メディア認証装置及び携帯デバイス
【課題】電子スリやスキミングを防止するメディア認証装置を提供する。
【解決手段】非接触ICモジュールを搭載した携帯デバイスから、非接触ICモジュールを用いた所定の情報処理を可能にするための認証情報を受信するアンテナ42と、携帯デバイスに形成された認証情報を光学的に認識する光学認識機構49と、アンテナ42及び光学認識機構49で認識した認証情報が正当であるときに情報処理を可能にする制御部44とを備える。認証のために、従来のアンテナ42を用いた認証の他に、光学的に認証情報を認識する必要がある。携帯デバイスがカバンの中などに入れられている場合には、光学的に認証情報を取得することが困難になり、第三者の不正な使用を防止できる。
【解決手段】非接触ICモジュールを搭載した携帯デバイスから、非接触ICモジュールを用いた所定の情報処理を可能にするための認証情報を受信するアンテナ42と、携帯デバイスに形成された認証情報を光学的に認識する光学認識機構49と、アンテナ42及び光学認識機構49で認識した認証情報が正当であるときに情報処理を可能にする制御部44とを備える。認証のために、従来のアンテナ42を用いた認証の他に、光学的に認証情報を認識する必要がある。携帯デバイスがカバンの中などに入れられている場合には、光学的に認証情報を取得することが困難になり、第三者の不正な使用を防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICモジュールを搭載したメディア、携帯デバイス、並びに、このようなメディアの認証を行うメディア認証装置に関する。「非接触ICモジュール」は、例えば、ISO(International Organisation for Standadisation)のIEC(International Electrotechnical commision)、JTC1(Joint Technical Committee 1)/SC(Sub-Committe)17において国際標準化ないし国際標準化審議がなされているコンタクトレスICカード(「Contactless IC Card」)の仕様をベースにしたコア・モジュールをいい、「メディア」は非接触ICモジュールを搭載した媒体、装置全般を指す。「携帯デバイス」は、例えばカード型ツール、携帯電話無線機又はその部品、携帯型コンピュータ装置又はその部品等である。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ性が要求されるカード型ツールとして、電気的な接点を有する接触型ICカードが実用化されている。接触型ICカードは、接点を通じてリーダライタに直接電気的に接続される構造をもつため、一般的には動作は安定している。しかし、リーダライタへのカード挿抜には、物理的な接触を伴うため、接触不良等のトラブルを起こす可能性がある。そこで、物理的な接触がなくとも記録情報の伝達が可能な非接触ICモジュールを搭載した非接触ICカードが登場し、実用化されている。
【0003】
非接触ICカードは、カード媒体上に、アンテナ(コイル)を含む無線送受信回路とプロセッサ及びメモリを含むIC部とで構成される非接触ICモジュールを埋め込んで構成される。IC部にプロセッサを含まない、いわゆるメモリカードとして構成されたものもある。
【0004】
非接触ICカードとリーダライタとの結合は、無線送受信回路を通じて行われ、動作に必要な電源電力やクロックは、リーダライタ側から供給される。リーダライタからの電力成分等を含む情報の送信には、例えば13.56[MHz]の無線搬送波をASK(Amplitude Sift Keying)変調した信号が用いられる。一方、カード側からの情報の送信には、例えば13.56[MHz]の信号を複数合わせた副搬送波(847.5/423.7[kHz])を負荷変調した信号が用いられる。同一のリーダライタの近傍に複数の非接触ICカードが混在することが予想されるため、カード間のデータ衝突を防止する、アンチコリジョンと呼ばれる技術も確立している。
【0005】
近年は、携帯電話無線機や携帯型コンピュータのような携帯デバイスが急激に普及し、多くの者がこれらを携行するようになっている。非接触ICモジュールを用いて携帯電話無線機等に種々の付加価値を付ける試みもなされている。例えば、取引銀行の情報を記録した非接触ICモジュールを携帯電話無線機に挿入し、その所有者が物品の購入や有償サービスの提供をする際に、物品等の提供装置が携帯電話無線機を通じて非接触ICモジュールの記録情報を取得し、取得した記録情報を用いて自動的に電子決済を行うようにした情報処理システムが開示されている。特許文献1、2は、このような非接触ICモジュールを用いたシステムを提供する発明を開示している。
【特許文献1】特開2000−76399号公報
【特許文献2】特開2001−14433号公報
【0006】
非接触ICモジュールは、電子マネーにも活用されている。これに伴い、電子マネー決済を可能にする可搬型の非接触リーダライタも普及している。電子マネーや小額のクレジット決済においては、このような非接触リーダライタを非接触ICモジュールをに近づけるだけで決済処理を行えるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非接触ICモジュールに非接触リーダライタを近づけるだけで決済を行うことが容易になると、電子的なスリ、スキミングの問題が顕在化してくる。例えば、非接触ICモジュールを内蔵したカード、携帯電話無線機、PDA等のメディアないし携帯デバイスに第三者が携帯型の非接触リーダライタを近づけるだけで、それらの所有者の意図に関わらず、電子決済等の認証が行われてしまう。そのために、不正な使い方を有効に防止するための技術、例えば非接触リーダライタ側では正当なメディアのみを認証し、他方、メディアないし携帯デバイス側では正当なリーダライタのみを認証する技術が必要になる。
【0008】
本発明は、このような背景のものになされたもので、不正利用防止機能を有するメディア認証装置及び携帯デバイスを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[メディア認証装置]
本発明のメディア認証装置は、情報が記録されている非接触ICモジュールを搭載したメディアが有する要素であって前記非接触ICモジュールの記録情報を用いた所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構で認識し、これにより第1の照合用データを得る第1手段と、前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて前記認証情報を認識し、これにより第2の照合用データを得る第2手段と、前記第1手段で得た第1の照合用データと前記第2手段で得た第2の照合用データとを照合することにより前記情報処理を可能にするかどうかを決定する制御手段と、を備えたものである。
「認証情報」とは、情報処理の実行主体に提示して正当であることの認証を受けるための情報である。代表的な認証情報は、所有者識別情報(ID)、パスワード等である。この認証情報が所定条件下で複数の認識機構で認識され、正当に照合されない限り、情報処理が可能にならないので、第三者による不正な使用を抑制することができる。このメディア認証装置は、非接触リーダライタとしての実施に好適となる。
【0010】
本発明のメディア認証装置は、前記情報処理の結果を活用する情報処理装置、例えばパーソナルコンピュータ(PC)に接続可能な筐体を有するものとすることができる。筐体には、例えば、前記第1電磁波認識機構の少なくともアンテナ部分が固定的に内蔵されており、さらに、前記筐体のうち、前記アンテナ部分の覆域内に、前記光学認識機構、前記音波認識機構又は前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が設けられており、これにより、前記覆域内の任意の位置に置かれた前記メディアが有する前記認証情報の認識を可能にする。
【0011】
ある実施の一形態では、前記筐体に少なくとも一つのスロットを形成する。このスロットには、その一部が当該筐体からスライド式に突出自在に構成されたインタフェースボードが収容されており、前記インタフェースボードのうち、前記筐体から突出する部位には、前記メディアの置かれる位置に応じて変位可能なフラップ部が設けられており、前記光学認識機構、前記音波認識機構又は前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が、前記フラップ部に設けられているものとする。
【0012】
前記筐体が、前記インタフェースボード用のスロットのほかに、メディア収容用のメディアスロットが形成されたものとすることもできる。そして、前記フラップ部に、前記光学認識機構を設け、前記インタフェースボードが前記筐体から突出した状態では、前記第1電磁波認識機構が前記メディアスロット内のメディアが有する前記認証情報を認識するとともに前記フラップ部の光学認識機構が筐体外のメディアが有する前記認証情報を認識するものとする。あるいは、前記フラップ部に、少なくとも前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が設け、前記インタフェースボードが前記スロットから突出した状態では、前記第1電磁波認識機構が前記メディアスロット内のメディアが有する前記認証情報を認識するとともに前記第2電磁波認識機構が筐体外のメディアが有する前記認証情報を認識するものとする。前記第1電磁波認識機構及び前記第2電磁波認識機構の動作を交互に切り換える制御手段をさらに備えるようにしてもよい。前記第2電磁波認識機構が、前記認証の対象となるメディアとは別のメディアが保有する前記認証情報を認識する態様も可能である。
【0013】
前記光学認識機構は、例えば、前記メディアにおいて前記特定波長の光のみを検知する部材で前記認証情報が表された画像を当該光を用いて撮像する撮像機構を備えたものである。このような光学認識機構では、前記第2手段は、撮像機構の出力データから前記第2の照合用データを得る。認証情報を光学認識機構で認識することを情報処理の条件とすることにより、例えば、メディアがカバンの中などの外から見えない場所に保管されている場合には、認証情報の読み取りができないため、不正な使用を防止することができる。
前記光学認識機構は、前記メディアにおいて前記認証情報を光の強度又は波長の変化により表現された変化信号を受光する受光素子を備えたものとすることもできる。この場合、前記第2手段は、受光素子で受光した変化信号に基づいて前記第2の照合用データを得る。
【0014】
前記音波認識機構は、例えば、前記メディアにおいて前記認証情報が特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を受信する音波受信手段を備えたものである。このような音波認識機構では、前記第2手段は、受信された音波から前記第2の照合用データを得る。特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を用いることで、メディアを保有する者に、認証されようとしている事実を伝えることができ、第三者による不正使用を抑制することができる。
【0015】
メディアの所有者に対する注意を喚起する観点からは、前記制御手段が前記情報処理を可能にすると決定したときに、振動、光、音の少なくともいずれかを確認情報として出力する確認情報出力手段をさらに備えてメディア認証装置を構成する。
【0016】
上述したような複数の認証機構を用いて認証を行う場合、メディア認証装置とメディアとの位置決めを正しく行うことが好ましい。この場合は、特定波長の光を前記メディアに照射し、その反射像を撮像部で撮像する撮像装置と、前記光を透過し、かつ、可視光を反射する波長選択特性を有し、前記メディアを保持する者に映し出されたメディアの像を見せることによって前記メディアの位置決めを行わせるためのコールミラーとを更に備え、このコールドミラーが前記撮像装置と前記メディアとの間に配置されているメディア認証装置とする。
【0017】
[携帯デバイス]
上述したメディア認証装置の不正利用防止機能は、携帯デバイスにおいて実現することができる。本発明の携帯デバイスは、非接触ICモジュールを搭載した携帯性の筐体を有し、メディア認証機能を有するメディア認証装置との間で認証を行う携帯デバイスであって、前記非接触ICモジュールを用いて所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構で認識し、これにより第1の照合用データを得る第1手段と、前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて前記認証情報を認識し、これにより第2の照合用データを得る第2手段と、前記第1手段で得た第1の照合用データと前記第2手段で得た第2の照合用データとを照合することにより前記情報処理を可能にするかどうかを決定するデバイス制御手段と、を備えたことを特徴とする。
認証情報が所定条件下で複数の認識機構で認識され、正当に照合されない限り、情報処理が可能にならないので、第三者による不正な使用を抑制することができる。
【0018】
本発明の携帯デバイスにおいて、前記光学認識機構は、例えば、前記メディア認証装置において前記特定波長の光のみを検知する部材で前記認証情報が表された画像を当該光を用いて撮像する撮像機構を備えたものであり、前記第2手段は、この撮像機構の出力データから前記第2の照合用データを得る。あるいは、前記メディア認証装置において前記認証情報を光の強度又は波長の変化により表現された変化信号を受光する受光素子を備えたものであり、前記第2手段は、この受光素子で受光した変化信号に基づいて前記第2の照合用データを得る。
【0019】
前記音波認識機構は、例えば、前記メディア認証装置において前記認証情報が特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を受信する音波受信手段を備えたものであり、前記第2手段は、受信された音波から前記第2の照合用データを得る。
【0020】
前記第2電磁波認識機構は、前記第1電磁波認識機構で用いる電磁波と異なる電磁波で前記認証情報を送出するためのアンテナを含んで構成される。
【0021】
本発明の他の携帯デバイスは、非接触ICモジュールを搭載した携帯性の筐体を有し、上述した本発明のメディア認証装置に認証される携帯デバイスであって、前記非接触ICモジュールを用いて所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構を通じて前記メディア認証装置に認識させる第1手段と、前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、前記メディア認証装置に、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて認識させる第2手段と、前記メディア認証装置による認識結果に応じて前記情報処理を可能にするかどうかを決定するデバイス制御手段と、を備えたことを特徴とする。
前記第2手段は、例えば、前記認証情報を光学認識機構を通じて前記メディア認証装置に認識させるものであり、この光学認識機構は、前記筐体の所定部位に存在する前記認証情報を表す画像である。この画像は前記筐体を透過した特定波長の光を遮る部材でマーキングされたものである。
【0022】
なお、前記デバイス制御手段が前記情報処理を可能にすると決定したときに、振動、光、音の少なくともいずれかを確認情報として出力する確認情報出力手段をさらに備えて携帯デバイスを構成してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第1電磁波認識機構のみならず、他の認識機構でも認識されない限り、非接触ICモジュールの情報を用いた情報処理ができないので、第三者による不正な使用を抑制ないし防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明のメディア認識装置を非接触リーダライタに適用した場合の実施の形態例を、図面を参照して説明する。
<非接触ICモジュール搭載メディア>
まず、非接触リーダライタによって認証を受ける非接触ICモジュールを搭載したメディア(以下、「非接触ICメディア」と称する)について説明する。非接触ICメディアは、例えば、シート状メディア、スティック状メディア、固体型メディア、デバイス型メディアとしての形態例がある。デバイス型メディアについては、後で携帯デバイスとして説明する。図1(a)〜(c)は、固体型メディアの非接触ICメディアを説明するための図である。
【0025】
固体型メディアは、用途に応じて種々の形状に成形された媒体に非接触ICモジュールを埋め込んだものである。例えばコイン型メディアは、コイン形状の媒体に非接触ICモジュールを埋め込んで形成される。コイン形状の媒体は、単純な円盤構造のものでもよいが、例えばメディアホルダ上で露出させた状態で使用する場合には、使用中に離脱しないようにするために、その形状・構造に工夫を要する。例えば、自らの位置が変位するだけでメディアホルダへの係合と離脱とを許容する係合機構を一体に形成することもできる。
【0026】
この係合機構は、図1(a)に例示するメディアホルダ側のメディア係合機構31に対応したもので、その具体的な構造は、例えば図1(b)上部に示すようになる。すなわち、コイン状のモジュール媒体10の裏面部に、メディア係合機構31に係合させることができる突起体10aを一体に形成する。使用時には、図1(c)に示すように、モジュール媒体10をメディア係合機構31に挿入して回転させて係合させる。離脱させるときは、係合の際の方向と逆方向に回転させる。
【0027】
<非接触ICモジュール>
非接触ICメディアに搭載される非接触ICモジュールについて説明する。非接触ICモジュールは、図2に示されるように、少なくとも、アンテナ(ANT)21、送受信回路22、デバイス制御部23、及びメモリ24を備えて構成される。
デバイス制御部23は、非接触リーダライタからアンテナ21及び送受信回路22を通じて受けとった電力成分とクロック成分をもとに電源電力及びクロックを生成し、非接触モジュールの動作環境を整えるとともに、非接触ICメディア20が搭載されるデバイス、例えば後述する携帯デバイスのインタフェース制御をも行う。また、メモリ24へのデジタル情報(所定処理の実行に使用されるデータ及びコマンド類、以下同じ)の書込(「データIN」)及びメモリ24からのデジタル情報の読み出し(「データOUT」)を制御するとともに、読み出したデジタル情報を、送受信回路22及びアンテナ21を通じて、非接触リーダライタ側に送信する。メモリ24には、必要に応じて、当該非接触ICメディア20を識別するための識別データやユーザの固有データ等の認証情報(この認証情報を「第1認証情報」と称する)、簡単なアプリケーションプログラムやディジタルコンテンツ等が記録される。第1認証情報は、従来の非接触ICメディアでユーザ認証時に行われているのと同様に、電磁波によって非接触リーダライタに取り込まれ、ユーザ認証に用いられる。
【0028】
セキュリティ性が要求される用途に使用する場合は、非接触ICメディア20に、情報処理手段の1つであるプロセッサを設け、また、メモリ24に、プロセッサが読取可能な暗号鍵及び復号鍵及び暗号アルゴリズムを記録しておく。このようにすれば、非接触ICメディアを搭載可能な非接触リーダライタにおいて、当該非接触ICメディア20に付与された機能と同じ機能、つまり暗号機能及び復号機能を実現できるようになる。同様に、非接触ICメディア20のメモリ24に実行形式のアプリケーションプログラムを記録した場合は、非接触リーダライタでそのアプリケーションプログラムを実行できるようになる。また、アプリケーションプログラムの実行結果を非接触ICメディア20のメモリ24に記録することもできる。
【0029】
<携帯デバイス>
デバイス型メディアとして、非接触ICメディア20を内部に組み込んだ携帯電話無線機、PDAとしての実施の形態例を説明する。いずれも、携帯性の筐体を有し、この筐体に、後述する非接触リーダライタとの間で、情報受け渡しを非接触に行うためのインタフェース等が設けられている。
【0030】
筐体には、上述した第1認証情報と関連付けられたもう一つの認証情報(「第2認証情報」と称する)が、好適には筐体外から視認できない部位に保持されている。第2認証情報は、非接触リーダライタによる非接触ICメディア20のユーザ認証の際に認識されるデータであり、第1認証情報と同じ内容であってもよい。第2認証情報の保持の形態は様々であるが、例えば、後述する光学認識機構による場合は、第2認証情報を2次元バーコード画像等で表現し、この2次元バーコード画像を印刷したシートを筐体に挟み込んだり、筐体内に粘着物で内部に貼り込んだりすることが考えられる。このバーコード画像は、筐体を透過した特定波長の光を遮る材質の塗料で印刷する。
【0031】
デバイス制御部23は、非接触リーダライタに向けて第1認証情報を電磁波により送出することにより、その非接触リーダライタに第1認証情報を認識させ、第1認証を行わせるとともに、所定条件下で第2認証情報を非接触リーダライタに読み取らせ、これにより第2認証を行わせる。そして、非接触リーダライタから、これらの認証の結果がいずれも正当であることを表す信号を受けとったときに、非接触ICモジュールからのデジタル情報の読み出しを可能にする。なお、非接触リーダライタに第2認証情報を読み取らせるタイミングは、デバイス制御部23が主体的に行ってもよく、あるいは、非接触リーダライタ側が主体的に行ってもよい。
【0032】
第2認証情報は、光学認識機構、電磁波認識機構、音波認識機構あるいはこれらの組み合わせにより非接触リーダライタに取り込まれ、認識される。
以下、これらの態様を具体的に説明する。
(a)光学認識機構で認識させる第2認証情報
第2認証情報は、文様、文字、数字、バーコード画像、電子透かし等の表示体により、非接触ICメディア20、あるいは、携帯デバイスの筐体に挟み込まれ、あるいは内部に貼り付けられる。筐体に別途設けられたディスプレイに表示されるようにし、これを非接触ICリーダライタに認識させるようにしてもよい。第2認証情報の表示は、ディスプレイによらない場合は、筐体を透過してきた特定波長の光を遮る材質による印刷やマーキング等で行われる。非接触リーダライタは、この特定波長の光を使って表示体を認識する。
【0033】
図3(a)は、携帯デバイスの一例となるカードを示している。このカードは、筐体の一例となるカード媒体32に、非接触ICメディア20が挟み込まれており、さらに、カード媒体32に、表示体の一例となるバーコード画像33が表示されている。バーコード画像33は、カード媒体32の表面に表示されていてもよいが、好適には非接触ICメディア20と同様にカード媒体32に挟み込まれている。カード媒体32に挟み込むことで、バーコード画像33が外から視認できなくなり、セキュリティが保たれる。
【0034】
図3(b)は、携帯デバイスの他の例となる携帯電話無線機等の筐体34を示している。この筐体34は、非接触ICメディア20を内蔵しており、さらに、筐体34に表示体の一例となるバーコード画像35が貼り付けられる。バーコード画像35は、筐体34の表面に貼り付けられていてもよいが、好適には筐体34の内側に貼り付ける。筐体34の内側に貼り付けることで、バーコード画像33が外から視認できなくなる。
なお、バーコード画像33,35は、図4に示すような2次元バーコード画像であってもよい。
【0035】
このようなバーコード画像33,33a,35は、人間が視認できないような材料を用いて印刷される。例えばリン酸塩系白色結晶粉末等のインクや特殊金属を含んだインクを用いて、近赤外線、赤外線、紫外線、あるいはテラヘルツ光等の可視光を除く特定の波長の光を反射するようにする。この特定の波長の光を反射するインクにより、第1層が印刷される。
【0036】
より好ましくは、第1層を覆うように、この特定の波長の光を透過するインクによる第2層を形成する。第2層は、例えば特定の波長の光を透過するプラスチック、紙等の素材で形成する。そして、これらの素材に、その特定の波長の光を透過するインクを塗布する。特定の波長の光を透過する第2層と反射する第1層とにより、第1層に印刷されたセキュリティ画像を人間が直接視認できず、非接触リーダライタが特定の波長の光でのみ機械的に認識することが可能となる。
このように、非接触リーダライタでは光学読み取り可能で人間には視認不可とすることで、第2認証情報の偽造を防止することができる。
【0037】
図5(a)は、図3のカード媒体32により、第1層、第2層を説明する図である。第1層であるバーコード33上に第2層33aが印刷される。図5(b)は、図4の筐体34により、上記の第1層、第2層を説明する図である。第1層であるバーコード35が筐体34内部に印刷され、筐体34が第2層になっている。図5(a)、(b)において矢印で示す光は、第2層を透過して第1層で反射している。
【0038】
第2認証情報は、携帯デバイスに印刷された表示体が、光学的に認識できる状態になければ読み取ることができない。つまり、カード媒体や携帯電話無線機等がポケットやカバン、財布等に入った状態では、非接触リーダライタから第2認証情報を読み取ることができない。第2認証情報が読み取れなければ、認証が完結しないので、非接触ICメディアの悪用を防止することが可能になる。また、携帯デバイスが外部にあっても、第2認証情報が視認不可の状態になっていれば、第2認証情報の偽造を防止することもできる。
【0039】
また、赤外光あるいは紫外光の光源を用意しておき、光源から発光される光の強度又は色の変化信号として、第2認証情報を表すようにしてもよい。光源からは、変化信号を一定時間だけ送出する。この場合、例えば、デバイス制御部23により第2認証情報を光の強度又は色の変化信号に変換する。
【0040】
(b)電磁波認識機構で認識される第2認証情報
第2認証情報が電磁波認識機構、すなわち無線通信手段によって非接触リーダライタに取り込まれる場合には、第1認証情報が記憶された非接触ICメディアの他に、アクティブタグ、RFIDタグ等のもう一つ非接触ICメディアを用いる態様がある。第1認証情報を記憶する非接触ICメディアと第2認証情報を記憶する非接触ICメディアは、1つの非接触リーダライタとの間で異なる周波数で通信を行う。但し、同じ周波数を異なるタイミングで使用することもできる。これら2つの非接触ICメディアは、1つの携帯デバイスに搭載されていてもよく、また別の携帯デバイスに搭載されていてもよい。
【0041】
(c)音波認識機構により認識される第2認証情報
音波認識機構は、音源生成部と音波出力装置との組み合わせから成る。音源生成部は、デバイス制御部23が、第2認証情報を音データに変換(変調)するとともに、変換後のデータに基づいて図示しない音源を制御することにより、特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を生成することで実現する。音波出力装置は、例えばスピーカその他の振動素子である。音波は、可聴域の周波数を用いる。これは、携帯デバイスを保有する者に特定の音色又はその組み合わせによって、注意を喚起するためである。
図6は、非接触ICメディア20と、音波出力装置としてスピーカ37を有している携帯デバイス36の例を示した図である。
【0042】
<非接触リーダライタ>
次に、携帯デバイスとの間で認証情報(第1認証情報及び第2認証情報)の受け渡しを非接触に行う非接触リーダライタの実施の形態を説明する。
まず、非接触ICメディアとして、単純構造、つまり上述の係合機構10aを持たないコイン型メディアを用いた場合の例を示す。上述のシート状の非接触ICメディアも、コイン形状のモジュール媒体に貼り付ければ、コイン型メディアとして使用することができるものである。
【0043】
(1)第1実施形態
図7は、非接触リーダライタの第1実施形態の構成図である。この非接触リーダライタ40は、内部用の非接触ICメディアを担持するためのメディアホルダ41と外部に存する他の非接触ICメディアとの間にアンテナ42を介在させている。アンテナ42は、通常、非接触リーダライタ40の筐体蓋部に埋め込まれる。アンテナ42及びメディアホルダ41には送受信回路43が接続されており、送受信回路43には、制御部44、電力供給部47、及びクロック供給部48が接続されている。
電力供給部47は、送受信回路43に於いて搬送波に重畳される電力成分を出力するものであり、クロック供給部48は、同様に、搬送波に重畳される所定周期のクロック成分を出力するものである。
制御部44は、メモリ(M)45からの記録情報の読出制御、メモリ45への書込制御、送受信回路43における送受信波のタイミング制御、及び、外部インタフェース(I/F)46を通じて外部電子回路との間の情報の授受の制御を行う。また、公知のアンチコリジョン方式による複数の非接触ICメディアとの間の輻輳を防止する機能をも有している。
【0044】
第1実施形態の非接触リーダライタ40は、メディアホルダ41に担持された非接触ICメディア、あるいは、筐体外に存する非接触ICメディアから、送受信回路43を通じて第1認証情報を受信して第1の照合用データに変換し、これを制御部44に伝達する。
非接触リーダライタ40は、また、光学認識機構49を備えている。光学認識機構49は、第2認証情報を認識して照合用データを得るものであり、CCDのような撮像素子を含む撮像装置を有している。必要に応じて光源を備える。光源を備える場合は、光源からの光を携帯デバイスに向けて照射させ、この光の透過光あるいは反射光により携帯デバイスの第2認証情報を撮像装置で撮像し、公知の画像認識機能を用いて第2の照合用データに変換する。光源は、上述したバーコード画像33,33a,35のような第2認証情報を表す表示体が反射する、あるいは、透過を遮る特定波長の光を照射する。光学認識機構49により得られた第2の照合用データは、送受信回路43を介して、あるいは、直接、制御部44へ送られ、ここで、第1の照合用データと照合される。制御部44は、第1及び第2の照合用データを照合し、正当であれば認証を完結し、非接触ICメディア20の記録情報を用いた情報処理を可能にする。
なお、メディアホルダ41に、複数の非接触ICメディア(図示せず)が担持されている場合でも、アンチコリジョン機能が働くほか、各非接触ICメディアのメモリに記録された識別データやユーザの固有データ等を解読することにより容易に両者を識別することができるので、問題は生じない。
【0045】
図8は、光学認識機構49の具体的な構成例を表す図である。この光学認識機構49は、光源491、レンズ492、493、495、反射板494、496、及び撮像素子497を備えている。この光学認識機構49は、メディアホルダ41の近傍に備えられており、メディアホルダ41に非接触ICメディアが装着された場合には、光源491から照射する光によって、非接触ICメディアから第2認証情報を取り込むことができる。そのために、メディアホルダ41が装着されるメディアスロット410が、レンズ492、493の間に設けられている。
第2認証情報を取り込むための光は、レンズ492、493を通過した後、反射板494で反射され、レンズ495を通過して、反射板496により反射されて撮像素子497に導かれる。撮像素子497で撮像された画像は、第2の照合用データに変換される。
【0046】
非接触リーダライタ40と非接触ICメディアとの間の情報の送受信は、通常の非接触リーダライタと非接触ICカードと同様の動作環境で実現することが可能である。例えば、非接触リーダライタ40から非接触ICメディアへの情報の送信には、13.56[MHz]の無線搬送波をASK変調した信号、非接触ICメディアから非接触リーダライタ40への情報の送信には、13.56[MHz]の信号を複数合わせた副搬送波(847.5/423.7[kHz])を負荷変調した信号をそれぞれ用いることができる。非接触リーダライタ40から非接触ICメディアへは、データ成分のほかに、クロック成分、電力成分も送られることも従来の非接触ICカードの場合と同様である。
【0047】
図9は、非接触リーダライタ40により携帯デバイス34が搭載する非接触ICメディア20の認証を行う場合の説明図である。
非接触リーダライタ40は、アンテナ42の覆域内にある非接触ICメディア20から受信した第1認証情報に基づく第1の照合用データと、光学認識機構49によりバーコード画像35を読み取った第2認証情報に基づく第2の照合用データとを用いて認証を行う。非接触リーダライタ40は、この2つの照合用データの照合により認証が得られた場合にのみ、非接触ICメディア20に対する情報の読出制御及び書込制御を許容する。
【0048】
図9において非接触リーダライタ40に表示される2種類の実線による2重丸は、一方の線が非接触リーダライタ40のカメラの位置、他方の線が携帯デバイス34の位置を表しており、非接触リーダライタ40に対して光学読み取りが可能な位置、距離に携帯デバイス34が存在することを表している。つまり、光学認識機構49で正常な読み取りが行われている場合に表示される。非接触リーダライタ40は、このような表示によりユーザに光学読み取りが正常に行われていることを通知する。
なお、携帯電話無線機のように携帯デバイス34にディスプレイがある場合には、非接触リーダライタ40から正常な読み取りが可能なことを通知して、携帯デバイス34のディスプレイでこのような表示を行うようにしてもよい。
【0049】
(2)第2実施形態
図10は、非接触リーダライタの第2実施形態の構成図である。この非接触リーダライタ50は、図7の非接触リーダライタ40の光学認識機構49が第2アンテナ59に置き換わった点を除いて、同様の構成である。第2アンテナ59は、アンテナ42が通信を行う非接触ICメディアとは異なる非接触ICメディアとの間で、アンテナ42とは異なる周波数による通信を行う。そのために、アンテナ24と第2アンテナ59とで、同じ非接触ICメディアと通信を行うことがない。
【0050】
図11は、非接触リーダライタ50により第1、第2携帯デバイス38、39に搭載された第1、第2非接触ICメディア20a、20bの認証を行う場合の説明図である。なお、図11では第1、第2携帯デバイス38、39と2つの装置を用いて説明しているが、これに限らず、1つの携帯デバイス内に2つの非接触ICメディアを有する構成であってもよい。携帯デバイスの数に限らず、2以上の非接触ICメディアを用いることが必要である。
【0051】
非接触リーダライタ50は、制御部44により、アンテナ42が第1非接触ICメディア20aから取得した第1認証情報と、第2アンテナ59が第2非接触ICメディア20bから取得した第2認証情報とを用いて認証処理を行う。認証が得られた場合にのみ、アンテナ42を介して第1非接触ICメディア20aのメモリ24に対する情報の読出制御及び書込制御を行うことができる。
【0052】
また、制御部44は、メディアホルダ41に担持された非接触ICメディア(図示せず)から取得した該非接触ICメディアの第1認証情報と第2アンテナ59により取得した第2認証情報とを用いて認証処理を行ってもよい。認証が得られた場合にのみ、メディアホルダ41を介して該非接触ICメディアのメモリ24に対する情報の読出制御及び書込制御を行うことができる。また、アンテナ42を介して第1認証情報を取得し、メディアホルダ41を介して第2認証情報を取得して認証処理を行うようにしてもよい。
【0053】
(3)第3実施形態
図12は、非接触リーダライタの第3実施形態の構成図である。この非接触リーダライタ60は、図7の非接触リーダライタ40の光学認識機構49が音認識部69に置き換わった点を除いて、同様の構成である。
音認識部69は、音波認識により第2認証情報を取り込むためのものであり、携帯デバイスから出力された音波を取り込み、取り込んだ音波から第2認証情報を復元して第2の照合用データを得る。第2認証情報の復元は、例えば、音認識部69が音波を量子化することで行う。第2の照合用データは、送受信回路43を介して、あるいは、直接制御部44へ送られる。
【0054】
図13は、非接触リーダライタ60により携帯デバイス36が搭載する非接触ICメディア20の認証を行う場合の説明図である。
非接触リーダライタ60は、制御部44により、アンテナ42が非接触ICメディア20から取得した第1認証情報に基づく第1の照合用データと音認識部69で取得した第2認証情報に基づく第2の照合用データとを照合することにより、認証を行う。認証が得られた場合にのみ、非接触ICメディア20のメモリに対する情報の読出制御及び書込制御を許容する。
【0055】
以上のように非接触リーダライタ40、50、60で、第1認証情報に基づく第1の照合用データと第2認証情報に基づく第2の照合用データとを用いて認証を行う。図14は、制御部44による上記認証の手順を総括的に示したフローチャートである。
【0056】
図14を参照すると、非接触リーダライタ40、50、60は、非接触ICメディア20から第1電磁波認識機構(非接触ICモジュール20との無線通信)によって第1認証情報を取得し(ステップS10)、取得した第1認証情報の認識を行う(ステップS20)。認識できた場合は、認識結果を第1の照合用データとする(ステップS20;Y)。第1認証情報を認識できなかった場合は、認証処理を終える(ステップS20;N)。
【0057】
非接触リーダライタ40、50、60は、また、光学認識機構、音波認識機構又は第2第2電磁波認証機構(他の非接触ICモジュールによる無線通信)によって第2認証情報を取得し(ステップS30)、取得した第2認証情報の認識を行う(ステップ40)。認識できた場合は、認識結果を第2の照合用データとする(ステップS40;Y)。第2認識情報を認識できなかった場合は、認証処理を終える(ステップS40;N)。
【0058】
非接触リーダライタ40、50、60は、これらの照合用データの照合を行い(ステップS50)、これらが適合した場合は、正当であると判定して認証処理を終了する(ステップS50:OK)。これにより、非接触リーダライタ40、50、60は、非接触ICメディア20のメモリへの情報の書き込み、情報の読み取りを許容する。
【0059】
ステップS50で2つの照合用データが適合しない場合は、認証処理を中止する(ステップS50:NG)。その結果、非接触リーダライタ40、50、60は、非接触ICメディア20のメモリへの情報の書き込み、情報の読み取りを禁止する。
このように、第1認証情報と共に第2認証情報が所定条件下、例えば電磁波認識と光学認識により認証を行う場合は、バーコード画像を有する携帯デバイスがアンテナの覆域内にあることを条件として、これらの認識機構で認識され、正当に照合されない限り、情報処理が可能にならないので、第三者による不正な使用を抑制することができる。
【0060】
なお、図14のフローチャートでは、第1認証情報の取得後に第2認証情報を取得することとしたが、この取得順は逆であってもよい。つまり、ステップS30及びステップS40の後に、ステップS10及びステップS20の処理を行うようにしてもよい。また、第1認証情報及び第2認証情報を同時に取得して、各々の認証も同時に行うようにしてもよい。
【0061】
以上の説明では、非接触リーダライタ40、50、60側で第1認証情報及び第2認証情報を認識することとしたが、本発明はこれに限らず、非接触ICメディアを搭載した携帯デバイス側で、認証処理を行うようにしてもよい。
すなわち、非接触リーダライタに第2認証情報を光学読み取り、無線通信、音認識により取得可能なように保持させておき、非接触ICメディアを搭載した携帯デバイスが第2認証情報を取得するようにしてもよい。この場合、携帯デバイスが、光学認識機構49、第2アンテナ59、音認識部69のいずれかを保持して、制御部44で行う処理を受け持つ処理装置を有することになる。
また、光学読み取り、無線通信、音認識の各方式を組み合わせて、認証処理を複数回行うようにしてもよい。このような構成では、非接触ICメディアのセキュリティがさらに向上することが期待できる。
【0062】
なお、認証が行われるときの携帯デバイスを保有する者への注意喚起手段として、制御部44等が、認証処理を可能にすると決定したときに、振動、光、音の少なくともいずれかを確認情報として自ら出力するか、あるいは、携帯デバイスへ通知して、その携帯デバイスからこれらを出力させるようにしてもよい。
【0063】
(4)第4実施形態
本発明では、上記動作を容易にするため、非接触リーダライタにいくつかの特徴的な構造を持たせている。以下、これらについて説明する。
図15は、筐体をPCカード型とした非接触リーダライタの例を示している。
この非接触リーダライタ100は、PCカード型の筐体110のうち、PCに収容される部位(インタフェースボード)に、制御部その他の機能部分と電磁波認識機構とを内蔵させるとともに、PCから突出する部位を開口とするメディアスロット111を形成し、さらに、メディアスロット111の開口部の上部に、開閉自在のフラップ部112を設けている。フラップ部112の一方の面部には光学認識機構の一部である撮像装置113が設けられている。撮像装置の周囲に照明用の発光素子を設けてもよい。
【0064】
フラップ部112は、支点で支持されて傾斜自由であり、図示のように開いた状態では、例えば上述したバーコード画像等が形成された携帯デバイスを撮像し、閉じた状態(図示せず)では、孔部114を介して、メディアスロット111に収容された非接触ICメディアのバーコード画像を撮像する。これにより、筐体110に内蔵された制御部及び電磁波認識機構を通じて第1認証情報を認識しつつ、例えばその電磁波認識機構のアンテナの覆域内に存在することを条件として、光学認識機構による第2認証情報を認識させ、これによって、2種類の照合用データを得、これらの照合用データの照合により、認証を行うことができる。
【0065】
なお、フラップ部111に、第2電磁波認識機構の一部をなすアンテナを内蔵しておき、筐体110に内蔵されたリーダライタ部のアンテナとその動作を切り換えることにより、第1電磁波認識機構と第2電磁波認識機構とを用いた認証を行うこともできる。
なお、第1電磁波認識機構、第2電磁波認識機構及び光学認識機構を併用することも可能である。
【0066】
この非接触リーダライタ100は、図16に示すように、PC130とのインタフェース機構を備えたケース120を介してPC130のスロットに収容される。
【0067】
(5)第5実施形態
図17は、例えばUSB接続可能な外付け型の非接触リーダライタの例を示している。
図17(a)はこの非接触リーダライタの外観斜視図である。この非接触リーダライタ200は、上下2段のスロットを有する筐体201を有する。上段のスロット210には、その一部が筐体201から、イジェクトボタン230を操作することで、図17(b)のように、スライド式に突出自在に構成されたインタフェースボード211が収容されるようになっている。インタフェースボード211には、デバイス制御部その他の機能部分と電磁波認識機構が内蔵されている。筐体201の下段のスロットはメディアスロット220であり、カード型の携帯デバイスないし非接触ICメディア300が収容できるようになっている。メディアスロット220に収容される非接触ICメディア300には、上述したバーコード画像310が形成されている。
【0068】
インタフェースボード211のうち、一方の端部には、支点で支持されて開閉自在になっているフラップ部212が設けられている。このフラップ部212は、筐体201に収容されない携帯メディアの置かれる位置に応じて変位可能となる。フラップ部212には、アンテナ213が撮像装置214が設けられている。フラップ部212が開いている状態では、図17(d)のように携帯デバイス400を撮像装置214で撮像し、撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、その携帯デバイス300が有する第2認証情報を認識するとともに(光学認識機構)、アンテナ213を通じてその携帯デバイス300の第1認証情報を無線通信により認識できるようにする(第1電磁波認識機構)。他方、フラップ部212が閉じている状態では、孔部215(図17(c))を通じて、メディアスロット220に収容されている非接触ICメディア300のバーコード画像310を撮像し、これを画像処理して第2認証情報を認識できるようにする。
【0069】
なお、フラップ部212に設けるアンテナは、第1電磁波認識機構用のものであってもよく、第2電磁波認識機構用のものであってもよい。後者の場合、第1電磁波認識機構用のアンテナは、筐体201の所定部位に内蔵しておくとともに、2つのアンテナの動作を所定タイミングで切り換えるようにする。但し、アンチコリジョンを行う場合は、アンテナの動作は、必ずしも切り換える必要がない。
【0070】
また、図17では、フラップ部212に、アンテナ213及び撮像装置214を設けた場合の例を示したが、携帯デバイスの側に、音波認識を可能にする要素を設ける場合は、筐体201に音波受信回路、音復調回路、音−テキスト変換手段を内蔵させるとともに、アンテナ213及び撮像装置214に代えて、あるいはこれらと共に、音波認識機構の出力装置(スピーカ等)を設ける。
【0071】
(6)第6実施形態
次に、携帯デバイスと非接触リーダライタとの位置決め機構の実施形態について説明する。この機構は、ディスプレイとソフトウエア処理とにより実現することができる。例えば非接触リーダライタにディスプレイを設け、このディスプレイに、公知のコールドミラーを貼り付ける。そして、制御部(上述した制御部44等)が、近赤外線等の波長の光を携帯メディアに照射し、その反射像をカメラで撮像する。コールドミラーは、光を透過し、かつ、可視光を反射する波長選択特性を有するので、携帯メディアを保持する者(ユーザ)に、ディスプレイに映し出されたメディアの像を見せることによって、携帯メディアの位置決めを行わせることができる。この手順を図18を参照して説明する。
【0072】
図18(a)に示すように、非接触リーダライタ500は、コールドミラーが貼り付けられたディスプレイ510と、レンズが携帯メディア用領域520を指向する撮像部(カメラ)530とを備えており、ディスプレイ510を通じてユーザをガイドする。
図18(b)に示すように、ユーザが、携帯メディア用領域520に携帯デバイス600を置こうとすると、撮像部530が、その携帯メディア600の光学要素、すなわちバーコード画像610を撮像し、その結果を制御部に伝える。制御部は、画像処理により、予め測定しておいた基準画像511と、撮像結果により生成した画像512とをディスプレイ510で重複表示させる。これらの画像511,512が合致したときが、携帯メディア400の最適な位置であるとして、上述した2段階の認証(第1認証情報/第2認証情報)を行う。認証がとれたときは、所要の処理を実行し、正常終了後は、ディスプレイ510の表示を図18(c)のように変える。
これにより、正しい位置関係で、認証処理を行うことができ、セキュリティの確保に加え、認証の正確性を担保することができる。
【0073】
以上、複数の実施形態例により本発明を説明したが、本発明の実施形態は、上述した例に限定されるものではない。
例えば、各実施形態では、主として、第1認証情報、第2認証情報を保持ないし保有するのが携帯デバイスであり、非接触リーダライタは、これらを複数の認識機構で認識する場合の例を説明したが、第1認証情報、第2認証情報のいずれか、あるいは、双方を非接触リーダライタが保持ないし保有するようにしてもよい。この場合、これまで説明してきた非接触リーダライタが持つ認識及び照合用の機能手段は、それを携帯デバイスを持つことが不自然でない限り、携帯デバイスに持たせるようにする。
【0074】
また、各実施形態では、光学認識機構が、バーコード画像等を撮像することによって、その画像が表す第2認証情報を認識する場合の例を示したが、光学認識機構は、光の強度又は波長の変化により第2認証情報を表現した変化信号であってもよい。この場合、第2認証情報を認識する側は、変化信号を受光する受光素子と、この受光素子で受光した変化信号に基づいて第2の照合用データを得る手段とを設けることになる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】自らの位置が変位するだけでメディアホルダへの係合と離脱とを許容する係合機構の説明図であり、(a)はメディアホルダ側のメディア係合機構の正面図、(b)はモジュール媒体側の係合機構の説明図、(c)は使用状態を示す説明図である。
【図2】非接触ICメディアの構成図である。
【図3】(a)は非接触ICメディアを搭載したカードの例、(b)は非接触ICメディアを搭載した携帯デバイスの例を示した図である。
【図4】バーコード画像の例を示した図である。
【図5】(a)は、図3のカード媒体により第1層、第2層を説明する図、(b)は図4の筐体により第1層、第2層を説明する図である。
【図6】非接触ICメディアを搭載した携帯デバイスの例示図である。
【図7】非接触リーダライタの第1実施形態の構成図である。
【図8】光学認識機構の具体的な構成例を表す図である。
【図9】第1実施形態の非接触リーダライタにより非接触ICメディアの認証を行う場合の説明図である。
【図10】非接触リーダライタの第2実施形態の構成図である。
【図11】第2実施形態の非接触リーダライタにより非接触ICメディアの認証を行う場合の説明図である。
【図12】非接触リーダライタの第3実施形態の構成図である。
【図13】第3実施形態の非接触リーダライタにより非接触ICメディアの認証を行う場合の説明図である。
【図14】認証処理のフローチャートである。
【図15】筐体をPCカード型とした非接触リーダライタの構造説明図である。
【図16】図15に示した非接触リーダライタの使用態様の説明図である。
【図17】(a)〜(d)はUSB接続可能な非接触リーダライタの構造構成図である。
【図18】(a)〜(c)は位置決め機構を備えた非接触リーダライタの使用手順説明図である。
【符号の説明】
【0076】
10…モジュール媒体、 20、20a、20b、300…非接触ICメディア、 10a…メディア側の係合機構、 31…メディア担持体側のメディア係合機構、 21、42、213…アンテナ、 22、43…送受信回路、 23…デバイス制御部、 24、45…メモリ、 32…カード媒体、 33、35、310、610…バーコード画像、 34、36、400…携帯デバイス、 37…スピーカ、 38…第1携帯デバイス、 39…第2携帯デバイス、 40、50、60、100、200、500…非接触リーダライタ、 41…メディアホルダ、 44…制御部、 46…外部インタフェース回路、 47…電力供給部、 48…クロック供給部、 49…光学認識機構 111、220、410…メディアスロット、 491…光源、 492、493、495…レンズ、 494、496…反射板、 497…撮像素子、 59…第2アンテナ、 69…音認識部、 110、201…筐体、 112、212…フラップ部、 113、214…撮像装置、 114、215…孔部、 120…ケース、 130…PC、 210…スロット、 211…インタフェースボード、 230…イジェクトボタン、 510…ディスプレイ、 511、512…画像、 520…携帯メディア用領域、 530…撮像部、 600…携帯メディア
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ICモジュールを搭載したメディア、携帯デバイス、並びに、このようなメディアの認証を行うメディア認証装置に関する。「非接触ICモジュール」は、例えば、ISO(International Organisation for Standadisation)のIEC(International Electrotechnical commision)、JTC1(Joint Technical Committee 1)/SC(Sub-Committe)17において国際標準化ないし国際標準化審議がなされているコンタクトレスICカード(「Contactless IC Card」)の仕様をベースにしたコア・モジュールをいい、「メディア」は非接触ICモジュールを搭載した媒体、装置全般を指す。「携帯デバイス」は、例えばカード型ツール、携帯電話無線機又はその部品、携帯型コンピュータ装置又はその部品等である。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ性が要求されるカード型ツールとして、電気的な接点を有する接触型ICカードが実用化されている。接触型ICカードは、接点を通じてリーダライタに直接電気的に接続される構造をもつため、一般的には動作は安定している。しかし、リーダライタへのカード挿抜には、物理的な接触を伴うため、接触不良等のトラブルを起こす可能性がある。そこで、物理的な接触がなくとも記録情報の伝達が可能な非接触ICモジュールを搭載した非接触ICカードが登場し、実用化されている。
【0003】
非接触ICカードは、カード媒体上に、アンテナ(コイル)を含む無線送受信回路とプロセッサ及びメモリを含むIC部とで構成される非接触ICモジュールを埋め込んで構成される。IC部にプロセッサを含まない、いわゆるメモリカードとして構成されたものもある。
【0004】
非接触ICカードとリーダライタとの結合は、無線送受信回路を通じて行われ、動作に必要な電源電力やクロックは、リーダライタ側から供給される。リーダライタからの電力成分等を含む情報の送信には、例えば13.56[MHz]の無線搬送波をASK(Amplitude Sift Keying)変調した信号が用いられる。一方、カード側からの情報の送信には、例えば13.56[MHz]の信号を複数合わせた副搬送波(847.5/423.7[kHz])を負荷変調した信号が用いられる。同一のリーダライタの近傍に複数の非接触ICカードが混在することが予想されるため、カード間のデータ衝突を防止する、アンチコリジョンと呼ばれる技術も確立している。
【0005】
近年は、携帯電話無線機や携帯型コンピュータのような携帯デバイスが急激に普及し、多くの者がこれらを携行するようになっている。非接触ICモジュールを用いて携帯電話無線機等に種々の付加価値を付ける試みもなされている。例えば、取引銀行の情報を記録した非接触ICモジュールを携帯電話無線機に挿入し、その所有者が物品の購入や有償サービスの提供をする際に、物品等の提供装置が携帯電話無線機を通じて非接触ICモジュールの記録情報を取得し、取得した記録情報を用いて自動的に電子決済を行うようにした情報処理システムが開示されている。特許文献1、2は、このような非接触ICモジュールを用いたシステムを提供する発明を開示している。
【特許文献1】特開2000−76399号公報
【特許文献2】特開2001−14433号公報
【0006】
非接触ICモジュールは、電子マネーにも活用されている。これに伴い、電子マネー決済を可能にする可搬型の非接触リーダライタも普及している。電子マネーや小額のクレジット決済においては、このような非接触リーダライタを非接触ICモジュールをに近づけるだけで決済処理を行えるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非接触ICモジュールに非接触リーダライタを近づけるだけで決済を行うことが容易になると、電子的なスリ、スキミングの問題が顕在化してくる。例えば、非接触ICモジュールを内蔵したカード、携帯電話無線機、PDA等のメディアないし携帯デバイスに第三者が携帯型の非接触リーダライタを近づけるだけで、それらの所有者の意図に関わらず、電子決済等の認証が行われてしまう。そのために、不正な使い方を有効に防止するための技術、例えば非接触リーダライタ側では正当なメディアのみを認証し、他方、メディアないし携帯デバイス側では正当なリーダライタのみを認証する技術が必要になる。
【0008】
本発明は、このような背景のものになされたもので、不正利用防止機能を有するメディア認証装置及び携帯デバイスを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[メディア認証装置]
本発明のメディア認証装置は、情報が記録されている非接触ICモジュールを搭載したメディアが有する要素であって前記非接触ICモジュールの記録情報を用いた所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構で認識し、これにより第1の照合用データを得る第1手段と、前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて前記認証情報を認識し、これにより第2の照合用データを得る第2手段と、前記第1手段で得た第1の照合用データと前記第2手段で得た第2の照合用データとを照合することにより前記情報処理を可能にするかどうかを決定する制御手段と、を備えたものである。
「認証情報」とは、情報処理の実行主体に提示して正当であることの認証を受けるための情報である。代表的な認証情報は、所有者識別情報(ID)、パスワード等である。この認証情報が所定条件下で複数の認識機構で認識され、正当に照合されない限り、情報処理が可能にならないので、第三者による不正な使用を抑制することができる。このメディア認証装置は、非接触リーダライタとしての実施に好適となる。
【0010】
本発明のメディア認証装置は、前記情報処理の結果を活用する情報処理装置、例えばパーソナルコンピュータ(PC)に接続可能な筐体を有するものとすることができる。筐体には、例えば、前記第1電磁波認識機構の少なくともアンテナ部分が固定的に内蔵されており、さらに、前記筐体のうち、前記アンテナ部分の覆域内に、前記光学認識機構、前記音波認識機構又は前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が設けられており、これにより、前記覆域内の任意の位置に置かれた前記メディアが有する前記認証情報の認識を可能にする。
【0011】
ある実施の一形態では、前記筐体に少なくとも一つのスロットを形成する。このスロットには、その一部が当該筐体からスライド式に突出自在に構成されたインタフェースボードが収容されており、前記インタフェースボードのうち、前記筐体から突出する部位には、前記メディアの置かれる位置に応じて変位可能なフラップ部が設けられており、前記光学認識機構、前記音波認識機構又は前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が、前記フラップ部に設けられているものとする。
【0012】
前記筐体が、前記インタフェースボード用のスロットのほかに、メディア収容用のメディアスロットが形成されたものとすることもできる。そして、前記フラップ部に、前記光学認識機構を設け、前記インタフェースボードが前記筐体から突出した状態では、前記第1電磁波認識機構が前記メディアスロット内のメディアが有する前記認証情報を認識するとともに前記フラップ部の光学認識機構が筐体外のメディアが有する前記認証情報を認識するものとする。あるいは、前記フラップ部に、少なくとも前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が設け、前記インタフェースボードが前記スロットから突出した状態では、前記第1電磁波認識機構が前記メディアスロット内のメディアが有する前記認証情報を認識するとともに前記第2電磁波認識機構が筐体外のメディアが有する前記認証情報を認識するものとする。前記第1電磁波認識機構及び前記第2電磁波認識機構の動作を交互に切り換える制御手段をさらに備えるようにしてもよい。前記第2電磁波認識機構が、前記認証の対象となるメディアとは別のメディアが保有する前記認証情報を認識する態様も可能である。
【0013】
前記光学認識機構は、例えば、前記メディアにおいて前記特定波長の光のみを検知する部材で前記認証情報が表された画像を当該光を用いて撮像する撮像機構を備えたものである。このような光学認識機構では、前記第2手段は、撮像機構の出力データから前記第2の照合用データを得る。認証情報を光学認識機構で認識することを情報処理の条件とすることにより、例えば、メディアがカバンの中などの外から見えない場所に保管されている場合には、認証情報の読み取りができないため、不正な使用を防止することができる。
前記光学認識機構は、前記メディアにおいて前記認証情報を光の強度又は波長の変化により表現された変化信号を受光する受光素子を備えたものとすることもできる。この場合、前記第2手段は、受光素子で受光した変化信号に基づいて前記第2の照合用データを得る。
【0014】
前記音波認識機構は、例えば、前記メディアにおいて前記認証情報が特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を受信する音波受信手段を備えたものである。このような音波認識機構では、前記第2手段は、受信された音波から前記第2の照合用データを得る。特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を用いることで、メディアを保有する者に、認証されようとしている事実を伝えることができ、第三者による不正使用を抑制することができる。
【0015】
メディアの所有者に対する注意を喚起する観点からは、前記制御手段が前記情報処理を可能にすると決定したときに、振動、光、音の少なくともいずれかを確認情報として出力する確認情報出力手段をさらに備えてメディア認証装置を構成する。
【0016】
上述したような複数の認証機構を用いて認証を行う場合、メディア認証装置とメディアとの位置決めを正しく行うことが好ましい。この場合は、特定波長の光を前記メディアに照射し、その反射像を撮像部で撮像する撮像装置と、前記光を透過し、かつ、可視光を反射する波長選択特性を有し、前記メディアを保持する者に映し出されたメディアの像を見せることによって前記メディアの位置決めを行わせるためのコールミラーとを更に備え、このコールドミラーが前記撮像装置と前記メディアとの間に配置されているメディア認証装置とする。
【0017】
[携帯デバイス]
上述したメディア認証装置の不正利用防止機能は、携帯デバイスにおいて実現することができる。本発明の携帯デバイスは、非接触ICモジュールを搭載した携帯性の筐体を有し、メディア認証機能を有するメディア認証装置との間で認証を行う携帯デバイスであって、前記非接触ICモジュールを用いて所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構で認識し、これにより第1の照合用データを得る第1手段と、前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて前記認証情報を認識し、これにより第2の照合用データを得る第2手段と、前記第1手段で得た第1の照合用データと前記第2手段で得た第2の照合用データとを照合することにより前記情報処理を可能にするかどうかを決定するデバイス制御手段と、を備えたことを特徴とする。
認証情報が所定条件下で複数の認識機構で認識され、正当に照合されない限り、情報処理が可能にならないので、第三者による不正な使用を抑制することができる。
【0018】
本発明の携帯デバイスにおいて、前記光学認識機構は、例えば、前記メディア認証装置において前記特定波長の光のみを検知する部材で前記認証情報が表された画像を当該光を用いて撮像する撮像機構を備えたものであり、前記第2手段は、この撮像機構の出力データから前記第2の照合用データを得る。あるいは、前記メディア認証装置において前記認証情報を光の強度又は波長の変化により表現された変化信号を受光する受光素子を備えたものであり、前記第2手段は、この受光素子で受光した変化信号に基づいて前記第2の照合用データを得る。
【0019】
前記音波認識機構は、例えば、前記メディア認証装置において前記認証情報が特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を受信する音波受信手段を備えたものであり、前記第2手段は、受信された音波から前記第2の照合用データを得る。
【0020】
前記第2電磁波認識機構は、前記第1電磁波認識機構で用いる電磁波と異なる電磁波で前記認証情報を送出するためのアンテナを含んで構成される。
【0021】
本発明の他の携帯デバイスは、非接触ICモジュールを搭載した携帯性の筐体を有し、上述した本発明のメディア認証装置に認証される携帯デバイスであって、前記非接触ICモジュールを用いて所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構を通じて前記メディア認証装置に認識させる第1手段と、前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、前記メディア認証装置に、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて認識させる第2手段と、前記メディア認証装置による認識結果に応じて前記情報処理を可能にするかどうかを決定するデバイス制御手段と、を備えたことを特徴とする。
前記第2手段は、例えば、前記認証情報を光学認識機構を通じて前記メディア認証装置に認識させるものであり、この光学認識機構は、前記筐体の所定部位に存在する前記認証情報を表す画像である。この画像は前記筐体を透過した特定波長の光を遮る部材でマーキングされたものである。
【0022】
なお、前記デバイス制御手段が前記情報処理を可能にすると決定したときに、振動、光、音の少なくともいずれかを確認情報として出力する確認情報出力手段をさらに備えて携帯デバイスを構成してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第1電磁波認識機構のみならず、他の認識機構でも認識されない限り、非接触ICモジュールの情報を用いた情報処理ができないので、第三者による不正な使用を抑制ないし防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明のメディア認識装置を非接触リーダライタに適用した場合の実施の形態例を、図面を参照して説明する。
<非接触ICモジュール搭載メディア>
まず、非接触リーダライタによって認証を受ける非接触ICモジュールを搭載したメディア(以下、「非接触ICメディア」と称する)について説明する。非接触ICメディアは、例えば、シート状メディア、スティック状メディア、固体型メディア、デバイス型メディアとしての形態例がある。デバイス型メディアについては、後で携帯デバイスとして説明する。図1(a)〜(c)は、固体型メディアの非接触ICメディアを説明するための図である。
【0025】
固体型メディアは、用途に応じて種々の形状に成形された媒体に非接触ICモジュールを埋め込んだものである。例えばコイン型メディアは、コイン形状の媒体に非接触ICモジュールを埋め込んで形成される。コイン形状の媒体は、単純な円盤構造のものでもよいが、例えばメディアホルダ上で露出させた状態で使用する場合には、使用中に離脱しないようにするために、その形状・構造に工夫を要する。例えば、自らの位置が変位するだけでメディアホルダへの係合と離脱とを許容する係合機構を一体に形成することもできる。
【0026】
この係合機構は、図1(a)に例示するメディアホルダ側のメディア係合機構31に対応したもので、その具体的な構造は、例えば図1(b)上部に示すようになる。すなわち、コイン状のモジュール媒体10の裏面部に、メディア係合機構31に係合させることができる突起体10aを一体に形成する。使用時には、図1(c)に示すように、モジュール媒体10をメディア係合機構31に挿入して回転させて係合させる。離脱させるときは、係合の際の方向と逆方向に回転させる。
【0027】
<非接触ICモジュール>
非接触ICメディアに搭載される非接触ICモジュールについて説明する。非接触ICモジュールは、図2に示されるように、少なくとも、アンテナ(ANT)21、送受信回路22、デバイス制御部23、及びメモリ24を備えて構成される。
デバイス制御部23は、非接触リーダライタからアンテナ21及び送受信回路22を通じて受けとった電力成分とクロック成分をもとに電源電力及びクロックを生成し、非接触モジュールの動作環境を整えるとともに、非接触ICメディア20が搭載されるデバイス、例えば後述する携帯デバイスのインタフェース制御をも行う。また、メモリ24へのデジタル情報(所定処理の実行に使用されるデータ及びコマンド類、以下同じ)の書込(「データIN」)及びメモリ24からのデジタル情報の読み出し(「データOUT」)を制御するとともに、読み出したデジタル情報を、送受信回路22及びアンテナ21を通じて、非接触リーダライタ側に送信する。メモリ24には、必要に応じて、当該非接触ICメディア20を識別するための識別データやユーザの固有データ等の認証情報(この認証情報を「第1認証情報」と称する)、簡単なアプリケーションプログラムやディジタルコンテンツ等が記録される。第1認証情報は、従来の非接触ICメディアでユーザ認証時に行われているのと同様に、電磁波によって非接触リーダライタに取り込まれ、ユーザ認証に用いられる。
【0028】
セキュリティ性が要求される用途に使用する場合は、非接触ICメディア20に、情報処理手段の1つであるプロセッサを設け、また、メモリ24に、プロセッサが読取可能な暗号鍵及び復号鍵及び暗号アルゴリズムを記録しておく。このようにすれば、非接触ICメディアを搭載可能な非接触リーダライタにおいて、当該非接触ICメディア20に付与された機能と同じ機能、つまり暗号機能及び復号機能を実現できるようになる。同様に、非接触ICメディア20のメモリ24に実行形式のアプリケーションプログラムを記録した場合は、非接触リーダライタでそのアプリケーションプログラムを実行できるようになる。また、アプリケーションプログラムの実行結果を非接触ICメディア20のメモリ24に記録することもできる。
【0029】
<携帯デバイス>
デバイス型メディアとして、非接触ICメディア20を内部に組み込んだ携帯電話無線機、PDAとしての実施の形態例を説明する。いずれも、携帯性の筐体を有し、この筐体に、後述する非接触リーダライタとの間で、情報受け渡しを非接触に行うためのインタフェース等が設けられている。
【0030】
筐体には、上述した第1認証情報と関連付けられたもう一つの認証情報(「第2認証情報」と称する)が、好適には筐体外から視認できない部位に保持されている。第2認証情報は、非接触リーダライタによる非接触ICメディア20のユーザ認証の際に認識されるデータであり、第1認証情報と同じ内容であってもよい。第2認証情報の保持の形態は様々であるが、例えば、後述する光学認識機構による場合は、第2認証情報を2次元バーコード画像等で表現し、この2次元バーコード画像を印刷したシートを筐体に挟み込んだり、筐体内に粘着物で内部に貼り込んだりすることが考えられる。このバーコード画像は、筐体を透過した特定波長の光を遮る材質の塗料で印刷する。
【0031】
デバイス制御部23は、非接触リーダライタに向けて第1認証情報を電磁波により送出することにより、その非接触リーダライタに第1認証情報を認識させ、第1認証を行わせるとともに、所定条件下で第2認証情報を非接触リーダライタに読み取らせ、これにより第2認証を行わせる。そして、非接触リーダライタから、これらの認証の結果がいずれも正当であることを表す信号を受けとったときに、非接触ICモジュールからのデジタル情報の読み出しを可能にする。なお、非接触リーダライタに第2認証情報を読み取らせるタイミングは、デバイス制御部23が主体的に行ってもよく、あるいは、非接触リーダライタ側が主体的に行ってもよい。
【0032】
第2認証情報は、光学認識機構、電磁波認識機構、音波認識機構あるいはこれらの組み合わせにより非接触リーダライタに取り込まれ、認識される。
以下、これらの態様を具体的に説明する。
(a)光学認識機構で認識させる第2認証情報
第2認証情報は、文様、文字、数字、バーコード画像、電子透かし等の表示体により、非接触ICメディア20、あるいは、携帯デバイスの筐体に挟み込まれ、あるいは内部に貼り付けられる。筐体に別途設けられたディスプレイに表示されるようにし、これを非接触ICリーダライタに認識させるようにしてもよい。第2認証情報の表示は、ディスプレイによらない場合は、筐体を透過してきた特定波長の光を遮る材質による印刷やマーキング等で行われる。非接触リーダライタは、この特定波長の光を使って表示体を認識する。
【0033】
図3(a)は、携帯デバイスの一例となるカードを示している。このカードは、筐体の一例となるカード媒体32に、非接触ICメディア20が挟み込まれており、さらに、カード媒体32に、表示体の一例となるバーコード画像33が表示されている。バーコード画像33は、カード媒体32の表面に表示されていてもよいが、好適には非接触ICメディア20と同様にカード媒体32に挟み込まれている。カード媒体32に挟み込むことで、バーコード画像33が外から視認できなくなり、セキュリティが保たれる。
【0034】
図3(b)は、携帯デバイスの他の例となる携帯電話無線機等の筐体34を示している。この筐体34は、非接触ICメディア20を内蔵しており、さらに、筐体34に表示体の一例となるバーコード画像35が貼り付けられる。バーコード画像35は、筐体34の表面に貼り付けられていてもよいが、好適には筐体34の内側に貼り付ける。筐体34の内側に貼り付けることで、バーコード画像33が外から視認できなくなる。
なお、バーコード画像33,35は、図4に示すような2次元バーコード画像であってもよい。
【0035】
このようなバーコード画像33,33a,35は、人間が視認できないような材料を用いて印刷される。例えばリン酸塩系白色結晶粉末等のインクや特殊金属を含んだインクを用いて、近赤外線、赤外線、紫外線、あるいはテラヘルツ光等の可視光を除く特定の波長の光を反射するようにする。この特定の波長の光を反射するインクにより、第1層が印刷される。
【0036】
より好ましくは、第1層を覆うように、この特定の波長の光を透過するインクによる第2層を形成する。第2層は、例えば特定の波長の光を透過するプラスチック、紙等の素材で形成する。そして、これらの素材に、その特定の波長の光を透過するインクを塗布する。特定の波長の光を透過する第2層と反射する第1層とにより、第1層に印刷されたセキュリティ画像を人間が直接視認できず、非接触リーダライタが特定の波長の光でのみ機械的に認識することが可能となる。
このように、非接触リーダライタでは光学読み取り可能で人間には視認不可とすることで、第2認証情報の偽造を防止することができる。
【0037】
図5(a)は、図3のカード媒体32により、第1層、第2層を説明する図である。第1層であるバーコード33上に第2層33aが印刷される。図5(b)は、図4の筐体34により、上記の第1層、第2層を説明する図である。第1層であるバーコード35が筐体34内部に印刷され、筐体34が第2層になっている。図5(a)、(b)において矢印で示す光は、第2層を透過して第1層で反射している。
【0038】
第2認証情報は、携帯デバイスに印刷された表示体が、光学的に認識できる状態になければ読み取ることができない。つまり、カード媒体や携帯電話無線機等がポケットやカバン、財布等に入った状態では、非接触リーダライタから第2認証情報を読み取ることができない。第2認証情報が読み取れなければ、認証が完結しないので、非接触ICメディアの悪用を防止することが可能になる。また、携帯デバイスが外部にあっても、第2認証情報が視認不可の状態になっていれば、第2認証情報の偽造を防止することもできる。
【0039】
また、赤外光あるいは紫外光の光源を用意しておき、光源から発光される光の強度又は色の変化信号として、第2認証情報を表すようにしてもよい。光源からは、変化信号を一定時間だけ送出する。この場合、例えば、デバイス制御部23により第2認証情報を光の強度又は色の変化信号に変換する。
【0040】
(b)電磁波認識機構で認識される第2認証情報
第2認証情報が電磁波認識機構、すなわち無線通信手段によって非接触リーダライタに取り込まれる場合には、第1認証情報が記憶された非接触ICメディアの他に、アクティブタグ、RFIDタグ等のもう一つ非接触ICメディアを用いる態様がある。第1認証情報を記憶する非接触ICメディアと第2認証情報を記憶する非接触ICメディアは、1つの非接触リーダライタとの間で異なる周波数で通信を行う。但し、同じ周波数を異なるタイミングで使用することもできる。これら2つの非接触ICメディアは、1つの携帯デバイスに搭載されていてもよく、また別の携帯デバイスに搭載されていてもよい。
【0041】
(c)音波認識機構により認識される第2認証情報
音波認識機構は、音源生成部と音波出力装置との組み合わせから成る。音源生成部は、デバイス制御部23が、第2認証情報を音データに変換(変調)するとともに、変換後のデータに基づいて図示しない音源を制御することにより、特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を生成することで実現する。音波出力装置は、例えばスピーカその他の振動素子である。音波は、可聴域の周波数を用いる。これは、携帯デバイスを保有する者に特定の音色又はその組み合わせによって、注意を喚起するためである。
図6は、非接触ICメディア20と、音波出力装置としてスピーカ37を有している携帯デバイス36の例を示した図である。
【0042】
<非接触リーダライタ>
次に、携帯デバイスとの間で認証情報(第1認証情報及び第2認証情報)の受け渡しを非接触に行う非接触リーダライタの実施の形態を説明する。
まず、非接触ICメディアとして、単純構造、つまり上述の係合機構10aを持たないコイン型メディアを用いた場合の例を示す。上述のシート状の非接触ICメディアも、コイン形状のモジュール媒体に貼り付ければ、コイン型メディアとして使用することができるものである。
【0043】
(1)第1実施形態
図7は、非接触リーダライタの第1実施形態の構成図である。この非接触リーダライタ40は、内部用の非接触ICメディアを担持するためのメディアホルダ41と外部に存する他の非接触ICメディアとの間にアンテナ42を介在させている。アンテナ42は、通常、非接触リーダライタ40の筐体蓋部に埋め込まれる。アンテナ42及びメディアホルダ41には送受信回路43が接続されており、送受信回路43には、制御部44、電力供給部47、及びクロック供給部48が接続されている。
電力供給部47は、送受信回路43に於いて搬送波に重畳される電力成分を出力するものであり、クロック供給部48は、同様に、搬送波に重畳される所定周期のクロック成分を出力するものである。
制御部44は、メモリ(M)45からの記録情報の読出制御、メモリ45への書込制御、送受信回路43における送受信波のタイミング制御、及び、外部インタフェース(I/F)46を通じて外部電子回路との間の情報の授受の制御を行う。また、公知のアンチコリジョン方式による複数の非接触ICメディアとの間の輻輳を防止する機能をも有している。
【0044】
第1実施形態の非接触リーダライタ40は、メディアホルダ41に担持された非接触ICメディア、あるいは、筐体外に存する非接触ICメディアから、送受信回路43を通じて第1認証情報を受信して第1の照合用データに変換し、これを制御部44に伝達する。
非接触リーダライタ40は、また、光学認識機構49を備えている。光学認識機構49は、第2認証情報を認識して照合用データを得るものであり、CCDのような撮像素子を含む撮像装置を有している。必要に応じて光源を備える。光源を備える場合は、光源からの光を携帯デバイスに向けて照射させ、この光の透過光あるいは反射光により携帯デバイスの第2認証情報を撮像装置で撮像し、公知の画像認識機能を用いて第2の照合用データに変換する。光源は、上述したバーコード画像33,33a,35のような第2認証情報を表す表示体が反射する、あるいは、透過を遮る特定波長の光を照射する。光学認識機構49により得られた第2の照合用データは、送受信回路43を介して、あるいは、直接、制御部44へ送られ、ここで、第1の照合用データと照合される。制御部44は、第1及び第2の照合用データを照合し、正当であれば認証を完結し、非接触ICメディア20の記録情報を用いた情報処理を可能にする。
なお、メディアホルダ41に、複数の非接触ICメディア(図示せず)が担持されている場合でも、アンチコリジョン機能が働くほか、各非接触ICメディアのメモリに記録された識別データやユーザの固有データ等を解読することにより容易に両者を識別することができるので、問題は生じない。
【0045】
図8は、光学認識機構49の具体的な構成例を表す図である。この光学認識機構49は、光源491、レンズ492、493、495、反射板494、496、及び撮像素子497を備えている。この光学認識機構49は、メディアホルダ41の近傍に備えられており、メディアホルダ41に非接触ICメディアが装着された場合には、光源491から照射する光によって、非接触ICメディアから第2認証情報を取り込むことができる。そのために、メディアホルダ41が装着されるメディアスロット410が、レンズ492、493の間に設けられている。
第2認証情報を取り込むための光は、レンズ492、493を通過した後、反射板494で反射され、レンズ495を通過して、反射板496により反射されて撮像素子497に導かれる。撮像素子497で撮像された画像は、第2の照合用データに変換される。
【0046】
非接触リーダライタ40と非接触ICメディアとの間の情報の送受信は、通常の非接触リーダライタと非接触ICカードと同様の動作環境で実現することが可能である。例えば、非接触リーダライタ40から非接触ICメディアへの情報の送信には、13.56[MHz]の無線搬送波をASK変調した信号、非接触ICメディアから非接触リーダライタ40への情報の送信には、13.56[MHz]の信号を複数合わせた副搬送波(847.5/423.7[kHz])を負荷変調した信号をそれぞれ用いることができる。非接触リーダライタ40から非接触ICメディアへは、データ成分のほかに、クロック成分、電力成分も送られることも従来の非接触ICカードの場合と同様である。
【0047】
図9は、非接触リーダライタ40により携帯デバイス34が搭載する非接触ICメディア20の認証を行う場合の説明図である。
非接触リーダライタ40は、アンテナ42の覆域内にある非接触ICメディア20から受信した第1認証情報に基づく第1の照合用データと、光学認識機構49によりバーコード画像35を読み取った第2認証情報に基づく第2の照合用データとを用いて認証を行う。非接触リーダライタ40は、この2つの照合用データの照合により認証が得られた場合にのみ、非接触ICメディア20に対する情報の読出制御及び書込制御を許容する。
【0048】
図9において非接触リーダライタ40に表示される2種類の実線による2重丸は、一方の線が非接触リーダライタ40のカメラの位置、他方の線が携帯デバイス34の位置を表しており、非接触リーダライタ40に対して光学読み取りが可能な位置、距離に携帯デバイス34が存在することを表している。つまり、光学認識機構49で正常な読み取りが行われている場合に表示される。非接触リーダライタ40は、このような表示によりユーザに光学読み取りが正常に行われていることを通知する。
なお、携帯電話無線機のように携帯デバイス34にディスプレイがある場合には、非接触リーダライタ40から正常な読み取りが可能なことを通知して、携帯デバイス34のディスプレイでこのような表示を行うようにしてもよい。
【0049】
(2)第2実施形態
図10は、非接触リーダライタの第2実施形態の構成図である。この非接触リーダライタ50は、図7の非接触リーダライタ40の光学認識機構49が第2アンテナ59に置き換わった点を除いて、同様の構成である。第2アンテナ59は、アンテナ42が通信を行う非接触ICメディアとは異なる非接触ICメディアとの間で、アンテナ42とは異なる周波数による通信を行う。そのために、アンテナ24と第2アンテナ59とで、同じ非接触ICメディアと通信を行うことがない。
【0050】
図11は、非接触リーダライタ50により第1、第2携帯デバイス38、39に搭載された第1、第2非接触ICメディア20a、20bの認証を行う場合の説明図である。なお、図11では第1、第2携帯デバイス38、39と2つの装置を用いて説明しているが、これに限らず、1つの携帯デバイス内に2つの非接触ICメディアを有する構成であってもよい。携帯デバイスの数に限らず、2以上の非接触ICメディアを用いることが必要である。
【0051】
非接触リーダライタ50は、制御部44により、アンテナ42が第1非接触ICメディア20aから取得した第1認証情報と、第2アンテナ59が第2非接触ICメディア20bから取得した第2認証情報とを用いて認証処理を行う。認証が得られた場合にのみ、アンテナ42を介して第1非接触ICメディア20aのメモリ24に対する情報の読出制御及び書込制御を行うことができる。
【0052】
また、制御部44は、メディアホルダ41に担持された非接触ICメディア(図示せず)から取得した該非接触ICメディアの第1認証情報と第2アンテナ59により取得した第2認証情報とを用いて認証処理を行ってもよい。認証が得られた場合にのみ、メディアホルダ41を介して該非接触ICメディアのメモリ24に対する情報の読出制御及び書込制御を行うことができる。また、アンテナ42を介して第1認証情報を取得し、メディアホルダ41を介して第2認証情報を取得して認証処理を行うようにしてもよい。
【0053】
(3)第3実施形態
図12は、非接触リーダライタの第3実施形態の構成図である。この非接触リーダライタ60は、図7の非接触リーダライタ40の光学認識機構49が音認識部69に置き換わった点を除いて、同様の構成である。
音認識部69は、音波認識により第2認証情報を取り込むためのものであり、携帯デバイスから出力された音波を取り込み、取り込んだ音波から第2認証情報を復元して第2の照合用データを得る。第2認証情報の復元は、例えば、音認識部69が音波を量子化することで行う。第2の照合用データは、送受信回路43を介して、あるいは、直接制御部44へ送られる。
【0054】
図13は、非接触リーダライタ60により携帯デバイス36が搭載する非接触ICメディア20の認証を行う場合の説明図である。
非接触リーダライタ60は、制御部44により、アンテナ42が非接触ICメディア20から取得した第1認証情報に基づく第1の照合用データと音認識部69で取得した第2認証情報に基づく第2の照合用データとを照合することにより、認証を行う。認証が得られた場合にのみ、非接触ICメディア20のメモリに対する情報の読出制御及び書込制御を許容する。
【0055】
以上のように非接触リーダライタ40、50、60で、第1認証情報に基づく第1の照合用データと第2認証情報に基づく第2の照合用データとを用いて認証を行う。図14は、制御部44による上記認証の手順を総括的に示したフローチャートである。
【0056】
図14を参照すると、非接触リーダライタ40、50、60は、非接触ICメディア20から第1電磁波認識機構(非接触ICモジュール20との無線通信)によって第1認証情報を取得し(ステップS10)、取得した第1認証情報の認識を行う(ステップS20)。認識できた場合は、認識結果を第1の照合用データとする(ステップS20;Y)。第1認証情報を認識できなかった場合は、認証処理を終える(ステップS20;N)。
【0057】
非接触リーダライタ40、50、60は、また、光学認識機構、音波認識機構又は第2第2電磁波認証機構(他の非接触ICモジュールによる無線通信)によって第2認証情報を取得し(ステップS30)、取得した第2認証情報の認識を行う(ステップ40)。認識できた場合は、認識結果を第2の照合用データとする(ステップS40;Y)。第2認識情報を認識できなかった場合は、認証処理を終える(ステップS40;N)。
【0058】
非接触リーダライタ40、50、60は、これらの照合用データの照合を行い(ステップS50)、これらが適合した場合は、正当であると判定して認証処理を終了する(ステップS50:OK)。これにより、非接触リーダライタ40、50、60は、非接触ICメディア20のメモリへの情報の書き込み、情報の読み取りを許容する。
【0059】
ステップS50で2つの照合用データが適合しない場合は、認証処理を中止する(ステップS50:NG)。その結果、非接触リーダライタ40、50、60は、非接触ICメディア20のメモリへの情報の書き込み、情報の読み取りを禁止する。
このように、第1認証情報と共に第2認証情報が所定条件下、例えば電磁波認識と光学認識により認証を行う場合は、バーコード画像を有する携帯デバイスがアンテナの覆域内にあることを条件として、これらの認識機構で認識され、正当に照合されない限り、情報処理が可能にならないので、第三者による不正な使用を抑制することができる。
【0060】
なお、図14のフローチャートでは、第1認証情報の取得後に第2認証情報を取得することとしたが、この取得順は逆であってもよい。つまり、ステップS30及びステップS40の後に、ステップS10及びステップS20の処理を行うようにしてもよい。また、第1認証情報及び第2認証情報を同時に取得して、各々の認証も同時に行うようにしてもよい。
【0061】
以上の説明では、非接触リーダライタ40、50、60側で第1認証情報及び第2認証情報を認識することとしたが、本発明はこれに限らず、非接触ICメディアを搭載した携帯デバイス側で、認証処理を行うようにしてもよい。
すなわち、非接触リーダライタに第2認証情報を光学読み取り、無線通信、音認識により取得可能なように保持させておき、非接触ICメディアを搭載した携帯デバイスが第2認証情報を取得するようにしてもよい。この場合、携帯デバイスが、光学認識機構49、第2アンテナ59、音認識部69のいずれかを保持して、制御部44で行う処理を受け持つ処理装置を有することになる。
また、光学読み取り、無線通信、音認識の各方式を組み合わせて、認証処理を複数回行うようにしてもよい。このような構成では、非接触ICメディアのセキュリティがさらに向上することが期待できる。
【0062】
なお、認証が行われるときの携帯デバイスを保有する者への注意喚起手段として、制御部44等が、認証処理を可能にすると決定したときに、振動、光、音の少なくともいずれかを確認情報として自ら出力するか、あるいは、携帯デバイスへ通知して、その携帯デバイスからこれらを出力させるようにしてもよい。
【0063】
(4)第4実施形態
本発明では、上記動作を容易にするため、非接触リーダライタにいくつかの特徴的な構造を持たせている。以下、これらについて説明する。
図15は、筐体をPCカード型とした非接触リーダライタの例を示している。
この非接触リーダライタ100は、PCカード型の筐体110のうち、PCに収容される部位(インタフェースボード)に、制御部その他の機能部分と電磁波認識機構とを内蔵させるとともに、PCから突出する部位を開口とするメディアスロット111を形成し、さらに、メディアスロット111の開口部の上部に、開閉自在のフラップ部112を設けている。フラップ部112の一方の面部には光学認識機構の一部である撮像装置113が設けられている。撮像装置の周囲に照明用の発光素子を設けてもよい。
【0064】
フラップ部112は、支点で支持されて傾斜自由であり、図示のように開いた状態では、例えば上述したバーコード画像等が形成された携帯デバイスを撮像し、閉じた状態(図示せず)では、孔部114を介して、メディアスロット111に収容された非接触ICメディアのバーコード画像を撮像する。これにより、筐体110に内蔵された制御部及び電磁波認識機構を通じて第1認証情報を認識しつつ、例えばその電磁波認識機構のアンテナの覆域内に存在することを条件として、光学認識機構による第2認証情報を認識させ、これによって、2種類の照合用データを得、これらの照合用データの照合により、認証を行うことができる。
【0065】
なお、フラップ部111に、第2電磁波認識機構の一部をなすアンテナを内蔵しておき、筐体110に内蔵されたリーダライタ部のアンテナとその動作を切り換えることにより、第1電磁波認識機構と第2電磁波認識機構とを用いた認証を行うこともできる。
なお、第1電磁波認識機構、第2電磁波認識機構及び光学認識機構を併用することも可能である。
【0066】
この非接触リーダライタ100は、図16に示すように、PC130とのインタフェース機構を備えたケース120を介してPC130のスロットに収容される。
【0067】
(5)第5実施形態
図17は、例えばUSB接続可能な外付け型の非接触リーダライタの例を示している。
図17(a)はこの非接触リーダライタの外観斜視図である。この非接触リーダライタ200は、上下2段のスロットを有する筐体201を有する。上段のスロット210には、その一部が筐体201から、イジェクトボタン230を操作することで、図17(b)のように、スライド式に突出自在に構成されたインタフェースボード211が収容されるようになっている。インタフェースボード211には、デバイス制御部その他の機能部分と電磁波認識機構が内蔵されている。筐体201の下段のスロットはメディアスロット220であり、カード型の携帯デバイスないし非接触ICメディア300が収容できるようになっている。メディアスロット220に収容される非接触ICメディア300には、上述したバーコード画像310が形成されている。
【0068】
インタフェースボード211のうち、一方の端部には、支点で支持されて開閉自在になっているフラップ部212が設けられている。このフラップ部212は、筐体201に収容されない携帯メディアの置かれる位置に応じて変位可能となる。フラップ部212には、アンテナ213が撮像装置214が設けられている。フラップ部212が開いている状態では、図17(d)のように携帯デバイス400を撮像装置214で撮像し、撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、その携帯デバイス300が有する第2認証情報を認識するとともに(光学認識機構)、アンテナ213を通じてその携帯デバイス300の第1認証情報を無線通信により認識できるようにする(第1電磁波認識機構)。他方、フラップ部212が閉じている状態では、孔部215(図17(c))を通じて、メディアスロット220に収容されている非接触ICメディア300のバーコード画像310を撮像し、これを画像処理して第2認証情報を認識できるようにする。
【0069】
なお、フラップ部212に設けるアンテナは、第1電磁波認識機構用のものであってもよく、第2電磁波認識機構用のものであってもよい。後者の場合、第1電磁波認識機構用のアンテナは、筐体201の所定部位に内蔵しておくとともに、2つのアンテナの動作を所定タイミングで切り換えるようにする。但し、アンチコリジョンを行う場合は、アンテナの動作は、必ずしも切り換える必要がない。
【0070】
また、図17では、フラップ部212に、アンテナ213及び撮像装置214を設けた場合の例を示したが、携帯デバイスの側に、音波認識を可能にする要素を設ける場合は、筐体201に音波受信回路、音復調回路、音−テキスト変換手段を内蔵させるとともに、アンテナ213及び撮像装置214に代えて、あるいはこれらと共に、音波認識機構の出力装置(スピーカ等)を設ける。
【0071】
(6)第6実施形態
次に、携帯デバイスと非接触リーダライタとの位置決め機構の実施形態について説明する。この機構は、ディスプレイとソフトウエア処理とにより実現することができる。例えば非接触リーダライタにディスプレイを設け、このディスプレイに、公知のコールドミラーを貼り付ける。そして、制御部(上述した制御部44等)が、近赤外線等の波長の光を携帯メディアに照射し、その反射像をカメラで撮像する。コールドミラーは、光を透過し、かつ、可視光を反射する波長選択特性を有するので、携帯メディアを保持する者(ユーザ)に、ディスプレイに映し出されたメディアの像を見せることによって、携帯メディアの位置決めを行わせることができる。この手順を図18を参照して説明する。
【0072】
図18(a)に示すように、非接触リーダライタ500は、コールドミラーが貼り付けられたディスプレイ510と、レンズが携帯メディア用領域520を指向する撮像部(カメラ)530とを備えており、ディスプレイ510を通じてユーザをガイドする。
図18(b)に示すように、ユーザが、携帯メディア用領域520に携帯デバイス600を置こうとすると、撮像部530が、その携帯メディア600の光学要素、すなわちバーコード画像610を撮像し、その結果を制御部に伝える。制御部は、画像処理により、予め測定しておいた基準画像511と、撮像結果により生成した画像512とをディスプレイ510で重複表示させる。これらの画像511,512が合致したときが、携帯メディア400の最適な位置であるとして、上述した2段階の認証(第1認証情報/第2認証情報)を行う。認証がとれたときは、所要の処理を実行し、正常終了後は、ディスプレイ510の表示を図18(c)のように変える。
これにより、正しい位置関係で、認証処理を行うことができ、セキュリティの確保に加え、認証の正確性を担保することができる。
【0073】
以上、複数の実施形態例により本発明を説明したが、本発明の実施形態は、上述した例に限定されるものではない。
例えば、各実施形態では、主として、第1認証情報、第2認証情報を保持ないし保有するのが携帯デバイスであり、非接触リーダライタは、これらを複数の認識機構で認識する場合の例を説明したが、第1認証情報、第2認証情報のいずれか、あるいは、双方を非接触リーダライタが保持ないし保有するようにしてもよい。この場合、これまで説明してきた非接触リーダライタが持つ認識及び照合用の機能手段は、それを携帯デバイスを持つことが不自然でない限り、携帯デバイスに持たせるようにする。
【0074】
また、各実施形態では、光学認識機構が、バーコード画像等を撮像することによって、その画像が表す第2認証情報を認識する場合の例を示したが、光学認識機構は、光の強度又は波長の変化により第2認証情報を表現した変化信号であってもよい。この場合、第2認証情報を認識する側は、変化信号を受光する受光素子と、この受光素子で受光した変化信号に基づいて第2の照合用データを得る手段とを設けることになる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】自らの位置が変位するだけでメディアホルダへの係合と離脱とを許容する係合機構の説明図であり、(a)はメディアホルダ側のメディア係合機構の正面図、(b)はモジュール媒体側の係合機構の説明図、(c)は使用状態を示す説明図である。
【図2】非接触ICメディアの構成図である。
【図3】(a)は非接触ICメディアを搭載したカードの例、(b)は非接触ICメディアを搭載した携帯デバイスの例を示した図である。
【図4】バーコード画像の例を示した図である。
【図5】(a)は、図3のカード媒体により第1層、第2層を説明する図、(b)は図4の筐体により第1層、第2層を説明する図である。
【図6】非接触ICメディアを搭載した携帯デバイスの例示図である。
【図7】非接触リーダライタの第1実施形態の構成図である。
【図8】光学認識機構の具体的な構成例を表す図である。
【図9】第1実施形態の非接触リーダライタにより非接触ICメディアの認証を行う場合の説明図である。
【図10】非接触リーダライタの第2実施形態の構成図である。
【図11】第2実施形態の非接触リーダライタにより非接触ICメディアの認証を行う場合の説明図である。
【図12】非接触リーダライタの第3実施形態の構成図である。
【図13】第3実施形態の非接触リーダライタにより非接触ICメディアの認証を行う場合の説明図である。
【図14】認証処理のフローチャートである。
【図15】筐体をPCカード型とした非接触リーダライタの構造説明図である。
【図16】図15に示した非接触リーダライタの使用態様の説明図である。
【図17】(a)〜(d)はUSB接続可能な非接触リーダライタの構造構成図である。
【図18】(a)〜(c)は位置決め機構を備えた非接触リーダライタの使用手順説明図である。
【符号の説明】
【0076】
10…モジュール媒体、 20、20a、20b、300…非接触ICメディア、 10a…メディア側の係合機構、 31…メディア担持体側のメディア係合機構、 21、42、213…アンテナ、 22、43…送受信回路、 23…デバイス制御部、 24、45…メモリ、 32…カード媒体、 33、35、310、610…バーコード画像、 34、36、400…携帯デバイス、 37…スピーカ、 38…第1携帯デバイス、 39…第2携帯デバイス、 40、50、60、100、200、500…非接触リーダライタ、 41…メディアホルダ、 44…制御部、 46…外部インタフェース回路、 47…電力供給部、 48…クロック供給部、 49…光学認識機構 111、220、410…メディアスロット、 491…光源、 492、493、495…レンズ、 494、496…反射板、 497…撮像素子、 59…第2アンテナ、 69…音認識部、 110、201…筐体、 112、212…フラップ部、 113、214…撮像装置、 114、215…孔部、 120…ケース、 130…PC、 210…スロット、 211…インタフェースボード、 230…イジェクトボタン、 510…ディスプレイ、 511、512…画像、 520…携帯メディア用領域、 530…撮像部、 600…携帯メディア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報が記録されている非接触ICモジュールを搭載したメディアが有する要素であって前記非接触ICモジュールの記録情報を用いた所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構で認識し、これにより第1の照合用データを得る第1手段と、
前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて前記認証情報を認識し、これにより第2の照合用データを得る第2手段と、
前記第1手段で得た第1の照合用データと前記第2手段で得た第2の照合用データとを照合することにより前記情報処理を可能にするかどうかを決定する制御手段と、
を備えたメディア認証装置。
【請求項2】
前記情報処理の結果を活用する情報処理装置に接続可能な筐体を有しており、
前記筐体には、前記第1電磁波認識機構の少なくともアンテナ部分が固定的に内蔵されており、さらに、前記筐体のうち、前記アンテナ部分の覆域内に、前記光学的認識機構、前記音波認識機構又は前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が設けられており、
これにより、前記覆域内の任意の位置に置かれた前記メディアが有する前記認証情報の認識を可能にする、
請求項1記載のメディア認証装置。
【請求項3】
前記筐体には、少なくとも一つのスロットが形成されており、
前記スロットには、その一部が当該筐体からスライド式に突出自在に構成されたインタフェースボードが収容されており、
前記インタフェースボードのうち、前記筐体から突出する部位には、前記メディアの置かれる位置に応じて変位可能なフラップ部が設けられており、
前記光学認識機構、前記音波認識機構又は前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が、前記フラップ部に設けられている、
請求項2記載のメディア認証装置。
【請求項4】
前記筐体には、前記インタフェースボード用のスロットのほかに、メディア収容用のメディアスロットが形成されており、
前記フラップ部には、前記光学認識機構が少なくとも設けられており、
前記インタフェースボードが前記筐体から突出した状態では、前記第1電磁波認識機構が前記メディアスロット内のメディアが有する前記認証情報を認識するとともに前記フラップ部の光学認識機構が筐体外のメディアが有する前記認証情報を認識する、
請求項3記載のメディア認証装置。
【請求項5】
前記筐体には、前記インタフェースボード用のほかに、メディアを収容するためのメディアスロットが形成されており、
前記フラップ部には、少なくとも前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が設けられており、
前記インタフェースボードが前記スロットから突出した状態では、前記第1電磁波認識機構が前記メディアスロット内のメディアが有する前記認証情報を認識するとともに前記第2電磁波認識機構が筐体外のメディアが有する前記認証情報を認識する、
請求項3記載のメディア認証装置。
【請求項6】
前記第1電磁波認識機構及び前記第2電磁波認識機構の動作を交互に切り換える制御手段をさらに備える、
請求項5記載のメディア認証装置。
【請求項7】
前記第2電磁波認識機構は、前記認証の対象となるメディアとは別のメディアが保有する前記認証情報を認識する、
請求項6記載のメディア認証装置。
【請求項8】
前記光学認識機構は、前記メディアにおいて前記特定波長の光のみを検知する部材で前記認証情報が表された画像を当該光を用いて撮像する撮像機構を備えており、
前記第2手段は、この撮像機構の出力データから前記第2の照合用データを得る、
請求項1乃至4のいずれかの項記載のメディア認証装置。
【請求項9】
前記光学認識機構は、前記メディアにおいて前記認証情報を光の強度又は波長の変化により表現された変化信号を受光する受光素子を備えており、
前記第2手段は、この受光素子で受光した変化信号に基づいて前記第2の照合用データを得る、
請求項1乃至4のいずれかの項記載のメディア認証装置。
【請求項10】
前記音波認識機構は、前記メディアにおいて前記認証情報が特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を受信する音波受信手段を備えており、
前記第2手段は、受信された音波から前記第2の照合用データを得る、
請求項1、2又は3記載のメディア認証装置。
【請求項11】
前記制御手段が前記情報処理を可能にすると決定したときに、振動、光、音の少なくともいずれかを確認情報として出力する確認情報出力手段をさらに備える、
請求項1記載のメディア認証装置。
【請求項12】
特定波長の光を前記メディアに照射し、その反射像を撮像部で撮像する撮像装置と、
前記光を透過し、かつ、可視光を反射する波長選択特性を有し、前記メディアを保持する者に映し出されたメディアの像を見せることによって前記メディアの位置決めを行わせるためのコールミラーとを更に備え、このコールドミラーが前記撮像装置と前記メディアとの間に配置されている、
請求項1記載のメディア認証装置。
【請求項13】
非接触ICモジュールを搭載した携帯性の筐体を有し、メディア認証機能を有するメディア認証装置との間で認証を行う携帯デバイスであって、
前記非接触ICモジュールを用いて所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構で認識し、これにより第1の照合用データを得る第1手段と、
前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて前記認証情報を認識し、これにより第2の照合用データを得る第2手段と、
前記第1手段で得た第1の照合用データと前記第2手段で得た第2の照合用データとを照合することにより前記情報処理を可能にするかどうかを決定するデバイス制御手段と、
を備えた携帯デバイス。
【請求項14】
前記光学認識機構は、前記メディア認証装置において前記特定波長の光のみを検知する部材で前記認証情報が表された画像を当該光を用いて撮像する撮像機構を備えており、
前記第2手段は、この撮像機構の出力データから前記第2の照合用データを得る、
請求項13記載の携帯デバイス。
【請求項15】
前記光学認識機構は、前記メディア認証装置において前記認証情報を光の強度又は波長の変化により表現された変化信号を受光する受光素子を備えており、
前記第2手段は、この受光素子で受光した変化信号に基づいて前記第2の照合用データを得る、
請求項13記載の携帯デバイス。
【請求項16】
前記音波認識機構は、前記メディア認証装置において前記認証情報が特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を受信する音波受信手段を備えており、
前記第2手段は、受信された音波から前記第2の照合用データを得る、
請求項13記載の携帯デバイス。
【請求項17】
前記第2電磁波認識機構は、前記第1電磁波認識機構で用いる電磁波と異なる電磁波で前記認証情報を送出するためのアンテナを含んで構成される、
請求項13記載の携帯デバイス。
【請求項18】
非接触ICモジュールを搭載した携帯性の筐体を有し、請求項1乃至12のいずれか1項に記載されたメディア認証装置に認証される携帯デバイスであって、
前記非接触ICモジュールを用いて所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構を通じて前記メディア認証装置に認識させる第1手段と、
前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、前記メディア認証装置に、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて認識させる第2手段と、
前記メディア認証装置による認識結果に応じて前記情報処理を可能にするかどうかを決定するデバイス制御手段と、
を備えた携帯デバイス。
【請求項19】
前記第2手段は、前記認証情報を光学認識機構を通じて前記メディア認証装置に認識させるものであり、
この光学認識機構は、前記筐体の所定部位に存在する前記認証情報を表す画像であり、前記筐体を透過した特定波長の光を遮る部材でマーキングされている、
請求項18記載の携帯デバイス。
【請求項20】
前記デバイス制御手段が前記情報処理を可能にすると決定したときに、振動、光、音の少なくともいずれかを確認情報として出力する確認情報出力手段をさらに備える、
請求項13乃至19のいずれかの項記載の携帯デバイス。
【請求項1】
情報が記録されている非接触ICモジュールを搭載したメディアが有する要素であって前記非接触ICモジュールの記録情報を用いた所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構で認識し、これにより第1の照合用データを得る第1手段と、
前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて前記認証情報を認識し、これにより第2の照合用データを得る第2手段と、
前記第1手段で得た第1の照合用データと前記第2手段で得た第2の照合用データとを照合することにより前記情報処理を可能にするかどうかを決定する制御手段と、
を備えたメディア認証装置。
【請求項2】
前記情報処理の結果を活用する情報処理装置に接続可能な筐体を有しており、
前記筐体には、前記第1電磁波認識機構の少なくともアンテナ部分が固定的に内蔵されており、さらに、前記筐体のうち、前記アンテナ部分の覆域内に、前記光学的認識機構、前記音波認識機構又は前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が設けられており、
これにより、前記覆域内の任意の位置に置かれた前記メディアが有する前記認証情報の認識を可能にする、
請求項1記載のメディア認証装置。
【請求項3】
前記筐体には、少なくとも一つのスロットが形成されており、
前記スロットには、その一部が当該筐体からスライド式に突出自在に構成されたインタフェースボードが収容されており、
前記インタフェースボードのうち、前記筐体から突出する部位には、前記メディアの置かれる位置に応じて変位可能なフラップ部が設けられており、
前記光学認識機構、前記音波認識機構又は前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が、前記フラップ部に設けられている、
請求項2記載のメディア認証装置。
【請求項4】
前記筐体には、前記インタフェースボード用のスロットのほかに、メディア収容用のメディアスロットが形成されており、
前記フラップ部には、前記光学認識機構が少なくとも設けられており、
前記インタフェースボードが前記筐体から突出した状態では、前記第1電磁波認識機構が前記メディアスロット内のメディアが有する前記認証情報を認識するとともに前記フラップ部の光学認識機構が筐体外のメディアが有する前記認証情報を認識する、
請求項3記載のメディア認証装置。
【請求項5】
前記筐体には、前記インタフェースボード用のほかに、メディアを収容するためのメディアスロットが形成されており、
前記フラップ部には、少なくとも前記第2電磁波認識機構のアンテナ部分が設けられており、
前記インタフェースボードが前記スロットから突出した状態では、前記第1電磁波認識機構が前記メディアスロット内のメディアが有する前記認証情報を認識するとともに前記第2電磁波認識機構が筐体外のメディアが有する前記認証情報を認識する、
請求項3記載のメディア認証装置。
【請求項6】
前記第1電磁波認識機構及び前記第2電磁波認識機構の動作を交互に切り換える制御手段をさらに備える、
請求項5記載のメディア認証装置。
【請求項7】
前記第2電磁波認識機構は、前記認証の対象となるメディアとは別のメディアが保有する前記認証情報を認識する、
請求項6記載のメディア認証装置。
【請求項8】
前記光学認識機構は、前記メディアにおいて前記特定波長の光のみを検知する部材で前記認証情報が表された画像を当該光を用いて撮像する撮像機構を備えており、
前記第2手段は、この撮像機構の出力データから前記第2の照合用データを得る、
請求項1乃至4のいずれかの項記載のメディア認証装置。
【請求項9】
前記光学認識機構は、前記メディアにおいて前記認証情報を光の強度又は波長の変化により表現された変化信号を受光する受光素子を備えており、
前記第2手段は、この受光素子で受光した変化信号に基づいて前記第2の照合用データを得る、
請求項1乃至4のいずれかの項記載のメディア認証装置。
【請求項10】
前記音波認識機構は、前記メディアにおいて前記認証情報が特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を受信する音波受信手段を備えており、
前記第2手段は、受信された音波から前記第2の照合用データを得る、
請求項1、2又は3記載のメディア認証装置。
【請求項11】
前記制御手段が前記情報処理を可能にすると決定したときに、振動、光、音の少なくともいずれかを確認情報として出力する確認情報出力手段をさらに備える、
請求項1記載のメディア認証装置。
【請求項12】
特定波長の光を前記メディアに照射し、その反射像を撮像部で撮像する撮像装置と、
前記光を透過し、かつ、可視光を反射する波長選択特性を有し、前記メディアを保持する者に映し出されたメディアの像を見せることによって前記メディアの位置決めを行わせるためのコールミラーとを更に備え、このコールドミラーが前記撮像装置と前記メディアとの間に配置されている、
請求項1記載のメディア認証装置。
【請求項13】
非接触ICモジュールを搭載した携帯性の筐体を有し、メディア認証機能を有するメディア認証装置との間で認証を行う携帯デバイスであって、
前記非接触ICモジュールを用いて所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構で認識し、これにより第1の照合用データを得る第1手段と、
前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて前記認証情報を認識し、これにより第2の照合用データを得る第2手段と、
前記第1手段で得た第1の照合用データと前記第2手段で得た第2の照合用データとを照合することにより前記情報処理を可能にするかどうかを決定するデバイス制御手段と、
を備えた携帯デバイス。
【請求項14】
前記光学認識機構は、前記メディア認証装置において前記特定波長の光のみを検知する部材で前記認証情報が表された画像を当該光を用いて撮像する撮像機構を備えており、
前記第2手段は、この撮像機構の出力データから前記第2の照合用データを得る、
請求項13記載の携帯デバイス。
【請求項15】
前記光学認識機構は、前記メディア認証装置において前記認証情報を光の強度又は波長の変化により表現された変化信号を受光する受光素子を備えており、
前記第2手段は、この受光素子で受光した変化信号に基づいて前記第2の照合用データを得る、
請求項13記載の携帯デバイス。
【請求項16】
前記音波認識機構は、前記メディア認証装置において前記認証情報が特定の音色又はその組み合わせにより表現された音波を受信する音波受信手段を備えており、
前記第2手段は、受信された音波から前記第2の照合用データを得る、
請求項13記載の携帯デバイス。
【請求項17】
前記第2電磁波認識機構は、前記第1電磁波認識機構で用いる電磁波と異なる電磁波で前記認証情報を送出するためのアンテナを含んで構成される、
請求項13記載の携帯デバイス。
【請求項18】
非接触ICモジュールを搭載した携帯性の筐体を有し、請求項1乃至12のいずれか1項に記載されたメディア認証装置に認証される携帯デバイスであって、
前記非接触ICモジュールを用いて所定の情報処理を可能にするための認証情報を第1電磁波認識機構を通じて前記メディア認証装置に認識させる第1手段と、
前記第1電磁波認識機構が動作可能な所定条件下で、前記メディア認証装置に、特定波長の光信号を用いた光学認識機構、可聴域の音波を用いた音波認識機構、及び、第2電磁波認識機構のいずれかを通じて認識させる第2手段と、
前記メディア認証装置による認識結果に応じて前記情報処理を可能にするかどうかを決定するデバイス制御手段と、
を備えた携帯デバイス。
【請求項19】
前記第2手段は、前記認証情報を光学認識機構を通じて前記メディア認証装置に認識させるものであり、
この光学認識機構は、前記筐体の所定部位に存在する前記認証情報を表す画像であり、前記筐体を透過した特定波長の光を遮る部材でマーキングされている、
請求項18記載の携帯デバイス。
【請求項20】
前記デバイス制御手段が前記情報処理を可能にすると決定したときに、振動、光、音の少なくともいずれかを確認情報として出力する確認情報出力手段をさらに備える、
請求項13乃至19のいずれかの項記載の携帯デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−269532(P2008−269532A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115280(P2007−115280)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(596016672)株式会社シーメディア (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(596016672)株式会社シーメディア (1)
【Fターム(参考)】
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