説明

メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)の結晶塩類

下記の構造式:(式1)
【化1】


で表される、化合物の粘液酸塩類を開示する。特に、構造式(I)で表される化合物の単結晶質粘液酸塩類が、種々の特性および物理的測定値で特性化される。1つまたは複数のアスパラギン酸プロテアーゼに拮抗する塩類を使用して、粘液酸塩を製造する方法、およびその塩類を使用して、多数のアスパラギン酸プロテアーゼ介在疾患を治療する方法を本明細書に記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年8月6日に提出された米国仮特許出願第61/231,860号明細書の利益を主張する。
【0002】
上記出願の教示全体を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0003】
国際公開第2008/036247号パンフレットは、アスパラギン酸プロテアーゼ類、特にレニンに対して阻害活性を有すると表示され、またアスパラギン酸プロテアーゼ介在疾患の治療に有用であると表示される、一連の化合物を記述している。式I、
【化1】


で構造的に表される、メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートは、国際公開第2008/036247号パンフレットに開示されている化合物の1つである。国際公開第2008/036247号パンフレットはさらに、構造式(I)で表される化合物のパモ酸塩(2:1)を開示し、また結晶化のためではなく、単離目的での、トリフルオロ酢酸塩の使用を記述している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
構造式(I)で表される化合物の2:1パモ酸塩は好収率で得られ、また高結晶質であったが、所望のバイオアベイラビリティおよび水溶性は達成されなかった。
【0005】
結晶質であり、良好な水溶性や、良好なインビボ経口バイオアベイラビリティを有し、その他大規模製造しやすい物理的特性を有する、構造式(I)で表される化合物の塩形が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある特定の十分に非吸湿性の結晶形、特に、単結晶形Form B、Form CおよびForm Dを提供するための特定の条件下で、構造式(I)で表される化合物の粘液酸塩(以下「式(I)粘液酸塩」)を形成できることが分かっている。これらの式(I)粘液酸塩の結晶形は、式(I)の他の塩類と比較するとき、そして式(I)粘液酸塩の他の結晶形、具体的にはForm AおよびForm Eと比較するときでさえ、有利な特性を有することが分かっている。式(I)で表される化合物の所望の塩形を調製しようとして使用された他の酸類としては以下のもの等がある:塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、アジピン酸、L−アスパラギン酸、安息香酸、樟脳酸、クエン酸、フマル酸、ゲンチジン酸、L−グルタミン酸、グルタル酸、グリコール酸、黒尿酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、α−ケトグルタル酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、D−リンゴ酸、L−リンゴ酸、マロン酸、DL−マンデル酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、ニコチン酸、オロチン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、コハク酸、ならびにD−およびL−酒石酸。しかし、式(I)の化合物の塩形を調製するためのこれらの酸類のいずれかの使用には、(i)使用される条件で、結晶質塩類が提供されないこと、(ii)使用される条件でさらなる考慮を必要とするほど、十分な量および/または収率で結晶質塩類が提供されないこと、(iii)十分に非吸湿性の塩類が提供されないこと、および(iv)十分なバイオアベイラビリティを有する酸塩が提供されないこと、の1つまたは複数に関連する不都合があることが分かっている。さらに、その酸は、一般に安全と認められる(GRAS)ことが好ましい。より好ましくは、その酸はFDA Class Iに属する。
【0007】
十分に非吸湿性であることに加えて、式(I)粘液酸塩のある特定の結晶形、特に、単結晶形Form B、Form CおよびForm Dは、良好な水溶性および良好なインビボ経口バイオアベイラビリティを有する。これらは大規模製造に好ましい特性であり、式(I)粘液酸塩を魅力的な薬剤候補にする。
【0008】
本発明の一実施態様は、構造式(I)で表される化合物の粘液酸塩の結晶形であり、ここで結晶形は、Form B、Form C、Form Dまたはそれらの組合せから選択される。
【0009】
本発明の関連実施態様は、式(I)で表される化合物の粘液酸塩である。上述の通り、式(I)で表される化合物の粘液酸塩を、本明細書で「式(I)粘液酸塩」と呼ぶ。式(I)で表される化合物を、本明細書で「式(I)遊離塩基」と呼ぶ。
【0010】
本発明の別の実施態様は、薬学的に許容できる担体または希釈剤および式(I)粘液酸塩を含む医薬組成物である。
【0011】
本発明の別の実施態様は、式(I)粘液酸塩の有効量を対象に投与することを含む、必要とする対象において1つまたは複数のアスパラギン酸プロテアーゼに拮抗する方法である。
【0012】
本発明の別の実施態様は、式(I)粘液酸塩の有効量を対象に投与することを含む、対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼ介在疾患を治療する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例3に記載の通りに調製された式(I)粘液酸塩−Form BのX線粉末回折パターンを示す図である。
【図2】実施例4に記載の通りに調製された式(I)粘液酸塩−Form BのX線粉末回折パターンを示す図である。
【図3】実施例5に記載の通りに調製された式(I)粘液酸塩−Form CのX線粉末回折パターンを示す図である。
【図4】実施例6に記載の通りに調製された式(I)粘液酸塩−Form DのX線粉末回折パターンを示す図である。
【図5】式(I)粘液酸塩−Form BのX線粉末回折パターンを示す図である。データを処理して、図1に示すディフラクトグラムから非晶質バックグラウンドを除去した。
【図6】式(I)粘液酸塩−Form BのX線粉末回折パターンを示す図である。データを処理して、図2に示すディフラクトグラムから非晶質バックグラウンドを除去した。
【図7】式(I)粘液酸塩−Form CのX線粉末回折パターンを示す図である。データを処理して、図3に示すディフラクトグラムから非晶質バックグラウンドを除去した。
【図8】式(I)粘液酸塩−Form DのX線粉末回折パターンを示す図である。データを処理して、図4に示すディフラクトグラムから非晶質バックグラウンドを除去した。
【図9】式(I)粘液酸塩−Form B(実施例3)の示差走査熱量測定トレースを示す図である。
【図10】式(I)粘液酸塩−Form C(実施例5)の示差走査熱量測定トレースを示す図である。
【図11】式(I)粘液酸塩−Form D(実施例6)の示差走査熱量測定トレースを示す図である。
【図12】式(I)粘液酸塩−Form B(実施例3)の熱重量分析トレースを示す図である。
【図13】式(I)粘液酸塩−Form C(実施例5)の熱重量分析トレースを示す図である。
【図14】式(I)粘液酸塩−Form D(実施例6)の熱重量分析トレースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、式(I)粘液酸塩の独特な結晶形、および本明細書に記載の式(I)粘液酸塩の結晶形を含む式(I)粘液酸塩の新規な医薬組成物を提供する。本発明はまた、本明細書に記載の式(I)粘液酸塩の結晶形を含む式(I)粘液酸塩の有効量を対象に投与することを含む、必要とする対象における1つまたは複数のアスパラギン酸プロテアーゼに拮抗する方法も提供する。本発明はまた、本明細書に記載の式(I)粘液酸塩の結晶形を含む式(I)粘液酸塩の有効量を対象に投与することを含む、対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼ介在疾患を治療する方法も提供する。さらに、本発明は、式(I)粘液酸塩の特定の結晶形を調製する方法を提供する。
【0015】
本発明の一実施態様は式(I)粘液酸塩である。
【0016】
より具体的な実施態様は、式(I)粘液酸塩の結晶形である。
【0017】
別のより具体的な実施態様は、結晶形がForm B、Form C、Form Dまたはそれらの組合せから選択される、式(I)粘液酸塩の結晶形である。
【0018】
別のより具体的な実施態様で、式(I)粘液酸塩は、ヘミムカート塩である。
【0019】
本発明の別の特定の実施態様で、式(I)粘液酸塩の少なくともある特定の重量パーセンテージは結晶質である。特定の重量パーセンテージとしては、50%、70%、72%、75%、77%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、50%〜100%のパーセンテージ、または70%〜100%のパーセンテージなどが含まれる。
【0020】
本発明の別の特定の実施態様で、式(I)粘液酸塩の結晶形の少なくともある特定の重量パーセンテージは、式(I)粘液酸塩の単結晶形である。特定の重量パーセンテージとしては、50%、70%、72%、75%、77%、80%、82%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、50%〜100%のパーセンテージ、または70%〜100%のパーセンテージなどが含まれる。
【0021】
本発明の別の実施態様は、図1および/または図2と実質的に一致したX線粉末回折パターンを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0022】
本発明の別の実施態様は、図3と実質的に一致したX線粉末回折パターンを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0023】
本発明の別の実施態様は、図4と実質的に一致したX線粉末回折パターンを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0024】
本発明の別の実施態様は、図5および/または図6と実質的に一致した処理済のX線粉末回折パターンを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0025】
本発明の別の実施態様は、図7と実質的に一致した処理済のX線粉末回折パターンを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0026】
本発明の別の実施態様は、図8と実質的に一致した処理済のX線粉末回折パターンを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0027】
本発明の別の実施態様は、図1および/または図2と実質的に一致したX線粉末回折パターン、ならびに図5および/または図6と実質的に一致した処理済のX線粉末回折パターンを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0028】
本発明の別の実施態様は、図3と実質的に一致したX線粉末回折パターン、および図7と実質的に一致した処理済のX線粉末回折パターンを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0029】
本発明の別の実施態様は、図4と実質的に一致したX線粉末回折パターン、および図8と実質的に一致した処理済のX線粉末回折パターンを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0030】
本発明の別の実施態様は、図9と実質的に一致した示差走査熱量測定トレースおよび/または図12と実質的に一致した熱重量分析トレースを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0031】
本発明の別の実施態様は、図10と実質的に一致した示差走査熱量測定トレースおよび/または図13と実質的に一致した熱重量分析トレースを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0032】
本発明の別の実施態様は、図11と実質的に一致した示差走査熱量測定トレースおよび/または図14と実質的に一致した熱重量分析トレースを提供する、式(I)粘液酸塩の結晶形を対象とする。
【0033】
本発明の別の実施態様は、塩が単結晶形Form B、Form C、またはForm Dのものである、式(I)粘液酸塩である。
【0034】
本発明の別の実施態様は、式(I)粘液酸塩であり、ここで塩は、単結晶形Form B、Form CおよびForm Dの1つまたは複数を含み、また任意選択的に式(I)の非晶質粘液酸塩を含んでもよい。
【0035】
本発明のある特定の実施態様で、式(I)粘液酸塩の少なくとも検出可能な重量パーセンテージは、式(I)粘液酸塩の単結晶形である。「検出可能なパーセンテージ」は、たとえば、実施例7に記載のようなXRPD分析を使用して単結晶形の検出を可能にするような、単結晶形の塩の重量パーセンテージの試料をいう。
【0036】
本発明のさらなる実施態様は、(a)式(I)遊離塩基およびアセトニトリル等の適当な溶媒を含む溶液を形成すること、(b)粘液酸を含む(a)の溶液および水から溶液を形成すること、(c)たとえば、アセトニトリル等の適当な溶媒と共沸蒸留することにより、(b)の溶液の含水量を低下させて、残渣を形成すること、(d)その残渣をアセトニトリル等の適当な溶媒中に取ること、(e)加熱すること、(f)冷却すること、(g)濾過すること、(h)適当な溶媒で洗浄すること、および(i)乾燥すること、を含む、式(I)粘液酸塩の結晶形を調製する方法である。
【0037】
別の実施態様は、(a)式(I)遊離塩基およびアセトニトリル等の適当な溶媒を含む溶液を形成すること、(b)粘液酸を含む(a)の溶液および水から溶液を形成すること、(c)たとえば、アセトニトリル等の適当な溶媒と共沸蒸留することにより、(b)の溶液の含水量を低下させて、残渣を形成すること、(d)その残渣をアセトニトリル等の適当な溶媒中に取ること、(e)加熱すること、(f)冷却すること、(g)濾過すること、(h)適当な溶媒で洗浄すること、および(i)乾燥すること、を含む方法で調製される、式(I)粘液酸塩の結晶形である。
【0038】
本発明のさらなる実施態様は、(a)粘液酸のスラリー、アセトニトリル等の適当な溶媒および式(I)遊離塩基を還流させて混合物を形成すること、(b)その混合物を濾過すること、(c)熱いうちに、(e)加熱および撹拌すること、(f)冷却すること、(g)濾過すること、および(h)真空下で、アセトニトリル等の溶媒を除去すること、を含む、式(I)粘液酸塩の結晶形を調製する方法である。
【0039】
別の実施態様は、(a)粘液酸のスラリー、アセトニトリル等の適当な溶媒および式(I)遊離塩基を還流させて混合物を形成すること、(b)その混合物を濾過すること、(c)熱いうちに、(e)加熱および撹拌すること、(f)冷却すること、(g)濾過すること、および(h)真空下で、アセトニトリル等の溶媒を除去すること、を含む方法で調製される、式(I)粘液酸塩の結晶形である。
【0040】
本発明のさらなる実施態様は、(a)粘液酸のスラリー、脱イオン水等の適当な溶媒および式(I)遊離塩基を加熱して溶液を形成すること、(b)溶液を冷却および濾過して、濾液を形成すること、(c)たとえばロータリーエバポレーターを使用して、濾液から溶媒を除去して残渣を形成すること、(d)残渣を、アセトンやメチルエチルケトン等の適当な溶媒中に取ること、(e)(d)の溶媒を除去すること、(f)残渣を、アセトンやメチルエチルケトン等の適当な溶媒中に取って溶液を形成すること、(g)(f)の溶液を還流すること、(i)冷却すること、(j)濾過して結晶を回収すること、(k)酢酸エチル等の適当な溶媒で洗浄すること、および(l)結晶を、好ましくは真空下で、乾燥すること、を含む、式(I)粘液酸塩の結晶形を調製する方法である。
【0041】
別の実施態様は、(a)粘液酸のスラリー、脱イオン水等の適当な溶媒および式(I)遊離塩基を加熱して溶液を形成すること、(b)溶液を冷却および濾過して、濾液を形成すること、(c)たとえばロータリーエバポレーターを使用して、濾液から溶媒を除去して残渣を形成すること、(d)残渣を、アセトンやメチルエチルケトン等の適当な溶媒中に取ること、(e)(d)の溶媒を除去すること、(f)残渣を、アセトンやメチルエチルケトン等の適当な溶媒中に取って溶液を形成すること、(g)(f)の溶液を還流すること、(i)冷却すること、(j)濾過して結晶を回収すること、(k)酢酸エチル等の適当な溶媒で洗浄すること、および(l)結晶を、好ましくは真空下で、乾燥すること、を含む方法で調製される式(I)粘液酸塩の結晶形である。
【0042】
本明細書で使用されるとき、「結晶質」は、個々の分子が極めて均質の規則正しい固定した化学的立体配置を有する、結晶構造を有する固体を指す。式(I)粘液酸塩の結晶形は、式(I)粘液酸塩の単結晶形の結晶、または異なる単結晶形の結晶の混合物であることができる。単結晶形は、単一の結晶、または各結晶が同一結晶形を有する複数の結晶としての、式(I)粘液酸塩を意味する。
【0043】
式(I)粘液酸塩のある特定の重量パーセンテージが、ある単結晶形であるとき、残りの式(I)粘液酸塩は、当該特定の重量パーセンテージが与えられる単結晶形を除く、式(I)粘液酸塩の1つまたは複数の他の結晶形で提供される。単結晶形の例としては、式(I)粘液酸塩のForm B、式(I)粘液酸塩のForm C、および式(I)粘液酸塩のForm Dなどがあり、それぞれ本明細書で検討される1つまたは複数の特性を特徴とする。
【0044】
粘液酸は2つのカルボン酸基を有するため、式(I)で表される化合物対ムカート(粘液酸の共役塩基)のモル比が異なる塩類を形成することができる。たとえば、ムカート対式(I)のモル比が約1:1である塩は、式(I)ムカート(ムカート1:式(I)1)であり;ムカート対式(I)のモル比が約1:2である塩は、式(I)ヘミムカート(ムカート1:式(I)2)である。
【0045】
本発明の幾つかの実施態様で、式(I)粘液酸塩類は、溶媒和物、たとえば、水和物であってもよい。用語「溶媒和物」は、結晶化の間に、溶媒分子が結晶格子中に組み込まれる結晶形を指す。溶媒和物は、水または非水溶媒、たとえばエタノール、ジメチルスルホキシド、酢酸、エタノールアミン、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフランおよび酢酸エチル等を含んでもよい。水が結晶格子中に組み込まれる溶媒分子である場合、溶媒和物は一般に「水和物」と呼ばれる。水和物は、化学量論的水和物(たとえば一水和物)、ならびに可変量の水を含む組成物(たとえば半水和物)を含む。
【0046】
使用装置、湿度、温度、粉末結晶の配向、およびX線粉末回折(XRPD)パターンの取得に関わる他のパラメータが、外観、強度、および回折パターンにおけるラインの位置に変化をもたらす可能性があることは、当業者に周知でありまた理解されている。本明細書に提供される1つまたは複数の図(それぞれ処理済みまたは未処理のXRPDパターンを示す)と「実質的に一致する」(処理済みまたは未処理の)X線粉末回折パターンは、本明細書に提供される1つまたは複数の図のXRPDパターンを提供した式(I)粘液酸塩と同じ式(I)粘液酸塩の単結晶形を表すと当業者が考えるであろうXRPDパターンである。たとえば、本明細書に提供する図1および図2のXRDPパターンは、たとえそれらが(1)異なるバックグラウンドを示し(理論に縛られたくないが、これは、全てではなくても、主として非晶質形の重量パーセンテージが異なることに起因すると考えられる)、(2)2θ角が異なる、対応する有意なライン/ピーク(実施例7の表1および表2参照)(たとえば、19.16°における対応する有意なピーク(表2参照)と比較したときの19.28°における有意なピーク(表1参照))および相対強度(たとえば、相対強度49%を有する7.61°における対応する有意なピーク(表2参照)と比較したときの相対強度66%を有する7.62°における有意なピーク(表1参照))を示し、また(3)一方のXRDPパターンに、他方には認められない有意なピークを含むものの、それらは両者とも式(I)粘液酸塩の単結晶形Form Bを含む式(I)粘液酸塩を表すため、実質的に一致する。したがって、実質的に一致しているXRPDパターンは、1つの図のそれと同一のこともあるが、1つまたは複数の図と幾らか異なることもある。このようなXRPDパターンは、本明細書に表す回折パターンのラインの各々を必ずしも示さなくてもよく、かつ/またはデータ取得に関わる条件の差異に起因するか、あるいは非晶質形の塩の存在または重量パーセンテージの差異に起因する、外観、強度、または前記ラインの位置のシフトの僅かな変化を示すこともある。当業者は、結晶質化合物の試料が、本明細書に開示の形と同じ形を有するか、異なる形を有するかを、それらのXRPDパターンの比較によって決定することができる。たとえば、当業者は、式(I)粘液酸塩の試料のXRPDパターンを図1と重ね、当該技術分野の専門技術および知識を使用して、試料のXRPDパターンが、式(I)粘液酸塩のForm BのXRPDパターンと実質的に一致しているかどうかを容易に決定することができる。XRPDパターンが、図1と実質的に一致しているのであれば、試料形は式(I)粘液酸塩のForm Bと同じ形を有するとして、容易かつ正確に同定することができる。同様に、当業者は、XRPDパターンから得られる所与の回折角(°2θで表現)が、本明細書に表される値とほぼ同じ位置であるかどうかを決定することができる。実施例部分または図に示された2θ角を除き、本明細書に明示される2θ角はいずれも、明示された値±0.2°を意味すると理解されたい。たとえば、記載の実施態様または特許請求の範囲が6.57°という2θ角を明示するのであれば、これは6.57°±0.2°、すなわち6.37°〜6.77°の2θ角を意味すると理解されたい。
【0047】
示差走査熱量測定(DSC)トレースまたは熱重量分析(TGA)トレースに関して、本明細書に提供する図(それぞれ、DSCトレースまたはTGAトレースを表す)と「実質的に一致する」は、当業者が、本明細書に記載される図のDCSトレースまたはTGAトレースを提供した式(I)粘液酸塩と同じ式(I)粘液酸塩の単結晶形を表すと考えるであろう、DSCトレースまたはTGAトレースである。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「主要なX線粉末回折ピーク」は、40%より大きい相対強度を有する、X線粉末回折パターン(または、ディフラクトグラム)におけるピークを指す。35°まで考えるピークでは、相対強度は、対象のピークのピーク強度対最大ピークのピーク強度の比率として算出される。ピーク強度は、X線粉末回折パターンからバックグラウンド強度(一般に、式(I)粘液酸塩の非晶質形の強度寄与による)を除去することにより得られる、処理済みのX線粉末回折ダイアグラムにおける対応するX線粉末回折から決定される。
【0049】
本明細書で使用されるとき、対象は哺乳動物、好ましくはヒト患者であるが、ペット(たとえば、イヌ、ネコ、等)、家畜(たとえば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、等)または実験動物(たとえば、ラット、マウス、モルモット、等)等の、獣医学治療を必要としている動物であってもよい。対象と患者は、互換的に使用される。
【0050】
治療を必要としている対象は、1つまたは複数のアスパラギン酸プロテアーゼ類に拮抗することにより利益を得る状態または疾病を有する対象である。
【0051】
「有効量」は、許容できない副作用を最小限におさえつつ、治療している対象の、既存の症状の発生を抑制したり軽減したりするのに有効な量を指す。有効量の決定は、特に本明細書に提供する詳細な開示を考慮すれば、十分に当業者の能力の範囲内である。このような化合物の毒性および治療効果は、たとえば、LD50(個体群の50%を死に至らせる用量)およびED50(最大応答の50%を提供しかつ/または個体群の50%で治療有効である用量)を決定するための、細胞培養または実験動物での標準的な製剤手順で決定することができる。投与量は、使用する剤形、および利用する投与経路に応じて、この範囲内で変化する可能性がある。正確な処方、投与経路、および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師により選択される。投与量および投与間隔は、所望の治療効果を維持するのに十分な活性化合物の血漿中濃度を提供するように、個々に調節することができる。患者の状態および投与方法に加えて、投与用量は、患者の症状の重症度ならびに患者の年齢および体重によって異なるであろう。一般に、本発明の医薬組成物は、所望の治療効果を達成するのに十分な期間、投与される。投与量は、1日当たり0.01〜500mg/kg体重の範囲であってもよい。一実施態様で、用量範囲は0.1〜5.0mg/kg/日である。本発明の化合物は、連続的にまたは特定の時間間隔で、投与してもよい。たとえば、本発明の化合物は、たとえば、1日1回または1日2回の処方等、1日に1、2、3、または4回投与してもよい。市販の検定法を使用して、最適用量および/または投与計画を決定してもよい。
【0052】
一実施態様で、本発明の方法は、本発明の医薬組成物が単独で投与される、単剤治療である。したがって、この実施態様で、式(I)粘液酸塩は医薬組成物中の唯一の薬学的に有効な成分である。
【0053】
別の実施態様で、本発明の方法は、所望の疾病または適応症を治療するための技術分野で周知の他の治療上有効な薬剤との併用療法である。式(I)粘液酸塩は、1つまたは複数の他の治療薬の前、後、または同時に、投与することができる。幾つかの実施態様で、本発明の化合物および他の治療薬は、別々の製剤としてまたは合同製剤としてのいずれかで、同時に(たとえば、同時発生的に)、同時投与することができる。あるいは、熟練した臨床医によって決定されるような、適当な時間枠(たとえば、療法の医薬品効果を重複させるのに十分な時間)内に、別々の組成物として、薬剤を逐次投与してもよい。式(I)粘液酸塩および1つまたは複数の他の治療薬は、回投与で投与してもよく、また所望の治療効果を達成するのに好適な順序およびスケジュールで、多回投与で投与してもよい。
【0054】
式(I)粘液酸塩は、アスパラギン酸プロテアーゼ産生レベルを低下させることが疾病状態の治療に有効であるか、感染因子がアスパラギン酸プロテアーゼの活性に依存する感染症の治療に有効な、疾患または疾病を改善または治療するのに有用である。高血圧では、アンギオテンシノーゲンのレニン触媒開裂生成物である、高レベルのアンギオテンシンIが存在する。したがって、式(I)粘液酸塩は、高血圧;(急性および慢性)鬱血性心不全等の、心不全;左心室機能不全;心肥大;心線維症;心筋症(たとえば糖尿病性心筋症および梗塞後心筋症);上室性および心室性不整脈;心房細動;心房性粗動;有害な血管リモデリング;心筋梗塞およびその後遺症;アテローム性動脈硬化症;アンギーナ(不安定であれ安定であれ);糖尿病性腎症等の腎不全状態;糸球体腎炎;腎線維症;強皮症;糸球体硬化症;微小血管合併症、たとえば、糖尿病性網膜症;腎血管性高血圧;脈管障害;ニューロパシー;腎症、脈管障害、網膜症およびニューロパシーを含む、糖尿病に起因する合併症;冠状血管の病気;蛋白尿;アルブミン尿症;術後高血圧;メタボリックシンドローム;肥満;血管形成術後再狭窄;眼内圧上昇、緑内障、網膜症、血管増殖異常およびリモデリングを含む、眼疾患および随伴する異常;新生血管加齢性黄斑変性等の、血管新生関連疾患;高アルドステロン症;不安状態;および認知障害;の治療で使用することができる(Fisher N.D.;Hollenberg N.K.Expert Opin.Investig.Drugs.2001,10,417−26)。
【0055】
十分に特性化されたアスパラギン酸プロテアーゼβ−セクレターゼ(BACE)活性の、アミロイド前駆体蛋白質に対する活動の産物である、高レベルのβ− アミロイドは、アルツハイマー病患者の脳内でのアミロイドプラークの発生および進行に関与すると広く考えられている。分泌されたカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)のアスパラギン酸プロテアーゼは、その病原毒性と関連している(Naglik,J.R.;Challacombe,S.J.;Hube,B.Microbiology and Molecular Biology Reviews 2003,67,400−428)。ウイルスHIVおよびHTLVは、ウイルス成熟のため、それぞれのアスパラギン酸プロテアーゼに依存する。プラスモディウム・ファルシパラム(Plasmodium falciparum)は、プラスメプシンIおよびIIを使用してヘモグロビンを分解する。
【0056】
本発明は、本発明の塩の有効量を必要としている対象に投与することを含む、必要とする対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼ介在疾患を治療または改善するための治療方法を含む。
【0057】
「アスパラギン酸プロテアーゼ介在疾患または疾病」は、アスパラギン酸プロテアーゼの発現増加または過剰発現と関連した疾患または疾病、およびこのような疾病を随伴する状態を含む。
【0058】
投与方法は、本発明の塩または組成物の有効量を、治療過程の異なる時に、または複合形で同時に、投与することを含む。本発明の方法は、全ての既知の治療計画を含む。
【0059】
本発明の実施態様は、α−ブロッカー類、β−ブロッカー類、カルシウムチャネルブロッカー類、利尿薬、ナトリウム排泄増加薬、塩分排泄薬、中枢作用性降圧薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤類、ACEおよび中性エンドペプチダーゼ(NEP)の二重阻害剤類、アンギオテンシン受容体ブロッカー類(ARB)、アルドステロンシンターゼ阻害剤、アルドステロン受容体アンタゴニスト類、またはエンドセリン受容体アンタゴニストを含む、高血圧を治療するための1つまたは複数の追加的薬剤との併用療法で、本発明の粘液酸塩を投与することを含む(米国特許第5,821,232号明細書、米国特許第6,716,875号明細書、米国特許第5,663,188号明細書、Fossa,A.A.;DePasquale,M.J.;Ringer,L.J.;Winslow,R.L.”Synergistic effect on reduction in blood pressure with coadministration of a renin inhibitor or an angiotensin−converting enzyme inhibitor with an angiotensin II receptor antagonist” Drug Development Research 1994,33(4),422−8参照、前述の論文および特許を、参照により本明細書に援用する)。
【0060】
α−ブロッカーとしては、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシン、およびテラゾシンなどがある。
【0061】
併用療法用β−ブロッカーは、アテノロール、ビソプロール、メトプロロール、アセツトロール、エスモロール、セリプロロール、タリプロロール、アセブトロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロパノロール、ブプラノロール、ペンブトロール、メピンドロール、カルテオロール、ナドロール、カルベジロール、およびそれらの薬学的に許容できる塩類から選択される。
【0062】
カルシウムチャネルブロッカーは、ジヒドロピリジン類(DHP)および非DHPを含む。好ましいDHPは、アムロジピン、フェロジピン、リオシジン、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルピジン、ニルジピン、ニモジフィン、ニソルジピン、ニトレンジピン、およびニバルジピンならびにそれらの薬学的に許容できる塩類からなる群から選択される。非DHPは、フルナリジン、プレニルアミン、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、アニパミル、チアパミル、およびベラムピミルならびにそれらの薬学的に許容できる塩類から選択される。
【0063】
利尿薬は、たとえば、アミロライド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチルクロロチアジド、およびクロロサリドンから選択されるチアジド誘導体である。
【0064】
中枢作用性降圧薬としては、クロニジン、グアナベンズ、グアンファシンおよびメチルドパなどがある。
【0065】
ACE阻害剤としては、アラセピル、ベナゼプリル、ベナザプリラト、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラト、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシピリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、キナプリル、キナプリラト、ラミプリル、ラミプリラト、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、およびゾフェノプリルなどがある。好ましいACE阻害剤は、ベナゼプリル、エナルプリル、リシノプリル、およびラミプリルである。
【0066】
ACE/NEP二重阻害剤は、たとえば、オマパトリラト、ファシドトリル、およびファシドトリラトである。
【0067】
好ましいARBとしては、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタンなどがある。
【0068】
好ましいアルドステロンシンターゼ阻害剤は、アナストロゾール、ファドロゾール、およびエキセメスタンである。
【0069】
好ましいアルドステロン受容体アンタゴニストは、スピロノラクトンおよびエプレレノンである。
【0070】
好ましいエンドセリンアンタゴニストは、たとえば、ボセンタン、エンラセンタン、アトラセンタン、ダルセンタン、シタキセンタン、およびテゾセンタンならびにそれらの薬学的に許容できる塩類である。
【0071】
本発明の実施態様は、逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、他のHIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、侵入阻害剤(付着阻害剤、共受容体阻害剤および融合阻害剤を含む)、アンチセンス薬、および免疫刺激剤を含む、AIDSを治療するための1つまたは複数の追加的薬剤との併用療法で、本発明の式(I)粘液酸塩または同物を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0072】
好ましい逆転写酵素阻害剤は、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカビル、テノフォビル、およびエムトリシタビンである。
【0073】
好ましい非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤は、ネビラピン、デラビリジン、およびエファビレンズである。
【0074】
好ましいHIVプロテアーゼ阻害剤は、サクイナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アムプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、およびフォサムプレナビルである。
【0075】
好ましいHIVインテグラーゼ阻害剤は、L−870、810およびS−1360である。
【0076】
侵入阻害剤としては、CD4受容体、CCR5受容体またはCXCR4受容体に結合する化合物などがある。侵入阻害剤の具体例としては、エンフビルチド(gp41におけるHR2ドメインのペプチド模倣薬)およびシフルビチドなどがある。
【0077】
好ましい付着および融合阻害剤は、エンフビルチドである。
【0078】
本発明のある実施態様は、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびメマンチンを含む、アルツハイマー病を治療するための1つまたは複数の追加的薬剤との併用療法で、本発明の式(I)粘液酸塩または同物を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0079】
本発明のある実施態様は、アルテミシニン、クロロキン、ハロファントリン、ヒドロキシクロロキン、メフロキン、プリマキン、ピリメタミン、キニン、スルファドキシンを含む、マラリアを治療するための1つまたは複数の追加的薬剤との併用療法で、本発明の式(I)粘液酸塩または同物を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0080】
併用療法は、本発明の式(I)粘液酸塩および前記他の薬剤の共投与、本発明の式(I)粘液酸塩および他剤の逐次投与、本発明の式(I)粘液酸塩および他剤を含む組成物の投与、または本発明の式(I)粘液酸塩および他剤を含む別々の組成物の同時投与を含む。
【0081】
本発明の式(I)粘液酸塩類はまた、遅延放出組成物によって投与してもよく、ここで、その組成物は本発明の式(I)粘液酸塩および生分解性徐放性担体(たとえば高分子担体)または薬学的に許容できる非生分解性徐放性担体(たとえばイオン交換担体)を含む。
【0082】
生分解性および非生分解性遅放性担体は、当該技術分野で周知である。生分解性担体は、原薬(類)(すなわち、本発明の式(I)粘液酸塩類)を保持し、また好適な環境(たとえば水性、酸性、塩基性等)で緩徐に分解/溶解して原薬(類)を放出する、粒子またはマトリックスを形成するために使用される。このような粒子は、体液中で分解/溶解して、原薬(類)(すなわち本発明の式(I)粘液酸塩類)をその中に放出する。粒子は、好ましくはナノ粒子(たとえば約1〜500nmの範囲の直径、好ましくは約50〜200nmの直径、最も好ましくは約100nmの直径)である。徐放性組成物を調製する方法で、徐放性担体および本発明の式(I)粘液酸塩をまず、有機溶媒に溶解または分散させる。得られる混合物を、任意選択的な界面活性剤(類)を含む水溶液に加えてエマルジョンを生成する。次いで、有機溶媒をエマルジョンから蒸発させて、徐放性担体および本発明の式(I)粘液酸塩を含む粒子のコロイド懸濁液を提供する。
【0083】
経口的にまたは注射によって投与するために、本発明の式(I)粘液酸塩類を、水溶液、好適に香味づけしたシロップ、水性または油懸濁液、綿実油、ゴマ油、ココナツ油またはピーナッツ油等の食用油を用いて香味づけしたエマルジョン等の液体の形で、あるいはエリキシルまたは類似した医薬品媒体の形で、組み込んでもよい。水性懸濁液に好適な分散剤または懸濁剤としては、トラガント、アカシア、アルギネート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびゼラチン等の、合成および天然のゴム類などがある。好適に香味づけした懸濁剤または分散剤における液体は、合成および天然のゴム類も含んでもよい。非経口投与には、無菌の懸濁液および溶液が望ましい。一般に好適な保存料を含む等張調製物は、静脈内投与が望ましいときに使用される。
【0084】
本発明の式(I)粘液酸塩類は、注射により非経口的に投与してもよい。非経口製剤は、適当な不活性な液体担体に溶解した、または適当な不活性な液体担体と混合した、原薬(すなわち本発明の式(I)粘液酸塩類)で構成されてもよい。許容できる液体担体は通常、水性溶媒および溶解性または保存を促進するための他の任意選択的な成分を含む。このような水性溶媒としては、無菌水、リンゲル液、または等張食塩水等がある。他の任意選択的な成分としては、植物油(ピーナッツ油、綿実油、およびゴマ油等)、および有機溶媒(ソルケタル、グリセロール、およびホルミル等)などがある。無菌の、不揮発性油を、溶剤または懸濁剤として使用してもよい。非経口製剤は、原薬(すなわち本発明の式(I)粘液酸塩類)を、液体担体に溶解または懸濁することにより調製され、それにより最終投与単位は、0.005〜10重量%の原薬(すなわち本発明の式(I)粘液酸塩類)を含む。他の添加物としては、保存料、等張化剤、可溶化剤、安定剤、および鎮痛剤(pain−soothing agent)などがある。注射可能な懸濁液を調製することもでき、その場合、適当な液体担体、懸濁剤等を使用してもよい。
【0085】
本発明の式(I)粘液酸塩類は、好適な鼻腔内用媒体を使用して、鼻腔内投与してもよい。
【0086】
本発明の式(I)粘液酸塩類はまた、好適な局所経皮媒体または経皮パッチを使用して、局所投与してもよい。
【0087】
眼内投与には、本発明の式(I)粘液酸塩を含む医薬組成物は、好ましくは眼科用組成物の形である。眼科用組成物は、好ましくは点眼製剤として配合され、眼に投与しやすくするために、適当な容器、たとえば好適なピペットを備えた点眼器に、充填される。好ましくは、本組成物は、精製水を使用した、無菌かつ水性である。本発明の式(I)粘液酸塩に加えて、眼科用組成物は、下記の1つまたは複数を含んでもよい:a)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の界面活性剤;b)一般に約0.05〜約5.0%(重量/容量)の範囲の濃度の、セルロース、セルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー類、ポリビニルポリマー類、およびポリビニルピロリドン類等の増粘剤;c)(組成物を、窒素を含み、Fe等の脱酸素剤を任意選択的に含む容器内に保存する代わりに、または容器内での保存に加えて)、約0.00005〜約0.1%(重量/容量)の濃度の、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、またはブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;d)約0.01〜0.5%(重量/容量)の濃度のエタノール;およびe)等張剤、緩衝液、保存料、および/またはpH調節剤等の、他の賦形剤。眼科用組成物のpHは、望ましくは4〜8の範囲内である。
【0088】
本発明は、本発明の式(I)粘液酸塩類の1つまたは複数の混合物および任意選択的な薬学的に許容できる担体を含む組成物を、必要とする対象における、アスパラギン酸プロテアーゼ介在性慢性疾患または疾病または感染症を治療または改善するための組成物を調製するための、本発明の式(I)粘液酸塩類の使用を含む。
【0089】
本発明は、特にアスパラギン酸プロテアーゼ介在疾患の治療における、活性な治療物質としての、本発明の式(I)粘液酸塩類の使用をさらに含む。特に、本発明は、高血圧、鬱血性心不全、心肥大、心線維症、心筋症梗塞後、腎症、脈管障害およびニューロパシー、冠状血管の疾病、術後高血圧、血管形成術後再狭窄、眼内圧上昇、緑内障、血管増殖異常、高アルドステロン症、不安状態、または認知障害の治療における、本発明の式(I)粘液酸塩類の使用を含む。
【0090】
別の態様で、本発明は、上記諸疾患の治療で使用するための薬剤の製造における、本発明の式(I)粘液酸塩類の使用を含む。
【0091】
「薬学的に許容できる担体」は、本発明の式(I)粘液酸塩の製剤で使用するのに十分な純度と品質のものであり、ヒトに適切に投与されるとき、有害反応を引き起こさず、原薬(すなわち本発明の式(I)粘液酸塩類)のための媒体として使用される、任意の1つまたは複数の化合物および/または組成物を意味する。
【0092】
本発明は、本発明の式(I)粘液酸塩類の1つまたは複数と、任意選択的な薬学的に許容できる担体とを混合することを含む組成物を製造する方法をさらに含み;また、従来の医薬品技術を含む、このような方法により得られる組成物を含む。たとえば、本発明の式(I)粘液酸塩は、製剤の前にナノ粉砕してもよい。本発明の式(I)粘液酸塩はまた、粉砕、微粉化または当該技術分野で周知の他の微粉化方法で調製してもよい。このような方法としては、米国特許第4,826,689号明細書、第5,145,684号明細書、第5,298,262号明細書、第5,302,401号明細書、第5,336,507号明細書、第5,340,564号明細書、第5,346,702号明細書、第5,352,459号明細書、第5,354,560号明細書、第5,384,124号明細書、第5,429,824号明細書、第5,503,723号明細書、第5,510,118号明細書、第5,518,187号明細書、第5,518,738号明細書、第5,534,270号明細書、第5,536,508号明細書、第5,552,160号明細書、第5,560,931号明細書、第5,560,932号明細書、第5,565,188号明細書、第5,569,448号明細書、第5,571,536号明細書、第5,573,783号明細書、第5,580,579号明細書、第5,585,108号明細書、第5,587,143号明細書、第5,591,456号明細書、第5,622,938号明細書、第5,662,883号明細書、第5,665,331号明細書、第5,718,919号明細書、第5,747,001号明細書、PCT出願国際公開第93/25190号パンフレット、国際公開第96/24336号パンフレット、および国際公開第98/35666号パンフレット(その各々を参照により本明細書に援用する)に記載のものなどがあるが、その限りではない。本発明の医薬組成物は、当業者に周知の技術および方法を使用して調製してもよい。当該技術分野で一般に使用される方法の幾つかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記述されており、その教示全体を参照により本明細書に援用する。
【0093】
本発明の組成物は、眼内、経口、経鼻、経皮、閉塞を伴うまたは伴わない局所、静脈内(ボーラスと注入の両方)、および注射(腹腔内、皮下、筋肉内、腫瘍内、または非経口)のものを含む。本組成物は、錠剤、ピル、カプセル剤、散剤、顆粒剤、リポソーム、イオン交換樹脂、無菌眼用液、または眼用送達装置(即時放出、徐放、または持続放出を容易にするコンタクトレンズ等など)、非経口溶液または懸濁液、定量エアロゾルまたは液体スプレー、点滴、アンプル、自動注入装置、または坐薬等の投薬単位であってもよく;眼内投与、経口投与、鼻腔内投与、舌下投与、非経口投与、または直腸内投与用でもよく、あるいは吸入または吹送によってもよい。
【0094】
経口投与に好適な本発明の組成物としては、ピル、錠剤、カプレット、カプセル(それぞれ即時放出製剤、徐放性製剤、および持続放出製剤を含む)、顆粒および粉末等の固体;および、溶液、シロップ、エリキシル、エマルジョン、および懸濁液等の液体などが含まれる。眼内投与に有用な形態としては、無菌溶液または眼用送達装置などが含まれる。非経口投与に有用な形態としては、無菌溶液、エマルジョンおよび懸濁液などが含まれる。
【0095】
本発明の組成物を含む剤形は、治療効果および/または予防効果を提供するために必要な原薬(すなわち本発明の式(I)粘液酸塩類)の有効量を含む。本組成物は、約5,000mg〜約0.5mg(好ましくは、約1,000mg〜約0.5mg)の本発明の式(I)粘液酸塩を含んでもよく、また選択された投与方法に好適な任意の形態に構成することが可能である。本発明の組成物は、週1回投与または月1回投与に好適な形態で投与してもよい。連日投与または周期後投与(post−periodic dosing)を使用してもよく、ここで、本組成物は1日に約1〜約5回投与してもよい。
【0096】
経口投与には、本組成物は好ましくは、たとえば1000〜0.5mgの、より具体的には500〜5mgの、原薬(すなわち本発明の式(I)粘液酸塩類)を含む、錠剤またはカプセル剤の形態である。投与量は、治療しようとしている個々の患者と関連した因子(たとえば年令、体重、食事、および投与回数)、治療しようとしている状態の重症度、使用しようとしている化合物、投与方法、および調製物の強さに応じて変わるであろう。
【0097】
経口組成物は、好ましくは均質の組成物として配合されるが、ここで原薬(すなわち本発明の式(I)粘液酸塩)は、混合物全体にわたって一様に分散されており、これは等量の本発明の式(I)粘液酸塩を含む投薬単位量に容易に小分けしてもよい。好ましくは、本組成物は、本発明の式(I)粘液酸塩と1つまたは複数の任意選択的に存在する医薬担体(でんぷん、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、滑剤、結合剤、および崩壊剤等)、1つまたは複数の任意選択的に存在する不活性な医薬品賦形剤(水、グリコール類、油類、アルコール類、香味剤、保存料、着色剤、およびシロップ等)、1つまたは複数の任意選択的に存在する従来の錠剤化成分(コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、および種々のゴム類のいずれか等)、および任意選択的希釈剤(水等)とを混合することにより調製される。
【0098】
結合剤としては、でんぷん、ゼラチン、天然糖類(たとえばグルコースおよびβ−ラクトース)、コーン甘味料ならびに天然および合成のゴム類(たとえばアカシアおよびトラガント)などが含まれる。崩壊剤としては、でんぷん、メチルセルロース、寒天、およびベントナイトなどが含まれる。
【0099】
錠剤およびカプセル剤は、有利な経口投薬単位形を代表する。錠剤は、標準的な技術を使用してシュガーコーティングまたはフィルムコーティングしてもよい。錠剤はまた、長期の制御放出治療効果を提供するために、コーティングするかまたは別の方法で複合させてもよい。剤形は、内側投与成分および外側投与成分を含んでもよく、ここで外側成分は、内側成分の包被の形態である。胃内での分解に抵抗して、内部成分がそのまま十二指腸内に通過することを可能にする層(腸溶層等)、または放出を遅延または持続させる層により、2成分をさらに分離してもよい。種々の腸溶層および非腸溶性層またはコーティング材(ポリマー酸類、シェラック類、アセチルアルコール、および酢酸セルロースまたはそれらの組合せ等)を使用してもよい。
【0100】
さらなる詳述がなくても、当業者は、前述の説明を使用して、本発明を最大限利用できると考えられる。したがって、以下の実施例は単なる一例であって、本発明の範囲を多少なりとも制限するものではないと解釈すべきである。
【実施例】
【0101】
実験
実施例1
メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートの、そのTFA塩からの調製
【化2】


ジクロロメタン200mLに溶解したメチル{2−[((R)−(3−クロロフェニル){(3R)−1−[({(2S)−2−(メチル−アミノ)−3−[(3R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロピル}アミノ)カルボニル]−3−ピペリジニル}メチル)オキシ]エチル}カルバメートのトリフルオロ酢酸塩(国際公開第2008/036247号パンフレットに記載の通りに調製)(10.0g,15.65mmol)の溶液を、1N水酸化ナトリウム水溶液、水、および塩水で連続的に洗浄した。有機部分をNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、表題の化合物をオフホワイトの泡として得た(7.50g,91%)。H NMR(CDOD,400MHz)δppm 7.38−7.31(m,3H),7.24(m,1H),4.23(dd,J=13.1,3.6Hz,1H),4.03(d,J=8.8Hz,1H),3.84(m,3H),3.64(s,3H),3.42(ddd,J=5.8Hz,J=7.8Hz,J=11.1Hz,1H),3.24−3.30(m,5H),3.16(dd,J=6.3Hz,J=13.9Hz,1H),3.10(dd,J=10Hz,J=11Hz,1H),2.88(m,2H),2.66(m,1H),2.42(s,3H),1.97(m,1H),1.75(m,2H),1.65−1.61(m,3H),1.40−1.09(m,6H);MS(m/z)525.3(M+H).
【0102】
実施例2
メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートHCl塩の調製
【化3】


メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(N−t−ブトキシカルボニル−N−メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート6.15Kgを、1,4−ジオキサン33Lに溶解し、その混合物を11℃に冷却した。この溶液に、ジオキサン中4.0M HCl 14Lを23分間かけて加えた。この混合物を20℃に温め、この温度で9時間撹拌した。この時間の後、HPLC分析は、脱保護アミン生成物への99%変換を示した。揮発性材料を真空中で除去して、メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートのHCl塩を、粘着性のタールとして生じた。H NMR分析は、この材料(6.86Kg)が、約0.2当量のジオキサンを含むことを示した。
【0103】
実施例3
メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート粘液酸塩(Form B)の調製
【化4】


実施例2に記載の通りに調製した、メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート塩酸塩562mg(1.0mmol)を、酢酸エチル10mL中に取った。この混合物を、2N NaOH水溶液で2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去した。残渣を水中に取り、粘液酸(105mg、0.500mmol、0.5当量)を加えた。この混合物を45℃で30分間撹拌して、透き通った溶液を得た。この溶液を周囲温度まで冷却し、1枚のWhatman濾紙で濾過した。水は、アセトニトリルとの共沸蒸留(アセトニトリル3×5mL,水浴温度70℃,60mbarに減圧)により除去した。残渣をアセトニトリル(4.5mL)中にとり、80℃に温めるとすぐに生成物が沈殿した。30分後、油浴35℃に設定し、反応混合物をこの温度で1時間、撹拌した。混合物を室温まで冷却し、一晩保存した。生成物を、濾過により回収した。フラスコをアセトニトリル(3mL)ですすぎ、生成物をフィルター上で45分間乾燥させた。これにより、式(I)ヘミムカート454mg(72%収率)を得た。この生成物は、若干の非晶質とともにForm Bを含有することがXRPDで示された(図1参照)。
【0104】
実施例4
メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート粘液酸塩(Form B)の調製
【化5】


EtOAc溶液を飽和水溶性NaHCOで処理することによって、実施例2に記載の通りに調製された、メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートのHCl塩(5.35Kg)を遊離塩基に変換した。EtOAc溶液を濃縮し、その残渣をアセトニトリル42Lに再溶解し、滴下ロートに移した。別の反応器で、粘液酸(1Kg)を水66L中に懸濁した。式(I)遊離塩基のアセトニトリル溶液を、白色の懸濁液に加えた。反応器を40℃に温め、溶液を作った。50分後、固体の大部分が溶解し、その内容物をバレルに移した。反応器をきれいにし、アセトニトリルですすいだ。バレルの内容物を、インラインフィルターを介して反応器内に移した。アセトニトリルとの共沸蒸留により、含水量を2%未満に下げた。この残渣をアセトニトリル25L中にとり、その混合物を加熱還流して(ジャケット温度90℃)、透き通った溶液を得た。この混合物を5時間かけて20℃に冷却し、次いで3時間かけて3.5℃に冷却した。濃厚な懸濁液が生成した。テフロン濾布が付いた50L Nutschで濾過することにより、これを分離した。母液を使用して、反応器からの結晶をすすいだ。残留アセトニトリル濃度が0.01%未満になるまで、残留溶媒を真空中で除去した。これにより、Form B の式(I)ヘミムカート3.4Kgを得た。対応するXRPDパターンを図2に示す。生成物の融点は132〜136℃であった。
【0105】
実施例5
2:1 メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート/粘液酸塩の調製(Form C)
【化6】


3/4×3/8” 卵形撹拌棒および窒素入口付き還流コンデンサーを備えた、100mL丸底フラスコに、粘液酸(Aldrich,着荷のまま)353mg(1.68mmol)およびCHCN(Aldrich,HPLCグレード,無水物)30mLを入れ、得られたスラリーを、撹拌速度374rpmで、加熱還流した(浴温=83℃)。別のフラスコ内で、アセトニトリル(同一供給源)7mLで、メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート(実施例1に記載の通りに調製)の溶液を調製し、この溶液を、還流している粘液酸のスラリーに加えた。メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートが入っているフラスコを、アセトニトリル3mLですすぎ、このすすぎ液を反応フラスコに加えた。混合物を2時間加熱還流し、その間に、粘液酸の大部分が溶解した。溶液が熱いうちに、Chromafil O−20/15 MS PTFEフィルターを備えたシリンジを通して、上述と同じ装置を備えた清潔な100mLフラスコ内に、速やかに濾過した。得られた透き通った無色の溶液を、撹拌速度635rpmで、油浴中で80℃に加熱した。30分後、油浴への加熱源のスイッチを切り、混合物を周囲温度に冷却した。30分後、浴温は47℃であり、わずかな固体が反応フラスコ内に確認された。この混合物を22℃に到達させ、一晩放置した。この時間の後、大量の白色固体が確認された。磁器製るつぼフィルターに入っている一枚のWhatman No.1濾紙上で、固体を回収した。反応フラスコを、アセトニトリル(同一供給源)約10mLですすぎ、濾過した固体を、スパーテルで軽くかき混ぜた。これらの固体(1121mg,53%収率)のH NMRは、約1/3当量のアセトニトリルを含んだ2:1 メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート/粘液酸塩と一致していた。アセトニトリルは、真空下で45℃に加熱するかまたは周囲温度で真空に長時間(24時間よりも長く)暴露することにより、除去できることが実験的に分かっている。得られた式(I)ヘミムカート(Form C)生成物のXRPDパターンを図3に示す。
【0106】
実施例6
2:1 メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート/粘液酸塩(Form D)の調製
【化7】


50mLフラスコに、粘液酸105mg(0.50mmol,0.5当量)、実施例1に記載の通りに調製したメチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメート524mg(1.0mmol,1.0当量)、および脱イオン水10mLを入れた。得られたスラリーを50℃に加熱した。50℃で1時間加熱した後、透き通った溶液が生成した。これを冷却し、Chromafil O−20/15 MS PTFEシリンジフィルターを通して清潔な50mLフラスコ中に濾過した。ロータリーエバポレーターを使用して、透き通った溶液を蒸発させた。アセトン(10mL,HPLCグレード,無水物)を、得られた無色の残渣に加え、溶媒を再度除去した。第2のアセトン10mLを残渣に加え、その混合物を加熱還流した(浴温=67℃)。加熱すると残渣は溶解し、透き通った溶液が生成した。30分間還流した後、若干の白色固体が形成したため、浴温を25℃に下げた。酢酸エチル(10mL,HPLCグレード,無水物)を加え、混合物を25℃で1時間撹拌した。結晶は、磁器製るつぼフィルターに入っている1枚の濾紙(Whatman No.1)上で回収した。結晶を追加の酢酸エチルで洗浄し、約30分間風乾させ、次いで真空下で17時間乾燥させた。H NMR(DMSO−d,35℃)は、余分の粘液酸がない、2:1 塩を示した。白色結晶は、133〜136℃の融解範囲を有した。得られた式(I)ヘミムカート(Form D)生成物のXRPDパターンを図4に示す。
【0107】
メチルエチルケトンを、アセトンの代わりに使用することができる。
【0108】
実施例7
X線粉末回折(XRPD)測定
下記の試料調製、測定条件およびデータ評価を使用して、実施例3〜6で調製した式(I)粘液酸塩類の結晶形のXRPDパターンを決定した。
【0109】
試料調製:
試料は概して、平面を得るために僅かな圧力を加えること以外に特別な処理をせずに、調製した。実施例4の塩は、深さ1mmであり約70mgの試料を保持する、単結晶ケイ素試料ホルダーを使用して記録した。他の全ての測定(すなわち、実施例3,5および6の試料に関するもの)は、深さ0.1mmであり5〜20mgの試料を保持する、単結晶ケイ素試料ホルダーを使用して記録した。
【0110】
測定条件:
−Bruker D8、ブラッグ・ブレンターノ立体配置(Bragg−Brentano configuration)による反射配置
−銅Kα放射、40kV/40mA
−可変発散スリット
−回折ビーム用Niフィルター
−3°ウインドウ付きLynxEye検出器
−ステップサイズ:0.02°2θ、ステップタイム:37秒
−測定中、試料を0.5rpsで回転させた。
−測定は、室温(20℃〜25℃)で実施した
【0111】
データ評価:
−Bruker’s EVAソフトウェア、バージョン14,0,0,0でd値分析を実施した。
−Cu Kα2は、ソフトウェアで除去した。
−非晶質バックグラウンドは、処理済のディフラクトグラムを得るソフトウェアで除去した。
−35°2θまでの有意なラインのみを一覧表にした。
−相対的ピーク強度を以下の通りに分類した:非常に弱い(<5%)、弱い(≧5%ただし<15%)、中位(≧15%ただし<50%)、強い(≧50%ただし<90%)、非常に強い(≧90%)。
【0112】
【表1】

【0113】
対応するディフラクトグラムを図1に示し、対応する処理済のディフラクトグラムを図5に示す。
【0114】
【表2】

【0115】
対応するディフラクトグラムを図2に示し、対応する処理済のディフラクトグラムを図6に示す。
【0116】
【表3】

【0117】
対応するディフラクトグラムを図3に示し、対応する処理済のディフラクトグラムを図7に示す。
【0118】
【表4】

【0119】
対応するディフラクトグラムを図4に示し、対応する処理済のディフラクトグラムを図8に示す。
【0120】
実施例8
示差走査熱量(DSC)測定
TA Instruments示差走査熱量計Q2000を使用して、DSCを実施した。実施例3、5および6の式(I)粘液酸塩試料をアルミニウム製DSCパンに入れ、重量を正確に記録した。試料細胞を、窒素パージ下、10℃/分で25℃から250℃まで加熱した。インジウム金属を較正標準として使用した。
【0121】
実施例3、5および6の試料のDSCトレースを、それぞれ図9、10および11に示す。
【0122】
実施例9
熱重量分析(TGA)
TGAは、TA Instruments Q5000IR熱重量分析計を使用して実施した。実施例3、5および6の式(I)粘液酸塩試料をアルミニウム試料パンに入れ、TG炉に挿入した。炉を、窒素下、10℃/分で37℃から350℃まで加熱した。ニッケルおよびAlumel(商標)を較正標準として使用した。
【0123】
実施例3、5および6の試料のTGAトレースを、それぞれ図12、13および14に示す。
【0124】
実施例10
薬物動態学
IV製剤は、無菌食塩水中1%DMSOで調製した。PO製剤は、他に指示がない限り、水中0.5%メチルセルロースで調製した。化合物投与後、KEDTAを抗凝血剤として使用して、投与後24時間を通じて血漿試料を各動物から入手した。血漿試料を、内部標準(リタンセリン)を含む2倍量のアセトニトリルで処理した。試料を、25℃、4,000rpmで10分間、遠心分離した。LC/MS/MSを使用して、上澄10μLを分析した。各種ごとに、1.0〜500ng/mLの範囲で標準曲線を作成した。式(I)の化合物と内部標準を、勾配移動相を使用する逆相HPLCで分離し、遷移m/z525→327(式(I)の化合物)およびm/z 478→193(リタンセリン))をモニタリングする+APCIによって検出した。
【0125】
【表5】

【0126】
式(I)パモ酸塩を、国際公開第2008/036247号パンフレットに記載の通りに調製したが、ラットで、数量化できるインビボ・バイオアベイラビリティは示さなかった。対照的に、式(I)粘液酸塩(Form B)は、ラット、イヌ、およびサルで、良好なインビボ・バイオアベイラビリティを有することが判明している。
【0127】
実施例11
式(I)パモ酸塩は、37℃で0.125mg/mLの水溶性を有することが判明している。
【0128】
式(I)粘液酸塩の結晶形、特に、Form B、Form CおよびForm Dは、良好な水溶性を有することが判明しており、たとえば、結晶形Form Bでは、65±5mg/mLという水溶解性であった。さらに、上記結晶形は、十分に非吸湿性であることが判明している。
【0129】
実施例12
メチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートフマル酸塩の調製
酢酸エチル(100mL)に溶解したメチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートTFA塩(389mg,0.625mmol)(国際公開第2008/036247号パンフレットに記載の通りに調製)の溶液を、1M NaOH水溶液(3×30mL)、HO(3×30mL)および塩水で連続的に洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。濾過後、減圧下で溶媒を除去して遊離アミン287mg(収率88%)を白色の泡として得た。フマル酸(63mg,0.543mmol)をこの遊離アミンに加え、混合物をEtOH(5mL)に溶解して透き通った溶液を作った。有機溶媒を減圧下で除去した。脱イオン水(15mL)をこの残渣に加えて、フマル酸塩を溶解した。得られた透き通った溶液を、凍結するまで、渦巻き撹拌しながらドライアイス/アセトン浴内で冷却した。フラスコを凍結乾燥器に取りつけ、一晩凍結乾燥させてメチル2−((R)−(3−クロロフェニル)((R)−1−((S)−2−(メチルアミノ)−3−((R)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロピルカルバモイル)ピペリジン−3−イル)メトキシ)エチルカルバメートフマル酸塩316mgを得た。MS M/Z(ESI):525(M+H)+;H NMR(400MHz,CDOD)δ(ppm):7.37−7.30(m,3H),7.20(d,J=7.2Hz,1H),6.71(s,2H),4.22(br d,J=13.2Hz,1H),4.03(d,J=8.8Hz,1H),3.87−3.78(m,3H),3.63(s,3H),3.58(m,1H),3.44(td,J=10.4,3.6Hz,1H),3.37−3.23(m,4H),3.16(t,J=10.4Hz,1H),2.95−2.86(m,2H),2.75(s,3H),1.99(m,1H),1.80−1.75(m,2H),1.70−1.61(m,3H),1.53−1.48(m,2H),1.37−1.25(m,3H),1.67(m,1H)。
【0130】
本発明は、その実施態様例に関連して具体的に示し記述してきたが、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなしに、形態および詳細の様々な変更を行い得ることを、当業者は理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式:
【化1】


(式I)で表される化合物の粘液酸塩の結晶形であって、Form B、Form C、Form Dまたはそれらの組合せから選択される、結晶形。
【請求項2】
前記塩がヘミムカート塩である、請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
前記結晶形の少なくとも50重量%が単結晶形である、請求項2に記載の結晶形。
【請求項4】
前記結晶形の少なくとも90重量%が単結晶形である、請求項2に記載の結晶形。
【請求項5】
前記単結晶形がForm Bである、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項6】
前記単結晶形がForm Cである、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項7】
前記単結晶形がForm Dである、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項8】
前記単結晶形が、7.61°、16.38°、17.08°、19.16°および20.12から選択される2θ角における少なくとも3つの主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項9】
前記単結晶形が、以下の2θ角7.61°、16.38°、17.08°、19.16°および20.12における主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項10】
前記単結晶形が、3.79°、5.15°、6.76°、7.61°、8.83°、10.32°、11.41°、11.94°、12.47°、13.58°、15.22°、16.38°、17.08°、19.16°および20.12°の2θ角におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項11】
前記単結晶形が、図1または図2、あるいはそれらの組合せと実質的に一致したX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項12】
前記単結晶形が、3.48°、5.73°、17.14°、17.94°、18.46°、18.81°、19.23°、19.48°、21.30°、21.78°、22.12°、および22.73°から選択される2θ角における少なくとも5つの主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項13】
前記単結晶形が、3.48°、5.73°、17.14°、17.94°、18.46°、18.81°、19.23°、19.48°、21.30°、21.78°、22.12°、および22.73°から選択される2θ角における少なくとも10の主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項14】
前記単結晶形が、以下の2θ角3.48°、5.73°、17.14°、17.94°、18.46°、18.81°、19.23°、19.48°、21.30°、21.78°、22.12°、および22.73°における主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項15】
前記単結晶形が、2θ角3.48°、4.48°、5.73°、6.27°、7.10°、7.76°、8.59°、9.21°、9.64°、11.63°、12.49°、15.18°、15.67°、16.37°、17.14°、17.94°、18.46°、18.81°、19.23°、19.48°、21.30°、21.78°、22.12°、22.73°、24.25°、25.22°、27.19°、および29.67におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項16】
前記単結晶形が、図3と実質的に一致したX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項17】
前記単結晶形が、6.57°、7.65°、12.27°、14.75°、16.96°、17.42°、19.25°、19.98°、および20.77°から選択される2θ角における少なくとも4つの主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項18】
前記単結晶形が、6.57°、7.65°、12.27°、14.75°、16.96°、17.42°、19.25°、19.98°、および20.77°から選択される2θ角における少なくとも7つの主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項19】
前記単結晶形が、以下の2θ角6.57°、7.65°、12.27°、14.75°、16.96°、17.42°、19.25°、19.98°、および20.77°における主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項20】
前記単結晶形が、2.96°、4.27°、5.17°、5.90°、6.57°、7.25°、7.65°、8.95°、9.78°、10.52°、11.50°、12.27°、12.97°、13.38°、14.05°、14.75°、15.50°、16.32°、16.96°、17.42°、18.39°、19.25°、19.98°、20.77°、22.22°、22.91°、23.89°、24.58°、26.70°、および28.51°から選択される角の2θ角におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項21】
前記単結晶形が、図4と実質的に一致したX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項3または4に記載の結晶形。
【請求項22】
下記の構造式:
【化2】


(式1)で表される化合物の粘液酸塩の結晶形であって、Form B、Form C、Form Dまたはそれらの組合せから選択される結晶形;および薬学的に許容できる担体または希釈剤;
を含む医薬組成物。
【請求項23】
前記塩がヘミムカート塩である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記結晶形の少なくとも50重量%が単結晶形である、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記結晶形の少なくとも90重量%が単結晶形である、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記単結晶形がForm Bである、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記単結晶形がForm Cである、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記単結晶形がForm Dである、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記単結晶形が、7.61°、16.38°、17.08°、19.16°および20.12から選択される2θ角における少なくとも3つの主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記単結晶形が、以下の2θ角7.61°、16.38°、17.08°、19.16°および20.12における主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記単結晶形が、3.79°、5.15°、6.76°、7.61°、8.83°、10.32°、11.41°、11.94°、12.47°、13.58°、15.22°、16.38°、17.08°、19.16°および20.12°の2θ角におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記単結晶形が、図1または図2、あるいはそれらの組合せと実質的に一致したX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記単結晶形が、3.48°、5.73°、17.14°、17.94°、18.46°、18.81°、19.23°、19.48°、21.30°、21.78°、22.12°、および22.73°から選択される2θ角における少なくとも5つの主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記単結晶形が、3.48°、5.73°、17.14°、17.94°、18.46°、18.81°、19.23°、19.48°、21.30°、21.78°、22.12°、および22.73°から選択される2θ角における少なくとも10の主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記単結晶形が、以下の2θ角3.48°、5.73°、17.14°、17.94°、18.46°、18.81°、19.23°、19.48°、21.30°、21.78°、22.12°、および22.73°における主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記単結晶形が、2θ角3.48°、4.48°、5.73°、6.27°、7.10°、7.76°、8.59°、9.21°、9.64°、11.63°、12.49°、15.18°、15.67°、16.37°、17.14°、17.94°、18.46°、18.81°、19.23°、19.48°、21.30°、21.78°、22.12°、22.73°、24.25°、25.22°、27.19°、および29.67におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記単結晶形が、図3と実質的に一致したX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記単結晶形が、6.57°、7.65°、12.27°、14.75°、16.96°、17.42°、19.25°、19.98°、および20.77°から選択される2θ角における少なくとも4つの主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記単結晶形が、6.57°、7.65°、12.27°、14.75°、16.96°、17.42°、19.25°、19.98°、および20.77°から選択される2θ角における少なくとも7つの主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記単結晶形が、以下の2θ角6.57°、7.65°、12.27°、14.75°、16.96°、17.42°、19.25°、19.98°、および20.77°における主要なX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記単結晶形が、2.96°、4.27°、5.17°、5.90°、6.57°、7.25°、7.65°、8.95°、9.78°、10.52°、11.50°、12.27°、12.97°、13.38°、14.05°、14.75°、15.50°、16.32°、16.96°、17.42°、18.39°、19.25°、19.98°、20.77°、22.22°、22.91°、23.89°、24.58°、26.70°、および28.51°から選択される角の2θ角におけるX線粉末回折ピークを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記単結晶形が、図4と実質的に一致したX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項24または25に記載の医薬組成物。
【請求項43】
α−ブロッカー、β−ブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、利尿薬、ナトリウム排泄増加薬、塩分排泄薬、中枢作用性降圧薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシン変換酵素および中性エンドペプチダーゼの二重阻害剤、アンギオテンシン受容体ブロッカー、二重アンギオテンシン受容体ブロッカーおよびエンドセリン受容体アンタゴニスト、アルドステロンシンターゼ阻害剤、アルドステロン受容体アンタゴニスト、またはエンドセリン受容体アンタゴニストをさらに含む、請求項22〜42のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の結晶形の有効量を対象に投与することを含む、必要とする対象における1つまたは複数のアスパラギン酸プロテアーゼに拮抗する方法。
【請求項45】
前記アスパラギン酸プロテアーゼがレニンである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の結晶形の有効量を対象に投与することを含む、前記対象におけるアスパラギン酸プロテアーゼ介在疾患を治療する方法。
【請求項47】
前記疾患が、高血圧、鬱血性心不全、心肥大、心線維症、心筋症梗塞後、腎症、脈管障害およびニューロパシー、冠状血管の疾病、術後高血圧、血管形成術後再狭窄、眼内圧上昇、緑内障、血管増殖異常、高アルドステロン症、不安状態、または認知障害である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
α−ブロッカー類、β−ブロッカー類、カルシウムチャネルブロッカー、利尿薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシン変換酵素および中性エンドペプチダーゼの二重阻害剤、アンギオテンシン受容体ブロッカー、二重アンギオテンシン受容体ブロッカーおよびエンドセリン受容体アンタゴニスト、アルドステロンシンターゼ阻害剤、アルドステロン受容体アンタゴニスト、およびエンドセリン受容体アンタゴニストからなる群から選択される1つまたは複数の追加的薬剤を投与することをさらに含む、請求項46に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−501072(P2013−501072A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523948(P2012−523948)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/044568
【国際公開番号】WO2011/017533
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(509235556)ヴァイティー ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】