説明

メッキ液の分析方法及びこれを利用するメッキ方法

【課題】本発明は、メッキ液中の高分子物質の抽出法並びに抽出された高分子物質の定性分析方法及び定量分析方法に関する。
【解決手段】メッキ液に有機溶媒を添加する段階と、当該メッキ液と有機溶媒とを混合してメッキ液に含まれた高分子物質を有機溶媒に溶解させて抽出する段階と、当該高分子物質が溶解された有機溶媒を分離する段階と、当該有機溶媒を気化させて高分子物質を得る段階とを含むメッキ液中から高分子物質を抽出する段階と、当該抽出された高分子物質を定性分析及び定量分析の一つ以上を行う段階と、上記メッキ液に含まれた高分子物質を定性分析及び定量分析してメッキ液の電気メッキの活動度を調節する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッキ液の分析方法に関する。より具体的には、メッキ液に含まれた高分子物質を定量及び定性分析できる分析方法及びこれを利用するメッキ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メッキ液中の高分子添加剤は、メッキの速度を減少させ基板のぬれ性を向上させる役割を行う物質であって、分子構造及び濃度に応じてメッキの表面特性及び表面張力に多くの影響を及ぼす。
【0003】
したがって、上記高分子添加剤は、電気銅メッキ液において必ず添加されなければならない物質であって、メッキの特性を左右する物質である。
【0004】
よって、高分子物質の精密な構造分析が必要であり、メッキを行う間に高分子物質が電極の表面で単分子物質に分解されて安定した拡散層を形成することができなくなるため、メッキ液においてキャリアの役割を行う高分子添加剤の電気メッキ活動度を確認するためには必ず分子量及び定量分析がなされなければならない。
【0005】
さらに、高分子の繰り返し単位及び末端基の構造自体は、その高分子の反応性を左右するので、これもまた正確な分析がなされなければならない。
【0006】
高分子添加剤の精密な構造及び含量分析のためには、メッキ液中の過量に含まれたCuイオンの調節とメッキ液の酸度(pH)の調節とが必ず要求される。過量のCuイオンの含有又は強酸の条件が、分析設備の故障を起こす要因となるためである。
【0007】
従来は、メッキ液に含まれた高分子物質を分析するために、金属イオン沈殿法及び中和滴定法が用いられてきた。
【0008】
上記金属イオン沈殿法の場合、金属イオンのみを除去した後に高分子物質の成分をMALDI−TOF質量分析法を通じて分析する方法を活用した。
【0009】
また、従来の金属イオン沈殿法において、金属イオンの沈殿のためにアルカリ溶液(NaOH)を添加すると、Naが抽出された高分子物質に多量に存在し、原メッキ液に含まれていた有機単分子物質がそのまま含まれていることから、高分子物質の定性分析時に活用可能な多様な質量分析法の適用が困難であった。
【0010】
従来の中和滴定法の場合、中和滴定時に強烈な発熱反応による高分子物質の分解を防止するために、冷却装置などを利用して温度を下げなければならなかった。すなわち、試料の全処理過程が複雑であり、多くの時間が必要とされている。
【0011】
また、メッキ液の高分子物質の定量分析を循環電流電圧法(CVS;Cyclic Voltammetry Stripping)で濃度分析を行っているが、このCVS方法は測定者による個人差が大きくて分析の再現性が落ちるため、正確な分析を行うのが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述した問題点を解決するために想到したものであって、有機溶媒抽出法を利用してメッキ液から高分子物質のみを分離し、分離された高分子物質の化学構造及び高分子物質の濃度、特にメッキを行う間に高分子物質の分解による高分子物質の濃度の減少を精密に分析するために、質量分析法及び高性能液体クロマトグラフィー法(HPLC;High Performance Liquid Chromatography)を適用してメッキ液中の高分子物質を定性分析及び定量分析する方法を提供することにその技術的課題がある。
【0013】
さらに、本発明の他の技術的課題は、メッキ液から分離された高分子物質を分析して、メッキを最適化したメッキ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の一実施形態に係るメッキ液の分析方法は、メッキ液に有機溶媒を添加して、当該メッキ液と有機溶媒とを混合してメッキ液に含まれた高分子物質を有機溶媒に溶解させ、当該高分子物質が溶解された有機溶媒を分離し、当該有機溶媒を気化させて高分子物質を抽出する段階と、当該抽出された高分子物質を分析する段階とを含む。
【0015】
上記分析する段階において、高分子物質を定性分析又は定量分析するか、定性分析及び定量分析を行うことができる。
【0016】
上記抽出された高分子物質は、高分子添加剤であっても良い。
【0017】
上記高分子添加剤は、キャリアとして用いられる物質であっても良い。
【0018】
上記定性分析は、MALDI−TOF質量分析法(MALDI−TOF MS)、電子スプレーイオン化質量分析法(ESI MS)及び液体クロマトグラフィー質量分析法(LC MS)のいずれか一つを利用してなされることができる。
【0019】
上記定量分析は、液体クロマトグラフィー法を利用してなされることができる。
【0020】
上記液体クロマトグラフィー法は、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC;Gel Permeation Chromatography)、イオン対クロマトグラフィー法(IPC;Ion Pairing Chromatography)、高性能イオンクロマトグラフィー法(HPIC;High Performance Ion Chromatography)及び疎水性反応クロマトグラフィー法(HIC;Hydrophobic Interaction Chromatography)のいずれか一つであっても良い。
【0021】
本発明の一実施形態に係るメッキ方法は、前述したような分析方法でメッキ液中の高分子物質を分析する段階と、当該メッキ液に含まれた高分子物質の分析結果に基づいて当該メッキ液の濃度を調節しメッキ液の電気メッキの活動度を調節する段階とを含む。
【0022】
上記メッキ液の濃度中、特に高分子添加剤の濃度を調節することができる。
【発明の効果】
【0023】
前述したように、本発明によると、メッキ液中の高分子物質の定性分析及び定量分析のために、メッキ液中から有機溶媒抽出法を利用して高分子物質のみを正確に分離し尽すことができ、分離された高分子物質の定性的な特性を分析して化学構造が、分離された高分子物質の定量的な特性を分析して分子量及び濃度が分かる。さらに、メッキ液に含まれた高分子物質を定性分析及び定量分析して、電気メッキの活動度を確認することができ、高分子物質の反応性を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るメッキ液の分析方法を説明するための流れ図である。
【図2】メッキ液中から高分子物質を抽出する方法を説明するための流れ図である。
【図3a】メッキ液中から抽出された高分子物質を定性的に分析した結果を示すグラフである。
【図3b】メッキ液中から抽出された高分子物質を定性的に分析した結果を示すグラフである。
【図4】メッキ液中から抽出された高分子物質を定量的に分析した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができるように、好ましい実施形態を詳述する。但し、本発明の好ましい実施形態を詳述するにおいて、関連した公知の機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にすると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0026】
また、類似する機能及び作用を行う箇所に対しては、全図面にわたって同一の符号を用いる。
【0027】
なお、明細書全体において、ある構成要素を「含む」ということは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くことでなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0028】
前述した技術的課題を達成するための本発明の一実施形態におけるメッキ液の分析方法は、有機溶媒抽出法を利用してメッキ液に含まれた高分子物質を抽出した後、当該抽出された高分子物質を、MALDI−TOF質量分析法(MALDI−TOF MS)、電子スプレーイオン化質量分析法(ESI MS)、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC MS)等の質量分析法で定性的に分析して、高分子物質の分子量及び化学構造などを分析する。また、上記メッキ液から抽出された高分子物質を、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC;Gel Permeation Chromatography)、イオン対クロマトグラフィー法(IPC;Ion Pairing Chromatography)、高性能イオンクロマトグラフィー法(HPIC;High Performance Ion Chromatography)及び疎水性反応クロマトグラフィー法(HIC;Hydrophobic Interaction Chromatography)等の液体クロマトグラフィー法で定量的に分析して、メッキ液中における高分子物質の濃度を分析する。
【0029】
さらに、上記のような定量分析及び定性分析を通じて、メッキ液に含まれた高分子物質の濃度及び性質を調節し、メッキ液の電気メッキの活動度及び高分子物質の反応性を調節して、メッキを行う。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るメッキ液の分析方法を説明するための流れ図である。
【0031】
メッキ液に含まれた高分子物質を分析するために、まず、メッキ液に含まれた高分子物質を抽出する(S110)。その後、上記メッキ液から抽出された高分子物質を質量分析法を利用して定性的に分析する(S120)。また、上記メッキ液から抽出された高分子物質を液体クロマトグラフィー法を利用して定量的に分析する(S130)。
【0032】
メッキ液に含まれた高分子物質を分析するために、メッキ液に含まれた様々な薬品及び添加剤のうちから高分子物質を抽出する(S110)。上記メッキ液には、基本的に硫酸(HSO)、硫酸銅(CuSO)及び塩酸(HCl)が含まれている。また、基本成分以外に、メッキの特性を左右する核心薬品として3種の添加剤を用いる。
【0033】
上記添加剤には、代表的にメッキ密度を増加させ物理的に剛性にする光沢剤が含まれ、これに制限されるものではないが、メルカプト基及びチオ基を含む水溶性スルホン酸などとしてメッキ液中で陰イオン状態で存在する。
【0034】
さらに、上記添加剤には、還元電極の表面中の高電流密度箇所に結合してメッキ時にメッキ面を平坦にするレベラーが含まれ、酸性メッキ液中で陽イオン化した窒素原子を含む有機化合物として存在する。
【0035】
さらに、上記添加剤には、金属イオンが還元電極の表面中の高電流密度箇所にのみ集中されることを防いでメッキ電流を均一にすることで、全体的なメッキ速度を調節するキャリアを含み、当該キャリアは電気メッキ時に還元電極の表面に拡散層を形成して光沢剤、キャリア及び塩化イオンを調節し維持させる。このようなキャリアとしては、これらに制限されるものではないが、高分子量物質であるPEG(Poly Ethlyene Glycol)、PPG(Poly Propylene Glycol)系列などが用いられる。
【0036】
上記キャリアは、高分子量を有する物質で構成され、メッキ時にメッキの速度を調節しメッキの厚さの分布が調節できる際、電気メッキ活動度(electroplating activity)を有する。この際、高分子物質の分子量と電気メッキの活動度は、比例する関係を有する。すなわち、高分子物質の分子量が大きくなるほど、電気メッキの活動度が増加する。
【0037】
例えば、キャリアとして用いられる高分子添加剤が電気メッキ活動度を有するためには、その分子量が4,000Da以上にならなければならず、その分子量が1,000Da以下に落ちると、電気メッキの活動度を消失することになって、確実なキャリアとしての役割を行うことができなくなる。したがって、メッキの表面が均一でなくなり、メッキ不良が生じることになる。
【0038】
上記のような問題を解決するために、メッキ時にメッキの均一電着性(throwing power)を改善させるためには、キャリア用の高分子添加剤の電気メッキ活動度を高めてメッキの速度を調節しなければならず、このためには必ずキャリア用の高分子添加剤の選定時に高分子量物質でなければならず、且つメッキ時にその分子量を維持することができなければならない。
【0039】
したがって、電気メッキの活動度を確認し化学構造を分析するために、メッキ液から高分子物質を抽出して、その分子量と化学構造、及び濃度を測定する。
【0040】
本発明の一実施形態によると、メッキ液中から高分子物質を抽出するために、有機溶媒抽出法を用いる。メッキ液を有機溶媒に入れて混合して、メッキ液に溶解されていた高分子物質が有機溶媒に溶解されるようにする。メッキ液と有機溶媒との混合によって、高分子物質の伝達がなされて、メッキ液中の高分子物質が有機溶媒によって抽出される。
【0041】
上記有機溶媒抽出法によると、抽出された高分子物質の中に他の金属塩が含まれることなく、高分子物質のみを抽出することができる。また、中和滴定法の場合、中和滴定時に強烈な発熱反応によって高分子物質が分解されるため、別途の冷却装置が必要であった。しかしながら、本発明の一実施形態によると、メッキ液と有機溶媒との混合によって高分子物質が抽出されるため、発熱反応が起こらず別途の冷却装置が不要となるので、その工程及び装置が単純となる。
【0042】
したがって、本発明の一実施形態に係る高分子物質の抽出法によると、高分子物質を物質の変形なく常温で抽出でき、抽出された高分子物質に他の物質が含まれなくなる。
【0043】
その後、上記抽出された高分子物質を定性的に分析する(S120)。
【0044】
メッキの活動度を確認し化学構造を分析するためには、上記メッキ液から抽出された高分子物質の分子量及び化学構造の測定が必要である。従来は、メッキ液に不純物が多く含まれているため、定性的な分析が困難であった。しかしながら、本発明の一実施形態によると、高分子物質のみを抽出することができるため、多様な質量分析法を活用することができる。
【0045】
これらに制限されるものではないが、質量分析法としては、MALDI−TOF質量分析法(MALDI−TOF MS)、電子スプレーイオン化質量分析法(ESI MS)、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC MS)などを活用することができる。
【0046】
多様な質量分析法の活用が可能となるので、高分子物質の分子量及び化学構造をさらに正確に分析することができるようになる。
【0047】
また、上記抽出された高分子物質を定量的に分析することができる(S130)。
【0048】
メッキ時のキャリア用の高分子添加剤の場合、高電流密度によって高分子添加剤が電極の表面に断片的に分解されて、安定した拡散層を形成することができなくなる。したがって、キャリア用の高分子添加剤の最適な量を調節して、メッキを最適化することができる。
【0049】
上記キャリア用の高分子添加剤の量を調節するために、高分子物質の濃度の測定が要求される。メッキ液中に不純物が多く含まれているため、高分子物質の定量的な分析が困難であった。しかしながら、本発明の一実施形態によると、高分子物質のみの抽出が可能であるので、液体クロマトグラフィー法で物質の濃度分析が可能となる。
【0050】
上記液体クロマトグラフィー法としては、これらに制限されるものではないが、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC;Gel Permeation Chromatography)、イオン対クロマトグラフィー法(IPC;Ion Pairing Chromatography)、高性能イオンクロマトグラフィー法(HPIC;High Performance Ion Chromatography)、疎水性反応クロマトグラフィー法(HIC;Hydrophobic Interaction Chromatography)などを用いることができる。
【0051】
本発明の一実施形態によると、有機溶媒抽出法を利用して、他の不純物が含まれていない高分子物質を抽出することができるため、多様で精密な分析が可能となる。
【0052】
図2は、メッキ液中から高分子物質を抽出する方法を説明するための流れ図である。
【0053】
メッキ液中から高分子物質を抽出するために、メッキ液に有機溶媒を添加する(S210)。その後、メッキ液と有機溶媒とを混合して、メッキ液から高分子物質を抽出する(S220)。次に、当該高分子物質が抽出された有機溶媒をメッキ液と分離させる(S230)。メッキ液に含まれている高分子の濃度に応じて抽出量は異なるが、大概的にメッキ液数十mlに有機溶媒(MC)を10ml程度添加して、5〜10分程度振って相分離が起こるようにする。メッキ液層と有機溶媒層とに分けた後、有機溶媒層を分離させる。次に、再度メッキ液に有機溶媒10mlを添加して混合し、高分子物質を抽出する。3回にわたって高分子物質が抽出された有機溶媒を得て、当該有機溶媒を蒸発させると、純粋な高分子物質のみが残る(S240)。
【0054】
本発明の一実施形態に係るメッキ液に含まれた高分子物質の抽出法によると、金属イオンが含まれていないことから不純物が含まれていない高分子物質が得られ、中和滴定反応を起こすことがないことから冷却装置などが不要となってその抽出工程が非常に単純となる。したがって、全処理工程が簡単であり、且つ高分子物質の変形なく常温で純粋な高分子物質が得られるようになる。
【0055】
図3は、メッキ液中から抽出された高分子物質を定性的に分析した結果を示すグラフである。
【0056】
本発明の一実施形態によると、多様な質量分析方法で上記メッキ液から抽出された高分子物質を分析することができ、MALDI−TOF質量分析法(MALDI−TOF MS)、電子スプレーイオン化質量分析法(ESI MS)、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC MS)などで高分子物質を分析することができる。
【0057】
図3を参照すると、有機溶媒を利用して電気銅メッキ液から抽出した高分子物質をMALDI―TOF質量分析法で分析した例を図示している。図3aはMALDI−TOFスペクトル全体を示し、図3bは図3aのMALDI−TOFスペクトルの一部を拡大して示したものである。拡大したスペクトルにおけるピーク間の間隔を見ると、14Daで一定の分子量値を有することを確認することができる。このことから、PEGとPPGとの共重合体が形成されたことが分かる。さらに、上記MALDI−TOFスペクトルを利用して平均分子量が1,500Daであることを確認することができる。
【0058】
MALDI−TOF質量分析法を活用すると、高分子物質の化学式及び分子量を確認することができ、これによりメッキ液に含まれたキャリア用の高分子添加剤の電気メッキ活動度を確認して、高分子添加剤が電極の表面に分解されることなく安定した拡散層を形成するように電気メッキ活動度を調節することができる。
【0059】
図4は、メッキ液中から抽出された高分子物質を定量的に分析した結果を示すグラフである。
【0060】
抽出された高分子物質を定性的に分析するために、多様な液体クロマトグラフィー法を活用して分析することができる。例えば、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC;Gel Permeation Chromatography)、イオン対クロマトグラフィー法(IPC;Ion Pairing Chromatography)、高性能イオンクロマトグラフィー法(HPIC;High Performance Ion Chromatography)、疎水性反応クロマトグラフィー法(HIC;Hydrophobic Interaction Chromatography)などを利用して高分子物質を定量的に分析することができる。
【0061】
メッキ液中の高分子物質の正確な成分をMALDI−TOF質量分析法で確認した後、正確な濃度分析のために、平均分子量が類似しているPEG−PPG−PEG共重合体標準物を利用して、ゲル透過クロマトグラフィー法で濃度別検量曲線(Calibration Curve)を作成する。この際、検量曲線は、濃度別に非常に線形性を有することとなる。
【0062】
図4は、メッキ液から抽出された高分子物質をゲル透過クロマトグラフィー法で分析した結果を示すグラフである。上記濃度別検量曲線と比較して正確な濃度を計算することができる。さらに、濃度別に線形性を有することが確認でき、その濃度を計算することができる。さらに、図4を参照すると、実験結果が極めて同一の値を有することが分かり、本発明の一実施形態によると、定量的な分析結果が再現性を有することが分かる。
【0063】
また、液体クロマトグラフィー法を利用した定量分析は、メッキ工程中になされることができる。メッキ工程中にメッキ液の使用時間に応じてメッキ液に含まれている高分子物質の濃度が減少することになる。したがって、メッキ時に高分子添加剤を加えて、メッキ液のメッキ活動度を最適化することができる。
【0064】
本発明に係る一実施形態によると、メッキ工程中にメッキ液を10ml程度採取して有機溶媒で抽出した後、上記のような定量分析を通じてメッキ液の電気メッキ活動度を監視することができる。また、上記分析された結果に応じて、メッキ液中の高分子添加剤の量を調節して、メッキ工程中にもメッキを最適化することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキ液に有機溶媒を添加し、当該メッキ液と有機溶媒とを混合してメッキ液に含まれた高分子物質を有機溶媒に溶解させ、当該高分子物質が溶解された有機溶媒を分離し、当該有機溶媒を気化させて高分子物質を抽出する段階と、
当該抽出された高分子物質を分析する段階と、
を含む、メッキ液の分析方法。
【請求項2】
前記分析する段階において、高分子物質を定量分析する、請求項1に記載のメッキ液の分析方法。
【請求項3】
前記分析する段階において、高分子物質を定性分析する、請求項1に記載のメッキ液の分析方法。
【請求項4】
前記抽出された高分子物質は、高分子添加剤である、請求項1に記載のメッキ液の分析方法。
【請求項5】
前記高分子添加剤は、キャリアとして用いられる物質である、請求項4に記載のメッキ液の分析方法。
【請求項6】
前記定性分析は、MALDI−TOF質量分析法(MALDI−TOF MS)、電子スプレーイオン化質量分析法(ESI MS)及び液体クロマトグラフィー質量分析法(LC MS)のいずれか一つを利用してなされる、請求項3に記載のメッキ液の分析方法。
【請求項7】
前記定量分析は、液体クロマトグラフィー法を利用してなされる、請求項2に記載のメッキ液の分析方法。
【請求項8】
前記液体クロマトグラフィー法は、ゲル透過クロマトグラフィー法(GPC;Gel Permeation Chromatography)、イオン対クロマトグラフィー法(IPC;Ion Pairing Chromatography)、高性能イオンクロマトグラフィー法(HPIC;High Performance Ion Chromatography)及び疎水性反応クロマトグラフィー法(HIC;Hydrophobic Interaction Chromatography)のいずれか一つである、請求項7に記載のメッキ液の分析方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の分析方法でメッキ液を分析する段階と、
当該メッキ液の分析結果に基づいて、当該メッキ液の濃度を調節しメッキ液の電気メッキの活動度を調節する段階と、
を含む、メッキ方法。
【請求項10】
前記メッキ液の濃度中、高分子添加剤の濃度を調節する、請求項9に記載のメッキ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−21966(P2012−21966A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284717(P2010−284717)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】