説明

メディアコンバータ

【課題】 壁、机上、棚などに安定してかつ容易に設置することができるとともに、設置場所を変更する必要が生じたときには、容易に対応することができるメディアコンバータを提供する。
【解決手段】 ケース2を取付け面Wに取り付けるための取付け具7を備えている。取付け具7は、両面テープ13を有し取付け面Wに取り付けられる基部11と、基部11に一体に設けられた凸部12とを有している。ケース2の底壁8に凹部14が設けられて、取付け具7の凸部12とケース2の底壁8の凹部14とが嵌め合わせ可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば電気信号ケーブルと光ファイバケーブルとの接続のように異なる種類の伝送媒体を接続するためのメディアコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
電気信号ケーブルと光ファイバケーブルとの接続を行うメディアコンバータとして、底壁、頂壁および周壁を有するケースと、ケース内部に設けられた電子回路基板と、周壁の所要箇所に設けられた光信号端子および電気信号端子とを備えているものが知られている。
【0003】
メディアコンバータでは、壁や机上、棚などに取り付けた時、ケーブルの重みや、他からの引張りで機器が転がったりするという問題があり、特許文献1には、ケースを取付け面に取り付けるための取付け具をさらに備えている構成とすることで、このような問題を解消することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−122514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のメディアコンバータによると、壁、机上、棚などに安定して設置することができるという利点を有しているが、一旦、所定位置に配置すると、その後は頻繁に変更出来ないなどの不便さを有している。
【0006】
この発明の目的は、壁、机上、棚などに安定してかつ容易に設置することができるとともに、設置場所を変更する必要が生じたときには、容易に対応することができるメディアコンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるメディアコンバータは、底壁、頂壁および周壁を有するケースと、ケース内部に設けられた電子回路基板と、周壁の所要箇所に設けられた光信号端子および電気信号端子と、ケースを取付け面に取り付けるための取付け具とを備えているメディアコンバータにおいて、取付け具は、取付け面に取り付けられる基部と、基部に一体に設けられた凸部とを有し、ケースの底壁に凹部が設けられて、取付け具の凸部とケースの底壁の凹部とが嵌め合わせ可能とされていることを特徴とするものである。
【0008】
取付け具は、接着テープ、粘着マット、吸盤および磁石のいずれかによって取付け面に取り付けられるものであることが好ましい。
【0009】
この発明のメディアコンバータによると、取付け具を取付け面に取り付けて、取付け具の凸部にケースの底壁の凹部を嵌め合わせることにより、壁、机上、棚などに安定してかつ容易に設置することができる。また、取付け具は、例えば接着テープ、粘着マット、吸盤および磁石のいずれかを有し取付け面に取り付けられる基部を有しているので、メディアコンバータの設置場所を変更する必要が生じたときには、取付け具を今の取付け面から外して新たな取付け面に取り付けることで、容易に対応することができる。
【0010】
接着テープには、両面テープおよび弱粘着テープなどが含まれる。粘着マットには、粘着シート、粘着フィルムなどと称せられるものも含まれるものとする。メディアコンバータの設置場所を頻繁に変更する場合には、吸盤を有する取付け具がより好ましい。
【0011】
取付け具の凸部およびケースの底壁の凹部の断面形状は、円形であってもよく、方形または多角形であってもよい。取付け具の凸部とケースの底壁の凹部との嵌め合わせの程度は、手で着脱可能な程度のしまりばめ(中間ばめ)であってもよく、すきまばめであってもよい。光信号端子および電気信号端子の位置を変更するには、一旦、取付け具からケースを外して、光信号端子および電気信号端子が適切な位置に来るようにして、ケースの底壁の凹部を取付け具の凸部に嵌め合わせればよい。取付け具の凸部およびケースの底壁の凹部の断面形状が円形の場合、ケースを取付け具から外すことなく、ケースを取付け具に対して回転させるだけで、位置を変更することができるようにすることもできる。
【0012】
ケースは、直方体状とされてもよいが、これに限定されるものではなく、略円盤状であってもよい。直方体状ケースの場合、底壁、頂壁および周壁(4つの側壁)がすべて方形状とされるが、この発明のメディアコンバータのケースは、その底壁および頂壁が、例えば、正方形の4つの角部のうちの互いに対向する2つの角部をそのままにして、残りの2つの角部を曲面(円の一部)に置き換えたものとされる。
【0013】
具体的には、ケースの周壁は、例えば、光信号端子が設けられた第1の側壁とこれに連なる第3の側壁とによって形成された第1の角部と、電気信号端子が設けられた第2の側壁とこれに連なる第4の側壁とによって形成された第2の角部と、第1の側壁と第4の側壁とをつなぐ第1の曲面部と、第2の側壁と第3の側壁とをつなぐ第2の曲面部とを有しているものとされる。第1の角部および第2の角部は、ちょうど直角の角部とされてもよく、鈍角とされても鋭角とされてもよい。第1および第2の曲面部は、同じ中心を持つ円の円弧とされる。
【0014】
電子回路基板は、略円形であることが好ましい。従来の電子回路基板は、方形とされており、このため、光信号端子および電気信号端子の設置方向が限定され、これに伴って、方形の電子回路基板を収容するケースは、直方体状に限定されていたが、電子回路基板を略円形とすることで、ケースの周壁の形状を変更することが容易となり、デザイン的に優れたものを得ることが容易になる。
【0015】
この発明のメディアコンバータは、電源ユニットをさらに備えており、電源ユニットに、取付け具の凸部に嵌め合わせ可能な凹部およびケースの底壁の凹部に嵌め合わせ可能な凸部が設けられていることが好ましい。
【0016】
このようにすると、取付け具の凸部に電源ユニットの凹部を嵌め合わせ、さらに、電源ユニットの凸部にケースの底壁の凹部を嵌め合わせることにより、電源ユニットを追加することができる。メディアコンバータが使用される機器(パソコン、IPTVなど)は、電源供給のための周辺機器としてDC電源アダプタ(電源ユニット)を必要としており、このためのスペースが大きいものとなるという問題があったのに対し、この構成によると、電源ユニットとケースとが重ね合わされるので、別途のスペースが不要であり、上記従来の問題を解消することができる。電源ユニットの形状は、ケース形状に対応していてもよく、対応していなくてもよいが、より好ましくは、電源ユニットは、ケースの底壁および頂壁と同じ形状の底面および頂面を有しているものとされる。
【0017】
電源ユニットの凸部は、電源ユニットの頂壁に一体に形成されていてもよく、電源ユニットの頂壁に、取付け具の基部を収容可能な凹部を設けておいて、取付け面に取り付けられる取付け具と同じ形状の別部材をこの凹部に取り付けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
この発明のメディアコンバータによると、取付け具は、取付け面に取り付けられる基部と、基部に一体に設けられた凸部とを有し、ケースの底壁に凹部が設けられて、取付け具の凸部とケースの底壁の凹部とが嵌め合わせ可能とされているので、壁、机上、棚などに安定してかつ容易に設置することができるとともに、設置場所を変更する必要が生じたときには、容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、この発明によるメディアコンバータの第1実施形態を示す一部を切り欠いた側面図である。
【図2】図2は、この発明によるメディアコンバータのケースの垂直断面図である。
【図3】図3は、同正面図である。
【図4】図4は、同平面図である。
【図5】図5は、同底面図である。
【図6】図6は、凸部側から見た取付け具の斜視図である。
【図7】図7は、同じ取付け具を接着テープ側から見た斜視図である。
【図8】図8は、取付け具の異なる実施形態の側面図である。
【図9】図9は、この発明によるメディアコンバータの第2実施形態を示す一部を切り欠いた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明においては、メディアコンバータを垂直面に設置したものとし、図1をその側面から見た図として、図1において、その左を正面、右を背面、上を平面、下を底面とみなすものとする。これは、便宜的なもので、メディアコンバータは水平面または傾斜面にも設置することができる。
【0021】
この発明によるメディアコンバータ(1)の第1実施形態は、図1から図5までに示すように、底壁(8)、頂壁(9)および周壁(10)を有する合成樹脂製ケース(2)と、ケース(2)内部に設けられた略円形の電子回路基板(3)と、周壁(10)の所要箇所に設けられた光信号端子(4)、電気信号端子(5)および発光ダイオード(6)と、ケース(2)を壁等の取付け面(W)に取り付けるための取付け具(7)とを備えている。
【0022】
光信号端子(4)には、光ファイバケーブル(POF)が接続され、電気信号端子(5)には、LAN用の電気信号ケーブルが接続される。
【0023】
取付け具(7)は、合成樹脂製で、図6および図7にも示すように、取付け面(W)に取り付けられる板状の基部(11)と、基部(11)の中央部に一体に設けられた凸部(12)とを有している。基部(11)の取付け側の面(凸部(12)が設けられているのと反対側の面)は、平坦面とされて、ここに、両面テープ(接着テープ)(13)が貼り合わされている。
【0024】
ケース(2)の底壁(8)の中央部には、取付け具(7)の凸部(12)が嵌め合わされる断面円形の凹部(14)が設けられており、取付け具(7)の凸部(12)は、ケース(2)の底壁(8)の凹部(14)にちょうど嵌まり合う断面円形状とされている。
【0025】
ケース(2)の周壁(10)は、図2に示すように、光信号端子(4)が設けられた平坦状の第1の側壁(10a)と、第1の側壁(10a)に対して平行となるように対向し電気信号端子(5)が設けられた平坦状の第2の側壁(10b)と、第1の側壁(10a)とこれに連なる略平坦状の第3の側壁(10c)とによって形成された第1の角部(10e)と、第2の側壁(10b)とこれに連なる略平坦状の第4の側壁(10d)とによって形成された第2の角部(10f)と、第1の側壁(10a)と第4の側壁(10d)とをつなぐ第1の曲面部(10g)と、第2の側壁(10b)と第3の側壁(10c)とをつなぐ第2の曲面部(10h)とからなる。
【0026】
上記メディアコンバータ(1)は、取付け具(7)を取付け面(W)に取り付けて、取付け具(7)の凸部(12)にケース(2)の底壁(8)の凹部(14)を嵌め合わせることにより、壁、机上、棚などに安定してかつ容易に設置することができる。そして、メディアコンバータ(1)の設置場所を変更する必要が生じたときには、取付け具(7)を今の取付け面(W)から外して新たな取付け面(W)に取り付けることで、容易に対応することができる。
【0027】
上記の取付け具(7)は、両面テープ(接着テープ)(13)を使用した接着タイプとされているが、粘着マット(粘着フィルムおよび粘着シートを含む)を使用した粘着タイプとしてもよい。取付け具としては、このほか、図8に示すように、吸盤を使用した吸着タイプとしてもよい。
【0028】
図8において、取付け具(20)は、軟質合成樹脂製で、取付け面(W)に取り付けられる吸盤(23)を有する基部(21)と、基部(21)の中央部に一体に設けられた凸部(22)とを有している。
【0029】
図8の取付け具(20)を使用したメディアコンバータ(1)は、取付け具(20)を取付け面(W)に取り付けて、取付け具(20)の凸部(22)にケース(2)の底壁(8)の凹部(14)を嵌め合わせることにより、壁、机上、棚などに安定してかつ容易に設置することができる。そして、メディアコンバータ(1)の設置場所を変更する必要が生じたときには、取付け具(20)を今の取付け面(W)から外して新たな取付け面(W)に取り付けることで、接着タイプまたは粘着タイプのものに比べて、さらに容易に対応することができる。
【0030】
吸着タイプの取付け具(20)としては、吸盤(23)に代えて、磁石(磁力)を使用するようにしてもよい。
【0031】
上記の各取付け具(7)(20)の凸部(12)(22)とケース(2)の底壁(8)の凹部(14)との嵌め合わせの程度は、手で着脱可能な程度のしまりばめ(中間ばめ)であってもよく、すきまばめであってもよい。このようにすることで、光信号端子(4)および電気信号端子(5)の位置を変更する場合、一旦、取付け具(7)(20)からケース(2)を外して、光信号端子(4)および電気信号端子(5)が適切な位置に来るようにして、ケース(2)の底壁(8)の凹部(14)を取付け具(7)(20)の凸部(12)(22)に挿入してもよく、ケース(2)を取付け具(7)(20)から外すことなく、ケース(2)を取付け具(7)(20)に対して回転させるようにしてもよい。
【0032】
図9は、この発明によるメディアコンバータ(1)の第2実施形態を示すもので、同図において、メディアコンバータ(1)は、電源ユニット(31)をさらに備えており、電源ユニット(31)に、取付け具(7)の凸部(12)に嵌め合わせ可能な凹部(32)およびケース(2)の底壁(8)の凹部(14)に嵌め合わせ可能な凸部(33)が設けられている。
【0033】
電源ユニット(31)は、メガネ型コネクタを持つACアダプタとされ、これに対応するケーブルによって、家庭用ACコンセントと接続可能とされている。電源ユニット(31)は、ケース(2)の底壁(8)および頂壁(9)と同じ形状の底面(31a)および頂面(31b)を有しており、ケース(2)の背面側に重ねられて、正面から見た場合に、ケース(2)で隠されるようになされている。
【0034】
このメディアコンバータ(1)によると、取付け具(7)を取付け面(W)に取り付けて、取付け具(7)の凸部(12)に電源ユニット(31)の凹部(32)を嵌め合わせ、さらに、電源ユニット(31)の凸部(33)にケース(2)の底壁(8)の凹部(14)を嵌め合わせることにより、電源ユニット(31)付きのメディアコンバータ(1)を壁、机上、棚などに安定してかつ容易に設置することができる。そして、電源ユニット(31)付きのメディアコンバータ(1)の設置場所を変更する必要が生じたときには、取付け具(7)を今の取付け面(W)から外して新たな取付け面(W)に取り付けることで、容易に対応することができる。
【0035】
メディアコンバータが使用される機器は、電源供給のための周辺機器としてDC電源アダプタ(電源ユニット)を必要としており、このためのスペースが大きいものとなるという問題があったのに対し、この電源ユニット(31)付きのメディアコンバータ(1)によると、電源ユニット(31)とケース(2)とが重ね合わされるので、別途のスペースが不要であり、上記従来の問題を解消することができる。
【符号の説明】
【0036】
(1) メディアコンバータ
(2) ケース
(3) 電子回路基板
(4) 光信号端子
(5) 電気信号端子
(7) 取付け具
(8) 底壁
(9) 頂壁
(10) 周壁
(11) 基部
(12) 凸部
(13) 両面テープ(接着テープ)
(14) 凹部
(20) 取付け具
(21) 基部
(22) 凸部
(23) 吸盤
(31) 電源ユニット
(32) 凹部
(33) 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁、頂壁および周壁を有するケースと、ケース内部に設けられた電子回路基板と、周壁の所要箇所に設けられた光信号端子および電気信号端子と、ケースを取付け面に取り付けるための取付け具とを備えているメディアコンバータにおいて、
取付け具は、取付け面に取り付けられる基部と、基部に一体に設けられた凸部とを有し、ケースの底壁に凹部が設けられて、取付け具の凸部とケースの底壁の凹部とが嵌め合わせ可能とされていることを特徴とするメディアコンバータ。
【請求項2】
取付け具は、接着テープ、粘着マット、吸盤および磁石のいずれかによって取付け面に取り付けられるものである請求項1のメディアコンバータ。
【請求項3】
電源ユニットをさらに備えており、電源ユニットに、取付け具の凸部に嵌め合わせ可能な凹部およびケースの底壁の凹部に嵌め合わせ可能な凸部が設けられている請求項1または2のメディアコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−37698(P2012−37698A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177098(P2010−177098)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】