説明

メディア管理システム及びメディア格納ケース

【課題】格納・取出し動作の対象如何に拘らずメディアについてはセキュリティ性を高めること、かつ正確なライセンス管理が可能とすること。
【解決手段】ICタグを所定の位置に貼付したメディアを格納しロック機構を備えたメディア格納ケースと、メディア・タグリーダと、データベースを備え、該メディア・タグリーダにより読み取られた情報と該メディアに係るデータベースに書き込まれている情報との照合に基づき前記ロック機構の係止/解除及び前記メディア格納スロットのメディア格納もしくは取り出しに係る動作を制御する管理部とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばCD-ROM等のメディア管理のシステム化に係り、特に、CD-ROM等のメディアの盗難や不正な使用を防止するとともに、貸出し管理を自動化することで、人的作業負荷を減らすとともに、従来人による管理に依存していた部分が開放され、かつ正確なライセンス管理が可能となるメディア管理システム及びメディア格納ケースに関する。本発明は、銀行・証券等の顧客情報管理システムを初めとする各産業・各企業内の情報管理、物流倉庫等における物品管理、レンタル産業におけるレンタル品管理、宝飾品等の極小貴重物の盗難防止管理、図書館・博物館等における貸出し及び盗難防止管理等、産業・分野を問わず幅広く適用されるものである。
【背景技術】
【0002】
企業内では様々な情報を含むCD−ROM等のコンパクトディスク(CD)やDVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)を初めとする各種メディア(記録媒体)(以下、「CD等」もしくは「CD-ROM等」という。)が多数扱われている。これらのCD等の物理的な管理といった収納の問題もさることながら、情報の中には顧客情報など機密を要するものもあり、どのCD等がいつ、誰に貸出し/返却されたのかなど、CD等の厳格・厳密な管理も求められている。一方、管理は人手によっているというのが現在の実情であり、人の手に頼ることでセキュリティが緩慢になる余地のあることが企業の日常活動に大きな負担と懸念とを与えている。
そうした中にあって、ICチップを内臓するタグを利用してCDの貸出し業務及び返却業務作業を軽減するシステムが提案されている(たとえば特許文献1)。しかし、このシステムでは、収納場所から貸出し/返却をしたいCDを移動した後の貸出し業務及び返却業務のみが問題とされており、CD管理では収納は意図されていない。したがって、貸出し/返却の対象以外のものについてのセキュリティ性が保たれる考慮が一切なされていない。
また、RF-ID図書類分類ラベルが貼付された、書架に収納された図書類の所在や有無の管理システムが提案されている(たとえば特許文献2)が、図書類には万人がアクセス可能という前提でシステムが構築されており、情報へのアクセス制限を行うといったセキュリティの視点が全く考慮されていない。
【特許文献1】特開2000―198505号公報
【特許文献2】特開平10―334198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の従来技術の問題を解決するためになされたもので、CD-ROM等の盗難や不正な使用を防止することをまず第1の目的とする。そのために本願は、格納・取出し動作に関わらないメディアについてはセキュリティ性を高めるとともに、格納・取出し動作に関わるメディアについては詳細な履歴等の整備を通じてセキュリティ性を高めることを第2の目的とする。さらに本願は、貸出し管理を自動化することで、人的作業負荷を減らすとともに、従来人による管理に依存していた部分が開放され、かつ正確なライセンス管理が可能となるメディア管理システム及びメディア格納ケースを提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる課題を解決するため、本発明は、メディア用ICタグを所定の位置に貼付したメディアを格納しロック機構を備えたメディア格納スロットを複数備えたメディア格納ケースと、前記メディア格納ケースに具備され前記メディア用ICタグ内の情報を読み取るためのメディア・タグリーダと、前記メディア・タグリーダに接続され、メディアに係るデータベースを備え、該メディア・タグリーダにより読み取られた情報と該メディアに係るデータベースに書き込まれている情報との照合に基づき前記ロック機構の係止/解除及び前記メディア格納スロットのメディア格納もしくは取り出しに係る動作を制御する管理部とを具備する。
【0005】
かかる構成を備える本発明によれば、使用者認証用タグによる認証がなければ、CD格納スロットを制御する管理部が動作しないので、不正な使用者によるCDの持ち出しやすり替えを防止することができる。
【0006】
また、本発明によれば、CD格納のとき、CDに貼付されたCD用ICタグをCD用ICタグリーダによって自動的に読み取るので、ICタグリーダにより読み取ることができない場合、CDはCD格納スロットへ格納できない。すなわち、登録された適正なCDのみを格納する機能が提供されるものである。
【0007】
CD用ICタグリーダにより読み取られた情報は、管理部により、たとえば画面上に反映される。
【0008】
CD格納スロットからのCD取り出しのときには、画面上で取り出すCDを指定することにより、CD格納スロットからの所望のCD取り出しが可能になり、さらに、取り出すCDのICタグが自動的にCD用ICタグリーダによって読み取られるので、「本当にCDを取り出した」ことをシステム的に把握することが可能となる。
【0009】
CD格納・取り出しのとき、使用者情報及びCD情報が管理部により管理されるため、誰が何を使用しているのか、何が格納されているのかといった現在の状況や、誰が何をいつ使用したのかといった使用履歴を、人による作業負荷をかけることなく管理することが可能となる。
【0010】
本願においては、スロットが飛び出す・突出する形式をとる。したがって、メディアをスロット上に載置するだけで、情報読取・格納動作まで連続して行うことが可能である。
【0011】
また、本発明は、このとき、使用者認証のためのICタグ内の情報を読み取るためのICタグリーダをさらに備え、前記管理部は前記使用者認証用ICタグによる使用者の認証を行うことで動作するように構成しても良い。こうすることで、正当な認証を得ない者による本システムへのアクセスを制限することができ、セキュリティ性が一層向上する。
【0012】
さらに、本発明において、メディアは、CD、DVD、MD、FD、MO、LD、コンパクトフラッシュ(商標)、マイクロドライブ、スマートメディア、SDメモリーカード、メモリースティック、xD−ピクチャーカード(xD-Picture Card)のうちの少なくとも1つであるように構成しても良い。これにより、各種産業において本システムを利用することが可能になり、利便性が増す。
【0013】
また、本発明は、このとき、前記メディアは該メディア単体を被うメディア収納ケースに収納され、前記メディア用ICタグは該メディア収納ケースの所定位置に貼付され、前記メディア格納スロットは該メディア収納ケースごとメディアを格納するように構成しても良い。このように構成することで、さらに利便性が高まる。また、スロットの規格が統一的であり、メディア収納ケースの所定位置にメディア用ICタグが貼付されるので、該メディア収納ケースをスロットに載置するだけで、ICタグリーダによる読取動作についての位置整合が保たれ、ICタグリーダによる読取性能を向上させる。
【0014】
さらに、本発明において、前記管理部は、メディア格納の際には、前記メディア・タグリーダによって読み取られたメディア用ICタグ内の情報とメディア・データベースとを照合する照合部と、所望のメディア格納スロットのロック機構を解除してスロットを突出させ、該指定メディアの載置に対応して該スロットを退入させた後メディア格納スロットのロック機構を係止する制御部と、前記照合部により正当なメディアと認証されたメディアについてのみ必要に応じて前記メディア・データベースに前記メディア用ICタグ内情報を書き込むデータベース書き込み部とを具備するように構成しても良い。
【0015】
このように構成することで、スロットは1動作に1枚のみを対象とし、1枚のメディアを動かしている間はメディア格納ケースの他のメディアは収納(及びロック係止)された状態を保つので、当該他のメディアに係るセキュリティ性は向上する。この点で、たとえば、たとえば特許文献1等の従来技術では管理性能のみが向上されセキュリティ性の向上がなされていないのとは対照的である。
【0016】
また、本発明において、前記管理部は、メディア取り出しの際には、メディア格納ケースに収納される全メディアに係る情報をメディア・データベースから取得して表示する表示部と、所望のメディアの指定を受け取る指定受取部と、前記指定受取部により受け取られた指定メディアに対応するメディア格納スロットのロック機構を解除してスロットを突出させ、該指定メディアの取り出しに対応して該スロットを退入させた後メディア格納スロットのロック機構を係止する制御部と、必要に応じてメディア貸出履歴データベースを更新するデータベース書き込み部とを具備するように構成しても良い。
【0017】
このように構成することで、本願では、一つ一つのスロットが独立に形成され、それぞれの単位において管理の対象となるので、出し入れするときには対象は1つに限定され、その他については高いセキュリティ性を維持したまま収容保持される。この点で、たとえば特許文献1等の従来技術では物理的に複数のディスクの持ち出しが可能であるのとは対照的である。
【0018】
さらに、本発明は、請求項1記載のメディア管理システムにおいて使用されることを特徴とするメディア格納ケースとして実現することもできる。
【0019】
また、本発明は、このとき、前記メディア格納ケースは複数積層させることが可能であるように構成することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使用者認証用タグによる認証がなければ、CD格納スロットを制御する管理部が動作しないので、不正な使用者によるCDの持ち出しやすり替えを防止することができる。
【0021】
また、本発明によれば、CD格納の際、CDに貼付されたCD用ICタグをCD用ICタグリーダによって自動的に読み取るので、ICタグリーダにより読み取ることができない場合、CDはCD格納スロットへ格納できない。すなわち、登録された適正なCDのみを格納する機能が提供される。
【0022】
CD用ICタグリーダにより読み取られた情報は、管理部により、たとえば画面上に反映される。
【0023】
CD格納スロットからのCD取り出しの際には、画面上で取り出すCDを指定することにより、CD格納スロットからの所望のCD取り出しが可能になり、さらに、取り出すCDのICタグが自動的にCD用ICタグリーダによって読み取られるので、「本当にCDを取り出した」ことをシステム的に把握することが可能となる。
【0024】
CD格納・取り出しの際、使用者情報及びCD情報が管理部により管理されるため、誰が何を使用しているのか、何が格納されているのかといった現在の状況や、誰が何をいつ使用したのかといった使用履歴を、人による作業負荷をかけることなく管理することが可能となる。
【0025】
本願においては、スロットが飛び出す・突出する形式をとる。したがって、メディアをスロット上に載置するだけで、情報読取・格納動作まで連続して行うことが可能である。
【0026】
また、本発明は、このとき、前記メディアは該メディア単体を被うメディア収納ケースに収納され、前記メディア用ICタグは該メディア収納ケースの所定位置に貼付されるように構成することで、さらに利便性が高まる。また、スロットの規格が統一的であり、メディア収納ケースの所定位置にメディア用ICタグが貼付されるので、該メディア収納ケースをスロットに載置するだけで、ICタグリーダによる読取動作についての位置整合が保たれ、ICタグリーダによる読取性能を向上させる。
【0027】
さらに、本発明においては、スロットは1動作に1枚のみを対象とし、1枚のメディアを動かしている間はメディア格納ケースの他のメディアは収納(及びロック係止)された状態を保つので、当該他のメディアに係るセキュリティ性は向上する。
【0028】
また、本発明においては、一つ一つのスロットが独立に形成され、それぞれの単位において管理の対象となるので、出し入れするときには対象は1つに限定され、その他については高いセキュリティ性を維持したまま収容保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るCD管理自動化システム全体の構成を示すブロック図である。なお、以下では、本願発明の目的の達成のために説明に必要な範囲を模式的に示し、本願発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所に付いては公知技術によるものとする。また、以下ではメディアとしてCDを例にとり説明するが、本発明の(管理)対象としてはCDに限定されるものではない。
【0031】
同図に示すように、本発明の一実施形態に係るCD管理自動化システム100は、CD用ICタグ11を貼付したCD6を格納するためのCD格納スロット41を複数有するCD格納ケース4と、該CD格納ケース4に具備されたICタグ11内の情報を読み取るためのICタグリーダ5と、使用者認証のためのICタグ1内の情報を読み取るためのICタグリーダ2と、該使用者認証用ICタグ1による使用者の認証を行うことで動作する、該CD格納スロット41を制御する管理部3とを有する。
【0032】
CD格納ケース4は、複数のスロット41を有し、各スロットのロックおよびロック解除の制御を行う、ロック係止/ロック解除部7を有している。また、作動しているスロットを識別するためのインジケータ8も備えられている。
【0033】
管理部3には、操作入力部9およびモニタ10が接続されている。そして、管理部3内部には、使用者認証用ICタグ読取リーダ制御部31、CD格納スロット制御部32およびデータベース(DB)36が設けられている。CD格納スロット制御部32には、さらにCD用タグリーダ制御部33、ロック係止/ロック解除部制御部34およびインジケータ制御部35が備わっている。また、データベース36には使用者認証DB37、CD情報DB38およびCD貸出履歴DB39が備わっている。また、使用者認証用ICタグ読取リーダ制御部31は、ICタグ内の情報とデータベース(DB)36内の情報との照合を行う(図示しない)照合部311と、必要に応じてユーザに対して所望動作を求める等のためにモニタ10に情報を表示するための(図示しない)表示部312と、格納・取出しに伴うメディアの収容状況の変化に対応してデータベースに書き込みを行う(図示しない)データベース書き込み部313と、表示部312に表示されたデータからユーザの所望するメディアを指定させ該指定に係る情報を受け取る(図示しない)指定受取部314とを少なくとも備えて構成される。
【0034】
図2は、本システムの一例の概略図である。操作入力部9としてキーボードおよびモニタ10を備えた管理部3はたとえばパーソナルコンピュータ(PC)であり、CD格納ケース4と接続されている。一方、管理部3であるPCには、使用者認証用ICタグ読取用リーダ2が連結されている。
【0035】
図3は、本発明に係るCD格納ケース4の斜視透視図である。図4は本発明に係るCD格納ケース4の正面図であり、図5は側面図である。この実施例では、CD格納スロット41は10段であるが、これより少なくても多くても所望の段数設けることが可能である。図5から理解されるとおり、本実施例では、CD格納ケース4の最下段の奥行きが閉じた状態のCD格納スロット41の奥行きよりも大きく、閉じた状態のCD格納スロット41の奥行きよりも前面にはみ出している最下段の部分に、CDのICタグ読取用リーダ5が設けられている。また、このように構成されるCD格納ケース4は、たとえばその側壁部頂部(図示しない)に係止機構を設けることにより、鉛直方向、及び/または、水平方向に積層/連接できるように構成することもできる。
【0036】
CDのICタグ読取用リーダ5は、図6に示すとおり、CD格納ケース4の最下段にあってCD格納スロット41が開いた状態で、開いたCD格納スロット41に格納されているCD6に貼付されたICの情報が読み取れるように、CD格納スロット41の開閉口前面に位置している。この実施例では、CD6のICタグ読取用リーダー5は最下段に位置しているが、CD格納スロット41が開いた状態で格納されたCD6のIC情報が読み取れる限り、CD格納ケース4の上部でも、側面でも配置を変更することは可能である。
【0037】
また、図6の構成の場合には、たとえば、ICタグ11はメディア6、たとえばCDの表面(レーベル面)のたとえば中心の略近傍に貼付し、スロット41への載置・格納に際しては逆さに載置するようにする。このようにすることで、ICタグ読取用リーダ5(或いはスキャナ)による読取は、ICタグ11内のICチップの検出エリアの電界強度の高い位置を確保することになり、良好な読取がなされる。さらにこの場合、ICタグ11をメディア6に直接貼付するのでなく、メディア6を(1枚ごとの)メディア収納ケース(図示しない)にしまい、このメディア収納ケースの所定の位置(たとえば略中心の位置)にICタグ11を貼付するようにしてもよい。メディア収納ケースとメディア6との取り違い防止には、たとえばメディア収納ケース自体の表示とメディア6のレーベル面の表示との整合を容易に視認できるようにする。このように構成することで、メディア収納ケースをスロット41に載置するだけでICタグ11の電界強度面での指向性を高い位置で確保でき、ICタグ情報の良好な読取が実行される。
【0038】
図7は、本発明に係るCD格納スロット41の斜視透視図である。操作中であることを示すインジケータ8、スロットの開閉を行うための、ロック/ロック解除部であるロックバー71、CD挿入口42およびCDを格納するためのCDトレイ43を有している。図8は、本発明に係るCD格納スロット41の正面図であり、図9は上面からの平面図である。
【0039】
ここで、ICタグ11は応答器とも称され、質問器(R/W)と称されるICタグ読取用リーダ5(スキャナ)と対で用いられるものであり、ICタグ11とICタグ読取用リーダ5(スキャナ)の間で電波による非接触で簡易的な通信を行うものである。通信電波の周波数としては、例えば、125kHz、13.56MHz、2.45GHzなどが用いられる。ICタグ11は図13(a)(b)に示すように、基材111にICチップ112と応答器アンテナ113を設けて形成されている。基材111は合成樹脂等の短冊状の薄い二枚のフィルム材111a、111aを貼り合わせて作成されており、この二枚のフィルム材111a、111aの間にICチップ112と応答器アンテナ113が挟み込まれている。このICチップ112はICタグ11の略中央部に配置されている。
【0040】
応答器アンテナ113はICチップ112に電気的に接続されるものであって、薄い導体の回路パターン113aで形成されている。導体としては銅箔などの金属箔を用いることができる。このように形成される標準的なICタグ11の応答器アンテナ113の長さは、ICタグ読取用リーダ5(スキャナ)からICタグ11に送信されるメディア6の情報を含む電波、及びICタグ11からICタグ読取用リーダ5(スキャナ)に送信されるメディア6の情報を含む電波の特定周波数に同調するように設定されている。
【0041】
またICタグ11は、メディア6の表面に貼り付けて装着しやすいように基材111の外面に粘着層などを設けてシールのように形成するのが好ましい。ICチップ112にはメディア6の固有の情報が格納されており、例えば、管理のために各メディア6ごとに付されている番号、及びメディア6の種類や題名などの情報が格納されている。またICタグ11にはICタグ読取用リーダ5(スキャナ)から送られてくる電源を貯めるためのコンデンサを設けても良い。
【0042】
ICタグ読取用リーダー5(スキャナ)は合成樹脂等で箱状に形成されるスキャナ本体に、質問器アンテナや送受信に必要な回路を内蔵して形成されるものである。またスキャナ本体の外面の略中央部には略半球凹状の送受信部が凹設されており、この送受信部から電波を送受信することによって、ICタグ11と通信を行うものである。これらについては公知技術によるものとし、ここでは図示及び説明を省略する。
【0043】
また、ICタグ11の応答器アンテナ113はICタグ読取用リーダ5(スキャナ)から送信される質問電波をICタグ11に取り込む機能、及びICタグ11から応答電波をICタグ読取用リーダ5(スキャナ)に送信する機能を有するものである。さらに(図示しない)変復調器により質問電波から電力、クロック、質問データなどを取り出して制御器やメモリに供給する機能、及び制御器からの応答データに応じて搬送波を振幅変調し、これを応答器アンテナ113に供給して反射波としてICタグ読取用リーダ5(スキャナ)に返送する機能を有するものである。制御部33はICタグ読取用リーダ5(スキャナ)からの質問データに応じてICタグ11の動作の内部制御を行うものであって、制御の内容はメモリに保持されている識別データの読み出し、メモリへの識別データを書き込み、及びこれらの動作に関連するその他の制御などを行う。これらの詳細についても公知技術によるものとし、ここでは図示及び説明を省略する。
【0044】
このような構成のもと、応答データの識別データやその他のデータにより、ICタグ11が装着されたメディア6の種類や題名等の情報が得られ、メディア6を識別することができるのであるが、このメカニズムについては公知技術によるものとし、ここでは図示及び説明を省略する。また、ICタグ11にメディア6の識別データを書き込むにあたってのメカニズムについても公知技術によるものとし、ここでは図示及び説明を省略する。
【0045】
このように本発明のメディア管理システムは、ICタグ11が貼付・装着されたメディア6がICタグ読取用リーダ5(スキャナ)の電界エリアである検知エリア(サービスエリア)内に入ってくると、ICタグ11とICタグ読取用リーダ5(スキャナ)の間で電波を用いて情報(データ)のやり取りを行い、ICタグ11に予め書き込まれて保持されているメディア6の固有の情報(識別データ)をICタグ読取用リーダ5(スキャナ)で読み取ることによってメディア6の識別を行うようにするものである。このとき、これに付随して、ICタグ11が単独あるいはICタグ11が装着されたメディア6がICタグ読取用リーダ5(スキャナ)の検知エリア内に入ってくると、ICタグ11にメディア6の識別データを書き込むようにする機能を追加してもよい。いずれにせよ、ICタグ11が自身を動作させる電源を持たないものであって、ICタグ読取用リーダー5(スキャナ)から送信される質問電波を用いて電力をICタグ11に伝送し、この電力でICタグ11を動作させるようにしている。尚、検出エリアは、上述したような本願に特有の位置整合機能により、ICタグ11から送信される応答データをICタグ読取用リーダ5(スキャナ)で受信して応答データに含まれている識別データを確実に読み取ることができる範囲であり、検出エリア内にICタグ11を位置させた状態で識別データを読み取るようにするものである。そしてこの検出エリアはICタグ読取用リーダ5(スキャナ)の送受信部(図示しない)の前方に略半球状あるいは略球状に形成されるものである。この点の詳細についても本願の特徴的範囲からそれるため、これらについては公知技術によるものとし、ここでは図示及び説明を省略する。
【0046】
次に図10のフローチャートを用いて、本発明に係るシステムの全体的な動作・機能の流れについて説明を行う。
【0047】
まず管理部3の使用者認証用ICタグ読取リーダ制御部31と連動し、使用者認証用ICタグ1を使用者認証用ICタグ読取ICタグリーダ2が読み取る(ステップ201)。ここで、照合部311により、認証を許可するかどうか、読み取ったデータと、管理部3内の使用者認証DB37と照合が行われる(ステップ202)。認証が許可されれば、表示部312により、モニタ10にCD格納ケース4操作のための表示(図示しない)がなされる(ステップ203)。認証に失敗(エラー)すると、CD格納ケース4操作には進めない(ステップ204)。
【0048】
モニタ10に表示されるCD格納ケース4操作は、「格納」、「取出」または「操作終了」であり、いずれか所望の操作を選択する(ステップ205)。
【0049】
「格納」を選択した場合、続いてモニタ10にCD格納のための画面表示(図示しない)がなされる(ステップ206)。CDの収容されていない格納可能なCD格納スロット41の一覧が表示部312により表示され、その中から特定のCD格納スロット41を指定すると、管理部3内のCD格納スロット制御部32により、選択されたCD格納スロット41のロックバー71が解除され、スロット41が前方に飛び出すように滑動・突出される(ステップ207)。オープンになったCD格納スロット41内にCD6を納めると、再び管理部3内のCD格納スロット制御部32により、自動的にCD格納ケース4に設けられたCD用ICタグ情報読取ICタグリーダ5がCD6に貼付されたICタグ情報を読取り、照合部311により、データベース36のCD情報DB38およびCD貸出履歴DB39内の情報と照合する(ステップ208)。
【0050】
もし、格納が許可されれば、続いて、CD6に貼付されたICタグ情報を元に、データベース書き込み部313により必要に応じてCD貸出履歴DB39への書込みが行われ、履歴等の情報が反映される(ステップ209)。格納が許可されない場合、たとえば未登録のCDであったり、管理外のCDであったりした場合は、CD履歴の反映はされず、再びメイン画面表示(ステップ205)へ戻る。
【0051】
格納が許可され、必要な情報が読まれ、データベース36に書込みが終了すると、CD格納スロット41が自動的に閉まり、再びCD格納スロット41は管理部3のロック制御部34によりロックされる(ステップ210)。
【0052】
「取出」を選択した場合、CD格納ケース4内に格納されているCD6の一覧が、表示部312により、CDの特定情報と共に表示される(ステップ211)。その中から取出しを希望する特定のCD6を指定すると、この指定された「CD6」の情報が指定受取部314によりうけとられ管理部3内のCD格納スロット制御部32に伝えられ、管理部3内のCD格納スロット制御部32により、選択されたCD6を格納しているCD格納スロット41のロックバー71が解除される(ステップ212)。CD格納スロット41がオープンになると、再び管理部3内のCD格納スロット制御部32により、自動的にCD用ICタグ情報読取ICタグリーダ5がCD6に貼付されたICタグ情報を読取り、照合部311/データベース書き込み部313により、データベース36のCD情報DB38およびCD貸出履歴DB39内の情報と照合/書込みを行う(ステップ213)。CD6をCD格納スロット41から取り出すと、CD格納スロット41が自動的に閉まり、再びCD格納スロット41は管理部3のロック制御部34によりロックされる(ステップ214)。
【0053】
一連の「格納」または「取出し」の操作が終了すると、再び表示部312がメイン画面表示(図示しない)を行う(ステップ203)。続いて操作する場合は、ステップ206またはステップ211を繰り返せばよい。「終了」する場合は、「終了」を選択する(ステップ215)。
【0054】
図11に示すように、モニタ10にて「格納」を選択すると、CD格納スロット41においてロックバー71が解除され、インジケータ8は赤点滅になる。CD6が格納されると、ロックバー71は再びロックされ、インジケータ8は赤点滅から赤点灯にかわり、一定の時間が経過すると点灯しなくなる。
【0055】
一方、モニタ10にて「取出し」を選択すると、図12に示すように、CD格納スロット41においてロックバー71が解除され、インジケータ8は緑点滅になる。CD6が取り出されると、ロックバー71は再びロックされ、インジケータ8は緑点滅から緑点灯にかわり、一定の時間が経過すると点灯しなくなる。このようにすることで、本システムに係る動作をユーザに適格に伝達することができ、利便性の向上、誤動作・誤操作の防止等を可能とする。
【0056】
以上詳細に説明したように、本願に係る発明によれば、CD格納の際、CDに貼付されたCD用ICタグをCD用ICタグリーダによって自動的に読み取るので、ICタグリーダにより読み取ることができない場合、CDはCD格納スロットへ格納できないようにすることで、登録された適正なCDのみを格納する機能が担保される。
【0057】
また、CD格納スロットからのCD取り出しの際には、画面上で取り出すCDを指定することにより、CD格納スロットからの所望のCD取り出しが可能になり、さらに、取り出すCDのICタグが自動的にCD用ICタグリーダによって読み取られるので、「本当にCDを取り出した」ことをシステム的に把握することが可能となる。
【0058】
さらに、CD格納・取り出しの際、使用者情報及びCD情報が管理部により管理されるため、誰が何を使用しているのか、何が格納されているのかといった現在の状況や、誰が何をいつ使用したのかといった使用履歴を、人による作業負荷をかけることなく管理することが可能となる。
【0059】
また、本願においては、スロットが飛び出す・突出する形式をとるので、メディアをスロット上に載置するだけで、情報読取・格納動作まで連続して行うことが可能である。
【0060】
さらに、スロットの規格が統一的であり、メディア収納ケースの所定位置にメディア用ICタグが貼付されるので、該メディア収納ケースをスロットに載置するだけで、ICタグリーダによる読取動作についての位置整合が保たれ、ICタグリーダによる読取性能を向上させる。
【0061】
また、スロットは1動作に1枚のみを対象とし、1枚のメディアを動かしている間はメディア格納ケースの他のメディアは収納(及びロック係止)された状態を保つので、当該他のメディアに係るセキュリティ性は向上する。この点で、たとえば、たとえば特許文献1等の従来技術では管理性能のみが向上されセキュリティ性の向上がなされていないのとは対照的である。また本願では、一つ一つのスロットが独立に形成され、それぞれの単位において管理の対象となるので、出し入れするときには対象は1つに限定され、その他については高いセキュリティ性を維持したまま収容保持される。この点で、たとえば特許文献1等の従来技術では物理的に複数のディスクの持ち出しが可能であるのとは対照的である。
【0062】
さらに本願発明は、その技術思想の同一及び等価に及ぶ範囲において様々な変形、追加、置換、拡大、縮小等を許容するものである。また、本願発明を用いて生産される装置、方法、ソフトウェア、システムが、その2次的生産品に登載されて商品化された場合であっても、本願発明の価値は何ら減ずるものではない。
【0063】
たとえば上記の説明では、メディアとして主にCD(コンパクトディスク)を例にとって説明したが、本願の射程範囲としてはこれに限られることなく、たとえば、メディアとして、DVD、MD、FD、MO、LD、コンパクトフラッシュ(商標)、マイクロドライブ、スマートメディア、SDメモリーカード、メモリースティック、xD−ピクチャーカード(xD-Picture Card)等の、(光ディスク、磁気記憶媒体を含む)記録媒体のいずれであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によれば、使用者認証用タグによる認証がなければ、CD格納スロットを制御する管理部が動作しないので、不正な使用者によるCDの持ち出しやすり替えを防止することができ、この機能は、銀行・証券等の顧客情報管理システムを初めとする各産業・各企業内の情報管理、物流倉庫等における物品管理、レンタル産業におけるレンタル品管理、宝飾品等の極小貴重物の盗難防止管理、図書館・博物館等における貸出し及び盗難防止管理等、あらゆる産業・分野に幅広く適用することができる。
【0065】
また、本発明によれば、CD格納の際、CDに貼付されたCD用ICタグをCD用ICタグリーダによって自動的に読み取るので、ICタグリーダにより読み取ることができない場合、CDはCD格納スロットへ格納できない。すなわち、登録された適正なCDのみを格納する機能を提供できる。この機能は、銀行・証券等の顧客情報管理システムを初めとする各産業・各企業内の情報管理、物流倉庫等における物品管理、レンタル産業におけるレンタル品管理、宝飾品等の極小貴重物の盗難防止管理、図書館・博物館等における貸出し及び盗難防止管理等、あらゆる産業・分野に幅広く適用することができる。
【0066】
CD用ICタグリーダにより読み取られた情報は、管理部により、たとえば画面上に反映される。
【0067】
CD格納スロットからのCD取り出しの際には、画面上で取り出すCDを指定することにより、CD格納スロットからの所望のCD取り出しが可能になり、さらに、取り出すCDのICタグが自動的にCD用ICタグリーダによって読み取られるので、「本当にCDを取り出した」ことをシステム的に把握することが可能となる。この有用性は、銀行・証券等の顧客情報管理システムを初めとする各産業・各企業内の情報管理、物流倉庫等における物品管理、レンタル産業におけるレンタル品管理、宝飾品等の極小貴重物の盗難防止管理、図書館・博物館等における貸出し及び盗難防止管理等、あらゆる産業・分野に幅広く適用することができる。
【0068】
CD格納・取り出しの際、使用者情報及びCD情報が管理部により管理されるため、誰が何を使用しているのか、何が格納されているのかといった現在の状況や、誰が何をいつ使用したのかといった使用履歴を、人による作業負荷をかけることなく管理することが可能となる。この有用性もまた、銀行・証券等の顧客情報管理システムを初めとする各産業・各企業内の情報管理、物流倉庫等における物品管理、レンタル産業におけるレンタル品管理、宝飾品等の極小貴重物の盗難防止管理、図書館・博物館等における貸出し及び盗難防止管理等、あらゆる産業・分野に幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係るCD管理自動化システム全体の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るCD管理自動化システムの概略図である。
【図3】本発明に係るCD格納ケース4の斜視透視図である。
【図4】本発明に係るCD格納ケース4の正面図である。
【図5】本発明に係るCD格納ケース4の側面図である。
【図6】本発明に係るCDのICタグ読取用リーダの位置を示す模式図である。
【図7】本発明に係るCD格納スロット41の斜視透視図である。
【図8】本発明に係るCD格納スロット41の正面図である。
【図9】本発明に係るCD格納スロット41の上面からの平面図である。
【図10】本発明に係るCD管理自動化システムの全体的な動作・機能の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明に係るCD格納スロット41の「格納」操作の際の動作を示す模式図である。
【図12】本発明に係るCD格納スロット41の「取出し」操作の際の動作を示す模式図である。
【図13】本発明に係るICタグ11を示す平面及び断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 使用者認証用ICタグ
2 使用者認証用ICタグ読取ICタグリーダ
3 管理部
4 CD格納ケース
5 CD用ICタグ読取ICタグリーダ
6 CD用ICタグ付CD
7 スロット ロック係止/ロック解除部
8 インジケータ
9 操作入力部
10 モニタ
11 ICタグ
31 使用者認証用ICタグ読取タグリーダ制御部
32 CD格納スロット制御部
33 CD用タグリーダ制御部
34 ロック係止/ロック解除部制御部
35 インジケータ制御部
36 データベース
37 使用者認証DB
38 CD情報DB
39 CD貸出履歴DB
41 CD格納スロット
42 CD挿入口
43 CDトレイ
71 ロックバー
100 CD管理自動化システム
311 照合部
312 表示部
313 データベース書き込み部
314 指定受取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディア用ICタグを所定の位置に貼付したメディアを格納しロック機構を備えたメディア格納スロットを複数備えたメディア格納ケースと、
前記メディア格納ケースに具備され前記メディア用ICタグ内の情報を読み取るためのメディア・タグリーダと、
前記メディア・タグリーダに接続され、メディアに係るデータベースを備え、該メディア・タグリーダにより読み取られた情報と該メディアに係るデータベースに書き込まれている情報との照合に基づき前記ロック機構の係止/解除及び前記メディア格納スロットのメディア格納もしくは取り出しに係る動作を制御する管理部と
を具備することを特徴とするメディア管理システム。
【請求項2】
使用者認証のためのICタグ内の情報を読み取るためのICタグリーダをさらに備え、
前記管理部は前記使用者認証用ICタグによる使用者の認証を行うことで動作することを特徴とする請求項1記載のメディア管理システム。
【請求項3】
前記メディアは、CD、DVD、MD、FD、MO、LD、コンパクトフラッシュ(商標)、マイクロドライブ、スマートメディア、SDメモリーカード、メモリースティック、xD−ピクチャーカード(xD-Picture Card)のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1もしくは2記載のメディア管理システム。
【請求項4】
前記メディアは該メディア単体を被うメディア収納ケースに収納され、前記メディア用ICタグは該メディア収納ケースの所定位置に貼付され、前記メディア格納スロットは該メディア収納ケースごとメディアを格納することを特徴とする請求項1もしくは2記載のメディア管理システム。
【請求項5】
前記管理部は、メディア格納の際には、
前記メディア・タグリーダによって読み取られたメディア用ICタグ内の情報とメディア・データベースとを照合する照合部と、
所望のメディア格納スロットのロック機構を解除してスロットを突出させ、該指定メディアの載置に対応して該スロットを退入させた後メディア格納スロットのロック機構を係止する制御部と、
前記照合部により正当なメディアと認証されたメディアについてのみ必要に応じて前記メディア・データベースに前記メディア用ICタグ内情報を書き込むデータベース書き込み部と
を具備することを特徴とする請求項1もしくは2記載のメディア管理システム。
【請求項6】
前記管理部は、メディア取り出しの際には、
メディア格納ケースに収納される全メディアに係る情報をメディア・データベースから取得して表示する表示部と、
所望のメディアの指定を受け取る指定受取部と、
前記指定受取部により受け取られた指定メディアに対応するメディア格納スロットのロック機構を解除してスロットを突出させ、該指定メディアの取り出しに対応して該スロットを退入させた後メディア格納スロットのロック機構を係止する制御部と、
必要に応じてメディア貸出履歴データベースを更新するデータベース書き込み部と
を具備することを特徴とする請求項1もしくは2記載のメディア管理システム。
【請求項7】
請求項1記載のメディア管理システムにおいて使用されることを特徴とするメディア格納ケース。
【請求項8】
前記メディア格納ケースは複数積層させることが可能であることを特徴とする請求項7記載のメディア格納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−209893(P2006−209893A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22326(P2005−22326)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(505036870)
【Fターム(参考)】