説明

メチオニナーゼ阻害剤

【課題】人体に有害な影響がなく、安心して使用できる、安全性の高い植物抽出物を有効成分とする、細菌由来のメチオニナーゼ阻害剤の提供。
【解決手段】蓼藍など藍染め用染料のインディゴを生成するインジカンを含む含藍植物とよばれる草木である藍草の植物体を溶媒により抽出して得られる藍草抽出物を有効成分とするメチオニナーゼ阻害剤。該阻害剤は、メチルメルカプタン生成抑制剤、メチルメルカプタン低減又は口臭抑制剤として有効である。該阻害剤は、経口用組成物として、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、飼料、餌料、又は、ペットフードに配合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口臭の原因物質であるメチルメルカプタンの産生に関与する細菌由来のメチオニナーゼの阻害剤(以下、「メチオニナーゼ阻害剤」という。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
口臭は、口腔より出される悪臭の総称で、その主要成分は硫化水素、メチルメルカプタン及びジメチルスルフィド等の揮発性硫黄化合物といわれており、なかでもメチルメルカプタンは口臭と強い相関関係が認められる。これらは、食物残渣、口腔内の剥離上皮細胞及び唾液蛋白質等含まれる含硫アミノ酸を口腔内細菌が代謝、分解することにより発生する。メチルメルカプタンは、口腔内での蛋白質合成の抑制、コラーゲン合成の抑制及び口腔内粘膜の透過性の亢進等、人体に対して有害な作用を有しているので、メチルメルカプタンの生成抑制は、口臭の低減だけでなく、健康維持の上でも重要な課題である。
【0003】
従来、口臭除去は、歯磨剤、洗口剤等の外用剤や、ガム、キャンディ、口中清涼フィルム等の食品が利用されてきた。これらの製品の中には口臭除去の目的のために、銅クロロフィリンナトリウムのような悪臭成分に対する直接的な消臭成分が配合されていることが多く、メチルメルカプタンに化学的に反応する消臭成分としては緑茶(例えば、特許文献1参照)、延命草(例えば、特許文献2参照)やラズベリー(例えば、特許文献3参照)等も提案されている。また、外用剤では、抗菌成分を配合している製品も数多く存在する。
【0004】
口臭の主原因であるメチルメルカプタンは、フゾバクテリウム ヌクレイタム(Fusobacterium nucleatum)やポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)等の口腔内細菌が持つ菌体内酵素のメチオニナーゼにより、含硫アミノ酸のL−メチオニンから生成する。近年、このメチオニナーゼの活性(以下、単に「メチオニナーゼ」という場合がある。)を阻害して、口臭の原因となるメチルメルカプタンの生成を抑制する試みがなされている。ヒトには、メチオニナーゼは存在しないので、メチオニナーゼの阻害によりメチルメルカプタンの発生を抑制し、口臭の発生を抑制する方法は、人体に有害な影響を与えない、安全でかつ効果的な口臭の抑制方法である。
【0005】
現在まで、メチオニナーゼ阻害剤としてトマト、アセンヤク、キラヤ樹皮、カラホオ、ホオノキ、アカメガシワ、クワ、アイスランドゴケ、グァバ、ホアハウンド、ガラナ、オオバコ、アルカネット、アケビ、クコ、カゴソウ、オレガノ、フェンネル、ハス、キンカン、緑茶やシソ等の天然物由来の抽出成分が提案されており(例えば、特許文献4及び5参照。)、これらが、口腔内細菌のポルフィロモナス ジンジバリスによるメチルメルカプタン産生を抑制することが明らかになっている。しかしながら、口臭抑制を目的とするメチオニナーゼ阻害剤は、長期間継続的に使用する必要があるので、単一の有効成分だけでは、十分な効果が得られない場合や、有効成分に特有の味や臭いのために、人によっては長期間の摂取の継続を拒絶する場合があるので、摂取しても、安全で、かつ、十分な効果が得られる新規メチオニナーゼ阻害剤の開発が望まれている。
【0006】
一方、藍草は、藍染め用染料のインディゴを生成するインジカンを含む含藍植物とよばれる草木で、蓼藍、琉球藍(キツネノマゴ科)、蝦夷藍(アブラナ科)、山藍(トウダイグサ科)、インド藍(マメ科)等がある。日本等では、蓼藍は染料の調製に用いられるだけでなく、その葉及び果実には有用な生理活性成分が含まれているとされ、その葉及び果実を陽乾して得られる藍葉及び藍実は、古来、生薬として用いられている。また、近年、藍草抽出物のもつ、抗腫瘍活性、抗ウイルス活性、抗菌活性、抗アレルギー活性等の作用を期待した飲食品、化粧品、医薬品等が提案されている(例えば、特許文献6乃至特許文献9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭58−18098号公報
【特許文献2】特許第3233759号公報
【特許文献3】特公平5−36061号公報
【特許文献4】特開2002−3353号公報
【特許文献5】特開2005−162697号公報
【特許文献6】特開2001−31581号公報
【特許文献7】特開2004−189732号公報
【特許文献8】国際公開WO 2003/035091号パンフレット
【特許文献9】国際公開WO 2008/062861号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、人体に有害な影響がなく、安心して使用できる、安全性の高い植物抽出物を有効成分とするメチオニナーゼ阻害剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するために、古来より生薬や食品として利用されている安全性の高い植物に注目し、口腔内細菌の持つメチオニナーゼに対して阻害作用を有する抽出物を検索したところ、藍草抽出物が、強いメチオニナーゼ阻害活性を有することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、藍草抽出物を有効成分とするメチオニナーゼ阻害剤を主な構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤は、メチルメルカプタンの産生を抑制する作用を有するので、経口用組成物として口腔内で使用することにより、口臭を低減し、口腔内環境を改善することができる。また、本発明のメチオニナーゼ阻害剤の有効成分の藍草抽出物は、古くより食経験があり、長期間、安全に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で使用する「藍草」とは、藍染め用の染料の調製に主要な役割を果たすインジカンを含む、いわゆる、含藍植物をいい、具体的には、蓼藍(タデ科)、琉球藍(キツネノマゴ科)、蝦夷藍(ウォード;アブラナ科)、山藍(トウダイグサ科)、インド藍(マメ科)を挙げることができ、他にもキク科、モクセイ科、ラン科等に属する植物であってもよい(以下、本明細書ではこれらの含藍植物を総称して「藍草」という場合がある。)。なかでも、タデ科に属する1年生の植物「蓼藍」(ポリゴナム ティンクトリウム ロウア:Polygonum tinctorium Lour)は、入手しやすく、特有の抗菌成分であるトリプタンスリンを豊富に含んでいることから、口腔内の細菌数を低減できるので、口臭抑制を含む口腔内の環境改善に使用するには望ましい。
【0012】
本発明で使用する藍草は、その起源や栽培方法に特に制限はなく、天然に自生する藍草でも、栽培されているものでもよく、これらを常法により育種して得られる変異株等でもよく、また、藍草を、組織培養、カルス培養、細胞培養等により得ることのできる培養物であってもよい。植物体を抽出の原料として用いる場合、その植物体の一部又は全部を用いることができる。また、これらの原料は新鮮な、すなわち、水分を含む状態であっても、凍結品であっても、或いは、乾燥させた状態であっても、これらの混合物であってもよい。取り扱いの容易さの点では、乾燥物が望ましい。
【0013】
本発明で使用する藍草抽出物は、藍草の植物体の全部或いはその一部に溶媒を加えて、食品工業、化粧品工業や医薬品工業等において通常一般に行われる抽出法により調製すればよい。なお、藍草抽出物の製造には、上記以外にも、藍草の搾汁物を利用することも、この搾汁物と抽出液とを混合して利用することも、さらには疎水性の有機溶媒抽出液を使用することもできる。また、溶媒抽出の前に、上記原料を、食品工業、化粧品工業や医薬品工業等において通常一般に用いられる、細断、破砕、磨砕、粉砕、圧搾、発酵、乾燥、冷凍等の1種又は2種以上を適宜組み合わせた、物理的及び/又は化学的前処理を施すことにより、藍草の細断物、破砕物、磨砕物、粉砕物、圧搾物、発酵物、乾燥物、或いは、凍結物とし、これらの何れか1種又は2種以上を抽出用の原料として使用することも随意である。また、細断物、破砕物、磨砕物、粉砕物、圧搾物、発酵物、乾燥物、或いは、凍結物をそのままで、又は、抽出物と共に、本発明のメチオニナーゼ阻害剤の有効成分として使用してもよい。
【0014】
本発明で使用する藍草抽出物を調製するための溶媒としては、水性溶媒(例えば水、酸性又は塩基性の水性溶媒等)、アルコール類(例えば、メタノール、無水エタノール、エタノール等の低級アルコール、多価アルコール)、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類等、グリセリン、プロピレングリコールの1種又は2種以上を適宜混合して使用することができる。なかでも、安全性の点からは、水が望ましく、水を含む混合溶媒(以下、本明細書では、藍草の溶媒による抽出液を総称して、「藍草抽出物」という場合がある。)も望ましい。混合溶媒としては、水とエタノールの組み合わせが特に望ましく、通常は、エタノールの濃度が、70質量%以下のものが好ましく、60質量%以下(以下、本明細書では、特に断らない限り「質量%」を「%」と表記する。)のものが特に好ましい。また、適宜、酸、アルカリ、又は緩衝剤等により抽出溶媒を所望のpHに調整することも随意である。抽出は、通常は、pH2.0乃至pH13.0の範囲で行われ、pH4.0乃至pH10.0の範囲が好ましく、pH4.0乃至pH7.5の範囲が特に望ましい。
【0015】
この藍草抽出物の調製には、以上の如き抽出溶媒を、前述の原料に対して適量使用すればよく、通常、質量比で0.1乃至30倍量、望ましくは0.5倍量乃至10倍量を添加し、必要に応じて、撹拌処理、加熱処理、加圧処理、超音波処理等を施し抽出した後、濾過、遠心分離、デカンテーション等の適宜の方法で、液体部分と残渣に分け、液体部分を採取して藍草抽出物を調製することができる。また、残渣にさらに繰返し同様の抽出処理を施し、採取されるそれぞれの液体部分を合一して抽出物を得ることも随意である。また原料及び残渣に、2回以上の抽出処理を施す場合、それぞれ異なる抽出溶媒を用いて所望の液体部分のみを採取したり、これらを合一して、藍草抽出物とすることも随意である。この溶媒による抽出工程は、必要とする成分が抽出できる時間であれば特に制限はなく、藍草の粉砕の程度や抽出用の溶媒の温度にもよるが、通常、1分乃至120時間程度行われ、5分乃至48時間程度が望ましい。
【0016】
また、これらの藍草抽出物を調製する際に、澱の発生や褐変を抑制したり、異臭の発生や、微生物の増殖抑制等を目的として、後述の、界面活性剤、防腐剤(抗菌剤)、保湿剤、増粘剤、水溶性高分子、抗酸化剤、キレート剤、色素、香料、pH調整剤、L−アスコルビン酸やその誘導体を含むビタミン類、添加剤から選ばれる1種又は2種以上を加えることもできる。また、これらの成分の添加時期や添加量は、本発明の効果を妨げない限り、特に制限はなく、抽出工程の任意の時期に添加すればよい。
【0017】
このようにして抽出して調製した藍草抽出物は、そのままで、さらに、藍草の有する生理作用効果を向上させるために、必要に応じて、通常の食品工業、化粧品工業、医薬品工業等において慣用の方法、例えば、遠心分離、真空濃縮、逆浸透膜濃縮、限外濾過、精密濾過等の濾過や濃縮処理を適宜組み合わせて施し、その有効成分含量を高めた藍草抽出物として利用できる。また、これらの液状の抽出物を、そのままで、或いは、澱粉部分分解物等の粉末化基剤等と混合し、脱水して粉末化することも随意である(例えば特許文献9参照)。なお、疎水性有機溶媒抽出液を使用してこれを粉末化する場合には、これに水と、必要に応じて乳化剤を加えて抽出物を水に懸濁及び/又は溶解した後、澱粉部分分解物等の粉末化基剤と混合、撹拌して、上記方法により、乾燥して粉末化することもできる。また、当該液状の抽出物をその使用目的に応じて精製し、その含有成分であるところのポリフェノール、アルカロイド、テルペノイド、ステロイド、フェノール類、色素、糖質、蛋白質、アミノ酸、核酸、ペプチド、脂質等の1種又は2種以上の含有比率を増加又は低減したり、さらに、これらを粉末化することも随意である。目的とする成分の種類にもよるが、精製手段は、例えば、濾過、濃縮、遠心分離、溶媒分別、分別沈澱、透析、疎水性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー及び/又はイオン交換クロマトグラフィー等から適宜の方法が選ばれる。また、限外濾過や精密濾過等の処理は、藍草の有用成分を低減することなく、澱等の固形分、澱の発生やアレルギーの原因となる高分子画分を除去し、澄明な液状の藍草抽出物を得るために使用することもできる。本発明の藍草抽出物は、メチオニナーゼ阻害活性の強さやメチオニナーゼ活性を持つ口腔内の微生物に対する抗菌性の強さの点から、ポリフェノールを50μg/mL以上含有するものが望ましい。
【0018】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤は、上記方法によって調製した藍草抽出物をそのままで、又は、本発明の効果を妨げない範囲で、生理学的、製剤学的に許容される成分や、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、飼料、餌料、或いは、ペットフード等に配合することのできる適宜の成分を1種以上添加混合して、経口用組成物の形態で使用することができる。なお、本発明のメチオニナーゼ阻害剤の経口用組成物の形態とは、化粧品、医薬品、医薬部外品として口腔内に適用される外用剤、ドリンク剤、トローチ剤等の医薬品、医薬部外品、及び、飲食品をいい、動物やペットに使用するものを含む。
【0019】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤は、藍草抽出物を、阻害剤の総質量に対して、固形物換算で、約0.01%以上、望ましくは約0.1%以上、より望ましくは0.2%乃至70%、特に望ましくは0.1%乃至30%の範囲で配合すればよい。なお、本発明のメチオニナーゼ阻害剤を飲食品の形態で使用する場合には、特に嗜好性の面も考慮すると約0.01乃至5%、望ましくは約0.1乃至3%の割合になるように配合するのが好適である。
【0020】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤に、藍草抽出物と共に配合できる適宜の成分としては、具体的には、例えば、水、アルコール類、油成分、界面活性剤、防腐剤、抗菌剤、香料、保湿剤、増粘剤、水溶性高分子、pH調整剤、発泡剤、粉体、還元性糖質、非還元性糖質、糖アルコール、高甘味度甘味料、水溶性多糖類、有機酸、無機酸、塩類、乳化剤、酸化防止剤、キレート作用を有する物質、着色料、着香料、保存料、酸味料、旨味料、甘味料、安定剤、増量剤、アルコール類、水溶性高分子、ビタミン類やその誘導体、アミノ酸類、生理活性物質、抗炎症剤、医薬品・医薬部外品・化粧品・食品用の添加剤、医薬用・医薬部外品用の有効成分等を挙げることができる。また、藍草抽出物以外の口臭抑制効果を有する成分と併用することも有利に実施できる。
【0021】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤に配合できる藍草抽出物以外の口臭抑制効果を有する成分としては、具体的には、トマト、アセンヤク、キラヤ樹皮、カラホオ、ホオノキ、アカメガシワ、クワ、アイスランドゴケ、グァバ、ホアハウンド、ガラナ、オオバコ、アルカネット、アケビ、クコ、カゴソウ、オレガノ、フェンネル、ハス、キンカン、緑茶、シソ、カンゾウ、ケイヒ、チョウジ、ウイキョウ、プロポリス等の天然物由来の抽出成分、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、クロルヘキシジン類、トリクロサン塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ヒノキチオール等の抗菌成分、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅の有機酸又無機酸の塩、鉄クロロフィリンナトリウム、グルコン酸亜鉛等の消臭成分、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、シクロデキストリン、環状四糖、α,α−トレハロースやその糖質誘導体などの非還元性糖質、ヘスペリジン、ルチンやそれらの誘導体などのビタミンP類等を例示することができる。口臭抑制効果の強さや安全性を考慮すると天然物由来成分、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸亜鉛、鉄クロロフィリンナトリウム、非還元性糖質及び/又はビタミンP類が望ましく、天然物由来成分、銅クロロフィリンナトリウム、環状四糖、ビタミンP類が特に望ましい。これらの成分のメチオニナーゼ阻害剤への配合量は、本発明のメチオニナーゼ阻害剤の有効成分である藍草抽出物と相加的又は相乗的に作用して、口腔内のエチルメルカプタン量を効果的に低減できる量であれば特に制限はなく、通常、メチオニナーゼ阻害剤の総質量に対して、固形物換算で、0.01%以上、望ましくは0.1以上、より望ましくは1%以上、特に望ましくは1〜5%配合すればよい。
【0022】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤を飲食品の形態で利用する場合には、例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、マヨネーズ、ドレッシング、粉末すし酢、中華の素、ソース、ケチャップ、焼肉のタレ、カレーのルウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、核酸系調味料、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガー等の調味料類や甘味料類を挙げることができる。
【0023】
また、例えば、煎餅、あられ、おこし等の米菓類、求肥、もなか、餅、おはぎ、まんじゅう、かるかん、ういろう、あん類、羊羮、水羊羮、錦玉、きんつば、スィートポテト、ゼリー、ハバロア、カステラ、飴玉等の各種和菓子類、ビスケット、クッキー、クラッカー、パイ、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、ペストリー類等の焼き菓子、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、チョコレート、チューインガム、ヌガー、ゼリービーンズ、グミキャンディ、キャラメル、マシュマロをはじめとするソフトキャンディ、ハードキャンディ、フォンダント、アイシング等の洋菓子類、スナック菓子類、シリアル類、センターリキッド菓子類、メレンゲ菓子類、食パン、ロールパン、アンパン、マフィン等のパン類、果実のシロップ漬、氷蜜等のシロップ類、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト、スプレッド等のペースト類、ジャム、マーマレード、プレザーブ、シロップ漬、糖果、カット果実等の果実の加工品類、もやし、アルファルファ、ブロッコリースプラウト等の発芽野菜、青汁等の野菜ジュース、カット野菜、サラダ、野菜の煮物等の野菜の加工食品類、各種漬物やそれを製造するための浅漬けの素等の漬物の素類、白飯、おにぎり、おこわ、おかゆ、寿司飯、炊き込みご飯、α化米等の米飯類、豆乳、豆腐、高野豆腐、納豆等の豆の加工品類、うどん、和そば、ラーメン、パスタ等の麺類、お好み焼き、たこ焼き、鯛焼き、コロッケ、餃子、シュウマイ、春巻き、ハムやソーセージ等の畜肉加工品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、天ぷら等の魚肉加工品類、ウニ、イカの塩辛、酢こんぶ、さきするめ、ふぐのみりん干し、いくら、味付け海苔等の各種珍味類、焼肉、蒲焼き、団子、煎餅等の味付けに使用するタレ類、海苔、山菜、するめ、小魚、貝等で製造されるつくだ煮類、煮豆、ポテトサラダ、こんぶ巻等の惣菜食品、卵、オムレツ、卵焼き、茶碗蒸し等の卵加工品類、チーズ、ヨーグルト等の乳製品類、魚肉、畜肉、果実、野菜、或いは、これら飲食品の冷凍品、冷蔵品、チルド品、レトルト品、乾燥品、凍結乾燥品、さらには、野菜のビン詰類、缶詰類、プリンミックス、ホットケーキミックス、バッターミックス等のミックス類、即席しるこ、即席スープ等の即席食品、離乳食、治療食、ペプチド食品、清酒、合成酒、リキュール、洋酒、ビール、発泡酒等のアルコール飲料、お茶、紅茶、コーヒー、ココア、ジュース、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料等の清涼飲料水等の各種飲食品の形態を挙げることができる。さらには、固状(錠剤、散剤、顆粒剤等)、ペースト状、シラップ状、液状、マイクロカプセル、カプセル等の形態の医薬品や医薬部外品であってもよく、動物やペット用の飼料、餌料、ペットフードの形態でも利用することもできる。
【0024】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤は外用剤の形態で使用することもできる。外用剤の形態としては、具体的には、粉歯磨、潤性歯磨、練歯磨、水歯磨、薬用歯磨、口中清涼剤、口中清涼フィルム、口腔内貼付剤(フィルム状の製剤を含む)、マウスウオッシュ、うがい薬等を例示することができる。
【0025】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤は、有効成分である藍草抽出物を、その組成や使用形態を勘案して、原料の段階から製品が完成するまでの工程で配合して製造すればよい。その方法としては、例えば、混和、混捏、溶解、融解、分散、懸濁、乳化、逆ミセル化、浸透、晶出、散布、塗布、付着、噴霧、被覆(コーティング)、注入、浸漬、固化、担持等の公知の1種又は2種以上の方法が適宜に選ばれる。このようにして調製された本発明のメチオニナーゼ阻害剤は、その形状を問わず、例えば、シラップ、マスキット、ペースト、粉末、固状、顆粒、錠剤等の何れの形状であってもよく、そのままで、又は、必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤等と混合して、顆粒、球状、短棒状、板状(シート状、フィルム状を含む)、立方体、錠剤、カプセル剤等各種形状に成型して使用することも随意である。
【0026】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤は、藍草抽出物を有効成分として含有しているので、副作用もなく安全で、経口摂取により口腔内の微生物のもつメチオニナーゼの活性を阻害し、口腔内のメチルメルカプタンの生成を効果的に抑制することができるので、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、サルなどの哺乳動物に口臭を抑制する目的で使用することができる。
【0027】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤は、メチルメルカプタン生成抑制剤、メチルメルカプタン低減剤、口臭抑制剤としても有利に使用できる。また、これらの効果がある旨を表示して販売することも有利に実施できる。
【0028】
以下、実験により、本発明をさらに詳しく説明する。
【0029】
<実験1>
<微生物によるメチルメルカプタン産生に及ぼす藍草抽出物の影響>
後述の実施例1の方法で、市販の蓼藍乾燥葉3kgに精製水30kgを加えて煮出して調製した抽出液を、さらに、濃縮して8kgの藍草抽出物(固形分含量27mg/mL、固形分換算でポリフェノールを70mg/g、トリプタンスリンを340μg/g含有)を調製した。この、藍草抽出物を蒸留水で希釈して、藍草抽出物由来の固形分含量が表1に示す量となる5種類の試験試料を調製した(試験試料1乃至5)。ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)JCM12257株及びATCC33277株(以下、各々「JCM12257株」、「ATCC33277株」という場合がある。)を、各々、5μg/mLのヘミン(hemin)と0.5μg/mLのビタミン K3とを含むブレインハートインヒュージョンブイヨン培地(日水製薬株式会社販売、以下、「BHI培地」という)を使用して、37℃で培養した。培養は、嫌気ジャーに酸素吸収・炭酸ガス発生剤(三菱ガス化学株式会社販売、商品名「アネロパック・ケンキ」)を組み合わせた嫌気条件下で、培養液の濁度(550nmの吸光度(光路長10mm)、以下「OD550」と略記する。)が約0.8になるまで行い、その後、遠心により(3,500×g、5分間)菌体を集菌した。この菌体を、50mM塩化ナトリウムを含む40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.6)で2回洗浄後、OD550が約0.3になるように同じ緩衝液に懸濁した。この菌体懸濁液を、15mL容ポリプロピレンチューブ(ベクトン・ディッキンソン株式会社販売、商品名「Falcon 2059」)に850μLずつ分注後、各チューブに100mMのL−メチオニン溶液50μLを加え、さらに、試験試料1乃至5の何れかを100μL添加して、密栓後、37℃で90分間、インキュベートした。各チューブに、3Mリン酸溶液500μLを添加して反応を停止し、ヘッドスペース中のガス(以下、「ヘッドスペースガス」という。)に含まれるメチルメルカプタン量を、下記条件のガスクロマトグラフィーにより定量した。対照として、試験試料に替えて蒸留水を添加してインキュベートしたときの、ヘッドスペースガス中のメチルメルカプタン量を測定した。対照のメチルメルカプタン量を100%として、各試験試料を添加した時のメチルメルカプタン量の相対値を求め、100%から減じて、メチルメルカプタン生成抑制率(%)として表1に併せて示す。
<メチルメルカプタンの定量方法>
装置:ガスクロマトグラフィー装置(株式会社島津製作所販売、商品名「ガスクロマト
グラフ GC−8APF」)
カラム:β,β’−Oxydipropionitrile(ジーエルサイエンス社販
売、ODPN、25% Uniport HP、60/80mesh)充填カラ
ム(カラムサイズ:3.2mmφ×3m)
キャリアガス:ヘリウムガス(流速:40mL/分)
カラム温度:90℃
注入口・検出器温度:100℃
検出器:水素炎イオン化検出器(株式会社島津製作所販売、商品名「GC−8APF」

データ解析:装置付属の解析機(株式会社島津製作所販売、商品名「C−R7A クロ
マトパック」)
定量:既知濃度のメチルメルカプタン標準液(和光純薬工業株式会社販売、1μg/
μLベンゼン溶液)を使用して得られたピーク面積から作成した検量線に基づ
き計算
【0030】
【表1】

【0031】
表1から明らかなように、メチルメルカプタン生成抑制率は、試験試料中の藍草抽出物の固形分量に依存して上昇し、藍草抽出物を固形分換算で3300μg/mL含む試験試料(試験試料5)を添加した場合には、抑制率が100%となって、メチルメルカプタンの生成が完全に抑制された。なお、藍草抽出物には抗菌作用があるので、藍草抽出物によるメチルメルカプタン生成抑制がその抗菌作用によるのかどうかを確認するために、藍草抽出物の抗菌作用の主要な成分として知られているトリプタンスリン(例えば、特許文献8参照)を、各々の試験試料に含まれるのと同量(0.006乃至6μg/mL)、ATCC33277株の菌体懸濁液に添加して同様の試験を行ったところ、トリプタンスリンはメチルメルカプタンの生成を全く抑制しなかったので、藍草抽出物によるメチルメルカプタン生成抑制は、抗菌作用以外の作用によるものと判断した。
【0032】
<実験2>
<メチオニナーゼ活性に及ぼす藍草抽出物の影響>
実験1において、藍草抽出物によるメチルメルカプタン生成抑制が、抗菌作用以外の作用によることが判明したので、藍草抽出物のメチルメルカプタン生成抑制のメカニズムを調べるために、L−メチオニンからのメチルメルカプタン生成に関与するメチオニナーゼ活性に及ぼす藍草抽出物の影響を、特許文献5の0039乃至0042段落に開示された方法により、2−ケト酪酸の生成量を指標にしたメチオニナーゼ活性測定法により調べた。すなわち、実験1で使用したものと同じ藍草抽出物を、蒸留水で希釈して、藍草抽出物由来の固形分含量が表2に示す量となる5種類の試験試料を調製した(試験試料6乃至10)。実験1と同様にポリフィロモナス ジンジバリスJCM12257株を、実験1と同じ培養条件で、培地の濁度(OD550)が約0.8になるまで培養し、遠心して(3,500×g、5分間)菌体を集菌した。この菌体を、1mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を含む100mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.6)で、2回洗浄後、同じ緩衝液に再懸濁し、超音波ホモジナイザー(BRANSON社製、商品名「SONIFIER CELL DISRUPTOR 185」、強度:ダイアル「3」)で4分間破砕処理後、遠心して(20,000×g、20分間)、上清を回収し、膜濾過により除菌してメチオニナーゼ粗酵素液とした。なお、このメチオニナーゼ粗酵素液850μLと100mMのL−メチオニン溶液50μLとを15mL容ポリプロピレンチューブに加えて混合し、密栓後、37℃で90分間インキュベートした場合、粗酵素液には微生物の菌体が含まれていないにもかかわらず実験1と同じ測定法により、ヘッドスペースガス中にメチルメルカプタンが検出されたので、当該粗酵素液にはメチオニナーゼ活性があると判断した。
<メチオニナーゼ活性の測定>
上記メチオニナーゼ粗酵素液を、1.5mL容ポリプロピレンチューブに400μLずつ分注し、各チューブに400μMのピリドキサル−5’リン酸15μLと330mMのL−メチオニン15μLとを加えて混合し、さらに、試験試料6乃至10の何れか100μLを添加して、37℃で10分間インキュベートした。各チューブに、7.5%TCA(トリクロロ酢酸)溶液100μLを添加して反応を停止後、遠心して(20,000×g、5分間)、上清を回収した。この上清500μLと、1Mの酢酸ナトリウム(pH5.2)に溶解した0.05%の3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン溶液500μLとを混和し、50℃で、30分間インキュベート後、酵素反応の生成物である2−ケト酪酸を定量するために、反応液の吸光度(335nmの吸光度(光路長10mm)、以下「OD335」と略記する。)を測定した。対照として、試験試料100μLに替えて、蒸留水100μLを添加して反応を行い、試験試料を加えた場合と同様に、7.5%TCAを添加して反応を停止後、遠心して上清を回収し、0.05%3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン溶液と混和して、50℃で、30分間インキュベート後、その吸光度を測定した。なお、試験試料は、吸光度の測定波長(OD335)付近に吸収波長を有するので、試験試料自体に由来する吸光度の影響を排除するために、メチオニナーゼ粗酵素液に替えて菌体の懸濁に使用した緩衝液400μLを使用して、これに、400μMピリドキサル−5’リン酸15μLと330mM L−メチオニン15μLとを加えて混合し、さらに、試験試料6乃至10の何れか100μLを添加して、37℃で10分間インキュベートした。各チューブに、粗酵素液を加えて反応を行った場合と同様に、7.5%TCAを添加して反応を停止後、遠心して上清を回収し、0.05%の3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン溶液と混和し、50℃で、30分間インキュベート後、その吸光度(OD335)を測定した(ブランク)。粗酵素液又は対照(蒸留水)を入れて反応した時の吸光度から、同じ試験試料又は対照を添加して、粗酵素液に替えて緩衝液を加えて反応したときの吸光度(ブランク)を減じて吸光度を補正し、各試験試料又は対照(蒸留水)を加えて酵素反応させた後の吸光度とした。対照の吸光度を100%として、各試験試料を添加した時の吸光度の相対値を求め、100%から減じて、メチオニナーゼ阻害率(%)として表2に併せて示す。なお、L−メチオニンにメチオニナーゼを作用させると、メチルメルカプタン、アンモニア及び2−ケト酪酸が生成するので、この反応生成物の中では安定性の高い2−ケト酪酸の生成量を測定してメチオニナーゼ活性の指標とした(特許文献5参照)。
【0033】
【表2】

【0034】
表2から明らかなように、メチオニナーゼ阻害率は、試験試料に含まれる藍草抽出物の固形分量に依存して上昇し、藍草抽出物を固形分換算で2000μg/mL含む試験試料(試験試料10)を添加した場合には、メチオニナーゼ阻害率が90.6%となったので、藍草抽出物によるメチルメルカプタンの生成抑制は、メチオニナーゼ阻害作用によるものと判断した。この結果は、藍草抽出物がメチオニナーゼ阻害剤として有用であることを物語っている。また、実験1の結果も考慮すると、藍草抽出物はポルフィロモナス ジンジバリスの生菌中のメチオニナーゼを阻害できることから、経口的に使用すれば、口腔内のメチルメルカプタン生成を抑制できるので、メチルメルカプタン生成抑制剤、口臭抑制剤としても有用であることを物語っている。
【0035】
<実験3>
<メチルメルカプタンに及ぼす藍草抽出物の直接的な影響>
藍草抽出物に、メチルメルカプタンと直接反応して、その悪臭を低減する作用があるかどうかを検討した。すなわち、実験1で使用したものと同じ藍草抽出物を、冷リン酸緩衝食塩水で希釈して、藍草抽出物由来の固形分を、10mg/mL又は100mg/mL含有する試験試料11及び12を調製した。試験試料の何れか1mLに対して、メチルメルカプタン標準液(和光純薬工業株式会社販売、1μg/μLベンゼン溶液)0.4μLを添加、混合し、37℃で5分間振とう後、ヘッドスペースガスを採取した。対照1として、試験試料に替えて、蒸留水1mLを使用して、同様の処理を行い、ヘッドスペースガスを採取した。また、対照2として、口臭の消臭剤として汎用されている銅クロロフィリンナトリウム(和光純薬工業株式会社販売)を10mg/mL含有する冷リン酸緩衝食塩水1mLに対して、メチルメルカプタン標準液0.4μLを添加、混合し、37℃で5分間振とう後、ヘッドスペースガスを採取した。採取した各々のヘッドスペースガス1mLに含まれるメチルメルカプタン量を、実験1と同じガスクロマトグラフィーにより測定した。対照1(蒸留水)にメチルメルカプタンを加えた場合に発生するヘッドスペースガス1mL中に含まれるメチルメルカプタン量を100%として、試験試料又は対照2にメチルメルカプタンを加えた場合に発生するヘッドスペースガス中のメチルメルカプタン量の相対値を計算し、100%から減じて、メチルメルカプタン低減率(%)として表3に示す。
【表3】

【0036】
表3から明らかなように、対照2(銅クロロフィリンナトリウムの10mg/mL溶液)にメチルメルカプタンを加えた場合には、ヘッドスペースガス中のメチルメルカプタン低減率は62.4%となった。これに対して、藍草抽出物を固形分換算で10又は100mg/mL含む試験試料(試験試料11及び12)にメチルメルカプタンを添加した場合には、何れの場合もその低減率は0%となった。実験2においてメチオニナーゼ阻害率が90%以上となる量の藍草抽出物(固形分量換算で2000μg/mL)の5倍又は50倍量の藍草抽出物を含む試験試料においても、ヘッドスペースガス中のメチルメルカプタン量は対照1に比して全く低減されなかったので、藍草抽出物には、直接反応によるメチルメルカプタンの低減効果はないものと判断した。
【0037】
<実験4>
<微生物により産生されるメチルメルカプタン量に及ぼす藍草抽出物とそれ以外の成分を併用した場合の影響>
実験1で使用した藍抽草出物と、併用成分として銅クロロフィリンナトリウム、環状四糖(シクロニゲロシルニゲロース、株式会社林原生物化学研究所製造)、糖転移ヘスペリジン(株式会社林原商事販売、商品名「林原ヘスペリジンS」)、プロポリス抽出物(株式会社林原生物化学研究所製造)、含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事販売、商品名「トレハ」)の何れか1種とを、その含量が、固形物換算で、表4に示す量となるように蒸留水に溶解して、試験試料を調製した。また、併用成分の何れか1種を、その含量が、固形物換算で、表4に示す量となるように蒸留水に溶解して、試験試料を調製した。実験1と同様の方法で調製したJCM12257株の菌体懸濁液を、50mM塩化ナトリウムを含む40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.6)で2回洗浄後、OD550が約0.3になるように同じ緩衝液に懸濁した。この菌体懸濁液を、実験1と同様に15mL容ポリプロピレンチューブ(ベクトン・ディッキンソン株式会社販売、商品名「Falcon 2059」)に850μLずつ分注後、各チューブに100mMのL−メチオニン溶液50μLを加え、さらに、試験試料の何れかを100μL添加して、密栓後、37℃で90分間、インキュベートした。各チューブに、3Mリン酸溶液500μLを添加して反応を停止し、ヘッドスペース中のガス(以下、「ヘッドスペースガス」という。)に含まれるメチルメルカプタン量を、実験1と同一条件のガスクロマトグラフィーにより定量した。対照1として、試験試料に替えて蒸留水を添加してインキュベートしたときの、ヘッドスペースガス中のメチルメルカプタン量を測定した。また、対照2として、試験試料に替えて藍草抽出物を10μg/mL含有する試料を添加してインキュベートしたときの、ヘッドスペースガス中のメチルメルカプタン量を測定した。対照1を添加した時のメチルメルカプタン量を100%として、各試験試料又は対照2を添加した時のメチルメルカプタン量の相対値を求め、100%から減じて、メチルメルカプタン生成抑制率(%)として表4に併せて示す。なお、プロポリス抽出物は、塊状のブラジル産プロポリスを粗砕して、95容積%エタノール水溶液で、常法にしたがって抽出し、次いで残渣を少量の水で洗浄し、洗液を合わせて得られたプロポリス粗抽出物含有80容積%エタノール(無水物換算で、固形分約20%含有)水溶液に、水を加えてエタノール濃度を50容積%に低減して、50℃に1時間保ち、プロポリス中の有効成分を含有する上層と粘着性沈殿物の下層を形成させ、室温で一夜放置し、この上層を分離し採取したプロポリス抽出物を使用した。当該プロポリス抽出物は、無水物換算で、固形分を125mg/ml(エタノール濃度43.5%)含有し、フラボノイドを92mg/g、アルテピリンCを86mg/g含有していた。
【0038】
【表4】

【0039】
表4から明らかなように、藍草抽出物のみを含有する試料を添加した場合(対照2)には、蒸留水を添加した場合(対照1)に比して、メチルメルカプタン生成抑制率が29.8%となった。また、併用成分として使用した銅クロロフィリンナトリウム、環状四糖、糖転移ヘスペリジン、プロポリス抽出液、又は、α,α−トレハロースのみを含有する試験試料を添加した場合には、各々、その添加量に依存して、対照1に比してヘッドスペースガス中のメチルメルカプタンの生成が抑制された。これに対して、藍草抽出物と、銅クロロフィリンナトリウム、環状四糖、糖転移ヘスペリジン、プロポリス抽出液、又はα,α−トレハロースの何れか1種とを含有する試験試料を添加した場合には、何れの場合にも、藍草抽出物又は併用成分を単独で添加した場合に比して、併用成分の濃度に依存して、ヘッドスペースガス中のメチルメルカプタン生成抑制率が上昇した。メチルメルカプタン生成抑制率で見ると、藍草抽出物と銅クロロフィリンナトリウム、環状四糖、糖転移ヘスペリジン、プロポリス抽出物の何れか1種とを添加した場合に、ヘッドスペースガス中のメチルメルカプタンの生成が効果的に抑制され、とりわけ、藍草抽出物と、銅クロロフィリンナトリウム、糖転移ヘスペリジン及びプロポリス抽出物の何れかとを含有する試験試料を添加した場合に、メチルメルカプタンの生成が効果的に抑制された。この結果は、藍草抽出物と、銅クロロフィリンナトリウム、環状四糖、糖転移ヘスペリジン、プロポリス抽出液、及び、α,α−トレハロースの1種又は2種以上とを併用することにより、口臭の原因となるメチルメルカプタンの生成を効果的に抑制できることを物語っている。
【0040】
以下、本発明のメチオニナーゼ阻害剤について、実施例により説明するが、本発明がこれら実施例に、何ら限定されることはない。
【実施例1】
【0041】
<メチオニナーゼ阻害剤>
ジャケットタンクに水25kgを入れ、水蒸気を使用して90℃に加温して、これに市販の蓼藍乾燥葉をミルで細断したもの2.5kgを加えて撹拌し、60分間、煮出し抽出し、常法により、濾布遠心、高速遠心を併用して、残渣を除去し、藍草抽出物18kgを得た。この抽出液を、限外濾過膜(UF膜)(旭化成工業株式会社社販売、製品名「限外濾過モジュール マイクローザー API2013」)を用いて濾過した後、減圧下で加温して水分を蒸発させ、6.5kgの液状のメチオニナーゼ阻害剤を得た。本品は、固形分を28mg/mL含有し、固形分換算で、1g当たりポリフェノール71mg、トリプタンスリンを350μg含有していた。
【0042】
本品は、このままで、希釈して、濃縮して、又は、精製して、メチオニナーゼ阻害剤とすることができ、或いは、これらのメチオニナーゼ阻害剤に製剤学的に許容される適宜の成分を配合して、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬、飼料、餌料、ペットフード等の経口用組成物の形態のメチオニナーゼ阻害剤とすることもできる。これらのメチオニナーゼ阻害剤は、経口的に摂取することにより、口腔内のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、口臭抑制の目的で使用することができる。また、これらのメチオニナーゼ阻害剤は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例2】
【0043】
<メチオニナーゼ阻害剤>
実施例1で調製した液状のメチオニナーゼ阻害剤(固形分28mg/mL)の固形分1質量部に対して、デキストリン(三和澱粉工業株式会社販売、商品名「サンデック#30」、DE3.5)を無水物換算で1質量部の割合で添加し、混合して、常法により噴霧乾燥して、粉末状のメチオニナーゼ阻害剤0.6kgを調製した。本品は、25℃、相対湿度53%の環境で1週間以上保存しても、吸湿や固結もなく、取り扱いの容易な粉末である。本品は、藍草抽出物由来の固形分を500mg/g含有し、1g当たり、ポリフェノール34mg、トリプタンスリンを167μg含有していた。
【0044】
本品は、そのままで、打錠して、或いは、溶媒に溶解乃至懸濁する等して、メチオニナーゼ阻害剤を製造することができる。本品は、経口用組成物に配合して、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬、飼料、餌料、ペットフード等の形態のメチオニナーゼ阻害剤を製造することができる。また、本品やこれを配合した経口用組成物は、メチオニナーゼ阻害剤としてだけでなく、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例3】
【0045】
<メチオニナーゼ阻害剤>
刈り取った直後の蓼藍の地上部30kgを破砕した後、酢酸エチルを35乃至55kgを加え、室温下で3回繰返し抽出をおこなった。抽出物を合一し、濾過した後、濾液を採取し、エバポレーターで酢酸エチルを留去し、乾固して得た固状物150gを、粉砕して粉末状のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。本品を実験2と同じ方法で、試験試料中に藍草抽出物由来の固形分が1mg/mLとなるように溶解して、メチオニナーゼ阻害率を測定したところ、その阻害率は84.3%となり、藍草の酢酸エチル抽出物は、水抽出物と同様に、メチオニナーゼ阻害活性を有することが確認された。
【0046】
本品は、そのままで、造粒して、打錠して、或いは、溶媒に溶解乃至懸濁する等して、メチオニナーゼ阻害剤を製造することができる。本品は、経口用組成物に配合して、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬、飼料、餌料、ペットフード等の形態のメチオニナーゼ阻害剤を製造することができる。また、本品やこれを配合した経口用組成物は、メチオニナーゼ阻害剤としてだけでなく、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例4】
【0047】
<メチオニナーゼ阻害剤>
刈り取った直後の蓼藍の地上部30kgを破砕した後、70%エタノール水溶液を40kg加え、室温下で3回繰返し抽出した。抽出物を合一し、濾過した後、濾液を採取し、エバポレーターでエタノールを留去後、常法により、凍結乾燥して得た固状物400gを、粉砕して粉末状のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。本品を実験2と同じ方法で、試験試料中に藍草抽出物由来の固形分が1mg/mLとなるように溶解して、メチオニナーゼ阻害率を測定したところ、その阻害率は77.4%となり、藍草の70%エタノール水溶液の抽出物は、水抽出物と同様に、メチオニナーゼ阻害活性を有することが確認された。
【0048】
本品は、そのままで、造粒して、打錠して、或いは、溶媒に溶解乃至懸濁する等して、メチオニナーゼ阻害剤を製造することができる。また、本品は、経口用組成物に配合して、飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬、飼料、餌料、ペットフード等の形態のメチオニナーゼ阻害剤を製造することができる。また、本品やこれを配合した経口用組成物は、メチオニナーゼ阻害剤としてだけでなく、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例5】
【0049】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により歯磨形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
第二リン酸カルシウム 45質量部
プルラン 2.5質量部
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5質量部
グリセリン 10質量部
ポリオキシエチレンソルビタンラウレート 0.5質量部
ソルビトール 10質量部
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社
林原生物化学研究所販売、商品名「トルナーレ」) 10質量部
実施例1で調製した液状のメチオニナーゼ阻害剤(固形分を
28mg/mL含有) 5質量部
プロポリス抽出物(株式会社林原商事販売、商品名
「林原プロポリス」) 0.5質量部
精製水を加えて全量を100質量部とする。
【0050】
本品で歯磨をすれば、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例6】
【0051】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、歯磨形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
炭酸カルシウム 50質量部
グリセリン 15質量部
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社
林原生物化学研究所販売、商品名「トルナーレ」) 3質量部
シクロニゲロシルニゲロース(株式会社林原生物化学
研究所製造) 0.5質量部
カルボオキシメチルセルロース 2質量部
ラウリル硫酸ナトリウム 2質量部
香料 1質量部
サッカリン 0.1質量部
実施例1で調製したメチオニナーゼ阻害剤(固形分を
28mg/mL含有) 3質量部
クロルヘキシジン 0.01質量部
水を加えて全量を100質量部とする。
【0052】
本品で歯磨をすれば、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例7】
【0053】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、スプレー形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
エタノール 10質量部
グリセリン 2質量部
実施例1で調製したメチオニナーゼ阻害剤(固形分を
28mg/mL含有) 5質量部
α,α−トレハロース 1質量部
プロポリス抽出物(株式会社林原商事販売、商品名
「林原プロポリス」) 1質量部
香料 0.05質量部
着色料 0.001質量部
水を加えて全量を100質量部とする。
【0054】
本品は、口腔内に噴霧することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例8】
【0055】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の成分を混合して、押し出し造粒し、流動層乾燥して、バスケット顆粒状のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。この顆粒を、アルミピロー容器に1.5gずつ分包した。
実施例2乃至4で調製したメチオニナーゼ阻害剤の何れか1種 20質量部
エリスリトール 35質量部
α,α−トレハロース 9質量部
マルチトール 9質量部
L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原商事販売、
商品名「アスコフレッシュ」) 5質量部
蔗糖(フロストシュガー) 6質量部
コエンザイムQ10 5質量部
糖転移ヘスペリジン(株式会社林原商事販売、商品名
「林原ヘスペリジンS」) 4.5質量部
L−カルニチン 2.5質量部
L−シトルリン 1質量部
α―リポ酸 1.5質量部
ビタミンB 0.1質量部
ビタミンB 0.1質量部
ビタミンB 0.1質量部
パイナップルパウダー 0.5質量部
オレンジパウダー 0.2質量部
ピーチ香料 0.5質量部
【0056】
本品は、口腔内で溶解させながら摂取することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例9】
【0057】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、マウスウオッシュの形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
実施例1で調製したメチオニナーゼ阻害剤(固形分を
28mg/mL含有) 3質量部
エタノール 2質量部
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社
林原生物化学研究所販売、商品名「トルナーレ」) 2質量部
糖転移ステビア 0.02質量部
塩酸クロルヘキシジン 0.01質量部
緑茶ポリフェノール(三井農林株式会社販売、商品名
「ポリフェノンG」) 0.5質量部
香料 1質量部
水を加えて全量を100質量部とする。
【0058】
本品を使用して口腔内を洗浄することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例10】
【0059】
常法にしたがって、下記の処方の配合成分を、90℃で3時間撹拌して溶解し、2×10mのステンレス板上に均質に流延し、60℃で4時間乾燥して、厚さ約200μm、幅約200cm、長さ10m、水分含量約8%、100cm当たりの質量が約2.2gのシート状組成物を得た。このシートを1×2cmに裁断して、20枚ずつ携帯用の容器に充填して、フィルム形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
プルラン(株式会社林原商事販売、商品名「食品添加物
プルラン」) 22質量部
カラギーナン 0.5質量部
キサンタンガム 0.1質量部
実施例1で調製したメチオニナーゼ阻害剤(固形分を
28mg/mL含有) 3質量部
85%エタノール水溶液 0.7質量部
α,α−トレハロース 0.01質量部
グリセリン 0.5質量部
スクラロース 1質量部
カラメル色素 0.5質量部
蔗糖脂肪酸エステル 0.8質量部
銅クロロフィリンナトリウム 0.5質量部
精製水を加えて全量を100質量部とする。
【0060】
本品を口腔内で溶解させながら摂取することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例11】
【0061】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、トローチ剤形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
麦芽糖 68質量部
α,α−トレハロース 15質量部
プルラン 5質量部
実施例2乃至4で調製したメチオニナーゼ阻害剤の何れか1種 10質量部
香料 1質量部
モノフルオロリン酸ナトリウム 1質量部
【0062】
本品は、口腔内で溶解させながら摂取することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例12】
【0063】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、チューインガム形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
ガムベース 20質量部
蔗糖 54質量部
α,α−トレハロース 15質量部
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社
林原商事販売、商品名「ハローデックス」) 8.5質量部
糖転移ヘスペリジン(株式会社林原商事販売、商品名
「林原ヘスペリジンS」) 0.4質量部
香料 0.5質量部
実施例2乃至4で調製したメチオニナーゼ阻害剤の何れか1種 1.5質量部
メントール 0.1質量部
【0064】
本品を口腔内で咀嚼することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例13】
【0065】
常法にしたがって、下記の配合処方により、ハードキャンディ形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
蔗糖 50質量部
ラクトスクロース含有水飴(株式会社林原商事販売、
商品名「乳果オリゴ550」) 32質量部
実施例2乃至4で調製したメチオニナーゼ阻害剤の何れか1種 4.7質量部
香料 0.3質量部
水を加えて全量を100質量部とする。
【0066】
本品は、口腔内で溶解させながら摂取することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、口臭抑制の目的で使用することができる。また、その効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例14】
【0067】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、錠菓の形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
蔗糖 75.6質量部
α,α−トレハロース 18質量部
シクロニゲロシルニゲロース(株式会社林原生物化学
研究所製造) 1質量部
実施例2乃至4で調製したメチオニナーゼ阻害剤の何れか1種 5質量部
蔗糖脂肪酸エステル 0.2質量部
香料 0.2質量部
【0068】
本品は、口腔内で溶解させながら摂取することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例15】
【0069】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、グミゼリー形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
ゼラチン 60質量部
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社
林原商事販売、商品名「ハローデックス」) 21質量部
蔗糖 8.5質量部
植物油脂 4.5質量部
マルチトール 2.5質量部
β−サイクロデキストリン 0.5質量部
レモン果汁 1質量部
実施例2乃至4で調製したメチオニナーゼ阻害剤の何れか1種 3質量部
【0070】
本品は、口腔内で咀嚼して摂取することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例16】
【0071】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、チョコレートの形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
蔗糖(粉糖) 37質量部
カカオビター 20質量部
全脂粉乳 20質量部
カカオバター 16質量部
マンニトール 3質量部
実施例2乃至4で調製したメチオニナーゼ阻害剤の何れか1種 3質量部
香料 1質量部
【0072】
本品は、摂取することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例17】
【0073】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、アイスクリームの形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
脱脂粉乳 50質量部
生クリーム 24質量部
砂糖 10質量部
卵黄 10質量部
実施例1の方法で調製したメチオニナーゼ阻害剤(固形分を
28mg/mL含有) 2質量部
香料 0.1質量部
水を加えて全量を100質量部とする。
【0074】
本品を経口摂取することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例18】
【0075】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、清涼飲料形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
グレープ果汁 30質量部
α,α−トレハロース 10質量部
異性化糖 5質量部
クエン酸 0.1質量部
糖転移ビタミンC(株式会社林原商事販売、商品名
「アスコフレッシュ」) 1質量部
スクラロース 0.01質量部
プロポリス抽出物(株式会社林原商事販売、商品名
「林原プロポリス」) 0.2質量部
実施例1で調製したメチオニナーゼ阻害剤(固形分を
28mg/mL含有) 3質量部
水を加えて全量を100質量部とする。
【0076】
本品を経口摂取することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【実施例19】
【0077】
<メチオニナーゼ阻害剤>
常法にしたがって、下記の配合処方により、カプセル形態のメチオニナーゼ阻害剤を調製した。
実施例2乃至4で調製したメチオニナーゼ阻害剤の何れか1種 5質量部
トウモロコシ澱粉 54質量部
α,α−トレハロース 20質量部
カルボキシメチルセルロース 20質量部
シクロニゲロシルニゲロース(株式会社林原生物化学
研究所製造) 1質量部
これら成分を細かく粉砕混合して均質な粉末を製造した。硬質カプセルに粉末100mgを入れてカプセル剤を製造した。
【0078】
本品を口腔内でかみ砕いて摂取することにより、口腔内の微生物のメチオニナーゼを阻害して、メチルメルカプタンの生成を抑制するので、本品は、メチルメルカプタン生成抑制剤や口臭抑制剤として利用してもよく、これらの効果がある旨を表示して販売することも随意である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のメチオニナーゼ阻害剤を経口的に使用することにより、効果的に口腔内の微生物の持つメチオニナーゼ活性を阻害することができるので、口腔内のメチルメルカプタンの生成が抑制され、結果として、口臭を抑制することができる。また、本発明のメチオニナーゼ阻害剤は、長期間使用しても、副作用がないので、安全性が高く、安心して利用することができる。本発明は、斯くも顕著な作用効果を奏する発明であり、斯界に多大の貢献をする、誠に意義のある発明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
藍草の植物体を溶媒により抽出して得られる藍草抽出物を有効成分とするメチオニナーゼ阻害剤。
【請求項2】
藍草抽出物を、固形物換算で、0.01質量%以上含有する請求項1に記載のメチオニナーゼ阻害剤。
【請求項3】
さらに、藍草抽出物以外の口臭抑制効果を有する成分を合計で0.01質量%以上含有する請求項1又は2に記載のメチオニナーゼ阻害剤。
【請求項4】
経口用組成物の形態の請求項1乃至3に記載のメチオニナーゼ阻害剤。
【請求項5】
経口用組成物が飲食品、化粧品、医薬部外品、医薬品、飼料、餌料、又は、ペットフードである請求項は4に記載のメチオニナーゼ阻害剤。
【請求項6】
メチオニナーゼの阻害効果がある旨を表示してなる請求項1乃至5の何れかに記載のメチオニナーゼ阻害剤。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載のメチオニナーゼ阻害剤のメチルメルカプタン生成抑制剤、メチルメルカプタン低減又は口臭抑制剤としての使用。

【公開番号】特開2010−265215(P2010−265215A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117975(P2009−117975)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年4月10日 特定非営利活動法人日本歯周病学会発行の「日本歯周病学会会誌(第51巻 春季特別号)−2009春季学術大会(第52回)プログラムおよび講演抄録集−」に発表
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【Fターム(参考)】