説明

メディア攪拌式粉砕機

【課題】メディア分離部材の機能を落とさずに、粉砕メディアのメディア分離部材へのアタックを小さくでき、メディア分離部材の摩耗を極力小さくすることのできるメディア攪拌式粉砕機を提供する。
【解決手段】メディア攪拌式粉砕機10は、上部を閉鎖する端板を有し、ビーズ状粉砕メディア26を収容した竪型円筒形の粉砕室を有する粉砕容器12、この粉砕容器に設けられた原料スラリー供給口16、前記粉砕室の下部であって、該粉砕室の軸心とほぼ同軸の回転軸を持つ撹拌部材22、および前記撹拌部材の上方に設けられた遠心分離型のメディア分離部材32を備えたメディア攪拌式粉砕機10において、前記メディア分離部材が、前記端板に設けられ、下部が前記粉砕室に開口した円筒形のメディア分離部材収納室内に配置されており、このメディア分離部材収納室の直径が、前記メディア分離部材の直径より大きく、前記粉砕室の直径より小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディア攪拌式粉砕機に関する。本発明のメディア攪拌式粉砕機は、インキ、塗料、顔料、セラミック、金属、無機物、誘電材、フェライト、トナー、ガラス、製紙用コーティングカラー等の原料を粉砕メディアと混合して微細粒子に粉砕または分散するための使用に特に適しているが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
メディア攪拌式粉砕機としては、特開2005−199125号公報で提案されたメディア攪拌ミルが知られている。
【0003】
上記特開2005−199125号公報で提案されたメディア攪拌ミルは、内部に粉砕メディアを収容する粉砕室が設けられる粉砕タンクと、該粉砕タンクに回転可能に設けられる回転軸と、該回転軸の前記粉砕室内に位置する部分に設けられて、回転軸と一体に回転可能な攪拌分離部材とを備えたメディア攪拌ミルであって、
前記粉砕室の内壁面と前記攪拌部材の外周面とを、互いに合致する形状に形成するとともに、前記攪拌分離部材の外周面から攪拌部材の中心部に貫通し、その部分から前記回転軸の中心部を貫通して前記粉砕室外に連通する分離排出路と、前記攪拌部材の上下面間を前記回転軸の軸線方向に貫通して、前記粉砕室内の上部と下部との間を相互に連通する圧力緩和孔とを設けたことを特徴とするものである。
【0004】
しかしながら、前記のような構造のメディア攪拌ミルにあっては、遠心力が最大となる最大径部に粉砕メディアが密集しやすく、局所的となり、分散力、粉砕力が場所によってばらばらとなり、その差が大きい。そのため、原料の分散、粉砕が均一に行われず、高品質の製品を得ることが困難であるという問題がある。
【0005】
そこで、本願出願人は、特開2010−253339号公報で、良質な粉砕、分散作用により、高品質の製品を得ることのできるメディア攪拌式粉砕機を提案した。そのメディア攪拌式粉砕機は、ビーズ状粉砕メディアを収容した竪型円筒形の粉砕室を有する粉砕容器、この粉砕容器に設けられた原料スラリー供給口、前記粉砕室の下部であって、該粉砕室の軸心とほぼ同軸の回転軸を持つ撹拌部材、および前記粉砕室内であって、前記撹拌部材の上方に設けられたメディア分離部材を備えたメディア攪拌式粉砕機において、前記粉砕室下方部分を半径方向に分割し、粉砕室下方部分内方部と環状の粉砕室下方部分外方部とを構成する案内環を設け、前記粉砕室下方部分外方部を粉砕メディアと原料スラリーの混合物の上昇通路としたことを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−199125号公報
【特許文献2】特開2010−253339号公報
【0007】
このメディア攪拌式粉砕機においては、上記したように、粉砕室内に案内環を設置したことにより、粉砕メディアが円周方向に移動しながら、粉砕室の半径方向外方に粉砕容器の内壁に向かって移動し、続いて案内環と粉砕容器の間の上昇通路を上昇し、ついで中央部から案内環の内部を通って下降し攪拌部材に戻る運動を規則的に繰返すことができることから、粉砕室に対するビーズの容積割合が少なくともビーズ間隔が極端に広がらず、粉砕・分散効率を向上できる。また、粉砕メディアの偏析が生じにくく、粉砕力、分散力が均一であるため、均一分散が可能となり、高品質な製品を得ることができるという利点がある。
更には、粉砕部と粉砕メディア分離部の機能分散が明確になり粉砕メディア分離性能が向上するという利点がある。
更にまた、粉砕室外筒冷却に加えて、案内環での冷却ができるので冷却能力を向上できるという利点がある。
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に開示されているように、メディア分離部材が粉砕室内に配置されているタイプのメディア攪拌式粉砕機にあっては、一般的に言えることだが、粉砕メディアのメディア分離部材へのアタックが強く、メディア分離部材の摩耗が大きいという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、メディア分離部材の機能を落とさずに、粉砕メディアのメディア分離部材へのアタックを小さくでき、メディア分離部材の摩耗を極力小さくすることのできるメディア攪拌式粉砕機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、下記(1)〜(11)の構成の本発明のメディア攪拌式粉砕機によって解決される。
(1)
上部を閉鎖する端板を有し、ビーズ状粉砕メディアを収容した竪型円筒形の粉砕室を有する粉砕容器、この粉砕容器に設けられた原料スラリー供給口、前記粉砕室の下部であって、該粉砕室の軸心とほぼ同軸の回転軸を持つ撹拌部材、および前記撹拌部材の上方に設けられた遠心分離型のメディア分離部材を備えたメディア攪拌式粉砕機において、前記メディア分離部材が、前記端板に設けられ、下部が前記粉砕室に開口した円筒形のメディア分離部材収納室内に配置されており、このメディア分離部材収納室の直径が、前記メディア分離部材の直径より大きく、前記粉砕室の直径より小さいことを特徴とするメディア攪拌式粉砕機。
(2)
前記メディア分離部材収納室の半径が、メディア分離部材の半径より10〜30mm大きい上記(1)のメディア攪拌式粉砕機。
(3)
前記端板の前記メディア分離部材収納室の周囲壁に開口し、該端板内を下方に延び、前記端板の下面に開口し、前記メディア分離部材収納室内の粉砕メディアを前記粉砕室に導くメディア循環通路を有する上記(1)または(2)のメディア攪拌式粉砕機。
(4)
前記メディア分離部材が、円形の天板、この天板に対し軸方向に間隔をもって配置された円形の底板、およびこれらの天板と底板の間で、周方向に間隔をもって配置された複数の羽根部材を備えている上記(1)〜(3)のいずれかのメディア攪拌式粉砕機。
(5)
前記羽根部材が円柱のピン部材である上記(4)のメディア攪拌式粉砕機。
(6)
前記天板と底板の間に環状の中間板を設け、前記メディア分離部材を多段構造とした上記(4)または(5)のメディア攪拌式粉砕機。
(7)
前記粉砕室内であって、前記粉砕室下方部分を半径方向に分割し、粉砕室下方部分内方部と環状の粉砕室下方部分外方部とを構成する案内環を設け、前記粉砕室下方部分外方部を粉砕メディアと原料スラリーの混合物の上昇通路とした上記(1)〜(6)のいずれかのメディア攪拌式粉砕機。
(8)
前記案内環は環状空間を有し、前記粉砕容器に取り付けられた複数のパイプによって支えられ、該パイプを用いて前記環状空間に通水排水が可能な構造である上記(7)のメディア攪拌式粉砕機。
(9)
前記パイプが粉砕容器の上方から延び、下端で前記案内環を支持している上記(8)のメディア攪拌式粉砕機。
(10)
前記連通路の前記端板の下面の開口部には、前記連通路内に導かれた粉砕メディアを、前記粉砕室内下方に導くための案内パイプが連通されている上記(3)〜(9)のいずれかのメディア攪拌式粉砕機。
(11)
前記案内パイプは、前記連通路内に導かれた粉砕メディアを、前記案内環内部の粉砕室下方部分内方部に導くためのものである上記(10)のメディア攪拌式粉砕機。
【発明の効果】
【0011】
本発明のメディア攪拌式粉砕機においては、上記したように、遠心式メディア分離部材を、粉砕容器の上部を閉鎖する端板に形成した小さなポケット状のメディア分離部材収納室内に配置したので、粉砕メディアのメディア分離部材への直接の影響が弱まり、小さい動力で回転させることができ、したがって、粉砕メディアのメディア分離部材へのアタック力が弱まり、その結果、メディア分離部材の摩耗が小さくなり、耐久性が増す。
【0012】
また、メディア分離部材を粉砕室とは別個のメディア分離部材収納室に配置するようにしたので、粉砕室内に入れる粉砕メディアの量を粉砕室容積の75%以上と従来のものより多くすることができるので、粉砕室容積を有効に用いることができる。
【0013】
さらにまた、メディア分離部材を撹拌部材から遠ざけたことや、メディア分離部材を上記したようなメディア分離部材収納室に収納させたことで、メディア分離部材の回転が撹拌部材による撹拌に影響を与えることが少なくなるので、安定した良好な撹拌を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施態様によるメディア攪拌式粉砕機を示す断面図である。
【図2】図1に示したメディア攪拌式粉砕機に使用されているメディア分離部材の羽根部材の例を示す断面図である。
【図3】図1に示したメディア攪拌式粉砕機に使用されているメディア分離部材の羽根部材の他の例を示す断面図である。
【図4】図1の線A−Aに沿う断面図である。
【図5】図1に示した本発明の実施形態によるメディア攪拌式粉砕機の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態によるメディア攪拌式粉砕機について説明する。
図1は、本発明の実施の形態によるメディア攪拌式粉砕機10を示すものであり、このメディア攪拌式粉砕機10は、上部を閉鎖する端板12aを有する竪型円筒形の粉砕容器12を備えている。この粉砕容器12は、内部に円柱状の粉砕室14を備えており、この粉砕室14内にスラリー状の原料を導入するための原料スラリー供給口16を有している。粉砕容器12の下部には、フレーム18が取り付けられている。
【0016】
上記粉砕容器12の粉砕室14の内部下部中央には、攪拌部材22が回転自在に配置されている。攪拌部材22は、羽根車であり、例えば、ボス22aの周囲に固定され、上下に間隔を置いて配置された一対の環状板22b,22cとそれらの間に配置された複数の羽根22dで構成されている。
【0017】
上記撹拌部材22には、上端がこの撹拌部材22のハブ22aに取り付けられ、そこから粉砕容器12および上記フレーム18を軸方向下方に貫通して延びる撹拌部材駆動軸である回転駆動軸24が固定されている。この回転駆動軸24は、その下方端部が、図示しない周知の駆動機構を介して駆動源に接続されており、図に矢印で示す方向に回転駆動される。この回転駆動軸24の回転軸(回転軸線)は粉砕室14の中心軸を通っていることが好ましい。なお、上記回転駆動軸24には、軸封25(メカニカルシール等)が設けられている。
【0018】
メディア攪拌式粉砕機において周知のように、粉砕容器12の内部には、ビーズ状の粉砕メディア26(なお、図においては極めて拡大して示した)が収納されている。この粉砕メディア26は、その直径が0.03〜0.5mmのものを用いることができる。この粉砕メディアの総容積が、粉砕室の容積の30%〜80%である。
【0019】
上記粉砕容器12の上部を閉鎖する端板12aは、その中央部12bが厚くされており、その中央部は、円柱状の空間が形成されて環状部分12cとされており、上記の空間の上部は、後に説明する軸封により閉鎖されて、メディア分離部材収納室30とされている。このメディア分離部材収納室30には、原料スラリー内に分散したメディア26を該原料から分離するための遠心分離式メディア分離部材32が設けられている。このメディア分離部材32は、円形の天板32a、この天板32aに対し軸方向に間隔をもって配置された円形の底板32b、およびこれらの天板32aと底板32bの間で、周方向に間隔をもって配置された複数の羽根部材32cを備えている(図2参照)。上記羽根部材32cとしては、図3に示したように円柱状のピン部材としてもよい。図1に示したように、前記天板32aと底板32bの間に環状の中間板32dを設け、前記メディア分離部材32を多段構造としてもよい。
【0020】
上記メディア分離部材収納室30の直径は、メディア分離部材32の直径より大きいことは当然であるが、メディア分離部材32の直径より余り大きくないことが好ましく、半径で10〜30mm大きいことが好ましい。
【0021】
このメディア分離部材32は、上記該攪拌部材22と同軸に配置されていることが好ましいが、軸がずれていてもよい。このメディア分離部材32には、中空の回転駆動軸34が固定されている。この駆動軸34は、上方に延び、その端部は、図示しない周知の駆動機構を介して駆動源に接続されており、図に矢印で示す方向に回転駆動される。なお、上記回転駆動軸34には、軸封36(メカニカルシール等)が設けられている。この軸封36により、端板12aの円柱状の空間の上部が閉鎖されて上記のメディア分離部材収納室30とされている。また、この駆動軸34の中空部は、メディア分離部材32の内部空間に連通し、原料スラリー出口38を形成している。
【0022】
粉砕容器12の外周には、冷媒体または熱媒体(通常は冷媒体であって、冷却水)を通すためのジャケット40が設けられており、粉砕室14内を温調可能にしている。このジャケット40には、下方部分に冷却水を導入するための冷却水入口42、上方部分に冷却水を排出するための冷却水出口44が設けられている。
粉砕容器12は、上記端板12aを取り外すことにより、粉砕容器12を開いて、容易にメンテナンスができるようになっている。
【0023】
本発明のメディア攪拌式粉砕機においては、上記攪拌部材22は、周速5〜30m/sの範囲の回転速度で駆動が可能であり、メディア分離部材32は、10〜20m/sの範囲の回転速度で駆動が可能である。
【0024】
上記粉砕室14内の下部には、案内環50が配置されている。内周環板52、この内周環板52に対し外周方向に間隔を隔てた外周環板54,下辺を構成する環状の下環板56および上辺を構成する上環板58から構成されており、内部は液密となっている。
【0025】
この案内環50は、前記粉砕室14下方部分を半径方向に分割し、粉砕室下方部分内方部14aと環状の粉砕室下方部分外方部14bとを構成する。前記粉砕室下方部分外方部14bは、粉砕メディアと原料スラリーの混合物の上昇通路の機能を果たす。
【0026】
前記案内環50は、上記した構造であるので環状空間50aを有し、前記粉砕容器に取り付けられた複数のパイプ60a、60b(図2参照)によって支えられ、該パイプ60a、60bを用いて前記環状空間に冷却水の通水排水が可能な構造である。従って、本発明では、原料スラリーを粉砕容器12内部からも冷却できる。
【0027】
前記パイプ60a、60bは、図に示したように粉砕容器12の上方から延び、下端で前記案内環50を支持していることが好ましい。
【0028】
前記案内環50は、図に示したようにその主要部が前記撹拌部材22の上端以上にあり、そしてその上端が前記メディア分離部材32の下端と下方に所定の間隔を隔てた位置にあることが好ましい。
【0029】
前記案内環50の外周環板54の外周壁と粉砕容器の内周壁の間の間隔は、10〜50mmであることが好ましい。上記間隔が、上記の下限未満であると、ビーズの動きを拘束しすぎであり、上限を越えると、自由度が増しすぎる。
【0030】
前記案内環の高さは、粉砕室の高さの1/3〜1/2であることが好ましい。上記高さが、上記の下限未満であると、ビーズ状粉砕メディア26の流れのコントロールが不十分になり、上限を越えると、粉砕メディア26の流れのスムーズさが損なわれる。
【0031】
作動においては、原料スラリー供給口16から原料である被粉砕粒子を含む原料スラリーを粉砕室14に導入しながら撹拌部材22を回転駆動する。粉砕室14内に導入されたスラリーは、粉砕室14内にすでに形成されているスラリーとメディア26の回転流れに乗って攪拌部材22の方向に下降移動されて、攪拌部材22により撹拌混合される。このとき、スラリーとメディア26は、半径方向外方に粉砕容器12の内壁まで移動され、この後撹拌混合された上記スラリーとメディア26は、今度は粉砕室14の内壁と案内環50の間の上昇通路を上昇移動する流れf1となり、そして上昇しきると、今度は下降する流れf2となる。一部の粉砕室14からメディア分離部材収納室30内に導かれたスラリーおよびメディアには、メディア分離部材32により回転運動が与えられる。この回転運動により、質量の大きいメディアは半径方向外向きに付勢され、スラリーから分離される。この場合、被粉砕粒子のうち、粉砕が不十分で粒子サイズが大きいものもメディアと同様に挙動する。一方、十分に粉砕されて質量が小さくなった粒子を含むスラリーは、メディア分離部材32の内部空間に入り、回転軸34内部の原料出口38を介してメディア攪拌式粉砕機外部へ排出される。この構成により、メディア分離部材32の回転駆動動力を下げることができ、粉砕メディアのメディア分離部材へのアタック力を小さくすることができる。また、案内環の作用による上記の整った流れ中に、原料粒子は、自由に運動する粉砕メディアの接触により良質な破砕、分散が行われ、その結果、高品質の製品がえられる。また、本発明のメディア攪拌式粉砕機によれば、上記の作用により、粒度分布幅の狭い粉砕を達成することが可能になる。
【0032】
図5は、以上説明したメディア攪拌式粉砕機の変形例を示す図1と同様の図である。
ビーズ状粉砕メディアの直径が0.3mm未満となると、原料スラリーの粘度や比重と原料スラリーの粉砕機からの排出流量の関係で、メディア分離部材収納室に粉砕メディアが押し込まれ、メディア分離部材収納室内の粉砕メディアの濃度が高くなる恐れが生じてくる。このことは、遠心式メディア分離部材の摩耗や粉砕メディアの分離に悪影響を与える。
【0033】
そこで、図5に示した実施形態によるメディア攪拌式粉砕機10においては、上記粉砕容器12の上部を閉鎖する端板12aの環状部分12c内を通るメディア循環通路70を設けた。このメディア循環通路70は、上記環状部分12cの内壁面に開口70aを有し、そこから半径方向に所定長延び、そこから下方に延び、上記環状部分12cの下面に開口72bを有する構造である。
【0034】
また、図5に示したように、上記メディア循環通路70に連通する案内パイプ72を設けた。この案内パイプ72は、上端72aが開口70bに接続され、そこから下方に延び、下端が案内環50近傍まで延びる。これによりメディア分離部材収納室30内の粉砕メディア26を、上記案内環50内に流れ込むスラリーおよびメディアの上記流れf2に乗せることができ、粉砕メディア26の循環が良好となる。
【0035】
メディア分離部材収納室は、次のような構造とすることもできる。
すなわち、上記端板12aの下面に、円筒状部材を縦の状態で固定し、その内部をメディア分離部材収納室とすることができる。その場合は、上記円筒形部材の周囲壁に開口を設け、上記メディア循環通路70の代わりとすることができる。
【0036】
本発明のメディア攪拌式粉砕機においては、攪拌部材22が、メディア分離部材32から十分に離隔されているので、該メディア分離部材32の干渉が極めて少ないという副次的な効果もある。
【符号の説明】
【0037】
10 メディア攪拌式粉砕機
12 粉砕容器
14 粉砕室
16 原料スラリー供給口
18 フレーム
22 攪拌部材
24 回転駆動軸
25 軸封
26 粉砕メディア
30 メディア分離部材収納室
32 メディア分離部材
34 中空駆動軸
36 軸封
38 原料出口
40 ジャケット
42 冷却水入口
44 冷却水出口
50 案内環
52 内周環板
54 外周環板
56 下環板
58 上環板
60a パイプ
60b パイプ
70 メディア循環通路
72 案内パイプ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部を閉鎖する端板を有し、ビーズ状粉砕メディアを収容した竪型円筒形の粉砕室を有する粉砕容器、この粉砕容器に設けられた原料スラリー供給口、前記粉砕室の下部であって、該粉砕室の軸心とほぼ同軸の回転軸を持つ撹拌部材、および前記撹拌部材の上方に設けられた遠心分離型のメディア分離部材を備えたメディア攪拌式粉砕機において、前記メディア分離部材が、前記端板に設けられ、下部が前記粉砕室に開口した円筒形のメディア分離部材収納室内に配置されており、このメディア分離部材収納室の直径が、前記メディア分離部材の直径より大きく、前記粉砕室の直径より小さいことを特徴とするメディア攪拌式粉砕機。
【請求項2】
前記メディア分離部材収納室の半径が、メディア分離部材の半径より10〜30mm大きい請求項1のメディア攪拌式粉砕機。
【請求項3】
前記端板の前記メディア分離部材収納室の周囲壁に開口し、該端板内を下方に延び、前記端板の下面に開口し、前記メディア分離部材収納室内の粉砕メディアを前記粉砕室に導くメディア循環通路を有する請求項1または2のメディア攪拌式粉砕機。
【請求項4】
前記メディア分離部材が、円形の天板、この天板に対し軸方向に間隔をもって配置された円形の底板、およびこれらの天板と底板の間で、周方向に間隔をもって配置された複数の羽根部材を備えている請求項1〜3のいずれかのメディア攪拌式粉砕機。
【請求項5】
前記羽根部材が円柱のピン部材である請求項4のメディア攪拌式粉砕機。
【請求項6】
前記天板と底板の間に環状の中間板を設け、前記メディア分離部材を多段構造とした請求項4または5のメディア攪拌式粉砕機。
【請求項7】
前記粉砕室内であって、前記粉砕室下方部分を半径方向に分割し、粉砕室下方部分内方部と環状の粉砕室下方部分外方部とを構成する案内環を設け、前記粉砕室下方部分外方部を粉砕メディアと原料スラリーの混合物の上昇通路とした請求項1〜6のいずれかのメディア攪拌式粉砕機。
【請求項8】
前記案内環は環状空間を有し、前記粉砕容器に取り付けられた複数のパイプによって支えられ、該パイプを用いて前記環状空間に通水排水が可能な構造である請求項7のメディア攪拌式粉砕機。
【請求項9】
前記パイプが粉砕容器の上方から延び、下端で前記案内環を支持している請求項8のメディア攪拌式粉砕機。
【請求項10】
前記連通路の前記端板の下面の開口部には、前記連通路内に導かれた粉砕メディアを、前記粉砕室内下方に導くための案内パイプが連通されている請求項3〜9のいずれかのメディア攪拌式粉砕機。
【請求項11】
前記案内パイプは、前記連通路内に導かれた粉砕メディアを、前記案内環内部の粉砕室下方部分内方部に導くためのものである請求項10のメディア攪拌式粉砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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