説明

メディアム・ホイール

【目 的】 テープやディスクでは満足できない領域を充足させる電子的な記憶媒体の開発。
【構 成】 プレーヤーやレコーダーなどの軸駆動の場合の駆動軸の嵌まるあるいはアイドラー駆動の場合の回転孔となる中心孔を設けた主体がプラスチックの直円輪の円周側面を光学的にあるいは磁気的に録音や録画や情報記録などの媒体性にしたメディアム・ホイールと呼ばれるべき記憶媒体。

【考案の詳細な説明】
AVの固定性記憶媒体では今やテープに代わってディスクが全盛となりつゝある。CDしかりLDしかりVCDしかりである。それらに止まるのみならずDVDの開発にまで事は進んでいる。又コンピューターの固定性記憶媒体でもフロッピー・ディスクは言うまでもなく、今やCD−ROMが全盛となりつゝある。
CDの最大のメリットは比較的に小さな盤に大量の記録ができ、その製造が原盤からプラスチック成形できることにある。スケール・メリットのある場合はそれに勝るものはない。しかし製造固定原価比率が高いので少量生産には全く向かない。したがってテープのような逐一記録方式ではなくディスクのような一纒記録方式で固定費の余り張らない少量生産にも耐えられるコンパクトに細密に記録できる記憶媒体が待望されるところである。
又CDに1曲ものがあれば好いが、その大容量性と小型化高原価性とからそれが無い。8センチ盤でも軽く4曲は入る。8センチ以下にしてはその小型化メリットは全く出ない。勿論8センチ盤は12センチ盤より遥かに割り高である。
そしてCDに最大限有効に記憶させるにはレコードと異なって角速度ではなく線速度で駆動して記録しなくてはならない。そのためプレーヤーの回転速度は線速度一定に時々刻々変化させなくてはならない。その電子装置が費用を食う。
そこでこれまでそういう場合テープで対応して来ていたが、これも往復使用でなくてはならない性質のものであるから、1曲のみという訳には絶対に行かず、要りもしないのに必らず2曲を入れなくてはならず、大変な無駄であった。
そこで自由に大きさを変えて1曲から20曲くらいまでのものが任意にでき、それらのどれにも総て対応できるプレーヤーやレコーダーなどが容易に製作できる記憶媒体がほしい。そこで考案したのが本考案である。
本考案の構成は実用新案登録請求の範囲に簡潔に述べてある。
それから判るように本考案を直ちにCDの代わりにすることは難しい。CDと同じように原筒を作って射出成形機で本考案を転写製作するとすると、原筒を割らなくては本考案が取り出せないが、そうすると、どうしてもその割れ目の傷が本考案に出て使い物にならない。
そこで光学的に本考案を作るにはCDのような凹凸のない平坦なものとしなくては原筒から本考案を抜き取ることができない。写真方式がよいと考える。原筒をガラス・ベースなどの陽画とし、本考案を陰画として転写すればよいと考える。この場合原筒は相当長くし、陽画を真ん中に持ってきて他の部分を遮光性にして、その筒の中を本考案を串差しにして通し、順に送って露光して行けば好いと考える。勿論現像してコーティングすればよい。この方式に現在のCDのような細密さが出せるかどうかでそのコンパクトさが決まる。すなわちこの場合の感剤の粒子の大きさとCDのピットに当たるポイントの大きさとの関係でそのポイントの大きさが決まり、記録の細密さが決まり、本考案の記憶有効面積の幅が決まる。CDのピットの大きさは幅0.4ミクロン長さ0.9ミクロンから3.3ミクロンと言われている。感剤の粒子は超微粒子では0.1ミクロン以下のものもあるそうであるから、写真方式の本考案のポイントはCDのピットくらいなものにはプリントできよう。この方式には成算ありと言えるのである。
それでは本考案は実際どのくらいの大きさになるのであろうか。12センチ盤のCDの有効記憶面積は内径50ミリから外径116ミリまでの8604.8平方ミリである。これと同等の有効記憶面積をもつ116ミリ径の本考案の幅は23.6ミリで宜しい。これに両側1ミリづつの余地を設ければ、その幅は25.
6ミリとなり、十分に実用的であることが判る。
それでは又本考案の最大の出生意義であるとも言える1曲入りの本考案の大きさはどのくらいになろうか。12センチCDの演奏時間は約60分と言われている。約4分演奏の純シングル輪の大きさはその径が76ミリであればその幅は有効値で2.4ミリ、両側に1ミリづつの余地を設けた実物幅は4.4ミリとなる。又その径を5.1ミリにすれば、その有効幅は3.6ミリ実物幅は5.6ミリとなって、これでも実用に耐えないことはない。そこでプレーヤーをいろいろな幅の本考案に対応できる多用途式にする場合、本考案の径はやはり76ミリくらいがよいのかも知れない。しかし最近MDというものが実用化されていて、その径は64ミリだという。そうだとすれば今はこのくらいに径が細くないとハンディーではないのかも判らない。そこでその径で本考案を大きさを見てみると、約4分演奏の純シングル輪ではその幅は有効で2.9ミリ実物で4.9ミリとなり、十分実用的である。それの多収録輪の中心ものを10曲輪とすれば、その幅は有効で28.5ミリ実物で30.5ミリとなる。少し広い感じである。76ミリ径ではどうであろうか。10曲輪ではその幅は有効値で24.0ミリ実物値で26.0ミリとなり、実用的な感じがする。10曲輪ではなく8曲輪を中心ものとしてもよい。その場合の有効値での幅は19.2ミリ実物値で21.2ミリであり、全体の感じがよくなる。多収録ものだからといって収録曲数をやたら多くしたものは編集上も営業上も好ましいことではない。一人の歌手において本当に聴きたいと思う曲は実際数曲に過ぎないのであるから。その点MDは20曲収録を標準としていると言うが、無用長物の感も無くはない。ユーザーの気持ちと懐を真から忖度しない商売は押し売りで真の技術とは言い難い。本考案のこの写真方式のものはMDより遥かにCDよりも相当に廉価に適量を提供できるので、これらより普及性が高いと言えるところもある。尚クラシックに対応するには演奏時間の長いものには2輪組みでもってするのが好かろう。時代はオート・チェンジャーの時代に入っており、今や2輪組みでも3輪組みでも全く気にならなくなりつゝある。そのオート・チェンジャーに本考案はディスクより遥かに容易に対応しうる。本考案を串差しにしたものに円周側面的にピックアップやヘッドがアイドラー駆動と対となって簡単に機能するものでもっても対応できるからである。
今日磁気記憶媒体にも従来のアナログ方式に代わってデジタル方式が開発適応されるようになっている。したがって従来より遥かに細密に記録でき極めて省スペース的になっている。このデジタル録音方法を本考案に用いれば、本考案の磁気性のものも極めてコンパクトなものになろう。私はこの前電話回線を用いて歌・曲を販売すること(テレホン・メディアンス・オーディオ・マシンとそのシステム)を提案・出願している。この場合購買者はどうしても自分のマシンで録音することになるが、1曲購買録音するに必要にして最適な録音媒体が現在では存在していない。テープでもフロッピーでもその本性からして対応できるものとはならない。本考案の磁気性のものならば、それに本性的に対応できる。今どのくらいな大きさになるか計算して見る資料がないので計算して見れないが、写真性の場合より5割増しくらいでは納まろうから、極めて好まして記憶媒体となるであろう。1曲を1輪に入れて、それをオート・チェンジャーで再生するようにすれば、極めて好ましい音のセルフ・ライブラリーが出来上がることになろう。
このように見て来ると、本考案には意外に思える程の夢があることが判る。電子産業の世界は一見行き詰まりを呈して来たかと思われていたが、こうして見るとまだ無限に可能性のある世界であることが判明して来る。私はこの外にまだまだその夢の提案を用意している。大車輪で頑張って次から次と未来を開いて行きたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の光学性のものの1曲ものの簡単な側面図である。図示してないが、中心孔には耐摩耗性のリングを入れ、又全体をカセットに上手に入れて、カートリッジにすることなどが考えられる。
【図2】図1のものの簡単な正面図である。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 プレーヤーやレコーダーなどの軸駆動の場合の駆動軸の嵌まるあるいはアイドラー駆動の場合の回転孔となる中心孔を設けた主体がプラスチックの直円輪の円周側面を光学的にあるいは磁気的に録音や録画や情報記録などの媒体性にしたメディアム・ホイールと呼ばれるべき記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3018623号
【登録日】平成7年(1995)9月13日
【発行日】平成7年(1995)11月28日
【考案の名称】メディアム・ホイール
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−6493
【出願日】平成7年(1995)5月24日
【出願人】(594052526)