説明

メチルフェニデートの放出制御用薬剤学的組成物

メチルフェニデートを含有するコア物質;及び、前記コア物質上に形成された放出制御用高分子コーティング層を含む複数の放出制御用粒子を含み、前記複数の放出制御用粒子は、前記放出制御用高分子コーティング層の平均厚さを基準に2種類以上の群に分けられ、それぞれの粒子群は、高分子コーティング層の高分子組成が同一であるが、コーティングの平均厚さが異なることを特徴とする放出制御用薬剤学的組成物が開示される。前記放出制御用薬剤学的組成物は、コア物質に含有されているメチルフェニデートの放出パターンを自由に制御することができ、速崩解性錠剤をはじめ多様な形態の経口用製剤として活用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチルフェニデートの放出を制御することができる薬剤学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
放出制御用製剤(release controlled formulation)は、薬物などの生物学的活性成分の放出が長時間、例えば6時間ないし24時間の間、持続型又はパルス型等の制御された方法で起こるようにする薬物送達システムである。したがって、薬物の服用回数を減らすことができるだけでなく、体内で一定の血中濃度を維持するように誘導することができる。また、特定の時間間隔でパルス型に放出されるようにして、所望の血中濃度パターンを示すようにする効果がある。このように、薬物の血中濃度パターンを所望する方向へ誘導することにより、薬効を極大化させ、薬物の一時的な過多投与による副作用を減らすことができる。また、薬物の投与間隔を調節することにより、患者の便宜性を向上させることができる。
【0003】
こうした放出制御用製剤を用いた薬物伝達システムは、ALZA社のOROS(登録商標)(Osmotic Release Oral System)技術をはじめ、多様な技術が開発され、活用されてきた。しかし、一つのシステムからなる剤形の場合には、特定要因の発生又は一部成分の欠乏等によりシステムが全体的に破壊され、薬物放出が一度に起きて深刻な副作用の原因となるおそれがある。
【0004】
また、メチルフェニデートは、交感神経興奮作用剤であり、主に中枢神経系に作用する。主要適応症は、注意欠陥及び多動性障害(ADHD;Attention deficit hyperactivity disorder)であり、主要患者は、6歳以上の児童及び青少年である。一般的には、1日2回(朝、昼の食前)に服用しなければならないが、特に昼食時間の服用を忘れたり、薬物服用の事実を知られることが憚られて服用を抜いたりする場合が多く、1日1回の服用で効果が持続する徐放性製剤が選好されている。
【0005】
例えば、徐放性製剤と関連した一部先行技術としては、メチルフェニデートの即時放出粒子と変形放出粒子の2つの粒子群を混合した変形放出多粒子製剤について言及されている。このとき、即時放出粒子は、薬物層上に別途の高分子コーティングが施されておらず、速やかな薬物の放出が起こることとなる。しかし、別途の高分子コーティングが施されていない粒子により薬物の味覚遮蔽がなされず、速崩解性錠剤や咀嚼錠等、口腔内で崩解する製剤には使用することができないという限界がある。
【0006】
したがって、メチルフェニデートの放出パターンを安定的に制御しつつ、口腔内に露出しても一定時間メチルフェニデートの苦味を遮蔽することができる放出制御用組成物についての研究が必要とされている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2008−0026754号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10−0540035号明細書
【特許文献3】国際公開特許第WO 2007/093642号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ANAL.AK,“Time−controlled pulsatile delivery system for bioactive compounds”,Recent Patents on Drug Delivery & Formulation,2007,vol.1,pp.73−79
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施例の目的は、メチルフェニデートの放出パターンを制御することができる放出制御(release control)用組成物を提供することである。
【0010】
本発明の他の一実施例の目的は、メチルフェニデートの放出を制御することができる経口用製剤を提供することである。
【0011】
本発明の他の一実施例の目的は、メチルフェニデートの放出を制御することができる速崩解性経口製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る放出制御用薬剤学的組成物は
メチルフェニデートを含有するコア物質;及び
前記コア物質上に形成された放出制御用高分子コーティング層
を含む複数の放出制御用粒子を含み、前記複数の放出制御用粒子は、放出制御用高分子コーティング層の高分子組成は同一であるが、平均厚さが異なる2以上の粒子群に分けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る放出制御用薬剤学的組成物は、コア物質に含有されているメチルフェニデートの放出パターンを自由に制御することができ、口腔内に露出しても一定時間メチルフェニデートの苦味を遮蔽することができる。また、前記組成物は、多様な形態の経口用製剤への活用が可能であり、特に、速崩解性錠剤に活用することができるという長所がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施例に係るメチルフェニデートの放出制御用薬剤学的組成物は、
メチルフェニデートを含有するコア物質;及び
前記コア物質上に形成された放出制御用高分子コーティング層
を含む複数の放出制御用粒子を含み、
前記複数の放出制御用粒子は、放出制御用高分子コーティング層の高分子組成は同一であるが、平均厚さが異なる2種類以上の粒子群に分けられることを特徴とする。
【0015】
また、他の一実施例において、前記放出制御用高分子コーティング層は、単層又は必要によっては2以上の多層に形成することができる。これは、コーティング層を単層又は多層に形成することにより、薬物放出パターンをより多様に調整することができるという長所がある。各粒子において多層にコーティングする場合において、高分子は、各層で組成を異ならせたり、同一にしたりすることができる。例えば、前記放出制御用高分子コーティング層は、2〜5の層に形成することができ、それぞれの層は、組成が同一、又は部分的に相違、或いはすべて異ならせることができる。
【0016】
本発明に係る放出制御用薬剤学的組成物は、コア物質に含有される薬理成分の放出を所望のパターンどおりに制御することができ、例えば、口腔内に露出されても、一定時間の間、具体的には1分以上、さらに具体的には3分以上メチルフェニデートの苦味を遮蔽することができる。
【0017】
前記メチルフェニデートは、別途に塩のないベースのメチルフェニデート、メチルフェニデートの薬学的に許容可能な塩、メチルフェニデートの異性体、又はこれらの混合物を意味する。一実施例において、前記メチルフェニデートは、塩酸メチルフェニデートであってよい。
【0018】
本発明において言及する「粒子群」とは、コーティング層の平均厚さが同一の粒子の集合、混合物又は個体群等を総称する概念であり、本発明の粒子は、物理的に一群内の粒子同士が集まっている場合のみを意味するのではなく、他の粒子群の構成粒子と無作為的に混ざっている状態で存在していてよい。
【0019】
また、本発明において言及する「放出制御(release control)用」とは、含有された生物学的活性物質の放出が所望のパターンどおりに制御されることをいい、制御放出(controlled release)、徐放性(sustained release)、遅延放出、パルス型放出、又はこれらを混合した放出等を含む。
【0020】
一実施例において、前記各放出制御用粒子群の各粒子は、コア物質及びコア物質上に形成された高分子コーティング層で構成される。前記コア物質は、メチルフェニデートを含有し、前記各粒子群間の高分子コーティング層は、高分子の組成、すなわち、高分子の種類と組成比は同一であるが、コーティング層の平均厚さが相違する。したがって、高分子コーティング層の種類、組成及びコーティングの厚さに応じて、コア物質に含有されているメチルフェニデートの放出パターンが異なるため、こうした粒子群の組合せにより所望の放出パターンを得ることができる。
【0021】
一実施例において、前記放出制御用粒子は、高分子コーティング層内部の下部コーティング(sub coating)及び高分子コーティング層外部の上部コーティング(over coating)からなる群から選択される1以上のコーティングが付加されていてよい。前記下部コーティング又は上部コーティングは、薬物の放出制御にはほとんど影響を及ぼさないようにすることができたり、又は微々たる影響を及ぼしつつ、薬物や薬物含有粒子又は最終製剤の安定性、保護、色相化又は味覚遮蔽等の多様かつ付加的な目的を加味或いは向上させる役割をする。
【0022】
メチルフェニデートを含有するコア物質
一実施例において、前記コア物質は、メチルフェニデート又は不活性物質にメチルフェニデートが混入した形態であってよい。より具体的には、前記コア物質は、メチルフェニデート自体、又は生物学的に不活性物質の表面にメチルフェニデートがコーティングされた形態であってよく、又は多孔性の不活性物質にメチルフェニデートが混入された形態であってよく、不活性物質とともに顆粒化又は粒子化された形態であってよい。
【0023】
一実施例において、前記コア物質は、コーティング機、流動層コーティング機、流動層工程機、流動層顆粒機、顆粒機又は混合機等の機器を利用して製造することができる。コア物質の形態やサイズ、サイズのバラツキ程度は特に限定されるものではない。ただし、一実施例において、前記コア物質は、均一なコーティングのために、球形、又は球形に近い形態であってよい。
【0024】
一実施例において、前記コア物質の直径は、10〜3000μmの範囲であり、具体的には50〜1500μm、さらに具体的には80〜1000μmの範囲である。また、他の一実施例において、速崩解性錠剤又は咀嚼錠の製造のためには、口腔内の異物感を最小限にするために、80〜500μmの粒子を使用することができるが、特に前記範囲によって制限されるものではない。
【0025】
また、前記コア物質の直径は、粒度分析機や顕微鏡又はイメージ分析器を利用して得られ、このとき、前記コア物質の直径のバラツキは、粒子の平均直径を観察したときに得られる標準偏差から知ることができる。直径偏差は、平均粒子径からの乖離の程度を示す数値である。直径偏差が小さいほど、均一なコーティングの厚さを得ることができ、コーティングの厚さが均一であれば、薬物の有効成分が均一に放出され、再現性のある結果を得るのに有用である。一実施例において、前記コア物質のサイズのバラツキは、1〜200μmであってよく、具体的には1〜100μm、さらに具体的には1〜50μmである。
【0026】
また、メチルフェニデート薬物単独で前記コア物質の条件を満たす場合には、他の生物学的活性のない物質を使用しないことができる。しかし、薬物自体が微粉であったり、形態があまりに多様な場合、又は、薬物粉末のサイズのバラツキが著しい場合には、放出制御用粒子を製造するためのコア物質としての使用に適さないことがある。このような場合には、例えば、GPCG−1のローターシステム(rotor system)を使用する方法、湿式又は乾式押出(extrusion)したり、或いは球形化(spheronization)する方法、又はグラニュール化(granulation)する方法等を利用して、薬物単独で、或いは薬物に不活性物質を付加して球形に近づけたり、或いはコーティングするに好適なサイズに製造することができる。
【0027】
本発明に係る一実施例において、前記コア物質は、メチルフェニデートを球形、又は球形に近い多孔性物質に混入させる方法を通じて製造することができる。例えば、イオン交換樹脂(ion−exchange resin)、シリカ(例えば、ローディアシリカコリアのZeosil(登録商標)、Tixosil(登録商標)、又は他の多孔性賦形剤などの薬物成分を混入させる方法が使用できる。
【0028】
また、他の一実施例において、前記コア物質は、メチルフェニデートを球形、又は球形に近い不活性シードにコーティングすることにより製造することができる。例えば、一定のサイズの球形に成形された不活性糖(non−pareil sugar)等の粒状白糖(sugar sphere)又はセルフィア(celphere(登録商標)、旭化成)のような球形の微結晶セルロース(Microcrystalline Cellulose)などをシード(seed)として利用し、メチルフェニデートをコーティングすることができる。前記方法によりコア物質を製造する場合には、メチルフェニデートを、水、有機溶媒又は2以上の溶媒混合液に溶解させ、噴射してコーティングすることができる。
【0029】
前記球形シードの直径は、10〜3000μmの範囲であり、具体的には50〜1500μm、さらに具体的には80〜1000μmの範囲である。また、他の一実施例において、速崩解性錠剤又は咀嚼錠の製造のためには、口腔内の異物感を最小限にするために、80〜500μmの粒子を使用することができるが、特に前記範囲によって制限されるものではない。
【0030】
メチルフェニデートを含有するコア物質内の薬物の含量は、コア物質の重量基準で20〜100重量%であってよい。具体的に、シードにメチルフェニデートをコーティングしてコアを製造する場合には、薬物の含量がコア物質の重量基準で20〜80%であるが、特に前記範囲によって制限されるものではない。
【0031】
また、前記言及した方法を通じてコア物質を製造する過程において、コーティングの効率性、薬物の安定性、見栄え、色相、保護、保持、結合、性能の改善、製造工程の改善、又は補助的な放出制御等の付加的な目的のために、多様な生物学的不活性成分を使用することができる。前記生物学的不活性成分としては、糖類、糖アルコール類、高分子物質、着色剤、着香剤、甘味剤、界面活性剤、滑沢剤、安定化剤、酸化防止剤、発泡剤、パラフィン、ワックス又は可塑剤等を使用することができる。前記生物学的不活性物質の具体的な種類と使用法、そしてこれらの物質を本発明のコア物質に混入させる方法は、当該技術分野における通常の知識を有する者の技術水準に照らして容易に行うことができ、また、多様なカテゴリにおいて変形可能である。例えば、前記生物学的不活性成分は、メチルフェニデートでコア物質を製造する際に、薬物に混合して適用することができる。
【0032】
前記生物学的不活性成分のうち、高分子物質は、メチルフェニデートの放出に補助的な影響を与え得るか、場合によっては、メチルフェニデートの放出に影響をほとんど与えない、又は微々たる影響を与え得る。
【0033】
前記メチルフェニデートの放出に補助的な影響を与える場合とは、放出制御用高分子コーティング層が主な放出制御をすることになるが、前記コア物質に含有された多様な高分子物質が薬物の放出に補助的な影響を及ぼす場合を意味する。このような場合には、メチルフェニデートとともに前記高分子物質を含有するコア物質に対して、インビトロ(in vitro)溶出実験を施すと、メチルフェニデートのみを含有するコアの場合と比較して、異なる溶出パターンを示すことになる。前記高分子物質の添加は、メチルフェニデートのみを含有するコアのみで放出制御用粒子を製造した場合に意図した放出制御効果を提供するには不十分な場合、或いは放出制御用高分子コーティング層の平均厚さを減らしつつ同一の効果を得ることを所望する場合等において、放出制御用粒子の放出効果を補完するためのものである。具体的には、水不溶性高分子、腸溶性高分子等がこれに含まれる。
【0034】
また、前記メチルフェニデートの放出に影響をほとんど与えない、又は微々たる影響を与える場合とは、メチルフェニデートを含有するコア物質に高分子物質が含まれるが、薬物の放出にほとんど影響を与えない場合をいう。仮に、当該メチルフェニデートを含有するコアに対してインビトロ(in vitro)溶出実験を行ったときに、前記高分子物質を含んでいない場合と比較して、前記高分子物質を含むことで時間ごとに薬物の放出の程度が±10%の範囲内で変化することを意味する。こうした場合には、当該メチルフェニデートを含有するコアに対して、前記高分子物質を含んでいない場合と比較して、同一ないし類似な溶出パターンを示すものと見ることができる。具体的に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)等の水溶性高分子等が例として挙げられる。
【0035】
一実施例において、前記コア物質に含まれる高分子物質は、アミノメタクリレート共重合体、ポリアクリレートディスパージョン30%、メタクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルローストリアセテート、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、ポリブチルメタアクリレート、ポリイソブチルメタアクリレート、ポリヘキシルメタアクリレート、ポリイソデシルメチルアクリレート、ポリラウリルメタアクリレート、ポリフェニルメタアクリレート、ポリケチルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、ポリオクタデシルアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ヒドロキシエチルセルロース、ポリデキストロース、ポリ(アクリル酸)、カルボマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アガー、カラゲナン、キサンタン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、シェラック、ポリプロピレングリコール、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、メタクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体、及び、メタクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体からなる群から選択される1又は2以上の組合せであってよい。
【0036】
放出制御用高分子コーティング層
本発明に係る一実施例において、前記放出制御用高分子コーティング層は、コア物質上にコーティングされて薬物の放出を制御する役割をする。放出制御用高分子コーティング層は、一般のコーティング機、流動層コーティング機、流動層工程機又は流動層顆粒機等の機器に、前記コア物質を入れてコーティングすることにより形成することができる。前記高分子コーティング層は、1又はそれ以上の高分子を含めることができる。
【0037】
本発明の粒子群の「平均厚さ」とは、各粒子群の中から無作為に選択された10個の粒子の放出制御用高分子コーティング層の厚さを平均したものを意味する。前記平均厚さは、本発明の粒子の破断面を走査電子顕微鏡(SEM,Scanning electron microscope)で観察して測定される。得られた放出制御粒子は、溶出試験等により薬物の放出の挙動を確認することができる。
【0038】
本発明の一実施例において、前記放出制御用高分子コーティング層を構成する高分子物質は、水不溶性、水溶性、腸溶性及び胃溶性高分子からなる群から選択される1又は2以上の組合せであってよい。具体的には、前記高分子物質は、水不溶性高分子物質から選択される1種以上、又は水不溶性高分子から選択される1種の高分子物質と、水不溶性、水溶性、腸溶性及び胃溶性高分子からなる群から選択される1種以上の高分子物質の組合せであってよい。本発明の一実施例において、徐放性薬物を伝達するための目的から、1種以上の水不溶性高分子を含むことが好ましい。前記のような高分子物質の組合せの形態は、薬物の放出パターン又は製剤の形態に応じて、特定の性質の高分子を適切に組み合わせるためのものである。
【0039】
一実施例において、前記水不溶性高分子物質は、水不溶性セルロースエーテル及び水不溶性アクリル酸系共重合体からなる群から選択される1以上であってよい。例えば、エチルセルロース;アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、メタクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギット(登録商標)NE30D、オイドラギット(登録商標)NE40D、オイドラギット(登録商標)NM30D)、又はポリビニルアセテート(例えば、商品名:コリコート(登録商標)SR30D)等がある。前記アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体は、アンモニオメタアクリレートユニット(ammonio methacrylate units)の含量が8.85〜11.96%(例えば、商品名:オイドラギット(登録商標)RL)又は4.48〜6.77%(例えば、商品名:オイドラギット(登録商標)RS)であってよい。
【0040】
一実施例において、前記水溶性高分子物質は、水溶性セルロースエーテル、水溶性ポリビニル誘導体とアルキルレンオキシド重合体からなる群から選択される1以上であってよい。例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等がある。
【0041】
一実施例において、前記腸溶性高分子物質は、腸溶性セルロース誘導体、腸溶性アクリル酸系共重合体、腸溶性マレイン酸系共重合体及び腸溶性ポリビニル誘導体からなる群から選択される1以上であってよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルエチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートマレート、セルロースベンゾエートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、メチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース又はエチルヒドロキシエチルセルロースフタレート;スチレン・アクリル酸共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸共重合体、アクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体、アクリル酸ブチル・スチレン・アクリル酸共重合体、メタクリル酸・アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸・アクリル酸エチル共重合体又はアクリル酸メチル・メタクリル酸・アクリル酸オクチル共重合体;酢酸ビニル・マレイン酸無水物共重合体、エチレン・マレイン酸無水物共重合体、ビニルブチルエーテル・マレイン酸無水物共重合体、アクリロニトリル・アクリル酸メチル・マレイン酸無水物共重合体又はアクリル酸ブチル・スチレン・マレイン酸無水物共重合体;ポリビニルアルコールフタレート、ポリビニルアセタールフタレート、ポリビニルブチレートフタレート又はポリビニルアセトアセタールフタレート等がある。
【0042】
一実施例において、前記胃溶性高分子物質は、胃溶性ポリビニル誘導体及び胃溶性アクリル酸系共重合体からなる群から選択される1以上であってよい。例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート;メタクリル酸メチル・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体(例えば、商品名:オイドラギットE)等がある。
【0043】
本発明の一実施例において、放出制御用高分子コーティング層に使用される高分子は、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(アンモニオメタアクリレートユニット(ammonio methacrylate units)の含量が8.85〜11.96%又は4.48〜6.77%)、メタクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体、エチルセルロース(例えば、商品名:オイドラギット(登録商標)NE30D、オイドラギット(登録商標)NE40D、オイドラギット(登録商標)NM30D)、又はポリ酢酸ビニル(例えば、商品名:コリコート(登録商標)SR30D)等であり、さらに具体的にはアクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(ammonio methacrylate unitsの含量が4.48〜6.77%)である。
【0044】
前記放出制御用高分子コーティング層の形成時、コーティングの効率性、安定性、見栄え、色相、保護、保持、結合、性能の改善、製造工程の改善、又は補助的な放出制御等の付加的な目的のために、多様な物質を添加することができる。可能な添加物質としては、糖類、糖アルコール類、着色剤、着香剤、甘味剤、界面活性剤、滑沢剤、安定化剤、酸化防止剤、発泡剤、パラフィン、ワックス、消泡剤又は可塑剤等を使用することができる。前記添加物質の種類と使用法、そしてこれらの物質をコア物質にコーティングする方法は、当該技術分野における通常の知識を有する者の技術水準に照らして容易に行うことができ、また、多様なカテゴリにおいて変形可能である。
【0045】
一実施例において、前記コア物質と放出制御用高分子コーティング層に含まれる可塑剤としては、アセチルトリエチルシトレート、ジブチルフタレート、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、プロピレングリコール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、ジエチルフタレート、ジブチルセバケート、ジエチルセバケート、セチルアルコール、ステアリルアルコール又はセトステアリルアルコール等があるが、これらに限定されるものではない。具体的には、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルセバケート、ジエチルセバケート等である。前記可塑剤は、使用される高分子の乾燥重量比0〜60重量%含めることができる。
【0046】
一実施例において、前記コア物質と放出制御用高分子コーティング層に含まれる滑沢剤としては、ステアリン酸、グリセリルベヘネート、グリセリルモノステアレート、マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート、二酸化ケイ素、タルク又はマグネシウムシリケート等があるが、これに限定されるものではない。本発明の滑沢剤の含量は、使用される高分子の乾燥重量比0.001〜300重量%であってよい。滑沢剤の含有量が0.001重量%未満の場合には、グリダント(glidant)或いはアンチ−タッキング(anti−tacking)の効果が十分でなく、300重量%を超える場合には、滑沢剤添加による効率性が低下し得る。
【0047】
前記放出制御用粒子の平均直径は、30〜3500μmの範囲であり、具体的には50〜2000μm、さらに具体的には100〜1500μmの範囲である。また、他の一実施例において、速崩解性錠剤又は咀嚼錠の製造のためには、口腔内の異物感を最小限にするために、100〜800μmであってよいが、特に前記範囲によって制限されるものではない。
【0048】
一実施例において、前記放出制御用粒子は、放出制御用高分子コーティング層内部の下部コーティング(sub coating)及び高分子コーティング層外部の上部コーティング(over coating)からなる群から選択される1以上のコーティングが付加されていてよい。前記下部又は上部コーティングは、薬物の放出制御にはほとんど影響を及ぼさずに、又は微々たる影響のみを及ぼしつつ、薬物や薬物含有粒子又は最終製剤の安定性、保護、色相化又は味覚遮蔽等の多様かつ付加的な目的を加味或いは向上させる役割をする。前記下部及び上部コーティングには、糖類、糖アルコール類、高分子物質、着色剤、着香剤、甘味剤、界面活性剤、滑沢剤、安定化剤、発泡剤、パラフィン、ワックス、可塑剤又は酸化防止剤等を使用することができる。
【0049】
放出制御用粒子群
前記放出制御用粒子において、前記高分子コーティング層に含まれる高分子の種類と組成比は同一であるが、コーティングされる物質の量を異ならせるとコーティング層の平均厚さが異なる粒子群を得ることができる。高分子コーティング層の厚さが異なれば薬物の放出の挙動も異なってくるので、コーティング層の厚さが異なる複数個の粒子群の組合せを通じて薬物の放出を調節することができる。すなわち、平均厚さが互いに異なる複数の粒子群を製造した後、前記粒子群の多様な組合せを作って薬物の放出をシミュレーションすれば、所望する薬物の放出の挙動が確保された特定の粒子群の特定の組合せを探し出すことができる。前記特定の粒子群は、2種類或いは3種類、又は4種類以上の粒子群であってよい。
【0050】
本発明において、放出制御用粒子群の数は、2種類以上であってよく、具体的には、前記粒子群の数が2種類又は3種類であってよい。
【0051】
一実施例において、前記放出制御用粒子群が2種類の場合、第1粒子群のコーティング層の平均厚さは1〜120μm、第2粒子群のコーティング層の平均厚さは10〜250μmであってよい。また、前記各粒子群の平均コーティング厚さは、順に大きくなるようにしていく。具体的には、第1粒子群のコーティング層の平均厚さは2〜80μm、第2粒子群のコーティング層の平均厚さは10〜120μmであってよい。さらに具体的には、第1粒子群のコーティング層の平均厚さは2〜60μm、第2粒子群のコーティング層の平均厚さは20〜100μmであってよい。第1粒子群と第2粒子群のコーティング層の平均厚さの差は5〜240μm、具体的には10〜100μmであってよい。
【0052】
また、他の一実施例において、前記放出制御用粒子群を3種類であってよく、第1粒子群のコーティング層の平均厚さは1〜120μm、第2粒子群のコーティング層の平均厚さは5〜200μm、第3粒子群のコーティング層の平均厚さは10〜250μmであってよい。また、前記各粒子群の平均コーティング厚さは、順に大きくなるようにしていく。さらに具体的には、前記放出制御用粒子群が3種類の場合に、第1粒子群のコーティング層の平均厚さは2〜90μm、第2粒子群のコーティング層の平均厚さは5〜120μm、第3粒子群のコーティング層の平均厚さは10〜150μmであってよい。より具体的には、前記放出制御用粒子群が3種類の場合に、第1粒子群のコーティング層の平均厚さは2〜30μm、第2粒子群のコーティング層の平均厚さは30〜60μm、第3粒子群のコーティング層の平均厚さは45〜90μmであってよい。
【0053】
また、前記各粒子群の平均のコーティング厚さは、順に大きくなるようにすることができ、第1粒子群と第2粒子群のコーティング層の平均厚さの差は5〜190μm、具体的には10〜70μm、第2粒子群と第3粒子群のコーティング層の平均厚さの差は5〜240μm、具体的には10〜80μmであってよい。
【0054】
前記放出制御用高分子コーティング層に含まれる高分子の種類と組成比が各粒子群ごとに同一である場合、コーティング溶液が同一であるので一度に製造することが可能である等、コーティング溶液の製造が容易であり、生産中にコーティング時間に応じて生産される物質の一部分を採取することができて、一度の生産で多様な種類の粒子群を確保することが容易である。また、他の場合には、より厚さの薄いコーティング層を有する粒子群を生産した後、一部を取り分けてより厚さの厚いコーティング層を有する粒子群の製造のためのシード(seed)として活用すれば、第二の粒子群のコーティング時間が減って生産時間を短縮することもできる。
【0055】
また、他の一実施例において、前記放出制御用高分子コーティング層は、任意で2以上の多層に形成されていてよい。これは、コーティング層を多層に形成することにより、薬物放出のパターンをより多様に調整することができるという長所がある。各粒子において多層にコーティングする場合、高分子は、各層において高分子の組成を異ならせたり、同一にしたりすることができる。例えば、前記放出制御用高分子コーティング層は、2〜5の層に形成されていてよく、それぞれの層は、高分子の組成が部分的に又はすべて異なるようにすることができる。高分子コーティング層を多層にする場合、各層の平均厚さが各粒子群において異なるようにすることもでき、又は多層のうち一部の層の厚さのみ各粒子群において異なるようにすることもできる。
【0056】
また、他の一実施例において、前記粒子群の組合せの製造の際、最終選定される粒子群の間で平均直径の差が大きくなる場合に発生し得る粒子群の混合不均一性を防止するために、直径の異なるコアを使用して放出制御用粒子群を製造することができる。例えば、第1粒子群の平均直径が第2、第3粒子群のそれに比べて大幅に小さい場合には、第1粒子群の製造のために、より大径のシードを使用して薬物コアを生成し、その上に高分子コーティング層を形成させれば、相対的な平均直径の差が少なくなり、粒子群の混合不均一性の解決可能な方法となり得る。
【0057】
一実施例において、放出制御用粒子群が3種類である場合の各粒子群の薬物溶出パターンは、大韓薬典第8改正(KP VIII )の「36.溶出試験法」の第2法(バドル法)により500mlの水に対して毎分50回転で試験した場合、次のとおりである。
(a)第1粒子群は、1時間以内に含有されている薬物の70重量%以上が溶出され、
(b)第2粒子群は、1時間以内に含有されている薬物の30重量%以下、6時間以内に70重量%以上が溶出され、
(c)第3粒子群は、2時間以内に含有されている薬物の30重量%以下、8時間以内に70重量%以上が溶出される。
【0058】
本発明においては、高分子コーティング層の厚さに加えて、各粒子群の重量比により、最終的な粒子の組合せの溶出パターンが異なり得る。本発明における粒子群3種の組合せにおいて、第1粒子群:第2粒子群:第3粒子群の重量比は、1:0.1〜10:0.1〜10、具体的には1:0.2〜8:0.2〜8、さらに具体的には1:0.5〜6:1〜8であってよい。また、所望の溶出パターンを得るために多様なコーティング層の平均厚さの変更が可能であるので、それによって重量比も多様に変化し得る。
【0059】
また、本発明に係る粒子群の組合せの溶出パターンは、大韓薬典第8改正(KP VIII )の「36.溶出試験法」の第2法(バドル法)により500mlの水に対して毎分50回転で試験した場合、次のとおりである。
(a)全薬物の5〜50%が1時間以内に放出され、
(b)全薬物の10〜65%が2時間以内に放出され、
(c)全薬物の20〜80%が4時間以内に放出され、
(d)全薬物の30〜95%が6時間以内に放出され、
(e)全薬物の50%以上が8時間以内に放出される。
【0060】
具体的には、本発明に係る各粒子群の組合せの溶出パターンは、大韓薬典第8改正(KP VIII )の「36.溶出試験法」の第2法(バドル法)により500mlの水に対して毎分50回転で試験した場合、次のとおりである。
(a)全薬物の10〜40%が1時間以内に放出され、
(b)全薬物の15〜50%が2時間以内に放出され、
(c)全薬物の30〜75%が4時間以内に放出され、
(d)全薬物の50〜90%が6時間以内に放出され、
(e)全薬物の70%以上が8時間以内に放出される。
【0061】
前記の場合、服用後1時間の間に薬物が多少放出されて初期に薬効発現が起こるだけでなく、薬物が8時間の間徐々に放出され、午前に1回の服用で約12時間薬効が持続し得る。これは、一般的に、午前8時頃に薬を服用した場合に、午後8時まで効果が持続することであり、1日1回の服用で起きている時間中薬効が持続し得る。
【0062】
製剤化
本発明はまた、前記放出制御用薬剤学的組成物を含む経口用製剤を提供する。前記経口用製剤は、特別な制限なく様々な形態で製剤化することができる。一実施例において、前記経口用製剤は、カプセル剤、一般錠剤、二重錠剤、咀嚼錠剤、速崩解性錠剤、咀嚼錠、乾燥シロップ型製剤、シロップ剤、ゲル型製剤又は顆粒剤等であってよい。前記経口用製剤を製造する過程において、賦形剤、崩解剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、香り又は甘味剤、界面活性剤、安定化剤、発泡剤、酸化防止剤などの添加物を使用することができる。
【0063】
一実施例において、前記放出制御用薬剤学的組成物は、滑沢剤及び賦形剤など、他の添加剤等と混合した後、硬質カプセルに充填して、硬質カプセル剤として製剤化することができる。前記放出制御用薬剤学的組成物を、賦形剤、崩解剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、香り及び甘味剤等とともに打錠して、一般錠剤として製剤化することができる。前記放出制御用薬剤学的組成物を、他の賦形剤、崩解剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、香り又は甘味剤等とともに咀嚼錠剤として製剤化することができる。また、前記放出制御用薬剤学的組成物をシロップ内に均一に分散させ、保管過程においてメチルフェニデートがシロップ内に放出されるのを防ぐことにより、シロップ剤として応用することができる。
【0064】
場合によっては、前記放出制御用薬剤学的組成物は、患者にとって服用が便利な速崩解性製剤として製剤化することができる。この場合、徐放型速崩解性錠剤となり、1日1回の服用で効果が持続するだけでなく、服用時に水なしで飲むことができるので、服用の利便性が極大化された場合であると見ることができる。例えば、公知のWOWTAB(登録商標)、Zydis(登録商標)、OraSolv(登録商標)、DuraSolv(登録商標)、QuickSolv(登録商標)、FlashTab(登録商標)、AdvaTab(登録商標)、Lyoc(登録商標)、FlashDose(登録商標)、Frosta(登録商標)等の速崩解性錠剤の技術を利用して、速崩解性製剤として製剤化することができる。
【0065】
本発明においては、カプセル剤又は錠剤が好ましい。特に、速崩解錠が好ましく、この場合、錠剤形態への製剤化過程においては、前記放出制御用薬剤学的組成物の高分子コーティング層が損傷しないよう、適切な範囲の打錠圧を使用することが望ましい。或いは、緩衝作用をすることができる物質を含ませてコーティング層の損傷を防ぐこともできる。速崩解錠の場合、錠剤が一時口腔に留まるので、メチルフェニデートの苦味を遮蔽することが好ましく、甘味剤や香り等の使用では苦味の遮蔽が不十分な場合がある。したがって、薬物を含んでいるコア物質をコーティングする本発明の粒子は、このような目的を達成するのに適している。
【0066】
また、前記多様な錠剤形態への製剤化過程において、前記放出制御用薬剤学的組成物を、顆粒化の過程なしに、他の賦形剤と混合して直接打錠する直接打錠法を使用することが可能であり、また、顆粒を先に作った後、後混合工程において滑沢剤等その他の賦形剤と前記組成物とを混合して打錠する顆粒打錠法を活用することもできる。また、顆粒製造工程から、前記放出制御用組成物を賦形剤等とともに混合して顆粒化した後、後混合工程を経てから打錠して、多様な種類の錠剤に製剤化することもできる。
【0067】
本発明の製剤は、一製剤当たり2〜60mgのメチルフェニデートを含むようにして、1日1回〜3回の服用が可能である。
【0068】
以下、本発明の好ましい実施例を通じ、本発明をさらに詳述するが、下記の各実施例は、本発明の効果を例示的に確認するためのものであり、本発明の範疇がこれらのみに限定されるものではない。
【実施例】
【0069】
下記の実施例等において行われた製剤化特性分析の方法は、次のとおりである。
溶出試験:
粒子、錠剤、カプセル剤、咀嚼錠剤及び速崩解性錠剤の有効成分の溶出試験は、大韓薬典第8改正(KP VIII )の「36.溶出試験法」の第2法(バドル法)により行った。溶出液としては、pH1.2緩衝溶液、pH4.0緩衝溶液、pH6.8緩衝溶液又は3次蒸留水を使用した。
【0070】
溶出後の分析は、HPLCを使用して行った。メチルフェニデートの分析のために、無水酢酸ナトリウム1.64gを1Lの水に溶かした溶液(酢酸を用いてpH4.0に調節)と、アセトニトリルとメタノールを体積比1:1:2で混ぜて移動相として使用した。また、USPのL10(シアノ化したシリカゲルを充填したカラム、250×4.6mm)カラムを使用し、移動相の流速は1.5ml/min、試料量50μl、検出波長210nmで8分間測定した。このとき、約4.4分の保持時間(retention time)において薬物のピークが観察された。
【0071】
含量試験:
粒子、錠剤、カプセル剤、咀嚼錠剤及び速崩解性錠剤等に含まれた活性成分に対する含量試験は、前記溶出試験に使用された移動相に、活性成分が含まれた粒子、錠剤、カプセル剤、咀嚼錠剤及び速崩解性錠剤等を入れて振盪混和した後、遠心分離して上澄み液を得、この液を濾過及び希釈して検液を作り、HPLCを利用して分析した。メチルフェニデートの含量分析のために、前記溶出試験の移動相溶液を移動相として使用し、USPのL10(シアノ化したシリカゲルを充填したカラム、250×4.6mm)カラムを使用し、移動相の流速は1.5ml/min、試料量20μl、検出波長210nmで8分間測定した。このとき、約4.4分の保持時間(retention time)において薬物のピークが観察された。
【0072】
硬度測定:
錠剤、咀嚼錠剤及び速崩解性製剤等の錠剤の場合、製剤の硬度は、硬度計8M(Hardness tester,8M,Dr.Schleuniger、スイス)を使用して測定し、少なくとも6つの検体を測定して平均値を記載した。
【0073】
崩解試験:
速崩解性錠剤の場合、口腔内における速崩解性錠剤の崩解試験を志願者に実施した。志願者を無作為に選定して、水で口を洗浄させた。錠剤を志願者の舌に載せてすぐにストップウォッチを作動させ、崩解時間を測定した。志願者が自分の舌を使って速崩解性錠剤を口蓋に移動させることや、錠剤を噛まずに柔らかく動かしたり左右に転がしたりすることは許容した。錠剤が崩壊して唾液とともに飲み込むことができる状態になったらすぐにストップウォッチを停止させ、時間を記録した。
【0074】
<実施例1>メチルフェニデート含有コア物質(コア1)の製造
塩酸メチルフェニデート850g、タルク24g及びHPMC48.5gを、水4800gに溶かしてコーティング液を製造した。微結晶セルロースであるCP102(106〜212μm、Celphere(登録商標),旭化成、日本)425gを、GPCG−1(Glatt、ドイツ)流動層コーティング機に入れ、製造されたコーティング液をボトムスプレー(Bottom spray)方式で噴霧し、生成物の温度(product temperature)を29〜35℃の範囲内に維持しながら、コーティング液の消尽時までコーティングした。コーティング液の噴霧が終わった後、50℃で乾燥させてメチルフェニデートを含有するコア物質1330gを得た。HPLCで測定したときの薬物の含量は、約65.4%であった。得られたコア物質は、大部分が300μmの篩を通過し、SEM画像(image)で確認した大部分の粒子の直径は、180〜300μmの範囲内にあった。
【0075】
同一の過程を繰り返して、メチルフェニデートを含有するコア物質1339gを得た。HPLCで測定したときの薬物の含量は約65.9%であった。得られたコア物質は、大部分が300μmの篩を通過し、SEM画像(image)で確認した大部分の粒子の直径は、180〜300μmの範囲内にあった。
【0076】
<実施例2>メチルフェニデート含有コア物質(コア2)の製造
塩酸メチルフェニデート850g、タルク24g及びHPMC48.5gを水4800gに溶かしてコーティング液を製造した。微結晶セルロースであるCP203(150〜300μm、Celphere(登録商標),旭化成、日本)425gをGPCG−1(Glatt、ドイツ)流動層コーティング機に入れ、製造されたコーティング液をボトムスプレー方式で噴霧し、生成物の温度(product temperature)を29〜35℃の範囲内に維持しながら、コーティング液の消尽時までコーティングした。コーティング液の噴霧が終わった後、50℃で乾燥させてメチルフェニデートを含有するコア物質1335gを得た。HPLCで測定したときの薬物の含量は約65.0%であった。得られたコア物質は、大部分が425μmの篩を通過し、SEM画像(image)で確認した大部分の粒子の直径は200〜400μmの範囲内にあった。
【0077】
<実施例3>メチルフェニデート含有コア物質(コア3)の製造
GPCG−1流動層工程機にローター(Rotor)オプションを装着し、塩酸メチルフェニデート392gと、Avicel(登録商標)PH101を208g入れた。その後、1400rpmの速度で回転させながら500gの水をスプレーすることにより、球形の粒子を製造した。150〜300μmの球状の粒子が生成されたときにスプレーを終了し、温度を50℃に上げて10分間乾燥した。回転を止めた後に生成物を取り出し、コンベクションオーブン(convection oven)で8時間乾燥させた後、篩にかけて150〜300μmの粒子438gを得た。HPLCで測定したときの薬物の含量は約64.9%であった。
【0078】
<実施例4>放出制御用粒子Aの製造
オイドラギット(登録商標)RS100(Degussa)65gを468gのエタノールと155gの水の混合溶媒に溶かした後、タルク(Talc)19.6gを入れてコーティング液を製造した。前記実施例1において製造されたコア物質(コア1)500gを取り分けて流動層コーティング機に入れ、製造されたコーティング液をボトムスプレー方式で噴霧し、生成物の温度(producttem perature)を26〜32℃の範囲内に維持しながら、コーティング液の消尽時までコーティングした。コーティング液の噴霧が終わった後、乾燥させて572gの放出制御用粒子を得た。HPLCで測定したときの薬物の含量は、約54.5%であった。
【0079】
前記放出制御用高分子は、メチルフェニデート含有コア物質に比べて約13%の割合でコーティングされ、SEM画像(image)で破断面を観察したときの高分子コーティング層の厚さは、9.6±5.0μmであった。
【0080】
<実施例5>放出制御用粒子Bの製造
オイドラギット(登録商標)RS100(Degussa)40gを288gのエタノールと95gの水の混合溶媒に溶かした後、タルク(Talc)12gを入れてコーティング液を製造した。前記実施例2において製造されたコア物質(コア2)500gを取り分けて流動層コーティング機に入れ、製造されたコーティング液をボトムスプレー方式で噴霧し、生成物の温度(product temperature)を26〜32℃の範囲内に維持しながら、コーティング液の消尽時までコーティングした。コーティング液の噴霧が終わった後、乾燥させて543gの放出制御用粒子を得た。HPLCで測定したときの薬物の含量は、約58.4%であった。
【0081】
前記放出制御用ポリマーは、コア物質に比べて約8%の割合でコーティングされ、SEM画像(image)で破断面を観察したときの高分子コーティング層の厚さは、8.4±5.2μmであった。
【0082】
<実施例6>放出制御用粒子Cの製造
オイドラギット(登録商標)RS100(Degussa)575gを4140gのエタノールと1376gの水の混合溶媒に溶かした後、タルク(Talc)173gを入れてコーティング液を製造した。前記実施例1において製造されたコア物質(コア1)500gを取り分けて流動層コーティング機に入れ、製造されたコーティング液をボトムスプレー方式で噴霧し、生成物の温度(product temperature)を26〜32℃の範囲内に維持しながら、コーティング液の消尽時までコーティングした。コーティング液の噴霧が終わった後、乾燥させて1210gの放出制御用粒子を得た。HPLCで測定したときの薬物の含量は、約26.2%であった。
【0083】
前記放出制御用高分子は、メチルフェニデート含有コア物質に比べて約115%の割合で高分子がコーティングされ、SEM画像(image)で破断面を観察したときの高分子コーティング層の厚さは、55.8±6.8μmであった。
【0084】
<実施例7>放出制御用粒子Dの製造
オイドラギット(登録商標)RS100(Degussa)1250gを9000gのエタノールと2990gの水の混合溶媒に溶かした後、タルク(Talc)377gを入れてコーティング液を製造した。前記実施例1において製造されたメチルフェニデート含有コア物質500gを取り分けて流動層コーティング機に入れ、製造されたコーティング液をボトムスプレー方式で噴霧し、生成物の温度(product temperature)を26〜32℃の範囲内に維持しながら、コーティング液の消尽時までコーティングした。コーティング液の噴霧が終わった後、乾燥させて2080gの放出制御用粒子を得た。HPLCで測定したときの薬物の含量は、約15.0%であった。
【0085】
前記放出制御用粒子の放出制御用高分子は、メチルフェニデート含有コア物質に比べて約250%の割合で高分子がコーティングされており、SEM画像(image)で破断面を観察したときの高分子コーティング層の厚さは、79.7±7.4μmであった。
【0086】
<実施例8>放出制御用粒子Eの製造
オイドラギット(登録商標)RS100(Degussa)1500gを10800gのエタノールと3600gの水の混合溶媒に溶かした後、タルク(Talc)450gを入れてコーティング液を製造した。前記実施例1において製造されたメチルフェニデート含有コア物質500gを取り分けて流動層コーティング機に入れ、製造されたコーティング液をボトムスプレー方式で噴霧し、生成物の温度(product temperature)を26〜32℃の範囲内に維持しながら、コーティング液の消尽時までコーティングした。コーティング液の噴霧が終わった後、乾燥させて2370gの放出制御用粒子を得た。HPLCで測定したときの薬物の含有量は、約13.5%であった。
【0087】
前記放出制御用粒子の放出制御用高分子は、メチルフェニデート含有コア物質に比べて約300%の割合で高分子がコーティングされており、SEM画像(image)で破断面を観察したときの高分子コーティング層の厚さは、82.3±8.6μmであった。
【0088】
前記実施例4〜8において製造された放出制御用粒子の成分含有量を表1に示した。
【表1】

【0089】
<実施例9>放出制御用粒子の水に対する溶出パターン測定実験
先に言及した溶出試験に従い、前記実施例4〜8において製造された粒子の水に対する溶出パターンを測定した。前記粒子Aを49.5mgずつ精密に量って6つのサンプルとし、6連式溶出試験器にそれぞれ水500mlを入れ、パドル法50rpmで12時間の溶出試験を実施した後、HPLC分析の結果を平均して溶出曲線を得た。前記粒子B,C,D,Eをそれぞれ46.2mg,103mg,180mg,200mgずつ精密に量って同一の試験を行い、その結果を表2に示した。
【0090】
【表2】

【0091】
<実施例10>粒子組合せ1
前記実施例4〜8において製造された粒子群A,C,Dをそれぞれ10.9mg,39.2mg,72mgずつ6回取った後、6連式溶出試験機にそれぞれ水500mlを入れてパドル法50rpmで12時間の溶出試験を実施した後、HPLCで分析した結果を表3に示した。このとき、粒子群Aの代わりに粒子群B10.2mgを使用しても、同一の結果を得ることができた。
【0092】
<実施例11>粒子組合せ2
前記実施例4〜8において製造された粒子群A,C,Eをそれぞれ17.3mg,36.1mg,60mgずつ6回取った後、6連式溶出試験機にそれぞれ水500mlを入れてパドル法50rpmで12時間の溶出試験を実施した後、HPLCで分析した結果を表3に示した。このとき、粒子群Aの代わりに粒子群B16.1mgを使用しても、同じ結果を得ることができた。
【0093】
【表3】

【0094】
粒子組合せ1の場合、服用後1時間の間に20%ほどの薬物が放出され、初期に薬効の発現が起こるだけでなく、薬物が8時間の間徐々に放出され、午前の1回の服用で約12時間薬効が持続し得る。これは、一般的に、午前8時頃に薬を服用した場合に、午後8時まで効果が持続することであり、1日1回の服用で起きている時間中薬効が持続し得る。
【0095】
粒子組合せ2の場合、服用後1時間の間に35%ほどの薬物が放出され、初期に薬効の発現が速やかに起こるだけでなく、8時間以上にわたって薬物が徐々に放出され、午前の1回の服用で約12時間薬効が持続し得る。
【0096】
<実施例12>放出制御粒子F,G,Hの製造及び粒子組合せ
可塑剤であるジブチルセバケートを含む放出制御粒子F,G,Hは、表4に示された成分含量を利用して製造し、可塑剤の付加以外は、前記実施例4〜8で言及した方法と同一に製造した。SEMで測定した放出制御高分子コーティング層の厚さと、HPLCで測定した薬物の含量についても、表4に示した。
【0097】
【表4】

【0098】
製造された粒子群F,G,Hをそれぞれ11.5mg,24.1mg,64.3mgずつ6回取った後、6連式溶出試験機にそれぞれ水500mlを入れてパドル法50rpmで12時間の溶出試験を実施した後、HPLCに分析した結果を表5に示した。
【0099】
【表5】

服用後1時間の間に23.4%ほどの薬物が放出され、初期に薬効発現が起こるだけでなく、薬物が8時間の間徐々に放出され、午前の1回の服用で約12時間薬効が持続し得る。これは、一般的に、午前8時頃に薬を服用した場合に、午後8時まで効果が持続することであり、1日1回の服用で起きている時間中薬効が持続し得る。
【0100】
<実施例13>速崩解性錠剤
Mannogem EZ(Spray dried mannitol,SPI)190gと、Advantose FS 95(Spray dried fructose,SPI)10gとを混合し、スクロース(Sucrose)50%溶液(エタノール:水=4:6)40gで顆粒化した。顆粒化された粒子を600μmの篩にかけて除粒し、50℃のオーブンで乾燥させた。製造された顆粒118gを取り分けた後、前記実施例4〜8において製造された3種類の粒子群A,C,Dをそれぞれ3.1g,11.3g,20.6gずつ取った計35gの粒子を合わせて混合し、崩解剤(Explotab)4.8g、滑沢剤2.4gをさらに加えて混合した後、重さ561mgの速崩解性錠剤に打錠した。
【0101】
先に言及した硬度測定方法及び崩解試験方法に従い測定した結果、速崩解性錠剤の硬度は4.9Kp、口腔内崩解時間は28秒であった。
【0102】
このとき、粒子群Aの代わりに粒子群B2.9gを使用して製造した場合にも、類似な結果を得ることができ、速崩解性錠剤の硬度は4.6Kp、口腔内崩解時間は30秒であった。ただし、粒子の混和度が良くなったため、後混合時間を短縮することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチルフェニデートを含有するコア物質;及び
前記コア物質上に形成された放出制御用高分子コーティング層
を含む複数の放出制御用粒子とを含み、
前記複数の放出制御用粒子は、放出制御用高分子コーティング層の高分子組成は同一であるが、平均厚さが異なる2以上の粒子群に分けられることを特徴とする、放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項2】
前記放出制御用高分子コーティング層は、単層又は2以上の多層に形成されることを特徴とする、請求項1記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項3】
前記多層に形成された放出制御用高分子コーティング層は、各層ごとに、高分子の組成が同一又は相違なことを特徴とする、請求項2記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項4】
前記放出制御用粒子は、高分子コーティング層内部の下部コーティング(sub coating)及び高分子コーティング層外部の上部コーティング(over coating)からなる群から選択されるコーティングがさらに形成されていることを特徴とする、請求項1記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項5】
前記高分子コーティング層を構成する高分子は、水不溶性、水溶性、腸溶性及び胃溶性高分子からなる群から選択される1又は2以上の組合せであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項6】
前記放出制御用粒子の平均直径は、30〜3500μmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項7】
前記放出制御用粒子群の数が2種類である場合に、
第1粒子群のコーティング層の平均厚さは、1〜120μmであり、
第2粒子群のコーティング層の平均厚さは、10〜250μmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項8】
前記放出制御用粒子群の数が2種類である場合に、
第1粒子群のコーティング層の平均厚さは、2〜80μmであり、
第2粒子群のコーティング層の平均厚さは、10〜120μmであることを特徴とする、請求項7記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項9】
前記放出制御用粒子群の数が3種類である場合に、
第1粒子群のコーティング層の平均厚さは、1〜120μmであり、
第2粒子群のコーティング層の平均厚さは、5〜200μmであり、
第3粒子群のコーティング層の平均厚さは、10〜250μmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項10】
前記放出制御用粒子群の数が3種類である場合に、
第1粒子群のコーティング層の平均厚さは、2〜90μmであり、
第2粒子群のコーティング層の平均厚さは、5〜120μmであり、
第3粒子群のコーティング層の平均厚さは、10〜150μmであることを特徴とする、請求項9記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項11】
前記放出制御用粒子群の数が3種類である場合に、
第1粒子群のコーティング層の平均厚さは、2〜30μmであり、
第2粒子群のコーティング層の平均厚さは、30〜60μmであり、
第3粒子群のコーティング層の平均厚さは、45〜90μmであることを特徴とする、請求項9記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項12】
前記放出制御用粒子群の数が3種類である場合に、
第1粒子群:第2粒子群:第3粒子群の重量比は、1:0.1〜10:0.1〜10であることを特徴とする、請求項9記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項13】
前記薬剤学的組成物の溶出パターンは、大韓薬典第8改正(KP VIII )の「36.溶出試験法」の第2法(バドル法)により500mlの水に対して毎分50回転で試験したとき、
(a)全薬物の5〜50%が1時間以内に放出され、
(b)全薬物の10〜65%が2時間以内に放出され、
(c)全薬物の20〜80%が4時間以内に放出され、
(d)全薬物の30〜95%が6時間以内に放出され、
(e)全薬物の50%以上が8時間以内に放出されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項14】
前記薬剤学的組成物の溶出パターンは、大韓薬典第8改正(KP VIII )の「36.溶出試験法」の第2法(バドル法)により500mlの水に対して毎分50回転で試験したとき、
(a)全薬物の10〜40%が1時間以内に放出され、
(b)全薬物の15〜50%が2時間以内に放出され、
(c)全薬物の30〜75%が4時間以内に放出され、
(d)全薬物の50〜90%が6時間以内に放出され、
(e)全薬物の70%以上が8時間以内に放出されることを特徴とする、請求項13記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項15】
前記コア物質及び高分子コーティング層は、さらに、糖類、糖アルコール類、高分子物質、着色剤、着香剤、甘味剤、界面活性剤、滑沢剤、安定化剤、酸化防止剤、発泡剤、パラフィン、ワックス及び可塑剤からなる群から選択される1又は2以上の組合せを含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項16】
前記可塑剤は、アセチルトリエチルシトレート、ジブチルフタレート、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、プロピレングリコール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、ジエチルフタレート、ジブチルセバケート、ジエチルセバケート、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びセトステアリルアルコールからなる群から選択される1又は2以上の組合せであることを特徴とする、請求項15記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項17】
前記薬剤学的組成物は経口用製剤であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の放出制御用薬剤学的組成物。
【請求項18】
前記経口用製剤は、速崩解性錠剤、咀嚼錠剤、カプセル剤、一般錠剤、顆粒剤又はシロップ剤であることを特徴とする、請求項17記載の放出制御用薬剤学的組成物。

【公表番号】特表2012−508228(P2012−508228A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535511(P2011−535511)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006510
【国際公開番号】WO2010/053306
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(500578515)サムヤン コーポレイション (20)
【Fターム(参考)】