説明

メッセージ転送方法、メッセージ蓄積装置および通信装置

【課題】簡易なユーザー操作で経由先から本来の宛先へのメッセージ転送を可能とするメッセージ転送方法を提供すること。
【解決手段】メッセージ蓄積装置(1)は、携帯電話機(3)宛のメッセージを、メッセージ発信元の携帯電話機(2)を特定可能なメッセージ識別子に関連付けて第1の記憶部に保存し、さらに、当該メッセージ識別子と携帯電話機(3)とを関連付けて第2の記憶部に保存し、携帯電話機(4)を転送先とするメッセージの転送要求を携帯電話機(3)から受信した場合に、前記メッセージ識別子と携帯電話機(4)とを関連付けて前記第2の記憶部に追加保存し、携帯電話機(4)からの再生要求を受信した場合に、携帯電話機(4)に関連付けられたメッセージ識別子に基づいて、前記第1の記憶部から前記メッセージを読み出して再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の通信装置宛のメッセージを他の通信装置に転送するメッセージ転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、Bさんの電話番号を知らないAさんが、Bさんの電話番号を知っているCさんに、Bさんへのメッセージの伝言を依頼したい場合において、AさんからCさんへの電話がつながらない状況を想定する。このような状況において、たとえば、AさんがCさんの所有する携帯電話機の留守番電話サービス機能を利用してBさんへのメッセージを録音した場合、Cさんは、留守電に録音されているメッセージを聞いてからその内容をBさんに伝えることになる。この際、Cさんは、たとえば、メッセージの内容を覚えてから、またはその内容をメモ等に残してから、Bさんへその内容を伝えることになる。
【0003】
上記一連の手順において、経由者であるCさんが、メッセージの内容を覚えたり、メモ等を残したりすることなく、メッセージを本来の宛先者であるBさんへ転送する技術が開示されている。具体的には、まず、音声メッセージの送り主である発信者Aが、配信蓄積装置に電話をかけて経由者Cの宛先情報を通知し、その後、配信蓄積装置に音声メッセージを録音する。つぎに、配信蓄積装置は、宛先情報に基づき経由者Cにメッセージが届いていることを通知する。つぎに、この通知を受けた経由者Cは、配信蓄積装置に対しメッセージの送信を要求し、配信されたメッセージを所定のソフトウェアで再生し、その内容を確認する。つぎに、メッセージの内容を確認した経由者Cは、発信者Aからの依頼に従い、本来の宛先者Bの宛先情報と転送するメッセージとを配信蓄積装置に送信する。そして、これらの情報を受信した配信蓄積装置は、宛先者Bにメッセージが届いていることを通知し、その後、宛先者Bからの要求に従いメッセージを転送後、経由者Cへ転送終了を通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−55399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術において、メッセージの転送を行う場合には、「転送者Cが本来の宛先者Bを指定したメッセージを配信蓄積装置に送信する」、という新たなユーザー操作が発生し、利便性に欠ける、という問題があった。
【0006】
また、上記従来の技術における配信蓄積装置は、メッセージを宛先毎に管理しているため、転送先の数に応じた同一メッセージがメモリに記憶されることになり、メモリ領域が無駄に消費される、という問題があった。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易なユーザー操作で経由先から本来の宛先へのメッセージ転送を可能とするメッセージ転送方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、メッセージ転送の際にメモリ領域の有効利用を実現可能なメッセージ転送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示するメッセージ転送方法は、一つの態様において、第1の電話機宛のメッセージを保存するメッセージ蓄積装置が、当該メッセージを第2の電話機に転送するメッセージ転送方法であって、前記メッセージ蓄積装置は、前記メッセージを、当該メッセージの発信元を特定可能なメッセージ識別子に関連付けて第1の記憶部に保存し、さらに、当該メッセージ識別子と前記第1の電話機とを関連付けて第2の記憶部に保存することにより、前記第1の電話機宛のメッセージを管理し、前記第2の電話機を転送先とするメッセージの転送要求を前記第1の電話機から受信した場合に、前記メッセージ識別子と当該第2の電話機とを関連付けて前記第2の記憶部に追加保存し、前記第2の電話機からの再生要求を受信した場合に、当該第2の電話機に関連付けられたメッセージ識別子に基づいて、前記第1の記憶部から前記メッセージを読み出して再生する。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示するメッセージ転送方法の一つの態様によれば、簡易なユーザー操作で経由先から本来の宛先へのメッセージ転送を実現することができる、という効果を奏する。また、メッセージ転送の際にメモリ領域の有効利用を実現することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、無線通信システムおよび留守番電話サービスセンター装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、携帯電話機の構成例を示す図である。
【図3】図3は、メッセージ転送方法を示すシーケンス図である。
【図4−1】図4−1は、メッセージDB内のメッセージ状態記録領域の一例を示す図である。
【図4−2】図4−2は、メッセージDB内のメッセージ記録領域の一例を示す図である。
【図5】図5は、メッセージDB内のメッセージ状態記録領域の一例を示す図である。
【図6】図6は、携帯電話機による転送処理を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、留守番電話サービスセンター装置による転送処理を示すシーケンス図である。
【図8】図8は、メッセージDB内のメッセージ状態記録領域の一例を示す図である。
【図9】図9は、メッセージDB内のメッセージ状態記録領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示するメッセージ転送方法、メッセージ蓄積装置および通信装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例では、メッセージ蓄積装置の一例として留守番電話サービスセンター装置を、通信装置の一例として携帯電話機を、それぞれ用いて説明を行うが、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
図1は、本実施例の無線通信システムの構成例、および本実施例の留守番電話サービスセンター装置1の構成例を示す図である。図1において、本実施例の無線通信システムは、各携帯電話機の利用者に留守番電話サービスを提供するためのシステムの一例を示しており、携帯電話網6内で留守番電話サービスセンター装置1と各携帯電話機が基地局5を介して適宜通信を行う。なお、携帯電話網6には、各基地局からのトラフィックを集線し交換する無線回線制御局や、固定電話やインターネットなどの他網と接続するための移動通信交換局等が含まれる。また、図1において、携帯電話機2,3,4は、基地局5の無線ゾーン内に在圏する端末である。上記無線ゾーンはサービスエリアを指す。本実施例では、たとえば、携帯電話機2を、音声メッセージの発信者Aが所有する端末とし、携帯電話機3を、音声メッセージを転送する経由者Cが所有する端末とし、携帯電話機4を、音声メッセージの宛先者Bが所有する端末とする。
【0014】
また、図1において、留守番電話サービスセンター装置1は、通信制御部11とメッセージ再生機能部12とメッセージ記録機能部13とメッセージ転送機能部14とメッセージ状態通知機能部15とメッセージデータベース(DB)16を有する。通信制御部11は、留守番電話サービス機能を実現するための各種信号の送受信を制御する。メッセージ再生機能部12は、メッセージDB16に記録されているメッセージ等を再生する。メッセージ記録機能部13は、携帯電話機から送られてくるメッセージ等をメッセージDB16に記録する。メッセージ転送機能部14は、メッセージの転送に関する処理を実行する。メッセージ状態通知機能部15は、メッセージの転送に関する各種の状態を各携帯電話機に通知するための制御を行う。なお、上記留守番電話サービスセンター装置1の構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、装置が有するすべての機能を実現するものではない。また、留守番電話サービスセンター装置1の各機能部は、たとえば、CPU(Central Processing Unit),FPGA(Field Programmable Gate Array)等で実現することが可能である。
【0015】
図2は、本実施例の携帯電話機の構成例を示す図である。図2において、本実施例の携帯電話機(2,3,4)は、制御部31と記憶部32とユーザーインタフェース部33とカメラ機能部34と無線部35とアンテナ36を有する。
【0016】
また、図2において、制御部31は、通信制御部41と呼制御部42と電話帳制御部43と通信履歴管理部44と入力制御部45と表示制御部46と音声制御部47と有する。通信制御部41は、留守番電話サービス機能を実現するための各種信号の送受信を制御する。呼制御部42は、音声電話等のCS(Circuit Switching)呼を制御するCS呼制御部61,Webブラウジング等のPS(Packet Switching)呼を制御するPS呼制御部62,SMS(Short Message Service)制御部63に分けることができる。電話帳制御部43は、記憶部32に記憶されている電話帳データの読み書きを制御する。通信履歴管理部44は、記憶部32に記憶されている通信履歴データの読み書きを制御する。入力制御部45,表示制御部46,音声制御部47は、それぞれ対応するユーザーインタフェース部33を制御する。ユーザーインタフェース部33は、操作キー等の入力部51,ディスプレイである表示部52,マイクおよびスピーカである音声入出力部53等を有する。なお、上記携帯電話機の構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、携帯電話機のすべての機能を表現したものではない。また、制御部31は、たとえば、CPU,FPGA等で実現することが可能である。
【0017】
つづいて、本実施例のメッセージ転送方法を、図面を用いて詳細に説明する。図3は、本実施例のメッセージ転送方法を示すシーケンス図である。本実施例では、宛先者Bの電話番号を知らない発信者Aが、宛先者Bの電話番号を知っている経由者Cに、宛先者Bへのメッセージの伝言を依頼したい場合において、発信者Aから経由者Cへの電話がつながらない状況を想定する(S1)。なお、経由者Cに電話がつながらない状況としては、たとえば、圏外や電源OFF等が考えられる。
【0018】
このような状況において、発信者Aが所有する携帯電話機2は、経由者Cが所有する携帯電話機3の留守番電話サービス機能により、留守番電話サービスセンター装置1に接続される(S2)。なお、接続の際、携帯電話機2は、制御部31の制御により、自身の電話番号および経由者Cが所有する携帯電話機3の電話番号を、無線部35,アンテナ36を介して留守番電話サービスセンター装置1宛に通知する。その後、発信者Aは、メッセージの入力を促すガイダンスに従い、メッセージを登録する(S2,S3)。具体的には、携帯電話機2は、発信者Aにより音声入出力部53から入力された音声メッセージを、制御部31の制御により、無線部35,アンテナ36を介して留守番電話サービスセンター装置1宛に送信する(S2)。一方、留守番電話サービスセンター装置1では、通信制御部11が、携帯電話機2からの音声メッセージ等を受信する(S2)。そして、メッセージ記録機能部13が、通信制御部11にて受信した音声メッセージ等をメッセージDB16に記録する(S3)。
【0019】
図4は、S3の処理で音声メッセージ等が記録された後のメッセージDB16の一例を示す図である。詳細には、図4−1は、メッセージDB16内のメッセージ状態記録領域の一例であり、図4−2は、メッセージDB16内のメッセージ記録領域の一例である。図4−1において、メッセージ状態記録領域には、「メッセージ識別子」,「宛先識別子」,メッセージの「状態」が関連付けられた状態で記録される。また、図4−2において、メッセージ記録領域には、「メッセージ識別子」,実際のメッセージである「メッセージ」が関連付けられた状態で記録される。そして、「メッセージ識別子」は、“発信者の電話番号+シリアル番号”という形式で表現される。また、「宛先識別子」は“宛先の電話番号”で表現される。また、「状態」には、現在のメッセージの状態として、たとえば、“未確認”,“確認”,“転送”等が記録される。また、「メッセージ」には音声メッセージが記録される。すなわち、S3を実行すると、メッセージ状態記録領域には、「メッセージ識別子」として“09012345678 001”が、「宛先識別子」として“09011111111”が、「状態」として“未確認”が記録される。なお、“09012345678”は携帯電話機2の電話番号であり、“09011111111”は携帯電話機3の電話番号である。また、メッセージ記録領域には、「メッセージ識別子」として“09012345678 001”が、「メッセージ」として、携帯電話機2から受信したメッセージである“メッセージデータ001”が記録される。このように、本実施例では、留守番電話サービスセンター装置1が、留守番電話サービス機能により送られてきたメッセージを、「メッセージ識別子」毎に管理する(図4−2参照)。
【0020】
つぎに、留守番電話サービスセンター装置1では、メッセージ転送機能部14が、通信制御部11を介して、経由者Cが所有する携帯電話機3宛に、メッセージが録音されている旨を通知する(S4)。これにより、携帯電話機3の所有者は、たとえば、表示部52等の表示により、留守番電話サービスセンター装置1に自身宛のメッセージがあることを知ることができる。
【0021】
その後、携帯電話機3は、経由者Cによる入力部51等への操作に基づき留守番電話サービスセンター装置1へメッセージの再生を要求する(S5)。この際、携帯電話機3は、制御部31の制御により、自身の電話番号を再生要求とともに留守番電話サービスセンター装置1に送信する。そして、通信制御部11を介して再生要求を受けた留守番電話サービスセンター装置1では、メッセージ再生機能部12が、メッセージDB16から携帯電話機3宛のメッセージを読み出して再生する(S5)。具体的には、メッセージ再生機能部12は、携帯電話機3の電話番号である「宛先識別子」に基づいて、「メッセージ識別子」に関連付けられた“メッセージデータ001”を読み出し、再生データを、通信制御部11を介して送信する。これにより、携帯電話機3の所有者は、音声入出力部53を介して自身宛のメッセージの内容を知ることできる。また、メッセージ記録機能部13は、メッセージが再生された後、図4−1に示すメッセージ状態記録領域の「状態」を“未確認”から“確認”に更新する。図5は、メッセージ再生後のメッセージDB16内のメッセージ状態記録領域の一例を示す図である。
【0022】
また、留守番電話サービスセンター装置1では、メッセージ再生機能部12が、メッセージに対する操作を選択するためのガイダンス、たとえば、転送コマンド,削除コマンド,保存コマンド等を選択するためのガイダンスを再生するための制御を行う。具体的には、このガイダンスの再生データを、通信制御部11を介して携帯電話機3宛に送信する(S5)。
【0023】
上記S5の処理後、つぎに、携帯電話機3および留守番電話サービスセンター装置1では、メッセージの転送処理を実行する(S6)。携帯電話機3および留守番電話サービスセンター装置1によるメッセージの転送処理を、図面に従い詳細に説明する。図6は、携帯電話機3による転送処理を示すシーケンス図であり、図7は、留守番電話サービスセンター装置1による転送処理を示すシーケンス図である。
【0024】
図6において、アンテナ36,無線部35,制御部31,音声入出力部53を介して操作選択のガイダンスを聞いた経由者Cは、自身が所有する携帯電話機3に対しメッセージの転送操作を行う(S21,S22)。具体的には、入力部51等への操作により転送コマンドが選択された場合に、制御部31は、無線部35,アンテナ36を介して、留守番電話サービスセンター装置1宛に転送要求を送信する(S23,S24)。
【0025】
図7において、通信制御部11を介して転送要求を受信した留守番電話サービスセンター装置1では、メッセージ転送機能部14が、転送先を要求するためのガイダンスを再生するための制御を行う。そして、このガイダンスの再生データを、通信制御部11を介して携帯電話機3宛に送信する(S41,S42)。
【0026】
図6において、アンテナ36,無線部35,制御部31,音声入出力部53を介して転送先要求のガイダンスを聞いた経由者Cは、所定の転送先入力操作を行う(S25,S26)。たとえば、経由者Cによる入力部51への入力操作により(S101)、電話帳制御部43が、記憶部32から電話帳データを読み出し、その後、表示制御部46が、読み出された電話帳データに基づいて電話帳を表示部52に表示する(S102)。そして、表示部52に表示された電話帳を見た経由者Cが、入力部51を用いて電話帳から転送先を選択する(S103)。本実施例では、転送先として宛先者Bが所有する携帯電話機4の電話番号を選択する。なお、上記転送先の電話番号等を選択する処理は、一例であり、この限りではない。たとえば、入力部51へのキー操作やタッチパネル等の各種入力デバイスによる電話番号の直接入力,記憶部32に記憶された通信履歴データからの選択,画像解析入力等の方法が想定される。また、画像解析入力としては、カメラ機能部34や画像データを使用した顔認証による電話番号入力や、QR(Quick Response)コード,数字,メールアドレス等の解析入力等が一例として考えられる。
【0027】
つぎに、上記のいずれかの方法で転送先の携帯電話機4の電話番号を選択または入力した携帯電話機3では、制御部31が、無線部35,アンテナ36を介して、留守番電話サービスセンター装置1宛に転送先情報を送信する(S27,S28)。
【0028】
図7において、通信制御部11を介して転送先情報を受信した留守番電話サービスセンター装置1では、メッセージ転送機能部14が、転送先である携帯電話機4の電話番号等をメッセージDB16のメッセージ状態記録領域に記録する(S43,S44)。また、メッセージ転送機能部14は、図4−1に示すメッセージ状態記録領域の携帯電話機3宛のメッセージの「状態」を“確認”から“転送”に更新する(S45)。図8は、S44およびS45を実行した後のメッセージDB16内のメッセージ状態記録領域の一例を示す図である。メッセージ状態記録領域には、「メッセージ識別子」として携帯電話機2の電話番号を含む“09012345678 001”が、「宛先識別子」として携帯電話機4の電話番号である“09022222222”が、「状態」として“未確認”が追加記録される。また、携帯電話機3宛のメッセージの「状態」が“確認”から“転送”に更新される。
【0029】
つぎに、メッセージ転送機能部14は、メッセージ状態通知機能部15にメッセージの転送完了を通知する(S46)。転送完了通知を受け取ったメッセージ状態通知機能部15は、メッセージDB16に記録された「メッセージ識別子」,「宛先識別子」から、発信者Aおよび宛先者Bを特定する(S47)。そして、メッセージ状態通知機能部15は、通信制御部11を介して、発信者Aが所有する携帯電話機2宛に、たとえば、転送完了通知として、宛先者Bへのメッセージの転送が完了したことを示すメールを送信する(S48)。また、メッセージ状態通知機能部15は、通信制御部11を介して、宛先者Bが所有する携帯電話機4宛に、転送完了通知として、発信者Aからのメッセージが経由者Cから転送されてきたことを示すメールを送信する(S49)。その後、メッセージ状態通知機能部15は、メッセージ転送機能部14に発信者Aおよび宛先者Bに対する通知が完了したことを通知する(S50)。
【0030】
そして、メッセージ転送機能部14は、転送操作完了を案内するためのガイダンスを再生するための制御を行い、再生データを、通信制御部11を介して携帯電話機3宛に送信する(S51)。なお、携帯電話機3に対し転送操作完了を案内するタイミングは、発信者Aおよび宛先者Bに対する通知が完了した後に限らず、メッセージの転送完了後のタイミング、すなわち、S45以降のタイミングであれば任意である。
【0031】
図6において、アンテナ36,無線部35,制御部31,音声入出力部53を介して操作終了のガイダンスを聞いた経由者Cは、入力部51への入力操作により、留守番電話サービスセンター装置1との接続を切断する処理を行う(S29,S30)。
【0032】
図6および図7に示すメッセージの転送処理(S6)を実行後、つぎに、携帯電話機4は、宛先者Bによる入力部51への操作に基づき留守番電話サービスセンター装置1へメッセージの再生を要求する(S7)。この際、携帯電話機4は、制御部31の制御により、自身の電話番号を再生要求とともに留守番電話サービスセンター装置1宛に送信する。そして、再生要求を受けた留守番電話サービスセンター装置1では、メッセージ再生機能部12が、メッセージDB16から携帯電話機4宛のメッセージを読み出して再生する(S7)。具体的には、メッセージ再生機能部12は、携帯電話機4の電話番号である「宛先識別子」に基づいて、「メッセージ識別子」に関連付けられた“メッセージデータ001”を読み出し、再生データを、通信制御部11を介して送信する。これにより、携帯電話機4の所有者は、音声入出力部53を介して自身宛のメッセージの内容を知ることできる。また、メッセージ記録機能部13は、メッセージ再生後、図8に示すメッセージ状態記録領域の携帯電話機4宛のメッセージの「状態」を“未確認”から“確認”に更新する。図9は、S7を実行した後のメッセージDB16内のメッセージ状態記録領域の一例を示す図である。
【0033】
また、留守番電話サービスセンター装置1では、メッセージ再生機能部12が、メッセージに対する操作を選択するためのガイダンス、たとえば、転送コマンド,削除コマンド,保存コマンド等を選択するためのガイダンスを再生するための制御を行う。そして、このガイダンスの再生データを、通信制御部11を介して携帯電話機4宛に送信する(S7)。
【0034】
つぎに、アンテナ36,無線部35,制御部31,音声入出力部53を介して操作選択のガイダンスを聞いた経由者Cは、入力部51を操作することにより、メッセージに対する操作として、たとえば、転送,削除,保存のいずれかを選択する。たとえば、入力部51等への操作により、削除コマンドが選択された場合には、制御部31は、無線部35,アンテナ36を介して、留守番電話サービスセンター装置1に対し、選択された操作である削除を要求する(S8)。また、入力部51等への操作により、たとえば、保存コマンドが選択された場合には、制御部31は、無線部35,アンテナ36を介して、留守番電話サービスセンター装置1に対し、選択された操作である保存を要求する(S8)。
【0035】
最後に、通信制御部11を介して操作要求を受信した留守番電話サービスセンター装置1では、メッセージ記録機能部13が、メッセージDB16に対し、指定された操作である転送、削除または保存の処理を実行する。そして、メッセージ再生機能部12は、通信制御部11を介して、発信者Aが所有する携帯電話機2宛に、たとえば、操作完了通知として、宛先者Bによるメッセージへの操作が完了したことを示すメールを送信する(S9)。
【0036】
上述してきたように、本実施例では、留守番電話サービスセンター装置が、留守番電話サービス機能により登録されたメッセージを、そのメッセージを発信した携帯電話機の識別子であるメッセージ識別子毎に管理することとした。そして、留守番電話サービスセンター装置は、経由者が所有する携帯電話機からメッセージの転送要求を受けた場合に、記録済みのメッセージに関連付けられたメッセージ識別子と、転送先の識別子である宛先識別子とを関連付けて登録することとした。これにより、経由者が宛先者宛にメッセージを再登録することなく、転送先の識別子を既存のメッセージに対して関連付けるだけの簡易な処理で、メッセージの転送処理を実現することができる。また、上記登録されたメッセージを、そのメッセージを発信した携帯電話機の識別子であるメッセージ識別子毎に管理することとしたので、複数の同一メッセージがメモリに登録されることがなく、メモリ領域の有効利用が可能となる。
【0037】
また、従来は、音声メッセージの発信者Aは、経由者Cに再度連絡をとるか、または経由者Cや本来の宛先者Bからのアクションを待つ方法でしか、送信したメッセージの状況を知ることができなかった。しかしながら、本実施例では、たとえば、S48の処理で「宛先者Bへのメッセージの転送が完了したこと」、S9の処理で「宛先者Bによるメッセージへの操作が完了したこと」を発信者Aに通知することとした。これにより、発信者Aはリアルタイムにメッセージの状況を把握することが可能となる。
【0038】
なお、本実施例では、通信装置として携帯電話機を用いることとしたが、これに限らず、本実施例のメッセージ転送方法は、たとえば、固定電話にも適用可能である。また、本実施例では、留守番電話サービスセンター装置を利用したメッセージの転送処理について記載したが、これに限らず、本実施例のメッセージ転送方法は、留守番電話サービス以外のサービスにも適用可能である。すなわち、転送されるメッセージは、留守番電話サービスのメッセージ以外のメッセージであってもよい。
【0039】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0040】
(付記1)第1の電話機宛のメッセージを保存するメッセージ蓄積装置が、当該メッセージを第2の電話機に転送するメッセージ転送方法であって、
前記メッセージ蓄積装置は、
前記メッセージを、当該メッセージの発信元を特定可能なメッセージ識別子に関連付けて第1の記憶部に保存し、さらに、当該メッセージ識別子と前記第1の電話機とを関連付けて第2の記憶部に保存することにより、前記第1の電話機宛のメッセージを管理し、
前記第2の電話機を転送先とするメッセージの転送要求を前記第1の電話機から受信した場合に、前記メッセージ識別子と当該第2の電話機とを関連付けて前記第2の記憶部に追加保存し、
前記第2の電話機からの再生要求を受信した場合に、当該第2の電話機に関連付けられたメッセージ識別子に基づいて、前記第1の記憶部から前記メッセージを読み出して再生する、
ことを特徴とするメッセージ転送方法。
【0041】
(付記2)前記メッセージ蓄積装置は、
前記第2の記憶部への追加保存が完了した後、前記メッセージの発信元に、前記第2の電話機へのメッセージ転送が完了したことを通知する、
ことを特徴とする付記1に記載のメッセージ転送方法。
【0042】
(付記3)前記メッセージ蓄積装置は、
前記第2の記憶部への追加保存が完了した後、前記第2の電話機に、前記メッセージが転送されてきたことを通知する、
ことを特徴とする付記1または2に記載のメッセージ転送方法。
【0043】
(付記4)前記メッセージ蓄積装置は、
前記第2の電話機から前記メッセージに対する操作要求を受信した場合、指定された操作を実行し、その後、前記メッセージの発信元に、前記メッセージへの操作が行われたことを通知する、
ことを特徴とする付記1、2または3に記載のメッセージ転送方法。
【0044】
(付記5)第1の電話機宛のメッセージを第2の電話機に転送するメッセージ蓄積装置において、
前記メッセージを、当該メッセージの発信元を特定可能なメッセージ識別子に関連付けて第1の記憶部に保存し、さらに、当該メッセージ識別子と前記第1の電話機とを関連付けて第2の記憶部に保存するメッセージ記録部と、
前記第2の電話機を転送先とするメッセージの転送要求を前記第1の電話機から受信した場合に、前記メッセージ識別子と当該第2の電話機とを関連付けて前記第2の記憶部に追加保存するメッセージ転送部と、
前記第2の電話機からの再生要求を受信した場合に、当該第2の電話機に関連付けられたメッセージ識別子に基づいて、前記第1の記憶部から前記メッセージを読み出して再生するメッセージ再生部と、
を有することを特徴とするメッセージ蓄積装置。
【0045】
(付記6)前記メッセージ転送部により前記第2の記憶部への追加保存が行われた後、当該第2の記憶部に保存された情報から前記メッセージの発信元を特定し、当該発信元に、前記第2の電話機へのメッセージ転送が完了したことを通知するメッセージ状態通知部、
をさらに有することを特徴とする付記5に記載のメッセージ蓄積装置。
【0046】
(付記7)前記メッセージ状態通知部は、さらに、
前記メッセージ転送部により前記第2の記憶部への追加保存が行われた後、当該第2の記憶部に保存された情報から前記メッセージの転送先である前記第2の電話機を特定し、当該第2の電話機に、前記メッセージが転送されてきたことを通知する、
ことを特徴とする付記6に記載のメッセージ蓄積装置。
【0047】
(付記8)前記メッセージ記録部は、さらに、
前記第2の電話機から前記メッセージに対する操作要求を受信した場合に、指定された操作を実行し、
前記メッセージ再生部は、さらに、
前記メッセージの発信元に、前記メッセージへの操作が行われたことを通知する、
ことを特徴とする付記5、6または7に記載のメッセージ蓄積装置。
【0048】
(付記9)前記メッセージ転送部は、前記第2の記憶部への追加保存を実行後、前記第1の電話機に、前記第2の電話機へのメッセージ転送が完了したことを通知する、
ことを特徴とする付記5〜8のいずれか1つに記載のメッセージ蓄積装置。
【0049】
(付記10)第1の電話機宛のメッセージを保存するメッセージ蓄積装置が、当該メッセージを第2の電話機に転送する場合において、前記第1の電話機として動作する通信装置であって、
前記メッセージ蓄積装置に対し、前記第2の電話機を転送先とするメッセージの転送要求を送信し、
前記メッセージ蓄積装置から、前記第2の電話機へのメッセージ転送が完了したことを通知された場合に、当該メッセージ蓄積装置との通信を切断する、
ことを特徴とする通信装置。
【符号の説明】
【0050】
1 留守番電話サービスセンター装置
2,3,4 携帯電話機
5 基地局
6 携帯電話網
11 通信制御部
12 メッセージ再生機能部
13 メッセージ記録機能部
14 メッセージ転送機能部
15 メッセージ状態通知機能部
16 メッセージDB
31 制御部
32 記憶部
33 ユーザーインタフェース部
34 カメラ機能部
35 無線部
36 アンテナ
41 通信制御部
42 呼制御部
43 電話帳制御部
44 通信履歴管理部
45 入力制御部
46 表示制御部
47 音声制御部
51 入力部
52 表示部
53 音声入出力部
61 CS呼制御部
62 PS呼制御部
63 SMS制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電話機宛のメッセージを保存するメッセージ蓄積装置が、当該メッセージを第2の電話機に転送するメッセージ転送方法であって、
前記メッセージ蓄積装置は、
前記メッセージを、当該メッセージの発信元を特定可能なメッセージ識別子に関連付けて第1の記憶部に保存し、さらに、当該メッセージ識別子と前記第1の電話機とを関連付けて第2の記憶部に保存することにより、前記第1の電話機宛のメッセージを管理し、
前記第2の電話機を転送先とするメッセージの転送要求を前記第1の電話機から受信した場合に、前記メッセージ識別子と当該第2の電話機とを関連付けて前記第2の記憶部に追加保存し、
前記第2の電話機からの再生要求を受信した場合に、当該第2の電話機に関連付けられたメッセージ識別子に基づいて、前記第1の記憶部から前記メッセージを読み出して再生する、
ことを特徴とするメッセージ転送方法。
【請求項2】
前記メッセージ蓄積装置は、
前記第2の記憶部への追加保存が完了した後、前記メッセージの発信元に、前記第2の電話機へのメッセージ転送が完了したことを通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載のメッセージ転送方法。
【請求項3】
前記メッセージ蓄積装置は、
前記第2の記憶部への追加保存が完了した後、前記第2の電話機に、前記メッセージが転送されてきたことを通知する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のメッセージ転送方法。
【請求項4】
第1の電話機宛のメッセージを第2の電話機に転送するメッセージ蓄積装置において、
前記メッセージを、当該メッセージの発信元を特定可能なメッセージ識別子に関連付けて第1の記憶部に保存し、さらに、当該メッセージ識別子と前記第1の電話機とを関連付けて第2の記憶部に保存するメッセージ記録部と、
前記第2の電話機を転送先とするメッセージの転送要求を前記第1の電話機から受信した場合に、前記メッセージ識別子と当該第2の電話機とを関連付けて前記第2の記憶部に追加保存するメッセージ転送部と、
前記第2の電話機からの再生要求を受信した場合に、当該第2の電話機に関連付けられたメッセージ識別子に基づいて、前記第1の記憶部から前記メッセージを読み出して再生するメッセージ再生部と、
を有することを特徴とするメッセージ蓄積装置。
【請求項5】
前記メッセージ転送部により前記第2の記憶部への追加保存が行われた後、当該第2の記憶部に保存された情報から前記メッセージの発信元を特定し、当該発信元に、前記第2の電話機へのメッセージ転送が完了したことを通知するメッセージ状態通知部、
をさらに有することを特徴とする請求項4に記載のメッセージ蓄積装置。
【請求項6】
前記メッセージ状態通知部は、さらに、
前記メッセージ転送部により前記第2の記憶部への追加保存が行われた後、当該第2の記憶部に保存された情報から前記メッセージの転送先である前記第2の電話機を特定し、当該第2の電話機に、前記メッセージが転送されてきたことを通知する、
ことを特徴とする請求項5に記載のメッセージ蓄積装置。
【請求項7】
前記メッセージ転送部は、前記第2の記憶部への追加保存を実行後、前記第1の電話機に、前記第2の電話機へのメッセージ転送が完了したことを通知する、
ことを特徴とする請求項4、5または6に記載のメッセージ蓄積装置。
【請求項8】
第1の電話機宛のメッセージを保存するメッセージ蓄積装置が、当該メッセージを第2の電話機に転送する場合において、前記第1の電話機として動作する通信装置であって、
前記メッセージ蓄積装置に対し、前記第2の電話機を転送先とするメッセージの転送要求を送信し、
前記メッセージ蓄積装置から、前記第2の電話機へのメッセージ転送が完了したことを通知された場合に、当該メッセージ蓄積装置との通信を切断する、
ことを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−209729(P2012−209729A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73384(P2011−73384)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】