが払い出されるバッチ計数機能を有するメダル選別装置であって、
第1保留ボウル(103)に貯留されたメダル(M)を1枚ずつ分離して送り出す送出装置(10)と、
前記送出装置(10)から供給されたメダル(M)を第2保留ボウル(211)に一時保留し、かつ、前記一時保留されたメダル(M)を1枚ずつ区分けしてメダル(M)の移動経路(274)に送り出す整列供給装置(21)と、
前記整列供給装置(21)から送り出されたメダル(M)を前記移動経路(274)に沿って移動させる移動装置(22)と、
前記移動経路(274)においてメダル(M)の真偽を判別するメダル判別手段(26)と、
前記メダル判別手段(26)の判別結果に基づき、前記移動経路(274)に沿って移動するメダル(M)を真正メダル出口(335)および偽メダル出口(336)のいずれか一方に振り分ける振分装置(25)と、
前記メダル判別手段(26)により判別された真正メダルの枚数(Ntm)に応じて前記送出装置(10)から前記第2保留ボウル(211)へ供給される供給メダル枚数(Ns)を調整する制御装置(30)と、を備えるメダル選別装置。
【請求項2】
前記制御装置(30)が、前記送出装置(10)を作動および非作動を繰り返す間欠作動させると共に、前記送出装置(10)の間欠作動毎に前記供給メダル枚数(Ns)を設定する請求項1に記載のメダル選別装置。
【請求項3】
前記制御装置(30)が、前記送出装置(10)の間欠作動毎に前記真正メダル枚数(Ntm)と前記指定枚数(Nb)との枚数差(Nb−Ntm)を求め、前記枚数差(Nb−Ntm)が所定値(Nm)を超える場合に前記供給メダル枚数(Ns)を前記所定値(Nm)に設定し、前記枚数差(Nb−Ntm)が前記所定値(Nm)以下の場合に前記供給メダル枚数(Ns)を前記枚数差(Nb−Ntm)に設定する請求項2に記載のメダル選別装置。
【請求項4】
前記メダル判別手段(26)によるメダル(M)の判別が所定時間行われない場合、前記送出装置(10)の非作動状態で前記メダルの判別が実行される請求項3に記載のメダル選別装置。
【請求項5】
前記メダル判別手段(26)が、前記移動経路(274)に沿って移動するメダル(M)を撮像し画像情報を取得する撮像装置(23)と、前記撮像装置(23)で取得された画像情報に基づきメダル(M)の真偽を判別する判別装置(24)と、を有する請求項4に記載のメダル選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−109477(P2013−109477A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252668(P2011−252668)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】