説明

メッシュ標高データ作成方法及びその装置、並びにメッシュ標高データを作成するためのコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体

【課題】標準メッシュ標高データを用いて道路のノードの標高を演算すると、演算結果に充分な精度を得られない場合があり、また、かかる標準メッシュ標高データは大きなデータ量であるため、ナビゲーション装置のメモリに負担がかかる。
【解決手段】標準地図の等高線に基づき前記ノードの実標高を演算する実標高演算装置8と、ノードの属するメッシュを抽出し、該ノードの実標高に基づき、抽出された前記メッシュの格子点の標高を演算するメッシュ格子点標高演算装置10とを備える。メッシュ格子点標高演算装置10はメッシュ内に位置するノードの標高点が含まれる仮想平面を該メッシュに重ねて設定し、メッシュの格子点に対応する仮想平面の座標の標高を求め、この標高をメッシュ標高データの格子点の標高とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメッシュ標高データ作成方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料消費量を低減させるため、特にハイブリッド車輌において、3Dマップに基づくナビゲーション装置の利用が検討されている。即ち、選択されたルートの道路の傾斜に基づいてエンジンとモータとの駆動を制御し、駆動力におけるモータ駆動の寄与度を最大化することにより、燃料消費量を抑制する。
しかしながら、現在のナビゲーション装置に用いられている地図データには道路の傾斜に関する情報が含まれていない。
そこで、国土地理院が整備している50メッシュ標高データを利用して道路の傾斜を演算することが検討されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−37141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の車両用路面標高推定装置によれば、演算した標高値に対して確からしさの概念を適用してフィルタリング処理を行い、より高い精度で路面標高の推定を行っている。
しかしこの装置では、急斜面やトンネル等の人口構造物に対して充分な推定精度を確保できないおそれがある。
また、国土地理院の50mメッシュ標高データは、道路の有無にかかわらず、全国をカバーしている。よって、かかるメッシュ標高データは巨大なデータ量となり、ナビゲーション装置のメモリ装置に大きな負担がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題の少なくとも1つの解決するためになされた。
本発明の第1の局面は次のように規定することができる。即ち、
道路のノードの座標を記憶する道路データ記憶部と、
所定間隔のメッシュの格子点に対応する地図上の標高を示す標高メッシュデータを記憶するメッシュ標高データ記憶部と、
前記メッシュ標高データにおける格子点の標高に基づいて前記ノードの標高を演算するノード標高演算部と、を備える道路標高推定装置に用いられる前記メッシュ標高データの作成方法であって、
前記ノードの属するメッシュを抽出し、該ノードの実標高に基づき、抽出された前記メッシュの格子点の標高を演算する、ことを特徴とするメッシュ標高データの作成方法。
このように規定される本発明の第1の局面のメッシュ標高データの作成方法によれば、ノードの属するメッシュが抽出されるので、メッシュの数が抑制されてデータ量を大幅に圧縮できる。また、メッシュの格子点の標高がノードの実標高に基づいて演算されているので、当該メッシュの格子点の標高は道路のノードの実標高が反映されている。よって、かかるメッシュ標高データを備える道路標高推定装置によれば道路のノードの標高をより正確に推定できることとなる。
【0005】
ここに道路のノードの実標高とは、道路のノードの実際の標高を指す。ノードの実標高は現地実測によるものでもよいが、この発明の第2の局面で示すように、国土地理院の発行する数値地図等の標準地図に含まれる等高線から演算により求めることが出来る。例えば、ノードを挟む一対の等高線を選択し、ノードから各等高線までの垂線の長さの比を求め、この比に基づき、一対の等高線間におけるノードの標高を特定する。
【0006】
なお、ノードの実標高が得られれば、当該実標高をナビゲーション装置の地図データに付加することにより、道路の傾斜を正確に推定できることとなる。しかしながら、地図データにおいてノード毎に実標高値を付加すると、地図データのデータ量が大きくなってナビゲーション装置のメモリ装置の負担になる。また、新規道路の作成や交差点の追加などによりノードが追加されたときには、新しいノード毎に実標高を特定し、その実標高データを地図データに付加しなければならない。かかる作業には多大な手間がかかるので、現実的ではない。そのため、メッシュ標高データを用いて、選択されたノードの標高を演算することが現実的な選択肢となる。
【0007】
ノードの実標高に基づき、該ノードの属するメッシュの格子点の標高を演算する方法について、この発明の第3の局面では次のように規定する。即ち、
第1又は第2の局面に規定のメッシュ標高データの作成方法において、メッシュ内にノードが位置するとき、該ノードの標高点が含まれる仮想平面を前記メッシュに重ねて設定し、前記メッシュの格子点に対応する前記仮想平面の座標の標高を演算してメッシュ標高データとする。
このように規定される第3の局面のメッシュ標高データ作成方法によれば、ノードの標高点が含まれる仮想平面をメッシュの上に重ねてメッシュの格子点の標高が特定される。
【0008】
メッシュM1内に1つのノードN1が位置する場合のメッシュ格子点L11,L12,L13,L14の演算方法を図1(A)に示した。なお、メッシュM1及びその格子点L11,L12,L13,L14の座標及びそれらの標高は国土地理院発行の50mメッシュ標高データ(以下、「標準メッシュ標高データ」という)に準じている(以下、この明細書の説明において同じ)。勿論、メッシュの大きさは任意に選択することができる。
図1(A)の例ではメッシュM1内に1つのノードN1が存在している。このノードN1の実標高は例えば標準地図の等高線に基づき特定されているので、ノードN1の座標にノードの実標高のデータを加えて、ノード標高点A1を特定する。
図1(A)の例では、メッシュM1内に1つのノードN1のみが存在するので、ノード標高点A1を含み、かつメッシュM1に平行な仮想平面P1を設定する。メッシュM1の各格子点L11,L12,L13,L14の座標に対応する仮想平面P1の格子点L´11,L´12,L´13,L´14の各標高をその座標と共に保存する。若しくは、標準メッシュ標高データにおいて対応する座標の格子点の標高を書き換えてもよい。
【0009】
図1(B)の例では、メッシュM2内に2つのノードN2及びN3が存在する。このノードN2及びN3へその実標高のデータを加えてノード標高点A2,A3を特定する。
当該ノード標高点A2,A3を含む仮想平面P2は次のようにして設定することができる。ノード標高点A2、A3を結ぶ仮想直線TがL21,L22を結ぶ直線を含む垂直面と交差する点から直線L21,L22と平行な直線L´21―L´22を規定し、仮想平面TがL23,L24を結ぶ直線を含む垂直面と交差する点から直線L23,L24と平行な直線L´23―L´24を規定することにより、仮想平面P2を特定できる。
この座標L21,L´22,L´23,L´24の各標高をその座標と共に保存する。若しくは、標準メッシュ標高データにおいて対応する座標の格子点の標高を書き換えてもよい。
【0010】
図1(C)の例では、メッシュM3内に3つのノードN4,N5,N6が存在する。このノードN4,N5,N6へその実標高データを加えてノード標高点A4,A5,A6を特定する。
当該ノード標高点A4,A5,A6を含む仮想平面P3をメッシュM3に重ねて設定する。メッシュM3の各格子点L31,L32,L33,L34の座標に対応する仮想平面P3の格子点L´31,L´32,L´33,L´34の各標高をその座標と共に保存する。若しくは、標準メッシュ標高データにおいて対応する座標の格子点の標高を書き換えてもよい。
【0011】
このようにしてメッシュ標高データにおける各格子点の標高を書き換えることができるが、第1のノードを含むメッシュと第2のノードを含むメッシュとが隣り合うとき、接点となる格子点においてメッシュごとに得られる標高が異なることがあるので、その調整が必要となる。
格子点の標高の調整方法としてこの発明の実施例では単純平均を採用している。単純平均のほか、一方のメッシュに対して所定のルールに基づき重み付けをして平均演算をしてもよい。例えば、ノード数の多いメッシュの格子点の標高をノード数に応じて重くすることができる。
【0012】
かかる観点からこの発明の第4及び第5の局面は規定されている。
第4の局面の発明は次のように規定される。即ち、第3の局面のメッシュ標高データ作成方法において、第1のノードが位置する第1のメッシュと第2のノードが位置する第2のメッシュとが隣り合うとき、前記第1のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第1の標高と、前記第2のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第2の標高とを所定の規則に従って演算し、前記メッシュ標高データとする。
第5の局面の発明は次のように規定される。即ち、第4の局面のメッシュ標高データ作成方法において、前記第1の標高と前記第2の標高との平均を演算して前記メッシュ標高データとする。
【0013】
このように規定される第4及び第5の局面のメッシュ標高データ作成方法によれば、ノードの実標高がより精密に反映されるメッシュ標高データの作成が可能となる。
【0014】
この発明の第6の局面の発明は次のように規定される。即ち、
第1〜第5の局面で規定するいずれかの作成方法で作成されたメッシュ標高データを記憶するメッシュ標高データ記憶部と、道路のノードの座標を記憶する道路データ記憶部と、前記メッシュ標高データの各格子点の標高に基づいて前記ノードの標高を演算するノード標高演算部と、を備える道路標高推定装置を含むナビゲーション装置。
かかる道路標高推定装置によれば、道路のノードの実標高をより精密に反映したメッシュ標高データが用いられるので、道路のノードの標高演算がより正確になる。また、道路のノードが存在するメッシュに対してのみその格子点の標高データが規定されるので、メッシュ標高データのデータ量が標準メッシュ標高データ(全てのメッシュの格子点につき標高データを持つ)に比べて格段に小さくなる。よって、かかる道路標高推定装置をナビゲーション装置に組み込む場合においても、ナビゲーション装置のメモリにかかる負荷は小さくて済む。
【0015】
この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
道路のノードの座標を記憶する道路データ記憶部と、
所定間隔のメッシュの格子点に対応する地図上の標高を示すメッシュ標高データを記憶するメッシュ標高データ記憶部と、
前記メッシュ標高データにおける格子点の標高に基づいて前記ノードの標高を演算するノード標高演算部と、を備える道路標高推定装置に用いられる前記メッシュ標高データの作成装置であって、
標準地図の等高線に基づき前記ノードの実標高を演算する実標高演算装置と、
前記ノードの属するメッシュを抽出し、該ノードの実標高に基づき、抽出されたメッシュの格子点の標高を演算するメッシュ格子点標高演算装置と、を備えることを特徴とするメッシュ標高データの作成装置。
このように規定される第7の局面のメッシュ標高データ作成装置によれば、第1の局面と同様に、データ量がコンパクトでかつノードの実標高が反映されたメッシュ標高データを作成できる。
【0016】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面で規定されるメッシュ標高データの作成装置において、前記メッシュ格子点標高演算装置は、メッシュ内に位置するノードの標高点が含まれる仮想平面を該メッシュに重ねて設定する手段と、
前記メッシュの格子点に対応する前記仮想平面の座標の標高を演算する手段と、を備える。
このように規定される第8の局面の装置によれば、第3の局面の発明と同様に、ノードの実標高に基づいて標準メッシュ標高データにおけるメッシュの格子点の標高演算を簡易に行える。
【0017】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第8の局面で規定されるメッシュ標高データ作成装置において、前記メッシュ格子点標高演算装置は、第1のノードが位置する第1のメッシュと第2のノードが位置する第2のメッシュとが隣り合うとき、前記第1のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第1の標高と、前記第2のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第2の標高とを所定の規則に従って演算し、前記メッシュ標高データとする。
また、この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第9の局面のメッシュ標高データ作成装置において、前記第1の標高と前記第2の標高との平均を演算して前記メッシュ標高データとする。
このように規定される第9及び第10の局面のメッシュ標高データ作成装置によれば、第4及び第5の局面の発明と同様に、ノードの実標高がより精密に反映されるメッシュ標高データの作成が可能となる。
【0018】
この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
道路のノードの座標を記憶する道路データ記憶部と、
所定間隔のメッシュの格子点に対応する地図上の標高を示すメッシュ標高データを記憶するメッシュ標高データ記憶部と、
前記メッシュ標高データにおける格子点の標高に基づいて前記ノードの標高を演算するノード標高演算部と、を備える道路標高推定装置に用いられる前記メッシュ標高データをコンピュータシステムに作成させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータシステムを、
標準地図の等高線に基づき前記ノードの実標高を演算する実標高演算手段と、
前記ノードの属するメッシュを抽出し、該ノードの実標高に基づき、抽出された前記メッシュの格子点の標高を演算するメッシュ格子点標高演算手段と、
として機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
このように規定される第11の局面のコンピュータプログラムによれば、第7の局面で規定したと同様のメッシュ標高データ作成装置としてコンピュータシステムを機能させることができる。これにより、第7の局面と同様に、データ量がコンパクトでかつノードの実標高が反映されたメッシュ標高データを作成できる。
【0019】
この発明の第12の局面はつぎのように規定される。即ち、
第11の局面のコンピュータプログラムが、コンピュータシステムのメッシュ格子点標高演算手段としての機能を、
メッシュ内に位置するノードの標高点が含まれる仮想平面を該メッシュ上に設定する手段と、
前記メッシュの格子点に対応する前記仮想平面の座標の標高を演算する手段と、
として機能させる。
これにより、第8の局面で規定したとメッシュ標高データ作成装置と同様の機能をコンピュータシステムに付与できる。よって、ノードの実標高に基づいて標準メッシュ標高データにおけるメッシュの格子点の標高演算を簡易に行える。
【0020】
この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、
第12の局面で規定したコンピュータプログラムが、前記コンピュータシステムのメッシュ格子点標高演算手段としての機能を、
第1のノードが位置する第1のメッシュと第2のノードが位置する第2のメッシュとが隣り合うとき、前記第1のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第1の標高と、前記第2のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第2の標高とを所定の規則に従って演算する手段として機能させる。
また、この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第13の局面で規定したコンピュータプログラムが、前記第1の標高と前記第2の標高との平均を演算して前記メッシュ標高データとする。
このように規定された第13及び第14のコンピュータプログラムによれば、第9及び第10で規定するメッシュ標高データ作成装置と同様の機能をコンピュータシステムに付与できる。よって、ノードの実標高がより精密に反映されるメッシュ標高データの作成が可能となる。
【0021】
第11〜第14のいずれかの局面で規定されるコンピュータプログラムはコンパクトディスク等の記録媒体へ記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図2はこの発明の実施例のメッシュ標高データ作成装置1の機能ブロック図を示す。
道路データ記憶部2にはノードを含む道路データが保存されている。地図データ記憶部3には標準地図データ記憶部5と標準メッシュ標高データ記憶部6とが備えられ、標準地図データ記憶部5には等高線データを含む標準地図データが記憶されている。標準メッシュ標高データ記憶部6には国土地理院発行の50mメッシュ標高データが保存されている。
【0023】
ノード実標高演算部8は道路データ記憶部2からノードを読み出し、他方、このようにして読み出したノード近傍の標準地図データを標準地図データ記憶部5より読み出す。読み出した標準地図データに含まれる等高線情報に基づいてノードの標高を演算する。
メッシュ抽出部9は上記で読み出されたノードが位置するメッシュを標準メッシュ標高データから読み出す。
【0024】
メッシュ格子点標高演算装置10の仮想平面設定部11では、メッシュ抽出部9で抽出されたメッシュに位置するノードに対して、ノード実標高演算部8で特定されたノードの実標高データを付加してノードの標高点を特定する。そして、当該標高点を含む仮想平面を設定する。
格子点標高補正部13では、抽出されたメッシュの格子点の座標に対応する仮想平面の座標の標高を、メッシュ標高データにおけるメッシュ格子点の新たな標高とし、このようにして演算された格子点の標高を新格子点標高保存部15へ一旦保存する。
隣り合うメッシュにそれぞれノードが存在する場合、該隣り合うメッシュが共有する同一格子点の演算された標高データがメッシュ間で異なる場合がある。そこで、格子点標高演算部17は、メッシュ毎に演算補正されたその格子点の標高につき、同一格子点については、同一標高の値を平均し、当該格子点の標高とする。
このように演算された格子点の標高をその座標とともにメッシュ標高データ記憶部19へ記憶させる。
【0025】
図3はメッシュ標高データ作成装置1のハード構成を示すブロック図である。
この装置1のハード構成は、一般的なコンピュータシステムと同様に中央制御装置21に対してシステムバス22を介して各種の要素が結合されたものである。
中央制御装置21は汎用的なCPU、メモリ制御装置、バス制御装置、割り込み制御装置更にはDMA(直接メモリアクセス)装置を含み、システムバス22もデータライン、アドレスライン、制御ラインを含む。システムバス22にはRAM(ランダムアクセスメモリ)23、不揮発メモリ(ROM24,CMOS−RAM25等)からなるメモリ回路が接続されている。RAM23には中央制御装置21や他のハードウエア要素によって読み取られたり、書き換えられたりする。不揮発メモリのデータは読み取り専用であり、装置をオフとしたときにもそこのデータは喪失されない。このハードウエアを制御するシステムプログラムはハードディスク装置27に保存されており、また、RAM23に保存されており、ディスクドライブ制御装置26を介して適宜中央制御装置21に読みこまれて使用される。
このハードディスク装置27には、汎用的な構成のコンピュータシステムをメッシュ標高データ作成装置1として動作させるためのコンピュータプログラムが保存する領域が確保される。
このハードディスク装置27の所定の領域に地図データ及び道路データが保存されている。道路データは道路を指定するためのノードとリンクを含む。地図データは等高線情報を含む標準地図データと50mメッシュ標高データを含む。これら地図データ及び道路データはネットワークNを介して外部のサーバ装置から読み出すようにしてもよい。
【0026】
システムバス22には、フレキシブルディスク32に対してデータの読み込み及び書き込みを行うフレキシブルドライブ制御装置31、コンパクトディスク34に対してそれからデータの読み取りを行うCD/DVD制御装置33が接続されている。この実施例ではプリンタインターフェース37にプリンタ38を接続させている。
【0027】
システムバス22にはキーボード・マウス制御装置41が接続され、キーボード42及びマウス43からのデータ入力を可能としている。モニタ45がモニタ制御装置44を介してシステムバス22に接続されている。モニタ45にはCRTタイプ、液晶タイプ、プラズマディスプレイタイプなどを利用することができる。
各種の要素(モデムなど)の増設を可能とするため空きのスロット51が準備されている。
【0028】
実施例のシステムはネットワークアダプタ61を介して、ネットワークNに接続される。このネットワーク(インターネット)Nにはサーバ装置が連結されている。
【0029】
このコンピュータシステムからなるメッシュ標高データ作成装置1を稼動させるために必要なプログラム(OSプログラム、アプリケーションプログラム(本発明のものも含む))は、各種の記録媒体を介してシステムの中にインストールされる。例えば非書き込み記録媒体(CD−ROM、ROMカード等)、書き込み可能記録媒体(FD、DVD等)、更にはネットワークNを利用して通信媒体の形式でインストールすることも可能である。勿論、不揮発メモリ24、25やハードディスク装置27に予めこれらのプログラムを書きこんでおくこともできる。
【0030】
中央制御装置21はハードディスク27に保存されている所定のプログラムに従い、以下に説明する動作を各要素に実行させ、コンピュータシステムをメッシュ標高データ作成装置として機能させる。
【0031】
以下、実施例のメッシュ標高データ作成装置1の動作を説明する(図4参照)。
中央制御装置21はハードディスク装置21から等高線情報を含む標準地図データ、50mメッシュ標高データ及び道路データを読み出して、各データの座標をマッチングさせる(図4(A)参照)。
次に中央演算装置21は実標高演算部として、標準地図データの等高線情報から各ノードの実標高を演算する。結果を図4(B)に示す。各ノードの実標高値はハードディスク装置21の所定の領域に一旦保存される。
次に、中央制御装置21はメッシュ抽出部として、50mメッシュ標高データよりノードが位置するメッシュを抽出する。
【0032】
中央制御装置21はメッシュ格子点標高演算装置として、図1で説明したように、抽出されたメッシュに重ねて仮想平面を設定し、仮想平面におけるメッシュ格子点の標高を特定する。結果を図4(C)に示す。
図4(C)の結果からわかるように、同一座標の格子点において、メッシュ毎に演算された標高値が異なっている。そこで、同一座標の格子点においてメッシュ毎に特定された標高値を平均する。結果を図4(D)に示す。
図4(D)の結果はメッシュ標高データ記憶部として機能するハードディスク装置27の所定の領域に保存される。
【0033】
このようにして得られた実施例のメッシュ標高データに基づいてノードの標高を演算した例を図5(B)に示す。図5(A)はノードの実標高値を示す。他方、図5(C)は国土地理院発行の50mメッシュ標高データに基づいてノードの標高を演算した結果である。
実施例及び比較例とも図6に示す道路標高推定装置70を用いてノードの標高を推定している。この道路標高推定装置70は道路データ記憶部71、メッシュ標高データ記憶部72、ノード標高演算部74及び出力表示部76を備えている。道路データ記憶部にノードの座標が記憶されている。メッシュ標高データ記憶部72には、実施例で得られたメッシュ標高データと比較例として国土地理院発行の50メッシュ標高データが記憶される。ノード標高演算部74はバイリニア補完法を用いて、各メッシュ標高データの格子部の座標及び標高に基づき、ノードの標高を演算する。演算されたノードの標高は出力表示部表示される。
図5の結果より、実施例のメッシュ標高データを用いると、ノードの標高がより実標高値に近いものとなることがわかる。
【0034】
実施例の道路標高推定部70を含んだナビゲーション装置80の例を図7に示す。
図7のナビゲーション装置80では、運転者の指定した条件に従い目的地までのルートをルート演算部83が演算する。演算されたルートに含まれる道路が道路抽出部84により抽出され、抽出された道路の道路データ(特にノードの座標)が道路データ記憶部71に記憶される。
道路標高推定部70で演算されたノードに基づきリンクの傾斜が道路傾斜演算部86において演算される。演算されたリンクの傾斜が出力表示部87へ送られる。このリンクの傾斜に基づき、ハイブリッド車輌の図示しない動力制御装置がエンジンとモータとの出力比率を制御する。
【0035】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1はプローブ情報の抽出方法を説明する模式図である。
【図2】図2は実施例のメッシュ標高データ作成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は実施例のメッシュ標高データ作成装置を構成するコンピュータシステムを示す。
【図4】図4は実施例のメッシュ標高データ作成装置の動作を示す図である。
【図5】図5は実施例のメッシュ標高データと比較例(標準50mメッシュ標高データ)との比較結果を示す。
【図6】実施例の道路標高推定装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施例のカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
1 メッシュ標高データ作成装置
2 道路データ記憶部
3 地図データ記憶部
8 ノード実標高演算部
9 メッシュ抽出部
10 メッシュ格子点標高演算部
70 道路標高推定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路のノードの座標を記憶する道路データ記憶部と、
所定間隔のメッシュの格子点に対応する地図上の標高を示す標高メッシュデータを記憶するメッシュ標高データ記憶部と、
前記メッシュ標高データにおける格子点の標高に基づいて前記ノードの標高を演算するノード標高演算部と、を備える道路標高推定装置に用いられる前記メッシュ標高データの作成方法であって、
前記ノードの属するメッシュを抽出し、該ノードの実標高に基づき、抽出された前記メッシュの格子点の標高を演算する、ことを特徴とするメッシュ標高データの作成方法。
【請求項2】
標準地図の等高線に基づき前記ノードの実標高を演算する、ことを特徴とする請求項1に記載のメッシュ標高データの作成方法。
【請求項3】
メッシュ内にノードが位置するとき、該ノードの標高点が含まれる仮想平面を前記メッシュに重ね、前記メッシュの格子点に対応する前記仮想平面の座標の標高を演算してメッシュ標高データとする、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のメッシュ標高データの作成方法。
【請求項4】
第1のノードが位置する第1のメッシュと第2のノードが位置する第2のメッシュとが隣り合うとき、前記第1のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第1の標高と、前記第2のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第2の標高とを所定の規則に従って演算し、前記メッシュ標高データとする、ことを特徴とする請求項3に記載のメッシュ標高データの作成方法。
【請求項5】
前記第1の標高と前記第2の標高との平均を演算して前記メッシュ標高データとする、ことを特徴とする請求項4に記載のメッシュ標高データの作成方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの作成方法で作成されたメッシュ標高データを記憶するメッシュ標高データ記憶部と、道路のノードの座標を記憶する道路データ記憶部と、前記メッシュ標高データの各格子点の標高に基づいて前記ノードの標高を演算するノード標高演算部と、を備える道路標高推定装置を含むナビゲーション装置。
【請求項7】
道路のノードの座標を記憶する道路データ記憶部と、
所定間隔のメッシュの格子点に対応する地図上の標高を示すメッシュ標高データを記憶するメッシュ標高データ記憶部と、
前記メッシュ標高データにおける格子点の標高に基づいて前記ノードの標高を演算するノード標高演算部と、を備える道路標高推定装置に用いられる前記メッシュ標高データの作成装置であって、
標準地図の等高線に基づき前記ノードの実標高を演算する実標高演算装置と、
前記ノードの属するメッシュを抽出し、該ノードの実標高に基づき、抽出された前記メッシュの格子点の標高を演算するメッシュ格子点標高演算装置と、を備えることを特徴とするメッシュ標高データの作成装置。
【請求項8】
前記メッシュ格子点標高演算装置は、メッシュ内に位置するノードの標高点が含まれる仮想平面を該メッシュに重ねて設定する手段と、
前記メッシュの格子点に対応する前記仮想平面の座標の標高を演算する手段と、を備えることを特徴とする請求項7に記載のメッシュ標高データ作成装置。
【請求項9】
前記メッシュ格子点標高演算装置は、第1のノードが位置する第1のメッシュと第2のノードが位置する第2のメッシュとが隣り合うとき、前記第1のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第1の標高と、前記第2のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第2の標高とを所定の規則に従って演算し、前記メッシュ標高データとする、ことを特徴とする請求項8に記載のメッシュ標高データ作成装置。
【請求項10】
前記メッシュ格子点標高演算装置は、前記第1の標高と前記第2の標高との平均を演算して前記メッシュ標高データとする、ことを特徴とする請求項9に記載のメッシュ標高データ作成装置。
【請求項11】
道路のノードの座標を記憶する道路データ記憶部と、
所定間隔のメッシュの格子点に対応する地図上の標高を示すメッシュ標高データを記憶するメッシュ標高データ記憶部と、
前記メッシュ標高データにおける格子点の標高に基づいて前記ノードの標高を演算するノード標高演算部と、を備える道路標高推定装置に用いられる前記メッシュ標高データをコンピュータシステムに作成させるためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータシステムを、
標準地図の等高線に基づき前記ノードの実標高を演算する実標高演算手段、及び
前記ノードの属するメッシュを抽出し、該ノードの実標高に基づき、抽出された前記メッシュの格子点の標高を演算するメッシュ格子点標高演算手段、
として機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータシステムのメッシュ格子点標高演算手段としての機能を、
メッシュ内に位置するノードの標高点が含まれる仮想平面を該メッシュに重ねて設定する手段、及び
前記メッシュの格子点に対応する前記仮想平面の座標の標高を演算する手段、
として機能させる、ことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータシステムのメッシュ格子点標高演算手段としての機能を、
第1のノードが位置する第1のメッシュと第2のノードが位置する第2のメッシュとが隣り合うとき、前記第1のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第1の標高と、前記第2のメッシュの格子点に対応する前記仮想平面の第2の標高とを所定の規則に従って演算する手段として機能させる、ことを特徴とする請求項12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記第1の標高と前記第2の標高との平均を演算して前記メッシュ標高データとする、ことを特徴とする請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項11〜請求項14のいずれかに記載のコンピュータプログラムを記録する記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−60642(P2010−60642A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223708(P2008−223708)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【Fターム(参考)】