説明

メディア処理装置

【課題】メディアトレイの跳ね上がりを防ぎ、メディアトレイの収容部へメディアを確実に収容させた状態に維持してメディアの受け取りの信頼性を高め、メディアへの各種処理作業を円滑に行うことが可能なメディア処理装置を提供する。
【解決手段】パブリッシャ1は、板状のメディアMを保持する収容凹部41bを有する進退可能なメディアトレイ41aを備えたメディアドライブ41と、メディアドライブ41のメディアトレイ41aに対してメディアMの受け渡し及び受け取りを行うメディア搬送機構31とを備え、メディア搬送機構31の搬送アーム36によってメディアMの受け渡し及び受け取りが行われる所定位置に突出されたメディアトレイ41aの先端を抑止する抑止部材102A,102Bを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVD等の板状のメディアを搬送するメディア搬送機構を備えたメディア処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数枚のブランクCD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等のメディア(情報記録媒体)にデータの書き込みを行うディスクダビング装置、データの書き込みとレーベル印刷を行ってメディアを制作して発行可能なCD/DVDパブリッシャなどのメディア処理装置が用いられつつある。この種のメディア処理装置としては、メディアへデータを書き込んだり印刷を施す処理部に対してメディアを保持して搬送する搬送アームを有するメディア搬送機構を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,734,629号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなメディア処理装置では、メディアへのデータの書き込み処理を行うドライブが、例えばラック・ピニオンによってドライブ本体に対して進退するメディアトレイを備えており、メディアトレイがドライブ本体から突出した状態で、メディアを把持して搬送する搬送アームが昇降し、メディアトレイの収容凹部に対してメディアの受け渡しまたは受け取りを行う。
【0005】
ところで、ラック・ピニオンによって進退するメディアトレイは、一定の停止位置を得るために、ドライブ内に設けられた度当たりにメディアトレイの後方側の対応箇所が当たるまでトレイを移動させて、所定の突出位置で停止する構成を採用することができる。
しかし、メディアトレイが度当たりに当たると、その度当たりへの衝突時にメディアトレイが跳ね上がり、メディアトレイの収容凹部に収容されているメディアが暴れて収容凹部からはみだすことがある。その場合には、搬送アームによるメディアの受け取りに支障を来し、メディアへの処理作業が円滑に行われなくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、メディアトレイの跳ね上がりを防ぎ、メディアトレイの収容部へメディアを確実に収容させた状態に維持してメディアの受け取りの信頼性を高め、メディアへの各種処理作業を円滑に行うことが可能なメディア処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決することのできる本発明に係るメディア処理装置は、板状のメディアを保持する収容部を有する進退可能なトレイを備えた処理部と、前記処理部の前記トレイに対してメディアの受け渡し及び受け取りを行うメディア搬送機構とを備えたメディア処理装置であって、
前記メディア搬送機構によって前記メディアの受け渡し及び受け取りが行われる所定位置に突出された前記トレイの先端の浮き上がりを抑止する抑止部材を備えていることを特徴とする。
【0008】
この構成のメディア処理装置によれば、メディア搬送機構によってメディアの受け渡し及び受け取りが行われる所定位置に突出されたトレイの先端の浮き上がりを抑止する抑止部材を備えているため、突出されたトレイが突出を規制する度当たりに当接したとしても、度当たりへの衝突によるトレイの跳ね上がりが、このトレイの浮き上がりを抑止する抑止部材によって抑えられる。これにより、このトレイの収容部に収容されているメディアの暴れが抑制され、収容部からのメディアのはみだしが防止される。
したがって、トレイの収容部へメディアを確実に収容させた状態に維持してメディアの受け取りの信頼性を高め、メディアへの各種処理作業を円滑に行うことができる。
【0009】
本発明に係るメディア処理装置において、前記抑止部材は、前記所定位置に突出された前記トレイの先端上部に当接する抑止辺を有することが好ましい。
この構成のメディア処理装置によれば、所定位置に突出されたトレイの先端上部に当接する抑止辺を有するため、突出されたトレイの先端における上方への跳ね上がりを確実に抑制し、収容部へのメディアの良好な収容状態を維持することができる。
【0010】
本発明に係るメディア処理装置において、前記抑止部材は、前記トレイの進退方向に移動可能であり、前記抑止辺が前記処理部へ向かって次第に上方へ傾斜していることが好ましい。
この構成のメディア処理装置によれば、抑止部材がトレイの進退方向に移動可能であり、抑止辺が処理部へ向かって次第に上方へ傾斜しているため、抑止部材を移動させることにより、抑止辺によるトレイの先端上部への当接位置を容易に調整することができる。
【0011】
本発明に係るメディア処理装置において、前記抑止部材は、前記トレイの幅方向に沿う軸線を中心として回動可能であることが好ましい。
この構成のメディア処理装置によれば、抑止部材がトレイの幅方向に沿う軸線を中心として回動可能であるため、抑止部材を回動させることにより、抑止辺によるトレイの先端上部への当接位置を容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るメディア処理装置の実施形態の例について、図面を参照して説明する。
図1は各部を閉状態としたパブリッシャ(メディア処理装置)の外観斜視図、図2は各部を開状態としたパブリッシャの外観斜視図、図3はパブリッシャのケースを外した状態の前方上側から見た斜視図、図4はパブリッシャに設置されたレーベルプリンタ部分の斜視図、図5はメディアドライブの構成を説明する概略平面図、図6は搬送アームを示す平面図、図7は搬送アームを示す斜視図、図8はメディアドライブからトレイが突出した状態を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、パブリッシャ1は、例えばCDあるいはDVD等の円板状のメディアへのデータの書き込みやメディアのレーベル面への印刷を行うメディア処理装置であり、ほぼ直方体形状のケース2を備えている。このケース2の前面には、左右に開閉可能な開閉扉3,4が取り付けられている。ケース2の上側左端部には、表示ランプ、操作ボタン等が配列された操作面5が設けられており、また、ケース2の下端には、下方に突出するように載置用の脚部6が左右両側に設けられている。左右の脚部6の間位置には引出機構7が設けられている。
【0014】
正面視右側の開閉扉3は、図2に示すように、パブリッシャ1の前面側の開口部8を開閉するもので、例えば未使用(ブランク)のメディアMを開口部8を介してセットする時、あるいは作成済みのメディアMを、開口部8を介して取り出すときに、開閉する扉である。
また、正面視左側の開閉扉4は、図3に示すレーベルプリンタ11のインクカートリッジ12の入れ換え時に開閉するためのものであり、この開閉扉4を開けると、鉛直方向に配列された複数のカートリッジホルダ13を有するカートリッジ装着部14が露出するようになっている。
【0015】
パブリッシャ1のケース2の内部には、データ書き込み処理が行われていない複数枚(例えば50枚)の未使用のメディアMをスタック可能なメディア保管部としてのメディアスタッカ21と、複数枚(例えば50枚)の未使用のメディアMあるいは作成済みメディアMが保管されるメディア保管部としてのメディアスタッカ22とが、保管されるメディアMの中心軸線が同一となるように上下に配置されている。メディアスタッカ21およびメディアスタッカ22は、それぞれ所定位置に対して着脱自在である。
【0016】
上側のメディアスタッカ21は、左右一対の円弧状の枠板24,25を備えており、これにより、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能な構成をなしている。メディアスタッカ21にメディアMを収容あるいは補充する作業は、開閉扉3を開けてメディアスタッカ21を取り出すことにより、簡単に行うことが可能となっている。
【0017】
下側のメディアスタッカ22も同一構造となっており、左右一対の円弧状の枠板27,28を備え、これによって、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能な構成をなしている。
【0018】
これらのメディアスタッカ21,22の後側には、メディア搬送機構31が配置されている。メディア搬送機構31は、本体フレーム30とシャーシ32の天板33との間に垂直に架け渡されている垂直ガイド軸35を有している。この垂直ガイド軸35に搬送アーム36が昇降および旋回可能な状態で支持されている。搬送アーム36は、駆動モータ37によって垂直ガイド軸35に沿って昇降可能であるとともに、垂直ガイド軸35を中心に左右に旋回可能である。
【0019】
上下のメディアスタッカ21,22およびメディア搬送機構31の側方の後方には、上下に積層された2つのメディアドライブ41が配置され、これらメディアドライブ41の下側にレーベルプリンタ11の後述するキャリッジ62が移動可能に配置されている。
メディアドライブ41は、メディアMへのデータ書き込み位置とメディアMの受け取り及び受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動するメディアトレイ41aが進退可能にそれぞれ設けられている。
【0020】
また、レーベルプリンタ11は、メディアMのレーベル面へのレーベル印刷可能な印刷位置とメディアMの受け取り及び受け渡しを行うメディア受け渡し位置との間を移動可能なメディアトレイ45を有している。
【0021】
図3では、上下のメディアドライブ41のメディアトレイ41aが本体より手前に突出するように引き出されてメディア受け渡し位置にある状態、および下側のレーベルプリンタ11のメディアトレイ45が手前側のメディア受け渡し位置にある状態が示されている。また、レーベルプリンタ11はインクジェットプリンタであり、インク供給機構60として各色(本実施形態ではブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタの6色)のインクカートリッジ12が用いられ、これらのインクカートリッジ12がカートリッジ装着部14の各カートリッジホルダ13に前方から装着されている。
【0022】
ここで、メディアスタッカ21の左右一対の枠板24,25の間およびメディアスタッカ22の左右一対の枠板27,28の間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が昇降可能な隙間が形成されている。また、これら上下のメディアスタッカ21とメディアスタッカ22との間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が水平に旋回して、メディアスタッカ22の真上に位置できるように隙間があいている。さらに、両メディアトレイ41aがメディアドライブ41に引き込まれると、メディア搬送機構31の搬送アーム36を下降させてメディア受け渡し位置にあるメディアトレイ45にアクセス可能となっている。
【0023】
メディア搬送機構31の搬送アーム36は、両メディアトレイ41aをデータ書き込み位置に配置させ、メディアトレイ45を奥側の印刷位置に位置させた状態で、メディアトレイ45の高さ位置よりもさらに下側まで下降可能となっている。そして、メディアトレイ45のメディア受け渡し位置の下方には、搬送アーム36が、この位置まで下降してリリースしたメディアMが通過するガイドであって、後述するメディアスタッカ(別体スタッカ)が装着されるガイド穴65が形成されている。
【0024】
引出機構7は、本体フレーム30の下側に、本体フレーム30から引き出して開いたり、収納して閉じたりすることが可能な引出トレイ70を有している。引出トレイ70には、スタッカ部71が下方に凹んで設けられている。引出トレイ70が収納位置(閉位置)にあるとき、スタッカ部71は、ガイド穴65の下方に位置し、スタッカ部71の中心部は、受け渡し位置にある両メディアトレイ41aとメディアトレイ45の中心軸線が同一となるように位置されている。このスタッカ部71は、ガイド穴65を介して投入されるメディアMを受け入れ、このメディアMを比較的少量(例えば5枚〜10枚程度)だけ収容する。スタッカ部71は、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で収容可能となっている。
なお、スタッカ部71に収容されたメディアMを取り出す場合、オペレータは引出トレイ70の前面部に設けた掛止部200(図2参照)に指を掛けて引出トレイ70を本体フレーム30から引き出す。
【0025】
収納状態にある引出トレイ70のスタッカ部71およびガイド穴65には、スタッカ部71よりもメディアMの収容量が多いメディアスタッカ(別体スタッカ)72が着脱可能となっている(図3参照)。このメディアスタッカ72も、一対の円弧状の枠板73,74を備えており、これによって、メディアMを上側から受け入れ、同軸に積層した状態で複数枚(例えば50枚)収容可能となっている。一対の円弧状の枠板73,74の間には、メディア搬送機構31の搬送アーム36が昇降可能な隙間が形成されている。また、一方の枠板74の上部には着脱時にユーザによって把持される取っ手75が設けられている。
【0026】
そして、メディアスタッカ72を取り付けた状態とすれば、上側のメディアスタッカ21から未使用のメディアMを取り出し、メディアドライブ41およびレーベルプリンタ11でデータ記録および印刷を行った後に、メディアスタッカ72に収容することができる。
また、例えば、上側のメディアスタッカ21および下側のメディアスタッカ22にそれぞれの最大収容枚数(50枚+50枚)の未使用のメディアMを装填し、下側のメディアスタッカ22の全枚数(50枚)のメディアMを順次処理してメディアスタッカ72に収容し、次に、上側のメディアスタッカ21の全枚数(50枚)のメディアMを順次処理して、空となった下側のメディアスタッカ22に収容する。このようにして、上側のメディアスタッカ21および下側のメディアスタッカ22の最大収容枚数(50枚+50枚)のメディアMを一度に処理する(バッチ処理モード)。
【0027】
また、メディアスタッカ72を取り外した状態とすれば、上側のメディアスタッカ21あるいは下側のメディアスタッカ22から未使用のメディアMを取り出し、メディアドライブ41およびレーベルプリンタ11でデータ記録および印刷を行った後に、収納状態にある引出トレイ70のスタッカ部71に収容することができる。
【0028】
これにより、その後、引出トレイ70を引き出すことでスタッカ部71から処理が完了したメディアMを取り出すことができる。つまり、メディアMへの処理中であっても、開閉扉3を閉じたまま、処理が完了したメディアMから順に一枚ずつあるいは複数枚ずつ取り出すことができる(外部排出モード)。
【0029】
ここで、メディア搬送機構31の搬送アーム36の昇降および左右への旋回の組み合わせ動作によって、メディアMは、メディアスタッカ21、メディアスタッカ22、引出トレイ70のスタッカ部71(またはメディアスタッカ72)、各メディアドライブ41のメディアトレイ41aおよびレーベルプリンタ11のメディアトレイ45間で適宜搬送される。
【0030】
図4に示すように、レーベルプリンタ11はインク吐出用のノズル(図示省略)を備えたインクジェットヘッド61を有するキャリッジ62を備えており、このキャリッジ62は、キャリッジモータ68の駆動力でキャリッジガイド軸(図示省略)に沿って水平方向に往復移動する。
【0031】
レーベルプリンタ11は、インクカートリッジ12が装着されるカートリッジ装着部14を有するインク供給機構60を備えている。このインク供給機構60は、縦型構造を有しており、パブリッシャ1の本体フレーム30上に立設されて鉛直方向に配設されている。このインク供給機構60には、可撓性を有するインク供給チューブ63の一端が接続されており、このインク供給チューブ63の他端は、キャリッジ62に接続されている。
【0032】
そして、インク供給機構60に装着されるインクカートリッジ12のインクは、インク供給チューブ63を介してキャリッジ62に供給され、このキャリッジ62に設けられたダンパユニットおよび背圧調整ユニット(図示省略)を経てインクジェットヘッド61に供給されインクノズル(図示省略)から吐出される。
なお、インク供給機構60には、その上部に加圧機構64が設けられており、この加圧機構64は、圧縮空気を送り出してインクカートリッジ12内を加圧し、インクカートリッジ12内のインクパックに貯留しているインクを送り出す。
【0033】
また、キャリッジ62のホームポジション(図4に示す位置)における下方側には、ヘッドメンテナンス機構81が設けられている。
このヘッドメンテナンス機構81は、ホームポジションに配置されたキャリッジ62の下面に露出するインクジェットヘッド61のインクノズルを覆うヘッドキャップ82と、インクジェットヘッド61のヘッドクリーニング動作やインク充填動作によってヘッドキャップ82に排出されたインクを吸引する廃インク吸引ポンプ83とを備えている。
【0034】
そして、このヘッドメンテナンス機構81の廃インク吸引ポンプ83によって吸引されたインクは、チューブ84を介して、廃インク吸収タンク85へ送り込まれる。
この廃インク吸収タンク85は、ケース86内に吸収材を配設したもので、その上面は、複数の通気孔87を有するカバー88によって覆われている。
なお、ヘッドメンテナンス機構81の下方には、廃インク吸収タンク85の一部である廃インク受け部89が設けられ、ヘッドメンテナンス機構81から滴下したインクを受け止め、吸収材によって吸収するようになっている。
【0035】
前述したように、メディアドライブ(処理部)41は、図5に示すように、進退可能なメディアトレイ(トレイ)41aを有しており、このメディアトレイ41aの表面に形成された円形の収容凹部(収容部)41bにメディア(以下、総称してメディアMという)が収容される。このメディアトレイ41aは、ラック・ピニオンによって進退移動されるもので、突出方向前方の端部に端面板41cを有している。具体的には、このメディアトレイ41aには、一側部近傍に、進退方向に沿うラック41dが形成されており、このラック41dに噛み合わされた図示しないピニオンが駆動モータによって回転されることにより進退される。
【0036】
また、メディアドライブ41内には、メディアトレイ41aが所定位置まで突出されたことを検出するセンサが設けられており、そのセンサからの検出信号によりピニオンを駆動する駆動モータへの電力の供給が停止される。停止されるタイミングは、メディアドライブ41内に設けられた度当たりにメディアトレイ41aの後方側の対応箇所が当たるタイミングに設定されている。すなわち、メディアトレイ41aが度当たりに当たるまでメディアトレイ41aが前方へ移動し、度当たりに当たって所定の突出位置で停止する。
そして、これらメディアドライブ41は、所定位置である受け取り及び受け渡し位置にメディアトレイ41aを突出させた状態で、搬送アーム(搬送機構)36によるメディアMの受け渡し及び受け取りが行われる。
【0037】
図6に示すように、メディア搬送機構31を構成するシャーシ32の下端には、駆動モータ110の駆動力が伝達歯車111を介して伝達される扇状歯車112が、垂直ガイド軸35を中心として回動可能に設けられている。これにより、搬送アーム36は、駆動モータ110によって扇状歯車112が回動されることにより、垂直ガイド軸35を中心に回動される。
【0038】
また、下方側の水平支持板部34には、扇状歯車112の外縁における端部をそれぞれ検出する光学式の回転HP検出器113及びスタッカ位置検出器114が設けられており、これら回転HP検出器113及びスタッカ位置検出器114は、搬送アーム36の水平面内における位置を検出する。
【0039】
ここで、回転HP検出器113は、搬送アーム36の水平面内における位置が、メディアドライブ41のメディアトレイ41aとのメディアMの受け渡し位置、レーベルプリンタ11のメディアトレイ45とのメディア受け渡し位置及び引出トレイ70のスタッカ部71(またはメディアスタッカ72)へのメディアMのリリース位置に配置されていることを検出する。
また、他方のスタッカ位置検出器114は、搬送アーム36の水平面内における位置が、メディアスタッカ21,22とのメディアMの受け渡し位置に配置されていることを検出する。
【0040】
図7に示すように、メディア搬送機構31を構成するシャーシ32の上端近傍及び中間部には、光学式の上下HP検出器121及び中間位置検出器122が設けられており、これら上下HP検出器121及び中間位置検出器122は、搬送アーム36の上下方向における位置を検出する。
上端近傍の上下HP検出器121は、搬送アーム36が、メディアスタッカ21の上方位置に配置されていることを検出する。また、中間位置検出器122は、搬送アーム36が、メディアスタッカ21とメディアスタッカ22との間の中間位置に配置されていることを検出する。
【0041】
メディア搬送機構31がメディアドライブ41のメディアトレイ41aに収容されたメディアMを搬送する際には、メディアトレイ41aが所定位置まで突出した状態でその上方から搬送アーム36が下降していき、メディアMを受け取る。
メディアトレイ41aがメディアドライブ41から突出して所定位置で停止する際、メディアトレイ41aがメディアドライブ41内の度当たりに当たると、その度当たりへの衝突時にメディアトレイ41aが跳ね上がり、メディアトレイ41aの収容凹部41bに収容されているメディアMが暴れ、収容凹部41bからはみだしてしまうことが考えられるが、本実施形態のパブリッシャ1では、メディアドライブ41から突出されたメディアトレイ41aの跳ね上がりによる浮き上がりを抑える抑止手段が設けられている。
【0042】
図8に示すように、抑止手段100は、各メディアドライブ41に対応する上下二段の抑止部材102A,102Bを備えており、それぞれの抑止部材102A,102Bは、メディアドライブ41の前方側で、インク供給機構71のカートリッジ装填部14の側部を覆う側板101に取り付けられている。
【0043】
抑止部材102A,102Bは、メディアドライブ41側の端部に、メディアドライブ41aへ向かって次第に上方へ傾斜する抑止辺103を有している。抑止辺103は、メディアトレイ41aが度当たりに当たって停止する時に、先端の端面板41cの上部との隙間が無くなる位置に配置されている。
また、抑止部材102A,102Bは、前後方向に沿う長孔104を有しており、この長孔104に挿通されたビス105を側板101に形成されたネジ孔(図示省略)にねじ込んで締め付けることにより、側板101に固定されている。
【0044】
また、側板101に取り付けられたカバー106には、ビス105を留めるための高さを有する台部107が形成されており、抑止部材102A,102Bは、それぞれ台部107上に配置され、この台部107に沿って前後方向へ摺動可能に支持されている。
そして、上記抑止部材102A,102Bは、ビス105を緩めた状態で、台部107に沿って前後方向に移動されて位置調整され、メディアトレイ41aが突出して度当たりに当接する所定位置である最大突出位置まで突出した際に、抑止辺103がメディアトレイ41aの先端の端面板41c上部に当接する位置で固定されている。
【0045】
そして、上記パブリッシャ1によれば、メディアドライブ41からメディアトレイ41aが、搬送アーム36によるメディアMの受け取り及び受け渡しが行われる所定位置の最大突出位置まで突出されると、このメディアトレイ41aの先端の端面板41cの上部が抑止部材102A,102Bの抑止辺103に当接する位置となる。これにより、メディアトレイ41aが度当たりに衝突して前端側(端面板41c側)が跳ね上がろうとしても、それを抑止部材102A,102Bによって抑えることができる。
【0046】
これにより、このメディアトレイ41aの収容凹部41bに収容されているメディアMの暴れを抑制することができ、収容凹部41bからのメディアMのはみだしを防止することができる。
したがって、メディアトレイ41aの収容凹部41bへメディアMを確実に収容させた状態に維持してメディアMの受け取りの信頼性を高め、メディアMへの各種処理作業を円滑に行うことができる。
【0047】
また、抑止部材102A,102BがメディアトレイMの進退方向に移動可能であり、抑止辺103がメディアドライブ41へ向かって次第に上方へ傾斜する形状であるため、抑止部材102A,102Bを前後に移動させることにより、抑止辺103によるメディアトレイ41aの先端の端面板41c上部への当接位置を容易に調整し、最適化することができる。
【0048】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
図9に示すように、抑止手段200を構成する抑止部材202A,202Bは、メディアドライブ41と反対側の端部近傍が、インク供給機構71のカートリッジ装填部14の側部を覆う側板101に対して、メディアドライブ41aの幅方向に沿う軸線を中心として回動可能に支持されている。なお、抑止部材202A,202Bの回動中心は、それぞれ、図9における左端近傍位置である。
【0049】
また、抑止部材202A,202Bは、その回動中心を中心とした円弧状の長孔204を有しており、この長孔204に挿通されたビス205を側板101に形成されたネジ孔(図示省略)にねじ込んで締め付けることにより、側板101に固定されている。
【0050】
また、抑止部材202A,202Bは、メディアドライブ41側に、メディアドライブ41へ向かって突出する突出部206を有しており、この突出部206の下方の辺が抑止辺207である。
【0051】
そして、抑止部材202A,202Bは、ビス205を緩めた状態で、側板101との回動中心で回動させて位置調整がなされ、メディアトレイ41aが突出されて度当たりに当接する最大突出位置まで突出した際に、突出部206の抑止辺207がメディアトレイ41aの先端上部に接触する位置で固定されている。
【0052】
上記抑止手段200を備えたパブリッシャ1の場合も、メディアトレイ41aが、搬送アーム36によってメディアMの受け渡し及び受け取りを行う所定位置の最大突出位置まで突出されると、このメディアトレイ41aの先端の端面板41cの上部が抑止手段200の抑止部材202A,202Bの突出部206の抑止辺207に当接して抑止される。これにより、メディアトレイ41aが度当たりに当接して跳ね上がろうとしても、その跳ね上がりを抑止部材202A,202Bによって抑えることができる。
【0053】
これにより、このメディアトレイ41aの収容凹部41bに収容されているメディアMの暴れを抑制することができ、収容凹部41bからのメディアMのはみだしを防止することができる。
したがって、メディアトレイ41aの収容凹部41bへメディアMを確実に収容させた状態に維持してメディアMの受け取りの信頼性を高め、メディアMへの各種処理作業を円滑に行うことができる。
【0054】
また、抑止部材202A,202Bがメディアトレイ41aの幅方向に沿う軸線を中心として回動可能であるため、抑止部材202A,202Bを回動させることにより、抑止辺207によるメディアトレイ41aの先端上部への当接位置を容易に調整して最適化することができる。
【0055】
なお、上記実施形態では、突出したメディアトレイ41aの先端上部に当接してメディアトレイ41aの跳ね上がりを抑制する場合について説明したが、跳ね上がりを抑制すべく、突出したメディアトレイ41aの先端を抑止する構造であれば、他の形態も採用可能である。例えば、突出したメディアトレイ41aに対して凹凸嵌合してメディアトレイ41aの先端を抑止する抑止部材を設けた構造であっても良い。
【0056】
なお、上記実施形態では、メディアドライブ41のメディアトレイ41aに対するメディアMの受け渡し箇所に適用したが、本発明は、データを書き込むメディアドライブ41に限らず、メディアMのレーベル面に印刷を施すレーベルプリンタ11におけるメディアトレイ51に対するメディアMの受け渡し箇所に適用しても良い。
【0057】
なお、用いられるメディアは、上記実施形態のメディアMのような円板状のメディアに限定されるものではなく、矩形状等の多角形状や楕円状のメディアにも適用可能であり、また、その記録方式も、光記録方式、光磁気記録方式等、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係るメディア処理装置(パブリッシャ)の外観斜視図である。
【図2】図1のパブリッシャのケースを外した状態の前方側の斜視図である。
【図3】図1のパブリッシャのケースを外した状態の後方側の斜視図である。
【図4】図1のパブリッシャに設置されたプリンタ部分の斜視図である。
【図5】図1のパブリッシャに設置されたメディアドライブの構成を示す概略平面図である。
【図6】図1のパブリッシャに搭載された搬送アームを示す平面図である。
【図7】図1のパブリッシャに搭載された搬送アームを示す斜視図である。
【図8】図5のメディアドライブからトレイが突出した状態を示す斜視図である。
【図9】他の実施形態例におけるトレイが突出した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1…パブリッシャ(メディア処理装置)、11…レーベルプリンタ(処理部)、31…メディア搬送機構、36…搬送アーム、41…メディアドライブ(処理部)、41a…メディアトレイ(トレイ)、41b…収容凹部(収容部)、45…メディアトレイ(トレイ)、102A,102B,202A,202B…抑止部材、103,207…抑止辺、M…メディア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のメディアを保持する収容部を有する進退可能なトレイを備えた処理部と、前記処理部の前記トレイに対してメディアの受け渡し及び受け取りを行うメディア搬送機構とを備えたメディア処理装置であって、
前記メディア搬送機構によって前記メディアの受け渡し及び受け取りが行われる所定位置に突出された前記トレイの先端の浮き上がりを抑止する抑止部材を備えていることを特徴とするメディア処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のメディア処理装置において、
前記抑止部材は、前記所定位置に突出された前記トレイの先端上部に当接する抑止辺を有することを特徴とするメディア処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のメディア処理装置において、
前記抑止部材は、前記トレイの進退方向に移動可能であり、前記抑止辺が前記処理部へ向かって次第に上方へ傾斜していることを特徴とするメディア処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載のメディア処理装置において、
前記抑止部材は、前記トレイの幅方向に沿う軸線を中心として回動可能であることを特徴とするメディア処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−181635(P2009−181635A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19789(P2008−19789)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】